明治学院大学経済学部 田中鉄二准教授が食料供給を安定させる方法を提唱・実証 衛星から得られる収穫予測情報と北・南半球の季節性の違いを利用
論文URL :
https://www.nature.com/articles/s43247-023-00992-2
DOI :
https://doi.org/10.1038/s43247-023-00992-2
著者 : Tetsuji Tanaka, Laixiang Sun, Inbal Becker-Reshef, Xiao-Peng Song & Estefania Puricelli
◆本研究のポイント
本研究で衛星から得られる作物の収穫予測情報と北半球と南半球の季節性の違いを利用して食料供給を安定させる方法を提唱し、実証した事が最も重要なポイントです。具体的にはロシアやウクライナは世界最大級の小麦輸出地域ですが、2012年、小麦の不作に直面しました(図1)。その不作は同年7月にメディアで報じられ、すぐに金融市場の小麦価格は高騰しました。しかし、衛星画像を使った最新の予測技術を用いた方法ではその不作が5月や6月に既に認識できる可能性があります。
北半球と南半球の季節の違いのため、作物の播種と収穫の時期が異なり(図2)、小麦の場合、7月に北半球の不作が判明したとしても南半球の小麦農家は増産できませんが、5月や6月に情報を得られれば、多くの小麦農家が不作と価格高騰を予測して増産するインセンティブを持ちます。