おひとりさまが家を買ったっていいじゃない!『プリンセスメゾン』作者・池辺葵さん(前編)
たとえば、すごくきれいな景色を見たときに、「これを眺める女の人が描きたいな」と思ったり、あるいは「こういうところがふるさとだったらいいな」「でも、自分にはあそこに帰りたいと思えるような場所がないな」と思ったり。そういうところから発想していきますね。
――描きたいと思った景色や感情は、普段から意識して覚えておくようにしているんですか?
池辺以前はそういうのをスマホにメモしてたんですけど、あるできごとに感情を揺さぶられたら、そのとき感じたことはそのとき描かないとものにならないということがわかって。今は、ぎりぎりまで発想や衝動が下りてくるのを待つ感じです。待っていれば絶対に下りてくると言い聞かせて、自分を信じるようにしています。
――毎回、見開きの絵がとてもきれいで素晴らしくて、息を呑みます。この景色を見開きで見せたいな、と考えて話を作ることは?
池辺話の流れの中でこれが見開きにきたらいいな、と自然発生的に生まれるものなので、見開きで描きたいシーンから話を作ったことはないです。見開きの絵ってすごくインパクトがあるし、読む人に訴えかけるパワーがあるぶん、その力に頼ってしまっている気がして、最近は控えるようにしてるんです。