国内外の有能な映像作家を数多く見い出してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》が4日に閉幕した。コロナ禍の影響で映画祭自体はオンライン配信での開催となったが、授賞式に関しては例年通り、SKIPシティ映像ホールで実施。国内の入選監督が集まる中、各賞が発表された。注目の国際コンペティション部門で最高賞となる最優秀作品賞の栄冠は、ノルウェーとスウェーデンの合作映画『願い』が手にした。過去最高数の国と地域から、過去最大本数の作品が集まった本年度の国際コンペティション。過去最高の激戦といっていい賞争いは、今回が初長編となるマリア・セーダル監督が制した。『願い』は、突然、末期がんを告知された中年女性と、そのパートナーの男性の物語。事実婚である彼らが直面する試練と苦難、その先にかすかにみえる希望がじっくりと描かれる。セーダル監督自身の体験を元にした作品で、トロント国際映画祭をはじめ、のベルリン国際映画祭など、世界の映画祭を巡り高い評価を受けている。コロナ禍で来日が叶わなかったセーダル監督はビデオメッセージを寄せ、「ノルウェーにある山小屋の自宅で、受賞のメールを受け取りました。この受賞は私にとって特別なことです。というのも、自伝的な体験を作品にすることは初めてのこと。それは自分にとってチャレンジングなことでした。その作品がこのような評価を受けたということは、人としても、文化としても、国境を超えられたのではないかと感じています。たいへん勇気づけられました」と述べ、最後は日本語で「ありがとう」と感謝の意を伝えた。審査員を代表してコメントを寄せた審査委員長の映画プロデューサー、澤田正道氏は、冒頭で「審査員全員一致でこの作品が大賞に決まりました」と語り、「ガンを告知された女性という強いコンセプトで始まりながらも、映画は、この主人公の人間そのもの、本質を描き出していく。この主人公は決して憐れみを受け入れず、ときに観客にとっても目をそむけたくなるような態度をみせる。だが、彼女の死んでいくことへの恐怖と、残されていく子どもたちへの母親としての責任が(こちらに)ひしひしと伝わってくる。まさにそこに生身のひとりの女性、ひとりの母親を見ることができる。その傍らで何もできない夫のふがいなさはとても実感できるものがある。撮り手の監督自身がこの主人公の女性と寄り添って、『生きる』ということを問いただしている気がする。監督が次になにを撮るのか興味深い」と作品を評した。もうふたつの主要賞である監督賞と審査員特別賞は、こちらも女性、ロシアのナタリア・ナザロワ監督の『ザ・ペンシル』が受賞。2冠を手にした。『ザ・ペンシル』は、暴力の恐怖に対抗する武器として、生徒たちに鉛筆を与えた、ある女性美術教師の物語。いかなる不条理にも圧力にも屈することなく、芸術の力を信じて己を貫くヒロインの気高き生き様が描かれる。審査員を務めたロッテルダム国際映画祭およびロカルノ国際映画祭のプログラマー、ジュリアン・ロス氏は本作について「いまは、社会的圧力によって前に進むことがひじょうに困難な時代。この問題はロシアを含む世界各地が抱えている。そこに本作は焦点を当てている気がする」と語り、もうひとりの審査員である映画監督の三島有紀子氏は、「ほんとうに力強い作品。ロシアの社会構造と、世界中で蔓延している『みたくないものをみない』という風潮を寓話として物語に落とし込めているところがすばらしい。ナザロワ監督は『みたくないものをみていかなければならない』『わたしたちはみなければならない』ことを力強くメッセージとして伝えてくれた」と称賛のコメントを寄せた。セーダル監督同様に来日が叶わなかったナザロワ監督は「私は日本が大好き。詩をはじめあらゆる日本の伝統的な文化を私は愛しています。ですから、日本での受賞は私にとってとても大きなことです。いつの日か日本を訪れたい」と喜びをビデオメッセージで伝えた。国内コンペティション部門に目を転じると、長編部門がアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』、短編部門が藤田直哉監督の『stay』がそれぞれ優秀作品賞に。国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与するSKIPシティアワードは、国内作品で唯一国際コンペティション部門に選出されていた『写真の女』の串田壮史監督が手にした。今回の開催を振り返ると、コロナ禍でも起きている人間同士の分断、あるいはジェンダーの問題、社会の多様性など、いままさに目を向けるべき問題を体感する機会になったといっていいかもしれない。それほど入選作品には、今の時代を色濃く反映し、今の社会や人間の在り方を問う力作が並んだ。審査委員長の澤田正道氏も総評で「女性監督の作品をもっと推薦すべきだという意見を映画祭でも業界でも聞く。しかし、本映画祭で改めて実感したのは、女性監督の作品がすでにしっかりと根をはってきていること、女性・男性という考えが徐々に昔のことになっていこうとしていること。近い将来、女性監督の映画、男性監督の映画という言い方自体が古く感じさせるときが近づいているような気がする。今回、受賞した2作品はいずれも女性監督です。でも、誰も女性監督の作品と意識してみていないものです。映画は性別などないこと。さまざまな人が映画という表現方法を使って世界と対峙していることを見せてくれました。もうひとつ考えさせられたのは戦争について。今起きている戦争、過去に起きた戦争、今起こっている戦争にわれわれはどう接するべきなのか、過去に起きた戦争に対する私たちの立ち位置とはどうあるべきなのか、そういうことを映画を通して考えさせられるのはとても意義のあることだと思う。われわれのように作る側においては、このテーマを扱う際の責任と覚悟をあらためて感じさせられました」と審査を通して、今の時代を痛感した主旨のコメントを述べた。また、コロナ禍という事態を受け本映画祭は、苦渋の決断でオンライン配信での開催を余儀なくされた。制約がつく中での開催となったが、会期中の視聴数は6000を突破。コンペティション部門のみの配信上映で、例年に比べると上映本数も少なくイベントもない中で、この数字は大健闘といっていい。その中で審査員の澤田氏は映画祭についても触れ「いま商業的にいうとイベント性をもたない映画は公開さえ難しくなってきている。そういう状況の中で、映画祭は、シンプルに映画を映画としてみせる可能性を残している。そのことを今回の開催では実感した。この映画祭が末永く続いていくことを望む」とメッセージを寄せた。そういう意味で、今年の《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》は、改めて映画祭の存在意義を示す開催になったといっていいかもしれない。なお受賞結果は以下の通りになる。<国際コンペティション>最優秀作品賞:『願い』監督:マリア・セーダル監督賞/審査員特別賞:『ザ・ペンシル』監督:ナタリア・ナザロワ観客賞:『南スーダンの闇と光』.監督:ベン・ローレンス<国内コンペティション>SKIPシティアワード:『写真の女』監督:串田壮史<国内コンペティション>優秀作品賞[長編部門]:『コントラ』監督:アンシュル・チョウハン優秀作品賞[短編部門]:『stay』監督:藤田直哉観客賞[長編部門]:『コーンフレーク』監督:磯部鉄平観客賞[短編部門]:『ムイト・プラゼール』監督:朴正一取材・文:水上賢治《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》詳細は
2020年10月05日世界に先駆け現在主流のデジタルシネマをクローズアップし、次代を担う若手映像クリエイターを発掘してきた《SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020》が26日開幕を迎える。17回目となる今年は、新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受け、メインの国際コンペティションと国内コンペティション(長編・短編)に絞ってオンライン配信での開催。通常開催とは違うが、若手映像作家を発掘し、世界の多様な映画を紹介してきた例年と同様に、国内外の新進映画作家たちの手掛けた新作映画を届ける!まず、同映画祭のメイン・プログラムである国際コンペティション部門には、今年、過去最多の106の国・地域から883作品がエントリー。まさに厳正な審査を見事に勝ち抜いたといっていい、新進気鋭の映画作家の10作品が選出された。ラインナップで注目すべきは、本映画祭では初となるドキュメンタリー映画が2本選出されたこと。ルイ・ウォレカン監督の『リル ・ バック/メンフィスの白鳥』は、スラム出身のダンサー、リル・バックの波乱の半生が語られ、もう1本のデンマークのボリス・B・ベアトラム監督による『戦場カメラマン ヤン ・ グラルップの記録』は、戦場に身を置き、リポートし続けるカメラマンの死と隣り合わせ毎日と家庭での素顔に迫る。趣はまったく異なるが、どちらもその人物の実像に肉薄した力作になっている。このドキュメンタリー映画が2作選出されていることが象徴するように本映画祭の国際コンペの大きな特色になるのが、さまざまなジャンルの作品が顔を揃えること。ジャンル映画専門以外の国際コンペとなるとなかなか選出されないコメディやサスペンスといったエンターテインメント要素の強い作品が今年も選出されている。ロイ・アンダーソン監督にも通じるスウェーデンらしいシニカルなコメディが展開する、パトリック・エークルンド監督の『カムバック』、わけあり家族にちょっとした騒動が起きるフレンチ・コメディ『フェリチタ!』といったユーモアあふれる作品から、注目のドイツ人女性監督、カトリン・ゲッベによる心理ホラー『ペリカン・ブラッド』、死に直面した大人の男女の関係の行方を精緻にえがいた人間ドラマ『願い』など、娯楽性と芸術性を兼ね備えた多様な作品が並ぶ。こうした海外の力作が居並ぶ中、日本映画で唯一ノミネートされたのは、串田壮史監督の『写真の女』。イギリスの大学で映像制作を学んだ串田監督は、2017年に発表した短編『声』が、世界90の映画祭を巡り、ブラックマリア映画祭最高賞など数々の賞を受賞。今回が初長編映画になるが、言葉よりも身体に特化した表現、周到なサウンドデザイン、こだわりの美術とロケーションなど、そのオリジナルな感性に驚かされる。今回の選出について串田監督は「日本人だけではなく、ほかの国の人にも伝わる作品を常に目指している。ですから、国際コンペティションの場に選ばれたのは、とても光栄なこと。世界の映画が並ぶ中で、どのような評価をいただけるのか楽しみにしています」と語ってくれた。一方、国内コンペティション部門に目を転じると、こちらもこれからの飛躍が期待される映画作家たちが名を連ねた。長編部門には、『カメラを止めるな!』でブレイクしたしゅはまはるみと、実力派俳優の藤田健彦と長谷川朋史監督が立ち上げた制作グループ「ルネシネマ」の作品となる『あらののはて』、中濱宏介監督が大阪芸術大学映像学科の卒業制作として発表した心理サスペンス『B/B』、本映画祭の常連、磯部鉄平監督の昨年、SKIPシティアワードを受賞した『ミは未来のミ』に続く長編第2作『コーンフレーク』、東京を拠点に活動し、アニメーターとしての実績もあるインド出身のアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』、瀬浪歌央監督の京都造形芸術大学(現京都芸術大学)映像学科の卒業制作作品となる『雨の方舟』の5作品が選出。「長編初監督ではあるんですけど、若手とは到底いえない年齢で(笑)。若手の方の枠を奪ってしまった気がして、恐縮しているんですけど、貴重な場をいただけたと思っています。ひとりでも多くの方に観ていただいて、多くの感想をいただけたらうれしいです」(長谷川監督)「何度も繰り返してみてほしい作品だったので、オンラインでの上映はある意味、僕にとっては望みが叶うところがあります。何度もみることで気づくことが隠されている映画なので、そういうリピーターがひとりでも出てくれたらうれしい。また、このコロナ禍でいっぱいプロットができたので、興味をもってくださるプロデュサーの方とかいたらぜひご連絡ください(笑)」(中濱監督)「まさか3作連続で選出されるとは夢にも思っていなかったのでめっちゃうれしいです。この映画祭は僕をステップアップさせてくれた大切な映画祭。オンラインで会場での反応がわからないのは残念なんですけど、逆にこれまで映画祭に遠方でこれなかった人とかも見てくれるかもしれないことに期待しています」(磯部監督)「これまで日本の映画祭にはあまり縁がなくて、僕の映画は日本では好まれないかなと思っていたので、今回選んでいただいたことをとてもうれしく思っています。どのようなレビューをいただけるのか楽しみです」(チョウハン監督)「実際の劇場で観客のみなさんに会えないのは残念ですが、このご時世、オンラインでも自分の作品が人に届けられる場がもてたのはとてもありがたいこと。多くの人が自分の作品を観てくれるこの場を大切にしたいと思います」(瀬浪監督)とそれぞれが映画祭に期待を寄せる。もうひとつの短編部門は9作品がノミネート。こちらも、俳優としても監督としても活躍をみせる若葉竜也の『来夢来人』、占部房子と黒田大輔という実力派俳優が顔を揃えた宮部一通監督の『つぐない』など注目作が並ぶ。『浅田家!』の公開が控える中野量太監督や『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督ら若い才能を見いだしてきた本映画祭。今年はオンライン配信での開催で日本全国のどこからでもアクセスできる。新たな才能に出会ってほしい!取材・文・写真:水上賢治<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020>会期:2020年9月26日(土)~10月4日(日)上映:オンライン上映(シネマディスカバリーズ)※上映スケジュールや料金などの詳細は公式サイト( )にて
2020年09月25日今回のコロナ禍のエンタメ業界において危機が叫ばれたひとつに挙げられるのがミニシアターだ。その苦境が多くのメディアで伝えられたことは記憶に新しい。緊急事態宣言解除後、営業が再開されたものの、その現状は厳しい状況が続く。その置かれた状況は老舗のミニシアターであっても例外ではない。50年以上続き、ミニシアターの草分け的存在である岩波ホールもまた、これまでにない事態に直面した。いち早い劇場の休業から、今年上映が予定された作品の来年公開への延期。そして休館から約4カ月、過去に上映した名作を集めた特集上映<岩波ホールセレクション>で再スタートを切る。老舗ミニシアターがこれからどんな“re:START”を切るのか?岩波ホールの岩波律子支配人に話を聞いた。2月下旬にいち早く休業を決定。その決断に至った理由は?はじめに、岩波ホールが劇場の休業を決めたのは2月下旬のこと。まだシネコンなど多くの映画館は稼働している頃だった。その中で、いち早く劇場を閉める決断に至った理由はどこにあったのだろうか。「正直申しますと、もう少しやりたい気持ちはありました。ただ、その時点で、爆発的な感染拡大が世界で起きていましたし、おそらく日本もその波は避けられない。そう遠くはないところで劇場を閉めなくてはならないだろうなと。その中で、やはり考えたのは安全面です。万が一の可能性でも、感染者を出してしまったらお客様に多大なご迷惑がかかりますし、スタッフの安全も守れないことになってしまう。また、一度、そういう事態が起きますと、やはりお客様もなかなかお越しになりづらくなる。どうしても足が遠のいてしまうと思うんです。それで、苦渋の決断でしたけど、いち早く、館を閉めることにしました。当時、上映されていた作品の配給会社さんにはご迷惑をおかけしてしまったんですけど」岩波ホールの場合、エキプ・ド・シネマの会(※世界の埋もれた映画を発掘・上映することを目的とした岩波ホールの会員組織。“エキプ・ド・シネマ”はフランス語で“映画の仲間”)の会員をはじめ、長年にわたって館を支持するファンが多い。そのことから分かるように、シニア層がメイン。映画館に長年通ってくれている常連への考慮もあったという。「高齢の方の病状が悪化する事例が多く伝えられていましたから、やはり私どもとしてはひとりもそういう方を出したくない。大切なお客様ですから、なにかあってからでは遅い。それも早く決断した理由のひとつですね」さらに岩波ホールは自社ビルであることから、他のフロアへの配慮も考え、独自の判断が求められた。「ビル全体のこととして考えなければならなかったところもありました。もし万が一、私どものホールで感染が起きてしまったら、テナントとして入ってくださっている各所の皆様にもご迷惑がかかる。皆様それぞれに経営がありますから、そこに支障をきたすようであってはならない。そこも考慮しました。現に、今回の劇場を開けるにあたっても、全フロアにご挨拶にうかがって、エレベーターで混むことがないようにといった対策をご説明して、再開に至っています。早く閉めすぎと思われた方もいらっしゃると思うんですけど、私どもとしては正しい判断だったのかなと思っております」お客様が来ない、問い合わせの電話もない。休業期間中に思ったことコロナ禍での、ミニシアターをめぐる大きなムーブメントとしては、クラウドファンディングの“ミニシアター・エイド基金”が記憶に新しい。有志が声を上げて始まったミニシアター・エイド基金は目標額を大きく上回り、3億円を突破。支援の輪が広がった。ただ、先に触れたように岩波ホールは自社ビル。大手メジャーのシネコンでもないが、テナントとして間借りしている多くのミニシアターともちょっと立場が違う。そういう微妙な立ち位置で、このムーブメントは遠巻きに見るしかないところがあった。「置かれた状況、映画館としての気持ちとしては同じなんですけどね(笑)。これは仕方がないです。私どもとしては、自分たちでやっていくしかないなと思いました」ただ、こうしたムーブメントが起きたことはうれしかったという。「ミニシアターをこれだけの方々が大切な場所と思ってくれていたことは、すごくうれしかったです。私どもの映画館にも、“少しでも早く開くことを待ってます”とか、“まだ始まらないんですか?”とか、皆様からの声が寄せられて、それが再開に向けての大きな励みになりました。年に1回、会員の方とお会いする会を実施しているんですけど、創立(1968年)した翌年から岩波ホールに通われている方もいらっしゃるんですね。お話しすると、映画とともに人生があったような方ばかり。私も気持ちは一緒です。ですから、私どもは映画を届ける側で、会員の皆様はそれを受け取る側ですけど、気持ちとしては映画の同志。そういう方がいらっしゃって映画館を支えてくださっていることを、あらためて実感する機会になりました。休業期間中はオフィスにいても電話が鳴らない。問い合わせのお電話がない。もちろん劇場にはどなたもいらっしゃらないわけで、これほど寂しいことはありませんでした。お客様と接する機会がまったくないことが、本当につらかった。お客様の声が、再開に向けての大きな原動力になったことは間違いないです。それから私どもの場合、配給会社さんらとそれこそ膝を突き合わせて、さまざまなことを徹底的に話し合う。題名ひとつでも100案ぐらい出したりすることもある。そうして1本の映画を皆様にお届けしているんですね。今回の休業期間というのは、この現場仕事のことを思い出しまして、配給会社さんをはじめとする関係者の皆様もまた同志なんだなと実感しました」再開しようとしたら更なる問題が。上映する作品がない!劇場の再開を考え始めたのは、緊急事態宣言の解除が視野に入り始めた5月中旬ぐらい。ただ、ここで問題に直面する。「私ども岩波ホールは、たとえば1カ月半ならその期間、1本の作品を途中で打ち切ることなく上映し続ける。でも、今回休業に入る前に上映していた作品の配給会社さんにはびっくりされたんですけど、その後上映を予定していた3作品に関しては、“上映するならばこういう不安な形ではなく、万全の形でやりたい”ということで、来年に公開を延期することですんなりとお話がまとまったんですね。ということで、その3作品が来年に回ってしまった。そのため、いざ6月ぐらいからの劇場再開が視野に入ったとき、8月22日から公開を予定している『シリアにて』までの間、上映する作品が不在といいますか。ぽっかり空白になってしまった。これは困ったなと(笑)」『シリアにて』8月22日(土)公開(C)Altitude100 - Liaison Cinematographique - Minds Meet - Ne a Beyrouth Filmsしかも、『シリアにて』公開後の今秋からは元々予定されていた改修工事が。劇場が再びオープンするのは2021年の2月となる。「このままではいけない。なにか映画をお届けしよう」ということで、急遽組まれた特集プログラムが<岩波ホールセレクション>だった。「幸い、今回上映が中止や延期となった昔からおつきあいのある配給会社の皆様から、この機会にという声をいただいたので、リストアップしていただいたんですけど、結構いい作品の権利をまだお持ちで。かつて岩波ホールで上映してはいるんですけど、私たちもあらためて観てみたい作品がいっぱいあった。それで突貫工事じゃないですけど、急いでプログラムを組みました」名監督たちとの思い出深い作品も。岩波ホール過去の名作を再上映プログラムは、ムヴィオラ配給作品『オレンジと太陽』が第1作目として6月13日から19日まで上映済みで、現在は同配給の『パプーシャの黒い瞳』を上映中。この後も、岩波ホールで上映された過去の名作が、配給会社ごとに次々と上映される。『パプーシャの黒い瞳』6月20日(土)~6月26日(金)上映(C)ARGOMEDIA Sp. z o.o. TVP S.A. CANAL+ Studio Filmowe KADR 2013「我ながらと言ったらおこがましいんですけど、名作シリーズと言っていい、なかなか見ごたえある作品がそろったなと思っております。いずれの作品も思い出深いのですが、中でも、ザジフィルムさんにお願いして実現したアニエス・ヴァルダ特集は組めて良かったです。(※アニエス・ヴァルダはベルギー出身の映画監督)昨年、お亡くなりになってしまったのですが、ヴァルダさんは本当にパワフルな女性で。もっと長生きするものと思っていたので、まだお亡くなりになったのが信じられないところがあります。何度かご一緒する機会に恵まれたのですが、私の中では“肝っ玉かあさん”と言いますか(笑)。社会活動家やフェミニストといったパブリックイメージがあると思うんですけど、おっかさんと呼びたくなる、真の意味で、強い女性でした。本当にお母さんみたいな人で、常に周囲に目配りしている。岩波ホールの前総支配人、高野(悦子)が存命だった頃、フランスでご一緒したことがあって、お昼を食べないかと言われたのでついていったら、なんとご自宅で。台所で料理を作り始めたら、ずっと作っていてテーブルに戻ってこないんです(笑)(※“高野”は正しくははしご高)。その後日本にいらしたときにも、私とたまたま一緒に帰ることがあったんですけど、“この後食べるごはんはあるの?”と聞いてくる。それから、銀座の山野楽器に行きたいということでお連れしたことがありました。なんでかなと思ったら、ビデオコーナーで夫であるジャック・ドゥミ監督のソフトをチェックし始めて、“コレは権利が切れてるはず”とかぜんぶチェックしていましたよ(笑)。それぐらい目配りの人でまめ。おそらくジャック・ドゥミ監督は相当、彼女に助けられたんじゃないでしょうか」特集:アニエス・ヴァルダ監督 (※写真は『落穂拾い』)7月18日(土)~8月7日(金)上映(c)Cine Tamaris 2000岩波ホールとゆかりの深い監督といえばポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダも外せない。彼の作品は遺作となった『残像』が上映される。「何度も来日してくれましたし、いろいろな思い出がある監督さんです。1987年に京都賞の思想・芸術部門を受賞されて、賞金が4500万円と聞いて、私たちは“これで次の作品が撮れるだろう”なんて考えていたら、ワイダ監督はこれを基にポーランドのクラクフに日本の美術館(日本美術技術センター)を作りたいと。それで高野(悦子)も協力して募金活動を一緒に行ったのはいい思い出です。日本の文化や美術を大切してくださる監督さんでもありました(※“高野”は正しくははしご高)」『残像』6月27日(土)~7月3日(金)上映(C)2016 Akson Studio Sp. z o.o, Telewizja Polska S.A, EC 1 - ?odz Miasto Kultury, Narodowy Instytut Audiowizualny, Festiwal Filmowy Camerimage- Fundacja Tumult All Rights Reserved.そんな<岩波ホールセレクション>だが、この上映の機会についてはさまざまな思いがあるという。「本も映画もそうなのですが、再度観たり、読むと印象がずいぶん変わることがある。時を経て、自分も歳を重ねると、当時観たときには気づかなかったことに気づいたり、汲み取れなかった意味が分かったりと、新たな発見がある。あと、10年経てば、忘れていることもありますよね(苦笑)。今回の自粛生活で、私自身もいくつか映画を観直したりしたのですが、やはり印象がまったく違ったりする。より深いことを感じるときがある。良い映画は、何度も観ることで理解が深まる。より味わい深く感じられるものなのではないでしょうか。お客様にとって、1度観た作品と再会して、新たな魅力を体感する場になってくれたらいいなと思っております。あと、この特集上映期間の座席は、縦は1列おき、横は1席を空けるようにして、見えづらい位置の席も空けて、220席のうち60席のみでの上映になります。もちろん安全面に最大限配慮してのことではあるのですが、長く休業していましたから、これぐらいの席数でお客様をお迎えするのが私どもとしても万全を期せるかなと。もちろん多くの方にご来場していただきたい気持ちはやまやまなのですが。そういう意味で、劇場再開のウォーミングアップのようなところもある。ですので、お客様にとっても、映画館に足を運ぶウォーミングアップになってくれたらいいかなと思っております」単なる知識ではない体験を得られる場。岩波ホールはそういう場でありたい前述のように、今回の<岩波ホールセレクション>、そして『シリアにて』の上映後は改装工事へ入る。「映写関係、天井、椅子などのメンテナンスです。見かけはあまり変わらないと思います。新しくなったと思っていらっしゃったら、“どこが違うの?”と逆に驚かれるかもしれません(苦笑)。もう古いので内装なども変えたほうがいいのかなと思いつつ、今の若い方は“レトロ”と言ってくれて喜んでくださったりする。この雰囲気がいいとおっしゃってくれる外国人の方もけっこういらっしゃる。これも私どもの劇場らしさであり、なくしてはいけないのかなと。まったく別の映画館に変化していることはないので、安心していらしてください」劇場の再開は来年2月。そこからがまた新たなスタートと言っていいのかもしれない。老舗ミニシアターとしてこれからをどう考えているのだろうか?「多くの方が当分は、密集することを避けたい気持ちを消すことはできないと思うんです。ですから通常に戻るにはかなり時間がかかることは覚悟しております。もう一方で、現在のような席数を限定して、ソーシャルディスタンスをとっての上映というのが、果たして、真のスクリーン体験、劇場体験、映画体験と言えるのかなと。やはり、多くのお客さんと場を共有しながら時間を過ごす。暗闇の中で、見ず知らずの人と観ることが真の映画体験ではないでしょうか。それがこのコロナ禍で、なくなってしまってはいけない。もちろん作品を楽しむことはDVDやVODでもできます。ただ、実感を伴うということに関しては、音楽にしても舞台にしても、ライブが長けている。映画を映画館で観るということも、変な言い方になりますが、“半ライブ”だと思うんです。演者や奏者は目の前にいませんけど、映画が代わりとなってくれて、体感としてこちらに伝わってくるものがある。そうやって身をもって実感したことは、自分でなにか物事を判断する際の素養を作るんです。情報として素通りしていかない。単なるデータで終わらない。自分の身に置き換えて考えたり、そのことに思いを馳せたりすることができる。そのように物事を感じたり、見たりすることができるのは、とても大切だと思うんです。単なる知識では得られない、体験できてこそ得られることがある。映画館もそういう場所のひとつではないか。岩波ホールはそういう場でありたいし、皆様が体感してなにかを得られるような作品を今も昔もこれからも届けていきたい。もちろん今回が再スタートではあるんですけど、岩波ホールとしては良い意味で変わらないといいますか。よく“愚直”と言われるんですけど、1本1本、映画を大切に届けることをこれからも続けていきたい。先々のことを考えても仕方がないので、そのとき、そのときでベストを尽くしていければいいかなと思っております」取材・文:水上賢治撮影:源賀津己岩波ホールセレクション第一弾ムヴィオラ配給上映終了『オレンジと太陽』6月20日(土)~6月26日(金)『パプーシャの黒い瞳』第二弾アルバトロス・フィルム配給6月27日(土)~7月3日(金)『残像』7月4日(土)~7月10日(金)『少女は自転車にのって』7月11日(土)~7月17日(金)『12か月の未来図』第三弾ザジフィルムズ配給7月18日(土)~8月7日(金)特集:アニエス・ヴァルダ監督第四弾アップリンク配給作品8月8日(土)~8月21日(金)上映作品調整中
2020年06月22日皆さんは映画配給会社の存在をご存知だろうか?配給会社は、洋画の場合でいうと、まず映画を発見することから始まり、その作品を買いつけると、日本全国の映画館に上映を依頼。さらに宣伝して映画を公開すると、その後はソフト化やVODやテレビ放送までトータルで手がける。いわば映画業界の黒子的存在だ。小規模映画館<ミニシアター>を守るための“ミニシアター・エイド基金”や、“Save The Cinema”など、支援を求めるアクションが起きたことからも分かるように現在、映画業界は苦境が続く。それは独立系配給会社も同じこと。その中で、このコロナ禍を乗り越えるべく、独立系配給会社が新たな独自の試みとして“Help! The 映画配給会社プロジェクト”をスタートさせた。発起人を代表して映画配給会社セテラ・インターナショナルの代表取締役社長、山中陽子氏に話を聞いた。映画を観に来てくださいとお願いすることもできない。こんな心苦しいことは初めてまずはじめに、山中氏は映画配給の仕事を手がけて32年。このような事態に見舞われるのは当然ながら初めてだった。「映画館が閉まってしまい、映画を上映することができない。長くこの仕事をやっていますが、こんな状況に直面したのは初めてです。私どもの会社の話ですと、3月27日(金)から配給作品『最高の花婿 アンコール』の公開が始まりました。ところが続く土日は映画館が閉まってしまい、その後は平日のみ10日間営業はしましたが、外出自粛要請下でしたのでお客さんはほとんどいらっしゃらない状況で……。考える間もなく、いきなり苦境に立たされた感じでした。 LES FILMS DU PREMIER - LES FILMS DU 24 - TF1 FILMS PRODUCTIONただ、厳しい現状はその少し前からすでに始まっていました。映画館もいつ営業停止になるか分からない。でも、正式に劇場が閉まることが決まらなければ、こちらとしては公開に向けて宣伝を進めていくしかない。とはいえ、新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、映画を観に来てくださいと積極的に謳うことはできない。不要不急の外出は避けましょうとされている中で、“多くの人に集まってください”と言っているようなものですから。ひとりでも多くの方に届いてほしいのに周知できない。好きな映画を勧められない。こんな心苦しい気持ちになったのも初めてですね」劇場収入のウェイトが大きいミニシアター作品。それが途絶えるのは死活問題劇場での公開がストップすること。これは独立系映画配給会社にとって死活問題であることを明かす。「大手配給会社と比べると、独立系配給会社は収益の多くを映画館収入から得ています。その映画館は、全国のミニシアターです。私どもが手がける世界各地の作品だったりアート系の作品というのは、最近ではテレビの地上波で放送していただくことはほとんど期待できません。CS放送や配信サービスでかろうじて取り上げていただけるぐらいです。DVDなどのソフトに関しても、今はなかなか売れない厳しい時代。ですから、本当に劇場収入のウェイトが大きいんです。配給会社は映画の権利を買い、それを宣伝し、公開して皆さまに作品をお届けします。1本の映画を届けるまでに大体半年ぐらいかかります。この間、支出はあっても収入はありません。劇場公開が始まってようやく収入を得る。先頃まで映画館は閉まっていましたが、いったい映画館収入がどうなっているのか、もう怖くて考えられません(苦笑)」現在、少しずつ映画館の再開が始まった。だが、席数の制限、コロナが完全に終息していない現状では映画館から遠ざかる人も少なくない。これは映画館に限らず、一度遠のいてしまった客足はそう簡単には元どおりに戻らない。となると、以前のような集客はなかなか望めないのが現実。やがてやって来るのではといわれる“第二波”“第三波”も想定すると、長期戦を覚悟しなくてはいけない。そこで独立系配給会社が集まり立ち上げたのが、“Help! The 映画配給会社プロジェクト”だ。映画館が閉まっている今、私たちの“映画”を観てもらうには配信しかない 2018 Constantin Film Produktion GmbH独立系配給会社が始めた見放題映画配信パック。言い方は好ましくないかもしれないが、これはコロナ禍が与えてくれた、珠玉の映画セレクション。これほどの名作に一挙に出会える機会はそうそうない。まずは、どんなラインナップなのか、覗いてみてほしい。そして、さまざまな映画を届けてくれる独立系配給会社の存在に想いを寄せてほしい。取材・文:水上賢治関連情報Help! The 映画配給会社プロジェクト公式note: 公式Facebook: 公式twitter: アップリンク・クラウドHelp! The 映画配給会社プロジェクト
2020年06月03日.spNews__sns {padding: 0 24px;margin-top: 16px;height: 30px;}.spNews__pr {padding: 0 24px;margin-top: 24px;}.spNews__pr__button a,.spNews__sns__button a {padding: 5px 10px;color: #A6A6A6;border: 1px solid #A6A6A6;width: 10%;font-size: 1.2rem;}.spNews__link {margin-top: 16px;padding: 0 20px;}.spNews__link__btn {width: 48%;min-height:42px;display: inline-block;vertical-align: top;margin: 0px calc(1% - 1px);border: 1px solid rgb(0, 112, 192);border-radius: 5px;background-color: rgb(0, 112, 192);box-sizing: border-box;}.spNews__column {padding: 0 24px;}.spNews__column * {padding-right: 0;}.spNews__column .spNews__link__btn {width: 100%;}.spNews__column:after,.col:after {content: "";display: table;clear: both;}.col {display: block;float: left;width: 100%;}.span_1 { width: 8.33333333333%; }.span_2 { width: 16.6666666667%; }.span_3 { width: 25%; }.span_4 { width: 33.3333333333%; }.span_5 { width: 41.6666666667%; }.span_6 { width: 50%; }.span_7 { width: 58.3333333333%; }.span_8 { width: 66.6666666667%; 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2020年05月11日中条あやみ主演映画『水上のフライト』が、2020年11月13日(金)に全国公開される。実話をもとに描いた感動ヒューマンドラマ映画『水上のフライト』は、実在するパラカヌー日本代表選手・瀬立モニカとの交流を通じて、脚本家・土橋章宏が書き上げたオリジナルストーリー。事故で歩けなくなった失意のヒロインが、パラカヌーを通して新たな夢を切り開く感動ヒューマンドラマを、『雪の華』の中条あやみを主演に迎えて描きだす。夢を絶たれたヒロインと、カヌーの出会い中条演じる主人公・遥は、自分の実力に絶対の自信を持つ“負け知らず”の人生を歩んできた女性。走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していたが、ある日不慮の事故に合い、二度と歩くことができない身体となってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えもあり、“パラカヌー”という新たな夢を見つけることにー。きらめく水面を背景に、母の愛、淡い恋心、恩師との約束…そして、大切な人の想いを乗せて、どん底から道を切り開いていく。難易度の高いパラカヌーに挑む中条あやみの熱演ぶりにも注目だ。温かな愛に包まれて不慮の事故で心を閉ざした遥を取り囲む仲間・家族・コーチには、旬な俳優勢が抜擢。裏方で遥を支える颯太役を『居眠り磐音』の杉野遥亮、心配しながらも温かいまなざしで包み込む母・郁子役 を『アマルフィ女神の報酬』の大塚寧々、父親代わりに厳しく熱く導いていくコーチの宮本役を『引っ越し 大名!』の小澤征悦が担当する。監督に兼重淳なお監督は、『泣くな赤鬼』『キセキ ―あの日のソビト―』を手掛けた兼重淳が務める。作品詳細映画『水上のフライト』公開日:2020年11月13日(金)※当初2020年6月12日(金)だったが延期となった。監督:兼重淳脚本:土橋章宏主題歌:「ひとりで生きていたならば」SUPER BEAVER出演:中条あやみ、杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙、大塚寧々、小澤征悦配給:KADOKAWA
2020年03月13日事故で歩けなくなり心を閉ざすヒロインの飛躍を中条あやみ主演で描く、実話に着想を得た感動の物語『水上のフライト』から、予告編と新場面写真が解禁となった。今回公開された予告編は、「弱いのは努力が足りないだけですから」という強気なセリフとともに、走高跳でオリンピックを目指す中条さん演じる遥がバーを華麗に飛び越える姿から始まる。不慮の事故に遭い、命は助かったものの二度と歩くことができなくなってしまう遥。心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられパラカヌーという新たな夢を見つける。初めて挑戦するパラカヌーに最初は弱腰の遥だったが、トレーニングを重ねるうちに段々と上達していく姿が確認でき、観る者の胸を打つ奇跡と感動の予告編となっている。予告編では、SUPER BEAVERが手掛ける主題歌「ひとりで生きていたならば」も解禁。人々の支えで立ち直っていく遥の心情とシンクロするような、人は一人では生きていけないという温かいメッセージを、力強い歌声で歌い上げ映画を盛り上げる。中条さんは主題歌について、「初めて映画をエンディングまで観て、『一人で生きていたならば』が流れた時に、映画も音楽も1つになってとても素敵な作品が出来たという事に大きな満足感と幸せな気持ちで満たされました」とコメント。さらに、「自分は決して一人じゃない。だから寂しい気持ちにならなくてもいいし、色々な人がいて、色々な人生があるから面白いのだと、前向きな気持ちになります!心が沈んでしまった時や、元気を出したい時にお守りのようにして聞きたい!と思いました」と語っている。『水上のフライト』は6月12日(金)新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:水上のフライト 2020年6月12日より新宿バルト9ほか全国にて公開©2020映画『水上のフライト』製作委員会
2020年03月10日いま世界で注目を集める若き映画作家のひとりといっていい中国のビー・ガン監督。『ロングデイズ・ジャーニーこの夜の涯てへ』は、彼にとって長編2作目になる。実際に彼が世界から注視されたのは2015年に発表した長編デビュー作『凱里ブルース』でのこと。この作品は、ロカルノ国際映画祭をはじめ数々の映画祭で受賞を重ね、批評家から高い評価を得た。ビー・ガン監督本人はデビュー作の成功をいまこう振り返る。「制作費用の少ない小規模な作品で、私自身も大学を卒業してまだ間もないころ。そんな新人の小さな作品が、世界のさまざまな映画祭をめぐり、一定の討論がなされたことは光栄なことと受け止めています。こうした論争を起こすことが、ものをつくる人間のひとつの役割でもありますから。ただ、世間一般でいう成功に関してはあまり興味がないというか。そもそも、なにをもってして成功とするのかよくわからない。僕の中での成功の定義は、撮りたいものがとれたかどうかだけなんです。作品において、僕の役割は、変なたとえになりますけど、爆破要員というか。その作品にすべてを集中して、自分の情熱を最大限スパークさせればいい。自分のあらゆることを作品に注ぎこんで爆破させれば、自分の任務は終わったといっていい。だから、作品ができて提示したあとのことはあまり考えない。自分が思い描いた映画が作れていればいい。なので撮り終わったあとは身を隠します(笑)。評価はあくまでみなさんに委ねるだけです。まあ、でも、いろいろと自分の作品が議論されることはとてもうれしいことです。みなさん、ほかにも多種多様な映画がある中、貴重な時間を使って、僕の作品をいろいろな角度から検証してくれているわけですから」そこから第2作へ向けては少し休憩をとったという。「爆破終了後は(笑)、半年以上の休息をとりました。長編映画を作るということは、体力面、精神面、ダブルで擦り減ってしまい、ものすごく疲弊します。いろいろな映画作家さんがいらっしゃいますから、各人それぞれに違うと思うのですが、私の場合は、一定の期間を置かないとアイデアがわいてこない。疲れ果ててしまうと、映画に対する感覚がマヒしてしまう。ひとつの作品で、すべてを出し尽くしてしまう。だから、映画を撮り終えたあとは、ほとんど空っぽの状態。しばらく映画を作れるまで回復する時間が必要なんです。そのように1作ごとに、すべてを出し尽くした監督でありたいとも思っています」休養期間を経て、今回の脚本に取りかかった。「ずっと休んでいるわけにはいかないですからね(笑)。十分な英気を養ってから、パソコンを開いて、脳裏に浮かんだ映画のタネともいうべきアイデアを半年ぐらいかけて打ち込んでいきました。私の場合、最初になにか思いついたようなおおよそのストーリーがあるわけではありません。『凱里ブルース』のときは“時間”、今回は“夢と記憶”といった核となるテーマがどこからか出てきて、それに心が決まると、まつわるものを統合していって、ひとつのストーリーを作るようなスタイルです。自分の脳裏には、映画になる前のインデックスのようなものがあって、そこに映画のアイデアがストックされている。そこから引っ張りだしてくる感じですかね」脚本は、撮影に入ってもほぼ変更しないぐらい、ほぼ完璧に仕上げるという。「撮影に入ってから、新しい考えが浮かんで変更することはほぼないですね。変える場合があるとすると、客観的な判断と現実的な問題でどうしても変更せざるを得ないとき、特別によいアイデアがあって、そうしたほうが絶対にいいという核心を得たときはしますけど。完璧に仕上げてはいますが、足りないと思うこともあります。その場合、付け加えることを恐れることはありません。もちろん、そうすることでベストになるのか、最後まで見極めることを怠ることはありません。ひとつ間違えると大きな代償を支払うことになりかねませんから」その物語は、長い間、故郷を遠ざけていたルオが主人公。父の死を機に彼は、故郷の凱里へ帰ることに。そこで、彼はかつてのマフィアに殺された幼なじみや自分を捨てた母の記憶などがよみがえり、それらの断片を集め、さすらう。そして、運命の女性の面影を追い、現実と夢と記憶が交錯する世界へと迷い込む。この主人公と同様に、こちらも現実とファンタジーの世界の狭間を往来するよう。不思議な夢と記憶の世界へと誘われる。そして、すでに大きな話題となっている後半、60分の長回しによる3Dワンシークエンスショットの驚愕の映像が用意されている。「まさに現実とファンタジーの狭間、そこにある曖昧さやレイヤーを表現するには、2Dから3Dにすることが必要だった。夢のようで、夢ではない。夢なのに、どこかリアリティのある、夢に似たある場所を生み出すために3Dにしたんです。夢と記憶は、どこかつかみどころのないものです。これは僕の習慣なのですが、それを反転して処理できないかと考えたんです。夢がこわれやすいもの、記憶が断片的なものであるとすれば、それがつらなった状態でも、夢や記憶として成立するかに挑んでみたかったのです。記憶と夢にまつわる映画と核心をもった段階で、3Dは必要な映画言語と私は判断しました。なぜなら、人は世の中をみるとき、平面的にみているわけではない。われわれが目をとじて風景をなにかを思い出そうとしたとき、それはどこか立体的であったり、断片的なものであったりする。それはどこか万華鏡のような質感だと思う。そのような表現は3Dこそと思ったのです。私自身は、みるものの感情に揺さぶりをかける効果を発揮していると思っています」こういうチャレンジを忘れたくないと明かす。「人々が日々の営みで仕事に生活に追われ、自分の時間を有意義に過ごそうとする中で、映画に割かれる時間というのは少ない。だから、わたしは自分の映画は特別な体験になるものを目指している。ただ、だからといって奇をてらったものにしようとは考えていない。あくまで、映画文化がこれまで受け継いできた血筋や水脈を受け継いだものにしたいと考えている。古いながらも新しい映画、それを目指しています」彼の才能にひきつけられるようにキャストはタン・ウェイ、シルヴィア・チャンら一流どころが集まった。「ありがたいことです。ワン・チーウェンとカイチンは、脚本を書いているときから、素人ではなく、みんなが認識している顔でありたいと思っていて。タン・ウェイを想像しながら書いていたので、出演を承諾していただいたときはうれしかったです。シルヴィア・チャンが演じてくれた白猫の母と赤毛の女に関しても、どこか孤独を抱えながらも、いきいきとした表情もある人がいいと思っていて。想定していたのはシルヴィアでした。彼女は、若手や新人監督をすごくサポートしてくれる映画人。今回の作品で、私は精神的にも経済的にも彼女に支えられました。ほんとうに感謝しています」坂本龍一、アン・リー、チェン・カイコーら名だたるクリエイターがその才能を評価するビー・ガン監督。そのオリジナルの才能に出会ってほしい。『ロングデイズ・ジャーニーこの夜の涯てへ』2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほかにて公開取材・文・写真:水上賢治
2020年02月27日フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーの傑作『レ・ミゼラブル』と同じタイトルが大胆にもつけられた本作は、フランスの新鋭、ラジ・リ監督の長編デビュー作。惜しくも受賞は逃したが、本年度のアカデミー賞で国際長編映画賞部門にノミネートされるなど、世界中の映画祭で反響を呼んだ注目の1本だ。ラジ・リ監督にとって本作は念願の1作だったと明かす。「映画の舞台はパリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ユゴーの小説の舞台でもあるこの地域は、いまや移民や低所得者が多く住み、犯罪多発エリアと化している。実は、このエリアで僕は育った。そして、いまも暮らしている。このエリアのリアルな現実をきちんと描いて、世界に届けたいと思ったんだ。というのも、パリの光と影ではないけど、フランスにはパリの輝かしさとは無縁、貧困化と治安悪化が進む郊外がある。そこにスポットを当てた、いわゆる“郊外映画”がよく作られているんだけど、当事者の僕からすると納得できる内容の作品がほとんどない。実際に暮らしていない監督が作っているからか、とってつけたような社会のイメージやレッテルで語られる。そのエリアに流れている空気や、生きている人間の息吹が感じられない。だから、実際に生きている自分たちが語るべきだと、思ったんだ」ただ、そう事は簡単に動かなかった。「10年前からこのテーマで長編を作りたいと思っていた。でも、まったく資金を調達することができなかったんだ。僕は15年ぐらい前からドキュメンタリーを発表してキャリアを重ねていたけど、それもこれもこの長編を作るため。すべてがここに終結するための準備だと考えていた。その間には、潤沢な予算で長編を撮ってみないかという、とても魅力的な話も舞い込んできた。でも、自分の長編映画第一作はこの題材と決めていたから断ったよ。それぐらい決意は変わらなかった」そこで、まず同名の短編映画を作ることにする。「今回、長編にも出演している同じようなメンバーで撮っている。なかなか資金が集まらないから、まずは自分たちの実力をみてもらうために、短編を作ることにしたんだ。それはすごく評判が良くて、実際、いろいろな映画祭で数多くの受賞をした。これで“いける!”って思ったんだけど、現実は甘くなかった。当初予定した予算の半分も集まらない。でも、これ以上は待てないということで、低予算体制で撮影を決行したんだ」作品は、ムスリム同胞団と麻薬売人が覇権争いを繰り広げ、民族間の対立もあれば、黒人とロマの衝突もある。本来、治安を維持する役割の警察も住人を恫喝したり、差別的発言を繰り返したりとほめられたものではない。そうした混沌とした街が、ひとつのいたずらからとんでもない事態が起きてしまう。そこには、このエリア周辺で実際に起きている出来事と人間関係、民族間のパワーバランスの変化などを、つぶさにみつめ、つきつめた監督の深い洞察力と本質をとらえる鋭い目によってきりとられた社会の縮図が広がる。「自分は自覚していたんだ。“自分が暮らすこの地区は特殊だ”と。それでカメラを回し続けていた。おそらく、このエリアの日常をこれだけカメラに収めている人間は僕以外にいない。だから、ほかのことに手を出すよりも、自分の身の回りのことを突き詰めて、映画にしようと思った。スペシャリテになればいい。掘り下げてつきつめることが自分にとっての切り札になるんじゃないかと思ったんだ。僕は絶対にこのエリアの空気を描けることを自負していた。その空気はひしひしと感じてもらえるんじゃないかな」一方、物語のキーパーソン、街の仕切り屋、市長を演じたスティーヴ・ティアンチューは、脚本を手にしたときをこう語る。「プロデューサーのひとりから、こんな作品があると、シナリオを渡されたんだけど、一気に読んでしまった。本物の“郊外映画”になると思ったよ。それで、なんとしても役をもらわないとと、オーディションを受けたんだ。僕はいま37歳だけど、この年でいまこそやるべき役と思ったのが市長役だった。当初は、違う役を想定されたみたいなんだけど、僕は市長にこだわって受け入れられた。この自称、市長は自然とあのエリアの平穏を保つために存在している。いわば行政と住人の調整役だったりする。ただ、だからといって彼の身は安泰ではない。調整役ゆえにいつ恨みをかって、危ない目にあうかわからない。常に恐怖と裏返しで、綱渡りの人生を送っているといっていい。ある意味、このエリアのギリギリな状況を象徴している人物だと思うんだ。一見すると彼は自分の帝国を作り上げているようにみえるんだけど、その実物は砂上の楼閣なんだ。いつ、自分がこの世界から消えてもおかしくない。そういう人物の複雑な心境を表現したいと思ったんだ」作品は、断ち切れない暴力の連鎖、権力者によって抑圧される弱者、自分ではどうすることもできない貧困など、社会のシステムから零れ落ちてしまった人間たちの姿と、歪んだ現代社会の現状が浮かび上がる。自己責任論など、世間の目が弱者に対して厳しく当たる現代の日本にも当てはまるところが多々ある。ラジ・リ監督はこういう。「日本の社会はちょっと、みんなが同じ方向を向かないとダメというところがあるよね。そこは少し考えるべきことかもしれない。フランスは相互援助が当たり前という意識が市民の中にある。だから、たとえばホームレスがいたら、日本では“そういう状況になったのはお前のせいだ”と思う傾向が強いというようなことを聞いたことがあるけど、フランス人でそう考える人はほとんどいないんじゃないかな。“人生でちょっとまずいて時間が必要なのかな”ぐらいに考える人がほとんど。人権が大切にされているからね。そういう人権や個人の尊厳といったことにも思いを馳せる時間に、この作品がなってくれたら、うれしいと思っているよ」監督自身、社会がいい方向にいくようアクションを起こしている。「映画学校を設立して、学費無償、条件一切不問で、子供たちを受け入れている。次世代の子たちが自分たちでカメラを手にして、自分たちの身の回りのことを撮らせている。まずは自分が生きている地点の現実を知ることからなにごとも始まるからね」『レ・ミゼラブル』2月28日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開取材・文・写真:水上賢治
2020年02月27日中条あやみがパラカヌーに挑むヒロインを演じる映画『水上のフライト』のポスタービジュアルが解禁となった。中条さんが演じるのは、それまで負けを知らない人生を歩んできたヒロイン・遥。自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な遥は、走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた。だがある日、不慮の事故に遭い、一命は取りとめたものの二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられパラカヌーという新たな夢を見つける。中条さんがカヌー、走高跳などにも挑戦する、実話を基に生まれた本作。今回解禁となったポスタービジュアルでは、中条さん演じる遥を中心に、颯太役の杉野遥亮をはじめ、大塚寧々、小澤征悦ら彼女を支える周囲の人々の姿や、真剣な眼差しでパラカヌーに挑む遥の様子が映し出されている。さらに、本作の主題歌には人気ロックバンド「SUPER BEAVER」の「ひとりで生きていたならば」が決定した。『水上のフライト』は6月12日(金)新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:水上のフライト 2020年6月12日より新宿バルト9ほか全国にて公開©2020映画『水上のフライト』製作委員会
2020年02月25日中条あやみ主演、事故で歩けなくなり心を閉ざすヒロインの飛躍を描く実話に着想を得た映画『水上のフライト』。この度、追加キャストして杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙、大塚寧々、小澤征悦の出演が明らかになった。有望スポーツ選手として活躍していたが、事故で歩くことができなくなってしまう中条さん演じる主人公・遥。「花にけだもの」「スカム」『羊とオオカミの恋と殺人』などに出演する杉野さんが、彼女を裏方で支える仲間・颯太役で出演。杉野さんは「この作品に携わる中で、想像以上のドラマを僕は見つけました。完成した作品を見終わった時にもジワっと広がる優しさと興奮が入り混じった1つではない感情が沸きました」と映画を改めて観た感想を明かし、「また『キセキ ―あの日のソビト―』以来の兼重監督とのセッションは僕の自慢です」と喜ぶ。そして、心配しながらも温かいまなざしで包み込む母・郁子を大塚さん、父親代わりに厳しく熱く導いていくコーチ・宮本役を小澤さんが演じる。大塚さんは「事故にあい、歩くことが出来なくなった娘をまわりの方が温かく優しい気持ちで見守ってくださいました。そして、つらくても前を向く娘の姿に何度涙が出てきたことでしょう。心動かされる作品だと思います」と印象を語り、小澤さんは「光を浴びてキラキラ光る川面を、水を切って風のように進むカヌーは、まるで大空を自由に飛び回る水鳥のように、孤独で美しく、優雅で力強く、そして命そのもののように、輝いて見えました。人が人を想う優しさ、生きることの大切さを教えてもらえた映画でした」とコメントしている。ほかにも、遥のライバル役として『人狼ゲーム クレイジーフォックス』の高月さん、『闇金ドッグス』『アンチポルノ』の冨手さんら若手女優の参加も決定した。『水上のフライト』は6月12日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:水上のフライト 2020年6月12日より新宿バルト9ほか全国にて公開©2020映画『水上のフライト』製作委員会
2020年02月06日世界的な大ヒットを記録した『ぼくの好きな先生』や『パリ・ルーブル美術館の秘密』、『音のない世界で』などで知られるフランスのニコラ・フィリベール監督。フレデリック・ワイズマンらと並ぶドキュメンタリー映画界の世界的巨匠である彼は、寡作ながらこれまでに数々の傑作ドキュメンタリーを生み出してきた。今回の新作『人生、ただいま修行中』は、実に11年ぶりの日本公開作品。来日した彼が今回の作品について語るとともに、これまでのキャリアを振り返った。そこにカメラがあるとは思えない。まるで、その人を温かく包み込むかのような眼差しで、その人物の普段着の姿を収めてきたフィリベール監督。そんな彼の温かな眼差しによるカメラが見つめたのは、パリ郊外にあるクロワ・サンシモン看護学校だった。看護師を目指す若者たちに密着取材するに至るきっかけは自身の体験にあったと明かす。「2016年1月のこと、わたしは塞栓症で救急救命室に運ばれました。その後、集中治療室に移り、幸い一命をとりとめました。それで回復したとき、思ったのです。『医療関係のみなさん、特に献身的にサポートしてくださった看護師のみなさんに敬意を表したい』と。その気持ちがこの映画を作ることにつながっていきました」学校で学ぶ生徒たちは、年齢も性別も国籍も出身地も宗教もさまざま。フィリベール監督は、マネキンを相手にしての訓練から、実際に患者さんを相手にしての実習まで、生徒たちの研修の日々をつぶさに見つめている。そして、初めて患者さんを前にして戸惑いと緊張、生徒間でのおどけた様子など、生徒ひとりひとりのさまざまな表情を収録。そうしたシーンで編み上げられた作品は、生徒たちの肖像を浮かび上がらせると同時に彼らが右も左もわからないひよっこから、一人前の看護師へと成長していく過程が見事に収められている。「医療というのは命の最前線とでもいうべき現場。さまざまな困難があることが容易に想像できます。その世界に飛び込んだ彼らのファーストステップをつぶさに見つめることに徹しました」通常ならば、撮られたくないと思われる、指導官と生徒の面談の場面。そこも記録することに成功している。「指導官から厳しい意見が飛び交いますし、生徒のほうからも不平不満を漏らすことや今後の不安の言葉が出る。できれば表に出したくない、本音が吐露される場所ですから、撮影を断られてもおかしくないところでした。でも、彼らはカメラが入ることを快諾してくれたんです。いまはもう感謝の言葉しかありません」では、フィリベール監督が、今回の看護師を目指す若者たちと同じころ。見習い時代ともいえる助監督時代はどんなことを考えていたのだろう。「そのときから変わらず、今もまだまだわたしは修行中と思っています(笑)。自分が映画を撮り続けている理由のひとつは、自分自身がまだ修行の身で『いろいろなことを学びたい』と思っているからといっていい。もちろん多くの経験を積んで、それによっていろいろな知識が増えてはいます。ただ、そうした長年の経験によるテクニックやノウハウを土台に、ある種の馴れをもって映画を作りたくない。まだ、何か自分は学ぶべきことがあるんじゃないか。世界に対して、社会に対して、自分に対して学ぶべきことが無限にある。そうした好奇心が次回作への原動力や意欲になっているんです」その上で、近年のドキュメンタリー作品の作り方にこう疑問を呈す。「いまの映画学校では、たいがい講師たちは、生徒にきちんと下調べをして完璧に準備を整えて臨むようアドバイスする。事前にロケをきっちりして、ある程度、撮るところを決めて、自分で常に現場をコントロールして撮れと。僕も学生に教えることがあるんだけど、まったく逆のことを言います。なぜなら、自分はまったく逆だから(笑)。まず、わたしは最初から先入観をもって現場に入ることはない。たとえば今回なら看護師を目指す生徒といって、もちろんそこで自分なりにイメージをすることはあるんだけど、『こういう人物や職業だ』といった決めつけや固定観念はもたない。まっさらな状態で、どんな発見があるんだろうという気持ちでその現場に入っていきます。いまはドキュメンタリー作家でも、あらかじめおおまかなシナリオを書いて、それを映像として再現しようとする人が多い。僕は自分の食指が動くというかな。現場に身を置いて、『これを撮りたい』と自分の気持ちが動かないと嫌なんだ。撮りながら、なにを発見して、学ぶことができるのかがとても大切だと思っている。若い人たちがドキュメンタリーを撮ろうとすると、だいたいはテレビのプロデューサーが横から入ってきてね(苦笑)。まず、どういった内容になるのか企画書を求められる。事前に内容を把握しておきたいのがテレビ局だからね。となるとそれに沿った映像を撮ることに終始してしまう。僕は、日常に起きる突発的なことを取り込むことこそがドキュメンタリーの醍醐味だと考えている。だから、翌日に何を撮るかはノー・プラン。事前に決めることはないんだ」25年前の作品『動物、動物たち』から自らカメラを回し撮影するスタイルをとっているが、撮影で大切にしていることも同じだという。「相手に対して、わたしからこうしてくれああしてくれといったリクエストや押し付けをすることは一切ない。『ここをまずは撮影して、次はここを押さえる』みたいな撮影プランもない。一番大切にしているのは、彼らが発信してくれるものをきちんとキャッチすること。彼らが発信してくれるものを、見逃さずにきちんととらえられることに僕は集中している。いつでもキャッチできるようスタンバイの状況に常に自分の精神を置いているよ。あとはやはり、被写体との信頼関係が大切。きちんとした信頼関係を築いた上で、彼らがこれはとってもいいよと受け入れたものをありがたく撮らせていただく。そういう姿勢で常に臨んでいるつもりです」監督デビューをして40年以上が経過した。このキャリアもある意味、疑っているという。「志は常に高く、自分に対して厳しくありたい。だから、長いキャリアであり、そのキャリアによって培われた自信であり、それによって持ったノウハウといったこと。これに自分が甘んじてしまうことをわたしはすごく警戒しています。これまでのキャリアに胡坐をかいて撮るようなことだけは絶対にしたくない。常に新人のような状況に自分の身を置きたい。へんなノウハウや経験によって、苦手なことからうまく回避してはいけない。むしろ、そういう苦手なことに自ら飛び込んで、克服しないといけないと思っています。初心を忘れないでいたい。だから、わたしの映画作りは一生修行中と思っています」『人生、ただいま修行中』11月1日(金) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開取材・文・写真:水上賢治
2019年10月31日世界のドキュメンタリー映画とドキュメンタリストが一堂に会す<山形国際ドキュメンタリー映画祭2019>(以後、ヤマガタ)の授賞式が16日行われた。注目は最高賞となるロバート&フラハティ賞の行方。その栄冠には、中国のワン・ビン監督の『死霊魂』が輝いた。今回のヤマガタのインターナショナル・コンペティションはフレデリック・ワイズマン監督やアナンド・パトワルダン監督といったドキュメンタリー映画界の巨匠から、今回が初長編作の新人監督まで、まさにドキュメンタリー映画のこれまでの歩みと現在地、そしてこれからの未来をみるようなラインナップだった。その中でも、映画祭開幕前からとりわけ大きな注目を集めていたのがワン・ビン監督の『死霊魂』だった。いまや世界を代表する映画作家である彼だが、過去に『鉄西区』『鳳鳴-中国の記憶』の2作がヤマガタで大賞を受賞。ヤマガタが見い出した映画作家といっていい。それが注目を集める理由のひとつにあることは間違いない。ただ、注目を集めた理由はもうひとつあった。それは作品の尺だ。ワン・ビン監督の作品ということで驚きはしないといえばしないが、495分の超長編。3部にわけての上映は途中で、45分の休憩を2度入れ、朝10時から始まって夜8時に終わる、まさに丸1日かけてのものだった。映画祭はやはり1本でも多くの映画を観たいもの。その中で、「『死霊魂』を1日かけてみるか?それとも数多くの作品をみることをとるべきか」というのが映画祭参加者の合言葉のようになっていた。1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で粛清され、再教育収容所へ送られ、過酷な労働を強いられる中、生き延びた人々の証言をまとめた本作について、審査員を代表して評を述べた諏訪敦彦監督は「人間の本質に分け入っていく稀有な叙事詩である。映画の本質に分け入っていく稀有な叙事詩である。存在はもっとも強力な証拠である。映画が歴史を呼び覚ます」と語った。ビデオメッセージを寄せたワン・ビン監督現在、新作ドキュメンタリーが佳境ということでワン・ビン監督は今回のヤマガタへの参加はかなわず。ただ、ビデオメッセージを寄せ、「『死霊魂』を選んでくださり、ほんとうにありがとうございます。今年は<山形国際ドキュメンタリー映画祭>が30周年ということで、私もとてもうれしく思っています。<山形国際ドキュメンタリー映画祭>が今後、ますます発展していくことを願っています」とコメントした。また、審査委員長を務めたオサーマ・モハンメド監督は、総評で「15本の作品があって、賞は5本にしかあげられない。ほかの作品を私は愛していないわけではない。ひじょうに腹立たしいのですが、こうするしかない(笑)」とコメント。ここから垣間見えるように、審査はかなり難航し、悩ましいものだったようだ。次に、アジアの新たな才能を見い出す<アジア千波万波>部門の大賞となる、小川紳介賞はガッサーン・ハルワーニ監督の『消された存在___立ち上る不在』が受賞した。本作は、35年前のレバノン内戦時に誘拐され行方不明となった人間の存在を浮かび上がらせる1作。残念ながらハルワーニ監督は欠席だったが「2011年に私がこの作品をベイルートで映画を作り始めたとき、ある小さな美術展に誘われ、広島を訪問する機会がありました。そのとき、広島の街を歩いていますと、矢印が書かれてることに気づきました。それは爆心地へと導いていました。ここから爆心地まで何メートルあるか記されていました。わたしは、あえてそこへは行かないことに決めました。その間、なぜいくべきでないか、私は何度も何度も言い聞かせようとしました。2週間後のある日、歩き回っていたところ、知らないうちに原爆ドームの前に立っていました。それがなんであるかに気づくのにしばらく時間がかかりました。そこで私は石の上で焼き付けられた影をみました。そのとき、その影が1945年にそこに立っていた人間の唯一の痕跡であることに気づきました。この出会いが、この作品『消された存在___立ち上る不在』のコンセプトのバックボーンとなりました。わたしは、この作品がヤマガタで上映されること知ったときに、光栄に思いました。そこにいられなくてとても残念です」とコメントを寄せた。受賞作は以下の通り。<インターナショナル・コンペティション>ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)『死霊魂』監督:ワン・ビン山形市長賞(最優秀賞)『十字架』監督:テレサ・アレドンド、カルロス・バスケス・メンデス『ミッドナイト・トラベラー』監督:ハサン・ファジリ優秀賞『これは君の闘争だ』監督:エリザ・カバイ審査員特別賞『インディアナ州モンロヴィア』監督:フレデリック・ワイズマン<アジア千波万波>小川紳介賞「消された存在、____立ち上る不在」監督:ガッサーン・ハルワーニ奨励賞『ハルコ村』監督:サミ・メルメール、ヒンドゥ・ベンシュクロン『エクソダス』監督:バフマン・キアロスタミ市民賞『死霊魂』監督:ワン・ビン日本映画監督協会賞『気高く、我が道を』監督:アラシュ・エスハギ今回の開催は台風の影響で上映が一部中止。後日、振り替え上映になったり、交通網の影響でゲストの山形入りが遅れたりと、いくつか大きなトラブルに見舞われた。それでも、最後は滞りなく無事全プログラム終了。16日時点でおよそ1万9000人の来場を記録した。来日した監督たちからは今回の台風で被害に遭われた人々に思いを寄せる言葉が多く寄せられたことも付記しておきたい。なお、本日17日、受賞作の上映をもって同映画祭は閉幕。次回は2年後、2021年に行われる。今回、30周年の節目を迎え、次回は新たな一歩を踏み出すことになる。取材・文・写真:水上賢治
2019年10月17日主演作『雪の華』のヒットも記憶に新しい若手女優・中条あやみの新たな主演映画『水上のフライト』が来年に公開決定。負けを知らない人生を歩んできた無敵のヒロインを演じる。本作は、『超高速!参勤交代』などの脚本を手掛ける土橋章宏が、自ら描きたいと強く熱望し、企画・脚本をTSUTAYA CREATORS’PROGRAMに応募、審査員特別賞受賞作品となった作品を映画化。将来を約束された有望スポーツ選手として活躍していた遥だったが、不慮の事故により下半身麻痺に。将来の夢を断たれ、人生初めての挫折に心を閉ざすが、ハンディキャップを障がいではなく、個性として捉える人たちとの出会いによって、人を寄せ付けなかった彼女が新たなパラカヌーという夢にたどり着き、逆境の中、自らの道を切り開いていくヒロインを描く。本作は、実在するパラカヌー日本代表選手・瀬立モニカとの交流を通じ作り上げたオリジナルストーリー。観る者の心の奥底に届く、1人の女性の成長を描く青春ヒューマンドラマとなっている。この遥を演じるのが、主演の中条さん。『覆面系ノイズ』ではギターに初挑戦、「白衣の戦士!」では元ヤン新米看護師に挑戦した中条さんが、今作では車椅子やパラカヌーといったかつてない役柄に挑む。「心細い時にパラリンピックを見て感動と勇気を与えてもらった」と言う中条さんは「『ゴールする』という事には、色んな形の素晴らしい物語があると思います。今この作品に携わらせて頂いている事に感謝の気持ちを抱きながら、キャストやスタッフの皆様と力を合わせて頑張りたいです」と意気込みを語っている。なお、監督は『キセキ -あの日のソビト-』の兼重淳が務める。『水上のフライト』は2020年全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2019年08月28日お笑いコンビ・爆笑問題の太田光、櫻井和寿らが声・劇中歌を担当するオペラ「四次元の賢治 –完結編-」が、9月30日に東京・YAMANO HALLで開催されることが決定した。同オペラは、宮沢賢治を原案に中沢新一氏が脚本、小林武史氏が音楽を担当。満島真之介、Salyu、水曜日のカンパネラのコムアイ、ヤマグチヒロコらが出演する。さらには太田や櫻井のほか、青葉市子、安藤裕子、細野晴臣も声・劇中歌を担当する。劇中歌は声のみの出演となり、舞台上での出演はないとのこと。7月13日に岩手県・釜石市民ホールで初演を迎え、9月22日・23日には宮城県・塩竈市杉村惇美術館での開催予定。東京公演のチケットは、9月1日まで各プレイガイドで先行発売中だ。
2019年08月25日独特のアニメーション作品で世界にその名が知られるミシェル・オスロ監督。最新作『ディリリとパリの時間旅行』もオスロ監督ならではの一風変わったアニメ手法と世界へのメッセージが込められた物語からなるオリジナルな1作となった。フランスの鬼才にその制作について訊く。まず、新作に入る前に前作にしてオスロ監督にとって初の長編作品となった『キリクと魔女』の大成功について聞くと、苦笑いしながらこう秘話を明かしてくれた。「僕自身は作家として、すごく誠実にとても正直にモノづくりをすることを信条にしている。その想いが想像以上に多くの観客に届いたことはとてもうれしく思っているよ。ただ、そこへたどり着く道は決して楽ではなかった。作品はストーリーについても描く手法にしても、作品の根底に流れるテーマにしても、すべて自分の意思で“これでいきたい”と思ったものばかりで構成されている。ただ、それらがことごとく反対にあっていたんだ。タイトルの『キリクと魔女』も単純すぎるといわれたし、物語もシンプルすぎると。ハリウッド的な観点で言うと、もう少し波乱万丈の展開があれば世界に売れるじゃないかといわれたよ。もっとオーソドックスな今どきのアニメーション映画を作れともいわれた。絶対に世界でうけないからアフリカを舞台になんかするなとも言われた。とにかくプロデューサーには不評だったんだ。僕自身が原画を書くんだけど、それを見て、これは動画にできないし、映画になんかならないともいわれた。毎日、プロデューサーのクレームと戦っていたよ(苦笑)」こんな指摘も受けたという。「赤ん坊の男の子は性器を出しちゃダメ、ちゃんと隠さないとと(笑)。大人の女性はちゃんと胸を隠せといわれたんですよ。僕は小さいころ、アフリカで暮らしたことがある。そこでは、子どもたちは裸ん坊で暮らしていた。僕にとってはきわめてノーマルなことで、『キリクと魔女』はその経験が基になっている。幼少時代にみたアフリカの営みは、ほんとうに人間たちが人間らしく気持ちよく生活を営んでいて、誰もがみな善良で好意的に暮らしていた。僕は子どもながらに、そういう生活と人々にある種の美しさを見て感動していた。だから、そのとき、僕がアフリカでみた人であったり、風景をそのままアニメに映し出したかった。それを恥ずかしく思うなんてどうかしているよ。あと、出産シーンに関しても問題視された。これはアフリカの民話にもとづいているんだけど、その民話の大胆な発想と生命の誕生の瞬間に感銘を受けて、ぜひ取り入れたいと思ったんだ。でも、このシーンが入ると英語圏では年齢制限が入ってまたセールスにかかわるから、外したほうがいいというんだ。このときももう批難の嵐で、プロデューサーに“破産させるのか”ともいわれた。でも、僕は一切譲らなかった。もしかしたらプロデューサーのリクエストに応えられない自分はプロとはいえないのかもしれない。でも、そんな映画ビジネスのプロフェッショナルじゃない、素人考えの作者が作った作品が世界中に気に入ってもらえたんです。映画はわからないですよ(笑)」実績もつくって今回の制作はさぞ順調と思いきや、そうでもなかったようだ。「今回の作品のオープニングショットを見てくれればわかるんだけど、女性が胸を出しているシーンがある。プロデューサーに言われたよ。“また胸を出したな”と(笑)。今回はディレクターズ・カット版を作るの許すから、レーティングにひっかからない胸を隠したアメリカ版バージョンを作ってくれといわれてね。それには応じた。さっき確認したら、日本ではオリジナルのバージョンとのこと。僕としてはそのほうがもちろんうれしいよ」今回の物語は19世紀末から20世紀初頭、世界中からさまざまな才能がパリに集ったベル・エポック時代が背景。そうなった理由をこう明かす。「最初に描きたいと思ったのは、いまだに世界で蔓延している女性の蔑視です。女性や少女を不当に扱う、虐げる男たちの愚かさを今描かねばならないと思いました。ベル・エポックという時代を選んだのも、そこにあります。この時代のパリはまったく閉鎖的な社会ではなかった。世界にオープンで、いろいろな国からさまざまなタイプのアーティストを受け入れていた。同時にベル・エポックという時代は、女性たちが社会進出してきた時代でもあったのです。当時、女性を優遇するような法律はひとつもありませんでしたけど、初めて大学生に進学する女性が出て、それに多くの女性たちが続きました。教師は男の仕事でしたけど、女性も進出するようになった。医者や弁護士、タクシーの運転手など、男の仕事とされてきたものにどんどん女性のパイオニアが生まれた。そして最初の国際的女性スターといわれるのが、作品中にも登場する。サラ・ベルナール。ベル・エポックのパリは、僕が言いたいことをみたしてくれる世界だったんです」主人公はニューカレドニアからパリへやってきた少女ディリリ。あることで彼女は男性支配団と名乗る謎の集団から追われる身に。最初の友人オレルと行動をともにする中、ディリリはさまざまな人々と出会う。「小説家のマルセル・プルーストや彫刻家のオーギュスト・ロダンなど、さまざまな文化人、その道のエキスパートたちが登場します。これほどの人物たちがひとつの街にいたことはほかにないのではないでしょうか。彼らはいずれも自ら努力をして何かを生み出して自分たちの才能を開花させている。そして、彼らの存在や作品はのちの社会でシェアされ、なんらかいい影響を及ぼしている。そのことを伝えたかったのです」それは、アートの力及びアートの存在意義がこういうところにこそあるんだと示しているようにも映る。「もちろんわたしはアートの力を信じています。そのメッセージが込められていることも確かです。ただ、わたしはそれだけではなく、たとえば医学の分野の進歩、自動車の発明なども作品内に盛り込んでいます。それはそうした優秀なエンジニアの力も大きな力になることを伝えたかったんだ。文明の発展は、使い方を間違わなければ悪に抵抗する大きな力になる。だから、それを生み出す名もなき技術者や専門家にもエールを送りたいと思ったんだ」そうした骨太の物語が用意されている一方で、アニメーション映像もいい意味で遊び心とチャレンジがいっぱい。場面によってはCGを使えば、自分が撮影したパリの風景写真をバックにしたりと、変幻自在、様々な組み合わせがなされている。「僕がものすごいテクノロジーを駆使して作ったように思われるかもしれないんだけど、全然違う。僕自身が写真をとって、その上に僕が絵を描いただけ。シンプルなんだよ(笑)」そう笑顔でおどけるオスロ監督。70代半ばを迎えたとは思えないほど、老練になることもなく豊かなイマジネーションを発揮するアニメ界の巨匠の新たなアニメーション世界に注目を。『ディリリとパリの時間旅行』8月24日(土) YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー取材・文:水上賢治(C)2018 NORD-OUEST FILMS - STUDIO O - ARTE FRANCE CINEMA - MARS FILMS - WILD BUNCH - MAC GUFFLIGNE - ARTEMIS PRODUCTIONS - SENATOR FILM PRODUKTION
2019年08月19日カンヌ国際映画祭パルムドールに輝く『秘密と嘘』やヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した『ヴェラ・ドレイク』などで知られるイギリスの巨匠マイク・リー監督。寡作ながら発表する作品が常に世界的な評価を受ける監督が、新作『ピータールーマンチェスターの悲劇』では1819年にイギリスで起きた虐殺事件を扱った。なぜ、いま200年前の史実に目を向けたのか? リー監督が電話インタビューに応じてくれた。今回、彼が主題にした“ピータールーの虐殺”は、1819年8月16日にイギリス・マンチェスター、セント・ピーターズ・フィールドで起きた。この日、同地の聖ピーターズ広場では、経済の悪化で苦境にあえぐ労働者たちを対象にした集会が開かれた。当日の主は、カリスマ的な活動家として名をはせていたヘンリー・ハントの演説。それもあって6万人をこえる労働者たちが広場に集まったという。ただ、あくまで参加したのは市井の人々で武器なども持ってはいない。労働者にも選挙権などを求める、平和的なデモでしかなかった。ところがそこにサーベルを振り上げた義勇軍とライフル武装した軍隊が乱入。市民に多大な犠牲者が出た。リー監督自身、マンチェスター出身ながら、この事件のことをあまり知らなかったという。「マンチェスターで育ってきたけど、ほんとうにあまり知らなかったんだ。もちろん、こういう事件があったことは聞いていたんだけど、詳細については曖昧な形でしかしらなかったんだよ」事の重大さからすると教科書に載ってても不思議ではないのだが? 「教えている学校もある。でも、教えていない学校もある。おっしゃる通り、イギリス中の学校で教えられるべき、または教科書で説明されていないといけない事件だと思う。でも、実際はそうなっていないんだ」ここにこそ、実は自身が描く理由があったという。「イギリスの学校では、たとえばヘンリー8世には奥さんは何人いたかとか、何年にはこんなことがあったとか習うわけです。ただ、イギリスの体制にとっての汚点はあまり深く触れられない。たとえば、イギリスはインドを植民地にしていたことは触れられる。でも、インドに対して自分たちがどれほどひどいことをしたかは教えられない。ただ、これはイギリスに限ったことではないんじゃないかな。自国に都合の悪いことというのはとかく目をつぶってしまうものだ。だからこそ、この史実を描こうと思ったんだ」これだけの史実をまとめるのはそうとうな困難だったことは想像に難くない。「このプロジェクトは2014年にスタートした。まず最初の段階はリサーチ。この事件を様々な角度から調査した。これに2年半の時間が費やされた。それからキャスティングにとりかかって、ここにも多くの時間がかかった。そのあと、ご存知かもしれないけど、私はいわゆるスタンダードな脚本というものを作らない。俳優たちに実際に演じさせて、リハーサルをしながら脚本を作っていく。この作業を経ての脚本を作っていく過程に半年かかった。そして16週間の撮影を経て、ポストプロダクションに3、4カ月ぐらい。毎回のことだけど映画作りというのは時間がかかるんだよ。ただ、今回はリサーチには相当な綿密さと詳細さが求めたから、時間はかかったね」作品を見てどうしても感じてしまうのは無力感。権力者が弱者を圧し潰す社会構造は今も昔も変わらない。その事実に愕然とするが、リー監督はどう向き合っていたのだろう? 「さっき、このプロジェクトは2014年に始まったといったけど、そのときは、ピータールーの虐殺を描いて、ここまで既視感を覚えるような社会状況になっているとは想像していなかった。ほんとうに今、世界は極右やナショナリズムの台頭で、どんどん悪い方向へ進んでいる。寛容な社会とは程遠い。私自身、無力感にさいなまれているよ。ただ、それでも前を向かないといけない。自分たちに何ができるのか?それを問い続けなければならない」また、許しがたい“怒り”が作品に充満している。「私自身、虐殺そのものにも、治安判事たちをはじめとした権力側にいる人間たちの怒りを感じている。彼らの行為は許しがたい。それが映っているんじゃないかな。それにしても、この事件の顛末を見ていると、権力を持つ者には正気はないのかと思うよね」先ほど触れたように、リー監督は、いわゆる脚本を最初は用意しない。俳優とのリハーサルを重ねる中で脚本を作り上げていく。このスタイルを変えようとは思わないのだろうか? 「その質問は彫刻家に油絵をなんで描かないのか?といっているようなものだよ(苦笑)。このスタイルは私がデビューから続けてきたアートであり、技であり、手法だ。私は脚本家であり、映画作家。両方の役割をしながら、いつも思うのは俳優たちの可能性なんだ。彼らには無限の可能性がある。私が自宅でひとり考えて書いたことよりも、俳優に演じてもらって出てくるアイデアのほうが信じられないぐらいすばらしいものが生まれてくる。それがわかっているからね。新しいやり方を模索するのははっきり言って時間の無駄。これからもたぶんこのスタイルでいくと思うよ」気づけば彼も70代の半ばを超えた。歳が近いイギリスの巨匠といえば、ケン・ローチ、スティーヴン・フリアーズがいる。3人は同じBBCテレビ出身でもある。「ふたりはいい友人で盟友だ。ケン・ローチは紛れもなく世界的な巨匠であり、社会の現状に常にアプローチして、鋭いメッセージを発する作品を発表している。ある意味、彼はいま世界の何をみるべきか、何を知るべきか、何について考えればいいか、その方向を明確に示してくれる映画人といっていいだろう。一方、僕は彼よりももっとワイドでオープンというかな。ある問題を提示することで、いろいろなことを考えるきっかけを与えたいと思っている。そういうタイプの作家だと思う。対してフリアーズは僕とローチの折衷というかな。ある問題があったら、こういう解釈があると、新たな視点や発見を提示するタイプだと思う。僕らがBBCテレビにいた1970~80年代初頭というのは、すばらしい時代で。すごく自由で政治や社会的なことに批判をするような作品も作れた。映画でもできないことがBBCのテレビではできたんだ。すごくこれは私たちにとってラッキーだった。たぶん3人とも自身の基礎になっているんじゃないかな」『ピータールー マンチェスターの悲劇』公開中取材・文:水上賢治
2019年08月09日杏、宮沢氷魚、仲間由紀恵、谷原章介、瀬戸利樹らが出演する「偽装不倫」の第5話が8月7日オンエア。今回は谷原さん演じる賢治が“闇堕ち”していく姿に恐怖を感じる視聴者の声が殺到、眞島秀和演じる一之瀬の行動にも注目が集まっている。32歳、独身、恋愛に不器用な濱鐘子に杏さん、脳に病を抱え日本に帰国したフリーカメラマン・伴野丈に宮沢さん、鐘子とは対照的にイケメン商社マンと結婚した姉・吉沢葉子に仲間さん、家族からも愛される葉子の夫・賢治に谷原さん、ピンクのヘアで無邪気な笑顔をみせる葉子の年下不倫相手・八神風太に瀬戸さんといったキャストが出演。鐘子はおひとり様旅行で出会った丈に既婚者だとうそをついてしまったことから“偽装不倫”が始まる。ずっと海外で活躍してきた丈だが、脳に腫瘍が見つかり帰国、最後の恋の相手として鐘子を選んだのだった。一方、鐘子の姉・葉子は非の打ちどころのない幸せな夫婦生活を送っているように見えたが、ピンクヘアが印象的な年下ボクサーの風太に独身だとうそをついて不倫していた。多忙なフリをして夫の目をごまかしてきた葉子だったが、夫・賢治に不倫を勘付かれてしまう…というのがこれまでのストーリー。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。丈は鐘子と行く予定だった花巻に1人でやってくる。東京駅で賢治と鐘子の姿を見て、鐘子を旅行に誘ったことを後悔していた丈だが、彼女の故郷の風景を撮影しながらも鐘子への想いが募るばかり。鐘子は居酒屋でヤケ酒を煽り丈のことを忘れようとするも忘れられず、会社を休んで丈のもとへ駆けつけようとするが、東京駅で丈と再会。今度こそ自分が独身だと告白しようとした瞬間、丈が倒れてしまう。一方、賢治の大阪出張中に風太と手つなぎデートを楽しむ葉子だが、帰宅するといないはずの夫が家にいることに驚く。賢治は葉子との電話中に風太の声が聞こえたことから、葉子を怪しみ始め、葉子を強引に熱海旅行に誘う。そして日本で丈の治療を担当する・一之瀬(眞島さん)は、丈が診察を受けないことが気にかかり自宅を訪ねる…というのが今回のおはなし。今回は谷原さん演じる賢治の行動や表情に視聴者からの反応が殺到。葉子にウソをついて早めに帰宅したり、強引に熱海旅行をセッティングするなど、これまでと一変した賢治に「賢治さんの反撃が始まるのか」「賢治の笑顔がこわい」「賢治さんがだんだん壊れてく感じ」など、恐怖を感じた視聴者からの声が集まる。また眞島さん演じる一之瀬も、MEGUMIさん演じる丈の姉・灯里に“ロックオン”された模様。「一目惚れさせちゃう罪な一之瀬先生」「私服の一之瀬先生が可愛くておもしろくて癒し」「マジで一之瀬先生どタイプ」など視聴者からも数多くの反応が寄せられており、今後どう物語に絡んでいくのか期待が高まっている模様だ。(笠緒)
2019年08月08日お笑いコンビ・爆笑問題の太田光、櫻井和寿、青葉市子らが、13日に岩手県・釜石市民ホールで初演を迎えるオペラ「四次元の賢治 –完結編-」に劇中歌で参加することが9日、明らかになった。劇中歌は声のみの出演となり、舞台上での出演はないとのこと。同オペラは、8月3日から宮城県の牡鹿半島・石巻市街地を中心にアート・音楽・食の「総合祭」として開催される『Reborn-Art Festival 2019』に先がけて開催されるもの。宮沢賢治を原案に中沢新一氏が脚本、小林武史氏が音楽を担当。満島真之介、Salyu、水曜日のカンパネラのコムアイ、ヤマグチヒロコらが出演する。また、9月22日・23日には、宮城県・塩竈市杉村惇美術館にて上演される。
2019年07月09日昨年、話題を集めたインディペンデント映画の1本『菊とギロチン』。『64−ロクヨン−』や『8年越しの花嫁奇跡の実話』などを手掛ける瀬々敬久監督が構想期間30年という長らく温めてきたオリジナル企画である同作で、木竜麻生は女相撲に生きる道を見い出した大正時代の女性を文字通り、体当たりで演じた。ソフトリリースを前に、本人に話を訊く。約300名の中からオーディションで見事に主人公の花菊役を射止めた木竜。当時をこう振り返る。「オーディションは最終的に4次選考まであって、1か月ぐらいの期間を経て、出演が決まりました。人数が絞られればられるほど、心の中で思いました。『ここまできたら落ちたくない!』と。オーディションの期間は緊張のしっぱなし。ほかの役者さんがどう花菊を演じるかは敢えて見ないようにしていました。見たらもうあれこれ考えて、何もできなくなるんじゃないかと思って(笑)。今の自分のすべてを注いでも花菊になれるかわからないのに、そこに雑音が入ったらさらにクオリティが下がるのは目に見えている。だから、もう周りをシャットアウトして、ほかの方が演じているときはずっと下を向いて床を見ていました(笑)。とにかく花菊を演じることに集中しました」この難関のオーディションを見事勝ち抜き、木竜は花菊役に。瀬々監督は木竜を「いまどきあまりいない昭和っぽい顔だち。どこかあか抜けない泥臭さが花菊とリンクする」といった主旨で抜擢したことを明かしている。「よくおばあちゃんに『懐かしい顔だねぇ』と言われるんですよ(苦笑)。『菊とギロチン』のときも、上京して3年ぐらい経ってたんですけど、なんでこんなに私ってあか抜けないのか悩みだったんです。正直、コンプレックスでした。いまどきっぽい雰囲気のある子を見るとうらやましくて。でも、瀬々監督にそう言っていただいてからは、田舎っぽいところがあまり嫌じゃなくなったというか。今は自分の個性だと思っています」花菊役決定の報告を正式に受けた時は素直にうれしかったとのこと。だが同時にこんな感情もわいてきたと明かす。「これからとんでもない日々が始まることは容易に想像できたので。気を引き締めて、心して挑まないとと思いました」その困難はクランクイン前、相撲の稽古を積み始めたときからすでに始まった。「私は2か月半ほど稽古を積んだんですけど、2回目に、倒れたら起きて、また相手にむかっていくことを繰り返す、ぶつかり稽古があって。これはほんとうに苦しかった。ほんとうに人間って、声を出さないと足が出ていかないんだという体験を生まれて初めて味わいました。相手に『こい!』と言われても、叫んで気力を振り絞らないと足が出ないんですよ(苦笑)。この時は『自分は花菊役をまっとうできるのだろうか』と不安になりましたね。全身筋肉痛で壁とか伝わないと歩けないぐらいで、最初はほんとうに辛かったです。ただ、当時は気づかなかったんですけど、振り返るとこの2か月半の稽古の日々がすごく大きかった気がします。実際にほかの出演者のみなさんと一緒に泥だらけになりながら稽古することで、女相撲の一座としての結束が確実に深まりました。クランクイン前に、このようにみんなで心をひとつにできたのは大きかったと思います。あと、私自身も稽古を通して花菊になっていったというか。花菊は夫の暴力から逃れて、女相撲の一座に飛び込む。ずぶの素人から一歩一歩、鍛錬を積んで力士として成長していく。私も相撲はもちろん未経験。ある意味、花菊の辿ったであろう同じ稽古の行程を踏むことで、花菊としての心と身体が自然と養われていった気がします。これはまだまだ未熟な私への瀬々監督の親心だったのかなぁと思っています。監督には確認してませんけど(笑)。それから余談ですけど、力士役ということで、特に指示が出ていたわけではないのですが、みんな体重を増やさないといけないとなったんです。はじめはみんな“好きなものが気兼ねなく食べれる!”と大喜び。でも途中からはもうみんな苦痛で。こんなに食べることがしんどいと思ったのは人生初でした(笑)」こうした過程を経ての撮影は、ほとんど記憶がないという。「もういっぱいいっぱいで、あまり当時の記憶がないんですよ。今回のソフトの特典についているメイキングを見てもらえればわかると思うんですけど、周りを見る余裕なんてない。はじめから主演として立つことなんてできないと思っていたので、そこはもうスタッフ、キャストのみなさんに甘えさせていただいて、とにかく自分のできることを精一杯やろうと。それしか私にはできないと思っていました。それでもいっぱい迷惑かけたと思うんですけどね」演じ切った花菊役にはこんな思いを抱いている。「台本を読んだ時点で、花菊にはちょっと憧れがありました。抑圧された現実がある中で、彼女はそれを打破しようと行動を起こす。家を飛び出て、女相撲で自らの人生を切り拓こうとする。劇中で、彼女は自分のことを弱い人間と嘆いていますけど、私はむしろ強いんじゃないかと思いました。自分の弱さを認めながら、それでもなお立ち上がる。そこがかっこいいなと今でも思っています。公開時、観てくださった方から『花菊が何度倒されてもたちあがってぶつかっていくところに勇気をもらいました』と言われたりすると、少しでも彼女の強さを表現できたのかなと思ってうれしかったですね」物語は、家出娘、元遊女など訳アリの事情を持つ娘があつまった女相撲一座と、格差のない平等な社会の実現を目指すアナキスト・グループ「ギロチン社」の男たちを通して、大正末期に漂った不穏な時代の空気を描き出す。その物語にはこんなことを感じたという。「瀬々監督からこう言われていたんです。『当時のことをあまり勉強しすぎないように。大正時代の話ではあるけど、今現在の若者であるあなたたちがどう見るのかを感じたい』と。だからあえて深く勉強はしなかったんですけど、それでもいろいろと感じるところはありました。たとえば、女相撲の面々は真剣勝負を見てほしいのに、勧進元に胸がはだけたりといったハプニングのある見世物的なものが求められたり、夫の暴力に妻が抗えなかったり。今、日本で起きている社会問題とそう変わらないことがこの時代にもあった。そういう意味で、今に通じる物語でもあると私自身は思っています」瀬々監督にはあえて感謝の言葉は口にしないという。「言葉にした瞬間から、なんか嘘っぽくなるというか。自分の真意が伝わらない気がして。だから、言葉じゃなくて、今から自分がきちんとやるべきことをやって態度で示すしかないかなと。監督に「木竜、ちゃんとやってるな」と見ていただけるように努力を重ねないといけないなと思っています」昨年は、本作『菊とギロチン』もさることながら『鈴木家の嘘』での演技でも高い評価を受けた。本人はどう振り返るのだろう? 「実は年女だったんですけど、これまで貯めていた運を全部使い果たしたんじゃないかなと(笑)。でも、それぐらい実りのある年になりました。ただ、もうラッキーは望めませんから、ここからは自力で頑張るしかない。これからがほんとうの勝負かなと。しんどいことも厭わず、いろいろと経験して着実に成長していけたらと思っています」『菊とギロチン』発売中Blu-ray6200円+税DVD5200円+税【封入特典】特製アウターケース/特製ステッカー/特製解説ブックレット(96P)<幻の「初稿脚本&第二期プロット」完全収録>【特典映像】メイキング/ヒット祈願法要/初日舞台挨拶/予告編・特報発売元:トランスフォーマー販売元:ポニーキャニオン取材・文:水上賢治スタイリスト:TAKAFUMI KAWASAKI (MILD)ヘアメイク:主代美樹(GUILD MANAGEMANT)
2019年04月26日カリフォルニア州アナハイムにあるディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークに、2018年末に再開予定だったファンに人気のある夜の水上ショー「ワールド・オブ・カラー」がついにカムバックするようだ。世界最大級のウォーター・スクリーンに、ディズニーのアニメーションや実写映画の名場面を映し出す「ワールド・オブ・カラー」は、旧パラダイス・ベイで公演する約28分間のナイト・スペクタクル・ショーのことだ。WDW News Todayなどによると、公式サイト上で「World of Color Dessert Party」(デザートやドリンクなどを楽しみながら、リザーブした専用席でショー鑑賞が可能)の予約が、現地時間2月22日(金)以降、可能に。特別チケットは79ドルするが、現地ゲストをはじめ、利用者は少なくない。また、特別鑑賞エリア入場チケットが付いてくるメニューを販売している「Wine Country Trattoria」や「Carthay Circle Restaurant」のダイニング・パッケージ予約受付も始まっており、同ショー復活の兆しが顕著に。これまで何度も復活するとアナウンスしては、延期していた「ワールド・オブ・カラー」。ただし、日本時間2月10日現在、公式サイトのスケジュールには「ワールド・オブ・カラー」の表記がないので、要確認だ。※取材時の状況に基づいて記事化しています。紹介したイベント、メニューなど、全ての情報は、予告なく、変更になる場合があり得ます。(text:cinemacafe.net)
2019年02月12日本格文學朗読演劇 極上文學 第12弾『風の又三郎・よだかの星』(原作:宮沢賢治)が、3月8日に東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。神楽澤小虎が脚本、ナイスコンプレックスのキムラ真が演出を手がける本作品は、文学作品を朗読しながら、役者たちが動き、その世界観を表現する人気シリーズの第12弾。同シリーズ第2弾「銀河鉄道の夜」以来の宮沢賢治作品となり、誰もが知る名作「風の又三郎」と「よだかの星」の2作品から構成される。初日となる8日の『読み師』は、又三郎を深澤大河。よだかを三浦海里、一郎と鷹を白柏寿大、嘉助と弟を松本祐一、そして『語り師』を田丸篤志が務めた。田舎の小学校に転校してきた不思議な少年・高田三郎(又三郎)に翻弄される子どもたちを、原作の美しい日本語をそのままに作った「風の又三郎」。そして容姿が不格好だからと嫌われるよだかに、自己犠牲の精神を重ね綴った「よだかの星」。この2作品を巧妙にリンクさせ、ひとつの文学作品のように作り上げられた今作。深澤の不思議な雰囲気がぴったりの又三郎や、三浦の持つひたむきさが存分に発揮されたよだかはもちろん、2作品の間で毛色の違う敵役を演じ分けた白柏、静と動の相反するキャラクターを担う松本、また様々に声を使い分けシーンを彩る『語り師』の田丸と、宮沢賢治の世界を読み、表現する役者たちもそれぞれ個性たっぷりに熱演した。『読み師』はWキャストとなり上記キャスト他、納谷 健、藤原祐規、鈴木裕斗、市瀬秀和が出演。また『語り師』は田丸の他、赤羽根健治、折笠富美子、竹内順子、三浦祥朗、山口智広が日替わりにて出演する。全公演の組み合わせは異なり、組み合わせごとに新しい「風の又三郎」、「よだかの星」の世界が観ることができる。一度観たらまた違う組み合わせも試したくなること間違いなしの作品だ。公演は3月13日(火)まで。当日券は全公演、開演の1時間前より販売。(C)2018 CLIE/MAG.net
2018年03月09日「さいたま水上公園」の夏期プールが2017年7月15日(土)から9月3日(日)までオープンします。さいたま水上公園はスライダーや水上ボールで遊べるほか、ドキドキワクワクなイベントも満載です。ここでは、さいたま水上公園夏季プールの魅力をご紹介します。今年の夏はさいたま水上公園ではしゃぎましょう!さいたま水上公園の魅力は?●直線スライダーに挑戦できる5つのプールがあるさいたま水上公園のプール。夏以外はプールフィッシングに使用されていますが、毎年夏になると水着で思い切りはじゃぐ利用者たちで大賑わいになります。キリンやアシカの滑り台や、カラフルで迫力満点の直線スライダーが人気です。スライダーといえばうねった形のものが多いですが、直線スライダーはその名の通り一直線。直線によるスピードをぜひ体験してみてください。●水上ボールは期間中毎日遊べる水上ボールは1日500円でレンタルできます。大きな透明の風船ボールに入って、水の上に浮かんで遊んでみましょう。転がったり走ってみたり、思い思いの遊び方ができます。また、8月4日、8月10日、8月18日にはイベント「忍者水上走り」が行われます。プールに浮かんだ浮島の上を飛び跳ねて移動する遊びです。どこまで水に落ちずに進めるか、挑戦してみてください。●プレゼントが貰えるドキドキのイベント正午までに入場した人を対象にプレゼント抽選を行う「ちょこっとラッキーナンバー」、そして、園内を探索してキーワードを探し当てた毎日先着10名に、プレゼントがあるという「キーワードを探せ」。この二つのプレゼントイベントは期間中の限定された日程で行われます。プレゼントは、プールの招待券。ぜひプレゼントをもらって、次回は無料でプールを楽しみましょう。さいたま水上公園へのアクセス夏季は隣接した運動場の利用者も含めて混雑が予想されるため、公共交通機関の利用をおすすめします。電車ですと、JR高崎線上尾駅から徒歩30分、埼玉新都市交通ニューシャトル丸山駅から徒歩約30分です。バスの場合は、上尾駅東口から大宮駅東口行「上尾運動公園」下車、徒歩約15分でアクセスできます。上尾駅東口から大宮駅東口行「上尾運動公園」下車、徒歩約15分です。歩く時間が少しかかりますので、駅前で飲み物を補充してから向かいましょう。■スポット詳細名称:さいたま水上公園所在地:〒362-0032 埼玉県上尾市日の出2営業期間:2017年7月15日(土)~9月3日(日)※7月18日(火)~7月20日(木)は休園日営業時間:【7月15日・16日・17日、8月17日~9月3日】9:00~17:00【7月21日~8月16日】9:00~18:00 ※入場締め切りは閉園1時間前料金:【入場料】大人510円、小人210円(小・中学生※証明書必須)【ファミリー券】1,230円(大人2枚・小人2枚)【回数券(6枚綴り)】大人2,550円、小人1,050円電話番号:048-773-6711公式サイト:
2017年07月24日埼玉県川越市の「川越水上公園」にある夏季プールが2017年7月21日(金)にオープンします。営業期間は9月3日(日)までです。こちらにはさまざまなプールが備えられており、スリルと開放感を存分に味わえます。ウォータースライダーは2種類で、渓流下りをする感覚のベンチャースライダーも完備。アクティブに楽しめる、川越水上公園プールの魅力を紹介します。川越水上公園の魅力●1日で遊びきれない!?9つのプールを楽しもう!川越水上公園プールでは、9つのスライダーやレジャープールを楽しめます。県内最大のチューブスライダー「アクアスネーク」は長さ148m、高低差15m。寝て滑り降りる「ボディースライダー」は118mと迫力満点です。直線のスライダーもあり、高い場所から一直線に波打ちながら滑り降りる爽快感は最高です。ほかには、流れるプールや波のプールで水遊びをしたり、「帆船はつかり丸」の船尾にある飛び込み台から思い切って飛び込んでみたり、さまざまな遊び方でプールを満喫できます。他にも多目的プール、ちびっこプールなど、内容盛りだくさんのプールです。●6種類のレストランとショップで水遊びをサポート!施設内にはさまざまな飲食ブースが立ち並んでいます。かき氷や焼きもろこしなど夏祭り気分のメニューや、南国風の店先でハワイアンなロコモコバーガーなどバラエティ豊富です。また、売店ではジュースやお菓子、アイスの販売はもちろん、有料で浮き具の空気入れもあります。ぜひ活用してください。各プールの近くに売店が必ずあるので、はぐれた時や集合する際の目印にも最適です。川越水上公園 へのアクセス川越水上公園へのアクセスは、電車やバスの利用がおすすめです。JR「川越駅」、西武新宿線の「本川越駅」から夏季限定で臨時直通バスが出ているのでアクセスが便利です。駅から徒歩の場合、最寄り駅の川越線「西川越駅」から15分、また東武東上線「霞ヶ関駅」から20分で向かえます。車でのアクセスは、関越自動車道川越ICから国道16号川越方面へ約4km進み、国道16号脇田新町交差点から秩父日高方面へ約3kmです。■スポット詳細名称:川越市 川越水上公園 所在地:埼玉県川越市大字池辺880営業期間:2017年7月15日(土)~9月3日(日)※7月18日(火)~7月20日(木)は休園営業時間:9:00~17:00(7月15日~17日、8月17日~9月3日)、9:00~18:00 (7月21日~8月16日)料金:入場料/大人720円、 小人210円(小・中学生まで)ファミリー券/1,650円(大人2名小人2名分が1枚になっている入場券)※4名様ご一緒に入場してください。 電話番号:049-241-2241公式サイト:
2017年07月21日六本木ヒルズ内「毛利庭園」にて、2017年7月13日(木)~2017年8月27日(日)の期間に「水上プレミアムビアガーデ ン presented by The PREMIUM MALT’S」が開催されます。今年の夏は、こだわりの食材を使った「プレミアム BBQ」を水上プレミアムビアガーデンで楽しんでみてはいかがでしょうか。六本木で夏を楽しむ水上プレミアムビアガーデン水上プレミアムビアガーデンは、六本木ヒルズ・毛利庭園の池に浮かぶ特設水上デッキで開催される期間限定のビアガーデンです。飲み放題付きのお得なセットメニューは、“溢れだす華やかな香り”と“深いコク”が特長の「ザ・プレミアム・モル ツ」と、牛、豚、鶏の希少部位 5 種の肉をはじめとするこだわりの食材を使ったプレミアムBBQを楽しむことができます!「モーニングショー」×「GREEN BROTHERS」コラボメニューGREEN BROTHERSは、“サラダでいのちをととのえる”をスローガンに、新鮮な国産野菜や果物、香味ほとばしるハーブなどで、オリジナルサラダを提供しています。本イベントでは、朝の人気情報番組『モーニングショー』とタッグを組み、メイ ンキャスターのリクエストを組み込んだサマステ限定のメニューを展開します。●【羽鳥慎一アナコラボメニュー】キーマメキシカンGREEN BROTHERSの人気サラダに、羽鳥アナが好きなカレーを加え、炭水化物なしでもお腹がいっぱいになるパワーサラダです。●【宇賀なつみアナコラボメニュー】海老とアボカドのマリネ夏の暑い季節に、さっぱり食べられるマリネで、海老とアボカドとビールを一緒に召し上がってみてはいかがでしょうか。●【羽鳥慎一アナコラボメニュー】ローストビーフ トリュフドレッシング GREEN BROTHERSのディナーメニューの中で、お酒に合うおつまみとして人気の高いメニューです。ローストビーフは、ビールを代表にお酒との相性がよいため、ビールを片手にプレミアムBBQをお楽しみください。●【宇賀なつみアナコラボメニュー】ケールシーザーGREENBROTHERSのNO.1人気サラダで、女性にオススメなケールシーザーが、サマステ限定でアボカド入りのサラダになって新しく登場します。開催概要日時:2017年7月13日(木)~2017年8月27日(日)※夏祭りの基本開催期間は7月15日(土)~8月27 日(日)会場:六本木ヒルズ 毛利庭園 特設水上デッキ交通:東京メトロ日比谷線「六本木駅」から徒歩3分/都営大江戸線「六本木駅」から徒歩6分/都営大江戸線「麻布十番駅」から徒歩5 分/東京メトロ南北線「麻布十番駅」から徒歩8分/東京メトロ千代田線「乃木坂駅」から徒歩10分公式サイト:営業時間:平日11:00~23:00(テイクアウトブース)、11:00~23:00(水上デッキ)土・祝前日:11:00~23:00(テイクアウトブース・水上デッキ)、料金(税込):プレミアム BBQ セット+120分飲み放題(L.O.30分前)¥5,500日・祝:11:00~22:00(テイクアウトブース・水上デッキ)※ラストオーダーは 30 分前※小学生以下は¥3,000
2017年07月15日埼玉県加須市にある「加須はなさき水上公園」の夏期プールが、2017年7月15日(土)からオープンします。営業期間は9月3日(日)までです(7月18日~20日は休園)。ここでは、加須はなさき水上公園の夏季プールの魅力や、そのほかおすすめスポット、交通アクセスなどをご紹介します。今年の夏はご家族と、お友達と、恋人と、忘れられない最高の思い出を作りませんか。「加須はなさき水上公園」夏季プールの魅力は?埼玉県にある「加須はなさき水上公園」は、大きな公園施設です。プールだけでなく、バーベキュー場や、アスレチックゾーンのある広場など、老若男女が一年を通して遊べるエリアがいくつもあります。●バラエティーに富んだ6種類のプールエリアプールエリアは、夏以外の季節は釣り池として利用されています。こちらを、毎年夏は夏期プールとして開放。今夏の開放期間は7月15日(土)~7月17(月)と、7月21日(金)から9月3日(日)までです。「加須はなさき水上公園」の夏季プールの魅力は、バラエティーに富んだプールが6種類もあるというところ。スライダーや流れるプール、波のプールの他、幼児プールや多目的プール、そしてジェットプールまであります。子供も大人も楽しめる、夏の思い出作りにぴったりのプールです。●プールで思い切り遊んだ後にバーベキューを楽しめる!「加須はなさき水上公園」はプールのほかにも魅力がたっぷりです。バーベキュー場が併設されており、プールのほかにバーベキューが楽しめます。たくさん泳いだ後のバーベキューは最高に美味しいこと間違いなし!バーベキュー場は材料と器具、火器は各自持ち込みとなりますが、火器1台につき広場利用料として1日820円(2台なら1640円)で使用することができるので、ご家族で行っても格安です。バーベキュー場の利用は10:00~16:00(片付け時間を含む)となります。また、公園内にはサイクリングゾーン、アスレチックなどの遊び場も豊富。一日中飽きることなく楽しめます。「加須はなさき水上公園」へのアクセスは?専用の駐車場は1,200台まで駐車可能ですが、夏季は混雑も予想されるため、公共交通機関を使って行くことをおすすめします。東武伊勢崎線花崎駅から徒歩15分で「加須はなさき水上公園」の入り口へ到着し、そこからプールエリアまでは徒歩10分以内です。駐車料金は、夏季プール期間は、普通車820円・大型車1,640円かかります。利用時間も午前8時から午後6時30分までと指定がありますので、車をご利用の方はご留意ください。「加須はなさき水上公園」で、夏の思い出をたくさん作ってくださいね。スポット詳細名称:加須はなさき水上公園所在地:〒347-0022 埼玉県加須市水深1722開園期間:2017年7月15日(土)~7月17日(月)、7月21日(金)~9月3日(日)まで営業時間:9:00~17:00(7月21日~8月16日は18:00まで)休園日:夏季プール期間中は無休料金:大人720円、こども210円(小学生・中学生)、ファミリー券1,650円(大人2人、こども2人入園可)※中学生は証明できるもの(生徒手帳等)の提示が必要※小学校就学前の方は無料。その他詳しくはHPをご覧下さい。電話番号:0480-65-7155公式サイト:
2017年07月14日俳優の鈴木亮平が6月15日(木)、都内で行われたWOWOW「連続ドラマW宮沢賢治の食卓」の完成披露試写会に出席。若き日の賢治を演じる鈴木さんは「共通点ですか?マニアックなところが似ていると思います」と話していた。「賢治は夢見がちで空想好きというイメージもあると思いますが、実際には世界に対する知識があふれ出ていた人。例えば、石に詳しかったり」と賢治像について語る鈴木さん。自身も世界遺産検定1級に合格するなど、幅広い知識の持ち主として知られており「僕も遺跡が大好きですし、地質や地層を見るのも大好き」と賢治に負けない“マニアック”ぶりを披露していた。魚乃目三太による同名コミックをもとに、「銀河鉄道の夜」「雨ニモマケズ」などの代表作で知られる国民的な詩人、童話作家の宮沢賢治が食やクラシック音楽を愛した青春時代を描く。鈴木さんは「誰もが知る人物で、皆さんの中にもそれぞれのイメージがあると思いますが、おそらく誰も描いたことがない宮沢賢治が映し出されているはず」と強い手応え。“食”を題材にした内容にも言及し「いま流行のグルメもので、たぶん一番質素な内容だと思います。第1話の主役はコロッケですし(笑)、最終話に至っては雪ですから…。ドラマを通して、身の周りにある食事のおいしさを改めて実感していただけるはず」とアピールしていた。完成披露試写会には、賢治の一番の理解者である妹・トシを演じる石橋杏奈、演出を手がけた御法川修監督が出席した。ドラマには鈴木さん、石橋さんをはじめ、山崎育三郎(女学校音楽教師の藤原嘉藤治役)、市川実日子(賢治の運命の人である櫻小路ヤス役)、神野三鈴(賢治の母・宮沢イチ)、平田満(賢治の父・宮沢政次郎)らが出演している。「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」は6月17日(土)、毎週土曜日22時~WOWOWにて放送予定(全5話/第1話無料放送)。(text:cinemacafe.net)
2017年06月16日6月17日(土)より放送スタートするドラマ「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」。この度、本作の主演・鈴木亮平が誰も見たことのない国民的作家・宮沢賢治の新しい姿に挑んだメイキング映像が到着。同時に、いつも懸命に生きる“新しい宮沢賢治“の様々な表情などを切り取った新たな場面写真も初解禁された。大正10年、青年・宮沢賢治(鈴木亮平)は花巻の実家から東京へ家出していた。その間も、心を捉えて離さないのは最愛の妹・ トシ(石橋杏奈)のこと。ある日、実家からトシの大病をほのめかす電報が届く。急ぎ帰郷するが、大事はなさそうなトシ。電報は、家業を継がせたい父・政次郎(平田満)のはかりごとで、母・イチ(神野三鈴)もケロリとしたもの。久々に帰郷したものの打ち込むべきことが見つからない賢治だったが、土産代わりにコロッケを家族に振る舞い喜ばれたことをきっかけに、“幸せを分かち合うこと”こそが自らの理想とする生き方だと気付く。農学校教師の職を得て、その理想を生徒たちに伝えていくことになる賢治。音楽教師の嘉藤治(山崎育三郎)、いとしの君・ヤス(市川実日子)とのかけがえのない出会いにも恵まれる。しかしその一方、回復するかに思われたトシの体調が徐々に深刻な状態になりつつあることを、賢治はまだ知らなかった…。本作は、若かりし頃の天真爛漫な宮沢賢治の青春時代を、彼の愛した食やクラシック音楽を通して、家族や親しい人たちとの関わりを描く感涙物語。主人公・宮沢賢治役を鈴木さんが演じるほか、彼の最愛の妹・宮沢トシ役を石橋杏奈、後に賢治の良き親友となる高校の音楽教師・藤原嘉藤治役を山崎育三郎、次第に賢治に惹かれていく小学校教員・櫻小路ヤス役を市川実日子。そのほか神野三鈴、平田満、柳沢慎吾、おかやまはじめ、竹財輝之助、井之脇海、犬飼直紀らが出演する。今回到着したメイキング映像では、ドラマの魅力と登場人物たちを紹介。また、最愛の妹・トシと真剣な表情で向き合う姿から、揚げたてのコロッケや賢治の運命の女性となるヤスと一緒に食べる焼きリンゴを心から美味しそうに頬張る姿、さらには人目をはばからずに踊ったり、親友・嘉藤治のピアノ伴奏に合わせて農学校の生徒たちと楽しそうに歌を口ずさむ姿など、鈴木さんが表情豊かに演じる青年・賢治の自由奔放な一面が映し出されている。「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」は6月17日(土)より毎週土曜日22時~WOWOWにて放送(第1話無料放送)。(cinemacafe.net)
2017年05月15日宮沢賢治役を鈴木亮平が演じる、連続ドラマW「宮沢賢治の食卓」。この度、本作の新たなキャストとして山崎育三郎、市川実日子らの出演が決定し、オールキャストが発表。また、本作のポスタービジュアルも初解禁された。「銀河鉄道の夜」「雨ニモマケズ」などで知られる、国民的作家・宮沢賢治。孤高の存在として語られる印象とは裏腹に、実はユーモアに溢れた好奇心の人だった。賢治とは一体どんな人物で、如何なるものを食したのか?賢治の愛した食べ物には、やがて早逝する最愛の妹への深い愛情が秘められてた――。本作では、若かりし頃の天真爛漫な宮沢賢治の青春時代を、彼の愛した食やクラシック音楽を通して、家族や親しい人たちとの関わりを描く感涙物語。主人公・宮沢賢治役を鈴木亮平が演じ、彼の最愛の妹・宮沢トシ役には、モデルで女優の石橋杏奈が決定しているが、今回新たに本作に加わる実力派キャスト陣が発表!自由奔放な賢治にふり回されるが、後に賢治の良き親友となる高校の音楽教師・藤原嘉藤治役に、“ミュージカル界のイケメンプリンス”と称され、現在放送中の「あなたのことはそれほど」や『美女と野獣』では日本語吹き替え版で野獣役を熱演する山崎さん。好きな音楽や文学を通じて次第に賢治に惹かれていく小学校教員・櫻小路ヤス役に、『シン・ゴジラ』や現在放送中の「小さな巨人」などに出演する市川さん。また、おっとりした性格で賢治を含む5人の子どもたちを優しく見守る母・宮沢イチ役に神野三鈴、代々続く質屋を継いでほしいと思いながら作家を夢見る賢治を厳しく育てる父・宮沢政次郎役に平田満が扮する。山崎さんは、「嘉藤治は音楽教師であり、賢治の良き親友です。自由奔放な賢治にふり回されることもありましたが、嘉藤治にとって賢治の天性の才能は憧れでした。音楽家としては嫉妬するときもありましたが、賢治との出会いが嘉藤治の人生を変えていきます」と役どころを話し、「今回、音楽教師・嘉藤治は、ピアノを弾くシーンがとても多く、芝居以外の時間はピアノの猛特訓でした。ピアノシーンも見所です!!」とアピール。また、市川さんは「初めての花巻の言葉は、なんともかわいらしく、難しい」と苦労を明かし、「この作品の賢治さんは、生きていくのに大事なことってなんだろう?という素朴な疑問へ、明るく 軽やかに答えてくれるような予感がしています」とコメント。神野さんは、「足元にころがる石から宇宙まで想像の翼を広げ、すべての命に光と尊さを見つけた宮沢賢治。その賢治を大らかに優しく演じる鈴木亮平さん。私が演じる母イチは、そんな賢治を産み静かに見守る花巻の大地や自然のようなそんな存在でありたいと願っています」と語り、平田さんは、「この温かな心やさしい物語にふさわしく、人間味にあふれた、実在感のある父親像を造形できたらうれしいです。厳しい現実と賢治の求める理想の橋渡しの役目もあるのかな、とも思います。決して大上段に構えることなく心洗われる美しい物語を、共感をもってご覧いただけたら幸せです」とメッセージを寄せている。そのほか、柳沢慎吾、おかやまはじめ、竹財輝之助、井之脇海、犬飼直紀ら個性豊かなキャストも出演する。「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」は6月17日より毎週土曜日22時~WOWOWにて放送(第1話無料放送)。(cinemacafe.net)
2017年04月26日俳優・鈴木亮平が“宮沢賢治”を演じる、6月スタートのドラマ「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」。この度、新たなキャストとして鈴木さん演じる賢治の最愛の妹・トシ役を石橋杏奈が演じることが決定した。大正10年。青年・宮沢賢治(鈴木亮平)は、岩手・花巻の裕福な実家から東京へ家出していた。8か月に及んだ東京暮らしの間も、心を捉えて離さないのは最愛の妹で女学校の教師を務めるトシのことだった。夏の終わりのある日、実家からトシの大病をほのめかした電報が届く。急ぎ帰郷するが、大したことがなさそうなトシ。賢治は家業の質店を継がせたい父・政次郎の策略に引っ掛かったのだった。久々に帰郷したものの、打ち込むべきものが見つからない賢治。そんな中、手作りしたコロッケを家族にふる舞い喜ばれたことをきっかけに、“幸せを分かち合うこと”こそが自らの理想とする生き方だと気付く。そして、その具体的な形として、教師になり子どもたちに幸せを分かち合うことを教えたいと思うように。トシの陰日向からの尽力もあり教師になれた賢治。だがその一方で、トシの体が病魔に侵されていることを賢治はまだ知らなかった――。ドラマは、賢治が愛した食や音楽を切り口とする、“ヤング宮沢賢治、愛と青春の旅立ちの物語”。特に、鈴木さんと石橋さんが演じる、傑作詩篇「永訣の朝」に綴られた最愛の妹・トシとの死別に描かれる兄妹愛は、涙なくして見られない。これまで、「天皇の料理番」やコント番組「LIFE!~人生に捧げるコント~」などで共演経験もある2人。ドラマで石橋さんは、後に日本を代表する詩人・童話作家となる賢治の一番の理解者で、その才能を評価していた妹という役どころに挑戦する。また、女学校の教師という役柄で、バイオリンの演奏に初挑戦も。石橋さんは、「バイオリンは触るのも初めてで全く分からないところからのスタートでしたが、特にすごく上手という設定ではないのが幸いでした(笑)」と話し、「トシはヴァイオリンが好きでたまらないという役なので、楽に、楽しく、演奏出来たらなと思います」とコメント。鈴木さんとの本格的な共演は今回が初めてだと言う石橋さんは、「すごく楽しみです。どんな兄妹愛が出来上がるのか、わくわくします」と心境を語り、「このドラマで描かれている亮平さん演じる宮沢賢治が、とにかく素敵なんです。個人的にはヤスさんと賢治さんのシーンが楽しみです。みなさま、ぜひご覧下さい!!」とメッセージを寄せている。「連続ドラマW 宮沢賢治の食卓」は6月、毎週土曜日22時~WOWOWにて放送予定(第1話無料放送)。(cinemacafe.net)
2017年04月17日