くらし情報『『親なるもの 断崖』が突きつける、モノ扱いされた女性たちの絶望』

2015年8月18日 12:00

『親なるもの 断崖』が突きつける、モノ扱いされた女性たちの絶望

でも、少女漫画が発展するなかで、「女の人生を問う」社会的な漫画を描く作家さんたちも出てきました。山岸凉子さんとか津雲むつみさんとか、ささやななえこさんとか、この作品の作者である曽根富美子さんもそう。
ハッピーエンドが待っているわけでもなく、無駄に不幸をあおるでもなく、ひたすら読者に問いかけるような息苦しい物語。性が絡むことが非常に多いのも特徴ですね。

お梅、武子、道子の3人は与えられた境遇の中で、もがいて苦しんで、自分の環境と戦っていきます。
全2巻中、2巻はお梅の産んだ娘が主人公です。後半トーンが落ちるかな、と思ってましたが、遊郭内輪話から戦時中内輪話へ舞台を変えてどんどん読ませます。
1巻は吐き気がして泣く暇がないんだけど、2巻のラストはぐっときます。


さて、どうして室蘭に遊郭があるかというと、開拓者や鉄工所があったためなのだそうです。男の集まるところに遊郭あり。
以前、追い込みやってる男性から聞いた話ですが、借金返済ができなくなった人をマグロ漁船に連れていくというのは、本当にある話なのだそうです。で、次のセリフが恐ろしかった。
「それが女性だと喜ばれるんですよ」。
その女性がどんな目に遭うのか推して知るべし。

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