年収300万円しかなくても幸せになれる「お金とのつきあい方」
と藤田さん。
ソクラテスが生まれる200年ほど前にリュディア(今のトルコ)で発明されたお金(貨幣)が、紀元前5世紀ごろのアテナイで歴史上初めて一般市民に普及したのだそう。
やがて「もっとお金を手にして豊かになりたい」という思いにとりつかれる人も出はじめ、ソクラテスはそんな人々を“金銭愛好家”と呼びました。
「プラトンの『国家』という本のなかで、ソクラテスは金銭愛好家の心理について詳しく語っています。
金銭愛好家はとにかくさもしくて、どうすればお金が増えるかということにしか頭を使わない。富める者しか尊敬せず、財貨の所有にしか名誉心の満足を覚えない、と。ソクラテスはそんな心の状態を“魂の病気”と呼んでいます」
“魂の病気”といわれるとドキッとしてしまいますが、現代でもお金が価値観の中心になってしまうことはあります。
では、魂の健康とは?藤田さんによれば、ソクラテスの答えはこうです。
「人間の心には、本来優れた能力がたくさん備わっているもの。それらが本来の役割を果たし、善いものを善い、美しいものを美しいと感じられる状態が“魂の健康”で、魂が健康でないかぎり幸福はありえない、とソクラテスは考えました。