自分を理解してくれる場所を求めて……自立にもがく若者の姿が胸を打つ『カリフォルニア物語』
どんな環境や境遇も、本人にとって
恵まれているかどうかはわからない
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ヒースが頼ったのは、「なにかをしなければ認めてくれない」親でも、「学校の名誉のために優秀でいて欲しい」先生でもありませんでした。ヒースのすべてを受け入れてくれる近所の医師や、とあることがきっかけで知り合った中年男性のインディアン(あだ名)でした。
この作品は、若い人たちの持つコンプレックス、葛藤、必死に生きるさまを描いていて、読むと胸が詰まります。
人は誰でも(誰でも!です)、自立したいと思い、自分を理解してくれようとする人を求めるのだと思います。
私、この作品にけっこう影響されたかなと思います。20代で結婚して、すぐに離婚を決めたあと、カラオケBOXで深夜のバイト、昼は派遣で事務、夕方はHP作成と、あれこれ仕事を掛け持ちしてました。
これがヒースになった気分でものすごく楽しかったです。実家で疎外感を感じていた私には、ヒースの孤独にもたいへん共感を持ちました。
インディアンは、ヒースの父親に「あなたは私よりもヒースのことを理解しているようだ」と言われて、こう返します。
「理解しているわけじゃないですよ。