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やっぱり学校に行きたい!先生の言葉で開けた新たな道夏休みが終わり、学校に行けない中学3年生の息子は、進路について悩んでいました。一時は就労支援を利用しての就職を目指していましたが、就労支援の利用対象者は18歳以上のため卒業後すぐに就職という道は実質不可能でした。かといって、特別支援学校高等部へとそのまま進むことにも抵抗がありました。というのも息子はスクールバスで特別支援学校に通っていたのですが、次第に車酔いに耐えられなくなり乗れなくなってしまったのです。そして、ほかの通学手段を選択するのも難しい状況でした。特別支援学校中等部に在籍している生徒のほとんどは特別支援学校高等部への進学を選択します。とりあえず高等部に進学して、あとのことはそれから考えようか……という時でした。家庭訪問に来てくださっていた担任の先生がこう言ったのです。「無理してスクールバスに乗ることないよ!通信制高校はどう!?」目からウロコでした。精神障害者保健福祉手帳(2級)を持ち、強度行動障害のある息子には、特別支援学校以外の選択肢が考えられなかったのです。「通信制高校もいろいろあるんだよ!オンラインでも大丈夫なところもあるし、パソコンのコースなんかもあるし。息子くんに合いそうな学校もあるんじゃないかな?」先生の言葉を聞いて、息子は言いました。「……やっぱり僕、学校に行きたいねん。就職と思ったけど、それは学校に行かれへんからで、本当は学校をあきらめたくないねん」先生が帰られたあと、私が真っ先にしたのは通信制高校の資料請求でした。Upload By 花森はな通信制高校とサポート校の違いって?通信制高校の資料請求には、一括検索サイトを利用しました。一校一校調べるよりも、条件を指定して資料を送っていただく方が時間短縮に繋がると考えたのです。資料請求ボタンを押してしばらくすると、数校から電話がかかってきました。その中の一校にすぐ見学に行くことに決めました。それは通信制高校のサポート校でした。通信制高校のサポート校は都会のビルの中にありました。中に入ると、個別に区切られた学習ブースでそれぞれ勉強をしていて、さながら塾のようでした。人がたくさんいる場所が苦手な息子はここにいるのは無理そうだな……と感じましたが、個別相談という形で説明をお聞きしました。まず最初にお伺いしたのは、「通信制高校」と「サポート校」の違いでした。通信制高校は、自宅学習がメインで、単位取得(74単位+ホームルーム30単位)で高校卒業資格が得られます。空いた時間で好きなことをしたり、登校日を自分で選べるなどのメリットがあります。単位制高校との大きな違いは、必修科目がある、高卒資格を取得するには単位認定試験とスクーリングに加え、レポート提出が必須になります。サポート校は、通信制の高校生の卒業をサポートする「塾」のような存在です。連携している通信制高校に籍があり、連携先の通信制高校卒業で高校卒業資格を取得できます。サポート校のみでは、高卒資格は取得できません。通信制高校は完全にオンラインという訳ではなく、学校によって登校日数が異なります。サポート校では自宅に出向いて指導をしてくださる手厚いプランもあるということで心が動きましたが、問題は学費でした。通信制高校に進学する場合、学費は通信制高校のみで済みますが、サポート校を選ぶと通信制高校とサポート校の両方に学費が発生するのです。学費の助成もあるとはいえ、母子家庭のわが家ではその費用を捻出することは難しく、サポート校への進学はあきらめることになりました。この点が早い段階で分かっただけでも、最初にサポート校での説明を受けてよかったと思いました。Upload By 花森はな通信制高校は選択肢がたくさん!通信制高校にターゲットを絞ったところで、次はどの学校に見学に行くかを決めなければなりません。息子と相談し、まずは私が息子が行けそうな学校をいくつか絞ることになりました。通信制高校一括検索サイトから届いた学校のパンフレットを1つずつクリアファイルに入れ、「土曜授業」「近い」「学び直し」などその学校の特色を付箋に書き出して印をつけました。そしてファイルボックスを3つ用意し、「○(見学)」「△(保留)」「×(却下)」の印をつけ仕分けしました。息子の場合、遠方でのスクーリングがある学校や都会すぎる学校は避ける必要があったため、仕分けしていくうちに息子が通えそうな学校の雰囲気も見えてきました。その中から数校に見学を申し込みました。A通信制高校はほぼ全日制に近い授業内容で、B通信制高校はまるで専門学校のような校風、C通信制高校は登校日数を選べるプランがあるなど、同じ通信制高校でも、学校によって内容がかなり違いました。ある学校では相談に乗ってくださった管理職の先生が、「息子くんの様子を聞くとうちの学校では難しいかもしれませんが、こちらの学校なら合ってるかもしれないので、行ってみたらどうですか?」とほかの学校を紹介してくださいました。どの学校の説明を聞いていても共通していたのが、「ぜひうちの学校に!」というよりも「いい学校が見つかりますように!」という姿勢でした。通信制高校を選択する子どもたちは、不登校だけではなくそれぞれに事情のある子がどうしても多いので、そういったことに相談段階で寄り添っていただけてるように感じました。Upload By 花森はなさまざまな通信制高校と広がる可能性特別支援学校の先生とも積極的に情報交換を行いました。特にありがたかったのが、通信制高校合同説明会のお知らせでした。大きな会場で多くの通信制高校が集まって、ブースでの個別相談を受け付けてくれます。希望していた学校や、なかなか情報の集まらない学校について直接お話を聞くことができました。発達障害などの特性がある生徒に配慮して特別支援の資格を持つ先生がいる学校や、起立性調節障害がある生徒のために午後から授業を行う学校、カウンセラーなどのメンタルサポートが充実した学校など、通信制高校もさまざまなニーズに柔軟に対応していて、「息子も高校に進学することができるかもしれない」と希望を持つことができました。各学校での個別相談、合同説明会にと奔走した数ヶ月間でしたが、年内には志望校を2つに絞ることができました。そしてその2校に、最後は息子と一緒に個別相談に行くことになりました。Upload By 花森はな「学校をあきらめたくない」、息子の願いを叶えるためにこうして、息子の進路は一気に通信制高校を目指すことになりました。「学校をあきらめたくないねん」と言った息子の言葉を聞いて、なんとしてでも息子が行ける学校を見つけてあげたいと思い、駆け抜けた数ヶ月間でした。不登校の子どもは、けっして学校に行きたくない訳ではないのです。中には行きたくないという子もいますが、学校に行きたくても、教室や通学方法に不安があったり、自身の特性や体調、先生や友人との関係、授業や行事などの心配、集団生活での憂慮や同年代とかけ離れた生活を送っていることの焦りなど、言葉に表せない恐怖と日々戦っています。通信制高校は、そのような不安の中にいる子どもたちを支えてくれる、新たな選択肢だと思います。執筆/花森はな(監修:初川先生より)特別支援学校中等部にうまく適応できず、その後の進路で悩まれる中で通信制高校について知り、検討したエピソードをありがとうございます。不登校生徒向けの高校は地域によってもさまざまですが(不登校生徒に合う公立高校のあり方はぜひ都道府県ごとの状況をお調べください)、昨今、通信制高校やサポート校について注目が集まっている印象もありますね。今回、花森さんが調べながら気づかれたように、通信制高校はさまざま特色を持っています。また、サポート校を利用する場合には学費が約2倍(通信制高校とサポート校との2つ分かかる)ことなど、大事なご指摘がありました。個人的には、スクーリングの日数に関してや、学習に関する質問をどのように取り扱うのかといったところもぜひ確認してほしいと感じるところです。今後高校進学をされるお子さんに関しては、見学・体験を通して、本人が気に入る高校が見つかるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月30日東京都放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2024年10月1日にオープンのウィズ・ユー中板橋では、個性を伸ばし未来へ繋ぐ発達支援に力を入れています。発達障害の研究に力を注ぐ⽶澤好史教授とウィズ・ユーが共同で作成した支援プログラムなどを行っています。これらは専門職との連携により、ご利用者のあらゆるニーズに応えているようです。見学・体験予約を受け付け中とのことですのでお気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。東京都の放課後等デイサービスをもっとみる東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー中板橋は、2024年10月1日オープンの事業所です。個性を伸ばし未来へ繋ぐ発達支援に力を入れています。児童の特性を複数のアセスメントツールを指標に基づいて把握し、プログラムされた50種類以上のエクササイズ・集団あそびを行うことで課題解決に向けた支援を実施しています。見学・体験予約を受け付け中ですので、気になる方はぜひお問い合わせください。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Apple Junior小田急相模原教室は、小田急相模原駅から徒歩約8分の場所にあります。「環境を整えた集団体験」と並行して「個々の取り出し発達支援」によって、お子さんの段階・困り事に沿った支援を行います。集団指導では工作(巧緻性)、音楽(感性)、運動(身体能力)、ゲーム(社会性)、料理(生活)、映画(協調性)の中から、毎日プログラムを行います。また、保護者の方との面談機会も月1回設けているそうです。10月は見学会も実施されるようなので、ご興味ある方はぜひお問合せください。Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior本厚木教室は、2024年7月にオープンした事業所で、本厚木駅バス約8分の場所にあります。「ひとりひとりが自信を持って生きる」をコンセプトに個別指導と集団指導を両方取り入れたプログラムを行っています。保護者の方との対話を重視し、月に1回の面談機会を設けています。また、幼稚園・保育園後の送迎など幅広く対応されているそうです。どういう教育がいいか、どういう教室がいいか、迷われている方はぜひ一度お問い合わせください。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior小田急相模原教室は、小田急相模原駅から徒歩約8分の場所にあり、幼稚園・保育園後の送迎など幅広く対応しています。「ひとりひとりが自信を持って生きる」をコンセプトに、さまざまな教材の中からお子さんのニーズに合わせたものを選んで行う個別指導と、集団指導を両方取り入れるプログラムを行っています。また、お子さんと接する時間・期間の長い保護者の方との対話を重視し、月に1回の面談機会を設けているそうです。Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior本厚木教室は、2024年7月にオープンしました。「環境を整えた集団体験」と並行しての「個々の取り出し発達支援」によって、お子さんの段階・困り事に沿った支援を行っています。集団指導では工作(巧緻性)、音楽(感性)、運動(身体能力)、ゲーム(社会性)、料理(生活)、映画(協調性)の中から、プログラムを毎日必ず行います。個別指導では、苦手な事は少しずつでもできるように、得意な事はどんどん伸ばせるように実施しています。また、保護者の方との対話を大事にしており、面談の機会も設けているそうです。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ときめきスクールありがとうは、宮原駅西口800mの距離にある民家改装型の放課後等デイサービスです。家で過ごすようなリラックスできる環境で、いろいろな活動に取り組み「得意なことを伸ばす」支援を行っています。ご利用者や保護者の方の多様なニーズにお応えできるよう経験豊富なスタッフの方が在籍しています。スタッフのフォロー体制も大切なポイントですが、それ以上にご利用者のその時の気持ちを考え、「やる気」や「挑戦してみよう」の気持ちを大切にした支援に取り組んでいます。埼玉県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報スターキッズ千葉ではお子さんと同じ目線を意識し、時には父や母のように、時には兄や姉のように、時には友だちのように。職員の役割分担により、お子さんが自分らしく過ごせる環境設定を行っています。また、“事業所にいるだけ”のような預かり・見守り施設ではなく、お子さんが楽しく活動し、安心して【成功と失敗】ができるよう信頼関係の構築に努めているそうです。児童福祉事業に特化した専門性とこれまでの経験を強みとし、幼児期の早期発達支援を行い、児童と保護者の方の頑張りを支援しています。千葉県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報あすきたる児童発達支援・放課後等デイサービスでは、発語や就学前のお子さんに特化した支援から、宿題や学習支援、さらには作業療法士による個に応じた心身の発達を促す手だてや、プログラミングまで、幅広いサービスを提供しています。さまざまな発達支援のグッズを準備しており、各個人に対してマンツーマンでの発達支援を行い、個々のニーズに応じた支援を提供することで子どもたちの成長をサポートしています。初めての場所では緊張しがちなお子さんも、自己肯定感と自己効力感を高めるような発達支援によって、笑顔になれるのではないでしょうか。大阪府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報sansuiスタジオは2024年7月にオープンした、門戸厄神駅から徒歩5分の場所にある事業所です。理念である【可能性と、出会う】ための発達支援として「できる」「考える」「夢中になる」の3つを大切にしています。センサリープレイ、アート、ことばあそびなど、感覚を取り入れたものから、誰かとつながるために必要な「ことば」を楽しく知ることができるプログラムまで、お子さんに合わせた発達支援を行っています。安心できる環境を作り、保護者の方と一緒にお子さんの自立を支える支援を目指しています。兵庫県の児童発達支援をもっとみる広島県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Kids spase リフライズ リトリート府中は、2024年9月にオープンしました。不登校や学校に通うのが不定期な方が対象のフリースクール型放課後等デイサービスです。学校に行けない理由は個々さまざまありますが、幅広い選択肢を通して社会性や生活の幅を広げる支援を行っています。学習支援も行っており、希望される方はオンライン教材を使用して学習することも可能だそうです。また、広いアイランド型のキッチンスペースを設置しているので、おやつ作りなども日々のプログラムで実施しています。広島県の放課後等デイサービスをもっとみる香川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと高松香西教室では未就学のお子さんの成長と発達をABA(応用行動分析)で支援しています。行動一つひとつに焦点を当てて、「今できていることはなんだろうか?」「次、どんな事ができるだろう?」と可能性を見つけ、小さなステップをたくさん実践して、成功体験を積み重ね、お子さんの可能性を広げていく発達支援を行っています。『たくさん』の課題や楽しいことに、『小さく』一つずつ向き合って、『確実に』できるようになるために、お子さんと日々関わっているそうです。香川県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月29日夏休み前の通級の先生との面談小学5年生の5月から学校に行けなくなり、その後五月雨登校だった次女。夏休み前に、保護者と通級指導教室(通級)の先生との面談がありました。Upload By まりまり私は、担任の先生以外にも、学校内に次女の事情を良く知っていて相談に乗ってくれる先生がいるということを、とても心強く感じていました。次女が低学年の頃、学校での支援になかなか繋がらずに不安な思いをしていましたが、いろいろなところに相談した結果、通級に通うことができるまでの環境になったことを、とてもありがたく感じる瞬間でした。今後のことを考えて、学校での次女の避難場所について聞いてみた先生と情報交換をして、次女の夏休み明けのことについてお話をしました。この時の次女は、本当になんとか学校に行っているという状態でした。このまま夏休みを迎えたとしたら、2学期はスムーズに学校に戻れないかもしれないという不安がありました。私は、次女のために何かできるサポートはないか考えました。そして、教室にいることに疲れてしまった時などに、一時的に次女が避難できるような場所があると良いのでは……?と思って、良く聞く「保健室登校」のように、保健室を利用することはできるか確認してみました。Upload By まりまり通級での対応この時は、コロナ禍だったこともあって保健室の利用は制限されており、そういった感じでの保健室の利用はできないとのお話でした。ただ、一時避難場所として、通級の空いている教室を利用できるとのことでした。先生のお話では、以前に通級を利用していた不登校気味の子が、避難場所として通級の教室を利用していたこともあったそうです。Upload By まりまりやっとの状態で学校に通っていた次女なので、「2学期が始まったらまた学校に行けなくなってしまうかもしれない……その時はどうしたらいいんだろう……」と、2学期が始まることを私自身かなり不安に感じていました。ですが、「もしもの時に、学校内で少し休むための場所がある」ということが分かっただけで、2学期に向けての不安が少し軽減されました。次女に話してみたところ…ところが「教室にいるのが疲れてしまった時に、避難場所として通級の教室を利用してもいい」ということを、次女に伝えてみたところ、「ええ~?通級の教室?……絶対イヤだ!」との返答が……。Upload By まりまり休めるのはいいけれど、通級の教室を使うのが気まずい、恥ずかしい、とのことでした。場面緘黙の次女にとっては、まず、「通級の教室に行って休みたい」と先生に声をかけるハードルが高く、人と違うことをするのは恥ずかしいし気まずいので、それをするくらいなら我慢するか家に帰りたい、ということでした。次女と話し合って、2学期学校が始まってから、もし教室にいるのがつらくなってしまって、その時に利用できそうだったら試しに使ってみる……という感じで話はまとまりました。夏休みゆっくり休めた次女の2学期こうして、親としては、また来るかもしれない不登校の対策を考えるなどして2学期に備えていました。次女は、夏休み期間中は毎日ダラダラと過ごして、日に日に元気になっていきました……!Upload By まりまりこうして元気をチャージした次女、2学期の始業式には無事に登校できました!……が、その翌日は休んで……次の日はまた行けて……その次の日はまた休んで……。その後は、徐々に学校に行く日が増えてきて、週に1、2回ほど休みながら学校に通うようになりました。学校に行く頻度自体は夏休み前と変わりませんが、夏休みにしっかり休んだことで、学校に通う負担が少し少なくなったように見えました。結局、次女が学校で疲れた時に通級の教室を使って休む、ということは1度もありませんでした。親としては「こうしたらラクになるのでは……?」といろいろ考えたりしますが、本人の希望・できることのなかでの最善を探っていかなくてはいけないな~と改めて思ったのでした。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙の娘さんが、五月雨登校になりつつあるときのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。個人差がありますが、場面緘黙傾向のあるお子さんは、自分が発言したり行動したりすることへの周囲のリアクションを極度に怖れるような方もいて、目立つことや、特別扱いと感じることや、今までやったことがないことを避ける方は多い傾向があります。決まった時間の通級に行くのは決まっているからいいけれど、自分から発信して通級の部屋に行くというのはハードルが高かったのかもしれません。例えば、疲れた時に通級に行きたいと自分から発信するというのを提案する前に、休み時間に先生が迎えに来て通級で休むことを経験してみるといった、自分発信ではないこと、目立たないやり方から提案してみるなどもいいかもしれません。まりまりさんが書かれていたように、良かれと思っていろいろおぜん立てしてみても、本人が受け入れないということはありますよね。本人が安心して取れる手立てでないと意味がないので、いろいろ提案しながら本人が受け入れられるものを探していくしかないですね。まりまりさんの娘さんは、試行錯誤しているうちに、週に1、2回休みながら登校するというよいリズムがつくれてきたようでよかったです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月28日初めての発達科長男は1歳半ぐらいの頃から、こだわりの強さ、集団行動の苦手さ、同じ場所を行ったり来たりする常同行動などが気になり始めました。しかし私はあまり育てにくさを感じておらず、まだ長男が幼いのもあり、どう捉えたら良いのかとずっと悩んでいました。健診で相談しても特に指摘されることもなく、考えすぎだろうかと思ったこともありました。しかし長男は幼稚園年中の終わり頃から登園渋りが始まり、年長になってもずっと続きました。そのことや以前よりもお友だちを避け自分の世界に入り込む時間が増えたことを担任の先生も気にしてくださり、話をする中で、入学も控えているし、一度発達検査を受けてみようと決めました。もともと長男は甲状腺機能低下症で大学病院に通院していたため、同じ病院内の発達科を紹介してもらいました。本当は入学前に検査ができたら良かったのですが、検査予約が取れたのは長男が1年生の5月でした。検査の日の前に一度診察を受けた際の長男は、椅子に座ってくるくる回っており、少し落ち着きのない様子でした。そして迎えた検査の日。長男には、「今どれくらい成長したのか知りたい」と話をして検査に連れていき、特に拒否することもなく落ち着いて私と別れ、部屋へ。2時間ほどあった検査でしたが、態度も良好で問題なく進められたと先生が話してくださいました。やはり私の考えすぎだったのか…後日伝えられた結果は、特に診断は出ないとのことでした。気になる行動等は年齢と共に緩和されていくだろうから長男の場合そんなに気にしなくても良いのではと先生に話をされました。やはり私の考えすぎだっただろうか……たしかに年齢と共に変化してゆくのだろうとも思うのですが、内心はなぜかまだモヤモヤしていました。結局、具体的な対応も分からないまま、その後も気になることは生活の中でちょこちょこありましたが、悩みながらも様子を見ていくしかないのかなぁと過ごしていました。Upload By ねこじまいもみ検査後の日々も続く登校渋り小学1年生の時に1番悩んだのは、やはり入学当初から続く登校渋りへの対応でした。これも年齢と共に緩和してくることなのだろうかと常に疑問でした。実際2つ年上の長女は月日と共に登校渋りが緩和していったのですが、長男はまたそれとは様子が違うようになんとなく思いました。温かく見守り寄り添ってあげたい自分と、自分のことや下の子のことがうまく回らずイライラしてしまう自分との葛藤でした。小学1年生の10月頃、かなり悩んでいる私に担任の先生はスクールカウンセリングを勧めてくださいました。最初は私だけで。後に長男も一緒に相談へ行きました。スクールカウンセラーの先生は大変親身になってくださり、長男の学校での様子を見てくださったり1人でいる時は声をかけてくださったりしました。しかし、長男はそれが嫌だったようで、私にそのことを話してくれました。また、常同行動についても長男は学校では我慢していたのですが、いつも手に持っているお気に入りの物はカウンセラー室に置いておいて、休み時間にカウンセラー室に来て走ってもいいよとおっしゃってくださいました。しかしそれも長男には違ったようで行くことはありませんでした。スクールカウンセラーの先生が考えていろいろしてくださることも、長男はかまわれたくないことや注目されたくないことが理由で拒否。私自身も長男が望むことやスクールカウンセラーの先生にどう伝えてどうしてほしいのかよく分からなくなってしまい、進展のないまま何度も相談に行くのがつらくて途中でやめてしまいました。その後スクールカウンセラーの先生に市の教育センターにある不登校専門の相談先を紹介してもらいました。そこでは学校に行けない子たちが利用できる場所を教えてもらいました。当時長男に話をしたのですが、長男はほかの場所には抵抗があり、「休みを挟みながら学校に行く今のままで大丈夫。それで頑張れる」と話してくれたので今のまま彼のペースを見守っていこうと当時は決めました。Upload By ねこじまいもみ休みがちでもたくさん成長した1年休みがちだった小学1年生ですが、たくさんの成長が見られました。入学前まで字も読めず書けず筆圧も弱くひょろひょろの線しか書けなかったのに、濃いしっかりした字が書けるように。運動会ではみんなで協力し頑張ることの楽しさを私に話してくれたこともあったり、ずっと「友だちいない」と言っていたのに、たまにお友だちの家に遊びに行くようになったりと感動することもたくさんありました。そんな姿を見て、検査を受けても手探りの日々でしたが長男が頑張っているところ、良いところにたくさん目を向けてあげたいと改めて思いました。しかし長男の気持ちには大変波があり、言うことがコロコロ変わることも多々あるため私も翻弄されることばかり。それでも、プレッシャーを与えすぎないように、良い意味で過剰に期待しすぎないように長男なりに一生懸命生きる姿を見守りたいと思いました。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの発達科受診、検査の受検、しかし変わらず悩ましい様子、スクールカウンセラーへの相談などなど激動の小1時代についてシェアいただきありがとうございます。受診や検査受検によって、お子さんに診断が出たり、お子さんが困っている原因と思われるような得意不得意の大きなばらつきが分かったりすることはあります。ただ、一方で、それが分かったからといって、すぐにうまくいく方法もセットで分かるわけではないですし、今回のように診断も出ず、検査での結果もいまひとつしっくりこない感じに受けとめられるようなことも場合によってはあります。検査によって分かることはたくさんありますが、当然のことながら“全て”のことが分かるわけではないですし、検査室という教室や学校とは異なる特殊な環境でのパフォーマンスを測ることが多いのでそうした環境では大きなつまずきなくやれてしまう場合もあります(学校等での様子と大きく異なる結果が出たときは、例えば、環境によって左右されやすいのかもしれないといったように解釈していくこともあります)。ねこじまさんがもやもやとひっかかられていた、長男くんの根強い登校渋りや、本当に年齢によって(成長によって)改善してゆくのかという不安に関しては一朝一夕に解決するものではなく、また不安に思う保護者の気持ちもとても自然なものだと思うので、スクールカウンセラーに相談するに至ったのもよかったとは思います。ねこじまさんや長男くんに親身になって関わってくださり、さまざま提案くださるカウンセラーの先生だったのですね。長男くんの思いとは少しずれてしまったようですが、まずは長男くんがそれをねこじまさんに伝えられたのは良かったと思います。我慢していいことは何もないので、それを伝えられる親子関係で何よりだなと感じました。ただ、ねこじまさんからすると、カウンセラーの先生が良かれと思ってさまざま提案くださっているのも分かるからこそ、長男くんへの直接的な働きかけを控えてほしいと伝えるのはなかなかにハードルが高く感じられたのかもしれませんね。(私はスクールカウンセラーとして勤務していますが)カウンセラーの立場からすると、本当はそうしたことをお伝えいただき、良き程度・度合いを一緒に図りながら模索できるほうがありがたいので、伝えてほしいなとは思います(ただ、それが言いづらいのもよく分かります。そういうことを伝えやすいカウンセラーでありたいなぁと改めて思うところです)。また、スクールカウンセラーのもとへ相談する際には、保護者のみで継続される方も多くいらっしゃいます。お子さん本人が望んだ場合はぜひ来てほしいと思いますが、低学年の場合だと特にそうですが、自分の困っている話をしたくないとか、質問されても困ってしまう、特別なことをしたくない場合もあります。ご本人の希望をまず聞いていただき、あまり気乗りしてなさそうであれば、まずは大人の間で環境調整等、工夫できることを模索することを先行させる、そんなイメージで相談を開始する、あるいは、地域の情報(不登校の児童生徒が利用できる場に関してなど)を情報収集するために話を聞いてみるといったところから始めてみるのもよいでしょう。さて、最後に長男くんが小1の1年間で成長したところについても書かれていました。休みがちであっても、成長したところがいっぱいあったと振り返れるのはとても素晴らしいですね。気になること・心配なことはどうしても目が向きやすく、そしてそこに注目し続けると、成長しているところ・健全なところに目が向きにくくなってしまうものです。時には意識的に成長しているところを探してみたり、慌ただしい(あるいは波のある)毎日の中で、ふと立ち止まってお子さんが楽しそうに取り組んでいること・夢中になっていること等に目を向けてみることをおすすめします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月27日無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、希望が叶って知的障害特別支援学級に転籍したみき。二人のその後は?発達ナビ読者の体験を元にした「マンガ発達障害の子どもと私たち」。1章はるき編、2章みき編と無事完結しました。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきは、小学校3年生の運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって、不登校に。最初は受け入れていた保護者も、長引く休みに焦るようになりました。一方、5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみき。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ通っていましたが、小学校3年生から勉強につまづきが見られるようになり、小4の「学習の壁」によって登校渋りがでるように。集団授業は難しいのではと思った保護者は、みきが希望する特別支援学級への転籍を希望したのですが、結果は……。1章、2章については、以下記事からまとめ読みができます。今回は、そんなはるきとみきのその後をお届けします。専門家による進学についての解説も併せてご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談子どもの笑顔を指針に、これからも歩んで行く発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグいかがでしたか?はるきは、学校へ行くことはできていませんが、家でも笑顔が増えるとともに放課後等デイサービスという居場所を増やして元気に過ごしているようです。みきは、知的障害特別支援学級でお友だちもでき、楽しく登校できるようになりました。みきにあった環境を見つけられたようです。笑顔が増えてきたはるきとみき。ですが、これから中学校、高校と将来のことを考えると心配はつきません。発達障害があるお子さんの進路の選び方について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に解説いただきます。中学、高校の進路の選び方について【専門家解説】中学でどの学級に在籍するかについては、高校の進学が関係してくるため、注意が必要になります。例えばみきさんの場合、中学でも知的障害特別支援学級を希望される場合、入学前から高校を受験することを前提に教育課程を組んでいただくようお願いする必要があります。知的障害特別支援学級では、一般的に各教科の指導というよりは、自立活動を中心にカリキュラムが組まれることが多いため、そのため、通常の高校への進学は難しくなるケースもあると思います。自閉症・情緒障害特別支援学級や病弱・身体虚弱特別支援学級の場合は、こうした心配はありません。地域によっても多少の違いがあるので、中学校に就学する時点で、高校の進路についてもある程度相談しておくことが必要ではないかと思います。参考:3.特別支援教育に関する学習指導要領等|文部科学省教育課程の編成について2特別支援学級Upload By ユーザー体験談「発達障害の子どもと私たち」最後までお読みいただきありがとうございました。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月26日トラブルが多かった1年生。2年生からは特別支援学級へUpload By もっつんタクは小学校に入学してから、トラブルや教室からの脱走が多発していました。スクールカウンセラーとの面談の末に、2年生に進級するタイミングで特別支援学級に転籍をしました。転籍に向けて1年生の終わり頃から、何度か特別支援学級の教室を見学したり、担任予定の先生とお話しをしたりしたので、不安は少なかったです。少しだけ気に掛かっていたことは、今まで同じクラスで学んでいた友だちや保護者の受け止め方でした。憶測でいろいろと言われてしまうんじゃないかと不安な気持ちがありました。噂などを未然に防ぐために私が行ったのは、1年生の年度末保護者懇談会で「2年生から特別支援学級でお世話になることになりました!」と堂々と宣言することでした。そのためか、周りの保護者の方からの理解もスムーズだったと思います。お友だちとの関係については、先生が「タクは2年生から苦手な教科を別の教室で受けることになったよ。でも今まで通り給食や休み時間は一緒に過ごせるからね」と分かりやすく事前に説明をしてくれました。先生が自然にフォローしてくださったおかげで、何の違和感も無くクラス移行ができたと思います。タク本人に至っては、全く心配は無く特別支援学級で授業を受けることを楽しみにしていました。教室の後方にクールダウンスペース。特別支援教育ならではの配慮Upload By もっつん2年生になってからのタクは、学校での問題行動がぐっと減りました。授業中の教室から突然逃げ出してしまうということも、特別支援教室ではほとんどなくなったそうです。これは少人数で見てくれていることと、タクがソワソワ落ち着かない状態になった時に先生が早い段階で気付いてくれて声かけをしてくれていたからだと思います。授業参観をした際には、教室の後方に低い棚があってその後ろにはマットが敷かれていました。そこはクールダウンスペースとなっており、気持ちがソワソワしてしまった時には先生に伝えてからその場所で静かに過ごすことができます。落ち着いて授業に参加できるようになったら、自ら机に戻ってまたすぐに勉強を再開することができます。実際にクールダウンスペースを利用しているクラスメイトを見たこともありますが、すごく良い取り組みだなぁと感動しました。自分の気持ちの状態を自覚して行動ができるように、さまざまな工夫がされているんだと思いました。落ち着いて過ごせる時間が長くなったことで、給食や交流学級での授業中もトラブルを起こすことが減っていったのだと思います。量より質。達成感を重視した宿題Upload By もっつん特別支援学級になってから大きく変わったことは、勉強の中身です。タクの場合は使っている教科書は通常学級と同じものでしたが、授業の進むスピードがバラバラでした。得意な教科はどんどん先に進んで、飽きさせないようにさまざまな応用問題を準備してもらっていました。逆に苦手な教科については、過剰に精神的負荷がかからないように細かく分けて授業をしてもらっていたようです。苦手な課題を終わらせたら、残り時間は好きな工作をやっていいなどルールを明確化していたとのことです。タクは、SLD(限局性学習症/学習障害)の中のディスグラフィア(書字表出障害)の傾向が強くあります。黒板の文字をノートに写すのがとても苦手で、マスの中に文字を収めることがなかなかできません。そんなタクの特性に合わせて、板書が必要最低限で済むようなプリントなどを使って授業を行ってくださいました。宿題の漢字では、(右利きのタクに合わせて)左のマスに先生がお手本を書いて、それを見ながら右側に記入できるように毎日工夫してくださいました。記入は1回のみでOKで、一番下のマスまで書く必要はないと説明を受けました。最初の頃は「これじゃ簡単すぎないかな?こんなに甘やかしたらどんどん文字が書けなくなってしまうんじゃないか……」と心配になることもありました。しかし長い目で見ると、これが当時のタクにとっての適量の宿題だったんだと納得です。量をこなすよりも、出された課題を最後まで終わらせるという成功体験が必要だったのです。また、今まではとにかく文字に強い苦手意識を持っていたタクですが、文章問題を音読してもらうことによってスムーズに計算を始めることができるようになりました。汚い字でも読めない字でも全否定しない先生の存在が、タクに自信を与えてくれたのだと思います。忘れ物を減らす工夫を、先生と考えるUpload By もっつん1年生の授業ですでにつまずきを感じていたタクですが、3〜4人ほどの少人数クラスで授業を受けることにより、細かく手厚いサポートのおかげで学力が追いつきました。勉強以外の面でも、変化が見られました。教室移動などの際に忘れ物が多いタクでしたが、先生の提案により学校内用のバックを使うことになりました。中身が透けて見えるタイプで、教科書と筆箱がぴったりとおさまる小さめのものです。このバックのおかげで移動教室の際にも、忘れ物や置き忘れが劇的に減っていきました。周りの大人も本人も頑張りました!Upload By もっつん小学2年生から特別支援学級に転籍したタクですが、本人にとってとてもプラスの結果となりました。転籍の打診をされた時は、私自身は正直とてもショックでしたが……間違いなく転籍して正解だったと思います。一人ひとりに合わせたペースで授業をしてくれて学力も伸び、刺激が多い学校生活の中で安心できる場所になりました。学年が上がる度に少しずつ集中力も付いて、交流学級で受ける授業が増えました。低学年の頃は「変わったやつ」だと言われることもありましたが、今では「変わってるけど面白いやつ」にキャラ変できた!!と本人も言っています。特別支援学級に転籍という未知の道でしたが、先生たちのおかげで良い学校生活が送れたと思います。そして何よりも、少し変わり者で面白くて優しいタク本人の努力の結果だと思います。タクは中学3年生になった現在でも特別支援学級に在籍しています。長い学生生活で、親から見てつらい場面や、やるせない出来事もありましたが、心身共に成長できたのは支援のおかげだと思っています。執筆/もっつん(監修:初川先生より)通常学級に入学したタクくんが2年生から特別支援学級に転籍してみてのお話をありがとうございます。転籍を勧められるとショックを受ける保護者の方は多くいらっしゃいますが、実際移ってみるとお子さんがいきいきと過ごし、楽しそうに学習するようになったなど良い変化を目の当たりにされることも多いように感じます。転籍にあたって、1年時のお友だちや保護者の方へどう説明しようかと悩まれたもっつんさん。学年末の保護者会で自らそこをお伝えされたとのこと、勇気のいることだったと思いますが、私は最適解だったと感じます。もっつんさんが心配されたように、変な噂が出ることやそれによって同じ学校でこれからも過ごしていくタクくんにとって何らかネガティブな影響が出てしまうのは避けたいところです。保護者の方に直接お話できる保護者会という機会を活かすのはとても良い方法だと思います。子どもたちへの説明は、担任の先生とご相談の上、担任の先生からなされるのもとてもよかったですね。先生の説明の仕方も発達段階に合った良い説明だと思います。さて、特別支援学級での学びのいろいろについてもご紹介ありがとうございます。少人数だからこそ、個々人の得意不得意に合わせやすかったり、そもそもさまざまな障害・つまずきとそれへの対応に長けた先生も多くいらっしゃったりする環境です。具体的にタクくんに対する個別的な支援の実際をうかがうと、細やかに工夫いただいて、これは心強かったろうと思いますし、タクくんにとっても安心して学ぶ環境になったろうと思います。難しいことに困難を伴いながら頑張らせてもなかなか伸びなかったり、あるいは途中で心が折れたりしてしまうものです。自分にとって、しっかりと手応えと達成感を得られる課題から、成功体験を積んで学習をスモールステップで積み上げていくこと。学校生活において学習時間はなかなかの比重があります。その時間でしっかりとお子さん本人が手応えと達成感を得ながら取り組める環境になったことが、本当によかったなぁと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月26日不安とともに始まった放課後等デイサービスASD(自閉スペクトラム症)のスバルが最初に通所していた放課後等デイサービスは、とても楽しい場所でした。週に何度か外部から先生が来て、さまざまなレッスンをしてくれました。集団での活動が苦手で一斉指示が届きにくい特性を持つスバルは、それまで習い事を諦めていました。しかし特性を持つ子が集まる放課後等デイービスでは「先生やお友達に迷惑をかけるかも」と気にすることもなくレッスンに参加できることが魅力でした。もう1つの魅力は、特性のある子の対応に長けたベテランの先生たちです。放課後等デイサービスにはさまざまな特性のあるお子さんが集まるのでトラブルはあるだろうと思っていました。しかし見学時、癇癪を起こしたお子さんに対する先生の丁寧な対応を見て「ここならば安心して通わせられる!」と思い通所を決断しました。スバルは癇癪を起こすタイプではありませんが、いわゆる「空気が読めない」立ち振る舞いをしてしまうタイプのコミュニケーションに難ありっ子なので、信頼できる先生に見守られながらコミュニケーションを学んでほしいと思いました。しかし春になり通所が始まると、見学時に顔を合わせたベテランの先生たちがごっそりいなくなっていました。新しくできた系列施設に移動したとのことです。こうして不安とともに始まった放課後等デイサービスの通所ですが、スバルは楽しそうに通っていました。異変「暴れている子がいるよ」スバルの生活に放課後等デイサービスが定着してきた頃、帰宅後そんな話をするようになりました。別の小学校から通う子が毎回癇癪を起こしており、先生が数人その子にかかりきりになっているとのことでした。スバル自身は初めて見るような激しめの癇癪に驚いていたものの、心身に大きな影響はなさそうでした。癇癪について簡単な言葉で説明しつつ「心が落ちつくまでそっとしておいてあげてね」と伝えました。スバルは物理的にも精神的にも距離感が近すぎるところがあり、トラブルを察知すると無関係なのに心配して寄っていってしまうことがあります。幼稚園時代は無関係なケンカに巻き込まれたり、怒っている子の神経を逆なでしたり、先生がなだめているのを当事者みたいなポジションで聞いていたりしました。そんなこともあり「怒っている子や泣いている子はそっとしておく」「トラブルに近寄らない」という話はあの手この手で伝えてきました。その甲斐あってか、癇癪を起こしている時にはその子に近寄らず過ごせているようでした。「何もなかった」……?それからしばらく経った頃、放課後等デイサービスから帰って来たスバルは頬に保冷剤を当てていました。癇癪中のその子に叩かれたとのことでした。それからたびたび、叩かれた、引っかかれた、蹴られたと言って帰ってくることが増えました。送迎の先生からは「念のため保冷剤を……」と説明されました。スバル本人も「叩かれたけど大したことない」と言うようになりました。Upload By 星あかり先生も深刻そうではなかったし、過去の出来事からスバルは「叩く」の種類や悪意の有無があまり分かっていないようなので、手や足が当たってしまった事を大げさに「叩かれた」と伝えているのではないかと考えました。しかしそれにしても回数が多いので放課後等デイサービスの先生には「癇癪を起こしている子にスバルが近寄りそうな時は止めて欲しい」とお願いしました。先生は今まで以上に注意深く見守ると言ってくれました。その後は先生からもスバルからも「今日は何もなかった」と報告される日々が続きました。ほっと一安心……とはいかず、「何もなかった」はずの放課後等デイサービスがあった日だけ、激しめの常同行動やチックが出るようになりました。先生に質問や相談をしたいけど「何もなかった」と説明されている以上、「本当は何かあるんでしょう?」と詰め寄ることもできず、ほかの誰に相談したら良いのかも分からずモヤモヤした日々を過ごしていました。現場を目撃そんなある日、用事の帰りに偶然放課後等デイサービスの近くを通りかかったので、そのまま迎えに行って一緒に帰ることにしました。最近の様子から、放課後等デイサービスでどんな風に過ごしているのか見たいという気持ちもありました。玄関の前に立つと、玄関の隣の窓から悲鳴のような声が聞こえました。慌てて窓から中を覗くと、そこには箒を振り回すその子と、止めようとする先生、泣いて逃げ惑う子たちでパニック状態でした。慌ててチャイムを押すと、スバルと先生が飛んできました。そしてスバルは「今日もいつも通り、何もなかったよ」と言いました。Upload By 星あかりスバルは直接自分が叩かれることがなければ、ハードな現場に居合わせても「何もなかった」と表現することが分かりました。もしくは先生が「何もなかった」と説明しているのを聞いて、スバルもこの出来事を「何もなかった」に分類したのかもしれません。しかし本当はストレスを感じていてチックなど体調に表れたのだと思います。スバルは「何もない」と言いますが、体調に表れるほどにストレスを感じていることに不安に感じ、この放課後等デイサービスは辞めることにしました。知るべきは事実私はこの一件を本当に反省し、学校や放課後等デイサービスから帰って来たスバルへの声掛けを「今日楽しかった?」「どうだった?」という曖昧な質問で終わらせないように心がけるようになりました。スバルが拙い言い回しで伝えてくる今日の出来事の中のちょっとした不穏なワードを見逃さず、本人の「何もなかった」と言う感想を鵜呑みにしないように注意して聞くようにしました。そうは言っても尋問のようになると本人が話してくれなくなるので、あくまで楽しい会話のキャッチボールの中で自然に聞くような形です。そして気になることがあれば「こんな些細なことで……」と躊躇せず早めに先生に相談するようになりました。他人からの悪意や暴力に気づきにくいスバルのフィルターを経由し、ほのぼのとしたエピソードとして語られた出来事の中には重大な事件が隠されていたこともありましたし、幼稚園の頃より人間関係が複雑になっている分、注意深く見守らなければいけないと感じました。現在は目立ったチックや常同行動もなく、学校も放課後等デイサービスも楽しく通っているように感じるのでスバルの成長とともに少しずつ見守り体制はゆるくなってきています。しかし心配性の母は、今日も不穏なワードに目の奥をギラつかせながら、にこやかに学校や放課後等デイサービスでの出来事を聞き出しているのでした。執筆/星あかり(監修:新美先生より)見学に行って信頼できそうだと思ったスタッフがいるから選んだ放課後等デイサービスで、入ってみたら、そのスタッフたちがごっそりいなくなってしまったとは、想定外なことでしたね。学校や放課後等デイサービスなどでの様子をお子さん本人に聞いても、さっぱり要領を得ないというのは、よくあることですね。そもそも、空気が読めなかったり状況把握が上手じゃなかったりして、何が起きているかを分かっていないということもあるかもしれないですし、伝えるべきことがどういうことか分からないとか、どのように伝えたらいいか分からないというようなコミュニケーションの難しさがあることもあります。「楽しかった」「何もなかったよ」と答えるのがパターンになっていて、それ以上の答え方のバリエーションが増えないというようなこともよくあります。今回のエピソードではないですが、お友だちや先生に口止めされたのを真に受けて律儀に相手側に不都合なことを言わないということもまれにあります。その場に聞き手がいなかった状況を聞き取るときに、その場にいた登場人物を棒人間で書いて、その人が言ったこと、やったこと、その時どう思ったか、などを聞き取りながら図解して確認するような方法(コミック会話)をとることで、聞き取りがしやすかったり、「何があったの?」とオープンクエスチョンで聞くよりは、選択肢を選んでもらうなどのやり方で聞き取ると、少しは状況が見えてくることもあります。ただ毎回のようにやると、それこそ尋問のようになってしまって、めんどくさがられますよね。星さんもおっしゃっていたように、なにより帰宅後のご本人の様子で、そこに行かない日と比べて、イライラしていたり、何らかの症状が強まったり、こだわりが強くなっていたりと、お子さんの変化を見ることで判断するというのは大事だと思いました。なかなかお子さんから「これが大変」ということは発信してもらいにくい場合、気になる時は、実際に見に行ってみたり、スタッフの方としっかりお話ししたりして状況改善を図ったり、無理なら撤退するというのは必要な対応だと思いました。お話聞かせていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月25日無理だと思っていた習い事、事情を説明して入会特別支援学級の情緒クラスに在籍している長男けんとは、現在小学3年生。ASD(自閉スペクトラム症)と3歳の時に診断を受けました。小さい頃から数字が大好きで、何か数字を見つけると目をキラキラさせて喜んでいました。年中の時、けんとがそろばんをやりたいと強く希望してきました。しかし構音障害があるので何を話しているのか分からないことも多いわが子。じっと静かに座ることも苦手です。やっていけるのか不安だったのですが、勇気を出してそろばん教室の先生に事情を説明したところ、受け入れてくださったので習い始めることにしました。Upload By ゆきみその教室は超少人数制。先生が私の同席を許可してくださったので、隣でけんとの言葉を通訳したり、離席しないように補助をしたりしました。けんとは1年半ほどはやる気満々。みるみるうちに上達していきましたが、段々難しい問題になり、間違えが多くなると一気にやる気が低下。そのやる気のなさに私もイライラして怒ってしまうようになりました。その状態がつらかったので、小学校1年生の時にけんとと相談し、そろばん教室を辞めることにしました。アプリを活用して続け、突入したやる気モードUpload By ゆきみ「せっかくそろばんを習ったのに、辞めるのはもったいないな」と思っていた私。忘れない程度に家で簡単にできるものはないかと思い、探してみました。すると、タブレットでそろばんのようなことができる有料アプリを発見。けんとに見せてみると「やりたい」とのことだったので、試しにやってみることにしました。ゲーム感覚でやるものだったので、少しずつ続けていきました。それから1年半くらいがたち、小学2年の冬。急にけんとが「小3になった4月から、そろばんを習いたい」と頼んできたのです。以前通っていた教室にまた通うことにしました。少しずつタブレットを使いアプリでやっていたのと、たまにですがそろばんをやることもあったからなのか、復帰後はすぐに慣れました。同席なしで離席…新たな課題と対応策Upload By ゆきみ以前習っていた時は私が同席していましたが、小学3年生になったこともあり「同席しないで試しにやってみましょう」と先生が提案してくださいました。けんとは、やることを決めておき、視覚支援としてスケジュールを書いて見せると、スムーズに行動できることが多いのです。それを先生にお伝えしたところ、ホワイトボードを使い、視覚を使って説明しながら授業を進めてくださいました。Upload By ゆきみしかし、やる予定の問題を全て解き終わった瞬間(または、終わりの合図のタイマーが鳴った瞬間)席を立ちあがり、興味のあるものへとすごい勢いで離席してしまいます。ほかにも、近くの生徒さんのそろばんをのぞきに行ってしまうという行動が出てきてしまいました。パーテーションなどを使い視覚の刺激を減らす方法や、行ってもいい範囲をガムテープなどを使い示してあげる……などの対策を取れば防げることもあるのですが、習い事でそこまでお願いするのは難しいなと感じています。それでも何か離席を防げる方法はないのか……と思い、現在試していることがあります。それは、やることが終わったあとにとってほしい行動までを書き、見せることです。離席は少しずつ減っているので、ほかの生徒さんのご迷惑にならないように、これからもわが子にあう方法を試しながら探していきたいと思っています。以前と比べて成長を感じることもそろばん教室に復帰して、成長した姿も見せてくれています。まず、そろばんの珠を弾く指が、以前よりもチカラ加減を調整しながら動かせるようになったと感じることです。そして以前は、人の話を聞かずに、自分のこだわりのやり方を通すこともあったのですが、先生の教えを聞くようになりました。また、字が汚くて、書いた数字が読めず、答えが合っていても不正解になってしまうことがよくありました。ですが、復帰後は先生のアドバイスを聞いて本人が実践し、以前よりもキレイに書けるようになりました。検定試験でのありがたい合理的配慮Upload By ゆきみそろばん教室では年に数回、集団活動が苦手なけんとには難しい「検定試験」があります。試験をしている間、じっと座っていないといけませんし、声も出せません。集中しないといけない環境なので、ほかの生徒さんが気になってしまうような行動をとると、ご迷惑になってしまいます。普段の授業だけなら先生のサポートもあり、何とかなっていましたが……。検定試験は厳しいな……と思い、先生に相談しようと考えていたところ、先生からご提案をいただきました。それは、教室にほかの生徒さんがいらっしゃらない時間をつくり、けんと1人で検定試験を受けられるよう「合理的配慮」をしてくださるというものでした。一緒の空間で受ける場合、ほかの生徒さんが集中しづらくなる可能性が高かったので、ありがたすぎて感激しました。こだわりが強く、不器用。視覚的な刺激があると衝動を抑えるのが難しいけんとの特性と、そろばんとの相性が合っていない部分もたまに感じる時があるのですが、本人がやる気を出して頑張っている間、それを応援したいと思います。執筆/ゆきみ(監修:藤井先生より)けんとさんが自らそろばんに挑戦し、周りの工夫も受けながら、取り組む姿は素晴らしい成長と感じました。けんとさんのペースで学びを進められたことで、達成感や自信が育まれることは、とても大切です。ゆきみさんをはじめ、先生などの周囲の方々が日々見守り、応援されれている姿勢が支えとなっていることでしょう。けんとさんの意欲を大切に育てていけると良いですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月25日受給者証とは?福祉サービスと医療費助成などで違うの?種類や用途、手帳との違いを解説「受給者証」とは、主に障害のある方が福祉サービスや医療費助成などを受けるために必要となる証明書のことです。利用する福祉サービスなどで種類が分かれていて、通所受給者証、入所受給者証、自立支援医療受給者証など名称も異なります。受給者証は条件を満たしている方やその家族が自治体の障害福祉窓口などに申請し、審査を通ると発行されます。条件は受給者証ごとに異なっており、所得により自己負担額が変わってくる場合もあります。受給者証の申請から発行までは1ヶ月から3ヶ月前後かかる場合が多いと言われています。ただ、申請の流れや発行までの期間は受給者証の種類や自治体によって異なりますので、申請の際に窓口で確認しておくといいでしょう。障害の診断がある方だけでなく、いわゆるグレーゾーンの方も福祉サービスなどを利用する必要性が認められた場合は発行されます。参考:障害児施設|東京都福祉局参考:障がい福祉サービス|与那原町参考:自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について|厚生労働省受給者証のほかに、障害者手帳という制度を聞いたこともあるのではないでしょうか。どちらも所持することで障害のある方へのサービスを受けられるという点は同じですが、受けられるサービスに違いがあります。障害者手帳は一定の障害があることを証明する手帳で、障害によって身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳と3つの種類に分かれています。障害者手帳を取得することで税金の控除や交通費などの割引といったサービスを受けることができます。民間事業者でも割引を行っている場合があり、携帯電話の利用料やNHKの受信料、テーマパークなどの入園料が割引になることがあります。なお、障害者手帳だけがあっても児童福祉法や障害者総合支援法などに基づく障害福祉サービスや、障害や希少疾患がある人などが対象の医療費の助成は受けることができません。別途受けたいサービスや制度ごとに受給者証を取得する必要があります。※療育手帳は「愛の手帳」(東京都)「愛護手帳」(名古屋市)など、ほかの名称の地域もあります。参考:障害者手帳|厚生労働省参考:障害者手帳・障害年金|国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト福祉サービスを受けるための受給者証児童通所受給者証とは、ここでは児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用するための受給者証を指すものとして説明します。障害児通所支援には以下のようなサービスが含まれます。・児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援など児童発達支援は未就学児を対象として、日常生活や集団生活での困りごとを解消するための支援を行い、放課後等デイサービスは就学児を対象に日常生活や集団生活、学習などの困りごとを解消するため支援を提供します。居宅訪問型児童発達支援は外出が困難な子どもを対象に、自宅で発達支援を提供するサービスで、保育所等訪問支援は保育園などへ支援者が訪問して集団生活への適応の支援を提供するサービスです。利用を希望する場合は、どのサービスにするかを選択して受給者証を申請します。サービスの利用料は国と自治体が9割負担し、利用者の負担割合は1割です。また、所得に応じて毎月の利用料に上限があり、生活保護や住民税非課税世帯は0円、住民税課税世帯でも課税額に応じて4,600円、37,200円と分かれています。月に何回利用しても上限額以上を支払うことはありません。ただ、利用にかかる交通費や食事代などは別途かかる場合があります。参考:障害児通所支援・障害児入所支援の概要|子ども家庭庁参考:障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について|子ども家庭庁参考:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省障害福祉サービス受給者証は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用する際に必要となる受給者証です。障害福祉サービスには大きく分けて、介護に関する「介護給付」と自立や就職に関する「訓練等給付」があります。介護給付には子どもが対象のサービスとして、居宅介護や行動援護、短期入所などがあります。居宅介護は利用者の自宅にスタッフが訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護を提供するサービスです。行動援護は、行動上著しい困難があり、常時介護が必要な障害のある方に外出中のサポートを行います。短期入所は普段自宅で介護を担当している方が、病気などの理由で介護が困難な場合に、短期間施設に入所してスタッフが介護や見守りを行うサービスです。利用者が子どもの場合は児童福祉施設などで行われます。訓練等給付では大人向けに就職などに関してさまざまな種類の支援を提供しています。一般企業に就職するために通う就労移行支援や、支援を受けながら働く就労継続支援などがあります。利用料は9割を国と自治体が負担し、1割が利用者負担となります。さらに、所得に応じて毎月支払う金額の上限が決まっており、0円、4,600円(18歳未満で通所施設、ホームヘルプ利用の場合。18歳以上は9,300円)37,200円となっています。参考:障害福祉サービスについて|厚生労働省参考:在宅の子ども・子育て 家庭支援事業の概要|厚生労働省参考:障害者の利用者負担|厚生労働省地域生活支援事業は、障害者総合支援法に基づき自治体が地域や利用者の状況を考慮した柔軟なサービスを提供する事業のことです。具体的な内容は多岐にわたりますが、主なものとして創作活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進、機能訓練、訪問入浴サービス、移動支援といった活動があります。この中でも移動支援は1人では外出が難しい方の社会参加のために、ガイドヘルパーが付き添いをするサービスとなります。具体的には役所や銀行の手続きへの同行のほか、映画館、習い事など余暇活動への同行も行います。ただ、自治体によって年齢や障害の程度により利用可能な活動の範囲や時間が異なる場合があります。東京都杉並区では余暇活動への移動支援が、・小学校4年生から6年生:1カ月に15時間以内又は年間180時間以内・中学生・高校生:1カ月に30時間以内又は年間360時間以内・18歳以上:1カ月に50時間以内又は年間600時間以内と年齢に応じて時間が増えていきます。地域生活支援事業の利用料は一律には決まっておらず、自治体やサービスによって異なります。先ほどの杉並区の移動支援の例で言うと、住民税課税世帯がサービス料の3%、非課税世帯は0円で利用可能となっています。詳しいことはお住いの自治体の障害福祉窓口でご確認ください。参考:地域生活支援事業|厚生労働省参考:地域生活支援事業について|厚生労働省参考:地域生活支援事業・地域生活支援促進事業について|埼玉県参考:移動支援事業|杉並区障害児入所受給者証は短期入所(ショートステイ)とは異なり、障害児入所支援において長期間入所する場合に必要となります。障害児入所支援とは児童福祉法に基づいて、障害のある子どもの保護、日常生活のスキル獲得のサポート、治療などを行うサービスです。福祉型と医療型の2つの種類があります。利用料は国や自治体が9割、利用者が1割を負担し、所得に応じた毎月の上限額も決まっています。上限額は通所支援と異なり、住民税課税世帯の中でも9,300円と37,200円となっています。障害児入所支援の利用に関しては、障害福祉窓口ではなく児童相談所に相談や申請が必要です。参考:障害児入所支援|厚生労働省参考:障害児施設|東京都福祉局医療費助成などを受けるための受給者証心身障害者医療費制度とは、障害のある方やその家族の医療費の負担を軽減する制度です。自治体によって多少異なり、東京都ではマル障という略称が使われているほか、受給者証ではなく受給資格証が交付される地域もあります。心身障害者医療費制度の助成の範囲は通院だけでなく入院、薬の処方などにもおよびます。また、医療費は所得により異なり、住民税非課税者の場合は負担が0円となります。住民税課税者の場合は基本的に医療費の負担が1割となるほか、通院の場合と通院、入院両方行った場合で毎月、年間の負担上限額が設定されます。心身障害者医療費制度の対象となる方は、自治体によって異なりますが、東京都の場合は以下の通りです。・身体障害者手帳1級・2級(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む)・精神障害者保健福祉手帳1級・愛の手帳(療育手帳)1度・2度詳しくはお住いの自治体のWebサイトなどをご確認ください。参考:心身障害者の医療費支給制度について知りたい。|さいたま市参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)|東京都福祉局自立支援医療(精神通院医療)とは、精神疾患の通院治療にかかる医療費の負担を軽減する制度です。利用することで原則3割負担の医療費が1割負担となるほか、所得に応じて月に支払う医療費の上限が決まります。対象となるのは通院しての診察、処方、デイケア利用などの医療費です。自立支援医療(精神通院医療)の対象者は、うつ病や統合失調症などの精神疾患のある方のほか、発達障害のある方も含まれます。参考:自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省参考:自立支援医療(精神通院医療)について|東京都福祉局小児慢性特定疾病の医療費助成とは、子どもの慢性疾患のうち長い期間治療が必要な疾患に対して、医療費の自己負担を軽減する制度です。白血病やリンパ腫、ネフローゼ症候群などの特定の疾患があり、以下の条件に該当する子どもが対象となっています。・慢性に経過する疾病であること・生命を長期に脅かす疾病であること・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること引用:概要|小児慢性特定疾患情報センター小児慢性特定疾病の医療費補助は世帯収入と症状の程度によって、医療費の自己負担額の上限が設定されます。生活保護世帯は一律で0円、上位所得世帯で重症に分類される場合は10,000円となっています。そのほかに、人工呼吸器や入院中の食費に対しても助成が行われます。また、一般的に小児科は15歳までが対象ですが、小児慢性特定疾患医療受給者証を所持している場合は、状況により20歳まで受診が可能となっています。それ以降は基本的に成年期医療に移行することになりますが、症状や担当医と相談のうえ、継続して小児科を受診する場合もあります。参考:小児慢性特定疾病対策の概要|厚生労働省参考:概要|小児慢性特定疾患情報センター参考:小児慢性特定疾病の対象疾病リスト|小児慢性特定疾患情報センター参考:【18歳以上の受給者の皆さまへ】民法改正による成人年齢の引き下げに伴い、18歳以上の方の申請手続きが一部変更されます|小児慢性特定疾患情報センター参考:国立成育医療研究センターの成人移行支援に関する考え方|国立成育医療研究センター受給者証一覧表をチェックUpload By 発達障害のキホン受給者証のメリット、デメリットはあるの?受給者証を取得することのメリットとしては、公的なサービスや医療費の助成を受けられる点があります。また、サービスの利用料に補助を受けられる点もメリットと言えるでしょう。そのため、経済的な負担を大きく減らすことができます。受給者証を取得することのデメリットとしては申請や更新の手続きに手間がかかり、診断書などの書類を別途取得する必要が生じることが挙げられます。また、申請しても必ず発行されるわけではないことや、発行までに数ヶ月かかるためサービス利用まで時間がかかる点もデメリットと言えるかもしれません。さらに、人によっては受給者証を取得することで子どもが「障害児」というレッテルを貼られたように感じてしまう可能性もあります。一部の保育園では申し込み時に受給者証の有無を聞かれることがあり、園での対応が難しい場合などに入園を断られる可能性があることもデメリットとしてあります。まとめ受給者証は、障害福祉サービスや医療費助成などを受ける際の証明書となる書類で、サービスなどの種類ごとに種類が分かれています。受給者証を取得することで、障害のある方や家族が生活を送るうえで困りごとを解消したり、経済的な負担を軽くしたりする制度が利用できるメリットがあります。ただ、人によっては手続きの煩雑さや心理的な面でデメリットを感じる方もいます。受給者証の申請に迷っている方は、まずは自治体の障害福祉窓口や子育て相談窓口などで相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月24日療育園での生活がスタート!幼稚園とは違いがたくさん年長から療育園での生活が始まった長男りー。通い始めたばかりの頃は、バスが違う、先生が違う、とそれまでと違うことにぶつかる度に泣いていましたが、すぐに新しい環境にも慣れていきました。りーの通う療育園では、生活の流れを自分で理解できるように、毎日その日のスケジュールを確認してから活動が始まります。また、個別の課題やカードを使って要求を伝える練習などを行っていきました。連絡帳には、毎日の様子や行った遊びや課題などが細かく記入してあり、りーの様子が幼稚園の時よりも具体的に分かりました。個別療育に取り組むりーの様子も見ることができ、家や療育園での様子の情報交換も行うこともできました。野菜NGの偏食ボーイ…療育園の先生の配慮で変化が!療育園に入ってすぐ、先生はりーの食事について心配してくれました。以前も書きましたが、りーは野菜が大の苦手です。大好きなお肉の影にそっと隠して一緒に食べさせようとしても、一度でも野菜の姿が見えてしまえばそれ以降は決して受け付けません。また、想像していたのと食感が違うと、吐き出してしまうこともあります。そのため幼稚園に通っている時は、給食を残してしまうことが多くありました。このようなりーの様子を知った療育園の先生は、ふだん家で食べているもの、りーの好きな味を聞いてくれ、「こうしたら食べられるようになるのでは」とたくさんのアイデアを出してくれました(例えば、カレーライスは野菜が入っていても食べられたので、かけるタイプのカレー粉を野菜にかけて食べさせるなど)。Upload By かし りりあその先生のおかげで、今では細かく刻んで料理に入れるようにすれば、野菜を拒絶することはなくなりました。こんなに違うの!?療育園の行事も驚きの連続!また、療育園の行事も、私たち両親にとって衝撃でした。Upload By かし りりあ入学式、運動会、お遊戯会などさまざまな行事がありましたが、そのすべての行事において、子どもたちが分かりやすいように、その日のスケジュールが掲示してあったのです。そして待つことが苦手な子どもたちも多いため、行事自体の時間も幼稚園よりも短いものでした。それでも集中することが難しい子のため、座っていることができるようなリラックスグッズや小さなおもちゃなどが準備してありました。先生方も子ども2、3人に1人ついており、行事といういつもと違う状態でも子どもたちが落ち着いて過ごすことができるような工夫がしてありました。行事の中でうれしく感じることもありました。りーは嫌なことややりたくないことがあるとしゃがんだり、寝転んだりしてしまいます。幼稚園に通っていた頃は、そういうことをするのはりーだけだったので、行事のたびに「申し訳ないな」と思っていました。療育園の運動会でも、りーはかけっこの途中で寝転んでしまいました。先生が声をかけますが、動かないりー。次の子たちも待っているので申し訳ないなと思っていたのですが、「がんばれー」と温かい声と拍手が聞こえてきました。私たち両親がうれしくなっていると、普段は気持ちが切り替えられないりーが、むくっと起きあがり、無事にゴールすることができました。Upload By かし りりあ療育園では温かく見守ってもらうことができ、ようやく落ち着いたかな、と思ったのですが転園してすぐにとある案内を受けました。次のステップ……小学校の案内です。こうして療育園に転園して数ヶ月で、次は入学先についての問題が浮上しました。Upload By かし りりあ発語なしのりーの入学先については、またの機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:新美先生より)幼稚園から療育園に転園したときのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。発達障害のあるお子さんは、環境の影響を強く受けます。自分に合った環境だと、実力が発揮でき、できることが増えて、充実感をもって生活できます。知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)の特性があることで、幼稚園や保育園の一斉の口頭指示が受け取れず、その場で臨機応変に対応することがストレスになったりします。スケジュールで見通しを示してもらえることで、活動に主体的に取り組めるようになりやすいですね。またコミュニケーションは音声言語だけにこだわり過ぎず、あげていただいたように絵カードで要求を伝えるなど、お子さんにあったコミュニケーション方法を使うことで、やり取り自体が増えるのはとてもいいです。園で取り組む課題も、人それぞれなので、個別の課題の時間が設定されているのもいいですね。偏食対策は、無理強いをしたりだまして食べさせるのではなくて、食形態を工夫して食べられるものを増やしていくというのもいいですね。療育園では偏食のお子さんも多いので、偏食対策のノウハウもたくさん持っているのでしょう。行事も、無理なく本人たちが楽しめる余裕があるように設定されていて、保護者の方も安心して笑顔で見守れる機会になりましたね。お子さんにあった療育園に転園できて、成長の手ごたえを実感できたのではないでしょうか。素敵なエピソードを共有していただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月24日受験生になりきれない?相変わらずマイペースなコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは現在中学3年生です。いよいよ夏休みを迎えたコウを1ヶ月半見守ってきましたが、「いつもよりは勉強しているといえばしているかな?」くらいの感じで受験生の夏は終わりました。とはいえ、宿題をおおむね8月前半までに終えたことには、例年との大きな違いを感じました。なぜなら、コウは宿題を出さないことに定評がある学生生活を7年間続けていたからです。コウにも、これまでに宿題を出していた時期はありました。宿題の量が少なく簡単だった小学1年生の時と、担任の先生が提出物一覧表を毎週配布してくださっていた小学4年生の時の計2年間です。それ以外の学年では中学2年生に至るまで「宿題を提出しない丸山コウ君」として職員室で名を馳せてきた彼の『宿題未提出問題』の根深さは、相当なものでした。中学2年生は本人なりに頑張りを見せて、先生方からも「波はあるが、以前よりは出せている」と評価を受ける程度には宿題を提出できるようになってきました。それでも未提出の多さが内申点の足を大きく引っ張っている状況でした。宿題を提出して成績を上げたいコウが考えたこと成績表を見るたびにコウ本人も「成績を上げたい。そのためには宿題を提出しないとね」と言って意欲を見せていましたが、具体的な対策はなかなか定着しにくく困っていました。そうこうしている内に中学3年生になり、「1学期の時点で内申点を少しでも上げられなかったら、もう志望校を変えなければいけない」という段階にきてしまいました。私や夫が宿題のチェックをしようにも、コウが持ち帰り忘れたり提出を忘れたりしていてはどうにもなりません。いよいよ困り果てていた1学期上旬のある時、学校で身体測定を終えたコウが「体重が増えていたから、ADHD(注意欠如多動症)治療薬の量を増やせるかもしれない。病院で相談してみたい」と言いました。Upload By 丸山さとこコウは小学4年生からADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しています。幸い大きな副作用は現れず、体重に合せて服用する量を増やしていました。その過程で、コウは『体重が増えてくると薬の効果が薄くなっていくこと』や『服用量を増やしていくとある時点で効果がハッキリ感じられるようになること』を実感していました。そのため、コウが薬の増量を希望したのは彼なりに経験を踏まえて考えたことなのだろうと思い納得しましたが、コウが自分から増量を明確に希望したことは初めてだったため少し驚きました。さまざまな環境調整を行った上で服薬を開始し、コウ本人も納得して続けている治療薬ですが、たまに吐き気や怠さなどの副作用もあります。私自身もADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しており、薬による負担があることは実感しています。薬を服用することで、私もコウも「人からの話が入りやすくなる」「パニックになりにくくなる」などのメリットは感じていますが、それは服薬により全てが解決するような目覚ましい効果ではありません。そのため、改めてコウに「薬の服用は負担が大きくない?」と聞いてみると、コウは「負担はあるけど、飲んだほうがずっと楽だから」と答えてくれました。Upload By 丸山さとこコウは「飲まないと頭が疲れるんだよ。学校は人が多いし、その分考えることも多いからね。授業に集中したいし、宿題も忘れたくないからね」と理由を伝えてくれました。私は『中学校はコウにとってそれくらい負担の大きい環境なのだな』と改めて思いつつ、『薬の増量を初めて希望するくらい、彼なりに受験に対して真剣な想いがあるのだな』と納得しました。マイペースでも、コウなりに受験を意識しているそうですそうして、コウの受験への真剣さを感じて『一見マイペースな受験生にしか見えないけれど彼なりに頑張っているのだろうな』としみじみしたところで、夏休みはあっという間に終わってしまいました。高校入試まであと半年もないのだと思うと、時間の流れの早さに驚かされます。私は『どのような結果になろうと子どもの自主性に任せて見守る親』になる度量が全くないため、夏休みの間何度もコウに「受験勉強するか志望校を変えるか、どちらかにしない?」と言っていました。Upload By 丸山さとこそんな私ですが、コウが彼なりに頑張っているのだろうということは分かります。そして、その頑張りは中学3年生になるまではどうしてもできなかったのだろうということも、これまでを見ていると何となく分かります。これからも受験当日までマイペースなコウに対してハラハラそわそわすることはたくさんありそうですが、それをできるだけコウにぶつけず、たんたんと声かけを継続できるように心がけていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、受験生になられたコウくんのご様子や成長の過程を詳しく共有くださり、ありがとうございました。コウくんは、ご自身の特性や状況をよく理解し、向き合われているのですね。ADHD(注意欠如多動症)のお薬について、内服を悩まれている親御さんも少なくないことと思います。内服薬での治療は、根本的な治療ではなく、あくまでも対症療法です。つまり、内服している期間に困っている症状を抑える効果はありますが、ADHD(注意欠如多動症)の症状を根本的に治すというものではなく、何らかの理由でお薬の内服を中止した場合にはまた症状が目立ってくる可能性があります。もちろん、内服期間中の成長や、環境調整・生活の工夫などにより、内服前に困っていた症状が内服中止後目立たなくなることもあります。対症療法と聞くと、幼少期に開始した薬を、生涯にわたり内服をしなければならないのかと不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、成長に従って、またご本人のおかれている環境の変化から、内服が必要な状況ではなくなり、中止される方もたくさんいます。内服のメリットは、症状が一部緩和され、ご本人や周囲の困難や、生活の負担が軽減するということがありますが、ニ次障害を防ぐということも重要なメリットの一つです。ADHD(注意欠如多動症)の方は、叱責を受けやすい、勉強に集中ができなくて成績が上がらない、友達関係がうまくいかない、などの失敗体験が積み重なって、「自分はだめなんだ」と自己肯定感が低下してしまうことがあります。このようなつらい気持ちが続くと、抑うつ、不安障害、暴力暴言、引きこもりなどに繋がってしまうことがあります。これを二次障害と呼びます。思春期は、周りからの評価が気になったり、自分自身を見つめ直したり、人間関係における悩みも強くなる時期ですので、生活上のお困りだけでなく、気持ちの面にも配慮して投薬を検討できるとよいと思います。デメリットの一つに、副作用があります。副作用は薬剤によっても違いますが、コンサータでは不眠や食欲低下、体重減少、ストラテラでは嘔気、頭痛、眠気、食欲減少、インチュニブでは、眠気、頭痛、立ちくらみなどをよくお伺いします。思春期は生活の変化に伴って睡眠リズムが崩れがちになったり、起立時の血圧変動による立ちくらみが増える時期です。長期に内服を継続している方で、これまでに副作用がなくても成長の過程で生じてくることもあります。もう一つのデメリットとしては、お薬を内服していることで、ご自身の発達症、特性に気づき、それに悩んでしまう可能性があるということです。これは必ずしも悪いことではありません。ご本人の発達段階にもよりますが、ご本人の特性について話し合う良い機会にもなりうるでしょうし、ご自身の特性について理解していくことは、今後の人生を生き抜いていく上で大きな力になることと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月23日子どもに障害があると分かった私に、希望を持たせたのは「療育」というワードだったさて、きいちゃんは現在8歳ですが、10月で9歳になります。わが子ながら、は、早いぃ~~~!!!今では「あっかんべー!」や「う〇こ」「オナラ」といったワードを1日中これでもかと連発するまでに成長しております……汗。Upload By 星きのこしかし、きいちゃんが生まれた頃、今のきいちゃんの姿を1ミリも想像できなかったなあとしみじみと思い出します。生後1週間後に「ダウン症です」と告知されてから、毎晩毎晩スマートフォンを片手にダウン症に関する情報を検索する日々……。ダウン症の子どもは個人差があれど、知的にも身体的にも発達が遅れるという事実にうちのめされました。私だけではなく、そういった親御さんたちはきっと少なくなかったのではないかと思います。そうした中、唯一私に希望を持たせたのは「療育」というワードでした。きっと障害のあるお子さんをお持ちの親御さんたちは絶対に聞いたことあるワードですよね。医師からも、インターネットの情報からも「障害のある子に療育をしてあげると、発達を促します。早期療育をするかどうかで、その後の発達具合に影響がある――……」「療育、これだ―――……!!!」まだ障害そのものを受け入れきれていない産後間もなくの私にとって、その「療育」という言葉は魔法の言葉のようにも、気持ちの支えにもなりました。「療育をすれば、きいちゃんの発達を促すことができるんだ――……!」と。Upload By 星きのこしてあげられることはなんでもしてあげたい!療育先探しに奔走!そこからは、療育先探しに奔走です。とにかく、きいちゃんにしてあげられることはなんでもしてあげたかったのです。まずは色んな本を買ったり、図書館で借りまくったりしました。例えば家でできる体操の本などです。参照:ダウン症児の赤ちゃん体操―親子で楽しむふれあいケアしかし、家で自分だけでやるだけなんてまだ足りない‼専門家の療育を受けたい!と思った私は、入会していた親の会の先輩方に療育手帳の取り方や、行政への申し込みの仕方などを教わり、市役所に突撃しました。こういう時、頼りになるのはやっぱり親の会や、同じ障害のある子どもの先輩ママたちです。ありがたや~~~‼そして市役所に突撃したその結果は―――……なんと……!「療育?まだ早いですよ」という一言でした。市役所からの意外な一言!なんで?早期療育が大事では⁉「で、でも、早期療育が大事だって聞いてます……」と私が言うと、「お座りができてからじゃないと療育先は紹介できませんね。お座りができるようになってからまた来てください」と冷たく言われ、その場を去って行かれました。Upload By 星きのこちょ、ちょっと待って、ダウン症の子は通常の発達の子の2倍、発達に時間がかかり、首の座りが平均半年、お座りも1年以上かかると言われてる――……。その間、ずっと療育できないの⁉もしずっとお座りができなかったらどうするの⁉⁉そして歩けなかったら……⁉⁉と私の気持ちは不安がいっぱいに……。そしてその後どうなったかは、また改めて書かせていただきますね。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)自治体の窓口ではお座りができるようになってからといわれたとのことですが、私の考えでは、療育や診察も含め、発達に遅れがみられるお子さんには早期介入が必要です。お座りができなかったら、できるようにするため病院でのりハビリテーション(リハビリ)を勧めるべきなのです。アメリカではダウン症のお子さん専用のリハビリプログラムがすでにあります。療育とは何かと問われて答えられる小児科医は少ないと思います。私は「心と科学」といつも答えています。最新の知識を持った科学的な考えと障がいをもったお子さんやご家族に対して誠意のある心をもって接することだと考えています。真の療育をやっていて誠意があれば、仮にそこで療育ができなくても療育の代わりに何ができるかを助言できるはずです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年09月22日漢方薬「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は子どもの夜泣きやひきつけに効果がある?作用、特徴、効能、副作用などについて解説甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)とは、夜泣きや不眠、ひきつけなどに効果があると言われていて、子どもに用いられることも多い漢方薬です。心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。甘麦大棗湯は小麦、甘草、大棗(ナツメ)などの食品で構成されていて甘みがあり、子どもにも服用しやすいという特徴があります。甘麦大棗湯は不安からくる腹痛にも効果があると言われています。腹痛に対しては基本的にはほかの漢方を用いますが、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯により症状が改善することがあります。また、甘麦大棗湯はほかの漢方薬と併用することもあります。ここでは抑肝散(よくかんさん)と桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)との併用について紹介します。抑肝散はセロトニンを増やす効果があり、神経症や夜泣きなどに用いられる漢方薬です。入眠、起床の困難や疲れやすさを感じていた方に甘麦大棗湯と抑肝散を併用したところ、相互作用により症状の改善が見られたという報告があります。次に桂枝加竜骨牡蛎湯は神経の高ぶりを抑える効果があり、神経症や不眠、夜尿などに用いられる漢方薬です。不安症やパニック症などの精神疾患のある方に対して甘麦大棗湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を併用したところ、症状の緩和が認められた例があります。参考:津曲 淳一, 田原 英一, 矢野 博美, 土倉 潤一郎, 益田 龍彦, 犬塚 央, 田沼 龍太郎, 三潴 忠道 著「甘麦大棗湯により改善した腹痛の二例」日本東洋医学雑誌/66 巻 (2015) 1 号 p. 8-12参考:永田 豊, 小山 俊平, 青山 和史, 貝塚 真知子, 中川 のぶ子, 長坂 和彦 著「桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯の兼用が有効であった不安症の4症例」 日本東洋医学雑誌/68 巻 (2017) 4 号p.317-323甘麦大棗湯は子どもから大人まで幅広い年齢の方に処方されます。具体的には生後3ヶ月以上の子どもが対象です。ただし、1歳未満の子どもの場合には、症状や状況を考慮してやむを得ない場合にのみ処方するような形となっています。漢方薬は効果が表れるまで時間がかかることが多いですが、甘麦大棗湯は比較的即効性があり、1週間程度で効果が表れるとされています。また、効果があった場合にもいつまで飲み続けるかについてですが、基本的には不眠や夜泣きなどの症状がなくなったタイミングで服用を中止します。反対に効果が表れない場合にも服用を中止することがあります。服用の注視や継続については処方してもらった医師に相談するようにしましょう。「甘麦大棗湯」の用法、用量を解説。病院で処方してもらえるの?甘麦大棗湯は成人の場合1日7.5gを2~3回に分けて服用します。子どもの場合は年齢ごとに用量の目安が厚生労働省により以下のように定められています。・7歳以上15歳未満:成人用量の2/3・4歳以上7歳未満:成人用量の1/2・2歳以上4歳未満:成人用量の1/3・2歳未満:成人用量の1/4以下つまり、5歳の子どもの場合は1日3.75gとなります。実際に処方される量は年齢以外にも体重や症状の表れ方によって変化します。甘麦大棗湯は小さな粒状となっており、食前または食間に水かぬるま湯とともに服用します。食前とは食事の20~30分前、食間とは食後約2時間で、この時間に服用することで胃腸からの吸収がよいため、作用の穏やかな漢方薬に向いていると言われています。甘麦大棗湯は小児科やメンタルクリニックなどの病院で処方してもらうことが可能です。ただ、漢方を扱っているかは病院によって異なりますので、詳しいことは直接病院へお問い合わせください。参考:都道府県知事が承認する漢方製剤の製造販売承認事務の取扱いについて|厚生労働省「甘麦大棗湯」は発達障害に効果があるの?甘麦大棗湯は発達障害のある方へ処方されることがあります。ただ、発達障害の特性に対して効果があるわけではなく、発達障害に関連した癇癪や睡眠障害などの症状を緩和するために処方されます。実際にASD(自閉スペクトラム症)に伴う入眠・起床困難や疲れやすさのある方に対して、甘麦大棗湯と抑肝散を処方したところ、睡眠状況が改善し活動量も増えたという報告もあります。薬の飲み合わせなどにより副作用が出ることもあるので、甘麦大棗湯をはじめ漢方薬を試してみたい場合は、主治医に相談してみてください。参考:武原 弘典, 松川 義純, 田中 裕, 山本 修平, 堀谷 亮介, 西森(佐藤) 婦美子 著「発達障害に合併する睡眠障害に対して漢方治療が有効であった2症例」日本東洋医学雑誌/69 巻 (2018) 3号 p.246-251「甘麦大棗湯」の副作用は?漢方は比較的副作用が少ないと言われていますが、全くないわけではありません。実際甘麦大棗湯にも副作用が確認されています。主な副作用としては手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛などがあります。こういった症状が表れた際は服用を止め、医師や薬剤師などに相談しましょう。また、何か治療を受けている場合やむくみ、高血圧、心臓病、腎臓病のある方は影響が出る可能性があるため、服用前に医師などに相談しましょう。まとめ漢方薬「甘麦大棗湯」は子どもの不眠やひきつけなどの症状に用いられるほか、自律神経の乱れや発達障害に関連した癇癪、睡眠障害に対して用いられることもあります。漢方薬としては効果が早く表れることや、甘みがあり子どもにも服用しやすいという特徴があり、子どもから大人まで幅広い年齢の方に用いられています。ただ、甘麦大棗湯には少ないながらも副作用も報告されているため、服用してみて気になる症状が表れた場合には、すぐに医師などに相談するようにしましょう。参考文献:甘麦大棗湯エキス〔細粒〕6|KEGG(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月21日「提出物が0点」と小学校の先生に言われたときASD(自閉スペクトラム症)のタケルは小さい頃から「博士キャラ」。小学校では、泣き始めたら止まらなかったり、授業中に脱走したりといった問題行動も見られましたが、テストを受けるとほぼ完璧に覚えているので、「勉強ができる子」として周囲に認識されていました。しかし、通知表はオール5とは程遠く、4があれば3もちらほらといった具合でした。私としては、日々の生活上の困りごとを何とかするほうが優先で、通知表の成績にはあまり関心がありませんでした。しかし、タケルは内心、「勉強が取り柄なのに、この成績では物足りない」と感じていたようで、ある日、先生に直接その理由を尋ねたことがあったそう。すると、先生は「提出物がきちんと出てこないから、その部分が0点なんだよ。ちゃんと出してね」と答えたのだそうです。そもそも家に持ち帰っていない提出物とは、宿題プリントやワークブック、授業ノートだけでなく、学校からのアンケートやボランティア活動の出欠確認なども含まれます。それまでも私は、毎晩タケルのランドセルの中身を確認し、プリントがあればファイルにまとめ、返信が必要なものは本人に聞いて書き込んでランドセルに戻すという作業をしていました。しかし、小学校4年生で通級指導教室に通うようになり、学校と頻繁に連絡を取る中で、タケルがほとんどプリント類を家に持ち帰っていないことが判明!問題は「家でやらない」「出さない」ことだけではなかったのでした。Upload By 寺島ヒロ行方不明のプリントは、学校の机の中に大量に溜め込まれ、学期末に学校で処分されていたようです。これは、発達障害のある子どもを育てる親にとって、あるある話かもしれませんね。疲れて宿題ができないこともようやく家まで持ち帰った学習プリントも、無事に書き込んで提出されるとは限りません。タケルは学校から帰宅すると、まずやるべきルーティンがあり、それが終わらないと宿題に取りかかりません。学校での疲労がたまり、泣いたり怒ったりして帰宅後にルーティンをこなし、お風呂に入ると、もう宿題をする気力が残っていないことも頻繁にありました。冊子形式のワークブックは「埋めなければ」という意識があるらしく、比較的積極的に取り組むのですが、プリントは「やったら終わり」という感覚なのでしょう。どうしても後回しになってしまうのでした。Upload By 寺島ヒロ提出物が大事な本当の理由とは…?小学校時代はそんな感じだったタケルですが、中学生になると「どうすれば提出率を上げられるか」を自分で考え始めました。と、いうのも、進学した私立中学校では先生が「内申点が高くないと大学の推薦は出せない。内申点は成績表からほぼ自動集計され、テストの点数が5割、提出物の評価が3割、授業態度が2割。授業態度と提出物の評価は、よほどのことがなければ悪くはつけないので、テストを頑張れ」という指導をするようになったからです。そして、タケルの提出率は「よほどの」レベルでした。ASD(自閉スペクトラム症)のタケルには「ちゃんと」とか「きちんと」というフワっとした指導では響かず、「提出物の提出率が悪いと成績に影響する」と言われたほうが「悪いことだったんだ」と分かりやすかったみたいです。苦手は克服するより避ける!?タケルの最適解そして、タケルが考えた解決策はというと……「提出物は学校で仕上げてから帰る」という荒業!提出物が多い時は「自習室に寄るので遅くなります。電車に間に合わないので迎えにきて」というメールが届くようになりました。学校までは高速を使っても30分以上かかり、往復で1時間半ほどの時間がかかる上に、高速代もかさみますが、これがタケルにとっての最適解。付き合ってあげることにしました。タケルは「確実に持ち帰り、正確に書き、期日までに提出する」という苦手なプロセスを克服するよりも、「学校で仕上げて提出する」というシンプルな方法を選んだのです。正直私は「賢いな~」と思いました。苦手なことを克服することは大切ですが、自分の苦手なことを避けて結果に到達する方法を考えることも時には必要だと思います。この「提出物は学校でやる」というタケルのハックは、大学院生になった今でも続いています。執筆/寺島ヒロ(監修:森先生より)提出物に関する体験談をありがとうございます。提出物を忘れるとどう困るのかが分かりにくかったのかもしれませんね。忘れると成績の評価に響く、と意識したら、どうしたらいいかを真剣に考える必要が出てきたのでしょう。実は、「学力と成績が必ずしもリンクしない」という問題は、発達の偏りのあるお子さんに多くみられます。好奇心旺盛で勉強が好きでも、提出物や遅刻などの生活態度面で、学校での総合的な評価が下がってしまうという「もったいない」ケースが少なくないのです。締め切りを守れなかったり、忘れ物をしてしまう、という場合も、決して自分を責める必要はありません。発達の偏りという特性から起きてしまうミスですから、まずは「ミスをしたらどのように困るのか」をしっかりと意識して、「ミスが起こる原因」→「ミスをしないような仕組み」を考えて実践していくことが大切です。タケルくんは自分で解決策を考えて習慣化したということで、とっても素晴らしいですね。これからも、困難にぶつかるたびに、こうやって工夫して乗り越えていけるのではないかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月20日10/1まで開催「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」では、2024年9月14日(土)〜10月1日(火)までコラボ企画「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」を開催しています。書籍『ウェルフェアトリップ~福祉の場をめぐる小さな旅』(アノニマ・スタジオ)の著者・羽塚順子さんは、全国300か所以上の福祉現場を訪れ、地域ならではの産業や手仕事に携わる人、伝統のある職人技を受け継ぐ人など、さまざまな人々に出会ってきました。『ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅』は、障害のある人の手仕事をテーマにした体験型鑑賞会です。Upload By 発達ナビニュース障害のある人たちの手仕事を巡る旅思わず深呼吸したくなるような空間に足を踏み入れたら、旅の始まり。「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」では、8つの部屋を巡ります。「旅の始まりの部屋」「森の部屋」「草木花の部屋」「和紙の部屋」「神事の部屋」「竹の部屋」「布の部屋」「旅の終わりの部屋」それぞれの部屋は、ゆるやかにつながっています。Upload By 発達ナビニュース手仕事から生まれた作品を見て、触れて、香って、寝そべって自由に体験することができます。作品たちはどこで生まれたのでしょう。どこのどんな人が作っているのでしょうか。思いを馳せると一層楽しい旅になりそうです。Upload By 発達ナビニュース「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」に大きな荷物の準備はいりません。大人も子どもも、頭をからっぽにして、旅に出ませんか。「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」チケット絶賛発売中Upload By 発達ナビニュース「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」開催概要開催期間:2024年9月14日(土)~10月1日(火)開館時間:11:00~19:00(最終入場時間 18:30 / 最終日のみ最終入場時間 17:30、18:00 終了)開催場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝)(東京都港区海岸1丁目10−45 アトレ竹芝 シアター棟 1F)料金:一般 1,100円(税込)※小学生以下無料(保護者の同伴が必要)予約:下記Webサイトよりチケット購入可能。会場にて当日券も販売。※クリックするとLITALICO発達ナビから「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」特設ページに遷移します「苔玉づくり」「もくめんサシェづくり」ワークショップも会期中は、ワークショップも開催されます。手仕事を体験してみませんか。※ワークショップに参加する場合は、小学生以下でも入場チケットが必要となります。※小学生未満はご参加いただけません。小学生は保護者の方も必ずご一緒に予約ください(小学生のみでの体験はできません)。日程:2024年9月22日(日)13:00~ / 15:00~(各回3名・約60分)参加料:3,500円(税込)「森の部屋」で展示している「いのちの森づくり」の苗木を使って、オリジナルの苔玉づくりを体験することができます。持ち物:手をふくタオル / 講師:キソウキカク / 資材提供:進和学園日程:2024年9月29日(日)13:00~ / 14:00~ / 15:00~(各回6名・約30分)参加料:1,500円(税込)「草木花の部屋」で展示している「もくめん」と好みのアロマを選んで、オリジナルのサシェをつくります。持ち物:手をふくタオル / 講師:MotherNess Publishing / 資材提供:有限会社戸田商行・倉敷帆布・群言堂※クリックするとLITALICO発達ナビから「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」特設ページに遷移します
2024年09月19日マンガ「発達障害の子どもと私たち」2章みき編が完結!マンガ「発達障害の子どもと私たち」は発達ナビ読者の体験談から生まれたセミフィクションストーリーです。特性による困りごとに、ストレスを感じ学校へ行けなくなってしまう子ども、そしてそんな子どもが幸せに、笑って過ごしてもらえる環境を求め続ける家族。それぞれの家族の決断は?プロローグはこちらからご覧いただけます。身体症状が出て不登校になった1章はるき編に続き、みき編も完結しました。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたみき。小学校入学の際、就学相談で通常学級へ進学するか知的障害特別支援学級に入るか悩みましたが、IQが入級基準以上だったため通級指導教室へ通いながらの通常学級判定に。小学校2年生までは問題なく登校できていたのですが、小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「学校へ行きたくない」というほどに……。また、みきの担任の先生はそんなみきの困りごとにどう対応していいのかも分からない様子。保護者はどうすればいいか悩んだ末、ある結論を出すのですが……。「今のクラスだったらもう学校行けない!」転籍を希望した結果は?「みき編」を完結まで一気読み以下関連リンクから全4話を一気にご覧いただけます。はるきとみきのその後は……?次週二人のエピローグをお届け無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、そしてみきのその後については次週公開のエピローグでご紹介します。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月19日長女とは別の保育園へ以前にも記事にさせていただいたとおり、次女の入園先を長女と同じ公立のC園にするか?活発な次女に合っていそうな私立のD園にするか?で迷っていた私。C園もとても良い園なので悩んだのですが、最終的に第一希望はD園にしました。それは「それぞれに合う環境を選んであげたい」という親心からだったのですが……。結論からいうと、次女は今、転園して長女と同じC園に通っています。今回は、親の思う「わが子に合っていそう」と実際の「園生活に馴染めるか」は全く別なのだと痛感したお話です。「優等生」だった4月、「問題児」に変身した5月次女のあずさは、D園に通う日をそれはもう楽しみにしていました。あずさは2歳になりたての頃に「①癇癪の強さ」「②物怖じしなさ」について長女(知的な遅れを伴うASD/自閉スペクトラム症)の療育先から指摘を受け、療育に通ってきました。その甲斐あってか①②の点は解消されていき、療育の先生方から「あずさちゃんなら保育園もへっちゃらでしょう」と太鼓判を押されてD園の門をくぐりました。実際、入園後しばらくは楽しそうに過ごしており、D園の先生方からも「しっかり者ですね」と言われていたのですが……。様子が変わったのは5月からです。登園を渋るようになり、こんな言葉を聞くようになりました。Upload By にれD園の先生に話を聞くと、「理解しているのに指示を聞かなくなった」「執着が強い」などの困りごとが増えたそうで、さぞ先生方の手を煩わせているのだろうと危機感を覚えました。大きくなる送迎時の負担入室に時間がかかるようになり、困ったことが2つありました。1つは、付き添ってくれている長女のまゆみが待ちあぐねてウロウロするようになってしまったこと。「まゆみも落ち着いてきたし、一緒に待つくらい余裕よね」と思っていたのが、【探索心に火の点いたまゆみが制止を重ねられてパニックを起こす前にあずさを説得して送り出すチキンレース】が週4で開催されることになりました。これがもし園庭から送迎するスタイルの園なら、遊ぶまゆみを見守りながらあずさをなだめることもできたかもしれません。しかしD園は建物に入って廊下で送迎するスタイル。分かっていて、問題ないと思ってここを選んだのは私です。まゆみを先にC園へ預けようにも、先生の加配が必要なまゆみは登園時間が8:45~と決まっており、反対にあずさのD園は8:50までの入室が原則だったため登園順を逆にすることもできません。もう1つの困りごとは、D園の子ども達がまゆみを囃し立てるようになったことです。階段に寝そべったりクラスに潜り込んだりするまゆみを面白がって、「まゆみぃ!」と声を上げるようになりました。私がそう言って止めていたのを、園児達が悪気なくマネしてしまったのです。あっマズイ!とすぐに改めましたが、もう後の祭りでした。これはまゆみにとってもあずさにとってもつらかったと思います。まゆみは不安からか送迎時に抱っこでの移動を求めるようになりました。私の声掛けの悪さでほかの子ども達に人をからかう経験をさせてしまったことを猛省しながら、荷物を絡ませた片腕で20kgのまゆみを抱き上げ、もう片手であずさと手をつないで駐車場から入口までの50mをヨロヨロ歩く日々が続きました。Upload By にれ個人面談に呼ばれた6月6月半ば、担任の先生に呼ばれて面談に伺いました。あずさの聞かん坊エピソードがじゃんじゃん出て、「これを書いてほしい」と最後に出されたのは特別支援対象児の認定申請書。まゆみの時にも書いたので加配のための書類だと思ったのですが、先生に確認すると「今年はすでに年度初めから増員されているので、新たな加配はないものと……」とのこと。じゃあ補助金が出るのかな?と思ったのですが、あずさの問題行動は視覚支援などのグッズで解決する類のものではないので、認定申請書を書きつつも「これを書いたところで改善しないのでは」と心配になりました。あずさの状況は療育先に逐次共有していたので、この時もすぐに報告すると、保育士さんと心理士さんは「特別支援対象児!?そこまで!?」という反応……。そう、あずさは療育先では相変わらず良い子で通っており、保育園・療育先・家庭でそれぞれ見せている顔がまったく違うのでした。本人の気持ちはこの頃のあずさは「D園たのしくない」「いきたくない」と言うばかり。理由を聞いても黙ってしまうので、本心を聞きたくて「何を言ってもママは怒らないし悲しまないから、あずちゃんの気持ちを聞かせてほしいな」とお願いしました。すると……Upload By にれとの言葉が。それ先生も同じこと言ってたで……と苦笑しそうになりながら、「そうかぁ、言うこと聞いてくれへんのはツライよなぁ」と頭を撫でると、「おともだちいらない。あずちゃん、ひとりでいい」と涙ぐんでいて、あずさなりにつらい思いをしているのが伝わりました。それまではD園の先生方に対する申し訳なさが大きかったのですが、これがきっかけで転園を視野に入れるようになりました。しかし、転園先で同じようなことになる可能性もあるので慎重に考えなくてはいけません。あれこれ探りながらの転園保育園・療育先・家庭で言動が変わる理由を考えた時に、おそらくD園の環境や雰囲気があずさには合わないのだろうと思いました。あずさのクラスは30人近い大所帯なので、山登りや泥んこ遊びなどのアクティビティがいくら魅力的でも、それを楽しむ以前に騒がしさがしんどいのかもしれません。協働場面が多く、一斉指示が多いこともあずさには苦痛になっている可能性があります。また、わざと先生を困らせる行動は、多人数の中で自分だけを見てほしいという注目行動や、どこまで許されるかを測っている試し行動のような気がしました。保育所等訪問支援の制度を使ってD園と連携を取ってもらうことも療育先に提案しましたが、問題の根が「大人数が合わない」という部分にあるならそこを変えるのは難しく、療育先からも「転園を選択肢に入れているなら訪問支援はできない。転園先でうまくいかなかった時にやりましょう」と断りがあり、覚悟を決めてD園に在園するか、転園するかの二択になりました。さらに、療育先からは「あずさちゃんは保育園より、いっそ厳しめの幼稚園に入れてみては?」と私立幼稚園への転園も勧められましたが、私の考えではむしろ自由にいさせてくれる方針の園が合うように思えており、転園先の候補で療育先と意見が分かれたことにも悩みました。結局、経済面や通園距離からしても背伸びすることになるので幼稚園は選択肢から外すことにしましたが……。日を置かず、市の保育担当課から特別支援対象児の認定申請に関する聞き取りの電話がありました。問題解決のために役所の人の力も借りようと思い、あずさの状況を説明した後で以下の点を相談してみました。(1)実は転園を考えている(2)近隣の園の空き状況が知りたい(3)転園すると特別支援対象児の認定申請が宙ぶらりんになるが、市や園に迷惑がかかることがあるか(3)については問題ないそうで、(1)(2)についても職員の方からさまざまなアドバイスをもらえました。そして、まゆみが通うC園はもう定員に達していると聞いていたものの、ダメ元でC園の園長先生に相談してみると「まゆみちゃんのお迎えの時によく来るからあずさちゃんがどんな子かも分かってるし、一人ならギリギリ受け入れられますよ」と言っていただき、有難さに涙しながらC園への転園を決めました。その後のあずさ転園後すぐは、新担任の先生から「聞いていた話と違って、何でもやってくれる良い子です」と言われていたあずさですが、1ヶ月ほどすると「様子見」が終わったのか、大方の予想通り自分のカラーを出すようになってきました。けれどC園のほうが少人数かつ保育中の自由度が高いためか、あまり嫌がらず通ってくれています。強調しますが、D園も決して悪い園ではありませんでした。いろんなことを考えて悩んだ末に決めた園選びでしたが、説明会や見学だけでは分からなかった部分があずさ(とまゆみ)に合わなかったのだと思います。親が良かれと思ったことでも状況に合わせて時には方向転換することも大事なのだと思いました。今回の転園騒ぎを機に、ずっと問題を絞り切れていなかったあずさの発達の弱さについて詳しく知りたくなり、正式に発達検査を受けることにもなりました。結果は今後に活かしていければと思います。転園したことであずさは落ち着きを取り戻し、まゆみもあずさが一緒の園になってうれしそうにしていて、それぞれにとって良い結果になったのではないかと思います。受け入れていただいたC園の園長先生には本当に感謝しています。Upload By にれ執筆/にれ(監修:室伏先生より)にれさん、転園までの詳しい経緯を共有いただき、ありがとうございました。お子さんは不快な気持ちがあっても、何が嫌なのかを認識したり、言語化したりすることが難しいことも多いですよね。癇癪や泣くことが増えたり、行き渋りをしたり、ということを通して、一生懸命SOSを発信してくれている時には、園の先生と相談してできる範囲で環境調整をすることももちろん大事なことですが、転園も重要な手段だと思います。あずさちゃんも、おつらい気持ちを、一生懸命にれさんに訴えてくれたのですね。転園は勇気のいる決断だったことと思いますが、あずさちゃん、まゆみちゃん、そしてご両親にとって、よい方向に進んで本当によかったですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月18日ASD(自閉スペクトラム症)の特性?複数の指示が伝わらない娘わが家の長女リン(8歳)は小さい時から人見知りをせず、活発な性格の女の子です。3歳半健診の時に指摘を受け、療育センターにて発達検査を受けました。その後、ASD(自閉スペクトラム症)と診断されましたが、当時通っていた幼稚園では特に配慮を受けなくても、ほとんど支障なく過ごせているようでした。ただ少しだけ、これがASD(自閉スペクトラム症)の特性なのかな?と思う出来事もありました。リンが年中の頃のことです。担任の先生との面談で、一斉指示の通りにくさを指摘されました。指示が1つや2つだと問題なくみんなと同じように行動することができるのですが、指示が3つ以上になると、途中で分からなくなってしまう様子が見られるということでした。指示が3つ以上とは、例えば、机の上に出ているハサミとノリを片付けて、ゴミを捨て、お道具箱から粘土を取り出して、粘土と粘土板を持って待ちましょう……のようなものです。みんなが一斉に動き出す中、リンは何からしたらいいのか分からない様子でじっとしていたり、自分で動き出したとしても、やるべきことが抜けていたりなどしていたそうです。3つ以上の指示が通らないことが年齢相応ではないのかどうか、私には分かりませんでしたが、そのような状態になっているのは、クラスの中でもリンを含め2〜3人だけとのことでした。Upload By メイその時に、家での様子はどうかと聞かれましたが、私は全く気になっていなかったので少し困惑しました。幼稚園の先生からは「練習のために家でも、3つ以上の指示を出してみてください」と言われましたが、家であえて一度にたくさんの指示を出すという状況をつくるのは難しくもあり、練習はなかなかできませんでした。思い通りにいかないと泣く、勝ち負けへのこだわりもまた、遊びの場面でも気になることがあると指摘されました。幼稚園でみんなと揃って遊ぶとき、リンは自分の思った通りにいかないと、1人で立ち止まってしくしく泣くことがよくあるということでした。例えば鬼ごっこなどで1回もタッチされなかったとか、そういうことです。先生が「人数がたくさんいるからほかにもタッチされていない人もいるんだよ」と話をしても、気持ちを切り替えるのに時間がかかっていたそうです。Upload By メイまた、勝ち負けにもこだわりが強い面があるとのことでした。リンの勝ち負けへのこだわりは、家でもよくみられました。ゲームなどで負けると怒って泣いて、なかなか収まらないのです。あんまり怒るので、家族も本人もストレスになるだろうと思い、わざと負けてあげたほうがいいのかと考えたこともありました。でも、かかりつけの医師に相談したところ、お友達同士だとわざと負けてくれるなどということはないので、家族内でもしないほうがいいとの回答でした。ゲームは勝つこともあれば負けることもある、それも含めて楽しむものなんだと、少しずつ理解していってくれたらいいなと思い、家でもわざと負けることはしないようにしていました。Upload By メイ特別支援学級に就学する?検討した結果小学校の入学が近づくにつれ、リンの就学先について考えるようになりました。長男が通常学級に就学したのち、特別支援学級に転籍したという事情もあり、リンは初めから特別支援学級へ就学するべきかどうか悩みました。幼稚園の先生からは、「指示が通りにくく、周りの子よりゆっくりなことも多いけれど、分からないことがあれば自分から先生に聞いたり、周囲に助けを求めることができるお子さんなので、通常学級に進学しても良いのではないか」と言われました。また、小学校の特別支援学級の先生にも話を聞いてもらい、検討した結果、事前にリンのことを学校に伝えたうえで、まずは通常学級で様子を見ていくことに決めました。現在リンは小学3年生で、入学時と変わらず通常学級に在籍しています。今まで3人の先生に担任をしていただきましたが、面談の時などに学校でのリンの様子を聞いても、どの先生からも特に問題なく日常生活を送れていると言っていただいています。ただ、やはり幼稚園の頃と同じで、生活面でも勉強面でも、周りの子より少しゆっくりな部分があるようです。それでも、リンは何にでも一生懸命取り組むことや仲の良いお友達も多いこと、また前向きな性格だということもあり、今のところ通常学級での生活に心配は感じていません。Upload By メイ苦手な部分もあるリンですが、分からないことは先生に聞いたり、周りの人に助けを求めることができるのは、リンの長所でもあると思っています。これからも長所を活かして、苦手な部分をカバーしながら生活していってくれたらと願っています。執筆/メイ(監修:新美先生より)娘さんの幼稚園の頃の様子について聞かせていただきありがとうございます。診断名に限らず、一度に複数の指示があると混乱するお子さんがいます。年中だったらそういうお子さんはクラスに何人もいるはずです。一度に頭の引き出しに保持できる記憶量は人によって異なりますが、ちょっと練習して急に増えるようなものでもありません。幼稚園の先生は「家で練習して下さい」なんて言わずに、全体の指示もユニバーサルデザインで一つずつ指示するように心がけたり、一度に複数の指示を出した後に、一つずつゆっくりおさらいしながら指示を出したり、戸惑っている子を見かけたら個別に声をかけたり、手順をイラストで示したりしてくれればいいのになと思いました。勝ち負けのこだわりが強いお子さんもいますよね。お子さんの気質や段階によって、勝ち負けのある遊びに参加しないとか、負けたときの対応を練習するとかいろいろな対策はあります。あまり目くじらを立てすぎず、温かく成長を見守るというのも大事ですよね。気になることがあって、特に身近な人が特別支援学級に在籍していると、特別支援学級のメリットもたくさんあるので、在籍の希望を出そうかどうするか迷いますね。地域柄もあって、どうするとよいというのは難しいですが、見学・体験をしたり、いろんな人の意見も聞きながら、本人と保護者がよいと思う選択をされるのがいいと思います。そして状況によってまた軌道修正・方向転換することもありとして、柔軟に考えるのがよいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月18日DQ(発達指数)が境界域の息子は何につけても「ママがいい!」。パパは……?わが家には特別支援学級に通っている小学校1年生の息子がいます。息子は全領域DQ(発達指数)が境界域で、医療機関での診断はまだ受けていませんが、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の特性があると感じています。もうすぐ7歳になりますが、何につけても「ママがいい!」と言いがちです。そして夫は、それをいいことに、息子と積極的に関わりたがらない傾向があります。こういうことは子どもの発達に関係なく多いだろうとは思いますが、わが家の場合は、そこに息子のこだわりの強さも加わり、夫、私、息子のそれぞれの関係性や役割が固定化されてしまっているのが悩みです。関心がないわけじゃないけれど……夫は息子との絡み方が絶望的に下手夫は息子に関心がないわけではなく、「お風呂に入れてやって」「宿題をみてあげて」など、こちらが頼んだことはやってくれます。特別支援学級の先生と私とのやり取りが書かれた連絡帳を読んでいたり、私が息子の様子について話すと真面目に耳を傾けてくれていたりもします。ただ、残念ながら、息子との絡み方が絶望的に苦手なんです。息子が機嫌良くしゃべっている時に、小さな子どもには分かりづらい皮肉っぽい言い回しでコメントしたり、息子の言い間違いのあげ足を取ったり……。息子がごっこ遊びをしているとき、夫がクスクス笑いながらその様子をのぞき見していることがあるのですが、息子はそれを非常に嫌がり、「ごっこ遊びは絶対にママとしかしない!」と決めてしまっています。Upload By ユーザー体験談「笑われる=バカにされている」と思ってしまう息子息子は、非言語コミュニケーションが苦手なので、「笑い」を誤解しがちな傾向があります。彼の中では「笑われる=バカにされている」という図式が強固なので、こちらが息子の発想のユニークさに笑ったり、息子の行動がほほえましくて笑ったりしたとき「今、僕のことバカにしたでしょ」と言って怒ることもしばしば。私は、「違うよ、○○くんが面白いことを上手に言ったから、思わず笑っちゃったんだよ」「その踊りがかわいくて、すてきだなぁと思って、ニコニコせずにはいられなかったの!」などと、人が笑うのはバカにしているときだけじゃないことを、そのつど説明していますが、夫との距離は開くばかり……。Upload By ユーザー体験談もっと息子に寄り添った接し方をできないの?批判に弱い夫にどう言えばいいか……夫に対して「もっと息子に寄り添った接し方はできないのかな~」と思いはしますが、そこを突くとまずい予感がして、何も言えていません。夫は物腰が柔らかく、一見聞く耳を持っているようにみえるのですが、実はプライドが高く、批判にかなり弱いタイプだからです。会話が弾まないなら弾まないで、一緒にどこかに出かけたり、外遊びをしたりしながら仲良くできればいいのですが、息子はかなりの外出嫌い。知らない所へ行くことや、長時間の移動が苦手です。なので、外出先は近場の公園やショッピングモールに限定されがちです。また、夫は休日の仕事が多く、息子はじいじ(私の実父)に遊んでもらうこともよくあるのですが、じいじは根っからの子ども好きなので、結果、息子はじいじになつき、夫とはさらに距離が生まれている感もあります。Upload By ユーザー体験談今はこれでいいのですが、本当は私ももっと仕事がしたいので、夫にも積極的に息子への関り方を学んでほしいです。それに、父も私も今は健康ですが、人生、先のことはわかりません。夫だけになったら、息子はどうなるのか……。こうしたことを考えると、夫と息子の心の距離がもっと近づいていてくれると助かるのになぁと思わずにはいられません。夫へどのように声がけをしていくか……これが今の課題です。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/苗(監修:井上先生より)お父さんは育児にまったく無関心なわけではなく、連絡帳を読んだり、頼まれたことに協力などはしているので、ご自分では「できることは頑張っている」という認識なのかなと思います。それだけにお子さんへの接し方についてはプライドを傷つけないように伝えてみてはどうでしょうか。例えば「最近、友達や先生に皮肉っぽく言われたことをすごく気にしているから、ストレートにいいところを褒めてあげてほしい」のように「最近〇〇な感じだから××のようにしてくれると助かる」といった言い方などです。また、子育ての方針について違いがある場合には、主治医や専門機関に相談するときに夫婦で一緒に行って話を聞いたりするとお父さんも納得しやすいかと思います。心の距離についても今はもどかしい気持ちもあると思いますが、子どもも日々成長し、どこかのタイミングでお父さんと共通の趣味ができ、急に距離が縮まる場合もありますので、育児に協力してもらいながら長い目で見守っていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月17日特別支援学級に就学し、順調だった小学校1年生の生活わが家の娘は2歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断され、小学校は特別支援学級に就学しました。1年生の頃は、初めての学校生活で慣れないこともありましたが、担任の先生などの助けをかりながら、無事1年間通うことができました。そして2年生。事前に特別支援学級の担任の先生が3月で休職することが決定していました。娘は担任の先生が大好きだったので、新学期に先生が学校にいないということに不安を感じていました。2年生で激変!?迫力満点のベテラン教師、約束と違う給食指導……たくさんの「嫌」が積み重なってUpload By マミヤ2年生に進級した新学期、娘の特別支援学級の担任は優しそうな先生で、これには親子共々ほっとしました。そして、交流学級の担任は学年主任の先生。ベテランの先生でしたが、残念ながら娘はこの先生と合いませんでした。厳しめの指導をされる先生で、娘は突然大きな声で注意されることをとても怖がっており、先生がほかの子を怒る声にも過敏になっていました。交流学級の担任の先生と合わなくても、メインは特別支援学級だし……と思っていたのですが、国語と算数以外の授業は交流学級で受けていたため、影響は想像していたより大きいものでした。娘はどんどん学校へ行く元気がなくなっていきました。特別支援学級の担任の先生にも相談していましたが、交流学級への付き添いは娘にではなくほかのお子さんについていたので、人手が足りないようでした。また、娘が学校と約束していた「給食のルール」と違う指導をされる先生がいらっしゃり(食べられないおかずなどは減らして全部完食するという約束だったが、いざ減らしてほしいとお願いすると減らしてくれない。牛乳はまず初めに3分の1飲むように言われるなど)、何度も学校に指導を統一してほしいとお願いしましたが改善されませんでした。娘にとっていろんな「嫌」が重なったことで、2学期の途中で学校へ行けなくなってしまいました。学校への反感も……「学校へ行かないこと」を選択した私たちUpload By マミヤこの頃から娘は「学校の先生は約束しても守ってくれない」「先生の言った通りにしてるのに、違う先生にそうじゃないと注意される」「こう思って言ったのに理由も聞いてくれないし混乱する。また間違えてしまうかも」と言っていました。また、学校への反感も示すようになりました。不安やこだわりが強く、感覚過敏などの特性もある娘には、学校という環境はシンドイだろう……と療育の先生や主治医にずっと言われていましたが、「こういうところなんだな」と感じました。そして、先生との相性でこんなにも変わるものなのか……と驚きました。娘はひとたび「この人は無理」と感じると心のシャッターをピシャリと閉ざしてしまうので、今は無理強いせずゆっくりさせようと、しばらく学校へ行かないことを決めました。ホームスクーリングに気持ちを切り替えた私は、娘と新しい生活をはじめました。結果として、この時は1週間後に再登校することになったのですが、再登校の時期はまた違った大変さがありました。そのことについてはまた別の機会に書かせていただきます。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:井上先生より)特別支援学級の担任の先生が変わっただけでなく、交流学級の先生も変わり、そして指導方針まで変わったことで、お子さんにとって大きなストレスになり、登校自体が嫌になってしまったのでしょうね。また、保護者にとっても、意見が取り上げてもらえないのは、非常につらい状況だったと思います。学校の内外で第三者的な立場から意見を述べてもらえる専門機関や連携先があると、保護者にとっても学校にとっても、そして本人にとっても助けになるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月16日娘が両親(私たち)に借りた生活費の返済は『無利息の出世払い』発達障害がある娘は高等特別支援学校後、特例子会社に勤めていましたが、4年たった頃メンタル面の不調から休職。休職中、収入がないにもかかわらず、娘は買い物や携帯電話の課金でひと月に数十万円使ってしまいました。それまでの貯蓄も使い果たしてしまったので、グループホームへの支払いや生活費はしばらくの間は私たち親が立て替えることになりました。その際、パソコン作業が得意な娘自身に『返済は利息なし。収入が安定したら返す』という、いわゆる出世払いの借用書をつくってもらいました。娘の転職と就活その後も復職の兆しが見えず、彼女は昨年の春に6年間勤務した特例子会社を退職しました。高等特別支援学校在学中の就職活動には学校の先生や親が関わりましたが、現在はグループホームに入居し世帯分離しています。そのため、娘の退職・転職は、これまでチームで彼女を支えてきた相談支援センター相談員やハローワーク、ジョブコーチなどの支援者の方々がサポートしてくださいました(親はノータッチ)。『障害特性に合った職種』のイメージ面接と一週間の職場体験を経て、娘は就労継続支援A型事業所に通うことが決まりました。仕事内容はパソコンを使った事務業務や動画編集業務、通販商品の検品梱包作業など多岐にわたります。どうやらそれが娘には魅力的だったようです。「ASD(自閉スペクトラム症)にはルーチンが落ち着く・臨機応変が苦手という特性があるため、一日中同じ作業を繰り返す仕事が合っている」とイメージしがちですが、娘の場合は違っていました。思い返すと、高等特別支援学校在学中の職場実習で、パソコン検定の資格を持つ娘が企業のパソコンでの文字入力業務を行った際「一日中ずっとパソコンでの入力作業をし続けるのは嫌だ」と言っていたことがありました。娘のパソコンの知識や技術は、優れていると思います。でも「コミュニケーションは苦手だけど、人が好きで常に人と関わりたい」と思っている娘にとって、一日のほとんどの時間を一人でパソコンに向かうような職場は合わないようです。パソコン作業中心の職場でも文字入力だけでなく動画編集や、通販の検品梱包作業なども行う就労継続支援A型事業所に通えることになり、娘は「人気がある事業所だから、採用されて良かった」と言っていました。今回は、自身が働きたいと願った職場ということもあり、娘はその後休むこともなく仕事を続けています。これは娘の意思だけではなく・数年の付き合いの間に支援者の方が娘の性格や特性、好きなことや得意なことを十分に理解したうえで、娘に合いそうな業務内容の事業所を選んでくれた・事業所の方も娘の課題点を把握し、それも含めた支援してくれているおかげだと私は思っています。両親への返済スタート転職から一年が過ぎた今年の春、グループホームで生活する娘から連絡が来ました。Upload By 荒木まち子そして月に一度の『自宅への外泊』のタイミングで一万円ずつの返済が始まりました。高等特別支援学校を卒業した同級生の中でグループホームで生活しているのは娘一人だけです。友達の中には車を買ったり、趣味に自分の収入を充てている人もいます。そんな実家暮らしの友達に比べると、娘が自由に使えるお金は少ないかもしれません。私自身、親子の間で“返済”だなんて冷たいかな?と思うこともあります。でも今までの経験があったからこそ、娘はお金の大切さやお金を稼ぐ大変さを本当に理解できたのだろうと私は思っています。そして、現時点で親以外の『相談できる支援者』がいることは、今後の彼女の人生にプラスとなっていくだろうと——。先見の明以前発達ナビのコラムで娘のことを書いた時、コラム監修の渡部先生が『必ずしも企業就労にこだわらず、就労継続支援A型やB型といった福祉的就労も選択肢になるかもしれません。大切なのは、本人が安心できる居場所であることだと思います。』とコメントされていました。その時の私たち親子は復職に向けて模索していた最中で、福祉的就労については考えていませんでした。でも娘はその後、渡部先生がおっしゃった通りの選択をし、現在、満足のいく職場で日々を過ごし、充実した余暇を過ごしています。娘に会ったことがないのに、娘の未来をズバリ言い当てた渡部先生の先見の明に脱帽です!!執筆/荒木まち子(監修:渡部先生より)娘さんが自分から返済したいと申し出たとのこと、素晴らしいです!休職中に課金で失敗した経験をしたことで、お金の大切さをご本人が理解できたのですね。前回のコメントが少しでもお役に立てたのなら、私としても大変うれしいです。娘さんには、相談支援センターの支援員さんや、現在通われている就労継続支援A型事業所の職員さんなど、特性を理解して適切なアドバイスをしてくださる支援者の方がいらっしゃるとのこと、とてもありがたいですね。将来、もしかしたら違う形で壁にぶつかることがあるかもしれません。そのときには親御さんもいらっしゃらないかもしれません。でも、理解のある支援者の方がいることで、その壁を乗り越えていけるのではないかと想像します。荒木さんも書かれている通り、娘さんと支援者のみなさんとのつながり、これからも大切にしてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月15日小4「学習の壁」の苦悩…『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がスタート!そのほか不登校や登下校トラブルエピソードなど【2024年8月】発達ナビでは発達ナビ読者から寄せられた「困った経験」「こうしたら良かったといった経験」などを読者体験談としてお届けしています。今月も、読者の皆さんからさまざまなエピソードが集まりました。そのエピソードをもとに漫画コラム化!8月は大反響のあった『マンガ発達障害の子どもと私たち』はるき編に続き、小4の「学習の壁」で悩む【みき編】がスタートしました。そのほか「不登校」や「登下校トラブル」の体験談なども紹介いたします。小学4年生のみきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ行っていました。ですが、小学校3年生から勉強につまずきが見られるようになり……。専門家による「勉強の苦手さの背景にある書字困難」についての解説もぜひご覧ください。「学習の壁」にぶつかり、終わらない宿題に涙を流すようになったみきさん。「学校へ行きたくない」という娘の姿に母は苦悩しますが、学校公開でのみきさんの様子を見てある思いが芽生えます。専門家による解説「心理面の支援と通常学級の中での特性にあわせた支援」では担任・特別支援教育コーディネーター・通級指導教室の先生との連携についてなど参考にしたいアイデアも詰め込まれています。小4から不登校になりASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の診断を受けた現在中学1年生の息子さん。完全不登校となってからは家庭内での他害といったトラブルも多く、どうしたら外へ気持ちを向けてくれるか、中学校はどこへ進めばいいか悩みは尽きずで……。小学1年生の3学期にADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた14歳の息子さん。小学1年生の運動会前から、登校班での登校渋りが始まり、なんとか登校するようにさせていたのですが、ある朝、担任の先生から「学校に通報があった」と連絡があり……!?ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月14日発達障害グレーゾーンの息子。通常学級への就学を決意したけれど……しのくんは発達障害グレーゾーンの6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。小学校へ入学するにあたっては、いろいろな不安がありました。2歳まで発語がなく、身辺自立や運動面の発達もゆっくりだったしのくん。保育園での集団生活も苦手で、教室から脱走したり、行事に参加できなかったりすることもありました。保育園の年長からは、加配の先生が付かなくても過ごせるようになっていましたが、発達検査を受けたところ「総合指数は通常といえる範囲内だけれど、言語・社会性の面で発達に遅れが見られるので、声かけなどの支援は必要になりそう」と言われました。しのくんに長年関わってくださっている療育の先生方でさえ悩むような状態だったので、就学先を通常学級にするか、それとも特別支援学級にするか、とても迷いました。最終的に、保育園の先生方の「しのくんは通常学級がいいと思います」との意見と、夫の希望が一致して通常学級を選びましたが、特別支援学級に就学しないことで、「支援が必要ない子」と思われてしまうのでは……という不安がありました。特にしのくんは、人の話を聞いていなかったり、うまく人としゃべれなかったりすることがあるので、学校生活で困りごとが出てくるのではないかと心配でした。そのため、就学前の2月、学校の先生と就学コーディネーターの先生に個別面談をしてもらうことになりました。Upload By keiko就学前の個別面談で、これまでの経緯などを小学校の先生方に説明個別面談では、今までの経緯 (2歳まで発語がなくことばの教室に通っていたこと、保育園で集団行動ができないと言われて3歳から療育センターに行っていること)や、しのくんの特性について先生方に説明しました。また、生まれつき目の病気があるので前の席にしてほしいとも伝えました。2人の先生は、しのくんが生まれた時の状況から、現在の様子までを最後まで真剣に聞いてくださり、しのくんが楽しく学校生活を送れるよう一緒に頑張りましょうと言ってくださったので、とても安心したのを覚えています。 入学前に先生と話すことができて良かった……と心から思いました。いざ小学校入学、出だし順調でひと安心!しかし初めての授業参観で見た光景は……そして4月になり、しのくんは小学校に入学しました。保育園では行き渋りしていた時期もあったので心配していましたが、いざ学校が始まってみると行き渋りもなく、元気に通えている様子でひと安心。ところが5月、入学して初めての授業参観の時のことです。教室に行ってみると、席替えがまだ済んでいないようで、しのくんの席は前のほうではありませんでした。クラスの人数が多いこともあり、先生の目があまり届いていない様子……。Upload By keiko授業参観が始まって、しのくんの様子を見ていると……。教科書のページを開く、教材を出すなど、すべてにおいて周りの子からワンテンポ遅れているしのくん。最終的には何をすればいいのか分からなくなってしまったようで、不安そうに後ろを振り返り、「ママー」と助けを求めてきました。Upload By keiko最初はママと呼ばれても「がんばれー」と見守っていたのですが、見かねたパパが、しの君のヘルプに入っていきました。初めての参観日で、とにかくしのくんは「先生の話を聞いていない」ということが分かったのでした……。後日、先生との面談で今後のことを相談。2学期からは通級の利用も授業参観でのしのくんの様子が不安になったので、後日、担任の先生と面談をお願いしました。先生の話によると、最初の1ヶ月ほどは支援員さんが付いてくれていたが、いなくなった後に困りが出てきてしまったようでした。現在は 一番前の席にしてもらえたので、先生も こまめに声かけをしてくださっているようです。ですが、やはり一斉指示についていけないなどの困りが目立つようになってきたので、2学期から学校内に設置されている通級指導教室に通うことになりました。いろいろと不安もあるため、月に一度は面談を希望し、授業の様子や学校での様子を教えてもらうことにしました。まだまだ試行錯誤しているところですが、しのくんが楽しく学校生活を送れるように、先生方とも連携しながらひきつづきサポートしていきたいと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:鈴木先生より)恐らく療育センターで医師の診察は受けているものと思われますが、学校だけではなくかかりつけ医との相談も必要です。発達検査はIQテストだと思いますが、あくまでも参考値ととらえるべきです。言葉の遅れだけでなく、先天的な目の病気もあるので、サポートが必要なお子さんだと感じました。また、2歳まで発語がなかったことから聴覚検査も必要かと思われます。先生の話を聞いていないのではなく、聞こえづらい可能性もあるからです。私の外来でも4歳で難聴が見つかり、補聴器で言語が改善した例を経験しています。教育だけでなく医療とも連携しながら、お子さんの学校生活をサポートしていけるとよいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月13日自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望するも判定委員会の結果は『不可』。「もう学校へ行けない」と泣きじゃくる娘ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみきさん。学校の勉強についていけず、登校渋りが始まってしまいました。保護者とみきさんは少人数で見てもらえる自閉症・情緒障害特別支援学級への転学を希望したのですが、判定委員会の結果はなんと「不可」。転学できないと知ったみきさんは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」とパニックに……。果たしてみきさんはつらい思いを抱えたまま、学校へ行かなければいけないのでしょうか。以下からマンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編 第4話(最終話)をお届けします。マンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編 第4話(最終話)Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談教育委員会へ直接申請。判定は……?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談担任の先生の言葉。くやしさ、悲しみで涙が止まらない……!Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談知的障害特別支援学級へ転籍がかなったみき発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー「発達障害の子どもと私たち」みき編第4話(最終回)をお届けします。みきさんは、5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受け、小学校では通級指導教室へ通いながら通常学級に所属していました。ですが、学校の集団授業についていけなくなった小学4年生から登校渋りが始まり、特別支援学級への転籍を考えるように。しかし、希望した自閉症・情緒障害特別支援学級への判定は不可となってしまい、「クラスが変わればきっと楽になる」と思っていたみきさんは、その結果を聞いて取り乱してしまい――。知的障害特別支援学級への入級が許可されたみきさん。IQが境界領域でも通常学級判定になる場合もありますので、みきさんの場合はIQだけでなく得意不得意の差が大きいなど面接でのど総合的に判断されたのだと考えられます。「子どもに笑顔になってほしい」と諦めずにお子さんへの最適な環境を求め続けたご家族、そしてみきさんの願いが叶いました。少人数で対応してもらえるようになり、理解のある担任の先生のもと笑顔が増え、現在は生き生きと学校に通えているそうです。次回は「発達障害の子どもと私たち」のエピローグをお届けします。はるきとみきのその後をぜひご覧ください。自閉症・情緒、知的障害などの特別支援学級の種類について【専門家解説】一般的に自閉症・情緒障害特別支援学級では、通常の学年と同じように学習内容は進行していきますが、知的障害特別支援学級については、学習の進度は学年相応というよりは本人の発達や学力に合わせて行われます。ただし、みきさんのように自閉症・情緒障害特別支援学級の条件にも当てはまり、知的障害特別支援学級の申請条件にも当てはまる場合は、クラスの人数やメンバーとの相性なども考慮してより適切な環境で学習できるように相談していくことが大切です。Upload By ユーザー体験談特別支援学級についての他の体験談は以下をご覧ください。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月12日ASD(自閉スペクトラム症)の娘は小学2年生から放課後等デイサービスを利用しています小学2年生から放課後等デイサービスを利用している娘。中学生になってから、勉強や部活で忙しくなり、長い休み期間(夏休み)などに、数日しか通えなくなりましたが、娘は今も放課後等デイサービスで過ごす時間が大好きです。娘は、ここで多くのことを学びました。放課後等デイサービスには、いろいろな子がいます。学校で、強いこだわりやパニックを起こし、周りに合わせてもらい、特別扱いが多い娘ですが、放課後等デイサービスでは、娘のような個性を持った子たちがたくさんいるため、誰も特別ではありません。自分に譲れないこだわりがあるように、周りにもこだわりを持った子がいます。Upload By SAKURAみんな、こだわる行動には理由があるということを周りの子から学び、周りの子を見て、自分のことを客観的に見ることができるようになりました。Upload By SAKURAUpload By SAKURA中学生になった娘の放課後等デイサービスでの過ごし方は……中学生になってからは、すっかりお姉さんポジションになり、小さい子たちに合わせることが多くなった娘。小学生の子たちと一緒に遊ぶのは、楽しいのですが、長時間だと疲れてしまうそうです。Upload By SAKURAそんな時は、先生方が考慮してくれ、離れた部屋や1人になれる場所を用意してくれ、静かに過ごせるようにしてくれます。Upload By SAKURA娘が小学2年生の時からずっと同じ先生が見てくれているため、娘のことはよく理解してもらっています。どう声をかけたらいいか、どう接したらいいか、どんなことが好きか……中学生になって、こだわりやパニックがある程度落ち着いても、配慮は変わらず温かいです。今の娘があるのも、放課後等デイサービスで過ごした時間があるからだと思っています。親の私では、教えることができなかったことを、周りの先生や友達から学ぶことができた娘。あの時、放課後等デイサービスに通うという判断をして、本当に良かったと思っています。執筆/SAKURA(監修:藤井先生より)放課後等デイサービスを利用することで、先生がSST(ソーシャルスキルトレーニング)を行ってくれていた様子が伝わってきました。放課後等デイサービスでは何をしているのか、利用したほうが良いのかと、相談を受けることがあります。利用者が多く、空きがない現状もありますが、学校や家とは違った場所で、お子さんのペースを大切に必要なスキルを少しずつ身につけられる場所があるのはとても大切かと思います。パニックやこだわりがあっても、対処法を一緒に考えてくれる場所があるという安心感が娘さんの成長につながったのだと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月11日初めての参観日二学期が始まり、子どもたちも新しい環境に少しずつ慣れてきました。これからの季節は、学校行事も目白押しで忙しくなりそうですね。今回は、そんな行事の一つである参観日のエピソードについてお話ししたいと思います。ハジュが3歳のとき、家の近くの幼稚園に入園しました。すでにASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けていたため、入園当初から加配の先生がサポートをしてくれていました。二学期に入り、ハジュも少しずつ園生活に慣れてきました。そんな中、初めての参観日がやってきました。私は「お母さんが来た!」と喜んでくれるかな?それとも、お友達と遊んでいるかな?と、期待を胸に幼稚園へ向かいました。しかし、ハジュはいつもとは違う参観日の雰囲気に少し興奮してしまったようでした。独り言をつぶやいたり、落ち着かない様子で、教室の中を行ったり来たりしていました。Upload By スパ山ハジュのこだわり参観中も教室の中にほとんどいないハジュを追いかけて、園内を駆け回る、なんともアクティブな参観日となりました。給食の時間になってもハジュは廊下に飛び出してしまい、私はもう追いかけるのに疲れ果てていました。「どうしてこの子は、こんなに言うことが聞けないんだろう……」と、涙が出そうになりました。そのとき、クラスメイトの子が「ハジュくんはいつもこの時計が鳴るのを聞いてるんだよ」と教えてくれました。私はハジュが一体何をしたいのか分からず、ただ追いかけていただけだったことに気づかされ、ハッとしました。Upload By スパ山ハジュのルールと成長ハジュはただ自分のルールに沿って行動していただけなのかもしれません。思い返してみると、駐車場の園バスの位置が違ったり、いつも閉まっている玄関が開いていたりと、参観日ならではの「いつもと違うこと」がたくさん起こっていました。ハジュはそれを元の状態に戻そうとしていたのではないかと感じました。この気づきを先生方と共有し、振り返りや懇談を通して、ハジュもクラスのみんなも楽しく幼稚園生活を送れるようにたくさん考えました。例えば、園の一日の流れが分かる絵カードをホワイトボードの見えるところに貼るようにして、同じ絵カードを持つ加配の先生からハジュへ、見通しが持てるように活動の前に声かけをしてもらいました。また、ハジュは時計が読めたのと、決まったことに沿うのが好きだったので、「何分になったら外に行けるよ」と時間を明確にした声かけをしてもらいました。家でもカレンダーや絵カードで視覚的にアプローチするようにしました。Upload By スパ山そして、年長になって迎えた何度目かの参観日。ハジュは相変わらず走り回ったり、いつもと違う雰囲気に興奮していましたが、なんとその日、最初から最後まで教室で過ごすことができたのです!レクリエーションには参加しなかったものの、「今は教室にいる時間」ということをしっかり理解して、楽しそうに過ごしていました。ハジュの成長を目の当たりにして、私は涙が止まりませんでした。Upload By スパ山現在、小学4年生のハジュ。先日の参観日では、マイクを持って堂々と自己紹介をし、とても立派な姿を見せてくれました。あの頃、不安で悩んでいた私に「大丈夫だよ」と言ってあげたいです。Upload By スパ山執筆/スパ山(監修:鈴木先生より)教室にいられたり、自己紹介ができたりしたら「できたよ カード」(家庭版&学校版)にシールを貼ってあげましょう。家庭でできたら保護者の方が、学校でできたら担任がシールを貼って褒めてあげると自尊心が上がっていきます。こういったトークン法で自分のやったことがいいことだと気づき今後も継続してできるようになるはずです。できて当たり前だと思われがちなことも、発達が気になる子どもは努力して取り組んでいます。だからポイントが必要なのです。一つクリアしたらさらなる目標を掲げてスモールステップアップを試みていきましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月11日通信制高校のオープンキャンパスASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、中学3年生。特別支援学級に在籍している。私は太郎の中学卒業後の進路について、担任の先生、放課後等デイサービスのスタッフの方、主治医に話を聞いたり、Webサイトで高校の情報を得たりした。そして、太郎の特性を考慮し、2つの高校に絞った。家から通学時間が30分圏内の普通科高校と、通信制高校である。太郎に「高校」「オープンキャンパス」の話をすると、実際に目の前にしていないため、なんのことやらという表情になり口数が減る。それでも私は、家からの交通手段、通学時間、学校の特色、合わせて太郎になぜこの高校がいいと思ったかを説明した。そのうえで、7月半ばに初めてのオープンキャンパスに参加した。通信制高校であるが、月曜から金曜まで登校が可能な高校である。一学年が30人と少人数ということに加え、通常のクラスに入れないと感じたり苦手とする授業を受けたりする時には個別に指導していただける教室があるところが魅力だと考えていた。また、授業の開始時間が普通科高校と比べて1時間ほど遅いため、満員電車も避けられる。乗り物酔いをしやすい太郎にとっては、好条件だと考えていた。Upload By まゆん校舎に入る前から太郎は緊張していて、口数が減っていた。校舎に入ってからは在校生の実体験や先生からの学校説明があった。太郎はその時点ですでにガチガチに固まっていて、私が話しかけても首を縦に振るか横に振るかで声を出せなくなっていた。「緊張している?」と小声で声をかけると、こくんと縦に首を振った。「少し水分摂る?」と再度声かけをした。太郎は首を横に振った。1時間超の説明が終わるまで太郎はずっと声を出すことなく、緊張が伝わってきた。説明のあとには、高校の先生と簡単な三者面談が設けられていた。高校の先生との三者面談Upload By まゆんそこでも太郎の緘黙、緊張状態は変わることなく……というより、さらに強く表れた。先生が太郎に話しかけても視線も合わせることなく、下を向いたままで頷くこともやっとの状態になっていた。先生も異変に気づいた表情をされた。私はすぐに、ASD(自閉スペクトラム症)の太郎の特性を説明した。先生は「なるほど、その特性を伝えてくださっていたら、面接時にこちらも配慮いたしますので」と返事が返ってきた。そして、先生は三者面談の間で何度か太郎とコンタクトを取ろうと、さり気ない声かけに挑んでくださっている様子だった。太郎は緊張のあまりに返事をすることはできなかったが、私は先生の対応を見て少し安心した。この高校のオープンキャンパスは1度だけではなく、数回開催される。2回目は実際に体験授業を行う内容だった。三者面談の最後に、先生から「2回目のオープンキャンパスに参加したいか」という質問があった。オープンキャンパス開催の日付けや説明が書かれてある用紙が机の上にあったのだが、太郎は指さした。「数学の体験授業」だった。先生は反応した。「お、そうかそうか。数学を体験したいんだ。得意?」太郎は首を横に振った。「苦手かな?」太郎は縦に首を振った。「うん。そうか。実際体験してみよう」と先生は言った。Upload By まゆん太郎自ら2回目のオープンキャンパスの日付けを選び、体験授業の学科も選んだ。緊張している中で何も考えることができていない訳ではなかった。意思表示を少しでもできたことに、私は安心した。ただ、この状態での受験や高校生活に不安を覚えた私だった。体験授業では…そして、2回目のオープンキャンパスにも参加してきた。慣れない場所、初めて出会う人たちとのグループワーク、数学……すべてが太郎には苦手なことだった。保護者はそのグループワークを見守る形だったのだが、私は気が気でなかった。太郎は、問題が分からず固まってしまった。そこで助けてくれたのは、学校の先生とグループワークに参加していた高校生だった。ほかの生徒と比べることは良くないかもしれないが、学校の学力レベルと太郎が合っているのかを見極めることは、この先の高校生活に重要になってくると思っている。今回の授業体験では……太郎が一人浮いているようにも見えた。私の不安は募った。オープンキャンパスの帰り道、太郎は少し暗い表情をしていた。私はしばらく太郎の様子を見守り知らぬふりをして声かけもしなかったが、あまりにも声を発さなかったため、たまらず声をかけた。「ちょっとグループワークが難しかった?」太郎はこう答えた。「うん」そのひとことだけが返ってきた。ひとことに重みがあり、私も不安がまた募った。「どうしても参加が難しい時は、別のクラスに行けるって説明していたから、そうしたらいいね」その場しのぎのようなフォローの声かけに太郎はまた、「うん」それだけだった。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くん初めての高校オープンキャンパスへの参加エピソードをありがとうございます。高校という存在自体が未知で、入るには試験や面接など何らかの関門があるということは多くの子どもたちが知っているので、ただでさえ新奇の場所に苦手さを感じやすい特性がある中で、より一層不安緊張が高まってしまったことと思います。太郎くん本人の意思もあり、2回目にも参加できたのはよかったですね。場や人に慣れてきてようやく見えてくるその学校の特徴というものがあるでしょうから、複数回参加できる場合にはしてみるといいと思います。また、まゆんさんが書かれていたように、まわりの中3生がどんな感じのお子さんかということも見ておけるといいと思います。体験授業や部活体験などがあるとそのあたりが感じ取りやすくなりますね。発達障害や不登校歴のあるお子さんの場合、高校が行う説明会で説明を聞くことだけではなく、その後に開催されることの多い「個別相談会」にも参加できるとよいでしょう。まゆんさん、太郎くんははじめから参加されていて何よりです。学校生活について気になることを聞いてみることだけでなく、お子さんの特性についてや高校生活でつまずくかもしれない点について簡単に高校側に伝え、学校側の反応を見ることは大事です。今回、通信制高校を見学され、また普通科高校も検討されているとのこと。通信制と全日制普通科だと、この両者の違いは大きくは単位認定の方法です。通信制高校の場合、単位制であることが多いため、仮に何らかの単位をその学年で取得できなくとも、翌年度以降に取得すればよいということになります。全日制普通科の場合、その学年で取得する単位を1つでも落としてしまうと留年か退学になります(※全日制単位制の学校もあります)。また、単位取得にあたっても、定期試験以外にどのような評価項目があるのか(予習復習が必須、高頻度な小テストがあったり、レポートや、あるいはグループワーク、グループ研究のようなものが入っていたり、ディスカッションなどに重点を置く場合などもあり、学校ごとの特色が出やすいところです)について確認しておくことも大事です。何校か見ると、保護者の側もどんなところをよく確認したらいいかが分かりやすくなりますので、はじめから1校と決めるのではなく、複数校見てみることをおすすめします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月10日気になる様子は特になかった小1の頃。けれど小2の2者面談で……入学してから1年、コチ丸は特にこれといった問題もなく小学校に通っていました。唯一、気になっていたのは通学の班が2人だけで、班長の女の子はよくお母さんに車で送ってもらっていることでした。小1のコチ丸を1人で学校に行かせるわけにはいかないので、必然的に私が送ることになります。週に1・2回はそんなことがあり、通勤前にちょっと大変だな……と思っていました。後々、その送り癖がコチ丸の自由登校を促すきっかけの1つにもなるのですが……。それ以外は友達の家に遊びに行ったり、友達が遊びにきたり、楽しい小学生ライフを過ごしているようで私も安心していました。また児童クラブにも通っていて、基本的には放課後はそこで過ごしていたので特に悪事を働くこともなく(笑)私も安心して仕事を続けておりました。小2の夏頃のことです。担任の先生と2者面談があった際に「コチ丸くんが座って授業を受けられないときがあります」という話をされました。幸いなことに、その担任の先生は特別支援学校で働いていた経験があり、とても熱心で、コチ丸の様子をしっかりみてくれていました。座れないときや落ち着けないときがあると、段ボールで机の下を暗くして、そこにコチ丸の落ち着けるクールダウンスペースをつくるなどして、対応をしてくれていました。当時はそのような対応をしてくれていた先生に感謝と同時に、「私とコチ丸はこれからどうしたらいいのか?」という不安は日に日に募りました。Upload By あき担任の先生の勧めで児童精神科を受診することに担任の先生から、児童精神科の受診を勧められたのをきっかけに、私はコチ丸に合った病院を探し始めました。コチ丸にどんな診断が出されるのか、どんな治療をしていくのかなど全く分かりませんでしたが、私自身が若いときに鬱で精神科にかかっていたこともあり、「できるだけ薬は飲ませたくない」「カウンセリングや普段の行動から変われる方法を見つけたい」という、治療方法もまだ分からない中でも自分なりの希望がありました。しかし、児童精神科は初診まで数ヶ月待ちというところが多く、さらに自分が納得のいく病院を見つけるのにも時間がかかりました。初めてかかったのは隣町にある小児科の傍らで児童精神科を行っている病院でした。そこでコチ丸の幼少期についての聞き取りや、診察室で先生と会話する様子の観察などをしていただき、ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。診断を受けた後に起きた心境の変化当時の記憶で一番残っているのは、診断書を書いていただいた時に「あぁ、やっぱり発達障害だったんだな」というこれまでのコチ丸の様子が腑に落ちた思いと同時に、これでコチ丸も私も悪くないんだという許されたような気持ちを持ったことです。というのも、学校では担任の先生の配慮もあり、順調に過ごしているように見えたコチ丸ですが、家での様子は全く違っていたのです。宿題はやらない、片付けはできない、相変わらず気になるものがあるとすぐに手を出してしまう、外出すると姿を見失う……など、保育園の頃から変わっていない……というより、さらにパワーアップしていました。大きな声で怒鳴ったり、じっとしていられないコチ丸を宥めたりするのに疲れていた私でしたが、「自分の育て方のせいでは?」と日頃からずっと心のどこかで思い続けていました。不謹慎かもしれないですが、それらを「発達障害のせい」にできたことで、心は随分と楽になりました。また、自分自身やコチ丸に対しても、徐々に「まぁいいか」という気持ちが持てるようにもなってきました。コチ丸に、毎日寝る前には必ずするように言っていた部屋の片付けも、週1回すれば良いことにしました(自分も仕事していると週1回の掃除しかできないから)。スーパーでコチ丸が自分の好きなところに走って行ってしまっても、あえて追いかけ回すことはせず、戻ってくるまで私も好きなところを見るようにしました(もし迷子になったらどうしたらいいか、自分で考える経験も必要だと思ったので……)。特性で仕方ない部分もあるのだから、コチ丸の発達にあったレベルでできることをすれば良いやと思い、過度に焦らず、余裕をもって接することができるようになりました。Upload By あき発達障害に関する本を読み漁り、対処法を試す日々同時に、私は発達障害に関する本を買い漁り、たくさん勉強もしました。本に書いてあるさまざまな特性の中から、コチ丸に当てはまるものとその対処法を試しては失敗して……の繰り返しでした。私自身にはそれが意外にハマり、うまくいくと次はこうしてみようと考えることが楽しくなってきて、「壮大な子育て実証プロジェクト」が始まったような感じでした。コチ丸の通う小学校には診断のことは伝えたものの、小さな学校だったこともあり、通級指導教室はもちろん、特別支援学級もまだなかったので、当時はみんなと同じ授業を受けるしかありませんでした。小2の時は担任の先生がいろいろと試してくれたり、逐一報告をくれたりしていたので、学校に通うこともそこまでハードルは高いものではありませんでした。が、あんなに「イージーモード(笑)と思っていた学校」と「地獄絵図のようだった家」での生活が逆転するとは……まだ知る由もない私とコチ丸でした。わが家の「壮大な子育て実証プロジェクト」のその後「壮大な子育て実証プロジェクト」ですが、高2の現在も相変わらず続いております(離れて暮らしているので、予定していたよりはちょっとイレギュラーな環境ではありますが……)。「こう育てたらこうなるのかな?」という予測を立てながら育てていって、伏線回収のように忘れた頃に「あの時のこれが今効いてきたのか」みたいなことが多々あって面白いです。その中の1つで、「やりたいと思ったことは全てやる」をコチ丸が子どもの頃から実践し続けてきたわが家。最近、高校卒業後の進路を決める時期になって、馬の勉強をしに北海道に来たのに、「ちょっと海の勉強もいいな」と海洋学部を受けようかと相談された時にはさすがに唖然としましたが……。Upload By あき好きなことを好きなだけやらせた結果、「なんでもやれる気がする自信満々な子」が育ちつつあります(笑)。それもまた面白いな、と息子の成長を楽しんでいる母です。Upload By あき執筆/あき(監修:藤井先生より)対処法を試す日々が積み重なって「なんでもやれる気がする自信満々な子」にコチ丸さんが成長されたんですね。成長を楽しんでいるあきさんの経験が、子育て中の親御さんの励ましになりますね。私自身も読みながらとても温かい気持ちになりました。ありがとうございました。発達障害に関する本には、さまざまな対処法が載っていますが、必ずしも全ての方に効果があるとは限りません。そのため、学校などと連携しながら、少しでも効果がありそうな方法を試されるのは良いですね。受診したことで診断を受けられたのが大きな一歩だったと思います。今、お子さんが学校や園などの集団生活でうまくいかないことなどがあり、対処法が分からない場合には、受診することをお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月09日練習をせず、ずっと参加できなかった運動会ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあると言われているわが家の長男。現在は特別支援学級に通う小学1年生です。長男は、年少で入園した幼稚園が合わず、途中で退園し、別の保育園に転園しました。転園したのが年中の12月だったので、その年に予定されていた行事は全て終わっていました。そのため、長男は年長になってから初めて保育園の運動会に参加しました。Upload By プクティ幼稚園に通っていた時の運動会では、練習に参加できないからと団体競技には一切参加させてもらえませんでした。運動会の本番で、みんなに背を向けて寂しそうに座っている長男の姿を目にして、非常に残念な気持ちになったため、保育園ではそのことを説明して、ぜひ参加させてほしいとお願いをしていました。そういった経緯もあり、保育園の運動会では、きっと長男も団体競技に参加できるはず……と楽しみにしていました!Upload By プクティしかし運動会当日、団体競技には参加させてもらえず、一人体育館の隅で座っている長男の姿があり本当にショックでした……。後々先生になぜ参加させてもらえなかったのか確認したら、やはり練習に参加できなかったからとの回答があり、もっと前から先生に確認していれば良かったと心から後悔しました。保育園最後の行事は参加させてあげたい!始まった特訓運動会の次の行事は発表会。その年に保育園で行われる行事は、卒園式を除けばそれが最後となります。運動会で一人で座っていた長男の姿が目に浮かび「今度こそ絶対に全部参加させてあげたい!」と思った私は、発表会の練習が始まる頃に先生にお願いをしに行きました。Upload By プクティ発表会で発表する予定の演目、内容、楽器を全て教えてもらい「家でも練習するので、発表会では全ての演目への参加を目指していきたい」と先生に気持ちを伝えました。Upload By プクティそれからは毎日家で特訓!楽器の練習から歌の練習、劇の練習を本人が自信をもってできるようになるまで一緒に頑張り、保育園での練習にも嫌がらず参加してほしいということを長男にたくさん言い聞かせました。また、先生からのご厚意で特別に保育園での練習を見学させてもらったり、お迎えの時などに練習にどのように参加できているか確認したり、意識的に保育園の先生とのコミュニケーションを増やすようにしました。そして迎えた発表会当日……Upload By プクティそして迎えた発表会当日。そこには自信をもって発表会の演目全てに参加する長男の姿が!最後まで嫌がっていた演劇にも楽しそうに参加していて心から感動しました……!本人も発表会後、全てに参加できたことが本当にうれしかったのか、何度も発表会の話をしたり、撮影したビデオを何度も観たりしていました。今まで行事にはきちんと参加できていなかった長男が初めて全て参加できたことにより、忘れられない貴重な成功体験となりました。執筆/プクティ(監修:新美先生より)園での行事参加について、詳しく教えていただきありがとうございます。園や学校の行事は、一般の多くのお子さんがそれなりに楽しんで参加されますが、自閉特性、ADHD特性、不器用さなどのあるお子さんにとっては、いつもと違って見通しが持てない、練習が大変、興味が持てない、注目されるのが苦手、人が多いのがつらい、放送や音響の音がうるさい、などなど、書ききれないほどのトラップがあってなかなか参加できないことはしばしばあります。ただ、お子さんによっては練習には参加できなくても当日ぶっつけ本番でやってのける子もいる中で、練習に参加していないから当日の集団演技に参加させてもらえないなんて、切ない対応ですよね。めげずに、最後の発表会は準備をしっかりして臨んだプクティさんの親としての思いに心を打たれました。まだ習得していない、運動・ダンスや楽器演奏、劇のセリフなどは、集団で練習するよりも個別で練習したほうが安心して練習に専念できるので身につけやすいです。個別に練習してだいたいできるようになってから、園での集団の練習に加わるというのは、とてもよいやり方だと思います。小学校での行事でも応用できますね。身につけるのに時間がかかりそうな場合、少し早めに内容を教えてもらって、余裕をもって家で練習を始めるというのもよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月07日保護者にとってもつらい……。癇癪への対応Upload By 発達ナビPLUSお子さんの癇癪や「こだわり」にお悩みを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。例えば、・数字や食材など、特定のものに強いこだわりがある・自分の思い通りにいかないないと激しく怒る・見通しが崩れるとパニックになり、なかなか落ち着けないなどお子さんによって、さまざまな困りごとがあるかと思います。癇癪や「こだわり」への対応は、保護者にとってもエネルギーを削られるものです。特に「こだわり」によってなかなか日々の生活が前に進まない、外出先でも癇癪がある、といった場合は、家族への影響も大きいかもしれません。今回、お子さんの癇癪に対する悩みが軽減したとお話ししてくださったAさんも、以前は深く悩んでいた一人。Aさんがどのようなサポートをしたのか、ストーリー仕立てでご紹介します。ワンオペで限界のなか、相談して見えてきた「子どもなりの癇癪の理由」●Aさん(仮名)<お子さん>・3歳・ASD(自閉スペクトラム症)の疑いあり<Aさんのお悩み>・お子さんの強いこだわり・お子さんが思い通りにいかないと泣き叫ぶことがつらい・夫に相談しても理解を得られないうちの子はこだわりが強く、幼稚園から帰ると、おやつを食べる→ブロックで遊ぶ→17時に好きなテレビアニメを見る、というルーティンを守らないと気が済みません。少しでも予定が崩れると激しく怒り、特にアニメの放送がお休みになったときなどは、2時間ほど泣き叫ぶこともありました……。加えて、負けや失敗を受け入れることができず、ゲームで負けそうになると「もうやらない!」と怒ったり、工作でうまくできないとぐちゃぐちゃにしたりすることも多く、園生活は大丈夫なのかと心配になるほどでした。Upload By 発達ナビPLUSしかし、園ではとても大人しいらしく、先生から見て対応に困るような場面はないようです。また、夫は普段は深夜に帰宅し、出張も多いので癇癪を目の当たりにすることが少なく「子どもってそんなものじゃない?」と取り合わない態度でした。小児科で相談してみたこともありましたが、医師からは「ASD(自閉スペクトラム症)かもしれませんが、一旦年長さんになるまで様子をみましょう」という言葉のみでした。診断も確定せず、家族に頼れる人もおらず、一人で子どもの癇癪と向き合わざるを得ない毎日で、途方に暮れていました。Upload By 発達ナビPLUSそんな時に、専門家に自分の子どものことを相談できる「発達ナビPLUS」を知りました。こだわりと癇癪を何とかしたい一心で「専門家への相談」サービスで相談を送ったところ、・うちの子ならではの癇癪の理由の分析・家で私ができそうな手立てと改善の見通し・園との連携のコツなどが詳しく盛り込まれた回答が届いて驚きました。私は「どうにかして癇癪をやめさせたい」とばかり考えてしまっていたのですが、 「なぜこだわるのか?」理由を探ることが大事という指摘に、なるほど!と思いました。ほかにも、・聴覚と触覚の感覚過敏の可能性があるので、園での負担が大人の想像以上に大きい可能性がある・園でとても頑張っているので、家では求めるハードルを下げるほうが良いという見立てや、子どもの興味・関心を活かした目からウロコな切り替え方法も複数記載されていました。Upload By 発達ナビPLUS何度か相談を続けるうちに、癇癪・こだわりのなかにもいろいろな理由があることを知りました。回答を読み返しながら「私一人ではこんなところまで気づけなかったな」「一緒に子どものことを考えてくれるってありがたいな」と感じました。また、何かと叱ってしまうことが多く、子どもの自己肯定感の低さが心配だったので、「自己肯定感を育む関わり方」のライブ配信にも参加しました。事前質問や当日もチャットで質問できるので、他の参加者の悩みも聞くことができ「一人ではないんだ」と思え、また参考になることも多かったです。子どもも、癇癪が全てなくなったわけではありませんが、少しずつ活動を切り替えられることや、状況に応じて相手の言うことを受け入れられる場面が出てきたように感じます。遊び方もバリエーションが広がってきて、先日「ブロックでこんなの作れるかな?」とさりげなくリクエストしたら、応えてくれました。幼稚園から帰ってからのルーティンも、アドバイスの実践でだいぶ楽になってきています。発達ナビPLUSを利用することで少しずつ見通しが立ってきて、気持ちがちょっとラクになりました。今後は小学校に向けた準備や、入学後に出てくるであろう困りごとを引き続き相談させてもらいたいと思います。Upload By 発達ナビPLUS発達支援の専門家に相談できる「発達ナビPLUS」ここまで、発達ナビPLUSを利用するAさんの体験談を、ストーリー仕立てでご紹介しました。子育ては、ご家庭だけで抱え込まず、第三者に相談することがとても大切です。周囲には言いにくいことや理解してもらいにくいことでも、発達の専門家に相談することで、対応の見通しが立つことや心の負担がぐっと軽くなることもあります。発達ナビPLUSは、お子さまのサポートだけでなく、保護者の子育てに関するストレスについても寄り添います。「どう対応したらいいか?」「子どもの将来の不安を吐き出したい」といったお悩みや、子どもの理解を深めてより良い関わり方をしたい方にもおすすめです。今なら月額3,300円(税込)が初月0円になるクーポンをプレゼント中です。ぜひ、お得なこの機会に発達ナビPLUSをのぞいてみてください。クーポンコード:plus240920有効期限:2024年9月20日23時59分※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が0円 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※本サービスは1年プランです。12か月以内の解約の場合には、契約解除料として残存期間の利用料金の20%が発生いたします。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月06日