不登校の親子にとって帰省や親戚づきあいは鬼門不登校当事者やその親からこの時期よく出る話題が「お正月どうするか」ということ。私のまわりでも、不登校の子どもたちは「祖父母や親戚から学校のことを聞かれるのが嫌」「お説教をされるのが苦痛」と語っています。また心身のエネルギーが不足しているので長距離の移動に耐えられない、昼夜逆転している場合が多いので他の人のリズムに合わせるのがつらい、という事情もあります。母親からすると、自分の親や義理の親から「お正月なのに孫の顔も見せに来ないの」と責められ、「行きたくない」という子どもと自分の親の板挟みになるつらい行事となりがちです。シングルマザーであるわが家も例外ではありませんでした。娘と私のお正月お正月に私の実家に集まるのは母と私の兄弟、そして娘と私だけです。小学2年生の2学期から娘が不登校になってからは、せっかく集まっても不登校に理解が全くない兄弟と理解できない母に責められてばかり。特に兄弟が厳しく冷たい口調で、一度にごはんを食べられない娘に「なんだそのごはんの食べ方は!行儀が悪い!」と声を荒げたり、「お前はまだ学校へも行けないのか」とチクチク言うようになってお正月気分どころではありません。娘は食欲も失ってトイレや別室にこもりきりになり、私も怒り狂って喧嘩別れするように娘を連れ帰ることが続くように。それでも我慢して元旦は顔を出していたのですが、娘が中学2年生のとき、ついにはっきりと「お正月、実家に行きたくない」、「お腹の調子が悪い」と言いました。そして、その年のお正月は娘は一度も実家に行きませんでした。私だけ義理を立てるために顔を出したのですが、母と兄弟に娘のことや私たちの生活についてさんざん非難され、帰ってから何日も寝込む羽目になったのでした…。本当にお正月は帰省するもの?みんなでおせちを食べるもの?娘が不登校を始めた当時は、私自身「正月くらい自分も実家でのんびりしたい」という気持ちが強く、「ママ、おうちに帰りたい」という娘を叱り飛ばしていました。今から思うと、食事も喉を通らず、落ち着ける場所もなく、どれだけつらかったでしょう。母子で何度も苦い思いを重ね、娘が中学生になってからようやく「実家にこだわらず娘と二人でのんびり平和にお正月を過ごせたらいいんだ」と気づいてからは、自宅でおせちを用意して自分がのんびりできるような体制を整えるようになったのです。特に凝ったことはせずに娘の大好きなローストビーフを奮発し、後は簡単なお惣菜を作り置くだけのお正月。生活リズムもバラバラなので改まって挨拶することもなく、各自のペースで好きなものを食べるだけだけど、娘はホッとした笑顔で私もなんだか幸せで「これでよかったんだ」と心から思いました。「お正月は帰省してみんなでおせちを食べる」という常識に縛り付けられていたのは私だったのです。一番守らなければならなかったのは娘の心だったのに。現在高1の娘、お正月を語る高校1年生となった娘に「お正月についてどう思う?」と聞いてみました。「お正月って一家集合、一族集合っていうビッグイベントだよね。ママがそれをストレスに感じてることは見てたらわかる。嫌なことがあっても強制的に行かなければならないってつらいだろうなって思う。生きていると情報がどんどん記憶されていくの。自分の嫌な記憶とか、人から聞いて「こういうことが起こるんだな」って思ったこととかが。私にとってお正月は緊張要素として普段は無意識化に置かれている感じ。そして緊張が重なるとバーンってなっちゃう。私の精神科の先生が言っていたよね。『電車が怖い』という症状は『大丈夫』が重なると減っていくけれど、イヤなことの積み重ねだとしんどくなるって。それと正月も一緒だと思う。今までの経験で嫌になるんだよね」とても冷静に分析できていてびっくりしました。そして、「ああ、やっぱり”忘れることができない”特性があるんだな」と心が痛くなりました。これからのお正月は「今年は叔父さんがいても行くよ」という娘。「無理しなくていいんだよ」と思いますが、お年玉などいろいろなことを天秤にかけて娘が決めるのなら任せようと思います。他のご家庭でも、歳を重ねるとともに家族の関係性って変化していくと思いますし、子どもも成長していきます。祖父母とも二度と会えないわけではないし、行事に関係ない時にふらりと自分から会いに行くこともあるかもしれません。わざわざプレッシャーのかかるときに無理をさせるメリットはないのではと私は考えます。本人の気持ちを第一に、細く長く無理なくつき合っていければいいですよね。
2018年12月14日息子が受けた療育と私の思い出典 : 私の息子は自閉症スペクトラム障害と診断を受けてすぐ、3歳になると同時に早期療育を受けました。専門家から「早期療育を受けてください」と言われたのです。私はすぐに言語療法や音楽療法にアプローチし、息子にできる限りの療育を授けました。特に助けられたのはABA(応用行動分析学)でした。人と目を合わせる、人の模倣をする、人の話に耳を傾けて適切に返答をする…等々、「好ましい行動」を増やし、「好ましくない行動」を減らしていく方向で療育を進めました。それまでただただ手こずった息子の育児が、療育を受けて大きく変わりました。息子の表現力やソーシャルスキルが格段に上がったことで、パニックになることもなくなり、行動の幅もグーンと広がりました。それまで苦手だった他者との協力ができるようになったことで、出かけられる場所もやれることもどんどん増えていきました。療育を受ける前の息子は、他者との協力など全く受けつけない子どもだったため、親子で何かを一緒に楽しむということがほとんどできなかったのです。あの療育があったから、今の息子と私の生活があると思っています。療育は私たちと同じような親と子を救ってくれているに違いない。そう思っていた私にとって療育について別の考え方があるなんて思ってもみないことでした。ある小説から調べ始めた「ニューロダイバーシティ」出典 : 療育に対する別の考え方との遭遇…。それは、自閉症スペクトラム障害の子どもが主人公の海外小説を読んでいたときのことです。その小説の主人公の男の子は、幼少期から多くの療育を受け、普段の生活でも努力して「好ましい行動」をし続けていました。療育で教わった通りの行動をすると、家族は喜びます。すると、主人公の男の子が母親にこう言うのです。「自閉症(発達障害)は治すべき病気なの?」そして、自閉症は「ニューロダイバーシティ」の一つなのだと母親に訴えるのです。私はこの場面を見て、「ん?」と手が止まりました。小説の中で使われている「ニューロダイバーシティ」という言葉が気になったからです。そういえば…私は思い出しました。ここ1~2年でしょうか。発達障害関連の研究会やNPO団体等の講演会やニュースレターなどでも「ニューロダイバーシティ」という言葉をたまに見かけるようになりました。あれ?「発達障害」ではなく「ニューロダイバーシティ」?調べてみたところ「神経多様性」や「神経学的多様性」といった日本語訳があてられていました。どうやら、発達障害は脳の神経学的な構造が異なっているだけであり、病気でもなければ「治すべき」ものでもない、というような考え方がもとになって使われるようになった用語のようです。「ニューロダイバーシティ」の背景を知って、自問自答出典 : ニューロダイバーシティという言葉が生まれた背景を探っていくほど、複雑な気持ちになっていきます。そもそもの始まりは、定型発達の人たちの振る舞いやコミュニケーション手段を「正しいもの」として、発達障害の子どもたちをそこに近づけるように矯正する療育に対して発達障害当事者たちが声をあげたことがきっかけだったようです。特に「子どもの行動を変えようとする」という点で、「ABA(応用行動分析学)」は厳しい批判の対象となったようです。けれども私は覚えています。アイコンタクトを嫌がる息子がABAを受けた後に初めて目を見て話してくれて、涙が出るほど嬉しかったこと。自分の好きな話を一方的に喋るばかりでコミュニケーションがほとんど成り立たなかった息子が、きちんと私の話を聞いて応答してくれるようになったときのこと。私はABAを施してくれた先生方には足を向けて寝られないと思うほど感謝していました。私はあのとき、息子を「普通」に近づけたかっただけだったのか…?彼の神経学的な多様性を握りつぶしてしまうことをし続けてきたのか…?私は療育の成果について「息子の成長」として喜んできたことに自問自答しました。社会の変化として考える私なりの受け止め方出典 : ニューロダイバーシティの議論について知ったとき、私は何度も考えました。ではあのまま療育を受けさせずに「ありのままの息子」でいさせれば、それが発達障害という脳の多様性を尊重することになったのでしょうか。確かに息子に施した早期療育は私にとって 「定型発達」に近づけるという目的が見え隠れしていたかもしれません。けれども、療育を受けさせたことによって、辛いことばかりだった息子の育児がなんとも愛おしく充実したものに変わりました。ですから、私は個人的には療育について批判する気にはなりません。課題はあれども、私と息子のクオリティ・オブ・ライフは確かに向上したのです。「ニューロダイバーシティ」という言葉を取り上げるとき、私は療育の可否について議論するのではなく、今この言葉が日本の各所で使われ始めているということの意味について考えたいと思っています。発達障害が「障害」や「疾患」ではなく、多様性の中の一つであり、その人の生き方の一つであるという捉え方が、少しずつ浸透し始めているきざしなのかもしれません。「定型発達」に対立する言葉としての「発達障害」ではなく、究極的には誰もが「異なる」存在である――そんな考え方の潮流が社会の中で生じ始めているのかもしれません。「うちの息子は発達障害」ではなく「うちの息子はニューロダイバーシティ」と言い換えてみると、息子は異質な存在なのではなく、多様性の中の一つであるような心地よい響きがあります。神経的な多様性を表す「ニューロダイバーシティ」という言葉。それは「みんな違ってみんないい」という考え方が根底にあります。そう考えると、その子がその子らしく、尊重されて生きていくスキルをつけられる療育とニューロダイバーシティは、何ら相反するものではないように思います。私はこの二つの言葉がうまく融合し共存していくような希望ある未来を信じたいと思います。"What is Neurodiversity?"(ニューロダイバーシティとは何か)"What Is The Neurodiversity Movement and Autism Rights?"(ニューロダイバーシティ運動と自閉症者の権利とは何か?)
2018年12月13日私と娘のコミュニケーション法は?今回は、私と娘のコミュニケーションの方法についてお話したいと思います。娘の苦手をサポートする私のやり方は、「教える」というよりは『一緒にやる』という感じです。Upload By SAKURA何か娘の苦手な課題が出てきたら、どうすればわかるか考え、一緒に取り組みます。私が「先生」になるのではなく、娘と同じ位置に立つことで、そのやり方が難しくないか、理解しやすいかを娘と同じ目線で見ることができるからです。どうしたら娘が理解できるか、伝えやすいかを考え、娘のそばでそれを確かめながら、方法を模索しています。どんなことも、ありのまま伝える私は、娘に自分の気持ちを正直に話すようにしています。私が自分を抑えて接するのではなく、ありのまま接し、とにかく何でも話します。自分に余裕がないときでも、そのまま娘に伝えます。Upload By SAKURA「察して」「考えて」と言いっぱなしにすることは、私と娘の間では、ほとんどありません。それは、私が、「親だから」「大人だから」と言って自分が一歩引いたり、自分の思いを隠して娘に接することができなかったからでもあります。Upload By SAKURA私自身が、思ったことをそのまま娘に言うスタイルの方がやりやすく、娘に自分の思いを話すことで、私も冷静になれていたのです。このやり方はだんだんと、私と娘のコミュニケーションの方法として定着していきました。それが一般的に良いか悪いかは、わかりませんが、私にとって背伸びをせず、無理もしなくていい、負担にならない方法でした。親がなんでも話すことって、娘にとっては負担かも?しかし娘にとっては…?どうなんだろう?親である私が、我が子に感情をぶつけていいのか?私の負担にはならないけど、娘は負担になっているのではないか?内心そんな風に思っていたとき、こんなことがありました。娘に、宿題の「かけ算の音読」をしてもらっていたときのことです…。Upload By SAKURA私と娘の関係には、何でも【話すこと】が当たり前。自分の気持ちを話すこと、相手の気持ちを予測することが苦手な娘。いつものように、私がまず娘の気持ちを代弁し、何でこんなことをするのか、言うのか…お互いの気持ちや真意を丁寧に説明しました。目には見えない気持ちを、口に出して言うことが大事だと思っていたのです。すると…Upload By SAKURA今まで、いろんな場面で娘に話してきましたが、娘からこんな返事が返ってきたのは初めてでした。娘が私にかけてくれたこの言葉で、私は、「ちゃんと私の気持ちをわかってくれていた…話してきて良かった…」と、娘との間に信頼関係がちゃんと築けている実感を感じました。そしてまた娘が一つ大きくなったと感じました。同じ目線で一緒に取り組み、なんでも話すことで築けた信頼関係私の療育で行きついたのは…・娘の苦手も個性と認める→周りと比べることもなく、落ち込まない・同じ目線で一緒にやる→娘にとって、きついかどうかがわかりやすい・気持ちはたくさん話す→相手の気持ちを見えるようにし、予想ができるようになる+信頼関係を築くということです。同じ目線で接する…たくさん話す…と言えば聞こえはいいですが、私が大人になりきれていない面もあります(笑)だから私は、娘とよく喧嘩をします。嫌な気持ちがしたらすぐ言うからです。最近では、おしゃべりが上手になった娘から、言い返される回数も増え、もういい!とお互いそっぽを向くこともしばしば。でも築いてきた信頼関係のおかげか、最後は「大好き」とハグして終われています。Upload By SAKURA娘が教えてくれた大切なもの…といろいろと偉そうに言ってきましたが、結局は、娘が答えてくれたことと、出してくれた結果から学んだことです。私が娘からもらったものはたくさん。物事の考え方やとらえ方…一つできるたびに胸が温かくなること。…そして、人に対する優しい気持ち。私はこれからも娘からいろんなものをもらいながら、一緒に歩いていきたいと思います。
2018年12月12日夢を語る子ども達Upload By 荒木まち子先輩に触発されたらしい娘が自ら一人暮らしの計画を立てているのはとても嬉しいことです。学生時代は親がグループホームや一人暮らしの話をしても、興味をそれほど示さなかった娘でしたが、どうやら職場の先輩が実家を出た話を聞き、触発されたようです。受動型の娘は、人任せになりがちでした。遊びに行くときも友達に“ついて行く”ことが多く、時間や場所なども周りを頼ることが多くありました。でも一人暮らしをするとなれば、自らが積極的に相談機関などを利用して行動をしていかなければなりません。役所や地域の生活支援センターへは学生時代から何度か足を運んでいるので話はしやすいはずです。「保護者無し」での相談に、どんどんチャレンジしていってほしいと、頼もしく思っています。グループホームにしても、一人暮らしを始めるにしても入居時にはある程度まとまったお金が必要ですし、またその後の継続就労も必要です。何年かかるかはわかりませんが、自らの夢の実現を励みにしながら、楽しく前向きに毎日を過ごしていって欲しいと思っています。ガンバレ、娘!
2018年12月11日親子でワクワク!息子が小学生時代のクリスマスUpload By かなしろにゃんこ。毎年クリスマスにサンタさんからのプレゼントに喜んで嬉しそうにする子どもの姿を見ると、「今年もサンタを信じていて、かわいいわね♡」とほのぼのしますよね。プレゼントの準備では、子どもに内緒で買い物に行ったり、クリスマスまでの隠し場所を考えたり…と、親御さん自身も楽しんでいるのではないでしょうか。Upload By かなしろにゃんこ。息子リュウ太も、毎年サンタさんにオモチャをリクエストする手紙を書いていました。「こんなのどこに売ってるの?」というようなマニアックなリクエストの年もあって、クリスマスイブの夜、仕事が終わってから夫が必死に探してきてくれたことも。「サンタさんにもわかるオモチャにしてね~(マニアックなものは勘弁してください)」と暗に伝えてみるものの、息子は欲しいオモチャに頭の中がバラ色~~☆親の言うことなんて耳に入ってません(笑)小5の冬。ついにやって来た「サンタさんの正体って…?」Upload By かなしろにゃんこ。一年の中で一番楽しみにしているイベントのクリスマス。でも、小学5年生になった12月のある日のこと…、とうとうその日がやって来てしまいました。「お母さん、本当は親がサンタだったんだね、学校でみんなが話してたよ、オレ騙されてたわー」と言うじゃありませんか。親としては、いつまでも信じていてほしかったのですが、高学年ともなるとなかなか難しいですよね(涙)Upload By かなしろにゃんこ。クリスマスを前に、サンタさんからのプレゼントを夢見てワクワクしなくなる感じ…親としてはやっぱり残念でした。「プレゼントは自分で買うから金くれよ!」とかなっちゃうのもイヤだったので、わが家では、「信じるか信じないかはあなた次第!」ってことにしようということに。「サンタさんの存在を信じないのなら、わが家はもうクリスマスプレゼントは終了しまーす!」と伝えたところ…。息子は、「ん…?え…?それはどういうこと…?」としばらく考えはじめました。人生で初めて空気を読んで発言!?Upload By かなしろにゃんこ。そして「いや…みんなは親がサンタだって言ってたけどさ~オレは信じてるよ」と先ほどとは違う発言をポツリ。なんととっさに空気読んだんです!このとき、人生で初めて、人の話に合わせて今はこう言っておくほうが賢いだろう!と考えることができたんじゃないかと思います。息子が大きくなってから聞いてみたのですが「だってサンタ信じてないとプレゼントもらえなくなるってことだろ!親に騙されている感じはイヤだけど、そこはうまく利用したほうがいいんだなって思った」だそうで(笑)空気読むのが苦手な息子でしたが、「自分が不利になるんじゃないかな~」ってことに対して、上手く立ち回ることが少しはできるんだ!とわかった、成長を感じられた瞬間でした。ちなみに息子は、その後も空気を読み続け、なんと中学2年生までプレゼントをもらうことができたのでした。
2018年12月10日割合が多いにもかかわらず、理解されにくい発達障害のケースがある私は精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やしてきました。今は、信州大学医学部附属病院にある「子どものこころ診療部」を中心に、乳幼児から成長して大人になった方までたくさんの方たちにお会いしています。ここでは、私の臨床経験から、発達障害と診断された人たちのなかで、割合が多いにもかかわらず十分に理解されずに困っているケースについてお話ししていきたいと思います。まずは、おさらいとして「発達障害」の種類から紹介しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害など、いくつかの種類があります。そして、それぞれに特性があります。たとえば自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特性があり、ADHDには「多動性・衝動性」と「不注意」という特性があります。同じ発達障害でも、種類によって特性は違うわけです。■発達障害の基本的な特性Upload By 本田秀夫発達障害の各論だけでは説明できないことも私は、多くの方に発達障害について知っていただきたくて、これまで、自閉スペクトラム症やADHDについての本を多数出版してきました。ちなみに、自閉スペクトラム症やADHDは、「発達障害」を1本の木にたとえれば、その一部なわけです。しかし、最近、「発達障害の一部」を取り上げるだけでは、発達障害そのものを説明することが難しいし、発達障害を理解していただくのに十分ではない、と考えるようになってきました。そこで、「発達障害」そのものをタイトルにした本『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』を上梓し、発達障害のなかでも割合が多いにもかかわらず、十分に理解されていない人たちの話をまとめようと思い立ったのです。みなさんには、こんな経験はないでしょうか?本やインターネットなどで「発達障害」の解説を読んでも、その内容が自分や自分の子どもにいまひとつ当てはまらず、結局、発達障害のことがよくわからなくなってしまったというケースです。Upload By 本田秀夫ミスが多くて、コミュニケーションが苦手な人ここで、ある成人女性のケースを紹介しましょう。彼女は、仕事でミスが多く、職場でいつも苦労していました。本人はよく気をつけているつもりですが、見積書の金額を間違えたり、資料作成時に必要なページを飛ばしてしまったりします。ただ、彼女は余計なおしゃべりをせず、一生懸命に作業をするため、真面目な人と評価され、先輩にサポートされて、働いていました。ところが、キャリアを積むうちに仕事の幅が広がり、仕事量が増えると、ミスが目立つようになってきました。彼女は真面目な人でしたが、趣味がなく雑談も苦手で、社交的ではないため、「余計なおしゃべりをしない真面目な人」というよりは、「同僚とうまくコミュニケーションをとれない人」と評価されるようになっていきました。彼女は「このままでは、やっていけないのではないか」と不安を抱いています。Upload By 本田秀夫発達障害の特性が重複して現れるケースこの人が自分の生活や仕事に悩み、発達障害の可能性を考えて本やインターネットなどで解説を読んだ場合、「ミスが多い」という点を、ADHDの「不注意」の特性ではないかと感じるかもしれません。ところが、この人にはADHDの「多動性・衝動性」はあまりみられません。結果として、自分がADHDかどうか、わからなくなりそうです。いっぽう、「雑談が苦手」という点から考えていくと、自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」という特性があるようにも思えます。しかし、自閉スペクトラム症の「こだわりが強い」一面があるかというと、「趣味がない」わけですから、どちらかといえば、彼女は自分の場合、こだわりは弱いと感じています。つまり、この人の場合、自分にはADHDと自閉スペクトラム症、どちらの可能性もあるように感じながらも、どちらの確信ももてないという状態になってしまうわけです。本人は、人よりもミスが多いことや、人に比べて雑談が苦手なことによって苦しんでいます。その背景には、発達障害の可能性が感じられます。しかし、どの障害だと言い切ることができません。発達障害の一般的な解説には、この「発達障害の特性が感じられるけれど、発達障害の診断がつきにくい」タイプのことがあまり書かれていません。しかし、私はこのタイプの人も一定数いるように感じています。先ほどの女性には、ADHDと自閉スペクトラム症が「重複」しているのではないかと考えられます。そのために、ADHDの「不注意」の特性と自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」な特性がどちらもみられるのだと考えると、彼女の悩みを理解しやすくなります。また、彼女の場合、発達の特性に「強弱」の差がみられます。「不注意」と「対人関係が苦手」は強く現れていますが、「多動性・衝動性」と「こだわりが強い」ことは、弱いようです。ただし、本人が「自分には趣味がなく、こだわりは弱い」と感じている場合でも、実際にはこだわりが強いというケースがあります。人は誰でも、自分を基準にしてものごとを考えます。この人にとっては当たり前のことでも、ほかの人がみれば、こだわりとしか考えられないようなことがあるかもしれません。両親でも、わが子の見立てがそれぞれ違うことも次に、発達障害の特性を持つ、こんな男の子のケースを紹介します。その子のお父さんは「うちの子はほかの子にあまり関心を持たないし、こだわりが強いし、自閉スペクトラム症に違いない」と考えていました。いっぽう、お母さんのほうは「うちの子は落ち着きがなくて、いつもバタバタしていて、これはADHDね」と思っていたとします。同じお子さんなのに、お父さんとお母さんで見立てが違うのはなぜでしょう?それは、人は自分を基準にして相手を見るからです。この子のお父さんは、小学校のときの通信簿によく「落ち着きがない」と書かれていたそうです。お父さんからしてみると、自分を基準に考えれば、わが子は問題視するほど「落ち着きがない」ようにはみえないのでしょう。わが子の落ち着きのなさよりも、「対人関係が苦手」「こだわりが強い」という自閉スペクトラム症の側面のほうが浮き彫りになってみえたのです。いっぽう、お母さんは小さい頃から、落ち着きのあるお子さんだったそうです。そんなお母さんからしてみると、わが子はじっとしていられないし、常に関心ごとが移り変わって、十分に「落ち着きがない子」にみえたのでしょう。「自分」を基準にして考えると、同じ子どもの同じ親という立場でも、わが子への見立てが違ってきてしまうのです。この子の場合、医師に相談したところ、「自閉スペクトラム症」という診断を受けたそうです。ただし、「ピュアな自閉スペクトラム症」というよりは、ADHDの「多動性」の重複も考えたほうがいいかもしれません。発達障害の特性があって困っている人たち先にあげた成人女性のケースも、「自閉スペクトラム症」と診断された男の子のケースも、発達障害の特性に重複があって困っている人たちです。そして、 そうした重複例はかなり多いにもかかわらず、適切に理解・対応されていないケースが多くみられるのです。自閉スペクトラム症には、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そしてADHDには「うっかりミスが多い」「落ち着きがない」という特徴がみられます。「こだわりが強いこと」と「落ち着きがないこと」は、一見するとまじりあわない特徴です。一見正反対の特徴だからこそ、それらが重複すると、複雑な現れ方をして、十分に理解されなくなってしまうのです。逆にいうと、自閉スペクトラム症やADHDなどの障害特性のうち、どれか1種類だけが存在しているという場合には、非常に理解しやすくなります。なぜかというと、医学書で解説されている内容に近い行動がみられるからです。ピュアな自閉スペクトラム症、ピュアなADHDだったらもしも、先の成人女性が重複例でなかった場合には、どのように行動が変わるか、考えてみましょう。自閉スペクトラム症の単独例だった場合には、「雑談が苦手」というところは変わりませんが「ミスが目立つ」という特徴はみられなくなるでしょう。同僚に「人づき合いは悪いけど、仕事はできる人」という印象をもたれ、職場に適応できるケースも少なくありません。Upload By 本田秀夫いっぽう、ADHDの特性が単独の場合には、「ミスが目立つ」という特徴は残りますが、「雑談が苦手」ではなくなります。そうすると、同僚には「ミスはあるけど、明るくて活動的な人」という印象をもたれ、苦手な面も理解してもらえることがあります。単独例は、発達特性があるわりにはうまくいっているようにみえるかもしれません。Upload By 本田秀夫発達障害の人の悩みを理解し、支援するために、発達障害が「重複」するタイプで、「ちょっと自閉スペクトラム症で、ちょっとADHD」という人もいるのだということを、ぜひ知っておいてください。重複して現れることもある、と知っておくだけでも、発達障害の人の行動や心理を読み解くのに役立ちます。著者:本田秀夫(ほんだ・ひでお)信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長、特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事。精神科医として30年にわたり発達障害の臨床と研究に従事している。
2018年12月06日【ニュース】売り上げは支援や啓発活動に!LINEスタンプ第二弾「冬ダウン症あってもなくてもスタンプ」発売!Upload By 発達ナビニュース公益財団法人日本ダウン症協会が企画・販売しているLINEスタンプの第二弾が発売開始されました!「あけましておめでとう」「メリークリスマス」など冬に活躍するデザインはもちろん、日常的に使いやすいワードも含め、8種類が登場しました。スタンプの売り上げは、ダウン症のある人やその家族の支援、ダウン症の啓発活動などにあてられます。40種類と豊富なデザインのある第一弾もあわせてチェックしてみてくださいね。【名称】冬ダウン症あってもなくてもスタンプbyJDS【種類】8種類【価格】120円※LINE STOREのページに遷移します公益財団法人 日本ダウン症協会【ニュース】平成30年度「障害者週間」みんなでつくる共生社会〜共に生き、共に考える、明日を〜Upload By 発達ナビニュース毎年12月3日から9日までの1週間は、政府が定める「障害者週間」です。全国各地で、障害のある人の自立と社会参加の支援などに関する活動をはじめ、いろいろな行事や啓発活動が行われています。東京都で開かれる連続セミナーでは、さまざまな障害の支援に関わる8団体が参加し、学習や就労、街づくりなど多彩なテーマのセミナーが開催されます。この機会に、改めて誰もが暮らしやすい社会について考えてみませんか?■「障害者週間」作品展全国から募集し、推薦された「障害者週間のポスター」の原画などを展示【日時】2018年12月3日(月)〜9日(日) 10:00〜18:00【場所】有楽町駅前地下広場(東京都千代田区有楽町2丁目7番1号先)【入場】無料■「障害者週間」連続セミナー2日間の日程で、関係団体がセミナーを開催【日時】2018年12月6日(木)〜9日(日) 両日9:30〜18:20【場所】有楽町朝日スクエア(東京都千代田区有楽町2丁目5−1 有楽町マリオン11F)【参加費】無料【定員】各100人【問い合わせ・申込み】各主催団体へ【内容】・12月6日(木)特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構「見逃されてきた色覚障害者への社会の対応〜わかりやすいはずの色使いが混乱や危険を誘発する〜」独立行政法人国立特別支援教育総合研究所「障害のある子供の教育〜特別支援教育に関するQ&A紹介〜」公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会「読み書き障害児の教育支援〜デジタル教科書(デイジー教科書)の取組と今後の課題〜」特定非営利活動法人全国言友会連絡協議会「吃音とは〜『発達障害者支援施策』&『当事者研究』から〜」・12月7日(金)全国手をつなぐ育成会連合会「命について」結婚、出産、医療を通して、障害者の人生を考える独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「発達障害の雇用を促進するために〜雇用事例から学ぶ職場定着に向けた支援のポイント〜」社会福祉法人日本身体障害者団体連合会「ユニバーサルデザインの街づくりを考える〜好事例からみる街づくりの展望と期待〜」一般社団法人日本発達障害ネットワーク「クワイエットアワープロジェクト中間とりまとめ報告〜発達障害を手掛かりとして音環境について考える〜」※内閣府のページに遷移します【イベント】公開シンポジウム「子どもの親になること ダウン症のある子どもの父親から~子育てに関するメッセージ~」(東京都)Upload By 発達ナビニュースダウン症のある子を育てるお父さんたちのメッセージから子育てについて考えるシンポジウムが開かれます!第一部は専門家の視点から学ぶことができる父親と母親の違いに関する講演、第二部は実際にダウン症のお子さんがいる父親の講演・パネルディスカッションが予定されています。第二部で登壇されるのは、イケメンタレントあべけん太さんのお父様、出生前診断でわが子にダウン症があることがわかった方、「きょうだい児」のいる方、特別養子縁組された方の4人で、それぞれ異なる立場から「父親」についてのお話をきけそうです。【日時】2018年12月22日(土)13:00〜17:00【場所】お茶の⽔⼥⼦⼤学 ⼤学本館 3階306室(東京都⽂京区⼤塚2-1-1)【対象】どなたでも参加可能【参加費】無料【内容】第一部:「父親と母親の違いってなに?〜専門家の視点から〜」「生命倫理学からみた父親・母親」国立国際医療研究センター上級研究員高島響子先生「夫婦葛藤の心理学」山梨大学准教授・臨床心理士川島亜紀子先生第二部:「父親ってなに?〜ダウン症のある子どもの父親の視点から〜」幼児期、学童期、成人期のダウン症のお子さんがいるお父さん4人による講演。「パネルディスカッション」ダウン症のあるお子さんのお父さんたちがパネリストを務めて、「父親」をテーマにディスカッションをします。お茶の水大学大学院遺伝カウンセリング領域の三宅秀彦教授(臨床遺伝専門医)もコメントします。【お問い合わせ】Eメール: ocha.symposium1@gmail.com【申込み】2018年12月18日(火)までに事前登録をしてください。*お茶の水女子大学の申し込みフォーム(Formzuのページ)に遷移します公開シンポジウム「子どもの親になること」を開催します(12月22日(土)) | お茶の水女子大学
2018年12月05日軽症高額該当とは?難病法に基づき、難病のある人を対象とする医療費の助成制度があります。しかし、指定難病に罹患していると認められたものの、病状が「軽症」であるため重症度基準を満たせないと、医療費助成の対象とならない場合があります。「軽症高額該当」は、「軽症」でありながら症状を保つために高額の治療費を支払い続けている難病の人を医療費助成の対象として認定し、経済的負担の軽減を図る制度です。難病患者が医療費助成を受けることができる制度に「指定難病医療費助成制度」があります。その認定審査は、定められた「診断基準」および「重症度基準(症状の程度の基準のこと)」という2つの基準をもとに行われます。上記2つの基準両方を満たした人が、難病医療費助成を受け取ることができるという仕組みです。しかし、診断基準は満たしているものの、重症度基準を満たせない「軽症」という場合もあります。服薬などの適切な治療によって症状が抑えられ、通常の生活を送ることができている状態が続いている人もいます。「軽症」とはいえ、その状態を保つ治療を継続するためには、高額な医療費が必要となってきます。特に難病の場合は、治療が長期にわたることも多く、治療費は経済的に大きな負担となってしまいます。そこで平成27年1月1日より、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、その中でこうした難病でありながら、高額な治療費を支払い続けている「軽症」状態の患者の経済的負担の軽減を図るため、「軽症高額該当」という新しい制度が導入されたのです。軽症高額に該当する2つの要件出典 : 「軽症高額該当」の対象者は、臨床調査個人票(医師による、細かい調査所見を記入したもの)を審査した結果、申請した疾病の診断基準は満たすが、重症度基準(病状の程度の基準)は満たさなかった人となります。要するに、指定難病であると診断されているにもかかわらず、「軽症」(適切な治療によって症状が抑えられている)な状態であることによって、助成費が受けられないということです。「軽症高額該当」制度において、医療費の助成が受けられるかどうかは、1ヶ月あたりの難病治療にかかる医療費の総額がポイントとなります。認定の基準となるのは、申請した月以前の12ヶ月間において、申請した疾病(指定難病)にかかった医療費総額(10割負担と考えた場合)が33,330円を超える月が1年間の間に3ヶ月以上あると認められるかどうか。難病と診断されてから12ヶ月経っていない場合は、医師が難病発症と認めた月から、申請日の属する月までに医療総額費が33,330円を超える月が3回以上あった場合に対象となります。Upload By 発達障害のキホン参考:東京都福祉保健局軽症高額該当の認定および医療助成費申請の流れ出典 : 指定難病医療費助成申請をする際に、「軽症高額該当」認定申請も同時に行なうのが一般的です。これは、指定難病医療費助成と軽症高額該当の申請を別々に行うと、かなりの時間と手間がかかり、給付までに相当な時間を要することになってしまうためです。最初にどこに相談すればいいのか、どのような手順で申請するのか、申請に必要な書類、注意すべき点などを解説します。「軽症高額該当」認定および医療助成費の申請や相談の窓口は、自身の住民票のある各都道府県の保健所になります。各都道府県によっては、福祉事務所などと統合されている場合もありますので、事前に自治体のホームページなどで確認しておきましょう。「軽症高額該当」の認定申請は、医療費助成申請の手続きと同時に行うことがほとんどです。「指定難病医療費助成制度」の医療助成費申請手続きの際に、追加書類として「軽症高額該当」であることを証明するための書類を提出することで、軽症高額該当の認定確認も行われます。まず、必要書類(次項の「申請に必要な書類」参照)を揃え、各都道府県の窓口(保健所もしくは役所の福祉事務所)に提出します。「軽症高額該当とみなし、医療費助成対象である」と認定されると、都道府県から「指定難病医療受給者証」が交付されます。都道府県によって異なりますが、認定されても医療受給者証が届くまでには、ある程度の時間がかかります。医療受給者証が手元に届くまでにかかってしまった医療費に関しても、治療証明書や領収書を添付し治療費の支給申請を行えば、負担上限月額を超えた額があとから支給されます。必ず治療証明書や領収書は保存しておきましょう。ほぼすべての書類は、保健所や福祉事務所のホームページからダウンロードすることができます。都道府県によって必要な書類は多少異なってくるため、必ず担当窓口に確認しましょう。・※「臨床調査個人票」…指定医による詳細な診断書、厚生労働省のホームページからダウンロードできる。なお、平成27年1月1日以降、難病患者が特定医療費の認定申請を行う際、都道府県知事の定める指定医以外の医師が作成した臨床調査個人票(診断書)は認められない。・※「医療費申告書」…かかった医療機関に、医療機関名・治療内容・かかった医療費などを記載してもらう。必ず領収書も添付する。・支給認定申請書…患者の個人情報を自身が記入するもの。・健康保険証の写し・住民票・世帯の所得を確認できる書類※印の書類が、「軽症高額該当」認定のための追加必要書類となります。難病医療費助成制度における指定医制度について医療受給者証の有効期間は原則1年以内です。継続的に治療が必要な場合は、有効期間終了前に必ず更新手続きを行いましょう。せっかく「軽症高額該当」と認められ、医療費の助成を受けられても、更新し忘れた場合、再び新規申請しなければならないので注意しましょう。また、医療費の助成が受けられるのは、「指定医療機関」で受けた指定難病およびそれに付随して発生した傷病の治療に限られます。難病以外の風邪などの病気あるいは怪我などで、他の病院でかかった医療費は助成されません。助成を受けられる場合、自己負担額はどのくらい?「軽症高額該当」と認められ、指定難病医療費助成が受けられるようになると、各指定医療機関で受診した場合の自己負担の割合は2割に抑えることができます。そのうえで、1ヶ月間(月初~月末)の自己負担の累積額が、年齢や所得に応じた自己負担上限額に達する、あるいは超えてしまった場合でも、その月はそれ以上の費用徴収が行われません。自己負担上限月額は、所得によって基準が異なりますので、下表を参照してください。Upload By 発達障害のキホン指定医療機関を受診するごとに「指定難病医療受給者証」を提示し、自己負担上限額管理票に負担した金額を記入してもらうことで、その月ごとの自己負担の累積額を把握・管理することができます。指定難病医療受給者証の更新手続きの際には、「自己負担上限額管理票」が必要になってくるので、忘れずに記入し、必ず手元に取っておきましょう。助成の対象となるもの、ならないもの助成の対象となる医療の範囲は、「指定難病及び当該指定難病に付随して発症する傷病(公的医療保険適用外の費用やサービスは対象外)」となります。助成は、公的医療保険を使用した指定医療機関での入院や外来、および薬代や訪問看護に対して行われます。また、軽症を保っている間も、リハビリや介護が必要な場合もあります。その場合は、介護保険を利用した訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導なども給付の対象となります(指定医の承諾書が必要)。助成の対象とならないケースとして、保険診療外や当該の指定難病に起因しない傷病の診療費および指定医療機関ではない病院、薬局や訪問看護ステーション(訪問看護サービスを提供する地域の事業所)の診療等が挙げられます。例として、・指定医療機関以外での受診でかかった医療費や薬代・医療受給者証に記載されている有効期間外にかかった医療費や薬代・認定されている疾病およびそれに付随して発生する傷病以外の治療(歯の治療など)にかかった医療費や薬代・入院中の食事代(生活保護受給者は対象となる)・入院中の差額ベッド代やシーツ、テレビ、おむつなど、保険適用外の料金・往診料金で医療機関に払う、保険適用外の交通費や手数料など・臨床調査個人票などの証明書発行にかかる料金・めがねやコルセット、車椅子などの治療用補装具にかかる費用・はり、きゅう、あんま、マッサージなどの費用などは対象外となります。その人の病状や自治体によっても若干内容が異なってくるので、必ず保健所や福祉事務所の窓口に相談しましょう。まとめ難病は、治療が極めて困難で、長期にわたるケースがほとんどです。たとえ「軽症」な状態が保たれていても、そのための医療費は高額になります。医療費の助成制度を活用することで、今まで重くのしかかっていた医療費の自己負担が、3割から2割に引下げられる場合もあります。「軽症高額該当」に認定され、指定難病医療費助成を受けることができてもなお、医療費の負担が重い患者さんもいます。そういう人のために、「高額かつ長期」という制度もあります。これは、「一般所得Ⅰ(年収約160万円~約370万円で市町村民税 7.1万円未満)以上の者が、支給認定を受けた指定難病にかかる月ごとの医療費総額について5万円(10割負担の場合。実際に請求される金額が2割負担の場合、1万円という換算)を超える月が年間6回以上ある場合は、月額の医療費の自己負担を軽減する」というものです。適切な治療を受けながら、症状の安定した状態で日常生活を送り、かつ「このまま高額な治療費を払い続けるのか」という精神的負担を減らすためにも、医療費助成制度の仕組みや流れをしっかり理解しておくことはとても大切なことなのです。参考:東京都福祉保健局|軽症高額該当について参考:東京都福祉保健局参考:難病情報センター参考:大日本住友製薬参考:厚生労働省|難病対策参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会参考:東京都福祉保健局|高額かつ長期について
2018年12月04日発達障害と不眠の関係発達障害のある子どもの多くは、睡眠に何らかの問題を経験する場合が多いと言われています。不眠に悩む場合は、その原因として、感覚の過敏さなどの特性、睡眠リズムのシステムづくりに問題がある、感覚統合の未熟さによる不安感、うつなどの二次障害などが考えられます。自閉症やADHDなど、発達障害と診断された人は高い確率で睡眠の問題が起こります。特に乳幼児期には、寝つきが悪かったり、ちょっとの音で目を覚ましてしまい、途中で目を覚ますとなかなか寝ないなど、年齢相応の睡眠リズムが確立しにくい傾向が顕著にみられることも知られています。(『睡眠障害の子どもたち』大川匡子編著合同出版刊p49より)・気持ちの切り替えが困難こだわりや過集中などの特性により、寝る前にやっていたことからなかなか睡眠へと切り替えることが難しい場合があります。・感覚の過敏さ音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。・セロトニン・メラトニンなど睡眠に関連するホルモンの不足発達障害がある人は、メラトニンの量や、セロトニン・メラトニンといったホルモンの元となるトリプトファンの量が、極端に多すぎたり少なすぎたりするのではないかと考えられています。体内時計をコントロールする、これらのホルモンの不足があると、不眠や概日リズム睡眠障害になりやすくなると考えられています。参考:メラトニン | 厚生労働省参考:セロトニン | 厚生労働省参考:概日リズム睡眠障害 |厚生労働省参考:生体機能リズムの発達と自閉症 | 第11回 日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会また、感覚統合が未熟で、自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚である「固有覚」などが十分に発達していないと、自分のボディイメージがつきづらく、コントロールもうまくできません。そのために不安感があり、不眠の原因になるのではないかと言われています。発達障害の二次障害であるうつなどを発症することで、不眠につながる場合もあります。上記をはじめとして、発達障害がある子どもの不眠には、いくつかの原因が考えられています。家庭でできる不眠の対処法早寝早起き、朝食をしっかりとる、昼寝させ過ぎない、日中体を動かす、夕飯やお風呂の時間を見直すなど、まずは生活リズムを整えてみましょう。特性などによって、睡眠への切り替えが難しい場合は、入眠儀式をつくることでスムーズに眠れるようになる場合もあります。寝る前に着替えて歯を磨く、絵本を読むなどの決まりごとをつくります。毎日同じ習慣や手順で眠りにつくことで、寝るモードに気持ちが変わりやすくなります。親子のスキンシップにもなるマッサージを、入眠儀式として取り入れてみるのもよいかもしれません。子どもがどんなことをすると眠りやすいか探しながら、合うものがあれば毎日繰り返して「入眠儀式」にしていきましょう。どうしても寝つきが悪い時には無理に寝かせようとせず、思い切って起きるという方法もあります。一度部屋を明るくして布団の外に出てみたり、音楽をかけてみましょう。眠れないことで不安になり、寝ようと意識しすぎるとかえって興奮してしまい眠れなくなってしまう場合もあるからです。寝室の環境も睡眠に影響します。落ち着いて眠りにつける空間づくりと、朝起きやすくなる工夫をしましょう。ベッドは日当たりのよい場所に置きましょう。遮光性のあるカーテンをして、朝決まった時間に開け、起床時に日光を浴びるようにします。インテリアは、淡い青や黄色、アースカラーなどの穏やかで落ち着いた色を選びましょう。不安を感じやすい場合や光に敏感な場合は、天井から布などを吊って高さを抑えた空間にしたり、照明を和らげたりもできます。眠る時間には静かな環境をつくってあげましょう。また、発達障害がある子どもの中には、感覚統合が未熟なためボディイメージの弱さが不安感につながっている場合があります。そのような場合には、以下に挙げられているような、重みのある寝具や、ぴったりと体に添う寝具などを取り入れると、安心して眠れるようになる場合もあります。本研究において使用されたチェーンブランケットは睡眠に対して主観的にも客観的にも肯定的な影響を及ぼした。触覚と固有受容覚の入力の増進により、重みのあるブランケットは不眠症を減少させる上で、助けとなるかも知れない。チェーンブランケットは睡眠の質を改善させるための革新的な非薬理学的方法であり、また薬理学的方法を補完するツールとなる可能性がある。「重い(重みのある)ブランケットが不眠症の人の睡眠に与える肯定的な影響」ヨーテボリ大学・サールグレン・アカデミー・臨床神経科学・生理学、 SDSクリニック(ヨーテボリ)、リンシェーピング大学 臨床実験医療(スウェーデン)より引用家庭での対処が難しいときの相談先生活リズムの改善や、環境調整、寝具の工夫などでも不眠が解消しない場合は、家族だけで抱え込まずに、かかりつけの小児科や地域の保健センターに相談しましょう。専門的な治療が必要な場合は、専門機関や対処を教えてくれるでしょう。医療機関では、不眠の原因の確認を行い、必要に応じて治療が行われます。医療機関で行われる代表的な治療法には、次のようなものがあります。子どもの睡眠障害は、保護者の生活習慣の影響を受けやすいため、家庭の生活習慣の見直しや、子どもがうまく眠れないときのかかわり方などについての指導など、行動療法的なアプローチが有効です。そこで、保護者の睡眠に関する知識を正し、睡眠環境や生活リズムを整えることで適切な睡眠が得られるようにします。睡眠リズムを記録する睡眠表をつけることもあります。子どもの薬物治療については、医師による治療方針やケースにもよりますが、生体リズムの改善のため、メラトニンやドーパミンを薬で調整する治療法があります。また、緊張や不安が原因の場合、それを和らげるための薬が処方されることもあります。薬物治療を行う際には主治医と相談の上、用法や用量を守って進めることが重要です。朝に強い光を浴びることで体内時計がリセットされる仕組みを使い、朝、身体の中心部の体温が上昇し始める時間に、人工的につくった明るい光を浴びる治療法です。参考: 概日リズム睡眠障害と光療法 | 文部科学省参考:小児神経科医のいる病院一覧 | 日本小児神経学会不眠の際に活用できる商品なども出ています。不眠の原因によっても対処法は異なってきますが、まずはご家庭でできることを試し、それでも改善が難しいようであれば、早めに相談機関につながるようにしましょう。
2018年12月03日ホースセラピーができる放課後等デイサービスをたずねてUpload By 発達ナビ施設インタビュー千葉県、南房総。青空が広がる気持ちのいいある日、太平洋を望む高台にある牧場では、障害のある子どもたちがホースセラピーを受けていました。放課後等デイサービス「菜の花牧場」では、小学生から高校生までの障害がある子どもたちが、マンツーマンで馬と触れ合ったり、乗馬をすることができます。ホースセラピーは、馬との触れ合いや乗馬などを通して、障害がある人の身体的・心理的機能の向上をはかる、リハビリテーションの方法の一つです。ヨーロッパでは保険適用も認められています。馬に乗るときにはバランスを取る必要があり、平衡感覚や筋力、股関節の柔軟性などが養われ、体幹も鍛えられます。また、馬具を装着する際には、指先をつかう練習にもなります。また、餌やりやブラッシングなどを通して馬との距離感をつかんだり、指示を出す・ホメる・叱るなどのコミュニケーションを通して、感情表現が豊かになっていきます。いつもとは違う高い視野や、大きな馬を操れたという自信は、自己肯定感の向上にもつながります。千葉・南房総にある「菜の花牧場」Upload By 発達ナビ施設インタビュー菜の花牧場は、2017年6月にオープンしました。地域活動にも熱心に取り組む、ラジオパーソナリティーのDJ KOUSAKUさんがオーナー。障害がある子どもたちがホースセラピーを受けられる場所を、房総の地にという思いで立ち上げたそうです。20代の頃から乗馬クラブで馬とともに過ごしてきた所長の小谷さんは、その思いに惹かれ、北海道でホースセラピーを行う牧場での学びを経て、この牧場で働いています。ここでは、1時間に1組が放課後等デイサービスの枠内でホースセラピーを受けることができます。10歳のメス馬のサクと、7歳のオス馬のエムシの2頭の道産子、そして3匹の犬が、小谷さんたちスタッフとともに、子どもたちを待っています。楽しみながらさまざまな力を獲得できるホースセラピーUpload By 発達ナビ施設インタビューこの日、午後いちばんに牧場を訪れたのは、特別支援学校高等部に通う女の子。ホースセラピーを毎週1回、1年間続けています。最初は馬との距離感が分からず、餌やりもこわごわしていたけれど、今は積極的に関われるようになりました。到着したら、まずはスケジュールボードを見ながら、やることを確認します。そして、今日乗る馬を決めます。彼女が指名したのは「サク」でした。「人気なのはサク。うまく指示出しができなくても、子どもたちの思いを汲み取って動いてくれるから。エムシは動き方もダイナミックだから、体幹トレーニングにはいいんだけど。どちらの馬に乗りたいかは、子どもたちが決めるの」と、所長の小谷さんが教えてくれました。サクを外に出し、丁寧にブラッシングしてから鞍をつけます。鞍をつけるときには、金具を止めたり、細かな作業が必要です。同行していたお母さまは、「ここでホースセラピーをするようになってから、手先が器用になりました。洋服の裾をズボンにきちんと入れるとかボタンを留めるといった、身だしなみを整えるのに必要な作業が自然と上手になった」と話します。「馬に乗っているときの姿勢も見てください。すっと背筋が伸びるんです。馬に乗るようになってから、おしりもキュッと引き締まってきました。以前はつっぱりがちだった足も、やわらかく曲げられるようになってきています」とも。通常の訓練ではモチベーションがあがりにくい課題も、乗馬という”楽しい”体験を通して行うことで、より長時間集中して取り組めるためかもしれません。Upload By 発達ナビ施設インタビュー次にセラピーを受けにきたのは、ダウン症がある中学生の女の子。1時間のコマでマンツーマンでホースセラピーを受けられる菜の花牧場には週1回、預かり型で牧場の馬や犬と触れ合うこともできる療育室「なみあし」にも、週1回通っています。人やモノとの距離感をはかることが以前からの課題だという彼女。「ボール遊びをしていても、うまくボールをキャッチすることも、よけることもできませんでした。今でも、引き馬するときは距離感が難しくドキドキしてしまうようですが、たくさん引き馬をして、距離感をつかんでいってほしい」とお母さま。また、毎週1回、1時間のセラピーに集中して取り組んできたことで、徐々に体力がついてきたそう。学校でのマラソンなどでもしっかり走れるようになりました。体力がついてきたことに加えて、お母さまが成長を感じているのが、心理面。それは、馬との触れ合い、スケジュールにそって最初から最後まできちんとセラピーに取り組むなかで育まれてきました。「がまんづよくなりましたね。以前だったら気持ちがついてこなくて、途中でやめてしまったようなことも、頑張ってやり遂げようとしています。ルールを守る力もついてきました」Upload By 発達ナビ施設インタビュー2人のセラピーの様子を取材する中でも、馬との触れ合いや乗馬を通して、さまざまな力が養われていることが感じられます。菜の花牧場のホースセラピーでは、次のようなスケジュールでセラピーをすすめ、心身へのアプローチを行います。■馬にあいさつ■乗る馬を選ぶ■えさやり馬とのコミュニケーションをとり、距離感を学びます。怖い存在ではないことを理解します。■馬房から出し、つなぐ■お手入れ・ブラッシングどこをブラッシングするか、いつまでやるのかなどの見通しや、馬の生態などを伝えながら、自分で考えてお世話をできるようになるようサポートします。■鞍をつける鞍をかけたり、金具をつけるなかで、手先の力も養います。■引き馬ロープをもって馬を引いて歩きます。馬がついてくること、自分の合図で馬が止まることなどを通し、安心感を感じられ、馬に乗る自信がつきます。また、馬場の中を歩くことも体幹強化につながります。■馬に乗るスタッフが2~3名ついて、馬に乗ります。乗りながら馬上体操、体をひねって柵に設置したパネルへのタッチ、輪投げなど、感覚統合を促す動きを行います。慣れてきたら速歩なども取り入れ、バランス感覚を養います。■鞍を外す・お手入れ一つひとつの行為の中に、育みたい力・狙いがあるのです。それを、楽しみながら、体いっぱいつかいながら獲得していける。ホースセラピーは子どもたちにとって、かけがえのない体験だと、改めて感じられます。預かり型の「なみあし」もUpload By 発達ナビ施設インタビュー菜の花牧場は、1時間1コマでホースセラピーを行う「牧場」と、放課後預かり型の「なみあし」があります。1日あたり、合計10名が利用できます。「なみあし」は学校へのお迎えもあり、セラピーが入っていない時間には、「牧場」で馬たちに餌をやったり触れ合うことも。また、敷地内の畑での収穫などの機会もあるそうです。将来の生活の豊かさにもつながる乗馬は、セラピーを通して心と体を健やかに育めるという側面だけでなく、障害がある子どもたちが将来大人になったとき、生活にうるおいを与えてくれる趣味にもつながります。「娘は、”次に乗馬するのはいつ?”と楽しみにしています。これからも、友達同士誘って出掛けたりするというのは難しいと思っています。将来の余暇としても、乗馬を続けていけたらと思っています」。そう語ってくれたお母さまと、自信に満ちた顔で馬に乗る女の子を見ながら、心身を健やかに育み、「大好き、楽しい」と思える経験を、日常生活の中で無理せずできることの素晴らしさを感じました。撮影/鈴木江実子
2018年12月01日仕事フェスタ開催!発達が気になる子をサポートする仕事をしてみませんか?子どもと関わる仕事というと、どんなものを思い浮かべますか?教育・福祉の資格を活かせる仕事は、保育園・幼稚園・学校で働く仕事だけではありません。「お友達とうまく関われない」、「自分の気持ちをうまく伝えることが難しい」、「勉強につまづきがある」といった、発達が気になる子どもたちが就学前や就学後に通う事業所(児童発達支援事業所、放課後等デイサービス)が全国にあります。そうした事業所で、子どもたちをサポートする「支援の仕事」について解説・紹介するイベントを、株式会社LITALICOが開催。LITALICOのみでなく、放課後等デイサービスや児童発達支援事業を行う事業所も参加。一度に、複数の事業所の話を聞くことができます。資格を生かして、子どもたちのために働きたいならせっかく教育・福祉関連の資格を持っているのに、生かせていない…。発達が気になる子どもたちの育ちにかかわってみたい。もっとスキルアップがしたい!そんな方におすすめのイベントです。次のような思いを抱いているなら、ぜひフェスタに足を運んでみてください。・子どもに直接関わる仕事がしたい・1人1人の子どもにじっくり向き合う仕事がしたい・保育士免許や教員免許を活かした仕事をしたい・支援の仕事をすでに今しているが、別の場所で仕事がしてみたい・教育福祉心理学系の大学を出ていて、いつか人と関わる仕事をしてみたいと思っていた教育系の学校出身・資格を持っている…けれども、現在は子どもと関わる仕事をしたことがないという方から、現在、児童発達支援や放課後等デイサービスで勤務されているという方まで、大歓迎です!仕事フェスタでは、こんなことがわかる!できる!・発達が気になる子の支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)の仕事内容がわかる・実際にどんな働き先があるか、都内大手の事業所による説明を聞くことができる・主催スタッフにあなたの悩みや不安の相談ができる新しい仕事やスキルアップにチャレンジしてみたいけれど、誰に相談したらいいかわからないと、一歩を踏み出すことが難しいですよね。仕事フェスタでは、小さな疑問や不安から、最新の情報まで幅広く聞くことができます。■イベント対象者・保育士、教員免許(小中高いずれか)、社会福祉士、精神保健福祉士いずれかの資格をお持ちの方・または、児童福祉事業での実務経験2年以上ある方・または、大学・短大で教育学、心理学、社会学、社会福祉学いずれかを学んだ方・または、上記資格を取得見込みの学生の方・ほか、児童福祉の仕事に少しでも興味をお持ちの方■参加費無料★参加特典★当日参加者全員にQUOカード500円プレゼント!■開催日程2018年12月16日(日)12:00~14:00(開場11:45)※途中参加・途中退場可■会場東京都港区海岸2-6-30 MSビル5F(ゆりかもめ日ノ出駅より徒歩2分)東京湾が一望できる、おしゃれな会場での開催となります。ぜひリラックスしてお越しください。■タイムテーブル①「発達が気になる子の支援の仕事」解説ミニセミナー(~12:20)児童発達支援や放課後等デイサービスの概要や、指導員の仕事内容についてわかりやすく解説します。②事業所紹介リレー(~12:40)東京都内で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営している複数の大手事業所が、特色や魅力についてご紹介します。③個別相談会(~13:35)気になる事業所に、具体的な仕事内容や、雇用条件について、自由に話を聞くことができます。④面接会(※希望者のみ)希望があればそのまま面接を受けることも可能です。※当日、発達ナビスタッフによる相談コーナーも設置しています。※タイムテーブルは変更になる可能性がございます。■参加法人・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)・株式会社クラ・ゼミ(こどもサポート教室「きらり」)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・ハッピーテラス株式会社・株式会社SKY(みなそら園)・オークニ商事株式会社(こぱんはうすさくら)■本イベントについてのお問い合わせ先株式会社LITALICO イベント運営事務局:info_event@h-navi.jp
2018年11月30日長きに渡って私を苦しめることになる、トラウマを生んだ事故私にとっての一番古い記憶は、2歳の終わり、冬のできごと。家族で出かけようという際、何を思ったのか幼い私は「ちょっと待って、ストーブの上にあがりたい」と言い出した。両親と兄は、何の話なのか即座に理解できなかったという。そして私が石油ストーブによじのぼるやいなや、ストーブは傾き、火柱が上がった。炎が私の脚にまとわりついて、左右脚部に大やけどを追い、近くの病院に担ぎ込まれた。家族の慌てぶりが一切記憶にないのは、激しい痛みだけが頭の中を支配していたためだろう。思春期までは、脚に残ったケロイドの存在が忌まわしくてたまらなかったが、成長につれて膝の裏以外消えてしまったこともあり、成人するころには気にならなくなった。そして激痛に苦しんだという記憶はあるものの、リアルに思い出すことが不可能になり、今では「私、バカでしたよねぇ」とこの事故について笑って話すこともできる。ただし、こちらを目がけるように勢いよく立ち上ってきた火柱の様子は目に焼きつき、それに対する恐怖感は長い間消えることがなかった。天ぷら油火災の映像でフラッシュバック。事故の記憶がよみがえって…中学生のころ、報道番組であったか情報番組であったかは定かでないが、テレビ番組で防災に関する特集が組まれていた。不注意によって起こる事故、誤解されがちな防災の知識等が次々と流れてくる。それを何の気なしに眺めていた私は、ある瞬間に流れた映像を目にして凍りついた。食用油を加熱し過ぎた際に起こる、いわゆる天ぷら油火災を再現した火柱である。30年近く前の話なので、そのときの気持ちを正確に思い出すことはできない。ただ、当時家の手伝いや趣味として料理を始めていた私が、幼いころのおぞましい事故を思い出していたことはしっかり覚えている。油を使う料理、特に揚げ物は、ちょっと注意を怠るととんでもない事故になるのだと認識した。そして、怠るまいと思っていても注意力を保つことが難しい私のこと、いつこのような事故を起こすかわからない。「自分がやけどを負うだけでも怖いけど、家が火事になったり、近隣に火が及ぶなんてことがあったら取り返しがつかない!」と怯えた私は「揚げ物だけはつくるまい」と決心したのだった。22歳から一人暮らしを始めて自炊を行うようになり、その後は結婚して家事を主に担う役割も経験したが、私は一切揚げ物料理をつくらなかった。完全にトラウマというやつで、自分が揚げ物をする姿を想像しただけで、やけどをした記憶までもが蘇ってくるのだ。その度にいちいちフラッシュバックを起こして硬直していては、日常生活が成り立たない。結婚していた当時は配偶者に、後に生まれ、「とんかつであれば毎日でも食べられる」と豪語する息子にさえ、「まあそういうわけで、私にとって揚げ物ができるというのは特殊能力に等しい。外食または買って食べるものであると思ってほしい」と事情を伝え、理解してもらっていた。とはいえ周りから見たら、2歳のときのできごとなんて、とんでもなく昔の話である。人によれば、記憶に残っていなくてもおかしくはない。ゆえに私の実母は「息子の好物がとんかつなんだから、揚げ物ぐらいできるように頑張らないと」などと言う。しかし言われれば言われるほど私は頑なになった。「そんなに簡単なものではない」と。実際、わが子の好物なのだからと、自発的につくろうとしたことがあったのだが、手が震え、額に汗がにじみ、材料を並べるだけが精一杯だった。息子も特性に凸凹が…「頑張ってもできない」と「克服すべき」で揺れる心さて、わが家には学校へ行かず、自宅学習をしている9歳の息子がいる。自閉スペクトラム症(ASD)と診断され、注意欠如多動性障害(ADHD)の傾向も認められる彼は、その特性のためか、エネルギー出力に波がある。集中して大量の課題に取り組める日もあれば、充電が切れてしまったかのように何もできなくなっている日もある。タスクを後回しにしてしまうことも少なくないため、学校からいただいている課題が遅々として進まない。おまけに大好きな算数ばかりに取り組むものだから、他の教科、特に国語の漢字練習などは、まだまだ学年初めごろのページに取り組んだり取り組まなかったりといった状況だ。無論、それは「努力してもどうにもならない特性」であり、だからこそ学校生活が息苦しくなってしまったことは理解しているつもりだ。しかし、勉強につき合っているのは教育のプロでも何でもない、中卒の私。そして、私自身、家で仕事をしている身なので、きちんと見てあげられている自信が全くない。そういうときに限って「子どもが保護者の指導なくして、自分の意思で学習できるわけがない」というような、ネガティブな情報が入ってくる。やはり、毎日の学習を習慣づけるように、学ぶ教科に偏りを出さないようにと強く指導したほうがいいのかと悩んだ。息子より先に学校へ行かないという選択をしたお子さんを育てている友人に相談すると、「大丈夫だよ。うちの子も2年ぐらいは、私がいくら言っても勉強しなくて、最近ようやくフリースクールに行きたいって言い出したんだもん。放っておいても、やりたいことが見つかれば自分から勉強を始めるよ」と返ってきた。主治医の先生に聞いても、同様の答えだった。好きなことにはのめり込みやすい特性を踏まえたら、確かにそこから学習に繋がるように誘導したほうが良さそうだ。そして息子自身から「やらなくてはいけないと思っているのに、できない。これでも焦っている」という言葉を聞いている。トラウマと特性とでは少し意味合いは違うかもしれないが、私が「揚げ物ぐらいできるように頑張らないと」と発破をかけられてもできないように、息子だって、毎日の学習を習慣づけろと指導されても、「そんなに簡単なものではない」のかもしれない。何より学習をするのは息子なのだから、私がとやかく言うのはかえって悪手である可能性もある。とはいえ、積み上げた教科書やノートを枕にして寝転び、電卓をカタカタ叩きながら、焦点の合わない目で天井を見上げる息子の姿を眺めていると、果たして本当にこれで良いのかと不安が募った。突如、あっさりとトラウマを克服した私Upload By 鈴木希望話は揚げ物に戻る。つい先月、夕食の準備をしようと冷蔵庫を覗いていた私は「今夜は豚肉の野菜巻きフライをつくろう」と突如思い立ったのだ。息子にせがまれたなどといったきっかけは別段ない。ほんの1か月前の話なのに、そのときの気持ちを思い出すことができない。ただ、無性に「揚げ物をつくりたい!」という欲求に駆られたことはしっかり覚えている。揚げ物をつくる過程は、母が料理している様子を見ていたので知っている。不思議と恐怖感はなく、いつもそうであるように、淡々と調理していた。初めてのことなので、上手くできるかという不安はあったが…。生まれて初めて私がつくった揚げ物は、われながら上出来で、息子にも好評。「もしかして、これからは家でもとんかつが食べられる?」とはしゃぐような声で息子に問われ、「そうだね。頑張ってつくっていこうかな」と私は答えていた。つくろうとして材料を並べただけで、実際に火柱を見たわけでもないのにフラッシュバックに苦しみ、つくることができなかった揚げ物。「そんなに簡単なものではない」はずだったことが、実にあっさりこなせてしまった。驚きすぎて、感嘆の言葉さえ出てこなかったほどだ。トラウマについて、特別なセラピーを受けたわけでもない。無理をせず、フラッシュバックのトリガーになりそうな物事から距離を置いているうちに、時間が解決してくれたのだろう。そしてふと、「息子にも時間が必要なのかも。何かに興味を持って、意欲的に学習に取り組む日も、時間がある程度経過してから、こんなふうに突然来るのかもしれないな」と、われながら安易だが、思ったのだった。そうなる保証はどこにもないけれど、今だって息子は何もしていないわけじゃない。だったら、信じて待ってみようか。息子だって、自分の好物をつくることができない私を責めもせず、つくれるようになってほしいと催促もせず、何年も待ってくれたのだから、と。学習したい理由を、いつの間にか見つけていた息子Upload By 鈴木希望そしてその日は存外早くやってきた。とある平日、私が打ち合わせで外出をするため、息子は私の実家で過ごすことになった。準備の際、いつもだったら見向きもしない漢字ドリルを真っ先に手に取り、鞄にしまっていたのだ。おそらく私の顔に驚きの色が見られたのだろう、息子は「何をするにも読み書きって必要でしょ?あとさ、漫画を読んでいてもゲームをしていても、必ずふりがながついているわけじゃないから、漢字が読めないとそこで止まっちゃう。つまんないんだよね。自分にはそういう(読み書きの)障害はないんだから、もっと勉強しようと思った」と説明してくれた。そうか、漫画を読んだりゲームをしているとき、そんなことを思っていたのか。のめり込むものを見つけたわけではないが、私が知らないうちに学習を進めたくなるきっかけを自分から見つけていたのだ。「ふーん…そうだ、今日の晩ご飯、かつ丼にしようか。帰りに豚肉買ってくる」「やった!漢字ドリルしながら楽しみに待ってる!」以降、息子はコンスタントに偏りない学習をするようになったかというと、そんなことはない。エネルギー出力にムラがあるのはどうにもなるわけがないし、相変わらず、気がつけば算数の勉強ばかりしている。ただ、頻度は低いが、国語の学習に、自発的に手をつけるようになった。最近は学校から届いた理科の教材である電子工作を楽しむ姿も見られたし、なんとなく社会の教科書を眺めていることもある。「そういえば私も、国語辞典の書き写しばっかりしていた時期があったな」と、ふと自分が息子ぐらいの年だったころのことを思い出す。あれだって、自分が納得するまで終えられなかったし、そのためには時間が必要だった。息子にも私にも、「そんなに簡単なものではない」特性があるのだから、それぞれに見合った進み方をしていけばいい。また私がどこかからネガティブな情報を仕入れてきて、悩むことがないとは言えない。そのときはとんかつを揚げて2人で食べながら、楽しい話をしよう。そうしているうちにまた、時間が解決してくれたり、いい案が浮かぶかもしれないから。
2018年11月30日発達障害の娘、社会人になって6カ月が経ち…Upload By 荒木まち子発達障害の娘には、忘れっぽい、先の見通しが立たないと不安になる、手先が不器用などの特性があります。日々の生活していく上での困り感を減らすため、娘は小学校の時から家庭でスケジュールボードやタイマーなどを使っていました。また、高校生になると生理周期のアプリなども使って体調管理をしていましたが、社会人になってからはそれらを使っていませんでした。子どもが自ら片付けや身支度をするようになる方法~スケジュールボードをつくろう!~不調の原因がわからず不安になる娘社会人は学生のように宿題もテストもなく、生活態度を指導する”先生”もいません。自由に使えるお金が増えたことで、娘は趣味に費やす時間が増えました。働く上で趣味や余暇の時間はとても大切ですが、娘は上手く時間配分できず、寝不足気味になることもしばしばありました。また気候が不安定な時や生理前に、体調不良は顕著に表れていました。それだけが原因ではないとしても、体調が悪くなるのは「どんな時か」「何をした時」「どのような症状なのか」などを記録し視覚化することは自分を知る為にとても大切な事です。でも、タイマーやスケジュールボードの使用や体調管理表を付けることをやめていた彼女がそのことを知る由もなく、原因がわからないことで娘は不安をさらに強めていました。そこで冒頭の漫画の会話となったわけです。一方通行のサポートにならないためには私は娘が「今までのサポートや工夫は娘自身の自分の困り感を減らすためではなく、周りの人が娘を管理するために行っている」と感じていたことに驚きました。子どもに障害があると親や支援者は当然のようにサポートをしがちです。でも時には「なぜそのサポートが必要なのか」を本人に分かりやすく説明し、本人の自覚を促すことも必要なのだと気づかされました。成長に合わせて振り返りと見直しが必要成長と共に不要になるサポートや工夫も当然あります。それはとても嬉しいことです。でも継続して必要と思われることは、本人の成長に合わせて見直しながら、本人が“窮屈”“面倒”と感じないような工夫をしていくことも大切なのだとつくづく感じました。
2018年11月29日発育の遅れを指摘されてから、どうしても気になる他の子の様子娘に発育の遅れがあると指摘されたのは、2歳5か月の頃。初めて「この子は発育が遅れている」と言われた時、本当にショックでした。まさか自分の子が?なんで?と暗い気持ちになったのです。当時の私は、よく娘のことで落ち込むことがありました。私の場合、それは、娘と他の子を比べてしまう時でした。Upload By SAKURAUpload By SAKURA「あの子はできるのに、なんでうちの子はできないんだ」私の中に、他の子と同じようにできてほしい、恥ずかしいという思いが無意識に出てくるのです。落ち込む日々の中で気づいたことしかし、何度か同じことで落ち込むなかで、だんだんと私の考え方は変わってきました。Upload By SAKURA私がそう思っても、娘のプラスになることは一つもない…と気がついたのです。今、私が他の子と娘を比べることは、娘にとっても私にとっても負担にしかなりません。大事なのは、今…ではなく、これから先のこと。これから先のために、今できることは療育私と主人の目標は、「娘が大人になって社会へ出た時、自分でお金を稼ぎ、自分で生活できるようになること」でした。私たちは、ずっとそばにいて助けてあげることはできません。いつかは一人で考え、一人で行動しなければならない時が娘にもやってきます。その時が来るまで…その時が来ても娘が困らないために、私たちが娘にしてあげられることが、療育なのです。今はまだ、その過程でしかない、そう考えていたからです。Upload By SAKURA過程の段階で、他の子と比べたり、競ったりしても仕方ないとわかりました。それを自分の中で完全に消化できた時、私は娘の発育状態のことで、落ち込むことが少なくなりました。考え方を変えたら見えてきた「できること」それから不思議と、娘ができないことよりも、できることが、私の目に留まるようになりました。あぁ…こんなことができるんだ!すごいな~!と思いながら、私は、心から娘の個性を認めることができるようになったと感じました。Upload By SAKURAみんな得意があって苦手がある。娘の得意なことは伸ばしてあげればいいし、苦手なことはサポートしていけばいいのです。そう考えながら接することで、私は今、前を向いていられるのかもしれません。
2018年11月28日ときには3時間も。食事に時間がかかる娘娘は昔から食事に時間がかかる子でした。少しだけ食べては席を立ち、しばらく遊んだりトイレに行ってからまた少し食べるというのを繰り返し、ひどいときには3時間くらいかけて食べていたのです。叱ってみたり、保育園の先生のアドバイスに従ってみたりと、いろいろ試してみたのですがどうしても治りませんでした。16歳になった今では、ヘルパーさんがつくり置いてくれるおかずを、親子それぞれ自分のタイミングで食べるという生活に落ち着いています。娘は冷凍食品や自分で作ったものを食べることもあります。配膳を自分でするわけですから、自分が食べたいものを食べられる量だけよそっているはずですが、今でも食事を中断してパソコンに向かったり、トイレにこもったりする行動は変わりません。どうしてなのか?ふとした会話の中で、その答えを本人の口から聞くことができ、私は自分の考えの至らなさを思い知らされることとなりました。周りのアドバイスで親子ともにつらかった幼児・小学生の頃娘が3歳くらいの時のことです。娘の食事の様子について保育園の先生に相談したら、「お母さん、そんな食べ方を許していたらダメですよ。少しずつよそって、30分たったら片づけてしまって下さい!」ときつい口調で言われてしまいました。ちょっと悲しくなりながらも実践してみたのですが、娘の食べ方は変わらず、後からお腹が空いたとグズグズいうことが続きました。しつけのためだけに毎日何時間も時間をかけるのは私の精神が削られたので、1週間もしないうちにギブアップ。「お腹が空いた」とぐずる娘を見るのがつらかったということも大きかったですね。「私が甘すぎるからダメなのか?」と悩む日々が続きました。小学生になってからは、お盆やお正月に実家で家族が集まって食事するときに、私の弟(娘にとっては叔父)に「お前の食事態度はふざけている!」と怒られて、よけいに食事が喉を通らなくなってしまうことも。そのせいで実家で会食することを嫌がるようになり、高校生になった今でも私の弟とは顔を合わせようとしなくなりました。祖父母にも食事中に何度も席を立って戻らないことはいい顔をされず、「どうしてなのかねぇ」と困惑されていました。私も含め、娘に発達障害の診断がつく小学4年生になるまでは、誰も娘の食事がスムーズにいかない理由を理解できずにいたのです。感覚過敏やこだわりのせいだと思っていた娘が発達障害とわかってからは、感覚過敏やこだわりのせいかと思うようになりました。娘はご飯の食感にとてもこだわりがあり、よそったご飯は「すぐ」食べてしまわなければ気が済みません。冷めたご飯やおにぎり、冷凍ごはんを解凍したものも嫌がり、出来合いのお総菜も「変な味がする」と言い、食べないのです。今でもそれは基本的には変わっていません。だから家ではよそいたてのごはんと主菜だけ食べていったん食事を終えます。そしてしばらくたってからおやつ感覚で副菜を食べるのです。それが、食事に時間がかかる一因にはなっていると私は考えています。でも、原因はそれだけではありませんでした。鍵は"胃腸"にあった!16歳になった娘の口から語られた真実ある日、私が糖尿病の食事指導の一つとしてよく噛むように言われていることを話しているうちに、「あなたは昔から食事に時間をかけすぎると言われていたんだよね」という話題になりました。すると娘は、「私は一度に食べたらお腹が一杯になって苦しくなるねん。そんな状態で食卓に座り続けているのがつらいからパソコンしたりして気を紛らわせているだけど。小さなころのことは覚えてないなぁ」と言ったのです。保育園の頃「30分たったら食事を下げてください」と先生に言われた話をすると、「食事を始めるとすぐに便が出そうになってトイレにこもってしまうんだけど、ママはそんな時に戻ったら食事を下げられていたらどう思う?悲しいやろ?」と言っていました。「でも、給食はちゃんと食べられていたよね?どうして?」と聞くと、「あの頃はなぜか適応できていたんだよなぁ。どうしてかは自分ではわからないけど」とのこと。そういえば小学校の給食試食会で娘のクラスの給食風景を見たのですが、いただきますの前に「減らしてほしい人は来てください」と先生が声を掛け、みんなぞろぞろと配膳のところに並んで食べきれない分を自分で戻しているのです。これにはびっくりしたとともに、「何ていい時代になったんだ」と感動すら覚えました。そういう配慮もよかったのかもしれません。心と胃腸は結びついている思い出してみると、娘は小さなころから排便に難がある子でした。おむつは小は3歳になってすぐに取れましたが、大は5つ近くになるまではいたままでしかできない。おむつがとれても、絵本を読みながら私がトイレのそばにいないと出ない。外出先では個室に一緒に入って物語を語ってやるか、歌を歌ってあげないと出ない。ショッピングセンターのトイレや駅のトイレで歌ったこともありました。小学校に上がってからも、小1のとき先生に「先生、私、本を読みながらじゃないとうんちできない」と自分で訴え、特別に服に隠して本を持ち込ませてもらっていたようです。小学2年生で担任が変わってからは、その配慮を受けられなかったのかも知れないと思って本人に聞いてみたのですが、覚えてないと言われてしまいました。ひょっとしたら、それも不登校の理由の一つなのかもしれないと思ったのですが…。彼女の心は胃腸と常に結びついていて、今も腹痛を安定剤と胃腸科の薬とを使いこなしながらコントロールしています。どちらが効くかは本人にはわかるそうで。それでも、映画に行ったときは両方飲んで真っ青になりながら鑑賞してました。外出用のカバンにはいつもあらゆる薬が入っています。ちなみに娘が通う通信制サポート校の先生も「うちの生徒たちは腹痛持ちの子がすごく多いです」と仰ってました。心のSOSは真っ先に身体に出るもので、特に胃腸にくることが多いように思います。先生の言葉には大きく頷かされるものがありました。最後に私は娘に発達障害の診断がついた時点で思考停止して、「ああ全部発達障害のせいだったのか」と考えてしまっていたように思います。子どもの困った行動は「子どもの困っている気持ち」を表現していることが多いと気づきだしたのは最近のことです。今回のことも発達障害という切り口からだけでは見えてこないこともあると思うのです。確かに根底には発達の凸凹があるのかもしれません。だけど、本人が生まれついた体質や気質、それからきた困り感に周りがどう応えてきたのか、必要な配慮は受けられたのか、ということの方が大切なのではないでしょうか。原因は一つとは限らないし、その時分かるとは限りません。親だって判断を誤ることもあるでしょう。だけど、「まずは目の前の子どもの困り感を減らしてあげること」を一番に考えてあげたいと思いました。
2018年11月27日次男のランドセルから出てきた、1枚の人権作文ある日、双子の次男が学校から帰ってきたときのこと。ランドセルを放り出して遊びに行く次男を見送った後、私は「学校からのお便りはないかな〜」とランドセルを開けて連絡帳ケースを取り出しました。すると中には連絡帳と一緒に1枚の原稿用紙が。Upload By シュウママ開いてみるとそれは学校で書いたと思われる次男の人権作文でした。「ぼくのお兄ちゃんは自へいしょうという病気です」「いつも見ている」というタイトルで書かれたそれは「ぼくのお兄ちゃんは自へいしょうという病気です」という書き出しで始まっていました。原文をそのまま全て載せることはできませんが、それは人権作文というより、長男に対する自分の感情を綴ったものでした。「見たいテレビをやっていないと怒ってテレビを叩くお兄ちゃん」「そんな姿を見るとぼくはとても腹が立つ」…Upload By シュウママなかなか普段本人から聞くことがない素直な思いがずばりと書かれていました。けれど次男はこうも書いています。「でも本当はお兄ちゃんはとても苦しいのかもしれない」人の気持ちを受け止めるレーダー自分でわかっていて、わざと人に意地悪したり叩いたりする人は、いつかバチがあたる。「でもお兄ちゃんには悪気がない」Upload By シュウママそう書いてあったのです。怒りをうまくコントロールできない兄への理解、行動の裏にある感情や理由を考えて寄り添う力が、私が思っていたよりもずっと育っていたことに驚きました。兄の自閉症のことを自分で考えられるようになっていた次男私は学年が上がるにつれて、なんでも話してくれるわけではなくなった次男が今、発達障害の兄をどう受け止めているのか、本心がわかりませんでした。次男の置かれている環境が本人を苦しめていないだろうかとも思っていました。長男は気に入らない音楽が流れると耳をふさいで叫んだり、手当たり次第に物を投げたりします。日常的にそんな兄の姿を見るのは、やはり特殊な環境だと思うからです。発達障害のある子どもがいると、どうしても身近にいる家族は戸惑ったり、苦しい思いをすることもあります。けれど、次男の作文を見て、長男のことを対等に見ている部分があったり、気持ちを想像して思いやったりしていることもわかりました。小さいころと変わらず、まっすぐに兄を受け止めていました。そして、きょうだい児として障害のある兄の心の声に気づき、その気持ちを汲み取り、寄り添う力が育まれているのではないか、そう思ったのです。偶然見つけた1枚の人権作文が次男の成長を教えてくれ、心にほっと温かい明かりを灯してくれました。Upload By シュウママ
2018年11月23日「発達障害とは何か」 を考えるスペシャル番組ここ数年、発達障害について取り上げるテレビや書籍、ネットニュースなどが増えました。LITALICO発達ナビのユーザーの中にも、認知度が上がってきたと感じている人もいるでしょう。ですが、当事者が身近にいない人にとっては、発達障害という言葉を聞いたことがあっても「発達障害とは実際のところどういうものか?」よくわからないのかもしれません。NHKでは11月から「発達障害って何だろう」をテーマにしたキャンペーンを行っています。今まで関心のなかった人にも届くよう、さまざまな角度で発達障害について取り上げています。約20の発達障害に関連する番組が集中的に放送される中で、24日(土)には「発達障害って何だろうスペシャル」が放送されます。出演者は各界で活躍する発達障害の当事者Upload By 発達ナビニュース出演者は各界で活躍する発達障害の当事者の皆さん。エッセイストの小島慶子さんは、今年、軽度のADHD(注意欠如・多動症)があると診断されました。落語家の柳家花緑さんは、子どもの頃から読み書きに苦手があり、40歳を過ぎてからLD(学習障害)の特性を指摘されました。11月からスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」でも自身の経験を紹介してくれています。『透明なゆりかご』などの作品で知られる漫画家の沖田×華(ばっか)さんは、小学生のころにLDとADHD、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受けました。日常生活での経験を漫画で描いています。それぞれのプライベートに密着し、自身の「苦手」とどう向き合い、どう折り合いをつけているのか、たっぷり語っていただきます。また、LITALICO発達ナビでもコラムを執筆している吉川徹先生も出演されます!「周囲の人は何ができるのか」工夫を紹介する発達障害は外見からは見えにくく、周りから理解されづらいと言われています。発達障害の特性から、周囲の人と軋轢を感じ、困りごとを抱えてしまうこともあります。発達障害のある人自身、自分の特性を理解してソーシャルスキルトレーニングをしたり、トラブルにならないよう困りごとを減らす対処法を行ったりしている人もいます。また、本人の努力だけでは解決しない時、環境調整をしたり、周りの人のサポートを受けることで、うまくいく場合があると言われています。ですが、実際に何ができるのか、どうしたらサポートできるのか、周囲の人にとってはよくわからず、戸惑うこともあるでしょう。番組では発達障害のある人を多く雇用している企業の工夫もご紹介します。「周囲の人は何ができるのか」を考えるためのヒントがあるかもしれません。一緒に考えることで、サポートの輪が広がるUpload By 発達ナビニューステレビ番組は広く多くの人に届けることのできるメディアです。発達障害は自分とは遠い、関わりのないことだと感じている人にも、見てもらいやすいと言えるでしょう。また、映像で、当事者の方のリアルなケースを紹介することで、イメージしやすく理解を助けてくれるはずです。発達障害のある人がどんな風に暮らし、どんなことに悩んでいるのかを知る良い機会として、多くの方が、「発達障害って何だろうスペシャル」を見たならば。学校のママ友、電車でたまたま乗り合わせた乗客同士、よく行く商店街のお店の人…。地域で暮らしている多くの人たちが、発達障害について知っていたら、当事者にとっても心強いのではないでしょうか?発達障害のある人や、周りで暮らす人がどうしたら生きやすくなるのか、できることは何か。ぜひ、周りの人と番組を見て、一緒に考え、対話するきっかけにしませんか。・「発達障害って何だろうスペシャル」(NHK総合)2018年11月24日(土)21:00~21:49・出演者【司会】千原ジュニア、南沢奈央、塚原愛アナウンサー【ゲスト】小島慶子、柳家花緑、沖田×華【専門家】吉川徹発達障害って何だろうスペシャル【キャンペーン】発達障害って何だろう
2018年11月22日ショッピングモールが大好きなのに、長く居られない息子出典 : わが家の息子はショッピングモールに行くのは大好きですが、あっという間に疲れて真っ青になって座り込んでしまいます。言葉がまだ上手に話せなかった幼児期は、床にゴローンと転がって動かなくなったり、頭を抱えてうずくまったりして、どうしたら良いのか家族も頭を抱えたものです。また、ショッピングモールに連れて行くたびにつらかったのが、息子の「注意の転動」っぷり。多動というのは言葉の通り、常に落ち着きなく動いていることを言いますが、この「転動」は興味や視線の対象が次から次に移り変わっていくさまを言うようです。「あ!あれ!」と何かに向かって走って行ったかと思うと、「お!あれは??」と今度は全く別の方向に気を取られて走って行ってしまう…。追いかける方はたまりません。ダッシュして動き回る息子と追いかけっこをしているうちに、時間が過ぎていきました。そんなこんなで、歩き始めてから就学するぐらいまでの数年間はショッピングモールはお預けでした。最近は成長と共に息子の多動もだいぶ落ち着いてきたため、息子が行きたがるときはショッピングモールに連れて行くようになりました。「わーい、ショッピングモールだー!」と毎回喜ぶ息子。本屋さんに寄って本を買ってからペットショップに行って犬を眺める、これが息子のお気に入りのコースです。ところが、30分もすると、息子は絞り出すように言うのです。「お母さん、疲れた。もう無理だ」真っ青な顔をして座り込んでしまうのです。お腹を壊してしまったり、ベンチで寝込んでしまったりすることもあります。ショッピングモール自体は大好きなのに、どうしてこんな風に真っ青になって体調を崩してしまうのだろう…。もしや、感覚過敏の問題があるのではないか?そう思った私は、以前見つけた感覚過敏について紹介した動画を、息子と一緒に観てみることにしたのです。ショッピングモールを自閉症スペクトラム障害の子の視点で描いた動画その動画は、英国自閉症協会が2016年4月に自閉症の感覚過敏の啓発を目的に公開したものでした。息子には、「発達障害のある子が、ショッピングモールでどんな風に感じているかの動画だよ」と言って一緒に観ました。最後まで観た息子はこう言いました。「ああ、これすごくわかる。だから僕はあんなにすぐに疲れちゃうのか」 Autistic Society, UK (英国自閉症協会)“Can you make it to the end?” (「最後まで耐えられますか?」)というタイトルのこの動画。感覚過敏がある自閉症の子どもにとって、ショッピングモールがいかに刺激や情報が多すぎる場所かということがよく分かります。音、光、匂い、映像など、ありとあらゆる刺激と情報が溢れています。動画の最後、自閉症の子どもは感覚刺激の負荷が大きくなりすぎ、パニックを起こしてしまいます。それを周りの人が奇妙なものを見るような目で見ています。この場面、自分も何度も直面したことがあり、見ていてつらかったです。そして、最後のナレーションがグッときます。「僕はいたずらっ子なわけじゃないよ。自閉症なんだ」この動画は、公開からわずか4日で1,100万アクセスを獲得し、Facebookでも16万4000回もシェアされるほどの反響があったそうです。息子と一緒に観て、決めたこと出典 : 息子は自分が発達障害であることは知っており、困りごとに対処する際に動画やテレビ番組などを一緒に観て話し合うことがよくあります。テレビの発達障害特集なども、よく一緒に観ます。息子に聞くと、息子の見え方と聞こえ方は、先ほどの動画と全く同じではないようです。息子は視覚の過敏性はあまりないようで、音や細かい刺激に次々に注意を持っていかれてしまう点は動画の通りだと言っていました。この動画から、ショッピングモールというのが息子にとって情報過多な世界だということがよく分かりました。疲れて座り込んでしまったり、お腹を壊してしまったりするのは、ワガママの結果ではなく本人も困っているということも。そして、息子がショッピングモールに行きたがるときは、・目的地を決めて短時間で用事を済ませること・クールダウンすることができる場所も常に確認してから行くことこの二つを決めました。お互いに何がつらいのか理解し合えたおかげで、大好きなショッピングモールでのお買い物を我慢する必要もなくなりました。このような動画を見ながら話し合う時間は、私にとってとても大切なものです。体調を崩すから我慢させる、ではなく、感覚過敏ゆえのつらさや苦しさをうまくコントロールして楽しむためにはどうしたらいいか、そういう風な切り口で子どもと話し合いをするようにしています。
2018年11月22日発達障害がある10代対象のイベントを開催!先日、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開する朝日新聞withnewsとの共催で、発達障害のある10代向けにトークイベントを実施しました。中高生には10代ならではの悩みがありますが、発達障害がある場合、その特性ゆえの悩みやしんどさを、なかなか周囲の友達や保護者と共有できないことも。そこで、同じく発達障害がある「センパイ」たちからのメッセージを、今を生きる10代に伝えよう、という趣旨から、今回のイベントが企画されました。今回は、自分の個性を活かしてそれぞれに活躍する発達障害当事者3名をゲストにお招きし、語っていただきました。会場には、約50名の10代当事者やその保護者が参加、また、Youtubeでのリアルタイム配信では120名以上の方々にご視聴いただきました。熱のこもったイベント当時の様子をレポートします!イベント「10代のハッタツトーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」当日の動画(YouTube)連載:「できる」を広げる 発達障害を自分らしく(withnews)「苦手」を受け止めてくれる人がそばにいるUpload By 発達ナビ編集部Ayanoさんは、子どもの頃からコミュニケーションに困難を感じていました。「相手の言葉の真意もわからないし、主語が抜けると、そもそも何の話をしていたのかわからなくなってしまう。他意のない表現で相手をひどく傷つけて、自分も傷ついてしまって。自分自身では誰よりも人の気持ちに敏感なつもりだったのに、仲良くなった人もいつの間にか離れていってしまいました」小5から不登校になったAyanoさん。中学校は入学式だけしか参加できず、高校は通信制に通いましたが途中でやはり不登校に。18歳になったAyanoさんは、アスペルガー症候群を取り上げたテレビ番組を目にして、お母さんに「私もアスペルガーかもしれない」と言うも「障害なんてない」と一蹴され、病院に行きたい旨を伝えることができなくなりました。そんなAyanoさんがアスペルガー症候群とADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断されたのは2017年の3月、彼女が28歳のときのことでした。「言葉でのコミュニケーションが苦手」とはっきりわかったことにショックはなく、むしろ大きな転機になったといいます。「障害をフラットに語れる相手がいなかったので、ブログを作って発信を始め、発達障害のある人たちとの当事者会を主催するようになりました。いろいろな人と語り合うことで、悩みを共有できたり、安心感を与え合えることを知ったんです。身体と心を傷つけてまで仕事を続けるよりも、発信や表現の道に生きてみようと素直に思えたので、勤めていた会社は今年の1月に退社、発信を通じて知り合った人からプロポーズを受け3月に結婚と、人生も大きく変わりました」彼女の得意も苦手もそのまま受け止めてくれるパートナーが身近にいることで、安心してYouTubeなどを使った発信活動や、もともと好きだったダンスや絵に打ち込めるようになったとAyanoさんは語ります。この後のトークでも「できないこと」ではなく「できること」でどうやって社会とつながるかが、大きなテーマとなっていきました。「空気読めないね」と言われて…発達障害の私が顔出しできる理由さんのYoutubeチャンネル凹凸の「凸」だけで生きたっていいUpload By 発達ナビ編集部「この会場まで来るの、疲れたでしょ?」参加者へのこんな語りかけから、池田誠さんのトークは始まりました。現在41歳の池田さんは2年前に仕事での過労がたたってうつ病になり、受診した病院で医師からADHDと診断されました。それまでまったく自覚はなかったそうですが、診断を受けて思い返してみると、小学校のときの池田さんの机はいつも教壇の横で、中はプリントでぐちゃぐちゃ。大人になっても「空気が読めない」「言われたことを忘れる」など、周囲から指摘され続けてきたことが、診断を受けたことで一本の線につながったと言います。池田さんは現在、医療系の企業経営に携わりながら、発達障害当事者を支援するNPOを立ち上げ、代表を務めています。団体の理念は、国連で「障害者権利条約」が締結される際の合言葉になった“Nothing About Us Without Us”(私たちのことを私たち抜きに決めないで)。そんな池田さんが「疲れたでしょ?」と問いかけた真意はどこにあったのでしょうか。「毎日、すごく疲れるよね。でもどうしてなんだろう?僕らは凸凹が多い人間だけど、社会は凹の側しか見てくれない。凸の部分への支援が全然ないんだ。でも本当は、凹の部分ではなく凸の部分をどんどん発揮していければこんなに疲れなくてすむし、どの部分で生きていくかは自分たちで決めていいんだよね」この「疲れるよね」という言葉に、Ayanoさんが「感動して泣きそうになった」と応えた姿も印象的でした。凹を埋めようとして疲れ切ってしまうのではなく、凸を発揮するために、当事者とその周囲はどうすれば良いのでしょうか。ここで、3人目のゲスト、岩野響さんのお話へと移ります。「得意だけでも武器だ」大人になって発達障害と知った男性から君へ「小さな成功」を積み重ねるUpload By 発達ナビ編集部15歳でコーヒー屋さん「HORIZON LABO(ホライズンラボ)」を開業した岩野響さんは、小さい頃から研ぎ澄まされた味覚と嗅覚の持ち主でしたが、その反面、教室ではじっとしていられない、黒板に書かれたことをノートに書き写すことができない、そんな子どもでした。 LABO「自分ではできると思っているのに、やってみるとほかの子が当たり前にできることができない。その繰り返しで八方塞がりになっていました」ノートが取れない響さんに、担任の先生は「友だちのノートをコピーさせてもらって貼ればいんじゃない?」と提案します。親の応援だけでは足りず、友だちの手まで借りなければいけない。ショックを受けた響さんは次第にうつ傾向を示すようになり、10歳のときにアスペルガー症候群と診断されました。中学に入学し学校生活に苦しむ響さんに、お父さんが「もう学校に行かなくていいよ」と声をかけ、響さんは不登校の道を選びます。ご両親は何も強制はせず、響さんがやりたいことをするためのサポートに徹してくれたといいます。「自分は何もできないし、どうやって生きていけばいいんだろうとすごく苦しかった。でも自分のできることってなんだろう。お皿一枚洗うことから始めて、家事をするようになりました。お皿一枚でも、何かの役に立てるし人と交流することができる。今振り返れば、ささいな成功を繰り返し積むことで自信が芽生え、徐々に自分の好きなものが見つかり、打ち込めるようになったんだと思います」皿洗いから始まり家族の夕食を作るようになった響さんは、気がつけばタイカレー作りにはまっていました。毎晩タイカレーを食べさせられる日々が1か月以上も続いたときは家族もさすがに音を上げたそうですが、カレーの隠し味にコーヒーを入れたことから、響さんはしだいにコーヒーに没頭していきます。そしてある人との出会いからコーヒー焙煎を始め、自宅内に「HORIZON LABO」を開店します。とはいえ響さんもご両親も、ほかに好きなことが見つかったらコーヒー屋でなくなっても構わないと思っているそうです。実際に現在の響さんは写真を撮ったり、洋服を作ったりと興味あることにはどんどん挑戦しています。凸のタネを「どうせできない」と簡単に捨てるのではなく、軽い気持ちで育ててみることも、「疲れる」生き方から脱けだす一つの道なのかも知れません。歳コーヒー焙煎士として生きる「できない」が多かった中学時代たった一つの答えがないからこそ、語り合うUpload By 発達ナビ編集部実は、イベントに対する感想や質問は、「#ハッタツトーク」のハッシュタグをつけTwitterで投稿を呼びかけていました。3人のトークが熱を帯びていくなか、会場の参加者から「もっと10代どうしで語り合えると思っていた」というツイートが発せられて、急遽10代と保護者に分かれての、それぞれが車座になって語り合うセッションが始まりました。登壇者たちはその輪には入らず、テーマを投げかけることもしません。10代グループが気恥ずかしそうにしていたのは最初だけ、あっという間にそれぞれが自分の経験や思いを語りだします。保護者グループも教育や子どもとの接し方について、率直に話し合っていました。保護者グループのお母さんから10代グループにこんな質問がありました。「ADHDの子どもが中学で授業についていけなくなってしまい、診断を受けたらLD(学習障害)だと言われました。成績が急に落ちて、ノートを見せてもらったら真っ白だったのでわかったんですが、本人は『大丈夫』としか言いません。もしうちの子の気持ちがわかれば教えてもらえませんか?」10代グループからは「僕もなぜか勉強する気が起きない」「私も中学になったら授業中に突然眠ってしまうようになって、ノートが取れなくなった」など、体験に基づいた声が挙がりました。そのなかで、「なんで勉強をさせたいんですか?」とお母さんが逆に質問を受ける場面もありました。「勉強だけでなく人間関係を体験する意味でも、高校までは最低限行ってほしい」というお母さんの答えには、生きていく上での「凹」をなるべく減らしてあげたいと願う親心が滲んでいました。質疑応答だけでなくイベント全体を通して、結論を導き出すことよりもまずは話し合うことを大事にしようという暗黙の了解があった気がします。イベントのスポンサー紹介今回のイベントには、以下の企業の皆さまにご協賛いただきました。それぞれの企業のサービスをご紹介します!◆株式会社リクルートマーケティングパートナーズUpload By 発達ナビ編集部5教科4万本の授業動画が月額980円(税抜)で見放題の「スタディサプリ」。発達に凸凹があるお子さまに嬉しいポイントが、前の学年の戻り学習も、上の学年の先取り学習も自由自在なこと。ご自宅のパソコンやスマホで好きな時間に好きな分だけ利用でききます。分かりやすくて面白い、一流の先生による「神授業」を試してみては?◆イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社Upload By 発達ナビ編集部世界50拠点以上で語学学校を運営する他、高校交換留学、大学留学を提供するEF。EFでは英語で自分を表現する姿勢を尊重し、間違えることはむしろ歓迎されます。発達障害への理解や合理的配慮の制度が進んでいる国際環境だからこそ、伸び伸びと個性が育めるかもしれません。親子で参加できるプログラムも!ご相談(無料)はお気軽にどうぞ。◆株式会社AXTUpload By 発達ナビ編集部「個別指導のコーチング1」は発達障害・グレーゾーン専門の個別指導塾・家庭教師を提供しています。自立して学習を行うためのコーチングのノウハウを発達障害のあるお子さまの学習指導に応用しています。授業中だけでなく、授業外での週間計画を作成し、お子さまの学習習慣を築き上げていきます。中学受験・高校受験対策を行う発達障害専門の進学塾です。今回のイベントを共催させていただいた朝日新聞withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開しています。発達障害にまつわる特集も組まれているので、ぜひご覧ください。「#withyou」~きみとともに~記事一覧2019年5月頃まで視聴可能ですイベント「10代のハッタツトーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」当日の動画(YouTube)取材・文/柳瀬徹撮影/鈴木江実子
2018年11月21日Q. 学習障害(LD)にはどんな種類があるのですか?A. 学習障害(LD)はいくつかの分類法があり、名称や分類はさまざまですが、以下の3つのタイプに大きく分けられます。・読字障害(ディスレクシア)…読むことの困難・書字表出障害(ディスグラフィア)…書くことの困難・算数障害(ディスカリキュリア)…計算の困難、数字の概念Upload By 井上 雅彦学習障害は学校などで読み・書き・算数といった学習のメインとなる部分で困りごとに直面することが多いので、その困りごとのタイプによって分類されることが一般的です。人によって程度やあらわれる困りごとはさまざまで、一つだけではなく、重なってあらわれる場合もあります。また、下の図に示す通り、教育現場や法律、医療の場によっても呼び方や概念が変わり、統一された分類がないのが現状です。分類や診断名だけにこだわリ過ぎず、困難がどこにあるか、その背景要因によってどのタイプに当てはまるのかを早期に理解し、工夫して対処することが学習障害のある子どもをサポートするためにとても重要です。Upload By 井上 雅彦【図解】学習障害(LD)とは?イラスト図解でポイントを解説!ディスレクシア(読字障害・読み書き障害)とは?症状の特徴や生活での困りごとは?「書くのが苦手」はディスグラフィア(書字障害)かも?症状、原因、困りごと、対処法まとめ算数障害(ディスカリキュリア)とは?症状、診断、対処法まとめ(8)LD、ADHDの教育 | 文部科学省
2018年11月21日「発達障害って何だろう」。テーマは、発達障害を多くの人に知ってもらうことUpload By 発達ナビニュースーーNHKでは、昨年から継続的に、発達障害について取り上げています。今回のキャンペーンでは、11月中旬を中心に、さらにたくさんの番組が放送されると伺いましたが、どんな番組がありますか?NHK 齋藤真貴さん(以下齋藤さん):「今回は、11月の中旬から、約20の番組を集中して放送します。NHKラジオ第一の「すっぴん!」や、「所さん!大変ですよ」「今夜も生でさだまさし」など、バラエティ豊かな番組で、発達障害を取り上げていきます。」ーー特集番組や「あさイチ」や「ハートネットTV」などで今までも発達障害について取り上げてきたNHK。今回のキャンペーンであえて「発達障害って何だろう」をテーマとして選んだ理由は?齋藤さん:「改めて原点からスタートしようと考えました。まず、多くの人に、『発達障害とはどんなものなのか』を知識として知っていただきたいということ。そして、知ったうえで、『発達障害って何だろう』ということを考えるきっかけになれば…という思いです。」ーーLITALICO発達ナビのユーザーさんは当事者や、家族、支援者が多いのですが、発達障害を取り上げる番組があると、たくさんの方が視聴し、感想をタイムラインにあげている実感があります。齋藤さん:「これまで発達障害に関する番組を放送すると、当事者の方々やご家族から大きな反響をいただくこともあり、大変ありがたいと思っています。しかし、当事者の方の「生きづらさ」を軽減するためには、「あまり発達障害を知らない」という周囲の人に、いかに理解をしてもらうかが大切です。そこで、今回は、普段、発達障害に関心がないという人にも、幅広く知っていただくことに挑戦したいと考えました。そうした人に、いろいろなタッチポイントを作って、何らかの形で「発達障害」に触れていただき、考えるきっかけになれば…。キャンペーンのテーマでもある「発達障害って何だろう」と考える過程に、意味があると思っています。そのために、あえて今回は一般の当事者だけでなく、エッセイストの小島慶子さんや、落語家の柳家花緑さんなど、多くの著名人に番組に参加していただいています。そういった方々の力も借りて、より多くの人たちに、繰り返しでも地道に発達障害について伝えることが重要だと考えています。」テレビ番組は、まだよく知らない、関心がない周りの人の認知度をあげて、一緒に暮らしていくために何が必要かを考えるための接点となりやすいと言えます。確かに発達障害のある方の困りごとは、本人の努力では解決しないことも多い。周りの人が知らないことで、軋轢が起きているケースもあるのではないでしょうか?困っている人を街中や職場、学校で見かけたとき「テレビで見たあの特性で困っているのかもしれない」と思い当たることができれば、どうしたらよいか、その糸口になるかもしれません。そしてそんな人が社会に増えることは、発達障害のある人にとって支えとなる場合もありますね。キャンペーンの見どころは?Upload By 発達ナビニュース番組は、キャンペーンに参加する各番組の制作チームが企画しているとのこと。キャンペーン事務局でも企画の相談を受けたり、情報を紹介したりしますが、それぞれの番組らしい切り取り方も楽しみの一つです。テレビ番組を集中的に編成することで、幅広い視聴者に出会っていただける可能性が高くなります。ひとつの番組だけでなく、様々な角度から「発達障害について」知るチャンスは貴重です。齋藤さん:「このキャンペーンは、一時的なものではなく、息の長い取り組みを目指しています。11月に集中的に番組を放送するのは、言ってみればキャンペーンのスタートをお知らせする「号令」のようなものです。その後も、例えば、2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」などは、スポット的に放送されるので、いろいろな曜日、時間帯で目にするかもしれませんね。インターネットやイベントなどでも、NHKの番組や取り組みに触れていただき、それをきっかけに、みなさん一人ひとりが、発達障害について考えていく、というようなキャンペーンにできたらいいなと。これからも多面的にキャンペーンを展開していきたいと思っています。」発達障害は外見からはわかりにくいと言われています。特に、関心や接点のない人の理解を得ることは簡単ではありません。そんな時、テレビ番組で多様な角度から発達障害について映像で伝えてくれたなら…「発達障害とは何だろう」その言葉は、きっと多くの人の考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。キャンペーンの概要Upload By 発達ナビニュース24日の特番「発達障害って何だろうスペシャル」を始め、さまざまなラインナップで番組が放映されます。番組放送日時はリンクからご覧ください。Upload By 発達ナビニュース放送予定・ハッシュタグで感想をつぶやこうツイッターのハッシュタグ「#発達障害って何だろう」も展開しています。Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ「#発達障害って何だろう」でぜひ感想をご投稿ください。・発達障害の情報を集めた特設ページも開設発達障害の情報を集めたウェブサイトも展開しています。発達障害の基礎的な情報や、当事者から集めた困りごとの対処法「困りごとのトリセツ」を紹介。その他関連番組の放送予定や番組内容の詳細についても情報を掲載しています。【キャンペーン】発達障害ってなんだろう(1)「発達障害って何?」Upload By 発達ナビニュース「困りごとのトリセツ」キャンペーンや関連番組の詳細は今後も随時決定していくとのこと。最新情報は上記ウェブサイトに更新されます!どうぞお楽しみに!画像提供:NHK
2018年11月20日記憶にある最初のこだわり。お気に入りのまくらとタオルケットがないと落ち着かない出典 : 私は子どものころから、気に入っている枕とタオルケットがなければ寝られませんでした。当時のお気に入りの枕は、私が好きだったキャラクターがデザインされていました。物心ついたころからずっと使っていたうえに、親が洗おうとすると私がぐずってしまうため洗うこともできず、よだれや汗で汚れきってしまっていました。洗うことを諦めた両親が枕を捨てようとしたこともありました。しかし、私が泣き叫んで抵抗したため、結局捨てることができないまま。すると、小学校に入るくらいのころに親戚が集まって私の枕を捨てるという事態にまで発展しました。この枕を捨てられるときのことは今でもよく覚えています。身体の一部を失うような強烈に嫌な気持ちで、泣き叫びながら引き離された枕を見詰めていた記憶があります。それから、同じころに使っていたピンク色のタオルケットもお気に入りでした。自分のにおいや好きな肌触りにくるまれていると安心することができたので、タオルケットはとても好きな寝具でした。このタオルケットは捨てられることなく、私が高専に入学して寮生活を始めるまで10年以上は使っていたと思います。とはいえ寮生活するころには擦り切れたり糸がほつれたりしてボロボロになっていましたが…。その後、ひとり暮らしを始めるときに両親が新しいタオルケットを買ってくれたのですが、選んでくれたのはピンク色のものでした。たぶん私がピンク色のタオルケットが好きなのだと勘違いして買ってくれたのだと思います。私としては色よりも肌触りのほうが大切だったのですが、せっかく買ってもらったものだし肌触りもよかったので特に何も言わずに10年以上たった今でも使い続けています。今でも自分のにおいがするタオルケットは安心感があって好きなんだなあ、と思います。食器のルールは、無地のものだけを必要最低限に出典 : 寝具と同じように、食器も基本的に柄のないものでそろえるなど、自分の気に入ったものしか使いませんでした。ひとり暮らしを始めたときに買ったのは、箸1膳、フォーク・スプーンそれぞれ1本、マグカップ・茶碗・どんぶりをそれぞれ1つずつ。超ミニマムなラインナップで満足している自分がいました。それから不便を感じてちょっとした皿を買ったりはしましたが、基本的に不必要な食器を増やすつもりはありませんでした。しかし、あるときから、食事の際に使う"あるもの"に対し、新たなこだわりが生まれました。それはたまたま百貨店に行ったときのこと。なんとなく立ち寄った箸コーナーで目に留まった1本を持った瞬間でした。重量バランスが軽すぎず重すぎず直感で「これだ!」と思い、つい衝動買いをしてしまったのです。普段、衝動買いをすることなんてほとんどなかったので自分でもかなり驚きました。早速、家に帰って購入した箸を使ってみたところ、とても気持ちよく食事をすることができ、箸への思いはさらに高まりました。Upload By 凸庵(とつあん)その日から箸売り場を見かけると、自然とそちらに向かって歩いて行ってしまうようになりました。先日、友人たちと出かけたときのこと。私が苦手とする人混みにいたこともあり、全然楽しくないというのが表情に出てしまっていたのが、箸売り場を見つけた途端に嬉々として箸を眺め始めたので、友人たちに呆れられてしまいました。わが家では、ほかの食器に比べて明らかに多い箸ですが、全体的に重めの箸や持ち手が重くて物をつまむところが軽いものなどさまざまなものがあります。食べるものや気分に合わせて使い分けています。友人に呆れられたとしても、豊かな食事の時間にはかえられません。「こだわり」は好きなものを大切に長く使うこととの相性が抜群!?Upload By 凸庵(とつあん)大人になってからも10年以上使っているものとして、私が社会人になって初のボーナスで買った財布があります。それまで使っていた財布は学生時代に親が買ってくれたナイロン製のもので、このころにはかなりくたびれてきていました。なので今度はしっかり長く使えるよう革の財布を購入。当時、個人的にあこがれていた長財布でした。使い心地にもすごく満足したので、数か月に一度は中身を全部出して自分でメンテナンスを続けています。たまに雑談で使っている財布の話になったときにこの財布を見せて「実は10年以上使っているんだ!」と言っても、ほとんどの人が信じてくれません。それくらい、いい状態のまま使い続けることができています。メンテナンスさえちゃんとすれば長く使える革製品と私は、もしかしたら相性がいいのかもしれないなと思っています。歳をとるにつれて変わってきたところ・変わらないところ出典 : 今振り返ってみると、子どものころは「これじゃなきゃダメ!」という感覚がとても強かったのかもしれないなと思います。つまり、身の回りのすべてのものが自分の「これじゃなきゃダメ!」に合致していないと不安になっていたのだと思います。自分でも不合理なことはよくわかっていたが、どうにも抗いようがありませんでした。しかし、年齢を重ねるにつれて、自分にとって「まあいいか」と思えることがどんどん増えていると感じています。それに伴ってどんどん生きていくのが楽になっています。私にとっての箸のように、新しいこだわりが生まれることもあるかもしれません。例え、それで周りのひとにあきれられてしまっても、私自身は、いろいろな箸を試すのは楽しいし、食事の時間がより楽しくなりました。大人になっても私の中にあるこだわりは、生活を豊かにしたり、安心を得たりするためにとても大切なものなのだと感じます。ASDの当事者が身近にいるという人の中には、こだわりが不合理に感じられることもあると思います。私のように年齢を重ねても「これじゃなきゃダメ!」と感じるところが残ることもあると思いますが、それは当事者にとってとても大切なものだと思うので、無理にやめさせようとしたりせず長い目で見て、ゆるやかに見守ってもらえたらと考えています。
2018年11月20日今までの障害を扱う番組とは違う!?「u&i」の企画に共感して監修委員に2018年にNHK Eテレで始まった「u&i」。私は民間企業にて障害児者支援をする立場から、多様性をテーマにした教育番組の監修委員を担当しています。「u&i」は感覚過敏や身体障害、発達性協調運動障害、そして今週は学習障害をテーマに、生きづらさを感じている人と周りの人の気持ちを対話しながら探る番組です。Upload By 野口あきな「多様性を大切にする社会づくりのための番組を本気でつくるんだな」それがu&iの企画について、NHKのディレクターさんにお話をお伺いした時に思った印象です。この10年間、実際の就労支援や教育現場において多くの「障害のある人」と日常的に関わる中で、社会の側にある「差別」や「偏見」というものに何度も何度もぶつかってきました。それをなくすためには、障害のある人を取り巻く社会環境の変革していく必要がある。障害のある人に日々接する機会がない人、これまで出会ったことのない一般の人に障害を広く知る機会を提供するためには、メディアの存在が重要であることは言うまでもないでしょう。一方、これまで「障害」に関する番組やメディアは、「障害のある人も頑張っている」「理解をして助けてあげよう、応援しよう」といった趣旨のようなものが多かったように思います。それに対し私自身、嫌悪感を持つことも少なくありませんでした。「障害のある人は困っているから、理解して助けよう」的なメッセージの番組だったら嫌だな、と思っていたのですが、企画を聞くとu&iは私がこれまで目にした番組とは趣旨が異なることがわかりました。多様性やちがいを大切にする社会は、綺麗なことばかりではない。その難しさに真正面から向き合い、それもそれを子どもに伝えるための番組を本気でつくるつもりだ、と思い、その気概に感激し私も監修委員としてかかわることになりました。「障害」について描くことの難しさUpload By 野口あきなメディアはその時代の人が持っている「障害者像」を反映しているように思います。あるいは、逆にメディアが時代の「障害者像」をつくっているという見方もあります。いずれにしても、多くの人が目にするメディアで「障害」が扱われる時、その番組の趣旨や描き方により、誰かが深く傷ついたり誤解を招いたりする可能性が大きくあります。例えばコメディアンのステラ・ヤングさんは健常者の感動を呼ぶために障害者をメディアに取り上げる風潮を批判し、「自分たちを『感動ポルノ』として消費しないで」と社会に投げかけました。たとえメディアをつくっている側としては、差別や偏見をなくそうという趣旨でいたとしても、日常的に障害のある人と接することのない人がその番組を見ることで、障害者像を固定化してしまったり、視聴者の感動を誘うような描き方が誰かを傷つけたりします。一言で「障害者」と言っても、実際には一人ひとり本当に異なります。例えば、車いすにのっている、同じ診断名の身体障害のある人でも、身体的な障害の状況は異なり、そして当然その人の持っている価値観や思い、感じている困難さは異なります。しかし、これまで身体障害のある人に出会ったことのない人がテレビでとある身体障害のある人を見て、その人しか知らなかったら、「すべての身体障害のある人はこういう生活をしている」と過度な一般化をしてしまう可能性があります。目に見えづらく、かつ本当に一人ひとりによって異なる「発達障害」についてあつかうことは、偏見をなくしたり必要な支援につながったりするよりも、「あの人も発達障害じゃない?」などと逆に新たな偏見を生んだり助長したりしてしまう可能性もあります。「障害」は描き方によって、それは「その場限りの感動ストーリー」で終わってしまったり、固定的なイメージをつくってしまったりします。そうなってしまうと差別・偏見をなくすような、多様性を大切にするような意識改革や行動変容にはつながりづらい。メディアに「障害」を描くことにはこのような難しさがあります。私は、それによって傷つく当事者がたくさんいる可能性を認識した上でメディアでの発信をしていかなければならない、と強く思っています。そんな中、u&iは絶妙なバランスで「障害」や「ちがい」を描いています。以下は私が思っているu&iのこだわりポイントです。「障害名」ではなくそのひとりが困っている状況とその理由にフォーカスUpload By 野口あきなu&iには、ユウとアイという登場人物が出てきます。アイはユウとの関わりや困難な状況に悩んでいます。例えば第1回の「授業に集中したいのに…(感じ方のちがい)」では、ユウの落ち着かない授業中の様子が気になり、授業に集中できないことにアイは悩んでいます。夢の世界に住むサルの妖精、シッチャカ・メッチャカと共にユウのこころの内を聞くことができる「ココロの電話」で、ユウがなぜ困っているか?を聞いてみると、ユウには画鋲がものすごく光って見えたり、太陽の光がまぶしすぎると感じることで、授業中落ち着きがなくなってしまうことが分かります。教室にいる落ち着きのない子。学校でよくある場面です。実際にはこのような状況が起きたとき、「この子は発達障害だから落ち着きがない」とその子にラベルを付けて、その子の障害を原因においてしまいがちです。そして、そのようにその子の障害に原因を置いてしまうと、具体的な解決策につながりづらくなってしまいます。しかし、u&iには障害名は出てきませんし、その子を「〇〇障害」とラベルを付けることはしません。そのため、障害名にフォーカスされず、アイとユウが実際に困っている状況、そしてその理由にフォーカスが置かれます。このような描き方により、「発達障害=〇〇」のような過度な一般化はされません。そして、アイとユウの悩んでいる状況とその理由が具体的に提示されることで、どのような工夫をしたら困らなくなるか?の具体的な解決策を考えることができます。ユウとアイは「ちがう」けど「同じ」u&iでは、ユウとアイにはちがいがあるけれど、かけ離れた存在ではないことを描いています。たとえば、第1回では、アイが悩みの解決策を考えているとき、人間の子どもに詳しいジローはかせが出てきて、「感じ方は人それぞれ」であることを「同じカレーを辛いと感じる人も甘いと感じる人もいる」と自分にも当てはまる身近な例で伝えています。ここでもし「障害」の言葉を使って説明をしたり、自分とはかけ離れた例で伝えてしまうと、あまりにもかけ離れた存在であるという印象を持つでしょう。感じ方は一人ひとり違う。そしてそれぞれ苦手なことも得意なこともある。お互いのちがいを知ることで、お互いにきもちよく過ごすことができる。「普通の人」と「普通じゃない人」がいるのではなく、だれもがちがっていて、なおかつ同じ存在であるというメッセージがちりばめられています。ユウとアイは対等で、流動的な関係性Upload By 野口あきな社会の中には障害のある人は「助けてあげるべき存在」と思っている人はすくなくないでしょう。私はそのような番組や学校の授業に非常に違和感を持っています。「助けてあげるべき存在」という考え方そのものが障害のある人を下に見ているからです。みなさんがもし街中で困っている障害のある人に出会ったとき、「助けよう」と思うと思います。それは、「困っているから」助けるのでしょうか。もしくは「障害があるから」助けるのでしょうか。たとえば障害のない、困っている人がいたらどうしますか。私は、困っているその人に障害があってもなくても助けたい、と思います。そして自分が困っていたら誰かに助けてもらいたい、と思います。私はこれまで多くの障害のある人に助けられてきました。u&iはアイとユウの対等な関係性を描いています。状況によってアイがユウを助け、ユウがアイを助ける。ユウがアイを困らせることも、アイがユウを困らせることもある。どちらかが「助ける側」、どちらかが「助けられる側」という固定的な関係性ではなく、状況によって、流動的で対等な関係性を描いています。解決策を考え続けることこそが一番大切な解決方法Upload By 野口あきなu&iの特徴的なところは、「このように接したほうが良い」や「こうするのが正しい」のように、断定的に解決方法を提示しないことです。シッチャカ・メッチャカとの会話の中で解決方法はたくさん提案されますが、「唯一の正しい答え」は提示されません。障害のある人もない人も、当然一人ひとり違う思いや考えを持っています。そしてそのときの状況や相手によって望んでいることは異なります。そのため、相手が困っているときに勝手に解決方法を決めつけてしまうのは失礼です。困っている理由も解決策も一人ひとり違う。それを前提としたとき、唯一の解決方法は、どうすればいいか、共に考え続けることではないでしょうか。キャラクターが生み出すコミカルさと親しみやすさUpload By 野口あきな「障害」や「ちがい」による困難さについてのトピックや番組は、どうしても「感動」や「重い」雰囲気に描かれがちですが、u&iでは非常にカジュアルに描かれています。冒頭からシッチャカ・メッチャカがユーモアを交えた会話をしており、見ている側はくすっと笑ってしまいます。コミカルな会話の中にさりげなく「ふつうって何?」のような本質的な問いが出てきたりします。「夢の世界」という設定や、シッチャカ・メッチャカやジローはかせの存在が、親しみやすさを感じさせているのでしょう。そして、声優をきゃりーぱみゅぱみゅさん、伊野尾慧さんがしてくださることにより、これまでこのようなテーマに触れることのなかったたくさんの方たちが見てくださっています。さいごにu&iは大人が見ても感じることがたくさんあります。そして、子どもたちには、大人の考えや感想に邪魔されずに見てほしいです。その上で、感じたことを対等にお話してもらえると嬉しいです。私は本当はこのような番組がなくても、日常的に多様なちがいと接し、知ることのできる機会がある社会をつくりたいです。そして、テレビにも映画にも障害のある人が特別ではなくふつうに出演していることが当たり前の社会にしたいです。そのために自分ができることを、u&iの監修を通じて考え続けたいと思います。【放送】Eテレ 毎週水曜 午前9:00~9:10(全10話)【声の出演】伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、きゃりーぱみゅぱみゅ、笹野高史【脚本】西田征史(朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」などで知られる人気作家)【音楽】サキタハヂメ(Eテレ「シャキーン!」をはじめ、ドラマ、CM、舞台などで活躍)毎週水曜日の放送後はインターネットの「NHK for School」でも配信されます。下記リンクをご参照ください。 | NHK for School第4回サブタイトル「なんで覚えられないの?」(放送日:2018年11月21日、28日)テーマは「読み書きの苦手」。知的に問題がないにも関わらず、文字を読んだり書いたりすることに苦手を抱える子どもは少なくないが、努力が足りないと勘違いされることも。アイは学芸会の劇で、ユウがセリフを覚えないことにいらだっていた。だが、ユウの特性や努力などを知り、一緒に苦手を克服する手立てや、ユウの得意なことをどう活かすかを考えていく。
2018年11月19日ダウン症の娘の学ぶ楽しみを支えた父親の手記『「ホーホー」の詩、それから ―知の育て方』著者の信田敏宏さんが、知的障害を伴うダウン症の一人娘・静香さんの14歳までの成長と学習面でのサポートについてまとめた一冊です。これまで、文字の読み書き、世界の歴史や文明、英語などの勉強に取り組んできた静香さん。試行錯誤した勉強法や信田さんの奥さんが飽きやすい静香さんに合わせて手づくりしたプリントも紹介されています。知的障害があって身につくまで時間がかかるとしても、粘り強くわが子の学びたいという意欲に寄り添ってきた信田さんご夫婦。障害のあるなしに限らず、学ぶことが人に与えてくれる豊かさなどを考えさせられます。(発行:2018/10/17)すぐ実践できるアドバイスがたくさん!『発達障害のある子と家族が幸せになる方法:コミュニケーションが変わると子どもが育つ』20年以上、相談や臨床の現場で多くの発達障害のある子とその家族を支援してきた言語聴覚士・社会福祉士の原哲也さんが考える「幸せを実感しながら生きるためのコミュニケーション」のヒントが詰め込まれています。子どもの行動を「困った」と感じるのは、そのときの子どもの思いや行動の理由が分からないからかもしれません。各章では、さまざまなシチュエーションの事例を交えながら、そのときの子どもと親の心境を解説。親子の時間を豊かにしてくれるような褒め方と叱り方のコツ、一緒に遊ぶコツ、信頼の育み方などについて、実践したくなる工夫や方法がたくさんまとめられています。(発行:2018/09/20)発達障害と間違えられやすい"見えにくさ"の正体。『アーレンシンドローム 光に鋭敏なために生きづらい子どもたち 』生まれながら光に対して鋭敏な感覚がある「アーレンシンドローム」に焦点を当てて、筑波大学人間系教授の熊谷恵子さんが、当事者の見えにくさや対策について解説しています。この本では、当事者の声もたくさん紹介されています。「アーレンシンドローム」はまだ医学的な診断名や症候群の名称がありません。認知が不十分なため、ASDの感覚過敏や学習障害といった発達障害とも間違えられやすく、正しい対応をされないことで生きづらさを抱えているケースもあるそうです。アーレンシンドロームの人の見えにくさの実態を理解したり、対応するためのヒントが見つかるかもしれません。(発行:2018/09/20)開発者が解説する新しい発達障害の評価尺度の可能性─『MSPA(発達障害の要支援度評価尺度)の理解と活用』MSPA(エムスパ:発達障害の要支援度評価尺度)開発の中心となった精神科医の船曳康子さんが発達障害者の支援の現状から、MSPAの開発経緯、有効性などを解説しています。MSPAは発達障害の診断を行うためではなく、一人ひとりの生活上の困りごとの要支援度を評価するもの。誰が見てもすぐ分かるように困りやすい特性とその程度がレーダーチャートで表記されます。現在は、評定者の研修と普及が進められているそうです。発達の相談を受けた学校や地域の窓口でMSPAが行われるようになれば、より早く一人ひとりを適切な支援につなぐことができるのではないかと期待されています。早期支援や小中学校での支援への活用のあり方などについて、臨床心理士らのコラムもまとめられています。(発行:2018/10/20)掃除も片づけも習慣化で気持ちよく過ごそう!『実践式片づけノートBOOK』空間心理カウンセラーとして活動している伊藤勇司さんが、多くの人の汚部屋環境を改善してきたノウハウを実践できるノートブックです。発達障害のある人の困りごとの中に、「片付けが苦手」というケースがあります。収納術の解説だけでは実際に取り組むのが難しかったという人も、ワークを通して自分の心の癖と向き合うことで、続けていきやすくなるかもしれません。さらに継続したいことができたらシールを貼っていくトークンシートのような特典もあります。21日間続けると1枚のイラストになるので、続ける楽しみができますね。(発行:2018/09/15)
2018年11月17日素晴らしい教材を、たくさんの人に知ってほしい特別支援学校で使われている教材の多くは、障害のあるなしにかかわらず、楽しみながら学べるものばかりです。子どもの発達にきめ細かく寄り添っていて、遊び感覚で取り組める要素がふんだんに盛り込まれているからです。でも、このことはあまり知られていません。そもそも特別支援学校の教材を目にする人は少ないと思います。もったいない話ですよね…。Upload By 平野佳代子筑波大学附属大塚特別支援学校で見かけた手作りの教材は、お店が開けるのではないかと思うほどのバリエーションがありました。私は、その中でもある教材に心惹かれました。それは、障害のあるなしにかかわらず楽しめるコミュニケーションゲームでした。考案したのは、同校の佐藤義竹先生。これは、カードに描かれた2つのイラストのうち、どっちが好きか、なぜ好きかを答えるだけの、シンプルなゲームです。Upload By 平野佳代子ちょっと硬い言葉になってしまいますが、この教材の教育的な狙いをお伝えすると、「自分で選ぶ(自己選択)」「自分で決める(自己決定)」「自分の思いを伝える(意思表明)」ことをゲームを通して体験できるということです。支援者がいつもそばにいると、どうしても自己選択、自己決定、意思表明の機会が少なくなってしまうんですよね。そんな子どもたちに、ゲームを通してたくさん機会をつくっていこうと考えられたものです。教育的な意図はともかく、「どっちが好きか」を答えるゲームは、単純におもしろいと思いました。「コミュニケーションすることって楽しいんだ!」と感じられるゲームでもあります。この学校だけでしか使われないのはもったいない。そんな思いから商品化しようと決めたのです。Upload By 平野佳代子せっかく商品にするなら、特別支援学校で生まれた教材のおもしろさを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいとも考えました。そこで活用したのがクラウドファンディングです。筑波大学附属大塚特別支援学校でも全校あげて協力してくれました。特別支援学校の取り組みを社会にアピールする必要があると考えていたそうです。クラウドファンディングという時代の流れに合った方法を取り入れようという意識も高く、この点もありがたかったですね。Upload By 平野佳代子発達障害を知っている人も知らない人も賛同商品名は「えらんで きめて つたえるゲームすきなのどっち?」。クラウドファンティングのプロジェクト名は「発達障害の子がコミュニケーションの楽しさを体験できるゲーム『すきなのどっち?』」としました。2018年8月22日にクラウドファンディングのサイトを立ち上げ、10月30日に終了しました。運営サイトには初日だけで3,000人以上が訪れてくれました。賛同し出資してくれた方は142名。目標金額110%達成!予想を超えた数に驚きました。142名の方たちは、必ずしも特別支援教育の関係者だけではありません。「孫と一緒に遊んだら楽しいと思いました」「絵がかわいくて、おもしろそう」「うちの幼稚園で使わせて」などのメッセージをいただき、特別支援教育の関係者以外の方たちも多数賛同してくれました。「なになに、おもしろそう」と手にとってみた。それがたまたま特別支援教育の教材だった。それでいいし、それがいいと思っています。Upload By 平野佳代子ねえ、先生、あのゲームやりたいな話が前後しますが、手作り教材の子どもたちの反応を佐藤義竹先生に改めてお聞きしました。Upload By 平野佳代子佐藤先生は、次のように話しました。「子どもたちは、話し手の答えを聞いて、『へ~、そうなんだ』とリアクションしたり、『私はこっちかな』と答えたりしながら、やりとりを楽しんでいましたね。引っ込み思案だった子も、早く順番がこないかなあと期待に満ちた顔で、相手の話を聞くことに集中していました。順番を待つことや相手の話を聞くのが苦手な生徒でも、コミュニケーションの楽しさに支えられて自然と主体的に参加することができたように思います」ゲームを楽しんだ生徒は、「先生、今度は電車シリーズもほしいな」と言っていたそうです。自分の「好き」をもっと語りたい、という思いが湧き上がってきたのでしょうね。Upload By 平野佳代子さらに佐藤先生の話は続きます。「そのうち、『ねえ、先生、あのゲームやりたいな』と生徒たちからリクエストされるようになりました。発語や発話に課題がある生徒も、主体的に『こっち』と好きな方を指さして答えると、それを聞いて『そうなんだね』と受け止める姿が生徒同士でみられるようになりました。答え方も、好きなモノも人それぞれ。ゲームを通して生徒たちが互いを尊重している姿をみると、このゲームを作って本当によかったなあとしみじみ思いますね」「あのゲームやりたいな」は、ゲーム考案者にとって最高のほめ言葉ですよね。子どもが質問を考えるようになったクラウドファンディングで賛同していただいた方には、発売前に商品を送っています。すでに感想もいただいております。ある放課後等デイサービスの支援員の方からは次のような感想が届きました。Upload By 平野佳代子「取り組んでいくうちに、『ねぇ、先生は冷たい飲み物が少し好きだから冬が好き?』と子どもから質問が出はじめました。ゲームの質問カードに描かれた春と秋は違いがよくわからなかったけど、スーパーで売っている果物を考えてみると、おいしい食べ物は秋にたくさんあるなぁと話し、カードに取り組みました。カードを使っての授業で、質問を考える面白さに目覚めた生徒は、授業以外の場面でも、『先生、アイスとかき氷どっち好き?』と、自分で考えたオリジナルの質問をしてきたのです。成長を感じましたね」また、やさしい絵とデザインがうれしくて、自閉症がある5歳のお子さんは、飛び跳ねて喜びながら、どっちが好きかを考えてくれたという声もいただきました。Upload By 平野佳代子「『好き』を選ぶ方が、『嫌い』を選ぶ方より、相手の話を聞こうという気になります。話を聞いたことをきっかけに、自分ならと考えることもできます」という感想もいただきました。大学の先生、ピアノ教室の先生たちからも、生徒さんと楽しんでいる様子をメールでお知らせいただきました。これまでいくつも商品をつくってきましたが、クラウドファンディングを活用したのは初めてです。支援者から最も多くいただいたメッセージは、「たくさんの子どもたちが笑顔になりますように」でした。考案者の佐藤先生も、私たちtobiracoも思いは同じです。Upload By 平野佳代子
2018年11月16日発達障害の感じ方の違いや生きづらさを、2分間で伝えるアニメUpload By 発達ナビ編集部2018年11月にNHKで放映がスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」。毎回当事者が登場し、自身の体験を元に発達障害のある人の感覚の違いやそこから起きる軋轢について、アニメーションで伝える番組です。NHKでは11月中旬から「発達障害キャンペーン」が始まりました。このアニメーションはそのキャンペーンの一つとして11日からスタート。総合テレビとEテレで随時放送予定です。発達障害のある人の困りごとをアニメで表現番組では、特性からの困りごとや生きづらさを抱えながら、前向きに生きる発達障害当事者が自分にとっての「ふつう」とは何かを語ります。その一人が落語家の柳家花緑さん。11日から始まった第1回では、文字を読むのが苦手という花緑さんが、学校での勉強は苦手だったけれど、耳から覚えた噺を語る落語家になった今、子どもたちに伝えたいこととは…?Upload By 発達ナビ編集部また普段の生活でも外出先で、さまざまな刺激を感じてしまうというフミヤさん。「ほかの人と感覚が違う」感覚過敏などの特性で悩んできました。一体、フミヤさんはどんな風に刺激を感じているのか、アニメーションならではの映像と音で描きます。アニメを制作するのは新進気鋭のクリエイターたち。毎回違う作風も、発達障害のある人の多様な世界を表現するのにぴったりです。Upload By 発達ナビ編集部「ふつうってなんだろう?」から始まるUpload By 発達ナビ編集部発達障害のある人の感じ方や行動は、定型発達の人とは違うこともあります。同じ発達障害のある人でも、その特性によって一人ひとり、多様で独特な感じ方をしています。そのことで、生きづらさを感じることもあるでしょう。ですが、違うことで生まれる摩擦を描くこのアニメシリーズを見ることで、「私にとっての「ふつう」は、誰かの「ふつう」とは違うかもしれない。」そんな風にも思えてきます。そして感じ方に「ふつう」も優劣もない、あるのは一人ひとりの違いだけ…。もしその違いから軋轢が生まれるとしたら、それを知った私たちには何かできることはあるのでしょうか?多様な人の感じ方やその人の困りごとを2分間という短い映像で見せてくれる「ふつうってなんだろう?」。発達障害のある人の、一人ひとりの声から、違いのバリエーションや困っていることも人それぞれと知ることもできます。ぜひ多様な世界の見方を、アニメーションを通じて、家族や周りの人と覗いて見てください。総合テレビとEテレで随時放送予定。番組詳細は以下のリンクからご確認ください。2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」NHK健康ch
2018年11月16日さまざまな「ちがい」がある6家族の日常を丁寧に取材した長編ドキュメンタリー『いろとりどりの親子』は24ヵ国で翻訳され、世界的ベストセラーとなったアンドリュー・ソロモン氏の原作を映画化した作品です。ADHDがある息子を育てる、漫画家・イラストレーターのかなしろにゃんこ。が、この映画をルポ。映画の公開に合わせて行われた試写会や、監督来日イベントの様子を紹介します!「ちがい」と生きる家族の幸せの形はそれぞれで、胸があたたかくなる作品でしたよ。Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース自閉症、ダウン症、低身長症の子どもやパートナーとその家族、重罪を犯してしまった息子と家族など、6つの家族をめぐるドキュメンタリーです。原作者でプロデューサーのアンドリュー・ソロモン氏も父親と親子出演しています。アンドリューは、同性愛者である息子を受け入れようと苦悩する両親の姿をきっかけに、身体障害や発達障害、LGBTなど、ちがいのある子どもを受け入れようと苦悩する親たちを10年かけて取材したそうです。言葉が発せず、パニックになって暴れたり自傷行為に及んでしまう自閉症のジャックと、意思の疎通が難しいと感じる両親。あらゆる療法を試した後、ようやくたどり着いた文字の「タイピング」によってジャックが家族や周囲に自分の想いを伝えられるようになったシーンは、ヘレン・ケラーとサリバン先生を思い出させます。親友3人と暮らすダウン症のジェイソン。幼少期には「セサミストリート」にも出演し、全米屈指の著名人でした。共同生活を送る3人は、「三銃士」というグループ名までつけて(笑)友情をなにより大切にしています。盃ならぬマグカップを交わして友情を確かめ合うシーンは、中年を迎えた3人がまるで少年のよう!素直で愛しくてキュン♡とすること間違いなしです。ジェイソンが幼いころは、ダウン症児への教育の可能性について全米中を説いて回った母親。一見単調にも見える、ジェイソンと母親の現在の穏やかな生活もまた、胸を打ちます。低身長症のロイーニが低身長症の人たちの大会「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」でファッションショーに参加したり友だちを作っていく姿は母親のような気持ちになって「同じ障害がある友人ができて良かった♡」と応援したくなるし、背中を押したくなる思いになりました。低身長症の夫婦・リアとジョセフは、知的かつチャーミング。リアは「(低身長症の夫婦から)普通身長の子どもが生まれても大丈夫。だって私は、家族の中で一人だけ違ったけど、大丈夫だったから」と笑顔で語ります。底抜けに明るい二人の姿は、「ちがい」ってなんだろう、「障害」ってなんだろう、と改めて問いかけてくるようでした。レイチェル・ドレッツィン監督が来日!日本の高校生と映画について語り合う教室に潜入この映画の監督、レイチェル・ドレッツィンさんが、映画の公開に合わせて来日!さらに、日本の高校生と、映画について語り合う機会があると聞きつけて、取材をさせてもらいました。東京学芸大学附属国際中等教育学校のIB(国際バカロレア)クラスの高校2年生11名と監督とのディスカッションは、ほぼオールイングリッシュ!で進行。さらに、監督にぶつける質問や疑問は、英語力もさることながら深い共感や洞察力が感じられて、監督も「ワンダフル!」と笑顔でしたよ。参考:国際バカロレアとは | 文部科学省レイチェル・ドレッツィン監督(以下、監督):「人はさまざまなアイデンティティーを持っています。たとえば映画に出てくるリアは、低身長症ですが、女性であり、母であり、妻でもある。でも、健常者はその1つだけをピックアップしがちです」そのためには、『ちがい』がある人たちの中に積極的に入り、知ることが大切。それを伝えたかったと、映画に込めた思いを話してくれました」。ディスカッションに参加した11名の高校生は、映画を見て感じたこと、監督にぶつけたい思いを発言。監督は、その一つひとつに耳を傾け、真摯に答えていきます。今まで生きてきた中で、障害がある人たちとあまり触れ合う機会がなかったという高校生も多く「将来出会ったときに、実際には相手を肯定できないんじゃないか。そんなとき、どう向き合えばいいのだろう」という不安・危惧を口にする学生も。監督は、さまざまな人たちと実際に触れ合うことの大切さを伝えます。監督:「『ちがい』がある人の近くにいると、親密さが持てるようになります。距離があるから差別が生まれるんです。もしネガティブな先入観があるとしたら、それは親密さが欠けているから」監督自身も、登場人物の一人であるジョセフと出会ったときはぎこちなくなってしまい、どう握手したらいいかもわからなかったと教えてくれました。でも、2~3回会ううちに、彼が車いすであることも手が短いということも忘れて、レストランで自然にビールを渡していたと言います。学生からの、「障害がある人への(ネガティブだったり、不幸だと決めつけたりしている)先入観をどう変えられるのか?」という質問には、次のように語ります。Upload By 発達ナビニュース監督:「多くの人は、身近に『ちがい』がある人がいないから、そういう見方をしてしまう。多くの人は、彼らがつらいんじゃないか、生きたいように生きられていないんじゃないかと考えがち。もちろん、受容が困難な人もいるけれど、多くの「ちがい」がある人たちは、自分のアイデンティティーを誇らしく思っているし、生まれてきた自分自身を変えたいとも思っていない。『ちがい』がある人と親密な時間を過ごしてみてほしい。知らないから恐れてしまう。驚くような何かが待っていると思うから」学生たちは、疑問に思ったことも率直にぶつけます。学生:「『ちがい』がある人をあえて(映画の登場人物として)ピックアップすることは、それ自体が差別的なのでは?」監督:「親子ですら最初はぎこちなく、少しずつ受け入れていくものです。今回の映画では、極端なケースをハイライトしています。映画を通して、多くの人にとって一つのレッスンとして感じてもらいたかったのです」「ちがい」がある人が身近にいない人も多くいる。飛び込んでいけない人もいる。そんな人たちの気づきのために、見てほしいのだと語ります。また、困難を乗り越えた家族ばかりを取り上げたのでは?という学生からの問いもありました。学生:「困難を乗り越えている家族ばかりをとりあげて映画化したのでは?乗り越えられていない家族をフィーチャーしなかった理由はなぜ?」監督:「私はどの家族も乗り越えられたとは思っていません。彼らは、さまざまなシチュエーションに対して目を背けてはいませんが、乗り越えられているわけではないんです。実際、自閉症のあるジャックの母は、いまも辛い日々を過ごしていると言っている。ただ、辛くても、その中に意義を見出すことは可能だと信じている。誰もがこの物語から学ぶことができると思っています」そして、監督からも学生たちへ質問が投げかけられました。監督:「皆さんの中で、自分のアイデンティティーが日本人の部分が多いという人はいる?」学生たち:(一同、シーン)日本の学校で学ぶ、日本の学生たち。周りから見れば「日本人」としてとらえられがちな学生たち。でも、誰一人として自分が「日本人」であることが一番のアイデンティティーであると思っていなかったのです!監督:「低身長症の女性にとって、自分のアイデンティティーは一つではありません。低身長、女性、母親でもある。でも、私たちは彼女を見たときに『低身長症』だけが彼女をあらわすものだと思いがちです。一つだけのアイデンティティーでその人を決めつけないこと。マスメディアで障害がある人を描くとき、現実は違うことが多くあるものです。ステレオタイプで描いたり、大げさに描いたりしがちです。そのイメージを自分で乗り越える責任が私たちにはあると思うし、そのためには『ちがい』がある人と一緒に過ごすしかないんです。そうすると、彼らの中に、自分と同じ部分をたくさん見出すことができるはずです」そして、最後に監督から、高校生たちにメッセージが伝えられました。監督:「あなたがたと話せたことは素晴らしい経験でした!あなたたちは変化を起こせる年齢。いま、人種のるつぼといわれるアメリカでさえ、自分とちがう人に対して喧嘩をしています。今こそ、ちがいがある人を受け入れ、未来に向けて手を携えながら生きていってほしい」Upload By 発達ナビニュース監督を前に、自分たちの思いや疑問をまっすぐにぶつけていた高校生。キラキラとまぶしい高校生たちに、ディスカッションの授業を終えて感じたことを、聞いてみました!学生:「小学校のときは、クラスメートに発達障害がある子がいて、時々パニックを起こしていて。でも私たちはそれを“そういう子なのかな”ってちがいをそのまま受け止めてたんです。でも、保護者の中には“授業妨害になる”ってクレーム言ってる人もいたみたい。子どもたちは彼は特別だとか障害があるとかって意識してないのに、大人のほうが“ちがい”を意識しすぎて“ゲスト”はウエルカムじゃないって思ってたと思う。ちがいを前面に出さない、壁をつくらないことが大事なんじゃないかな」社会の中にもっと、ちがいがある人と触れ合える場所が増えたらいいという提案も!学生:「日本のマイナス点なんだけど、ちがいがある人と触れ合うのが大切ってわかってても、なかなか積極的に飛び込んでいこうとしない。ハードルが高すぎる。もっと気軽に触れ合えるような、いろんなマイノリティーが混ざっている場所が身近にあれば、受容はもっと簡単になると思う。そういうのが日常、当たり前の社会になったらいいと思う」授業を終えた学生たちからは、「ちがいがある人たちと一緒にいられる、多様な社会をつくりたい」という、あたたかくて強い決意を感じられましたよ!レイチェル・ドレッツィン監督に、単独インタビューもなんと、監督に単独インタビューする機会もいただきました!高校生とのディスカッションはどう感じたのでしょう?先ほどインタビューした高校生の発言を伝えつつ、聞いてみると…監督:「そう、大人のほうが『ちがい』を意識しすぎている…。教育って、なんのためにあるんでしょう。高等教育を行う場所であると同時に、人間として成長する場でもあるはず。多様性を認めることで、聡明になれるはずなんです。今日ディスカッションした高校生たちには、多様性を広めるプロモーター的存在になってほしいと願っています」この作品で、それぞれの親子の、“愛と受容”を伝えたかったと、ディスカッション中も口にしていた監督。次のように語ってくれました。Upload By 発達ナビニュース監督:「健常な人たちは、障害があると不幸なんじゃないかと思い込みがちですが、そうではないんです。『ちがい』がある子どもを“受容”すると同時に、子どもたちもまた、思っていた自分と『ちがう』ことを受容する。その受容は、毎日の中のさまざまなシーンで起きているんです。そして、思い描いていた形とは違うけれど、そのアイデンティティーはすばらしい贈り物であることに気づいていくんです」高校生とのディスカッションでも、「ちがい」がある人の中に入っていくことで、さまざまなアイデンティティーに気づけるし、多様性を認められるようになる、と言っていた監督。でも、すぐには飛び込んでいけない人もいる。そんな人には映画を見て、まず気づいてほしい!愛と受容にあふれた日常が描かれる『いろとりどりの親子』。ぜひ観てほしい!映画では、登場する人たちが押しつけじゃなく、自分のことを自分の言葉でたくさん語っていました。どうしたらこんな風に撮影できるの?率直な思いをぶつけてみました。監督:「トリックがあるとしたら、すべての登場人物を尊敬し、愛してたってこと。ジャーナリストと撮影対象という関係を超えて、たくさんの時間を過ごして、信頼を築けたから。それから私は最初に決めたことがあって。それは、“プレッシャーをかけないこと”、そして“こうしてほしい”って押しつけないこと」監督の愛もいっぱい詰まった「いろとりどりの親子」!徹底的に登場人物に寄り添ったからこそ撮れた6つの家族の本音と、「どんなちがいがあっても、わが子は愛さずにはいられない!」というあふれる愛。そして、幸せの形はそれぞれの家族にとってちがい、多様なんだということが伝わってくる…。ぜひこのステキな映画を親子や友人、ご夫婦で観賞していただきたいです!Upload By 発達ナビニュース映画『いろとりどりの親子』は、新宿武蔵野館をはじめ、全国順次ロードショー予定です。ダウン症、低身長症、自閉症などさまざまな「ちがい」のある6組の家族を丁寧に取材した長編ドキュメンタリー映画。原作は世界24ヶ国で翻訳されたベストセラー『FAR FROM THE TREE』。作中に登場する家族の日常は、親子の数だけ幸せの形があることを教えてくれます。■公開日:2018年11月17日(土)■上映:新宿武蔵野館ほか全国順次公開新宿武蔵野館で上映期間中の毎週火曜日、初回上映回では、声を出しても、歩き回っても、上映中の入退場も自由な「フレンドリー上映」が実施されます。詳細はホームページでご確認ください。取材・文・イラスト/かなしろにゃんこ。かなしろにゃんこ。さんのページ
2018年11月15日長男に「イヤイヤ期」が到来!Upload By SAKURA広汎性発達障害の娘には、2歳の弟がいます。息子は、1歳半を過ぎたころから自己主張が始まり、イヤイヤ期は日を追うごとに激しくなっています。「あれはイヤ!」「これはイヤ!」「自分でやる!」「こうしてくれ!」イヤイヤと、自分でやるというこだわり、そして自己主張が炸裂している、まさに魔の2歳児です!第二子である息子ですが、実は私はちゃんとしたイヤイヤ期は初めての経験です。なぜなら、娘はイヤイヤも自己主張もほとんどない子だったからです。自己主張が少なかった広汎性発達障害の娘の場合は娘が今の息子と同じ2歳のころは全くしゃべらず、騒がず…無の境地でした。お出かけしても大人しかったので、旅行や外食に連れて行っても困ることはありませんでした。しかし、手がかからない反面、ほぼしゃべらず、自己主張もしなかったので、娘が何を望んでいるのかが、なかなかわかりませんでした。Upload By SAKURA私たちの言葉を理解することも、自分の気持ちを話すこともできなかった娘。泣きだしたときなどに、なぜ泣いているか聞いても答えがわからず、泣き止むように説得することも難しかったのです。私たちは、そんな娘に合った育児をと、言語訓練や療育を通じて、どういうやり方をすれば娘とコミュニケーションが取りやすいか、試行錯誤してきました。耳から聞き取るのが苦手な娘に、視覚優位な特性を利用して絵カードで意思の疎通を図ったりしてきました。思い返すと、第一子の娘の子育ては、少し特殊だったのです。Upload By SAKURA二人目育児にして初めての「全力イヤイヤ」に母、苦戦!しかし息子は、とにかく一つひとつをイヤイヤしないと気が済まない状態。家を出る前から、服が違う、靴が違う・・・とイヤイヤしています。まさにマニュアル通りのイヤイヤ期!娘には見られなかった息子の様子に「これが噂のイヤイヤ期か~!」と初めのうちは新鮮な気持ちでした。Upload By SAKURAしかし、外へ出れば、自分の行きたい方へ行かないと気が済まず、外食なんてゆっくり食べられたことがありません。息子のイヤイヤは…予想以上!!私の一回目の子育て経験が、全くもって役に立たない!!頭を抱えてしまうことも度々あります。長女と長男、全く違う子育てができるって…楽しいかも!?激しくイヤイヤ期を爆発させている息子ですが、おしゃべりが上手になってきて、自分の思いはちゃんと言ってくれます。イヤイヤされると手がかかるように感じますが、実はある程度、言葉での説得が通じるため、楽な面もあります。発育状態が、娘と対照的に違う息子。娘のときのやり方は通じないので、気分は初めての子育てです。しかし、全く違う子育てを経験させてもらっている私は、運がいいのかもしれない…Upload By SAKURAそう考えると、娘とは違う息子の反応一つひとつに「そういうことするんだ~」と受け入れられるようになってきました。Upload By SAKURA子育てで、子どもを比べてはいけない…といいますが、私の場合、「娘はこうだったけど、息子はこうなのかぁ~!」と感心したり…それぞれにいい所を見つけられる、そんな今の子育てを、純粋に楽しいと感じています♡
2018年11月14日歯みがきが苦手・嫌いな子はいっぱいいる!?子どもの歯みがき嫌いに悩む保護者は少なくないようです。LITALICO発達ナビの「みんなのアンケート」でも、お子さんの歯みがきで困った経験があるかという質問に81%の方が「困った経験がある」と回答しました。なかでも、「習慣化すること」、「歯みがきに集中してもらうこと」に対する悩みごとには共感も多く集まっていました。2018年10月、そうしたお悩みをゲーム感覚でサポートするアプリ「はみがき勇者」が登場しました!「~歯みがきのお悩み募集!~お子さまの歯みがきで困った経験、ある?ない?」(LITALICO発達ナビ みんなのアンケート)「はみがき勇者」で子どもが歯みがきを好きになるかも!ゲームをしながら毎日丁寧にみがく練習ができちゃう!?「はみがき勇者」は、子どもたちが好きなゲームの要素を取り入れて、苦手な歯みがきをサポートするアプリです。歯みがきをすることでモンスターを倒していくというシンプルなゲームですが、丁寧にみがくための工夫、毎日積極的に歯みがきをしたくなるような仕掛けが盛り込まれています!画面の中で一緒に戦う勇者たちも可愛らしく、楽しくプレーできそうです。お子さんと一緒に取り組めばパパとママも夢中になるかもしれません!?配信が開始されて1週間余ですが、AppStoreで、こども向けアプリ1位を獲得!早速、多くの人に活用されているようです。では、その魅力についてご紹介します!Upload By 発達ナビニュースアプリを起動すると「はぶらしはもった?」のメッセージが表示されます。準備ができたらいよいよスタート。お城の門が開くと、兜をかぶった勇者に変身した自分の姿が画面に登場!そして歯ブラシを動かすことで勇者のキャラクターたちと一緒にモンスターを攻撃していきます。丁寧にみがく習慣を身につけられるように、いろいろな角度でみがくほどたくさん攻撃できるように設定されています。画面が鏡代わりになってくれるので、うまく歯ブラシを動かせているか確認しやすいというのもポイント!歯ブラシをくわえたままでうまくみがけない、歯みがきに集中できなくて歩き回る…というお子さんも、一生懸命に集中しながら取り組めそうです。1回のプレーにつき、制限時間は1分間です。モンスターが次々と現れるので、口を大きく開いて満遍なく歯ブラシを動かしながら倒していきましょう!1分が経過した時点で、一旦区切りをつけられるので、「今回は○回プレーしてみよう」「今日は○回まで」と声をかけると歯みがきの時間も明確に決められそうです。いつまでも歯みがきをしていたり、「全部みがけたの!?」と思うくらいあっという間に終わらせたりする子に対しても、試してみたいですね。Upload By 発達ナビニュースステージが終わるごとに獲得したコインによって勇者カードを手に入れられます。カードが増えていくと攻撃力が増加!1分間で倒せるモンスターが増えていきます。さらに、30ステージごとに現れるドラゴンを倒すと、プレーヤーが身につける兜がグレードアップしていきます。次にドラゴンを倒したら、どんな兜をもらえるのか…。さらに挑戦してみたくなりますね。毎回ステージごとにアイテムを手に入れられたり、目に見える形でステップアップが分かったりするとやる気も高まります。こうした"ご褒美"が、繰り返し取り組むきっかけになってくれそうです。画面を見ながら歯みがきをするだけというシンプルなゲームですが、お子さんが積極的に、そして丁寧に歯みがきに取り組めるような仕組みがたくさん考えられているのです。【アプリ名】はみがき勇者 ( 海外タイトル:Brushing Hero )【対象年齢】3歳から【価格】無料【対応OS】iOS、 Android *スマートフォン、タブレットのどちらでも利用できますLITALICOでは、「社会課題を技術で解決する」ために、発達障害の子どもを対象の中心とした支援アプリの提供を2017年4月に開始しました。配信している8作品はこちらから見ることができます。 FUN STUDIO
2018年11月13日一人でバスに乗るようになった娘Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子中学1年生のころに、娘は学習支援と余暇支援を行っているNPO法人に通い始めました。そこは、自宅からバスを乗り継いで40分程のところにありました。事前にバスの乗り継ぎの練習を一緒にしましたが、いざ一人で通い始めると、乗り過ごしてしまうことも何度かありました。でも、大きなトラブルに巻き込まれることもなく、念のためにと持たせた携帯電話から電話をかけてくることもありませんでした。バスを降りようとしたら、お金が足りない!?Upload By 荒木まち子このころは、運賃の支払い方法や小銭の計算の練習にもなると考えて、娘にはチャージ式のプリペイドカードは持たせていませんでした。帰りの交通費のことを考えずにお金を使ってしまった娘は、この出来事以降、買い物するときには帰りの交通費を必ず残すようになりました。娘は実際に経験しないと学べないタイプです。きっとプチパニックに陥っていた娘に、やさしい言葉をかけ、学びの機会をくれたバスの運転手さんの計らいに感謝です。7年の月日が経ち…出典 : 今は定期券を持ち、バス通勤している娘。小さい声ではありますが、今でもバスに乗るときは「お願いします」降りるときは「ありがとうございました」と運転手さんに挨拶をします。もしかしてあのときの事を覚えているからなのかしら?(笑)
2018年11月12日