作家・山内マリコさんインタビュー地元を出て親友と出会えた経験が恋愛よりも自分を救ってくれた
地方在住の女性が感じる退屈や閉塞感を描いた『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)で一躍注目を集めた作家の山内マリコさん。8月17日には、擬人化した東京23区が自分語りをするユニークな小説集『東京23話』(ポプラ社)が刊行されます。
そんな山内さんに、地元と東京、恋愛と結婚、家族、そして友情……と、ライフステージによって移り変わる女性の“居場所”のあり方について、全3回にわたってお伺いしました。地元のマジョリティの感覚から
ズレていた負い目があった
――山内マリコさんの作品に登場する女性たちは、しばしば“東京との距離感”“地元への違和感”を常に抱き、自分の居場所を決めかねているように見えるのですが、その微妙な感情はどこに由来するのでしょうか?
山内マリコ(以下、山内):私の場合は、単純にそこまで気の合う人が周りにいなかったのが大きいかも。仲のよい友達はいるんだけど、私以上に都会志向だったし、高校時代に付き合った人と結婚を考えるとかも、ありえなかった。「この人と離れたくないから地元に残りたい」みたいな出会いをしなかったぶん、地元を離れて一度リセットするのは、織り込み済みって考えていた気がします。