シェアしたくなる法律相談所がお届けする新着記事一覧 (23/28)
photo by 編集部東京都豊島区、「池袋」駅すぐ近くにある「虎ノ門法律経済事務所 池袋支店」で支店長を務める鈴木謙太郎弁護士。大学は法学部ではなく商学部を卒業したと言います。商学部を卒業したのに、なぜ弁護士を志したのか、そして仕事をする上でどのような信条を大切にしているのでしょうか?鈴木 謙太郎(すずき けんたろう)弁護士(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」) ■起業家を目指していた大学時代……一転して弁護士を目指したきっかけは?___弁護士を目指した理由を教えてください。私は法学部ではなく、商学部を卒業しました。大学時代は、社会に新しい価値を提供する起業家になりたいと考え、同じ志を持つ親友と、夜を徹して事業計画を練ったり、ベンチャー企業の社長に直接アポイントをとったりなど、起業を成功させようと試行錯誤していました。今思えば、若さゆえの怖いもの知らずだったと思うのですが、楽天の三木谷社長やサイバーエージェントの藤田社長に直接会いにいって、本気で自分のビジネスアイディアについての意見をもらいにいくこともありましたね。私のビジネスプランに実際に出資をするよと言ってくださり、慶應大学の先輩の社長を紹介していただくなど本当に良くしてくれたベンチャーキャピタルの社長の方もいました。ただ、何か心の奥底でひっかかるものがあったんですね。自分が人生を賭けてやりたいことって、本当にこれなんだろうかと。自分が社会に新しい価値を提供したいと考えていたのは、より根本的にいえば、自分がかかわっていく周りの方々の笑顔を一つでも増やしていきたいという思いからだと気が付きました。弁護士って、依頼者に寄り添い、依頼者の思いを実現していくことで、依頼者がずっと心にひっかかっていたものを解決し、新しい一歩を踏み出す手助けができる仕事なんです。最後に、依頼者の方から「本当にありがとうございました」と感謝していただける、まさに笑顔を増やすことができる仕事なんですよ。 ■「道を切り開いていきたい」と強く思っていた__他の士業がある中で、弁護士を選ばれた動機は何だったのでしょうか?商学部だったので、周囲にはやはり公認会計士を目指す人のほうが多かったです。しかし、多くの公認会計士が所属する監査法人というものは、独立して働くというより、実のところ会社員みたいな感じで働く組織だということがわかったので、自分の進みたい方向性とは少し違うかなと思うようになりました。私の好きな言葉は、「天は自ら助くる者を助く」です。弁護士は、自分で自分の道を切り開いていかなければならないのはもちろんのこと、弁護士の仕事は、依頼者の方が自分で道を切り開いていけるように後押ししてあげる仕事ともいえます。これは自分の性にあっているなと思いました。 ■依頼者の話をよく聞き意向に沿った解決法を__仕事をする上で信条、ポリシーといったものはありますか?依頼者にとって、一番良い解決法は何かということを常に考えて行動しています。徹底的に争って訴訟までやりたい、裁判で勝ちたいという人もいるし、早く和解で解決して円満な形で次のステップに早く進みたいという人もいるなど、同じ事件でも、依頼者ごとに求めている解決方法は異なっています。まず、依頼者の話をよく聞いて、話しやすい環境を作る。その人がどういった方向性で解決したいのか、本音の部分まで引き出せるように信頼関係を作っていくことを、私は重要視していますね。大切なのは、依頼者にとって何が幸せかという問題を一緒に考えていきながら、その人の意向に沿って、できる限りの解決法を提示することだと思っています。 ■肉親同士の争いとなる「相続問題」はニーズを汲み取ることが円満解決の秘訣__どんな時に、このような信条が大切だなと感じますか?やはり、高齢化社会のなかで増えている相続問題では、この考えが特に重要になりますね。被相続人が亡くなる前の、相続人同士の交流度合いによっても、トラブルが複雑化します。当事者同士だけで協議していると、遺産分割の話だけではなく、親の介護は誰がやったかとか、孫の学費を工面してもらったといったような今までの恨み辛みが噴出することや、ちょっとした感情のいざこざが生じることで、全然話が進まないというケースが多いのです。弁護士が間に入るだけで、依頼者本人のニーズに加えて、相手側のニーズも聞き取ったうえで、相続人全員にそれぞれメリットがあるような解決案を提示できます。確かに、弁護士は人間関係にはあまり立ち入らないのですが、実際にヒアリングを重ねると当事者同士の利害は共通していることが多く、法律の力を用いて、円満に解決できることも多くあります。相続問題は、親戚同士の争いになるので、むやみやたらに仲を悪くさせる必要は全くありません。なるべく、感情的な対立が激しくならないように気配りしています。相続に精通した弁護士だからこそ示すことができる法律的な選択肢もあります。弁護士がこのような第三の道を提示することで皆が幸せになれるケースもあるということを知っておいていただきたいですね。 __読者の方にメッセージをお願いします。弁護士に相談するのは、ハードルが高く感じられるという方もまだ多いと思いますが、弁護士鈴木謙太郎にご相談に来ていただければ、依頼者の方と同じ目線に立って「どういう気持ちで相談にこられたのか」とか、「どういうことをしてほしいのか」という部分まで丁寧にヒアリングします。当事務所池袋支店は、依頼者の考えに沿った法的な解決法を提示できるように「一緒に考えて解決していきましょう」というスタンスで、弁護士のみならず、スタッフ一同取り組んでいます。ですので、弁護士鈴木謙太郎に依頼することで、かなりの部分で依頼者の思いを実現することができると確信しています。また、当事務所池袋支店は弁護士以外にも、司法書士、社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナーが在籍していますので、誰に相談すべきか分からないといった場合も安心です。問題がいろいろとこじれた後ですと、良い形で事件を解決することが難しくなってきますので、悩み事があったら早めにご相談いただければと思います。 *取材協力弁護士:鈴木謙太郎(すずき けんたろう)弁護士1982年生まれ、埼玉県出身。開成高校卒業。慶應義塾大学商学部卒業。慶應義塾大学法科大学院修了。虎ノ門法律経済事務所 池袋支店支店長。同事務所パートナー。東京弁護士会所属。弁護士資格のみならず、宅地建物取引主任者試験、行政書士試験にも合格しており、ファイナンシャル・プランニング技能士でもある。また、戦略コンサルティング会社勤務経験も有する。法律だけでなく、不動産や行政、金融、経営などの幅広く深い知見を活かし、依頼者にとってベストな解決を図るべく日々奮闘している。このような姿勢から、依頼者の満足度も常に高く、多数の中小企業やベンチャー企業の顧問も担当し、経営者からの信頼もあつい。 *虎ノ門法律経済法律事務所について1972年に設立され、40年以上の歴史を誇る虎ノ門経済法律事務所は、東京都豊島区池袋にも支店を構えている。虎ノ門法律経済事務所では、①弁護士のほかに、司法書士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などが在籍していることによるワンストップサービス、②依頼者の抱える問題の全てを最後まで解決できるトータルサポートを実現している。池袋支店長の鈴木謙太郎弁護士は遺産相続、不動産取引、労働問題、交通事故などを中心に活躍。依頼者の意向に沿った解決へと導く信頼のおける弁護士として定評がある。 *取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)【画像】*編集部
2017年01月20日自転車に乗って、音楽を聞きながらツーリング。よく晴れた天気の日など、とても気持ちが良さそうですよね。テンションの上がる曲であれば、自転車のペダルも軽快にこぐことができそうです。自転車に乗りながら音楽を聞く場合、イヤホンを耳に装着して運転することになると思います。しかし、イヤホンをつけて自転車を運転すると、周囲の音が遮断されてしまい、運転するには少し危険かも…。イヤホンをつけながらの自転車を運転することは、法律的に問題はないのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に伺いました。Q イヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転することは違法?*画像はイメージです: 地域によっては道路交通法における安全運転の義務に違反する可能性があります「道路交通法には自転車を運転している際のイヤホンの使用について、具体的に定められておりません。ですので、イヤホンを装着して自転車を運転することが違法であるとは言えません。しかし、都道府県によっては条例や規則など、運転時におけるイヤホンの使用について定められている場合があり、そのルールを守る必要があります。例えば東京都では、イヤホンについて以下のように定められています。 (道路交通法東京都道路交通規則第8条5号)高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと つまり、イヤホンを装着して自転車を運転することは東京では禁止されているということです。ネットなどを見ると“片耳であれば、イヤホンを装着して運転しても違法ではない”と解釈する方もいますが、東京都の場合には両耳、片耳関係なくイヤホンをつけての運転が禁止されています。ただ、地域によっては周囲の音が聞こえれば、片耳のイヤホンでも問題ないと解釈されるところもあるようで、イヤホンを使用しての運転が違反とされるのかどうかは、取り締まる警察官の裁量に任されている部分もあるようです。とても判断が難しいところですね……。自転車を運転する場合、忘れてはならないのは事故が起きないよう、安全に配慮するということが大前提であるということです」(小野弁護士) 「片耳だから問題ない」「周囲の音が聞こえるからイヤホンをしても大丈夫」と簡単に判断してしまうのは、早計と考えるべきなのかもしれません。 *記事監修弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:伊藤 あきら(AFP、クラシックカメラアンドアンティークカンパニー株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、日本生命相互会社、HIPHOPダンサー、税理士法人を経て、現職。会社経営の傍ら、フリーライターとしても活動している。オフィシャルサイト「いとうノート」)【画像】イメージです*8suke / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月19日*画像はイメージです:最近日本ではハロウィンやコミックマーケットなどの影響で、コスプレや仮装をする人が増加。アニメのキャラクターや映画の登場人物などかなり凝った格好をする人も多く、見ているだけで楽しい気分になります。これだけコスプレや仮装の文化が進んでくると、人が考えつかないようなものや、本物と見分けをつけることができない精巧な仮装で誰にも負けないオンリーワンを目指したくなるものです。今度はどんな仮装で驚かせてやろうかと考えている人も多いことと思います。しかし、その気持ちが行き過ぎると逮捕される可能性があります。 ■逮捕される可能性があるコスプレコスプレで逮捕される可能性あるものとして挙げられるのが、警察官です。軽犯罪法第1条に「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」とあり、15号に「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」と定められています。本物にそっくりとなっている警察官コスプレは、この条項に違反することになります。また・自衛官・消防士・救急隊などの制服についても同様の理由で逮捕される可能性があります。気をつけましょう。さらに女性男性問わず肌の露出が激しいものについても、軽犯罪法第1条20号の「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」に該当するため、違反となります。また、露出度の高さや部位によっては、刑法174条の公然わいせつ罪に該当してしまう可能性もあります。軽犯罪法違反の場合には、「被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合」に限って逮捕が認められることになりますが(刑事訴訟法199条1項但書)、刑法174条違反の場合には、通常の犯罪と同様に逮捕されますので、より注意が必要です。楽しいコスプレで逮捕されてはたまりません。リスクも承知しておきましょう。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*peach / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月18日一般的に20代から30代前半くらいを「結婚適齢期」と呼びます。実際のところ結婚しようがしまいが個人の自由で、人にとやかく言われる筋合いはありません。しかし、年齢を重ねているにもかかわらず独身でいると、家族や職場の上司から「結婚はまだなの?」、「早く身を固めなさい」などと声をかけられることが多々あります。好んで未婚でいるのにわけではないのにもかかわらず、心無い言葉をぶつけられ傷つきますよね。最近このような現象を「マリッジリハラスメント」と呼ぶようになりました。マリッジハラスメントは非常に鬱陶しく、あまりにもしつこい場合は訴えたくなるもの。実際問題、訴えることはできるのでしょうか?三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士にお伺いしました。 Qマリッジハラスメントメントで相手を訴えることはできる?*画像はイメージです:不愉快であることを告げても繰り返す場合は損害賠償を請求できる「誰かから不快に感じる言動をされた場合、それが民法上の不法行為(民法709条)に該当する場合には行為者に対し損害賠償責任を問うことができます。ただし、(ことに親族の場合)行為者は好意でかかる言動をしている可能性もあり、不快なのでやめてほしいと明確に告げてもなお執拗に同様の言動を続けたというような場合でもなければ、損害賠償責任までは認められない可能性があります」(伊東弁護士)相手が「好意」で結婚を勧めている場合もあるので、まずは不愉快であることを明確に伝える必要であるようです。それでも辞めない場合は損害賠償を請求という流れになるのですね。実際のところ、マリッジハラスメントのような発言は独り身でいることを危惧することに起因しているケースがほとんどですので、損害賠償を考えている人は少ないと思われます。しかし、仮に好意であっても「度が過ぎると不法行為に該当し得る」ということは、覚えておいたほうがいいかもしれません。 *取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*つむぎ / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月18日季節は冬本番。北海道や東北、北陸地方など雪が多く降る地域では厳しい寒さが続いており、最低気温が氷点下になることも少なくありません。この季節は車のスリップや歩行時の転倒など、気をつけなければならない事がたくさんあり、その1つが、水が凍って雫が凍って棒状になる「つらら」。物によっては非常に鋭利になり、凶器になることがあります。2016年1月には北海道の場外市場で遊んでいた小学生につららが刺さり、怪我をする事故も発生しており、ロシアでは、毎年約100人が亡くなっているそうです。さて、つららによって怪我を負わされた場合、法的責任は誰にあるのか?やはり、建物の管理者ということになるのでしょうか?三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士に見解をお伺いしました。 Q.つららによって事故が起きた場合建物の所有者が責任を問われる?*画像はイメージです:場合によっては責任を問われることもある「建物に看板を設置するような場合と異なり、つららができるのは自然現象であり、その生成・落下による事故についてつららができた建物の所有者や管理者が必ず責任を問われるというものではないと思われます。例えば、建物の構造上、つららが生成されやすく、落下すれば危険であることが明らかである場所につららを放置した、などの場合は責任を問われることがあり得るかもしれません。通行人から見ても落下の危険が明らかな状態であればその下を通っていた通行人側にも一定の過失が認められる場合もあり得ると考えられます」(伊東弁護士)やはり基本的につららは自然現象であることから、事故が起こったとしても建物の所有者や管理者が直ちに責任に問われることはないようです。ただし、高層ビルなど落下によって重大事故が起こる可能性が極めて高いと思われるような場所の場合は、過失を認められる可能性があるとのことです。そのような事故に遭遇しないよう、個人が注意するしかありませんね。 *取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*s_waka / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月17日安倍首相は、2017年1月5日の党役員会において、「テロ等組織犯罪準備罪」の新設を目的とした組織犯罪処罰法改正案を今期の通常国会での提出・成立を目指す意欲を示したとの報道がありました。この改正法案については、菅官房長官による「一般人は(適用の)対象外」との発言が批判されたことに表れているように、結局は600を超える犯罪について共謀罪を新設して処罰範囲を広げるための法律だとの意見が出されています。そこで、今回は、テロ等組織犯罪準備罪(以前の共謀罪)とは何かについて、その新設の目的とともに、反対意見を踏まえながら解説したいと思います。*画像はイメージです:■テロ等組織犯罪準備罪とは何か報道によれば、政府案は、(1)4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することを目的とする団体が(2)その団体の活動として、(3)具体的・現実的な犯罪計画に基づき、(4)犯罪実行のための準備行為を行うこと等をテロ等組織犯罪準備罪の成立要件とするようです。そのため、政府は、友人同士の集まりやPTAなどはもちろん、一般の市民団体は同罪の適用対象外であることをプッシュして国民や与党内の理解を求めています。 ■団体の存続目的はどう判断?健全な団体のプライバシーが侵害される恐れもしかし、団体の存続目的が犯罪実行であるのではないかと疑われた場合には捜査が開始され得るわけですから、実際には犯罪目的ではなく適法な活動を行うことを目的とする市民団体に対し、通信傍受等の捜査が行われて、構成員の通信の秘密やプライバシーの権利が侵害されるおそれは否定できません。特殊詐欺(振り込め詐欺など)を行う集団が、会社形態をとって通常の事業活動に見せかけ、法人名義で架電のための部屋を賃借することを行っている事実があるように、団体の存続目的は一見して明確にわかることは多くありません。そして、特殊詐欺集団の場合は、部屋を借りる行為や法人名義の口座開設行為が犯罪実行のための準備行為に当たるわけです。このように、団体の存続目的という外観からは一見して明らかでない要件によって、事業活動行為が犯罪の構成要件に該当するか否かを左右しかねないわけですから、やろうと思えば、政府は、正当な捜査目的を盾に、気に入らない思想を持った特定の団体を捜査対象とすることも可能になってしまいます。 ■今後さらに慎重な議論が必要犯罪遂行意思の連絡・謀議という「共謀」と単純な準備行為のみで犯罪が成立するとすれば、実害発生なしに、共謀にかかわったとされる多数の人を処罰することが可能になってしまい、日本の法体系を破壊するものとの批判も寄せられています。政府は国際組織犯罪防止条約の締結、批准のためにはテロ等組織犯罪準備罪の新設が必要不可欠と説明していますが、日弁連は、国際組織犯罪防止条約締結のためには犯罪の未遂に至る前の段階における処罰規定があれば足り、一定の重大犯罪について予備罪を設ける等の対応によるなど、共謀罪を新設する必要まではないと指摘しています。また、諸外国との協議内容の重要な部分が公開されておらず、共謀罪を新設しなくても足りるとする従前の日本提案が受け入れられなかったという説明の真偽を検証できないことも併せて指摘しています。 2020年の東京オリンピックの開催に向けてテロ対策を整えるという目的は正当なものかもしれませんが、テロ等組織犯罪準備罪の新設、対象犯罪については、さらに慎重な議論が必要不可欠だといえましょう。 *著者:弁護士 木川雅博 (企業法務(会社運営上生じる諸問題)、売買代金・貸金請求、損害賠償・慰謝料請求、不動産を巡る法律問題、子どもの事故、離婚・男女間のトラブル、相続問題,破産・民事再生・債務整理、労働問題など、法人・個人を問わず様々な案件を扱っています。趣味は料理とランニング。東京弁護士会。星野法律事務所) 【画像】イメージです*chepilev / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月16日レストランなどで料理を食べるときに写真を撮るという方も多いのではないでしょうか。お店によっては、料理の写真をSNSなどに投稿するとクーポンがもらえたり、料金が割引になったりといったサービスを行っているお店もありますが、一方で、“店内撮影禁止”としているお店もあります。では、店内での撮影を禁止されているお店で写真を撮影した場合どんな罰則があるのでしょうか?解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■客は店主と契約している写真撮影禁止の店で、写真をとれば、それは、店主との関係で債務不履行になります。悪質な場合は、損害賠償を請求されることもありえます。お店は、店主が管理する場所であり、お客は店主の管理方法に従うと言うことを暗黙の前提として、入店しているからです。料理の写真を撮ること自体は犯罪にはならないと思いますが、写真を撮る際には、店の人に確かめるのが良いと思います。お店の外観を写真に撮ることも、同様です。店主が許可していないのに、勝手に撮って公開することは、不法行為になり、損害賠償請求をされることがありえます。ただ、店内とは違い、お店の外観は、公開されていますので、よほど悪質な場合以外、損害賠償責任を負うことはないと思います。少し前までは、写真に撮られてもそれが拡散することはほとんどありませんでしたが、ネットが発達した現在では、写真が権利者の意図に関係なく拡散されることが増えました。そのため、写真を撮る側のモラルも厳しく問われることになります。 ■自分がやられたら嫌なことはしない法律問題を難しく考える必要はありません。自分が相手の立場になった時にどのように思うか、と考えれば良いと思います。自宅に友達を招待したときに、その友達が勝手に料理の写真や自宅の外観をネットにアップしたらどのように思うか、と考えて下さい。決して良い気持はしないと思います。ネットにアップするなら、事前に了承を得て欲しいと思うと思います。料理店は、営業ですから、自宅とは異なり、宣伝になればネットにアップされることにあまり異論はないと思います。それでも、店主によっては嫌な人もいると思います。一言声をかけて、承諾を得れば、写真を撮る側も取られる側も円満に行くと思います。楽しく食事するには、最低限のマナーを守りましょう。 *この記事は2014年11月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)【画像】イメージです*Syda Productions / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月15日毎年1度はな冬山での遭難事故がニュースになりますよね。山梨県警が今月12日に発表したデータによりますと山梨での山岳遭難者は160名に上り、うち25名は命を落としているようです。この160名という数は統計が残る1965年以降最多で、登山ブームの影響があるのではないかとされています。少し前の話にはなりますが、2009年に遭難したスノーボーダーが亡くなるという事故がありました。亡くなった男性の両親が北海道に対して損害賠償を求めたところ、札幌地裁は北海道に、第一審で約1,200万円の支払いをそして、第二審では約1,800万円の支払いを命じる判決を下しています。当時、判決に対して、救助隊による救助活動が不適切とされて損害賠償が認められるのはおかしいといった否定的な意見が多くありました。では、この問題は法的にどう考えるべきなのでしょうか。*画像はイメージです:■損害賠償請求の根拠亡くなった男性の両親は、国家賠償法1条にもとづき、北海道に対して損害賠償請求をしています。国家賠償法1条によって損害賠償が認められるためには、(1)公権力の行使に当たる公務員が、(2)その職務を行うについて、(3)故意または過失によって、(4)違法に、(5)他人に損害を与えたことの5点を必要とします。本件ではもっぱら救助隊の救助の方法の適切さが論点となっているため、(3)ないし(4)の要件を充たすかが争われています。この判断に当たっては、裁判例の多くは公務員が「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか」という基準に則っているといえるでしょう。 ■本判決に対する私見本判決が批判されるのは、自分からわざわざ危険な場所に行った人を救助隊が(税金を使って!?)命がけで救おうとしたのに、多額の賠償責任が認められるならばだれも救助になんか行きたくなくなるのではないかという感情があるからだと考えられます。私の母も雪山遭難のニュースを見るとよく「そんな危ないところに行かなければいいのに」などと言っています。しかしながら、どんなに相手に道義的・法的な落ち度があったとしても、自分の仕事を果たさなかったらその果たさなかった程度に見合った責任を負うというのが法律の世界なのです。本件では、自分たちも亡くなった男性と共に雪庇(崩落の危険のある雪の塊)を踏み抜いて滑落したなど、救助隊のみなさんは命がけで男性の救助を行ったといえます。しかし、雪庇を踏み抜いたのは救助隊が常時コンパスを確認する等の慎重な方法を採らなかったためであるという本判決の事実認定が妥当なのであれば、男性の過失割合を8割としていることも相まって、本判決が、具体的状況下において救助隊に要求された職務が果たされなかったとして北海道に対して賠償責任を認めたこと(国家賠償法の場合は公務員の個人責任は否定されています)は不当とは言えません。 ■救助したのが一般人だった場合なお、救助者がたまたま居合わせた登山者などの一般人の場合には、限られた場合にのみ賠償責任を負うことになるといえましょう。たとえば、けが人をその場から動かさないほうが安全であることが明白であるにもかかわらず、猛吹雪の中危険なルートを選択して下山中に、折れやすい木の枝にそりを括り付けたために枝が折れて滑落させてしまった場合など、不注意の程度があまりにも大きい場合などです。本件のように、感情的には「おかしい」と思う判決だとしても法的に考えれば問題がないということはよくありますが、念のため付言すると、裁判所も普通の人の常識を無視することはなく、弁護士としても常識や感情に訴える場面は多々あります。結論がおかしく感じるのはその事件で認められた事実関係が原因となっていることが多いので、ニュースで結論だけを見て満足するのではなく、どういう事実があると結論が変わるのだろうと考えてみるとおもしろいかもしれません。 *この記事は2015年1月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)【画像】イメージです*fmostudio / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月14日福島県の小学校で30代の教師が児童4人に対して「デスノートに名前を書くぞ」と発言していたことが今月12日に発覚しました(デスノートは、原作:大場つぐみさん、作画:小畑健さんによる人気漫画で、そのノートに名前を書かれると死ぬ、という設定)。学校は不適切だと判断して、謝罪をしたようですが、この行為に違法性はなかったのか、解説してみたいと思います。*画像はイメージです:■相手が児童ならば脅迫罪が成立するという学説が有力デスノートに名前を書かれると死ぬという設定があるということですから、教師の児童に向けての発言は、生命に対し害を加える旨を告知したと言え、脅迫罪に該当しそうです。しかしながら、デスノートに名前を書くと本当に死ぬのか、ということになると、これは単なる架空の設定であって、そのようなことは現実ではありえないということになります。そうすると、客観的な脅迫行為が存在しないということになります。ところが、学説の中には、「一般人ならば恐怖心が生じない程度の害悪の告知であっても、相手が小心ないし迷信家であることを熟知して告知する場合は、脅迫罪が成立する」という説が有力だったりします。この説に立ちますと、児童が本当に死ぬかもしれないと思っていて、そのことを教師が熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、脅迫罪が成立することになりますね。とはいえこの辺は、検察官のさじ加減一つでしょうね。もちろん、脅迫罪が成立しないとする学説もあります。 ■民事としては民事では、児童がデスノートに書かれると本当に死ぬかもしれないと思っていて、教師がそのことを熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、児童たちの人格権を侵害したということで、不法行為が成立し、慰謝料の対象になるものと考えられます。 *著者:弁護士 小野智彦(浜松市出身。H11.4弁護士登録。銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏の漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴、等の代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)【画像】イメージです*しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月13日2009年11月に広島県の山中で島根県立大1年の平岡都さん(当時19)の切断遺体が見つかった事件ですが、2016年12月20日に会社員の矢野容疑者を書類送検されました。事件の発覚から書類送検が行われるまでの約7年間、参考人として多くの人に事情聴取をしていたそうですが、警察から事情聴取をされたことで、周囲から犯人扱いされたり、それに耐えられずに大学から中退する人もいたそうです。そこで今回は、7年間犯人扱いをされた参考人は国家賠償が出来るのか解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■国家賠償のハードルは高い捜査機関は、事件に関連すると思われる人物に、参考人として任意で事情聴取を行うことがあります。これは令状なしに行う任意の捜査であり、協力をするかどうかは参考人の自由です。被疑者として取り調べをするわけではないですから、黙秘権の告知もありません。たしかに、今回のように、参考人に対する任意の事情聴取が原因となって、参考人に何らかの損害が生じることは現実には起こり得ることですが、あくまで任意の捜査であって、令状が必要な強制捜査ではない以上、協力を拒めるのですから、令状もなしに強制力を行使したような場合でない限り、警察の捜査を違法と認定するのは難しいと思います。国家賠償法では、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、これを賠償しなければならないと規定していますが、ここでいう過失の立証は実際はなかなか困難です。参考人が立証すべきことは、警察官が通常尽くすべき注意義務に違反して、参考人に違法な捜査を行った結果、参考人に損害が生じたことを、自ら証明しなければなりません。例えば、警察が不特定多数の人がいる面前で、参考人をあたかも犯人として扱った結果、犯人であるとの噂が広まったような場合であれば、過失による違法な捜査があったといえる可能性もありますが、普通は、むしろあくまで参考人事情聴取であることを強調しますから、警察官が、明白に参考人をあたかも犯人として扱うこと自体考え難いことです。 参考人聴取は、基本的には任意捜査ですから、警察が捜査に必要と判断し、参考人に協力を得られる限りは、回数に限度があるわけではありません。また、たとえ、事情聴取の場所が大学であったとしても、参考人として事情聴取する以上、被疑者扱いではないことは明白です。参考人聴取である以上、「捜査機関に疑われた」というのは周辺の者による偏見であって、参考人聴取があったこと自体が警察に不当に犯人扱いされたことには残念ながら結びつきません。参考人としての事情聴取と捜査協力にすぎないにもかかわらず、虚偽の噂が広まったとすれば、それは基本的にはそのような“虚偽の噂を流した人物が名誉棄損等の法的責任に問われる”のであって、捜査機関による任意捜査との間には因果関係も認められず、国家賠償の要件を充たさない可能性が高いでしょう。 ■逮捕された場合でも無条件で国家賠償があるわけではない逮捕勾留されただけではなく、起訴までされて無罪判決を得た場合は、国家補償法による刑事補償を受けられます。これは国家賠償ではないので、誤認逮捕についての捜査機関の過失は不要です。他方、逮捕勾留されたものの、結局、不起訴となった場合は、たとえ誤認逮捕であっても、国家賠償法にいう故意過失がない場合には、国家賠償は受けられず、国家補償法の適用はありません。実際には、嫌疑不十分による不起訴可能性が高い場合でも、逮捕勾留した後、不起訴処分保留釈放とする事案は多々あり、誤認逮捕による国家賠償の要件を充たすケースは極めて稀です。 *著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*8suke / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月12日昨年12月16日に神戸山口組の山建組の本部に設置されている防犯カメラに記録された映像がインターネット上に出回り、一部で話題になっているそうです。出回った映像は暴力的なもので、山健組関係者曰く、警察が突然乗り込んできて、数分ドアを開けないでいると、防弾ガラスをバールで叩き割ろうとしたり、殴る蹴るの暴行を加えたりしたようです。ろっ骨が折れ入院した人もいるとのことで、特別公務員暴行陵虐罪で刑事告訴を予定しているようです。 ところで、特別公務員とは、どんな人たちを指すのでしょうか?いわゆる公務員とは違うのでしょうか?解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■特別公務員とはそもそも、特別公務員という言葉を聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますが、特別公務員は、裁判、検察、警察の職務を行う者とこれを補助する者を指します。 ■特別公務員にのみ適用される罪とは刑法195条に規定され、特別公務員が、その職務を行うにあたり、被告人、被疑者その他の者に対して、暴行又は陵辱もしくは加虐の行為をした場合に課される罪で、7年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられます。他にも、特別公務員にのみ適用される罪として、特別公務員職権濫用罪があります(刑法194条)。これは、特別公務員がその職権を濫用して人を逮捕・監禁する行為をした場合に課される罪で、6月以上10年以下の懲役に処せられます。 ■特別公務員ではない民間人が同様の行為をしたらどうなるのか?民間人の場合には、これらの規定の適用はもちろんなく、通常の暴行罪、強要罪、強制猥褻罪などの刑法犯に当たるかどうかを個別に検討することになります。特別公務員の場合には、特に公務の公正さへの国民の信頼が課されており、単純に暴行や強要などの刑を科しただけでは、これらの信頼を回復することができなくなります。一種の見せしめような形で厳罰を課することで、国民の信頼を得ようとしているわけです。それが暴行陵虐の相手が暴力団員であっても同じことなのです。 *著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)【参考】NEWSポストセブン:神戸山口組に家宅捜索の大阪府警、組員殴る蹴るで刑事告訴も【画像】イメージです*柳生 鉄心斎 / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月11日*画像はイメージです:今年もこの季節がやってきました。大学入試センター試験が今週末に行われます。僕もさかのぼること十数年前にこの試験を受け、奇跡的にそれまでに取ったことが無いような点数を取れたことが今後の人生を大きく変えたように思います。このような大事な試験ということもあってか、2006年~2015年までの過去10年間で2件の替え玉受験を含む65件の不正行為が発覚しています。 ■替え玉受験とは替え玉受験とは、受験者以外の者が受験者本人になりすまして試験を受けることです。もちろん、許される行為ではありません。これが発覚した場合は、当然ですが受験資格を失うことになるでしょう。 ■替え玉受験は法律上どういった扱いになるのか「替え玉受験をした場合にどのような罪が成立するか」については、(だいぶ前になりますが)司法試験の受験の際に勉強したテーマです。結論からいえばこのような場合、「私文書偽造・同行使罪」という二つの罪が成立します。前者は、本来受験すべき人(受験票に名前がある人=受験者)ではない人(回答作成者)が試験の回答を作成したということから、文書の偽造をしたという扱いになります。後者は、偽造した文書(答案)を試験機関に提出した場合に、その偽造文書を行使したという扱いになります。なお、これらの罪の成立については、「名義人(受験者)の承諾があるので罪には問えないのではないか」という批判のあるところですが、承諾があるといってもそもそも違法な目的なので承諾が有効とはいえません。したがって、やはり罪は成立すると考えるべきです。この場合、犯罪の実行行為者は回答者(替え玉を頼まれた人)ですので、その点ご注意ください。もちろん、頼んだ側(本来の受験者)も共犯として罪には問われますけどね。 ■過去の替え玉受験はどうなった?過去に替え玉受験が問題となったケースとしては、某芸人の息子が替え玉受験をさせたことで有名な明治大学受験替え玉事件があります。この事件では20人が替え玉受験に関与していたことが発覚し、そのうち3名が逮捕にまで発展しました。この明治大学の例でもわかると思いますが、センター試験であれ、大学受験であれ、替え玉受験をすれば上記の犯罪が成立する点に何の違いもありません。それどころか、高校入試、中学入試、資格試験等その他の試験でも同じです。いい点数を取りたい、合格したいという気持ちは分からなくはないですが、替え玉受験は犯罪ですので絶対にしないでください。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】イメージです*tabiphoto / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月10日恋人との結婚を考えていて、親に相談や紹介をしたところ、猛反対されたという経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。結婚に反対する両親から「結婚したら絶縁するぞ」などと言われたら、それは避けたい事態でしょう。ところで、両親の反対を押し切って結婚することは法的に問題ない行為なのでしょうか?*画像はイメージです:■未成年はNG結論から言いますと、20歳以上の成年同士が結婚する場合には、たとえ両親が結婚に反対していても、法律上有効に結婚することができます。ただし、結婚するのが20歳未満の未成年の場合には、父母の同意がなければ、結婚することができません(民法737条1項)。その趣旨は、未だ思慮分別が十分ではない未成年者の配偶者選択に誤りがないように、未成年者の監護の地位にある父母に同意権を与えて、未成年者の保護を図ることにあります。 ■親の一方の同意だけで良いなお、親の一方の同意で足りるので(民法737条2項前段)、仮に、父親が結婚に同意しなくても、母親の同意さえあれば、有効に結婚をすることができるということになります。具体的には、婚姻届に父母の(両方あるいはどちらかの)同意を附記して、役所に提出することになります。そのため、婚姻届に父母の同意が附記されていなければ、役所には受理されません。もっとも、父母の同意が附記されていない婚姻届を役所が誤って受理してしまった場合には、以後、誰であってもこれを取り消すことはできないので、結果的に、父母の同意がない結婚でも有効に成立してしまう、ということになります。 *この記事は2014年10月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*よっし / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月09日この記事を読んでいる男性読者の皆さんの中には、付き合っていた恋人にプレゼントをあげたり食事をごちそうしたものの、別れたからその分のお金を返してほしいと思ったことがある方もいるのではないでしょうか。はたまた、実際に以前付き合っていた彼氏から、「付き合っていた時に貢いだお金を返せ」と言われた方もいるかもしれません。お金はトラブルの原因になりやすい問題ですが、今回は彼氏にお金を返す必要があるのか、解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■返す必要はない結論としては、お金やプレゼントを返す必要はありません。理由は、法律上、彼氏から彼女に対して贈与契約が成立しているためです。具体的には、「書面によらない贈与契約」ということになります。書面によらない贈与契約は、いったん履行したあとは、撤回することができません。そのため、彼女に対して食事をごちそうしたり、プレゼントを渡したあとは、もはや食事代を返せとかプレゼントを返せなどと主張することができないということです。 ■「別れたら返してね」と言われていたら?もっとも、食事をごちそうされたり、プレゼントをもらう際、彼氏が何らかの条件を付けていた場合、食事代やプレゼントとしてもらった物を返さなければいけない可能性はあります。これを「負担付贈与」と言います。たとえば、彼氏から「俺と別れた場合には返してくれ」という条件付きで食事をごちそうされたり、プレゼントをもらったような場合には、彼氏と別れた際には食事代やプレゼント代を彼氏に返さなければならない可能性があるということです。もっとも、上記のような条件は、お金や物で恋愛を拘束するものなので、公序良俗に反して無効と判断される可能性が高いかもしれません。 *この記事は2015年3月に掲載されたものを再編集しています。*著者: 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*Antonio Guillem / Shutterstock
2017年01月08日年末調整も終わり、自分の税金関係については一区切りしたという会社員の方は多いと思います。ただ、一方で確定申告という言葉がありますが、会社員にとってはあまり馴染みのないものと言えるでしょう。とはいえ、確定申告を行うことで得になるのであれば、これを利用しない手はありませんよね。そこで今回の記事では会社員でも確定申告をした方が良いケースを何点かご紹介したいと思います。Q.会社員でも確定申告した方が良いのはどんな時?*画像はイメージです:一般的に多いケースは初回の住宅ローン控除を受けるときや、医療費控除を受けるときです。会社員が確定申告をするケースで一番多いのは初回の「住宅ローン控除」を受ける時と、「医療費控除」を受けるときと言えるでしょう。住宅ローン控除とは、住宅ローンの残高に応じて所得税・住民税が控除される仕組みです。本来は毎年の年末調整で企業が手続きをしてくれるのですが、1年目のみ自分で確定申告をしなければなりません。また、医療費控除とは年間の医療費が10万円を超えた場合に受けることができる仕組みです。健康に過ごしていればなかなか年間の医療費が10万円を超えることはないと思います。しかし、例えば歯医者でちょっと高品質の歯を入れることになったり、レーシックの手術を受けたりした場合にはそれだけで医療費が軽く数十万円になりますので、こう言った場合には確定申告をすることによって税金の還付を受けることができます。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*よっし / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月08日冬の登山中やスノーボードをしている最中に、ルートから外れた奥地へ進んで迷い込むなど、雪山での無茶な行動は絶対に控えたいものです。特に年末年始の休暇中には、毎年各地で遭難に関する報道が相次いでいます。もし遭難してしまったら救助などに多くの人が出向き、何日間も活動に当たり、ヘリコプターや重機などが出動することもあります。そして気になるのはその「費用」です。多くの人を巻き込んでしまう「遭難」を起こしてしまった場合、どれくらいの費用がかかり、請求されるのでしょうか?*画像はイメージです:■公的機関の捜索の場合、費用は請求されないことが多い警察や消防、自衛隊、遭難場所の自治体職員といった公的機関の公務員による捜索活動の場合、基本的には、費用は請求されないことが多いようです。この点、法律に明確な規定は見当たらないようですが、行政機関による通常の公務執行に伴う費用と考えられることから、請求しない扱いとなっていると推測されます。わかりやすくいうと、警察が犯人を逮捕することや、消防が家事を消し止め、患者を救急車で搬送すること、自衛隊が災害救助すること、自治体職員が災害対応をすることと同じように、遭難者の捜索は、公務員の本来の業務であり、そのために税金から予算を回しているので、基本的には行政サービスを実際に受けた人に別途費用を請求しない、というイメージです。ただし、住民票を請求する際に手数料を取られたり、パスポートの発行などで印紙代を収めたりすることがあるように、国が実費を請求することもできると考えられます。 ■民間による捜索も加わった場合は費用がかかる公的機関だけでなく、民間による捜索も加わった場合は、ヘリコプターの運用費用、燃料、人件費等が救助を行った団体や会社から請求されることがあります。もちろん、捜索段階で断ることもできますが、民間の場合、ヘリコプターを1回飛ばすだけで100万円程度かかることもあり、費用が高額になりがちです。とすれば、できるだけ公的機関を利用したいところですが、大規模な遭難事件だと、公的機関による救助だけでは人員や機器が足りないこともあり、家族の命のために民間にも救助を依頼することも多いようです。なお、遭難者本人が助からなかった場合でも、遺族が相続放棄しなければ、費用は遺族に相続承継されてしまいます。 ■保険対象となることもある救難捜索費用は、山岳保険やレジャー保険に加入していれば、保険金が支給されます。限度額が設けられていますので、全額支給されないこともありますが、自己負担よりは助かるので、加入を検討してもよいでしょう。なお、救急車をタクシー代わりに安易に利用する人に費用を請求すべきとする議論が近年ありますが、大規模な遭難救助活動についても自己責任である結果に対して多額の税金を投入することに批判の声もあるようです。天候や計画に十分気をつけ、大自然を楽しみましょう。 *この記事は2015年1月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*Javier Brosch / Shutterstock
2017年01月07日ニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、2017年1月から改正育児介護休業法(育介法)が施行されることになります。育児休業・介護休業を取得できる従業員の範囲が拡大したことも大きいですが、特にインパクトが強いのは介護休業の取得方法でしょう。改正前と改正後では介護休業の取得方法はどのように変わったのでしょうか?Q.法改正によって何が変わった?*画像はイメージです:介護休暇を「3回」に分けて取得できるようになりました。改正前の育介法では介護休業は1回きり(最大93日間)しか取得することしかできませんでした。ただ、介護を行うにあたっては急な対応を要するもの(直接的な介護だけでなく介護施設の申し込み手続きなど)が複数回発生するため、1回きりしか取得できない介護休業は使い勝手の悪い制度でした。しかし、改正後は取得日数の上限こそ最大93日間と変わらないものの、1回きりではなく通算して93日間を3回に分けて取得できるようになりました。分散して介護休業を取得できるようになったことにより、93日という限られた日数をより効果的に活用してもらうことが期待されています。とはいえ、仕事と介護を両立するためには取得日数が分散できるようになっただけではまだまだ不十分であると言えるでしょう。介護離職を減らすためにも今後の更なる制度改革に期待したいところです。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月07日昨年12月17日、兵庫県川西警察署の巡査部長が覚醒剤所持容疑で逮捕されるという事件が発生。警察官にあるまじき行為だけに、国民から怒りの声が噴出しています。このほかにも盗難、わいせつなど警官による犯罪が多発。大多数の警察官は真面目にその職務を遂行しているものと思われますが、犯罪を取り締まる側であるだけに1人でもそのような人間がいることは許されません。本来なら、権力を持つ警察関係者の犯罪は一般人よりも罪を重くする必要があるようにも思えます。実際のところそのようなことはあるのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に見解を伺いました。 Q.警察官が逮捕されたら…罪の重さはどうなるの?一般人より重くなるケースってある?*画像はイメージです:事件によりますが、重くなることもあります「警察官が職権を濫用して人を逮捕監禁した場合には特別公務員職権濫用罪(刑法194条)が適用され、6月以上10年以下の懲役または禁錮刑に処されます。一般人が逮捕監禁を行った場合にも逮捕監禁罪が適用され3月以上7年以下の懲役に処されますが、警察官の方が重く処罰されることになります。また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行った場合には、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)が適用され、7年以下の懲役または禁錮刑に処されます。一般人の暴行の場合にも暴行罪が適用され2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されることになりますが、警察官の方が重く処罰されることになります。また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行い死傷させた場合には、通常の傷害・傷害致死罪と比べて重い刑により処断されることとなります(刑法196条)。上記のように明文で警察官を重く処罰する規定のない犯罪については、量刑をどうするかについては裁判官の判断によりますが、一般的には警察官であることは刑を重くする理由に該当するのではないかと思います」(大窪弁護士)ケース・バイ・ケースですが、警察官がその立場を利用して犯罪を起こした場合は、一般時よりも罪が重くなるようです。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*spaxiax / Shutterstock【画像】*最高裁が判例変更!「故人の預金債権」が「遺産分割の対象」になると誰が得するの?*自動車検問で「警察官が外からエンジンスイッチを切って」きた!こんなのってアリ?*職務質問で警察官に腕を絡めて止められた!これって違法じゃないの?*職務質問を拒否したらどうなる?拒否する方法とは*断ることは事実上不可能? 警察官による自転車の「防犯登録確認」を断ることはできるのか
2017年01月06日年末年始はペーパードライバーが運転することも多く、それにイライラした車が前方車を煽る様子を目にします。ゆっくりと安全運転で進む車に対し車間距離を詰め「早く行け」とばかりにせかす。当事者はもちろん、周辺を走る車や歩行者も、その様子をみると不愉快な気分になります。事故の引き金ともなる迷惑行為だけに罰せられてほしいもの。交通違反にならないのでしょうか? Q.道路での煽り運転は交通違反になる?*画像はイメージです:基本的に違反になります。煽り運転が原因で死亡事故を起こした場合は厳しく罰せられる可能性が高くなります。道路交通法第26条に「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」とあります。ゆっくりと走る前方の車に対してぶつかりそうなほど車間距離を詰める、速いスピードで迫るなどの行為はこれに違反することになります。さらに煽ったことによって死亡事故を起こした場合、危険運転致死傷罪が適用されることがあります。この場合最長で20年以下の懲役と、かなり重い罪が課せられます。煽り行為は事故を引き起こす原因になる危険行為ですから、行わないようにしてください。 *記事監修弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月05日12月14日、大阪府警の巡査部長が泥酔し、交際中だった女性の両親と口論に発展。駆けつけた別の警察官に職務質問されたところ立腹し平手打ちしたため逮捕されました。犯罪を未然に防止するために警察官職務執行法によって認められている職務質問ですが、泥酔していたとはいえ現職警官であっても質問を受けることはあまり気分のいいものではないようです。最近話題になっているのが、職質の際に男性の股間を掴むという行為。本当かどうかは不明ですが、そのようなことが行われているのではないかと噂されています。法律的にみて、このような行為は違法ではないのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にご意見をお伺いしました。 Q.警察官が職務質問で股間を触る行為は法的に許される?*画像はイメージです:本人の承諾がなければ違法になる「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができます(警察官職務執行法2条1項)。また、職務質問に伴う所持品検査についても、法律上の明文はありませんが職務質問の効果を上げるうえで必要性・有効性がある行為であるから認められるとするのが判例です(最高裁決定平成6年9月16日)。所持品検査ということで衣服等確認を求めることは違法ではありません。ただし、職務質問に伴う所持品検査を強制的に行うことはできません(強制的に所持品を取り出すには強制捜査である捜索差押の令状が必要となります)。したがって承諾なく衣服に手を差し入れて所持品を取り出すなどの行為は違法となります」(大窪弁護士) 本人の承諾がない場合は、違法になる可能性が高いようです。ただし拒否することで、嫌疑をかけられるリスクが発生します。不必要な疑いをかけられたくないのならば素直に応じ、後に意義を申し立てるがベストかもしれません。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Dominique Bonnet / Shutterstock
2017年01月04日テレビでよく放送される警察の取り締まりなどをドキュメンタリー化した番組、『警察24時』。交通違反を検挙する模様が放送されており、高い人気があります。観ている分には楽しいかもしれませんが、捕まるほうにしてみると納得のいかないことも多いのが現状です。スピード違反を取り締まるために目立たない場所に待機し、オーバーした瞬間に捕まえに行く。通称「ネズミ捕り」を呼ばれるこの手法には、多くの人々が不満に感じているようです。これは違法ではないのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にご意見をお伺いしました。 Q.スピード違反を取り締まる「ネズミ捕り」は法律的に問題ないのですか?*画像はイメージです:現在の法令や裁判例をみるかぎり、基本的には問題ありません「警察官がレーダーで車両の速度を測る速度違反取締については、任意捜査として必要性があるものであれば許容されます(刑事訴訟法197条1項本文)オービスなど自動速度違反取締装置(道路を走行する車両の速度違反を取り締まる装置)で行う捜査については、写真撮影を伴うことから肖像権との関係でプライバシーの侵害ではないか問題となったことがあります。この点最高裁は、写真撮影が現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいって緊急に証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであることから違法ではないとしています(昭和61年2月14日最高裁判決)。以上の通り速度違反取締については今の法令及び裁判例からすると基本的には違法とは言えないことになります」(大窪弁護士) やはり現行法では「合法」となっているようです。ルールを守り安全運転でいくしかありませんね。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*スケッチブック / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月03日年末年始を故郷で過ごそうとする人々で賑わう季節になりました。小さい子供がいる家庭の場合、公共交通機関よりも自動車を移動手段として選択する人が多いのではないでしょうか。未来ある命を運ぶわけですから、お父さん、お母さんには慎重な運転をお願いしたいものです。安全を保つために、幼児を車に乗せる場合はチャイルドシートの使用が義務付けられているのは皆さんご存知の通り。親として子を守るための義務ですが、なかにはそれを果たしていない人もいるようです。この場合交通違反にならないのでしょうか?また、違反免除となるケースはあるのでしょうか? Q.チャイルドシートを使用しなくても違反にならないケースはありますか?*画像はイメージです:あります。基本的に6歳以下の子供を自動車に乗せる際はチャイルドシートシートの使用が道路交通法によって義務付けられており、これに反するのは違反です。ただし、構造上チャイルドシートを取り付けられない自動車に乗っている場合や、子供が身体に怪我などを負い、使用することによって悪影響を及ぼすケース、体調不良で病院に向かうなど緊急性を要すると認められた場合は違反免除となります。いずれにしてもチャイルドシートは未来ある子供を守るものですから、特別な理由がない限りは自動車に装着しなければなりません。事故が起こってからでは、遅いのです。 *記事監修弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月03日忘年会や新年会など、なにかと飲酒することが多くなるこの時期。当然のことながら、酒を飲んで自動車やバイクに乗ることは重大事故を引き起こす可能性があるため、厳しく禁じられています。もちろん、飲酒運転を行うような人は存在していないと思います。しかし、飲酒後数時間経過し酔いを覚まして、「もう酒が抜けた」と自動車に乗っている人は少なくないのではないでしょうか?そのようなケースでも、アルコール検知器によって規定の数値がでれば違反となります。場合によっては前夜に飲んだ酒でも警察に捕まることがあるようです。本当でしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。 Q.前夜の飲酒で捕まるケースもあるって本当ですか?*画像はイメージです:本当です!アルコール検知器で法定の数値が出れば、捕まります「実際にアルコール検知器で法定の数値が出てしまえば、捕まるケースは往々にしてあります。前夜ですので、基本的には酒気帯び運転ということになりますね(道交法117条の2の2第3号)。ただ、酒気帯び運転は、故意のある場合のみ罰せられますので、故意がなかったということを裏付けられれば、処罰されることはありません。例えば、飲酒からの経過時間や、睡眠時間などがちゃんとあり、酒気帯びの状態になっているとは誰も思えないという状況が立証される必要があります。そのような観点から無罪判決を下した裁判例があります(那覇地裁平成27年11月5日判決)」仮に前夜であっても、体内にアルコールが一定量残っていれば基本的には酒気帯び運転となるようです。酒飲み運転及び酒気帯び運転は重大な事故につながります。絶対にやめましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Bignai / Shutterstock
2017年01月02日立て続けにあった忘年会もようやく落ち着いてきた頃でしょうか。12月は「忘年会で帰りが遅くなる」というようなウソが成立しやすいため、浮気・不倫相手との時間が作りやすい時期で、興信所や探偵事務所でも「浮気調査」が増える時期だそうです。浮気や不倫だけでなく、色々な離婚の原因がありますが、今回は「浮気をした側」が離婚をしたいと申し出た場合、離婚理由として認められるのでしょうか?解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■離婚ができる場合とその方法「まず、夫婦の合意があれば、いつでも離婚をすることができます。これを協議離婚といいます。夫婦の話合いでは離婚が合意できない場合には、裁判所に対して離婚を請求します。ただし、訴訟を起こす前に、まずは家事調停を経る必要があります。調停の場合にも、最終的には夫婦の合意によって離婚が成立することになります(調停離婚)。調停でも合意ができない場合には、訴訟を提起して一方的に離婚を求めることになります(裁判離婚)。裁判離婚が認められるためには、民法で規定する離婚事由のいずれかに該当することが必要となります。」割合としては、協議離婚の割合がかなり高く、離婚すること自体は話し合いで決まる人が多いようです。 ■浮気された側からの離婚浮気した側が、離婚したくないと言って話し合いで解決できないとき、浮気された側は裁判で離婚を請求できるのでしょうか。「浮気とは、一般的には、配偶者以外の異性との性行為を意味し、そのような行為は、離婚事由の一つである不貞行為に該当しますので、浮気された側の配偶者が裁判上訴えれば、離婚は認められることになります。」 ■浮気した側からの離婚では、浮気された側が離婚したくないと考えているとき、浮気した側から離婚を請求できるのでしょうか。「最高裁は、婚姻関係の破綻について責任のある者(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認めないとしています。そのため、浮気をした配偶者が離婚を請求したとしても、原則として、離婚は認められません。もっとも、最高裁は、(1)夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、(2)当事者の間に未成熟子がいないこと、(3)相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状況におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえないような特段の事情が認められないこと、という3つの要件を満たせば、浮気をした配偶者からの離婚請求であっても認められるとしています。」(1)の相当の長期間とは、8年で認められた例や、9年8か月で認められた例がある一方、8年余の別居でも認められなかった例があります。浮気してすぐに別居して離婚を求めても認められないでしょう。 ■浮気した配偶者からの離婚、せめてお金を払ってほしいけど…離婚すると、配偶者ではなくなるので、法定相続人としての地位も失うことになります。したがって、遺産がもらえなくなりますが、相手に対して何か請求できないのでしょうか。「浮気(不貞行為)をされた側の配偶者は、浮気した配偶者及びその浮気相手に対して、慰謝料を請求することができます。慰謝料の額は、不貞期間、不貞回数、婚姻期間等によって決まります。不貞期間が長ければ長いほど、不貞回数が多ければ多いほど、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料の額は高くなります。これまでの裁判例では、200万円から400万円の範囲で慰謝料の額が決定されています。」財産分与でも離婚後の生活維持が考慮される等、離婚によって生活が苦しくならないように制度が作られています。離婚割合自体は増えてきているものの、離婚が裁判で認められない可能性や、その後の金銭負担を考えると、浮気したからといって簡単に離婚できるとは限らないようです。 *この記事は2014年12月の記事を再編集したものです。*著者: 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】*よっしー / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月02日全国で高齢者ドライバーによる重大事故が相次いでいます。警察庁では高齢者を対象にした講習会の開催や、免許の自主返納を促すなどして事故防止に努めている状況です。運転能力の落ちた高齢者の皆さんについては免許を返納させるべきだとの声もありますが、自動車を持っていないと生活が成り立たないという人も多い現状があります。したがって、強制的に返納を迫るわけにもいかないのです。高齢化社会を迎えるなかで、日本が突きつけられている課題といえます。現在国は1997年に高齢者による事故を未然に防ぐことを目的に、75歳以上のドライバーに対し高齢者マークをつけるよう促していることは、皆さんご存知のとおりです。しかし、つけない場合違反になるのか否かについては、努力義務だったような気もしますし、義務だったような記憶もあります。一体、どちらなのでしょうか? Q.高齢者マークの使用は義務ですか?つけないとどんな罰則がありますか?*画像はイメージです:努力義務ですので、罰則はありません!高齢者マークは2008年6月1日から75歳以上のドライバーを対象に義務化されましたが、そのデザインが枯れ葉を連想させることなどから法律が見直されることになりました。そして2009年、70歳以上を対象にした「努力義務」に再変更になっています。したがって、現在は仮に高齢者マークをつけなかったとしても、罰則を受けることはありません。ただし、事故を防ぐ意味でもマークをつけることが望ましいのは間違いありません。70歳以上のドライバーは、なるべくつけるようにしてください。 *記事監修弁護士:小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*freeangle / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月01日*画像はイメージです:年も終わり、2017年を迎えましたね。正月太りという言葉がある通り、おせち料理やお雑煮などついつい食べてしまう方も多いのではないでしょうか。そして、毎年この時期に耳にするニュースのひとつに「餅による窒息事故」があります。高齢の方だけではなく、若年の方も餅を喉に詰まらせてなくなっているようです。同じく喉に詰まらせて亡くなられた方が頻発した食品では、こんにゃくゼリーが一時期メディアを賑わせました。こんにゃくゼリーでは製造者の責任を追及する報道がなされていましたが、餅についてはそのような報道は見かけない気がします。餅を喉につまらせた場合でも、誰かが責任を負うのでしょうか。また、こんにゃくゼリーとの扱いの違いの原因はどこにあるのでしょうか。今回は、星法律事務所の星正秀先生に、この点について伺ってみました。 ■餅で死亡しても製造者は責任を負う「ある製品を使用して事故が起こった場合に、その製品を作った者が負うとされる責任のことを、製造物責任と呼びます。少し細かく説明すると、第1義的には、餅を販売した小売店の不法行為責任あるいは債務不履行責任が問題となります。ただ小売店だと小規模なものが多く、被害者の被害を救済できない可能性もありますので、餅を製造した会社の製造物責任が問題となります。」まず実際に事故の原因となった餅を消費者に売った業者の責任が問題となり、その後に製造業者の責任が問題となるようです。餅による損害賠償の話は耳慣れぬことですが、損害賠償の問題は起こりうるようです。 ■自分たちでついた餅で事故が起きたら、餅をついた人は責任を負う場合がある「餅をついた人に故意、過失があれば、上記の不法行為責任を負う可能性はあります。製造物責任は負いません。故意とは、この場合は、喉に詰まりやすい餅を食べさせようとする意思です。過失とは、不注意で喉に詰まりやすい餅をついてしまったということです。さらに、この餅を食べれば喉に詰まるということを予見可能でないと過失にはなりません。」餅をついた人が責任を負う場合があることに驚かれた方もいることでしょう。ただし、普通についた餅を食べさせただけで損害賠償責任を負うことには必ずしもならないようです。「ちなみに、販売目的で餅をついて売る場合と、仲間内で餅をついて食べる場合の故意過失の内容は変わってきます。当然前者の場合がより厳しい内容となります。」そうであるならば、仲間内で餅をついて窒息をさせた場合に損害賠償責任を負うケースは、あまりないといえるのかもしれません。 ■刑事事件に発展する可能性は?「民事事件としても問題にするのは難しいですから、刑事事件になる可能性は低いと思います。故意過失の内容は民事も刑事もほぼ同じです。ですが、その認定の厳密さが違います。当然、刑事事件の方が認定が厳密ですので、立件するのは難しいです。」 ■こんにゃくゼリーと餅の、取り上げられ方の違いについて「全くの推測ですが、餅を喉に詰まらせて死亡する事故は割と多く、餅の危険性は広く認識されています。それなのに餅を食べて死んでしまっても、食べた方が悪いという判断になるのかも知れません。」他にも、餅が日本全国に文化として馴染んでいることや、多くの人々に食べる習慣が広まっていることから、なかなか攻撃対象とならないのかもしれません。餅を詰まらせても法的な責任問題が生じることが明らかとなりましたが、せっかくの美味しい冬の風物詩でありますから、不幸な事故が起きないように楽しみたいものです。 *この記事は2014年12月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)【画像】イメージです*Skylight / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月01日2016年も残りわずかとなりました。年末年始はカウントダウンに参加したり、初日の出や初詣に行ったりと若者同士で深夜まで外出することも少なくありません。しかしながら、ほとんどの都道府県で青少年保護育成条例などで、18歳未満の青少年の深夜の外出が原則として禁じられています。子どもが親の言うことを聞いて、深夜の外出を控えてくれれば問題ありませんが、スムーズに事が進まず、子ども同士で深夜に外出してしまうケースもあるでしょう。そこで今回は、18歳未満の青少年の深夜の外出はどのように規制されているのか、解説したいと思います。*画像はイメージです:■深夜外出の規制の内容多くの自治体の青少年保護育成条例では、青少年の深夜外出自体を禁止してはいません。禁止されているのは、保護者の許可なく、あるいは、正当な理由なく青少年を深夜に連れ出す行為です。東京都では、16歳未満の子の深夜の連れ出しについて罰金刑を定めています。深夜外出が許される正当な理由としては、火災や急病などの緊急事態の発生や、夜学・夜勤・塾通いなどのための外出などが挙げられます。その他、深夜に行われる祭礼の行事等への参加が例外として認められているケースもあります。そうであれば、例えば、大晦日に除夜の鐘を聞く、除夜の鐘を鳴らすなどを目的として18歳未満の青少年が外出することも認められる余地があると思われます。 ■保護者同伴の深夜外出は認められるかいうまでもなく、青少年の深夜外出を制限する条例は、青少年が良からぬ誘惑を受けたり、犯罪に巻き込まれる、飲酒や喫煙に及ぶのを防止するために設けられているものです。ですから、多くの場合、保護者同伴であれば18歳未満の青少年の深夜の外出は許容されると思われます。ただ、保護者同伴だったとしても、例えば、深夜遅くまで歓楽街や風俗街を連れて回るなどの行為に及んでいる場合には、やはり規制対象となることでしょう。保護者同伴であれば、なんでも許されるというわけではありません。 *この記事は2014年12月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】イメージです*KYONZO / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月31日12月21日、阪神高速で2トントラックがワンボックスカーに追突する事故が発生しました。同じ車線にいた6台の車が玉突きで次々にぶつかり、6人が怪我で病院に運ばれました。この時期は年越しに向けて仕事が忙しくなることや、年末の休みを故郷で過ごそうとする人で交通量が増加するため、事故が起こりやすくなり、玉突き事故に発展することも少なくありません。そのような場合、追突した自動車の運転手が法的責任を負うものと思われますが、中間にいた車はどうなるのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。Q.複数台が絡んだ玉突き事故…中間にいた車の法的責任はどうなる?*画像はイメージです:ケース・バイ・ケース。事故の発生状況によって責任が発生することもある。「中間にいた車が先頭車との車間距離をちゃんととっていなかったということであれば、先頭車との関係で加害者となることがあります。その場合追突車との過失割合の話になります。中間車が前方不注視などで急ブレーキをかけたということであれば、先頭車との関係でも追突車との関係でも加害者になりえます。特にそのような事情がなければ、中間車は単なる巻き添えを食っただけの話ですから、法的な責任は発生しません」(小野弁護士)玉突き事故による中間車の法的責任は、その事故の状況によって変化するようです。場合によっては責任を問われることもあるということは、留意しておいたほうがいいかもしれません。内閣府が平成27年度に発表した交通安全白書によると、12月はもっとも交通事故の多い月となっており、非常に危険な季節。とくに普段ハンドルを握らない人がドライバーとして道路に出る年末年始は、危険を感じることが多くなります。時間と心に余裕を持ち、安全運転で目的地に向かいましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)*参考:内閣府「交通安全白書」【画像】イメージです*Cartoonresource/Shutterstock
2016年12月30日12月は忘年会、クリスマスパーティーなど夜遅くまで飲み会が続くことも増えて来ます。終電を逃してしまった人が、タクシーを捕まえるために列に並んでいる姿も、年末年始の風物詩ですね。深夜タクシーは、割増料金がつくので、誰もが最短の距離で家路につきたいと思うでしょう。しかし、そんな時に限って、運転手が近隣の地理に詳しくなくて遠回りばかりしていたり、道を間違えたりするといったことを経験した人も多いのではないでしょうか。悪気がない場合は、仕方ないと諦めもつきますが、中にはわざと遠回りしたり、道を間違える運転手もいるのではないかと、疑心暗鬼になることも多いと思います。そこで、以下のような質問に関して、法的にどのような解釈ができるのかを専門家に伺ってみましょう。Q)タクシーがわざと道を遠回りして運賃割増し請求…支払い拒否は可能?*画像はイメージです:)YES(増額分について)タクシーと乗客は旅客運送契約を結ぶことになります。タクシーは合理的な経路で、目的地まで安全に乗客を運送する義務を負いますから、わざと遠回りして運賃を上げることは契約違反であり、乗客は増額分を損害賠償請求できる(支払わなくてよい)と考えられます。わざとではなく道を間違えて遠回りした場合も同様です。もっとも、常に絶対的な最短距離を求めるのも無理な要求ですし、道路状況や交通規制の影響もあり得ます。まずは運転手さんと話し合い、納得できないようであれば所属のタクシー会社やタクシーセンターに相談・苦情を申し出るのが現実的な対応に思います。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)【画像】イメージです*BLACKY / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月29日前回、新幹線の自由席で4歳未満の子供を1席座らせることについて、混雑時は親の膝に乗せて座ることがマナーですが、空いているときは問題ないという事例を紹介しました。知らない方もいたのではないでしょうか。また自由席の場合、子供が無料になることを知らなかったという人もいるようです。仮にそのような人が子供の乗車券を購入してしまった場合はどうなるのでしょう?当然代金を返してもらうのが筋だと思われますが、「間違えたほうが悪い」といわれ、自己責任として返してもらえないケースもあるようです。返金してもらえるのかもらえないのか。弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士に見解を伺いました。 Q.新幹線の自由席で小学生未満の子供の切符代金を支払ってしまった場合代金の返金は可能?*画像はイメージです:料金がかからないということを知らなかったのなら、可能なこともあるでしょう。「返金は可能であると思われます。小学生未満の子供だけでない限り、小学生未満の子供の乗車料金はかかりません。本来、大人が小学生未満と乗る場合には、その子供の運賃の支払債務を負いませんので、その分については、不当利得として返還を要求できるのではないでしょうか。ただし、料金がかからないことを知っていたような場合には、その返還を請求することはできません。また指定席の場合には、一人分として座席を取る以上、小学生未満でも料金がかかるので、乗車後の返金は請求できません。間違いであることがはっきりしている場合は、返金を要求できるようです」(竹内弁護士) *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】*三日月 / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月29日