だけど、映画学の世界では、映画は夢(夜に眠りながら見る夢)のアナロジーであるともいわれています。真っ暗な場所でスクリーンに映し出される幻は、ちょうど夜に目を瞑って眠っているとき、頭のなかに浮かぶ幻の映像と似ているからです。だから、映画の分析にはしばしばフロイトの理論が使われたりもします。まあ、めんどくさい細かい話は置いておいて、要は「途中で眠ってしまっても大丈夫!」ってことです。実際、眠くなる映画として有名なロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの作品は、オールナイト上映で観ると私は99%起きていられません。それでも、上映が終わり明るくなる場内と、夜から朝へかけて明るくなる空が頭のなかで重なって、映画館を出たあとは自宅で眠るよりぐっすり寝られたような気分になるから不思議です。そして、映画の映像と自分が上映中に見た夢とがMIXされて、この世にたった1つの「存在しないはずの気持ち悪い映画」ができているという……。
また、映画館のオールナイト上映を狙ってくる人間の大半はいわゆる「映画マニア」。
学生時代に年間何百という単位で映画を観ていた私にとっては非常に懐かしい人種なのですが、もしかするとみなさんの目には少々異様に映るかも……?だけど、もちろん危害を加えられたりすることはないので、異文化に触れると思って安心してその場の空気を堪能して欲しいです。