15回の節目を迎える「フェスタサマーミューザKAWASAKI」。7月27日(土)から8月12日(月・祝)まで、ミューザ川崎シンフォニーホールを主会場に全20公演が行われる。キャッチフレーズは「15年目の熱狂へ!」。3月27日、ミューザ川崎内で発表記者会見が開かれた。【チケット情報はこちら】今年変化があったのは、首都圏のオーケストラが一堂に会するフェスティバルとして始まった「サマーミューザ」に、今年は首都圏外から初めて、仙台フィルハーモニーが出演すること。また、一昨年に続いて札幌からPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)オーケストラが特別参加するなど規模を拡大。「日本のオーケストラの祭典」へとグレードアップしつつある。各オーケストラの特色を最大限に発揮してもらおうと、音楽祭全体に特定のテーマを設けないのはいつもどおりだが、ちょっとした色分けはあって、お得なセット券はその色で括られている。平日夜セットの3公演は各オーケストラの定期会員も満足できる、正統派クラシック音楽プログラム。7月29日(月)アラン・ギルバート&都響によるレスピーギの《ローマの噴水》《ローマの松》などイタリア・プログラム。7月31日(水)ザ・クラシック・オブ・クラシック!井上道義と読響のブルックナー8番。8月6日(火)カリスマ人気チェロ奏者ジョヴァンニ・ソッリマがソロを弾くシティ・フィルのドヴォルザークのチェロ協奏曲。いっぽう平日昼セットの2公演は、気軽に楽しめるファミリーやシニア層を意図したプログラム。7月30日(火)スーパー・ギタリスト渡辺香津美が名曲《アランフェス協奏曲》を弾く神奈川フィル。8月7日(水)79歳の「炎のコバケン」小林研一郎が20歳の天才・藤田真央と築き上げる壮大なチャイコフスキー:ピアノ協奏曲。また、休日の公演にロシア音楽がさりげなく多めなのは、今年の隠し味だ。7月28日(日)上岡敏之&新日本フィルのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(ピアノ小川典子)、プロコフィエフ《ロメオとジュリエット》。8月4日(日)満を持して乗り込む高関健&仙台フィルによるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン郷古廉)と交響曲第4番。8月11日(日)ダン・エッティンガー&東京フィルのチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》。8月12日(月・祝)フィナーレを飾る尾高忠明&東響のショスタコーヴィチ:交響曲第5番《革命》。コンサートによって、公開リハーサルやプレトーク、開演前のロビー・コンサートなどがあるので、ぜひ併せて楽しみたいもの。そして期間中は近隣の店舗と提携したさまざまな来場者サービスも用意されており、街をあげて来客をもてなす態勢も、いっそう充実してきた。暑い夏、オーケストラが熱い火花を散らすKAWASAKIへ!取材・文:宮本明
2019年04月12日マニュエル・ルグリ率いる世界一流ダンサーと、国際的に活躍する日本の気鋭音楽家によるコラボレーション「マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』バレエ&ミュージック」が本日3月8日(金)初日を迎える。公演を目前に記者会見が行われ、ルグリがその才能に惚れ込み信頼を寄せているオルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン(ともにボリショイ・バレエ プリンシパル)、シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)と、ヴァイオリニスト三浦文彰、ピアニスト田村響、振付家のパトリック・ド・バナ、ウィーン国立バレエ団専属ピアニスト滝澤志野の8名が登壇した。初来日から35周年を迎えるルグリは「私にとって音楽は特別なもの。素晴らしい音楽家の方と舞台で共演できる機会を与えていただき、うれしく思っています」とまず感謝を延べた。自身はソロ『Moment』と、スミルノワとの世界初演『OCHIBA~When leaves are falling~』を踊る。新作については「オルガのような若く才能溢れるダンサーと踊れるのは本当に夢のようなこと」と目を輝かせる。『OCHIBA』振付のバナは、作品がアレッサンドロ・バリッコの『絹(シルク)』にインスピレーションを得た、静謐な愛の物語だと明かし、作品を踊るスミルノワは「新しい芸術に足を踏み入れたと感じています。シンプルな動きでいかにお客様を引きこむかが難しくて…今はドキドキしています」と話した。アッツォーニは、チュージンと『ソナタ』(ウヴェ・ショルツ)を踊る。「一緒に踊るということは、パートナーからエネルギーをもらって自分のものにするということ。また今回、素晴らしい音楽家の方と共演することでお互いを近くに感じて、美しい関係を築けるのではと思います」。チュージンは「みなさんと共演できるのは僕にとって大きな名誉。本当にハッピー。これ以上の言葉はないです……」と短いコメントで、全員爆笑。バナが席を立ってチュージンを温かくハグした。その『ソナタ』でラフマニノフの「チェロ・ソナタ」をヴァイオリンで演奏する三浦は「僕はチェロは弾けないので(全員笑)。でもチェロとは違う新鮮な響きになると思います。ダンサーの方たちが演奏している目の前まで来られるので、その迫力を感じます」。田村は、バレエとの共演は初めて。「リハーサルではダンサーの方の空気を感じながら演奏できました。音楽と動きの融合の美しさ、素晴らしさを体感していただければと思います」最後にルグリが「音楽とダンスが緊密になることで、より音楽の存在を感じ、新しい踊りの可能性を見出すことができるかもしれません。私たちにとっても貴重な体験となることでしょう」と新しい挑戦への期待と決意で締めくくった。公演は3月8日(金)・9日(土)の東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに大阪、宮崎、愛知にて行われる。取材・文:郡司真紀
2019年03月08日12歳のデビューから7年。10代最後の年を迎えている牛田智大。3月21日(木・祝)に神奈川・横浜みなとみらいホール大ホールに横浜で、シューベルト《4つの即興曲》Op.90とショパン《24の前奏曲》Op.28を軸にしたリサイタルを開く。【チケット情報はこちら】「シューベルトもショパンも、とても繊細で、シンプルで美しい形式・構成の中に深いドラマがあります。内省的な意味でドラマティックな作品をお楽しみいただければと思います」。シューベルトは、和声に対する感覚など演奏家の基礎的な部分が試される作曲家だという。「いわば試金石ですので、シューベルトを弾くための土台ができていないとなりません。もっと経験を積んで勉強してから、と考えていた時期もあったのですが、10代最後のこの時期に取り組む価値があると思いました」一方のショパンの《24の前奏曲》も、ここ1年ぐらい取り組んできた、比較的新しいレパートリー。3月にはニューアルバム『ショパン:バラード第1番、24の前奏曲』もリリースされる。「ショパンも本当に難しい作曲家です。この《24の前奏曲》も、自分にとっては挑戦ですし、ピアノのエヴェレストに挑むような感覚がありました。技術的に難しい作品はほかにもたくさんありますが、この曲は音が多くないぶん、ごまかしがきかないというか、少ない音のひとつひとつに意味を見い出して、すべてに正しいニュアンスや音色をつけていかなければなりません。和声やアーティキュレーションの構成から、作品のスタイルに合った感覚をつかむことが大切だと思っています」これからおそらくは40年、50年と続くキャリア。中心にしてゆきたいのがこのふたりの作曲家だと語った。今回はそこにラフマニノフの《絵画的練習曲》Op.39の第5曲と、リストの《超絶技巧練習曲》から第8番〈荒野の狩〉を組み合わせた。「ショパンとシューベルトだけだとスタイル的に偏ってしまうので、もう少しグランディオーソ(壮大に、堂々と)な要素を持った作品でバランスを取りたいと思いました。それによってお互いが引き立ちますし、リストがシューベルトから受けた大きな影響や、ラフマニノフがショパンから受け継いだ特徴的な部分など、その系譜を感じていただけることにもなると思います」10代のうちに、バッハやモーツァルトなど、何人かの作曲家についてまとまった時間をかけて集中的に勉強したいという。「レパートリーを増やす時期と、1曲を掘り下げて勉強する時期をバランスよく取らなければなりませんし、レパートリーを増やすためにも引き出しが必要。そのストックを作らなければなりません」。新しいレパートリーに挑戦する3月のリサイタルも、その重要なステップのひとつに位置付けられるだろう。昨年は国際コンクール初挑戦となった浜松国際ピアノコンクールで日本人歴代最高位タイの第2位を獲得するなど、さらなる高みへ向かって新たな進化を続ける姿がまぶしい。取材・文:宮本明
2019年02月12日ロンドン中心部にあるウィグモア・ホールは、550席ほどの室内楽ホールながら、その舞台に立つことが一流の証と言われ、演奏家の登竜門的なステータスを誇る音楽の殿堂だ。昨年6月、そこでオール・ラフマニノフ・プログラムを弾いて絶賛を浴びたのが日本人チェリストの伊藤悠貴。3月29日(金)東京・紀尾井ホール、その再現となるラフマニノフ・リサイタルを開催する。【チケット情報はこちら】15歳からロンドンで暮らした伊藤にとって、ウィグモアはひときわ憧れの場所。ホールが認めたアーティスト以外は舞台に立つことすら適わないという格式高い名門でのチャンスに、満を持して選んだのが、「凝りに凝ったプログラミング」と自負するオール・ラフマニノフだった。少年の頃に本格的にチェリストを志すきっかけとなった作曲家であり、「ライフワーク」と公言する存在。ホールのスタッフから、「チェリストが弾くオール・ラフマニノフはこのホール初。君が新たな歴史を作ったんだ」と教えられ大感激したという。「ラフマニノフの作品には、自分自身を投影できる。その感覚は出会った頃からずっと変わることがない」と伊藤。ほぼ毎晩ラフマニノフを聴いて眠り、チェロ・ソナタはもう100回以上も弾いていると、作曲家愛をあらわにする彼にその魅力を訊ねると、まったく迷うことなく、「歌」だと言い切った。「ラフマニノフというとピアノ曲やオーケストラ曲のイメージが強いかもしれませんが、僕は歌の作曲家だと思っています。歌曲も多い。そしてチェロは歌ってなんぼの楽器です。歌わなければ意味がない。チェロで弾くのにふさわしい作曲家です」実際、ラフマニノフにはチェロのためのオリジナル作品はわずかしかないため、今回も歌曲の編曲版を多く弾くことになるのだが、「オーケストラ曲を聴いていてもラフマニノフがチェロ好きだったのは明らか。歌曲をチェロで弾くことにも、大いに意味があると思います」代表作であるピアノ協奏曲第2番に象徴される、ラフマニノフの甘く美しいロマンティックな作風を、「まるで映画音楽」と揶揄する向きもあるが、伊藤は、「そういう方々のために、今回のプログラムなんです!」と胸を張る。10代から20代前半で書いたごく初期の作品から、あまり聴かれていない中期から後期の作品までが並ぶ、クロノロジカルに作曲家の全貌を見渡す構成。「だんだん内容が深まってゆき、時代によって全然タイプの異なる曲を生んだラフマノニフの作風の変遷を、ぜひ聴いていただきたいと思います」ロンドンでは公演時間の事情で入れられなかった曲(歌曲〈夢〉作品38-5)も今回の日本公演では演奏する。これが当初意図した「完全版」なのだそう。共演ピアニストは若手のホープ藤田真央。「自分のイメージするラフマニノフにふさわしい音のクォリティを感じる」と信頼を語る。音楽の殿堂が認めた「世界基準」のチェロが歌うラフマニノフへの愛。けっして派手ではないかもしれないけれども、こういうキラリと光る大切な音楽会を聴き逃してはいけない。取材・文:宮本明
2019年01月11日新年の幕開け、いろいろなコンサートがあるなかで、これは異色。新春早々に、あの全世界で1億本(!)以上を売り上げたロールプレイングゲームの金字塔「FINAL FANTASY」シリーズをはじめ数多くのゲーム音楽を手掛ける植松伸夫。その作品を集めたコンサートが1月5日(土)に東京・東京芸術劇場コンサートホールで開催される。【チケット情報はこちら】「UEMATSU WORKS~ノビヨ、カンレキ!~」と題されたこのコンサート。ノビヨとは植松氏の愛称とのこと。2019年にカンレキ(還暦)を迎える植松氏の代表的な作品と、ルーツともいえる今までに聴いてきたクラシック音楽が迫力のオーケストラ・サウンドで一気に聴けるこのコンサート。年内休養が発表され、その復帰が待ち望まれていたが、このたび同公演から復帰を表明。あわせて、植松氏自身がセレクトしたプログラムのすべてが発表された。まずは代表作の『FINAL FANTASY』から『FFⅦメインテーマ』、『FFⅥティナのテーマ』、『FFⅣゴルベーザ四天王』、『FFⅦエアリスのテーマ』。1991年発売のFFⅣからもセレクションされているあたり、ちょっと大人の心をくすぐる選曲ではないだろうか。そのほか、ゲームクリエイター坂口博信が率いるミストウォーカーでの作品で、キャラクターデザインには人気漫画『SLAMDUNK』でおなじみの井上雄彦氏と豪華な布陣で作られた『ロストオデッセイ』、同じくミストウォーカーでの作品『ラストストーリー』、『ブルードラゴン』。ここまででもワクワクしてくる選曲だが、最近の植松氏のお気に入りとして、ゲームだけでなくアニメなどでも展開されている『グランブルーファンタジー』、今回の演奏会の開催にあたり、ぜひ演奏してほしいとの願いで取り入れた『オーシャンホーン』、それぞれのメインテーマがセレクトされている。さらに栗本薫の大著『グイン・サーガ』のアニメで使われた『グランドオープニング』が演奏される。そのほか、植松氏が聴いてきたクラシックの作品ということでラフマニノフ、チャイコフスキー、ラヴェルの小品があわせて演奏される。どんな曲を聴いて過ごしてきたのかぜひ本人の話も聞いてみたい。指揮にはゲーム好きで知られる竹本泰蔵、スペシャル・ゲストはもちろん植松伸夫、そしてオーケストラは最新のオーケストラ・サウンドを響かせる東京交響楽団とあっては、新春1回目のコンサートとして聴きのがすことはできないコンサートだろう。植松氏からは『皆様、ご心配をおかけしました!1月5日(土)東京芸術劇場でのコンサートでお会いできるのを楽しみにしています!―植松伸夫』とコメントが届いている。チケットは発売中。文:東京交響楽団・長久保宏太朗
2018年12月10日14回目を迎える「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018。概要の発表会見が、3月28日に主会場となるミューザ川崎シンフォニーホール内で開かれた。「奏(so)クール!」をキャッチフレーズに、首都圏のプロ・オーケストラが今年の夏も川崎に勢ぞろいする。プログラムをざっと見てみよう。ミューザを本拠とする東京交響楽団が、ホスト・オーケストラ役としてオープニング(7月21日(土))とクロージング(8月12日(日))に登場、生誕100年のバーンスタイン作品を含む祝典プログラムを聴かせる。前者の、大西順子、中川英二郎、本田雅人らトップ・ジャズ・ミュージシャンたちの共演は聴き逃せないし、後者の、かつて舞台上演でも主役を演じた幸田浩子、中川晃教の二人が歌う《キャンディード》(バーンスタイン)からのナンバーにも注目だ。7月22日(日)新日本フィルと7月29日(日)は東京シティ・フィル、2公演で「正統派ドイツ音楽 I&II」。前者では横山幸雄のモーツァルト第20番、後者ではシュテファン・ヴラダーによるベートーヴェン《皇帝》と、定番の名ピアノ協奏曲も楽しめる。一方、平日の7月24日(火)と8月3日(金)の2公演は、期待の若手ロレンツォ・ヴィオッティが指揮する東京フィルのラヴェル&ドビュッシーと、川瀬賢太郎/神奈川フィルのサン=サーンス特集による「絶品フレンチ I&II」を形成する。こちらも、小山実稚恵のラヴェル(7月24日(火))、サン=サーンスでは神尾真由子のヴァイオリン協奏曲第3番、4月からミューザのホール・オルガニストに就任する大木麻理の交響曲第3番と、共演者も楽しみな陣容。ほかにも、現在パーヴォ・ヤルヴィの助手を務める1992年生まれの熊倉優が振るNHK交響楽団(8月4日(土))、鬼才マルク・ミンコフスキが都響を率いる《くるみ割り人形》(8月5日(日))、反田恭平がラフマニノフの《ピアノ協奏曲第5番》(交響曲第2番の編曲)を日本初演する藤岡幸夫/日本フィル(8月9日(木))、客席の投票でNo.1を決める東京ニューシティ管の「灼熱のアリアバトル」(8月10日(金))、もはやおなじみ新百合ヶ丘テアトロ・ジーリオ・ショウワでの「出張サマーミューザ@しんゆり」(7月29日(日)&8月4日(土))など、例年にも増して魅力的なラインナップがずらり。オーケストラ公演以外にも、恒例の「サマーナイト・ジャズ」(7月28日(土))や、鈴木雅明のオルガンによる「真夏のバッハ」(8月11日(土・祝))など、日程を眺めているだけで食指が動く。いつものように、プレトークや公開リハーサル、出演者による室内楽など、開演前のうれしい「おまけ」もチェックしたい。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018は7月21日(土)から8月12日(日)まで全19公演。会期後半には、昨年逝去した音楽写真家・堀田正矩さんの追悼写真展「音楽へのまなざし」も併催される(7月31日(火)~・ミューザ川崎企画展示室)。取材・文:宮本明
2018年03月30日ゴールデンウィークの東京の風物詩としてすっかり定着したフランス生まれの音楽祭ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンは過去に類のないクラシック音楽のモンスター・イベントだ。安価な入場料ながら、世界のトップ演奏家による趣向を凝らしたプログラムが楽しめるとあって、同時多発的に繰り広げられる320公演に、GW3日間で42万人が詰めかける(2017年実績)。これまで有楽町の東京国際フォーラムを中心に丸の内エリアで開催されてきたが、14回目となる次回は、東京芸術劇場など池袋エリアを加えて並行開催。名称も「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」に変更される。2018年2月に予定されている詳細発表に先立ち、報道陣を招いてテーマ発表と懇談会が行なわれ、音楽祭アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏と、制作のKAJIMOTO代表取締役社長・梶本眞秀氏が出席した(11月30日・東京芸術劇場)。「TOKYO」への舵取りは、もちろん東京オリンピック・パラリンピックも意識しているのだろう(東京国際フォーラムも東京芸術劇場も東京都が関連する施設)。池袋エリアの新たな会場として発表されたのは、東京芸術劇場内の「コンサートホール」「シアターイースト」「シアターウエスト」「シンフォニー・スペース」と、池袋西口公園、南池袋公園の6会場。有楽町と池袋は東京メトロ有楽町線が約19分で結ぶ。東京芸術劇場も東京国際フォーラムも駅直結なので、もし雨が降っても濡れずに行き来できる位置関係。その手があったか!梶本氏によればマルタン氏は目下「池袋」を猛勉強中だそうで、すでに昨年から街中を巡り、隈研吾氏監修の豊島区新庁舎や、丸の内に比べて若者が多い人の流れに興味津々だという。原則的に丸の内エリアの開催規模は従来のまま、池袋エリアの新規公演がそのまま公演数増につながる予定。主催者によれば、来場者の9割をリピーターが占めるというラ・フォル・ジュルネ。人気が定着している証しだが、裏を返せば新しい聴衆が参入しづらいという側面でもあるかもしれない。新たな試みはその解消にも効果を発揮するはずだ。ラ・フォル・ジュルネが始まる2005年まで、東京国際フォーラムの5000席の大ホールがクラシック音楽の中心的な役割を果たす場所になるとは誰も想像できなかったはず。池袋という街が、これまで以上にどのように音楽にフィットしてゆくのかも、注目されるところだ。新生ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018のテーマは「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」。政変や圧政を逃れてなかば強制的に、またはさまざまな理由から自らの意思で、祖国を離れ、異国へ渡った作曲家は多い。ラフマニノフ、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、バルトーク、シェーンベルク、クルト・ヴァイル、あるいは19世紀のショパン。「亡命」と「移住」をめぐり、異文化との接触から生まれた彼らの音楽に光を当てる。2018年5月3日(木・祝)~5日(土・祝)の3日間に、両会場併せて約400公演(無料公演を含む)が予定されている。取材・文:宮本明
2017年12月04日こんにちは、島本薫です。フィギュアスケート選手から、プロスケーターとしての第一歩を踏み出した浅田真央さんのアイスショー、「THE ICE(ザ・アイス)」が今年も開幕しました。本日は、その大阪公演の模様をお届けします。■「THE ICE 2017」:浅田真央さんのスケート人生を振り返るプログラム構成に2007年の初開催から今年で11年目となる「THE ICE(ザ・アイス)」は、浅田真央・浅田舞の姉妹を中心に、数々のプロスケーターと現役選手が集う個性豊かなアイスショーです。スケーターは普段のプログラムやエキシビションナンバーを披露するにとどまらず、誰かと組んでコラボレーションしたり、出演者のダンスバトルがあったり、全員でミュージカルのような動きをしたりといろいろな表情を見せてくれます。こうした魅力もこのショーならでは。とくに今年の「THE ICE 2017」は、真央さん自身「引退後初めてのショーなので、改めて感謝の思いを皆さんにお伝えできれば」と話すように、これまでのスケート人生を振り返り、支えてくれた人たちへの感謝のメッセージがあふれでた構成になっていました。オープニングはショパンの「バラード第1番」(バンクーバーオリンピックの翌年のエキシビションで使用)を使い、バーを持ってのバレエレッスンを模した「静」から、出演者全員が赤と黒の衣装をまとって舞い踊る「動」の「リチュアルダンス」(昨シーズンのショートプログラムで使用)へと切り替わり、一気に会場を沸かせます。このときの音源となった演奏をしたピアニストの鈴木羊子さんも、ショーのためにスペインから帰国し、生演奏を披露してくれる豪華なおまけもあり、節目となる今年のショーを盛り上げてくれました。「THE ICE 2017」前半のハイライトは、11組の出演者でリレーする「浅田真央プログラム・スペシャルメドレー」。なんとも贅沢なことに、真央さんの使用した楽曲をつなぎつつ、それぞれのスケーターが披露したかつてのプログラムを堪能できる構成になっているのです。■浅田真央さんがこれまでに使用した曲目でつなぐ「真央メドレー」真央さんがまだジュニア時代に使用していた曲に始まり、最後のプログラムにいたるまでの9曲をつなぐこのメドレー。自然と真央さんが滑ったときの演技が思い起こされるのですが、同時に演技者一人ひとりの世界観が醸し出され、二重に見ごたえのあるものになっています。それもそのはず、ほとんどのプログラムはその人が「かつて滑っていた」ものなのですから……!「トゥーランドット」や「ロミオとジュリエット」、「白鳥」などはさまざまなスケーターが使用していることで有名ですが、どんな曲であれ、誰かが素晴らしい演技をすれば、わたしもこの曲で滑りたいと思う人が現れ、次の人に受け継がれていくのでしょう。メドレーの幕開けは、真央さんが世界ジュニアを制したときのショートプログラム「虹の彼方に」。竹馬のようなスケート靴を履いた中国の黒竜江省雑技団のアクロバティックな演技とともに、姉の舞さんが軽やかに滑ります。「シェヘラザード」で登場したのは、ソチオリンピック金メダリストのアデリナ・ソトニコワさん。この曲もさまざまなスケーターたちが滑ってきたものです。ふんわりしたメロディが流れると、タキシードを着た織田信成さんがとびきりの笑顔で「スマイル」を披露。織田さんも真央さんと同じく、エキシビションでこの曲を使っていましたね。「ラヴェンダー」こと「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」の切ないメロディに合わせて宇野昌磨さんが昨年のショートプログラムを滑ると、そのまま鈴木明子さんがご自身のエキシビションを披露。陽気なドラムのリズムが印象的な「Sing Sing Sing」に乗って滑るのは、カナダのアイスダンスカップル、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組。そして、ラフマニノフの「鐘」。滑るのは、羽生結弦選手の振り付けを手掛けていることでも有名な、カナダのジェフリー・バトルさん(初めてこの曲をスケートに使ったのは彼なんです)。中盤で小塚崇彦さんが現れたかと思うと、バンクーバーオリンピックのときの真央さんのステップを完璧に再現。いわゆる「完コピ」に、会場がどよめきます。甘やかな「愛の夢」で雰囲気を一転させるのは、中国のペア、チン・パン&ジャン・トン組。重厚なピアノの和音が響き、髙橋大輔さんが登場。ご自身もトリノオリンピックで使用したラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」を、軽やかなジャンプと圧倒的なステップで魅せてくれます。そこへ流れる妖しげなメロディは、真央さんの現役最後のプログラムとなった「リチュアルダンス」。このときの赤い衣装に黒いスカートで現れた真央さんは、しばし髙橋さんとふたりで魔術的な世界を作り出したかと思いきや、くるりと身をひるがえして相手の手に黒いスカートだけを残し、赤いロングスカート姿に変身。最後を飾る曲を妖艶に舞い踊ります。最後まで滑り切れなかったプログラムを今ここで演じられることは、演技者にとっても観客にとっても得がたい貴重な瞬間でした。メドレーが終わったあとは、全員が集まって笑顔のハイタッチ!観客も割れんばかりの拍手を送っていました。■「ここからが本当のスタート(by 浅田真央)」「(今は)苦しいことがひとつもない(by 村上佳菜子)」ショーの一部と二部の間には、日替わりゲストを交え、舞さんのMCでトークショーが行われます。わたしが見た7月31日のゲストは、真央さんと同じく現役引退を発表した村上佳菜子さん。晴れやかな笑顔で活動の場を広げていることを報告し、「今は毎日が新鮮で、苦しいことがひとつもない」と話す姿が印象的でした。……トップ選手でい続けるということは、それだけ大変なことなんですね。第一部で真央さんと佳菜子さんが披露したコラボプログラムの曲、加藤ミリヤさんの「旅人」は、ふたりで旅行したときに聴いた思い出の曲だそうです。ふたりの大好きな動きや懐かしい仕草をたっぷり詰め込んで作り上げたそうで、おそろいのデニムスカートで追いかけっこやお尻スピンをしたり、氷に寝そべったりする微笑ましい姿に、会場がやわらかな雰囲気に包まれました。皆さんにメッセージをと促され、「ここからが本当のスタートだと思っています。前に進んで精一杯頑張ります」と話す真央さんと、「いろんなことにチャレンジしていきたい」と話す佳菜子さん。自分らしいセカンドキャリアを切り拓いていけるよう、これからのふたりを見守っていきたいものです。■フィナーレも真央カラー。試合では見られないサプライズ・デュエットもさて、後半のハイライトは、やはり真央さんの演技です。ショーのために新しくつくられたふたつのプログラムには、それぞれ今年ならではのテーマが秘められていました。ひとつめは、ラフマニノフの「エレジー~スイートメランコリー~」。二度のオリンピックで使用した思い入れのある作曲家の曲を使い、スケート人生の集大成のプログラムとなっています。もうひとつは、ララ・ファビアンが歌う「Wind Beneath My Wings」。「愛は翼にのって」という邦題で知られていますが、「あなたという風を翼に受けて(わたしは飛んでいた)」というのが歌詞本来の意味です。あなたがいてくれたから、わたしは飛んでこられた。わたしの輝きは、あなたの支えがあってこそ。応援してくれてありがとう。――そんな感謝の思いを込めたプログラムをしっとりと魅せてくれたあとは、怒涛のフィナーレへ。「アイ・ガット・リズム」のピアノ演奏に始まり、「カルメン」「踊るリッツの夜」「チャルダッシュ」と真央さんが使用した楽曲の中でもテンポのいいものをメドレーにして、出演者がグループになって踊りつなぎ、会場を盛り上げます。最後に薄紫の衣装を身につけた真央さんが登場し、「蝶々夫人」を滑り出すものの――今日の蝶々さんは、帰国したまま帰らぬ夫を待つ哀しみを表現するにとどまりませんでした。東側の客席から、蝶々さんの夫に扮した海軍士官姿のジェフリーが現れたのです。ふたりのデュエットの美しいこと……!試合では見ることのできなかった物語の続きに、客席からすすり泣く声も聞こえました。「蝶々夫人」の筋書き通り、夫は去り、蝶々さんは息絶えるという結末が待っているとはいえ、うれしくも美しいサプライズでした。グランドフィナーレで観客も踊りまくった後は、キャスト全員で「メリー・ポピンズ」を熱演。真央さんとジェフがそれぞれメリー・ポピンズと親友バートの衣装を着ていることもあって、ミュージカルのような大迫力でした。8月の名古屋公演の模様は、9月16日(土)の19時半から日テレプラスで放映される予定です。会場の熱気を味わってみてくださいね。
2017年08月08日“世界最高峰のオーケストラ”ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、首席指揮者・芸術監督サイモン・ラトルとのコンビで、今年11月に東京・川崎公演を行うことが決定した。「ベルリン・フィル来日公演」のチケット情報2016年5月にサントリーホールで行ったベートーヴェン交響曲ツィクルス(全曲演奏)に続く今回は、ラトルが同ポストで来日する最後の日本公演となる(2018年に任期満了で退任)。2002年にベルリン・フィルの首席指揮者・芸術監督に就任して以来、“世界最高峰のオーケストラ”の能力を最大限に引き出すアプローチ、演奏レパートリーの拡大や教育プロジェクトの実施など、その手腕を存分に発揮してきたラトル。11月の来日公演では、これまでの在任期間を振り返るようなベストレパートリーを披露する。15年にわたって蜜月を築き上げてきた偉大なるマエストロと世界最高峰のオーケストラの集大成に期待が高まる。さらに1公演のみ、ソリストとして現代ピアノ界のスーパースター、ラン・ランが出演するのも注目だ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演は、11月23日(木・祝)にミューザ川崎シンフォニーホール、11月24日(金)・25日(土)にサントリーホールで開催。チケットの一般発売は5月27日(土)より開始。また、チケットぴあでは一般発売に先駆け、5月13日(土)より東京公演、5月18日(木)より川崎公演の先行販売を実施する。◆TDKオーケストラコンサート2017ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演指揮 サイモン・ラトル【日程・会場】11月23日(木・祝) ミューザ川崎シンフォニーホール [プログラム(1)]11月24日(金) サントリーホール 大ホール [プログラム(2)]11月25日(土) サントリーホール 大ホール [プログラム(1)]【出演】ピアノ:ラン・ラン(※11月24日のみ出演)【演奏曲目】<プログラム(1)>ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)陳銀淑(チン・ウンスク):新作 (タイトル未定/ベルリン・フィル委嘱 2017年秋ベルリンにて世界初演予定)ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44<プログラム(2)>R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」 Op.20バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 Sz.95 (ピアノ:ラン・ラン)ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
2017年05月12日13回目を迎える真夏のクラシック音楽祭「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は、首都圏のプロ・オーケストラが一堂に会して競演するという、ありそうだけれどここでしか体験できない音楽祭。3月29日、JR川崎駅前のミューザ川崎で概要の発表会見が開かれた。今年も首都圏の10楽団が中心となり、ミューザ川崎シンフォニーホールを主会場として7月22日(土)から8月11日(金・祝)まで全21公演が行なわれる。キャッチコピーは「気分奏快!」。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」チケット情報音楽祭のオープニングはいきなりシェーンベルク《浄められた夜》とストラヴィンスキー《春の祭典》というスタイリッシュなプログラム(7/22(土)・東京交響楽団)。20世紀を代表するふたりの大作曲家だが、もはやこれらを現代音楽だと感じる人は少ないだろう。それどころか、こんなヴィヴィッドな作品こそクラシック入門にふさわしいはず。官能と興奮で今年の「サマーミューザ」が幕を開ける。チェコの若き巨匠ヤクブ・フルシャが振る祖国の魂、スメタナ《我が祖国》(7/26(水)・東京都交響楽団)と、マエストロ・チョン・ミョンフンによるベートーヴェン(7/27(木)・東京フィルハーモニー交響楽団)というクラシックの王道名曲プロは、マニアも初心者も必聴。日程中盤に組まれた、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子も登場するNHK交響楽団のポップス・プログラム(7/29(土))、名アレンジャーとしても名高い渡辺俊幸が指揮する映画音楽集(8/1(火)・読売日本交響楽団)は、夏フェスらしい肩肘張らない洗練されたお楽しみ。最終週に入って、古楽アプローチを介して名曲の新しい顔を聴かせてくれる鈴木秀美の振るメンデルスゾーンとハイドンは大注目(8/6(日)・神奈川フィルハーモニー管弦楽団)。そして炎のマエストロ小林研一郎の代名詞ともいうべき十八番、ベルリオーズ《幻想交響曲》(8/9(水)・日本フィルハーモニー交響楽団)を聴き逃しては今年の夏が終わらない。フィナーレは秋山和慶&東京交響楽団によるラフマニノフ・プロ(8/11(金・祝))。話題のピアニスト反田恭平がピアノ協奏曲第3番を弾く。他にも特別参加の井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢とゲルギエフ&PMFオーケストラ、久石譲&新日本フィル。川崎市内にキャンパスを置く昭和音楽大学と洗足学園音楽大学のオーケストラ。さらにミューザ川崎のホールアドバイザーを務める、小川典子(ピアノ)、佐山雅弘(ジャズ・ピアノ)、松居直美(オルガン)らの出演などなど、さまざまな趣向の注目公演が目白押しだ。今年の夏も川崎が熱い。取材・文:宮本 明
2017年03月30日ピアニスト・反田恭平にとって2016年は激動の年となった。満場の観客を沸かせた堂々たるデビューリサイタルを皮切りに、演奏会のチケットは続々と完売。テレビ「情熱大陸」に取り上げられ、知名度も全国区に。その一方で、通っていたモスクワ音楽院を中退するという決断もした。今も、ロシアに部屋はあり、師ミハイル・ヴォスクレセンスキーから個人レッスンを受けているというが、反田が大きな分岐点に立っているのは間違いない。反田恭平 コンサート情報「昨年は色々なことがあったので、2年くらい経ったように感じます。『情熱大陸』に出て以来、クラシックファン以外にも『今度、聴きに行きます』と街で声をかけられるようになりました。とても嬉しいですが、その反面、変なことはできないなとも思いますね」と反田は微笑む。今後についてはまだ何も決まっていないそうだが、目下、ポーランドやイタリアに興味があるという。言うまでもなく、ポーランドはショパンの故郷だ。「マズルカにしてもポロネーズにしてもスケルツォにしても、そのリズムが生まれた場所へ行き、言葉や空気を知らなければ、きちんと弾けないと思うんです。そう考えるのはやはり、ロシアでの日々が実り多いものだったから。言語は音楽と密接な関係にあって、たとえばラフマニノフがコンツェルトの2番でも3番でも用いている『ラフマニノフ終止』は、ラフマニノフの名前と同じアクセントになっていたりします。そういうちょっとした知識を持つことで、演奏は全然変わってくるんです」一方、イタリアは、セカンドアルバムの収録地の一つでもある。「一昨年、コンクールでイタリアに行った時に感じましたが、人々が本当に温かくフレンドリー。さすがカンツォーネの国だけあり、セカンドアルバムで共演したアンドレア・バッティストーニ氏からも、オーケストラからも、彼らにしかない歌心を学びました。どこへ行くにしろ、その国でしか体験できないことを吸収したいと考えています」とはいえ、日本での演奏予定も着々と決まっている。4月は佐渡裕指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の特別演奏会で全国ツアーヘ。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。さらに夏には初の全国縦断リサイタルツアーも決定した。「東京での演奏会が多かったので、地方に行くのが楽しみです。佐渡さんには昨年、ラフマニノフの交響曲2番を指揮された際、楽屋にうかがいました。ラフマニノフに必要なパッションを存分にお持ちの方なので、僕もそれに乗っかっていきたいですし、僕のほうでオケを引っ張っていかなければならないところもあると思います。ロシアで学んだことの一つの集大成にしたいですね。夏の演奏会の内容はまだ発表できませんが、これまでとは違う路線も企んでいます」実は、デビュー前から、およそ2年後までのプログラムはなんとなくは決めているという。「なのでブレずに計画通り進みたい反面、攻めていきたいという気持ちも強いです。野望はたくさんあるので、今後を楽しみにしていてください」。取材・文:高橋彩子
2017年03月02日クラシック音楽家の登竜門として、日本で最も歴史と権威のあるコンクールとされる日本音楽コンクール。第85回の今年は688人が参加し、予選から本選まで、2か月近くにわたって腕を競った。作曲、声楽、ピアノ、バイオリン、オーボエ、フルートの6部門の優勝者による受賞者発表演奏会が来年2月に開かれる。ピアノ部門1位の樋口一朗、バイオリン部門1位の戸澤采紀に話を聞いた。日本音楽コンクール受賞者発表演奏会 チケット情報「来年辺りを照準にしていたので、今年は本選に進むと思っていませんでした」と言うのは、樋口。桐朋学園大学に通う20歳だ。「書類に本選の曲としてラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と書いたのも、『この曲で来年は頑張ろう』という気持ちからだったので、3次予選に通ってしまい、慌てて譜読みをして。それが一番大変でした。ラフマニノフは音数が多く、テクニック的にも難しい中で、どう歌うかというところが重要になってきますが、感情をぶつけて歌って弾く曲が好きなので、自分が弾きたいものとマッチしたのかもしれません」実は、協奏曲のソロをフルオーケストラと弾いたのは、このコンクールが初めてだったという。「弾く前まではとても緊張していたのですが、ほしいところでわーっとオーケストラが来てくれますし、指揮の渡邊一正さんが合わせてくださったので、弾いていてとても気持ちよくて。自分の音楽の中に入って弾けたかなと思います」一方、戸澤は、東京藝術大学の附属音楽高校に在学する15歳。「今回のコンクールのために5月初めから準備を始めたので、半年間ほどかけて、ひとつの曲への学びは深まったと思います。結果がついてきたことは素直に嬉しいです」。本選ではシベリウスのバイオリン協奏曲を演奏。「中学生の夏休みに3年間、シベリウスを生んだフィンランドのセミナーに通っていたので、フィンランド特有のスケールの大きな自然や、内に秘めた情熱のようなものを、表現するよう心がけました」バイオリンよりもピアノに魅せられていた幼少期、マーラーの交響曲7番を聴いて「オーケストラで弾きたい」とバイオリンに開眼。前述のセミナーも大きな転機となった。「セミナーの先生から『君に足りないことはリスクを冒すことだ』と言われて。確かにそれまでの私は守りに入っていました。以来、リスクを恐れず、自分が感じたことをその場で皆さんにも伝えることがモットーになっています」演奏会では、樋口はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の2、3楽章、戸澤はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲の1楽章を演奏する。「ドラマ『のだめカンタービレ』で知って憧れた曲です。課題はたくさんありますが、ひとつひとつこなし、感情の全てを込めて弾きたいと考えています」(樋口)「シベリウスと同じで、ただ習ったことを表面的に受け入れるのではなく、自分の表現として、聴いている方にも納得して楽しんでもらえるように演奏したいです」(戸澤)受賞者発表演奏会は2月24日(金)東京オペラシティ コンサートホールにて。取材・文:高橋彩子
2016年12月28日昨年、1996年のサントリーホール・デビューから20周年の節目を迎えたピアニストの及川浩治。新たな一歩となる21年目のシーズンの開幕を告げるリサイタル・ツアーが9月3日の静岡公演でスタートした。9月17日(土)にはサントリーホールでの東京公演を控える。ツアー曲目には、「ロマンティック・ヴィルトゥオーゾ・プログラム」と題する魅力的な名曲が並んでいる。及川浩治 コンサート情報「今回、思っていた以上に『いいプログラムだね』と言ってくださる方が多くて。クラシック音楽ファンの方じゃなくても、聴けばきっとご存知の曲ばかり。好きな作曲家の愛すべき作品たちです」「たとえば《ラ・ヴァルス》は20代の頃によく弾いていた曲。オーケストラ版を意識して、どれだけいっぱい音を入れられるかと弾き手がチャレンジしがちじゃないですか。でも、そういうのは20代の人に任せておけばいい(笑)。今は、付け加える音は最小限にしつつ、実際にオケで聴いた時のイメージで弾きたいと思います。《亡き王女のためのパヴァーヌ》も同じです。もちろんピアノ曲として素敵だけど、オーケストラ版の、少しスローなイメージで。若い頃、あのシンプルな美しさの中で色合いを作り出すのがすごく難しいと感じていたんです。たぶん人前で弾くのは初めてじゃないかな」と、「音色」について語る言葉には、彼の音楽観も象徴されているように感じる。「結局は音なんですよ。自分の音をいかに作るか。でもそれは1音で成り立つものではなくて、ひとつの音と次の音の間に何を感じるか。それが音楽になるんですよね。たぶん死ぬまでそれを追い求めていくんだと思います」プログラムには、ブゾーニ編の《シャコンヌ》や、ラフマニノフ編の《愛の喜び》などの編曲作品が、いわば隠しテーマのように散りばめられている。「好きなんですよ。いろんな楽器のいろんな音楽が弾きたいんです 。ピアノだけじゃなく、指揮者になりたい、テノール歌手になりたいと、とにかく音楽が好きで育ったので」21年目。支えてくれる周囲の人々、そしてなにより、聴衆への感謝の念が強くなっているという。「プロでも学生でも、音を出した瞬間から、誰かに聴かせるのが前提です。聴き手がいて初めて演奏という行為なのです。演奏家の役割は、音楽を皆さんに伝えて、その空気を共有、共感しあうこと。長い年月ステージに立てているということは、それだけ聴きに来てくださっている方がいるということです」取材・文:宮本明
2016年09月09日ブラジル感動の実話を描いた映画『ストリート・オーケストラ』が2016年8月13日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開される。本作は、スラム街の子供たちがクラシック音楽の教育との出会いを通して「エリオポリス交響楽団」を結成し、自身の運命やブラジル社会を変えていった奇跡の実話を映画化したもの。物語は、ブラジルの名門“サンパウロ交響楽団”のオーディションに落選したヴァイオリニストのラエルチが、失意のなかスラム街の学校で音楽教師を務めることから始まる。ある時、ギャングに襲われたラエルチは見事な演奏で彼らを逆襲した。音楽に感動したギャングたちが銃を下したということを聞いた子供たちは、暴力以外に人を変える力があることを知る。しかし、音楽の喜びに気付いた子供たちと、情熱を取り戻したラエルチのもとには、やがて思わぬ事件が待ち受けることになる。監督は、ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞した『セントラル・ステーション』で助監督を務めたセルジオ・マシャード。教師のラエルチ役は、自身もスラム街出身の俳優ラザロ・ハーモスが演じる。映画で流れる、モーツァルト、ブラームス、バッハ、ラフマニノフ、チャイコフキーほか錚々たる作曲家の名曲にも注目だ。【作品情報】『ストリート・オーケストラ』公開日:2016年8月13日(土)より全国順次公開監督・脚本:セルジオ・マシャード出演:ラザロ・ハーモス、カイケ・ジェズース、サンドラ・コルベローニ 特別出演:サンパウロ交響楽団、エリオポリス交響楽団©gullane
2016年06月23日川崎市で毎年夏に行われているイベント『フェスタサマーミューザ KAWASAKI2015』は、2004年7月1日に開館した「ミューザ川崎シンフォニーホール」で開館2年目の2005年から行われている川崎市主催の音楽イベント。2015年は7月25日~8月9日の期間で開催される。サマーロックフェスティバル同様、首都圏で活躍する主要オーケストラや市内の音楽大学などが多数参加し、約2週間にわたって数々のプログラムを実施する、クラシック音楽ファンのためのサマーフェスティバルだ。今回は、11回目の開催となる同イベントの見どころや楽しみ方などを、ミューザ川崎シンフォニーホールのアドバイザーを務め、このイベントに第1回目から参加している、ピアニストの小川典子さんに伺った。○東京交響楽団、N響などが一堂に介する!!まずは、同イベントの醍醐味を「首都圏にあるすべてのオーケストラが短期間にこれだけ一堂に集まるというのはそれだけでもスゴイことです」と話す小川さん。今年のイベントにも、東京交響楽団、NHK交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団など、クラシックファンのみならず聞いたことのある楽団をはじめ、10の団体が参加する。小川さんによると、オーケストラは通常、秋冬に活動が活発になるが、このイベントが始まったことにより、首都圏の参加オーケストラは“熱い”夏を過ごすことになったという。小川さんは「集中した期間内に横並びで、これだけの演奏会が行われるのですから、観客の動員数や反応で各オーケストラの評価の明暗がはっきりしてしまいます。だからもう、どのオーケストラも相当気合を入れて本番に挑んでいるんですよ」と話した。ちなみに、『フェスタサマーミューザ KAWASAKI2015』のオーケストラプログラムのチケットは2,000円から、最も高いS席でも4,000円~6,000円と、通常の公演の半額程度。小川さんが「オーケストラには、良い悪いではなく、それぞれの色や音があります。この機会にぜひ聴き比べてみてください」と語るように、“オーケストラのチケットは高価で手が出にくい”という人にとって、10ものオーケストラをリーズナブルに聴き比べられる絶好の機会だ。○オーケストラと対等に奏でる“コンチェルト”の魅力小川さん自身は8月4日の神奈川フィルハーモニー管弦楽団にピアニストとして参加する。オーケストラと独奏楽器で合奏する形式の“コンチェルト(協奏曲)”の魅力を次のように語る。「コンチェルトは、ピアニストとしては最も華やかな形態です。数ある楽器の中でも、ピアノはオーケストラと対等にやりあうことができる唯一の楽器。片方が旋律を弾いて伴奏するのではなく、音量も大きくできるし、大変名誉なことですね」○リハーサルも公開!?同イベントの他にはないもうひとつの魅力は、当日のリハーサルを公開する公演が多くあること。なんと、本公演のチケットで公開リハーサルまで観ることができるのだ。小川さんは「リハーサルを公開するということは演奏家によってはすごく嫌がる人がいますので、こういう機会はとても珍しいと思います。例えば指揮者が演奏を途中で止めて何か指示を出している風景や、本番前のリラックスした様子、実はふつうの服を着て演奏しているふだんの姿など、そういう小さなことが面白いという観客の方もいらっしゃいます。こういった取り組みから、音楽を身近に感じていただけるとうれしいです」と楽しみ方を提案する。○舞台に上がって音楽鑑賞!また、『フェスタサマーミューザ KAWASAKI2015』では「こどもフェスタ」という、子ども向けのプログラムも用意されている。小川さんはこのプログラムに関わっている中心音楽家のひとり。今年も「イッツ・ア・ピアノワールド」と題した、4歳以上が対象のプログラムを担当する。同プログラムは、子どもたちが舞台に上がって、ピアノの演奏を間近で聴けるというユニークなもの。毎年5・6曲ほどを演奏し、今年はラフマニノフの「狼と赤ずきんちゃん(「音の絵」より)」、エルガーの「威風堂々」、ショパンの「華麗なる大円舞曲」などを予定している。この子ども向けプログラムに関して、立ち上げから関わる小川さんはこう語る。「最初にこのプログラムを始めたころは、子どもが舞台を歩き回ってしまうのではという心配がありました。ただ、いざ始まってみると、子どもたちの反応がとてもよくて。今ではもう小さな子どもも整然と座っていて静かに演奏に聴き入っていて、大人顔負けのマナーです。質問コーナーでもレベルの高い熱心な質問を積極的に発してくれます。舞台に上がれるのは子どもたちだけですので、保護者の方は客席から子どもたちの様子を含めて鑑賞し、本物の音楽に触れ合っていらっしゃいます。このプログラムが夏休みの楽しい思い出になっているようです」。こどもフェスタでは、この他にも「かわさきジュニアオーケストラ」の発表会などが用意されている。○音楽を聴くことで変わる感情の“ステージ”また、小川さんは、生の演奏が情緒に及ぼす効力について、自身の経験を踏まえながら「音楽を聴いてもらう前と後では人間の気持ちの“ステージ”が変わるんですよ。例えば辛いことがあってその話をする。それが生の演奏を間近で聴いた前と後だと、同じ話であっても様子が全然違うんです。音楽を近くで聴くことは、感情や頭のどこかに必ず作用を及ぼすということを、ここ最近、奏者として続けざまに体験しました。音楽によって感情の情緒は変わるんですよ。それが音楽の魅力のひとつですね」と語る。○会場は音楽界の神様が絶賛するほどの音楽ホールなお、小川さんによると、イベントの会場となる『ミューザ川崎シンフォニーホール』は、ヨーロッパで音楽界の神様のように崇められている、ベルリンフィルの芸術監督で指揮者を務めるサイモン・ラトル氏が絶賛するほどの世界有数の音楽ホールという。「とにかく音響がいいんです。演奏家としては、弾いた音が耳に返ってくる音が本当に明瞭で、強い音でも心地よく返ってくるんです。観客の拍手でさえも温かく響いてくる。オーディエンスの側からしても、どの席にいても美しい、いい音で聞こえるという素晴らしいホールです」とその魅力を説明してくれた。そんな場所で、首都圏のオーケストラが奮起して挑む、もはや夏の風物詩と化したクラシック音楽のビッグイベント。クラシックファンはもちろん、興味がありながらもこれまで敷居が高いと感じてなかなか踏み入れられなかった人も、この機会に気軽に参加してみほしい。
2015年07月13日劇中を彩る音楽から、映画の新たな魅力を発見することができる「サウンドトラック」の世界。今年に入ってからだと、『はじまりのうた』、『セッション』のサントラがヒットを記録するなど、サントラへの注目がますます高まりつつある。名作映画の影に名曲あり、といったように、映画を観ているあいだだけじゃなく、日常の生活の中でも映画を彩った楽曲に触れることは、また違った楽しみが見出せるものだ。ここでは、今までにサウンドトラックを手に取ったことがない人や、日ごろ馴染みない人でも、気軽にその世界を楽しめるような、シネマカフェイチオシのサントラを現在公開中の作品の中から紹介する。■『セッション』話題沸騰の“狂気”の音楽映画『セッション』のオリジナルサウンドトラック。発売週にはiTunesMusicStoreにてジャズ・チャートのトップ10圏内にもランクインし、公開前より本作品の取り扱いを開始する劇場もあったほどで、4月最も話題の一枚と言えるだろう。他のジャンルの中でも、特に音楽の占める位置が重要となってくる音楽映画。『セッション』の場合、少し変わった構成のサントラになっている。3つのパートに別れた楽曲群は、登場人物たちがバンドで演奏する楽曲、狂気のレッスンの日々の背後で流れるサウンドトラック、そして主人公とフレッチャーが憧れたであろう黄金期のジャズをイメージした楽曲と、作品の中での時系列に沿った並びではなく、映画の中での音楽の意味付けによってセクションが別れ、それぞれが異なる魅力を放っているのが大きな特徴だ。中でも、最初のパートにおける、本作の原題となった「Whiplash」はもちろん、映画をご覧になった方ならだれでも熱狂するであろう“あの”シーンでの「Caravan」は必聴。■『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『バベル』でアカデミー作曲賞を受賞したグスターボ・サンタオラヤとこれまでタッグを組んでいたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督だが、新作『バードマン、あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』では、パット・メセニーのバンドにも所属するアントニオ・サンチェスを起用。ドラムオンリーで構成されるかなりストイックな楽曲が、劇中で縦横無尽に鳴り響いている。ドラムの音だけと聞くと、少しとっつきにくいのではと思われるかもしれないが、アントニオ・サンチェスのドラムは実に雄弁、時にはメロディアスなまでに豊かなサウンドで劇中を彩っている。『セッション』を観て「ドラムってカッコいい!」と思った方にもぜひおすすめしたいところ。16曲のドラムトラックの後に続くサウンドトラックの後半パートでは、グスタフ・マーラー、チャイコフスキー、ラヴェル、ラフマニノフなどクラシックの楽曲が続く。『バードマン』という映画全体に漂う新しさと、ある種のクラシカルな名作としての風格は、この二つのパートにわかれたサウンドトラックからも十分に感じ取ることができる。クールなドラムに痺れる前半と、うっとりする楽曲が続く後半、それぞれ堪能できる充実の一枚だ。■『ラスト5イヤーズ』ミュージカル映画のサウンドトラックというのは、いままでサントラを聞いたことがないひとにとって入門盤ともいえる一枚も見つけやすいジャンルと言える。『レ・ミゼラブル』や『バーレスク』、『ドリームガールズ』観て、はじめてサントラが欲しいと思ったという方も多くいるのではないだろうか。二人の男女の出会いから別れまでを、それぞれ別の視線で描くミュージカルラブストーリーである『ラスト5イヤーズ』のサウンドトラックは、もし劇中の楽曲にこころを動かされたなら買いの一枚。全編に渡ってこれまでかというほどのキャッチーなメロディとポップソングとしての豊かなアレンジを施された楽曲の数々は、思わず劇中のシーンを思い出しながら躍りだしたくなったり、涙ぐんでしまうようなものばかりだ。二人が辿る時間と、二人が歌うメロディ、それらはもちろん映画の中で効果的に演出が施され、それらがどのように交差し、どんなハーモニーが生まれるのかというのがこの映画では大変重要な意味を持つことになる。はじまりから終わりへ、終わりからはじまりへと交差するこの物語のサウンドトラックは、聞き終わったあとにまた振り出しに戻るような感覚が生まれ、思わずなんども繰り返し聞いてしまうだろう。(text:cinemacafe.net)
2015年05月08日LVMHグループの現代アートミュージアム「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」が10月27日、パリ・ブローニュの森にオープンする。その開館式が20日に開催された。開館式ではLVMHグループ代表のベルナール・アルノー、フランス共和国大統領フランソワ・オランドらが美術館の開館を宣言した。その他、文化・通信大臣フルール・ペルラン、パリ市長のアンヌ・イダルゴ、建物の設計を担当したフランク・ゲーリーなどが式に参加。また、ニコラ・ジェスキエール、カール・ラガーフェルド、J.W.アンダーソン、ラフ・シモンズなどグループのデザイナーや映画監督のソフィア・コッポラ、女優のミシェル・ウィリアムズ、US『VOGUE』編集長のアナ・ウィンター、建築家のピーター・マリノらセレブリティが駆け付けた。式の当日、会場となった美術館の建物は、照明デザイナーのエルヴェ・デコットによるイルミネーションで彩られた。また、オペラ歌手のナタリー・デセーが、チェリストのアンリ・ドマルケットによる演奏と共に、セルゲイ・ラフマニノフ作『ヴォカリーズ』を歌い上げ祝福。その後、オランド大統領が退席すると、会場では美術館に併設されるレストラン「ル・フランク」のディレクター、ジャン=ルイ・ノミコによるディナーがふるまわれた。
2014年10月24日Bunkamuraオーチャードホールの新年を飾る恒例の「東京フィルハーモニー交響楽団 ニューイヤーコンサート」に、日本を代表するピアニスト、小山実稚恵の出演が決定した。「東京フィルハーモニー交響楽団 ニューイヤーコンサート2013」の公演情報本公演は、東京フィルの挂冠名誉指揮者・尾高忠明の指揮で、ヨハン・シュトラウス二世のワルツ「春の声」、ポルカ・シュネル「観光列車」などのニューイヤーの定番曲から、2013年に生誕200年を迎えるヴェルディとワーグナーの作品、フィナーレには「ボレロ」を披露する。会場内では獅子舞が登場するほか、枡酒販売も行われるなど、お正月の雰囲気たっぷりに演出。また公演の最後には、毎回人気のお年玉抽選会も。海外往復航空券や同コンサートでオーケストラを指揮できる(曲目は「ラデツキー行進曲」)指揮権など、豪華なお年玉が当たる。今回出演が決定したピアニスト、小山実稚恵は、チャイコフスキー国際コンクール第3位、ショパン国際ピアノコンクール第4位という、二大コンクール両方で入賞を果たした唯一の日本人ピアニスト。オーチャードホールでは、2006年から2017年まで12年間に及ぶ壮大なリサイタル・シリーズを展開中。本公演では、定評のあるラフマニノフの作品から「パガニーニの主題による狂詩曲」を披露する。「東京フィルハーモニー交響楽団 ニューイヤーコンサート2013」は、2013年1月2日(水)・3日(木)にBunkamuraオーチャードホールで開催。チケットは発売中。
2012年11月14日世界最大規模のクラシック音楽フェスティバル「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」2012年度開催概要の記者発表が、2月16日に東京国際フォーラムで行われた。1995年フランス・ナントで生まれた「ラ・フォル・ジュルネ」は、朝から晩まで複数のホールでコンサートが繰り広げられる、まるでロックフェスのような音楽祭だ。1公演約45分・低価格のチケット料金で、複数のコンサートのハシゴが気軽に可能だ。「クラシック音楽の大衆化」のコンセプトのもと、日本では2005年の初開催以降、ゴールデンウィークの風物詩として定着し、2007年には来場者数100万人を突破するなど、世界最大級の音楽祭に成長を遂げた。「ラ・フォル・ジュルネ」で毎回注目を集めるのが、音楽祭のテーマ。開催8年目の今回は「サクル・リュス」(ロシアの祭典)と銘打ち、グリンカ、ロシア5人組(バラキレフ、キュイ、リムスキー=コルサコフ、ボロディン、ムソルグスキー)、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなどの作品を中心に、19世紀から現代までのロシア音楽の変遷を辿る。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2012」は、5月3日(木・祝)から5日(土・祝)の3日間、東京国際フォーラムで開催。また丸の内周辺エリアでは4月27日(金)よりプレ・イベントを実施する。公演数は約350公演(内有料は約150)を予定。チケットの一般発売は、3月31日(土)10時より。また同じくゴールデンウィーク期間中、東京以外の他4都市での実施も決定。「サクル・リュス」をテーマに、新潟、びわ湖、金沢、鳥栖で開催される。【ラ・フォル・ジュルネ国内開催都市】《東京》期間:4月27日(金)~5月5日(土・祝)会場:東京国際フォーラム/丸の内・周辺エリア《新潟》期間:4月20日(金)~5月6日(日)会場:りゅーとぴあ/新潟市音楽文化会館/燕喜館/旧齋藤家別邸ほか《びわ湖》期間:4月28日(土)~30日(月・祝)会場:びわ湖ホール《金沢》期間:4月28日(土)~5月5日(土・祝)会場:石川県立音楽堂/金沢市アートホール/北陸エリア(福井・石川・富山)《鳥栖》期間:5月5日(土・祝)~6日(日)会場:鳥栖市民文化会館★以下のリンクより「ラ・フォル・ジュルネ」をお気に入り登録して、チケット情報をGETしよう!
2012年02月17日仙台の秋の風物詩『仙台クラシックフェスティバル』。今年は東日本大震災の影響で開催の見送りも検討されていたが、音楽の力で復興を願う人々の熱意で開催が決定。仙台市出身のピアニスト・小山実稚恵、ヴァイオリニストで元仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター・西江辰郎、仙台市長・奥山恵美子が登壇し、7月28日東京都内で記者発表が行われた。『仙台クラシックフェスティバル』は、クラシック音楽をもっと気軽に子どもも大人も初心者も家族そろって楽しめるものにという趣旨で仙台市が2006年に創設。1公演45分~60分、無料公演も多数開催され、仙台市民からは『せんくら』の愛称で親しまれている秋の風物詩で、例年3万人を越える来場者が訪れる。東日本大震災で『せんくら』の会場となるホールも被害を受け開催が危ぶまれていたが、小澤征爾、徳永二男、小山実稚恵、菅英三子を中心にした『せんくら発起人会』と、これまで『せんくら』の趣旨に賛同し出演を重ねた音楽家らから仙台に音楽を届けたいという熱い思いが寄せられ、50組366名の出演が決定(7月28日現在)。アーティスト、市民ボランティア、音楽愛好家などの音楽の力を信じる思いを集結し、『音楽とともに、前へ』をテーマに復興に向けて希望と勇気を感じられる音楽祭として開催される。仙台市出身で世界的に活躍するピアニスト・小山実稚恵は、今年が『せんくら』初出演。東北の被害に口では言い表せられない衝撃を受け、普段の生活ができると言うことの大切さを嫌と言うほど感じたと明かし、「市民が楽しみにしていて、普段の生活プラスアルファの部分で行われていた『せんくら』が今年もできて本当によかった。『せんくら』に駆けつける人たちが、自分のリズムを取り戻せるきっかけになれば」と語った。また、仙台フィルとの共演でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を披露すると発表。「(この曲は)ラフマニノフの復活の気持ちがこもった、(ラフマニノフが)ラフマニノフらしい歩み方を始める事ができた作品なので、復興のこの時にピッタリだと感じた」と演奏にかける思いを語った。新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターであり、2005年3月まで約4年間・仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターを務めた経験を持つ西江辰郎は、被災地はまだまだ大変な状況だと訴え、「元気な僕らが現地に行って希望を持てる演奏をする事で被災者の心が強く保たれるのであれば、参加させていただきたいと強く感じた」と時折、涙に言葉を詰まらせながら語った。西江辰郎は、仙台フィルのメンバーと結成したセレーノ弦楽四重奏団で演奏を披露する。『仙台クラシックフェスティバル2011』は、9月30日(金)から10月2日(日)の3日間、仙台市青年文化センター、エル・パーク仙台での有料公演に加え、地下鉄駅構内や市街地のオープンスペースなどでの無料公演が実施される。チケットは8月18日(木)10:00より、チケットぴあにて発売。
2011年07月29日年末、恵比寿ガーデンシネマの閉館(1月28日(金)まで)を聞いて驚いていたら、新年に入ってまたまたがっかりするニュースが届きましたね。シネセゾン渋谷も、2月27日(日)で閉館することが決まったなんて。いずれも固定ファンが多く、上映作品にも良質なものが多かった映画館だけに、寂しさもひとしおです。ミニ・シアターブームを支え、個人的にもお世話になった映画館だけに極めて残念。ここ数年、日本における「映画」の立ち位置が変わり、映画の観方にも変化があらわれているだけに、各劇場の存続が難しいのは分かっていましたが、やはり映画文化を根底から支える良質な箱が消えていくのを見るのはつらいものですね。いわゆる単館系映画の行く末は、ますます厳しくなりそうです。一方、映画ファンには歓迎したいニュースも。シネコン最大手のTOHOシネマズが、入場料の本格的値下げに踏み切るとか。これも、シネコン競争激化による収入の落ち込みゆえとのことですから、映画業界にしてみれば苦肉の策。決して景気のよい話ではありませんが、これを機に何かが変わればという希望も抱きたくなるものです。と、このように映画をとりまく環境は時代によって変わりつつありますが、いち映画ファンとして常に最も気になっているのは、今年はどんな作品が喜びや驚きをもたらしてくれるかということ。すでに、今年のラインナップが届いていますので、期待に胸を膨らませているところです。個人的に、すでに気になっている作品はいくつもありますが、中でも注目しているのが、この春に集中して公開されるクラシック音楽家たちの伝記もの。年が明けると、毎年ゴールデンウィークに東京国際フォーラムを拠点に行われるクラシック音楽イベント「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」(以下、LFJ)のことで気もそぞろになるのですが、そんな私を刺激しているのが、グスタフ・マーラーとその妻アルマとの夫婦愛を描いた『マーラー 君に捧げるアダージョ』(右上写真)。「LFJ」でも今年のテーマとして取り上げる作曲家のひとりです。マーラーといえば、『ベニスに死す』の主人公はマーラーにインスパイアされているとも言われ、劇中に流れる彼の交響曲第5番第4楽章は、作品を語る上で欠かせないものとなりました。そのほかの映画でも楽曲の引用が多く、映画界との繋がりも強いマーラー。今回の作品を監督したのは『バグダッド・カフェ』でおなじみのパーシー・アドロンとその息子フェリックス・O・アドロン。世紀末のウィーンで、クリムトをはじめとする名だたる芸術家を魅了した時代のミューズ・アルマと、19歳も年下の彼女を妻に持ったマーラーは、どんな関係にあったのか、マーラー夫妻の愛の真実に迫ります。劇中に流れる数々の名曲は、フィンランド出身のエサ=ペッカ・サロネン指揮により、スウェーデン放送交響楽団がわざわざ本作のために演奏。ぜひ、劇場でマーラーの音に包まれながら、2人の愛に浸りたいものです。こちらは、ゴールデンウィーク公開予定ですので、LFJに行ってから観るもよし、観てからLFJに行ってもよしというところですね。そうそう、今年はマーラー生誕150年、没後100年にあたるそうです。さて、フレデリック・ショパンの生誕200年は昨年のこと。LFJ2010のテーマでもあった彼ですが、今年もその熱は続きそう。ジョルジュ・サンドとの熱愛は有名で、交際期間中に数々の名曲を生み出したことでも知られていますが、3月5日(土)公開の『ショパン愛と哀しみの旋律』(左写真)では、喜びだけでなく激しい悲しみさえももたらした愛が、作曲家ショパンに何をもたらしたのか、新たなる視点で描いているとか。ヨーヨー・マ、ヤーヌシュ・オレイニチャク、横山幸雄らが演奏に参加した音楽にも期待です。これら2本の作品からもわかるように、偉大な音楽家の陰には、常に女性の存在があるものです。歴史的な音楽家として知られるようになった彼らの影で、陽が当ることがなかった女性もいます。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(以下、モーツァルト)の実姉マリア・アンナ(愛称ナンネル)もそのひとり。神童として知られた弟と共に、父に連れられてヨーロッパ各地を旅したナンネルも演奏だけでなく、作曲の才能にも恵まれていたと言います。ところが、当時は才能があっても女性が作曲を行うなどということは許されない時代。女性であるというだけで、次第に弟の陰に追いやられることになるのです。そんな彼女が、どのように創作の衝動と情熱を持ち続けたかという点に注目したのが、『ナンネル・モーツァルト哀しみの旅路』(上写真)。弟の生涯を描いた『アマデウス』のインパクトがあまりに強烈だったため、モーツァルト映画はなかなか登場しないだろうなと思っていましたが、こんな変化球がありましたか。その一生について様々な考察がなされているモーツァルトですが、これはファンにとっても新鮮な視点となるのではないでしょうか。近年は特にクラシック音楽系の映画が多く登場しています。セルゲイ・ラフマニノフ、クララ・シューマン、イゴール・ストラヴィンスキー…。遡れば、もっとザクザク登場します。やはり、彼らの数奇に富んだ人生、情熱に正直に生きたそのさまは、極めて興味深いもの。豊かな才能があるがゆえの葛藤も、凡人にはあまりに眩しすぎ。羨ましいなとど言ったなら、あまりに想像力がなさすぎでしょうかね。(text:June Makiguchi)■関連作品:バグダッド・カフェニュー・ディレクターズ版 2009年12月5日よりユーロスペースほか全国順次公開©2008 KINOWELT INTERNATIONAL GmbHショパン 愛と哀しみの旋律 2011年3月5日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開© 2002, A Jerzy Antczak Production, All Rights Reserve.ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 2011年4月、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開© copyright 2010 Les Films Alyneマーラー 君に捧げるアダージョ 2011年G.W.、ユーロスペースほか全国にて順次公開© 2010, Pelemele Film, Cult Film, ARD, BR, ORF, Bioskop Film GmbH■関連記事:あの名作が甦る!『バグダッド・カフェニュー・ディレクターズ版』ポストカードを5名様プレゼント
2011年01月26日優しい曲、ドラマチックな曲、情熱的な曲。20代ビジネスウーマンが選ぶのは?何世紀にもわたって、今なお多くの人に感動を与えるクラシック音楽。決して色あせない美しい旋律は、味わえば味わうほど奥深いものです。オーケストラを舞台としたドラマのヒットや冬季オリンピックのフィギュアスケート競技などで、新たな注目が集まるクラシック音楽について、20代ビジネスウーマン604名に聞いてみました。>>男性編も見るQ.好きなクラシック音楽の作曲家を教えてください。(複数回答)1位ショパン27%2位モーツァルト22%3位ヴィヴァルディ12%3位チャイコフスキー12%3位ベートーヴェン12%■ショパンが好き!その理由は……・「ショパンの曲はピアノできれいに弾けるように努力した思い出があります」(23歳/金融/金融系専門職)・「『ピアノの詩人』と言われるだけあって、ピアノで奏でられるメロディに訴えかけてくるものがある」(23歳/商社/財務)・「初めて好きになったクラシックは、幼稚園のときに聴いたショパンの『ノクターン』。今でも好きな曲」(25歳/生保/金融系専門職)■モーツァルトが好き!その理由は……・「モーツァルトの曲を聴くと頭が良くなると聴いたから」(23歳/IT/営業)・「モーツァルトを描いた映画を観て、天才ぶりと華やかな曲が好きになった」(29歳/アパレル/クリエイティブ)・「『レクイエム』という曲を、フィギュアスケートの安藤美姫選手が今期のショートプログラムで使用していた。もともと安藤美姫選手が好きだし、初めて演技を見たときからこの曲が気に入った」(29歳/商社/秘書・アシスタント)■ヴィヴァルディが好き!その理由は……・「母のお腹にいる頃、ヴィヴァルディの『四季』をよく聴いていたと母に教えられたから」(23歳/金融/金融系専門職)・「『四季』の『春』は弾くのも簡単だし、軽やかな春の気分がするので好きです」(24歳/運輸/サービス)■チャイコフスキーが好き!その理由は……・「高校生のときにオーケストラ部に所属しており、1年生のときの定期演奏会でチャイコフスキーの交響曲を演奏した。そのときの全身に鳥肌が立つほどの感動が忘れられない」(23歳/教育関連/サービス)・「小学生のときに習っていたバレエで『くるみ割り人形』をやってから、チャイコフスキーの音楽は大好き」(24歳/旅行/その他)・「ロシアに住んでいたときのピアノの先生がロシア人で、チャイコフスキーをよく弾いていた。暗い曲も多いが、メロディの転調が好き」(27歳/IT/SE)■ベートーヴェンが好き!その理由は……・「好きになったきっかけは誕生日が同じということ。才能というよりは努力型なところが好き。幼い頃からずっとピアノを習っていて、高校3年生のときの発表会でやめることになったとき、先生が私に選んでくれた最後の曲はベートーヴェンのピアノソナタ『熱情』でした」(23歳/ホテル/サービス)・「幼稚園のときに『交響曲第9番』をドイツ語で合唱してから」(27歳/公益法人/総務)■その他の好きなクラシック音楽の作曲家・ドビュッシー:「ドビュッシー作曲の『アラベスク』をピアノで弾いてから、どの曲も好きになりました」(27歳/医薬品/研究開発)・ラフマニノフ:「ドラマ『のだめカンタービレ』を見て好きになった」(25歳/金融/金融系専門職)総評子どもの頃にピアノを習っていた人が多く回答したせいか、トップのショパンをはじめ、美しいピアノ演奏曲を作り出した作曲家が多く選ばれました。ランキングには入らなかったものの、“旬”の勢いを見せたのは6位のラフマニノフ。映画化されて話題になっている『のだめカンタービレ』で紹介されたことに加え、バンクーバーオリンピックで浅田真央選手がフリー演技の楽曲にラフマニノフの『鐘』を選んだことが追い風となりました。ふとしたきっかけがあれば何度も違う魅力を発見できる、それもクラシック音楽のよさかもしれませんね。(文・藤原のん)調査時期:2010年3月9日~3月18日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:女性604名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク毎日が音楽三昧!さまざまなアーティストの音楽をお得に楽しむ方法【女性編】初めて買ったCDのアーティストランキング【女性編】ハマッた「月9」ドラマランキング完全版(画像などあり)を見る
2010年04月12日映画、ゲーム、ドラマなどで親近感のある曲が人気クラシック音楽は年配の方の音楽、難しい音楽と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、映画やドラマ、CMなどでよく耳にしますし、最近ではバンクーバーオリンピックのフィギュアスケートをきっかけに人気も高まっているようです。そこで20代ビジネスマン216名に、好きなクラシック作曲家を聞いてみました。>>女性編も見るQ.好きなクラシック音楽の作曲家を教えてください。(複数回答)1位ショパン16%2位モーツァルト14%3位ヴィヴァルディ7%3位チャイコフスキー7%3位ベートーヴェン7%■ショパンが好き!その理由は……・「映画『戦場のピアニスト』で使用されている曲を聴いてから好きになった」(23歳/IT/営業)・「『子犬のワルツ』を聴くとすごく落ち着く」(25歳/金融/営業)・「ピアノの音が少し悲しく、ひっそりと流れてくるので、壮大なクラシックより自分に合っている気がします」(28歳/商社/販売)・「ショパンの『幻想即興曲』は、今でも弾けるようになりたい理想の曲です」(24歳/IT/SE)■モーツァルトが好き!その理由は……・「『トルコ行進曲』が初めて好きになったクラシック曲だから」(23歳/マスコミ/営業)・「映画『アマデウス』を観て」(24歳/自動車関連/財務)・「モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』を小学校の音楽会のときに演奏した。練習は本当に苦労したが、最終的には本番でしっかり演奏できたことが印象に残っている」(26歳/繊維/研究開発)■ヴィヴァルディが好き!その理由は……・「ヴィヴァルディ作曲『四季』の協奏曲第1番『春』は気分が明るくなる曲だから好き。ほかの季節についてはあまり聴かれていないようだが、聴いてみる価値はあると思う」(23歳/教育関連/サービス)・「バイオリンを習っていたので、特にヴィヴァルディは好き」(25歳/商社/金融系専門職)■チャイコフスキーが好き!その理由は……・「音楽の授業でチャイコフスキーの曲を聴いたときに、なぜか惹かれた」(24歳/IT/SE)・「コンサートで聴いて鳥肌が立った」(28歳/金融/営業)■ベートーヴェンが好き!その理由は……・「作曲家自身の生き様と『交響曲第9番』の見事な整合性がかっこいい!」(27歳/コンサルティング/マーケティング)・「『交響曲第9番』の歌詞がすごく好きです」(29歳/小売/販売)■その他の好きなクラシック作曲家・ホルスト:「小学校の音楽で『惑星』を聴いてから好きになった」(24歳/旅行/販売)・ラフマニノフ:「ピアニストの辻井伸行さんが弾いているのを聴いて良いと思った」(23歳/印刷/企画開発)総評コメントで多く見られたのが「音楽の授業で聴いて好きになった」というもの。クラシックとの出会いが小学校の音楽室という人は多いようです。さて、ランキングトップは、「ピアノの詩人」ことショパン。ピアノ演奏会で取り上げられることの多いショパンの曲は、オーケストラで演奏される曲よりもぐっと身近な存在のようです。不動の人気のモーツァルトやベートーヴェンは、曲もさることながら彼らの過酷な運命や数奇な人生にも関心が集まりました。(文・藤原のん)調査時期:2010年3月9日~3月18日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:男性216名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク毎日が音楽三昧!さまざまなアーティストの音楽をお得に楽しむ方法【男性編】初めて買ったCDのアーティストランキング【男性編】ハマッた「月9」ドラマランキング完全版(画像などあり)を見る
2010年04月12日