『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』が、4月27日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』チケット情報本作は、2010年から上演がスタートした男女ふたりの朗読劇シリーズ。出演者は日替わりで、8度目となる今回は、相葉裕樹×日笠陽子、小林豊×佐野ひなこ、染谷俊之×近野成美、平間壮一×和音美桜、廣瀬智紀×入来茉里、福山潤×田中美里、前田公輝×徳井青空、矢崎広×三倉茉奈、竜星涼×真野恵里菜という9組が出演する。『私の頭の中の消しゴム』は、永作博美と緒形直人が主演のテレビドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~』(2001年)を原作とした韓国映画(2004年)。若年性アルツハイマー病に冒された薫と彼女を支え尽くす浩介の物語を、男女ふたりが言葉で紡いでいく。初日となる4月27日は、ミュージカルを中心に活躍中の平間壮一×和音美桜ペアで上演。オフホワイトで統一された舞台セットの中、同じくオフホワイトの衣裳を着たふたりが椅子に座り、日記を朗読した。日記の始まりは、ふたりが出会った頃。初期に書かれているのは、恋する戸惑いや喜び。感情が上がったり下がったりする中でも、ふたりの声から伝わるのは楽しさばかりだ。いつでも怒鳴り口調だった浩介が穏やかになった頃、結婚。新婚生活を綴った日記には底なしのしあわせと希望が溢れ、リズムのいい会話のように毎日の出来事が描かれる。しかし、そのリズムは薫の病気の発症と共に崩れ始め、病気が進行するほどに一方的な語りへと変わってしまう。どんどん子供のようになっていく薫と、どこまでもやさしく寄り添おうとする浩介――そんな生活を記す日記には、愛を示す言葉も増えるが、えぐるような言葉も増えていく。平間の温かな声と和音の明るい声が、どんな言葉も平等に客席に届けることが辛い。休憩なしの2時間の熱演。カーテンコールでは、涙が止まらない平間に笑って手を差し出す和音が印象的だった。泣き顔のまま笑い合い、寄り添うように舞台を去っていったふたり。その姿を見て、言葉を重ねていく朗読劇だからこそキャストによって全く違うものになるのだと感じた。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』は5月8日(日)まで。2回観劇すると舞台特製パネルがプレゼントされる特典も!取材・文:中川實穗
2016年04月28日川平慈英、長野博、松岡充、鈴木壮麻によるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』が4月末に開幕する。それに先駆け、都内で公開稽古と囲み取材が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、1990年の初演以来アメリカ各地で上演され続けているスチュワート・ロス脚本のコメディミュージカル。事故で亡くなったサウンドグループ“Forever Plaid”のメンバー4人が一晩だけ地上に戻り、できなかったショーを実現する、という物語。日本では2013年に上演され、今回は再演。川平、長野、松岡、鈴木の“Forever Plaid”メンバーが再び顔を揃えた。公開稽古では、本番同様のセットに揃いの衣裳に身を包んだ4人が登場。軽やかに奏でる美しいハーモニー、コミカルなマイクパフォーマンス、キャラクターらしさが伝わるトークと、ステージから溢れ出すように楽しさが伝わってくる。「一番楽しんでいるのはお客さんよりも僕たち4人なんじゃないのかっていう、そんな瞬間があるんですよ」(川平)という彼らの姿は、観ているだけで自然と笑顔になるはずだ。ミュージカル界、アイドル界、音楽界と、普段はそれぞれの場所で活躍するメンバー。3年ぶりとなる再演だが、ステージ以外でも終始仲のよさそうな様子を見せ、「同じメンバーで舞い戻れたのはミラクル」(川平)、「一人でも変わると“Forever Plaid”じゃなくなる気がする」(長野)と再集結を喜んだ。美しいハーモニーが印象的な本作。実力派揃いとはいえ絶妙な音のハモリを合わせるのには苦労しているそうで、川平は「譜面を見ただけで『これは危ない』という和音。でもそれが“Forever Plaid”の良さなんです」と解説。松岡も「相手の音を聴くと自分が歌えなくなるので、(相手のことを)嫌いになってもおかしくないほど」と大変さを語りつつ「でも座長(川平)がちゃんとまとめてくれるので、なんとか和音が奏でられる」と笑顔を見せた。余震の続く九州での公演も予定している本作。「舞台の間は違う世界にお連れします。いろんなことを忘れて、楽しくなっていただいて、それが元気の源になってくれたら」(長野)、「コーラスという形で想いを届けられたらいいなと思っています。だからこそ一音一音をすごく大事に僕たちは歌っているので、そのハーモニーが皆さんの心に届くことを願っての稽古の日々です」(鈴木)と想いを話した。『Forever Plaid』は、4月26日(火)の埼玉・志木市民会館パルシティでのプレビュー公演を皮切りに、全国13会場で公演。取材・文:中川實穗
2016年04月25日ピエール・ラコット版『ラ・シルフィード』の上演を控えた東京バレエ団が公開リハーサルを開催、続いて行われた記者懇親会で、斎藤友佳理芸術監と主演ダンサーたちが舞台への意欲を語った。【チケット情報はこちら】懇親会冒頭、「すべてこの作品からスタートした、私の原点ともいえる作品。踊り込んできたことでわかったことがたくさんあります。ラコットさん、(ギレーヌ・)テスマーさん(同作品の初演ダンサーで、指導者として活躍)から教えていただいたことを、すべて伝えたい」と、指導への並々ならぬ熱意を明かす斎藤。東京バレエ団のプリマとしてこの作品にたびたび主演、海外公演でも絶賛されたが、近年は、ラコットの信頼を得てモスクワ音楽劇場で振付指導アシスタントを務め、2013年の東京バレエ団での上演では振付指導を手がけている。愛着のある作品だけに、その指導ぶりは熱く、厳しくもなる。「ラコットさんから教えられたことを大切にし、ロマンティック・バレエの薫りを伝えたい」(斎藤)。『ラ・シルフィード』は19世紀前半のロマンティック・バレエの傑作だが、1972年にラコットが復元上演して人気を得た作品だ。スコットランドの農村を舞台に、結婚式を控えた青年ジェイムズと、彼の前に突然現れた空気の精シルフィードとの悲恋を描く。初日に主役を踊るのは、この4月にプリンシパルに昇進したばかりの渡辺理恵と、昨年8月に入団した宮川新大のペア。「2度目のシルフィード役。ジェイムズへの思いを軸に、柔軟に創っていきたい」(渡辺)、「毎日が勉強!物語の中での表現を、つきつめたい」(宮川)。また、2日目に主演する沖香菜子と松野乃知は2013年の上演でもペアを組んだが、「いろんな作品に触れ、成長できたのではないかと思う。私なりのシルフィードを出していきたい」(沖)、「この3年で感じ方は変わってきた。今の僕ができるジェイムズとして、舞台を生きたい」(松野)と抱負を語る。彼らの言葉に目を細める斎藤。「指導で同じことを要求しても、人によって受け取り方は違うもの。このふたりの妖精も、全く違う。それはとても素晴らしいこと」と、彼らの個性に期待を寄せる。「皆、舞台に命をかけているなと思うけれど、命はかけ過ぎず(笑)、楽しんでもらいたい。そうなったとき、それぞれの良さがでる。成功を見守っていただきたいと思っています」と、ダンサーたちを激励した。公演は4月29日(金・祝)、30日(土)、東京・東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2016年04月22日渡辺えりと戸田恵子が出演するミュージカル『わがまま』東京公演が4月20日(水)より東京・世田谷パブリックシアターで上演。開幕に先駆けて渡辺と戸田が囲み取材に出席した。【チケット情報はこちら】同公演は渡辺えり率いる「オフィス3○○(さんじゅうまる)」の最新作。作・演出を渡辺えりが務めるふたり芝居。渡辺はミュージカル初挑戦、また、戸田との共演も今回が初めてとなる。舞台はとある劇場の本番中の楽屋。渡辺と戸田演じる中年のミュージカル女優ふたりが、自分の人生を本音で愚痴り合ううちに、なぜ演劇をやりたいと思ったのか、今は一体なんのために続けているのかなどの疑問にぶち当たるが…。会見に舞台でも着用する派手な紫のスパンコールの衣装で出席した渡辺と戸田。渡辺は衣装について「今回は衣装のプランも私が考えたんですが、このスパンコールの衣装は見つけた時にこれだ!と思いました。戸田さんはそのまま使えたんですが、私は2着分の素材を使わないといけなくて(笑)。それでも、稽古、公演で少し痩せました(笑)」と話した。また戸田は「この衣装ばかりが独り歩きしているみたいですが、ずっとこの衣装でいるわけではありません(笑)。この衣装で出ている時はお互いの感情が一番爆発しているシーン。私の役は母親を介護している、えりさんの役は親しい友人が亡くなって、その友人が飼っていた犬の面倒をみなければいけないという、それぞれの境遇があって、それでも舞台に立たないといけない。それはどんな時でも舞台に立たなければいけない、普段の我々にも通ずるところですね」と語った。また、見どころについて戸田は「えりさんがやられている所は全て見どころですね。舞台上で化粧も落としますし、気ぐるみも着る、男装もする。そのほかにも見どころはたくさんありますが、普通、ミュージカルではアンサンブルといって、今回演じている役のような、何役もやられる方がいらっしゃって、その方々がいないとお芝居は成立しないんですね。なので、そういう方々の“私たちがいないとやっていけないんだよ”という心の声を代弁している所は見どころです」と話した。ミュージカル『わがまま』は東京・世田谷パブリックシアターで4月25日(月)まで上演。その後、兵庫、福岡、鹿児島、北海道、福井を周る。チケットは発売中。
2016年04月20日“心理スリラー・ミュージカル”という異色の魅力を持った舞台『ブラック メリーポピンズ』、その再演が5月、東京・世田谷パブリックシアターにて開幕する。韓国創作ミュージカルをもとに2014年に上演された日本版初演は、原作により深みを加えてシャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、ミステリーの興奮を引き出す小野寺修二の振付などを演出の鈴木裕美が巧みにまとめ上げ、高い評価を得た注目の舞台。14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語だ。今回、再び総指揮をとる鈴木、メリー役の一路真輝、養子の兄弟を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーが再集結するなかで、新加入となる妹アンナ役の中川翔子に熱い視線が集まっている。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報「チームワークでひとつの作品を作り上げる、その役として生きるということ自体が初めての世界で、とても新鮮です。ミュージカルは明るく楽しいというイメージがあったけど、これは孤独や哀しみ、心に負った傷とどう向き合うかといった作品。でもそれだけじゃなく、子供時代のシーンでは兄弟たちが笑顔で、幸せを噛み締める瞬間もあります。そのギャップがまた面白く、より哀しみが深まる繊細な舞台。すべてが学びの時間になりそうで、脳が『吸収したい!ゴクゴク飲みたい!』と言ってます(笑)!」(中川)長兄のハンス役を演じる小西遼生は「中川さんが入ることで、またゼロから作り上げようという新鮮な気持ちになれる。新たな原動力ですね」と妹に期待を寄せる。鈴木は「役は人と人との関係性からできてくるもの。“初演はこうだった”は禁止するところから始めます」と朗らかにひと言。それらの言葉を受けた中川からは「コミュニケーションが大事なんですね。脱・コミュニケーション下手!」と熱い誓いが飛び出した。「兄弟3人にとってはアンナを必死で助けようとする気持ちが大事なので、中川さんは“守ってあげたい妹”として気持ちが作りやすい。僕の想像ですが、中川さんはたぶん、とても自由に羽ばたく気がします。楽しみなのは、ほかのふたりの兄弟(上山、良知)がどういう変化を起こすのか。きっとすごく変わるんじゃないかな(笑)」(小西)「ソ・ユンミさんという才能ある作家が書いた、若いエネルギーにあふれたお話です。5人が演じるどの役も俳優の持つすべてを使わないとこなせない舞台。とにかく俳優を観ていただきたいですね」(鈴木)盤石のキャスト陣に迎えられる緊張はあれど、中川は「急にイケメン兄弟に囲まれて、まるで今の女子向けゲームでいきなりフィーバーモードみたいな感じですよね!?(笑)。素直に『お兄さん、教えて!』とぶつかっていきます!」と、持ち前の元気パワーで前進宣言。新たなアンサンブルで再生する心理スリラー・ミュージカル、期待の全容がまもなくお目見えする。東京公演は5月14日(土)から29日(日)まで。その後、兵庫、福岡、愛知でも公演。取材・文上野紀子
2016年04月20日観客も世代を問わずこぶしを振り上げジャンプ! という大熱狂のカーテンコール。好評を博したミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、2014年の日本初演に続き早くも再演される。主人公デロリス役は待望の続投となる森公美子と、新キャストの元宝塚歌劇団花組トップスター・蘭寿とむ。持ち味の異なるふたりを中心としたカンパニーが、帝国劇場公演を皮切りに全国を興奮の渦に巻き込む。ミュージカル「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」のチケット情報蘭寿は「初のアフロヘアです! 扮装した瞬間からテンションが上がりました」と、新しい分野への挑戦に目を輝かせる。破天荒な黒人クラブ歌手デロリスは、マフィアから逃れるために飛び込んだ修道院で、規律正しいシスターたちと次第に心通わせてゆく。「歌手として輝きたいと自分のことだけを考えていた彼女が、初めて自分を必要としてくれる人と出会い信頼関係を築いていきます。シスターたちとの絆、彼女のピュアさを出してゆきたい」。本作はウーピー・ゴールドバーグ主演の大ヒット映画を、ウーピー自身のプロデュースで2009年にミュージカル化し大成功した作品。蘭寿は招聘公演を観劇、「見た目はキュートなデロリスなのに、ダンスを踊りながら長いナンバーを歌って本当にパワフルでした。私も女性のキュートな面も表現できたら」と話す。『アラジン』『美女と野獣』などのアラン・メンケンが音楽を担当し、ソウル、ゴスペル、ディスコミュージックなど幅広いジャンルの楽曲が詰まっている。「素敵な曲ばかりですけど音域も広いし挑戦です。ゴスペルではリズムをしっかり出し、よりパンチのある声を出せるようお稽古していきたいです」。先頃出演した地球ゴージャス『The Love Bugs』でも、大劇場を埋める歌声で進化を見せた蘭寿。「退団後ボイストレーニングを続け、発声の仕方を変えています。自分の声がどんどん変わってくるのが楽しくて」。歌う喜びを全身全霊で伝えるデロリスはまさにぴったりだ。「自分自身も心をバーンと開いて歌えるんじゃないかな。そこに至るまでは大変だと思いますが、森公美子さんも“一緒に作っていこうね”と言って下さっていて心強いです」。デビュー20周年を迎えた今年、本作が転機になるのを予感している。「一つひとつ全力でやってきて今があるのを感じます。初めての帝国劇場で主演をさせて頂けるなんて本当に嬉しい。最後は歌って踊れる最高にハッピーな作品なので、アフロの鬘を持ってきていただいてもいいですし(笑)、皆さんと一緒に盛り上がりたいです!」。男役時代からの“熱い血”と、最近とみに増すキュートさが合わさり新境地の舞台となりそうだ。5月22日(日) ~ 6月20日(月)の東京・帝国劇場を皮切りに、7月2日(土)・3日(日)の大阪・梅田芸術劇場 メインホール、その後、愛知・北海道・宮城などを廻る。東京・大阪・愛知公演は発売中。北海道・宮城公演は4月23日(土)から一般発売。取材・文:小野寺亜紀
2016年04月20日2003年に日本に初来日し、これまで9回の来日公演で100万人を動員。2012年、2014年には全国47都道府県ツアーを敢行した、アメリカ発のマーチングバンドをベースにしたパフォーマンスショー「ブラスト!」。2016年夏、ディズニー音楽で構成された「ブラスト!」の最新作が、日本で世界初演を行うことが決定した。blast the music of Disney チケット情報「ブラスト!」は60種類以上の楽器を動き回りながら演奏するパフォーマーと、バトンやフラッグなど大小様々な道具を操るダンサーたちが、息を呑むほどのスピードでひとつになり、音楽を体現するのが特徴。「金管楽器」「打楽器」「ビジュアル・アンサンブル(ダンサー)」という3つのパートから構成され、それぞれが驚異的な演奏・技術・演技を披露する。また、巨大なセットや、各シーンにテーマ・カラーがあり、鮮やかな照明演出なども加わり、唯一無二の壮大なパフォーマンスショーとして観客を魅了してきた。本編だけでなく、「ブラスト!」名物となっている休憩時間のパフォーマンスなど他の公演とは違う、常に新しい感動を与えてくれる作品だ。そんな「ブラスト!」が2016年夏、誰もが知っている永遠のディズニー音楽と融合した最新作を日本で世界初演を行うことが決定。『美女と野獣』メドレーや『ライオンキング』メドレー、『アンダー・ザ・シー』(『リトル・マーメード』)『ラプソディー・イン・ブルー』(『ファンタジア2000』)などのディズニーの名曲の数々は「ブラスト!」の超絶技巧とステージングでどのように彩られるのか、期待が高まる。チケットぴあでは、最速先着先行を4月28日(木)23:59まで受付中。この夏、究極のエンターテインメント「ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー」を体験してみては。■blast the music of Disney8月21日(日)福生市民会館(東京)※プレビュー公演8月23日(火)~9月6日(火)東京国際フォーラムホールC(東京)9月8日(木)・9日(金)オリックス劇場(大阪)9月12日(月) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知)
2016年04月19日1937年にロンドンで初演され、宝塚歌劇でも1987年の初演以来、再演を重ねてきた大ヒットミュージカル『ME AND MY GIRL』が、明日海りお率いる花組で上演される。宝塚歌劇花組『ME AND MY GIRL』チケット情報2008年に月組で上演された本作の新人公演で主役のウイリアム(ビル)に抜擢、本公演では娘役のジャッキーを演じたという、明日海にとって思い出深い作品。「前回は娘役でたくさんのことを学ばせていただきました。それと同時に、新人公演でビルを演じ、やっぱり自分は男役がすごく好きで、これから男役として頑張っていくんだ!と決意したことを覚えています」。そして今回はまた気持ちを新たに挑んでいる。「今の花組はとても個性的な組子が揃っており、今の花組にしかできないオリジナルのものを作り上げて、胸を張ってお見せできるように励んでいます」。1930年代のロンドンを舞台に、下町で育った名門貴族の世継の青年ビルが一人前の紳士に成長するまでを、恋人サリーとの恋物語を絡めて描いたコメディ。演じるビルについて「こんな男性がいたら本当に素敵だなと思います。普段はちょっとふざけている人なんですが、やる時はやる。中身がとても紳士で、サリーへの気持ちも揺るがないですし、誰に対しても誠実に向き合う。大らかで包容力があって、知らないうちにいろんな人を虜にして、いろんな人と絆を築いていける、すごく魅力的な男性だと思います。ラフでありながら誠実だという、その差があるほど素敵だと思いますので、大人しくまとまらないようにしたいです」と、力を込める。宝塚歌劇ならではの見どころは「特にランベスウォークの場面です。組子がほとんど総出演で客席降りもありますし、とても華やかです。お客様も一緒に楽しんでいただけるので楽しみにしていただきたいです」。さらに自身が好きな名場面を尋ねると「下級生が任されることが多いキッチンの場面。そこで、コーラスがいかにきっちりしているかとか、一人ひとりの芝居がはっきりと見えるので、その時の組の特色が分かるんです。みんなまだ苦労していますが、元気があるのでこれからまだまだ頑張って追求してくれると思います」と期待を込める。柔らかな笑顔の裏に、舞台への熱い思いが垣間見える明日海。トップ就任から3年目を迎える彼女が目指すトップ像は「舞台に立った瞬間に、空気を掴める人」。8年の時を経て成長した、より魅力あふれるビルに期待したい。公演は宝塚大劇場にて4月29日(金・祝)から6月6日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は6月24日(金)から7月31日(日)まで。5月22日(日)より一般発売が開始される。取材・文/黒石悦子
2016年04月19日村井良大、彩吹真央、駒田一の実力派キャスト3人が挑むロマンチック・コメディ・ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が、6月12日(日)より東京・読売大手町ホール、大阪・サンケイホールブリーゼで上演。トークショーの開催や、特典付きチケットの販売が決定した。『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』チケット情報本作は、2006年に韓国で幕を開け、2014年まで大ロングランを記録した韓国オリジナルミュージカル。彩吹演じる初恋の男性を忘れられない女性が、村井演じる“初恋探し会社”のさえない男性と共に初恋相手を探しに出るという物語で、村井は初恋の男性キム・ジョンウクと2役を演じ分ける。また、芸達者な駒田は女性の父母やインド人、若い女性など、ひとりで22役をこなす“マルチマン”。濃密な空間で3人が織りなす、笑って泣けて、最後はほっこりした気分になれるエンタテインメントだ。本公演では6月12日(日)14時・14日(火)14時の東京公演、29日(水)の大阪公演でミニイベントを、19日(日)18時・23日(木)19時の東京公演、30日(木)の大阪公演で出演者3人のトークショーを開催。また、日本版初演記念として、「バックステージ付きチケット」「サイン入りビジュアルチケットホルダーを探せ!」「舞台写真付きチケット」の、3種類の企画チケットも用意。「サイン入り~」は、対象公演来場者全員に、チケットホルダーをプレゼント。その中に、1公演につき5枚、出演者3人のサインが入ったチケットホルダーが含まれているというもの。貴重なサインをゲットできるチャンスだ。キャストの“素”の部分や裏話が聞けるトークショー、通常なら体験できない舞台裏をのぞくことができるバックステージ、記念に残せるチケットホルダーや舞台写真…。イベント付きなら楽しさも倍増すること間違いなし。ぜひ気になる公演をチェックして。<企画対象公演>■バックステージ付きチケット対象公演:6月17日(金)14:00/6月24日(金)14:00■サイン入りビジュアルチケットホルダーを探せ!対象公演:
2016年04月15日ミュージカル『グランドホテル』が4月9日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。演出は英国出身のトム・サザーランド。カンパニーを中川晃教・宮原浩暢・安寿ミラらが出演する<GREEN>と、成河・伊礼彼方・草刈民代らが出演する<RED>のふたつに分け、演出を変えて上演されることが話題となっていた作品だ。中でも結末は<GREEN=悲劇的エンディング><RED=ハッピーエンディング>とまったく異なるものになる……というところまで、事前に明らかにされていた。さっそく、両バージョンを観劇した。ミュージカル『グランドホテル』チケット情報物語は1928年ベルリン、ナチス台頭が近づく不穏な社会情勢の中、豪華なグランドホテルに行きかう人々のドラマを描く群像劇。ことさら飾り立てられてはいないが品のある舞台セットは、まさに高級ホテルの趣き。その美しいセットが回転し情景を変える中、ホテルを訪れる客たちの事情が点景のように綴られていく。重い病を患ったユダヤ人の会計士、借金だらけの男爵、引退興行中のバレリーナ……。それぞれの歌声が重なると同時に、彼らの人生が重なり、そして物語が一気に回りだすプロローグ「グランド・パレード」から、一気に心を掴まれる。それまで接点のなかった人々の人生が、グランドホテルという場所で奇跡のように交錯する。そこで愛が生まれ、友情が生まれ、事件が生まれる。その過程も、両バージョンで少しずつ異なる。それは目に見えて違うものから些細なものまで様々だ。だが、その些細な選択から、物語がボタンの掛け違いのようにずれていき、最後の運命を大きく変えていくよう。結末の演出はまさに180度違う。新しい世界への旅立ちを予感させるRED、このあと戦争へ走っていく当時のベルリンの重苦しさを描き出すGREEN。……だが、思うのだ。まったく違うようでいて、ふたつの物語は、実は同じものを描き出しているのではないか、と。希望を絶たれたようなGREENの中では、新しく生まれる命――それは希望である――が、ひときわ強く輝く。一方、希望を胸に幕切れを迎えるREDの登場人物もまた1928年のドイツに生きているのは間違いなく、彼らのその後に苦難が待ち受けていることは想像に難くない。どちらも、どんな状況であろうと、貪欲に生きることのエネルギーが描かれている。ふたつの『グランドホテル』は表裏一体なのだ。実際クライマックス、ある人物に死が訪れるシーンの演出は、まさに表と裏といった見え方のする演出がなされていて、興味深かった。とはいえ、同じ脚本と音楽で異なるドラマを生み出していく意欲作、その意図するところをきちんと見せきるには、役者には演じる力量、さらにはクレバーさが要求されるであろう。今回のキャストは全員が、その役目をきちんと担っていて、非常に見応えのある舞台を作り上げている。どちらを観ても満足のいく作品だが、できれば両バージョンを観て、そこから何かを感じ取って欲しい。公演は4月24日(日)まで同劇場にて。その後、愛知、大阪公演あり。
2016年04月14日昨年11月より東京、大阪、宮城で初演され、全公演完売という人気ぶりを見せたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“頂の景色”が、パワーアップして再演。4月8日、大阪・シアターBRAVA!にて、公開舞台稽古と囲み取材が行われた。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」チケット情報本作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の大人気バレーボール漫画「ハイキュー!!」を原作にした舞台で、バレーボールに魅せられた身長162.8cmの主人公・日向翔陽(須賀健太)を中心に物語が展開。「小さな巨人」と呼ばれる選手に憧れて進学した烏野高校で、中学時代の憎きライバル・影山飛雄(木村達成)をはじめ、共に戦う仲間と出会い、キャラクターそれぞれが成長していく姿が描かれる。“ハイパープロジェクション演劇”と銘打ち、生身の役者が演じる熱と、最新の映像テクノロジーを駆使して魅せるこの舞台。前方に向かって傾斜した「八百屋舞台」で遠近感を演出しつつ、廻り舞台や巧みに練り上げられたキャストたちの動きで、クルクルと目まぐるしく展開。アクロバティックな動きやダンス的な動きで見せたり、時には漫画のコマ割りを映像で映し出しながら、まるで漫画を読み進めるように見せるなど、その心地いいテンポ感で、観る者をグイグイと演劇「ハイキュー!!」の世界に引き込んでいく。第一幕では、日向と影山の出会いと烏野部内の練習試合、第二幕では烏野高校の休部状態のエースを巡る物語が展開。たとえ技術が高くても、仲間と気持ちが通わなければ勝ちには繋がらないのがチームプレー。プライドの高さやコンプレックス、それぞれに悩みや葛藤を抱えてもがくけれど、バレーボールにかける熱い思いで心が繋がっていく姿が胸を打つ。舞台を縦横無尽に駆け巡り、天高くジャンプしてスパイクを打ち抜く日向。演じる須賀が囲み取材で「運動量はこの舞台に出てくるキャラクターの中で一番だと自信を持って言える」と言う通り、小柄な身体を目いっぱい使い、汗を撒き散らしながらほぼ出ずっぱりで演じきる。また、木村も「影山が“コートの王様”と呼ばれることに対して、どれだけダークな気持ちを持っているかを重点的に意識した」と、初演以上に影山というキャラクターに寄り添い、役を作り込んでいる。他にも、まさに“強豪”と呼ぶべき青葉城西メンバーの高い跳躍力や身体性にも注目。キャプテン・及川 徹役の遊馬(あすま)晃祐は「“青城(せいじょう)”は3人が新キャスト。初演よりもさらに強くなっています。烏野に負けない熱量で魅せたい」とコメントし、初参加の岩泉 一役・小波津亜廉(こはつあれん)は「続投メンバーに負けない熱量で、“頂の景色”を見に行きたい」とアピールした。大阪公演は4月17日(日)まで。チケットぴあにて当日引換券を発売中。取材・文:黒石悦子
2016年04月12日1999年の英国初演が話題沸騰、すぐに欧米ツアーを敢行して、日本への初来日も2002年に果たしている『バーン・ザ・フロア』。その後8回に渡る来日公演の間に、ブロードウェイ公演や英国ウエストエンド公演を成功させるなど、いまや名実ともに世界トップクラスの“エンターテインメントショー”に成長した本作が、現在9度目の来日公演中だ。「バーン・ザ・フロア NEW HORIZON」チケット情報今回『NEW HORIZON』と銘打ち、「全てが新しい挑戦。衣装やセットの変化はもちろん、音楽もトラディショナルな部分は残しつつ、例えばロックの名曲をフラメンコでアレンジしたりと、大きく変わったと思う」と語るのは、芸術監督のピータ・ロビー。その言葉通り、映画『バーレスク』の楽曲で表現する男女の駆け引きや、オペラ『カルメン』の三角関係を現代風の衣装と音楽で魅せるなど、どのシーンも目が離せないものばかり。その他、中世ヨーロッパの衣装で展開するボールルームダンス、日本でも人気の米国製・学園ミュージカルドラマを思わせる群舞など、時代もテイストも多彩なステージに息つくひまもない。一般に海外作品の来日公演は、ブロードウェイなどでヒットした後で来日することが多いが、『バーン・ザ・フロア』は欧米だけでなく、オーストラリアやアジアなどでもツアーを行いながら進化を続けてきた作品。日本では宝塚歌劇団や一部の舞台以外では馴染みの薄い“エンターテインメントショー”を、ドラマチックで豊かな歌唱力と圧巻のダンスで見せ切るのは、世界の観客と共に成長してきた実力の証だろう。そしてどのシーンでも共通しているのは、男女の機微。セリフがないからこそ、観客それぞれの想いを投影することで、自分だけのストーリーが浮かび上がる。本作はそんな真の“エンターテインメントショー”を堪能できる貴重なチャンスだ。初日前に行われたゲネプロでは、スペシャルサポーターのはるな愛と武井壮がダンスをセッション。ダンス経験のあるはるなはもちろん、武井もキレのある踊りを見せ、ダンサーたちから笑顔で拍手が送られるひと幕も。さらに終演後の会見では、同じくスペシャルサポーターのホラン千秋が「悩みごとがあっても吹き飛んでしまうような作品」と太鼓判を押せば、最近はニューヨークにダンスレッスンに通っているというはるなも「歌も照明もすごくて、今までこういう作品を観たことがないという方にもぜひ観てほしい」と興奮気味。「(色んな感情を表現しているダンスを)観ていると、恋をしたくなるね。付き合い始めのカップルなら、見終わった後にビッグチャンスが訪れるかも」と武井が言うと、ホランとはるなも笑いながら同意。三者三様に魅了された様子が伝わってきた。公演は4月13日(水)まで東京・東急シアターオーブ、4月15日(金)から18日(月)まで大阪・フェスティバルホールにて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2016年04月11日東京・帝国劇場で開幕したミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』の初日前会見が4月7日、同劇場で開催され、出演する小池徹平、加藤和樹、神田沙也加、夢咲ねね、花總まり、凰稀かなめが意気込みを語った。【チケット情報はこちら】作品は2012年にフランスで初演し、フランス・ミュージカル界で大ヒットしたもの。フランス革命という史実を背景に、革命に燃える市民たちの情熱や、その中に生まれた愛、そして王侯貴族の衰退を描いていく物語だ。農村出身で、革命に身を投じる主人公ロナンは、小池と加藤のWキャスト。小池は伝統ある帝国劇場に初出演にして初主演。「稽古場から劇場に入って3日目くらいにして、やっと劇場に慣れてきました。エレベーター移動が多い劇場なのですが、全然来ない時は階段を使ったりして、そういうことすら楽しい。階段移動を楽しいと思っちゃうのは初めて(笑)。今のところは舞台の表も裏も、楽しくやれています!」と、環境を楽しんでいる様子。もうひとりのロナン、加藤は2014年の『レディ・ベス』以来、2年ぶり2度目の帝国劇場出演。「Wキャストなので客席で観る機会があるのですが、思った以上に派手で華やか。今やっていることすべてがひとつにつながった時にどうなるか、僕自身も楽しみにしています。間違いなく革命的な作品になる」と自信を語った。小池が「今回3組のWキャストがいて、全部で8通り、色々な『1789』が楽しめる」とアピールするように、ロナンに加え、ロナンと恋に落ちるヒロインのオランプ、王妃マリー・アントワネットの3役がWキャスト。オランプを演じるのは神田と夢咲で、「衣裳も華やかで、舞台セットや照明などもすごく見応えがある。楽曲も素晴らしいので、目にも耳にも楽しんで頂けるのでは」(神田)、「私も帝国劇場への出演が初めて。ずっと憧れていた劇場でこうやって舞台稽古をし、いよいよ始まるんだなと身の引き締まる思いです」(夢咲)とそれぞれ話す。さらに、花總、凰稀という元宝塚歌劇団トップのふたりがアントワネットを演じる。この日の会見もアントワネットの豪華な衣裳はひときわ目を引いたが「少し……少しどころか贅沢をし過ぎましたが(笑)、当時のファッションリーダーでもあったマリー・アントワネットの、これでもか!という素敵なお衣裳をお客さまにも楽しんで頂けたら」(花總)、「マリー・アントワネットの登場シーンは見どころです!」(凰稀)とのことなので、そちらも注目だ。公演は4月9日・10日のプレビュー公演を経て、4月11日(月)に開幕。5月15日(日)まで同劇場にて。その後大阪公演もあり。チケットは発売中。
2016年04月11日宮本亜門が演出するブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッドフリート街の悪魔の理髪師』が、今年で4度目の上演を迎える。2007年の初演から青年トバイアスを演じ続けているのは、武田真治。「役の幅が広がり、大人の扉を開いてくれた」という役柄について聞いた。ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報18世紀末のロンドンを舞台に、無実の罪で流刑され、愛する人を失った理髪師のスウィーニー・トッド(市村正親)が、パイ屋のラヴェット夫人(大竹しのぶ)と共謀し、商売道具のカミソリで人を殺して人肉パイを作り復讐するという物語。武田はラヴェット夫人を手伝う孤児のトバイアスを演じる。年齢不詳の青年だが「彼の純粋ささえ表現できていれば、年齢は特に気にしていない」という。同じ役を4回も重ねるのは、武田にとって「最長記録で大冒険。映画版では子役が演じていた役を僕は43歳で演じているぞ!というギャップもにじみ出れば」と笑うが、初演時には苦労したそうだ。「ミュージカルはこの作品が2本目で、しかも1本目は誰もが憧れる、様式美を徹底的に教え込まれた『エリザベート』のトート役。トバイアスはその真逆で、不作法でどちらかというと可愛らしいタイプ。亜門さんに『こんな役やっていたら彼女が出来ない』とまで言い放ちました(笑)。亜門さんは『そうか、困ったね』と笑っていらっしゃいましたが」。虐げられた最下層の役が理解できず「僕の履く靴に、亜門さんが血糊を付けて包帯を巻き、足が壊死したという設定にし、ドブネズミのようなキャラクターを引き出してくれたんです」。幕が開けると、トバイアスが『誰だか分らなかった』と言われ大評判になった。しかし、2回目の公演では足の不自由な設定はなくなった。「こんなもんだと形で演じているように思われたのかもしれない。心で演じなくてはいけないと亜門さんがハードルをさらに上げて下さった。今はもうその設定は僕に任せてくれています」。体を鍛え、その筋肉美でも知られる。「20代で顎関節症になるまで、僕は人より多くのものを与えられ、それだけで表現者として生きていけると思い込んでいた」。しかし、病気を克服するために体を鍛えて「痛みを知る」ことで、今までの自分は「人の痛みを知らない、ただのわがままなヤツだった」と認識したと言う。それは舞台にも通じる。「自分ひとりでは何も生み出せないと思い知った。お客様も含め全体との調和が必要なミュージカルに出会えて本当にラッキーでした」。スウィーニー・トッドは、愛する人を失った痛みから復讐が止められない。トバイアスはその復讐を断ち切る鍵となる。「復讐の連鎖を止めることは大切ですが、幕が閉じた後、事件が全てトバイアスのせいにされてしまうのではないかと気になるんです」。ラストシーンは衝撃的だが、武田は舞台終了後のトバイアスに思いを馳せている。4月14日(木)から5月8日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、5月13日(金)から15日(日)まで大阪・シアターBRAVA!、5月20日(金)から22日(日)まで愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年04月08日世界各国で上演されたフランス発のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が新キャストにより2017年1月から3月まで、東京、大阪で上演が決定した。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』公演情報本作は、2010年に宝塚歌劇団星組が大阪、博多で日本初演。その後、雪組、月組でも上演され、宝塚歌劇団においても大ヒット作品となった。2011年秋には、さきの宝塚歌劇団での上演を成功に導き、日本ミュージカル界を牽引する演出家、小池修一郎により、日本オリジナル本格ミュージカルバージョンを上演。2013年にも再演し、いずれも大ヒットを記録、16万人を動員した。主演のロミオ役は、『エリザベート』での皇太子ルドルフ役やミュージカル『黒執事』で主演を務めた古川雄大が、前回に引き続き出演する。一方Wキャストは、大河ドラマ『花燃ゆ』やNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演中の大野拓朗。ミュージカルへの出演は、2012 年の『エリザベート』以来5年ぶり初主演だ。ジュリエット役には、『虹のプレリュード』や『リボンの騎士』で主役経験のある乃木坂46の生田絵梨花。Wキャストはテレビ番組『全日本歌唱選手権 歌唱王2015』の決勝戦に佐賀県から出場した期待の新人・木下晴香が挑むなど、キャストを一新。新ロミオ、新ジュリエットに対し小池は、「古川雄大君は再挑戦ですが、大作への出演が続いているので、今回は自分なりのロミオ像を完成させてくれるでしょう。 大野拓朗君はミュージカル『エリザベート』の後、4年間、秘かに歌のレッスンを重ねてきたというミュージカルへの情熱がオーディションで感じられ、リベンジのチャンスを勝ち取りました。 生田絵梨花さんはトップアイドルにも関わらず、本格的な音楽の勉強を続けていて、ミュージカル女優としての開花に大いに期待しています。 木下晴香さんは、テレビの歌番組で見て高校生ながら突出した歌唱力と新鮮さに懸けました」とコメント。そのほか、ロミオの親友・ベンヴォーリオ役は馬場徹、矢崎広。マーキューシオ役は平間壮一、小野賢章。敵対するティボルト役には、渡辺大輔、広瀬友祐。死のダンサーには、大貫勇輔、宮尾俊太郎(Kバレエカンパニー)が出演する。若者の情熱と、その純粋さを操る“死”の妖しい美しさ、失われた世界に燃え上がるひとすじの恋を描いた、永遠の感動のミュージカルの新たな歴史が生まれるはず。開幕の日を楽しみに待ちたい。■ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』【東京公演】8月27日(土)チケット発売予定▼2017年1月15日(日)~2月14日(火)赤坂 ACTシアター[問]0570-077-039【大阪公演】10月チケット発売予定▼2017年2月22日(水)~3月5日(日)梅田芸術劇場メインホール[問]06-6377-3800
2016年04月08日1970~80年代に渋谷ジァンジァンで毎月開催されていた「実験落語」が6月、渋谷のCBGKシブゲキ!!で『実験落語neo~シブヤ炎上~』として復活する。『実験落語neo~シブヤ炎上~』チケット情報「実験落語」とは、1978年から86年にかけて三遊亭円丈が主催していた新作落語の会。それまでの新作落語とは一線を画す、現代的なモチーフと言葉を用いながら新たな方法論でネタおろしを行い、代表作『グリコ少年』等を生み出した。その作風は、春風亭昇太、柳家喬太郎など新作を手がける落語家たちに大きな影響を与えたと言われている。復活第1弾には、「実験落語」の創始者・三遊亭円丈とメンバーの林家しん平、そして、かつては立川談志門下で修業を積んだダンカン、俳優でピン芸人としても活動する清水宏、若手講談師・神田松之丞が参加する。公演は6月9日(木)午後7時開演。チケットの一般発売は4月23日(土)午前10時より。なお、チケットぴあでは4月13日(水)午前10時より先行抽選プレリザーブを実施予定。
2016年04月07日現代ミュージカルの巨星、スティーヴン・ソンドハイムの傑作を宮本亜門が演出。市村正親、大竹しのぶという名優の主演で、2007年、2011年、2013年に上演されたブロードウェイ・ミュージカル『スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~』が、4度めの幕を開ける!ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報18世紀末のロンドン、高名な判事に妻子を奪われ、無実の罪を着せられた理髪師が、脱獄をし、名をスウィーニー・トッドと変え、復讐の機会を狙う。その協力者となるのが、ロンドン一まずいと悪評のパイ屋のおかみ、ミセス・ラヴェットだ。トッドの企みを隠しながら、パイ屋も繁盛をする。そのためにふたりが考えだした、とんでもない作戦とは…!?ロンドンに実在したと言われる理髪師に扮するのは、市村正親。「またこの複雑でおもしろい作品で、ソンドハイムの音楽に身を委ねることができる。役者冥利に尽きますね」と、うれしそうに語る。大ベテランの市村も、初演時には、独特の変化の多い曲に苦労したのだとか。「非常に難しいのに、やっているうちに心地よくなる。多彩な変化が、ドラマチックな物語を表していて、まさにソンドハイムのミラクルが体感できる作品なんです」。トッドの残酷な運命を予感させるように、不安げなメロディで幕が開き、物語はスリリングに展開する。血なまぐさいトッドの企みを、ブラックジョークへと変え、コミカルな笑いで盛り上げるのがラヴェット役の大竹しのぶだ。「しのぶちゃんあっての『スウィーニー・トッド』」と市村が言うように、大竹のおかみぶりは、豪快でお茶目。憎しみの炎をたぎらせる市村のトッドと絶品のコンビで、観客をぐいぐいと引っ張っていく。ふたりがカミソリと鉈を手に歌い上げるシーンは、恐ろしくもおかしく、盛り上がりどころのひとつだ。恐怖と笑いが交錯する物語は、ハラハラドキドキの連続で目が離せないと市村。「特に2幕の後半はスピーディで見事です。あり得ない話だけどリアリティもあって、このハラハラドキドキ感は観る甲斐ありですよ」。宮本演出のもと、市村、大竹の巧みなタッグに見事なアンサンブルを添えるのが武田真治、芳本美代子、田代万里生、斉藤暁、安崎求ら個性派の共演者たち。いずれも本作品の出演経験者で、「芝居も歌も確実に深まっています。みんな音符に追われるのではなく、物語の中で生きている感じ」。2007年から10年が経ち、市村はふたりの子どもを持つ父親に。「僕自身も父になって、トッドの妻子を思う気持ちがリアルに体感できるようになりました。トッドは頭では妻と娘を思いながら、手ではすごく残忍なことをやっている。その二面性でお客様がジレンマに陥って、よりハラハラドキドキするような舞台にしたい。今回がファイナルだと思って、悔いのないよう、そしてお客様が喜んで下さるよう、精一杯つとめます」。東京公演は4月14日(木)から5月8日(日)まで東京・東京芸術劇場にて上演。その後、大阪、名古屋を巡演。取材・文:大西美貴
2016年04月07日4月2日福岡・博多座で「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」の福岡公演が開幕。同公演で、主演の市川猿之助が宙乗り通算800回を達成した。【チケット情報はこちら】累計発行部数3億2000万部以上を誇る世界的な人気マンガ『ONE PIECE』と、日本固有の伝統芸能である歌舞伎がコラボレーション。猿之助は主人公のルフィを含む三役を演じ、演出も手がける。今回、公演が行われた博多座は歌舞伎、ミュージカル、宝塚歌劇など様々な種類の演劇上演を設計段階から想定して作られた、全国的にも珍しい演劇専用劇場。開館16年目にして、今年初めて館内リニューアルを実施。舞台照明、音響など舞台まわりも一新。リニューアル記念公演第1弾である『ワンピース』の見どころである“ななめ宙乗り”用の設備も整い、さらに迫力ある舞台演出が期待できる。初日前日には、高島宗一郎福岡市長、出演の市川猿之助、平岳大、博多座の芦塚社長が登壇し、テープカットイベントが開催された。「出演された役者さんにもお褒めの言葉をたくさん頂いてる博多座。今回、座席、音響、照明、舞台装置のリニューアルを行ない、さらに魅力が増したと思う。福岡は海外から含め、たくさんの観光客が増えている街。ぜひ様々な方に来場頂きたい」と高島市長が祝辞を述べれば、「『スーパー歌舞伎座』と私達は呼んでいるくらい、スーパー歌舞伎を上演するのに日本で一番適した劇場。それが更に魅力的になって、なかでも特に音響が素晴らしい。まるで映画館でみているような迫力が味わえると思います。『ワンピース』の最終形態をお観せするにはうってつけの劇場」と市川猿之助も笑顔で受ける。また、大阪公演から同公演に参加したという平岳大は「歌舞伎をする、ということが初めて。化粧や見得の切り方など手取り足取り猿之助さんに教えてもらいました。自分なりに役も練れてきた段階で、大好きな博多でしかもリニューアル初公演で出演させて頂けるのはこの上ない幸せ」と締めくくった。同公演は先に昨年10、11月に東京、今年3月に大阪で上演。東京・新橋演舞場公演は、10万人を超える観客が来場し、連日超満員。大阪・松竹座公演では演出を東京公演から改訂。バージョンアップした早替わり、宙乗り、本水、フライングなどの演出で観客を魅了した。福岡公演は4月26日(火)まで上演。チケット発売中。※高島宗一郎福岡市長の「高」ははしごだか。
2016年04月06日市村正親と大竹しのぶがW主演、宮本亜門が演出を手掛けるブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』の公開稽古が行われた。2007年、2011年、2013年と3度にわたり、市村と大竹がW主演を務めてきた本作だが、今回の2016年度版がこのコンビでは最後となることが市村の口から発表された。ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』チケット情報本作は18世紀のロンドンに実在したという恐怖の理髪師をモデルにした、痛快で悲しい復讐のストーリー。妻と娘と共に幸せに暮らしていた理髪師ベンジャミン・バーカー(市村)は、ある日、妻を横恋慕する判事ターピン(安崎求)に無実の罪を着せられ、流刑に処せられる。15年後、街に戻った彼は、かつての自分の店の1階で今もパイ屋を営むラヴェット夫人(大竹)から、妻が狂死し、娘はターピンの養女になっていることを知らされる。怒りに燃える彼は「スウィーニー・トッド」と名乗り、再び理髪店を開店。ターピンへの復讐の機会を狙いながら、彼の正体を知る人間を次々と殺し、その肉を使ってラヴェット夫人はパイを焼く――。公開稽古で披露されたのは、オープニング曲の『スウィーニー・トッドのバラード』。亡霊たちが「スウィーニー・トッド」とは何者かを歌うナンバーで、その圧倒的なステージに稽古場は一気に不穏な空気に包まれた。公開稽古後の囲み取材には、市村、大竹、宮本が出席。市村が「僕としのぶさんの『スウィーニー・トッド』はファイナルです。うぅ」と泣きまねすると、すかさず宮本が「前回もファイナルって言ってた気がしたけど」とツッコミ。市村は「今回は本当のファイナルです」と断言した。宮本は「ふたりの人生のすごみが役に入り込んできて、だから毎回唸るような作品の濃さになっていく。このふたりが最後っていうのは演出家としても悔しいですよね」と悔やんだ。市村「ドラマはちょっと強烈だけども痛快な爽快感がある話です。亜門ちゃんの演出で、僕としのぶさんとカンパニーで、最高のものをお見せしたい」大竹「音楽も素晴らしいし、怖いだけじゃなくてワクワクして笑えるところもある楽しい作品。劇場という空間の中で、違う世界に連れてってもらえると思います」宮本「大人しかできない、本物が観たい人に観てほしいミュージカルです。特にこのふたりのコンビはこれが最後なので、演劇ファン、ミュージカルファン、映画ファン、劇場に行ったことない人にも必ず観てほしい。すごい瞬間をお届けできると思います」ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』は4月14日(木)から5月8日(日)まで東京・東京芸術劇場にて。その後、大阪、名古屋を巡演。取材・文:中川實穗
2016年04月06日オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』が6月30日(木)より東京・新宿 シアターサンモールで開幕。上演に先がけて、キャスト発表イベントが開催された。【チケット情報はこちら】同作はアメリカで初演され、数々の賞を獲得した人気作。日本では2014年12月に今回と同じく俳優の原田優一が演出を務め初演。今回、新たなキャストを迎え再演される。物語の舞台は全寮制のセント・セシリア高校。平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。いつかは自らを―bare―さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた…。ジェイソン役は鯨井康介、岡田亮輔、ピーター役は、田村良太、橋本真一がダブルキャストでそれぞれ務める。原田は再演を決めたきっかけについて「役者という仕事はさらけ出すという作業が必要だと思うのですが、初演の演出を行ってから1年、自分自身も色々な経験をしたので、そのうえでもう一度この作品と向き合ってみたいなと思いました。あと前回はありがたいことにチケットが取れないという方がいたので、今回再演する事でより大勢の方に見て頂きたいという想いもあります」と説明。初演ではピーター役を務め、今回はジェイソン役に役がわりする岡田について原田は「役者としての線が太くなったと印象を受けたのと、ピーターを経験した後の彼が演じるジェイソンを見てみたいと思ってオファーしました。最初は戸惑っていたようですが、今では堂々とジェイソンを演じていますね」と絶賛。また、ピーター役の橋本はオーディションからこの役を勝ち取ったが、原田は「初めて見た時にピーター発見!と思って、他の方の意見を聞く前に“はい!決まり!”って言いました。この母性をくすぐるような可愛らしさ。母乳が出てくるかと思いました(笑)」とこちらも絶賛。岡田と橋本はそれぞれ意気込みについて「新しいキャストも入って、ワクワクしています。前回とはまた違う、新しい『bare -ベア-』を作っていきたいと思います!」(岡田)。「本格的なミュージカルは初挑戦で、色々プレッシャーや不安もあるのですが、本番では皆さんと肩を並べて堂々と演じられるように頑張ろうと思います」(橋本)と語った。劇中には男性同士のキスシーンがあるが、「女性とのキスシーンは女性を美しく見せようと気を使いますが、男性同士ではそれがないので、よりリアルな気がします」(岡田)と語った。最後に原田は同作について「予習は特に必要ないです。現代の日本で生きる方々がどういう風にメッセージを受け取ってくださるか、というのがこの作品の肝だと思うので。自分自身の殻に気づいたり、人間関係を見直すきっかけになれば良いなと思います」と話した。オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』は7月10日(日)まで、東京・新宿 シアターサンモールで上演。なお、チケットぴあでは先行抽選プレリザーブを4月5日(火)午前11時まで受付中。なお、ぴあでは原田優一のファンクラブを好評受付中。詳しくは下記関連リンクより。
2016年04月01日村井良大、平方元基らが出演する舞台『SHOW ル・リアン』が、3月31日、東京・天王洲 銀河劇場にて開幕する。開幕を目前に控えた30日、舞台稽古が公開された。演出は本間憲一。舞台『SHOW ル・リアン』チケット情報作品は、夜毎ショーが開催されている“ル・リアンの館”に、ひとりの少年・タクミが迷い込んでくることからはじまる。少年とともに、観客も夢の世界に誘われていくような幻想的な雰囲気を纏ったショーだ。披露されるナンバーは『ショーほど素敵な商売はない』(アニーよ銃をとれ)、『Too Darn Hot』(キス・ミー・ケイト)、『All That Jazz』(CHICAGO)といった、スタンダード化しているミュージカルソングの数々。その王道ナンバーを、時にシックに、時にチャーミングに魅せていくのが、村井、平方ら人気若手俳優を中心としたメンバーだ。これまであまりショー作品への出演イメージのない彼らの個性が素敵に光り、なんとも温もりあるステージを作り上げている。村井はストーリーテラー的役割も担いつつ、後半の重要なタップダンスの場面もしっかりと見せ、平方は豊かな歌声を劇場いっぱいに届け、若手ミュージカルスターらしいきらめきを放った。さらにダンサー・大貫勇輔が『SINGIN’ IN THE RAIN』(雨に唄えば)でジーン・ケリーもかくやといったダンスを披露したり、元宝塚トップスター・大空祐飛はジャズのスタンダードナンバー『Stardust』でオーラ全開のディーバの顔を見せたと思えば、真っ赤なミニドレスでキュートなペアダンスを披露したり……と、出演者それぞれの魅力が存分に楽しめるショー。演出を手がける本間が日本を代表するタップダンサーということもあり、タップダンスも重要な要素で、HIDEBOHの印象的なソロ・タップ、出演者全員の迫力のタップも見どころだ。そして本作のテーマ曲の作曲も手がけた14歳の天才ピアニスト、奥田弦の超絶テクニックも必見。郷愁を誘うスタンダードナンバーを繋げ、奇を衒わず丁寧に作り上げたた舞台は、古き良きショー作品の趣きだが、奥田とタクミ役の松本拓海というふたりの少年の存在が、エンターテインメントの未来の輝きを予感させる。ショー作品の原点と未来を同時に体感できる、上質のステージである。公演は4月3日(日)まで同劇場にて。その後、4月5日(火)・6日(水)には大阪・サンケイホールブリーゼでも上演される。
2016年03月31日フランス生まれのポップでセンセーショナルなミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』の開幕が、いよいよ来月に近づいてきた。フランス革命という史実を背景に、革命に燃える市民たちの情熱や、その中に生まれた愛、そして王侯貴族の衰退を描いていく作品。グルーブ感溢れるサウンドと、ファッションショーさながらのカラフルな衣裳などが評判となり、2012年の初演時、フランスを熱狂の渦に巻き込んだ。日本では昨年宝塚歌劇団で初演され、演出も新たに今年、帝国劇場に登場。3月某日、その稽古場を取材した。チケット情報はこちら取材したのは、「武器を持って起ち上がれ」と動き出した主人公ロナンら革命家(市民)たちを、将校・ペイロール(岡幸二郎)が蹴散らさんとするシーンの稽古。動きの激しいダンスナンバーのようだ。中心にいるのは、ペイロールと因縁のあるロナン(小池徹平、加藤和樹のWキャスト)、革命家のロベスピエール(古川雄大)、ダントン(上原理生)、デムーラン(渡辺大輔)。若きミュージカルスターたちが、ものすごい勢いで振付を覚えていく。反発しあう市民と兵士だが、振り上げた足をよけ、相手を飛び越え……といったダンスは、息を合わせないと出来ないもの。そして出来上がるそのシーンは躍動感と迫力に満ち、今までの“帝国劇場ミュージカル”とはひと味違う、フレッシュで力強いものが生まれてきそうだった。おそらく実際の舞台上では、わずか数分のシーンであろう。それを、3時間ほどかけて作り上げていく作業。その積み重ねで出来上がる、新しいミュージカル『1789』の誕生を、楽しみに待ちたい。ほか、出演は神田沙也加・夢咲ねね(Wキャスト)、花總まり・凰稀かなめ(Wキャスト)ら。公演は4月9日(土)・10日(日)のプレビュー公演を経て、4月11日(月)から5月15日(日)まで、東京・帝国劇場にて。その後大阪公演もあり。チケットは発売中。
2016年03月29日映画化もされた、韓国発のロマンチック・コメディ・ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が、日本版として初上演される。わずか3人の俳優が織り成す心温まる本作は、韓国では老若男女問わず愛され、2006年の初演から2014年までロングランを続けた。注目の日本版の出演者は、村井良大、彩吹真央、駒田一。物語は仕事を失い、親からは早く結婚しろと言われている女性が、なんとも頼りなくさえない男性がやっている「初恋探し株式会社」の扉を叩き、ふたりで初恋の人“キム・ジョンウク”を探す旅に出る……というもの。初恋の人“キム・ジョンウク”と“初恋を探してあげる男”の2役を演じる主演男優は村井良大、初恋を忘れられない女性を演じるのが彩吹真央、そしてお父さん・お母さんからインド人まで、実に22役をこなすマルチマンと呼ばれる役を駒田一が演じる。出演する村井は、「この作品のお話をいただいたとき、まず、“ミュージカル”、“三人芝居”、“ひとり2役、22役(!!)”……「なにそれ、すごく面白そう!」って思ったんです。作品のアウトラインだけでこんなにワクワクできるってスゴイですよね。きっと3人だけだからこその密な芝居作りができるんだろうと思います。ラブコメも好きなジャンル。これまでにもラブコメの要素のある作品には出演してきましたが、ここまでの“ザッツラブコメ”はないので、新しい自分を見てもらえれば」とコメントしている。公演は6月12日(日)から26日(日)まで東京・よみうり大手町ホール、6月29日(水)・30日(木)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケットは明日、3月26日(土)10:00に一般発売を開始する。なお、尚、東京・平日夜公演に限り、お得な当日引換券(ミュージカルgogo ticket-5500円)もあり。
2016年03月25日宝塚歌劇団星組公演のミュージカル『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』とショー『THE ENTERTAINER!』が、3月18日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。本公演は第102期初舞台生のお披露目公演でもあり、幕開きには羽織袴姿で口上を行い、ショーではラインダンスを披露した。宝塚歌劇星組『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』/『THE ENTERTAINER!』のチケット情報『こうもり』は、ヨハン・シュトラウス二世の傑作オペレッタ『こうもり』をミュージカル化したもので、笑いがたっぷり散りばめられた大人の喜劇だ。ある夜、友人のアイゼンシュタイン侯爵と共に仮装舞踏会へ出かけた、高名な物理学者・ファルケ博士。美酒に溺れ、酔いがまわった彼らは飲み明かす約束をするが、侯爵は迎えにやってきた執事アルフレードから、妻が鬼の形相で帰りを待っていることを聞かされ、我に返る。妻が怖くて帰宅すると言いにくい侯爵は、こうもりの扮装をしたままの博士を公園のニケ像に縛り付けて置き去りに。翌朝目覚めた博士は“こうもり博士”と笑われて怒りが収まらず、侯爵に仕返しをすることに…。いたずらを仕掛けていくファルケ博士を演じるのはトップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)。歌、ダンス、芝居と3拍子揃った北翔は、クラシックの発声を使いながら、聴き心地のいい温かみのある歌声で歌いこなす。そしてこの笑いたっぷりの喜劇で魅力を発揮したのが、アイゼンシュタイン侯爵役の紅ゆずるだ。博士にいたずらされているとは気づかず、翻弄される姿をコミカルに演じ、楽しませてくれる。侯爵家に仕えるメイド役を務めるトップ娘役の妃海風(ひなみ・ふう)も、高音域の歌を安定した歌唱力で歌い届ける。ファルケ博士との恋模様も宝塚らしいアレンジとして取り入れられ、見どころのひとつとなっている。さらに、専科から参加の星条海斗(せいじょう・かいと)が、ロシア皇太子オルロフスキー侯爵役を務め、芸達者な演技で笑いを誘い、歌唱力の高さでも魅せる。第二幕のショーでは、北翔を中心とした星組のメンバーがそれぞれに“エンターテイナー”ぶりを発揮。シルクハットにケーン、羽根扇を持つ王道スタイルで、幕開けから観客を宝塚らしいショータイムに引き込んでいく。他にも、北翔扮するエンターテイナーになりたい男の子が、どんどん成長していく過程をショーで表すストーリー性のあるシーン、ラテンの中詰め、セリと盆を使って100人以上で魅せる壮大なシーン、北翔がピアノで弾き語るシーンなど、盛りだくさんで展開。両作共に、個性あふれる星組の魅力が余すところなく引き出されたステージになっている。兵庫・宝塚大劇場公演は4月25日(月)まで。また、5月13日(金)から6月19日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。取材・文:黒石悦子
2016年03月25日2009年にバレリーナを引退し、女優として活躍する草刈民代がミュージカル『グランドホテル』に出演する。役柄は、引退間際で踊ることに自信を失いつつあるバレエ界のスター。草刈に役への思いや、バレエ人生で得たことなどについて語ってもらった。ミュージカル「グランドホテル」チケット情報『グランドホテル』は、1920年代のベルリンの同名ホテルを舞台に、草刈演じるバレリーナのグルシンスカヤをはじめ、借金の取り立てから逃げる男爵ら、人生の分岐点に立った人々が交差する物語だ。かつて劇場を満杯にしていたグルシンスカヤは、今は客席を埋められず、踊りに対する情熱も薄れてきた。「踊るか踊らないかと悩むのは昔の私と重なり合う。踊れなくなったときの葛藤や揺れを受け止めるのは大変でした。そこは経験を生かしてリアルに演じたいですね」。彼女は絶望の淵にいるものの、伊礼彼方演じる男爵と恋に落ちる。「作品は、バレリーナをはじめとする芸術家の危うさを象徴的に描いている。挫折していても、恋することによってその挫折感を忘れる。彼女にとって恋することは大きくて、希望を見つけ新たな一歩を踏み出そうとするんです」英国の若手演出家トム・サザーランドの手による今作は、出演者が「RED」と「GREEN」に分かれ、それぞれ異なった結末が描かれる。「今回は全く違うバージョンとなるようです。そこに、サザーランドさんの旺盛な想像力や発想力のエネルギーを感じました。私は「RED」チームですが、別のチームを気にせず、自分の役を深められますし、ふたつの作品を作ること自体にキャスト全員が刺激を受けているのではないでしょうか」。グルシンスカヤがどんな決断を下すかは見てのお楽しみだ。草刈自身、引退後はバレエを踊ることはないそうだが、今回彼女の踊りに期待している観客も多いだろう。「久しぶりにトゥシューズを履きます。この物語はホテル内での出来事が展開していくので、バレエを踊るシーンはありませんが、舞台裏でのバレリーナの表情をリアルにお見せしたいと思っています」。ミュージカルは今作で2回目の出演だ。「『こういう役やりませんか?』とオファーがあったら、何でもやります!と即答です(笑)。失敗したら、恥をかいたらどうしよう、とか考えない方かもしれません」。その心意気はバレリーナの経験がものをいっている。「踊っていたときに学んだのは後に引きずらないこと。海外のバレエ団との共演でそれを身に着けていったのかもしれません。主役を踊っている以上は、周りの人に中途半端な姿を見せることはできませんでしたから。かつて大バレリーナであった方々からも教えていただいた経験がありますが、皆さん腹の据わり方が半端ではなかったです。そこまでは及びませんが、何でも前向きにできれば一番だと思います」公演は、4月9日(土)から24日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、4月27日(水)・28日(木)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、5月5日(木・祝)から8日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年03月25日2014年に10周年を迎えたアイリッシュ・ダンスの世界最高峰、トリニティ・アイリッシュ・ダンス(以下トリニティ)。アメリカを代表するダンサーで、振付師&舞台演出家でもあるマーク・ハワードが主宰する団体で、様々な舞踏や音楽を融合したプログレッシヴ・アイリッシュ・ダンスを創造している。メンバーには、世界チャンピオンを含むダンサーや、才能溢れるミュージシャン&スタッフなどが集結。世界中でセンセーションを巻き起こしていることは周知の通りだ。トリニティ・アイリッシュ・ダンス チケット情報そんな彼らが、今年7月に2年ぶり6度目の来日公演を開催。それに先駆けて、3月17日に、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで記者会見が行われた。登壇者は、トリニティ注目の若手、コートニー・ディアンジェロ。北アメリカ選手権大会3位、全アイルランド選手権大会3位などに輝いた実力派で、現在19歳。プライヴェートでは、名門オハイオ州立大学にも通う才媛だ。この日の会見には、当公演の応援隊長を務めるプロフィギュア・スケーターの鈴木明子と共に登場した。冒頭は、企画元テンポプリモの中村聡武 代表取締役による挨拶。トリニティの歴史や魅力をわかりやすく説明した後、ディアンジェロを紹介して、壇上に招き入れた。鮮やかな緑色の伝統衣装に身を包んだ彼女は、さっそくアイリッシュ・ダンスのパフォーマンスを披露。ゆったりとしたアイルランド民謡に乗せて、その曲想とは対照的な切れ味鋭い足技と跳躍で、我々報道陣を魅了した。この約2分の演技が終わると、応援隊長の鈴木が登壇。彼女は、バンクーバー五輪のショート・プログラムでアイルランド音楽(「ファイヤーダンス」)を使用したこともあり、その魅力を、「私はアイルランド音楽のバグパイプが大好き。あの独特の音色とリズム感は、生命が躍動しているようで心に響くんです」と説明。また、同じ踊り手としての観点から、ディアンジェロのダイナミックで洗練された演技を絶賛し、質問でも練習方法などに言及。それに対しディアンジェロからは、ヨガやランニングも取り入れた毎日2~3時間の練習や、翌週に世界選手権を控えていることなどが詳細に語られた。今回の来日公演では、世界選手権3連覇のピーター・デジャークら、総勢25名が出演。中でも注目は、「リバー・ダンス」のプリンシパルを務めたコリン・ダンが振付&共同制作した新作「Listen!」だ。他にも、2014年の世界選手権(20~21歳の部)で第1位に輝いたアリー・ダウティさんの出演や、今回のメイン・プログラムである「ブラック・ローズ」など、見どころが多い公演になりそうだ。東京公演は7月8日(金)・9日(土)オーチャードホールにて。その他、全国を巡演。取材・文:渡辺謙太郎
2016年03月23日2014年に10周年を迎えたアイリッシュ・ダンスの世界最高峰、トリニティ・アイリッシュ・ダンス(以下トリニティ)。アメリカを代表するダンサーで、振付師&舞台演出家でもあるマーク・ハワードが主宰する団体で、様々な舞踏や音楽を融合したプログレッシヴ・アイリッシュ・ダンスを創造している。メンバーには、世界チャンピオンを含むダンサーや、才能溢れるミュージシャン&スタッフなどが集結。世界中でセンセーションを巻き起こしていることは周知の通りだ。トリニティ・アイリッシュ・ダンス チケット情報そんな彼らが、今年7月に2年ぶり6度目の来日公演を開催。それに先駆けて、3月17日に、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで記者会見が行われた。登壇者は、トリニティ注目の若手、コートニー・ディアンジェロ。北アメリカ選手権大会3位、全アイルランド選手権大会3位などに輝いた実力派で、現在19歳。プライヴェートでは、名門オハイオ州立大学にも通う才媛だ。この日の会見には、当公演の応援隊長を務めるプロフィギュア・スケーターの鈴木明子と共に登場した。冒頭は、企画元テンポプリモの中村聡武 代表取締役による挨拶。トリニティの歴史や魅力をわかりやすく説明した後、ディアンジェロを紹介して、壇上に招き入れた。鮮やかな緑色の伝統衣装に身を包んだ彼女は、さっそくアイリッシュ・ダンスのパフォーマンスを披露。ゆったりとしたアイルランド民謡に乗せて、その曲想とは対照的な切れ味鋭い足技と跳躍で、我々報道陣を魅了した。この約2分の演技が終わると、応援隊長の鈴木が登壇。彼女は、バンクーバー五輪のショート・プログラムでアイルランド音楽(「ファイヤーダンス」)を使用したこともあり、その魅力を、「私はアイルランド音楽のバグパイプが大好き。あの独特の音色とリズム感は、生命が躍動しているようで心に響くんです」と説明。また、同じ踊り手としての観点から、ディアンジェロのダイナミックで洗練された演技を絶賛し、質問でも練習方法などに言及。それに対しディアンジェロからは、ヨガやランニングも取り入れた毎日2~3時間の練習や、翌週に世界選手権を控えていることなどが詳細に語られた。今回の来日公演では、世界選手権3連覇のピーター・デジャークら、総勢25名が出演。中でも注目は、「リバー・ダンス」のプリンシパルを務めたコリン・ダンが振付&共同制作した新作「Listen!」だ。他にも、2014年の世界選手権(20~21歳の部)で第1位に輝いたアリー・ダウティさんの出演や、今回のメイン・プログラムである「ブラック・ローズ」など、見どころが多い公演になりそうだ。東京公演は7月8日(金)・9日(土)オーチャードホールにて。その他、全国を巡演。取材・文:渡辺謙太郎
2016年03月23日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見出し、現代への再創造を試みる太鼓芸能集団「鼓童」。1981年にベルリン芸術祭でデビューし、以来47か国5,600回を越える公演を行ない、今年35周年を迎える。鼓童 公演情報その鼓童がこの夏に上演するふたつの作品について、鼓童代表・船橋裕一郎と中込健太、『若い夏』の演出を担当する前田剛史に話を聞いた。鼓童創立35周年を記念し、8月18日(木)~20日(土)に東京・サントリーホールで上演する『鼓童創立35 周年記念コンサート』。指揮者・下野竜也と新日本フィルハーモニー交響楽団を招いた「第一夜 ~出逢い~」、芸術監督・坂東玉三郎との出会いによる舞台創造を展観できる「第二夜 ~螺旋~」、坂東玉三郎作曲の楽曲による鼓童の演奏会、Dance×男子新体操のプロ集団・BLUE TOKYO、ダンスカンパニー・DAZZLEとのコラボレーションでおくる「第三夜 ~飛翔~」という三夜連続の特別なプログラムだ。第一夜の演目は「1976年から演奏してきた『モノプリズム』や新作2曲も演奏します。僕自身、初めてオーケストラと演奏したときは違和感がありましたが、その違和感から溶け合う瞬間が味わえると思います」(船橋)第二夜は、歌舞伎俳優・坂東玉三郎が芸術監督に就任して約4年となるが「玉三郎さんが芸術監督になられてから新しい作品をどんどん発表していったので、その中で生まれた楽曲を新しい演出でまた構築して、ここ数年の鼓童の変遷が見えるような内容になると思います。(玉三郎さんは)前日まで構成を変えていくのでそういう姿勢やこだわりは勉強になりますね」(中込)第三夜のコラボレーションは「2年前に共演したとき、終わった瞬間に『もう一度やろう!』と話しました。(一緒に)新たな曲にもチャレンジしたくなって、次に進みたいなと思える出会いでしたね」(船橋)7月1日(金)~3日(日)に東京・浅草公会堂で上演する鼓童浅草特別公演『若い夏』は、若手メンバーが主になった公演。演出を担う前田は「昨年まで玉三郎さんが演出されていた公演を、若手で演出のキャリアも浅い自分がやらせていただくことになったときに、単純に自分がやりたいことを表現するだけではだめなんじゃないかなと考えました。今回は若いメンバーが集まるので、『自分たちは前には進んでいるけど、後ろを知らないのではないか、だから知ってみよう』と一度全部を見直し、この先僕たち若手が大切にすべきものをみんなで考えて作っていきたいです」と意気込みを語った。「この節目の年に、過去を振り返りつつも今出せる一番いい音を出していきたいなと思います。太鼓って生音で体で感じるのが一番なので、ぜひ観に来てください」(船橋)取材・文:中川實穗
2016年03月22日