【知って得する!保険の基本】教育資金準備計画の死角
お母さんの言う50万円は、想定外のことが起こったときのために、手をつけるべきではないと思う。まだ真由子の進路も決まっていないこともあるし。
お母さん、どう思う?」
母も父の提案に納得した面持ちで、しみじみと言った。
「真由子が進学するときは、もう少しゆとりのある資金計画にしたいわね。」
父がため息をついて言った。
「そうだな、やっぱり教育資金はぎりぎりではまずかったな。
お父さんが大学生の頃は、学生は国民年金に入らなくてもよかったので、てっきり今もそうだと思い込んでいた。
この国民年金の支払いがもし義務だったら、破綻していたかもしれない。本当に思いがけないところに死角があったな。」
由里子が両親を励ますように、明るく言った。
「真由子は優秀だから、きっと奨学金がもらえるよ!」
父がたしなめるように言う。
「由里子、奨学金だって借金なんだぞ!」
「返済不要の給付型だってあるんだよーっ!」
言い返す由里子。それを聞いた母が、
「人のことを言っていないで、あなたももらえるように勉強しなさい!(※2)」
「うわ、やぶへび、やぶへび!」
由里子は部屋から逃げ出した。
子どもの国民年金保険料を視野に入れた資金計画を
こうして、F家の平穏を破る1通の手紙「国民年金被保険者資格取得届書」がもたらした波紋は収束した。
猶予制度があるとはいえ、納付を希望する学生にとって国民年金の保険料は決して軽い負担ではない。
親が代わって支払うとしても、1歳違いの兄弟が大学に進学した場合は、1年以上(※3)2人分の保険料を納付することになる。平成27年度なら月に31,180円となり、家計から捻出することが困難な家庭も少なくないのではないか。
教育資金を準備するにあたっては、20歳からは学生であっても国民年金を納付する義務が生じることも視野に入れた計画になるよう、注意する必要がある。
※1 2015年7月10日現在。
※2 返済不要の給付型の奨学金は成績優秀者を対象にしていることが多い。
※3 子どもの誕生月によって異なる。2人とも4月生まれなら2年間。
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