「配偶者居住権」とは?相続トラブルで自宅を失くさないために
ある日突然、長年慣れ親しんだ「自宅」に住めなくなるとしたら……。
相続が発生するとそんな事態が実際に起こる場合があります。
今回は、相続でなぜ「住まいを失う」場合があるのか、そして住まいを失わないために知っておきたい「配偶者居住権」についてお話しします。
■ 相続が発生して「住まいを失う」場合とは?
相続が発生することによって住まいを失う理由はさまざまです。
cba / PIXTA(ピクスタ)
例えば、相続税を支払うために自宅を売却するケースや、収入を得ていた配偶者(夫や妻)が亡くなってしまったため生活費が不足して自宅を売却し換金するケースなどが主なものですが、なかには相続トラブルによって自宅の処分を余儀なくされるケースもあります。
下記にその例を挙げてみましょう。
ケース1:夫が亡くなり、相続人が妻と子一人の場合で、自宅評価額2,000万円、預貯金3,000万
この場合、妻と子の相続分はそれぞれ1/2となり、妻2,500万円、子2,500万円となります。
妻が夫名義の自宅にそのまま住み続けていくためには自宅の所有権を得る必要があります。
妻が相続する遺産の内訳を、自宅2,000万円、預貯金500万円とすれば妻はそのまま自宅に住み続けられますが、受け取れる預貯金が500万円では将来の生活費不足が心配になります。