2022年7月13日 11:00
「ボテロ展 ふくよかな魔法」名古屋市美術館にて7月16日(土)から開催!
自らのルーツや故郷コロンビアでの子ども時代の記憶にまなざしを向け、自作の中心的テーマとするようになったのです。同時にメキシコ芸術の大胆な色使いもボテロを触発し、彼の画面を色鮮やかなものへと変容させました。
近年ボテロは大型カンヴァスに水彩で彩色したドローイングを描くシリーズを制作していますが、そこでもラテンアメリカの世界は主題として生き生きと描写されています。
第5章 サーカス
2006年、ボテロはメキシコ南部の都市シワタネホの訪問中、ラテンアメリカの趣のある質素なサーカスに出会いました。悲しみを内に秘めた人物だけではなく、何よりもその計り知れない詩的な味わいやかたちと色の造形性が、彼を驚かせました。この出会いは、ピカソ、マティス、ルノワールをはじめとする巨匠たちの作品によって高められた、サーカスという大きな可能性を秘めるテーマへと彼の想像力の扉を開きます。サーカスの役者たちは、盛んに動いているにもかかわらずボテロ作品の人物に典型的な静けさと美学をも湛え、ダイナミックさと静寂の間を揺れる逆説的な感覚を伝えています。
フェルナンド・ボテロ《空中ブランコ乗り》 2007年 油彩/カンヴァス
第6章 変容する名画
1952年に初めて欧州へ渡航して以来、ボテロは、ベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなど、美術史における主要な芸術家たちへ造形的なオマージュを数多く捧げてきました。