そして、なんやかんやあって国を追放された亜姫は、いずれ王位を継承して国に帰るために、地道に周りの信頼を勝ち取っていきます。
この頭の良さがすごい。駆け引きに次ぐ駆け引きで、状況を読む力や対応力は『デス・ノート』の夜神月なみかそれ以上。こんなに頭のよい少女漫画の主人公は滅多に見たことがありません。
だけど、戦の現場やここぞという場面では密かに心折れそうになったりする普通の女の子でもあります。そんな状況を、また薄星がよく見破って助けてくれるんですよ。
いらない時に余計な口を出さず、必要な時には何も言わずに気付いてくれるのは、少女漫画のヒーローの必須能力。まあリアルにはいませんけどね。
主従関係を越えて亜姫を慕う薄星が、思いあまって亜姫を押し倒すシーンがあります。そこで薄星は「(亜姫の身体は小さいから)抱きつぶしちゃいそうだ」と言うんですが、読んでて悶えました。抱きつぶしちゃいそう=大切に扱うってことですよ。こういう、気の利いた言い回しは少女漫画ならではの魅力です。
亜姫には、王位を継ぐという大きな目標があり、そのためには奴隷の薄星なんかとくっついてる場合じゃありません。政略結婚だって必須でしょう。