年収300万円しかなくても幸せになれる「お金とのつきあい方」
ではなく、善いものや美しいものに置いてみること。
貧しい人を蔑んだり、“お金持ち”という理由で誰かをあがめたりせず、お金以外の価値を理解できる人と交流して、お金では量れない価値にたくさん触れること。それらが大切だと藤田さんはいいます。そのことを忘れさえしなければ、魂を傷つけることなく生活の豊かさを追い求めることも、不可能ではないのです。
■プラトンが伝える“ソクラテス像”
ソクラテス研究者として活躍する藤田さんがソクラテスに興味を持ったきっかけは、プラトンの著作だったのだとか。
「じつは、ソクラテスは1冊も本を書いていません。私たちが知ることのできるソクラテスとは、おもに“プラトンの本に登場するソクラテス”のことです。
プラトンの著作『パイドン』は、裁判で死刑判決を受けたソクラテスが最後の一日に友人たちと哲学の対話をするというフィクションですが、そのソクラテスのかっこよさに完全にノックアウトされてしまいました。
誰もが心の中にヒーローを持つものだと思いますが、私にとってのヒーローはソクラテスで、そのソクラテス像をつくったのが『パイドン』でした」
著書『ソクラテスに聞いてみた』は、現代の若者とソクラテスを名乗る老人とのやりとりを描いたフィクション。