発達が気になる子どもの偏食、困っていませんか?出典 : 発達が気になる子どもの中には、食べられるものが極端に少ない「偏食」がある子が少なくありません。発達障害の特性の中には、感覚の過敏や鈍麻、こだわりの強さというものがあり、そういった特性によって偏食になりやすい傾向があるといわれているのです。発達ナビの記事の中にも、子どもの偏食に関するものがたくさんあります。また、子どもの偏食についてのアンケートには、さまざまな体験談や克服法などが寄せられました。子どもの偏食、どう工夫してる?どう考える?みんなのアイデアや体験談を教えて!|LITALICO発達ナビどんなことに悩んでいる?偏食の子をもつ保護者の気持ちとは…出典 : 発達ナビのコラムとアンケートに寄せられた保護者のさまざまなお悩み。その中でも、特に多くあげられたものを紹介します。同じようなことに向き合い、悩んでいるユーザーがきっといるはずです。3歳の息子は炭水化物を好み多い時なら一食に1.5合食べます…笑他はたまに卵焼き、しらす、ソーセージ、練り物、唐揚げ、フライドポテトくらいで野菜なんて一切手をつけません(꒦ິ⌑꒦ີ)発達ナビライターのkaoruさんの息子さんは、かなり食べられるものが少なく苦労されたそうです。”食べられるものは、米、蕎麦、根菜、かぼちゃ、青魚、卵、納豆や豆腐などの大豆の加工品……以上です。どんなに工夫して調理してもそれ以外のものは食べません。さらに、環境が変わると普段食べているものも食べられなくなるし、調理法が変わっても食べられません。学校給食では牛乳しか飲まない。実家を含め、よそのお宅でご飯が食べられない。外食は蕎麦屋しか行けない。しかも生蕎麦で茹でたてでないと食べません。空腹に耐えられなくなると、食事を採る努力はせずに角砂糖をなめてカロリーを補給する。”無理をすると吐いてしまうというアンケートの声もありました。味覚過敏や嗅覚過敏もあり、小さい頃から炭水化物は好きですが、野菜と魚は食べてくれません。診断前は、子供の偏食を直すのは母親の役目!と思い、必死に躾たり、工夫したりしましたが、少しでも無理に食べさせると、家でも外でも本格的に食べた物をすべて嘔吐してしまうので‥いつしか諦めました。出典 : 全く受けつけない食べ物も多いですが、食べれる物にも細かなマイルールがあります。ミニトマトは食べるのにトマトはダメ。サニーレタスは食べるのにレタスはダメ。揚げたポテトは食べるのに茹でたポテトはダメ。発達ナビライターのニャンタさんのコラムでも、こんな困りごとが…”息子は1才頃には食べる物が決まってました。からあげ、うどん、フライドポテト、ブロッコリー。フライドポテトは画像のようにケチャップなんてつけられたら食べません。キレます。…ブロッコリーも同様。”小1息子も炭水化物ばかり食べ、タンパク質は嫌がります。でも、タンパク質、ビタミンミネラルが特に必要なんですってね。お腹を空いた時にお菓子やおにぎり、パンを食べると余計に食事を食べないので、食事(特にタンパク質)をすぐ出せるように、早めに支度をするように努力しています。我が家の小2次男も偏食です。小さいころはフライドポテトとフランスパン、飲むヨーグルトしか食べず義母に躾が出来てないと責められてとてもつらかったですかわいくデコレーションしたり、すりつぶすなどいろいろしましたが全くダメでした。中二の男の子を持つ母親です。息子は小さい頃から主食は麺でした。野菜、魚などのおかず類も、お米も食べられません。保育園の先生に理解してもらえず、責められた気がしたことも。発達障害がある子どもに、偏食が多い原因とは?出典 : 発達障害がある人の中には、感覚(五感と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のはたらきに過度に偏りがみられる人がいます。このような感覚の偏りは、特定の感覚・刺激を過剰に受け取ってしまう「感覚過敏」と、逆に、感覚・刺激に対する反応がにぶくなる「感覚鈍麻」に分けられます。感覚過敏の症状の中には、味覚に偏りがあり、特定の味に過剰に刺激を感じてしまう「味覚過敏」や、特定のにおいを過剰に受け取ってしまう「嗅覚過敏」というものがあります。この感覚過敏と発達障害には密接な関係があり、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)の人に多い特性であるといわれています。感覚過敏がある人は、味やにおいの刺激が過剰に感じられるため、特定の食べ物に拒否反応を示してしまう場合があります。食べたくてもどうしても食べられず、偏食につながるのです。発達障害の特性のひとつである、強いこだわりも、偏食の要因になっています。こだわりの例としては、毎食同じ食べ物ばかり食べ続けたり、同じ食品の中でもある特定のメーカーのものしか食べなかったりするというものがあげられます。また、初めてある食品を食べたときに味覚や食感が合わないといった違和感を感じると、強い嫌悪感を抱いてしまい、その後一切、その食品を口にしなくなることがあります。このようなこだわりが、偏食を固定化し、特定の食べ物だけしか食べないという行動をとらせてしまうのです。こうした発達障害の人特有の感じ方は生まれつきのもので、本人の努力だけでどうにかなる問題ではありません。それにもかかわらず、周囲の人からはなかなか理解されず、わがままや、親のしつけの問題にされ、本人やその家族が追い詰められてしまうことがあります。参考:偏食・味やにおいに敏感|NHK発達障害プロジェクト一人ひとりの偏食の原因や傾向を知り、適切な対処を出典 : 偏食の原因は、人それぞれです。子どもの偏食の原因には、根底に感覚過敏や強いこだわりがあることが考えられます。ですが、同じように感覚過敏があるように見えてもどの味や食感が苦手で、どのような味つけや調理法なら大丈夫なのかなどは、一人ひとりちがいます。そのため、子ども一人ひとりに合わせた偏食の原因や傾向を知ることが、適切な対処をするための第一歩となります。子どもの偏食の原因や傾向を探り、どうしたら食べられるようになるのか考えることが大切です。ここでは、その体験談を、原因別に紹介していきます。うちの子はご飯とお肉が苦手です。お米やお肉が口の中でポロポロするのが嫌みたいです。ケーキやクッキーなど口でとろける甘いものも苦手です。好きなのはパリパリとした味海苔やおせんべいや煮干し。。味というより食感の問題らしいので、お肉も薄くして衣をつけてパリパリにしてみたり、ご飯も海苔巻きにしたり焼きおにぎりにしたりしています。発達ナビライターのSONOさんのお子さんは、2人そろって偏食の兄妹でしたが、苦手な感覚は違っていたようです。肉と牛乳嫌いの息子さんには、「見た目」や「食感」の苦手感がありました。一方、娘さんはそれに加えて、どうも柔らかいものと「におい」に敏感な様子でした。魚は売り場も歩けず、調理後も近くには置けないほどだったそうです。そこで、息子さんには、例えば肉団子をネギトロ用マグロで作る、鶏の唐揚げをカジキマグロで代用する等、食べられる物をアレンジした料理を試してみたところ、食べられるものが広がったのです。さらに、「食べられるものを食べましょう」という方針で、夕食の形式を変えたところ、ふたりに良い変化が・・・!詳しくは関連記事をご覧ください。出典 : 発達ナビライターSAKURAさんのお子さんは、3歳ごろから偏食が激しくなり、せっかく作ったものも「いやー!」と突っぱねられることもしばしばでした。ですが、よくよく食事を観察してみると、いろいろな食材が混ざったおかずは食べませんでしたが、野菜や肉、果物…単体では嫌がらずに食べているというこだわりが見えてきたのです。そこで、ある方法をとったところ、娘さんは生野菜をペロリと完食!その方法とは・・・?発達障害が気になるモンズースーさんの息子さんは、1歳ごろからだんだんと偏食に。食べられるものが炭水化物と乳製品のみとなってしまったため、食卓はいつも真っ白でした。その上、言葉が喋れるようになってからは、「赤や黄色はすっぱいから嫌。赤は辛いから嫌。緑は苦いから嫌。」と食べずに言う時もよくあったため、モンズースーさんは”色が重要なのでは”と考えたそうです。そこで、「色が重要なら食べない色でおいしい物を食べれば食べられる色が増えるかもしれない!」と考え、”実験”をしてみたのです。その結果とは・・・?モンズースーさんの次男は、乳児期ミルクをまったく飲まない子でした。「長男はこんなに嫌がらなかったのに…なんでだろう?」と疑問に思い、調べてみたら乳製品のアレルギーがあることがわかったのです。食べたくないものには「好き嫌い」だけではなく、口の中の症状や、微妙な体調の変化を引き起こす、アレルギー等の他の原因が関係する場合もあります。自分の気持ちを上手に伝えられない子どもは特に、目に見えない体調の変化には親でも気づきにくいため、偏食の行動の中にはアレルギーの可能性も隠れていると思って、注意する必要がありますね。子どもの偏食に思い悩みすぎないで!それより、失ってはいけないものがあるはず…出典 : モンズースーさんのコラムでも紹介されているように、親に食への好き嫌いがない場合などでは、子どもの気持ちが分からず、「わがまま」と考えてしまいがちです。しかし、まずは、発達障害の特性による「偏食」について知ることで、食べられず困っている子どもの気持ちに寄り添うことができます。”発達障害のある子の行動には、一見すると「わがまま」「困った子」などと捉えられてしまう場合があります。でもその「周囲と違う行動」には理由がある場合が多いのです。例えば、「好き嫌いなく食べるのが良いこと」と考えられている現代ですが、発達障害の方はその特性ゆえに食べられるものが極端に少ない場合もあります。それは定型発達の人より感覚が過敏で「臭覚」「味覚」「触覚」などの刺激が強く感じられるため…というのも原因の一つのようです。””私は好き嫌いのない子どもだったので長男の気持ちが分からず、はじめは周囲と同じく「わがまま」と考えていましたが、発達障害の特性による「偏食」を知って長男が食べられず困っていたことに気づきました。もしその行動の裏側にある理由に気付けないままだったら、「光とともに…」で描かれている先生のように理解できず悪循環になってしまうのかもしれません。本人から「これが苦手」と話してくれると分かりやすいですが、それを他の人に伝えるのが苦手な子が多いのです。”かつては、「健康に影響が出るのではないか?」「このままだと一生食べられないのではないか?」というふたつの不安から、子どもの偏食が大きな悩みだったという発達ナビライターのkaoruさん。”だから私は一生懸命工夫して、なんとか食べさせようと躍起になりますが、結果が全く伴わなかったためイライラを増幅させて、息子にとっても食事をさらに辛いものにしてしまったのだと思います。息子には食べられないと分かっていても、食べられない食材を使い、食べられないものを作り、食べてくれないとイライラする。「食べなさい」「イヤだ」の押し問答の挙句、私はひとつも手をつけない息子の食事を取り上げて、シンクにバーンと捨てて、自己嫌悪するなんてこともありました。”「子どもの健康に影響が出ていないのなら、偏食は気にしなくていい。無理強いしないで食べられるものを作ってあげなさい。無理強いしなければそのうち食べられるようになる。」というスタンスの本に出会ってからは、息子さんの偏食を治そうと躍起になって無理強いするようなことはやめ、食べられる食材で食べられるメニューをつくるようになったそうです。そのおかげか、今では息子さんの偏食は、食事に苦労しない程度には徐々に改善していきました。そして、「発達障害児は味覚の発達もゆっくりなのかもしれない」ということに気づいたそうです。出典 : 食べられるものが少ないと、きちんと栄養が取れているのか、健康には影響がないのかと心配になってしまうのが親心。今の日本では、バランス良い食生活を送らなければならないという考え方が、保護者の方の心の重荷になりすぎているのかもしれません。モンズースーさんの気持ちを楽にした、モンゴル人留学生とのエピソードとも、参考にしてみてください。ぽんぽんさんのお子さんは、野菜が嫌いです。ぽんぽんさんは、健康への影響を考え、また近い将来食べることになる学校給食で苦労しないようにと、とにかく「野菜を野菜だと分からせて食べさせること」に非常にこだわっていました。好き嫌いは親の責任!と思っていたこともあり、とにかく一口だけでもいいから食べさせようと、色々なやり方を試して必死に頑張っていたのですが、全くダメ。イライラして怒ってしまうこともありました。しかし、お子さんの様子を見るなかで、野菜を嫌がるのは、自分とは違った感覚特性を持っているからではないかと考えます。”あまりにも食べてくれず、私が作る野菜が入った食事を頑なに拒否。食べさせようとすると酷い癇癪を起こし大泣きする様子や、気付かないように口に入れても吐き出す様子に、「もしかして、特性による感覚の違いで、食べれないものがあるのかな」と思うようになりました。その頃はちょうど、食事以外のことでも発達が気になっていた時期でもありました。発達障害について調べ物をする日々の中、子どもの食事の好き嫌いに特性が関係している可能性も知りました。私たちが美味しいと思っているものも、長男にとっては「口の中に砂を入れられている」ような感覚なのかもしれない…。無理矢理食べさせようとするのは長男にとってものすごいストレスになっているはず…食べなかったら諦めて少し様子を見よう。食べる気になるまで待ってみよう。”こうしてぽんぽんさんは、食事の好き嫌いに発達障害の特性が関係している可能性があることを知り、少しずつ柔軟に考えられるように気持ちが変化していったのです。無自覚だったそれまでの自分の思いに気づくことができ、育児を楽しめたらと思うように変わりました。このような気持ちの変化については、関連記事に詳しく書かれています。出典 : 林さんのお子さんは、食へのこだわりや恐怖心だけでなく、味覚過敏もあったため、「混ぜ込んで食べさせる」ということも通用しませんでした。苦手な食材の、ほんの少しのかけらが舌に当たった瞬間に、嘔気を催してしまうのです。お子さんが幼稚園の頃のお弁当は、食べられる食品の種類は両手で数えられる程度に限られるため、当然、毎日同じ食品のオンパレードのお弁当を作るしかありませんでした。林さんは、毎朝毎朝、同じような食材を詰めるだけのお弁当作りが苦痛で、「食育」という言葉を聞くたびに責められているような気持ちになっていました。お子さんが小学校に入ると、お子さんは、給食のことでがっくりとして帰ってきました。何が出るのか分からない、どんな味か分からないものが毎日提供される給食に、一口でも手をつけようと頑張ってみはするものの、どうしても固まってしまうのです。あるとき、1日だけお弁当の日がありました。息子さんの好きなものだけてんこ盛りのスペシャル弁当を、久しぶりに作って持たせると、お子さんは目をキラキラ輝かせて帰ってきたのです。”「お母さんのお弁当には、僕の嫌いなものは絶対入ってないんだ。幼稚園の頃はいつも、安心しきってお弁当箱を開くのが当たり前だと思ってたんだ。給食みたいに、出てくるときに怖い気持ちにならなかったんだ。お母さんのお弁当は、安心できたんだ。」この言葉を聞いて、かつて幼稚園の先生が「息子くんの好きなものだけを入れてください。それは信頼関係なんです」とおっしゃってくださった意味が分かり、私は幼稚園時代が懐かしくて、涙が出てきてしまいました。初めてのものが怖い息子にとって、いつも安心して弁当箱の蓋を開くことのできた3年間は、宝物のような時間だったのです。そして、その安心感を親が与えずに、誰が与えられるでしょうか。「食育」とは、栄養をバランスよく与えることではなく、「食べる」ということを楽しいことだと感じられるようになる教育だと私は思っています。そう考えれば、偏食の多い発達障害児が、安心感を持って食事をできるようにすることも、立派な「食育」ではないかと私は思います。”偏食克服の第一歩!食べられるようになるために試してみたい、”3つの工夫”とは?出典 : 無理やり食べさせるのは、食事に対する恐怖感や苦手意識を増幅させてしまい、逆効果となる可能性があります。そうはいっても、保護者の方としては食べられるものを増やして、バランスよく栄養をとり、食事の楽しさを教えてあげたいと思うこともあると思います。そこで、調理・配膳の工夫や、子どもが自主的に食べてくれるような動機づけなど、まず試してみたい3つの工夫を紹介します。調理時に、食感・味つけ・大きさなどを子どもに合わせてカスタマイズ。苦手な食材を無理に食べさせようとせず、似たような他の食材で代用する、おろしたりこまかく刻んだりして好きな食品や料理に混ぜる、調味料を変える、においを変える、目新しい形に切る、などの調理の工夫をしてみましょう。・なめらかな食感にする・細かく刻むニャンタさんがした工夫をご紹介します。”「栄養を取らせられないストレス」、ありますよね。そんなストレスがたまると作った物をご紹介します。○「みじん切りにした野菜をクタクタになるまで煮込んだスープを、さらにミキサーにかけて牛乳とまぜたスープ」スープはとにかく裏ごし必須でした。食感にもうるさく敏感な息子は、裏ごししてなめらかにすると飲みました。○「手作りふりかけ」ふりかけは、かつおぶし、ごま、小エビ、天かす、青のり、塩、などの細かい乾物たちを入れて炒る。ミネラルを取れたっぽくして自分の心を満足させていました。市販のものよりも塩分も控えられた気がしました。”・その子に合わせた大きさや味つけにするモンズースーさんは、失敗の経験から、長男が食べられるも工夫を見つけていきました。”「ハンバーグは焼くより煮込んだ方が食べるよ、大きさも子どもが一口で食べられるサイズにしたら食べてた」「カレーは幼児用から普通用に切り替える時期、迷うママが多いけど、うちはどの子も幼児用カレーを食べなかったから、最初から普通のカレーの甘口使ってる。これなら食べてくれたよ」偏食のある長男にはよく噛んで食べて欲しかったので、やわらかすぎる物や細かく刻んだものばかりでなく、色々な食べ物を出していました。でも、それでは食べられなかったようです。また、塩分や、大人向けの調味料も子どもにはどこまで使っていいのか悩みます。早い時期には悪影響なのでは…と思い、良かれと思って薄味にしていたのですが、それでは長男はもう満足できなかったようでした。”同じお皿に盛っておくことで、少しだけでも食べてみようかな?という気持ちになる子どももいれば、ホテルのビュッフェのようにたくさんのおかずの中から選ぶことで食べる気持ちになる子どももいます。出典 : ・ワンプレートに1人分を取り分けておく野菜をあまり食べない息子。我が家は、息子にはワンプレートで出しています。ワンプレートのメインは大好きなおかず、その横に少しでも野菜のおかずを置くと、食べてくれる時があります。別のお皿にするとあまり食べません。年々食べられる物が増えてきて嬉しいです・バイキング形式で、食べられるものだけ選んで食べてもらう”人数が増えたこと、偏食の違いが大きいことから、夕食はバイキング形式にすることにしました。肉料理があり、魚料理があり、野菜があり…。義母もおかずを一品作ってくれることもあり、和洋中華、そしてわたしの好きな沖縄料理やエスニック料理と、豪華ではないけれども華やかな食卓となりました。「食べられるものを食べましょう」すべての料理に箸をつけることを強要せず目の前に気になる料理があれば試せる状態が、子どもたちには良かったようです。バイキング形式の食事を通して、息子は食べられる肉料理の種類が増えてきました。娘も、蒲焼きにすればサンマを食べられるようになり、茹でた野菜なら白あえや胡麻和えも好きになりました。”SONOさんのアイデアは好きなものを食べるだけ取るバイキング方式にすること。これなら子どももあれこれ選ぶことができて、イベントとしても楽しめそうですね!偏食があると、どうしても食事の時間が長くなりがち。Green Daysさんのお子さんも、偏食が激しく、初めて見る料理には箸をつけないため、トースト1枚の朝食に40分、わずかな夕食を食べきるのに1時間半ほどかかってしまい、家族のイライラは募る一方だったそうです。そんなお子さんが食事を早く済ませられるようになり、食卓を楽しい雰囲気へと変えたのが「パワーカード」でした。まとめ出典 : 子どもの偏食に悩んでいる保護者のみなさんは、子どもの成長のためには、必要な栄養もあり、親としてはバランスよくたくさん食べてほしいと思うのは自然なことですよね。また、偏食は、従来は周囲から「好き嫌い」の問題で、わがままだと思われてきました。そのため、お子さんの偏食を必死に治そうとされてきた方も多いかもしれません。しかし、偏食は発達障害の特性によるものであることも多く、無理やり直そうとすると、食事すること自体が嫌いになってしまう場合もあります。子どもの特性にあった工夫をすること、無理強いせず気長に見守ることで、食への安心感や子どもと保護者の信頼関係を育むことにつながります。まずは家族みなさんで食事を楽しむことが大切です。その上で、今までご紹介したさまざまな方法などを参考にしながら子どもの気持ちに寄りそう工夫を、ぜひ試してみてください。
2017年11月24日発達が気になるお子さんや、障害のあるお子さんがサポートを受けることができる場所である、「放課後等デイサービス」や「児童発達支援事業所」。発達ナビでは「施設情報」のコーナーから、お住まいの地域の教室を簡単に探すことができます。電話だけでなく、WEB上から24時間いつでもお問い合わせすることが可能です。また、各教室の特徴や、利用者の声も合わせて知ることができるので、お子さんにぴったりの教室を探すことができます。今回は、大阪府で情報をアップデートしてくださった教室をピックアップ!気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてくださいね。お住まいの地域で「放課後等デイサービス」「児童発達支援」を探す!大阪府 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報学習支援に力をいれている放課後等デイサービスキャンパスラビットでは、少人数制の個別支援で、子どもたちの特性に合わせた自立学習サポートを実施。テストや受験勉強対策のほか、パソコンや化学実験、英会話やクッキングなど、幅広い活動を行っており、将来の仕事を考えるきっかけを積極的に作っていきます。Upload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスラビットでは、宿題や個別課題を通して集中力を鍛えたり、「よさこい」や「だんじり」への参加を通して地域交流を図ったりしています。またクッキングやお買い物体験などの機会を通じて、自立につながるような支援を実施。年2回開催される保護者会では、指導員とだけでなく、他の親御さんとの交流や情報交換が活発に行われています。Upload By 発達ナビ施設情報こどもデイサービススマイルでは、子どものニーズに幅広くお応えできるよう多様な療育を取り入れ、一人ひとりにあった方法で支援を実施しています。工作や絵画、スポーツやダンス、料理や外出などのさまざまな機会を通じて、発達障害のある子が苦手とするコミュニケーション能力の向上を目指しています。Upload By 発達ナビ施設情報全指導員が医療系国家資格者であるワークぷらすジュニアでは、子どもが育つうえで重要な知能・心・身体の3点を大切にしています。療育内容を強制することなく、子ども一人ひとりの個性や特性、発達レベルに合った支援を実施。楽しみながら学べる環境を提供し、心身ともに社会生活になじめるよう支援を行っています。Upload By 発達ナビ施設情報スポーツに特化した放課後等デイサービス みらいでは、20m×40mの全天候型人工芝のグラウンドでさまざまなスポーツの個別・小集団指導を実施。人工芝で安心・安全の空間で運動療育としてさまざまな運動を取り入れ、脳と心と身体に刺激を与えられるように。筋力アップやストレス発散、感情のコントロールを目指して日々活動を行っています。大阪府の「放課後等デイサービス」を探す!大阪府 児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援事業所でもある放課後等デイサービスラビットでは、修学前に必要な自立に向けて、年齢・発達・性格に応じたプログラムで支援を実施。フラッシュカードや点結びなどの集中力トレーニングを取り入れ、ワーキングメモリ―の発達を促します。また、小学生と一緒になって、クッキングやカレンダー作りなどを体験する機会を作っています。※施設名称は「放課後等デイサービス」となっていますが、以下のリンク先は、児童発達支援事業所として登録されている施設のページとなります。Upload By 発達ナビ施設情報岸和田ぴょんぴょん教室では、音楽療法士、幼稚園教諭や保育士、ピアノ講師が、音楽の持つ力を使って、「できない」を「できる」へ一緒に変えていくことを目指しています。別室からは子どもの様子を見ることも可能です。子どもの発達段階に合わせた楽しい音楽プログラムを行っています。大阪府の「児童発達支援事業所」を探す!おわりにいかがでしたか。気になる施設がありましたら、「~のページを見る」のボタンを押してみてくださいね!教室の先生たちが書いているブログや、利用者の方が投稿した口コミなどを見ることもできます。「空き状況を知りたい!」「教室見学をしたい!」場合には、WEB上からもお問い合わせを行うことができますので、ぜひ試してみてください。今後も掲載数がどんどん増えていきますのでお楽しみに!
2017年11月24日ADHDの子どもの学校生活出典 : の特性を持つ子どもにとって、6時間近くじっと座って授業を受けるということは、それだけで重労働です。我が家の小学校1年生の息子(ADHDの診断済)は離席こそしませんが、授業中は常に椅子をガッタンガッタン、貧乏ゆすり。それについて叱られると、今度は鉛筆をガリガリと噛み始め、息子の鉛筆は書く側だけでなく反対側の端からも減っていきます。また、姿勢をまっすぐに保ち続けることに大変な労力が必要なため、すぐに姿勢がぐにゃっと崩れ始めます。息子が口癖のように言うのは「僕は6時間もじっと座っているんだよ!褒めてよ!!疲れるんだよ!!」です。これは何の誇張でもなく、息子の素直な気持ちなんだと思います。でもふと思うことはありませんか?「ジッと動かないでいたほうが集中力って高まるんだろうか?」息子の言葉を聞いて、自分が仕事をしているときのことを思い出してみました。確かに音楽や人の話し声などが聞こえてくると、集中力が削がれ、パフォーマンスは落ちます。けれども、私自身、仕事で難しいところにさしかかり始めると、激しく貧乏ゆすりをしたり、身体を左右に揺れ動かしたり、それでもダメなときは部屋中をウロウロと歩き回ったりします。そのほうが、頭が回転するのを感じるのです。実はこれ、海外の研究でも同じようなことが指摘されています。海外でのユニークな取り組みリンク先のアメリカの教育振興センター(Center for Educational Improvement)の記事を見ると、不思議な写真が掲載されています。1枚目のニコニコ笑顔の子どもが座っている学習机をよく見てみると、足元にペダルがついているのです。 Kinetic Classroom: The Pedal-Desk, ADHD, and the Mind-Body Connection (活動的な教室―「ペダルデスク」「ADHD」「心と身体の関係」)このペダルは何だろうと読み進めていくと、「ペダルデスク」と呼ばれているもので、実際にはフィットネス用のエクササイズバイクを子ども用に小さく改造し、さらに発生音を小さくしたものであるようです。海外では、ADHDなどの子どもに限らず、子どもたちの集中力を高めるために取り入れている学校もあるようです。記事の中では、特にADHDとペダルデスクとの関係について触れられています。衝動・多動の特性があったり、集中力の維持が難しかったりするADHDの子どもたちにとって、ペダルデスクがエネルギーのはけ口としてとても役立つということが研究で明らかになっているというのです。さらに、運動をすることで、集中力が高まり、気が散りにくくなることが最新の研究から分かったといいます。また、集中力のほかにも、記憶力や創造性が高まるという報告まであるようです。「ジッと座って静かに授業を受けるほうが集中力が高まり、学業のパフォーマンスが上がる」というこれまでの常識を覆した研究が出てきたことにより、アメリカやカナダの学校で取り入れられるようになったのがこの写真にある「ペダルデスク」なのだそう。Pedal power boosts N Carolina pupils’ performance(ペダル・パワーで成績アップ-ノースカロライナ州)こちらの記事は、「ペダルデスク」をアメリカのノースカロライナ州の学校に取り入れた例です。ペダルを漕がせながら授業に参加させることにより、子どもたちの学業成績は顕著に向上し、授業に積極的に参加するようになったと書かれています。下の動画は、実際にペダルデスクを取り入れた学校を取り上げたものです。動画に出てくる女の子は、「すごく難しい問題を解くときなんかは、ペダルを高速で漕ぐのよ」と話しています。これは、「頭を回転させるためには、身体の運動が付随していたほうが良い」ということを表しているのかもしれません。「ジッとしなさい!」と叱るよりも前に出典 : これまで、勉強しながら手足をモソモソ、鉛筆カミカミ、身体グニャグニャする息子に対して、私は何度「集中しなさーーーい!!」と声を荒げたことでしょう。このコラムを書きながら、大反省しています。集中というのは、身体を動かしているほうができる場合もあるのでしょう。頭を高速回転させるときには、身体も一緒に動いてもおかしくないのかもしれません。これまでの常識が覆される思いです。家庭でペダルデスクを取り入れることが難しいとしても、アメリカの教育振興センターの記事の中にはこんな記述があります。「10分程度の運動時間を取り入れるだけで、学習パフォーマンスの明らかな改善が見られる」「ADHDの子どもは長い時間集中することに苦痛を感じるため、都度休憩を入れることが学習の助けになる」というのです。Scheduling breaks for exercise in the class for periods of as short as 10 minutes can show demonstrable improvements in academic performance and mood (Howie, 2013). For students with ADHD, extended attention can be particularly stressful and cognitively demanding so the very act of taking a break itself can be very helpful to them (Brock, 2002).こうしたアメリカでの取り組みや研究が、日本の子どもたちにも同じように当てはまるものなのかは、まだはっきりとはわかりません。ただ、成績UPの効果はさておき、細切れに休憩を促したり、勉強の前に身体を思いきり動かす時間を作ることは、ADHDの子どもたちにとって心地よい配慮となるかもしれません。運動や休憩の時間が、親子の楽しいコミュニケーションにもつながり、宿題の時間が今までとは違った時間になるかもしれませんね!
2017年11月23日広汎性発達障害の娘は音読の宿題が苦手…広汎性発達障害のある小学1年生(6歳)の娘は、小学生になるギリギリ前に、ひらがなを読めるようになりました。しかし、読めると言っても、実際は1文字ずつ拾うだけ。いざ本を読むとなると、途切れ途切れ…文章を読んでいるという感じではありませんでした。Upload By SAKURA学校からは、音読の宿題が毎日出ます。読むのがゆっくりな娘は、長い文章を読むことを嫌がり、ちょっと読んだだけで、やめてしまっていました。スラスラと読めるようになってほしいと焦るけど…Upload By SAKURAそんな娘を見ると、授業でちゃんと読めてる!?と不安になっていました。親としてはなんとかスラスラと読めるようになってほしいと焦りますが、本人は、気にしていない様子です。Upload By SAKURA本人がやる気を出さないことには始まらないけれど…でも親として、何かできることあるような気がする…!ちょっと大変だけど、親子で続けた読書の習慣我が家では、娘が寝るとき、部屋で絵本を1冊読むのが日課でした。私は、とにかく今以上に「本を読む」ということに、少しでも関心を持ってもらわなければ!と考え、寝る前の本を、1冊にこだわらないことにしました。Upload By SAKURA娘はその日から、図書館で2~3冊の本を借りてきて、翌日に返し、また新しい本を借りることを繰り返しました。時には、寝る前に読むにはちょっと長い~っ!!!!という本をチョイスしてくることもありました。旦那の帰りが遅く、泣きわめく息子をあやしながら読むこともありました。それでも私は、娘が借りてきた本を、とにかく読みまくりました。Upload By SAKURAこの間、私は「自分で読んでみる?」と娘に聞かないようにしていました。それは、いつも宿題と自主学習、療育を頑張っている娘にここまで強制したくない・・・という思いがあったからです。娘の借りてくる本にうれしい変化が!娘が借りてきた本を、ひたすら読むことを続けて、5ヶ月ほど経ったある日…今までとは違って、短めの本を借りてきました。「こんな短いのでいいの?」と聞くと、娘は言いました。「これは私が読むの」私は驚き、同時に、娘が自分から言い出したことが、嬉しくて仕方ありませんでした。そして娘はその日、ゆっくり、1文字ずつ本を読み進めていきました。私は、一つひとつ頷きながら聞きました。Upload By SAKURAその日から娘は、自分がギリギリ読める字数の本を、借りてくるようになりました。そして、毎晩続いた私の読み聞かせは、娘の朗読タイムに変わりました。最初はゆっくりだった読み方も、少しずつスムーズになっていきました。Upload By SAKURA最近では、娘の帰宅時間が近づくと私は、図書館で、「これなら読めるかな…」と考えながら選んでいる娘を想像し、今日は何を借りてくるのかな、と楽しみにしています。
2017年11月22日泣き虫でいじめられっ子だった、少年時代の龍馬出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。【偉人の凸凹学】シリーズ4回目は、2018年に150周年を迎える明治維新で、影の立役者となったあの方です。ところでうちの長男が、ちょっとしたことで涙が出そうになる自分を気にして「泣き虫直し方」なんて、ネットで健気に検索している姿を目にしました。なんとかしてあげたい親心。でも、感情の素直さや感受性の豊かさは、彼の長所でもあるんですよね。どうしたら、優しくて豊かな感受性をそのままに、強い心を持てるのか…?その、うってつけのロールモデル(お手本)がそう!坂本龍馬、その人なのです。四国・土佐藩出身の坂本龍馬は、海軍である海援隊を組織したり、敵対していた薩摩藩の西郷隆盛と長州藩の桂小五郎の仲立ちをして、薩長同盟を結ばせました。そして、仇敵・後藤象二郎と手を結び、江戸幕府から政権を返上させる大政奉還のお膳立てをし、新しい時代の礎となりました。また、剣術の達人としても有名ですね。そんな時代の傑物(けつぶつ)の龍馬ですが、少年時代は泣き虫で、いじめられっ子。なんと12歳の頃までおねしょをしていたのだそう。繊細な少年だった龍馬の心を、いいところはそのままに、私心を捨てて大義のために行動するスケールの大きな人物に、しなやかで大きく強く育てたヒミツは、一体なんだったのでしょうか。「泣き虫」が蝶になる前のサナギ時代の龍馬が、地元・土佐で過ごした日々より、現代家庭の子育てに手軽に応用できるヒントを見つけたいと思います。強くて丈夫で、柔軟な心と身体を作る基礎〜小栗道場出典 : 明治維新前の当時の土佐藩には、上級武士の「上士」と下級武士の「郷士」という、強い上下関係の身分制度がありました。龍馬は豪商の家系で、結構いいトコのおぼっちゃんでしたが、郷士の身分だったので、上士の武士達から差別的な扱いを受けて、悔しい思いをしていたようです。漢学の塾でも、上士の子にいじめられて辞めてしまったとも(諸説あり)。そんな龍馬を心配してか、家族のすすめで少年龍馬は近所の道場に通い始めます。龍馬と言えば、北辰一刀流が有名ですが、実は青春時代の、今で言うと、ちょうど中1から高2くらいまでの約5年間は、地元・土佐の小栗流・日根野弁治先生の道場の門下生でした。この小栗流、表の剣術だけでなく、総合武術として武士の素養をひととおり教えるもので、裏を和術(柔術)としていたのだそうです(他にも、槍や水練、手裏剣など、バラエティに富んだ内容でした)。通称「鞠身之やわら」とも呼ばれ、変幻自在に身体を鞠のように柔らかく保つのが奥義だっだようで、現代にも「鞠身流柔術」として受け継がれているそう。龍馬の柔軟な発想や、立場を超えた大胆で自由な行動にも、通じているのかもしれませんね。この道場での稽古に、少年龍馬は夢中になり、倒されても何度でも起き上がっていく、実に楽しそうな様子が、以下の談話から伺えます。道場へ来て龍馬は心機一変、おねしょも泣き虫も一ぺんに飛んでしもうた。朝はまっ先に夕べは最後まで、飯を食わんでも剣道の稽古一筋。愉快でたまらん、おもしろうてたまらん。そんな気持ちでなんぼでもやる。『坂本もうよかろう』というと『先生もう一本、もう一本』といくらでもうってかかる。祖父[土居楠五郎]は外の弟子もケイコをつけてやらねばならんので、龍馬ばかりは困る。そこで体当たりをやると、体は大きいが若いのでぶっ倒れる。すると、はね起きてまたかかってくる。襟首をつかんで前に引き倒すと腹這いに延びる。それでもすぐ起きてまたかかってくる。この根性にはすっかり感心した。一度道場内の試合で龍馬が勝ち放し。二つも三つも年上のもの[兄弟子]をこの時は祖父も師匠達もびっくり。弟子達もびっくり、龍馬自身もびっくりということだった(師範代・土居楠五郎の孫の談話)「龍馬堂」HP小栗流の系譜〜日根野道場〜よりそして、小栗流は宗家制度(家元の家系が流派を継ぐこと)ではなく、実力主義。日根野道場の弁治先生も郷士出身で、門弟には上級武士から庶民まで、様々な身分の者が入り乱れていました。今で言う、「ダイバーシティ(多様性)」を認める環境だったことも、龍馬がのびのびと好きなことに打ち込み、才能を伸ばせた理由のひとつかもしれませんね。このように、龍馬は青春時代、夢中になって身体の基礎作りをし、5年間の修行の末「小栗流和兵法事目録」を受け、江戸へ剣術の修行に旅立ちます。虚弱だったとも言われる龍馬が、丈夫で柔軟な心と身体を得たことと、実力主義の道場で認められたことが、大きな自信となったのではないでしょうか。現代でも、いじめられっ子に武道や格闘技を習わせる、なんて話も聞きますよね。ボクシングの元世界王者の内藤大助さんも、いじめられた経験がきっかけでボクシングを始めたのだそうです。龍馬や内藤さんのように、身体を動かすことに夢中になれれば、悩み事が吹き飛んでしまうことだって、あるかもしれません。でも「子どもが、ゲームやYouTubeばっかりで、武道や格闘技に興味を示さない」なんて場合も多いかと思います。少年龍馬のように繊細な子は、1つのことをあれこれと考え過ぎて、不安感を一層強めてしまうところがあるようです。これを和らげてあげるには、武道でも基礎となる、ストレッチと呼吸法を日常の中に取り入れるだけでも、違うのではないでしょうか。出典 : 私も、割と思い詰めやすいほうなので、「1つのことばかり、モヤモヤと気にし過ぎているな」と思ったら、簡単なストレッチをするように心がけています。人は、強い不安感やプレッシャーを感じると、筋肉がガチガチに固まってしまうので、それを意識的にほぐすようにしています。鞠のように柔軟な身体は、柔軟な心を育ててくれるようです。また、いじめられた経験や、失敗や叱責の積み重ねなどがあると、心が過敏になって、少しのことで気持ちが大きく動揺したり、上士のように威圧的な人を見るだけでドキドキしてしまうかもしれません。そんなときには、意識的に腹式呼吸をして呼吸を整えるようにすると心を落ち着かせることができるでしょう。「丹田呼吸法」などは、武士道の精神にも通じているようです。腹式呼吸はもちろん家庭で誰でもできますが、習い事や部活の場合、武道系の他、吹奏楽や、演劇や声楽のボイストレーニングなどでも、近いものが体得できるように思います。コツを掴むために、風船を膨らまして練習するのもいいですよ。成人の方は、人気のマインドフルネスや、ヨガ教室、座禅の体験などもおススメです。兵庫県立教育研究所 心の教育総合センター いじめ未然防止プログラム・授業プラン「10秒呼吸法を使ったストレスマネジメント」「《いじめられている君へ》内藤大助さん」朝日新聞デジタル視野を広げ、世界の大きさを感じ取る経験〜下田屋出典 : また、後に龍馬は脱藩して、土佐の小さな世界を飛び出し、国の未来を考えて日本中を奔走します。そして、私怨を捨てて仇敵・後藤象二郎とも手を結び、大政奉還が成された後は「世界の海援隊でもやらんかな」と言って西郷隆盛に言葉を失わせるほど、スケールのどでかい人物へと成長します。こんな龍馬の心の器を大きく育てた下地には、少年時代、姉と度々出入りしていた、継母・伊与に縁のある藩の御用廻船商人の、下田屋(川島家)での経験が関係しているように思えます。龍馬の人格形成において多大な影響を与えていったのは、父・八平の後妻・伊与の前夫の実家である下田屋(川島家)といわれている。龍馬は姉・乙女とともに浦戸湾を船で渡り、当時土佐藩御船蔵のあった種崎にある川島家をたびたび訪れては、長崎や下関からの珍しい土産話などを聞いたとされる。また、世界地図や数々の輸入品を見て外の世界への憧れを高めたともいわれている。Wikipedia「坂本龍馬」の項より広い太平洋に面した四国・土佐には造船所があり、多くの職人達が住んでいて「プロの仕事」を間近で見たり、話を聞くことができたのだと思います。また、鎖国中だった日本でも、他藩から情報を得たり、外国の商船が漂着するなど、「外の世界」を垣間見ることができたようです。きっと、土佐の海岸には、異国を感じるさまざまなものが流れ着いていたことでしょうね。強い身分制度に支配された中で、少々窮屈な思いをしていた少年龍馬は、見聞を広めながら「土佐が世界の全てではない」と実感し、外の広い世界に希望を見い出して、当時は重罪だった脱藩へと駆り立てられたのかもしれません。これは後に、土佐と同じく、幕末期の閉塞的な状況にあった、島国・日本に新しい自由な風を送り込む龍馬の行動の原体験になったようにも思えます。出典 : もし、今、お子さんが小さなグループの中でいじめられて悩んでいたり、学校などの狭い社会に馴染めずにいるのなら、さり気なく外の広い世界へ、目が向くようにしてあげるといいでしょう。できれば、龍馬のように、広い大海原を眺めたり、船で旅してみるなど、視野を広げる実体験や、学校の交友関係を離れて、習い事や趣味の活動などで、大人や違う年齢・学区のお子さんなど、多種多様な人々と交流する機会があるといいかもしれませんね。ただ、お子さんの心が大きく傷ついているときや、日々の生活で消耗しきっているときには、そんなエネルギーは出て来ないものですよね。さらに現代は、脱藩せずとも世界中のありとあらゆる情報があふれ、自宅に居ながら世界各国の品々がポチッと簡単に手に入る時代ですから、かえって内向きに心が閉じてしまいやすい環境でもあるでしょう。逆に、そういった便利な技術を、視野を広げるために利用することもできます。例えば、うちの長男はオンラインゲームで、年齢も国籍も多種多様な海外ユーザーと、簡単な英語でチャットしながら一緒に遊んでいます。長男曰く「日本人同士のグループよりも、仲良く遊べる」とのこと。空気を読まなくて済む、シンプルでオープンなコミュニケーションのほうが長男には分かりやすいようです。また、「Google Earth」などをおもちゃ替わりにして遊ぶと、自分の今住んでいる世界が、どれだけ小さいのかが、手に取るようによく分かります。地球の裏側の生活をストリートビューで垣間見ることもできます。エッフェル塔だって、ピラミッドだって、グランドキャニオンだって、いつでもお茶の間から行けますからね。まさに「どこでもドア」です。例え、今、閉塞的な状況にあっても、龍馬のように、世界の広さを感じ取ることで小さな世界から飛び出す勇気が持てるかもしれません。何より、思い詰めているお子さんには「その小さな世界が、世界の全てではない」こと、気がついて欲しいです。 Earthありのままの自分を、いつでも受け止めてもらえる存在〜乙女姉さん出典 : そして龍馬を、芯が強く飾らない人柄の魅力的な人物に育てた最大の要因は、「大きな」姉の存在だったように思います。先述のように、郷士出身ながらも豪商の家系だった龍馬は、裕福な家庭のお坊ちゃんで、年の離れた兄と3人の姉がいる末っ子として大事に育てられましたが、9〜10才の頃に病弱だった母を亡くし、毎日泣いて暮らしていたのだそうです。そんな龍馬のために立ち上がったのが、すぐ上の姉・乙女(おとめ)。ですが、この方なんと、一説には身長175cm・体重111kgの豪傑で「坂本のお仁王様」と呼ばれる、ゴッドねえちゃんでした!文武両道の才女だった乙女様は、スパルタ式で龍馬に武術や学問をビシビシ指導していたのだそう。ある時は「武士の子が泳げないとは情けない!」と、龍馬を竹竿の先に縄でくくりつけ、素っ裸で川に放り込んで特訓したのだとか…(お気の毒です)。でも、乙女姉さんは、ただ厳しいだけの人ではなかったようです。おれは若いとき親に死に別れてからは、乙女姉さんの世話になって成長(ふと)ったので、親の恩より姉さんの恩が大きい(『千里駒後日譚』)「龍馬の言葉」坂本優二・著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、p72より…と、龍馬は親代りとなって育ててくれた姉に対し、深く感謝しています。出典 : また、筆まめな龍馬の現存する135通の手紙の中で、一番多かったのも乙女宛でした。その内容からも、龍馬が姉に心を許し、強い愛情と信頼関係を結んでいることが感じ取れます。例えば、尊敬する勝海舟先生に弟子入りできた時の手紙には「少しエヘン顔して、ひそかにおります」と、まるで子どものように得意げに自慢している姿が浮かびます。また、有名な「日本を今一度洗濯いたし申し候」という一文のある長い手紙も乙女宛ですが、国の行く末を思うのと同時に、さまざまな理不尽な出来事から、龍馬は憤りの感情を素直にぶつけています。中には「右申所の姦吏を一事に軍いたし打殺(意訳:あんなヤツらメッタメタのギッタギタにしてやる)」なんて言葉も。そうかと思えば、夫婦喧嘩で実家に帰り「出家したい」とグチった乙女に、「ぶん、と屁の鳴るほどやってみよ」とか「万が一のときは、盗賊の金玉までひきたくれ」なんて飾らない表現で、姉をユーモラスにからかいながら、元気づけています。他にも、後の妻・お龍や千葉道場の娘・佐那など気になる女性の話や、資金難で「七千八百両でヒイヒイと困っていた」など、姉には何でも心おきなく打ち明けている様子が、乙女宛の手紙から伝わってきます。こんな風に、自分のポジティブな感情も、ネガティブな感情も、少々カッコ悪いことや恥ずかしいことも、素直にさらけ出して表現できるのは、姉・乙女が、龍馬のどんな姿でも丸ごと受け止めていたからに他ならないと私は思います。そして、龍馬を想えばこそ厳しくすることもあったけれど、「乙女姉さんだけは、どんな自分でも絶対に嫌いになったりしない」という、姉の深い愛情に確信があったからこそ、しなやかで折れない心を持てたのではないでしょうか。どんな子も「ありのままの自分を受け止めてくれる存在」や「いつでも安心して帰れる家」があれば、失敗してもやり直せる、転んでも起き上がれる、壁にぶつかっても回り道を探して歩き続ける、「本当の強さ」を手に入れることが、きっとできるハズです。「坂本乙女こと龍馬のお姉ちゃん 身長175・体重111kgは日本史最強クラスの女傑!?」BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)弱さは強さになれる…!出典 : こうして「泣き虫」龍馬は、いつの間にか強く逞しい「蝶」になって、広い世界へと羽ばたいていきました。晩年、知り合いの家で、1人の少年が涙ぐんでいるのを、入浴中だった龍馬が見かけたのだそうです。すると龍馬は少年を手招きして、自分の胸の古い刀傷を見せ…「ここをご覧、これは刀傷じゃ。オンチャン(おじさん)は斬られても泣かんぜよ。おまえも斬られたくらいで泣いちゃアいかんぜよ」「龍馬の言葉」坂本優二・著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、p57より…と、笑ってなだめてあげたエピソードが残っているのだそうです。そして、龍馬はこの1ヶ月半後に京都で暗殺され、世の中が大きく変わるのを見届けることができないまま、最期を迎えます。でも、もしも龍馬が、最初から強い心を持っていたのなら、こんな1人の少年の小さな心の痛みに、気がつき寄り添うことはなかったのかもしれません。繊細で人一倍優しい心を持った龍馬だからこそ、できない人の気持ちが分かり、弱い者や小さな者達の声を拾い上げ、自分も身分差別でいじめられて悔しい想いを沢山してきたから、平等な社会実現のために東奔西走する原動力が生まれたのではないでしょうか。もしかしたら、龍馬が泣き虫だったおかげで、今の日本があるのかもしれません。そして、欠点があったり、少々カッコ悪い自分でも受け容れられ、自分の感情に素直でいられたことが、龍馬を人間らしい、より魅力的な人物へと成長させたように思えます。そう想うと、うちの泣き虫少年も、いっぱい泣いて、いっぱい怒って、いっぱい笑って、強くなってゆくのかもしれませんね。彼が今日学校から帰って来たら、「おかえり!」って、両手を広げて迎えてあげたいと思います。出典 : タイトル画像出典:坂本竜馬 | 近代日本人の肖像 国立国会図書館ウェブサイト「龍馬の言葉」坂本 優二・著、ディスカヴァー・トゥエンティワン「龍馬の手紙」宮地 佐一郎・著、講談社学術文庫「図説坂本龍馬」小椋克己/土居晴夫・監修、戎光祥出版「おーい!竜馬」全12巻(武田 鉄矢・原作、小山 ゆう・著、小学館 ビッグコミックススペシャル[新装版])
2017年11月21日0歳からOK!”はじめてのコンサート”にぴったり。気軽に上質な音楽に触れられる機会出典 : 児童発達支援と放課後等デイサービスを行う「スタジオそら」が主催する、子ども連れOKのコンサートのお知らせが届きました!11月25日(土)に、三茶しゃれなあどホールで開催されるのは、0歳の赤ちゃんから大人まで、どんな人も参加できるアットホームなコンサート。座席の半分はマット席で、リラックスして音楽を楽しむことができます。騒いだり寝てしまっても大丈夫です。良質な音楽に、気軽に触れられるこの機会に、コンサートデビューをしてみませんか?子どもがお買い物体験できる「そらマーケット」も同時開催!また、そらマーケットも同時開催されます。リユースの絵本や衣類などが並び、おもちゃのお金で子ども達が自由にお買い物体験ができるコーナーです。「ちょこっとクラシック♪そらコンサート」開催情報Upload By 発達ナビニュースクラシックの定番曲はもちろん、ディズニーソングやクリスマスソングも演奏されます。ピアノやバイオリン、打楽器などの美しい音色を楽しめるコンサートです。日時:11月25日(土)10:15〜11:30(10:00受付開始)場所:三茶しゃれなあどホール(三軒茶屋駅北口徒歩1分)対象:新生児~小学生とその保護者中高生や、大人のみの参加も可能料金:大人1000円(小学生以下無料)出演者:引田香織(シンガーソングライター・音楽文化療育士)小俣景鼓/アーティスト名:Keiko Omata(ボサノバ歌手・フルーティスト・指揮者・作曲家・音楽文化療育士)五十嵐歩美(バイオリニスト)岡野勇仁(ピアニスト・尚美ミュージックカレッジ専門学校講師)その他:授乳室・ベビーカー置き場ありおやつ程度の飲食可能申込:ウエブ申込のみ※下記は、チケット購入用フォームです(主催者ページへ遷移します)発達ナビユーザー向けのチケットプレゼントの応募フォームではありませんそらコンサート詳細ページ発達ナビユーザー5名様へ、チケットをプレゼント!出典 : このコンサートに、発達ナビユーザーをご招待。大人1名(1,000円)分のチケットを、計5名様にプレゼントします!(ペア券ではありません。※小学生以下は無料です)プレゼントをご希望の場合は、こちらのフォームからご応募ください。(11月22日 10:00締切)締め切りました※当選者は厳正な抽選のうえ決定いたします。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
2017年11月20日発達障害については「悩んでない」—いい悪いじゃなく、そうやって生まれたからインタビューの中でも、この「LITALICO発達ナビ」の連載コラムの中でも、鈴木さんが繰り返し語られていたのは、自分が発達障害であることで「悩むことはない」ということ。鈴木希望さん(以下、鈴木): 私だって日々の生活で悩むことはありますけど、それは、「誰だって生きていれば悩みの一つや二つある」ぐらいの普通なことであって、特別に発達障害“だから”悩むとか、発達障害“そのもの”について悩むことはもう無いんです。発達障害がある人間として生まれて「良かった」とは言わないけれど、「障害じゃなくて個性だよ」とか「大変なのに頑張ってるね」と、周囲に変に気を遣われるのもなんだか違和感があるし…良いも悪いもない、これが“基本設定”って感じです。もちろん、感覚過敏や相貌失認など、発達特性の凸凹によって“困る”ことはある。でも、原因がわかっていれば対処のしようがあるし、特性は変わらないのだから、その上でどう生きていくか考えるだけ…と、鈴木さんはあっけらかんとした口調で語ります。算数障害はあっても、大人になった今は電卓を使いこなせば計算には困らない。音や光、匂いに対する過敏性があるけど、自覚していればなるべく苦手な刺激を避けることができるし、どうしても苦手な環境で過ごさなければいけないときは、早めに休憩を入れるようにする…「これは特性なのか」「この場合はこういう対処をすればいいのか」と、自分の思考や言動のパターンと発達障害の特性を照らし合わせながら分析し、対処を考える行為には、ある種の“面白さ”も覚えるとのこと。日頃から自分の特性をよく観察し、受け止めているからこそ、他人に対しても比較的フラットに自分の発達障害のことを話せるそうです。鈴木: 先日、ネットを通してつながった、共通の趣味のある友人たちと集まったんですが、「こういう特性があって、初対面の人とは目を合わせにくいんだけど…」と説明すると、「あぁそうなんだ」って向こうもあまり特別視することなく受け止めてくれたんです。そういうときはすごく楽な気持ちになりますね「痛いところがあったら早く治せるように、薬を家に置いておくのと同じだね」—自分以上に発達障害をあっさりと受け止めた息子について今でこそ「発達障害で悩むことはない」と語る鈴木さんですが、学生の頃や働き出してばかりの頃など、医師の診断を受ける前には、やはり思い悩んだ時期があったそうです。こんなに人付き合いや仕事でつまづくのは、自分の性格が悪いのか、それとも努力が足りないのか…何が原因なのかも、修正の方法もわからず、「自分のことを理解できない生きづらさ」に苦しんでいたあの頃。「分からないまま悩み続ける」ことがどれだけ辛いかを痛いほど知っているからこそ、同じ発達障害の診断を受けた息子さんに対しては、早いうちから告知をしたそうです。すると…鈴木: 本人に告知してみたら、私の予想以上にあっさり受け止めたんですよ。「あんた、発達障害ってのがあるらしいよ」「ふーん、そうなんだ!」ぐらいのリアクションで…おまけに、お医者さんのところに連れていくことに対しても「痛いところがあったら早く治せるように、薬を家に置いておくのと一緒だね」なんて一人で納得する始末で…笑わが子ながらいい例えをするなぁって感心しましたよ。息子さんにとっての発達障害診断と通院は、いざという時のために救急箱を用意しておくぐらいの感覚…鈴木さんより早いうちから発達障害の告知を受け止めた息子さんは、母親であり、同じ診断を持つ鈴木さんも驚くほどに、自分の特性を自分の一部として受け入れ、成長していっているようです。「なんとかなるし、なんとかするしかない」合言葉を胸に、“同志”として共に生きるそんな鈴木さんの息子さんは、現在小学校二年生(2017年度時点)。マイペースに過ごしながらも、同級生の間で独特のポジションを確立し、みんなに愛されているのだとか。鈴木: 鬼ごっことか、自分が好きな遊びだったら集団遊びにもアクティブに参加するんですけど、いつもそういうわけではなくて、興味がないときは集団の輪の外からニヤニヤ笑いながら一人で眺めてるらしいんです。でも、集団に参加しないからといって仲間はずれにされてるってわけでもなくて、「ハルくん(息子さんの愛称)はそういうもんだから」と、クラスメイトからも“そういう立ち位置”として普通に認知されてるみたいなんですね(笑)面白いのが、先生曰く、そんなハルでも体調崩して休むと「クラスの均衡が崩れる」らしいんですね。ニヤニヤして遠くから眺めてるだけなのに、それがクラスの調和を保つピースの一つとして、自然に溶け込んでいる。あと、他人に興味がなくて一人でいるわけではなく、なんだかんだ周りのことはよく見ていて、誰かが困っていたら一番に駆けつけるらしいんです。私が心配するまでもなく、しっかりやってるんだなぁ…と。出典 : 同じ診断を受けた鈴木さんと息子のハルくん。自分の幼少期と比べて、似ているところもあれば全く違うところもある。そして、凸凹がありながらも彼は彼でたくましく学校の中で成長している。そんな息子さんの様子を眺めながら、「いずれ困るときもやってくるだろう」と予想する鈴木さん。鈴木: 今は本人も自覚していないけど、学年が上がったり環境が変われば、困り感が出て来ることもあると思います。私の予想では、4年生ぐらい。だから、親としてはある程度の心の準備はしているんですけど、正直、それほど心配していないんです。だって、彼の人生を生きるのは彼であって、私じゃないから。あまり心配しすぎるのも彼に失礼かなって。「まぁ困ったことがあれば話してくれよ、一緒に考えようぜ」ぐらいのスタンスでいます。親子と言っても、自分と息子は他人だから、それぞれの人生を歩んでいく。親としてサポートはするつもりでいるけど、彼自身が道を切り開く邪魔をしてはいけない。そんな考えを取材中繰り返し語ってくれた鈴木さん。「なんとかなるし、なんとかするしかない」それが、鈴木家の合言葉だそうです。発達障害による困りごとがゼロになるわけではない。自分がそうであったように、これからのわが子の人生にも色々あるだろう。だけどきっと、彼なら「なんとかする」と信じている。日々成長していく小さな“同志”を横目に、鈴木希望さんも、自分の人生を歩んでいきます。
2017年11月19日自分のコピーと言われるぐらい、そっくりな息子の子育て親子そろって自閉症スペクトラム障害の診断を受けた希望さん親子。自分にもお子さんにも発達障害がある育児は、さぞかし大変だろうと思いきや、「ほとんど困らなかったです」という鈴木さん。鈴木希望さん(以下、鈴木):息子がはじめての子なのですが、子育てにはほとんど困りませんでした。凸凹は大きいですが、父母が「希望のコピーのようだ」というぐらいにお互いの特性が似ているので、こんなもんだと思っていました。実家のご両親をはじめ、鈴木さんをよく知る新潟の人たちは、息子さんの特性も自然と受け入れてくれたそうです。むしろ、「希望(のぞみ)と同じなのに、これがどうして“障害”なの?」と言われるぐらい偏見がなく、わざわざ発達障害のことを説明する方が難しかったとのこと。「診断を受けて楽になった」―障害も含めて個性を認識することで対策ができる一口に自閉症スペクトラムといっても、一人ひとりの特性や困難はさまざまですが、鈴木さんと息子さんの間には共通点も多く、理解や対処が比較的容易だったとのこと。鈴木: 子育てに困りはしなかったと言いましたが、特定の場面や刺激への苦手さは当然あります。息子は音への感覚過敏があって、特定の周波数の音に反応するようです。たとえば、ここの繁華街は平気なのに、別の駅の繁華街に行くとダメ、という感じですね。でも、私も音や光り、臭いへの感覚過敏があるので、そんなこともあるかと落ち着いて対処できます。出典 : 鈴木: 環境の変化にも弱くて、新潟の実家に引っ越した直後は、ほとんど寝なくなり、ずっと泣き叫んでいました。以前、実家のガスコンロを新調した時も「前のがいい」と言ってパニックになってしまって。環境の変化に対するストレスが大きいみたいなんですが、それも自分に似ているから理解できます。そんな息子さんは、保育園に入っての集団生活でもマイペースで、一人で黙々と好きなことをして遊んでいることが多かったそうです。ですが、お友達との関わりのなかで大きなトラブルもなく、周囲からも人気者だったとのこと。特性ゆえの苦手な場面には対処しつつ、過剰に心配したり問題視したりすることなく、息子さんをのびのびと育てている様子の鈴木さん。鈴木: 私は、診断を受けて楽になったんです。障害は個性の一つだとも言われますが、その個性もキチンと認識しないと遠因や対策はわかりません。困り感が消えるわけではないので、診断されてわかったことをベースに、環境を変えていきました。息子に関しても同じで、「この子の困り感をどうしたら人に伝えられるだろう」と考えながら、園や学校の先生とやり取りしました。いろいろ考えた末、通常学級に入れることに決めました。通級教室のある学校が遠かったので、通い続けるのは息子もしんどいだろうと通級を断念。入学する学校の支援学級は全体的に学業の進行がゆっくりだったので、息子は物足りなさを感じる可能性がある…そんな風にそれぞれの特徴や息子との相性を検討した上で決めました。通常学級にいるなかでも、感覚過敏ほか特性由来の問題について配慮を受けられるようにと、先生方に相談しています。後悔だけはしてほしくないから、息子には全部自分で決めさせる自分とそっくりの特性がたくさんある息子さんについて、「“子育て”していると思ったことはない。息子は“同志”みたいなものだから」と語る鈴木さん。息子を一人の人間として大切にしているからこそ、園や学校での行動は全て本人の決定に任せているそうです。たとえば、聴覚過敏のある息子さんにとって、にぎやかな園の行事への参加は大きなハードルです。そんな時も鈴木さんは、「みんなも出てるんだから」と参加を強制することもせず、「出なくて良いよ」と促すこともせず、息子さん自身に考えさせるのです。鈴木: すべて本人の意思に任せるんです。事前に、「出たらどんな良いことがあって、どんなこと嫌なことが起こるのかを考えて、全部自分で決めてね」と伝えています。その途中で話も聞くし、アドバイスはするけど、“指示”は絶対にしません。鈴木: 息子は、一度決めたら変えてはいけないんだと思いこんでしまう傾向があるので、最初に「出る」と言ったことを後から変えることに抵抗があったり、変えたことでまた悩んだりもするんですが、そうしたプロセスも含めて全部、息子に決めさせるようにしています。子どもには酷だとは思います。でも、母や周囲の期待に応えようとして自分を押さえるようなことはしてほしくないんです。だから私は、息子が自分で考えて決めたことは、絶対に否定しません。失敗することもあるけど、自分が決めたことなら納得ができるし、そこから学んでいけるから。「私には、親という意識があまりないんです」と語る鈴木さん。自分とそっくりの特性がある息子さんだからこそ、困難をよく理解した上で環境を整え、本人の意思や主体性が育つようなかかわり方をするのが希望さん流の子育てなのでしょうね。第3回は、ご自身の過去の経験や、息子さんとの関わりを踏まえて、いま発達障害について思うことを語っていただきます。
2017年11月18日言葉と数字、得意・不得意の大きなギャップ現在もライターという、言葉を扱う仕事をされている鈴木さんですが、幼少期の頃から文字や言葉への親しみが強く、学校でも国語・英語といった教科が大の得意だったそうです。鈴木希望さん(以下、鈴木): 好きな遊びが、国語辞典の「あ」からの内容を黙々とノートに書き写すこと。私には、文字や言語へのこだわりがあるんだと思います。反面、算数・数学は大の苦手でした。おそらく算数障害なのでしょう。1桁の計算もすぐに間違ってしまうぐらい、数字や計算記号そのものを認識しにくい認知特性があるんです。小学校低学年の頃は、周囲との差はあまり大きくありませんでしたが、小学校高学年、中学、高校と計算問題の難易度が高くなるにつれ、得意科目との差が大きく目立つようになっていきました。当時は自身の発達障害についての認識もなく、「なんでこんなに間違うんだろう」、「勉強不足に違いない」と思いながら必死に算数・数学の勉強に勤しんでいたとのこと。鈴木: 曖昧さのない“理数系”の世界が大好きで、数学の勉強自体はすごく楽しんでやっていたんですよ。それなのに学校では、国語・英語が99点で数学は3点みたいなテスト結果が返ってきて、「好きこそものの上手なれ」の反対というか、叶わぬ片思いみたいでひどいですよね(笑)「同じ」ことが当たり前だなんて、どうして思えるんだろう…他人との考え方の違いに苦しんだ学校生活学校生活では、他にもクラスメイトとのコミュニケーションや集団行動に難しさを抱えていたという鈴木さん。みんなと同じことを同じタイミングで行うことが強く求められる学校生活に、疑問や苦痛を感じながら過ごしていたそうです。鈴木: 自分が感じたり考えたりすることが、本当に他の人もそうかという確信が持てないんです。だから、「こう言われたらこの人は嫌だろうな」とか、「他の人も自分と同じように思っているだろう」といった感覚がわからない。結果、みんなから「冷たい」「直しなさい」って責められてしまうんです。小学校の人間関係、特に女子の中では、友だちと共感できないことでトラブルになりやすいじゃないですか。相手を否定するつもりはなくても、自分はそれが好きじゃないと言っただけで「否定された!」と捉えられます。特に、小学校3~6年生頃の風当たりがきつくて、当時は辛かったですね。自閉症スペクトラム(ASD)特性のある人は、よく「他人の感情を読むのが苦手」「コミュニケーションが苦手」などと説明されますが、鈴木さんとしては、「相手の気持ちがわからないのではなくて、頭に浮かぶ選択肢が多すぎて対応が絞れない」という方が、自身の感覚に近いとのこと。出典 : なんとなくその場の空気で共有されている“多数派の感覚”が当たり前だとは思えない。自分と他人は違う感じ方をしているかもしれない。だから、自分は自分で思ったことを率直に言う。そうやって素直に行動しただけなのに、“共感”することを前提とした人間関係の中では「冷たい」という評価を受けてしまう…学校の人間関係特有の息苦しさが、鈴木さんを追い詰めていきました。小学校5年生のときには、てんかんを発症。中学生になってからの環境の変化もあいまって体調を崩してしまい、心身ともに不安定な状態のなか、学校にもあまり行けなくなってしまいます。その後受験した私立高校は、自由な校風で過ごしやすく、小・中学校時代とは打って変わって順調な日々を送ることができたそうです。しかし、病気がちで出席日数が足りず、3年生に上がるときに留年してしまいます。クラス担任との相談の結果、「あなたは、自分のペースで勉強して、大検(大学入学資格検定)を取って大学に行った方が良いと思う」とアドバイスを受け、高校は中退することを決意。ここから現在に至るまで、鈴木さんはさまざまな仕事を経験していきます。高校を中退し、働くなかで広がった世界。そして…鈴木さんが最初に始めたのは、レコード屋さんでのアルバイト。まだ若く、はじめて就業を経験する鈴木さんに対しても、周囲の人たちは優しくサポートをしてくれました。働くことはとにかく「楽しかった」という鈴木さん。レコード屋さんで22歳まで働いた後も、飲食店、派遣での営業事務、編集プロダクションなど、さまざまな職業を経験します。自身の特性の凸凹もあり、相性の良い仕事とそうでない仕事の差が激しかったと振り返ります。鈴木: 在庫のチェックみたいな、黙々と集中できる反復作業はすごく得意で、楽しかったですね。逆に、派遣の営業事務で担当した経理の仕事は厳しかったですね。入力ミスを立て続けに起こし、叱られてばかりでした。自身の特性と相性の悪い仕事に就いても、当時の鈴木さんは「自分の努力が足りないせいだ」と思い、無理をしながら必死に働いていたそうです。結果、疲労やストレスから体調を崩し、ドクターストップがかかるまでになったことも。一方で、これまでの学校生活と違い、多様な個性が「当たり前」に受け入れられる環境にも出会うことができました。鈴木: インド料理店での仕事はよかったですね。インド人は個性豊かな人が多くて、日本で長く暮らしていても、常識や文化が違います。インド人スタッフも日本人スタッフも、お互いの個性を受け入れられる人ばかりで、環境に恵まれていました。当時はまだ診断も受けていませんでしたが、私の特性も個性として自然に受け入れてくれました。高校を中退し、先生に勧められた大検を取ることも結局はしませんでしたが、鈴木さんは「働く」ことを通して、少しずつ自分の世界を広げていきます。現在のお仕事は、フリーランスのライター業です。雑誌やカタログ、企業や自治体の広報誌など、さまざまな媒体からの依頼に応じたライティング業務を請け負っています。幼少期から親しんできた言葉や文章の世界での仕事、また、黙々と情報を「調べてまとめる」という作業が自身の特性に合っていることもあり、クライアントの期待に応える文章を書き上がることに、やりがいや達成感を感じるとのことです。鈴木: 書く仕事といっても、私は”自己表現”をしたいという欲求はあまり無いんですよ。ライターというのは、コラムニストや作家と違って、表現者というよりは職人的なお仕事です。依頼してくれたクライアントがどんなものを期待しているかを理解して、その期待や要望をすべて満たせる文章を、カチッと合わせてつくる…それが出来たときにはすごくスッキリするというか、やって良かったなって思います。幼少期には、みんなと同じ行動や“共感”を強く求められる環境の中で苦しんだものの、社会に出て働く中で、自分を含めてさまざまな個性を持った人たちとの関わりを増やしていった鈴木さん。多様な人や企業の思いに触れ、それを文章として形にするライターのお仕事は、鈴木さんにとっての“天職”なのかもしれません。そんな鈴木さんが「同志」と語る息子さんとの日々、鈴木さんが考える子育て観をお聞きします。
2017年11月17日大好物のふりかけご飯以外は断固拒否!長男の偏食がストレスに…重度自閉症の長男は幼い頃から食べ物に対するこだわりがありました。おかずには手をつけずひたすら白米ばかりを食べ続けるのです。それもただの白米ではダメで、お気に入りのメーカーのふりかけをたっぷりとかけたものしか口にしないのです。パンも食べず麺類も受け付けないその姿を見ていると、次第に危機感が募っていきました。このままでは一生、他のものが食べられない!あるとき私はふりかけを隠しておくことにしました。食卓についた長男は、ふりかけのない白ご飯を見つめると不快そうにし机をどんどん叩きます。「ふりかけはないよ。ごはんとみそ汁を食べるんだよ」私がそう言うや否や、長男は怒りをあらわにし置いてあったみそ汁をテーブルにぶちまけました。Upload By シュウママ「なんてことするのっ!」思わず私が大声を出すと、長男は泣き出しました。そしてその日は夜中まで一口も食べようとしなかったのです。根負けしてふりかけご飯を出してやると、長男は笑顔で食べ始めました。この子はずっとふりかけだけを食べ続けるんだろうか――不安が徐々に募っていったことを覚えています。Upload By シュウママ療育施設での初給食もやっぱり食べない。どうなる長男VS.先生!?そんな日々の中長男が療育の通所支援に通うことになりました。私はあらかじめ長男の偏食のことを先生に話しておいたのですが、先生は笑顔で「ここに来る子は大半が偏食なんですよ。大丈夫。シュウくんの偏食は絶対直してみせますから」力強く言って下さいました。その言葉にほっとしましたが正直『あの頑固な偏食が直るわけない』と私は心の中で思っていたのです。初給食の日、やはりというべきかトレイに置かれたごはんとおかず、スープを長男は警戒心いっぱいの目で見ています。Upload By シュウママイライラした様子の長男の背後に先生はぴたりとくっつき「シュウちゃんはどれが好きかな?」と言いスプーンにスープをのせて長男の口元へ持っていきます。長男はイヤイヤして飲もうとしません。その姿を見ながらやっぱりダメか…そう思ったときです。目からウロコ!長男が初めてスープを口にした!先生は立ち上がり、棚からふりかけを出して長男のご飯にかけてくれました。「ちょっとずつ慣らしていきましょうね」先生は私の方を振り返って言いました。ふりかけご飯を見て長男は目を輝かせ必死になって食べ始めました。食べている最中、先生は横からすっと自然に長男の口にスープを流しこみました。Upload By シュウママあまりに先生の動作が自然だったからでしょうか。家では嫌がるスープをごくりと飲み干す長男。思えばこれが初めてスープを口にした瞬間だったでしょうか。結局その日、長男はごはんとスープを見事完食することができたのです。「食べることは幸せ」給食の時間が長男の偏食を変えてくれたそれから1か月2か月と経つうち、連絡帳には「今日はシュウちゃん完食しましたよ!」という文字が見られるようになりました。Upload By シュウママ確かに家でもおかずが食べられるようになってきている・・そう思った私は親子通園の日、先生がどんな風に食べさせているのか様子を見させていただきました。先生はまず長男が苦手にしている野菜を細かくスプーンでつぶしました。Upload By シュウママ米粒ほどの大きさになった野菜をこっそりご飯に混ぜて、違和感なく食べられるようになったら少しずつ野菜を大きくしていきます。それでも食べない野菜があった時は、小皿にほんの少しだけ載せて、長男が一口でもかじったり、なめられただけでも力いっぱい褒めて下さるのです。Upload By シュウママ先生は「嫌な感情を残したまま食事を終えたらいけない。食事は楽しいことなんだよって思わせなきゃいけないんです」そう教えてくださいました。「偏食は自分のせい」と一人で抱え込むお母さんにも伝えたい先生の言葉「ありがとうございます。母親の私がやらなきゃいけないことだったのに」思わず私が言うと先生は「お家ではね、どの子もお母さんに甘えるんですよ。でも集団の中だと甘えが許されない。だから不思議と食べられるようになるんです。子ども同士で一緒に伸びていくんです」Upload By シュウママ優しい笑顔で応じて下さいました。私のせいだ、私がふりかけを出してわがままを許したせいだ――。そう思って自分を責めていただけに、この言葉はふわっと私の心を温めてくれたのです。お子さんの偏食に一人で悩まれてるお母さんに、どうかこの先生の言葉が届きますように。
2017年11月16日LITALICO発達ナビの「施設情報」をもうご利用いただきましたか?施設情報のコーナーでは発達の気になるお子さんが利用できる、全国の放課後等デイサービス・児童発達支援事業所を検索することができます!今回は、神奈川、埼玉、千葉、栃木で情報をアップデートしてくださった教室をピックアップ!気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてくださいね。発達ナビ「施設情報」神奈川県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報が~まるちょばは、「子どもとの距離(時間)を大切にし、より良いサービスを創出」することを大切にしている放課後等デイサービスです。集団支援だけでなく、毎回15分の個別支援の時間を確保。さらに、就労・社会参加にむけた外出企画のなかには企業が企画したプログラムも取り入れるなどし、子どもの可能性を拡げることを大事にした支援を心掛けています。神奈川県 児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス 相模原教室では、幼児教育コペルで使用している豊富なオリジナル教材、フラッシュカード等を使用したプログラムを準備しています。また、児童指導員、保育士幼稚園教諭を始め、コペルで認定を受けた指導員が在籍。お子さんの特性に合わせた療育を行っています。神奈川県の「放課後等デイサービス」「児童発達支援事業所」を探す!埼玉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ワオンスタジオでは、お子さん同士のコミュニケーションを大切にし、対人関係や社会のルールを学ぶためのソーシャルスキルトレーニングなどを実施しています。また、個々に合わせた学習支援や、自立を目標にしたさまざまな支援などを、保護者の方と一緒に考えながら取り組んでいます。Upload By 発達ナビ施設情報ミライエ戸田では、㆒人ひとりの特性や発達状況、年齢などに応じ、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの「療育プログラム」を作成しています。成功体験を積み重ね、社会的スキルを伸ばしていくことで、お子さん一人ひとりが、自分らしく社会生活を送れるようにサポートを行っています。Upload By 発達ナビ施設情報おもちゃ箱みさとでは、リトミックやダンス、そしてアートセラピーなど、さまざまな角度からのアプローチを実施しています。音楽療法士・子どもアート療法士・教師・保育士など、さまざまな専門性を持ったスタッフが在籍。お子さんは集団ゲームを通じて、集団活動のルールや勝負の意味、感情コントロールの方法などを学んでいきます。埼玉県の「放課後等デイサービス」「児童発達支援事業所」を探す!千葉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスホップでは、お子さん一人ひとりの可能性や個性を発揮できるような取り組みをスタッフ一丸となって考え、支援しています。また、音楽療育としてリトミックを取り入れ、スタッフもお子さんたちも、リズム遊びや楽器遊びで楽しい時間を過ごしています。Upload By 発達ナビ施設情報児童デイサービスなでしこ365では、調理体験、外出体験を積極的に行っています。外出体験は、土手滑り、工場見学、博物館、公園等いろいろなところへ出かけます。他にも不定期で、造形や外食体験も実施しています。スタッフとして保育士・幼稚園教諭、児童指導員、精神保健福祉士も在籍し、お子さんたちへの支援を行っています。千葉県 児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報スターギフトでは、じっくりとした療育を通して、コミュニケーションや社会性の向上を促していきます。保育士・特別支援学校教諭経験者・教職課程修了者・障害課程専門の研修修了者などが在職しており、お子さんの長所をしっかり見極めるプログラムで、早い段階から長所を伸ばしていきます。千葉県の「放課後等デイサービス」「児童発達支援事業所」を探す!栃木県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報エスポワールでは、宿題支援や学校の授業にそった内容の月別学習支援を作成して子ども達一人ひとりに合わせた学習指導を行っています。また、「全国ひらがなかきかたコンクール」に参加し、子どもたちの自己肯定感をはぐくむ取り組みも実施。保育士、幼稚園教諭、児童指導員、特別支援学校教諭などが在籍しており、家族的な雰囲気のなかで支援を行っています。Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズメソッド宮の内店では、オンライン学習ソフトやマインクラフト・イラストレーターといったツールを使った学習スタイルを用意しています。保育士や教員を中心に、就労支援などの福祉現場で経験を積んだスタッフも在籍しており、子どもさんが無理なく落ち着いて活動できるに配慮しています。栃木県の「放課後等デイサービス」「児童発達支援事業所」を探す!おわりにいかがでしたか。気になる施設がありましたら、「~のページを見る」のボタンを押してみてくださいね!空き状況や教室見学について、ページから直接お問い合わせをすることも可能です。今後も掲載数がどんどん増えてゆきますのでお楽しみに!
2017年11月15日LDでも、勉強の成果が出なくても…めげない息子Upload By ひらたともみLD(学習障害)のある息子は現在中学3年、受験生。部活に、文化祭に…と精力的に中学生活に取り組んでいましたが、勉強の方はというと、教科によっては1ケタ台のテストの点を取ってきているものもありました。しかしそれでも、たとえ課題の答えが間違っていたり、テストでなかなかいい結果がでなくても、めげずに根気強く、毎日をいつも通りにこなしていました。その姿勢と粘り強さには、感動すら覚えます。そして部活も引退になった夏休み。リクのライフスタイルに変化が出てきたのです。ウチの息子が…本当に勉強をしにカフェへ…?Upload By ひらたともみ当然ながら、本当に勉強しているんだろうか…?という疑念を抱き、時々こっそり偵察に行ったのですが…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみまさにミラクル!結果が出だしたのです。LD検査時に言われた「開花」の可能性の話を思い出したUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ「普通科高校に入りたい」そう言ってはいたものの、正直、なかなか点数が上がらなかったリク。口には出しませんでしたが、私の中には普通科高校進学以外の道もあるだろう…と考えていました。が!それは時期尚早だったと思い知らされることに!徐々に努力が実りだし、校内順位も上がってきたのです。受験はリクにとって、人生最初の大きなチャレンジの場。今はとにかく、どういう形であれ、リクの未来に希望があればいいな、と願ってやみません。
2017年11月14日相貌失認とは出典 : 相貌失認は、人の顔を正しく認知することができないという障害です。正しく認知できないというのは、よく知っている顔、例えば両親や親友、あるいは自分の子どもを見てもそれが誰なのか分からなくなってしまったり、目の前にいる人の性別や年齢が全く分からなかったりするようなことを意味しています。相貌失認は、単に顔と名前が一致しないということではありません。名前が分からなくても、顔を見た時に、その人がどんな人か思い出すことができたり、その人の顔に見覚えがあるように感じたりするならば、相貌失認である可能性は低いといえます。相貌失認でない人にとってみれば、相貌失認という障害は想像しにくいかもしれません。また、生まれつき相貌失認である場合には、顔以外の視覚情報や声などから目の前にいる人が誰かを見分けることが当たり前だと感じていることがあります。そのため、顔の認知がまわりに比べて苦手であることに気がつかないことも珍しくありません。海外での調査では、人口のおよそ2%が相貌失認であると報告されています。日本でも、相貌失認の症例がいくつか報告されており、身近に相貌失認である人がいても、決して不思議なことではありません。出典:飯高哲也「先天性相貌失認症候論,認知機能,神経科学的研究について」相貌失認の症状出典 : 相貌失認になると、目が悪いわけでもなければ、物やかたちを記憶することができないわけでもないのに、なぜか人の「顔だけ」認識できなくなってしまいます。相貌失認でない人は、友人や家族の顔がちらっと見えれば、それがだれなのか気づくことができます。しかし、相貌失認の人にとっては、自分含めたすべての人の顔が同じように見えてしまい、顔をちらっと見ただけではそれが誰なのか判断することができないのです。また人によっては、視線を向けている方向が分からない、表情から相手の感情を判断できない、男性なのか女性なのか分からない、といった症状があります。相貌失認の症状については軽度な人から重度な人まで様々な人がいます。そもそも、私たちの周りにいる人でも、顔を覚えるのが得意な人もいれば、相貌失認ではないけれど顔を覚えるのが苦手な人など様々です。顔を覚えるのが得意な人であれば、パーティーで少し顔を合わせたことがあるだけの人でも、町中で見かけたときに気がつくかもしれませんが、気づかない人だって多くいます。軽度な相貌失認の場合、気がつく頻度が一般的な人に比べてやや少ない程度で、日常生活を送る上でそこまで困らずに生活できることもあります。しかし、重度な相貌失認になると、自分の親や子どもの顔が分からず困難を感じる人も少なくありません。相貌失認になると、次のような困りごとが生じる可能性があります。・ドラマや映画で、登場人物の見分けがつかずストーリーが分からなくなってしまう・待ち合わせの場所で相手を見つけることができない・以前あいさつしたことのある人に対して、失礼な対応をしてしまう・学校や職場でよく会う人であっても、ふだん会わないような場所だと無視してしまう・子どものお迎えにいっても、自分の子どもを見つけられない・知人に肩を叩かれたときに、不審者に叩かれたかのような反応をしてしまう私たちは、自分の顔を忘れられるとショックを受けたり、失礼な人だとみなしたりすることがあります。相手の顔を覚えることのできない相貌失認の人は、そのことが社会生活を営む上での大きな障害になってしまいます。相貌失認とは、わざと覚えていないわけではなく、むしろ人より覚える努力をしているにも関わらず人の顔を認識することができない障害なのです。参考書籍:山口真美/著者『顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人ー「読心術」で心を見抜く』(中央公論新社・2015)参考:Information About Prosopagnosia|Prosopagnosia Research at Bournemouth University相貌失認の原因出典 : 人の顔だけ認識することができなくなってしまう相貌失認は、いったいなにが原因で起こるのでしょうか。この章では、先天性の相貌失認と後天性の相貌失認にわけて原因について説明します。先天性の相貌失認は、脳内で顔を認識するときに行われるはずの処理を行うことができないために起こるとされています。視覚障害、知的機能障害もなく、脳に損傷も見らないのに、顔を認識することができません。なぜ先天性の相貌失認が起こるのかは、いまだに明らかになっていないことも多くありますが、最近の研究によると遺伝の影響も否定できないといわれており、遺伝性の相貌失認かどうかを確かめるような質問紙も作られています。参考:近藤実知「後天性および先天性相貌失認症例検討をふまえて」人の顔を見てそれがだれか認識するためには、脳内でさまざまな処理が行われる必要があります。例えば、目で見た情報から相手の顔がどんなかたちをしているのかやどんな色をしているのかを脳内で明らかにします。その後、その顔をした人を今まで見たことあるか自分の記憶と照らし合わせる必要があります。後天性の相貌失認とは、相手の顔をだれか認識するまでに必要なはたらきをする脳の一部を、事故や、脳梗塞・脳腫瘍などの病気により損傷してしまうことで起こります。交通事故などで相貌失認になってしまった人の場合、病院で目が覚めても、かけつけてくれた家族や友人が誰なのか分からないといった状態になってしまうことがあります。相貌失認と発達障害の関わりは?出典 : 自閉症スペクトラムがある人の中には、顔を認識することが難しい人がいます。自閉症スペクトラム以外にも、ウィリアムズ症候群やターナー症候群などの疾患がある人々にも相貌失認のような症状が現れることがあります。しかし、発達障害のある人すべてが顔認識に困難を抱えているわけではありませんし、相貌失認の人が必ず発達障害であるということでもありません。自閉症スペクトラムと相貌失認には、顔を認識する際に細かいパーツは認識できるが、全体として見ることができない傾向があるという共通点があります。私たちの目や鼻、あるいは輪郭などは一つだけ取り出して見れば、個人差はあまりありません。そのため、顔を認識するときには細かい部分を見るのではなく、顔を構成しているパーツの組み合わせを見ることになります。おそらく、目だけを見て、それが誰かを認識することは、ほとんどの人にとって不可能だと思います。顔認識に困難がある人であっても、顔を見た時には、目があり、鼻や口があるということから、今見ているものが顔であることを理解できます。しかし、その顔が誰の顔なのか認識する時に、目や鼻などの細かい部分に注目しすぎてしまい、全体の組み合わせから判断することができないのです。このように、相貌失認と自閉症スペクトラムには共通した特徴も見られます。現在、相貌失認と発達障害になぜ関連が見られるのかについては、諸説ありますがいまだに解明されていません。参考書籍:熊谷高幸/著者『自閉症と感覚過敏ー特有な世界はなぜ生まれ、どう支援すべきか?』(新曜社・2017)参考:Information About Prosopagnosia|Prosopagnosia Research at Bournemouth University相貌失認かどうか調べる方法出典 : 相貌失認なのか、単に人の顔を覚えるのが苦手なのかを確かめるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、相貌失認かどうか確かめるために使われる相貌認知課題について紹介します。相貌認知課題は、大きく分けると次の3種類の項目を調べるものになります。・見たことある人の顔を覚えられているか・見たことない人の顔を区別できるか・顔から性別や年令を推測することができるかそれぞれもう少し詳しく見ていきます。見たことのある人の顔を覚えられているか確かめる課題では、誰でも知っているような有名人や家族の写真を用いて行われます。有名人や家族の写真を見せて、その人が誰か答えてもらう中で、その正答率や思い出すまでにかかった時間を測ります。この課題では、写真に写っている人の名前を答えてもらうことが多いですが、名前を思い出せなくても、それが誰なのか分かっていれば正解したとみなします。例えば、イチローの写真を見て、名前がでてこなくても、「野球選手で、いまメジャーで活躍していて…」と答えることができれば顔を覚えているとみなされます。この課題では、2枚の写真を見せて、それが同じ人であるかどうか答えてもらったり、見本の写真と同一人物の写真を6枚の写真から選択してもらったりして行われます。この課題でも、正答率や答えるまでにかかった時間などを測ります。2枚の写真を見せて、どちらが男性か答えてもらったり、どちらのほうが若いか答えてもらったりすることで、正しく推測できているか確かめます。参考:近藤実知「後天性および先天性相貌失認症例検討をふまえて」相貌失認の対処法出典 : 私たちは目の前にいる人が、誰なのか認知するとき、顔の情報のみで判断しているわけではありません。例えば、特徴的な髪型や話し方、歩き方あるいは服装なども参考にしながら、記憶と照らし合わせています。相貌失認の人の場合は、相手のことを顔から判断することは困難ですが、顔以外の情報から判断することができます。生まれつき相貌失認であると、独自の工夫をして、社会生活をそれほど支障なく過ごしている場合もあります。現在、残念ながら相貌失認を根本的に治療する方法は見つかっていません。相貌失認を抱えながら生活していくには、顔以外の情報にできるだけ注意して相手が誰か判断しなければいけません。相貌失認によるトラブルを減らすために、自分が相貌失認であることを周囲に明言しておく方法もあります。例えば、『レナードの朝』などの著作で知られる神経科医オリヴァー・サックスも相貌失認であることを告白しています。サックスの助手は、サックスのもとを訪れる人に対して次のように伝えていたそうです。「あなたのことを覚えているかどうか、先生に訊かないでください。覚えてないって言いますから。お名前を名乗って、自分が誰かを先生に教えてあげてください」出典:『心の視力ー脳神経科医と失われた知覚の世界』p104また、サックスにもこのように言っていたそうです。「ただ覚えていないと言うのはだめですよ――失礼ですし、人は気を悪くします。『申し訳ありませんが、私は人の顔をちっとも覚えられないんです。自分の母親の顔さえわからないんですよ』って言ってください」出典:『心の視力―脳神経科医と失われた知覚の世界』p104相貌失認でありながら、なんとか工夫してトラブルを起こすことなく生活し続けることは難しいことです。また仮に生活できたとしても、常に過度に気を張っていなければいけないため本人の負担がどうしても大きくなってしまいがちです。相貌失認で困っている人は、周囲に正しく理解してもらえるように、相貌失認であることを周りの人に伝えるという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。参考書籍:オリヴァー・サックス/著者『心の視力ー脳神経科医と失われた知覚の世界』(早川書房・2011)相貌失認の著名人出典 : 人口のおおよそ2%が相貌失認であるとされているように、相貌失認というのは決して珍しいものではありません。相貌失認は、たしかに日常生活のなかで困るようなケースも多くあるかもしれません。しかし、相貌失認であっても世界で活躍されている方は何人もいらっしゃいます。この章では、実際に相貌失認であるまたは、相貌失認の疑いがあるとされている著名人の方を紹介していきます。ルイス・キャロルは、世界中で大人気な『不思議の国のアリス』をはじめとする童話を執筆したことで知られています。彼は、児童文学の作者としてだけでなく、大学の講師や写真家、牧師としても活躍された非常に多才な人物でした。ルイス・キャロルは、数字の「42」に対して強いこだわりをもったり、規則を守ることが得意であったり、言動の意図をよく汲み間違えたりしていたそうです。他にも、言葉をどもってしまうような言語障害もあったようです。今となっては確かめようがありませんが、人の顔を覚えることが非常に苦手であったり、パーティー会場で人を紹介しようとすると席を慌てて外したりと相貌失認であったことをうかがわせるエピソードがいくつも残っています。アメリカ出身のブラッド・ピットは、日本ではブラピの愛称で親しまれるなど非常に人気があります。アカデミー賞にも、俳優として、プロデューサーとして何度もノミネートされています。ブラッド・ピットは、2013年のインタビューで自身が相貌失認の疑いがあることをカミングアウトしました。参考書籍:岡南/著者『天才と発達障害ー映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』(講談社・2010)相貌失認の診断・相談先はあるの?出典 : 相貌失認が、現在正式な診断名として医療現場で使われることはあまりありません。というのは、人の顔が覚えられないという症状や、顔から年齢や性別が判断できないという症状が見られる場合、相貌失認の可能性が疑われますが、今の日本では、客観的にあるテストを行って、何点以下の場合、相貌失認とするというような基準が作られていないためです。また、相貌失認であることが判明しても、相貌失認を抜本的に治す治療法が確立していないため、効果的な治療を受けることは難しいと考えられます。しかし、専門的な知識をもった人に話を聞いてもらいアドバイスを受けたり、単なる自分の思い込みにすぎないのかどうか確かめたりすることで、日々の困り事を軽減できるかもしれません。相貌失認について相談したい場合には、総合病院や脳神経外科のある病院などが受診先として挙げられますが、これらの病院すべてが相貌失認の相談を受け付けているわけではありません。実際に病院に足を運ぶ前に確認をするとよいでしょう。まとめ出典 : 自分自身で相貌失認だと気づいている人は珍しいかもしれませんが、人によっては日常生活の中でどうしても顔が覚えられず苦労しているかもしれません。今日の日本で社会生活を営む場合、目の前にいる人が誰なのか判断することは、どうしても避けられません。また顔が覚えられないという悩みは、一朝一夕で解決するようなものではなく、相貌失認は医療の力を頼ることもなかなかできません。そのため、一人ひとり自分にあった工夫を日々苦労しながら、探していく必要があります。顔以外の情報から、誰か判断するすべを身につけたり、必要に応じて顔の認識ができないことを相手に伝えたりすることが大切になってくるのではないでしょうか。
2017年11月13日思考停止してしまう息子にイライラが募る日々出典 : 自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている7歳の息子は「失敗すること」「怒られること」を極度に恐れています。そして、トラブルが起こったときは「どうしよう!どうしよう!」とパニック状態に陥り、思考が停止してしまうのです。トラブルと言っても、ご飯を食べている時にお茶をこぼしてしまったことや、文字を書き間違えてしまったこと、出発時間間際にまだ家を出る用意ができていないことなど、私から見れば日常生活のほんの些細なできごとばかりです。そんなことが起こるたびに、私は「どうすればいいか自分で考えなさい!」「前にも言ったでしょ?」とイライラしながら声をかけてきました。もう7歳なのに、一体いつになったら日常生活をスムーズに送ることができるんだろうか。そんな焦りが私の中に確かに存在していたのです。自分で考えられるなら困ったりしない出典 : そんな折、久しぶりに訪れた児童精神科の先生のもとを訪れたときのことです。先生は息子について、ふとこんな話をしてくれました。「息子さんは真面目で素直ですが、不安や失敗に敏感でパニックを起こしてしまう繊細なお子さんですね。こういうタイプの方に絶対に言ってはいけない言葉があるんです。それは『自分で考えなさい』という言葉です。」「えっ!私、すごくたくさんその言葉を使っていました。」私の頭は大混乱!凸凹が大きく苦手なことが多いからこそ、ひとつひとつ自分の頭で考えて歩めるようになって欲しい。そんな風に願っていたからこそ、「自分で解決策を考えること」を重要視して声掛けをしていました。先生はこう続けます。「自分で考えられるなら『どうしよう』と混乱したりしないんです。それができなくて困っているのに、自分で答えを見つけることを強要しても追い詰めてしまうだけなんです。」「なるほど、すごく納得です。それができないから困っているんですよね。私、困っている息子にさらに追い打ちをかけてしまっていたんですね...」私がやっていたことは、目が悪い人に「いいからしっかりと裸眼で見なさい!」と強いているようなものだったのです。確かにそれでは努力だけではどうにもならないはずです。「一番いいのは、とにかくマニュアル化してあげることです。こういう場合はこうすればいいというマニュアルをたくさん入れてあげることで不安が軽減され、少しずつ自信を持って行動できるようになると思いますよ」「マニュアル化!些細なことで混乱しているのは『こうすればいい』という行動パターンが息子にしっかりと入っていないからなんですね。もう一度生活を見直してみます」マニュアル化というキーワードは、発達障害について調べている時に何度も出てきた内容ではあります。しかし、いざ自分たちの生活に落とし込むとなると、どの場面でどういったマニュアルを作ればよいのかわからず、実行には移せない状態でした。そこで今回を機会として、私なりに「息子が自信を持って行動できる」ことを目標にマニュアル作りにトライしてみることに決めました。親が思っていたよりも基本的な部分からサポートが必要でした出典 : さて、どこから着手しよう?まずは普段の生活を思い返し、私が息子に対してイライラしてしまう瞬間を把握することから始めてみることにしました。私が一番辛いのは、同じことを何度も質問されることです。文字を間違えちゃった!ママ、どうしよう?お茶をこぼしちゃった!ママ、どうしよう?時間に間に合わない!ママ、どうしよう?今まではつい苛立ってしまっていましたが、本当に困っているのだと私の中の考えを改め、そのうえでどのようなマニュアルを作るかを模索することにしました。ただ、怒られるかもしれないと大きな不安を抱え毎回焦っている息子には、事前にマニュアルを示しても効果は薄いように思われます。そこで、これらのことが起こる場所にあらかじめマニュアルを置いておくことにしました。視覚優位で戦隊モノが大好きな息子に合ったものをということで、イラストも入れつつ、読みやすいような工夫をしました。そして、内容は簡単なことでも、3ステップに分け、落ち着いて読むことができるように。①どうしよう文字を書き間違えちゃった!②深呼吸して落ち着いたら、解決方法を思い出してみよう③そうだ消しゴムで消して書き直せばいいんだった!こんな感じに場面に合わせて作ったマニュアルを、鉛筆を使う場所、食事の場所などに配置します。はじめはこんなことにまで本当にマニュアル化が必要なのか半信半疑でした。しかし、この用紙を繰り返し読み、お守りのように大切に身近において過ごしている息子を見ていると、私が思っていた以上に暮らしの中で息子が不安に思っていることが多かったことに気付かされました。少しずつ日々の暮らしがマニュアル化され不安が減少すれば、今までそこに割いていたエネルギーを他のことに使えるようになるかも知れません。それは息子だけでなく、私にも言えることです。情報は入りにくいけれど、一度入ってしまえば真面目にそれを実践するために努力できるのが息子のいいところ。日々の困りごとを丁寧に拾い上げて、子どもたちと一緒にわが家流のマニュアル作りを進めて行きたいと思います。親が悩まされている子どもの行動は、その子自身の困りごと。分かっていても、なかなか難しいものですね。けれども、気づいた時こそが成長できるチャンス。皆さまも子どもが穏やかな気持ちで過ごせる工夫を、できる範囲でやってみませんか?たとえその工夫が上手くいかなくても、そこからお子さんに伝わりやすい方法が見えてくるかもしれませんよ。
2017年11月12日夫と兄と弟の3人で公園へ…夫が小2と幼稚園年長の息子の3人で公園に行った日。帰ってきてから「ちょっと聞いてくれ(笑)」と夫が話してくれた内容に大笑いしてしまいました。聞いた話をイラストにしてみました。Upload By ラム*カナ滑り台で遊び始めた長男。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナどうやら濡れた場所があったようです。Upload By ラム*カナお尻が濡れてしまった長男のあとに、次男がつづきます。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ(うんうん、そうなるよねぇ。そりゃ、次男も怒るよ…。なんで急に驚かせたりしたの?)と疑問に思いながら夫の話のつづきを待つと、長男は微笑みながらこう言ったそうです。Upload By ラム*カナ…っ!なーるほ、…ど?通じづらいやり方ではあったけど、長男的には弟を思いやるあまりの優しい作戦だったようです(笑)
2017年11月11日発達障害支援研究・実践の最前線を学ぶシンポジウム出典 : 発達障害の原因や治療法、支援方法に関する研究は、様々な分野の専門家が取り組んでいる領域です。発達障害のある子どもを育てている保護者や、その周辺の支援者にとって、最新の研究成果は今と未来の生活にどのような影響をおよぼすのでしょうか?誰もが多様で豊かな人生を送ることのできる社会を形成していくためにできることとはなんでしょうか?そんな疑問に応えるシンポジウムのお知らせです。11月26日(日)、「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」と題されたシンポジウムが、東京・お台場のテレコムセンターで開催されます。(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX))家庭・学校・地域・行政等における支援のしくみや最新の取り組みを紹介しながら、様々な支援の場面に横たわる障壁を乗り越え、改善していくための具体的方法について、分野・領域を超えて考えるシンポジウムです。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム11月26日(日)「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」シンポジウム概要出典 : 日時2017年11月26日(日)10:15~12:30 (開場 10:00)場所テレコムセンタービル 8階 会議室B※新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」直結参加費無料対象発達障害療育・子育て支援等に携わる方(医療・福祉関係等)学校・教育機関関係者の方行政(国・地方自治体)関係者の方発達障害児支援に関心をお持ちの一般の方、保護者・ご家族の方プログラム:10:00受付開始10:15開始10:20講演■神尾 陽子 氏(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 部長)■船曳 康子 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 准教授)■山野 則子 氏(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 教授/スクールソーシャルワーク評価支援研究所 所長)11:15パネルディスカッション■モデレーター:熊 仁美 氏 (特定非営利活動法人ADDS 共同代表)■パネリスト :上記講演者3名、外岡 資朗 氏(鹿児島県こども総合療育センター 所長)12:20フロアとの対話(質疑応答)、まとめ12:30終了出典 : 京都大学医学部卒業、ロンドン大学付属精神医学研究所児童青年精神医学課程終了。京都大学医学部精神神経科助手の後、米国コネティカット大学(フルブライト研究員)で自閉症研究に従事した後、九州大学大学院人間環境学研究院助教授を経て、2006年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長、2010年より山梨大学客員教授、2017年よりお茶の水女子大学客員教授を併任。出典 : 年京都大学医学部卒業。京都大学医学部付属病院、京都市立病院にて研修後、京都大学大学院医学研究科に入学し、認知症の臨床研究を行った。2000年からは、カリフォルニア工科大学行動生物学教室に留学し、小鳥の歌を用いた音声発達の臨界期の研究に従事。2003年に帰国し、こころの発達、発達障害の分野の臨床と研究に従事。日本学術振興会特別研究員、京都大学医学部付属精神科助教を経て、2015年より現職。出典 : 関西学院大学社会学研究科後期博士課程修了、博士(人間福祉)。内閣府:子どもの貧困対策検討委員会委員・有識者会議委員、文部科学省:中央教育審議会生涯学習分科会委員、企画調整部会委員、家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会座長、教育相談等に関する調査研究会議委員、厚生労働省:社会保障審議会臨時委員、ほか国の委員多数。大阪府子ども施策審議会会長、子どもの貧困部会部会長、大阪府スクールソーシャルワーク配置事業スーパーバイザー、ほか多数。出典 : 年、慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2011年、自閉症児に効果的な早期療育が届くことを目指し、NPO法人ADDS設立。2013年、同大大学院後期博士課程を単位取得退学、同大先導研究センター研究員。自閉症児のコミュニケーション研究や、早期療育の実践研究に携わる。NPO法人では、保護者が家庭療育に取り組むためのペアレントトレーニング、セラピスト認定制度等を実施し、現在までにセラピストを約100名養成、ペアレントトレーニングを約200家庭に提供してきた。出典 : 小児科医師。1988年、熊本大学医学部卒業、熊本大学大学院医学研究科へ入学後、同大医学部附属病院発達小児科にて勤務し、1996年、熊本大学大学院単位取得終了。1999年より鹿児島市立病院小児科(小児神経科)で医師、医長、科長を歴任後、2007年より鹿児島県児童総合相談センター療育指導部長、2010年より現職。鹿児島県こどもの虐待問題研究会副会長を併任。主催者からのメッセージ「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)では、「社会のなかの科学・社会のための科学」の理念のもと、社会の具体的な問題の解決を目指す研究開発を推進しています。今回のシンポジウム(入場無料)では、RISTEXにおける関連プロジェクトの成果も踏まえながら、家庭・学校・地域といった場面での発達障害支援における課題を改善し、のりこえていくための具体的なとりくみ等についての情報提供・共有や議論を行うことを目的としています。」昨年度も実施し、好評を博したシンポジウムの第2弾。様々なプロジェクトの成果の紹介や、必要とされる支援についての議論が行われます。本人や保護者はもちろん、教育や支援に関わる方に幅広く、足を運んでいただきたいシンポジウムです。イベント申し込みはこちら以下のリンクから申し込みが可能です。定員200名(予定)、氏名の登録は必須ではありません。お問い合わせは、下記のページの「主催・お問い合わせ」に情報が記載されておりますので、そちらからお願いいたします。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム開催(入場無料) - 社会技術研究開発センター
2017年11月11日発達ナビ編集長・鈴木悠平のオススメ本発達ナビでは秋の読書週間に合わせて様々な方におすすめの本を紹介いただきました。しめくくりに、発達ナビ編集長の鈴木悠平が、発達ナビのユーザーの皆さんにご紹介したい本をピックアップしました。『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』北海道の「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長である、児童精神科医の田中康雄先生の著書。表紙にある”「困らせる子ども」は、「困っている子ども」です。”のメッセージの通り、発達障害のある子どもたちの側に寄り添い、さまざまな特性を持つ子どもたちが、身の回りの出来事をどのように感じて、どうして困ってしまうのかを、イラスト付きでやさしく解説しています。学術的な難しい専門用語はほとんど使われておらず、発達障害についての前提知識がなくても簡単に読み進めることができます。発達障害について知りたい、子どもの行動の理由を知りたいといったときの「はじめの一冊」としてピッタリな本です!『ぼく、アスペルガーかもしれない。』著者の中田大地さんは、2001年北海道生まれ、本書執筆時はなんと8歳!小さいころから音や光に対しての過敏性が強く、集団行動にも難しさがあったことから、小学校進学時は特別支援学級で学ぶことを選択。自分の目や耳はどんな風に感じているのか、自分はどんなことが得意で、どんなことが辛いのか…日常の一つひとつの体験を、中田さんが自分自身の言葉で語っています。”しっかり働ける大人になるために僕はもっと、自分のことを知らなくてはいけない。”ーー主治医の先生やお母さんたちとの対話を通しながら、自分自身のことを知り、学校の中でみんなと一緒に学び過ごしていくためには何が必要か学んでいく中田さん。子ども自身の目線から発達凸凹の大きいお子さんの感じる世界が描かれた貴重な本です。続編の『僕たちは発達しているよ』(2010年, 花風社)、『僕は、社会(みんな)の中で生きる。―お家で、学校で、アスペルガーの僕が毎日お勉強していること』(2011年, 花風社)もぜひあわせてどうぞ。『わが子の発達障害告知を受けた、父親への「引継書」。』首都圏在住、資源・エネルギー関連の会社に勤める著者の白山宮市さん。次女が自閉症スペクトラムの診断を受けてからのご自身の経験をもとにした、父親による、父親のための父親業務「引継書」です。企業で長く働いてきたビジネスパーソンならではの喩えとして、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限に食い止め、いちはやく事業の継続・復旧を図るために策定されるBCP(事業継続計画)になぞらえた、FCP(家庭生活継続計画)の策定を白山さんは提唱します。わが子の発達障害診断・告知を受けた瞬間の心の動揺や落ち込み、そこからの立ち直り、夫婦間の対話や家庭内での役割分担の決定、職場への説明や立場・働き方のギアチェンジ、療育等の社会資源の利用や学級・学校選択などなど…発達障害のある子どもを育てる上でどうしても避けられない保護者への負担・困難を受け止めつつも、家族とともにいかに歩んでいくかを、冷静な筆致で叙述しています。体験談をベースにしつつも、発達障害のある子どものいる家庭がたどる道筋や利用できる社会資源などが俯瞰してまとめられており、どちらかというと構造的で体系的な理解を好む人が多いと言われる父親(男性保護者)読者にとって非常に参考になる書籍だと思います。鈴木悠平プロフィールUpload By 発達ナビ編集部1987年生まれ。東日本大震災後の宮城県石巻市におけるコミュニティ事業の立ち上げ、コロンビア大学大学院での地域保健政策の研究を経験した後、株式会社LITALICO入社。発達支援教室「LITALICOジュニア」での指導員、「LITALICO研究所」の立ち上げ・運営業務等を経験したのち、発達障害に関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」( ) の編集長に就任。NPO法人「soar」( )理事も務める。
2017年11月10日パニックは、いつだって突然に…!出典 : 「き…き…キターーー」息子のパニックが爆発したとき、私はいつも思考停止しかけてしまう頭を茶化すために、こんな風に呟いていました。自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断されている息子のパニックは、一切の予測ができません。いつ来るのか分からない、何が引き金かも分からない、突然訪れて、そして何時間も続く「地獄」でした。声をかけてなだめても火に油。抱きしめてみたら、暴れる息子に頭突きをされて自分がけがをすることも。私はなすすべもなく呆然とその場に立ち尽くすことしかできず、その様相は本当に滑稽で哀れとしか言いようがありませんでした。そんな息子も小学校1年生になり、最近はひどいパニックに陥ってしまうことはほとんどなくなりました。それは、息子が自分自身で「嫌な感覚」を説明できるようになったから。息子は「音がうるさい」「人が多い」「疲れた」「静かなところに行きたい」などと自分から言うことができ、周りの人に伝えることができるようになったのです。また、自分にとって嫌な刺激は、自分自身の行動で回避することができるようになったことも大きく関係していると思います。けれども、息子が自分の快不快の表現がまだできなかった頃を思い出すと、いまでも目を背けたくなるような辛い気持が思い返されます。知らず知らずのうちに不快刺激を我慢し続け、顔は青ざめ、道路に座り込み、耳を塞いだまま立ち上がれなくなったり。あるいは泣いて泣いてどうやっても泣き止むことができなかったり。こんなとき、いつも私は思いました。「パニックになることを予告してくれる警報機があったらなあ…」ストレスを感知できるリストバンドがある!?出典 : 発達障害のある子どもががパニックを起こす前に「ストレスがたまっています」「クールダウンさせてください」と警告してくれるような機械がもしあったら…。そんな夢のようなことを考えていたら、たまたまこんな海外の記事を見つけてしまったのです!"Sensor Detects Emotions through the Skin" (「センサーで皮膚から感情を測定」MITテクノロジーレビュー)2010年に書かれたこの記事には、アメリカのマサチューセッツ州にあるAffectivaという会社が、人の興奮や苛立ちを検知することのできるリストバンド型のセンサーを開発したということが書かれています。このリストバンドに組み込まれたセンサーが皮膚の水分量に応じて変化する電気伝導率を測定することにより、ストレス反応を検知することができると言います。この記事では、このリストバンドを自閉症の当事者の支援に活用できる可能性があるかもしれない、と書いています。自閉症の人はストレスを表現しづらいという特性を持つことが多く、またそもそも自分自身の「感情」や「ストレス」についてよく分かっていない場合もあります。そしてギリギリまで我慢した結果、パニックになるというのです。自閉症の人に限らず、人は誰でもこのような状態になると、交感神経の働きが活発になり、皮膚の水分量が増えて皮膚の電気伝導度が高まるのだそう。このリストバンドに搭載されたセンサーは、その電気伝導度の変化を、「ストレス反応」として捉え、ストレスレベルを測定するのです。交感神経が活発になるのは、必ずしも「ストレス反応」に限らないのですが、それでも自閉症の人の情緒に何かしらの変化が起こったことは分かると、この記事では言われています。製品化は進むのか!?その後の開発動向を追跡してみると…出典 : 待ち望んでいる人も多いであろうこのリストバンド。この記事で紹介されてから7年あまりの時間が経過した現在の開発状況はどのようになっているのでしょうか。気になった私は、開発に取り組んでいるマシュー・グッドウィン博士(ノースイースタン大学准教授)にコンタクトを取ってみることに。すると、この技術を継承したリストバンドが既に商品化されていることが分かりました。上で紹介したAffectiva社は開発・販売を休止しましたが、そこから独立して設立された会社が他社と合併を行い誕生したEmpatica社が、現在でもセンサーの販売行っているというのです。それがこちら!Upload By 林真紀Upload By 林真紀Empatica Inc.(Empatica社のホームページ)社が販売しているのは、このE4とEmbraceという2種類のリストバンドです。E4は、体温や心拍や皮膚電位等を検知することにより、自律神経系、交感神経系、副交感神経系の働きを計測することができるといいます。Embraceは、皮膚電位や体温、動き等に大きな変化があった場合に、アラートを出すこともできるとか。このような急激な変化は、身体になんらかの発作が生じたときに見られる場合が多いため、現在は主に医療目的で使われているようです。自閉症へのフォーカスはまだ。でも今後の発展に期待!出典 : 残念ながらこれらの製品のWEBサイトでは、まだ自閉症の人に対しての有効性などには触れられておらず、あくまで体の情報を取得するセンサーとして紹介されています。しかし、開発段階においては、自閉症児の子どもや保護者、支援者からの要望がとても多かったというのは事実のようです。また自閉症の当事者も、ストレスをうまく表現できない苦しみと、それを周りに違って解釈されてしまう辛さに悩み、自らの感覚を他者に伝えることができるセンサーの開発を待ち望んでいた人が多かったと言います。現在の製品は自閉症の人に特化した商品ではないものの、将来的にはデータの蓄積と精度の向上が進めばさらなる活用が期待できるかもしれません。また、リストバンドのお値段は日本円にして約18万円とだいぶお高いですが、これから開発が進み、一般向けに普及していくようになれば、もっと安い値段で手に入る日がきてもおかしくないでしょう!なにより、実用化すれば言葉や表情に頼らず、自閉症の人の感じている辛さをリアルタイムに知ることができる画期的なツールになるはずです。テクノロジーが、いろんな人の生きづらさを変えていく時代が来ているのかもしれない…私はこのリストバンドのことを知って、とても明るい未来を想像したのでした。
2017年11月10日平成30年度の「東京都立高等学校募集案内」が発表。障害への合理的配慮は?出典 : 東京都教育委員会から、「平成30年度東京都立高等学校募集案内」が発表されました。全日制高校の推薦入試の場合は2018年1月23日(火)が、学力検査の第一次募集の場合は2月6日(火)・7日(水)が入学願書の受付日となります。平成30年度東京都立高等学校募集案内入学試験が差し迫ってくる中、障害のあるお子さんや保護者の皆さんにとって、受験時に特性を踏まえた配慮をしてもらえるのかが気になるのではないでしょうか。今回の記事では、具体的にどのような合理的配慮が可能か、またその申請方法などについて、都立高校の場合を例にご紹介します。「障害者差別解消法」で、受験時の合理的配慮を義務付け2016年4月に施行された「障害者差別解消法」では、障害がある志願者が公立高校を受験する際、障害による不利益が生じないような配慮について申請があれば、過度に負担にならない範囲内で合理的配慮を提供することが義務付けられました。障害者差別解消法でも定められているように、都立高校での入学試験でも障害特性に応じた合理的配慮がされています。学力検査、小論文又は作文、面接等において、検査方法、検査時間、検査会場等についての特別な措置を申請することが可能です。志願者の障害の特性等を考慮した上で、問題用紙・解答用紙の拡大、英語リスニングテストでの座席の配慮、別室受検、検査時間の延長、記号選択式での受検、ICT機器の使用、介助者(代筆者や音読者などを含みます。)の同行などが認められます。また、現住所から通学至便な全日制又は定時制の高校を志願する場合、選考の特例を申請することが可能です。合理的配慮の例としては、書字に困難がある場合:・問題用紙を拡大して記入をしやすくする・試験時間を延長する・パソコンを使用して作文問題に解答できるようにする識字に困難がある場合:・問題用紙にルビをふる・介助者が検査問題を読み上げるといったことが考えられます。車椅子を使用する場合などは、検査会場となる教室の階数や机の位置、高さなどへの配慮も申請できるでしょう。ただし、志願者の特性や都立高校側の状況によって、可能となる配慮の内容は異なるので、中学校を通して早めに申請することが大切です。なお、合理的配慮を求めたからといって受験の合否判定で不利になることはありません。都立高校受験の合理的配慮、申請手続きの締切や方法は?出典 : 申請は、在学する中学校を通して行います。まず、担任の先生に相談し、中学校長を通じて志望する都立高校の学校長へ、所定の申請書を用いて申請します。申請後、中学校・都立高校・東京都教育委員会で、志願者の特性や、中学校での学習指導の状況などを考慮した対応を調整することになります。都立高校への申請締切は2017年12月22日(金)までですが、早めに申請ができると、その分余裕をもって都立高校とのやりとりをすることができます。中学校に在籍していない場合は、都立高校入試相談コーナー(電話 03-5320-6755)まで問い合わせます。高校入学後の学校生活での合理的配慮についても相談できる?出典 : 障害がある生徒の場合、入学試験だけでなく、入学後の生活でも合理的配慮が必要となることがあります。学校生活における合理的配慮についても、志願する都立高校に事前に相談することができます。入学試験での配慮の申請に合わせて相談してみましょう。東京都以外の公立高校受験での合理的配慮の対応は?各都道府県それぞれで対応の方法や基準は異なるため、すべての都道府県で都立高校と同様の配慮があるとは限りません。詳しくは、在籍する中学校の先生を通して確認をする必要があります。子どもたちが、未来への一歩を踏み出せるように出典 : 障害があっても、その特性や困り事に応じた合理的配慮を受けることによって、自分の力を発揮して入学試験に臨むことができるようになります。志望校に合格する。そのことで、子どもたちは未来へ向かう道へ踏み出していくことができます。そのためには、自分の力を発揮できる環境をつくることが大切です。これから高校受験を控える生徒さん・保護者の方々は、まずは中学校の先生に相談をしてみましょう。
2017年11月10日ライター・鈴木希望さんのおすすめ本フリーライターの鈴木希望さん。ご自身と息子さんがともにASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、発達ナビでも体験を綴ったコラムを連載中です。そんな鈴木希望さんに発達ナビユーザーにおすすめの本を4冊教えていただきました。子育てや家事に疲れた時、親子で本を読む時間をつくってみてはいかがでしょうか?『妖怪ウォッチ』「言わずと知れた人気漫画。主人公のケータ君が様々な妖怪と出会い、友達になるというストーリーなんですが、人々を困らせる妖怪と話してみると、実は「誰かを困らせたいわけではなく、妖怪自身が自分の性質や能力の取り扱いに困っている」というパターンが多いんですね。『あ、これ、発達障害当事者の状況に似ているな』と。妖怪たちの吐露を聞いたケータ君が、『でもそれってこんなふうにいいところもあるよ』とリフレーミングしたり、『それをこういうふうに活かしたらどう?』とアドバイスするんですね。なので、『ああ、これは多様性受容の話なのだな』と私は理解しています。基本はギャグ漫画ですけれど、そのように観点を変えて読んでみると面白いかもしれません。」(鈴木希望さん)「発達障害について理解が深まる本を教えてください」と聞いたところ、鈴木さんが教えてくれたのは意外にも妖怪をテーマにした漫画『妖怪ウォッチ』。『コロコロコミック』で連載中の、大人気ニンテンドー3DSゲームを原作とした漫画です。小学5年生のケータが森の中で「妖怪執事」のウィスパーと出会い、妖怪ウォッチを手に入れたことから物語は始まります。妖怪ウォッチをつけると、見えないはずの妖怪が見えるようになります。悩んだり、イタズラで人を困らせたり、そんな妖怪たちとケータは友達になり、問題を一緒に解決していき…。かわいいキャラクターとわかりやすいストーリーで、子どもに大人気のコミック。2017年11月28日に最新刊14巻が発売予定です。『このあとどうしちゃおう』「おじいちゃんの楽しげなエンディングノートを見つけた男の子が、それを読みながら、どんな気持ちで記したのかと想像を巡らす、楽しくて、ちょっぴり切ないお話です。死に関して語ることって、何となく重いというか、タブーのような雰囲気がありますが、生きることと地続きで、誰しも経験するものですよね。だから、生きることの大切さを語ることと同様に、死についてももっと気軽に語る機会があってもいいよね、とこれを読んで私は感じました。この絵本をきっかけに、8歳の息子とはもちろん、老親とも『このあとどうしちゃおう』『いきているあいだはどうしちゃおう』と話し合う機会が増えました。」(鈴木希望さん)『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』に続く、ヨシタケシンスケさんの大人気絵本シリーズ「発想えほん」の第3弾。今回のテーマは「死」。重いテーマですが明るい絵柄でからっと読めるので、子どもから大人まで、家族みんなで考えるきっかけにもなる本です。『子育ては、泣き・笑い・八起き 妊娠・出産・はじめての育児編』「新潟を拠点に活動されている子育てエッセイストさんのご著書。出産1年未満でシングルマザーになり、不安だらけの時期にこの本の元になった『どーいんソレ…!』に出会い、とても救われました。自分に高いハードルを設定しがちで、キャパシティー以上のことをしがちな私は、新米お母さん時代のちゃいさんの姿に自分を感じて、タイトル通りに泣き笑い。ついつい『自分ってダメな親だなぁ…』と思ってしまいがちなお母さん、お父さんには是非、『あなたはとっても頑張っているんだよ!』というちゃいさんのメッセージを感じていただきたいです。」(鈴木希望さん)地元・新潟のフリーペーパーで子育て漫画エッセイを連載しているちゃい文々さん。小学生の女の子、中学生の男の子を育てるシングルマザーとしての奮闘の日々を明るく綴ります。はじめての妊娠から出産、子育てまで、かわいい子どものために頑張ろうとするけれど、なかなかうまくいかずイライラ…。そんな体験をするパパ・ママは少なくないのではないでしょうか?そんなとき、この本は重すぎる子育ての負担を“キャパ・リュック”としておろす方法を提案してくれます。百点満点の育児じゃなくても大丈夫、そんな気持ちになれる一冊です。『逃避めし』「仕事に行き詰まったときや、締め切りが迫っているときの現実逃避として、作った料理を綴った、吉田戦車さんの食エッセイです。計量もせず、ありものでデタラメな料理をするのが私の趣味。そのワクワク感が詰まったこの本が大好きで、繰り返し読んでいます。料理にまつわる思い出や日常の記録も味わい深く、プロが作らないような名もない一品や毎日の暮らしが愛おしくなってきます。」(鈴木希望さん)『伝染るんです。』などで知られる漫画家吉田戦車さん初の料理エッセイ。締め切りを目前になぜか作ってしまう料理「逃避めし」を描き下ろしのイラストたっぷりに語っています。鈴木希望さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部1975年新潟県生まれのシングルマザー/フリーライター。側頭葉てんかんとは生来の付き合い。2009年生まれの息子が発達障害の可能性があると指摘を受け、調べたところ、後日親子揃って自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)と診断されました。発達ナビでコラムを連載中。
2017年11月09日”バディウォーク”ってどんなイベント?出典 : 「バディウォーク」とは、ダウン症のある人たちと一緒に、みんなで歩くチャリティーウォーキング・イベントです。全米ダウン症協会が、1995年に「ダウン症啓蒙月間」の一環としてニューヨークで始め、今では世界各地で開催されるようになりました。ダウン症への理解と受容(acceptance)、社会的な平等(inclusion)を促進することが目的で、誰もが参加できる1マイル(約1.6km)を歩きながら、ダウン症のある子どもたち同士、親同士、一般市民が触れ合えるチャリティイベントです。日本では2012年10月に初のバディウォークが開催されました。2016年には東京・横浜・京都・名古屋・仙台・長崎の6ヶ所で開催され、全国に広がっています。今年のテーマは、”みんなで「インクルージョン」を考える日”インクルージョンとは、多様な個性をもつ人々がお互いを尊重し合い、認め合い、対等にかかわりながら多様な人々が一体化している状態のことを言います。また、障害のある子どもを含む全ての子どもが同じ場で学び合うことを「インクルーシブ教育」といい、日本でも学校教育に取り入れられ初めています。バディウォーク東京2017は、イベントを通じてダウン症のある方を含む多様な個性を持つ方々と触れ合うことができます。だれでも楽しめるショーやアクティビティもたくさん用意されているので、家族や友達などと気軽に参加して、楽しみながらインクルージョンを体験してみませんか。たくさんの”ハート”に包まれる1日に。”ハート”をつけて参加しよう!出典 : バディウォーク東京2017は、明るく人なつっこい性格の方が多いダウン症の一面を表す「ハート」がデザインテーマ。ぜひ、ハートをモチーフにしたアイテムを身につけて参加してみましょう!きっとたくさんのハートに包まれた一日になるはずです。ウォーキングだけでなく、さまざまなイベントが企画されています!メイン会場となる新宿中央公園では、ステージはもちろん、飲食ブースやアートコーナー、スポーツコーナーなどさまざまなブースが並びます。アートコーナーでは、参加型ペインティングアートが行われます。出典 : 焼きたてピザやジュースバー、スローフードなど、バリエーション豊かな飲食ブースも楽しみのひとつ。出典 : ステージでは、「かいけつゾロリショー」や、コーラス、歌、バレエ、ダンスなど、多彩な出演者による多種多様なプログラムが。まさにインクルージョンなステージになりそうです。出典 : 出典 : ステージの司会は、峰尾紗季さん、あべけん太さんのお二人です。出典 : 年、リオ・パラリンピック閉会式でパフォーマンスも行ないました。平日は飲食店に勤務しながら、週末はダンスや演劇などの練習に励んでいます。会社員として勤務しながら、ダウン症について少しでも多くの人に知ってもらう為、タレント活動や、父・俊秀さんと親子講演を行っています。バディウォーク東京2017開催概要2017年11月19日(日)新宿中央公園(水の広場)無料イベント詳細については下記のページでご確認ください。バディウォーク東京2017
2017年11月09日熊谷晋一郎先生におすすめの本をききました!小児科医の熊谷先生は、脳性マヒのある障害当事者としての立場から、当事者研究も行っています。ロボット工学を専門とする、脳情報通信融合研究センターの長井志江先生チームと、熊谷先生・綾屋沙月さんの当事者研究チームが研究・開発した「自閉症知覚体験シミュレータ」を、発達ナビのコラムでご存知のユーザーの方も多いのではないでしょうか?平成28-33年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」今回は、熊谷先生に発達ナビのユーザーに読んでほしい本を教えていただきました。自分や周りの人への理解が深まるきっかけに、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?『うわわ手帳と私のアスペルガー症候群』「一組の母と娘の間でつむがれた、静かで、繊細で、丁寧な、相互理解の軌跡」(熊谷晋一郎先生)高橋紗都さんは10歳のアスペルガーの女の子。ある日紗都さんにお母さんの尚美さんは「好きなことに使ってええで」と1冊の白い本を手渡します。紗都さんはその本を『うわわ手帳』と名づけ、自分の世界を自分の言葉で書き始めました。「うわ~っとなる」自分のしんどい状況を「うわわオバケ」という言葉で表現し、どんなときにどんなことに困るのか、どんな風に感じているのかが綴られたその手帳は、紗都さんの世界を写しだします。そしてそれは紗都さん本人や家族が理解し、対処法を探る大きなツールとなったのです。もちろん発達障害のある人の困りごとや、感じ方は人それぞれですが、高橋さん親子の手帳は発達障害のある子どもの世界を知る、一つのきっかけとなるのではないでしょうか?『こんな私が大嫌い!』「タイトルにぴんと来たら、ぜひ読んでみよう」(熊谷晋一郎先生)自分が嫌い、でも「自分を好きになろう」…そう言われてもどうしたらいいのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか?エッセイストの中村うさぎさんが、。中村さん自身の体験と実践をもとに、きれいごとや欺瞞抜きで「自分嫌い」という呪いを解く方法を語ります。ふりがなやイラストも多く入り、わかりやすい言葉で綴られているので、思春期の悩める子どもにおすすめです。『母よ!殺すな』「子育ての重荷を親だけに背負わせる社会にNO!」(熊谷晋一郎先生)日本の障害者解放運動、自立生活運動をけん引した「青い芝の会」の脳性マヒ者、横塚晃一さんをご存知でしょうか?横塚さんは生後10ヶ月の高熱により重度の脳性マヒがありました。当時の日本では、障害者への支援が十分でなく、家庭での子育ての負担に耐えられないことを背景とした事件が社会問題となっていました。横塚さん達「青い芝の会」は重症児殺し告発運動を行い、その障害者の立場からの批判や運動は大きな反響を呼びました。そんな横塚さんの発言を聞き書きとして集めたのが本書です。1975年に出版され、長く絶版となっており入手困難でしたが2007年に復刊されました。初版に未収録の文章や年表、原一男監督によるドキュメンタリー映画『さようならCP』のシナリオも収録されています。『暇と退屈の倫理学』「あらゆる苦しみの根底には「退屈」という宿命があった!」(熊谷晋一郎先生)熊谷先生に、面白かった本、好きな本は?と伺ったところ、教えていただいたのが高崎経済大学准教授、哲学者國分功一郎さんの本です。「なぜ人間は退屈するのか」という問いを持った國分さんが、文化人類学、哲学、経済学、倫理学など様々な側面から論考します。2012年には読者が選ぶ人文書の賞「紀伊國屋じんぶん大賞」を受賞。分厚くとっつきにくいと感じるかもしれませんが、哲学だけに収まらない視点で、この疑問への答えを導き出そうとするその道筋そのものが面白いと話題になりました。2015年に出版された増補新版ではさらに新版に寄せた論考「傷と運命」も足されています。熊谷晋一郎先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)・東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医・日本発達神経科学学会理事新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)など。熊谷晋一郎|東京大学先端科学技術研究センター
2017年11月08日Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん長男が3歳だった頃、言葉の遅い長男に対する不安がピークに達していました。その頃は不安に思うことがある度にネットを開き、同じようなことをする子が他にいるのか、どれくらいなら普通なのか、どれくらいからが遅れているうちに入るのか、発達障害とはどういうものなのかなどを、何度も繰り返し調べていたような気がします。はじめのうちは子どもの前でスマートフォンを使うこと自体ためらっていたので、子どもが寝ている間にだけ調べていたのですが、不安が大きくなるにつれ「今すぐに知りたい!」という気持ちが強くなり、ついに子どもの前でも検索するようになってしまいました。そんな時、スマートフォンをただただ見つめる私に長男が話しかけてきて、ハッと我に返りました。長男が目の前にいて、遊んで欲しがっているのに、私は何をしていたのだろう…と。それからは、子どもの起きている時間にはスマートフォンを見ないようにしようと決意。不安なことがあって調べたくても、子どもたちが寝るのを待ちました。余談ですが…ネットで得られる情報の中には、気持ちがネガティブになってしまうものもありますよね。私はそういった情報ではなく、不安を抱えながら頑張っている方のブログなどを読んで元気をもらっています。私自身のブログでも、少しでも共感の声が聞けるだけで「私だけじゃない。頑張ろう」と前向きな気持ちになることができるので、ネットも活用次第で得られるものが全然違うのかな、と思います。とはいえ、子どもの前でのネット使用は自粛中!スマートフォンを見ながら生返事をするのではなく、きちんと目を見て相手をしてあげることを心掛けています。
2017年11月08日かけっこ万年ビリ!でも動じない娘…やっぱり母は心配だ!運動会でいつもビリの、広汎性発達障害の娘。そんな娘の姿に父が熱血コーチで走り方を教えましたが、結果は惨敗…それでも一生懸命走ってくれたらいいのですが…娘は安定のニコニコゆったり走法で、ビリでも一向に気にしていない様子…「このままでは、連帯責任の時、責められる日が来るかもしれない…。どうしたものか…」と思いながらも、ただ見守ることしかできませんでした。もしかして、足が遅いだけじゃないのかも…!?そんな娘を日々観察し…そして悟った…!!!娘は足が遅いだけではなく…かけっこで一番大事なアレがないようなのです。そう…Upload By SAKURA走ることへの『競争心』がない!!!娘よ、かけっこは走って競争するスポーツなんだよ…?娘がまったく勝ち負けにこだわらないかと言うと…Upload By SAKURAUpload By SAKURA玉入れは、勝てば喜ぶし…ダンスは、家でも真面目に練習するほど楽しそうでした。他のことであれば、『勝ちたかったのに~!』と悔しがることもあります。Upload By SAKURAしかし、走ることに関しては、一番になりたい!負けたくない!という気持ちがないようで、明らかに全力疾走ではない余裕っぷり。負けても笑顔な娘…なぜかけっこだけ競争心がわかないの…?娘に聞いてみた問題は『走ることに関しての競争心』だとわかった!娘に「なぜ、走ることに関しては…そうなのか」問いかけてみました。Upload By SAKURAリアクションは謎…「と…とにかく、競争心を育てよう」母が立ち上がった!父が必死になって教えてくれた、走りのフォームなど、技術的な教えは、ほとんど効果を見せませんでした。そこで今度は、私が立ち上がることに。競争心と言うものを感じてほしいと、とにかくテンションをあげてもらうため、一緒にかけっこをしたり、走ることの勝ち負けを教えてみました。しかし、親とのやり取りでは、勝ちたがっても、学校の体育となると、結局スイッチオフ(笑)親として、見ていて何とももどかしい結果しか出ていません。Upload By SAKURA「競争心」を手に入れるまで、見守るしかないけれど技術的なことよりも、気持ちのありかたや考え方というのは教えることが難しいです。どんなに説明しても、本人が変わらなければ意味がない。今はその時期ではないのかもしれません…結局、いまだ解決策は見つからず。しかし、どこかのタイミングで…競争心を見つけるかも!しばらくは引き続き、見守ることが続きそうです。Upload By SAKURAいつかは運動会で一生懸命走る娘を見られる日が来ますように!
2017年11月08日精神科医・山科先生におすすめの本を聞きました!精神科医で中央大学教授の山科満先生。クリニックでの診察・カウンセリングも精力的に行い、臨床現場と心理学教育をつなぐ臨床研究に取り組んでいらっしゃいます。発達ナビのコラムの監修者としてもご活躍いただいています。そんな山科先生に、精神医学についての理解を深められる2冊を伺いました。いずれも豊富なエピソードと筆者の深い洞察力で、一般の読者でも興味を持って読める、おすすめの本です!『「こころ」の本質とは何か統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』「この挑戦的なタイトルに惹かれて発刊間もない頃に偶然手に取り、以来私にとってバイブルとなった本です。発達障害に向き合うにあたっての「考え方」を教えてもらいました。発達障害に関する臨床経験も知識も、今よりもずっと乏しかった頃は(今でも多いとは言えませんが)、私はほとんどこの本を頼りに臨床を行っていました。学部の1年生の授業でもテキストとして使っています。」(山科満先生)学習院大学教授の滝川一廣さんは『子どものための精神医学』(医学書院)や『家庭のなかの子ども 学校のなかの子ども』(岩波書店)などの著作でも知られる児童精神科医です。2004年に刊行された本書では、統合失調症、自閉症、不登校の3つを取り上げ、「こころ」の本質とは何かを考えます。「こころの病は決して異常ではなく、人間のこころの本質のある現れである」という考えに立つ滝川一廣さん。自身が臨床の現場で感じたことやエピソードなどを交えながらわかりやすい筆致で語られ、精神医学の入門書としても読みやすい本です。『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』「著名な脳神経外科医(にして著述家)による患者のインタビューを元に構成された本ですが、タイトルになっている「火星の人類学者」とは、『我自閉症に生まれて』で有名なテンプル・グランディンの話です。彼女は自分を「火星からやってきた人類学者」に喩え、周囲の出来事を徹底的に観察分析し、頭の中にデータベースを構築することで適応力を向上させていったのだと説明しています。大学生まで生き延びたアスペルガーとおぼしき人にこの本を読んでもらうと、「自分のことだ」と言われることがしばしばあります。(山科満先生)『レナードの朝』でも知られる脳神経科医サックス博士が出会った7人の患者についてのエッセイで、全米で大ベストセラーとなった本です。自閉症のある動物学者テンプル・グランディンをはじめ、トゥレット症候群の外科医、色彩感覚を失った画家など、障害が才能となって開花した人が登場します。サックス博士は7人と診察という形で交流を重ね、そのエピソードと彼らそれぞれへの理解を深い洞察力を持って描いています。障害とその人の個性や才能との境目はどこにあるのか、そもそも境目はあるのだろうか…様々なことを考えさせてくれるエッセイです。山科満先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部山科満(やましなみつる)中央大学文学部教授。精神科医,臨床心理士。専門は青年期精神医学、精神分析的精神療法。大学教員となって,発達障害傾向ゆえに不適応に陥っている若者の多さに驚き,発達障害と本腰を入れて向き合うようになった。山科満さんのページ|LITALICO発達ナビ
2017年11月07日IT×ものづくりにどっぷりハマれる1日!「ワンダーメイクフェス」が開催!Upload By 伊藤このみ2017年10月15日「みんなが主役」のIT×ものづくり発表会「ワンダーメイクフェス4」が開催されました!今年で4回目となるワンダーメイクフェスは年長・小学生~高校生の子どもたちや、プログラミング・ITに興味のあるすべての方に向けたイベントです。このイベントを主催するのはIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」。LITALICOワンダーでは、プログラミングやロボット、デジタルファブリケーションといった、 テクノロジーを活用したものづくりに触れる機会を子どもたちに届けています。ひとりひとりに合わせた授業で発達が気になるお子さんも安心して通塾しており、LITALICOワンダーでものづくりやテクノロジーなど、「好き」をフックに得意なことや興味のあることが見つかり、その子の自信や自己肯定感を育てていくことにつながることも珍しくないといいます。ワンダーメイクフェスは、最新のIT×ものづくり体験ができる無料ワークショップや、LITALICOワンダーに通う子どもたちによる作品発表・展示などを通じて、IT×ものづくりを思う存分体験できるイベントとなっています。今回から会場はお台場の日本科学未来館に移り、来場者数は昨年の倍以上にあたる約4500名にのぼりました。会場では、子どもたちが壇上で自分の作品の発表をするプレゼンテーション発表や、自分の作品を並べて来場者の方に実際に触ってもらうブース出展などが行われています。また、ポスターや動画で自分たちの作品を紹介する試みも!さらに、プログラミングやデザインなどが学べる専門学校や通信制高校による学校説明会ブース、協賛企業による展示ブースなども多くの人で賑わっていました。「みんなが主役」ってどういうこと?Upload By 伊藤このみワンダーメイクフェスでは、照明、スライド音響、マイクの受け渡しなども「子どもスタッフ」が担当します。オープニングでは、LITALICOワンダー渋谷に通うお子さんが自ら制作したというオープニング映像が上映されます。動画に登場するイラストから撮影、編集まで手がけたという力作でした。発表者も来場者もスタッフもこのイベントを楽しもうという司会の挨拶の後、共に司会を務める子どもスタッフの女の子が自己紹介。和やかな雰囲気でイベントの幕が上がります。発表者だけではなくこうした運営面での参加もできるからこそ、ワンダーメイクフェスは「みんなが主役」なのです。Upload By 伊藤このみみんながクリエイター!会場が大きく沸いたプレゼンテーション発表Upload By 伊藤このみプレゼンテーション発表は、未来プレゼンホール、イノベーションプレゼンホールの2会場で、同時にスタートしました。子どもたちは一人ひとり壇上に上がり、大勢の観客を前に、自分の作品について発表を行います。プレゼン時間は1人3分で、質疑応答が1分。観客は配られたフィードバックシートの「ナイス! プレゼン」「ナイス! テクニック」「ナイス! アイデア」「ナイス! デザイン」の4つの中から1つ選び、発表者にフィードバックを行います。その後、審査員からも発表者一人ひとりにコメントし、作品の講評を行いました。Upload By 伊藤このみ舞台に上がった子は、緊張しつつもどこか誇らしげな表情で、思い思いに作品のこだわりポイントについて発表を行っていました。発表のスライドの中にも、作品を紹介する動画を組み込むなどして、観客に作品を伝える工夫が凝らされています。発表後の質疑応答では、大人や子ども問わず多く質問が飛び交い、観客も率先して参加している様子が印象的でした。小学3年生の女の子が制作した「大福キャッチャーゲーム」の発表ではプレゼンテーションの途中で拍手喝采となる場面も。彼女が発表したのは「大福ちゃん」というキャラクターが、画面上方から落ちてくる苺大福をお茶盆でキャッチするというゲームです。大福の他にもダミーのジュースが落ちてくるのですが、キャラクターがジュースに触れてしまうと「お茶とジュースは相性が悪い」ということで、「ビミョー」という画面が表示される仕組みになっているそう。ゲームのデモ映像ではかわいらしいキャラクターが登場し、無事クリア画面が映ると観客から暖かい拍手が起こりました。観客フィードバックは「ナイス!アイデア」と「ナイス!デザイン」が多くを占める結果に。発表者の女の子は照れながら「嬉しい」と感想を述べました。審査員の1人である、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 簗瀬洋平さんも「こういうゲームでは、ただ落ちてくるものをキャッチするゲームを作りがち。でも、その中でちゃんと相性が悪いものを作って、『右に行きたいけど、ジュースが…』というジレンマを作っているところが、ちゃんとゲームになっていて感動した!」と、称賛の声を送っていました。Upload By 伊藤このみ発表の中にはグループで作品を製作した子どもたちもいました。男の子2人組で製作した「19xx」という本格的な3Dシューティングゲームは、19xx年のフランスで地図に載ってない集落が舞台。恐ろしい熊に村が襲われ、その生き残りの人々の依頼で熊を倒す、という凝った設定がなされています。プログラムとデザインを2人で分担し、建物などほぼ全ての素材をオリジナルで製作したことを、プログラムのコードを披露しながらアピールしました。Upload By 伊藤このみ観客フィードバックでは「ナイス! プレゼン」「ナイス! テクニック」「ナイス! アイデア」「ナイス! デザイン」が満遍なく出る結果となりました。簗瀬さんからは「グループでものを作ることはとても難しいこと。この年齢で人と組んでものを作る経験をしたことは素晴らしい!」というフィードバックが。しかし、2人はすこし不満気の様子で「プログラミングのことを言われたかった…」と舞台上でちょっぴり悔しそうです。それは、2人のゲーム制作への真剣な思いの表れでもあり、クリエイターとしての強い心意気を感じることができました。子どもの積極性に驚き!さまざまな作品が入り乱れるブース出展Upload By 伊藤このみエキシビションホールでは3タームに分かれてブース出展を行っていました。総勢126名もの子どもたちが、自分の作品とプレゼンボードを机に並べ、来場者・審査員に積極的にアピールしていました。作品はどれも独創的なものばかり。ホワイトボードマーカーで描いた線を消してくれる「お掃除ロボット」や、ゼロからプログラミングした完全オリジナルの「宝探しゲーム」など、ロボットやゲーム、3Dの映像など作品の幅もさまざまでした。ブース出展の会場では、音楽が流れると「アピールタイム」の合図。自分の作品についてマイクを通して、アピールしたい子ども達が「はい! はい!」と飛び跳ねている姿が印象的で、子どもたちの情熱と自信が感じられました。また、その積極性はそれぞれのブースでももちろん健在。ブースの前を通りかかった人々に、「遊んでいきませんか?」「試していきませんか?」と声がけを行う子がたくさんいて、活気があふれていました。出展者によってはプレゼンボードのほかに、自分の名刺や自作のチラシを用意している子も。作品を作るだけでなく、「自分の作品をどう見せるか、そのためには何が必要か」という部分までしっかり考えていることがよく伝わってきました。第3部の表彰では、電動義手HACKberryの開発者であるMission ARM Japanの近藤玄大さんが、義手ロボットを作った男の子に審査員賞を送りました。この男の子が作った義手ロボット「A-arm」は超音波センサーによってモノのサイズを認識し、ペットボトルなどを自動で握ることができるというもの。1メートルほどある木材も簡単に持ち上げることができる頑丈なつくりでした。Upload By 伊藤このみ近藤さんは「僕らはオープンソースで世界に向けて発信しているので、ぜひ自分の得意なところを活かして、開発も発信も頑張って欲しいという思いを込めて表彰させてもらいました」とメッセージを送って下さいました。義肢装具(義足や義手)などは特に、生み出すだけでなく、それを必要としている人に届ける必要がある、と発信の重要性について考えさせられるお話でした。受賞した男の子は景品の義手を自ら作った義手で受け取り、「嬉しいです。本当に嬉しいです」とその喜びを伝えました。ワクワクが詰まった体験コーナー&ワークショップ!Upload By 伊藤このみプレイグラウンドではIT×ものづくり体験ワークショップが開かれていました。当日は普段教室に通っていない一般来場の初心者の方も、プログラミングでロボットを動かしたり、ゲームやアニメーションを作ったりすることが体験でき、たくさんの子どもたちで賑わっていました。テクノロジーゾーンでは、企業や個人クリエイターによる最新のITツールやガジェットに触れられるとあって、子どもだけでなく大人も興味津々の様子。中でも、3Dプリンターで実際にグッズを作る過程を紹介するブースには常に子どもが張り付き、その制作過程を熱心に眺めていました。また、企業の方から聞いた説明を子どもたちがそのまま、その後来た人々に説明しており、子ども達の吸収力の高さが感じられました。モノづくりは年齢をも超える!Upload By 伊藤このみお昼頃にはゲーム作りやプログラミングを専門的に学べる学校や通信制の学校による学校説明、体験ブースが賑わいを見せました。ある高等学校のブースでは「宇宙エレベーター」という大会に過去出品した作品を持参しており、参加した子どもたちは嬉々として作品に触れていました。出展した学校の先生は「今日はうちの生徒も来ているのですが、どうやら子ども達と共鳴する部分があるみたいで、一緒になって、ここで新たな機体を作ってしまったりと、影響を受けているようです。」と話してくださいました。子どもたちの自由な発想が、大きな可能性を秘めていることに改めて気づかされます。Upload By 伊藤このみ大盛況のうちに幕を閉じた「ワンダーメイクフェス4」。子どもたちにとって実際に活躍する大人たちからのフィードバックを受けることができる貴重な場となったことでしょう。そして、大人にとっても、子どもたちの作品のレベルの高さ、そして大きな成長の可能性を改めて感じることができる有意義なイベントでした。可愛らしさあふれるゲームから、本格的な3Dゲーム、義手ロボットまで、大人顔負けの作品が数多く並び、見る人を大いに驚かせる作品を作った子どもたち。幼い頃から育んだ創造力や多感な感性が、この先どんな花を咲かせ、世の中にどんな影響を与えてくれるのか楽しみですね。
2017年11月07日アナログゲーム療育アドバイザー・松本太一さんに発達ナビユーザーへのおすすめ本を聞きました!松本太一さんは、アナログゲーム療育アドバイザー。ボードゲームやカードゲームなどを使って発達障害のある人のコミュニケーション能力を楽しく高めるという「アナログゲーム療育」の開発者です。全国で研修や講演を行う傍ら、発達ナビでもコラムを発表しています。今回は、松本さんに子育てをしている発達ナビユーザーに読んでほしい本を教えてもらいました!『子どもへのまなざし』「子育てのバイブルとして多くの親御さんに読まれています。「子どもの発達」と親の役割について、これほど平易に書かれた本は他にありません。」(松本太一さん)著者は児童精神科の医師として40年以上活躍された故・佐々木正美さん。自閉症のある方への支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を日本に紹介、普及に尽力されたことでも知られています。乳幼児期は子どもの人間としての基礎となると考える佐々木さんが、あたたかな視点で語る育児書です。佐々木さんには多くの著書がありますが、語りかけるようなわかりやすい言葉で書かれたこの本は特にパパママに長く愛されています。「これでいいのかな?」「がんばっているのにうまくいかない」と子育てに悩んだときに開いてみてはいかがでしょうか?『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』「トラウマやフラッシュバックに悩まれている思春期以降のお子さんとその親御さんに読んでほしい。思い出したくない記憶とどう向き合うか、わかりやすく具体的に解説されています。」(松本太一さん)みんなが知っている『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミと赤ずきんちゃんの物語仕立てでトラウマについてわかりやすく説明しています。トラウマに苦しむ人や家族が理解しやすいように工夫されていますが、その内容は、トラウマの仕組みからフラッシュバックへの具体的な対処法、家族や支援者の具体的な支援法まで、具体的かつ網羅的に紹介されています。『勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法』「別名「対人関係の心理学」とも言われるアドラー心理学に基づいた子育てを、豊富な事例とともに解説。子どもの自主性を尊重した親の関わり方や、兄妹の間に働く心理の解説は、子育てに新しい視点を与えてくれるはず。」(松本太一さん)子育てに悩むパパ・ママにおすすめの本として挙げてくれたのがこの本。アドラー心理学はオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが築いた心理学です。アドラー心理学では「人間は、分割できない個人という全体として、目的に向かって行動する」と考えます。「子どもが言うことを聞いてくれない」「自主性を身につけてほしい」と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか?この本ではアドラー心理学をもとに、子どもへの理解や自由をどう教えるかなどを紹介しています。『教育心理学講義』「「心理学のモーツァルト」と呼ばれた天才ヴィゴツキーの30歳の著作。「教師が100で生徒が0」という前提の一方的な知識教授に偏った教育は時代遅れであり、教師は子どもが自ら学ぶ環境を整える調整者であるべきだという彼の主張は、この本の出版から90年後を経て今なお先進的。」(松本太一さん)松本さんが愛読する座右の書として教えてくれたのが旧ソ連の天才心理学者ヴィゴツキーの名著。ヴィゴツキーは唯物弁証法の立場から現代心理学を方法論から問い直し、批判しました。この『教育心理学講義』は師範学校で行われた教育心理学の講座をまとめたもので、1926年に刊行されました。37歳という若さで亡くなったヴィゴツキーですが、今もなお世界中の心理学者に影響を与えています。松本太一さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部松本太一(まつもとたいち)フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業。教育学修士。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
2017年11月06日スクールカウンセラーってどんなお仕事?専門家・池田行伸先生(國學院大学)に、詳しくお聞きしました!Upload By かなしろにゃんこ。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者のみなさんにとって「スクールカウンセリング」はどんなイメージがありますか?子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、と思っていませんか?スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所なんです。今回、学校現場で、たくさんの子どもや保護者の方々と関わってきた、國學院大學・人間開発学部子ども支援学科池田行伸先生(特別支援教育士スーパーバイザー) にインタビューをさせていただきました。インタビュー担当は、私、かなしろにゃんこ。です(ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太の母・職業は漫画家)。思春期真っ只中の息子との関わりに苦戦する私…「もっと早くスクールカウンセラーのことを知って活用していたら!」と強く思いました。今回のコラムでは、池田先生にスクールカウンセリングについてや、発達障害がある思春期の子どもとの関わり方をお聞きしました。スクールカウンセリングの方法・対象は?誰が相談できるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 一般的なカウンセリングでは、言葉のキャッチボールをしながら相談者の悩みを聞いていきます。鏡に自分を映すように、徐々に自分のことが見えてきて、相談者が自分自身で解決策に気がついていけるようになります。スクールカウンセラーは、一対一のカウンセリングに加え、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行ったり、保護者と教職員双方を取り持つ役割としても機能しています。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできます。その他にも校内会議等への参加や相談者への心理的な見立てや対応、時には事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなど多岐にわたっています。この制度が始まった背景には、いじめや不登校の子が増えてきて、児童・生徒とその保護者の心のケアが必要になってきたことがあります。現在は全国の小中高にカウンセラーが配置されるようになってきました。参考:スクールカウンセラーについて |文部科学省利用の仕方って?相談料金はかかるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。カウンセリングは予約制で、「〇月〇日にスクールカウンセラーが来ますよ」というお知らせを学校が保護者に配付するきまりになっています。それを見て予約する方法が一般的です。学校に電話して日程を教えてもらい電話で予約することもできます。基本的に午前10時~夕方4時まで学校にいますよ。子どもがカウンセリングに行きたがらない場合は?Upload By かなしろにゃんこ。ーとにかく、カウンセリングは最初が肝心だそう!池田先生: スクールカウンセリングの対象者は、保護者や教師も含まれとても間口が広いのですが、「子どもを無理やり連れてくるのだけはやめてください」と、大人たちにお願いしています。特に、親がいくらカウンセリングを受けろといっても、子ども自身が受ける必要を感じていないときは絶対受けてくれないものです。池田先生: 子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、まずは親がカウンセリングを受けてみるといいです。スクールカウンセラーは、親御さんの心のケアも大切にしています。そして、親が自分の体験を「カウンセラーとこんな話をしたよ」「こんな人で、こんなことがあったよ」と子どもに伝えていくことで、徐々に子どもも「そういう場所なんだ、わたしも・僕も行ってみようかな」という気になってきます。子どもの気持ちが動くのを待って、行く気になったら親と一緒に行けばいいのです。カウンセリングに来る保護者は圧倒的に母親が多いです。父親は仕事で忙しい場合が多いのと、カウンセリングに否定的な考えを持っていることも、ままありますね。しかし、スクールカウンセリングに行った妻の報告を毎回聞いていたら、カウンセリングに対してポジティブな変化が起きるお父さんもいて、「じゃあ、夕方の時間帯に家族で行ってみようか!」となり、相談後「怒ってばかりの育て方を変えよう」と、子育てを見直すきっかけになったケースもあります。いつからカウンセリングに行き始めるといいですか?Upload By かなしろにゃんこ。ーファーストステップである「初見」の時期はとても大切だそう。池田先生: 思春期には、様々なハードルを超えないと本人のカウンセリングまでたどり着かないことも、よくあります。なので、なるべくお子さんが低学年のときから親がスクールカウンセリングに通っておくといいですね。子どもは「自分のことを思って通ってくれているんだな」と分かります。もし思春期で少し反抗的になったとしても、「親は自分を守ってくれる存在だ」という信頼関係がすでに形成されているので、それが安心感の礎となり、支えになってくれます。池田先生: 親子の信頼があれば、思春期以降大きく違いが出ます。それは発達障害がある子でも定型発達の子でも同じく大事なことです。カウンセリングを受けることは思春期の親子関係にも役立ちます。保護者側の反抗期への心構えも、早めにカウンセリングに行き始めることで形成されてゆきます。子ども側も、高校生になると徐々に人格が出来上がってきますが、その前からカウンセリングを受けていると、自分のことを他人に話せるように成長してきます。ー早めの相談が大事なんですね。一方、反抗期に突入してから、いざカウンセリングを受けても、カウンセラーだけでは解決できない複雑な内容となっていることもあるといいます。池田先生: 小学校では、いじめやからかいを受けてひとりぼっちの子に話しかけることがあります。そういったケースでも、「いじめられたの?」とは聞きません。たあいのない雑談をして少し話すだけなんですが、気持ちがらくになって、もう少し学校でがんばってみようかなと思ってくれたりするのです。大学にも学生相談室があり、学生のさまざまな悩みを聞いてくれます。カウンセリングは、小・中・高だけでなく、教育現場全般に必要になってきているんです。池田先生: 学校生活に関わる深刻な悩みについても、まずは友達のように話を聞きます。忘れ物が多くていつも注意されて落ち込んでいる子が「どうしても忘れちゃうんだよね…」と相談してきたとします。それに対して「みんなも忘れ物するよ、君はみんなよりも頻度が少し多いだけで、忘れちゃうのは仕方ないよね~」と言うと「なんでわかるの!?そうなんだよ!」と打ち解けてくれます。ーまずは”子どもに共感することが大切”という姿勢で、接し方も配慮してくれるんですね!いつ行っても大丈夫?居場所として使ってもいいのですか?出典 : 池田先生: 基本的には予約制ですが、イヤなことがあったらすぐにカウンセリングルームに来てくれればいいんです。そういう場所が子どもには必要です。カウンセリングルームにずっといる子もいます。「ここに来ると教室に帰ってこない」なんて、教師が嫌がることもありますけれど(笑)発達障害がある場合、お医者さんなどにも繋いでいただけますか?出典 : 池田先生: 児童、生徒と先生それに保護者の橋渡しをするのも仕事ですから、発達障害の傾向があるお子さんをお持ちの親御さんから発達障害の診断について相談されれば、医療機関を紹介することもあります。教師から聞いた生徒の学校の様子をまとめて紹介状と一緒にお渡しすることもあります。卒業後や学校以外でもカウンセリングを受けたいという方には一般のカウンセリングルームを紹介することもあります。とにかく、発達障害がある子の保護者の方は特に、大変なことも多いですから、人に任せられることはどんどん任せてください。いろんな手段を使って「親子関係をフレンドリーにしておく」ことが、思春期や受験、就職へと続く未来のためにもいい結果を生みます。ーなるほど…将来を見据えても、スクールカウンセラーは積極的に利用していきたいですね。「ママ友」に関する相談も、のっていただけますか?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: もちろんOKです。ママ同士のいじめトラブルの相談も増えています。発達障害の傾向にあるお子さんを持つお母さんは、やはり周りのママから言われるんですよ。子どもの悪口メールが回ってくることもあるんです。ママ同士の情報網ってスゴイですからね。子どもが発達障害の傾向がある場合、子育ての悩みは誰にも相談できなかったりします。そんなときはスクールカウンセラーにお話ししてください、そのために我々はいるんです。先ほども言いましたが無料なんですから利用しなくちゃ損です(笑)学校での指導にモヤモヤする場合、話をきいてもらえますか?Upload By かなしろにゃんこ。ー学校の先生に「こういう接し方はやめてほしい」と思っていても、言いづらく遠慮してしまうこともあります…池田先生: 特に発達障害がある子どもの保護者は、(普段学校に迷惑をかけてばっかりで申し訳ない…)と思っている方も多いので、余計にそうです。学校での行き過ぎた指導への不満がある保護者はとても多いです。そういうときもぜひスクールカウンセラーに相談してほしいですね。教師に面と向かって言ってしまうとケンカになってしまうようなことも、スクールカウンセラーが間に入って指導方法を変更してもらうように掛け合います。それも我々の仕事のひとつです。ー中学では特に、先生にクレームなんてつけたら内申書に響くんじゃないかって思って心配する親が多くいます。池田先生: 内申書の心配はよく上がる相談です。スクールカウンセラーは、学校組織とは独立した第三者機関です。安心してまずはカウンセラーへ相談してください。逆にカウンセラーを介さずに、先生に言いたいことをぶちまけてしまうとガチンコの対決になってしまいます。そうなると間に立つ子どもは立場がないんですよ。それでは子どもが苦しむことになりますから、ケンカでエネルギーを使わないで欲しいのです。カウンセラーは、困り感のある子どもたちへの適切な指導方法の資料を教師に渡して一緒に指導方法を考えますし、学校の会議でも提案していきます。例えば、パニックになる子がいたらパニックにならないようにする方法を教師と一緒に相談したり、具体的な方法を一緒にさぐります。池田先生: 子どもを取り巻く環境の質を上げていくのが、スクールカウンセラーの今後の使命です。そして質のいいスクールカウンセラーを育てるのも私たちの仕事です。子どもが気軽に一人で相談できるようになるために、まずは保護者がスクールカウンセリングを体験してみてください。せっかくの制度ですから、気軽にドアをノックしてみることが大切です。この記事が保護者の方の利用へのハードルを下げる一助となることを、切に願っています。―子どもたちと保護者のこれからに向けて、ためになるお話をありがとうございました!
2017年11月06日食べることが苦痛な子どもたち出典 : 私は大学附属病院小児科で「思春期やせ症」(神経性無食欲症)の子どもたちを見てきた経験があります。思春期やせ症というのは、思春期の子どもに起こるいわゆる拒食症のことで、栄養不足によって、無月経、低血圧、内臓の障害、骨粗しょう症など、様々な異常が生じるだけではなく、時には死亡することもあります。患者は小学生から高校生までいました。私が出会った「思春期やせ症」の保護者、特にお母さん方はとても子ども思いの方々でした。お母さん方は、子どもの健康のために様々な努力をしていました。例えば、子どもが見て食べたくなるように、色どりや形を豊かにした食事を作っていました。それでも子どもは、食べることにまったく興味を示さないのです。また、おもちゃを買ってあげるなどのご褒美を示しながら少しでも食べさせようとしますが、子どもは口を開こうとしません。食べることが苦痛なようです。何も食べないと激しい空腹感に襲われ、食べられるものはなんでも口にしたくなる健康な食欲とは大違いです。食べなければ年齢相応の食事量を満たすことができずやせていきます。体重が一定の水準を切ると入院する必要も出てきます。重症になるとトイレも自力で行けません。歩くという行為だけでも心臓が止まる可能性があるからです。自力で食べられなければ鼻からチューブを入れて栄養物を胃に流し込まなければなりませんが、子どもたちはこの処置を嫌がります。発達段階の若い女性に起こる、思春期やせ症出典 : なぜ子どもたちはこんなにも食べることを拒否し続けるのでしょうか。そして、思春期やせ症が男性ではなく女性に多発するのは、なぜなのでしょうか。私は、ちょうど発達段階にある若い女性の母性に、その原因があるのではないかと考えています。私は、視覚系の研究に従事していた頃、出産前後の母子ネズミを扱っていました。そこで、母性を強く感じる出来事がありました。ある時、母ネズミと生まれたての子ネズミたちを放置してしまったことがありました。ネズミの乳首は10個ですので子の数は10匹程度が適切ですが、生まれた子ネズミは20匹ほどいました。子はかわるがわるお乳を吸い、すくすくと育ちました。一方、母ネズミは徐々にやせていき死んでしまいました。半面、子育て中の母ネズミは防御本能が強く、巣に不用意に手を入れると噛みつかれて大けがを負うこともあります。子を守るためにはわが身を顧みず渾身の力で闘う一方、お乳を吸いつくされても決して子を襲わず、なすがままにされて命までも落としたのです。母性とはこのように、母体の生死に関わるほどの力を持っています。子どもを守るためには、自分の体を犠牲にさえします。そして思春期の女性は、この母性を獲得していく途上にあるのです。思春期やせ症を発症するメカニズムとは出典 : 思春期やせ症の原因は、今のところ分かっていません。「太りたくない、自分を美しく見せたい」とか「大人になりたくない」という深層心理で説明する人もいます。しかし思春期やせ症をすべてそのような深層心理で説明するには無理があると思っています。若い女性には過食が生じることも知られています。人を含め動物は子を宿すとよく食べるようになります。過食もまた、母性と関係するのかもしれません。私は、大人の摂食障害の病態と、早期に発症する思春期やせ症とはメカニズムが少し異なるのではないかと考えています。思春期やせ症の場合は、脳神経系の発達になんらかのトラブルがあり、アンバランスな状態になっているのではないでしょうか。性ホルモンの分泌が盛んになる思春期に、母性に関わる脳神経系も発達していくと考えられます。また、食事行動をコントロールするのは脳なので、食事行動がうまくいかないということの背景に、脳神経系の発達上のトラブルがあるのではないでしょうか。思春期やせ症は、生理学、病理学などの専門家によっていずれそのメカニズムが明らかにされるでしょうが、私は、母性が発現し維持されはじめる若い時期の女性に多発するという現実から、母性の発達との関係を否定することはできないように思います。大きな変化を迎えた思春期の体は、時にバランスを崩すこともあるからです。今後、こうした神経系の働きや影響について究明できれば、よりよい治療方法が見つかるかもしれません。思春期やせ症への対応方法出典 : ただ現在は、思春期やせ症に対しては対症療法的に対応するしかありません。ご褒美や罰を用いて食べることへの動機づけを高める行動療法的やり方を取ったり、場合によっては、医療的処置で命をつなぐことも必要でしょう。ある思春期やせ症を患った女性は就職先にケーキ屋を選び自分自身を食べることに興味を持たせようとしました。食欲がわかなくても薬を飲むように一定量の食事をとり、体重の増加や維持を確認することが自分へのご褒美となるようにしている人もいます。周りの人は、深層心理の問題だと片付けず、患者にとって適切な支援を行っていくことが大切だと思います。
2017年11月05日スクールカウンセラーの池田先生に聞いた、発達ナビユーザーへのおすすめ本!発達ナビでコラムを連載している池田行伸先生。スクールカウンセラーとしての豊富なご経験の中から、印象的だった保護者や子どもへの支援を紹介しています。コラムの具体的な事例やさまざまな立場への支援を参考にしている発達ナビユーザーもお多いのではないでしょうか?今回は池田先生に、保護者や支援者など、子どもとかかわる大人に読んでほしい本と、愛読している本を教えていただきました!『子どもに障害をどう説明するか―すべての先生・お母さん・お父さんのために』「障害を理解していない人に話す話し方がよくわかる。子どもを傷つけない言い方で子どもに説明する方法のヒントが得られる本。」(池田行伸先生)「障害について子どもにどう説明したらよいのか」「障害って何?と子どもに聞かれたらどう答えたらよいのか」そんな悩みを抱える保護者や学校の先生も少なくないのではないでしょうか?本書では、障害をどのように説明するか、特別支援学級の教師である相川さんと東北大学教授の仁平義明さんがわかりやすく具体的に答えます。『夜と霧』「ユダヤ人強制収容所の体験が書かれている。希望の持つ意味を教えてくれ、困難に向き合うときの知恵と勇気を与えてくれる。」(池田行伸先生)池田行伸先生が愛読書として挙げてくださったのは、フランクルの『夜と霧』。ユダヤ人精神分析学者が自身のナチス強制収容所での体験を綴った世界的名著です。原著の初版は1947年。日本では1956年に霜山徳爾が訳し、2002年に新版として池田佳代子訳が発行されています。池田行伸先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部池田行伸(いけだゆきのぶ)國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授特別支援教育士スーパーバイザー上智大学文学部卒業上智大学大学院修了博士(心理学)専門は神経心理学。現在は國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授、佐賀大学名誉教授。特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)の資格を持ち、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のスクールカウンセラーを歴任している。人が生まれて発達していく過程の概略、性格・人格・人格の偏りの概略が学べる本です。
2017年11月04日