意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ワグネル」です。戦争の形に変化。民間軍事会社の需要が増える世界。ワグネルとはロシアの民間軍事会社(プライベート・ミリタリー・カンパニー)です。創設者のプリゴジン氏はもともとレストランやケータリングの事業を行っていましたが、プーチン大統領と特別な関係を築くことに成功し、巨大な軍事組織グループを起こし急拡大しました。ワグネルはウクライナ侵攻の第一線で戦っていましたが、プーチン大統領に都合よく使われていることに対して反発。6月にモスクワに向けて進軍、途中で撤退しました。仲裁を担ったのはベラルーシのルカシェンコ大統領といわれています。ワグネルを配下に収めておくことで、有事に対処できる力を得ようとしました。しかし、8月にプリゴジン氏を乗せた飛行機が墜落し、死亡が確認されました。今年の3月の時点で、ロシアには民間軍事会社が37社あります。日本では作れませんが、世界にはこうした会社が増えています。ロシアはこれまで民間軍事会社を使って侵略行為や非人道的行為をしてきましたが、国家の正規軍ではないので、「国はやっていない」と言い逃れできたんですね。また、マリを筆頭に多くのアフリカ諸国がワグネルを雇っていました。気候変動や紛争により治安が悪くなり、正規の治安部隊だけでは対処できなくなったときに民間軍事会社に頼るのです。それらの国は貧しいので、現金の代わりに鉱物資源の採掘権などを与え、ワグネルは巨大な資金源を得て、ますます力を持つようになっていきました。一方、今月にはイギリス政府はウクライナ侵攻での民間人の殺害などを理由に、ワグネルをテロ組織に指定する議案を議会に提出。所属したり支援することを禁じようとしています。現代の戦争は決して、国家と正規軍だけが行っているものではありません。兵器も民間のドローン技術や、スペースX社の「スターリンク」が通信を支えていたりします。戦争の形が、実戦とサイバー攻撃や認知戦のハイブリッドとなり、戦闘員が軍人なのか民間人なのか境界線がわからなくなってきています。世界の戦争の変化を私たちも知っておかないと、日本の安全保障を考えるのにピントのずれた議論をしてしまいかねません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年9月27日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年09月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「キャンプ」です。キャンプと音楽は意外と密接な関係にあります。「フジロック」や「ライジングサン」などロックフェスティバルの登場から、フェスでテントを張ってキャンプしながら参加することが定番となりました。日本のキャンプブームの火付けには、このフェスカルチャーの浸透も大きく影響していると思います。ほぼ同時期に、この2つが日本の若者カルチャーに定着したように思います。最近は、ギアも手軽でおしゃれなものがたくさん出ています。先日、京都のロケ番組で見せていただいたのですが、空気を入れるだけで張れるテントなんかもあるんですね。面倒な骨組みをすることなく、ものの数分でパッとテントが立てられる。そういう気軽さが本気のキャンプ好き以外も「行ってみたい」と思わせる土壌になっているのでしょう。岡崎体育はといえば、ガチキャンプはしたことがありません。やりたい気持ちはありますが、初心者ゆえ何もわからないなか、一歩踏み出すことができないでいます。できれば最初は、キャンプ慣れしている方と一緒にやりたいところ…。さらにそれがミュージシャンだとベストです。ミュージシャンと一緒にキャンプに行くのは絶対おすすめだと思います。なぜなら焚き火の前で音楽を奏でてくれるからです。キャンプといえばいにしえよりキャンプファイヤー。火を囲んですることといえば当然、歌。それしかありません。それがプロのミュージシャンだったら最高ですよね。ギターで弾き語りとかしてもらいたいです。理想は奥田民生さんとか、山崎まさよしさんとか…。先輩方にずっとキャンプに付き合っていただくのは恐縮なので、焚き火だけ参加でお願いしたいです。焚き火前入り、焚き火後出のスペシャルゲストで、ぜひ参加していただけないでしょうか。…というのは冗談としても、いつかキャンプに行ってみたいです。自然の中に身を置くことでいろんなことから脱却できそう。クリエイティビティも刺激されそうです。キャンプ好きって今すごく多いですよね。だから「なんでそんなに好きなん!?」とその理由を知りたいです。一体、何をもたらしてくれるのでしょうか。でも行くとしたら高機能キャンプ場がいいです。温水洗浄機付きのトイレは必須ですし、しんどくなったときに駆け込める救護施設があるとうれしい…。こんな僕とご一緒していただけるミュージシャンキャンパーの方おられましたら、ぜひご連絡ください。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』と『サブマリン』アナログ盤12インチシングルを10/4に同時発売。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(10/7~12/23)の開催が決定。※『anan』2023年9月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年09月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NATO東京事務所」です。急浮上した案件。実施する前に丁寧な説明を求む。岸田首相は、7月にリトアニアで開催されたNATOの首脳会議に出席しました。NATOは「北大西洋条約機構」であり、地理的に日本は離れていますが、NATOには価値観や安定・繁栄のためのルールを共有する「パートナー国」という枠組みがあり、今会議にも日本や韓国、ニュージーランド、オーストラリアが招かれていました。実は、東京にNATOの連絡事務所を置く案が浮上しています。今年5月、NATOのストルテンベルグ事務総長が、インド太平洋地域との連携を強化する必要があるなどとして、事務所の開設に向け日本政府と協議中であることを明らかにしました。この背景には、サイバー戦が激しさを増しているというのがあります。特にロシアや中国などが、ハッキングだけでなく、インフルエンサーに直接働きかけて、その国を乱すようなプロパガンダに加担させたりという「認知戦」を仕掛けています。その防衛には、国際的に広く協力し合わなければならず、NATOはサイバー防衛の出先機関として、東京にアジア初の事務所の開設を望んでいるのです。これに対し、フランスのマクロン大統領が「NATOはあくまで北大西洋条約機構であり、インド太平洋地域まで展開するものではないだろう」と、設置案に異を唱えました。マクロン大統領は中国やロシアとも独自の外交を行っており、世界協調を促しているので、東京事務所の設置で中国やロシアを刺激したくないという狙いがあるのだと思います。連絡事務所を設置したからといって、日本がNATO加盟国になるわけではありません。ただ、本格的にコミットすることになり集団的自衛権の義務も発生すれば、NATO諸国が攻撃を受けたときに日本も対処せざるを得なくなり、戦争に引きずり込まれるリスクは拭えません。フランスの反対により、今回は見送られましたが、東京事務所案は引き続き検討されると、NATO事務総長はコメント。しかし、この件は国会できちんと議論されていません。岸田首相には国民に向けてきちんと説明をしていただきたいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年9月20日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年09月16日インディーズ時代に出演した「THE FIRST TAKE」での演奏が話題を呼び、2021年にアニメ『ブルーピリオド』のOPテーマ「EVERBULE」でデビューを果たしたピアノ・トリオ「Omoinotake」。アップテンポからバラードまで難なく歌いこなすソウルフルなボーカルと、キレの良いグルーヴィーな演奏から“踊れて泣ける”と評判の彼らが、メジャー初のアルバムをリリースする。「タイアップの曲やインディーズ時代の楽曲も収録している多面的な作品になりました。タイトルは、見る角度によって色が違う“構造色”というモチーフから発展したもので、アンモナイトの化石が長い時間をかけて宝石化し、虹色に輝いたものをさす『Ammolite(アンモライト)』になりました」(福島智・Ba)「アルバムっていう形態がそもそも“アンモライト”的だと思っていて。中学のときに聴いていたものを聴き返したら、当時とはまったく違う感覚があるのがおもしろい」(藤井怜央・Vo/Key)2012年に結成した彼らは、’17年からはじめた渋谷でのストリートライブでその知名度を高めた。「ストリートでは、とにかく踊れることを意識していました」(藤井)「5秒で足を止めてもらうために、サビからはじまる曲を作ろうとか、どこから聴いてもいいメロディを書かなきゃとか考えましたね」(福島)「逆に、何をしてもいい空間で。俺が急にドラムを叩き出して二人が合わせたり。本当の意味でライブ感覚がある場所だった」(冨田洋之進・Dr)ストリートで鍛えたバンドの足腰は、様々なタイアップに対応する発想力を支えている。その中で、シンプルかつ普遍的なテーマも浮上した。「『幸せ』(アニメ『ホリミヤ‐piece‐』のOPテーマ)はタイアップがあったからできた曲。本当にあったかいメロディで、新たな引き出しを開けてくれました」(藤井)「そういう意味では今回、『渦幕(うずまく)』や他の曲も含めて、僕らなりに幸せについて様々な角度から考えた作品ですね」(福島)そして彼らが目指す“幸せ”のひとつは、拠点とした渋谷のスクランブル交差点から程近いNHKにある。「紅白歌合戦に出続けることが昔からの目標で。そのために、説得力のある歌、演奏ができるように自分たちを高めていきたいですね」(藤井)メジャー1stアルバム『Ammolite』。【完全生産限定盤(CD+Blu‐ray)】¥5,500【初回生産限定盤(CD+Blu‐ray)】¥5,500【通常盤(CD)】¥3,300完全/初回生産限定盤はブックレット付き。(Sony Music)オモイノタケ左から、冨田洋之進(Dr)、藤井怜央(Vo/Key)、福島智(Ba)。アルバムを引っ提げたワンマンツアーを、9月22日から全国のZepp5か所と、最終日は彼らの地元である島根・松江テルサホールで開催する。※『anan』2023年9月13日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・Takaki Toshihiro(SEED&beauty)取材、文・森 樹(by anan編集部)
2023年09月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「閃光ライオット」です。この夏、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催された「閃光ライオット」のファイナルで特別審査員を務めました。「閃光ライオット」とは、10代のアーティストのみによる“ティーンネイジロックフェス”。コンテストやオーディションとは一線を画し、決勝のステージを目指し全国のアマチュアアーティストたちが集まる、“音楽の甲子園”的存在です。今年、9年ぶりに開催されました。これまでに、初代グランプリのGalileo Galileiに始まり、緑黄色社会、ねごと、のちにOKAMOTO’Sとなるズットズレテルズなどが出場し、多数のプロミュージシャンを輩出してきました。岡崎体育自身はこれまで「閃光ライオット」とはまったく何の関係もありませんが、今回特別審査員に抜擢いただいたので精一杯その役割を果たしてきました。なぜ選んでいただいたのかは、よくわかっていません。2月にNHKの「のど自慢チャンピオン大会」でも審査員を務めさせていただいたので、その経験が評価されたのかもしれません。いや、僕のプロデューサー的視点が評価されたのかもしれません。もはや審査員の僕のほうが、なんで自分が選ばれたのだろう…、運営が求める正しい審査員目線で審査できるのだろうか…と、ドキドキしてしまいました。とはいえ自分なりにしっかり指針を持って選びたいと思いました。僕が大事にしたポイントは、どれだけ彼らがアーティストとして大成するか、世の中に影響を与える存在になれる可能性があるのかということ。もう少しレコード会社の人っぽい視点で申し上げると、どのアーティストが最も売れそうか、というのを判断の基準にさせていただきました。なぜそういう指針にしたかというと、僕自身が夢重視で活動してきたミュージシャンだからです。みなさんまだ学生さんなので、高校生活の思い出作りでバンドをしている、このステージが終わったらバンドを解散して受験勉強に専念する、という子もいると思います。もちろん、それも否定しませんが、“将来、絶対プロになる”という気概や意識を持っている人のほうが絶対に強いと思うんです。そんな視点で見ていた僕がもっとも気になったのが、島根県出雲出身の18歳のシンガーソングライター、shokiくん。みなさん、彼の名前は覚えておいたほうがいいと思いますよ。それくらい、すばらしい才能でした。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』と『サブマリン』アナログ盤12インチシングルを10/4に同時発売。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(10/7~12/23)の開催が決定。※『anan』2023年9月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年09月09日すみだ水族館は、新常設展示「オガサワラベース」を2023年9月30日(土)より公開する。小笠原諸島の生き物が集結する新常設展示2012年の開業時より、東京都小笠原村と連携し、「小笠原大水槽」の展示や小笠原諸島に関する情報提供など、様々な取り組みを実施してきたすみだ水族館。新たな常設展示となる「オガサワラベース」では、アオウミガメの赤ちゃん、美しい網目模様が特徴の魚・ユウゼン、小笠原だけに生息する固有淡水魚・オガサワラヨシノボリなど、これまで館内の随所にいた小笠原諸島の生き物たちを集結させて展示する。さらに、フィーディングプログラムの実施や自然環境・観光などに関する展示などを開催予定だ。また、「オガサワラベース」の誕生とともに、すみだ水族館のシンボルとも言える、約45種450匹のいきものが暮らす「小笠原大水槽」や、海の水中世界を除くことができる「アクアスコープ」がひとつながりになり、「小笠原」エリアへと生まれ変わる。まるで小笠原諸島の雄大な海への没入体験が叶うような展示構成に期待したい。【詳細】すみだ水族館「オガサワラベース」公開日:2023年9月30日(土)■施設概要住所:東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F営業時間:平日10:00~20:00、土日祝・特定日9:00~21:00※入場受付は閉館の1時間前まで※季節による変更あり※気象状況および貸切営業等により営業時間を変更する場合あり料金:大人 2,500円、高校生 1,800円、中小学生 1,200円、幼児(3歳以上) 800円
2023年09月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「岡崎体育流暑さ対策」です。猛暑を通り越し、殺人的な暑さの日々が続いています。もう夏休みも終わりですが、まだまだこの暑さは続きそうですね。みなさん、暑さ対策は9月になってもしっかりしてください。僕も、ロケ撮影のときや屋外のフェスなどに参加するときには、暑さ対策を徹底しています。ご存じかと思いますが、のぼせ防止には体内の血液を冷やすといいそうです。動脈が通っている部分を冷やしてあげると、そこから冷えた血液が全身を巡るので、体温を下げることができます。なので、首や腋の下、太ももの付け根などを、叩いて割ると冷たくなる保冷剤みたいなやつで、しっかり冷やしてくださいね。夏フェスも9月に開催されるものがたくさんありますよね。みなさん、しっかり対策をして楽しんでいただきたいです。今年の夏にじっくり考えましたが、リスク管理を徹底したい男・岡崎体育としては、究極の暑さ対策は“外に出ない”。これに尽きると思います。なので、僕はこの夏、お仕事以外ではほとんど外に出ていません。どんなに楽しそうなお誘いを受けても基本、プライベートは断りました。また、室内にいたとしても油断してはいけません。無理をせずエアコンをつけてください。おじいちゃん、おばあちゃん世代の方々は、まだまだ「エアコンをつけるのは体に悪いから」とつけないでいることも多いと思います。しかし、そういう考え方はもう古いと思っていただいて結構です。エアコンをつけないで室内がサウナ状態になって熱中症になってしまっては元も子もありません。おじいちゃん、おばあちゃん世代の方々はあまりこの連載を読んでいないかもしれませんが、“国民の孫・岡崎体育”からのお願いと思って聞いてほしいです。エアコンをつけてください。それと、水分補給をしっかりすることもとても大事ですよね。僕は夏だけでなくオールシーズン、水を1日2Lは飲むようにしています。おすすめは、新しいボトルが誕生した天然水の「い・ろ・は・す」です。ごくごく飲めます。というわけでまとめますと、岡崎体育流の暑さ対策は、水は日頃から2L飲む、直射日光に当たらないようにして体温を上げない、そのためにはできれば外出しない、です。でも、ライブやイベントにはぜひとも足を運んでいただきたい。なのでそういうときはリスク管理をしっかりして、無理することなく楽しんでほしいです。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』と『サブマリン』アナログ盤12インチシングルを10/4に同時発売。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(10/7~12/23)の開催が決定。※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年09月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「岸田総理、中東歴訪」です。各国が陣営に取り込もうと必死。日本の勝算は?岸田総理は7月にサウジアラビア、UAE、カタールを訪問しました。この3か国とバーレーン、オマーン、クウェートは互いの防衛と経済発展のために「GCC(湾岸協力理事会)」を1981年に設立。日本とGCC諸国との結びつきは極めて強く、輸入額は15兆円以上、その多くがエネルギーです。また、車や鉄鋼、建設用機械など約2兆円規模の輸出を行っています。GCCに対しては、中国は昨年末に共同でサミットを開催し、安全保障分野やエネルギーでの協力を約束しました。ロシアは7月にGCC諸国と共同声明を発表。エネルギーの供給で合意を交わし、関係を強化しています。アメリカは6月にブリンケン国務長官がGCC・米国合同閣僚会議に出席し、連携を確認するなど、各国が自分たちの陣営に引き入れようと必死なんです。GCC諸国はいまは化石燃料でもっていますが、それらの需要が減少する将来を見据え、EUとの結びつきを強めて、再生可能エネルギー分野の研究開発を積極的に行っています。今回の岸田総理の中東訪問は、経済界からの強い要請があり実現しました。日本は2006年ごろからGCC諸国と自由貿易協定を結ぼうと協議を始めていましたが、10年近く交渉が進まない状態でした。それは、サウジアラビア皇太子の、ジャーナリスト殺害への関与や、女性に対して抑圧的など国際的に批判が集まるような人権問題が起きていたため、交渉が途絶えていたのです。他国に後れをとってはならないと、経団連が政府に協議の再開を求め、今回総理は企業団を多く引き連れ、大企業だけでなく、中小企業の技術の売り込みなども打ち出しました。日本の技術が、以前のような存在感を示しているとは言い難いですが、注目を集めているのはアニメやゲームなどのコンテンツ分野です。特にサウジアラビアはゲーム産業に投資し、eスポーツ事業に本格的に参戦しています。GCC諸国は、日本にとっては大切な貿易相手国。しかし、人権意識など、自由主義国とは違う価値観を持つ権威主義的な国々と、透明性のあるフェアな関係を築けるのか。非常に難しい舵取りを迫られているんですね。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年09月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「養生」です。この数か月、新型コロナウイルスに罹患してしまったり、それとは別に急な発熱があったりと、体調を崩すことが多かったです。ゆえに今、“養生”をすることに専念しています。養生とは、生活習慣を見直し、体の状態を整えてあげること。健康を増進することで、免疫力を上げ、病気になりにくいボディ作りを目指しています。具体的に何をしているのかというと、うちのディレクターからは8年ほど前から風邪をひくたびに、「ビタミンCを摂取し、とにかく睡眠をとりなさい」と言われていますので、風邪をひいたらまずそれを厳守するようにしています。かむかむレモンをたくさん食べます。今回はそれにプラスして、自分なりに民間療法をあれこれ調べて試しています。そうすると、これまで常識だと思っていたことと違うことがあって驚いています。生姜は体を温めるから風邪をひいたときに摂取するといいと思っていたのですが、熱があるとき、または熱が上がっている状態のときには、余計な熱を体内に溜めてしまうからあまりよくないのだそうです。また、生姜には体や粘膜を乾燥させる性質があるので、乾燥からくる咳の症状にはよくないという説もあり、それも知りませんでした。養生では、症状や体の状態に合ったものを摂取することが肝心。僕は気管支がウィークポイント。すぐに喉を傷めてしまいます。なので、今回は気管の炎症などによいとされている“白い食べ物”をたくさん摂るようにしました。大根や梨などがそれに当たるそうです。なかでも大根は、ファイトケミカルという免疫力を向上させる栄養素があってめちゃくちゃいいということを今回知りました。知り合いの方に、切った大根をはちみつに漬けて作る、大根はちみつの作り方も教えてもらったので、今度試してみたいと思います。湯治とかも行きたいですし、鍼灸もやってみたい。とにかく今は、健康な体を目指したいです。いちばん大事なのはやはり日々食べるもの、生活習慣なんだなと思います。例えば、インスタント食品ばかり食べていたらやっぱりあかんよな、と。もちろんインスタント食品は手軽でおいしくていいんですが、でも熱が40°Cあるときには食べなくてもいいかも…。みなさんも、風邪をひいたり体調を崩したりしたら、無理をせず野菜など体の負担にならない優しいものを食べて過ごしてください。僕もそうします。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』と『サブマリン』アナログ盤12インチシングルを10/4に同時発売。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(10/7~12/23)の開催が決定。※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年08月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「世界の難民情勢」です。想像を絶する数の難民が急増。世界安定の危機に。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)本部が6月に発表した年間報告書によると、2022年末の時点で、紛争や迫害などにより、故郷を追われて強制移動をさせられた人が1億840万人になりました。1年間で1910万人増え、これはこれまでで最大の増加になります。国境を越えて逃れた人を「難民」、国内で移動を強いられた人を「国内避難民」と呼びますが、1億840万人のうち6250万人は国内避難民で、全体の60%を占めます。国内で逃げているのなら、難民よりも安心のように感じるかもしれませんが、それは大きな間違いです。国外に逃げられるのは、それだけ経済力や人脈があったり、その距離を移動する余力のある人たち。それすらない人が住まいを追われて、命からがら別の地域に逃げています。その原因が紛争だった場合、激しい紛争地域は国連の支援チームも退避せざるを得ず、食糧や医療の支援を受けられないまま国内に留め置かれている膨大な数の人たちがいるのです。難民の数が急増した理由は、ウクライナ侵攻、スーダンの紛争、その他中東やアフリカ各地、ミャンマーなど、世界中で分断が深まっているためです。また、気候変動による干ばつや水害で移動せざるを得なくなった人もいます。難民の最大の受け入れ国はトルコで360万人。ドイツも210万人を受け入れています。徒歩で隣国に逃れるケースも多く、全難民の20%は貧困国に移動しています。つまり、逃げた先でも、十分な生活も支援も得づらい状況が生まれているんですね。移動先できちんとした職を得られず、生活基盤を築けない場合、武装勢力で働くほかに道がないという最悪の事態も発生しています。スーダンでは、紛争が落ち着いていた時期に教育支援を受けていた子どもたちが、戦闘が激しくなると、新たな戦闘員を確保するために武装勢力にリクルートされるという悲劇が起きています。それは世界的に戦争や紛争の可能性が高まるということで、先進国にとっても無関係な話ではありません。持続可能な世界のために、この難民問題には真正面から取り組む必要があると思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年08月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「AI」です。ChatGPTなどの生成AIが話題です。これは、僕のような仕事をしている人間からすると、はっきり言って脅威です。芸術の分野にAIが進出してくるのはまだ先だと思っていましたが、進化の速度を甘くみていたようです。先日も、AIでかわいらしい女性の姿を生成して、それでSNSのアカウントを作り、まるでその女性が実在するかのようにやりとりをしていたというニュースを読みました。実際の中身は普通のおじさんだったそうです。もう何を信じていいかわからない…という恐怖を感じました。実は、僕もAIに作詞を頼んだことがあります。友達と遊びでやっただけですが、AIに歌詞を書いてもらい、それで曲を作るというのを実践してみたんです。その時はAIが考えた歌詞がまだギリださくて「よしよし、まだこのレベルか」と思いました。でも、その時一緒に遊んでいた友人が「岡崎体育っぽい歌詞を書いて」とお願いをしたら、20分くらい考えてからコミックソング的なものを返してきたんです。AIが“岡崎体育っぽい”を認識して、おかしみのある歌詞を返したことにちょっとゾクッとしましたが、その歌詞もまた、コミックソングとしてのクオリティはまだまだ低いものでした。岡崎体育とAIの見分けはまだつきそうです。たぶんですが、作詞より作曲のほうが先にAIが台頭してきそうです。歌詞は膨大な日本語から、言語センスという感覚的なものに依って生み出されています。だから、学習しないといけないことが幅広いし、深度もあって難しいと思います。一方、作曲は12個の音の組み合わせでしかない。コード進行とスケールを覚えたら“っぽい”楽曲がすぐ作れるようになるのでしょうか。そうなったら本当に作曲家の仕事がなくなってしまう。これは、どうすればいいのでしょうか。BUMP OF CHICKENさんが10年前に初音ミクとコラボして曲を出した時、衝撃を受けました。でもそうやって、デジタルの世界やAIの技術を受け入れていく姿勢が、今のミュージシャンには必要なのかもしれない……。実を言うと、僕も今、AIとどう付き合っていくべきかを考えた曲を用意しています。AIというか、スマホなしでは生きられない今の現代人に向けた歌になる予定です。ニューアルバムに収録するので、ぜひみなさんにも聴いて考えてみてほしいです。おかざきたいいくTVアニメ「マッシュル‐MASHLE‐」オープニングテーマ曲「Knock Out」が好評発売中。「SUMMER SONIC 2023」8/20、「風とロック芋煮会2023 風とロックイモニーパーク」9/9などの夏フェスに出演決定。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年08月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「改正入管法」です。難民認定率の低い日本。審査方法を再構築するべき。「出入国管理及び難民認定法」、通称「改正入管法」が6月に成立しました。この改正案は2年前に国会に提出されましたが、長期間入管で留め置かれたスリランカ人女性が、十分な治療を受けられずに亡くなったことを機に、日本の難民認定の制度が問題視され、廃案になりました。ところが、今国会でほぼ同じ内容の法案が再提出され、可決されたのです。改正入管法では、難民認定3回目以降の申請は「相当の理由」がなければ、本国への送還が可能になります。長期に留め置くのが問題なのであれば、帰っていただこうというスタンス。しかし、内戦や迫害など、本国にいては身に危険が及ぶため日本に逃げてきたかもしれない人に対して、強制送還することは正しい判断なのでしょうか?最も問題なのは、難民申請者が本当に難民なのか、不法入国者なのか、適切に判断できているのか不透明だということです。入管の難民認定審査(一次審査)で不認定となり、不服を申し立てた人を二次審査するのが難民審査参与員。法律や国際情勢に関する学識経験を有する人が任命されます。現在110名いますが、1人あたりの審査件数に大きな偏りがあることがわかりました。ほとんどの参与員が年間数件~40数件だったのに対し、NPO法人名誉会長だった柳瀬房子さんだけが’22年だけで1231件審査を行っており、「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど確認できません」と発言。これに対し、ほかの参与員から異論が集中しました。難民審査は総合的な国際状況をもとに判断しなければなりませんし、申請者は自分を証明するものを何も持たずに逃げてきている場合もあり、本人を特定するのには時間もかかります。年間1000件以上の申請を的確に審査できるのでしょうか?難民申請中は働くこともできませんが、審査が長引けば家族を養うために違法でも働かなければ生きていけない矛盾も抱えています。日本は国連の難民条約に加入しており、難民を受け入れる立場です。今回、準難民というグレーゾーンを設けたことは評価できますが、その前に難民を審査する仕組みを立て直す必要があると思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年08月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「プールの思い出」です。夏ですね!夏といえばプール。プールと音楽のエピソードといえば、子供の頃に通っていた、太陽が丘ファミリープールのことを思い出します。夏になると家の近所にあったこのプールに友達と出掛けるのが定番でした。ウォータースライダーや波のプールなんかもあってとても楽しい。でも、京都府の施設なので小中学生はお手頃価格で遊べたんです。10歳くらい、小3か小4の時だったと思うのですが、友達4人で夏休みにプールへ行きました。夏休みだから当然、混んでる。どこも人がいっぱいだったのを避けてか、僕たちは競泳用プールのエリアにたどり着きました。そこには誰もいなくて、静かな25mプールの水がなんだかすごくきれいだなと思ったのを覚えています。当時、競泳用プールも開放されていたはずですが、なぜかそのタイミングだけ他に誰もいなかった。人がいないことをいいことに、僕たち4人はそのプールで思い切り遊びました。さっきまでの喧騒を離れて、まるで貸し切りのような静かなプールで4人だけで遊んでいるのがすごく不思議な感覚でした。その時にスピーカーから流れていたのが、当時流行っていた宇多田ヒカルさんの「Automatic」。遊び疲れた僕は、プールサイドにある観客席に座って残りの3人が遊んでいるのを眺めていました。その時のなんだか妙な感じを覚えています。青春ぽいのか、異世界へ迷い込んだようなのか…、そしてその背景で流れていた「Automatic」。今もこの曲を聴いたり、夏がくると、その記憶がフッとよぎります。その時は、たしかあとから別のお客さんがやってきて、僕たちも別のプールに行こう!と移動したように記憶しています。その競泳用プールで泳いだのはその夏だけの出来事でした。だからなのか「Automatic」を聴いたその時の記憶が今も強烈に残っています。レジャー施設でかかっている流行歌って、その時のシーンと一緒に深く記憶に刻まれることがありますよね。みなさんも、そういう夏の場面と一緒にメモリーされている曲があるのではないでしょうか。今の子供たちだと米津玄師くんの曲とかなのかな、と思いました。米津くんは神秘的な雰囲気をまとった曲も多いので、子供の頃の夏の想い出となんだかリンクしやすそうです。みなさんにも、そういう夏の物語の主人公になれるような記憶の一曲をこの夏、見つけてほしいです。おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマ曲『Knock Out』が好評発売中。「SUMMER SONIC 2023」8/20、「風とロック芋煮会2023 風とロックイモニーパーク」9/9などの夏フェスに出演決定。※『anan』2023年8月9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年08月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「孤独・孤立対策推進法」です。社会全体の課題。官民連携により急ピッチで進む。今年の通常国会で「孤独・孤立対策推進法」が成立しました。孤独や孤立は、「個人の努力が足りない」ものでも、「仕方のない問題」でもありません。社会全体の課題で、社会で解決しなければいけないと、本腰を入れることになりました。この法律は、国主導でできたものではありません。長年孤独・孤立対策や貧困対策などを進めている「自立生活サポートセンター・もやい」や、24時間365日無料・匿名チャット相談を行っている「あなたのいばしょ」など、現場の窮状を知るNPO法人の方々が、前政権時代から「官民で連携してほしい」「国が司令塔となってほしい」「自治体が積極的に対処できるよう目標を定めてほしい」と働きかけていました。これにより、一昨年、孤独・孤立対策担当大臣が生まれ、本法律が成立に至ったのです。基本理念には、「孤独・孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることが重要」と書かれています。基本的施策には、国民の理解増進や相談支援の推進、地方公共団体と支援関係者の連携・協働の促進などが盛り込まれました。地方公共団体には孤独・孤立対策地域協議会を設置する努力義務を課し、それを作らない地方公共団体には注意ができるようになります。自殺者数はコロナ禍を機に一気に増えました。令和4年の自殺者数は2万1881人で、前年よりも4.2%増。女性は3年連続で増え続けています。最近では、奨学金の返済苦を理由に自殺をしたと考えられる人が、昨年10人いたという嘆かわしいニュースもありました。女性や子供、若者が孤立しやすい状況のなかで自殺者数が高止まりしており、対策は急務だと、スピーディに法案が可決されました。イギリスや韓国でも自殺者数は増えており、孤独や孤立対策の必要性が謳われるようになりました。日本が世界に先駆けて、この問題に取り組むことにより、そのノウハウを世界に提供できる可能性も出てきます。いま世界の分断は進んでいますが、同じ問題を抱える国同士、国際協調が進み、課題解決がなされることを願います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年8月9日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年08月05日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「木村昴さん」です。前回、人の話を聞いて場を回せるMCになりたいという話をしましたが、身近に僕が憧れる会話のプロがいました。その人こそ今回のテーマ、木村昴さんです。僕がレギュラー出演しているテレビ東京系列で放送中の『おはスタ』のメインMCをしていて、仲良くさせていただいています。番組では“スバにぃ”としておなじみです。子ども番組のMCですから、スバにぃの時はテンションが180~200%上がっている状態だと言っていいくらい、とてもテンションが高いです。とはいえ、木村さんは常日頃からテンションの高さが100の状態の方。テレビでみなさんが見ている木村さんそのままで、普段も接してくれていると思って間違いないです。「あれ、今日はテンション低いな、機嫌が悪いのかな」というようなところなんて見たことがない。でも、木村さんだって人間です。体調の悪い時だってあるはず。でも、そういう時は表に出てこず、人に心配をさせない方です。なんかそういうところ“猫みたいやな”と思ってます。木村さんのその人柄はもちろんプライベートでも変わりません。僕と木村さん、そしてフワちゃんの3人は実はとても仲良しで、3人で何度かごはんに行っています。テンションが高く、ワーワーしゃべるタイプの二人と人見知りキャラの岡崎体育。どう考えてもなんだか合わないように思われるかもしれませんが、オセロのようなもので、元気と元気に挟まれると僕もつられて元気になります。定期的に二人にお会いしていると元気をチャージできてとてもいいです。話を戻します。そんな木村昴さんにも人の話を聞く極意を聞いてみたい。番組でもそうですし、プライベートの飲み会でも、とても上手に話を引き出してくれます。前回話した、僕が苦手な相槌の打ち方もとても上手です。ほんまに全部のことに興味があって好奇心があるから、熱心に聞いてくれるのだと思います。自分が知らないことがあっても「え?ってことはさ…」と向こうからあれこれと質問をしてくれる。なんだか“全自動マッサージ機みたいやな”とも思いました。こっちのことを自然とほぐしてくれて、気持ちよくリラックスさせてくれる。僕は聞きたいことだけ聞くと「へー」で終わって会話が続かないところがある。人の話を掘り下げて、会話のラリーを続けるコツを学びたいなと思います。おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマ曲『Knock Out』が好評発売中。「SUMMER SONIC 2023」8/20、「風とロック芋煮会2023 風とロックイモニーパーク」9/9などの夏フェスに出演決定。※『anan』2023年8月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年07月29日2012年、母のお葬式という私的なテーマを、日常の中のささやかな煌めきとともに綴った楽曲「第三惑星交響曲」でデビューした石崎ひゅーいさん。10周年というメモリアルイヤーの締めくくりにフルアルバム『宇宙百景』をリリースする。アルバムの中で、これまでの出会いを形にできたらなと。「比較的早い段階からチームのみんなでコンセプトを考え、曲作りを始め、レコーディングしていきました。何よりまず、ファンの方たちに歌でちゃんと『ありがとう』を伝えたかった。ライブとかアルバムとか、いろんな形で石崎ひゅーいと音楽の道を一緒に歩んでくれた人たちだから。あともうひとつ、ここまで来た道で大切なのがたくさんのいろんな出会いで、ずっとそれを音楽にしてきた気がしていて。そういう縁を、形にできたらなと思ったんです」というのは、今回のアルバムでは、自身の曲のみならず、槇原敬之さんや尾崎世界観さん、長澤知之さんから楽曲提供を受けている。「もともと自分の曲じゃなきゃ、みたいな発想はなかったんですが、やってみて、自分はこういうことが好きなんだなと思いました。自分じゃない誰かのアイデンティティみたいなものを取り込んで発信するのが、結構性に合っているというか。しかも、みなさんからいただいた曲がどれも、僕を本当に想って書いてくれた歌詞だったりメロディだったりして、本当に嬉しかった。レコーディングしながら、あらためて僕という人間は、この人たちの作るものだったり、人間性というものに影響されて形成されたんだと実感して、お願いしてよかったなと思いました」槇原さんの手がけた「邂逅」は、聴き心地のいい優しいポップス。「僕のアレンジをずっとやってくれているトオミヨウさんを通して仲良くさせていただいているんですが、子供の頃から普通に聴いていた憧れの存在でもあって。今回ダメ元で声をかけさせていただいたら、快く受けてくださって。まさに自分がこのアルバムで言いたかったことが歌になっていてすごいなと思いました」尾崎さんの「あたしは恋をしている」は、女子目線で書かれた恋の歌。「以前から僕の曲でコラボさせてもらったり、逆に僕が世界観の曲を歌ったりしているし、悩んだときに相談させてもらったり、本当に近しい間柄で大切な友人です。絶対に書いてもらいたいとお願いしたら、いきなりLINEでiPhoneか何かで録ったものが送られてきて。その感じも世界観ぽくて好きでした」長澤さんの「スパノヴァ」は、繊細さと力強さを感じさせる楽曲。「長澤くんのライブを観たときに、この人のようにギターを弾いて歌えるようになりたいと思ったんです。そこから彼のギターの弾き方を真似したり、すごい師匠のような存在。曲を書いてほしいって言ったら、その場で書き始めてできたのがこれで、やっぱり天才だなと思いました」自身の曲でも、これまでにないタイプのサウンドに挑戦している。「そこはすごく意識していますね。なんか凝り固まっていたくないんです。新しいものを作りたいし、新しいことを経験したい。僕らしさ、みたいなものはどうでもいいというか、そこは壊していっていいんじゃないかって思っているんですよ」初バラエティ番組出演の『人志松本の酒のツマミになる話』で「売れたい」と発言したのも大きな話題に。「石崎ひゅーいの作った音楽を、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいんです。もともとはあんまり欲がない人間ですが、必要なものだと思うんです。もっと自分自身と戦ったりいろんなことに挑戦していかないとなって感じです」デビュー10周年記念アルバム『宇宙百景』は、菅田将暉へ提供した「虹」のセルフカバーなど全11曲を収録。7月26日発売。【初回生産限定盤(CD+BD)】¥5,500【通常盤(CD)】¥3,300(Sony Music Labels)いしざき・ひゅーい1984年生まれ、茨城県出身。シンガーソングライターの傍ら、俳優としてドラマ『ジャパニーズスタイル』などに出演。菅田将暉の「さよならエレジー」ほか楽曲提供多数。7月22日にビルボードライブでライブを開催。※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年07月23日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「MC」です。先日、『まつもtoなかい』(フジテレビ系)に出演させていただきました。ご存じかと思いますが『まつもtoなかい』はダウンタウンの松本人志さんと中居正広さんがMCを務める番組。僕は日本を代表する名MCのお二人に、“MCの極意”を伺いたいと思っていました。でも番組をご覧になられた方はお分かりかと思いますが、実のところまったく参考にならない回答しか得られませんでした。お二人とお話しできたのは大変楽しかったのですが、そのレベルに達するには僕にはまだまだ修業が必要のようです。MCができるようになりたい、という憧れのルーツを辿ると、母親に辿り着くのかなと思います。僕の母親は結婚式やイベントなどの司会を仕事にしていました。実際にMCをしている現場を見に行くことはなかったですが、僕の保育園や小学校時代の謝恩会や茶話会などで、母は司会を買って出てやってくれていた。それで初めて母の仕事ぶりを間近で見て驚いたことを覚えています。小学校6年生が茶話会でおとなしくしているわけもなく、盛り上がって騒ぐわけです。でもそれを母は、見事な手腕で捌いていた。先生たちよりうまく言うことを聞かせていたんです。クラスメイトたちも「岡のオカンが注意しているから言うこと聞かなあかん」となったのかもしれませんが、でも自分の母がマイク一本で学年全員を静かにさせた、というのはちょっとかっこいいなと思いました。これまでもいくつかの番組でMCをさせていただいたことはありますが、まだまだ母の足元にも及ばないなと思います。この間も、綾小路翔さんのラジオ番組に呼んでいただき、その出演番組をラジコのタイムフリーで聴いたのですが、「うん、うん」って普通に相槌を打っていて、事務所の先輩の話を聞く態度ではない。「お前、“うん”ってなんやねん、そこは“はい”やろ!」と、ゲストとはいえ自分の相槌に納得いきませんでした。僕の話を聞く姿勢の理想は関ジャニ∞の村上(信五)さん。以前、一緒に番組に出た際に、話を聞く技術が素晴らしいと感じたんです。相槌のタイミング、ちゃんと聞いてくれている視線、なんならカラダは前のめりでした。そういう相手だと人はどんどん話をしたいと思うんやろなと思いました。僕は感じのいい相槌の仕方からまず覚えないといけないと思います。ミュージシャンナンバーワンMCへの道はまだまだ遠そうです。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。TVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマ曲『Knock Out』が好評発売中。※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年07月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「握手会」です。過去、岡崎体育が握手会をしたのはたった1回だけ。タイアップ楽曲をまとめた『OT WORKS』リリース時に、発売記念イベントとして関東と関西で開催しました。たくさんの方が会いに来てくださったのを覚えています。その時に、お客さんの一人に「あー、手が湿っている」と言わせてしまったのが記憶に残っています。「やっぱり」です。汗っかきの僕は「べちゃべちゃな汗ばんだ手で申し訳ない…」と思っていたので、他のお客さんにも「湿ってる…」と不快な思いをさせてしまう危険性が高いと判断して、その後開催を控えています。でも、ファンの方々と触れ合うイベントというのは大事にしたいので、岡崎体育らしい接触イベントを今後は考えていきたいと思います。たとえば、“会釈会”というのはいかがでしょうか。お互い向き合ってちょっと会釈をしてから会話を二言、三言交わす…なんて奥ゆかしくて大人な感じがしていいのではないかと思います。目と目を合わせて会釈するだけなんて、ちょっと雅なイベントになりそうです。または“逆握手会”というのはいかがでしょうか。そもそも岡崎体育が「握手してあげましょう」というのがおこがましくて、自分で言うのもなんだかむず痒い気持ちがしてしまいます。それならば、逆に僕がファンの皆さんに「握手してください!」とお願いしてまわる逆握手会をしてみたい。ファンの方々に個室に入っていてもらい、僕のほうが歩いて握手をしに行くし、僕が流されていくというシステムならばアリかな?という気がします。いずれにしても、直接会いたいと思ってくださることや、自分の思いを直接伝えたいと思っていただけるというのはとてもありがたいことです。握手をしている時間なんて10秒くらいのこと。そこに思いを詰め込んで、「こういうところが好きです」と伝えてくれる時間はかけがえのないものです。でも、それに対してうまく返すことができないのもちょっと悩んでしまいます。結局「ありがとうございます」しか言えないんです。こちらとしても10秒の中で、「きみの気持ちしっかり受け取ったで。いつも応援してくれてありがとう。また会いに来てな!」を伝えられるワードがあればいいのですが、結局は強めに「ありがとうございます!」と言うほかないのが、なんかちょっともどかしいです。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。TVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマ曲『Knock Out』が好評発売中。※『anan』2023年7月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年07月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「グローバルサウス」です。世界勢力の変化に応じ微妙に違いが。現在の肝はインド。最近、ニュースでよく耳にする「グローバルサウス」という言葉ですが、使い方によって、示す地域や意味合いが変化するようになってきました。これまでは、先進国の集中する「グローバルノース(north/北)」に対してのサウス(south/南)。主にアフリカなど、植民地政策にも遭い、貧困や飢餓などさまざまな課題を抱える開発途上国。先進国はこれらの地域へ投資を強めていくことが必要だという文脈で、よく使われてきました。また、北半球に民主主義の大国が多いことから、それらの国々に対して、地理的には南半球ではなくても独自外交で権威主義的な国々を「グローバルサウス」と呼ぶこともあります。その場合は、インドやタイ、カンボジアなど東南アジアや中南米が含まれます。西側の自由主義国とは違うという意味合いです。もう一つには、ロシアや中国、旧東側でもなく、アメリカや欧州の西側陣営でもない第三の陣営という枠組みで「グローバルサウス」が使われることもあります。今、グローバルサウスで注目される代表的な存在は、インドです。今年5月、G7広島サミットが開かれましたが、G7は西側のアライアンス。同月、インドでは「上海協力機構(SCO)」外相会議が開かれました。これは、ロシア、中国、インド、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、パキスタンの8か国で作る国家連合で、2001年に発足。西側とは真逆の視点で、「安全保障を脅かしているのは西欧諸国で、我々の国土を蝕んでいる。平和と安定と秩序を取り戻すため、G20に働きかけよう」と話されています。インドのモディ首相は広島サミットにも特別に招かれましたが、9月にはプーチン大統領がウクライナ戦争後初めてインドを訪ね、首脳会議を行う予定。インドは両陣営の綱引きの真ん中にいる形なのです。グローバルサウスは、言葉自体が先進国目線すぎるから使わないようにしようという動きも一方であります。西側中心に世界を見ていると、現実を見誤ることも多々あります。常に世界を俯瞰することが重要でしょう。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年7月19日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年07月16日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バンドマンボーカル飲み会」です。前回、岡崎体育の自主企画イベント「TECHNIQUE」に出演してもらうアーティストを紹介しましたが、そこでMy Hair is Badのボーカル、椎木(知仁)くんとは“バンドマンボーカル飲み会”で出会ったと書きました。「ん?そんな飲み会があるの?」と気になった読者の方、きっといますよね?実はバンドマンたちは、ギターだけで集まる、ドラムだけで集まるみたいな飲み会を結構しているんです。今回、僕が呼んでいただいたのはラウド系の人たちが集まるバンドマンボーカル飲み会です。僕はバンドでもボーカルでもないソロアーティストなのですが……、なぜかボーカル枠に認めてもらえたので参加させていただきました。その飲み会には15~16人くらいが参加していたのかな?いろんなバンドのボーカルの方たちがいて、僕が知っている有名なバンドの方などもいらして、とても楽しかったです。バンド同士って親交を深めるタイミングが意外と少ないんです。フェスとかライブで顔を合わせますが、挨拶だけして終わったりだとか。なので、いろんな方と会えただけでもすごくうれしかったですね。飲み会で話すことは……。まあ、一言で言えばさまざまなぶっちゃけ話ですよね。ミュージシャンのお金事情の話、裏でコイツこんなこと言ってた話、フェスの運営の仕方についてなど……、興味深い話ばかりです。このときは僕とマイヘアの椎木くんがいちばんの若手だったので、いろんな話題が出たのですが、話についていくので精一杯。僕たちが話を広げるということは基本なくて……。でも最後にある先輩が「なあ、岡ちゃんどう思う?」と振ってくれるので、そこでズバッと一言オチを言って、みんなで「そうだよな、ガハハ!」みたいな感じ。海賊たちみたいな豪快で気持ちいい飲み会でした。みなさんバンドマンでない僕にも優しくて「岡ちゃんはどんな感じなの?」「なんでバンドじゃなくて一人でやろうと思ったの?」などと掘り下げようとしてくれて、うれしかったです。バンドマンじゃないけど仲間に入れてあげよう、一員と認めてあげようと思って気を使ってくださったのが本当に居心地よかったので、またバンドマンボーカル飲み会に参加させていただきたいです。でも基本ずっと家にいるミュージシャンなので主催は難しそうです。声をかけてもらえたらうれしいです…!おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4は、7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6は7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年7月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年07月08日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「TECHNIQUE Vol.3~6」です。約2年4か月ぶりに岡崎体育の自主企画イベントである「TECHNIQUE」を東京と地元・京都で2回ずつ計4回、開催します。この企画では僕がすごいテクニックを持っていると思うアーティストたちに出演を依頼しています。毎回、1アーティスト。なので今回は計4組のアーティストに出演いただきます。せっかくなのでここで紹介させていただければと思います。まず初日がGirls2。彼女たちとは僕がレギュラー出演している『おはスタ』のおはガールとして出会いました。番組で踊ってもらうコーナーがあり、そこで彼女たちのダンスに触れて「これは只者ではない!」と感動しました。それからライブも拝見して彼女たちの魅力に引き込まれました。岡崎体育ファンにもプロフェッショナルな彼女たちのステージをぜひ堪能してほしい。次はMy Hair is Bad。彼らは新潟・上越市出身の3人組ロックバンド。どこにも属してない本当に自分たちのロックを追求するバンドです。ベースのバヤくん(山本大樹)はゲーム仲間。でもそれがきっかけではなく…。それとは別に、バンドマンボーカル飲み会なるものがあり、なぜか僕も誘ってもらって。そこでボーカルの椎木(知仁)くんとおしゃべりする機会があり、彼がとても人懐こく素敵な人柄で、一瞬で「あ、好きー」となりました。その記憶が強く、いつか一緒にできたらと思うようになりました。僕とマイヘアは接点がそんなにないように見えるから、意外な組み合わせとどちらのファンも感じるのではと思います。だからこそ一緒のステージを楽しみにしてほしいです。一方、3日目の阿部真央は同い年で同志のような存在。あのボーカルテクニックはまさに「TECHNIQUE」に相応しい。僕は日本一のボーカリストだと思っているので、彼女の歌声をぜひ多くの人に聴いてもらいたい。業界で数少ない、僕がタメ口で話せる相手です。気心知れた二人のコラボも楽しみにしてほしいです。最後のLOSTAGEはデビュー前からお世話になっている先輩ロックバンド。奈良在住でメンバーそれぞれが奈良でお店を持っています。彼らの作る音楽が純粋に好きですし、人柄もすごくいい。この日に来てもらえたら素の僕がいちばん見られるんじゃないかなと。この日はコラボより僕が客席からステージを観たいくらいなんです。一人の音楽ファンとしてLOSTAGEのライブを楽しめたらと思ってます。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4は、7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6は、7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年7月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年07月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「チャットGPT」です。産業革命以来の大きな変化の兆し。使い方に要注意。チャットGPTとは、オープンAI社の生成系対話型AIで、昨年11月に公開されてから、わずか2か月でユーザー数が1億人に達し、ものすごい勢いで急成長しています。多言語に対応し、テキストの作成や翻訳、その要約も一瞬でできます。日本でも話題になり、「情報が間違っている」などと問題視されていますが、あくまでチャットなので、検索を目的においていません。2021年9月の情報を元にAIが回答をしているので、GoogleやYahoo!のように日々情報が更新される検索ツールとは異なります。使い方としては、対話や相談の相手として、自分の考えをまとめたり、整理をしたりするツールとしてはとても有効です。使う側には、AIにどれだけ的確な問いを投げかけられるか、指示ができるかが問われます。チャットGPTはオープンソース化されたことで、様々なサービスに組み込まれ活用され始めています。エクセルに組み込んで、1か月の財務諸表を一瞬で仕上げたり、ゲームのプログラミングをしたり。安全保障の分野や、経済取引や投資対象など、これまでは人類が考えて選択してきたことの判断をAIに預けるということが、当たり前になっていくでしょう。ただ、チャットGPTの回答が、どこから導き出した情報なのか、経緯の検証はしにくくなっています。ですから、フェイクニュース対策は非常に厄介です。現在、出典元を明記するようにしようという声が上がっていますが、国際標準化されていませんし、スタンダードなルールにするのも難しいと思います。そもそもその出典元さえ、正確な情報とは限りません。AIの判断のエラーに気づけなくなったり、誰かの意図によって間違った方向に誘導されたりという可能性もゼロではありません。ある研究者は「人は究極の判断を迫られたときに、心理的に機械のほうを信じてしまう。それがリスクとなるかもしれない」と話していました。高度なAI技術を使える企業はこれからますます強くなり、そうでないところは後れをとり、格差は広がります。いずれにせよ、産業革命以来の大きな発明であることは間違いありません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年7月5日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「新アー写」です。先日、アーティスト写真を新しいものにしました。2年ぶりくらいに変えました。これまでジェットコースターに乗ったり、モンゴルで馬に乗ったり、犬と一緒に撮影したり…。何かしら岡崎体育+αの要素を加えていましたが、今回は僕一人きりのスタジオ撮影です。ただ写真を見ていただければわかると思いますが僕が何かをかぶっています。ヌルヌルとしたものです。そうです、みなさんのご想像通り、今回ローションをかぶりました。なぜこのコンセプトにたどり着いたかというと、最初、TikTokで外国の方が、ツルツルのフローリングを滑りながら『VOGUE』みたいなポーズを決めているという動画があって、それを見て「めっちゃスタイリッシュや!僕もこれをやってみたい」と思ったんです。ポーズを決めてヌルヌルの床をツーッと滑る躍動感。それをMVで表現できたら…と思ったのですが、スタッフに相談したところ、「それはちょっと危ないし、床をヌルヌルさせていいセットを用意するのが難しい」と言われました。それならば、せめてアーティスト写真で表現ができないかと。ただ、動画なら奥から手前にツーッと滑る面白さを表現できそうですが、静止画だとどうでしょうか?伝わるかどうか微妙です。検討の結果、“床を滑る”という要素がなくなり、“ヌルヌル”だけが要素として残り、岡崎体育がローションをかぶるという話にまとまりました。当初の僕の思惑とはまあまあ違うことになりましたが、でもこれまでの人生でヌルヌルをかぶったことはないし、「なんだか面白そう」と思って話を進めました。撮影場所もあれこれ検討しましたが、ヌルヌルを受け入れてくれる場所があまりなく、結局スタジオでローションをかぶりました。撮影は一発勝負。僕が頭からかぶったローションを頭を振って振り払っている一瞬を切り取っていただきました。緊張感のあるワンシーンです。どうですか?この説明があってやっと、どうしてこのアー写にたどり着いたか理解していただけたのではないかと思います。あの写真を初めて見たファンのみなさんのとまどいをSNSなどで拝見して、正直これはミスったのか…?と思いました。でも、他にないアー写であることは間違いない。僕を知らない人もこれはなんだ?と、目にとまる一枚なのではないでしょうか。僕的にはとても満足しています!おかざきたいいくTVアニメ『マッシュ‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」のシングルパッケージが好評発売中。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年06月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タイ『前進党』の躍進」です。王政に懐疑的な若者らの主張に注目しよう。5月14日、タイの下院総選挙で、野党の「前進党」が大躍進し第1党になりました。前進党の党首は42歳のピタ氏。王政に懐疑的な姿勢の革新的な野党で、多くの若者たちが支持しました。開票前の、勢いはあってもメインストリームに躍り出ることはないだろうという予想が大きく覆されました。タイではこれまでにもクーデターが頻繁に起きています。民主政治を目指しながらも、軍事クーデターでひっくり返るということが繰り返されていました。王政に懐疑的な声が広がっていくきっかけとなったのは、前国王・ラーマ9世(プミポン国王)の死でした。タイは国王を元首とする立憲君主制の国です。国土は王のものであり、王の土地を借りて農作物を作り、ビジネスをしています。前プミポン国王は、亡くなる2016年まで70年間在位し、大変な人格者で人気を博していました。様々な争いごとも最終的に国王が出てきて収めていました。ところが現国王のラーマ10世(ワチラロンコン国王)は王太子時代から問題を起こし、即位後もコロナ禍で国民が大変なときに20名の女性とドイツで豪遊していました。軍はそんな国王を利用し、国王の好きにさせる代わりに、国王に対して不満を唱える分子を「不敬罪」で次々取り締まっていきました。当然、経済は弱くなりますし、独裁的な権力に富が集中します。自由が奪われ、公正さもなく、モラル的にも問題だと若者たちが王様に対してNOの声を上げ始めた。これは大きな変化です。タイの与党「タイ団結国家建設党」は軍事クーデター後に樹立された政党で、大企業の経営者などが支持しています。これまでの最大野党は、クーデター前のタクシン元首相の派閥の「タイ貢献党」で、低所得者や農村部の人々が支持してきました。5月下旬、前進党やタイ貢献党を含む8党が連立政権樹立に向けて合意。ただ、タイの国会は上院と下院に分かれており、上院は軍により選ばれた、基本的に与党議員です。下院で野党の数が増えても、上院が承認しないかぎり政権交代はありません。勢力を伸ばした野党を、国家反逆で取り締まるようなことが起きないことを祈るばかりです。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年6月28日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月23日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「発売延期」です。先日、自分のオフィシャルブログでも記事を書いたのですが、7月に予定していた僕の5枚目のオリジナルアルバム『録音』の発売を延期することになってしまいました。「もう出せる!出るぞ!」と思って、5月24日にリリースした『Knock Out』のシングルCDにお知らせのチラシを封入したんです。ファンのみなさんに、「新しいアルバムが出るんだ!」と喜んでいただきたい、びっくりしてもらいたい、と思ってサプライズ封入したものの、その後、発売延期が決定。だいぶダサいことをしてしまいました。ブログでも謝罪させていただいてますが、あらためてここでも楽しみにしてくださったみなさんにお詫び申し上げたいと思います。7月にアルバムをリリースすることができなくて、本当にごめんなさい。なぜ延期することになったかといえば、端的に言えば間に合わせることができなかったんです。いや、間に合うつもりでいました。7月にリリースするって決めたし、「絶対やってやるんだ」と必死になっていました。音楽制作を優先させたいと思いつつ、でも、今オファーを頂いている音楽以外の仕事やレギュラーでやらせていただいているTV番組やラジオ、雑誌の連載……それらも手を抜くわけにはいかない。岡崎体育は焦りすぎていたのかもしれません。なんか、それが周りからは、僕がいっぱいいっぱいになっているように見えたようです。その様子を見ていた、レコード会社のスタッフが「岡崎くん、アルバムのリリースタイミング見直しましょう。このまま進めても納得のいくものができないかもしれない」と言ってくれたんです。そう言われたとき、複雑な心境でした。間に合わせることができなかった、という自分の無力感や虚無感と、急いで作曲しなくてええんや、という緊張の糸がフッと解けたような安心感と。いろんな意味で、肩の力が抜けてしまった瞬間でした。延期をする。そう腹くくって決めた以上は延期した分、さらにいいアルバムにしようと今は気持ちを切り替えました。これを読んでくれている読者の方で楽しみにしてくれていた方がいたらお待たせしてしまって本当に申し訳ないけれど、その分いま出せるパワーを注ぎ込んだいいアルバムになると思います。そのまま、ぜひ楽しみキープのままで待っていてほしいです!3~4か月後にはめっちゃいいアルバム、出ます!おかざきたいいくTVアニメ『マッシュ‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」のシングルパッケージが好評発売中。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月21日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年06月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日韓関係改善」です。雪解けの日韓関係。政治とともに民間の動きに注目。3~5月の間に岸田首相は3回にわたり、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と日韓首相会談を行いました。文在寅(ムン・ジェイン)前政権は、北朝鮮と融和的で南北首脳会談を行い、日本に対しては距離を置いていたのに対し、尹政権は日本やアメリカと連携を強める方向に大きく舵を切っています。日韓で抱える歴史認識や戦時賠償の問題に関しても、いったん解決ということで手を打つことを提案。国内世論を抑え、よく決断したなと感じますが、東アジアの安全保障環境が刻々と変化しているため、やむを得ないということを韓国国民も理解しているのだろうと思います。この動きは歓迎しますし、目の前の有事に対処するために日米韓の連携はとても大切なのですが、その先のビジョンも必要でしょう。今後、北朝鮮や中国、ロシアとどういう関係を築くのか、分断を生まないための対策も考えなければいけません。一方、日韓関係では民間でも前向きな動きがありました。寄付文化の浸透に貢献しているNPO「日本ファンドレイジング協会」が、韓国の大財閥・SKグループの財団と組み、「アウトカムファンド for IMM」を立ち上げました。近年、社会的な問題がどれだけ解決されたかを裏付ける指数を「アウトカム」と呼んでいます。たとえば、いじめや自殺件数が減少したなど、課題解決がなされたものをわかりやすい指数で示し、データ化して広く公開。解決を推し進めた団体や企業に財団から資金を入れていき、投資の対象になるようにしていくプロジェクトです。年間で最大約1000万円を3年間投じる試みを始めました。自殺率が高い、SNSによるいじめが深刻、教育にかける国家予算が低いなど、日本と韓国では同じような社会課題を抱えています。その改善方法を2国間で共有し、解決への糸口を見つけようとしているのです。この交渉が始まったのは前政権時ですが、政治の上でも日韓に柔らかいムードが生まれれば、理解も広まり、プロジェクトの後押しになります。もしかしたら、このような民間発の国同士の交流が、対中国、対ロシアなどとの関係改善の突破口になっていくのかもしれません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年6月21日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月16日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「鳥居強右衛門」です。大河ドラマ『どうする家康』に僕が演じる鳥居強右衛門(とりいすねえもん)がついに登場しました。ご覧になった皆さんはご存じのことと思いますが、出てきたその日のうちに死にました。1話限定の出演だったわけですが、それでも僕が登場するこの第21回は“鳥居強右衛門回”と言っていいほど、半分以上彼のエピソードで尺をとっています。鳥居強右衛門というヒーローがいたことが、とても印象に残る回になったのではないかと思います。今回、演じてみて難しいなと思ったのは突き飛ばされ方です。鳥居強右衛門という男は、主君の戦国武将・奥平信昌に忠誠を誓い、長篠城を守るために奔走する男気のあるやつなのですが、普段はだらしなくて失礼な男なんです。とにかく人にすがりつく。人にあられもなくすがりついては、突き飛ばされます。ドラマの中ではいろんな人に5回ほど突き飛ばされます。僕はきょうだいのいない一人っ子です。ケンカもせずにここまで平穏に育ってきましたので、幼少のころから突き飛ばされる経験などありません。どういうふうに体重移動をしたら突き飛ばされたときに痛くないのかもよくわからない。気づけば、僕の膝はずっと傷だらけでした。登場回数はこの1回だけですが、僕がこの作品の中でもっとも突き飛ばされているのではないかと思います。僕の受け身の取れてない突き飛ばされ具合も、皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。史実を見ると仏頂面で硬派なイメージの鳥居強右衛門ですが、ドラマでは監督の意向でちょっとひょうきんなキャラクターに演出されていました。それも僕に合っていたように思います。また、走ると自然に歌を口ずさむ癖があるのですが、そこもミュージシャンである僕の特性を生かしてくれたのかな、と思いました。この鼻歌は物語の中でも大事な役割を果たしているのですが、その当時にあってもおかしくないメロディラインでないといけないので、歴史の先生や歌の指導の先生監修のもと作られています。これもまた大河ドラマに出演しないとできないことだと思うので、とてもいい経験になりました。鳥居強右衛門は、地元である愛知県の新城市では今も愛されている存在です。そのイメージを崩さずに、さらに愛される存在になれたらと思って演じたので、皆さんに気に入っていただけたら、がんばって演じた甲斐があります!おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」のシングルパッケージが好評発売中。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年06月10日二宮和也が、携帯を持たない女性に恋をする主人公を演じるラブストーリー映画『アナログ』。この度、本作に藤原丈一郎(なにわ男子)、鈴木浩介、坂井真紀、筒井真理子、宮川大輔、佐津川愛美が出演することが分かった。主人公の悟(二宮和也)は、デザイン会社で働くデザイナー。そんな悟を慕う大阪支社の後輩でムードメーカーの島田紘也を、現在「ペンディングトレイン―8時23分、明日君と」に出演中、今回二宮さんと初共演となる藤原さん。悟が務める東京本社の直属の上司で、カタカナビジネス用語を多用し、周囲を困惑させる岩本修三を、近年では「ブラッシュアップライフ」、「スタンドUPスタート」に出演した鈴木さんが演じる。そして、悟の母・玲子の担当医・浅井陽子役で坂井さん、悟のクライアントでイタリアンレストランのオーナー・椎名順子役で筒井さん、島田の上司・高橋俊和役で宮川さん、悟の友人・山下(浜野謙太)の妻である香織役で佐津川さんが出演し、偶然の出会いから始まる運命の恋を彩る。『アナログ』は10月6日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:アナログ 2023年10月6日より全国にて公開©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.
2023年06月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国際アビリンピック」です。障害者が技術の高さを競う大会。ぜひ、注目を!「アビリンピック」とは、障害のある方の職業にまつわる技術を競うことで、職業能力の向上と、企業の雇用を促すことを目的にした大会です。その国際大会が、3月にフランスのメッス市で開催されました。26の国と地域、440名の選手が参加し、44種目の競技が行われました。日本選手団は30名、17種目に参加しました。今年で10回目になりますが、実は第1回は、1981年の国際障害者年に日本で開催されました。パラリンピックも日本生まれですし、ダイバーシティ化が遅れていると言われますが、障害者のみなさんの活躍の場は、日本がリードして作ってきたのです。今回は歯科技工で金賞、家具(基礎)、ネイリスト、電子機器組立、英文ワープロで銀賞を、家具(応用)、ネイリスト、クリーニングサービスの部門で銅賞を獲りました。僕は現地に行って取材したのですが、さすがフランス、メッスの子供たちが先生に引率されて、見学したり、アクティビティに参加したり、選手のみなさんと交流をしていました。フランスやスイスなどヨーロッパの国々でアビリンピックが開催されるときは、必ず見学に行くことが学校のプログラムに組み込まれているのだそうです。ネイリスト部門で銀賞を獲得した山下加代さんは、北海道出身。2019年のアビリンピック全国大会で金賞を受賞。JALサンライトという、障害者と健常者が共に働く会社から声をかけられ、’20年の全国大会後、同社に就職しました。そして今回、国際大会に出場したんですね。応援に来ていた同社の社長は「彼女たちの頑張りが、健常者の社員に学びと刺激を与えてくれている」とおっしゃっていました。会場ではインドの選手団が日本選手団に駆け寄り、「あなたの国がアビリンピックを始めてくれたおかげで自分たちがいます」と感謝の意を告げる場面も。しかし、残念なことに日本ではアビリンピックはほとんど認知されていません。さまざまな分野において、高い技術を世界に伝える大会でもあります。本当の意味でのダイバーシティ促進のためにも、もっと多くの方に興味を持っていただきたいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。8bitNews代表。『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX)が放送中。スーダン取材の2つの写真展を6/6~11に、両国『ピクトリコ』と恵比寿『弘重ギャラリー』で同時開催。※『anan』2023年6月7日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「推し活」です。この連載を読んでくれている方々にも、何かしら好きな人=“推し”がいるのではないでしょうか。みなさんは年間、推しを応援する活動“推し活”にどれくらいお金を使っていますか?いや、これはいやらしい話でもなんでもなく、アーティストとして活動するためには、どうしたって資金が必要です。アーティストに良い活動をしてもらうためには“課金”というファンの応援は必要不可欠なんです。お金を払っていただいて、CDを買ってもらう、ライブに来てもらう、グッズを買ってもらう。そういうことが、アーティスト活動をしている人のガソリンになります。なので推し活は、好きなアーティストのためになることですから、みなさんガンガンしていっていいのではないでしょうか。こういった、ファンの方が好きな対象のことを“推し”と呼ぶようになったのは、いつ頃からなのでしょうか。僕はAKB48の存在が大きかったんじゃないかなと思います。AKB48のプロデューサー・秋元康さんは総選挙というシステムを生み出し、ファンの投票で、今誰がいちばん人気があるのかランキングが分かるようにしました。それを行った結果、それぞれのファンの間で「俺がなんとか順位を上げてあげなきゃ」とか「私が彼女を支えてあげる」という意識が生まれた。“推す”ってすごく能動的な言葉ですよね。自分が自ら何かを推しているんです。強制的でも受け身でもなく、叶えたいことのために、その推進力になるために、自ら行動する。ファンという存在の自己肯定感を高めてくれる言葉なのではないかと思います。AKB48の総選挙は終わってしまいましたが、推し活という文化は残りました。今後、それがどう進化していくのかも楽しみです。個人的には、推し活がもっともっとパーソナルなものになればいいなと思います。より自分自身のために推せるようになれたらいい。たとえば、学生なら推し教科を作るとか、社会人なら推し営業先を作るとか…。僕は自分のカラダの中に推しを見つけたいです。臓器なら肝臓を推したい。先日、人間ドックを受けてまだその結果は受け取っていないのですが、肝臓の数値が悪いんじゃないかとちょっと心配なんです。だから、肝臓がんばれ!オルニチン働け!と自分の肝臓のことを推してあげたい。成績が悪いようなら、サプリとかで課金してあげたいと思います。おかざきたいいく「Knock Out」のシングルパッケージ(CD+DVD期間生産盤)が発売中。7月には対バン形式の自主企画イベントokazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年05月31日