まわりとちがう人生でも自信を持って!「異端」と「正統」は時代と権力者で逆転する
という概念を導入し、ハイコンテクスト/ローコンテクストの関係を混乱させたわけです。
キーワードは『奇想の系譜』。
「異端」と「正統」の関係を考えるさて、話はもどって今回の展示『五百羅漢図』です。横幅100メートルにもなる極彩色の絵画がいくつも並ぶ光景は、溢れ出るエネルギーのあまり頭がクラクラするほどです。
ところでこの『五百羅漢図』、制作の発端となったのは「奇想」を論じた『奇想の系譜』の著者である美術史家・辻惟雄氏と村上隆が『芸術新潮』上で行なっていた連載企画なんだそう。昨今、伊藤若冲展や鳥獣戯画展、春画展など、日本画ブームが起こりあちこちで興味深い展覧会が開催されていますが、人気のある日本画の展覧会に共通しているのが、この「奇想」という言葉です。日本美術史のなかで長く「異端」として扱われていた絵師たちの、エキセントリックであったりグロテスクであったりする斬新な表現が特徴的です。
しかしちょっと覚えておきたいのは、これらが「異端」とされていた理由です。
日本美術史の草創である明治初期、正統とみなされたのは狩野派などの「官画」で、浮世絵などの「民画」はその表現の斬新さや美術的完成度の高さをよそに、権威がないため勝手に「異端」