夫の浮気相手とまさかの遭遇…キャリア女性とボサボサの妻、惨めで何も言えない
さらさ「そんな、私なんて」
沙織「だめだめだめ、さらさらしくない。私が海外いきたいけどリスクあるかなって悩んでた時、言ってたじゃん」
沙織「なにかあったら、私が仕事紹介するし思い切ってこいって」
確かに、沙織を送りだすとき言っていた。
沙織「今度は、私の番かな。さらさがシングルマザーで大変になっても、私が仕事紹介するよ!」
その言葉に、さらさの気持ちがふっと軽くなる。
さらさ「ありがとう沙織。私、なんか頑張れそうな気がする」
もう湯気の立たなくなったコーヒーを見つめながら、さらさの鼓動が高鳴った。
(いや、そうじゃない)
選択肢を作るという言葉が背中を押す。宗太によりかかっていた自分にもはっとさせられた。
さらさ「がんばらなきゃいけないんだ」
沙織がぽんとさらさの背中を押した。
沙織「そうこなくちゃ!前向きになったら即行動しなよね!これニューヨーク流だから」
大きくうなずき、さらさは立ち上がると抱っこ紐を手に取った。
………
沙織の家を後にし、実家のチャイムを鳴らす。
しばらくすると、慌てて母がでてきた。
母「ちょっと、その顔どうしたの」
さらさ「えへへ」
岩のように腫れた目元を隠すように笑って見せる。