東京都新宿区の「プラスワン飯田橋」を拠点に活動する「折りたたみ傘の修理屋 by折傘ソムリエ外山庫太」は、公式サイトをオープンしました。「折りたたみ傘の修理屋 by折傘ソムリエ外山庫太」 画像6■ワインと傘のソムリエという異色の経歴外山庫太はワインのソムリエでもあり、ワインバーを夜に営業しながら昼間は傘や靴、バッグのリペアサービスを手掛ける異色の経歴の持ち主です。なかでも折りたたみ傘の修理依頼が多いことに着目し、この度専門サイトを立ち上げました。■丁寧な修理で愛着のある傘を長く使える「折りたたみ傘の修理屋 by折傘ソムリエ外山庫太」では、メーカーやブランドを問わず、折りたたみ傘の骨の関節部分やつゆ先、骨全般の破損を、パーツ交換して修理するサービスを提供。細部まで丁寧に直すので修理跡が目立ちません。従来、折りたたみ傘は壊れたら買い替えるものというイメージがありましたが、愛着のある傘を長く使い続けたいという需要は確実にあります。外山氏は「探し求めた最愛の傘を諦めずに使い続けてほしい」と願い、リペアの技術を磨いてきました。画像15画像19特設サイトでは、無料の見積もりを申し込めるフォームを設置。全国から折りたたみ傘の修理を郵送で受け付けています。また、修理可能な条件や料金、申し込みの手順などもQ&A形式でわかりやすく説明しています。東京・飯田橋の店舗でも修理の持ち込みを受け付けており、オンラインと店頭の両面からサービス展開をしていきます。■ものを大切にする文化を未来につなぐ江戸の街は世界でも類を見ないほどのエコな循環社会だったと言われています。傘に限らず、ものを大切に使う文化を未来につなぎたいと思います。そのために、SNSなどを通じて、丁寧に使うコツや修理に関する情報を発信していく予定です。ただし、丁寧に使っていても、壊れてしまうときはあるでしょう。そのような時こそ、修理することで諦めずに使い続けるお手伝いができればと考えております。画像13【店舗情報】・折りたたみ傘の修理屋 by折傘ソムリエ外山庫太 ・折傘ソムリエ飯田橋(公式Xアカント) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月23日今いちばん刺さるおじさん! "半端なエリート"外山暖!株式会社リイド社(所在地:東京都杉並区、代表取締役社長:齊藤哲人)は2024年3月29日(金曜日)に、『半端なエリートの外山と申します。』1巻(吉尾きくよし/太田ぐいや)を刊行いたします。『半端なエリートの外山と申します。』1巻書影俗にリアルにこじらせる【半端なエリート】!外山暖(トヤマダン)39歳。早大(文)卒、一部上場企業係長。一見何の不満も無い人生を歩むように見える彼だが、決して口には出せない悩みが(たくさん)あった…。連載時から反響続々!「果たしてどれだけの人が素直に外山を笑えるか」「ある意味最も卑屈なタワマン文学」「年収1000万とかいう、一番きつい位置」「全ての底辺の敵やなコイツ」旧帝大卒アイドル【学歴の暴力】も履修済み!偏見、諦念、嫉妬に欲情、義憤のフリした承認欲求!【半端なエリート】がこじらせにこじらせる悶絶日常リーマン妄想コメディ、待望の第1巻!!!試し読み第1巻発売告知 : 連載:コミックボーダーコミックボーダー : 著者概要漫画:吉尾きくよしWebを中心に執筆。近作に『スパイニート』(ゆうが舎)他。趣味はキャンプとコスプレ撮影。原作:太田ぐいや脚本家、構成作家、漫画原作者などを半端に掛け持ち。近作に『ばくおん!! 台湾編』『私には5人の毒親がいる』(ともに秋田書店)他。概要書籍名:半端なエリートの外山と申します。出版社:リイド社漫画:吉尾きくよし原作:太田ぐいやページ数:160ページ判型:B6判発売日:2029年3月29日(金)定価:887円(税込)ISBN:978-4-8458-6618-2社名: 株式会社リイド社所在地: 〒166-8560 東京都杉並区高円寺北2-3-2代表: 代表取締役社長齊藤哲人創業: 1960年4月設立: 1974年11月事業内容: 出版事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年03月29日いま一番〝刺さるおじさん〟新連載!株式会社リイド社(所在地:東京都杉並区、代表取締役社長:齊藤哲人)は2023年11月10日(金曜日)に、『半端なエリートの外山と申します。』(吉尾きくよし/太田ぐいや)をコミックボーダーにて連載を開始いたします。偏見、諦念、嫉妬に欲情、義憤のフリした承認欲求!“半端なエリート”がゲスにリアルにこじらせる!いま一番〝刺さるおじさん〟新連載!現代アングラゴシップから戦国時代物まで手広く手がける原作とSNSでも話題の新鋭作家が異色のタッグでお贈りする日常妄想劇、堂々のスタート!連載コミックボーダー11月10日正午12時〜コミックボーダー : ニコニコ静画「水曜日のコミックボーダー」11月15日正午12時〜水曜日のコミックボーダー : pixivコミック「コミックボーダー」11月16日正午12時〜 : ■物語外山暖(とやま だん)、39歳・独身。一部上場大企業で係長の椅子に座る早大卒の彼には、口に出せない悩みがあった…。骨の髄までこじらせた“半端なエリート”JTCアラフォー社員が、ゲスな苦悩にのたうちまわる悶絶リーマン妄想コメディ!■登場人物外山暖(とやまだん)弥子(ヤコ)外山暖(とやまだん)主人公。39歳独身、一部上場企業「二ツ橋ホールディングス」係長。こじらせすぎて美少女の幻覚が見えてしまう。弥子(ヤコ)外山のこじらせが生んだイマジナリー美少女。妄想内では常に傲慢な外山の鼻っ柱を折り、反省を促す。『半端なエリートの外山と申します。』③『半端なエリートの外山と申します。』②『半端なエリートの外山と申します。』①漫画:吉尾きくよしWebを中心に執筆。近作に『スパイニート』(ゆうが舎)他。趣味はキャンプとコスプレ撮影。原作:太田ぐいや脚本家、構成作家、漫画原作者などを半端に掛け持ち。近作に『ばくおん!! 台湾編』『私には5人の毒親がいる』(ともに秋田書店)他。コミックボーダー : 概要作品名:半端なエリートの外山と申します。連載媒体名:コミックボーダー 漫画:吉尾きくよし漫画:太田ぐいや出版社:リイド社連載開始:2023年11月10日(金曜日)正午12時社名: 株式会社リイド社所在地: 〒166-8560 東京都杉並区高円寺北2-3-2代表: 代表取締役社長齊藤哲人創業: 1960年4月設立: 1974年11月事業内容: 出版事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年11月10日都内1館からスタートし、現在全国70館公開目前のヒットとなっている『茶飲友達』よりメイキング動画が公開された。本作は、『ソワレ』の外山文治監督が2013年に摘発された高齢者売春クラブの事件を基に、オリジナル脚本で描いた社会派群像劇。2月4日公開初日初回から連続5回満席ロケットスタートを皮切りに、平日もシニア層を中心に動員数は落ちず、週末は連日満席の大盛況となっている。公開から1か月弱で早くも拡大公開となったTOHOシネマズシャンテでの初日は多くの観客が詰めかけた。渋谷ユーロスペース1館のみの公開から始まった本作だが、3月31日現在で、66館まで公開劇場が拡大している。『茶飲友達』メイキング「Her Family-(岡本玲の想い)」全国での大ヒットを記念して、本作のメイキング動画2種類が到着。「Her Family」は、“岡本玲の想い”と題して、主人公・佐々木マナを演じた岡本さんが撮影時をふり返るインタビューと撮影現場での風景がとらえられている。『茶飲友達』メイキング「My Family」そして「My Family」の映像では、監督が「この映画のコンセプトです」と語るエリック・サティの「あなたが欲しい」(仏題:Je te veux)をBGMに、撮影舞台裏が切り取られている。渡辺哲に演出について説明する外山監督や撮影中に笑顔を見せる岡本さん、そのほかキャスト陣がコメントを寄せる姿、さらに、孤独な高齢者と若者による“擬似家族”をテーマにした本作らしく、若者チームとシニアのティー・ガールズたちが談笑する風景などがおさめられたメイキング映像となっている。『茶飲友達』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:茶飲友達 2023年2月4日渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開©️2022茶飲友達フィルムパートナーズ
2023年04月03日外山啓介が昨年より行なってきたモーツァルト、ベートーヴェン、ショパンの3つのソナタを軸とした「《3つのソナタ》外山啓介 ピアノ・リサイタル」が3月26日に神奈川県立音楽堂にて開催される。「このプログラムはおそらく最後」と語るリサイタルを前に、外山に話を聞いた。モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第12番「葬送」、ショパンのピアノ・ソナタ第2番「葬送」を軸にした今回のプログラム。3人の偉大な作曲家によるソナタの“つながり”に、外山は以前から興味を持っていたという。「モーツァルトの『トルコ行進曲』は、ソナタでありながらソナタ形式ではなく、第1楽章に変奏曲を置くという新しい試みをしています。ベートーヴェンも同様に第1楽章に変奏曲を置いていますが、彼の音楽を語る上で、重要なポイントがピアノという楽器の進化です。私が教えている学生が『ガラケーからスマホくらいの変化』と言っていて『なるほど』と思いましたが(笑)、ベートーヴェンというのは、楽器の進化と共に音楽の幅をものすごく広げた作曲家なんですね。『葬送』は、重いタイトルですが、どこか前向きで、死を哀しみだけでなく、苦しみからの解放のように捉えているところが魅力的だと思います。一方で同じ『葬送』でもショパンのほうが死に対する哀しみや苦しみの重み、エネルギーの大きさを感じます。モーツァルト、ベートーヴェンと比べ、ショパンって『温故知新』、古典への回帰への思いが強いんです。良い意味での折り目の正しさ――きちんと枠があるからこそ、いろんなことが引き立つという魅力を感じさせてくれます。ひと言でクラシックと言っても長い歴史があり、その中で、過去の作曲家にリスペクトを表しつつ、自分なりの新しいものを生み出していくという姿勢に僕自身、感動を覚えていますし、3つのソナタを続けて聴くことで時代が巡っていることの面白さを感じていただければと思います」。ベートーヴェンのソナタとショパンのソナタの間には、ショパンのプレリュード第15番「雨だれ」、「ノクターン第7番」、「第8番」が組み込まれる。「ショパンのソナタが変ロ短調なので、そこにつながるもので始めたくて入れたのですが、『雨だれ』から『ノクターン第7番』へのcis-moll(嬰ハ短調)とDes-dur(変ニ長調)の流れは、今年のプログラムでも一番うまく組めたんじゃないかと思っています。そこから最後のソナタにつながっていく流れもすごく美しいのでぜひ聴いていただきたいです」昨年から行なってきたこちらのプログラムだが「おそらく、今回が最後になる」とのこと。「プログラムって決める時が一番楽しいんです(笑)。このプログラムにも随分苦しめられましたし(苦笑)、同時に救われもしました。これまでの経験を活かした熟成されたプログラムになると思いますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います」。文:黒豆直樹
2023年02月20日日々さまざまなニュースが飛び交っていますが、まもなく公開される話題作『茶飲友達』で取り上げられているのは、高齢者の売春クラブを巡る事件。今回は、センセーショナルな題材としても注目を集めている本作で、主演を務めたこちらの方にお話を伺ってきました。岡本玲さん【映画、ときどき私】 vol. 552高齢者専用の売春クラブで、リーダーを務めるマナを演じている岡本さん。今年でデビューから20年を迎えるなか、映画のみならずテレビや舞台でも幅広い活躍をみせています。そこで、現場の様子や自身を支えてくれる存在、そして30代に入って感じる心境の変化などについて語っていただきました。―今回はワークショップオーディションから始まったということですが、参加しようと思ったのはなぜですか?岡本さん監督である外山(文治)さんの前作『ソワレ』がとても好きだったので、「外山さんが開かれるのであればぜひ」というのがきっかけです。もし、作品とご縁がなかったとしても、ワークショップでいい時間を過ごせたらいいなという思いで受けました。―実際に体験されてみていかがでしたか?岡本さんシニアも若者もごちゃまぜのグループで行われましたが、演技経験者も未経験者も関係なく、ぶつかり合うときは全員本気でした。ただ、2日目に行くのが嫌になるくらい、初日で自分自身とは何かを問われるようなワークショップだったと思います。―行きたくなくなった理由は、自分自身と向き合うのがつらくなったからでしょうか。岡本さんそうですね。私だけではなく、みなさんも実はうまく隠して生きている部分ってあると思うんです。でも、「作られたものではなくて、あなた自身を見たい」と言って諦めずに向き合おうとするのが外山さんですから。しかも、つねにニコニコしていて、相手をえぐってくる瞬間も楽しそう(笑)。ただ、そんな外山さんだからこそ「どんな自分を出しても面白がってくれるんじゃないか」と思えた部分はありました。その後、この役を演じると決まってから、家族に対する私自身の価値観やいままでどう生きてきたかといったことを外山さんに話し、それを台本にも反映していただいています。なので、ワークショップから撮影までの1年間で、いまの自分を受け入れられるようにもなりました。うがった見方をせずに、誠実に向き合おうと思った―なるほど。本作で描かれている高齢者向け売春クラブは、実際にあった事件がもとになっていますが、この題材に関してはどのように感じましたか?岡本さん私はまったく知らなかったので、びっくりしました。特に、私はおじいちゃんとおばあちゃんと暮らして育ったので、その年代の方々に対しては「清廉潔白」というイメージを勝手に作り上げてしまっていたところがありましたから。それだけに、高齢者の方々の性や孤独に関する事実を知って、打ちのめされました。―しかも、日本の映画では“高齢者の性はタブー”のようなところがあるので、そういう意味でも本作への出演は挑戦だったところもあったのではないかなと。岡本さん怖さとかよりも、この出来事とちゃんと向き合おうと思いました。うがった見方をしたり、ショッキングなものだからと面白がったりするのではなく、誠実に台本に取り組みたいという気持ちが強かったです。―過去のインタビューでは、「どんな役でも自分とかけ離れてると思うことはなく、共感しないと演じられない」とお話されていますが、マナにも共感されましたか?岡本さん今回は、逆に近すぎてどう演じたらいいんだろうと感じたほどです。マナは多面性のある女性ですが、わざと作っているわけではなく、彼女なりの愛情や相手にハッピーになってほしいという思いで過ごしているうちにそうなってしまっただけ。隠してはいましたが、私にもそういう部分があるので、そこは似ているのかもしれません。だからこそ、マナを演じることで救われたというか、そういう自分も怖くなくなりました。―つまり、そのままの自分でいいんだと。岡本さんはい、自分で自分を認めるという感覚ですね。人に心を開くことも面白いと思えるようになったので、この役に出会えてよかったです。孤独も悪くないと感じているところもある―この役に限らず、岡本さんは「寂しい」という感情がつねに役作りの根本にあるとか。子どもの頃から抱いているという寂しさの原因はこの作品で追求できましたか?岡本さんそうですね。やっぱり誰もが愛されたいですし、離れていても誰かの記憶の一部になっていたいという気持ちがあると思いますが、そういうものが子ども時代からずっと残っていたんだなと感じました。いまは、そういう自分を受け入れたうえで、どうやって周りの人たちを愛する方向に気持ちを変えていけるか。それによって、自分が成長できるんじゃないかなと考えています。―そして、本作では若者にも高齢者にも共通するテーマとして描かれているのが孤独について。岡本さんも孤独を感じて悩んだり、落ち込んだりした経験はありますか?岡本さんそれもありますね。というか、孤独を感じたことない人なんていないんじゃないですか?仕事でもプライベートでも、切っても切れないものだと思っています。でも、だからこそいま言えるのは、逃げずに向き合ってきてよかったなということです。孤独って得体の知れないもので、そのときによって色も温度も違いますが、それを自分がどうやって手のひらで転がしていけるかというのが大きいのかなと。そういう楽しみ方ができるようになれば、人としても役者としても豊かになれるんじゃないかなと最近思えるようになりました。孤独も悪くないかもしれないと感じているところもあります。―そう思えるようになったのは、どうしてですか?岡本さん年齢を重ねてきたこともありますが、もしかしたらこの職業特有なものかもしれません。というのも、孤独ではない役というのがあまりないので、お芝居を通していろんな孤独を味わっているんですよね。だから、「このタイプの孤独は経験したことがある」と感じて戸惑わなくなったのかなと。しかも、私の場合は自分の孤独もお芝居として消化できるので、それが孤独を楽しめるようになった要因だと思います。今回演じたマナも、自分のコンプレックスや孤独と向き合うきっかけをくれたので、そういう意味でも出会えてよかったです。昔は疑ったり、不安になったりすることも多かった―本作の現場ではシニアの方々がたくさん参加されていますが、人生の先輩から学んだこともありましたか?岡本さんみなさんリハーサルでも本番でも同じお芝居をされないんですけど、それをすごく楽しんでいらっしゃるところがいいなと。すごくキラキラしていましたし、「楽しいというエネルギーに勝るものはない」と感じました。というか、みなさん信じられないくらい本当に元気なんです!でも、たくさんつらい経験をされている方もいらっしゃって、それもエネルギーに変えて乗り越えてきた方たちなのでかっこいいと思いました。佇まいにも表れるものなので、そういうところが素敵ですよね。―確かにそうですね。本作に登場する人たちを見ていて、「正しいことだけが幸せではないのではないか」とも考えさせられましたが、いまの岡本さんにとって幸せな瞬間といえば?岡本さんえー、何だろう。おいしいものを食べている瞬間とか、飼っている2匹の猫たちとベッドで寝ているときですかね(笑)。あとは、『茶飲友達』で出会った役者さんやスタッフさんたちと会っているときです。実は、いまでもすごく仲がよくて、しょっちゅうみんなで集まるんですけど、シーンとする瞬間があっても苦痛じゃない関係になれたのがいいなと思います。―まさに劇中でも描かれている“ファミリー”のような絆が生まれているんですね。岡本さんそう思えるような人たちと出会えたので、若いときの自分に「大丈夫だよ。そのままのあなたでいていいんだよ」と言いたいくらい幸せを感じています。―昔はそう思えない時期もあったということですか?岡本さん若い頃って疑い深かったり、他人と意見が違うだけで怖くなったり、自分から孤独になりがちだったり、みたいなことがあってよく不安に陥っていました。―そういう経験を乗り越えてきたからこそ、いまの喜びをより強く感じられているのですね。岡本さんそうですね。コロナ禍を経たこともありますけど、友達と笑い合ったり、お酒を飲みに行ったりできることとかも、当たり前じゃないんだなと思うようになりました。20年続けてこれた秘訣は、自分のしぶとさ―では、そんな岡本さんのモチベーションを支えているものは何ですか?岡本さんそれは、やっぱり猫ですね。猫バカなので(笑)。小学6年生からお仕事を始めて、高校で上京してきたのですが、真面目すぎたので、東京はずっと戦いの場だと考えて自分を追い詰めていました。でも、一人暮らしを10年したあとに猫を飼い始めてから、オンオフの切り替えができるようになりましたし、もっと気楽でいいんだと思えるようになったんです。おかげで最近は「表情が柔らかくなったね」と言われますし、仕事でもいい意味で肩の力を抜けているような気がしています。「大好きだよ」とか「かわいいね」と口に出して言うことが恥ずかしくなくなったのもあって、素直な感情を出せるようにもなったのかなと。昔はもっとつっぱっていたんだと思いますが、無償の愛を注ぐことができる存在がいるってすごいですね。―いろんな思いを抱えながらやって来たとは思いますが、ついに今年で仕事を始めて20年です。ここまで続けてこれた秘訣について、ご自身ではどう思われていますか?岡本さん私の場合は、「しぶとさ」ですかね。子どものときから、わからないものに対しての探求心がすごく強くて、できないならなぜできないのかというのを突き詰めるのが大好きでした。構造を理解すると飽きちゃうこともあったんですが、お芝居は深すぎてまだまだ理解不能。それがいまでも続けている理由の一つだと思います。あとは、こんな無茶苦茶な私でも、ずっと応援してくださる方がいること。そういう方々がいてくれるというのは、本当にありがたいことだなと改めて感じています。私もみなさんと同じように結婚や仕事に悩んでいる―岡本さんは10代のときから早く30歳になりたかったそうですが、実際になってみて?岡本さん超楽しいです!理想通りではないですし、波もありますけど、「本当に楽しい」と即答できるくらい自分らしくいられています。そう思えるのは多様性の時代になってきたのもあるかもしれませんが、10代や20代の頃は自分をカテゴライズして安心させようとしていたのがいまはカテゴライズしなくていいやと考えるようになったからですね。たとえ認められなくても、「私は私でいいんだな」と。おかげですごく自由だと感じています。―ちなみに、30代にしたいことやいますでにハマっていることはありますか?岡本さんハンドメイドやDIYが好きなので、携帯から離れて趣味の時間をちゃんと楽しみたいなと考えるようになりました。昔だったら、趣味さえも仕事につながるかどうか、ということに重きを置きがちでしたが、いまは自分が楽しんでさえいれば、それが違う形で実を結ぶような気がしています。最近はYouTubeを見ながらテーブルの板を作りましたが、今後は1年くらいかけて本格的な引き出し付きのデスクとかを作れたらいいなと。いまは余計なことは考えずに、自分の時間を純粋に楽しみたいです。―大事なことですね。それでは最後に、岡本さんと同世代のananweb読者にメッセージをお願いします。岡本さん結婚の適齢期だとか、仕事がどうだとか、周りから何だかんだ言われるので、私もみなさんと同じことに悩んでいるところです。実際、30代の女性が読むような記事を読んでは泣いたり、元気や勇気をもらったりして過ごしていますから。なので、「みなさんも1人じゃないよ」というのは伝えたいですね。もし街で私を見かけたら、ぜひ声かけてください。相談にも乗りますので(笑)。みんなで一緒に悩んで、乗り越えていきましょう。インタビューを終えてみて……。子どもの頃から見ていたこともあり、もう30歳というのに驚かされましたが、かわいらしい笑顔は昔のままに、内面は芯のある素敵な大人の女性になっている岡本さん。劇中では、さまざまな表情を繊細に表現し、観る者を釘付けにするような素晴らしい演技を見せているので、ぜひ注目してください。厳しい現実でどう生きるかを考える現代社会が抱える闇をあぶり出すだけでなく、閉塞感が蔓延する時代に誰もが感じている孤独に切り込んでいる本作。幸せとは何か、正義とは何なのか、正解のない問いと向き合うなかで、自分の生き方や未来について考えずにはいられない必見作です。写真・山本嵩(岡本玲)取材、文・志村昌美スタイリスト・森宗大輔ヘアメイク・SHIZUEトップス¥38,000、ロングジレ¥77,000、スカート¥38,500/EZUMi(Ri Design.Ltd 03-6447-1264)、ネックレス(上)¥63,000、ネックレス(中)¥45,000、ネックレス(下)¥27,000、リング(右手)¥21,000、リング(左手)¥23,000、イヤカフ(右耳)¥13,000/ReFaire、イヤカフ(左耳)¥9,000/warmth (全てwarmthルミネ新宿店 03-6304-5994)ストーリーある日、妻に先立たれて孤独に暮らす男がふと目にしたのは、新聞の三行広告に小さく書かれた「茶飲友達、募集」の文字。その正体は、佐々木マナをリーダーとする若者たちが運営している高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」だった。彼らのもとに在籍しているのは、「ティー・ガールズ」と名付けられた65歳以上の女性たち。海千山千のティー・ガールたちをさまざまな事情を抱えた男性たちが買い、マナたちはホテルへの送迎と集金を繰り返していた。孤独を抱える若者と高齢者たちはお互いを“ファミリー”と呼び、大事な存在となっていく。そんななか、高齢者施設に住む老人から救いを求める電話が入るのだった……。胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『茶飲友達』2月4日(金)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開配給:EACHTIME©2022茶飲友達フィルムパートナーズ写真・山本嵩(岡本玲)
2023年02月03日表紙・巻頭特集は『茶飲友達』の外山文治監督と岡本玲さん。センターインタビューは『銀平町シネマブルース』主演の小出恵介。株式会社DOKUSO映画館(所在地:東京都豊島区、代表取締役:⽟井雄⼤)は、2023年2月5日に映画情報フリーマガジン「DOKUSOマガジン ドクソーマガジン vol.17)を発行いたします。DOKUSOマガジン vol.17外山文治監督 × 岡本玲『茶飲友達』表紙・巻頭インタビュー岡本玲を主演に迎え、外山文治監督がオリジナル脚本で手がけた最新作『茶飲友達』。高齢者の“生”と“性”に焦点を当て、世代を問わず、現代人が抱える孤独を見つめた作品だ。ワークショップ・オーディションを経て主人公・マナ役を務めた岡本と、シリアスな題材を独自の手法で映画作品に昇華させた外山監督。本作で初顔合わせとなった二人に話を聞いた。小出恵介『銀平町シネマブルース』センターインタビューある一人の青年を中心に、映画を愛する者たちの人間模様が展開する『銀平町シネマブルース』。崖っぷち状態に陥った小さな映画館が舞台の群像劇だ。人生につまづいてしまった映画青年の近藤を演じた小出恵介は、「映画に育てられてきた」と自身のことを語る。そんな彼に、本作にかけた想いや現場でのエピソードについて話を聞いた。連載コラム毎熊克哉、中田青渚、水石亜飛夢、根矢涼香、花柳のぞみ、ミヤザキタケル、折田侑駿、外山文治監督ら俳優・映画人による好評連載にも注目。【水石亜飛夢】水石亜飛夢の映画ノート福永壮志監督の『リベリアの白い血』を鑑賞。自分たちと関係ない国の話ではないと痛感。福永壮志監督からのコメントも必見です。【中田青渚】中田青渚の大切なひとり時間青春映画の名作『リンダリンダリンダ』を取り上げます。軽い気持ちでバンドに参加した韓国人留学生・ソンに共感する中田さん。実は私も深く考えずに返事をしてしまったことがあって…【ミヤザキタケル & 花柳のぞみ】ミヤザキタケルのミニシアターで会いましょう with 花柳のぞみ”自由な表現”のための新たなスペースとして誕生したミニシアター「シネマハウス大塚」を訪問!【毎熊克哉】毎熊克哉映画と、出会い前回に引き続き、映画との原体験のお話。今回はブルース・リーの名作『燃えよドラゴン』と毎熊さんの出会いについて。【根矢涼香】根矢涼香のひねくれ徘徊記徘徊するには寒すぎる夜、気持ちの余白を求める根矢さんがたどり着いた一本『散歩する植物』をご紹介。【折田侑駿】折田侑駿の映画とお酒の愉快なカンケイ映画とお酒の関係をヨッパライ気味に力説!今回は『日の丸〜寺山修司40年目の挑発〜』を取り上げます。酒席で政治と宗教と野球の話はするべきでないと昔からよく耳にする。しかし昨今、これらが当然のように交わされている場によく出くわすように…【外山文治】外山文治監督の「きとらすばい」ゲスト:板橋駿谷俳優・板橋駿谷の圧倒的な存在感。隆起した筋肉、その眼力、そして熱い芝居、私は何一つ見過ごすことができない。DOKUSOマガジン配布劇場全国135の劇場で配布中。「DOKUSOマガジン」は以下の劇場様のご協力のもと、無料配布しております。なくなり次第終了となりますのでご了承ください。(順不同)■北海道シネマアイリスシネマ・トーラス大黒座ディノスシネマズ室蘭■青森シネマディクト■岩手フォーラム盛岡アートフォーラム盛岡中央映画劇場盛岡ルミエール一関シネプラザ■宮城フォーラム仙台チネ・ラヴィータシネマ・リオーネ古川■秋田御成座AL☆VEシアター supported by 109シネマズ■山形フォーラム山形ソラリスフォーラム東根■福島フォーラム福島まちポレいわき■茨城あまや座土浦セントラルシネマズシネマサンライズ■栃木宇都宮ヒカリ座■群馬シネマテークたかさき前橋シネマハウス高崎電気館■埼玉深谷シネマ川越スカラ座■千葉千葉劇場キネマ旬報シアターサンモールシネマ京成ローザ10■東京新宿武蔵野館新宿シネマカリテK’s cinemaシネマ・ロサ池袋HUMAXシネマズシネスイッチ銀座ユーロスペース渋谷シネクイント下北沢トリウッド高円寺シアターバッカスアップリンク吉祥寺目黒シネマCINEMA Chupki TABATACINEMA NEKO下高井戸シネマポレポレ東中野早稲田松竹シネマヴェーラ渋谷Bunkamuraル・シネマ吉祥寺プラザMorc阿佐ヶ谷ラピュタ阿佐ヶ谷神保町シアターシネマハウス大塚船堀シネパル■神奈川シネマ・ジャック&ベティあつぎのえいがかんkiki横浜シネマリン湘南台シネサロン■新潟シネ・ウインド高田世界館■富山ほとり座■石川シネモンド■福井福井メトロ劇場■長野長野相生座・ロキシー千石劇場トキワ劇場東座岡谷スカラ座東座上田映劇■岐阜CINEXロイヤル劇場■静岡静岡シネ・ギャラリーシネマイーラ静岡東宝会館■愛知大須シネマシネマスコーレ名古屋シネマテーク刈谷日劇名演小劇場■京都出町座京都みなみ会館アップリンク京都京都シネマ福知山シネマ舞鶴八千代館■大阪シネ・リーブル梅田シネマート心斎橋シアターセブン/第七藝術劇場シネ・ヌーヴォプラネットプラスワン■兵庫元町映画館シネ・リーブル神戸塚口サンサン劇場シネ・ピピアCinema KOBEパルシネマしんこうえんkino cinéma 神戸天神神戸映画資料館■鳥取倉吉シネマエポック鳥取シネマ■島根Shimane Cinema ONOZAWA■岡山シネマ・クレール■広島シネマ尾道福山駅前シネマモード呉ポポロシアター横川シネマ■山口シネマ・スクエア 7■香川ホール・ソレイユ■愛媛シネマルナティック■高知高知あたご劇場■福岡福岡中洲大洋映画劇場KBCシネマ1・2kino cinéma天神■佐賀シアターシエマTHEATER ENYA■長崎長崎セントラル劇場■熊本Denkikan本渡第一映劇■大分シネマ5日田リベルテ別府ブルーバード劇場■宮崎宮崎キネマ館シネポート■鹿児島ガーデンズシネマ■沖縄よしもと南の島パニパニシネマ桜坂劇場本件に関する問い合わせ先担当:株式会社DOKUSO映画館 ⽟井TEL:03-5926-6963 / FAX:03-5926-6983MAIL: info@dokuso.co.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年02月03日ピアニストとしてその音楽性を深めながら、デビュー以来継続して行っている全国ツアーで、自分がその時に向き合いたいと心から感じる作品を披露してきた外山啓介。今回彼が選んだのは、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンのソナタを軸にしたプログラム。初めに決まったのは、ベートーヴェンのピアノソナタ第12番「葬送」だったという。「もともとコロナの影響で中止になった公演のプログラムに入れていたのですが、その後、コンサートが少しずつ再開したばかりの頃はまだ弾く気持ちになれず、一度横に置いてありました」外山はこれまでにもたびたびベートーヴェンのピアノソナタをプログラムに入れてきた。このソナタは、古典派からロマン派の過渡期における「扉を開きかけた作品」だと感じるという。「改めて最近、ベートーヴェンの時代の楽器の進化はすごく、それによって和声など音楽の可能性が広がっていったことを感じています。それまでのピアノソナタでは終楽章に重点が置かれていたのが、この葬送は、フィナーレもつかみどころがなく不思議なところがある。サプライズがたくさんある作品です。ベートーヴェンのピアノソナタ全曲を演奏しようという計画はありませんが、死ぬ時に、“あぁ、全部弾いたなぁ”と思えたらいいなとは思っています。今回は、自分の次の扉を開いてみたいという気持ちで取り上げることにしました。ベートーヴェンにとってピアノソナタは大切なジャンルのひとつで、その時の心情をのせた、いわば自分の身代わりのような存在だったのではないかと思います。後世の作曲家にも多大な影響を与えました。絶対に知っていなくては、先に進むことができません」そんなベートーヴェンのソナタに関連させる形で、モーツァルトとショパンのソナタも選んだ。「モーツァルトのピアノソナタ第11番《トルコ行進曲付き》は、1楽章が変奏曲で書かれているところなど、ベートーヴェンの葬送に影響を与えたと言われる作品です。また、ショパンの葬送からは、ベートーヴェンの葬送を意識していることが感じられ、改めて弾いてみると、特に4楽章など指のまわり方がよく似ています。一方で興味深い違いもあります。以前ある方から、国や宗教によって死への価値観が違う、死は全てから救われて苦しみのない世界にいくことだと認識されている地域もある、と聞きました。葬儀の行進にも、行きは暗い音楽、帰りは明るい音楽を奏でる文化があるそうです。今回取り上げるふたつの葬送には、どちらも天国への憧れ、現世の苦しみからの解放という意味があると思います。ただショパンのほうは、解放された先が人間には触れられない天上の出来事、一方のベートーヴェンは、もう少し現世の感覚に近いというか、騒がしさや華やかさがあって、捉え方の違いを感じます」「演奏することを楽しみたいし、みなさんにも楽しんでいただきたい」外山啓介 (c)Yuji Hori後半はそんなショパンの「葬送」につなげる形で調性を意識し、プレリュード「雨だれ」(変ニ長調)、ノクターン第7番Op.27−1(嬰ハ短調)、第8番Op.27−2(変ニ長調)を弾く。「変ロ短調のソナタの前には、平行調で書かれたOp.27-2のノクターンを置きました。もともとこのノクターンはすごく好きな作品。さらに平行調は似て非なるもので、背中あわせのようなところもあります。Op.27のふたつのノクターンの調性的なつながりも気に入っています。プログラミングの可能性は無限大で、逆にある意味すごく難しいのですが、僕は調性につながりのあるものが一番きれいだと感じるのです」マスターピースといわれるショパンの「葬送」については、どう自分の解釈を見つけていったのだろうか。「昔から、何かが燃えさかるようなところのある曲だと感じていました。ただその考えに凝り固まらないよう、一度頭を柔らかくして楽譜を見直してみると、改めていろいろな指示が書かれていると気がついて、とにかくシンプルに、楽譜に誠実に弾いていけばいいと思いました。熱く弾き進める部分と、冷静に、細かい色のニュアンスを表現していく部分をうまく両立させたいですね」今回のプログラムも、弾けば弾くほど難しく感じるようになったという。「自分では、ちょっと弾けるようになったぐらいが一番うまいと思えるものですが(笑)、それから本番で弾くうちあれこれ考えるようになって、葛藤がはじまります。それが昔よりもしんどいのは、ステージで演奏することの重みを一層感じるようになったからかもしれません。でもやはり、演奏することを楽しみたいし、みなさんにも楽しんでいただきたい。だから今回も、新しい可能性を自分で開いていく気持ちで、シンプルにがんばることに心を決めました」恒例となっているサントリーホールでのリサイタルでも、自然体で、今できるベストの音楽を届けたいと語ってくれた。外山啓介ピアノ・リサイタル《モーツァルト~ベートーヴェン~ショパン》9月24日(土) 14:00 開演/13: 15 開場サントリーホールプログラム:モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11 番「トルコ行進曲付き」 イ長調 K.331ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第 12 番「葬送」 変イ長調 op.26ショパン:プレリュード第15 番「雨だれ」 変ニ長調 op.28 15ショ パ ン :ノクターン第 7 番 嬰ハ短調 op.27 1ショパン:ノクターン第8 番 変ニ長調 op.27 2ショパン:ピアノ・ソナタ第2 番「葬送」 変ロ短調 op.35※曲目・曲順等が変更になる場合がございます。取材・文:高坂はる香■チケット情報
2022年09月09日2007年のサントリーホールを完売にして成功させた衝撃的なデビュー公演以来、精力的な活動を続けているピアニスト・外山啓介。このほど、ベートーヴェンのソナタをまとめたソロ・アルバムをリリースし、8月29日(日)にはサントリーホールで『オール・ベートーヴェン ピアノ・リサイタル』を開催する。ベートーヴェンに対する思い、そして、コロナ禍で感じたことをインタビューした。7月28日にリリースしたアルバムには、第21番『ワルトシュタイン』、第8番『悲愴』、第23番『熱情』を収録している。「ベートーヴェンはずっとコンスタントにピアノソナタを書いてきた。弦楽四重奏やシンフォニーなど素晴らしい作品がたくさんあるが、同じぐらいピアノソナタも大切だと思う。いろいろな挑戦が1番から32番まで詰まっている」と外山は話す。その中でもこの3曲を選んだのは「単純に好きだから」というが、「『ワルトシュタイン』は新しい時代の幕開けとなるような、ベートーヴェンにとって大きなソナタの一つだし、『熱情』は中期の一つのゴールになる曲。『悲愴』は、いろいろなことがあるけれど、それでも強く生きていくしかないという前向きなエネルギーを感じる」と魅力を語ってくれた。意外だったのが、アルバムの仕上がりを尋ねたときに「どんなときもそうだが、出来上がったものに対しての“恐怖”がある」と答えたこと。現在、37歳の外山は「もうすぐ40歳。もう若手ではなくて、中堅の域に差し掛かってくる」として、「今後の自分の仕事の展開や、理想を考えると、いい意味で周りからの評価が気になるというか、きちんと自分が登っていけているのか不安に思うようになった」という。しかし、その“恐怖”があるからこそ、「本番がより面白くなった」とも。「何を弾いても《外山啓介》というのは嫌だなと思う。自分がどう弾きたいかではなく、作曲家がどう弾いてほしかったのかを一生懸命考える。自分がピラミッドの頂点に立たないピアニストでありたい」。本来、アルバムも昨夏リリースされる予定で、リサイタルも昨年9月に開催されるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で敢えなく延期となった。この1年間は「一生忘れられない1年になった」と外山は言う。「当たり前のように、観客の皆さんの前で演奏をしてきたが、それが当たり前ではないということ。自分の仕事がどういうものなのか、これからどうしていきたいのか、今まで自分は何をしてきたのか。いろいろと冷静に振り返ることができた」1日も早くコロナ禍の終息を願う一方、一度立ち止まって、思考を深めることができた点においては、プラスだったようだ。「時間ができたので、自分で知っているつもりだったことをもう一度勉強し直したり、演奏に関してもより高みを目指すことができたり、ほかのピアニストの音楽を積極的に聴いたり。本当に忘れることのできない1年だった」本番まで1ヶ月を切った、サントリーホールでの演奏。観客へのメッセージを尋ねると、外山は「特別な時間になると思う。本番でお客様からいただくパワーは本当に大きい。ぜひ、ベートーヴェンのコンサートを作り上げるために、皆様の力を貸していただきたい」と話した。『《ワルトシュタイン》《悲愴》《熱情》〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集』エイベックス・クラシックスAVCL-841223300円(税込)発売中外山啓介 オール・ベートーヴェン ピアノ・リサイタル2021年8月29日(日)14:00開演会場:サントリーホール〈その他のスケジュールはこちら〉取材・文・撮影:五月女菜穂
2021年08月02日及川浩治と外山啓介による初のオンライン・コンサートの配信がいよいよ迫ってきた。チャイコフスキーの「花のワルツ」とベートーヴェンの交響曲第9番(第3・4楽章)を2台ピアノ版でお届けする。収録会場となったのは松尾ホール。ピアノの鍵盤数にちなんだ88名収容という親密な空間で、その響きが多くのアーティストに愛されてきた。2台ピアノによるコンサートの開催も多く、今回の収録にふさわしい会場だと言える。今回のオンライン・コンサートは、収録映像でありながら、LIVE感にこだわって製作された。「第九」の演奏収録はなんとワンテイク。ベートーヴェン後期の作品であり、大編成のオーケストラで演奏される「第九」を、2台のピアノで表現するリスト編曲版は、言うまでもなく難曲だ。より演奏の精度を求めるならば、何度か演奏収録を行い、繋ぎなどの編集を行うという方法もある。しかし2人は、「LIVEだからこその勢いや緊迫感」を映像に反映させることを優先した。第3楽章・第4楽章の間も続けて演奏され、完全無編集の「生のコンサートに限りなく近い音」が映像に収められることとなった。第3楽章での2人の親密な音の交歓は、オーケストラで聴く以上に繊細さを感じさせた。情熱溢れる力強い演奏のイメージが強い及川浩治だが、「及川の魅力は弱音にこそある」と改めて思わせるほど美しい音を聴かせた。外山啓介は、及川の音楽にしっかり寄り添いながら、重厚で堅牢な音を紡いだ。第4楽章に入る瞬間の緊張感は、2台ピアノならではのものだ。冒頭の不協和音は、オーケストラでは圧倒的な迫力で迫ってくるが、2台ピアノではよりスリリングで鋭利な印象が強かった。この瞬間の2人の呼吸をぜひとも感じてほしい。そして、歓喜の主題が流れたとき、これまでに味わったことのない感動があった。ピアノならではの細やかな表現、そして美音で紡がれる耳慣れたメロディが、今までになく新鮮に響き、「第九」の感動を新たにしてくれた。同時に収録された「花のワルツ」は、「第九」の緊張感とは異なり、この曲の愛らしさが感じられる温かみ溢れる演奏となった。また演奏の合間には、2人による特別対談も収録されている。普段は接することのないアーティストの素顔も垣間見られ、貴重な映像となっている。配信は2020年12月26日(土)19:00~開始。※アーカイブ配信もあり
2020年12月22日豊原功補さんと小泉今日子さんの初プロデュース映画『ソワレ』に出演する村上虹郎さんと芋生悠さんに、制作の裏側を聞きました。映画の力に、魂が震える。出逢ったばかりの男女の逃避行。役者を夢見ながらもオレオレ詐欺の片棒を担いでいる岩松翔太と、父親から虐待を受けてきた山下タカラ。苦しみを抱えてもがいていた二人が出逢い、ある事件をきっかけに衝動的な逃避行をはじめたことから、それぞれに「生きる理由」があることを見出していく。豊原功補さんと小泉今日子さんの初プロデュース映画は、ふたりがその才能に惚れ込んだ外山文治監督の繊細な映像表現が、“映画”を観る幸福も味わわせてくれる感動作。芋生悠さんが演じるタカラ役のオーディションは、翔太役の村上虹郎さんも立ち会った。村上:選ぶ側で参加するのは初めてだったので、正直、楽しかったです。タカラは自発的なものがないように見えて、パワーを内包していなきゃいけない難しい役。一緒に演じていて、芋生さんからはそのパワーが強く伝わってきた。芋生:そのときが初対面だったんですけど、純粋に楽しくて。その日、私が最後だった?帰りに村上さんがひと言、「また」って。また会えるかもしれないって嬉しかった。村上:俺が?覚えてない…。全員に言ってたかも(笑)。話、作ってないですか?芋生:作ってないです(笑)。タカラという役は結構大変なシーンもある。そこに引っ張られて壊れてしまうのが怖かったので、撮影では役に入り込むというよりは、タカラに寄り添って一緒に歩けたらいいなと思ってました。村上:翔太は翔太で厳しい状況にあるけど、見ていても辛いシーンはタカラのほうが多いから。芋生:もし自分のせいで撮影が止まったらと、最初は怖かった。でも、監督さんはじめ、みんなが見守ってくれているという信頼関係があったので、私たちは本能のまま、和歌山の土地を走り続ければよかった。村上:俺はクランクインの日に体調壊して、迷惑をかけてしまったけど。どの地方に行っても1~2日はちょっと調子悪いから、今回は2日前に入ってたのに、クランクインがいちばん調子悪いっていう。主演のくせに何してるんだ、俺は。芋生:村上さんがうなだれてる写真が監督さんから送られてきた(笑)。村上:舞台で小泉さんと豊原さんとご一緒したときも、千秋楽に倒れたんですよ。外山監督とは以前短編でご一緒させていただいたことがあって。これは主人公が逃げる作品ですけど、外山監督は何からも逃げずに、丁寧に向き合ってる。ストーリー自体は仕掛けはあるけれども、どんでん返しがあるサスペンスではない。じゃあ、何を観るかっていうと、作家性やキャラクターや、そこに映ってるもの全部。そこに観てくれる人たちの想像力をちょっとお借りしないといけない。僕もそういう映画が大好きですけど、集中力は必要ですよね。芋生:撮影はドキュメンタリータッチと言われていたんですけど、わりと映画的だなって途中で感じてた。村上:二人の感情を影で見せたりとか、ギミックを使うシーンも印象的で、外山さんの新たな一面を知った感じ。“ザ・ソワレ”という幻想的なシーンでは、美術さんをはじめみんなの気合がひときわすごかった。芋生:ソワレはフランス語で「夜会」とか「夜明け前まで」の意味ですよね。でも、このタイトルには、景色も変わらないような暗い道をずっと歩いてきた子たちが、誰かがそばにいることや自分の足でちゃんと歩けるようになることで、景色が変わるというか、違う明日を迎えることができるという意味があるのかなって。今、大変な時代だからこそ、光を見つけられた子たちに勇気づけられる映画になった気がする。村上:確かに俺自身も面白い映画に出合うと、観ながら、俺だったらどうだろうって考える。結果、大事な台詞を聞き逃したりするんだけど。芋生:めちゃわかる。ほんと自分を見つめ直す感じになるよね。村上:ただ、俺はあまり「ソワレ」の意味は意識せずに演じてた。最初はまったく違う仮題が付いていたので、タイトルに託された意味も豊原さんのインタビューで知ったくらい。芋生さんはちゃんと説明されたんだね、プロデューサーのおふた方とよく飲んでるから。芋生:お酒が好きなので(笑)。村上さんはあまり飲まないですよね。村上:だから、俺のほうが付き合い長いのに誘われない。作品には呼んでいただいてるけど(笑)。『ソワレ』故郷の高齢者施設で演劇を教えることになった翔太と、そこで働くタカラ。出逢ったばかりの二人は、ある事件を機に衝動的に逃避行に出る。監督・脚本/外山文治出演/村上虹郎、芋生悠ほか8月28日よりテアトル新宿ほか全国公開。©2020ソワレフィルムパートナーズむらかみ・にじろう1997年3月17日生まれ。主演を務めた河瀬直美監督の『2つ目の窓』(‘14年)で映画デビュー。外山文治監督とは短編『春なれや』(‘17年)で顔を合わせている。映画『佐々木、イン、マイマイン』は11月27日公開。『燃えよ剣』が公開待機中。シャツ 参考価格¥49,000パンツ 参考価格¥67,000(共にMAGLIANO/Diptrics TEL:03・5464・8736)いもう・はるか1997年12月18日生まれ。『バレンタインナイトメア』(‘16年)で映画デビュー。ヒロイン役を務めた映画『#ハンド全力』が公開中。映画『HOKUSAI』が公開待機中。豊原功補演出の『後家安とその妹』(‘19年)では舞台女優としての力量も発揮。イヤリング¥1,880バングル¥2,280リング¥2,680(以上ROOM)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年9月2日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・望月 唯(村上さん)末吉久美子(芋生さん)ヘア&メイク・Yoshikazu Miyamoto(村上さん)YOUCA(芋生さん)取材、文・杉谷伸子(by anan編集部)
2020年08月28日豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回目プロデュース作品『ソワレ』の公開日が8月28日(金)に決定。村上虹郎&芋生悠の逃避行を映した場面写真9点が一挙に解禁された。今回解禁となる場面写真の数々は、翔太(村上虹郎)とタカラ(芋生悠)、2人の様々な表情を切り取ったもの。悲しげな表情で下を向き、切ない感情を強く訴えかけてくる翔太の姿や、強い意思を感じさせる瞳でしっかりと前を見据えるタカラが映し出されている。そのほか、夏祭りに向かう予定だったタカラが浴衣姿のまま、翔太とともに逃避行へと走り、電車に乗って街から離れようとする一瞬や、どこかも分からない街にたどり着き、途方にくれる2人の姿。さらに、タカラの手を強くとり、必死に走り抜ける背後には警官の姿も映し出されている…。2人の間に一体何があったのか、想像をかき立てる逃避行の一部だ。こうした場面写真からは、たった2人で街からも、大人からも逃げ続けなければならない、追い詰められた緊迫感や緊張感が伝わってくる一方で、2人の間には常に一定の距離が置かれ、どことなく気まずい雰囲気が漂っているようでもある。出逢ったばかりであり、決して恋愛関係にあるわけではない2人が、なぜ、逃避行に走ったのか。ありきたりのラブストーリーではなく、それぞれに“生きる理由”があることを発見するまでを描いたひと夏の物語といえそうだ。『ソワレ』は8月28日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ソワレ 2020年晩夏、全国にて公開(C)2020ソワレフィルムパートナーズ
2020年06月18日豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品『ソワレ』が2020年晩夏に公開されることが決定。W主演の村上虹郎と新星・芋生悠をとらえた特報映像とティザービジュアルが解禁された。解禁された特報映像では、翔太(村上さん)とタカラ(芋生さん)の2人が街を駆け抜け、必死に何かから逃げようとする焦燥感あふれる様子や、身を潜めた民家の中で電気もなく、ひっそりとラジオを聞き、虚ろな表情をみせる2人の姿などが切り取られている。背後に映し出される影の世界では、現実の暗い表情とは裏腹に、2人が手を取り合い流れる曲に合わせて体を揺らしているのも印象的だ。ラジオから流れるこの曲は、「How many times did I kiss you ?」というタイトルで、本作の音楽監督であり作曲家・歌手の亀井登志夫と、詩人でアーティストの故・亀井知永子の夫婦による共作。知永子さん闘病の折に、病室のベッドで歌詞を書き上げ、枕元でメロディを作ったそうで、2人が歩んできた道のりをふり返るかのようなラブソングとなっている。知永子さんの最後の作品でもある本楽曲を、外山監督が初めて聞いたとき「もし永遠というものがあるならこういうことをいうのだろうと心が震えました」というほど感激したという。タイトルの“ソワレsoiree”とは、フランス語で「陽が暮れた後の時間」「夜会」、または劇場用語で「夜公演」を意味する。プロデューサーの豊原さんは、本作に対し「誰もが心の奥底に秘める癒えることのない傷や大切な想いを“一夜かぎりのソワレ(夜会)に閉じ込め、次のまた新しい朝を迎え歩き出す」というメッセージを込めたと語る。併せて解禁されたティザービジュアルには、辛い現実から目を逸らすかのように俯いたままの翔太とタカラが、自転車に乗りまさに“逃避行”へと突き進む一瞬が描かれている。2人の逃避行の結末に待ち受けるものは絶望か、それとも希望か?すでに、テアトルシネマグループ全館で劇場毎に雰囲気の違う10カラーの超ティザーチラシ、超特報映像が解禁されていたが、今回、その物語が垣間見える新ビジュアルと特報映像が完成。さらに、本作には岡部たかし、康すおん、塚原大助、花王おさむ、田川可奈美、江口のりこ、石橋けい、山本浩司らといった個性派キャスト陣の出演も明らかとなっている。『ソワレ』は2020年晩夏、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ソワレ 2020年、全国にて公開予定(C)2020ソワレフィルムパートナーズ
2020年05月29日「もっと“嫌われる勇気”を持ってやっていかないといけないなと思ってます」――。豊原功補はそう言って笑みを浮かべる。ここ1年半ほど、何かと芸能界を騒がせている“渦中の人”である。ひとつ何かアクションを起こすたびに――それが純粋に映画や舞台の作品に関することであっても――よくわからない「関係者」のコメントや憶測を伴ったいわゆる“芸能ニュース”として世に拡散されていく。そんなウンザリするような状況にあっても、豊原功補は歩みを止めない。日本の映画界、エンターテインメントの世界を変えるために何ができるか?自らの“志”を実現すべく、何が必要かを考え続け、行動し続ける。現在、和歌山を舞台にした映画で村上虹郎、芋生悠(いもうはるか)をW主演に据えた『ソワレ』の制作にプロデューサーという立場で携わっており、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」にて、本作を支援してくれるサポーターを一般から募集している。そして、本作の制作にあたり、小泉今日子と共に新たに映像プロダクション「新世界合同会社」を設立。「より純度の高い映像作品を追求」(HPより)を目指し、具体的には特定の女優・俳優ありきではなく、作品に最適のキャスティング、コンプライアンスにとらわれ過ぎない自由な映画作りなどを掲げている。俳優としての十分に安定した地位を捨ててまで、多くの“敵”を作りながら、彼は何を変えようとしているのか?どうしたら日本のエンターテイメントのクオリティを上げることができるのか?たっぷりと話を聞いた。作品に携わった経緯「目の前のチャンスを放っておく余裕がない」まずそもそも、なぜ豊原さんと小泉さんが和歌山を舞台に制作される『ソワレ』に関わることになったのか?「きっかけは本当にシンプルです。和歌山を舞台に映画(『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』、『ちょき』など)を作ってきた前田和紀と『わさび』や『春なれや』といった短編映画を作ってきた外山文治監督が新たな映画を和歌山でつくることを考えていて、偶然なんですがウチのスタッフが外山監督と知り合いで、顔を合わせる機会があったんです。それから少しして『一緒にやってもらえませんか?』とお話をいただきまして」。「当時はまだ『新世界合同会社』も存在していませんでした。舞台制作に関しては別の会社(※小泉さんが立ち上げた『株式会社明後日』)でやってましたが、そろそろ映像作品も手掛けてみたいとか、いろんな思いがあった中でちょうどお話をいただいて、これもひとつのきっかけなのかなと、いっそ組織を作って映像制作会社をやってみようとなりました」。「いっそ組織を作って」とさらりと言うが「豊原功補と小泉今日子が映像制作会社をつくる」となると、世間は様々な受け止め方をする。もちろん、Makuakeで支援を募るにあたって、話題を呼ぶという点でポジティブに捉えることもできるが、会社という組織を作って、これまでの映画作りの常識を変えると宣言することは、相当な覚悟が要ったはずだ。「会社を作るということに限らず、何か一歩踏み出そうとすれば、いろんなネガティブなことが頭をよぎりますし、障害が目に見えたりする部分はあります。逆に後押しをいただける部分もあります。ただ、総じて鈍感になっていくといいますか(笑)、目的以外のことはどうでもよくなってくるんですよね」。「あとね、乱暴な言い方ですけど、自分の人生の残りの時間を考えた時に、目の前のチャンスを放っておく余裕がないんです。いまやらなきゃ、本当にやる時間がない。結局、何をやってもプラスとマイナスの側面はついて回るものだし、人間はどうしても自分の経験の中から『あんなことになったらどうしよう?』『こんなこと言われるんじゃないか?』って過去の嫌な思い出に自分を縛り付けちゃうんですよね。でも、実際にそうなるとは限らないし、映画なんて作ってみなくちゃわかんないですから。ネガティブな感情がつい付きまとうけど、それを上回るポジティブな思いを抱いてからこそ、踏み出せたのかなと思いますね」変わりゆく日本映画「景色が変わってきている」実際に足を踏み出してみた結果は「いろんな意味で予想通りでした」とのこと。「ポジティブなこともネガティブなことも思っていた通りに両方、やってきましたね。ただ、どんなことでもそうなんでしょうけど、ポジティブな面や喜びって見えづらいし、後からやって来るものなんですよ。まずはネガティブな面がどんどん押し寄せてくるものなので(苦笑)、そこでいかに挫けずに立っていられるか。感情面もそうですし、実際の制作プロダクションという仕事の大変さは本当に予想以上の大変さで、『これだけのことが押し寄せてくるのか!』と挫けそうになりましたが、もう走り出しているわけですから、逃げ出すわけにはいかないんでね。『しょうがない』という気持ちで(笑)、やってます!」繰り返しになるが、この1本の映画『ソワレ』を完成させ、世に送り出すことがゴールであるなら、わざわざ「会社」を作って、“敵”を増やす必要はない。この1本だけではない、“先”を見すえているからこそ、こういう形を選んだのだ。「こうやって取材を受けて、ご質問をいただくことで、改めて対峙すべきことが明確になった気がします。いや、“敵”という言葉をあんまり使うと叱られそうですけど(笑)、(会社組織にしたことで)そういう対象がよりハッキリ見えるようになったのかなと思います」。「映画というのは大きくて歴史の長い、世界的なマーケットです。現状、いま、日本の映画界が何か大問題を抱えて映画が作れないような状況かと言うとそうではないし、動員数だって伸びているという話もあるわけです」。「でも、『日本映画』に限って捉えると、僕が俳優を始めた10代の頃、もう30~40年前の時代にワクワクしながら背伸びして、大人の世界を覗き見ていた時代とは、ずいぶんと景色が変わってきているということは感じていました」。「(映画のターゲットとなる)対象が若いというか、1人よりも2人、2人よりも3人、4人、5人で見に来られるような内容を目指している作品が大部分で、そうなると最大公約数的な映画というか“簡単な映画”になってしまうのは必然ですよね。自分のような人間が楽しめるような映画が確実に減っているんです」。苦難の道を選んでも歩みを止めない理由観客の減少に伴い、かつて隆盛を誇ったミニシアターが次々と閉鎖されていく。映画が巨大なシネコンに集約されるようになり、そこでは初動の数字で「入らない」と判断された映画は容赦なく切られていく。数字の読めないオリジナル脚本の映画は敬遠され、数字の見込める人気原作の映画化、旬の人気俳優ありきのキャスティングの作品が幅を利かせるようになったのはまぎれもない事実。「そうなるともう、小さな映画はどこで上映されているかという情報すらままならなくなって、そんな映画は『存在しない』ものになってしまうんです。俳優のモチベーションも下がるし、作り手も夢が持てなくなってきている」。「そういう映画界の一面を目の当たりにしてきて、おこがましいんですが、僕だったり小泉だったりという、世間の耳目を集めるであろう人間が動くことで、何かが変わったらいいなと。なれるのであれば“人柱”でも いいので、何か少しでも変えていけたらという思いです」。「さっきも言いましたけど、この歳になると、そういうことができる時間って限られてるんですよ。若かったらまた違った方法があったかもしれない。 『あと何年、身体がバリバリ言うこと聞くのか? 脳が立派に働いてくれるのか?』って考えると、いましかない。ネガティブな部分を含めてでもいいから、(自分たちの行動が)何かしら気に留めてもらえたらいいなと。そりゃみんな、家族がいたり、上司や部下がいたら、簡単にはハミ出さないですよ。物事は簡単に変わらない――それは今回、本当に実感してます(苦笑)。でも、僕らの思いの10歩、20歩先、1年か2年先に『あんなこと、できるかも』という可能性を残すことができたらと思っています」。「昨今、芸能プロダクションと所属俳優の問題だったり、政治やスポーツの世界のいろんな問題の所在が露わになってきてますよね?YouTubeやSNSというツールが一般化されたことで、可視化されるような部分もある。ちょっと乱暴過ぎるきらいはありますけど。そうやって『あの業界も変わったらしいよ』というひとつひとつの『点』が結びついて、やがて大きな変革につながっていくかもしれない。そのひとつの『点』になれればと思います」。【後編に続く】映画『ソワレ』Makuakeクラウドファンディングは9月27日(金)まで実施中。(text / photo:Naoki Kurozu)
2019年09月24日俳優の豊原功補と女優の小泉今日子が立ち上げた制作会社の初プロデュース作品で、村上虹郎・芋生悠が主演する映画『ソワレ』。現在、その制作応援サポーターを募集するクラウドファウンディングがMakuakeにて実施されている。2020年秋公開を目指す和歌山県を舞台にした『ソワレ』のサポーターを募集するための本プロジェクト。『ソワレ』は短編映画『春なれや』の外山文治監督作品で、村上虹郎・芋生悠主演、若きふたりの逃避行を追ったロードムービー。豊原氏、小泉氏ら数人で昨年立ち上げた、映画製作会社「新世界合同会社」の第1作目の作品となる。支援枠は3,000円~50万円まで。本プロジェクトを支援したサポーターには、ロケ地・和歌山や東京で行われる試写会に参加できる権利や、ホームページ/映画エンドロールへの名前記載、豊原氏・小泉氏によるクリエイターズトークイベントへの参加権など、様々なリターンが用意され、集まった資金は製作費およびPA(プリント+広告)費として活用していくという。豊原功補&小泉今日子、初プロデュース作に込めた映画業界への思いとは…我々は、もとより日本映画の興行システムにおける大小の差に疑問を感じておりました。よく耳にし、実感としても伴っていたのはオリジナル脚本の企画の通りづらさ、また、キャスティングにおける発想の自由度の狭さです。映画事業、ビジネスといったところをからすれば、国内でのヒットとその中での製作と回収を考えることは至極当然のことなのでしょうが、そこで後回しになるのは国内のみの需要にとどまらぬ作品の質の追求や、認知優先ではない本当に役柄に適したキャスティングの追求なのでないかと思うところがあります。しかし、独自性を打ち出し、自由度を求める企画にはなかなか資金が集まりません。結果インディペンデントの精神を持ちながら小さな映画を目指すことになります。決して悪いことではありません。目指すべき映画を作り公開して観ていただくという点では、映画作りをしている者すべてなんら変わりはありません。ただ、これからはもっとアジアや世界に広がる独自性と作家性を感じる作品を、日本のいろんな映画館でたくさんの方に観てもらえる環境になればと思うのです。日本には本当に優れた俳優や監督、技術スタッフがたくさん存在します。その一人一人にもっと多くの創造する機会、場所を作り、色とりどりの新たな映画が生まれることを願い、はじめの一歩を踏み出してみました。初プロデュースは初めて知り得ること、困難の連続を思い知りながらの日々となることとは思いますが、覚悟を持って、精一杯頑張ります。注目の若手俳優2人のキャスティング理由主人公の翔太役には、瞬時に村上虹郎くんの姿が浮かびました。外山監督とも『春なれや』という短編で組んでいた経験もあり、彼の内面から発する危うげながらも繊細かつ熱量のある躍動感はこの役に不可欠だと感じました。タカラ役の芋生悠さんは100人を超すオーデションからの抜擢となりました。監督が台本を書き上げる上で想像力を膨らませる大きな要因ともなったようです。今作の直前に作・演出した舞台での仕事が初の顔合わせでしたが、彼女の瞳の奥にある儚くも憂いのある光と、大きく飛躍する演技への底力をとても強く感じました。この二人でしか作り得ない時間が生まれるだろうととても期待しています。ストーリー東京で役者を目指す翔太は、噛み合わぬ実人生に自分を見失いそうな日々の中にいた。そんな中、小さな劇団のツテから、演劇を通したレクリエーションを行うために向かった先は、故郷の和歌山にある老人養護施設。終の住処になるであろうその施設に住む老人たちの中で、自分と変わらぬ年若いタカラは働いていたが、彼女は何か失い切って諦めたように佇んでいた。数日後、一緒に祭りに行こうと誘ったタカラを迎えに行った翔太は、そこで驚くべき光景を目にし、2人は事件を起こしてしまう。タカラの手を取り駆け出した翔太。そして2人は“かけおち”とも呼べる逃避行の旅を始めることになる――。『ソワレ』は2020年秋、全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2019年07月30日世代随一の実力派・村上虹郎を主演に、インディーズ映画で最注目の新星・芋生悠をヒロインに迎えた映画『ソワレ』が始動。豊原功補、小泉今日子らによる「新世界合同会社」が初プロデュースを手掛ける。本作は、役者を目指し上京した若者・岩松翔太が、生まれ育った海辺の街の高齢者施設で演劇を教えることになり、そこで働く山下タカラと、ある事件をきっかけに先の見えない逃避行を始める――というストーリー。主人公の翔太を演じるのは、外山文治監督とは短編映画『春なれや』以来二度目のタッグとなる村上虹郎。また、同じくタカラはインディーズ映画界の新星・芋生悠(いもうはるか)が100人以上のオーディションから大抜擢。地元住民らでつくる「御坊日高映画プロジェクト実行委員」らのサポートで7月5日にクランクイン、7月末にアップ、そして秋の完成を目指していく。短編『此の岸のこと』(’10)が「モナコ国際映画祭2011」で最優秀作品賞など5冠を達成し、長編デビューとなった『燦燦―さんさん―』(’13)で「モントリオール世界映画祭2014」から正式招待を受けた外山文治監督が、和歌山市出身のプロデューサー・前田和紀氏の依頼で幾度となく和歌山を訪れ、オリジナル台本を執筆、当地の名所・道成寺にまつわる「安珍清姫伝説」なども取り込み、夏の御坊市、日高エリア、そして和歌山市を横断するロケを敢行する。タイトルの“ソワレsoiree”とはフランス語で「陽が暮れた後の時間」「夜会」、または劇場用語で「夜公演」のこと。本作に関してプロデューサーの豊原氏は「誰もが心の奥底に秘める癒えることのない傷や大切な想いを“一夜かぎりのソワレ(夜会)に閉じ込め、次のまた新しい朝を迎え歩き出す」というメッセージがあると本作への意気込みを語っている。また、撮影中の7月18日よりMakuakeによるクラウドファウンディングがスタート。現場のリポートや動画、和歌山情報などを発信しながら、この映画のサポーターを募っていきたいという。村上さんは既にインスタグラムのフォロワーが17万人。彼の発する言動やビジュアル、関わる作品は多くの人々の関心の中にあり、芋生さんはインディーズ映画を中心に活動しているが、彼女の将来に期待を寄せる人はこれからも増えていくはず。そして外山監督は、まだ三十代ながら『此の岸のこと』『春なれや』『わさび』など短編集の上演はユーロスペース動員数で記録を出すほど。海外での受賞経験もあり、その才能は少しずつ認知されてきている。この若き表現者たちを見守り、育てることもクラウドファンディングの意味を広げていくことになる。豊原功補:プロデューサーコメント外山監督の人の営みに対する深い観察眼を感じさせる『此の岸のこと』に強い感動を覚え、その時からすでに何かに導かれるように新世界の立ち上げ、プロデュースへと至った気がします。唸るような繊細さと躍動を併せ持つ村上虹郎、儚げでありつつも芯のある瞳の奥へと惹きつける芋生悠、この二人の疾走する生命の瞬間を捉えさせたらどうなるのかと、とても胸がざわつく思いです。その構図の力強い背景となる和歌山と我々を繋げてくださった前田プロデューサー、そして全スタッフとともに、新しい扉を開くべくこの映画に挑みます。たくさんの人々の心に届けばと願っています。クラウドファンドの実施も決定し、広く皆様のご参加を募ります。応援宜しくお願い致します。小泉今日子:アソシエイトプロデューサーコメント『此の岸のこと』に感銘を受け、僭越ながら外山文治監督の存在を世に知らしめたいと思った。その思いが長年の夢だった映像作品のプロデュースという挑戦へと背中を押してくれました。縁も所縁もない和歌山県と我々を引き合わせてくれたもう1人のプロデューサー前田和紀さん(和歌山県出身)と共に全力でこの夏を駆け抜けたいと思っています。村上虹郎さんと芋生悠さん。実存と幻想を行き来するような2人の眼差しや透明感はいつか失われるかもしれない儚さの元に醸し出されるものかもしれません。そんな今の2人をそのままこの映画に閉じ込められたらと思います。主人公・岩松翔太役/村上虹郎コメント皆さまお元気ですか村上です。待望の外山監督長編作です。きっと僕等が体感したことのない色やリズムによって未知なる感情とその旋律に出逢えることと予言致します。乞うご期待。主人公・タカラ役/芋生悠コメントソワレの主演をやるということは自分の人生においても大きな出来事になると感じています。W主演の村上虹郎さんは、目の前にするとより一層凄みを感じます。絶対にこの人には嘘をつきたくないと思う何かがあります。心を裸に。一緒に演じられるのが楽しみです。監督の外山文治さんは、リアルにそこに存在するかのような人物を描き確かに映画にされます。ソワレは現実と映画の結びつきの核みたいな存在になるんじゃないかと。台本から読み取った愛を信じて監督ついて行きたいです。そしてプロデューサーの豊原功補さん小泉今日子さんへの信頼もあり、いい環境の中で映画がつくれることに感謝しています。ソワレの未来は何も見えないですが、今は今ここにある全てを捧げられたらと。和歌山の土地のエネルギーと現地の皆様のお力添えをお借りして最後まで生き抜きます。脚本・監督/外山文治コメントこれまで流行に背を向けて、「生活者」の心の在りようを撮り続けてきました。時代が大きく変化し、作品主義・作家主義を今いちど掲げられる時に、この度の機会とご縁を頂くことができましたことを大変嬉しく思います。舞台となる和歌山県の魅力と、村上虹郎と芋生悠という若いふたりの放熱を余すところなく撮ることを約束し、プロデューサー陣の志を羅針盤に、ささやかながらも一石を投じるような骨太な映画を目指して歩を進める所存です。『ソワレ』は2020年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年07月04日2月1日(金)に東京・サントリーホールで、“競演”するピアニスト・外山啓介とチェリスト・辻本玲。大学の同級生であり、今やクラシック音楽界に欠かせない存在となったふたりが同じステージに立つのは、2012年ザ・シンフォニーホール(大阪)公演以来となる。演奏曲は、ショパンのピアノ協奏曲第1番とエルガーのチェロ協奏曲。公演を前にして、演奏するふたりにコンサートへの想いを聞いた。【チケット情報はこちら】ロマン派を代表する協奏曲のひとつである《ショパン ピアノ協奏曲第1番》。「ショパンの若い時の作品だけど、技術的な部分や旋律の美しさなど、その後のショパンの作品の基となるものがすべて詰まっている曲」と外山は語る。しかし、ロマンティックなイメージだけでは、この曲を弾くことはできないという。「もちろんロマン派の時代なので、例えば21連符や27連符とか出てきて、割り切れない部分が多くて合わせるのは難しい。しかし忘れてはいけないのは、ショパンは古典というものをとても強く意識している作曲家だということ。きらびやかなイメージだけで〈自分で歌おう〉とするのではなく、そこにある音を素直に表現しなさい、と教えられたことがある。だから、生み出そうとするというより、〈曲の中に入り込んでいく〉という感覚を持って演奏したいと思う」意外にもこの曲を弾くのは久々で、自分でも演奏が楽しみとのことだ。昨年日本ショパン協会賞を受賞し、充実の時を迎えている外山が改めて弾く、至高のコンチェルトに期待したい。一方、《エルガー チェロ協奏曲》について、辻本は次のように語った。「ジャクリーヌ・デュ・プレの名演が有名なため、なんとなく女性が演奏するイメージが強いけれど、それだけではない。第3楽章などはとても男性的。エルガーは非常に愛妻家で、この曲を作ってから間もなく奥さんが亡くなってしまうけれど、すでにそれを予期していたかのような、過去と未来を見つめながら人生を辿っているようなイメージがある。情熱的な部分と抒情的な部分を併せ持つ素晴らしい曲なので、ぜひ聴きにきてほしい」辻本がこの曲でプロのオーケストラと共演するのは初。力強く、表情豊かに歌う辻本のチェロが、いかにこの劇的な名曲を描くのか。チェロ・ファン必聴の演奏になるに違いない。公演は2月1日(金)東京・サントリーホールにて。チケットは発売中。
2019年01月16日シャンデリア・アーティストのキム・ソンヘ(Kim Songhe)と、空間デザインなどを手がける「アトリエ マティック(ATELIER matic)」の外山翔が、展覧会「二人展 Moral tone」を開催。東京・青山のギャラリー ミュベール(GALLERY MUVEIL)にて、が9月8日から30日まで行われる。昨年11月に行われた「二人展 As it is」にて各方面から高い評価を得たことから、第2回の開催が決定した同展。キム・ソンヘは国内外の企業やブランドへ作品提供する、空間ディスプレイやプロダクトデザインなどを手掛けるシャンデリア・アーティスト。2016年に『TROPHY』を発刊、ラフォーレ原宿で展覧会「トロフィー」を開催し、高い評価を得た。外山翔は、ドライフラワー専門店「EW.Pharmacy」やPARCOのウィンドウディスプレイなどを手掛ける空間デザイナー。アクリルや樹脂を使用したアートピースや、光を使用した空間インスタレーションなど実験的な作品を作り続ける傍ら、展示会の会場構成や店舗什器デザインなど数多くのデザイン業務も平行して行っている。同展では、ミュベールの2018秋冬コレクションのテーマ「LADIES and GENTLEMAN」を元に、1940年代に活躍した女優リザベス・スコット(Lizabeth Scott)の銀幕世界に漂う“エレガンス”さを、進化する二人のアーティストがテーマを汲み取り、それぞれのアートピースとして作品を発表。二人の“moral tone(気品・風格)” 溢れる作品作りを間近で感じることができる。『私たちに映る世界』キム・ソンヘキム・ソンヘは、廃材などのパーツをミラーコティングし、雲のような柔らかい提灯で包んだ作品「私たちに映る世界」を披露。見たくないものも際限なく情報として入る現代で、「何かのせいにせず、自分から目を逸らさないで」という思いと同時に、「人々をふんわりと包み込み、人々が強く優しく生きられるように」という願いを作品に投影した。『未完・無垢』外山翔一方、外山翔は新たに挑戦するアクリル作品に加え、大理石を加工したアートピースを発表する。外山自ら石を選定し、誰もが見たことのあるような石から中々流通しないものまでを使用。その石の魅力を最大限に引き出すため時に表面を磨き上げ、時には無骨な部分を残し、石の持つ美しさや力強さを表現した。またアクリルオブジェ作品では、アンティークパーツを入れ込むことで時間や歴史を閉じ込め、“美しさと時を止めること”を表現。新たな命を吹き込むというモノづくりを披露した。昨年から更に進化した作品に加え、アクリルに閉じ込めた中の世界と、外の世界との繋がりをテーマにした作品を披露する。Tシャツ 7,800円 レディース・メンズそれぞれ FREEサイズのみ展開 カラー:White、Blackさらに、同展の開催に合わせ、ミュベール限定のアイテムが登場。ミュベールと同展のテーマであるリザベス・スコットを2人のアーティストがそれぞれに解釈し作品を展開することから、キム・ソンヘのテーマである「鏡」、外山の「アクリル」や「動物」、「小人」と「リンゴ」などから、大いなる別れのアニメーション映画『白雪姫』と結びつけ、インスパイアされたTシャツを展開する。その他、キュートなチャーム(3,800円)も限定アイテムとして発売される。会期中には、キム・ソンヘによるワークショップも開催。「もっと自分を褒めてあげて!」という気持ちを込めて、自分自身に送るトロフィーを制作。今回の展示のメインであるミラーをパーツとして使用し、アソートで自分好みのトロフィーを作ることができる。【イベント情報】二人展 EXHIBITION 「Moral tone」Kim Songhe & Sho Sotoyama (ATELIER matic)会期:9月8日〜9月30日会場:GALLERY MUVIL住所:東京都港区南青山5-12-24 シャトー東洋南青山B1F時間:11:30~20:00キム・ソンヘ ワークショップ「トロフィー」会期:9月16日時間:①13:00~ ②15:00~ ③17:00~ ※各回、定員8名 / 所要時間1時程度 料金:4,500円(材料費込み)
2018年08月27日ミュベール(MUVEIL)は、シャンデリアアーティストのキム・ソンヘとディスプレイデザインなどを手掛けるアトリエ マティック(ATELIER matic)の外山翔による「二人展」を、ギャラリー ミュベールにて開催。会期は2018年9月8日(土)から9月30日(日)まで。2018年秋冬コレクションに着想したアート展示2017年の作品展「As it is」が好評を博し、2018年も開催することとなった「二人展」。キム・ソンヘと外山翔の2人が、女優リザベル・スコットをモチーフとしたミュベール2018年秋冬コレクションを再解釈し完成させた、"気品・風格(moral tone)"溢れるアート作品を展示する。キム・ソンヘ「私たちに映る世界」2015年ラフォーレ原宿での展覧会「トロフィー」が人気を博したシャンデリアアーティストのキム・ソンヘは、廃材などのパーツをミラーコーティングした「私たちに映る世界」を制作。雲のように柔らかい提灯の光で包み込むことにより、現代社会を生きる人々が強く優しく生きられるようにというメッセージを込めている。外山翔「未完・無垢」ドライフラワー専門店「EW.Pharmacy」の空間デザインや、パルコのウィンドウディスプレイデザインなどを手掛けるアトリエ マティックの外山翔は、アクリルや大理石を用いたアートピース「未完・無垢」を展示。シャネルのアンティーク香水瓶を閉じ込めたアクリルオブジェ作品などを並べる。「二人展」限定Tシャツ「二人展」の開催を記念し、「白雪姫」をモチーフにした限定Tシャツを発売。キム・ソンヘのテーマである鏡、外山翔が作品に用いるアクリルや動物、小人、リンゴなどにインスピレーションを得て、アニメーション映画「白雪姫」をモチーフとすることが決まった。フロントには、「鏡よ鏡この世で一番美しいのは誰?」という、継母が魔法の鏡に向かって呟くセリフを英字でプリントしている。キム・ソンへのワークショップもなお、キム・ソンへによるワークショップ「トロフィー」も実施。今回の展示作品で使用したミラーを主なパーツとしたオブジェを作ることができる。【詳細】二人展EXHIBITION「Moral tone」KimSonghe & ShoSotoyama (ATELIER matic)日時:2018年9月8日(土)~9月30日(日) 11:30~20:00場所:ギャラリー ミュベール住所:港区南青山5-12-24シャトー東洋南青山B1F■限定アイテム・Tシャツ 7,800円+税サイズ:レディース&メンズのフリーサイズカラー:ホワイト、ブラック・チャーム 3,800円+税■キム・ソンヘ ワークショップ「トロフィー」日時:9月16日(日) 13:00~/15:00~/17:00~ 所要時間1時程度定員:各回8名参加費:4,500円+税(材料費込み)【問い合わせ先】ギャラリー ミュベールTEL:03-6427-2162
2018年08月26日今年も恒例の全国リサイタル・ツアーに挑戦中のピアニスト外山啓介。9月1日(土)には東京オペラシティでの東京公演を控える。昨年デビュー10周年を終え、次の10年へ向けての新たな1歩を踏み出した今年。〈月の光〉で有名なドビュッシーの《ベルガマスク組曲》とシューマンの《謝肉祭》を軸に、「音が紡ぎ出す情景」をテーマにしたプログラムを組んだ。「まず《謝肉祭》を弾きたい!一方で《ベルガマスク組曲》を全曲弾いてみたい!というところから選曲を始めました」【チケット情報はコチラ】実は芸大に入って最初のレッスンに持っていったのが、《ベルガマスク組曲》の中の〈メヌエット〉だった。「幼い頃からCDを聴くのが好きで、ジャック・ルヴィエだとかウェルナー・ハースだとか、ドビュッシーをすごく聴いていた時期があったんです。独特のしゃれた和声の中に少し毒がある。子供心に、そんなところに魅力を感じていたのだと思います。今年はドビュッシー没後100年。これまであまりまとめて取り上げたことがなかったのですが、どんどん弾いていきたいです」そして、シューマンが《謝肉祭》に添えた「4つの音符による面白い情景」という副題から、「情景」というキーワードが浮かんだ。それに導かれたのが、ドビュッシーと「月の光」つながりになる、ベートーヴェンのソナタ《月光》だ。ベートーヴェンは「今後、長い時間をかけて勉強して、あらためて取り組んでいきたい」という。そしてメインとなる《謝肉祭》は、まさにさまざまな「情景」の連なりだ。「実は最近まで、自分がシューマンを弾くイメージがありませんでした。あの独特のとりとめのなさ。ある意味直観的な音楽の表情の移り変わりに根拠がないように感じて、ついていけないと思っていたんです。ところがなぜかある時期からすごく弾きたくなってきた。《謝肉祭》も、1曲ごとに題名がついているように、キャラクターの移り変わりがとても面白い作品です。でもたぶんそこに自分が入り込み過ぎてしまってはダメ。個々のキャラクターを自分の中で整理しておかなければなりません。とりとめないように聴こえるからこそ、緻密な計算が必要なのです。ただ好きなように弾いて終わってしまう危険があるのが怖いところで、シューマン、面白いけれど難しい作曲家です」つまり、子供の頃から弾きたかったドビュッシーと最近目覚めたシューマンを中心に、11年目の新しい外山啓介が聴ける充実のプログラムなのだ。「内容がたっぷりなので弾くのは大変(笑)。頑張ります。新しい出発の年ということで、東京のリサイタルも、10年続けたサントリーホールではなく、東京オペラシティにしました。デビューのきっかけになった日本音楽コンクール(2004年優勝)の会場ですが、リサイタルで弾くのは初めて。少し流れを変えて、新しいステップアップのためのいろいろな可能性を探ってみたいと思っています」公演は9月1日(土)東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにて。チケット発売中。取材・文:宮本明
2018年07月24日先のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で国民的ヒロインとなった芳根京子の主演作『わさび』、『家族はつらいよ2』の吉行和子と『武曲 MUKOKU』の村上虹郎と話題作が公開中の2人が共演した『春なれや』など、映画監督・外山文治による短編映画が、8月に劇場公開。その特報映像が到着した。「映画監督外山文治短編作品集」と題して上映される両作。撮影当時18歳の芳根さんの瑞々しい涙が印象的な短編映画『わさび』は、先月開催された「ロサンゼルス日本映画祭」で最優秀短編映画賞を受賞。また、『春なれや』は吉行さん、村上さんによる自転車の2人乗りのシーンが印象的に切り取られ、『恋人たち』の篠原篤らが出演する。さらに、老老介護の厳しい現実と夫婦愛を描き、世界各地で上映された『此の岸のこと』(’10)を含めた3作品が今回、劇場公開に。外山監督といえば、『此の岸のこと』が世界で高く評価され、シニア世代の婚活を描いた長編映画デビュー作『燦燦 -さんさん-』は「第38回モントリオール世界映画祭」フォーカス・オン・ワールドシネマ部門に正式招待作品となり、日本でもロングラン・ヒットとなった。今回解禁された映像は、特報としては長尺の2分22秒にわたる見応えのあるもの。美しい音楽に乗せ、各作品がダイジェストで流れていくスペシャル映像となっている。『わさび』『春なれや』の2作品の映像は、これが本邦初公開となる。また、新鋭・外山監督が描く映像世界には、韓国のキム・ギドク監督を引き合いに出した故・蜷川幸雄をはじめ、岩松了、八嶋智人、『花戦さ』の篠原哲雄監督、『百円の恋』の足立紳ら著名人からも賞賛の声が続々と寄せられている。■岩松了 (劇作家・俳優)外山監督は道に立ちすくむ人を見つめる。そこに流れている慈悲のような静寂の調べ■八嶋智人 (俳優)人への寄り添い方が優しく、強い。現代という閉塞感を受け止め、他人事にせず、でも希望を捨てない物語。■蜷川幸雄 (演出家)※『此の岸のこと』への寄稿まるで韓国の大監督キム・ギドクの初期の作品のように、深い悲しみをこめた画面は限りなく美しい。■篠原哲雄(映画監督)くそったれな流行には目もくれず、着実に人間の奥底に潜む、理不尽な運命に逆らう想いを、映画ならではの美しさで描いている。■足立紳(映画監督・脚本家)すべての登場人物たちにありったけの愛情が注がれていて、どの人物たちももっともっと観ていたいと思わせる。■小椋久美子(元バドミントン日本代表)絆を守りぬく人間の強さ。切なく優しい愛に涙が止まりませんでした。大切な人に会いたくなりました。「映画監督外山文治短編作品集」は8月26日(土)より渋谷・ユーロスペースにて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年06月04日2007年のデビュー以来、多くの聴衆を魅了しているピアニスト外山啓介が8月、10年連続となるリサイタルを開く。節目にふさわしい思い入れの深い選曲となった。【チケット情報はこちら】「今回、最初に弾くことを決めたリストのバラード第2番は、高校生のころ出会った曲です。僕が通っていたのは普通高校で、将来の進路に音楽大学を選ぶ生徒も僕が初めてだったので、周囲から理解を得られなくて。それまではピアノがただただ好きで、ピアニストになることを疑っていなかったのですが、初めて無理かもしれないと悩み、練習も手につかなくなってしまい、本当に諦めかけてしまった、そんな時にこの曲を聴き、“こんな曲を弾きたい。ピアノを続けたい”と強く思ったんです。リストの初期作品と違って、バラードは派手ながらもさほど技巧に走っておらず、時を経て本当に作りたい音楽に行き着いたのではないかと感じます。去年はこの曲を美智子皇后にも聴いていただいたし、今回も多くの方にお聴かせできる。10数年前の自分に教えてあげたいですね!」リスト曲ではこのほか、「音が飛ぶし連打もあるしオクターブも続くけれど、なによりテーマが変化した時にどういうキャラクターなのか、その本質をしっかり伝えたい」という『ラ・カンパネラ』、「とくに有名な3番は起承転結があり、きれいな二重奏になったりリストらしい技巧もあったりと、よくできていると実感する」という『愛の夢』3曲を演奏する。そして、外山が今回初めて取り上げるのが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番『テンペスト』だ。「昔はベートーヴェンに苦手意識を持っていましたが、大人になって感じるのは、楽器が変わっていく時代に、音楽の素晴らしさを誰よりも伝え、ロマン派に渡した作曲家だということ。彼のソナタは年に1回でも本番に出し、死ぬまでに全曲を演奏したいと考えています。なかでも『テンペスト』は音楽の美しさが素朴に実直に表れた作品で、僕自身の音楽への思いとも重なります」リストのバラード第2番とベートーヴェンの『テンペスト』をともに「つかみどころがないようで、芯が通っている」とする外山。テンペストとは「嵐」の意だが、バラードにも「嵐のように」と指示のついた箇所があり、共通するものを感じるという。作曲家達が若いころとは違う魅力を楽譜に注ぎ始めた時期のこれらの曲が、32歳の外山の手でどのような演奏となるか、必聴だ。インタビュー中、ほかの演奏家の名前を次々に上げ、目を輝かせながらその素晴らしさや感動を説いた外山。音楽を無心に愛する者の姿が、そこには垣間見えた。おっとりとした物腰だが「ピアノを弾いている時の性格はものすごくキツいと思います。多分、それが本当の自分ですね」と笑う。「ピアノに苦しめられもするけれど、ピアノが救ってくれる。そこに真っ直ぐに向き合い、奇をてらわずシンプルにきちんと弾くピアニストになっていきたいです」■<外山啓介ピアノ・リサイタル>~ベートーヴェン&リスト~8月7日(日)サントリーホール大ホール (東京都)取材・文:高橋彩子
2016年07月22日歌舞伎座サービスは12月18日に歌舞伎茶屋において、「江戸落語を食べる会~第2回 十一代桂文治の『時そば』を味わう」を開催する。「江戸落語を食べる会」は、人気のはなし家による江戸の食を題材にした落語を楽しむとともに、そのお題にちなんだ料理も味わえる落語の会。11月22日には第1回「春風亭一之輔の『本膳』を味わう」が予定されている。第2回目となる今回は、「時そば」をテーマに開催。2012年9月に江戸から続く落語会の大名跡「桂文治」を襲名した、十一代 桂文治の落語(2席)と、江戸の香りを色濃く伝える歌舞伎座の伝統の味が楽しめる。開催は12月18日。開演18時30分(開場18時)。食事は20時から。会場は、東京都中央区八丁堀の歌舞伎茶屋。会費は5,500円(落語と食事代)で50名限定。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月12日