第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞した『ヒミズ』の完成披露試写会が、12月22日(木)、東京・日比谷の東商ホールで開催され、同賞受賞の栄冠に輝いた染谷将太と二階堂ふみを始め、共演の渡辺哲、でんでん、メガホンを取った園子温監督が舞台挨拶を行った。実は染谷さんと二階堂さんは、同賞を受賞後、一度もトロフィーを目にしたことがなかったといい、この日が初めてのご対面。「感無量です。これからも頑張ります!」(染谷さん)、「感謝の気持ちでいっぱいです。撮影中に監督から『頑張れば、レッドカーペットだって歩けるんだぞ』と言われて、実際に(ヴェネチアで)歩いてみるとしみじみした」(二階堂さん)と喜びを再確認した。舞台挨拶には、なんと作品のモチーフでもあるヒミズ(トガリネズミ目モグラ科)も登場。体長わずか10センチということで、客席からその姿は確認できなかったが、染谷さんらは興味津々の様子だった。“普通の人生”を望む男子中学生の住田祐一(染谷さん)と、愛する人と守り守られ生きることを望む茶沢景子(二階堂さん)。そんな2人の願いは、ある事件をきっかけに奪われてしまい、“普通”とは程遠い青春を強いられることに…。現代を生きる若者の心の闇と、そこから抜け出そうとするパワーが、園監督ならではの力強いタッチで描かれる。原作は2002年まで「ヤングマガジン」(講談社刊)で連載された古谷実の同名人気コミックス。東日本大震災を受けて「2011年のリアルを描くため」(園監督)、ラストの変更と被災地でのロケが行われた。染谷さんは、あらゆる暴力にさらされた現場を「はたから見れば戦場に見えたはず」。それでも「確かに痛いなって思う瞬間はあったが、心に響く痛みだったから、演じるのは楽しかった」と満足そうにコメント。一方の二階堂さんも「現場はいい意味でピリピリしていた。原作が大好きだったし、出演が決まったときは怖さもあったが、現場の空気に触れることで怖さはなくなった」とふり返る。そんな2人に対して、園監督は「自分の限界を勝手に決めずに、もっと頑張れるはずというパワーを感じた。日ごとに大きくなり、自由を獲得する姿は本当に嬉しかった」と誇らしげな表情を浮かべていた。フレッシュな2人の対極にある、いぶし銀の演技を披露する渡辺さんと、でんでんさん。「二階堂さんがひどい目に遭っていて、本当にかわいそうだなって思いましたよ」(渡辺さん)、「2人ともピュアできれいな目をしている。大きく世界に羽ばたいて、そんときは、おじさんも一緒に連れてってよ」(でんでんさん)とベテランらしい温かな眼差しを送っていた。『ヒミズ』は2012年1月14日(土)より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待山田孝之はロールキャベツ男子!?司会者の珍発言に本人苦笑い園子温&神楽坂恵が婚約を改めて報告「私の“恋の罪”でお騒がせして」と照れ笑い海外での活躍に期待する俳優は?「acteur」最新号を5名様にプレゼント
2011年12月22日記憶を失った“三股男”のドタバタ恋愛劇を描いた『指輪をはめたい』が11月19日(土)、全国で公開初日を迎え、主演の山田孝之を始め、共演する小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴、二階堂ふみ、そしてメガホンをとった岩田ユキ監督が東京・新宿バルト9で初日舞台挨拶を行った。記憶喪失でプロポーズする相手を忘れてしまった男・輝彦(山田さん)と彼の前に現れた全くタイプが異なる3人の花嫁候補(小西さん、真木さん、池脇さん)。輝彦が本当に愛していた相手とは?手がかりを求めて記憶を失ったスケートリンクに赴いた彼は、そこで謎のスケート少女(二階堂さん)に相談するが…。原作は芥川賞作家・伊藤たかみの同名小説。山田さんは本作のキャンペーン期間中、「男性に向けた作品」だとアピールし続けてきたと言い「原作者も男性ですし、男が結婚するにあたってどういうことを考えるのか?自分自身、その点は面白いなと共感できた。作品のイメージから女性にはさしてアピールしなくても(笑)、ちゃんと観に来てくれるかなと」。実際、客席には男性客の姿も多く見られ「アピールした甲斐ありました!」と満足そうな表情だった。そんな山田さん演じる輝彦について、この日登壇した女性MCが「いわゆる“ロールキャベツ男子”ですね。外側は草食系で、内側は肉食系っていう…」と持論を展開すると、山田さん本人は「どんどんそういう言葉が出てくるんですね。初めて聞きました」と苦笑いだった。一方、女性陣も個性豊かな演技で作品を盛り上げており、輝彦の上司で才色兼備の智恵を演じた小西さんは「パッと見はパーフェクトな女性ですけど、実は内側には情熱を持っていて、猪突猛進タイプ。人間臭く感情を爆発させるところが可愛らしい」と自己分析。真木さんは“セクシー風俗嬢”というこれまでのイメージを一新する役柄に「これを逃したら、こういう役は二度とできないなと思って。現場ではあれこれ考えたが、頭では正解を出せないので、体当たりでぶつかった」と役柄そのままの心意気を披露。人形劇で生計を立てる“ちょっと重い”女性・和歌子を演じる池脇さんは「とにかく輝彦さんと人形劇が好きで好きでたまらない。それだけで生きているような部分がある」と語った。『ヒミズ』(園子温監督)で共演者の染谷将太と共に日本人初のヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)の受賞も記憶に新しい二階堂さんは、スケートリンクでの撮影を「とにかく寒くて、靴も足も冷えてしまって、筋肉が硬直した」とふり返った。そんなバラエティに富んだキャラクターの右往左往を、ファンシーに描いた岩田監督は「漫画チックな部分があるが、それをウソがないようにみなさんが演じてくれた」とキャストに感謝。「カッコつけたいとか、誰かに嫉妬したりとか、人間の原始的な感情の成長を描きたかった」とアピールしていた。『指輪をはめたい』は、新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ指輪をはめたい 2011年11月19日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:山田孝之インタビュー「夢はない。でも、芝居は楽しくて仕方ない」山田孝之、結婚は「タイミングと巡りあわせ。機が来ればすぐにでもGO!」園子温&神楽坂恵が婚約を改めて報告「私の“恋の罪”でお騒がせして」と照れ笑い名匠が被災地に捧げる3分11秒の短編が東京初上映!ワークショップも開催決定あなたは見つけられる?『指輪をはめたい』特製デコトラ“迷走”中!
2011年11月21日石井聰亙から石井岳龍(がくりゅう)に改名した石井監督が、『五条霊戦記//GOJOE』以来約10年ぶりとなる劇場用長編作品『生きてるものはいないのか』を発表。16日に都内で行なわれた完成披露試写会に主演の染谷将太と共に登壇した。その他の写真映画『生きてるものはいないのか』は、岸田國士戯曲賞受賞した劇作家・前田司郎の代表作を映像化。とある大学を舞台に、18人の登場人物が次々と死に直面する様を、コメディ会話劇と、石井監督の得意とするパンク表現を交えて描いた不条理劇。石井監督は冒頭で改名について「よく漢字を間違われるし、あまり“聰亙”に思い入れもなかったので、生まれ変わったつもりで心機一転したかった」と説明。主演の染谷将太は、『ヒミズ』(園子温監督)で、ベネチア国際映画祭の最優秀新人俳優賞にあたる“マルチェロ・マストロヤンニ賞”を受賞した注目の若手俳優だが、石井監督は起用の理由は「『パンドラの匣〈はこ〉』(2009年公開)を観て、久々にスクリーン映えのする、とても力のある男優さんだと思ったから」と話し、「すべてはラストシーンに向かって作られている作品で、今回の芝居は大変難しく、私の求める要求も高かったので、できる方たちにお願いした」と、染谷ほかオーディションで選ばれた17人の出演者たちを絶賛した。本作で喫茶店の店員として登場する染谷は、「台本がものすごく分厚く、ここまで会話の多い作品は初めて。石井監督は基本的に任せてくれるので、役をどう演じるか自問自答していたら頭がグルグルしてしまった」と苦笑し、「ある意味、これは試練だと思って、実際に喫茶店でバイトをした」と明かした。最後に石井監督は「日本映画界はこの10年で激変し、作品を作りづらくなっているが、私としては本作を成功させて、次の意欲的な作品につなげたい」と映画にかける熱い想いを語った。『生きてるものはいないのか』2012年2月18日(土)よりユーロスペースほかにて公開
2011年11月17日恋した相手を遠くから見つめていた日々、好きな人と2人きりになった時のドキドキ感、切なすぎて涙がとまらなかった想い出…誰にでも忘れられない“初恋”があるものだ。11月4日からスタートした日本映画専門チャンネル「First Love〜ボクらの初恋〜」特集では、“初恋”をテーマにした作品を毎週金曜日に放映中。『空気人形』、『サヨナラCOLOR』、『ウルトラミラクルラブストーリー』など、さまざまな視点から初恋を描いた映画が数多くラインナップされているほか、俳優の染谷将太がナビゲーターとして出演している。そこで、彼が主演する、誘拐監禁事件の被害者である男女のピュアで残酷なラブストーリー『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』について、染谷さん自身の初恋の想い出について、“初恋”をキーワードに19歳の俳優の今と過去とこれからを語ってもらった。染谷さんといえば、先日のヴェネチア国際映画祭で上映された園子温監督作品『ヒミズ』で、最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞したことで、一躍注目を浴びている期待の若手実力派。9歳の頃から子役として活躍、19歳を迎えた現在は「自分がこれからどんなところに向かっていくのか、それが楽しみなんです。単純に映画が好きなので、素晴らしい監督と素敵な役者さんたちとたくさんのスタッフと一緒に仕事ができていけたら、それだけで幸せ」と、映画の世界にどっぷりと身を置いている。彼が俳優として生きていこうと決意したのは『14歳』という映画への出演、それがきっかけだった。「周りの役者さんに刺激を受けて、初めて自分が“映画の現場にいる”っていうことを意識した作品でもあって──そのとき、俳優をずっとやっていけたらいいなと思ったんですよね」と、4年前の自分自身の決意を思い返す。よく行く場所は名画座、最近のブログに綴られているのは『シネマトグラフ覚書』、『宣戦布告』、『狂った野獣』といった作品。そこからも染谷さんがどれだけ映画の世界に惹かれているのか、容易に察することができる。長所は、好きなことはとことんのめり込むこと。短所は、苦手なものは触りもしないこと。自分の性格をそう分析する染谷さん。『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』では、まーちゃんを一途に愛するみーくんを演じているが、とことんのめり込む性格だからこその苦労もあった。「初めて台本を読んだとき、みーくんは純粋すぎるというか、純粋すぎて気持ち悪い正義のヒーローだなと思ったんですよね(笑)。撮影前の準備としては、監督の瀬田(なつき)さんからバスター・キートンの映画を観ておいてほしいと言われていたので、彼の作品は観ました。キートンの無表情なのにコミカルな動きというのが、みーくんに通じるものがあるんじゃないかという理由なんですけど、無表情だけど暗くならないように演じる、それがなかなか難しくて。実際、リハーサルの段階では全然みーくんをつかめていなかった…。でも、初日のファーストカット、本編ではカットされているシーンなんですけど、そのシーンを撮ったときに『これだ!』って思えたんです。(まーちゃんが通う)学校を探して道を歩いている、ただ歩くだけのシーン。セリフがなくて動きだけのシーンが最初の撮影だと役柄をつかみやすいんです。そういえば、『ヒミズ』も動きだけのシーンがファーストカットでしたね」。役が下りてくる、役が入り込む、そんな演技をする俳優はよく憑依型と言われる。染谷さんの話を聞いていると彼もまさにそのタイプであることは間違いなく、「役に集中するのはカメラの前に立ったときだけにしたいと思っているんです。性格上、そうしないと持たないというか。撮影が終わると、1週間ぐらい何もやる気が起きなくなるんですよね。“みーまー”をやっていたときは、まだ高校生だったんですけど、学校に行っても放心状態で。自分でも知らないうちに、映画の現場では常に興奮している状態にあるのかもしれないですね。なんていうか、小さな子供がディズニーランドに行って帰ってきて、遊び疲れてぶっ倒れる、そういう感覚に近いのかも(笑)」という話からも、演じているときの集中力の大きさが伝わってくる。もちろん、そこにたどり着くまで、撮影初日を迎えるまでにさまざまな準備をしている努力があってこそ。興味深いのは、準備で身につけた知識を撮影前に「すべて削ぎ落とすこと」が染谷流の取り組み方であることだ。「いろいろやってみて、削ぎ落ちたという感じですね。めちゃくちゃ大量の油を使って揚げた揚げ物の油を、クッキングペーパーで搾り取って、結果、芯しか残らなかったっていう感じ?毎回、どの現場でもそうなんですけど、準備期間中に監督といろいろと話をしたり、どれだけリハーサルを重ねても、初日にそれをぜんぶ壊しちゃう、ぜんぶ捨てちゃうんです。準備しているときは、後で捨てるぞ!とは思っていないですけどね(笑)」。凜としてキリッとした顔立ちからクールさを感じさせる染谷さん。その寡黙に見える美しい仮面の奥には、映画を愛して止まない、演技のことを話し出したら止まらない熱い情熱があった。けれど、初恋特集にちなんで自身の恋愛観に話が移ると、急に言葉数が少なくなり照れ出す──。とても正直な人だ。そして、はにかみながら語ってくれた初恋の想い出は、幼稚園の頃の想い出。「初恋は…幼稚園のときですね。初めて好きになった女の子に、ある日のお弁当の時間、好きな人はいるの?って聞かれたんですよ。僕、あなたですって(ストレートに)言っちゃったんですよね。そしたら、その場がシーンとなっちゃって。その後、向こうから話しかけてこないので、僕も話しかけづらくて。そのまま話さなくなって、あやふやのまま卒園しちゃったんです。別々の小学校に進んだんですけど、たまにすれ違うこともあって。でも、声をかけてもらえず…。それが僕の初恋(苦笑)。面と向かって“あなたです”なんて、今の自分じゃ絶対に言えないですけどね」。では、今だったらどう答える?「うーん…、それなりにいるんじゃないですかねぇ、とか言ってごまかしちゃうかな。基本、告白もしないし、待つこともしないタイプ。気になる子が自分のことを好きだって知って、攻めてこられると引いちゃうこともあるし。だから、いつの間にか付き合っている、というのが理想。ただ、これまでに友達から恋愛に発展したことはないので、たとえば、僕がその女の子を好きなことも、その子が僕のことを好きなのも両方好きなことを知っている友達がいて、その友達が仲介役になって自然に付き合うっていう、そういう始まり方なら…(笑)」。俺ってダメだなぁと言葉を詰まらせながらも、自身の恋愛観を語るその無器用さもまた魅力的。そして、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』で演じたみーくんの一途さを「みーくんのまーちゃんに対する感情はとてもシンプル。愛しているだけ。ただまーちゃんを愛しているだけ、それに尽きると思います」と真剣に力強く訴えるその言葉にこそ、染谷さんの恋愛観があるような気がしてならないのは、やはり彼が演技派だからなのだろうか──。(text:Rie Shintani/hairmake&styling:Miyuki Abe)特集「First Love〜ボクらの初恋〜」CS日本映画専門チャンネルにて、11〜12月の毎週金曜、初恋をテーマにした映画作品を放送。TV初放送となる染谷さん出演の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』を始め、さまざまな初恋の形を描いた邦画をセレクトしてお届け。映画本編の前後には、チャンネルだけでしか見られないオリジナルである染谷さん出演の映画紹介ミニ番組もあわせて放送。「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」放送日: 11月25日(金)23:30〜ほか日本映画専門チャンネル:■関連作品:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2011年1月22日より角川シネマ新宿、シネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© 2010 「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会■関連記事:大政絢、華やかミニスカートで登場し受験生にエール!大政絢インタビュー「仕事で泣きそうになること?ある…けど我慢してます(笑)!」大政絢20歳の抱負「柴咲コウさんみたいな女優に」大政絢主演!『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』試写会に20組40名様ご招待シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第9回) 来年ブレイクしそうな俳優は?
2011年11月14日園子温監督『ヒミズ』に主演した染谷将太と二階堂ふみが最優秀新人俳優賞「マルチェロ・マストロヤンニ賞」をダブル受賞し、日本人俳優初の快挙を伝えるニュースで湧いた第68回ヴェネチア国際映画祭。10日(現地時間)に発表されたコンペティション部門の受賞結果は以下の通りだ。最高賞にあたる金獅子賞はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の『ファウスト』。ゲーテの代表作とも呼ばれる「ファウスト」をソクーロフ監督独自の視点で脚色し、権力の腐敗に取り組み続けた監督の4部作の最終作。公式上映後から本命視されていたロマン・ポランスキー監督、ジョディ・フォスター主演の『Carnage』(原題)は無冠に終わった。対して『ファウスト』は上映後に賛否両論に分かれたが、審査員長のダーレン・アロノフスキー監督は「夢を見させる映画、泣ける映画、笑える映画もあれば、一度観たら人生が変わってしまう映画もある。これはそういう作品だ」と授賞理由を語った。銀獅子賞(優秀監督賞)は中国・香港の『人山人海』(原題)の蔡尚君監督。映画祭開幕後にサプライズ上映された同作は、中国国内の検閲を受けずに製作したという経緯があり、上映日までタイトルも含めて詳細はベールに包まれていた。優秀男優賞はイギリスのスティーヴ・マックイーン監督の『Shame』(原題)のマイケル・ファスべンダー、優秀女優賞は中国・香港のベテラン女性監督、アン・ホイの新作『Simple Life』(原題)で年老いた病身のメイドを演じたディニー・イップに輝いた。審査員特別賞はイタリアのエマヌエレ・クリアレーゼ監督の『Terraferma』(原題)。優秀技術賞(撮影)は「嵐が丘」をアンドレア・アーノルド監督が映画化した『Wuthering Heights』(原題)のロビン・ライアン、金のオゼッラ賞(優秀脚本賞)はギリシャの『Alpes』(原題)のヨルゴス・ランティモス&エフティミス・フィリップーが受賞した。また、先鋭的な作品がそろうオリゾンティ部門では最高賞のオリゾンティ賞を塚本晋也監督、Cocco初主演作の『KOTOKO』が受賞した。(text:Yuki Tominaga)写真は『ファウスト』で金獅子賞を受賞したアレクサンドル・ソクーロフ監督。© AP/AFLO■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:ヴェネチア新人賞の染谷将太、被災地での撮影で「頭の中が真っ白になった」園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす窪塚洋介、鈴木杏が『ヒミズ』で園子温作品初出演!西島隆弘&吉高由里子も再びヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!『冷たい熱帯魚』の衝撃再び?『ヒミズ』に吹越満、でんでんら“園組”が勢揃い
2011年09月12日第68回ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)に輝いた『ヒミズ』の染谷将太と二階堂ふみが9月11日(日)、都内で会見を行い、受賞の喜びを語った。「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の原作を『冷たい熱帯魚』の鬼才・園子温が映画化した本作。ヴェネチア国際映画祭ではコンペティション部門に出品され、公式上映では8分間ものスタンディングオベーションが起こった。イタリアが誇る名優の名を冠した新人俳優賞を受賞した2人だが、まだ実感が伴わない様子。「いまもまだフワフワしています」(染谷さん)、「染谷くんからの電話で知りましたが、いまでもウソとしか思えない」(二階堂さん)と心境を語った。現地の反応については「スタンディングオベーションが初体験でした。(劇中の)『ガンバレ、スミダ』という日本語のセリフで声を掛けてもらいました」と染谷さん。二階堂さんは「拍手がずっと止まらなくてウルウル来てました。『ガンバレ』という言葉と拍手が一番心にきました」とふり返った。オーディションを経ての園監督の現場について染谷さんは「監督は段取りの後、テストなしで、ぶっつけ本番で撮影するんですが、いままでで一番、自由にやらせてもらった」と明かす。一方の二階堂さんは、リハーサルで監督から「(100点満点で)4点」とこき下ろされたこともあったとか。「次のリハでは笑顔で『よかったよ。12点』と言われました(苦笑)。60点を目指していたのでそう言ったら『60点に限りなく近い12点だ』って(笑)。優しい、愛のある監督でした」と語った。東日本大震災の発生を受けて監督は脚本を変更。原作とは異なる結末が描かれることになった。このラストについて染谷さんは「感動しました」と語り、「監督が『希望に負けた。希望を持たざるを得なくなった』とおっしゃっていて…。人間はどこかで希望を見つけ、すがるもの。それが描かれていると思います。僕らはこのラストに対して前向きでした」と胸の内を明かしてくれた。さらに撮影最終日には被災地でも撮影が行われたが、被災地に足を踏み入れた染谷さんは「それまで、どういう心情になるか想像できなかったんですが言葉が出ず、頭の中が真っ白になりました」と衝撃を語る。さらに「ここである意味、記憶が塗り替えられた」という監督の言葉を紹介し、「監督が決意しなかったらありえなかった映像を、海外の映画祭に持って行けたことを誇りに思います」と語った。二階堂さんは「震災を受けて立ち上がっていく同世代の人々への『頑張れ』という思いがあるのではと感じています」と今回の受賞を受け止め「魂のこもった作品なので、そのままの自分で、素直に感じ取ってもらえたら」と同世代の若者たちへの思いを語った。『ヒミズ』は2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開。■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第68回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞はソクーロフ監督に。日本映画人も健闘園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす窪塚洋介、鈴木杏が『ヒミズ』で園子温作品初出演!西島隆弘&吉高由里子も再びヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!『冷たい熱帯魚』の衝撃再び?『ヒミズ』に吹越満、でんでんら“園組”が勢揃い
2011年09月12日“主人公のバレリーナのライバル役”と聞くと、少女マンガ的なイジワルで勝気な女性を想像してしまうが、そんな単純な役どころではない。妖艶さと官能でもってナタリー・ポートマン演じる主人公・ニナを漆黒の狂気へと染め上げていく“麻薬”のような女性――それが、ミラ・クニスが『ブラック・スワン』で演じたリリーである。ダーレン・アロノフスキー監督はオーディションすらすることなくミラの起用を決め、彼女はそこからバレリーナを演じるための過酷なトレーニングをこなしてリリーを作り上げていった。彼女はこの作品を通じて何を手にしたのか?作品について、撮影についてミラが語ってくれた。1日4時間のレッスンを週7日7か月実は、ミラとナタリーはプライベートでも仲の良い友人同士。彼女が本作について初めて知ったのも、ナタリーとのショッピングの最中だったとか。「そうかもしれない…それはナタリーから聞いた話?あまり覚えてないから、ナタリーに怒られちゃうかも(笑)。ナタリーとはよくフリーマーケットに行くの。日曜の朝の恒例行事で、2人でバーゲン品を探しに行くの。その日もロサンゼルスでショッピング中だったんだけど、『この後どうするの?』と私が聞いたら、ナタリーが『バレエのレッスンがあるの』と言うから、そのときは私は『へえ、そうか』と、深くは考えなかったんだけど、いまふり返って考えると合点がいくわね」。役作りに際して、20ポンド(約9キロ)も減量し、華奢な肉体をさらに絞り上げていったミラ。「26歳にしてプロのバレリーナになろうとするわけだから、自殺行為よね!」と笑うが、バレエのトレーニングも過酷かつ長期にわたった。「1日4時間を週7日、7か月間。これは撮影前の話ね。撮影中も同じような感じだった。8月14日の誕生日の日に1日だけお休みをもらえたけど。エミー賞やゴールデン・グローブ賞とも重なっていたから、そういう日は半日だけオフにしてもらって、バレエのインストラクターと朝の5時から11時まで練習したの。レッスンが終わるとヘアメイクとメイクをして、そのまま授賞式へ、という具合だったわ」。過酷ということで言えば、劇中にも見られるようにバレエの世界における競争の激しさは論を待たない。役作りのリサーチを通して垣間見えた、バレエの世界の舞台裏についてミラはこう語る。「そんなにリサーチしなくても、(バレエ界の熾烈さは)すぐに分かったわ。ちょっと見れば目の当たりにする。熾烈な競争を隠そうという遠慮も全くないし」。ミラがいる映画界も同様に、と言えそうだが…。「そうとも言えるし、そうでもないとも言えるわ。私の経験上、そこまで(映画界は)熾烈な競争ではないわね。競争が激しい部分もあるけれど、バレエ界の競争の方がよっぽど激しいわ。言葉では到底表現できない熾烈な争いよ。狭い世界だから。彼らは人生を懸けてあり得ないほどの完璧を目指す。キャリアも長くもって35歳で終わりよ。だから競争が激しいのでしょうね。映画スターはたくさんいるけれど、プリマは数えるほどしかいないでしょ?とても狭い世界だし、独特な世界だと思う」。「思わぬ映画が道を開いてくれることもある」バレエのシーンの素晴らしさはもちろんだが、それ以外のドラマの部分、特にリリーとの関係性の中でニナが変貌していくさまは大きな見どころ。ニナとリリー、女性同士の激しい官能シーンも!プライベートでも仲の良いナタリーが相手ということでやりやすかった部分も?「そうね。カメラの前でセックスの演技をしないといけないのは、どんな場合においても居心地の悪いことだから。相手が男性であっても女性であっても…。だから、相手が友達だとずいぶんやりやすくなるのは本当ね」。本作の演技でミラは、ヴェネチア国際映画祭の「マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)」に輝いた。本作が女優としてのキャリアのターニングポイントになりそうな予感もするが、ミラはあくまでクールに自分を見つめる。「ターニングポイントはその時点ではっきりと認識できるものではないの。私は自分が出演してきた映画を否定することはない。後悔もないわ。どんな経験でもそこから学ぶものはあったし、女優としても人としても成長できたから。でも、少なくとも私の経験上、自分の出演する映画が、将来どういうきっかけにつながっていくことになるかは分からないものよ。思わぬ映画が道を開いてくれることもあるから」。ただ、本作が今後の彼女のキャリアを広げることになるのは間違いない。「1年後に聞いて」と笑ってかわしつつ「『ブラック・スワン』は先方からオファーが来たという意味では例外だった」とも。慎重に言葉を選びながら彼女はこう続ける。「他の作品に関しては『寝取られ男のラブ♂バカンス』から『ザ・ウォーカー』まで、全て自分がオーディションで勝ち取ってきた役なの。つまり、良作のオファーがいつも入ってくるわけではなかったけど、自分がやりたいと思った作品に関しては、役を勝ち取ってきたの。これは私がよく使う例えなんだけど、この業界(におけるキャリア構築)はチェスと言うよりもむしろチェッカーゲームのようなもの。4〜5手先を考えるのは、とてもじゃないけど無理ね。でも私の場合、必要に駆られて仕事をする必要はないから、とてもラッキーな立場だと思うの。自分の中で何かしらの反応が起こり、やりたいと思う企画をじっくり待つ余裕がある。いつもそうね。ジャンルに対するこだわりがあるわけでもない。『次はシリアスなドラマをやりたいわ』と思うわけではないの。自分が魅かれるプロジェクトを探すだけよ」。そんな彼女の言葉からは風格すら感じられる。追いつめられ、変貌していくナタリーの傍ら、官能的にスクリーンに佇む彼女の姿をお見逃しなく!© AFLO© 2010 Twentieth Century Fox.『ブラック・スワン』2011年5月11日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開■関連作品:ブラック・スワン 2011年5月11日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2010 Twentieth Century Fox.■関連記事:栗山千明、ナタリーを意識した妖艶な“黒鳥”ドレスで登場!ナタリー&アシュトン “セフレ”の2人の独占インタビュー思わぬ“失言”に…ナタリー・ポートマンが悩める義母役を熱演!『水曜日のエミリア』予告編先行到着N・ポートマンが黒い狂気で舞う『ブラック・スワン』試写会に10組20名様ご招待【シネマモード】ドレス姿で受賞者がわかる!?オスカー・ファッション
2011年05月02日フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴが1月5日(水)放送の昼の人気トーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日)にゲストとして出演することが明らかになった。黒柳徹子が会話を通じてゲストの魅力を存分に引き出し、1976年の放送開始以来30年以上わたって愛され続けてきた「徹子の部屋」。実は、ドヌーヴが本番組に出演するのは19年ぶり2度目となる。昨年10月、ドヌーヴは東京国際映画祭において主演作『しあわせの雨傘』が上映されるのにあわせて来日したが、それを聞いた黒柳さんが出演を依頼。通常、ドヌーヴがトーク番組に登場すること自体、めったにないことだが「徹子の部屋」ならばぜひと出演を快諾し、19年ぶりの再会を果たした。収録が始まってすぐに、ドヌーヴは部屋にあるパンダの小さな置物に興味を持ち、ひざに乗せたりして楽しんでいたという。19年ぶりということで、当初、スタジオ全体が緊張気味だったが、この一件で和やかなムードに。黒柳さんが大使を務めるユニセフのシンボルであるパンダが2人の間の19年という時間と距離を縮めるのにひと役買ったようだ。トークの中で、19年前に彼女が「徹子の部屋」へ出演したときの写真が出されたが、当然のことながら、19年前といまを比べると容姿にかなりの変化が見られる。黒柳さんが「女優さんは若い頃の写真をこうやって出されるのは嫌なんじゃないかと思って収録前に聞いたら『全然構わないわ』っておっしゃるの。すごいなぁと思った」と語ると、ドヌーヴは平然と「“変わること”は全然悪いことではないでしょう?」とコメント。大女優の風格を感じさせた。ちなみに、親日家として知られるドヌーヴだが、大福が大好物とのこと。「白くてふわふわして美味しくて大好き!」と語り、お茶と共に出された大福を収録後に笑顔でほおばっていた。また、スタジオ横の部屋に飾ってあったアレンジメントフラワーにドヌーヴが一目ぼれ!その花は収録後、彼女が宿泊するホテルの一室に届けられたという。黒柳さんは収録後、「19年前と比べてずいぶん“丸くなった”と。容姿ではなく(笑)、性格的にです。おそらく孫ができたりしたことも大きいのではないか」との感想をもらしていた。本番組にはドヌーヴの亡夫マルチェロ・マストロヤンニも出演したことがあり、当初、マストロヤンニの写真も収録で出すという案もあったそうだが、徹子さんの「悲しいお気持ちにさせては良くないのでは」という意見で最終的に出さないことになったという。先の大福や花の件も含め、黒柳さん、そしてスタッフのこうした細やかな気遣いこそが、この番組が30年以上におよび愛され続けてきた秘密なのかもしれない。なお、映画『しあわせの雨傘』においてドヌーヴは病床の夫に代わって会社経営に乗り出す夫人を演じており、ジャージ姿を披露していることでも話題を呼んでいる。早口という点では日仏を代表する(?)2人が展開するユーモアとウィットに富んだ会話に注目!こちらのトークは新年第2回、1月5日(水)の13:20より放送。映画『しあわせの雨傘』は1月8日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。■関連作品:しあわせの雨傘 2011年1月8日よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国順次公開© Mandarin Cinema 2010■関連記事:大女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演『しあわせの雨傘』プレスを5名様にプレゼントメリー・クリスマス!カトリーヌ・ドヌーヴ『しあわせの雨傘』独占試写会に65組130名様ご招待カトリーヌ・ドヌーヴがジャージでラン&ディスコでダンス!『しあわせの雨傘』予告編【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭【TIFFレポート】C・ドヌーヴ舞台挨拶登壇も撮影切り上げ退場「たくさん撮ったわ」
2011年01月04日第67回ヴェネチア国際映画祭は、11日夜、(現地時間)作品賞にあたる金獅子賞にソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』(原題)を選んで閉幕した。授賞式後の会見で、父フランシス・F・コッポラ監督に報告をしたかと聞かれたソフィアは「すぐに両親に電話をしたら、とても感激していたわ。イタリア系である私たちにとって、イタリアの映画祭で賞をもらうことは、特別なこと」と語った。ソフィアの名前を呼ぶ際、審査委員長であるクエンティン・タランティーノが、「この人にこの賞を贈ることが出来るなんて…」と言いながら涙ぐむそぶりを見せるなど、あまりに芝居がかっていたため、一部のプレスからは失笑が出ていたが、作品自体は本命の1本で、納得の受賞となった。ちなみにタランティーノにとってソフィアは元恋人。現在は仲の良い友人だという2人はステージで、抱き合って喜びを分かち合った。会見で、ドイツ人記者から「あなたはアジア映画のファンだが、アジア映画が1本も受賞していないのははなぜか?」と聞かれたタランティーノは、「実際、審査員はみんな三池の作品(『十三人の刺客』)を気に入っていた。しかし、どうしても賞をあげられない場合もある」と答えた。また、男優賞は『ESSENTIAL KILLING』(原題)でタリバンの兵士を一言も発さずに演じきったヴィンセント・ギャロが受賞。しかしギャロはヴェネチア入りしていたものの、自身の監督作の会見やレッドカーペットもキャンセルするなど、最後まで公の場に姿を見せることはなく、相変わらずの変わり者ぶりだった。<主な受賞結果>金獅子賞(作品賞):『SOMEWHERE』(ソフィア・コッポラ監督)銀獅子賞(監督賞):アレックス・ド・ラ・イグレシア(『BALADA TRISTE DE TROMPETA』)脚本賞:『BALADA TRISTE DE TROMPETA』(イエジー・スコモリフスキー)審査員特別賞:『ESSENTIAL KILLING』(イエジー・スコモリフスキー監督)男優賞:ヴィンセント・ギャロ(『ESSENTIAL KILLING』)女優賞:アリアーヌ・ラベッド『ATTEMBERG』マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞):ミラ・クニス (『ブラック・スワン』)(photo/text:Ayako Ishizu)■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン十三人の刺客 2010年9月25日より全国東宝系にて公開© 2010「十三人の刺客」製作委員会ブラック・スワン (仮題) 2011年春、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2010 Twentieth Century Fox.SOMEWHERE (原題) 2011年4月2日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2010 - Somewhere LLC 第67回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]■関連記事:清水崇がウサギの被り物でヴェネチア参上!3D映画部門は『アバター』&『ヒック』『十三人の刺客』にスタンディングオベーション7分!金獅子に三池監督手応えアリ?村上春樹原作『神の子どもたちはみな踊る』ポスタービジュアル解禁!菊地凛子インタビュー天衣無縫の旅人――「やっぱり直感なんですよね」三池崇史監督、SMAP稲垣の“悪役”起用を説明
2010年09月12日最新作『隠された日記〜母たち、娘たち〜』(仮題/ジュリー・ロペス=クルヴァル監督)のPRで来日中のフランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴが2月28日(日)、東京・日経ビル内のSPACE NIOで会見し、さばけた素顔をのぞかせた。3月8日(月)の「国際女性の日」に合わせて丸の内ほかにて開催中の、日仏の女性にフォーカスを当てたイベント「ファム@トウキョウ」(主催:フランス大使館、CulturesFrance<仏文化交流機関>、日本経済新聞社)の一環のフランス映画特集「女たちの記憶」で、同日、同作が上映され、ドヌーヴはトークショーも行った。同イベントを通じて日本の女性に伝えたいことを聞かれると、「会話を重ねてとことん話し合うことの重要性を訴えたい。話し合いが足りないよりは、話した上ですれ違う方がマシ」とサバサバ。同作では、娘と確執がある母親役を熱演。役どころに引っ掛けた、自身の娘との関係についての質問には「私自身は娘(故マルチェロ・マストロヤンニとの間の長女で女優のキアラ・マストロヤンニ)と良好な関係を築いているから真逆の役柄で面白かったわ、フフッ」と笑顔。現在66歳で約50年も一線で活躍しているだけに、キャリアについて尋ねる質問が集中。「ヨーロッパとアメリカでは役者の扱い方が違い、ヨーロッパでは、出演作の興行収入が悪くてもアメリカほど悪く見られたりバッシングされることはない。興行収入に結び付かなくてもいいものを作ろうとする風土がある」と説明したほか、「良いシナリオを描く演出家と一緒に働き始めたから、いまになってもその人たちからオファーがあるおかげで女優を続けられている」、「私は女優という職業について恵まれている。365日働いているわけではないし時間も決まっていないから、決まった時間帯に働いている人より家族と生活をしやすいし経済的にも自立できている」と謙虚な答えが続いた。司会者が最後の質問を募ると5人が挙手。数える仕草を見せながらドヌーヴは「いま手を挙げている人の質問には全部答えるわ」と意欲的だったが、2人目まで終えると「これで最後」と言い、3人目で終了と気まぐれな一面も。「今日はみなさんがきちんとした姿勢で静かに座っていらっしゃったから、大学の講師になった気分でした」と楽しげに語り、会見場を後にした。2007年3月に「フランス映画祭2007」の団長を務めて以来、約3年ぶりの来日。和菓子が好きで大好物は大福。一度に4個をペロリとたいらげることもあり、今回もスタッフからの差し入れの大福を美味しそうに食べていた(関係者談)という。『隠された日記〜母たち、娘たち〜』は2010年秋、銀座テアトルシネマほか全国にて順次公開予定。■関連作品:隠された日記〜母たち、娘たち〜 (仮題) 2010年公開予定
2010年03月01日