■ 前回 までのあらすじ15歳で整形した私は、だれも知っている人がいない高校へ進学。そこで「かわいい」と初めて人から褒められ、整形を勧めた母が正しかったと思い始めていた。けれども私の心のなかでは…》 整形して高校デビュー…楽しいはずなのに「本当の私」から逃げられない ■整形で母に認めてもらえたと思ったけど…■私はみんなに見下されてる!?母の言葉は!?自分が太めであることは、私もわかっていました。もっとスタイル良くなりたいな、とも思っていました。でも、それでも学校は楽しかったし、友だちとも仲が良かったし、正直自分ではそこまで深刻に気にしていませんでした。しかし母から言われた言葉。皆言わないだけで見下しているんだよ───…心にズシリと鉛が落ちたようでした。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2020年02月13日「毒親」という言葉が世間一般に知られるようになってきましたが、私の父も祖父母も毒親でした。子どものときは本当につらい思いをし、その毒親ぶりは今でも夢に出てきて夜中に飛び起きてしまうほどです。しかし、捉え方を変えれば彼らは立派な反面教師。今回は毒親育児を反面教師にしている私の経験をお伝えします。 祖父母からの言葉がけを反面教師に私は物心ついたときには祖父母に育てられており、実の両親の顔を知りませんでした。今でも、なぜ両親がいなかったのかはわかりませんし、知りたくもありません。それでもやさしい祖父母に育てられて、めでたしめでたしといきたいところでしたが、決してそういうわけにはいかなかったのです。祖父母はとても恩着せがましく、口癖のように「お前は本当は施設行きだったのに」と言ってきたのです。これは今思い出してもつらい言葉です。そのため、私はわが子には毎日のように「生まれてきてくれてありがとう」と伝えるように心がけています。 お風呂は週1、おかずはスーパーの総菜のみ祖父母は戦争時代を生きた人だったためか、今の人と感覚がズレているところがありました。その最たる例がお風呂に毎日入らないことです。どんなに汗をかいても週1回しかお風呂に入れてくれませんでした。また、祖父母は2人ともごはんを作ることができないからと毎日スーパーの総菜を与えられました。そのため、私にとってのおふくろの味はスーパーの総菜なのです。これらの経験から、私はどんなに疲れていてもわが子を毎日丁寧に入浴させ、手作りの料理をおなかいっぱい食べさせるように努めています。 父が帰ってきてからは恐怖政治が始まるそれでも、小学生のときにフラッと父が帰ってきてお風呂などの衛生面は改善されました。ところが、この父親もとんでもない人でした。思い通りにならなければ乱暴な言葉で怒鳴って言うことを聞かせようとするのです。その怒り方は本当に常軌を逸していて、とても恐ろしいものでした。父はたまに家に立ち寄る程度の存在だったのに、怒鳴り散らすためだけに現れることもあって、父がいると気が休まりませんでした。私はこの父の恐怖政治を反面教師に、むやみに大声を出さず、諭すように叱ることを心がけています。 私自身は毒親にはなるまいと努めてきたためか、わが子はのびのびと育っています。昔のつらい思い出を振り切れる日はなかなか来ないと思いますが、子育ての反面教師として毒親との思い出を利用すれば、親としての道を踏みはずすことはないだろうとプラスに考えるようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:imasaku著者:鏡 環2歳の息子の母。現在第二子妊娠中。元高校教員。うつ病と闘いながら夫と二人三脚で育児に励む。
2020年02月09日■前回までのあらすじ私を見て「みっともなくて外出もできない」という母。容姿が悪くて“かわいそう”な私のために、母が準備したのは整形手術だった…!》 私を「醜い」と嘆く母…認められたい私は15歳で整形に踏み切った ■誰も本当の私を知らない世界■みんなに好かれて楽しいはずなのに…新しい生活の始まりは好調でした。誰も私が整形をしていることを知らない環境。容姿が違うと周りの反応はやっぱり違う。それを強く実感しました。私の顔を見ては、哀れでいた母。「かわいくない」という言葉をずっと母にかけられた私にとって、周りからの「かわいい」という言葉は強烈に突き刺さりました。でも周りに好かれ、「かわいい」と言われるほど、自分が否定されていくような錯覚。そして自分に嘘をついているような気持ちになっていってしまったのです…※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2020年01月31日■前回までのあらすじ習い事も、髪型も、学校もすべて母が決めていってしまう。私が誤った道を進まないように、「お母さんが指示してあげる」という母。私は何も考えられなくなっていき…。》 母が私のすべてを決めていく…髪型も、学校も、何も想いが届かないく ■私を見て、「みっともない」と嘆く母■私はかわいそう? そして整形手術へわが子のためならなんだってやってあげたい親心。それは本当に子どものため…?それとも、自分が恥ずかしくてみじめだから…?母にとって私はアクセサリー代わりなの…?当時の私にはその区別ができませんでした。私はみっともなくて、かわいそうな娘。お母さんが喜んでくれて、認めてくれるなら、私は整形してもよいとすら思ってしまったのです。たとえそれによって自分自身で犠牲を払うことになったとしても…。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2020年01月30日自分が親になってみると、乗り越えたはずの「幼少期の辛い記憶」がよみがえる…。そんな人は、案外多いようです。親にされたようなことを、自分の子どもにはしたくない! 虐待の世代間連鎖を防ぐために、私たちができることは?母子論の第一人者であるカウンセラーの信田さよ子先生が、豊富なカウンセリング経験から導き出した初の子育て論を出版されたので、お話しを伺いました。この記事は、 「『親にされたことを、わが子にしたくない』そんなママに限界がきたら…」 「子どもが泣くと怒りが沸く…その負の感情が世代間連鎖を生む!?」 の続きです。■虐待の世代間連鎖を防ぐ二つのキーワード―「親にされたようなことを、自分の子どもにはしたくない!」と思う人は多いようです。信田:日本には、虐待にかかわる広範な職種の人たちにより構成された「日本子ども虐待防止学会」という学会があり、そこでは世代間連鎖に関する研究がいくつも発表されています。それらの研究から浮かびあがる重要なキーワードは、2つあります。ひとつは、「アタッチメント」、もうひとつは「感覚否定」です。―「アタッチメント」とは、何ですか?信田:アタッチメントは、子どもが不安を感じたときに、養育者にくっつくことで安心感を回復するシステムです。ここで注意したいのは、アタッチメントは「愛情」を表しているのではなく、むしろ危機的場面を切り抜けるために必要な「安心感」を表しているという点です。つまり、アタッチメントは「親から子どもに与えるもの」(愛情)ではなく、「子どもの側が親に求めるもの」(安心感)なんです。■子どもが親に求めているものとは?―なるほど。信田:アタッチメントのシステムが子どもの成長とともに安定的に発達すると、満2歳ごろから、自分と他者との関係性について、心の中のイメージが構成されるようになります。これを「内的作業モデル(Internal Working Model)」と呼びます。アタッチメントのシステムが子どもの成長とともに安定的に発達すれば、「自分の感覚は世界から受容されるはずだ」「他者は自分に安心感を与えてくれる」という信頼感が育ち、子どもの心の中には、世界とは、他者とはそのようなものである、というイメージが形成されていきます。―そのイメージ、とても大切ですね。信田:けれども、全員が全員、アタッチメントのシステムがうまく形成されるとは限りません。安心できる定点のようなものがどこにもなかったとしても、子どもたちは成長せざるをえませんから。そうなると、親子関係、対人関係におけるさまざまな特徴が生まれることになるんです。―どんな特徴があるのでしょうか?信田:たとえば、ほんとうはケアを求めているのに、わざと求めなかったり、ケアなんか必要ないという態度をとったりします。危険な行動を起こしたり、相手を攻撃したりすることで、ケアを求めていることをわかってもらおうとすることもあります。時には、反対に相手をケアする側に回ったりします。それらは、たいてい周囲の大人から「本人の個性」「性格」「遺伝」とされがちですし、本人たちもそう思い、成長し、結婚し、やがて親となる時を迎えます。アタッチメントがどのように形成されているかを、多くの人は自覚することはありません。目にはみえませんし、自分はそういう人間だと思っているからです。■子どもの「不快」を受け止められない親―「アタッチメント」という概念、とても重要性ですね。では「感覚否定」とは、何ですか?信田:子育てで最初に直面するのが、「子どもの泣き声」です。 育児に対して困難な気持ちを抱える女性たちのカウンセリングにかかわった経験がありますが、深刻な虐待をくりかえす女性も少なくありませんでした。「子どもが泣くと不安や憎しみが沸く」「いらいらしたり、何ともいえない気持ちになったりする」「心臓がどきどきしたり、呼吸が荒くなったりする」……。これらは育児ノイローゼとかたづけられがちですが、彼女たちの反応をもっと深くとらえる必要があります。これらの反応は、「子どもが泣く」という負の情動に対して、母親も負の反応を生じてしまうことを表しているんです。「どうしたの、よしよし」と抱っこする以前に、負の情動を示す子どもに対して母親の身体レベルでの拒絶が起き、結果的に子どもの負の情動を拒否してしまう。この拒否が、感覚否定です。―母親として、「子どもの負の情動を受け止めることができない」ということですか?信田:自分自身が負の情動を受け止められたという経験がない、負の情動を生み出す感覚が否定されてきたことが、泣く子どもへの身体レベルでの拒否感を生み出していると考えられます。子育てという事態に直面したとき、アタッチメントの課題が「感覚否定」という問題となって再浮上するのです。―「アタッチメント」と「感覚否定」、そんな因果関係があるのですね。信田:子どもの泣き声は、不快だったり、苦痛だったりするので生じる声です。それらが親から否定されたり、親から攻撃されたらどうなるでしょう?アタッチメントという言葉を用いれば、親の感覚否定こそが、アタッチメントが形成されることの最大の妨げとなっているとも言えます。不快で泣くしかできない子どもが、それを拒絶されるということは、感情・情緒を受け止めてもらえないというより、もっと身体感覚に近いものがあるでしょう。■子どもが泣いた時、自分に課すべきこと―母親として、そのような状態になってしまう場合は、どうしたら良いのでしょうか?信田:子育て中のママには、「子どもが泣いたら、とにかく『よしよし』と口に出すこと」と、お伝えしています。「よしよし」というのはあやす言葉ですが、「良し」という肯定も表しているんです。とにかく「よしよし」とつぶやくことを、自分に課す。それが条件反射になるくらい、毎日練習してみる。「自分はそんなふうに言ってもらったことがない」と、気づく人もいるでしょう。それはとても重要な気づきだと言えます。そして、「私は未経験のことをやろうとしている。何てすごいんだろう」と、「よしよし」に取り組む自分をほめてあげましょう。ひとりでぶつぶつ、「よしよし」という練習をする、このような練習をして、それを習慣化していく方法を「行動療法」と言います。理由はなんであれ、とにかく行動する、それを習慣化させることが大切なのです。―なかなか、厳しいですね。まるで修行のようです。信田:子育ては、修行という部分もありますよね。もう少し子どもの年齢があがれば、「いやだ」「お腹がすいた」ということもあるでしょう。転べば「痛い!」と言うでしょう。そんなとき、「いやじゃないの」「お腹なんて空いてないの」「痛くない!」と、言わないで欲しいのです。それこそが、感覚否定ですから。「痛い!」と、子どもが言えば「痛いのね」と復唱する。共感できなくても腹がたっても、とにかく子どもの言葉を「復唱」するのです。なぜなら、感情がこもっていなくても、どこか機械的であったとしても、否定するより、はるかにましだからです。「痛くないでしょ!」が感覚否定であるのに対して、「痛いの痛いの飛んでけ」は感覚肯定になります。このような伝承された言葉遣いには、感覚否定をしない智恵がつまっていますね。■世代間連鎖を防ぐために、私たちができること―「アタッチメント」「感覚否定」、あらためてキーワードだと感じました。信田:感覚否定に陥らないためには、子どもの言動に対して自分がどう感じているかを察知する必要があります。「ああ、自分は怯えている」「子どもが泣くとパニックになる」といった具合に自覚するためには、子どもの様子と同時に、自分の感覚を観察する必要があります。それをセルフウォッチング(自己観察)と呼びます。このような知識があったとしても、日々の子育ての場面で、すぐに自覚できるわけではありません。自己観察することに拒否感を覚える人もいます。自分の感覚を麻痺させるために、酒や薬などに依存することもあるからです。第三者(専門家)の援助を受けながら、自分の感覚に気づけるようにするという長いプロセスが必要となりますが、けっして不可能ではありません。―そうおっしゃっていただけると、何だか気力が沸いてきます。信田:自己観察によって、自分が子どもと向き合うときに不意に生じる負の反応を、だんだんと自覚できるようになると良いですね。●なぜ子どもが泣くと、自分が責められたように感じるのか?●なぜ子どもがぐずったりだだをこねたりすると、見境もなく怒りが沸いてきて怒鳴りたくなるのか?前述のとおり、このような反応が子どもにとって感覚否定になることを知り、その多くが、自分が育つ中で経験してきたものだとすれば、自分はそれを繰り返さないようにしなければなりません。―なるほど。信田:自分が親からどのようなことを継承したか、何を子どもに継承させたくないかを知るために、もう一つ大切なのは生育歴を振り返ることです。ときに振り返ることは苦しかったり、蓋をしておきたいという気持ちから、思い出せなかったり、思い出すことで不安定になったりすることもおきます。できれば専門家(カウンセラー)や、同じ経験をした仲間(友人)などと一緒に振り返るほうが安全かもしれませんね。―第三者(専門家)の援助、とても大切ですね。信田:これは私の持論なのですが、両親学級で、沐浴や授乳を教わるのに加え、そのうちの1回を生育歴作成にあてたらどうかと思っています。夫婦それぞれが生育歴を振り返ることで、あらためて、生まれてくる子どもに伝えていきたいこと、継承させたくないことを自覚できるのではないでしょうか。どの人にも、自分が親にされたように自分のこどもにはしたくないという点がひとつはあるはずです。それを確認するために生育歴を振り返ることは、世代間連鎖の防止ともいえるでしょう―本当にそうですね。信田:日々の練習を積み重ねることで、子どもに対して望ましい接し方ができるようになると思っています。「自分はそうしてもらってこなかったとしても」です。何より「世代間連鎖を防ぎたい」と願うことそのものが、すでに防止の第1歩なのです。そんな自分のことを「すばらしい」と、自信を持っていただきたいと思います。いかがでしたか? 子育て中に沸き起こる負の感情は、ママなら、誰しもが経験済です。けれども、「負の感情が自分の手に負えない!」と感じるならば、信田先生のような専門家の援助も必要なのでは? と、筆者は思っています。1人でも多くの独りで悩んでいるママに、この特集が届くことを願っています。<世代間連鎖を防ぐには>1)世代間連鎖を防ぐためのキーワードは、「アタッチメント」と「感覚否定」2)子どもが泣いたら、「よしよし」という練習から始める3)「世代間連鎖を防ぎたい」と願うことそのものが、すでに防止の第1歩■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作 『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』 (¥1,400円(税別)/講談社)信田 さよ子さん臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
2020年01月25日以前、信田先生を取材させていただいた 「『私って、毒親?』と心配するママたちの原因は、“母”にある!?」 という記事が、とても人気がありました。それだけ、多くの人が、「こんなに感情的になってしまう私って、大丈夫?」と、心配しているのだと思います。》 「『私って、毒親?』と心配するママたちの原因は、“母”にある!?」 出産・育児の時期は、自分の母親の育児態度が思い出され、「母と同じ口調でわが子を叱ってしまう」と、自己嫌悪を感じることも。「私って、もしかして毒親?」と、心配になるママはどうすればいいのかをひも解いていきます。それだけ、多くの人が、「こんなに感情的になってしまう私って、大丈夫?」と、心配しているのだと思います。子育てをしていれば、感情的に子どもを叱ってしまう日だってあるでしょう。では、母親は、感情的になってはいけないのでしょうか? 引き続き、母子論の第一人者であるカウンセラーの信田さよ子さんにお話しを伺います。この記事は、 「『親にされたことを、わが子にしたくない』そんなママに限界がきたら…」 の続きです。■「感情的になった母親はひどい」のか?―つい感情的に子どもを叱ってしまい、その後に激しい自己嫌悪に陥ります。信田さよ子さん(以下、信田):「感情的になった母親はひどい」と考えると、「感情的になってはいけない」「怒ってはいけない」と抑制しなければという気持ちになりますが、それは誤解です。たとえ否定的な感情だったとしても、湧き上がる感情そのものに良い悪いはないんです。「怒りの感情を抱く」ことと、「それをどのように表現するか」は、別の話として考えた方が良いですね。―そうなんですか?信田:怒ったらすぐに怒鳴ってしまう、思わず子どもを叩いてしまうという人は、「怒り」を「抑える」しか方法がない、だから我慢しなければというふうに考えがちです。近年の心理学の成果は、どれほど怒りの感情が激しくしても、その表現方法は「選択」できることを明らかにしたことです。―表現方法を、「選択」ですか?信田:それには、自分の怒りを客観的に眺める必要がありますね。「怒りの温度計」という比喩は、とても役に立ちます。ゼロから10までの目盛りの温度計で「今6度だ、このままの状態を続けると9度を超えてしまう」というように、自分がどこまで怒りを抱いているか、怒りの程度をウォッチするのに温度計の比喩は役立ちます。怒りの温度計が上昇しているときであっても、ゆっくりとそして落ち着いた声で、「パン屋さんでは、パンに指でさわってはいけません」と、伝えることはできるでしょう?―なるほど。そんなふうに考えれば良いんですね。信田:怒ったらすぐ大声で怒鳴ってしまう、という人は、行動の選択肢は怒鳴る以外にもあることを知らないか、怒鳴るという行為を許している、自分を正当化しているんだと思います。もし、「自分の子どもだから怒鳴ってもかまわない」と考えているとすれば、はなはだ迷惑な話だと思います。子どもを所有物だと思っているのではないでしょうか?■叱るのはいけないことなのか?―所有物というか、子どもに対して「責任がある」と思っているんです。信田:なるほどね。そういう方は、もしかすると「怒る」と「叱る」を混同しているのかもしれませんね。最近は、「怒ると叱るは違う」と、さまざまな子育て本に書いてあり、ひとつの定番化になっているほどです。でも、「怒る」と「叱る」の違いを理解している人は、案外と少ないのかもしれません。「叱る」行為の大前提として、「自分の感情を爆発させるためではなく、相手の成長のため」という目的がある点を、意識してみましょう。つまり下の存在を成長させるために、上の存在がきつく諭し気づかせるように導くことが、「叱る」という行為です。そこには、「上から下への勾配関係」があります。―なるほど。信田:けれども、最近では子どもに対して「上から目線」になることをためらう親が増えています。「子どもを対等な人として扱うことが大切」、「押し付けない」「強制しない」、「なぜなら子どもの自主性が大切だから」といった育児観が広がることで、上から目線の命令口調は否定されるようになってきました。けれども、「〇〇してはいけません」「〇〇しなさい」と発言しないことは、親が責任を取ることに怯えているんじゃないでしょうか。もっとはっきり言えば、「叱らない親」「お願いする親」の本質は、私には責任逃れのように感じられるのです。■子どもに怒ってしまったことは取り返しがつかないの?―すごく思い当たります…。でも、やっぱり、何だか及び腰になってしまうんです。信田:「怒る」と「叱る」を、整理できるようになってくると、怒りのエネルギーを上手に使えるのかもしれませんね。そんな方に知っておいて欲しいのは、思わず怒りの感情が暴発してしまったとしても、取り返しがつかないわけではない。ちゃんとフォローできていれば大丈夫、ということです。取返しのつかないことなどないんです。―そういってもらえると、何だかホッとします。信田:そして、さらに、親が叱る時の基準をつくることが大切です。親の気分次第の勝手な叱り方は、子どもに大きな混乱をもたらしますからね。そうすると、子どもなりに、リスクの少ない安全策は「親から見て常にいい子でいることである」と学んでしまうんです。過剰ないい子、誰からみてもいい子であることの背景に、親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発があることは指摘しておきたいと思います。―そうなんですね…。信田:望ましい家族の一つの条件は、「子どもなりに納得できる原則を親が示し、親がそれを守ろうとする姿勢を示すこと」。それはひとつの「秩序」を示すことですね。叱るという行為は上から下への支配的な言動のひとつですが、「自分の感情を爆発させるためではなく、相手の成長のため」という目的ゆえに許されるのです。こうやって整理しておけば、「怒る」ことをむやみに怖がらなくなるし、感情的になってしまった時も、きちんと「叱る」ために、ハッと立ち止まれるのではないでしょうか? <感情的に怒ってしまうママへ>1)「怒り」の表現方法は選択できる。「怒りの温度計」という比喩を使うとわかりやすい2)「叱る」のは、相手の成長のため。叱る時は基準を示し、親は基準を守る姿勢を見せる3)親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発が、「いい子」を作ってしまう次回は、いよいよ本特集の仕上げ。虐待の世代間連鎖を防ぐためのお話しです。■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作 『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』 (¥1,400円(税別)/講談社)信田 さよ子さん臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
2020年01月24日「親のことを、手放しで『大好き!』と言える人って、案外、少ないんだな」と、そんなふうに筆者は感じています。仕事仲間やママ友の多くが、自分の生育歴のどこかは、納得していない…。言い換えれば、「親にされて、嫌だったこと」は、誰にでも、ひとつや、ふたつあるんです。それでは、自分の子育てで繰り返さないためには、どうしたら良いのでしょうか? 原宿カウンセリングセンター所長であり、母子論の第一人者の信田さよ子先生が、初の育児論を書かれたというので、お話しを伺ってきました!信田 さよ子さん(のぶた さよこ)臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。親子・夫婦関係、暴力、ハラスメントなどの問題に関するカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)ほか多数。■親にされたことを、自分の子どもにはしたくない!信田先生は、言います。「私のところにカウンセリングに訪れる人たちの多くが、自分が親たちから受けた育児態度やしつけ、もっと具体的に言うなら虐待に近い経験を子どもに対して繰り返したくないと考えています」。日本では、いまだ「虐待」という響きから、殴る蹴るといった残酷な行為のことをイメージしがちです。けれども、虐待とは次の4つのことを指すことを、まずは知っておいて欲しいと思います。<「4つの虐待」の定義>●身体的虐待:殴る、蹴るなど身体的な暴力を行う●心理的虐待:「ばか」「お前なんかはいらない」といった、言葉の暴力や、DVを見せること●性的虐待:子どもに対して性的な言葉を浴びせたり、性的行動を見せたり、行う●ネグレクト:子どもの心身の健康な成長・発達に必要な世話・対応をしない(筆者作成)身体的な暴力はもちろんのこと、「子どもの心になんらかの傷を負わせる行為は虐待である」という知識があると、親との間にあった「納得のいかない感情」を、俯瞰(ふかん)しながら突き放して眺めることに役立つのではないでしょうか? 「カウンセリング現場からの声を逆算していくと、『これだけは子どもに対してやってはいけない』というものが見えてきます。それをしないようにするだけで、虐待の防止になります」(信田先生)■家族が機能するために大切なことは?信田先生のカウンセリングは、「家族の中で生じる問題は、原因があるわけではない」というスタンスです。「私たちカウンセラーの仕事は、原因を見つけ、犯人を摘発することではないのです。考え方としては、因果論ではなく循環論に近いのかもしれません。『原因によって問題が起こっているのではなく、悪循環が起こっているのだ』と考えています」(信田先生)では、その悪循環は、どう断ち切れば良いのでしょうか?キーワードは、世代間境界です。わかりやすい例としては、夫との関係がうまくいかない母親が、子どもとタッグを組んで、夫の存在を疎外してしまう…。「適度な世代間境界の形成と尊重が、家族関係を適度に機能させるんです」(信田先生)■母親は子どもに嫉妬していないか?適度な世代間境界の形成の第一歩として、意外かもしれませんが、「子どもに嫉妬していないか?」というチェックが必要です。<「子どもに嫉妬していないか?」チェック例>□私は親からそんなことをしてもらったこともないのに、この子は、私という親からいい思いをさせてもらっているんじゃないか□同性である娘がキラキラとして幸せそうな顔をしていると、「いい気になるんじゃない」などと、透明な水に真っ黒な墨を一滴垂らすような一言を投げつけたくなる。でも、私は親心から慢心をたしなめていると思い正当化する「こんな気持ちになることがあったら、親が子どもに嫉妬している、と言い換えても良いのではないか?」と、信田先生は言います。「親にしてもらえなかったことを、子どもにはやってあげようとは思いながらも、それはすんなりといくわけではないのです。誰かに支えてもらったり、そんな自分を認めてもらいながらでないと、限界が来てしまいます。まずは、『私は子どもに嫉妬している』と、自分で気がつけるようになることが大切ですね」(信田先生)■虐待する親たちが例外なく言うこと私は子どもに嫉妬している。そんな自分の醜い気持ちに、自分で気がつけるようになる! なかなかヘビーな作業です。でも、筆者は、子育てはキレイごとだけではやっていけないとも思うのです。「自分の醜い気持ち」から目を背けないでいようとする気力や勇気。それは、やっぱり必要なのではないか? そんなふうに思います。なぜなら…。「虐待をする親たちは例外なく『子どもが言うことをきかなかった』と言います。自分が腹を立てたことを『自分の問題』ではなく、『腹を立てさせた子どもの問題』であるとする思考回路です」(信田先生)こう言われて、思い当たらない人の方が少ないと思います。筆者も、思い当たり過ぎて胃が痛くなりました…。でも、こんな時に、「自分で気がつけるかどうか?」は、大きな大きな分岐点だと思うのです。「親を怒らせないように、母親が何を期待しているかを瞬時に察知して、そのとおりの言動をする癖が子どもについてしまう。そうなると、いつもびくびくして、母親の表情を伺うことになってしまいます」(信田先生) 要は、子どもに、甘えないこと。筆者は、このお話しを伺って、子どもに、自分の醜い心を背負わせるのではなく、自分が向き合える人になりたいと感じました。それは、とてつもなく難しいことだと、途方のなさに溜息が出てきますが……。<親にされたことを自分の子に繰り返さないために>1)家族が機能するためには世代間境界が大切2)世代間境界を意識するために、「子どもに嫉妬していないか?」をチェックする3)自分の負の感情を、子どもに背負わせない次回は、ママの永遠のお悩み。「ついつい子どもに対して感情的に怒ってしまう」について考えてみましょう。■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作 『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』 (¥1,400円(税別)/講談社)信田 さよ子さん臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
2020年01月23日■前回までのあらすじ父と別居した母は、私への要求がエスカレート。「強い女になりなさい」と、スカートを6年間禁じられることに。私が歯向かおうとしたとき、母がとった行動は…。》 服を切り刻む母。着たい服すらも支配されていく ■髪型も、習い事も、学校も…すべて母が決めていく■「あなたのため」という釘で、私はもう何も考えられない子どもの頃は『子は親に従って当たり前』と思っていました。たとえそれが嫌なことでも、親に育ててもらっているのだから仕方ない、と思っていました。『お母さんと同じ価値観になれない私が悪いんだ』いつも自分を責めていました。でも自分が親になって、あの頃のことを思い出すと、あの頃はまだ考えられなかった、処理しきれなかった感情が湧き上がってくるのです──・・・※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2020年01月17日■前回までのあらすじ教育熱心でみんなから「良いお母さん」といわれる私の母。「私のため」と母が思ったことだけはやらせてくれた。でも本当に私がしたかったことは…。》 「良いお母さん」とみんなに言われる母。それなのに不満を持つ私は悪い子? ■父と別居した母。私への要求がエスカレートしていく■母は私に罪悪感を植え付けて、私を支配する母が怒るのは全て私が悪いからだ───・・・ずっとそう思っていました。この日以来禁止されていたスカート。次に履けたのは中学校の制服でした。6年ぶりに履いたスカートは女の子らしくてかわいくて、嬉しかったのを覚えています。言うことを聞かないのは子どものわがまま?言うことを聞かせたいのは親のわがまま?本当にわがままなのはどっち・・・?※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2020年01月16日子どもをしっかりした子に育てたい、勉強のできる子に育てたい。大切なわが子の将来を思うからこそ、子どもにさまざまなことを期待し、教えたくなりますよね。教えなければという思いから、ついつい子どもに対して口うるさくなってしまう親は多いものです。でも、それが“毒親”としての一歩だったとしたら……。毒親にならないために、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 そもそも“毒親”とは?最近、ニュースなどで見かけるようになった「毒親」という言葉。毒親とは、暴言や暴力、しつけという名の過干渉をする親について使われる一方、自分の都合を優先し、子どもを放置したり、かまわない親についても使われる言葉とされています。また、親の過干渉から生じることとして、子どものキャパシティ以上に勉強をさせることを“教育虐待”とも言われるようになりました。 もしかしたらその対応は“毒親”の一歩かも暴言や暴力はもちろんしていない、ネグレクトもしていない、だから私は毒親ではない、と思っている人はもしかしたら危険かもしれません。誰でも毒親への一歩に足を踏み入れている可能性があります。お行儀よく食べさせよう、お片付けができるようにさせよう、電車の中でじっとしているように教えよう、これらはどれも当たり前に子どもに教えたいことだと思います。もちろん、お子さんがきちんと社会で過ごせるように教えたほうがいいことでもあります。けれど、子どもの成長に合わせず急ぎすぎて教えてしまうことは、毒親への第一歩を進めてしまうことにつながるかもしれません。 期待をかけすぎないようにブレーキを親としては、ついつい先回りしてお子さんにいろいろと教えこませたくなります。でも、まだまだ小さいときにお行儀などを教え過ぎることが、その後の“教育虐待”にもつながっていく恐れがあります。 根底にあるのは、こうなってほしい、こうあるべき、という子どもへの期待。しかし、小さなお子さんのキャパシティは、まだまだ小さいものです。それが本当に“今”教えたほうがいいことなのか? 子どものキャパシティを超えた親の「期待」がかかっていないか?を考えてみましょう。もし、ちょっと子どもにうるさく言い過ぎているかも……と思ったら、友人やご自身の親御さんに自分の対応が過干渉になっていないか聞いてみてください。自分の子どもに責任を持っていない、ある意味「無責任」な意見が、自身の毒親への一歩を止めてくれるブレーキになることがあります。 大切で愛するわが子のためだからこそやっていることであり、お子さんによってできる範囲も受け止め方もさまざまなため、どこからが毒親への一歩となるのかは、本当に難しいところです。うるさく言い過ぎているときに、「子どものため」という理由からであればちょっと立ち止まってみて、お子さんの気持ちが後回しになっていないか考えてみるといいかもしれません。 著者:ライター メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2020年01月11日私は現在2児の母親ですが、実は私の実母が毒親で、機能不全家族のもとで育ちました。3歳のころからしつけと称して暴力や過干渉などを受けてきました。自分が実際に母親となり、どのような過酷な環境で育ったかを考えることがあり、そのたびに胸が締め付けられます。今回はそんな実母のもとで育った私が、出産時に里帰りしたのか、しなかったのか? どんな選択を取ったのかお話しいたします。 妊娠判明……しかし昔の経験から不安が襲う私は人と付き合うのが幼少期からずっと苦手でした。それでも運命的に今の夫と出会うことができ、結婚して1年経ったころに妊娠が判明しました。 私の子どものころのことですが、両親ともに自営業を営んできた共働き家庭でとても忙しく、1日中お店のベビーベットに放置されたままということも日常茶飯事でした。そんな境遇のもとで育ってきたので、妊娠に喜びもあるけれど「本当に私が育てられるのか」という不安も同時に襲ってきました。 里帰りするべきとアドバイスを受けたが妊娠週数が進むにつれて、出産後は里帰りするべきか悩み出しました。ごく親しい友人たちには、私の両親の話などを打ち明けていましたが「たとえ毒親でも、親がいるだけで助かるものだよ。産後は想像以上にしんどいから、せめて1カ月でも里帰りするべき」とアドバイスを受けたのです。 たしかにその友人たちは実際に出産を経験していたので、説得力がありました。けれども果たして本当にそれが自分にとってベストなのか悩みました。 里帰りはせず、産後直後からワンオペ育児結局自分が出した結論は、「里帰り出産はしない」という固い決意でした。なぜそのような選択をしたのかというと、妊娠後期から実母と電話で連絡を取ることがあったのですが、そのたびに大喧嘩をして私自身が高血圧となり、病院から降圧剤を処方されるなど、体調面で危機を感じたからです。 実母といえど、私とはまた違った個性のある人間です。お互いわかり合えないのなら、もうひとりで乗り越えるしかないと腹をくくりました。 結果的には、友人たちのアドバイスは聞き入れなかったことになりますが、私は里帰りしないという選択で本当によかったと感じています。出産後は大変だけれど、合わない実母と過ごすストレスがないので快適でした。もちろん、2人目も里帰りはせずに出産直後からワンオペ育児でした。最終的には人の意見に頼らず自分自身で決断できたのが功を奏したと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:山本加奈子 2児の母。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年01月09日「親の介護に直面して初めて自分の親が“毒親”であったことに気づくケースもあります」そう語るのは、家族問題や児童虐待を長く取材してきたジャーナリストの石川結貴さん。今、介護問題の新しい形に言及した新刊『毒親介護』(文藝春秋)が話題を呼んでいる。“毒親介護”とは石川さんの造語で、50代、60代の娘が母親との関係にトラウマを抱えながら、介護を強いられる状況のこと。幼少期から「殴る、蹴る」といった虐待を受けたり、育児放棄状態のまま育つなどした娘たちが、高齢化した親の介護を担うようになった現場を取材し続ける石川さんはこう分析する。「虐待を受けたにもかかわらず介護を続ける娘さんからは、責任感の強さや、『親から一度は認められたい』『感謝の言葉が欲しい』と切望する屈折した動機がうかがえます。はたから見れば『そんな親はさっさと捨てればいいでしょ』と思うような状況でも介護する背景には、長きにわたって醸成された親子の深い闇があるのです」今回、「毒母介護」という闇に陥らないための心得4を石川さんに教えてもらった。【1】「毒親は捨てる」と腹をくくる「“毒親介護”の泥沼に陥っている人たちは、『私がいなければ』と共依存の状態になっていたり、追い詰められて『介護離職してでも』と周りが見えなくなっているケースが目立ちます。本当に親を捨てるかはさておき、『決別する』という選択もあると思うことでメンタルは救われます。そもそも子どものいない高齢者でも、適切な行政サービスを受ければ生活は成り立ちます。具体的には、まず家を出て別居することで、親の施設入所が早まる場合もあります」【2】“親からの”ではなく“自分の”評価を大切に「毒親からの『ありがとう』を求めすぎていたり、必要以上の承認欲求を抱いていたりするケースも。大人になったのだから親からの評価からは解放され、『私なりによく頑張った』と自己肯定し、自分を褒める習慣をつけましょう」【3】“要介護認定”は医者から本人に告げてもらう「要介護認定をかたくなに拒む親は多く、いきなりケアマネジャーさんを呼ぶことはおすすめしません。高齢者の多くは医療機関にお世話になっているので、信頼している医師から『いいサービスがあるから手続きしよう』と促してもらうと『先生がそう言うなら』と素直になるケースが多いです」【4】ケアマネさんに自分の事情や思いを伝える「ケアマネさんの来訪時に見えを張らず、親に苦しめられた事実や心理的に追い詰められている現状を正直に打ち明けておくこと。仕事も辞めたくないなど、置かれた状況を隠さず伝えることで配慮のあるプランを立ててもらえます」ほかにも「身元保証人にはなる」「万が一の時は、葬式だけは出す」など、親とかかわる範囲を決めておくことも泥沼に陥らない対応策になると石川さんはアドバイスする。「うちも危ない!」と思ったら、介護が始まる前にまずはプランを立て、その時に備えよう。「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2019年12月24日■前回までのあらすじ中学を卒業した春に、母は「女の子は可愛くないと…」と整形をすすめてきた。そのときすでに予約は取られていたのだった…。》 「あなたのためなら何でも!」そんな母が勧めたのは整形だった… ■私の母はみんなから「良いお母さん」と言われる…■私が“本当にしたかったこと”は母には言えなかったとても熱心な母で、私には何でも良いものを与えてくれました。でもそれが、私にとってはかえって苦しくなってしまうこともあったのです。しかし母は私のためを思ってやってくれているのだから─……不満に思ってしまう私が悪いんだ─……そう思うと、何も言うことができませんでした。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2019年12月20日これは私の母、私、そして子どもと繋がる親子の物語です。※この物語は私の経験を基に、一部編集しています。■中学を卒業した15歳の春、母は私に言った…■あれから20年経ち、私は母になったこんにちは!グラハム子です。このたび新連載を描かせていただけることになりました。この話は漫画家になる前から、「いつか誰かに発信したい、自分の中だけで留めてはおけない…」と思っていた話で、私の経験を基にしたコミックエッセイです。ただ、実話をもとに、登場人物など一部フィクションもまざっております。どうぞよろしくお願いいたします!■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2019年12月19日私は現在、3歳と生後5カ月の娘をもつ2児の母親です。実は、私の両親はいわゆる毒親。両親ともに自営業で、24時間生活を共にせざるを得ないせいか、いつも夫婦喧嘩がたえず、私自身は暴力や過干渉、ネグレクトを受けて育ってきました。そんな家庭環境に置かれていた私の経験をお話しします。 両親が毒親だと気付いたとき私は物心ついたころから、両親に頭を叩かれる、暴言を吐かれるといった心身面での暴力や、20歳を過ぎるまで門限が20時などの過干渉、両親が仕事中は基本的に経営するお店から出てはいけないなどの決まりに縛られていました。しかし、仕事中なので一切私の相手はしてくれないなど、ネグレクトも受けて育ちました。自分の両親が毒親だと気付いたのは、私が結婚して上の子を妊娠したときでした。妊娠してからさまざまな育児本を読み、自分の子どもを出産して育児をおこなうなかで、これまでの私の家庭環境はおかしいと初めて気付くことができたのです。 なぜ両親が毒親と気付かなかったのか?両親が毒親だと気付くまでかなりの時間がかかったのはなぜなのか? 自分なりに考えた末、こう結論づけました。 「幼少期は両親という絶対的存在がいてこそ、自分の生活(衣食住)が成り立つ。親がいなければ子どもは何もできない。だから、両親のいうことには従わざるを得ないので、強大な存在である両親の価値観こそが一番正しいとずっと思い込んでいた」のだと……。 幼少期からの価値観は生涯引きずるものしかし、普通の家庭で育った方から見ると、さすがに中学生になれば自分自身で毒親かどうかくらい考えられるんじゃないの? と思われるかもしれません。 通常、思春期には反抗期という形で、「自己と他人(両親)は別の個性ある人間である」と自覚する時期がある人が多いと思いますが、私の家庭ではそれができませんでした。学生時代も両親から暴力を受け続け、残念ながら私は反抗期の機会も失ってしまったのです。 現在、両親とは極力距離を置いていて、当たり障りのない付き合いを心掛けています。そして、毒親の元で育った私の育児教訓は“子どもを叩かず、甘えを受け入れてあげる”ということです。普通のことかもしれませんが、歪んだ価値観をすり込まれた私にとっては非常に難しい課題なのです。子どもたちや自分の身を守り、“本来の自分”を取り戻すまでには、もう少し時間がかかりそうです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:黒井夢乃二女の母。歯科衛生士資格あり。二女出産前まで歯科医院にて勤務。自身が毒親に育てられた。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年11月26日遠慮なくなんでも言い合える実の親子だからこそ、言い合うことも数知れず…という人はもしかしたら多いかもしれません。思春期だったり、成人後だったり、結婚後だったり。さまざまなタイミングで親との衝突が訪れる可能性があります。今回は、さまざまな親子の在り方について、考えてみたいと思います。■親との衝突を経験したことある人の割合は?自分の親と衝突したことがあるか聞いたアンケートでは、なんと約8割の人は親と衝突した経験があることがわかりました。その内訳は、「かなりある」が34.7%ともっとも多く、次いで「少しある」、「以前はあった」となります。一方、残りの約2割の人たちは「ほとんどない」、「ない」と回答し、衝突した経験がないという人も一定数いることがわかります。Q.自分の親と衝突したことある?かなりある 34.7%少しある 20.8%以前はあった 23.9%ほとんどない 16.3%ない 3.4%その他 0.8%■親との衝突、反抗期「周りが見えてなかった」まず、「衝突する」と答えた人たちからは、思春期に親と衝突したエピソードが寄せられていました。「思春期は自分のことでいっぱいで、周りなんて見えていなかった。人の気持ちがこんなにたくさんあって、いろいろな解決の仕方があることには子どもを産んで気付きました」(愛媛県 20代女性)「かなり衝突していましたが、実家から離れて暮らして、親のありがたみがわかりました。わが子が思春期になり、自分が反抗していたときの親の気持ちが少しわかる気がして、反省しています」(茨城県 40代女性)「中高生の頃は親と衝突しつつ、『これでも感謝してんだよ』と思っていました。進学を機に一人暮らしをして、親との距離のとり方を覚え、社会人になって子どもができて親の恩を実感できました」(石川県 40代男性)思春期は、こころの発達の面からは小学校高学年から高校生年代の時期にあたるといわれ、その時期には理由もなく親に反抗したくなってしまうこともありますよね。「大人として一人前に扱ってほしい」という葛藤や「まだ一人では何者にもなれない」という子ども自身にとっても苦しい時期だったと思い出す人も多いのではないでしょうか。そんな反抗期の態度を省みるコメントは多く、「かなり激しめな反抗期に見捨てることなく付き合ってくれた母親には感謝しかない。結婚して家を出て数十年たちますが、いまだに母親大好きっ子です」という感謝の声も寄せられていました。■親との衝突、子育てへの干渉「ライフスタイルが違う」また、「衝突した」と回答した人たちからは、子どもが生まれてから衝突するようになったというコメントも寄せられました。「孫が産まれてから、母が過干渉になり衝突が増えたため、距離を取っています。心配はわかるけど、ネガティブなことばかり聞かされてうんざり」(神奈川県 40代女性)「同居のとき、孫大好きでばあばもじいじも孫のしたいようにさせ、私の意向は聞いてくれませんでした。お母さんは一家に一人でいいんだと思う」(千葉県 30代女性)「子どものお稽古や進学に関して意見をズバズバ言われます。アドバイスというより命令形。『ハイハイ』とはいきませんね」(神奈川県 40代女性)「専業主婦だった母、共働きの私。仕事をセーブして子どものそばにいろと。ライフスタイルの違いでぶつかります」(神奈川県 40代女性)親と自分だけだった関係に、「子ども」という存在が加わり、関係性のバランスが変わったと感じている人が多いようです。子育ての方針に口出しをされてイライラしてしまったり、孫に甘すぎる祖父母にもどかしく感じたりと、衝突する機会が増えてしまうこともあることがわかります。■「衝突しない」裏にある親子の事情一方、「衝突しない」という意見から理想的な親子関係を築いている人たちからのコメントが集まるかと思いましたが、どうやら「円満だから衝突しない」というコメントは少数派というようにも感じます。「衝突しない」という回答の背景には複雑な思いがあるようです。●円満な関係にある「幼い頃から大好きな母を尊敬しています。一生懸命頑張っている姿を見てきたので、今に至るまでケンカも言い合いもありません。」(岩手県 40代女性)「結婚して子どもが生まれてからは、こんな思いで自分を育ててくれたんだと気付き、感謝の気持ちでいっぱいです。同じ敷地内に住んでいるので、お互いに助け合って仲良くやってます」(茨城県 40代女性)●親が他界している「両親は私が3歳頃に他界しているので、衝突もできませんでした」(山口県 40代女性)「母は20歳のときに前触れもなく亡くなってしまいました。私の成長を死ぬまで楽しみにしていたことは、亡くなった後に気付きました。親には傷つけることを言いたい放題だけど、いなくなって初めてわかることがある」(鳥取県 50代女性)●親とは距離感を取っている「話すとすぐに衝突してしまうので、なるべく距離感を保ち、必要最低限の会話を心がけています」(福島県 30代女性)「母は心配性でいつもワーワー言っている人。生まれた時からそういう環境なので、私は聞き流す能力に長けていて、衝突はないです」(神奈川県 40代女性)「衝突しない」と一口に言っても、親子にはさまざまな事情があることが伝わってきます。親がすでに他界していたり、言いたいことを言わないようにガマンしていたりと、そこには、衝突するよりも切ない現実がある場合もあるようです。親が亡くなってしまえば、もう親子関係を築くこともできなくなります。筆者自身は母親を亡くしているのですが、生きているときは衝突して苦しかったこともありましたが、今は衝突をしたくてもできないと、寂しく感じることもあります。■「心が許せない…」毒親に苦しむ声もさらに、寄せられた声の中で目立ったのは、「毒親」との関係に悩む人たちの叫びとも言えるものでした。「『いい子でいなくちゃ』と必死で、衝突するなんて考えもしませんでした。情けないことに現在進行形です」(神奈川県 30代女性)「『親に口ごたえするな!』と言われて育ったので、衝突はおろかいまだに親にちゃんと意見が言えません」(神奈川県 40代女性)「何でも自分の言うとおりに子どもが動かないと気がすまない、いわゆる毒親でした。私は完全に心を閉ざしてしまい親には何にも言えない関係に。子どもの頃にできてしまった心の闇は消えません」(東京都 50代女性)「衝突できるのは、親子関係がいいからだと思います。私は、親から暴力を受けていたため、恐怖で口答えすらできませんでした」(愛知県 30代女性)「毒親」という言葉は、医療機関のコンサルタントのスーザン・フォワードが書いた『毒になる親 一生苦しむ子供』からついたもので、子どもを支配する、子どもに罰を与えるなどして、悪影響を与える親を意味しています。小さいころだけではなく、結婚して子どもができても続くような毒親からの支配に悩み、「親と衝突して関りを持つことすら許せない」という心の叫びが伝わってきます。■親との衝突は悪いことなのか?先ほど、毒親に苦しむ人たちの声を見てきたように、親との関係がうまくいっていないからこそ「衝突すらできない」と悩んでいる人たちもいるようです。そうすると、はたして親との衝突って悪いことなのでしょうか。「たまには、意見の相違があってもいいんじゃない! 生きているうちですよ、そんなことを言ってられるのは」(滋賀県 50代男性)「衝突でも、言いたいことを本音で言い合ってお互いに思っていることを知るのも必要かと。言い合えるだけの元気がお互いにあるんですし」(神奈川県 40代女性)「親が子を思えばこそ、真剣に向き合ってくれていたからこそ、衝突してまで教えてくれたのだと今は思います。歳を重ねるごとに、ますます大切な存在になっていくような気がします」(神奈川県 40代女性)確かに、衝突することでお互い本音が言えたり、衝突を経て関係性が良くなったりすることもありますよね。近い存在である家族だからこそ、遠慮なく物事が伝えられるのも事実です。お互いがストレスなく乗り越えられるならば、適度な衝突もアリなのかもしれませんね。■親子関係をうまく築くために「適度な衝突はアリ」だとしても、衝突が毎日のように続くと、お互いにしんどくなってしまいます。意図しない衝突を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。「戦うこともたくさんあったけど、一定の距離を保つことで今では落ち着きました」(北海道 30代女性)「衝突はたくさんありますが、親子だから泣くほどケンカしても、次会うときはまた元通りです」(千葉県 50代女性)「親だから言いたいことを100%言って、何度も衝突していた。知り合いに『言いたいことの1%で良いから我慢してごらん』とアドバイスしていただき、いまは仲良し親子です」(茨城県 40代女性)それぞれに対策を立てて、衝突を防いでいることがわかります。さらに、多く寄せられたのは、親に対する感謝の気持ちについてのコメント。親と同じ子どもをもつ立場になってこそわかることがあるようです。「親の苦労する姿をたくさん見てきたので、自分が子どもの親となった今はむしろ感謝の気持ちでいっぱいです。けっして一人で育ったわけではないことを忘れず、今後は少しでも親に恩返しをしていけたらと思っています」(東京都 40代女性)実の親子は、近い間柄の家族だからこそ、付き合いが難しいという側面があります。その関係性はさまざまで、衝突をする親子、しない親子、それぞれが自分の今を大切にするために努力し、工夫を重ねていることがうかがえます。なかなか素直に感謝を伝えられなかったり、言い過ぎてしまったり。コメントにもあるように、ついなんでも言いたい放題になってしまう実の親子だからこそ、本当は最低限の遠慮や気遣いが必要になってくるのかもしれません。今回は、パパママと自身の親との関係性をみてきました。そして自分の親との関係性を考えるときに、おそらく多くのパパママは自身と子どもとの関係性にも思いを馳せるのではないでしょうか。親子で仲良く過ごしていきたいと願っても、個性や相性などによってどうしても心が通い合えない時期も出てくるかもしれません。自分の親との関係以上に、子どもとの衝突で心痛めている人もいるでしょう。親子の関係性は、これまでのコメントでわかるように、一筋縄ではいかず、どんなに親が一生懸命になってもそのときは届かない想いもあるのかもしれません。それでも親子関係は敵ではありません。親子関係は一日で築かれるものではなく、子育ての長い「子どもの自立」という道のりのなかで構築したり、組みなおしたりが起こるものなのかもしれません。そのなかで子どもとどう向き合っていけばいいのか、たまには立ち止まって振り返ったり、見直したりすることも必要なのかもしれませんね。Q.自分の親と衝突したことある?アンケート回答数:4602件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年11月03日韓国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『デッドプール2』を押さえて初登場第1位を記録する大ヒットなった『毒戦 BELIEVER』。10月4日(金)からの公開を前に、主演のチョ・ジヌン、リュ・ジュンヨル、イ・ヘヨン監督が本作の魅力を語るメイキング映像がシネマカフェに到着した。今回到着したのは、姿なき麻薬王“イ先生”を執拗に追い続ける麻薬取締官、“通称マトリ”のウォノ刑事を演じたチョ・ジヌン、麻薬製造工場からの唯一の生存者ラクを演じたリュ・ジュンヨル、さらにメガホンをとったイ・ヘヨン監督が、本作製作のこだわり、そしてキャストたちの魅力などを語ったインタビューやオフショットを含むメイキング映像。イ・ヘヨン監督は、まず本作について「最大の目標はキャラの繊細なディティールや感情・個性を表現することだった」と語り、主人公ウォノ刑事を演じたチョ・ジヌンも「各キャラどのエピソードを切り取っても一つ一つが面白い」と自信をみせるほど。本作のキャラクター全員が「個性的で狂っていて毒々しい」と、監督は言う。さらにチョ・ジヌンをはじめとする実力派ぞろいの先輩俳優たちと撮影を共にすることになった、現在注目ナンバーワンの若手俳優リュ・ジュンヨルが「役者たちが役をどのように解釈し、演技に落とし込むのか興味があった」と答える場面もあり、個性的なキャラクターを俳優陣がどう演じたのかは、本作の大きな魅力の一つともなっている。そのキャスティングについて、イ・ヘヨン監督が「チョ・ジヌンの人間的な魅力が役に説得力を持たせられると思った」と抜擢の理由をふり返り、続けて「リュ・ジュンヨルの無表情は観客を惹きつける。彼の演技は同年代の俳優の中でも群を抜いている」と語っており、本作の中心人物であるウォノ刑事とラクを演じた2人に全幅の信頼を寄せていたことが感じられる。そして、本作で“闇マーケットの王”ハリムを演じ、撮影後の2017年10月に交通事故により突然この世を去った故キム・ジュヒョクについては、「キム・ジュヒョクの演技に、いつも激しい情熱を感じた。彼が本作の品格を高めてくれた」と絶賛。さらに、「観客のハートを一気に掴むような強烈な存在感のある俳優が必要だった」と出演を熱望した残忍なクリスチャン役チャ・スンウォン、“イ先生”との接点を持つオ・ヨノク役キム・ソンリョン、“狡猾なドラッグディーラー”役パク・ヘジュンなど、イ・ヘヨン監督こだわりのキャスティングにより集結した韓国を代表するクセ者俳優陣の“演技合戦”にも期待が高まること必至。また、大掛かりなロケーションや撮影現場での演出風景、チョ・ジヌンとリュ・ジュンヨルのお茶目なオフショットなどもあり、必見のメイキング映像となっている。『毒戦 BELIEVER』は10月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年10月03日日々、心にチクチク刺さる言葉にモヤモヤしながら、何も言い返せずに我慢しているママ。特に、夫や義両親、実両親など、一生付き合わなければいけない相手だと、なおさら何も言えないでしょう。でも、そのモヤモヤを放っておくと、だんだんイライラに変わり、ついには子どもに当たってしまうことも…。そんなうつうつとしているママたちのための書籍 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 が発刊されました。著者は、作家でありカウンセラーの五百田達成さん。角が立たず、良い関係をキープしつつ、夫や義両親、実両親に言い返す方法はあるのでしょうか? 五百田さんにお話をうかがいました。五百田達成(いおた・たつなり)さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■姑、実母、夫…一生付き合う相手からの「悪気のない言葉」――夫や義両親、実両親からの悪気のない言葉に傷つくことがあります。でも、一生お付き合いする相手なので、何も言い返せないママがほとんどだと思います。五百田達成さん(以下、五百田さん):第2回でもお話ししたように、「Yes,but」で答えるのはどうでしょうか。「最近は紙おむつなのね〜」と言われたら、「昔は布おむつだったんですよね」と相手の言葉に一旦、イエスを言って、「でも、うちはこれなんです」とノーを言う。「これがうちのルール、スタイルなんです」と言うのは、上手な自己主張の言葉かと思います。さらに、「私がこうしたいんです」より、「どうしてか、こうなってしまうんです」のほうが、責任転嫁できる言い方になりますね。暗に「私がコントロールできるものではないんです」という意味を含ませるんです。ほかには、最近の若い子の間で流行っている「あ〜、ね」という言葉はどうですか? 差し障りなく受けとめている「フリ」をする。これは、女性の生きる知恵、コミュニケーションだと思います。男性にはなかなかできないこと。もし義母が「おむつは布が良いわよ」と言ったとしたら、夫は「古い常識を持ち出すな。母さん、黙ってろ」とけんもほろろに言い返す。で、シュンとする義母の隣で妻が胸を痛めてる…よくある風景ですよね(笑)。■毒親「実の親からの言葉が一番きつい」理由――最近は、実両親に言われた言葉のほうが傷つくというママの声が多いんです。五百田さん:問題は、義両親よりも毒親ということですね。さらに、昔と比べて今のおばあちゃんは元気。手も口も出してくるわけです。基本的には、先ほどお話しした「Yes,but」の対応でいいと思います。例えば、子どもを叱っている時に「あなたも昔はそうだったわよ(だから、しかる資格はない)」と実母が口をはさんでくる時がありますよね。おばあちゃんからしたら、孫に好かれたいから味方をしてしまうんです。でも、そのために親の立場をなくす、親の権威を落とすことを言ってしまう。でも、そういったことをすればするほど、孫に会わせてもらえなくなるのにね(苦笑)。実両親の場合は、強めに言い返してもいいと思います。相手もそこまで傷つかないし、こちらもあまり自己嫌悪におちいらないでしょう。このシチュエーションで僕がおすすめするのは、「今はわたしの話はしていない」。ぎりぎり実用的だと思うんですけど、いかがですか?実両親は意識してか無意識かはわかりませんが、わざと子どもの前で言っている可能性がありますから、「子どもの前だから、そんなことを言うのはやめて」というのはあまり効果がありません。「今は私の話じゃない、この子の話をしているから」と言うのがいいかと思います。あとは、「お母さんがそうだったから、私もこうなっちゃったのね」「お母さんも私をガミガミしかっていたじゃない」って言えばいいんです。なら「まあ、そうね」ってなるかもしれない。それは対等でフェアな言い分ですよね。ただし、実の母に家事育児を手伝ってもらっているのであれば、ある程度、口を出されるのはしょうがないと思わなければいけません。例えば、子どもを預かってもらったり、ごはんを作ってもらったりしているのであれば、実母は会社で言うところの「株主のひとり」、口を出す権利があります。それが嫌なら、お金を払って外部の育児サービスに頼むべきです。実母に手伝ってもらう以上、いろいろカチンとすることを言われるのは当たり前だと思ってください。でも、そこで我慢する必要はなくて、言い返せばいいんです。それがコミュニケーションですから。――「自分は親のようにはなりたくない」と思いながらも、同じように毒親になってしまうのではないかという不安を持つママもいます。それを断ち切る方法ってあるのでしょうか?五百田さん:母と娘の結びつきは本当に強すぎるので、どこかで断ち切らないとだめですよね。結論から言うと、ちゃんと母にピシャリと言い返すのは良いと思います。母にはやさしくしなくてはとか、私がいるのはこの人のおかげだから尊敬しなければとか、無理にそう思う必要はありません。母と自分は別人間、同様にお子さんとママも別人間なんですから。「親の愛は何よりも深く、親は私を絶対的に愛していて、だからあんなことを言われてもこんなことをされてもすべては愛だから我慢しなければいけない」なんて考えていると、不幸の連鎖です。自分の子どもにも同じことをしてしまうかもしれません。■夫の悪気ない一言…うまい撃退法は?――ママたちが夫に言われてイライラモヤモヤする言葉に「手伝ってあげる」というのがあります。五百田さん:「手伝う」もダメだし「あげる」もダメで、二重にNGな言葉です。そういう言葉には、おうむ返しがいいかもしれないですね。絶妙に間をあけながら「手伝って…あげる?」と言うのはどうでしょうか? 間をとって聞き返せば、夫もまずいこと言ったなってわかるでしょう。「子どもを静かにさせろよ」と言われたら、「子どもを…静かに…させろよ?」とかね。「あなた今、何言ったかわかってる?」と夫に言い返したり、無視するよりはいいでしょう 。お互い冷静に対応できます。そう言って、夫の出方を見た方がいいですね。ママも少しは胸がすくのではないでしょうか。――夫は、家事育児を他人事のようにとらえていますよね。それは、どうしてでしょうか?五百田さん:妻が「家事育児は自分が取り仕切る場所」と思っているのなら、夫の主体的な参加を期待するのは厳しいでしょう。家庭は自分のフィールドで、家事育児を自分の想い通りにしたいと思っている妻は、言わば「社長」的な立場。すると、夫は「バイト」的な意識しか持てないので、「もっとちゃんと子どものことを考えて」といったざっくりとした指示では動けません。妻が仕切っているので、夫はついていくしかないんです。夫も夫で「何言ったって、この会社(家)の方針は変わらないだろう」と思っていますから。夫婦で一緒の歩みをしたいのなら、自分も折れなくてはいけません。子どもの教育方針も家事の仕方も、夫の意見を取り入れて進めて、そこでようやく社長と係長くらいにはなれるんじゃないでしょうか。家庭といえども、まさに仕事のパートナーシップと同じですよね。ですから、妻は夫を「子どもを20歳までなんとか育てようプロジェクト」のパートナーとして、どういった分担ができるかを考えるべきです。プロジェクトマネージャーの視点が必要ですね。■良好なコミュニケーションでは愛情が邪魔になる?――家事、育児にもビジネスの視点が必要ということですね。五百田さん:そこに、家族愛や子どもへの愛情といった感情を持ち出すとややこしくなります。「あなた、子どもがこういう風になっているのに、なんとも思わないの?」といった感情論になって解決の糸口が見えなくなるんです。コミュニケーションがうまくいかない、言い返せずにモヤモヤする理由のひとつに、「なんでも愛でひっくるめようとする」感情が邪魔をしているのかもしれませんね。「おむつは布がいいと思うのよね」の義母の言葉に何も言い返せないのも、孫愛で言ってくれているのがわかるから。でも、言葉によるコミュニケーションを1つ挟むと、自分の感情をフィルタリングできる。言葉ってそのためにあると思うんですよ。ムカッとしても、いったん頭をやわらかくして「言い返す」技術でうまく伝えられたら、感情の処理ができるようになるでしょう。大人でも、言葉が出ないとイライラがたまるし、泣きたくなるし、時には手が出るし、子どもと一緒です。だから、コミュニケーションの専門家としては「みんな、ちゃんと言葉使おうよ。うまく言えないなら、うまく言えるようになろうよ」と声を大にして言いたい。今からでも遅くないと思います。あとは、ズボラなお母さんになりましょう。女性は、汚れた家を見せるのが恥ずかしいから、家事代行サービスは頼めないという人が多いですよね。頼んだとしても、その前に下掃除をするとか聞きます。それは、とても女性的だし、人間的だし、日本的ですよね。でも、男性は逆で、どうせきれいにしてもらえるんだからと汚しまくります。そこまではできないにしても、それくらい割り切って、家のことは細やかにできないお母さんになるべきです。特に息子を持っているママは。例えば、ついつい夫には「おかずをもう一品増やしてしまう」「お風呂の時はタオルを用意する」という妻がいますが、子どもはそれをよーく見ています。そして真似をするんです。「ママ、ごはん」「ママ、タオルは?」って。そして将来、育児や家事でへとへとの妻に「おかず、これだけ?」とか「お風呂入るからタオル出しといて」とか言う夫になってしまうわけです。ですから、息子のために将来のお嫁さんのために、涙をのんでわざとやらない(笑)。子どもには手をかけ過ぎない。愛との戦いですね(笑)。世の中にあふれる、モヤモヤ言葉、イライラ言葉、ムカムカ言葉…。「事を荒立てたくない」「私さえ我慢すれば」の気持ちで、言われっぱなしだったママさんも多いでしょう。でも、「言い返すことも一つのコミュニケーション。繰り返すことでうまくなります」と五百田さん。イライラモヤモヤをため込まない技術を。参考図書: 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 (徳間書店)突然キレてくる人。怖いパワハラ。気持ち悪いセクハラ。遠回しに悪口ばかり言ってくる人…。そんなムカつく相手にスパッと言い返す超簡単テクを大紹介! 事を荒立てたくはない。でも、言われっぱなしはイヤだ。あっちに「すみません」と反省させ、こっちもスカッと気持ちが晴れる。そんな魔法のような「言い返し方」を教えてくれる1冊。
2019年09月07日子ども連れだと、公共の場や乗り物であからさまに嫌な顔をされたり、「うるさい! 子どもを泣きやませろ」「ベビーカー、邪魔だな」など、ママの心にチクチク刺さる言葉を投げかけられることがあります。「私の方こそ泣きたい…」と、モヤモヤ・ウツウツするママは少なくないはず。そんなママたちの心を軽くしてくれる書籍 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 が発刊されました。著者は、作家でありカウンセラーの五百田達成さん。公共の場での心ない言葉に、ママはどう対応したらいいのでしょうか? 五百田さんにお話をうかがいました。五百田達成(いおた・たつなり)さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■公共の乗り物で「うるさい!」と言われたら?――子ども連れだと、通りすがりの人に乱暴な言葉を投げかけられることも少なくありません。こういった時のモヤモヤは、どう解決していけばいいんでしょうか?五百田達成さん(以下、五百田さん):知らない人から「うるさい」とか「子どもを泣かせるな」とか言われる時ですよね。そういう人に対して、「あなただって小さい頃があったでしょ」と注意する人がいますが、実は相手の心には1mmも響かないんですよ。「確かに! 俺も小さい頃があった」って気づいて反省するような人は、最初からそんなこと言いませんから(笑)。――そういう言葉をかけられて、公共の乗り物に乗るのが怖くなったというお母さんもいます。五百田さん:どう言い返すかはさておき、楽になる考え方として「いろいろな人が乗る公共の乗り物は、うるさい・くさいは当たり前」があります。運賃を払っている以上、みなさん利用する権利があって、公平なはずなんです。公共交通機関なんですから、子どもが泣いているのも当然で、それが気になる人は車両を変える、降りるなどの対応をすればいいと僕は思います。でも、女性はそうスッパリとは割り切れないですよね。良い人、良いお母さんにならなきゃいけないと考えている人がほとんどで、他人に迷惑をかけたくないと思ってしまうでしょう。でも、そんなの無理。ですから「子どもが泣いてもそれほど迷惑なことではない。良いお母さんでいる必要はない」くらいの心構えで良いと思います。■通りすがりの人からの暴言、3つの対処法――もし、そういった暴言に何か言えるとしたら、どういう風にしたらいいでしょうか?五百田さん:言われたことに感情的にならず、冷静に言い返すっていうのが基本です。静かな声、静かな対応をしたもん勝ちだと思います。「大きな声、出さないでください」とか「次の駅で降りますから」とか。何を言い返すにしても、静かな声がいいかなと思います。あとは「困っているんですよね、全然泣きやまなくて」と他人事のような返しをするのもいいかもしれませんね。そう言うことでママの気持ちも少しはすっきりするし、事も荒立たないですよね。相手は食い下がってくるかもしれませんが、何を言われても「ですよね〜、そうですよね〜」を繰り返す。すると、攻撃がきかないと思い相手もあきらめるでしょう。子ども連れのママに暴言をはく人って、周囲からも軽蔑されますよね。周りは「そんなこと言わなきゃいいのに」「なんて心の狭い人だ」と思っているでしょうから、その人たちを味方につけるのも有効でしょう。ほかの人に「うるさいですか?」って聞いて周りを巻き込み、味方につけるのもアリだと思います。■子育ての大先輩からの「余計な一言」どう切り返す?――年配の女性から話しかけられる何気ない言葉でも傷つくことがあります。「母乳なの?」とか「最近は紙おむつなのね〜」とか。五百田さん:そういう言葉には「Yes,but」で答えるのはどうでしょうか。「最近は紙おむつなのね〜」と言われたら、「昔は布おむつだったんですよね」と相手の言葉に一旦、イエスを言って、「でも、うちはこれなんです」とノーを言う。これは義両親からイライラする言葉をかけられた時にも使えるテクニックです。――「まあ、こんなに泣かせて」「私たちが子育てしていた時は…」といった言葉にも、どう対処したらいいかわからない時があります。五百田さん:そういう時は「どうすればいいですか?」って聞いてみるといいかもしれないですね。あとは、暴言を受けた時と同じように「ね~、困っちゃいますよね。泣きやんだらいいですけどね」って受け流す。■心ない言葉の予防法「言われる前に言う」――そういった傷つく言葉をあらかじめ防ぐ方法はあるのでしょうか?五百田さん:僕が小さい頃、母がやっていたことは有効な方法かもしれませんね。ある日、満員電車で小さい僕をすみっこに座らせたんです。子どもで小さいから、立たせているより座らせたほうが安全だったと思うんですけど、母は周りに聞こえるように「すみっこに座らせてもらいなさい、危ないからね」って僕に向かって言ったんです。その時の僕は「どうしてお母さんはわざわざ声に出して言ったんだろう」って不思議に思っていたんですが、今から思えば、それは周りに対してのアピールだったんだなとわかります。そういうコミュニケーションもあるなと思いました。ですから、暴言を投げかけられる前に子どもに向かって「周りに迷惑がかかるから良い子にしてようね」と言ったり、「すみません、うちの子うるさくないですか?」と周囲に声をかけて先手を打つのは効果的だと思います。公共の場や乗り物などで投げかけられる心ない言葉には、「冷静に静かな声」「他人事のように受け流す」「そうですね、でも…のYes,butテクニック」「周りを味方につける」などの対応策を教えていただきました。 次回 は、長い付き合いになるからこそ、関係を悪くしたくない夫、両親へはどう言い返せば? 引き続き五百田さんにお話をうかがいます。参考図書: 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 (徳間書店)突然キレてくる人。怖いパワハラ。気持ち悪いセクハラ。遠回しに悪口ばかり言ってくる人…。そんなムカつく相手にスパッと言い返す超簡単テクを大紹介! 事を荒立てたくはない。でも、言われっぱなしはイヤだ。あっちに「すみません」と反省させ、こっちもスカッと気持ちが晴れる。そんな魔法のような「言い返し方」を教えてくれる1冊。
2019年09月06日『ヘリコプターペアレント』という言葉、ご存じでしょうか?「モンスターペアレント」や「毒親」ほど広く知れわたってはいないものの、小さな子どもを育てる親にとって、決して人ごとではない問題をはらんでいるのです。今回は、真剣に子どもと向き合う親であれば、だれもがその予備軍となりうる『ヘリコプターペアレント』についてお伝えします。子どもの成功を無意識に阻む “ヘリコプターペアレント” の恐ろしさヘリコプターペアレントとは?まるでヘリコプターがホバリングをしているように、親が子どもの頭上で旋回し、目を光らせている様子から名づけられた “過保護かつ過干渉な親” の総称。わが子が失敗しないように上空で見張り続け、困難に遭遇しようものなら、すぐさま飛んでいって助ける親のことを指す。アメリカなどでは社会問題にもなっている。 親であれば、わが子を心配する気持ちは充分理解できます。程度の差こそあれ、誰もが子どもの幸せや成功を願って手助けをしてあげたいと思うもの。では、『ヘリコプターペアレント』は、いったい何が問題なのでしょうか?心理学に基づいた育児メソッドを提唱している佐藤めぐみさんによると、「過保護は “わが子への愛情ゆえ” と好意的にとらえていた時期もありますが、最近のアメリカの研究では、その傾向が否定されつつあるといいます」とのこと。研究の結果わかったことは、次の通りです。1. 親としての温かみがないうえに過保護だと、子どもはのちのち、自己否定感に悩み、問題行動のリスクも高まる。2. 親としての温かみを保った過保護の場合、1のケースと比べれば確率は減るが、自己否定感や問題行動のリスクはなおも残る。つまり「いくら愛情あふれる温かい接し方をしていても、決して過保護による悪影響がなくなるわけではない」らしいのです。結論として、子どもへの “愛情ゆえに” 過保護が容認されていた時代は、確実に変わりつつあるのだといえます。ヘリコプターペアレントに育てられた子どもたちの将来ワシントンポスト紙によれば、「ヘリコプターペアレントに育てられた大学生は、うつの割合が高い」と報告されています(2013年)。そこには「過剰な親の干渉は、子どもの自主性と能力の発達を阻害する。そのため、ヘリコプターペアレントは依存を促し、保護的な管理なしに仕事を完遂する能力を阻害する」とも書かれています。その理由として、「過保護に育った子どもは、喪失や失敗、さらに失望といった、誰の人生でも避けられない状況に対処する方法を、まったく学ぶことがない」ということが挙げられています。失敗から学ぶ教訓や、ひとりで問題を解決する力、試行錯誤しながら周囲とコミュニケーションを図る努力など、どれも生きていくうえで必要不可欠です。これらの力が身についていない若者にとって、社会の厳しさは相当なものなのではないでしょうか。子どもをすべての困難や失敗から遠ざけて、傷つかないように守るヘリコプターペアレントの過剰な愛情は、じつは子どもが成長するきっかけや将来の成功の機会を奪っているのです。また、ヘリコプターペアレントはわが子の人生や経験の多くを決めてしまうので、その子どもは圧倒的に『決断する機会』が減ります。決断力が欠如した状態で育つと、自分のことなのに何も決められないまま生きていかなければなりません。さらに、幼少期に失敗を重ねなかったことから、“完璧な自分” しか認められない、自分を好きになれない、などのネガティブな価値観形成や精神的な不安定さを引き起こす可能性も出てくるといわれています。誰もがヘリコプターペアレント予備軍!?「うちは子どもを甘やかしてしないし、厳しくしているから大丈夫」と自信があっても、安心はできません。「どんな親でもヘリコプターペアレントになる可能性がある」と述べるのは、『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)の著者・立石美津子さん。ヘリコプターペアレントになりやすい人には、次のような特徴が見られるそうです。1. 完璧主義子どもに対して “理想の子ども像” を求めるだけでなく、自分自身にも “理想の母親・父親像” を追い求めてしまうのが特徴です。それがやがて、「子どもの評価=自分自身に対する評価」となり、子どもの失敗を自分の失敗としてとらえてしまうのです。その結果、失敗する前に手や口を出すようになります。2. 気が利きすぎるよく気が利いて察しがいい人も要注意です。子どもが何も言わないのに「のど乾いたんじゃない?」と、しょっちゅう声をかけていませんか?子どもの自主的な行動よりも前に「あれやったの?」「忘れ物は?」など、四六時中注意喚起するのは明らかに過干渉です。3. せっかちなんでも早く、合理的に終わらせてしまいたいタイプもヘリコプターペアレント予備軍だといえるでしょう。確かに、あれこれと指示を出してその通りに行動させれば、無駄を省き最短でゴールにたどり着くことができます。しかし、結果として子どもは自分でSOSを出せなくなり、指示待ち人間になってしまうのです。共通しているのは、子どもの失敗の機会を奪っているということ。自分で考えて、自発的に行動した結果、成功の喜びも失敗の悔しさも身体で覚えることができます。そのような体験の機会を奪うことは、子どもが大きく飛躍するきっかけを失うことにもつながるのです。適切な距離感は子どもが知っているヘリコプターペアレントの危険性は理解できたとしても、「それでもつい過保護になってしまう……」「放任になるわけにもいかないし、どの程度子どもを手助けすればいいかわからない」と、悩んでしまいますよね。前出の佐藤さんは、親が過保護になる背景に「子どもにイヤな思いをさせたくない」という親心があるのなら、「子どもが持つ “負の感情” を恐れないことが大事」だといいます。「イヤだな」という気持ちは子どもの成長に不可欠です。それを自ら乗り越える力をつけさせることのほうが、その場限りの「イヤなことからの回避」よりも、何倍も子どものためになると思いませんか?では、親子として適切な距離感はどれくらいなのでしょうか。佐藤さんは、「基本的には、子どもが “適切な距離” を知っています」といいます。たとえば、公園で親と離れた場所で友だちと遊ぶような子でも、転んだり嫌なことあったりすると、すぐに親のところに飛んできますよね。つまり状況に応じて子どもが示した距離が、その子の心の状態に合った距離感というわけです。親はあれこれ考えずに、子どもが求めている距離に応じて見守ってあげるといいでしょう。もし普段の親子の会話の中で、子どもの発言に「ママ、これどう思う?」「パパが決めて」などが多いようであれば注意が必要。できるだけ子どもが自分の行動に主体性を持つようにはたらきかけましょう。何気ない日々の会話にも、「あなたはどう思う?」という質問を盛り込むように心がけるといいですね。子どもの自立をサポートするのが親の役目幼児教室を経営していた立石さんは、次のような光景が印象に残っているそう。ある子がハンカチを忘れたので、「忘れ物をしないようにね」と保育士が注意すると、「だってママが入れてくれなかったんだもん!」と親のせいにしたそうです。帰宅後、子どもは「ママ、どうしてハンカチ入れてくれなかったの?」と親を責め、母親は「ごめんね、ママが入れ忘れちゃって……」と子どもに謝ったそう。そして次回、また忘れたときには母親が保育園に慌てて飛んできて届けたといいます。「子どものために」と親が起こしたこの行動は、子どもにどんな影響を及ぼすのでしょうか?結果的に、“自分のものを自分で準備する習慣がいつまでもつかない” “忘れ物をしても人のせいにして、自分のことを反省しない” 人間に成長してしまいますよね。そして、なにかにつけて「親がなんとかしてくれる」と考える子どもは、忘れ物をしても親が届けてくれると思っているので、忘れ物に注意しなくなります。そして先生や友だちに、「鉛筆を忘れたので今日1日貸してください」といった簡単なSOSすら出せなくなってしまうのです。困っているときに、自分から他者への助けを求めるのは自立への一歩です。子育ての最終目標が「子どもの自立」だとしたら、ヘリコプターペアレントはそれを阻むことにより、永遠に子育てをし続けなければならないでしょう。幼児期に失敗したり、困ったりする経験を積ませて、自分で考えて決断して行動する力をつけることは、成長後の自立をスムーズに促します。子どもを心配する気持ち、大切に思う気持ちは誰もが持っているものですが、行きすぎた干渉は百害あって一利なしだと覚えておきましょう。***自分では気づきにくい「過保護・過干渉」。お子さんの様子をよく観察して、「自分で何にも決められないようだ」「すぐに人のせいにしているように見える」と感じたら、親子関係の距離感を見直すチャンスです。(参考)Yahoo!ニュース|子どもの自立を奪う“ヘリコプターペアレンツ”その驚きのエピソードとはAll About|ヘリコプターペアレントとは?親の過保護が仇になるHUFFPOST|「ヘリコプターペアレント」とは?行きづらい子どもに育つ親の存在excite ニュース|「ヘリコプターペアレント」になりやすい親の特徴サイゾーウーマン|厄介な「ヘリコプターペアレント」の実態と対策ーー何も決められない子どもが育つ!?excite ニュース|過保護・過干渉の「ヘリコプターペアレント育児」子どもへの影響は…?
2019年09月06日「うるさい! 子どもを泣きやませろ」「ベビーカー、邪魔だな」といった通りすがりの人からの言葉や、「まだおむつなのね」「母乳じゃないの?」といった身近な人からの言葉など、ママの心にチクチク刺さる言葉は世の中にたくさんあふれています。「言い返せないけど、モヤモヤウツウツする…」そんなママたちの心を軽くしてくれる書籍 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 が発刊されました。著者は、作家でありカウンセラーの五百田達成さん。ママはどうして言い返せないのか? もし言い返すとしたら、どんな言葉がいいのか? 五百田さんにお話をうかがいました。五百田達成(いおた・たつなり)さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■「言い返す」技術は大切な人を守るママの強い味方――五百田先生の新刊『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』は、タイトルから心惹かれました。五百田達成さん(以下、五百田さん):編集者と最初に話していたのが、「最近みんな、イライラがたまっているよね」ということ。そこから企画が始まりました。相手をムカッとさせることを口にする人がいて、その言葉に傷ついてイライラして、まさに負の連鎖です。僕の専門は、「どう言うか」によって人間関係を良くする、言葉を使って人間関係をまろやかにするコミュニケーションです。そこで、今のみんながイライラしている時代にフィットするような、むかつく相手を一発で黙らせる、スパッと「言い返す」技術を紹介する本を出したいと思ったわけです。一部の女性からは、「私は言い返せません」という意見もいただいています。ズバッと言い返してことを荒立てたくない、しこりを残したくないと。かといって、黙って我慢しているだけでは、ウツウツとしたものがたまって、夫や子どもに「今、機嫌悪いの!」と当たってしまうかもしれません。大切な人とのコミュニケーションは、大切にした方がいいと思うんですが、逆に、心ないことを言ってくる人とのコミュニケーションは、手を抜いてもいい。時にはバッサリ言い返してもいいんじゃないでしょうか。どうでもいい相手には、いちいち胸を痛めないで、サクッとストレスなく言い返せるようになれたらいいですよね。書籍で紹介している中には、ママにとって現実的ではない言い回しもありますが、そこは「ふふふっ」と笑いながら読んでもらえれば。そうやって、うまくガス抜きをして昇華できるママの味方、お助けグッズになればいいなと思いますね 。■女性でもできる「事を荒立てない」うまい言い返し方――女性は何か言われてムッとしたりイライラしても、事を荒立てたくないので言い返さない、言い返せない人が多いと思います。それは、女性特有のものでしょうか?五百田さん:そうでしょうね。事を荒立てたくない、平和主義、それが第一という気持ちは、女性の方が男性より強いでしょう。それは裏を返すと、みんなに好かれたい、嫌われたくないという「全面外交」だと思うんです。でも、それがストレスをためる原因になる場合もあるわけですよね。ママ友や夫、義両親、通りすがりの人にまでいい顔をして、ストレスがたまる。一方、男性はそこまで周囲に気をつかいません。――そんな「事を荒立てたくない」女性特有の気持ちを踏まえて、うまい言い返し方はあるのでしょうか?五百田さん:例えば、荷物を置いて席をとっていたのに、戻ってみたら知らない男性が席を横取りしていたとしましょう。男性を直接注意したり、隣の人に「私、この席とっていましたよね?」と周りを巻き込んで、その男性と争って席から立ち退かせる方法もありますが、それは「言い返す」技術ではなくて「やり返す」技術。おそらく女性の場合、そこまでして立ち退かせようとする人は少ないと思うんです。最終的にはゆずるんでしょうけど、なんだかモヤモヤするから、その気持ちはスッとしたいですよね。でも、男性のように「チッ」て舌打ちするのはスマートではないので、「あー…、ちゃんと荷物を置いていたのに、見えなかったんですね」と言いながら席を移動するのはどうでしょうか。その一言で、少しでもイライラやモヤモヤをガス抜きできたらいいなと思うんですよ。人に迷惑がかかることを女性は気にしますが、何もせずに「ちゃんと荷物を置いとかなかった自分が悪いんだ」と自分を責めたり、「ああいう時は強く出ないといけないなって思いました」と自己否定をブログに書き込んだりするのは、女性特有の悪い癖だと思います。男性より女性の方がコミュニケーション力に長けているのですから、何か言葉を使って解決できたらいいですよね。「そうだ、こう言えば良いんだ」という言い返し方を知ってほしい。■言い返す技術の向上は「反復練習、無感情、得意技」――私自身、出産後のほうが、人から言われたことにモヤモヤしたり過敏に反応したりすることが多くなったような気がします。それは、どうしてなのでしょう? 五百田さん:母になった瞬間、女性は守るべきものが増えるんです。子どもというのは、母にとって自分の手足、分身みたいなもので、攻撃から守るべきものが広がって増えるわけです。さらに、防衛本能も強くなり、危険を感知するセンサーが研ぎ澄まされます。何か自分たちを阻害するものがないかといつもピリピリしてしまうわけですが、良く言えば感受性が豊かになる。望まないタイミングでつい泣いてしまったりしませんか? それは、モヤモヤがたまりやすくなっているからです。一方、夫は、妻ほど子どもを自分の分身だとは思っていないでしょう。そのうえ、たまに事を荒立てることをしてしまう(笑)。例えて言うなら、我が国(ママと子ども)は平和主義で丸く収めようとしているのに、同盟国(パパ)が戦争を始めてしまうようなことです。すると、防衛したかったママはさらにストレスがたまりますよね。平和主義のママという国と同盟を結んだ以上、パパは子どもがいない頃よりも慎重な外交をしなければいけません。そのために、男性は女性のような言語能力を身につけたほうがいいんです。――確かに、「どうして家庭の平和を壊すの?」と妻から言われる夫は少なくないようです(笑)。書籍の中で、試してみたい言い返し方がたくさん紹介されていますが、女性の中には言い返したことで自己嫌悪に陥るタイプもいます。五百田さん:ここで紹介する「言い返す」というのはあくまで技術なので、繰り返すことでうまくなっていきます。言い返すこと自体、女性には現実的ではないかもしれませんが、できるところからやっていけば技術は磨かれていきます。それに人間ですから、繰り返すことによって良い意味で麻痺します。例えば、思春期に初めて好きな人へ告白というのはとてもドキドキしたものですよね。でも5回、6回と繰り返すとドキドキは薄まってきます。そして8回、9回となってくると上手になり、タイミングも見計らえるようになります。言い返すことも同じで、言葉によるコミュニケーションは技術なので、 理論と反復練習でうまくなるんです。「コミュニケーションは真心」と思っている方も多いでしょうが、僕はそこまで感情や気持ちをこめる必要はないと考えています。そういった気持ちを言葉にのせて、渾身の力を込めて言い返すから、相手が反応したら「やりすぎたかな…」と反省したり、効果がなかったら「ああ~、うまくいかなかった…」と落ち込むわけです。言い返して自己嫌悪になるっていうのは、そこに感情をのせているからなんですね。女性はもっとドライになってもいいと思うんです。そして、これならできるかな? ってところから始めてみて、100回すれば慣れますし技術も向上します。それに、できないと思うことはやらなくていいと思います。サッカー経験のない人が突然、オーバーヘッドシュートができないのと同じで、コミュニケーションにもできる・できないがあるのは当然です、技術ですから。そこで、自分ならできる言い返し、自分の得意技というのを持つといいかなと思います。書籍にはいろいろな言い返し方を相手別、シチュエーション別で紹介していますが、自分で「これならできるんじゃないかな」という得意技を見つけるといいかと思います。■ママにおすすめ! うまい言い返し4つのテクニック――ママにおすすめの言い返し方には、どんなものがありますか?五百田さん:鈍感な人を装う言い返し方というのがあって、「わからないですね」「どうでしょう…」を得意技にしている女性は強いですね。うちの妻はそういうのがうまい人で、僕が無理難題な相談をすると「どうだろうね~」って(笑)。でも、そう言われると僕も気づくんです。「無理難題を言いすぎた」って。だから、「これとこれだったらどっちが良いと思う?」とか、逆に「アドバイスはいらないから聞くだけ聞いてほしい」という言い方をします。この「どうだろうね〜」「あまりよくわからない」は、人の悪口や噂話をされた時にも有効です。僕もよく使いますね。――それも言い返す技術ですね。五百田さん:そう! これも言い返す技術なんですよ。「言い返す」というと、はねのけるような印象を受けるかもしれませんが、そらす、かわす、避ける、素通りするというのもある意味、言い返す技術だと思います。カウンターパンチを相手に食らわす方法もありますけど、それは女性にとって現実的ではありませんよね。そうやって、スッスッとかわす。そういう意味で、うちの妻は天才かも知れません。昔、僕が初めて念願の著作本を出した時、大学の友人がしれっと「俺も本、書こうかな〜」と言ったんです。そこで僕はちょっとモヤモヤしたんですよね。なんだか、自分が大切にしているものを軽んじられたような気がして。それを妻に相談したら、「『じゃあ、書いたら?』ってそのまま言い返せば良かったのに」と言われたんです。あー、そうだなって! それも、事を荒立てない言い返す技術ですよね。だから、うちの妻は最高なんです(笑)。子どもを持ったからこそ、事を荒立てず、平和に過ごしたい。心ない言葉にも言い返せず、モヤモヤ・ウツウツとしてしまうことも多いママ。五百田さんの「言い返すのも、技術。繰り返すこと、必要以上に感情を込めないことがコツ」というアドバイスが胸にスッと響いたママも多いのではないでしょうか。 次回 は、公共の場や乗り物で「うるさい、子どもを泣きやませろ!」とどなられたら? とっさの「言い返す」技術について、引き続き五百田さんにお話をうかがいます。参考図書: 『「言い返す」技術 ムカつく相手にスパッと言い返す』 (徳間書店)突然キレてくる人。怖いパワハラ。気持ち悪いセクハラ。遠回しに悪口ばかり言ってくる人…。そんなムカつく相手にスパッと言い返す超簡単テクを大紹介! 事を荒立てたくはない。でも、言われっぱなしはイヤだ。あっちに「すみません」と反省させ、こっちもスカッと気持ちが晴れる。そんな魔法のような「言い返し方」を教えてくれる1冊。
2019年09月05日親に言われたり、されたりして傷ついたエピソードを、20~30代女性の集まるアンアン総研メンバー200人にリサーチしました。親の立場になってみれば、わからなくもないセリフもありますが、多くは「酷い」のひと言につきます。これから親になるみなさん、既に親となっている方も、ぜひとも反面教師にしてくださいね!文・田中亜子【アンアン総研リサーチ】いまも忘れない! 親の非情な言葉「いろいろありましたが、一番呪いになっているのは『こんなに美人な私から(母はかつてモデル)、こんなデブでブスな子どもが生まれるとは思わなかった』です」(30歳・公務員)「兄と弟がいるのですが、お手伝いは私にしか頼まず、私がなんで私にばかり頼むのと聞いたら、『女の子でしょ!』と言われたこと。何かにつけて女の子なんだからと兄弟と扱いが違っていた」(32歳・主婦)「親の立場に立てば理解できる話ですが、中学生の時に将来なりたい夢を話したら『あんたには才能がないからムリだよ。普通の会社に働いて暮らしなさい』みたいに言われたこと。自分にもし子どもができたら、もう少しうまく伝えてあげたいなと思います」(31歳・自営業)「勉強して現役で国立大学に合格することができたのですが、それを親に報告したら『今からでもいいから医学部医学科を受け直さないか?』と言われ、大人になってからも『医者になっていたらよかったのに』と言われます。確かに医者になっていたら給与は格段に上だったんでしょうけど、言われるたびにもやもやします」(32歳・専門職)「『バカばっかり産んで』っと泣きながら自分のお腹を叩く母親。子ども達はすごい学歴でもないので本気の発言だったのだろうが、忘れられない」(34歳・会社員)どれも怒りが湧いてしまうきっかけがあって出た言葉だと仮定して、親もひとりの人間。頭に血がのぼり、理性を失ってしまうこともあるのかも。それでも、子どもの前では、いつも笑顔であり続けたいものです。信じられない! 親の最低な行動「門限を破ってしまい、母親からかかと落としされた」(32歳・会社員)「揉めるとすぐ暴力に結びつける父。でも、初めて私が父を倒してからは、父の暴力はなくなった」(34歳・公務員)「夏休み、友達に会えないように、服を全部捨てられたり、携帯を取り上げられたり、電話線を切られた」(31歳・自由業)「父親と大喧嘩した後日、家の鍵が知らない間に変わってて家に入れなかった」(27歳・会社員)「何かで怒らせたらしく。自分の誕生日会前日の夜に買いに行ったジュースを、帰り道の途中でその場に全部捨てられた。いまだに忘れられません」(30歳・会社員)「子どものころ、肺炎で入院しているとき、お見舞いに来てくれた両親が「車を見てくる」という嘘をついて帰ったこと。話の途中で、そういったので私は病院のベットでずっと待っていた。看護婦さんに帰ったことを知らされて嘘をつかれたことを知った。素直に言えばいいのに、なんで嘘をつくのか疑問で悲しかった」(30歳・自営業)思春期になり、反抗的な態度をとる子どもに、親はつい手を出してしまうかもしれませんが、いかなる理由があっても、暴力はいけません。別の方法を模索して親子関係を少しでも良好に保ちたいですね。最後に、自分の親ではない大人から傷つけられたエピソードもご紹介します。「両親は共働きだったので、私はかぎっ子でした。けっこう頻繁に周りの親たちから、『さみしい思いしてない? かわいそうに』などと言われていて、それが普通と思っていた自分は、その生活を楽しんでいたのですが、あまりにも周りが言うものだから、“私ってさみしい子なの?”“私ってかわいそうなの?”と思うようになりました。例えかわいそうと思っても、それがしあわせな子もいるのだから、周りはとやかく言うことはないと思いました。私は、働く母を尊敬してるし、それが誇り。私が親になって、鍵っ子ちゃんがいても“お母さんかっこいいね!”って言いたいです」(33歳・専門職)これは独身の方や子どものいない人にも刺さるお話ではないでしょうか。何気ない言葉が子どもを傷つけることもあります。言葉の持つ影響力を考え、相手の立場になる想像力を働かせて、軽はずみな言葉かけは慎みたいものですね。©Esther Moreno Martinez / EyeEm/Gettyimages©ljubaphoto/Gettyimages
2019年08月18日前回に引き続き、実母との関係を振り返りながら、現在の子育てについて思うところをホリカンさんがつづります。幼稚園、小学生、中学生など、それぞれの年代で悩みが出てくるじゃないですか。その悩みを親に聞いてもらいたい…と思って母に話すのですが、途中から母の話にすり替わるのです。で気がついたらいつもの愚痴…。(あれ…? 今、私の話をしてたんじゃなかったっけ…??)私の記憶にないだけで、全く聞いてもらえなかった…ということはないと思うのですが、私が悩みの相談をしたとしても毎回この流れになるので、『あ、私は完全な聞き役なのだな』と毎回思い知らされていました。(このことがあったからか、大人になった今でも人と話をするのが(自分が喋るのが)苦手です)結婚前、子どもが好きで児童絵画の講師をしていたんですが、その時間は『子どもに絵を楽しく描いてもらう』という、具体的な内容が決まっていたので悩むことはありませんでした。が、『子育て』となると別だったようで、ふとした時に、《どう接してあげたら喜ぶのか》ということが分からなくなる瞬間がありました。子どもが出来たときに、《実母のようにはならない》という思いが強すぎたためか、肩に力が入りすぎ…子どもを喜ばせたい!!楽しく子育てしたい!!でも、具体的にどうしてあげたら子どもって喜ぶの…??ということが急に分からなくなり、よく夫に相談していました。子どもの頃の嬉しかった事と言ったら、公園に連れて行ってもらったとか、玩具を買ってもらったなどの記憶はあるのですが、『接し方で嬉しかった事』というのがどうしても思い出せず。夫に『自分がされて嬉しかった事をしてあげたらいい』と言われても、嬉しいと感じる《接し方》をされた記憶がない私は…え…? じゃあ、何か買ってあげるとかそういうこと…?? と、全然ピンとこず…。私が子どもの頃に、母親にして欲しかった事ってなんだろう…愚痴を聞かせないで欲しい…私の意見を無視して自分の意見を押しつけないで欲しい…やめて欲しかった事はいっぱい出てくるのに、して欲しかった事って出てこない…。そこで行き着いた方法が…!夫に他の子ども達を任せて、『一対一でデートに行く』という方法。普段、子どもが多いこともあってゆっくりと話を聞く機会が少ないので、意識的に一対一の時間を作って、ゆっくりと子どもの話を聞くようにしています。《ゆっくりと話を聞く》私が子どもの頃にして欲しかった事ってこういう事だったんだなと思いました。子ども達には私と同じ辛い思いをしないで育って欲しいと思います。今でも過去を思い出して色々と悩む事もありますが、夫に相談にのってもらったり、色んな人に協力してもらいながらこれからも頑張って行きたいと思います。
2019年08月14日先日まで全8話にわたって長女との中学受験実録シリーズをお届けしてきました、もりりんパパです。いつも読んでいただき本当にありがとうございます。今回はその総括的なお話、我が家の経験から見えてきた家庭学習での親のあり方を書くことにしました。が、その前に…。僕は前回の記事にて”特集:私がコミックライターになるまで”に参加させていただいたんですよね。その中で自身の毒親疑惑の部分、そしてそれをブログに助けられたことについて少し触れてみました。で、僕はブログやウーマンエキサイトさんでの連載を嫁さんや子ども・両親・親族等に伝えています。子どもたちの成長状況を記事で伝えることも含めて。そして、前回の話を見た長女から言われたんです。…うん。ですよね(-"-;その辺も含めて今回のお話を書き進めていきたいと思います。少しダークなお話になるかと思いますが、どうかお付き合いください。教育で毒親にならないために…僕が長女の勉強に携わりだしたのは彼女が小学3年生の頃。元々は嫁さんが宿題を見ることが多かったんです。しかし、その年の夏休みに…。ずっと様子を見ていた嫁さんがギブアップしてしまいまして。で、ここでバトンタッチをして僕が長女の勉強を見ることになったんです。勉強を見るにあたってその時点で気をつけたいと思ったこと、それは…・主役(勉強をする)はあくまで長女本人・教える側(僕)は基本静観して必要な時のみ声かけくらいでした。しかし、実際は…実際はこのような感じでした。後に長女に尋ねると、それはもう恐ろしい親だったそうです。自分でも今振り返ると…ありえない親だったかもしれません。せっかく一緒に勉強に取り組んでも思い通りに動かない子ども。時には僕は声を荒げ、物を投げてしまうことも…。それが日々続き、自分の感情がエスカレートしていくのが分かりました。これではいけない、それは分かっている。でも感情が爆発すると止まらない、止められない。勉強はきちんとして欲しい、だけど思い通りにならない。どうすればよいのか、分からない…!!まさに負のスパイラル。その流れを止めてくれたのは…。他でもない、長女からのSOSとそれを重く受け止めた嫁さんの存在でした。もちろん、嫁さんに言われてすぐに全て納得出来たわけではありません。それでも、少しづつ自分の中に落とし込んで気をつけていくようにしました。子どもは子ども、親は親。長女は僕自身ではありません。こうやって文字にしてみると当たり前のことですが、それが自分の感情がコントロール出来なくなると分からなくなり、無理強いをしていたのだと思います。まずは親である僕の…自分の気持ちに余裕を持つこと。それが出来ない時は一旦勉強をやめ、環境を変えて思い切ってリフレッシュすること。長女には長女の考えがありますし、もしかしたらだらけているように見えても実は考えがあるのかもしれません。そう気づいたのは、彼女が6年生の頃。中学受験への取り組みをしていた時でした。気づくのに時間がかかりすぎて、長女を中心に、家族には辛い思いをさせてしまったと思います。今だって、正しいと思い行っている育児や教育が、実は間違っているかもしれませんが…。最初に書いたように、長女の人生は長女が主人公。まだ全てを彼女が決めて生きていけるわけではないので、親として時に注意し、時に一緒に笑いながら今この時をともに生きているのだとは思います。でも、そんな中で親としての僕の感情が爆発してしまった時。それを一方的に攻撃的にぶつけてしまうのは違います。自分はあくまで支える側。自分の役割をきちんと考えておかないと、家庭学習にはとくに様々なリスクが潜むと感じました。親としての自身のコントロール。難しいですが…それを怠るとエスカレートし、止まらなくなっていつしか”毒親”となってしまう。大げさではなく、そう感じるようになりました。そうならないためにも、前回の記事に書いたようにブログを書くことで自分の視点を変えて行ったり。また、主役である子ども自身の心の声に耳を傾けて考えていく。そう考えながら接していくことがより良い関係性を築けるのでは…そう考えながら日々家族みんなで過ごしています。以上、前回の続きのお話でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2019年08月14日ジョニー・トー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』のリメイク作で、韓国で中毒者が続出、異例の完全版まで公開された驚異のヒット映画『毒戦 BELIEVER』から、日本版予告編が到着した。今回到着した予告編では、『お嬢さん』『工作 黒金星と呼ばれた男』などで日本でも知られるチョ・ジヌン扮する主人公の麻薬取締官・ウォノが、「この操作に命をかけます」と決意の表情を見せるシーンからスタート。そして、組織から捨てられたラク(リュ・ジュンヨル)と手を組み、姿なき麻薬王“イ先生”を追いかけ、麻薬に魅入られた奴らの巣窟“狂人区”に潜入する様子がテンポよく展開。本作が遺作となったキム・ジュヒョク演じる闇マーケットのボスが、銃を片手に狂気の表情を見せるほか、狡猾なドラッグディーラー(パク・ヘジュン)、不敵な笑みをうかべる謎の人物(チャ・スンウォン)など、狂人たちが続々登場。ネクタイピンを取られたり、「お前は誰だ?」と迫られたり、おそらくピンチな様子も伺える。実力派俳優チョ・ジヌンをキャスティングした理由について、イ・ヘヨン監督は「チョ・ジヌンの強烈なエネルギーが、ウォノというキャラクターと共通するところがあると思った」と明かし、「ウォノは自分の標的を無謀に追いかける一方で、人道主義的な側面もある。だからこの役には彼がぴったりだと思った」とコメント。また、話題作への出演が続く気鋭リュ・ジュンヨルは、演じた役について「顔は無表情。でも内側には感情が渦巻いていて」とキャラクターを解説し、「それをどうやって表現するかを考えることで、役作りをした」と語っている。この人気と実力を兼ね備えた2人のほか、韓国最高峰の演技派が集結した本作。その白熱した演技合戦にも注目したい。『毒戦 BELIEVER』は10月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2019年08月08日最近よく耳にする「毒親」。毒親とは、名前のとおり子どもにとって毒になる親、害悪になってしまう親、という意味の言葉です。具体的には、子どもに必要以上の圧力を加える親のこと。そうすることによって、子どもが成長してから生きづらさを感じるようになってしまいます。しかし、子どもから毒親と言われてしまう親のほとんどは、自分が毒親であることを認識していません。それどころかむしろ、「子どものために頑張ってきたのに…」という親も多いもの。今回は、オンラインで育児相談なども行っている心理カウンセラーの筆者が、10年後に子どもから「毒親認定」されないために、幼少期から気をつけておきたいポイントを紹介します。子どもの決断を妨げないで「毒親」と呼ばれてしまう親が必ずやっていることがあります。それは、子どもの決断を妨げ、親の決断を押しつける行為です。例えば、子どもに「誕生日だから、あなたの好きなおもちゃを買ってあげる」と言って、おもちゃ屋さんに連れて行きます。子どもはAというおもちゃを選びますが、親がBのほうが良いと思った場合、「AよりもBがいいわよ。頭もよくなるし役に立ちそう。ねえ、Bがいいわよね?」と誘導したり、場合によっては「どうしてAなんて選ぶの!Bのほうがいいに決まっているでしょう!」などと怒ったりして、子どもにBを選ばせる…。これはほんの一例で、生活の中で同様のことはいくらでも起こり得ます。時には進路や友達選びなど、子どもにとって非常に重要な局面で、子どもの選択より、親の選択を優先させることも。このとき親は、子どもにとってよりよいルートを選んであげているつもりなのです。しかしこうしたことが続くと、子どもは「自分自身で決断することは悪いことなのだ」「親の言うことを聞けば、親が自分をほめてくれる、認めてくれるのではないか」と、自らの意志を抑えつけ、相手の顔色を見て生きるようになります。子どもの失敗を恐れないでさきほどのおもちゃの例や、進路、友達選びのように、本来は子どもがするべき選択を親が代わって行ってしまうような時、親には「かわいい子どもに、失敗をさせたくない」という心理が働いています。親にとって、子どもの失敗はかわいそうで、胸が痛むものです。また、親が理想とするような方向にわが子が進んでくれるといいな…という気持ちもあるでしょう。そこで、親は子どもに代わって、よりよいと思われる決断をしてあげるのです。ところが、子どもは失敗によって多くを学ぶものですし、それどころか目の前の失敗を、将来的に大きな成功につなげていくこともよくあります。反対に、幼少期に親が決断を代行することで、子どもが大切な学びの機会を失ったり、自分の決断に自信をもてなくなったりすることのほうが、子どもにとっては大きな失敗であると言えます。長い目で見れば、目の前のことは失敗してもよい、それこそが子どもにとっての成功であると考えなくてはなりません。親の仕事は、目の前の選択を成功させることではなく、子どもを自分の意志と学びとによって、しっかりと選択できる大人に育てることです。ヒステリックに子どもを否定しないで子どもの選択を尊重するといっても、時には子どもを導いてあげなくてはならないことが、確かに存在します。そんな時に心がけたいのは「ヒステリックにならない」ということです。自分は毒親に育てられた…と自覚する人の中には「事あるごとに親がヒステリックになるのがイヤで、自分の気持ちを親に正直に話すことができず、すべてガマンして過ごした」と言う人がたくさんいます。親と子どもは別の人間ですから、親の気持ちと子どもの気持ちが違うのは当たり前です。その時、ヒステリックになって子どもの気持ちを親に従わせれば、子どもは「自分の意見は、主張してはいけないものだ」ととらえるようになり、そのまま自己主張のできない大人に成長していきます。子どもの選択において、子どもの気持ちにしっかりと耳を傾けることは不可欠です。そのうえで、子どもの選択や気持ちを尊重してあげられない理由を話すとよいでしょう。親が声を荒らげ、大きな声で子どもの意志を力任せにつぶすことだけは、絶対にしてはならないのです。常に一歩後ろから、可能性を信じて!目の前の選択肢からひとつを選ぶ、生きることはこの繰り返しです。子どもでも大人でも、間違った選択肢を選ぶことはあります。それによって「これはダメだった!他の選択肢じゃなくちゃ、いけなかったんだ!」と知り、次の選択の機会には、以前とは違う選択をしていけるようになります。子どもには、そうした成長の可能性が常に秘められているもの。親は一歩後ろから子どもの選択を見守り、子どもが転んでしまったら、起きられるように手助けしてあげればよいのです。親が応援してくれている、自分の選択を尊重してくれていると感じれば、子どもはそれだけで自信をもつことができます。反対に、親が自分の選択をまったくアテにしていないと感じれは、子どもは自信を失い、自分のことを「ダメな子」だと思い込み、どんどん自分の可能性をつぶしていきます。子どもがそのことに気づいた時、「うちの親って毒親だったんだ…」と認識するでしょう。一方で、毒親の中にはヒステリックなだけでなく、暴力で子どもの意志を抑えつけたり、育児放棄をすることによって子どもの声をまったく聞かないといったパターンもあります。共通しているのは子どもの気持ちを尊重しないということ。子どもの話を聞き、「そうだよね」と共感することで、親は子どもにとって、安心できる存在でいられます。「あなたのためよ」という言葉で、子どもの意志をむりやりにつぶしていないか、常に親が自省することで、よい親子関係を築いていけることでしょう。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2019年07月07日「何をもって“毒”というのか。親は子どもを思うことは毒親ではないと思っていても、子どもは過剰な干渉だと捉えるかもしれない。自分の人生を振り返りつつ、子を持つ母としての感情を、役に投影しました」そう話すのは、湊かなえの短編集をもとに全6話で構成される連続ドラマで、表題作『湊かなえポイズンドーター・ホーリーマザー』(WOWOW・7月6日〔土〕22時~スタート)の主演を務める寺島しのぶ(46)。彼女が演じる佳香は、一人娘で女優の弓香(足立梨花)を自分の思うようにコントロールしようとする母親。娘がドラマで演じたキスシーンについて、“実際はしないと言ったのに、本当はキスしたでしょう”と詰め寄る場面もあるが……。「昔、母(富司純子)と衝突したときのことを思い出しましたね。“これ、デジャブ?どこかで聞いたセリフ!”って(笑)。29歳のとき、『赤目四十八瀧心中未遂』という映画に出ることに猛反対されたんですけど、それでも私は、女優としてのチャンスをつかみたくて反抗しました。だから今回、娘の弓香の気持ちもよくわかるって思って……」親の言うことを聞かない子。「毒娘だったのかな?」と自身を振り返るが、夫の指摘にハッとすることも。「主人がね、“君はなんだかんだと親に反発しているけれど、結局はお母さんの言うとおりにしてるじゃないか”って言うんです。でも、それって自分じゃ気づかないことでした。それに、親になってわかることもありますね。昔は、母は世間体を気にして常識しか言わないって思っていたけど、いざ自分が親になると、子どもには常識がわかる人になってほしいと思うようになりましたから。だから、“私、真面目なこと言っちゃってるなあ”って思いながらも、ちゃんと親が子どもに教えていこう、と」ドラマでは、母親ゆえの感情があふれ出たシーンもあったという。「娘を傷つけようとする人間と対峙する場面。演じていて自分じゃないような瞬間があって驚きました。親の子どもへの愛情は無限ですね」そんな寺島が全身全霊で愛を注ぐ息子の眞秀くんは今年小学校に入学。急激な変化に驚いている。「口数が多くなって、ビックリするくらい言葉遣いが悪くなったんです。親に対して“○○しろよ~”とか言うんです。これからどんどんエスカレートしてくると思うと不安です」しかし、最近の歌舞伎の舞台では、目を見張る成長を感じたそう。「4月の歌舞伎座公演『源平布引滝実盛物語』は、毎日楽しそうに通っている姿が印象的でした。みなさんにとてもかわいがっていただいたようです。それに何よりも千穐楽のお芝居がとてもよかったんです。千穐楽がいちばんいいのは、私自身の課題でもあって。母も“千穐楽がいちばんよかった”と言ってくれました。学校も新しくなって大変だったはずですが、息子よ、がんばった!」いま、眞秀くんのハグが、何よりもうれしいという。「だんだんしてくれなくなると思うので、いまのうちに1回、1回をかみしめたい」としみじみ。では、眞秀くんにどんなふうに育ってほしい?「困っている人、弱っている人に手を差しのべられる子になってほしい。そして、強きものには立ち向かっていく勇気ある人ですね」
2019年07月06日ウーマンエキサイトで人気連載中のモチコさんの記事 「『あの子、嫌い』という子どもの発言…親はどこまで口出していいの?」 には、ある日突然、娘ちゃんが幼稚園のお友だちのことを「嫌い」と言い出してしまったエピソードについて書かれていました。保育園や幼稚園は集団生活の始まりの場所です。小さな子ども同士だから、けんかやトラブルが起きることは当然だと思います。だけど、いきなり「嫌い」という強い言葉が出てくると大人はびっくりしてしまいますよね。そこで今回のアンケートでは、子どもの発言に悩んだことがあるかどうか。また、子どもの発言に関するエピソードについて聞いてみました。■子どもの発言に悩んだことあるが、約8割!子どもの発言に悩んだことがあるかアンケートを実施したところ、一番多い回答が「とてもある」48%、そして「たまにある」33%と続きました。上位の回答を合わせると、約8割の人が悩みを抱えているという結果に。「少しだけある」も合わせると、今回のアンケートでは87%もの人が、子どもの発言を気にしていることがわかります。Q1.子どもの発言にどう答えるか悩んだことはありますか?とてもある 48%たまにある 33%少しだけある 6%ほとんどない 7%その他 6%集団生活はお友だちと遊んだり、家庭ではできないことを経験できたりなど、たくさんのメリットがあります。しかし、家庭という小さな集団で生活してきた子どもにとっては、個人差はあるといえストレスを感じることもあるでしょう。お友だちとのけんかだったり、自分の思うようにできないことへの憤りだったり…。それらが子どものなかで積もることによって、大人がドキッとするような発言につながっていることもあるかもしれません。では、保護者の方は、子どものどんな発言に悩んでいるのでしょうか? 具体的なエピソードを見てみましょう。■「あの子、嫌い!」友だちへの拒絶に悩む親たち集団生活が始まると子どもにも人間関係ができ、そうなると「合う」「合わない」といった相性の問題からも避けては通れないのだと思います。大人であれば、「必要以上に関わらないようにする」などといった対策を自分で取ることができます。また、「嫌い」などの強い言葉を本人に言うこともないでしょう。でも、子どもはまだ発達の途中ということもあり、お友だちとの距離感を見誤ってしまうこともしばしばあるようで…。「3歳の息子の話です。遊ぶ女の子とはケンカが絶えず、会うと必ず揉めます。家でたまに『●●ちゃん嫌い!』とか『●●ちゃんにはコレ貸さないよ〜』と言うので、何とも言えずどうしたものかと思います。女の子に拒否されてしまう息子を見ると親としても悲しくなるので、息子がそう言うのもわからんでもない。ただ、仲良く遊べるときもあるのですが…」「年少のときから仲の良い双子の友だちがいるのですが、その子たちが、娘とケンカすると『キライ!』『もう遊ばない!』『嫌な子!』と言われることが。うちの娘は悲しそうな顔で何も言わず、泣くことを我慢していました。ケンカの原因はうちの娘にも悪い部分もあるので、『次から気をつけようね』という言葉がけしかできませんでした」「このあいだまで、『○○ちゃん大好き!』って言っていたのに、最近は『○○ちゃんはもう飽きた!』って言うんです。嫌い怖いもそうですが『飽きた!』はさすがに良くないし、お友だちに直接言わないように言いましたが、伝わってない様子…」仲良く遊んでいたのにちょっとしたことでタイミングが合わなくなったり、相手の拒否が強すぎてもめたり…。そんなとき、まだそんなに語彙の多くない子どもは「嫌い」という言葉で自分の感情をなんとか表そうとしているのかもしれません。「うちは小学4年生になりますが、同じように、『●●ちゃん嫌い!』と言ったり、芸能人も『この人嫌い』」とハッキリ言っちゃうので、わざわざ嫌いな人言わんでエエよと伝えてます。あまり聞きたくないですよねぇ。でも翌日に遊んで、『やっぱそんな嫌いじゃないわ』なんてケロッと言ってて、同じだなぁと思いました!」汚い言葉や気持ちよくない言葉を子どもが使ったときに、その言葉が相手を傷つけることは伝えていきたいところです。でもモチコさんのエピソードと同じように「嫌い」と言っていても、すぐまた一緒に遊んでいたというコメントも寄せられました。あまり深刻にならなくてもいいのかもしれませんが、でも、もしかしたら、なにか困りごとのサインという場合もあるかもしれない…。考え出すと止まりません!そして、本当にお友だち同士で問題が起こっている場合であっても、どこまで親が口を出していいのかも悩ましいところです。■子どもがだれかと比較するのは親が原因!?大人が不安に感じる子どもの発言は「嫌い」という言葉以外にもあります。たとえば、できる子とできない子を比べたり、友だちを「悪い子」だと断定したり…。小学生くらいのお子さんになってくると、あえて相手を傷つけるような言葉を使うこともあるようで、みなさん悩まれている様子…。どのように子どもの発言と向き合っていくのがいいのでしょうか。「幼稚園のとき『●●ちゃんはあれができなかった』『●●くんが怒られた』というマイナスな発言を聞くようになりました。きっとそこまでには何か理由があると思うけど、何だかモヤモヤ。でも考えたら親である私が『このあいだはこれできたのに、何でできなかったの?』など、他人や過去のことと比べる言葉をたくさん使っていたからだと気付きました。それからはなるべく褒めることを優先するようにしています。『いろんな子に優しくできると、すてきだよね!』など、なるべく具体的に」「わが家の息子は甘えん坊。できることも『ママ~お願い』とかわいく頼んで来ることもしばしば…。そこでまわりの大人が『4歳でしょ? できないの?』など言ってたら、ある日『●●くん、5歳なのにおしゃべりできないんだよ?』と…。成長のスピードはそれぞれだと言うことをわかりやすく伝えましたが、ドキッとさせられた発言でした」ご紹介したエピソードは、子どもの発言から、叱り方など親の側の普段の発言について考えさせられたというパターンです。子どもを注意するとき、ついつい「あの子はこんなこともうできているよ」とできる子を引き合いに出してしまったり、「昨日はちゃんとできたでしょ!」と過去と比較してしまったり…。子どもは良いことも悪いことも、どんどん吸収していきます。それこそ、小さい子どもは善悪の判断もあいまいで、覚えた言葉をただ使いたいだけという側面すらあるかもしれません。だから大人のほうこそ、普段の言い方を気をつけなければ…とあらためて感じました。「ある日、息子が『●●君な、悪い子やねん』と、その子のことを家で話し始めました。『だってな、みんなが座ってるときに立ってるし、並ばなアカンときに並んでないねん』と。少し返答に迷いましたが『じゃあ、息子はなにもかも全部カンペキにできる? 先生に注意されたりしない?』と聞くと、『あ、ホンマや、僕と一緒や!』と妙に納得した顔をしていました。このときは『みんな同じなんだよ』と教えてみました」「できることとできないことがあるのはみんな同じ」であり、「得意不得意は人それぞれ」…。大人になった今だからそう思えますが、成長途中の子どもにとっては、いろいろ経験して学ぶことのひとつなのだと思います。■子どもにとっての味方でいるために。親ができることは?ただ、家庭内で思ったことをなんでも言えるのは、子どもにとって悪いことではないような気がします。小学生、中学生と成長をしていって、もっと困ったことに直面したとき、相談をしてもらえないほうが親はつらいのではないでしょうか。ただ、「嫌い」という言葉はあまり聞いていて気持ちがよくない言葉。だから「どうにかしたい」と思うのもわかります。親はそのとき、どんな対応ができるのでしょうか?▼子どもなりの思いを聞く。嫌いは苦手野菜と一緒?「子どもには子どもなりの思いがあっての発言だと思うので、母親としては一旦は受け止めたいとおもいます。家の中でだけは、本音で話させてあげたいので」「うちも『嫌い』って言うときありました! とりあえず子どもの気持ちを肯定してあげます。そのあと話の前後の繋がりで相手目線からのお話をし、その子のいいところを聞いてます。嫌いじゃなくて苦手って言えるように誘導したり…小さいころは、苦手野菜と同じような感覚かなと」「まずは親の主観を挟まず、しっかり聞いてあげるように心がけてます。同じトラブルが数回あったとき、はじめて、対処方法を一緒に考えたり、先生に相談したりするようにしてます。子どもは、幼いうちは気まぐれで大人が思うほど、深刻な問題は少ないように思います。8年育児をしてきて、いまだからこそ、そう思います。幼少期は、小さなことで、いちいち振り回されてました」苦手野菜と同じような感覚の「嫌い」。これは、少し気がラクになりますね! まずは、子どもの主張に耳をかたむけることが、基本であって一番大切なことなのかも。▼子どもの言葉に親ができる具体策はある?子どもの発言に対しての具体的な対応案もいろいろと寄せられました。「いろんなところから仕入れてくる言葉のなかでも、相手に対して攻撃的な言葉は、やはりドキッとします。年長になった娘に、きちんと意味が説明できるように、私が昔に使っていた分厚い辞書を手元に置くようにしました。本が好きな娘には良かったようです。なぜなぜにも答えられ、親も助かっています。きちんと意味をわかって言葉を使える、相手にどんな風に届くのかを想像できるような大人に育って欲しいです」「習いごと先に苦手な子がいたようです。行きたがらないので『●●くんが苦手なの?』って聞いたら、『うん』と言ったので、曜日を変更しました。苦手な子がいるからといって、習い事まで嫌になるのは私もどうなのかなぁと思ったので」子どもの性格や普段の親子関係から、家庭にあった対応ができるのは理想的だなと思いました。習いごとなど、時間や曜日を変更することが可能な場合は、一度離れてみるという手もありますよね。子どもはたくさんの言葉をテレビやお友だちからインプットして、使ってみようとしますよね。だから、家庭ではできるだけ気持ちいいポジティブな言葉を使ってみると、子どももどんどん使ってみるような気がします。逆に、自身が子どものころ頭ごなしに「そういうことは言っちゃダメ」と注意され、傷ついたというエピソードもありました。「私が幼稚園のころ、母に『(私が)イヤって言ってることやるから、●●ちゃん嫌い』と話をしました。しかし母は私に『そういうこと言っちゃダメ!』とひと言。私は『そうなの? そうしたら先生にお話してみたらどうかな? でもお友だちに嫌いなんて言ったら悲しむよ』などの言葉が返ってくると思っていたのですが、まさかの返し。母は私の味方ではないのかとトラウマになってしまいました。自分の子どもには、同じ思いをさせないようにしたいと心から思いました」自分が子どものころに親から受けた対応って、けっこう覚えているものなんですよね…。それに納得がいっていなければなおさらです。家族に弱いところを見せられたり、愚痴が言えたりするのは、きっと家庭が安全地帯になっている証拠の気がします。まずは自分の気持ちを吐露できる場を作れていたことで親としての第一関門は突破できたと思えると、少し気持ちも落ち着きそう。子どもの意見にはしっかり耳を傾けつつ、必要なときにはアドバイスをし、基本的には見守ってあげられる…。こんな親を目指したいところだけれど、でもこれらは、大人同士のつきあいだって簡単なことじゃないですよね。「あの子、嫌い」は、子どもが家庭から外に踏み出していくなかで出会うチャレンジの1つかもしれません。人付き合いは一生続いていく課題でもあり、力にもなる。だから親子で一緒に、成長していかれるといいですね。Q1. 子どもの発言にどう答えるか悩んだことはありますか?回答数:206Q2. 子どもの発言についてエピソードやご意見を教えてください回答数:46アンケート集計期間:2019/3/21~4/18
2019年06月03日書籍『もうどく水族館 水中&水辺の“毒”生物大集合!』が、2019年3月28日(木)より発売される。サンシャイン水族館が行った「毒」をテーマにした特別展「もうどく展」「もうどく展 2」。累計30万人以上を動員するほどの人気企画は、2018年までに全国に渡りこれまで7都市で開催されてきた。書籍『もうどく水族館 水中&水辺の“毒”生物大集合!』では、特別展「もうどく展」「もうどく展 2」で紹介された生物たちにフォーカス。新たな生物も多数加え、約50種類の有毒生物を写真と解説、コラムを交えて紹介する。本文は5章で構成。水族館スタッフが毒のレベルを5段階分けしたり、「ヘン顔」「小さい」など、生物の特徴に分けて紹介したりと、読んでいて楽しくなる親しみやすい観点で有毒生物たちに焦点が当てられる。毒に関することはもちろん、生物たちの生態、水族館ならではのエピソードなども盛りだくさん。美しい生物たちの写真を眺めているだけでも、そのカラフルな世界に引き込まれてしまうはずだ。【詳細】書籍『もうどく水族館 水中&水辺の“毒”生物大集合!』1,296円(税込)発売日:2019年3月28日(木)仕様:四六変形判 112ページ発行:株式会社 KADOKAWA著者:サンシャイン水族館
2019年03月23日毎週金曜は、TBSラジオ『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント(MP)』の公開放送の日。商店や銭湯、町工場など訪れた場所は1万3,000カ所、今年10月には放送50周年を迎えるという長寿番組で、毒蝮三太夫さん(82)は第1回からパーソナリティを務めてきた。現場で高齢者に呼びかける「ババア」「ジジイ」といった愛ある毒舌も、唯一無二の話芸として今ではすっかり市民権を得ている。MPの放送時間は約30分だが、本番を終えてからのフリートークのほうが長い。政治から介護問題まで鋭く洒脱な説法が1時間以上も続くことも。「年寄りも、健康でいれば医療費の削減につながって、日本全体も元気になるってもんだろう。だからオレは、元気で、チャーミングなババア、ジジイをたくさんつくりたいんだよ」まむしさんの毒舌も痛快なMPが始まったのは、ちょうど50年前の33歳のとき。当初は、もちろん毒舌はなかった。きっかけは、放送4年目に母親のひささんが75歳で亡くなったことだった。自分が愛した母はいないのに、現場に行けば、いつもながら元気印のおばあさんがいる。そんな思いでいたとき、つい口からこぼれたのが、このひと言だった。「オレのお袋は死んだのに、このババアは元気だな」当然、TBSラジオには抗議が押し寄せた。しかし……。「局もスポンサーも、『下町育ちのまむしさんならではの愛ある挨拶です』と味方してくれた。ありがたいと思ってるよ」’86年からは帯番組が『大沢悠里のゆうゆうワイド』となり、月~金までの10時30分から毎日放送され、MPは名物コーナーとして定着していく。やがて、「老いのプロ」としてのまむしさんに各方面から声がかかるようになる。’93年、日本老年行動科学会特別顧問就任、そして’99年に始まった聖徳大学(松戸市)短期大学部社会福祉学科の客員教授の講義は現在も続いている。突然の腸閉塞での入院は、’05年の大みそかのこと。実はこのときS字結腸がんも発見され、7時間もの大手術を受けていた。この入院中、まむしさんは、ある発見をする。「いい患者にならないと損だということ。無愛想だったり、悪態ついてる患者より、感謝の気持ちで接したほうが、お医者さんも看護師さんも、早く治してあげたいと思うのが人情だろ。で、思うんだ。年寄りも同じだって。まわりや若い人から、かまってあげたくなるようなかわいい年寄りにならないと損だと。若い人に嫌われないババア、ジジイになるためには、やさしい気持ちと、服装なんかも清潔にして、あとはとにかく笑顔。これは基本だし、いちばん効く」今から3年前の1月、80歳の誕生日を目前にして、まむしさんは、「終活の第一歩」として事務所の社長を、弟子の千葉潤一さん(54・芸名:はぶ三太郎)に譲った。続いて、ラジオの現場は、月~木の週4日というペースの2年間を経て、昨年4月からは現在の金曜午後だけとなった。まむしさんは、引き際は自分が最初にわかるはず、と語る。「オレは、はっきり言って、運がいい。空襲やチフスもがんも乗り越えられた。仕事も途切れずに続いてる。だけど、いちばんの強運は、カミさん。これは大当たり中の大当たり!だからこそ、その運を返さなきゃとも思うんだ。これは、『幸せの量は決まってるんだよ』と言い続けた、お袋の教え。今の82のオレにできることはなにか。それで、思ったんだ。まずはオレが率先してチャーミングなジジイになって、お手本になることじゃないかってね。だから、お声がかかれば、日本中、どこへでも駆けつけようと思うんだよ。70歳や80歳で気弱になんかなってられねえじゃないか。だって、ババアなんて、ほんとに貫禄が出るのは90過ぎてからだぜ!」
2019年03月22日