『親なるもの 断崖』が突きつける、モノ扱いされた女性たちの絶望
物語では彼女たちの生き様を綴っていきます。
松恵は到着してすぐに客を取らされ、そのショックで首を吊って自殺。松恵の妹のお梅は、松恵の墓代のために11歳で客を取る。武子はその器量と才覚を見込まれ、芸妓としての修行に明け暮れている。
道子は器量が悪く、身体も健康ではないことから女郎にも芸妓にもなれずに下働きのままです。彼女は、綺麗な着物を着て美味しいものが食べられるお梅や武子が羨ましくて仕方がありません。
こうして生き残った3人が、三様の人生を歩んでいきます。読んでいて辛いのは、どの立場になっても幸せがないことです。
膣がすり切れて腫れあがるほど客を取らされる女郎も、身体を売ることはないがやはり自由がなくひたすら芸の道に励む芸妓(とはいえこれが一番ましかな)も、自分で稼ぐことができないために食事すらまともに与えられない下働きも。
自分の身体をモノ扱いされる恐怖、男性にわかる?
Andrés Carreño
少女漫画は、もともとは少女たちに夢を与える媒体でした。お姫様や王子様がランランと歌い踊り、貧乏人が金持ちになる……少女漫画を読まない男性たちが思い浮かべる「少女漫画」は、まあこんなもんでしょう。