私たちの脳も内蔵の一部。栄養が足りていなければ、脳を構成する神経細胞のクオリティも劣化して、結果として老化も進んでしまいます。脳の老化を防ぐために気をつけてほしい食習慣のポイントはたくさんありますが、特に大事なのは「血糖値を上げない」「脳をサビつかせない」のふたつ。血糖値を上げない糖質の摂りすぎは確実に老化を進めます。糖質とは、ご存知の通りブドウ糖や果糖などのこと。似たような意味の言葉に「炭水化物」がありますが、これは一般的に糖質と食物繊維が組み合わさったものを指します。芋などの根菜類に含まれる「でんぷん」は、ブドウ糖がたくさん集まったもの。でんぷんは甘くありませんが、体内で消化されるとブドウ糖になります。このようなブドウ糖や炭水化物、デンプンは、消化吸収されると血液中に入り、血糖値を上昇させます。糖質はエネルギーを効率よく生み出してくれますが、ジュースやお菓子をはじめ、パンや麺類、ケチャップやソースなど調味料に至るまで、糖質を含む食品があふれている現代の生活では、気をつけないとすぐ摂りすぎになってしまいます。糖化が引き起こされる糖質が脳の老化のために良くない理由のひとつめが、「糖化」という現象を引き起こすこと。糖化は糖質がタンパク質と結合する現象です。体を構成する主要な成分であるタンパク質が糖と結合すると、本来タンパク質がもっている機能が失われてしまいます。たとえば肌のシワやシミ。これも糖化が関連しています。糖化の影響は肌だけではなく血管、目、骨、神経と広範囲に渡ります。そのため、糖化を防ぐことが老化予防の第一歩といっても過言ではありません。なお、血糖が高くなればなるほど、また血糖が高い時間が長いほど糖化が起こりやすくなります。インスリンが過剰に分泌される糖質の摂りすぎによるふたつめの問題が、高血糖によってインスリンというホルモンが出すぎるということです。インスリンは血糖を下げるホルモンですが、実は加齢を進めてしまうという働きもあります。実際、インスリンが低い人の方が長生きであるということがわかっています。また、インスリンが出すぎていると徐々に効きが悪くなり、血糖が下がりにくくなってしまう「インスリン抵抗性」という問題が現れます。「糖は脳のエネルギーだからいいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、血糖値が高い状態が続くと、神経細胞がまるで「もうこれ以上糖はいらないよ」と言うかのように、糖があっても使わなく(使えなく)なってしまうのです。基本的に糖がなければエネルギーが作れず神経細胞は働けませんから、結果として脳の老化につながります。脳のシミが増える糖による3つめの理由は、脳のシミである「アミロイドβ」という物質も増やしてしまうということ。分泌されたインスリンは、最終的に「インスリン分解酵素」によって分解されますが、じつはこのインスリン分解酵素にはアミロイドβを分解する働きもあります。インスリンが出すぎていると、インスリン分解酵素が余らないので、アミロイドβが分解されずに溜まってしまうのです。脳をサビつかせない鉄が酸素とくっつくと、サビて脆くなってしまいます。これを「酸化」と言いますが、同じように、私たちの体の中でも酸化が起きています。多くの生物は空気中の酸素を取り込んでエネルギーを作っています。一方、その過程において「活性酸素」というより強力な酸素の仲間が生まれています。また、ストレスや大気汚染物質・タバコ・微生物・紫外線など活性酸素を増やしてしまう要因が私たちの身の回りには溢れています。体内には活性酸素を無害化するメカニズムが備わっていますが、活性酸素の量があまりにも増えたり、栄養不足などでこのメカニズムがうまく働かなかったりすると、活性酸素による「酸化」が進んでしまうというわけです。脳は大量に酸素を必要とするにも関わらず、じつは酸化に弱い臓器です。活性酸素が多くなると酸化が進み、脳のシミも増えていくことが知られています。脳をサビつかせないことも脳の老化を防ぐために非常に重要な要素なのです。脳の老化を防ぐ食事糖質入りのものを口にしないまずは血糖を急激に上げないように気をつけましょう。何はともあれ、砂糖やブドウ糖、ブドウ糖果糖液糖など、糖質が入っている食品や飲み物を口にしないようにすること。これらは生命維持に必要のない、あくまで「おやつ」です。おやつは食べなくても死にませんので大丈夫。炭水化物を減らす次に、ご飯やパン、麺類などの炭水化物を減らすこと。これらは「主食」とされていますが、これからは炭水化物を「デザート」、おかずが「主食」と考えを切り替えてください。炭水化物だけで食事を済ませるのはやめましょう。また、同じ炭水化物でも生成された白米や小麦よりは発芽玄米や雑穀、全粒粉などが◎。栄養価が高く、血糖値も上がりにくいのでおすすめです。毎食タンパク質を摂取する1日に必要なカロリーは、タンパク質と脂質で補いましょう。タンパク質を多く含む食品である卵・魚・豆・肉などは、できるだけ毎食食べて。目標は体重1kgあたり1gです。体重50kgの人が1日に必要なタンパク質を卵だけで摂取する場合は8〜9個ほどが目安です。実際にはいろいろな食品にタンパク質が含まれているので、こんなに卵を食べる必要はありませんが、案外足りていない栄養がタンパク質です。太ることを気にする人がいますが、一番体重を増やすのは糖質です。余った糖質が中性脂肪に変わり、体に蓄積されてしまうのです。一方、タンパク質は糖質に比べるとほとんど血糖を上げません。安心して食べてください。油はエキストラヴァージンオリーブオイルを脂質に関しては、オリーブオイル、特にエキストラヴァージンオリーブオイルを脳の老化を防ぐ観点からおすすめしたいです。脂質の多いアボカド、ナッツ類も栄養豊富で認知症予防に良いので日々の食生活に取り入れましょう。食物繊維をたっぷり摂る葉物野菜や海藻、きのこなど、食物繊維を豊富に含む食品を食事の最初に摂るように心がけてください。食物繊維を先にお腹に入れておくことで、血糖が上がりにくくなります。食物繊維をとる目安は1日あたり約20gとされています。一見少なそうですが、国民健康・栄養調査の結果、多くの日本人はこの基準も達成できていないことがわかりました。実はごぼう1本食べたとしても、食物繊維としては約10g。意外と多くありません。抗酸化物質をたくさん摂る脳をサビつかせないためには、なんといってもビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のある必須栄養素、野菜の皮の部分に多いポリフェノール、魚やアマニ油などに多いオメガ3脂肪酸など、酸化を抑える「抗酸化物質」を含む食品をたくさんとること。抗酸化物質は加熱すると減ってしまうので、加熱する時は煮る、炊く、蒸すなどの料理にするようにして、揚げ物は避けるようにしましょう。油を加熱して使いたいときは、酸化しにくいオリーブオイル、ココナッツオイル、バター、ラードなどを使用します。食事のスタイルでいうと、イタリア料理のような「地中海食」、または「和食」がおすすめです。脳の老化を防ぐ食事のコツをできるところから取り入れ、いつまでも若々しい脳と一生続く健康を手に入れましょう。
2018年07月03日2人目、3人目…と下にきょうだいができると、遊んだり食事をしたり、ふとした瞬間に「上の子と違うかも?」と思うことはありませんか? 上の子は真面目、下の子は自由奔放など、幼児や小学生になる頃には、きょうだいの性格の差もはっきり。なぜ、同じ親から生まれ、同じ屋根の下で暮らしているのに、きょうだいで性格はこうも異なるのでしょうか? きょうだいと一緒に育つ子どもの脳内では、どんなことが起こっているのでしょうか?脳研究者でご自身も子育て真っ最中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■きょうだいの性格「先天的な違い」はごくわずか!?―― 同じ環境で過ごしているのに「きょうだいで性格が違う」と感じるママパパは多いようです。それはどうしてなのでしょうか? 生まれ順も影響していますか?池谷裕二先生(以下、池谷先生): 生まれ順による心理的な影響は確かにあるでしょうね。でも、科学の目から見ると、きょうだいの性格にほとんど違いはないはずです。同じ親から生まれたきょうだいであれば、遺伝子も半分は同じですから。―― そうなんですか!? わかるような、わからないような…。池谷先生:きょうだいといえども、半分の遺伝子は同じですが、もう半分は違うわけです。きょうだいで片方だけが身長が高いなど、身体的な特徴と同じように、性格がまるで違うケースも中にはあります。でも、周りにいるきょうだいのお子さんたちを思い浮かべてみてください。顔や体つきなどの外見が似ていることのほうが多いですよね? それなのに、どうして性格だけがまったく異なるといえるのでしょう? 性格を作り出している脳も体の一部ですから、本来はそっくりのはずなのです。二卵性の双子にも同じことがいえます。 ■脳が「子どもの違い」をあえて見いだそうとしている―― なるほど。では多くの親が「うちの子たちは本当に性格が違うのよね」と感じてしまうのはどうしてなのでしょうか?池谷先生:それは、脳の元来の目的が「差分検出器」だからだと思います。「差分検出器」とは共通しているものではなく、違いを見いだすこと。脳にはそういうクセがあるのです。極端ですが、カエルを例にあげてみましょう。カエルには止まっているものはよく見えていません。動くものが小さければ虫だと思って舌を出し、大きければヘビだと思って逃げます。ヒトも視界の片隅で動くもの、すなわち違いがあれば、それを見ようとしますよね。「違いを見いだす」という意味では、人もカエルも同じなんです(笑)。―― なんと、カエルと同じとは…! 衝撃が走りました。池谷先生:さらにいうと、脳は違いを細分化しようとするんですね。ライオンから見れば、ヒトは全部同じですよね。でも、人間はそうは思わない。日本に住む私たちからすればアメリカ人と日本人は違うし、韓国人と日本人も外見は異なります。もっといってしまえば、隣の子とわが子は違いますよね。そうやって細かいところにどんどん目がいくように脳はできているので、きょうだいの違いばかりに目が向くのです。本来の違いはごく一部であって、共通していることのほうが多いはずなのに。■「性格が正反対」と感じるのは子どもをよく見ている証拠―― 違いばかりに目がいくようにできているとは驚きました!池谷先生:きょうだいの性格を正反対に感じるというのは、親としてお子さんたちをよく見ている証拠ともいえます。毎日頑張って子育てしているからこそ、見えてくるものですね。ただ、気をつけてほしいのは、違いを見つけることが「アラ探し」になってしまうこと。例えば、出かけるときに上の子はさっさと用意するのに、下の子はマイペースで時間がかかるなど、きょうだいを見比べると、人はどうしても悪いほうに目がいきがちです。「弟はできているのにどうしてあなたはできないの?」などと、きょうだい間での差別に結びつけないよう、その点だけは注意してほしいなと思います。
2018年06月06日「いつまでも若くキレイでありたい」「年を重ねても魅力的な人間でありたい」といったポジティブな気持ちは、脳が生み出しているものです。脳が健康で若いからこそ、現状維持にとどまらず、より向上していきたいという気持ちが生まれます。脳の老化が進むにつれて、そのような気持ちは失われていき、考え方もネガティブになりやすくなります。脳の若さと健康を保つために必要なのは、普段の生活におけるちょっとした心がけの積み重ねです。中でもとくに大事なのは、(1)脳をしっかり休ませる、(2)脳に良い栄養を補給すること。今回の記事では、脳をしっかり休ませるための具体的な方法をお伝えします。■PCやスマホを使わない時間を作るパソコンや携帯電話やスマホなど、インターネットを介して情報をやりとりする技術が発達した結果、私たちが毎日処理しなければならない情報は、昔と比べて圧倒的に増えています。たとえば、ポケベルが現れる前の時代は、遠くの人とやりとりする手段は手紙か電固定電話くらいしかありませんでした。空いた時間は本や雑誌を読んだり、CDやカセットで音楽を聴いたりするくらいしかできなかったので、リアルタイムで得られる情報は有限でした。必然的に何もできず、ぼんやりと頭を休める時間を取ることができていたのです。現在では、ほとんどの人が自分の携帯電話を持っています。どこにいても遠くの人と話をすることができ、メッセージや写真を送り合い、インターネットから無限に情報を得ることができます。■ネットを見るだけで脳は疲れる私たちがネットの情報を眺めているとき、脳は何もしていないわけではありません。目に入る情報が自分にとって有用なのか、絶え間ない判断を強いられ、知らない間に脳に疲れが溜まっています。脳は筋肉と同じように、使い続けると当然疲れてきます。同じ作業を続けていればなおさらです。脳を酷使していると神経細胞内に活性酸素が発生し、細胞が傷つき、脳の老化につながっていきます。体力と同様、1日の意志の力には限りがあり、何かをすれば少しずつ減っていきます。スマホやPCを使う時間が増えた結果、本当にしたいことができなくなってしまっているかもしれません。あらゆることがスマホでできるようになってきた現代だからこそ、あえてそれから離れる時間を作ることが重要です。■仮眠をとる頭を休ませるにはなんといっても睡眠が一番です。仕事中に寝ることは難しいですが、ランチタイムに10分だけでも目を閉じてみてはいかがでしょうか。目を閉じるだけでも頭を休めることができます。やってみるとわかりますが、10分というのは意外と長い時間です。憧れのリゾート地など、リラックスできる風景を思い浮かべながらのんびり過ごしてみるのがおすすめです。実は1日10分の昼寝をする習慣がある人は、認知症になりにくいという報告もあります。午後3時までなら夜の睡眠には響きません。仕事のパフォーマンスを上げるためにも仮眠の習慣はおすすめです。ただし、ぐっすり眠り過ぎないこと。熟睡すると脳が働くようになるまでしばらく時間がかかってしまいますし、夜の睡眠にも響きます。仮眠をとる時間は30分以内にとどめておくと良いでしょう。■体を動かす「運動」というときついイメージがあり、言葉を聞いただけでも拒絶感がある人が多いですが、全身から汗を書くほどしっかり体を動かさなくても構いません。ラジオ体操のように誰でもできるような動きであっても、筋肉を動かすことによって脳が刺激されます。脳に流れる血液の量も増え、酸素と栄養が運ばれて脳の疲労回復に役立ちます。時間があるときは、少し近所を散歩してみましょう。特に自然が多いところを歩くと、草木の緑による視覚効果と、自然の中に多い超高周波という音の成分によって、より高いリラックス効果が得られます。■瞑想する現代では処理しなくてはいけない情報が多いため、ひとつのことに集中し続けることが難しくなっています。瞑想とは、「今、この瞬間に意識を集中する」こと。瞑想をすることによって集中力が鍛えられ、注意力が散漫になることによって起こる「もの忘れ」も改善できます。瞑想といっても、座禅を組む必要はありません。椅子に座ったまま安定した姿勢で目を閉じて、呼吸をすることに意識を向けるだけも瞑想になります。ゆっくりと呼吸を続け、空気の流れを観察しましょう。私たちは無意識に過去にあった辛い記憶や、未来に対する漠然とした不安について考えていますが、瞑想中は今に意識を向けることによって、ネガティブな感情を減らすことができます。1日10分を目指して実行するとよいですが、最初は2分くらいからでも構いません。毎日の瞑想を習慣にしましょう。■好きなことをする時間を作る忙しいからといって好きなことを我慢し続けていると、「ときめく気持ち」や「自分にとって新しいものに対する好奇心」が失われてしまいます。毎日少しでもいいので自分が本当にしたいことをする時間を作りましょう。時には心の赴くままに、自由に行動することも必要です。それが明日への活力となり、脳の若さと健康を保つことになります。
2018年06月01日子どもが友だちと遊べるようになると気になり始めるのが、わが子や周りの子の性格。観察していると「おとなしく友だちと遊んでいる」のは女の子が多いと思ったことはありませんか? 一方で「走り回ってやんちゃばかりする」と思えるのは男の子が多いかも!?ママ友や保育園・幼稚園の先生からも言われると、ますます気になりますよね。そもそも、子どもの頃から男女の性格に差はあるのでしょうか? 脳研究者の池谷裕二先生に教えていただきました。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■「男の子はやんちゃ、女の子はおとなしい」周囲の大人が決めつけている!?―― 今回は「男女の性格に差があるか」についてです。男の子らしさ、女の子らしさというのは生まれつきあるのでしょうか?池谷裕二先生(以下、池谷先生):生物学的に見ると、性成熟する前の9歳くらいまでの男女には、性格の差がほとんどないといわれています。でも、自分の子や周りの子を見渡してあらためて考えてみても、やはりそうは思えない時がありますよね。かくいう私自身もその一人です(笑)。「確証バイアス」がかかっているのではないでしょうか。「確証バイアス」とは、自分の考えに合うものについては取り入れ、合わないものは無視してしまう傾向で、多かれ少なかれ誰にでもあることです。「男の子はやんちゃ、女の子はおとなしい」と考える人だったら、それに合う子ばかりを見ようとしてしまう。つまり、「見る側の問題」ともいえます。―― 自分側に男女差のフィルターがかかってしまっているということなんですね。池谷先生:そうですね。例えば、女の子がやんちゃをしてテーブルの上に乗ったら、周囲の大人はあわてて止めようとしますが、男の子だったらどうでしょう。もしかしたら、「もうやんちゃなんだから」と危険がなければ放っておく人もいるかもしれません。人生経験わずか数年でも、親や周囲の大人が男女の差があるような接し方をしていると、自然と子どもにも伝わっていくものです。言葉だけでなく、無意識のうちにそういう環境を作り上げているかもしれませんね。男女の性格の差を感じる理由として、環境による影響は大きいと思います。 ■親の与える環境が男の子らしさ・女の子らしさを作っている!?―― なるほど。環境を作り上げているとはどういうことでしょうか?池谷先生:例えば、男の子の親が「男の子=乗り物好き」と思い込んで、積極的に乗り物の絵本を買い与えることはありませんか? でも、女の子の親だったら、子どもが乗り物に興味を示していても、「そっか、好きなんだね」と受け流してしまうかもしれません。一方でプリンセスに興味を示したら「やっぱり好きなんだね」と積極的にテレビ番組を見せる人もいるでしょう。―― すごく思い当たります(笑)。洋服も女の子らしい色やデザインのものを選ぶことがあります。池谷先生:まさしく。そういう環境を作り出していくことを「ニッチ構築」といいます。それもあってか、海外の研究でお見合いサイトの写真を調べたら、特に指定はしていないのに、女性は上からのアングルで従順そうなイメージに、男性は下からのアングルで強そうなイメージに撮影されたものが多い傾向にありました。■外見だけではない「親から子へ性格も遺伝する」―― 子どものころから親や社会の影響を受けてきたということですね。池谷先生:そうですね。ただ、各ご家庭の方針もあるでしょうから、一概に男の子らしさ・女の子らしさがあるのを良い悪いとは言えません。―― 「うちは男の子なのにすごくおとなしくて…」と気にするママもたまに見かけます。池谷先生:もしかしたら、親のどちらかが子どもの頃、そうだったのかもしれません。外見だけではなく性格にも遺伝はありますからね。昔はおとなしかったけど大人になって社交的な性格に変わって、親自身が忘れてしまっている可能性もあります。男の子らしく育てたければそういう環境を与えればいいのでしょうが、その子の個性を尊重してあげてもいいのかなと思いますね。―― 「女の子のほうがしっかりしている」といわれることもありますよね。それも大人側の思い込みでしょうか。池谷先生:たしかに私自身も女の子のほうがしっかりしているように感じます。ただし、厳密に科学的な見地からは、それが真実かはわかりませんが、そう感じてしまうのは見る側のフィルターと環境によるところが大きいと思いますよ。
2018年05月29日赤ちゃんが生まれると、育児に家事に奔走するママたち。悪気がないのはわかるけれども、そこに追い打ちをかけるのが、夫の行動ですね。「子どもを早く寝かせたいのに、仕事から帰ってくるなりテレビをつけてしまう」「家事をしたいのに、子どもの面倒を見てくれずスマホばかり見ている」などママたちのイライラは募る一方…。つい文句を言ってしまって夫婦げんかになることはありませんか?子どもが生まれる前はけんかをしない仲良し夫婦だったのに、なぜ産後はけんかが増えるのでしょうか? 脳研究者で自身も子育て中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■育児で脳がスタミナ切れ!? ママの脳内で起きていたのは…―― 仲の良かった夫婦が、産後、急にけんかが増えたという話を聞きます。なぜそのようなことが起きるのでしょうか?池谷裕二先生(以下、池谷先生):まず、考えられることとして、脳の「自我消耗」があります。自我消耗とは何かひとつのことにパワーを費やすと、別のことにパワーを使えなくなることを指します。言い換えれば、「精神力のスタミナ」を使い果たしてしまうこと。ママたちは初めての育児だと特に精神面での負担が大きく、育児で精神力が尽きてしまった結果、夫婦関係にまで気が回らなくなってしまっているのではないでしょうか。―― たしかに、一日の生活の中で子ども優先に考えるようになるので、夫のことはつい後回しにということはあるかもしれません。池谷先生:自我消耗は産後に限った話ではなく、あらゆる人に起こります。たとえば、気力の充実している午前よりも、疲れの出てくる午後のほうが、人はウソをつきやすくなる傾向にあります。海外旅行でお金をドーンと使ってしまうのもそう。初めての場所で極度の緊張状態からそうなってしまうのです。「対ストレス」という意味では、一般的に人生経験が少なく若い人ほど自我消耗しやすいといわれています。多くのママがそれに当てはまり自我消耗しやすいため、けんかが多くなると言えるでしょう。■産後のイライラ、実は「子どもを守るため」―― よく聞かれるのが、産後のママはホルモンバランスが変わってイライラするということ。やはりホルモンの影響はあるのでしょうか?池谷先生:そうですね。イライラとはちょっと違うかもしれませんが、「オキシトシン」の影響が大きいと思います。「オキシトシン」とは、子育て中に出るホルモンで、別名「愛情ホルモン」とも言われるので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。生物学的に見て、産後すぐから1年間くらいまでがピークです。オキシトシンの影響で子どもに対して無償の愛情を注ぐ一方で、わが子を守るがゆえに他者に対して攻撃性が増すという側面もあります。人間がまったく同じとはいえませんが、赤ちゃん連れの猫や猿が攻撃的になっている姿を思い浮かべていただければわかりやすいかと思います(笑)。―― 同じ家族なのに攻撃されてしまうパパが気の毒になってきました(笑)。池谷先生:いえいえ、オキシトシンは何も女性だけに出るものではないんですよ。子育てへの参加率が高い男性からもオキシトシンが出ていることがわかっています。パパもぜひ育児に積極的に参加してみてはいかがでしょう。 ■「自分ばかり家事育児をやっている」は単なる思い込み!?―― ママたちの間でよく話題になりがちなのが、「夫が家事をしてくれない」「家にいる自分ばかりがやっている」ということですが、それについて先生はどう思われますか?池谷先生:物理的にパパのほうが仕事で外にいる時間が長く、家事をやる時間が短くなる傾向はあるでしょう。ただ、ママのほうに「セルフ・サービング・バイアス(自己奉仕バイアス)」がかかっている場合もあるといえます。セルフ・サービング・バイアスとは、何か問題が起きて原因を考える際に、自分を高く評価し、外部に原因を追究してしまうこと。自分の手柄ばかりに注目して、他人を怠慢と思い込んでしまうのです。そうすると、「もう、いつも私ばかり食器を洗っている!」なんていうことになってしまいます。―― そうなんですか!? 世の中のママたちから反論を受けそうです。池谷先生:ここはパパの立場として弁解させてください。パパたちも言わないだけで家のことや子どもの面倒をみていることだってあるんですよ。よく思い起こしてみたら、「実はお風呂上がりにお風呂掃除をしてくれていた」「たまっていた段ボールを捨ててくれていた」なんてことがあるかもしれません。冷静に判断してみるといいですね。■夫婦円満…それって必要? 産後は“防御と割り切り”で乗り切る―― なるほど。最後に、夫婦円満になるための秘訣を教えてください。池谷先生:円満になる必要はないですよ。産後すぐの時期はオキシトシンの影響もあって、なかなかうまくいかないもの。ここは、産後をどう乗り切るか考えてみるといいでしょう。―― ええ!? どうすればいいのでしょうか?池谷先生:パパはママから攻撃されない工夫をしましょう。産後、イライラしているママにあれこれ言うだけムダです。パパは具体的に指示されたほうが動きやすいので、ママが何をしてほしいのか率先して聞いてみるのもいいですね。一方のママは、「イライラしている自分」にイライラしないことが大切です。「なんだか私イライラしているな。でもホルモンのせいだから仕方ないか」などと割り切れるといいですね。ママ自身もパパになるべく具体的にやってほしいことを言うといいでしょう。ちなみに、夫をたてようとして、ママたちの輪の中で「うちの夫は家事も育児もよくやってくれて~」みたいな話をするのはやめたほうがいいでしょう。ママ同士で「夫自慢大会」をすると、かえって自分の夫に足りない部分に目がいってしまう傾向があります。実際に「妻が不満に思うかどうかは、友人の夫の手伝いぶりで決まる」というデータがあるのです。夫の良いところはわかっていても、「あそこの家は〇〇やってくれるのに、うちは…」みたいに“あら”が見えてくるようになり、かえって夫婦仲が悪化してしまっては大変です。「自慢も愚痴もなるべくなら言わない」のが一番ですね。
2018年05月20日■脳の老化とは脳の老化は40代頃から緩やかに進んでいきます。ある日突然脳の老化が起こるわけではないため、普段自覚することは少ないと思いますが、昔と比べて忘れっぽくなったとか、新しいものを楽しめなくなったといったことがあれば、それは脳の老化かもしれません。このような現象は、必ずしも脳が縮んできているということを意味していませんが、脳の機能としては低下している可能性があります。例えていうなら、買った直後はサクサク動いていたパソコンが、長年使っているうちにだんだん動作が遅くなってくるようなイメージでしょうか。脳が老化していくと、最終的には認知症に至ります。たとえばアルツハイマー型認知症は、脳の老化で起こる代表的な病気です。アルツハイマーがた認知症では、発病する15〜20年前から少しずつ脳に老廃物が溜まってきているということがわかっています。早い人では30代くらいから溜まり始める場合もあります。■脳に老廃物が溜まると……この老廃物がある一定以上溜まってくると、神経細胞が傷ついて死滅し、脳が萎縮していきます。脳の老化に関わる要因としては肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が大きいです。生活習慣病になると血管が徐々に硬くなる動脈硬化を起こします。その結果、脳に十分な血液を送れなくなったり、脳の血管が破れたりといったことが起こりやすくなります。脳の血管が破れても小規模であれば症状はありませんが、脳のあちこちで起きると脳の老化につながります。最近では20代でも生活習慣の乱れやスマホなどの使いすぎによって脳の老化現象を自覚する人もいます。■子どもと高齢者を比較してわかること脳の老化の症状は、子どもと高齢者を比較してみるとわかりやすいでしょう。子どもは動きが活発で、些細なことでも心から楽しみ、感情が豊かで好奇心が旺盛です。大人がびっくりするほど優れた記憶力を発揮することもあります。一方、高齢者は子どもと比較して動作がゆっくりになります。これは視覚や聴覚など、五感の感覚が衰えて判断や反応に時間がかかるようになることがひとつの原因ですが、失敗を恐れて慎重になるなど、心理的な側面も影響しています。感情面では一般的に落ち着いて感情が安定する人が多いですが、反対に理性をコントロールする脳の働きが衰えて感情を抑制できなくなる人もいます。性格の変化も脳の老化のひとつである場合があります。意欲の面では新しいことに関する興味を持ち続けることが難しくなる傾向が見られ、長年の習慣を変えにくくなります。何かを始めようとする気持ちは少なくなり、しばしば諦めがちになる傾向が見られます。見聞きしたことは頭に入るものの、記憶にとどめる能力が低下するので物忘れが多くなりますし、体内時計の乱れから不眠や日時の感覚の障害などの症状も見られるようになります。■脳の老化、症状まとめ物忘れが気になる人や物の名前がすぐ出てこない動作がゆっくりになった物事を判断するのに時間がかかる今までのやり方を変えるのが億劫新しいことに挑戦しなくなった嬉しい・楽しいといった感情を持ちにくくなった自分と違う意見をなかなか受け入れられない性格が変わったと言われる新しい発想がわいてこない諦めることが増えた眠りにくくなった今日の日付がすぐ出てこない脳が健康でないと、見た目にも気を使わなくなります。健康でありたいという意欲も失われます。どんなことをしている人が認知症になりにくいのか、近年かなり明らかになってきました。例えば食事の仕方。食物線維や発酵食品を毎日摂る地中海食という食事、あるいは伝統的な和食を続けている人は認知症になりにくいことがわかっています。定期的な運動習慣、十分な睡眠時間やストレスの解消法を持つことなども、認知症予防に役立ちます。このような毎日の生活の中でできるちょっとしたことの積み重ねが脳の老化を予防し、10年後、20年後の大きな差になって現れてきます。今からできることを始めて、脳をいつまでも若く元気に保ちましょう!次回は「脳の老化を防ぐ生活」について詳しくお伝えします。
2018年05月07日赤ちゃんの頃は「元気に育ってくれれば、それで十分」と思っていたのに、子どもが成長するにつれ「あれもこれもできる子になってほしい」とついつい願ってしまうのが、親の常。でも、世の中にはさまざまな幼児教育があふれ、どれを選べば正解なのか、わからなくなりますよね?そんなママのお悩みを、シンプルに解決してくれるのが、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文嚮社)が10万部を超えるベストセラーとなった脳医学者・瀧靖之先生。つねづね「子どもを賢く育てるには、図鑑が一番!」と話し、自らも図鑑を使った子育てを6歳の息子さんに実践している瀧先生が総監修した「MOVEはじめてのずかん みぢかないきもの」(講談社)が発売されました。「図鑑を作るのが夢だった」と話す瀧先生の「こんな図鑑が欲しかった」のエッセンスがたっぷり入ってできあがった一冊。制作での思いや、図鑑の効果的な使い方などを瀧先生にお聞きしました。瀧靖之先生 プロフィール1970年生まれ。医師。医学博士。 一児の父。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長・加齢医学研究所 教授。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。学術誌はじめ新聞・テレビなど、マスコミでも数多く取り上げられ注目を集めている。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。■「はじめてのずかん」が子どもの好奇心の入り口にまずは最初に、瀧先生が提唱する「どうして図鑑が脳にいいのか?」をご紹介しましょう。・「わくわくする」好奇心を育てれば、自分の力で学べる「ぐんぐん伸びる子」に育つ。・いろいろな情報に触れられる図鑑は子どもの好奇心を育てる。・絵や写真があるので、言葉をつかさどる領域だけでなく、図形や空間を認知する領域など複数の脳の領域を同時に活性化できる。・図鑑で見たもの(バーチャル)を実際に見る(リアル)ことが子どもの好奇心を広げ、知識を定着させる。上記をふまえたうえで、インタビューはスタートしました。── 今回、図鑑の総監修をしてみていかがでしたか?瀧靖之先生(以下 瀧先生):小さな子どもでも楽しめるけれど、中身は本格的という図鑑があればいいのにとずっと思っていました。子どもは暗記力もすごいし、大人以上に好奇心が旺盛なので、はじめて触れるからこそ本物を見せたあげたいという気持ちを出版社と分かち合えました。今回、まだ形のない段階から関わり、何度も何度も出版社とやりとりを重ね、かなりイメージ通りの「図鑑の入り口となる図鑑」ができあがりました。── 「はじめてのずかん」というだけあって、図鑑に触れる入り口となる図鑑なんですね?瀧先生:図鑑というと小学校入学のプレゼントというイメージがあり、そのくらいの時期に初めて手にするお子さんも多いと思います。今までは、小学校入学前後の子どもに向けた本格的な図鑑か、子どもっぽいおもちゃのような図鑑しか出ていませんでした。昔の僕みたいに図鑑が好きな子どもは初めから本格的な図鑑から入ればいいけれど、そうではない子どもでも興味をもって手に取り、図鑑の入り口になる1冊があればと思っていました。ここから先は、恐竜や昆虫、動物などの図鑑につながっていける「初めての図鑑」を作りたかったんです。そのためにも、ただ「チョウ」とか「ゾウ」とかではなく、「クロアゲハ」とか「アフリカゾウ」などきちんと名前を伝えて、興味を持ってもらえるようにしています。子どもは機会的な暗記力がすごいので、あっという間に覚えてしまいますから。そして、デザインもほかのシリーズとそろえ、本格的な図鑑にしました。── 「2歳からの脳に効く!」と帯にありますが、2歳くらいでこの図鑑を手にするのがいいのですか?瀧先生:言葉を吸収し、周りに対する好奇心もどんどん出てくるのが2歳くらいですが、もちろん、0歳からでも1歳からでも、3歳、4歳でも図鑑を楽しんでもらって構いません。ただ、「好き嫌い」がまだあまり出ていない早い時期からいろいろ見ておくと、大きくなってからも好奇心の対象を広く保てます。できれば早い時期から図鑑でいろいろな情報に触れていただきたいと思っています。■図鑑が苦手な親子だから楽しめる“しかけ”が満載──「読み聞かせ図鑑」というのもおもしろいですね。図鑑というと見るイメージがありますが、読み聞かせができるんですね。瀧先生:子どもが楽しむためには親がまず楽しむことがとても大切なのですが、世の中のお父さんお母さんがみんな図鑑好きというわけではないと思うので、今まで図鑑にあまり触れてこなかった方でも気軽に子どもと楽しめる工夫にこだわりました。── それは世の中のパパママにとてもありがたいですね。瀧先生:好奇心だけではなく、乳幼児期に愛着形成をすることは、その後の精神安定に非常に大切だと言われています。ぬくもり、声、笑顔など親子の愛着掲載がとても大事な時期なので、子どもひとりで読むのではなく、親子でコミュニケーションをとりながら楽しめるようになっています。── 具体的にはどのようなしかけがあるのでしょうか?瀧先生:ほかの図鑑ではあまりないと思うのですが、写真の動物が吹き出しで話しています。もともとMOVEシリーズの特長である動きのある写真も子どもを引きつけますが、生き物が話すことで子どもの興味をよりひきつけやすくしています。そして、その吹き出しを読めば、誰でも簡単に読み聞かせができるんです。それ以外にも、親子の会話のきっかけづくりになるコラムがあったり、子どもが大好きなクイズが載っていたりして、親子の愛着形成や言葉を覚えるコミュニケーションが簡単にできるようになっています。── たしかに「ゾウの足音ってどんな音」というコラムなど自分も知らないことが載っていておもしろかったです。 ■知的好奇心を育てるのは「図鑑で見たアレ」を「実際に目にする」── 親子のコミュニケーションのほかにこだわったことはなんでしょうか?瀧先生:図鑑に載っていた動植物を目の前で見られたら「これが図鑑で見たアレなんだ」と興味が深まりますね。知的好奇心をいかに伸ばすかを考え、あえて身近なところを前半に取り上げました。── パッと目をひきそうなパンダやキリンなどではなく、ダンゴムシとかチョウなど「まちのいきもの」から始まっているところに挑戦を感じます。瀧先生:あまりにも遠い世界のことを入れてもつながらないので、図鑑を見た後に身近なところで本物を見る、あるいは本物を見て「これは何だろう」と図鑑を見る、ということを双方向で繰り返すことで、知的好奇心は伸びるんです。そして題材は身近だけど内容は本格的。子ども扱いして幼稚じゃないことが大事です。■図鑑の正しい使い方、NGな使い方── ついつい、脳への効果を期待してしまいますが、この図鑑はどうやって使ったらいいでしょうか?瀧先生:一番大切なのは、親自身が楽しむこと。「子どもに興味を持たせなければいけない」と重荷を感じる必要はまったくなくて、親自身が興味を持つところをパラパラめくって、ペンギンが好きならペンギンを、猫が好きなら猫をと興味をもったページを楽しんでいれば十分です。── 大人が楽しんでいれば、子どもも「楽しそう」と思ってくるわけですね。反対に、NGな使い方もありますか?瀧先生:子どもに押しつけることは避けたいですね。勉強もそうですが、「やりなさい」というと子どもは嫌になりますから。あとは、本棚の飾りにせず、テーブルなどいつでもパッと手に取れる場所に置いておくことです。そうすれば、外でチョウを見かけたり水族館に行ったりしたら、帰ってから「なんだろうね」とすぐに調べられます。本棚にしまいっぱなしでは、「なんだろうね」と疑問を持ちながらも調べずに終わってしまうので、せっかくの好奇心が伸びずにもったいないですよね。── やはり「疑問に思ったことを調べる」ということが大切なんですね。忙しい時などつい子どもの「なんだろう」を聞き流してしまう自分としては反省します。瀧先生:疑問に思ったことを調べる、というのは一生使える勉強の基本ですよね。「調べようね」と言って調べるのは、子どもにとってとても楽しいことです。まだ「勉強を勉強と思わない」小さな頃から調べる習慣がつくと、勉強しなければいけなくなった時に自分からどんどん調べることに抵抗がなくなります。── 最後にこの図鑑をぜひ手に取ってほしい、乳幼児のお父さん、お母さんにメッセージをお願いします。瀧先生:いろいろなことに好奇心を持てるようになると、将来どんな道に進んでも、きっと役立ちます。身近な動物や植物にもちゃんと名前がついていて、おもしろい特徴があったりする。そんなことを教えてくれるのが図鑑で、図鑑は世の中の広がりを知り、世の中に興味を持つ最初の一歩になります。その「最初の一歩」として楽しめる図鑑が完成したので、ぜひ親子で楽しんでみてください。参考図書: 「MOVEはじめてのずかん みぢかないきもの」 (講談社)総監修に脳研究者・瀧靖之先生、生きものの監修に動物学者の今泉忠明先生をむかえ、読みきかせできる図鑑として親子で楽しむこともでき、小学校低学年のひとり読みにも最適です。 ファースト図鑑として、小さなこどもが出会う身近な生きものを網羅。 カブトムシ、ダンゴムシ、ゾウ、キリン、ドングリ、はっぱ…子どもたちの好きなものが詰め込まれています。 クイズやコラム、巻末には生きものが登場する昔話も! はじめて出会う自然の世界を、季節を感じさせる本格的なイラストとダイナミックな写真、NHKの貴重なアーカイブ映像で紹介します。文・取材/まちとこ出版社 石塚由香子
2018年04月30日子どもが身の回りのことをできるようになってくると、たまには子どもを預けてリフレッシュしたい! というママも増えてくるのではないでしょうか。なかには「独身のころ大好きだったジャニーズのコンサートに再び行くようになった」「学生時代に夢中だったロックバンドのライブに15年ぶりに行ってハマってしまった」なんていう声も。大好きだった〇〇に再びハマって、ママたちが青春時代にカムバックする理由とは? 脳内では何が起きていて、どんな影響があるのでしょうか?脳研究者で、ご自身もふたりの娘さんの子育て真っ最中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■時間とともに美化される「過去の記憶」―― 出産後、子育てに慣れてくると、学生時代や独身のころに好きだったアーティストに再びハマるママが、ちらほら出てくるように思います。何か理由はあるのでしょうか?池谷裕二先生(以下、池谷先生):「マンネリ化の打破」があるのではないでしょうか。小さい時は見るもの・聞くものひとつひとつが輝いていたのに、年をとってさまざまな経験を重ねることで、マンネリ化してくる傾向があります。加齢によるマンネリ化はごく自然なことですが、マンネリ化の打破は快感なんです。再び同じアーティストを好きになるにしても、当時とは違った心の余裕があるというか、「新鮮さ」がありますよね。―― たしかに。昔好きだったアーティストに再びハマるというのは「昔好きだった時の私が好き」みたいなこともあるのでしょうか?池谷先生:それもありますね。年月を経てそのアーティストの容姿が変わったとしても、アーティストを好きだったという「感覚」を脳は覚えています。よく人間は悪いことばかり覚えていると言われますが、調べてみると実際はその反対で、良いことをよく覚えているんです。「バラ色回顧」といって、時が経つと過去の記憶が美化されます。例えば、失恋して間もない頃は苦い思い出ばかりだけど、時間とともに記憶は美化されて、じんわり温かい気持ちになりますよね。心理試験でも、「悪い記憶は抑圧がかかって連想が止まってしまい、思い出さない」というデータがあります。あとは、昔好きだったドラマを見て、楽しくなる気持ちも一種の「新鮮さ」がありますね。 ■「新婚時代にカムバック!」も脳に好影響―― なるほど。懐かしいだけではなく、ワクワク感とか高揚感がありますよね。脳にもいい影響があるのでしょうか?池谷先生:そうですね。ものごとの見方や捉え方(枠組み)を変えて、プラスの方向に考えることを専門用語で「リフレーミング」といいます。先ほどの「青春時代にカムバック!」以外に例をあげると、マンネリ化している夫婦が、結婚式や新婚旅行など仲睦まじかったころのビデオを見ると、しばらく夫婦関係が改善するのがそうです。「子育てや家事、いろいろ不満はあるけれど、子どもがいて楽しい時もある。今の状況って、まあまあ恵まれているよね」と、一歩ひいた目で見られるようになります。―― ママの「リフレーミング」は子どもやパパにもいい影響がありそうですね。池谷先生:もちろん。お母さんがイライラしないのは、家族にとってもいいこと。だからカムバック! もそうですし、ママの息抜きは大切ですね。私も妻が飲み会に行く時は子どもの寝かしつけまでやっていますよ。■ヒトの親は「子育てするようにできていない」―― おっしゃるとおり息抜きは大切だと思うのですが「ママは子育てを頑張らなくてはいけない」みたいな社会的な圧力がいまだにあるように感じられます。池谷先生:そういう風潮はたしかにありますね。0歳で保育園に預けるのはかわいそうとか。ここで言っておきたいのは、生物学的にヒトは「親が子どもを育てるようにできていない」「子どもも親の言うことを聞くようにできていない」ということ。人類の祖先が誕生したのが約500万年前、 ヒトが農業を始めて定住するようになったのが約1万年前。農業をするまでの500万年もの間、人類の祖先は狩猟をして暮らしていたんです。日中、親が狩りをする間、子育てをするのは周りの子どもたちとおばあちゃんでした。これまでの人類の歴史500万年を1年に例えるなら、ヒトの親が子育てをするようになったのは、大晦日になってからのこと。まだまだ日が浅いんです。そんなにすぐうまくいくわけがない。だから、ヒトの親が子育てするとストレスがかかるのは当然といえます。―― 「ヒトの親が子どもを育てるようにできていない」なんて驚きました! 親はどうすればいいのでしょうか?池谷先生:ポイントは、周りの子どもやおばあちゃんとの関わり。親が言ってもきかないのに、お友だちに注意されると子どもはすぐやめますよね。同じ子どもの言うことなら、子どもは受け入れます。だから、子ども同士のコミュニティー作りが大切ですね。それと、おばあちゃんや、それに代わる保育園の先生などが関わる環境作りができるといいと思います。児童館なども活用して、子ども同士やおばあちゃん的な先生と関わっていけるようにしてはいかがでしょう。子育てにストレスを感じるのは生物学的に見ても当たり前のことなので、それ自体を気にすることはありません。息抜きすることをうしろめたく思うお母さんもいるかもしれませんが、イライラが爆発する前にうまくリフレッシュして子育てを「リフレーミング」できるといいですね。
2018年04月04日「子どもが自分に似て、算数が苦手になったらどうしよう」「わが子には、算数嫌いになってほしくない」子どもが成長するにつれて心に沸々と湧き上がる、文系ママたちの悩み、切なる願い…!「“文系脳”の親から生まれた子どもは、やっぱり“文系脳”になるの?」「憧れの“理系男子”や“リケジョ(理系女子)”に育てるのは絶望的?」「親が苦手でも、生活習慣で改善できるものなの?」そんな文系脳のパパママの疑問(もしくは叫び?)を、脳の成長・老化について研究している東京大学・薬学部教授の池谷裕二先生にうかがいました。ご自身もふたりの娘さんの子育て真っ最中の池谷裕二先生の視点・言葉には、子育てのヒントがたくさんあふれています。池谷裕二先生 プロフィール研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。■遺伝だけではない!? 算数が苦手な原因、実は…―― まず、単刀直入にお聞きします。親の「算数苦手」は子どもに遺伝するのでしょうか?池谷先生:たしかに遺伝子の影響はある程度あります。算数だけでなく、絶対音感や読み書き、第二言語の習得、スポーツなどにも遺伝子の影響があることがわかっています。でも、もっと大切なのが、「環境による影響」です。小学校低学年時の担任の先生が「算数苦手」だと、そのクラスの子どもたちは、その後も算数の成績が低迷するといったデータが実際にあります。先生の「算数って難しいよね」などの発言があったと推測されます。―― ええ!? 環境による影響も大きいのですね。遺伝と環境による影響、割合としてはそれぞれどれくらいでしょうか?池谷先生:半々くらいですね。8、9歳くらいまでは感受性が高いので、環境による影響に気をつけてください。特に女の子は「女の子って算数苦手だよね~」といった周囲の何気ない言葉から、「私は算数が苦手」という自己暗示をしてしまいがち。その後、算数が得意な先生にならってもなかなかリカバーできない傾向があります。■何気ない「ママが算数苦手だったから…」発言はNG!―― 親の接し方によっても影響があるということですね。算数が苦手なママはどうすればいいのでしょうか?池谷先生:親が「私は算数が苦手だから…」と思っても絶対に言わないことが大切。少なくとも、幼児や小学校低学年の子どもよりはできますよね。劣等感からはじめると何事もうまくいきません。ここは堂々としていましょう。―― 子どもが計算を間違えたりしたら、「ママが算数苦手だから、あなたもそうなのかもね」と言ってしまいそうです。池谷先生:それだけは絶対にやめましょう(笑)。ぐっとこらえてください。わざわざ幼児教室などに通うことはありませんが、もしママが算数苦手だとしたら、算数が得意な人と子どもが接する機会を持てるといいですね。たとえば、パパが算数得意なら、土日はパパと一緒に積み木や数あてっこ遊びをするとか。算数が苦手ではない児童館の先生やおじいちゃんなどと遊ぶのもいいと思います。 ■算数苦手ママでも今すぐできる「数のかぞえ方」―― なるほど。ママ自身にもできることは何かありますか?池谷先生:小さな子どもと一緒にものを数えるときに、「1個、2個、3個…」と単位をつけるのではなく、「1、2、3…」と数えてみてはどうでしょうか。算数は抽象的な思考を学ぶもの。だから、単位をつけずに「数の概念(ルール)」を教えたほうが、汎用性が高くなります。ものごとのルールをほかに当てはめてみたり応用させたりする「水平思考」が、算数では求められています。例えば、イチゴを1個と数えてしまった場合、「じゃあミカンは?」「1個!」と答えられますが、魚や動物を数えようとなった時に、そのまま1個とは数えないですよね。イチゴやミカンの「1個」と魚や動物の「1匹(頭)」は同じ「1」という概念であることを、まずは教えなくてはいけません。だから、単位をつけずに数えるんです。単位をつけて数えることや単位を覚えることは、大きくなってからでも十分間に合います。■国語も算数も肝心なのは「コミュニケーション力」―― 親としては算数と国語の両方が得意になってもらいたいですが、先生は可能だと思いますか?池谷先生:それはできると思います。学校の勉強における国語と算数とは意味合いが違うのですが、国語力と算数力はコミュニケーションにおいて大事ですよね。知能指数(IQ)テストを考案したフランスの理学者アルフレッド・ビネーは、知能を支える3大要素を「論理力(主に算数や物理で身につくもの)」「言語力(主に国語で身につくもの)」「熱意」としています。適切な時に適切な言葉で伝える、相手が何を言おうとしているのか察知するなどのコミュニケーションには、論理力や言語力、やる気(熱意)が欠かせないわけです。―― そうですね。肝心のコミュニケーション力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?池谷先生:親子の会話が大切です。正直、子どもってちょっと面倒な時がありますよね(笑)。何度も同じものを「見て!」と話しかけてきたり。でもそういう時に、親がスマホの画面ばかり見ていて、子どもと会話しないのはいかがなものかと。夕飯の支度をして忙しいなら、「準備が終わったら見せてね」の一言だけでも違ってくるはずです。そうやって親子の会話を通じて、子どもは空気を読むなど言語力を身につけているんです。なるべく誠意や愛情を持って接することができるといいですね。
2018年03月19日スヌーピーがロボットに!?科学とピーナッツのコラボ展はグッズも注目!そのコミカルな動きはまさに最新テクノロジーの賜物。協力はロボット研究で知られる愛知工業大学。一連の仕掛け人は作者のチャールズ M.シュルツ氏と生前親交が深かったアーティストの大谷芳照氏だ。こうした科学とアートのコラボレーションは「サイエンスアート」と呼ばれる。「サイエンス」には最新のテクノロジーだけでなくいわゆる「ローテク」も含まれるのだとか。例えばひとつの動きをきっかけにした連鎖的な動きが楽しい「からくりオブジェ」。1993年に製作された金属製の作品で、ローテクを駆使したからくりは、一見の価値あり。そのほか旬の造形作家やフィギュア作家ら8組による新作や、「ピーナッツ」の漫画を約5000枚使った4Dモザイクアートが展示される。分野や作風が違っても、あたたかくてユーモラスな「ピーナッツ」の世界はそのまま。改めて時代を超えた人気を感じられるはず。オリジナルグッズにも注目!本展でのみ購入できる350アイテム以上のオリジナルグッズをはじめ、約600アイテムのスヌーピーグッズが勢揃い。キーホルダーやトートバッグなど、さりげなくそばに置いてなごめるアイテムを探してみては?スヌーピー×おもしろサイエンスアート展「SNOOPY(TM)FANTARATION」東京都中央区銀座3-6-1松屋銀座8 階 イベントスクエア3月1日(木)~19日(月)10:00~20:00(入場は閉場30分前まで。最終日は~17:00 )無休一般1000円ほかTEL:03・3567・1211 (C)2018 Peanuts Worldwide LLCスマホケース各3780円(税込み)※『anan』2018年2月28日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2018年02月24日2016年に出版した『「賢い子」に育てる究極のコツ』が10万部を超えるベストセラーになった脳医学者・瀧靖之先生。16万人の脳の画像データを診断し、賢い子どもを育てる秘訣は「好奇心」にあると考える先生は、5歳の息子さんのパパでもあります。好奇心を持つ子どもに育てるために、親は何をどうがんばればいいのでしょうか。先生ご自身の子育てのお話もうかがいながらアドバイスをいただきました。■「やらせる」ではなく「一緒に」で育つ、子どもの好奇心─ 子どもの好奇心を育てることがとても大切だそうですが、ご自身の子育てではどのようなことを意識されていますか?とにかく子どもと一緒に楽しむこと。博物館も一緒に見に行ったり、NHKスペシャルの科学や生物番組も一緒に見たりしています。そして、本や図鑑だけは、子どもが欲しいと言えば買います。おもちゃは誕生日とか記念日の時だけにしていますが、本だけは買いますね。漫画は基本ダメなんですが、科学漫画の「サバイバル」シリーズ(朝日新聞出版)だけは買っています。図鑑はほぼ無条件で買っていますね。─ただ図鑑を与えるだけではなく、一緒に図鑑を見たり、図鑑を親子で楽しんだりすることが大切なんですね。私は図鑑の内容をクイズにして、子どもに時々質問します。わざと答えられないくらい難しいクイズを出して、子どもに考えさせます。でも、難しければ難しいほど、子どもはがんばりますよ(笑)。子どもって機械的に暗記することは大人以上に優れているので、驚くほどすごいんです。NHKの番組「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」とかで珍しい鳥や魚が出てきたら、「これ、あそこに載っていた」と言って図鑑を広げて持ってきますからね。─ 親が子どもと一緒に楽しむと、子どももどんどん楽しくなるんですね。とにかく親も一緒に、ということが大切ですね。僕が徹底しているのは極力、何をするにも子どもだけでやらせないようにしています。図鑑も一緒に見ますし、ピアノも30分ずつ一緒に習っています。あと英会話や空手も一緒です。忙しくても必ずそういうところは一緒にやります。─ 子どもだけでやるのと、親が一緒にやるとでは、何が変わりますか?全く違うと思いますよ。物への向き合い方が変わります。重要なのは、親ががんばっている姿を見せるということ。そうすると、子どももがんばります。例えば、ピアノ。うちの場合、先に自分が弾きたいという気持ちがあるので、子どもが弾かないなら「お父さんが弾くぞ!」とピアノを占領してしまうんです。そうすると子どもは「僕も!」ってやりたくなるから、ちょうどいいんです。■親のもうひとがんばりで、何歳からでも子どもは伸びる─ 共働き家庭が増える中で、子どもと関われるのは平日の夜と土日くらいという親も増えています。どうすればいいでしょうか?土日とか、やれる時にがんばればいいんです。子どもが小さい時に一緒にがんばって基盤を作ったほうがラクですよ。中学生、高校生になってがんばるのは、子どもも親も大変ですから。─ 「今」というのは何歳くらいを指しますか?小さければ小さいほうがいいですが、何歳でもいいんです。子どもの頃にいろいろなことに好奇心を持って取り組んでいれば、勉強は勉強と思わず生きますし、仕事を仕事と思わず生きます。とにかく楽しんで勉強や仕事ができる人間が育つ。だからいかにそれを早い段階で始めるかですね。─ ごはんを作って、子どもを園に送って、というように毎日の生活でいっぱいいっぱいのお母さん、お父さんも多いと思います。そこは、もうひとがんばりすれば、後で大きな効果があるんですね?その通りです。本当にうちなんかも「子育てってこんなに大変なのか!」って感じますが、そこでもうひとがんばりするか、しないかだけだと思います。ただし、あくまでも親ができる範囲で。親が悲壮感を漂わせながらがんばってもしょうがないので。─ 親の悲壮感は子どもにも伝わってしまいそうですね。結局は、親がどれくらい一緒に楽しむかです。何かさせようと思っても、子どもはやらないですからね。親が楽しんでやれば子どもも楽しむので、わが家ではそこを徹底していますね。─ それでは、親も生まれ変わって自分の好奇心を広げるつもりでやればいいでしょうか?子どもの好奇心や学力を伸ばそうと思ったら、親が自分で努力するしかないんです。でも、それを子どもが小さいうちにやっておけば、後は子どもが自分で走り出すので、費用対効果はいいですよ。僕も、子どもの頃に望遠鏡や顕微鏡を買ってもらって、親に手伝ってもらいながらいろいろなことをやりました。やっぱり子どもの頃に自分が興味を持ったことは面白くてしょうがないから、後は自分でどんどん勉強していきました。だから最初だけ、きっかけ作りだけ、親ががんばればいいんです。─ 最初だけ、とにかくちょっと親ががんばればいいんですね?そうですね。でも、自分も興味を持ちだすと楽しくなりますよ。一緒に博物館に行っても、わかる・わからないで、面白さは全然違います。前もって子どもと一緒に本を読んでいれば、嫌でも恐竜のことなど詳しくなりますから、そうすると見るのも楽しくなります。─ 親が「これだったら一緒にハマれるかも」っていうのでもいいんですか?それで全然いいんですよ。そこから広げればいいので。図鑑を全部一緒に読んで、博物館行って、図書館行って、水族館行って…って理想的な関わりができるのならいいですが、現実には難しいですよね。僕もそうしていますが、子どもと一緒に体験することをできるだけ優先するように努力できていればいいんです。 ■「もっと知りたい!」欲求が生み出す、正のスパイラル─ やはりバーチャル(知識)とリアル(現実)が結びつく体験を親子で楽しんですることがとても重要なんですね?「これが、これなんだ」という五感にうったえる体験をすると、知れば知るほど楽しくなる正のスパイラルに入ることができます。知識が増えてくると「これはどうなっているの」「あれはどうなっているの」とますます知りたくなりますから。逆に何も知らないと、興味が持てない、つまらない、と負のスパイラルに陥ってしまいます。─ 知ることで、どんどん人生が好転する正のスパイラルになるんですね?やっぱり人間って最低限の知識が必要だと思うんです。それがあれば、社会をわたって行くうえで、すごくラクになるんですよ。おそらく勉強も仕事も。その知識を得るのも、イヤイヤやるのではなくて楽しんでやるのが重要。やはり、そこで生きてくるのが、知的好奇心をいかに子どものうちから伸ばすか、です。そのために図鑑と体験で、バーチャルとリアルを結びつける。最終的にはここに帰するんです。─ そのために親がした方がいいことがあるんですね?子どもが「好きだ」ということには、どんどん背中を押してあげることです。自分が無理矢理引っぱるのではだめ。もし、引っぱるのであれば、そのお膳立てはさりげなく、しっかりしておくことが大切です。─ お膳立てですか?ストラテジー、戦略を覚えるのはすごく大事です。何かを極めようとするとまず本を読む、もっと難しいことがあると人に聞く、みたいな感じです。僕の場合は蝶だったんですが、極めようとするといろいろなものが無限にあるわけですよ。そのうち洋書の図鑑を買ってきたり、あるいはいろいろな人に聞いて調べたり、全然違う植生学や地理を勉強したり。そうすると、どんどんいろいろなことがわかってきます。そして、結局は勉強につながります。どうやったら点数がよく取れるのか。その次に、今度は仕事につながるんです。どうやったら、研究がうまくいくのか、営業がうまくいくのか、会社の経営がうまくいくのか、とか。ストラテジーは全部同じです。─ そのストラテジーを覚えるための手助けを、最初は親がするんですね。僕も子育てやっているからわかりますが、子育て世代って時間がないうえに仕事も忙しい時期じゃないですか? だから本当につらい。だけど、そのつらいところでもう一歩だけでも努力する。「バッターボックスに立たないとホームランは絶対打てない」とよく言われますけど、やらないと絶対できません。─ では、忙しい中でも一定期間と思ってがんばればいいんですか?いや、一定期間とは考えずに、日々、もう少しがんばる。そのうち、子どもは自分で走りだすから、その時期まで続ければいいんです。そうすれば自分も知識が増えて生活が楽しくなるから。─ そうですよね。子どもと何かやると世界が広がりますよね。もう一回自分も育っているような…。全くそうですよ。図鑑なんか見ていると幸せです。昔の図鑑と比べて今のはすごいですから、隔世の感があります。図鑑を見ているだけで本当にうれしいですよ。子どものおかげだなあって。─ もう一度こんな図鑑の世界が味わえたっていう?本当にそうです。子どもがいなかったらこんなことはできなかったって思うと、もう非常にありがたいです。ただ、そうは言ってもお父さん・お母さんは日々忙しくて、それどころじゃないのもよくわかります。ちょっと頭の片すみに入れておくだけでもいいんです。1時間なかったら30分、30分なかったら10分、10分なかったら3分と、子どもの好奇心を伸ばす種をまくといいですね。多忙な研究活動の中、お子さんとの時間を優先していらっしゃる瀧先生の子育て生活に驚きました。「親が悲壮感を漂わせず、楽しめる範囲」で、でも「ちょっとだけきっかけ作りをがんばれば後で大きなリターンがある」という先生のお話は、お子さんを大切にして子育てに向き合っている父親としての姿と、脳医学者ならではの合理的な視点の両方を感じました。ただでさえ大変な現代の子育て。その中で、子どもの好奇心を育てるタネを巻く、ということは、「やらなければ」と思うとつらくなってしまいそうですが、「親子で楽しもう」と思えば、楽しんでいるうちに親も子どもも「もっといろいろなことを知りたい」と思えそうです。「何歳からでも遅くない」と言っていただいたので、もう子どもが小学生のわが家もできる範囲で、今から好奇心のタネまきを親子でしようと思いました。先生によると好奇心は認知症予防の特効薬の可能性もあるとのこと。40代の筆者も自分の好奇心もついでに育てて、認知症の予防をしようと密かにもくろんでいます。瀧靖之 プロフィール1970年生まれ。医師。医学博士。 一児の父。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長・加齢医学研究所 教授。東北大学加齢医学研究所及び東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。学術誌はじめ新聞・テレビなど、マスコミでも数多く取り上げられ注目を集めている。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。編集協力: 「#のびるこラボ」 株式会社ベネッセコーポレションが運営している、誰でも参加できるFacebookの公開グループ。「伸びる子」のヒミツを学者・保育士・専門家と一般の方々とで徹底解明していきます。幼児期に伸ばしたい一生役に立つチカラと自信を育むために親として何ができるか、考えるきっかけ作りをしていきます。取材・文/まちとこ出版社 石塚由香子
2017年12月29日2016年出版の『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文嚮社)が10万部を超えるベストセラーになった脳医学者・瀧靖之先生は、5歳の息子を子育て中のお父さん。16万人の脳の画像データ診断をした経験から、賢い子どもを育てる秘訣は「好奇心」にあると考え、自ら「好奇心を育てる子育て」を実践中です。瀧先生によると、好奇心は脳の最高の栄養素。そして子ども時代だけではなく、生涯を通して健康な脳を維持して幸せに生きるための秘密兵器と言えるそうです。どのような子育てをすれば子どもの脳が育つのか、仙台の東北大学加齢医学研究所にお邪魔して、瀧先生にお話をうかがいました。■好き嫌いが生まれる前に、いろいろなことに触れて「脳の道路工事」を─ 著書で人間の脳を道路工事に例えられていましたが、イメージがわきやすかったです。脳はまず工事をしてどんどん道路(ネットワーク)を拡張した後に、今度は使わない部分をどんどん壊していき、脳の効率を上げるんですね。赤ちゃんの頃はあらゆる物に興味を持ちます。石や草など何を見ても反応している時期がありますよね? 脳内では道路工事(ネットワークづくり)をさかんに行って道路を拡張していきます。しかし、次第に興味を持つ対象が限定されていき、「使わない部分」が出てくるとそれを壊して、脳を効率的に使うようになります。─ まだ個人的な好き嫌いが出ていない時期、つまり使わない道路が増えないうちに、いろいろなことに触れておくことが大切なのですね?一度どこかで触れておくと、中学や高校で同じ経験をしたとき、それがすっと入ってくるんですよ。これはまさに親密度というか。物事って最初になんでも見たり聞いたりする時は障壁がありますが、小さい頃に一度触れておけば、成長してからもずっと楽に理解できます。─ なるほど! 一度触れておけば、忘れているように見えてもどこかに残っているんですね。そうです。だから子どもの頃にたくさんのことに触れておくことが大切です。■好奇心を育てるには「図鑑」が一番という理由─ 好奇心が賢い子どもを育てると考え、好奇心を育てるのに瀧先生は図鑑を特にすすめていらっしゃいますね。図鑑のいいところは、いつ見ても新発見の宝庫であるところです。何歳になっても図鑑は好奇心を刺激してくれます。─ 先生は赤ちゃんへのプレゼントにも図鑑をおすすめしています。図鑑は動物や虫、鳥、星など身近な自然科学のテーマが多く、自然はどこまでも奥深いからです。例えば、恐竜だって単に名前を覚えるだけではなく、ジュラ紀や白亜紀といった時代、その中で肉食恐竜がどうだったか、アジアからアフリカにわたったらしいとか…好きになるともう知りたいことはいくらでも出てくるんですよ。どうやって恐竜に羽毛が出てきて、そこから鳥類に進化したとか、もう無限です。ゲームやスマホは面白いので一度はどの子どももハマりますが、自然は人間の作ったものより深いことにいずれ気づきます。ゲームにハマる前に自然科学に触れさせておけば、自然の面白さに必ず戻ってきます。■子どもの脳を育てるのは、バーチャルとリアルが結びついた時のワクワク─ 図鑑で見た電車を実際に見に行くなど、本の知識を実際に確かめる体験をすすめていらっしゃいますね。大切なのは、バーチャル(本などで得た知識)をリアル(現実の体験)と結びつけること。電車図鑑を買って読んだ後は実際に電車を見に行く、深海魚図鑑を見たら博物館に行くなどです。「これが本で見たあれなんだ!」とバーチャルだった知識がリアルな体験に結びつくと、子どものワクワクは大きくなり、「知ること」が楽しくなって、どんどん知りたくなります。─ そして、バーチャルとリアルを結びつけるには、時には道具を使うのがいいんですね。どのような道具がいいのでしょう?虫が好きな子どもには虫取り網、星が好きな子どもには天体望遠鏡などです。必ずしも必要なわけではありませんが、道具があることで子どもがより熱中することもあります。子どもが図鑑で夢中になっているものをもっと楽しく体験させてあげたい。そのために何か道具が必要かな。そうやって親が一緒に考えてあげるのは、とてもいいことだと思います。 ■まずは身近なテーマから、初めての図鑑選び─ ちなみに、本屋さんに行くと図鑑がたくさん並んでいます。どうやって選べばいいでしょうか?親でも子どもでも興味を持つものがあれば、どんな図鑑でもいいと思いますが、子どもって身近にあるものに興味を持ちますよね? 虫、動物、魚、植物など身近にあるものから始めるのがいいのではないでしょうか。─ 子どもが生活の中でも出会いやすいものからですね?そうですね。ただ子どもって不思議なものが大好きなので、恐竜とか深海魚とか、そういうものでも子どもが興味を持ったらいいと思います。ただ身近なものの方が親も関わりやすいし、バーチャルとリアルを結びつけやすいですよね? ─ ウェブでもいろいろな情報が見られますが、やはり紙の図鑑がいいのでしょうか?ウェブはまだ年月が経っていないので難しいところですが…。パっと見ていろいろ調べられるところはウェブのいいところです。逆にいろいろなところにリンクで飛べるので、注意散漫になり、集中して見るのが難しい、というような意見もありますね。─ ウェブは、子どもの好きなものへの気持ち、好奇心が育ちにくい面があるのですか?まだはっきりとはわかってはいません。ただ一長一短なのは確かです。紙の図鑑は重すぎて出かける時に持って行けないから、そういう場面ではウェブの図鑑を利用すればいいと思います。だけど、目が疲れず、必要のないページに飛ぶ心配がない、注意散漫にならない、というのが紙の図鑑のいいところですね。─ やっぱり好きなだけ集中する、というのがものすごく大事なんですね?熱中体験は重要です。僕自身、家の隣の空き地で蝶取りをしていたのが、全ての原点になっていますから。■子どもの好奇心を広げて伸ばすのが親の役目─ 親は図鑑を子どもに与えて好奇心が芽生えるきっかけを作り、その後はどうすればいいのでしょうか?例えば、恐竜が好きな子どもには恐竜だけで終わらせるのではなく、そこから爬虫類や鳥類に興味を向けさせたりしましょう。恐竜は鳥類が進化したもので、そこから脊椎動物や哺乳類へ…といったように、親が子どもの興味や知識を広げてあげるといいですね。子どもは物事をふかんして見られないので、そこは親が背中を少し押してあげましょう。─ 先生のご両親も図鑑で好奇心を育てる子育てを実践されていましたか?うちの親のいいところは図鑑を惜しまず買ってくれたことですね。「図鑑を買ってほしい」と言うと、それだけは買ってくれました。読み終わって次のが欲しいと言ったら、また本屋で買ってくれて。それでどんどん知識が広がり、親の書斎にあった百科事典も見るようになり、もうボロボロになるまで読みあさりましたね。─ 同じことを今、5歳の息子さんもなさっているんですか?うちの息子も漢字をルビなしで読みます。それは、漢字の勉強をしたわけでもなんでもなくて、単に図鑑を読んでいると漢字が目に入ってくるから、嫌でも覚えちゃうんですよ。それこそ究極の勉強。私から見てもびっくりするような文章をルビなしで読みます。やっぱり好きだから覚るんですね。─ 最初の頃は先生が読み聞かせをしていたんですか?いやいや。ルビがある普通の図鑑を読んでいるうちに、大人が読む百科事典のような図鑑を一人で読み始めて。それこそ僕が父の書斎でやったみたいに、うちの息子も僕の書斎に入ってきて、本当はあまり折り目をつけて欲しくないような大切な本も勝手に持ち出して見ています(笑)。─ そういう意味では「子どもには子ども用とは思わないで、興味を持ったらどこまでも」ですね。子どもの興味、好奇心をどこまでも突き抜けさせるべきです。子ども用でごまかしてしまったら、「世の中こんなものか」と子どもも感じて面白くなくなってしまいます。ルビがあろうがなかろうが関係ないんです。うちの子もなんだか難しい本を買っていますよ。─ 先生ご自身も子どもの時に読んだ図鑑が後の勉強に役立ったとか?僕も幼稚園の時に図鑑を読みあさっていたので、中学生で惑星などの勉強になった時、「幼稚園の時に覚えたことを、なんでこんなに大きくなって、もう1回やるんだろう」って不思議なくらいでした。受験勉強も、すでに小さい頃に覚えたこと、理解したことにいろいろ肉付けしていくだけですみます。数学はちょっと異なりますが、自然科学、歴史、地理などは子どものうちに頭へ入れておくと、その教科で出てくる言葉への親密性が高くなります。─ うちの子はもう小学生ですが、今すぐ図鑑を買いたくなりました。早ければ早い方がいいですが、何歳からでも大丈夫。遅すぎることはありませんよ。新しい情報に触れれば、脳は何歳からでも刺激を受けて成長します。 第一線で脳科学の研究をしながら、自ら「好奇心を育てる子育て」を実践されている瀧先生。脳はそれぞれのエリアの働きに適正な時期があり、好き嫌いが出る前にいろいろなことに触れておく大切さを実感しました。今赤ちゃんを育てている方はぜひ、この「図鑑で好奇心を育てる子育て」を試していただきたいと思いました。2000円~3000円する図鑑は決して安くはありませんが、いろいろなことに好奇心を持てる子どもが育つのなら費用対効果は十分に感じます。すでに子ども2人が小学生の筆者は、「もっと早く知っていれば」と後悔する反面、「何歳からでも遅くない」という先生の言葉を励みに、今日からできることを実践していこうと早速図鑑を購入してみました。瀧靖之 プロフィール1970年生まれ。医師。医学博士。 一児の父。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長・加齢医学研究所 教授。東北大学加齢医学研究所及び東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。学術誌はじめ新聞・テレビなど、マスコミでも数多く取り上げられ注目を集めている。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。編集協力: 「#のびるこラボ」 株式会社ベネッセコーポレションが運営している、誰でも参加できるFacebookの公開グループ。「伸びる子」のヒミツを学者・保育士・専門家と一般の方々とで徹底解明していきます。幼児期に伸ばしたい一生役に立つチカラと自信を育むために親として何ができるか、考えるきっかけ作りをしていきます。取材・文/まちとこ出版社 石塚由香子
2017年12月28日こんにちは、コラムニストの愛子です。彼氏に些細なことで怒ってしまい、喧嘩が絶えず悩んでいる女性って多いのではないでしょうか?後で考えるとどうしてあんなに感情的に怒ってしまったのか、自分でも分からないときってありますよね。たまには喧嘩も悪くありませんが、あんまり多いと別れの原因になってしまうこともあります。そこで今回は、喧嘩せずに、あなたの本当の気持ちを彼に伝える方法をご紹介します。■1.怒りは90秒しか続かない?脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士によると、怒りは90秒間しか続かないそうです。いつまでも怒り続けてしまうのは、最初に湧いた感情を継続して持ち続けているからではなく、怒りを相手にぶつけることで、相手の反応(言い返される、的外れな返答をされるなど)を受けて新たな怒りを感じるからです。だから最初に怒りを感じた時点で、90秒間こらえることができれば、人は冷静になれるのだそうです。では、90秒間怒りをこらえて冷静になるためにしたいことを、考えていきましょう。■2.怒りをこらえている間に、一次感情を見つけよう怒りは、本当の欲求である一次感情が満たされなかったときに生まれる二次的感情であると言われています。つまり、「彼に~してほしかった(一次感情)のに、それを無視された」というような時です。訳もなく怒る方はあまりいないと思うので、自分が怒っている理由をほとんどの人が分かっているつもりでいるでしょう。でもそれが、他の人なら特に怒らないような些細なことである場合(他の人には腹が立たないような)、本当の欲求は別にある可能性が高いです。例えば、彼からの返信が遅くて怒っている場合、返信が遅いことで、どう感じたから怒りが湧くのかまで掘り下げて考えてみてください。すると・・・・・・・彼には私より大切なものがあるんだ・彼は私のことを忘れていたんだ・彼は私と連絡をとらなくても寂しくないんだこんな風に、怒りの奥に隠れている本当の欲求が見えてくるはずなのです。この場合は「ただ早く返信がほしい」のではなく、「必要とされていない気がして寂しかった、もっと私を求めてほしい」というのが本当の欲求でしょう。■3.一次感情を伝えようさて、自分の本当の欲求に気付けたら、今度はその一次感情を彼に伝えてみましょう。できれば冷静に伝えられるといいですが、話している間に少し感情的になってしまっても、本当の気持ちを伝えることができれば大丈夫です。一番良くないのは、あなたがどうして怒っているのかが彼にちゃんと伝わらないこと。それが伝わらないと「些細なことで、どうしてここまで怒るんだろう?」と彼は思ってしまうからです。それでは彼も嫌な気持ちになるだけで、どうしていいか分からず困ってしまうと思います。もちろん、問題も解決されないままになってしまいます。■ 4.彼が理解してくれたら「ありがとう」を忘れずに一次感情を伝えて、彼が理解してくれたら「ありがとう」と言葉で伝えるようにしましょう。そうすることで彼は、今回の話し合いをただの喧嘩ではなく、「理解し合うために必要なコミュニケーションだった」と思ってくれるはずです。話し合って良かったとお互いに思える締めくくり方を目指しましょう。■ 5.応用編そしてこの考え方は、彼が怒りをぶつけてくるときにも使えます。まず90秒間は、言い返さずに彼の言い分を聞いてあげてください。すると彼の中で新たな怒りが生まれないので、彼も次第に冷静さを取り戻すはずです。そして彼が落ち着いてきたら、今度は「私が返信しなかったから、〇〇だと思ったの?」などと、彼が自分で一次感情を見つけられるような質問をしてみてください。仮にそれが少し違うものであっても、彼自身がその正解を見つけるきっかけとなります。同時にあなたにも彼の本音が見えるので、表面的ではなく、もっと根本的な話し合いができるはずです。■おわりに喧嘩するほど仲がいいとも言いますが、喧嘩せずにお互いを理解し合えれば嬉しいですよね。ぜひ試してみてください!(愛子/ライター)(ハウコレ編集部)
2017年12月21日サービス付き高齢者向け住宅『そんぽの家・姪浜』(福岡市)の集会場。毎週水曜日は「脳を若返らせる『みつおか式脳若トレーニング』」の日。入居者は午前10時半から1時間、参加費300円で利用できる。 11月1日の参加者は11人。脳若コミュニケーター(講師)の指導の下、それぞれ手にしたiPadで「反射年齢」トレーニングに興じていた。画面中央に表示されたイラストの手で、落ちてくる棒をつかむゲームだが、落とさずキャッチする反応の速さで、反射年齢が出る。 会場内は和気あいあい。みんな楽しそうだ。その様子をトレーニングの開発者で、株式会社サムライト社長の光岡眞里さん(52)が、ほほ笑みながら見守っていた。身長153センチ、ショートカットがよく似合う。通る声で、滑舌よく、ハキハキと話す。 「男性の参加者が多いでしょう?iPadを巧みに操れることは、男性の自尊心をくすぐるみたいですね。男性やご夫婦での参加が多いのが、脳若の特徴のひとつです」(光岡さん・以下同) 光岡さんが独自に開発したみつおか式脳若トレーニング(以下・脳若)のプログラムは800種類以上。その日、どんなメニューで行うかは、参加者の顔ぶれを見て、講師が現場で、興味を引きそうなものを判断し、提供していく。 姪浜では、「反射年齢」のほか、講座開始時に覚えたキーワードを、終了時にみんなで復唱する「遅延記憶」、6分割画面に写真表示された卵やメガネなど、6つの物を記憶して、iPad上の黒板に指で文字を書いて答える「短期記憶」、体と脳を鍛える「BB体操」など、6種類のトレーニングが行われていた。 専用のアプリと教材がインストールされた端末を個人で購入することもできるが、光岡さんは、開発当初から、姪浜のような高齢者住宅や介護施設、自治体などが主催する認知症予防講座での導入に力を入れてきた。 「なぜなら、脳若は単なる脳トレゲームではないからです。大切なのは、ゲームではなく、iPadを通じたコミュニケーションなんですね。一人の部屋から、集会場に出てきて、みんなで会話したり、助け合いながらトレーニングをする。それが脳を若く保ついちばんの秘訣なんです」 日本の高齢化率は年々、上昇を続け、「2025年問題」が深刻に取り沙汰されるようになっている。団塊の世代が全員75歳以上になる’25年。厚労省の推計では、’15年に500万人だった認知症患者数が、’25年には最大730万人になるという。政府は、’25年に向けて、高齢者が住み慣れた地域で、最後まで暮らせる「地域包括ケア」の構築を目指している。それは、まさに光岡さんが脳若を通して、目指してきたものでもあった。 「脳若を通じて出会った高齢者たちの手で、地域のコミュニケーション作りが進んでいます。お互いに助け合い、元気を維持する輪が広がっているんです。高齢者が自主的に、しなやかに生きる。そのためのお手伝いをするのが脳若です」 光岡さんは元専業主婦。パソコンを覚えたのは、子育てが一段落して派遣会社に登録をした’01年からだ。 「当時は、起業なんて、まったく考えてもいませんでした。大学卒業後、田舎の堅実な会社に就職し、単純な経理の仕事だけして、2年弱で寿退社。それからずっと専業主婦。その経歴で、起業なんてありえないと思うのが普通でしょ」 派遣の仕事で、パソコンの使い方を覚えた光岡さんは、近くの公民館でパソコン教室を始めた。’03年のことである。そのとき集まった7人が、全員シニアだったため、最初からシニア向けの教室として定着。現在の脳若トレーニングの原点になっている。 「生徒さんたちと話すうちに、パソコンの操作技術はもちろんだけど、講師や仲間とまた会いたくなるような、楽しい教室を目指そうと考えるようになりました。『覚えたことを忘れてもいいんです。みんなでワイワイやりましょう』と、話していました」 テキストは、当時から、オリジナルの手作りだった。シニア生徒の反応を見ながら、わかりやすく、楽しめることを重視したテキスト作りの経験は、後の脳若の独自プログラムの基礎となっている。 ’05年ごろから、光岡さんは、ただパソコンを使うだけではなく、元気な高齢者を増やす「介護予防」にならないかと考えるようになる。きっかけは、教室で、70代の男性がいきなり立ち上がり、ズボンを下ろすという事件が起きたことだった。 「認知症の始まりでした。このことから、高齢者の尊厳を守りながら、認知症を予防できないか。そのためのツールを開発できないかと、真剣に考えるようになったんです」 ’06年、光岡さんは、女性起業家塾で経営を一から学び、’09年12月、資本金300万円で株式会社サムライトを立ち上げた。iPadの日本販売開始はその翌年の5月。 「これだ!と思いました。高齢者にはマウスの操作って、難しいんです。でも、iPadなら指で簡単に操作できる。高齢者も使いやすいと、飛びつきました(笑)」 こうしてiPadを使った認知症予防ツール「脳若」が誕生する。脳若の特徴は、なんといっても、受講者が楽しみながらできること。姪浜の講座でも、「ああ、できん!」と、頭を抱える受講者がいると、講師がすかさず声をかけていた。 「間違ってもいいんですよ。『あっ、間違えた』と思った瞬間、脳は活性化するといわれていますから」 失敗してもいい。できなくてもいい。ワイワイガヤガヤ、みんなで楽しく笑い合うことで、脳は若返る。短期記憶のトレーニングなどでも、答えが出てこない受講者がいたら、両隣の人が、ヒントを出して助け合うのが脳若だ。講師もヒントを出すことを積極的に勧めていた。 「どうやってヒントを出そうかと頭をひねるのも、すごい脳への刺激になるんですよ」
2017年11月19日世の中にたくさんある、不思議なこと。それが、なぜ起こっているのかを考えるとき、科学という言葉が使われたりしますね。子どもたちが日ごろ感じる「なぜ?」「どうして?」といった疑問は、ここに通じることも多いかもしれません。そこで、今回は未来の科学者を生みだすかもしれぬ(!)、サイエンスイベントをご紹介。親子みんなで楽しめる科学体験で、冬もホットなおでかけを楽しんでみてはいかがでしょうか。■東大・駒場祭で科学を伝えあう「なるほど実感!サイエンスミュージアム@駒場」11月24日(金)~26日(日)、東京大学駒場キャンパスでおこなわれる学園祭「駒場祭2017」。そこで体験できるのが「なるほど実感!サイエンスミュージアム@駒場」です。企画を主催しているのは東京大学のサイエンスコミュニケーションサークル「CAST」。テレビドラマ『ガリレオ』・映画『容疑者Xの献身』の実験監修や、テレビ番組『世界一受けたい授業』にも出演経験のある理科教育の第一人者、滝川洋二先生らが講師をつとめるゼミの受講生が中心となって2009年に結成されました。今回、参加無料・出入り自由で開催されるこのミュージアムでは、私たちが感じる「冷たい」という感覚にスポットをあてたドライアイス実験や、おもちゃに隠された科学の力を知る模型実験などを見ることができます。イベントは、東京大学の教室でおこなわれるので、小学生のお子さんは「いつも行っている学校とは違う雰囲気」にワクワクするでしょう。東京大学の学園祭は全国的にも有名で、来場者数も13万人以上。日本最高峰の学び舎がどんなものか、実際に見てまわれるのもいいですね。 ・東大CAST@駒場祭2017 ■実物大ロケットを間近で! 体験型展示がスゴイ科学館「つくばエキスポセンター」茨城県つくば市にある「つくばエキスポセンター」で11月中の土日に開催されるのは、「さかさま水コップ」「見えないチカラ! 大気圧」といったサイエンスショー。コップをたおしたら、中に入っているものがこぼれるというのは当たり前。でも、ここで目にするのは「さかさまにしてもこぼれない」という常識破りの状態です。普段、こうだと思っている事実が逆転する光景に「なんで!?」「どうやってるの!?」と大きな好奇心をはたらかせて、子どもたちは大いに不思議がってくれそうな予感。なんとなくわかっていても、その原理についてきちんと息子に説明できないパパ・ママの学びの場にもなりそう…。つくばエキスポセンターには体を動かしながら光、電気、力といった科学のおもしろさを体感できるサイエンスゾーンのほか、水力、火力、電子力などの秘密を学べるエネルギーゾーン、科学者のお仕事にクローズアップしたサイエンス・ワークスなど、常設展示の内容も豪華!屋外には、高さ50mもある純国産ロケット「H-II」の実物大模型もあり、真下から眺めることも可能。模型好きな子どもやパパが感動してしまうかもしれませんね。 ・つくばエキスポセンター ■天体望遠鏡で空の不思議を体感! 「はまぎん こども宇宙科学館」横浜市磯子区にある「はまぎん こども宇宙科学館」では、当日参加できるイベントが毎週多数開催されています。たとえば、好きなパーツを中に入れて宇宙のようなジェルキャンドルをつくるワークショップでは、ろうそくの炎が無重力ではどうなるのかをクイズ形式で解説。また、水に関係する浮力を確かめる実験や、磁石の力を利用した装置やおもちゃの実験など、すぐに体験できる自由参加イベントがたっぷり。施設全体が巨大な宇宙船をイメージされ、フロアごとに違うテーマのもと、科学や宇宙のおもしろさを体感できます。息子と訪れたことがありますが、1日いてもまったく飽きませんでした!気になっているのは、わが家もまだ経験したことのない「星空観察会」! 夜に開催されるこのイベントは、普段、肉眼で確かめるだけの小さな星たちを天体望遠鏡を使って見られるチャンスです。宇宙や星に興味がそれほどない子どもでも、ズームアップしてみる迫力ある星の姿に「え、近くで見たらこんな感じなの!?」と、感激してしまうのではないでしょうか。寒くなると、おうちの中で過ごすことが多くなりますが、キラキラ輝く星の下で楽しむ星空鑑賞は、冬のおでかけにもぴったり。星空観察会は事前の申し込みが必要なので、気になったらすぐに公式サイトでチェックしてみてくださいね! ・はまぎん こども宇宙科学館 ■人間の未来と科学をつなぐ! 150プログラムが体験できる「サイエンスアゴラ2017」11月24日(金)~26日(日)、お台場にあるテレコムセンタービルでおこなわれる「サイエンスアゴラ2017」は「あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場」。私たちが豊かに暮らしていくために科学技術は何ができ、どう取り入れていくのかを考えるものです。最初は「ちょっと子どもと行くには難しすぎるかもなぁ…」と思っていましたが、公式サイトをのぞいてみると、そんなことはありませんでした! 数学がもっと楽しくなる「お笑い数学ライブ」、せんたくのりから作る「ぷよぷよスライム」、本物の岩石を用いた標本作り、自分の口の中にいる微生物の顕微鏡観察、実験・工作・観察を含む科学絵本100点の展示(手にとって読めるそう)など、小さな子どもでも参加できるプログラムがたくさんありました!わが子がとびつきそうと思ったのは「オエカキ ロボットに挑戦!」という企画。手のひらサイズで回転する、ペンを取りつけたロボットにキレイな円を描かせるために、ブロックやギアを自分で組み替えて改造していく…というもので、重心、摩擦、遠心力などの原理を子どもの発想と試行錯誤を通過点として深めていけるそう。子どもを楽しませるためにきたものの「なるほどなぁ…」と、うなってしまうママやパパも多いかもしれませんね。 ・サイエンスアゴラ いかがでしたか? 寒くてもおでかけしたくなる、ワクワクのサイエンスイベントを4つご紹介しました。この冬はぜひ親子で、楽しい科学体験をしてみてくださいね。
2017年11月19日カメヤマキャンドルハウスから、タイガアソシエイツがブランド管理を行う、フジテレビKIDSと脳科学者茂木健一郎先生が監修して開発された、子どもの自由な発想を育てる新しい形のぬり絵“Paintaholic(ペインタホリック)”が発売されました。お話が生まれそうな知育ぬり絵“Painta holic”とはフジテレビKIDSと脳科学者の茂木先生が監修をし、子どもの自由な発想を育てることをテーマにして生まれた、今までにない新しい形のロール型ぬり絵です。塗るだけはなく、描く楽しさを満たし、そして、みんなで描くことで、新しい楽しさを見つけられる、そんな子どもの気持ちに寄り添ったコミュニケーショングッズブランドです。絵本作家が作ったぬり絵2008年にフジテレビKIDS、BSフジ、ポニーキャニオン、扶桑社の4社にて設立された「be絵本大賞」。今回のPaintaholicシリーズ第1弾は、「第8回be絵本大賞絵本屋さん特別賞」を受賞したトキタシオンさんがイラストを担当しています。塗り進めるにつれて、ストーリーが展開していく、縦サイズのロール型ぬり絵です。描くことも楽しめるぬり絵のロールに、イラストが描かれていない箇所があります。ロールの中にあるヒントをもとに、子どもたち自身で想像力・創造力を働かせながら、イラストを描いていき、自由な発想を育てていきます。自分だけのオリジナルストーリーシールをロールに貼ったり、イラストを加えて、自分だけのオリジナルのお話を作ることができます。自分の言葉や新しい仲間を登場させて、ぬり絵の世界に飛び込むことができます。商品紹介【ロール塗り絵】ペインタホリックロール2m/1m種類:ウチュウ/ウミ/モリ価格:630円(税抜)/330円(税抜)【フォトスタンド塗り絵】ペインタホリックフォトスタンド種類:ウシ/カンガルー/クマ/トラネコ価格:290円(税抜)【シール塗り絵】ペインタホリックシール種類:ウチュウ/ウミ/モリ/フキダシ価格:220円(税抜)
2017年10月23日最近、ネットの恋愛コラム界隈では、なぜか下火になりましたが、「自分磨き」という言葉がいっとき流行りました。女性誌では今でも、自分磨きという言葉がよく使われているようです。この自分磨きを必死になってやること、イコール彼氏をつくるポイント、みたいに言われていますが、恋の実態って、じつはそうじゃなかったりします。■努力したら負け最近の本には、「努力したら負け」とか「努力すればするほどダメになっていく」というような、一見して奇抜なことが書かれていることがあります。脳科学者が、脳を研究した結果、こう言っているのだから驚きです。つまりこの場合の努力とは、今やとてもじゃないけど流行らない「辛抱をしつつ、歯を食いしばって、必死の思いでなにかを成し遂げること」というようなニュアンス。これが「必要ない」と説く識者がいる、ということです。**賢者は「やっていて楽しいか、楽しくないか」で判断する、といいます。つまりたとえば、毎晩2時間の半身浴をすれば美容にいいとか、なんとかと言われているそうですが、半身浴が嫌いな人は、それを苦痛に満ち満ちてやっても、あなたが思うほど自分が磨かれない、ということです。長風呂が苦手でイヤであれば、ちゃちゃっとシャワーを浴びて、たとえばパッと寝てしまう。で、翌朝はやく起きて、ヨガなどで朝活を楽しむ、で、ヨガのあとに自分へのご褒美でスムージーを飲むとか、半身浴に変わる、なんらか自分がやっていて楽しいと思えることをすることで、脳もカラダも心も、自然と磨かれるんだそうです。■いい恋って、楽しい恋ってことです仕事でも恋愛でも同じことが言われています。たとえば仕事。フリーランスの人はまず、依頼がきた仕事を受けるか受けないか、から自分で判断する必要があります。「この仕事、あまりやりたくないけど、ギャラがいいからやろうかな」と思って引き受ける、フリーランスの人は大勢います。「この仕事を断ったら、来月もまた経済的に苦しいけど、やっていて楽しいと思える仕事しかしたくないから、断る」こういう人は、まだまだ少ないのが実情です。ここでいう「楽しい」とは、たとえばその仕事を通して、なんらかの学びがある、ということ。あるいはそもそも興味のある分野の仕事だということ、あるいはこの人と一緒に仕事をしたいというこころもち。**楽しいって「楽をする」とか「ズルをして手を抜く」ということではないですよね。そうではなくて、自分のためを超えた他人(ひと)のため、恋愛でいえば自分が恋していて楽しいのは当たり前でありそれ以上に、彼の幸せを願うことができるとか、彼の成功を祈ることができるとか、そういう「自他ともに、人としてまっすぐに生きるために必要なこころもちのすべて」が満たされること。こういうことを、ごく簡単に言うと以下のように言えるでしょう。やっていて楽しいことが、あなたを、理想の恋に(理想に自分に)導いてくれます。いい恋って、楽しい恋ってことです。(ひとみしょう/文筆家)(ハウコレ編集部)
2017年10月18日「アート」と「科学」は結びつかないように思えるモノたちだが、時に組み合わされることによって、予想できなかった素晴らしい結果を生み出すことがある。科学者としても、アーティストとしても活躍するセルゲイ・ストッペル(Sergej Stoppel)はその一例とも言える作品を世に出し続けている。複雑に線が入り組み描かれる、オードリー・ヘップバーンや動物などのポートレート。これらは実は一本の線から描かれており、一筆書きでここまで描き上げられている驚異的なシリーズだ。セルゲイの代表作とも言えるこれらは、ペンプロッタという描画用の機械にアルゴリズムをプログラミングし描かれている。シンプルな仕組みであるため線の太さは一定で、また線の色も一色しか使用することができない。しかしセルゲイはこの単純さとエレガントさに惹かれているんだと語ってくれた。小さい頃からアートと数学が大好きだったという彼は、現在は科学者として働いている。しかしアーティストとしての想いを常に自身の中に持っていたため、ペンプロッタを用いて図形描画のルーツへ戻った作品を作ってみようと思いついたそうだ。そうして生まれた彼のプロジェクトはラインズラボ(LinesLab)と名付けられた。線の持つそのシンプルさを、複雑で美しいものへ変化させていくことをコンセプトとし、その活動の幅を広げている。セルゲイの作品は彼のウェブストアで販売中。既存の作品の販売ではなく、写真を送ってポートレートを制作してもらえる、カスタムオーダーのみの受付だ。線画だけでなく円や三角形だけで描画するシリーズなども展開しており、幅広いバリエーションから選べるところも嬉しい。またリーズナブルな価格で制作してもらえるため、贈り物としても喜ばれそうだ。※本記事は (引用元: 、に許可を得て、翻訳・執筆を行っております。
2017年09月11日「ストレスとは、外部から受けるあらゆる刺激のこと。脳科学的にいえば、ストレスに強い人はいません。脳にはストレスを感じる中枢があって、刺激を受ければ誰もが興奮するようにできているんです」 そう語るのは東邦大学名誉教授で医学博士の有田秀穂先生は、専門家と企業が共同で、ストレスや身体・肌を調査研究する「オフラボ」の顧問を務めている。オフラボは4月、47都道府県の女性7万人を対象にしたストレス指数チェックの測定結果から、「ストレスオフ県ランキング」を発表した。このランキングは、厚生労働省の「ストレスチェック制度の健康状態項目」をベースに、ストレス度や体の悩み、肌タイプなど15項目のアンケート調査を行い、各県ごとの「ストレスオフ指数」を算出し、集計されている。 その結果、ストレスオフ指数が全国で最も高かったのは、愛媛県!2位の島根県を7ポイント引き離して堂々の1位になった理由を、有田先生に分析してもらった。 「愛媛県といえば、災害が少なく温暖で暮らしやすいイメージです。結果を全国と比較すると、『思いどおりに休みを使っている』『天気や温度の気候がいい』『ワーク・ライフ・バランスが実現している』『家事を家族で分担している』というポイントがとても高く、素晴らしい自然環境のなかで、マイペースな生活スタイルを過ごしていることがわかりますね」 オフラボは、調査のなかで、ストレス発散のための「リラックス行動」も集計している。愛媛女子だけに目立ったリラックス行動は、「空を見る」「自転車に乗る」「首を温める」「森林浴」、そして「笑う」というものだった。さらに、愛媛県出身の50代の主婦に話を聞いてみると、“おしゃべり”こそストレス発散の秘訣だと熱弁する。 「愛媛県民は、一度居酒屋に入ると、ずーっとしゃべっているんです。笑いながら言いたい放題するのは、愛媛女子の“あるある”ですね」(愛媛県出身の50代の主婦) 有田先生も、いちばん正しいストレス解消方法は“おしゃべり”だと太鼓判をおす。 「脳に刺激を受けたストレスを静める『オキシトシン』という脳内物質が見つかっています。このオキシトシンを分泌させれば、誰もが簡単にストレスを発散することができる。分泌させるいちばんいい手段は、グルーミング行動といわれる、スキンシップやおしゃべりなんです」 別名“愛情ホルモン”ともいわれるオキシトシン・家族や仲のいい友人などと手をつないだり、ハグなどのスキンシップや、マッサージ、楽しいおしゃべりなどをはじめとした、“心地よい触れ合い”が生まれたりすることによって分泌されるという。 「エステやマッサージに行くのも、グルーミング行動です。ペットとの触れ合いもOK。お金要らずで、気軽にオキシトシンを出す行為が、ひざを突き合わせた“おしゃべり”。男性だと、仕事のあとに“ちょっと一杯”もそうです。女性が“井戸端会議”をしたり、女子会を開いたりするのも理にかなっています」 たまには空を見上げ、楽しいおしゃべりでストレスオフを目指そう!
2017年05月31日脳科学者の茂木健一郎氏が、日本のお笑い芸人を批判したことに対してダウンタウンの松本人志にダメ出しされたことを受け、自身のツイッターでコメントした。茂木氏は、政治風刺などで笑いを取る海外と比較して、日本のお笑いに対する批判をツイッターで展開。それに対し松本は、19日に放送されたフジテレビ系『ワイドナショー』で、「笑いのセンスがまったくないから、この人に言われても刺さらない。ムカッとも全然こない。全然面白くないから」とバッサリ切り捨てた。茂木氏はこの日、フルマラソンに挑戦し、自己ベストを更新したことをツイッターで報告したが、「ネットニュースで『ワイドナショー』での松本人志さんのご発言を知る。。。フルマラソンの疲労のせいだと思うけど、力が出ないので、ちょっと横になってきます。。。」と冗談交じりに吐露した。また、「『ワイドナショー』で古市憲寿さんが『他人に期待するんじゃなくて自分で批判的コメディやれば』という趣旨の発言をなさったようですが、これまでも時々細々とはやっているし、これからも折りにふれ試みようとは思います」と社会学者の古市憲寿氏のコメントにも反応。「何しろセンスがないので、ろくなものができないかもしれませんが・・・。」と加えた。さらに翌20日、「松本人志さんの発言の部分、映像で確認しました」と報告し、「私はサンドバッグみたいでしたが、自分のことだ、ということを置けば面白かったです。茂木だけに『M』なのかな」と感想をコメント。「またセンスのない返し、すみません」と、再び自虐発言を繰り出した。
2017年03月20日ダウンタウンの松本人志(53)が3月19日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演し、脳科学者の茂木健一郎さん(54)が自身のtwitterで日本のお笑いについて「オワコン」と発言したことについてコメントした。 茂木さんは2月25日のtwitterで、アメリカのバラエティ番組について「コメディアンたちが徹底抗戦し、視聴者数もうなぎのぼりの様子に胸が熱くなる」と称賛。そのうえで「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終始し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」と痛烈に批判し、波紋を広げていた。 松本は「僕はこのニュースを見たときに、全然腹が立たなかったんですよ。何でこんなに全然腹が立ってへんのやろと思ったら、茂木さんが全然面白くないから。笑いのセンスがまったくないから。“この人に言われても刺さらねえぜ~!”って感じ」とバッサリ。司会の東野幸治(49)が「“ムカッ!”とはしなかった?」と聞くと、松本は次のように話した。 「“ムカッ!”とも全然こない。(茂木さんが)全然面白くないから。風刺とか、我々が下から上の人たちに何かを言うのは、笑いの取り方としてはいちばん安易で、すごく簡単なことで、誰でもできるんです。日本の芸人はそういうことをあまりやらないだけで。(茂木さんに)そこを言われてもなあ」 番組内では、3月11日放送の別番組でお笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔(36)と茂木さんが対談を行ったことを紹介。その際に茂木さんが「俺も反省しているもん。素人のくせに口出すんじゃなかったって」と発言したことを取り上げた。すると松本は「な?全然面白くないやろ?“脳科学的に”センスがないねん」と話し、笑いを誘っていた。
2017年03月19日幸福の科学への出家騒動で波紋を呼んでいる清水富美加(22)。実は、本誌は「清水さんが幸福の科学に“出家”するそうです。さらには団体での活動に専念するため、芸能界も完全引退するそうです」という話を受け、取材を進めてきていた。そこで幸福の科学に確認したところ、2月11日に「当教団の信者であり、出家することになりました」事実を認める回答が。その直後から本人がTwitterを開設し、取材陣が騒ぎ始めたのだった――。 清水といえば、今もっとも勢いのある女優の一人。08年に芸能界入りし、11年に本格的女優デビュー。15年にはNHK朝ドラ『まれ』でヒロイン・土屋太鳳(22)の同級生役を演じ大ブレークしている。そんな彼女が言う“出家”とは、幸福の科学の職員になって働くこと。幸福の科学に詳しいジャーナリストがこう語る。 「これまで所属事務所にも伏せていたそうですが、清水さんが幸福の科学の信者であることは幹部の間でも知られていました。ご両親ともに幸福の科学の信者で、幼いころから教えを固く信じていたそうです。そして彼女は今回、『女優よりもやりたいことが見つかった。これからは、幸福の科学のためだけに働いていきたい』と漏らしているそうです」 最近では仕事現場をドタキャンするなど、“異変”が起きていたという。 「事務所が本人の意向を無視して仕事をさせていたならまだしも、清水さんは最近も自身のTwitterで主演映画『笑う招き猫』の告知を行うなど熱心に仕事していました。彼女がどれだけ突発的に芸能界引退を申し出たのかがうかがえます。彼女のマネージャーは清水さんがブレークする前から二人三脚でやってきていました。『今まで一緒にやってきたのに、なんでこれからという時期に』と途方に暮れていることでしょうね」(テレビ局関係者) そこで本誌が幸福の科学に確認を申し込んだところ、冒頭のように出家の事実を認めるコメントが。またその経緯についてもこう補足した。 「清水富美加さんは子供のころから熱心な当会信者でした。折々に祈願や支部に参列し、仏法真理的価値観を子供のころから学ばれてきました。しかし、次第に主役級の仕事が振られる中で、必ずしも彼女の思想信条にかなっているとは言えない仕事が増えてきました」 そんな彼女は、1月に収録された『女優清水富美加の可能性守護霊インタビュー』(幸福の科学出版)をきっかけに今回の出家を決意したのだという。 「この経典をきっかけに富美加さんは、自らの天命が一人でも多くの人に光を伝え、真理を伝えて、人類救済にあたることにあると確信し、この度、出家される運びとなりました。従って、今月で事務所との契約は解除し、体調が回復しましたら、宗教家としての活動に移ってまいります」 また清水の所属事務所にも確認したところ、担当者は「仕事を休んだことは事実ですが、それ以上はお答えできません」と答えていた。15年4月の本誌インタビューで、清水は女優業についてこう語っている。 《高校時代はすごい反抗期で。母が飴で父がムチ、って感じで、もうケンカばっか。勉強したくない!高校行きたくない!って。でも、高校を卒業して、結局、いちばん困ったときに助けてくれたのはお父さんだったな、ってハッとして。この仕事は、“夢”というより、そのころ迷惑をかけちゃった人たちに、恩返しのためにやっているような感じかなぁ》
2017年02月14日宗教団体「幸福の科学」は12日、「女優・清水富美加氏の幸福の科学への出家について」と題したコメントを公式サイトで発表した。はじめに「このたび、テレビ、映画等で活躍し、日本を代表する若手女優の一人である女優・タレントの清水富美加氏(22歳)が、当教団に出家することになりました」と報告。清水は熱心な信者で、子供のころから「幸福の科学」の宗教行事には参加してきたそうで、宗教的価値観のもと「見て下さる方に元気や励ましを届けたい」という利他愛他の思いで芸能活動に打ち込んできたという。しかし、「人道的映画に出たいという強い希望を持っていたにも関わらず、最近は、人肉を食べる人種の役柄など、良心や思想信条にかなわない仕事が増え、断ると所属事務所から干されてしまう恐怖心との葛藤のなかに置かれていました」とし、「仕事を選択する自由も無い、一種の"苦役"(憲法で禁じられています)ともいえる就労環境のなかで、ついには心身の不調をきたすまでになりました。この2月には、医師による診断の結果、ドクターストップがかかり、現在は芸能活動を中断しています」と説明。さらに、「こうした動きと相前後して、同氏の「守護霊霊言」が収録公開され、『女優 清水富美加の可能性 守護霊インタビュー』として刊行されました。この収録・発刊をきっかけに清水氏は、自らの天命が『暗黒の海を照らす灯台の光となり、一人でも多くの人を救済していく』ことにあると確信し、『魂の救済のために24時間を捧げる』宗教者となるべく、出家を決意されるに到り、当教団としても宗教上の緊急救済の観点から受け入れを決めた次第です」と清水の決意を伝え、「体調が回復しだい、宗教活動に参画してまいります。どうか温かい目で見守っていただければ幸いです」と記している。
2017年02月13日質問:家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなりますか?先日祖父が、脳梗塞で倒れました。あまりに突然のことでショックは大きかったです。思い返すと、曽祖父も脳梗塞で何度か倒れており、いつか自分も脳梗塞になって倒れてしまうのではないかと心配になりました。まだ20代ですし、あまり深く考えてはいなかったのですが、家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなってしまうのでしょうか?福島県:mika5353さん(26)回答:「脳梗塞」についてお答えします。――「脳梗塞」とは脳梗塞の遺伝性についてですが、簡単にいうと「脳梗塞そのものは遺伝しないが、脳梗塞になりやすい体質は遺伝する可能性がある」ということになります。脳梗塞は何らかの理由による、脳に酸素や栄養を供給する動脈の閉塞や狭窄(きょうさく)のため、脳が虚血状態となり、脳組織が壊死してしまうことをいいます。脳梗塞の種類はいくつかありますが、代表的なものは下記の3つです。動脈硬化および血管内壁のアテロームの沈着によって動脈の内腔が狭まり、十分な血流を保てなくなる「アテローム血栓性脳梗塞」※リスクファクター:動脈硬化を招きやすい高血圧や糖尿病、高脂血症心臓から血栓が血流にのって飛んでくる「心原性脳梗塞」※リスクファクター:心房細動など心臓に基礎疾患がある場合脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」※リスクファクター:高血圧<生活習慣に気をつかいましょう>高血圧や糖尿病、高脂血症などはある程度遺伝の要素もありますし、例えば食習慣や運動習慣といった個々の家庭の生活習慣も、親から子、子から孫へと引き継がれることが多いので、どうしても家系内に多い病気、という捉え方になってしまいがちです。しかし脳梗塞は遺伝性の病気ではないので、脳梗塞の多い家系の方でも、生活習慣に気をつかうことで、多くの場合、発病を防ぐことは可能です。「いつか自分も脳梗塞になるのではないか」と思い悩む必要はありません。身近なところでは、過度の飲酒やたばこをやめ、適正体重を保ち、運動習慣をつけるといったところから心がけるとよいでしょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:数年前、祖母が脳梗塞で倒れました。家系的にコレステロールも高め、血管年齢も高いのではないかと心配です。数年前、祖母が脳梗塞で倒れました。一命を取り留めましたが、歩行に不自由が残りました。また、つい最近では、母の友人も若くして脳梗塞になったそうです。私はまだ30代になるところですが、こうした話を聞くにつけ、不安になります。特に、家系的にコレステロールも高めですし、血管年齢も高いのではないかと心配しています。これから先、具体的にはどのようなことに気をつけたらよいでしょうか?神奈川県:moekamさん(29)回答:「脳血管疾患」の予防法についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子への対策将来、脳血管疾患にかかるのではないか不安、とのことですね。脳血管疾患になる危険因子と、それにどう取り組むかを見てみましょう。■高血圧1日10g未満を目安に、減塩を心がけましょう。ただし、すでに高血圧と診断されている人は、6g未満に抑えましょう。減塩しょう油を使ったり、酢や柑橘類で味付けしたりなどの工夫をしてみてください。香辛料やハーブなどを利用するのもよいでしょう。また、塩分を外に出す働きのあるカリウムをとりましょう。カリウムは、野菜やきのこ類、果物などにたくさん含まれています。■不整脈不整脈の中でも、「心房細動」が脳血管疾患を起こす一番の原因になります。心房細動が起きると、心臓が不規則なリズムで収縮するため、きちんと血液を送り出せません。また、血液が淀んでしまい、血栓ができ、これが頭へと飛ぶと、脳梗塞の原因になります。もし、健康診断などで「病院で精密検査を受けてください」と指示が出るようでしたら、この心房細動が隠れている可能性があります。しっかり、病院を受診しましょう。■糖尿病そもそもの話として、糖尿病にならないことが大切になってきます。食べ過ぎず、そして、適度に運動を行うようにしましょう。毎日まとまった時間をつくって運動することは難しいかもしれませんが、降りる駅を1つ手前にしてみる、エレベーターではなくて階段を使う、など少しのことでいいので、工夫してみましょう。 ■脂質異常症脂質、特にLDLコレステロール(俗にいう悪玉コレステロール)は動脈硬化を促進し、脳血管疾患になる危険を押し上げます。ですから、食事に気をつける必要があります。バターなどの乳製品、レバー、マヨネーズなど動物性食品には、コレステロールが多く含まれています。これらの食品をとり過ぎないように注意してください。肉は、赤身や皮なしの鶏肉などをとるようにし、脂身は避けるようにしましょう。魚は、青魚を食べましょう。そして、コレステロールの吸収を抑える食物繊維を多く含む野菜、海草類、きのこ類などを積極的にとりましょう。■喫煙喫煙は、脳血管疾患の危険因子になるだけでなく、身体のあらゆる部位のがんの原因にもなりますし、心筋梗塞の原因にもなり、百害あって一理なしです。やめられるのであれば、すぐにやめるのが一番です。しかし、ニコチン依存症で、精神的にも肉体的にもたばこから離れられないという人もいるでしょう。禁煙外来を開設している病院も多いですので、そちらで相談してみましょう。■肥満BMIを「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算し、「25以上」を肥満とします。適度な有酸素運動(ウォーキングや水泳など)を行い、食べ過ぎないようにしましょう。■過度の飲酒お酒は適度に飲むようにしましょう。1日のお酒の適量は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本(500ml)、ワインなら2杯(240ml)までとされています。お酒を飲むときには、おつまみを食べる人が多いですが、おつまみには塩分がたっぷり含まれていますので、食べ過ぎに注意しましょう。■家族歴あり家族のなかで脳血管疾患になった方がいる場合には、脳血管疾患になる可能性が高くなります。こちらについては予防ができませんが、より危険性が高いことを認識し、上記の生活習慣に気をつけて生活するようにしましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患に。遺伝的に脳卒中などになりやすいのでしょうか?4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患になっています。くも膜下出血が50代で一人、脳卒中が50代で一人と70代で一人です。私も身内に脳血管疾患の患者がいない人より脳卒中などになりやすいと考えておいた方がいいのでしょうか?また、脳ドックを定期的に受けるとしたら、どんな検査項目のものを、どれくらいのペースで受けておけばいいでしょうか?東京都:デルタさん(42)回答:脳血管疾患の遺伝性についてお答えします。――「くも膜下出血」の原因脳血管疾患の遺伝性に関するご質問ですね。くも膜下出血と、それ以外の脳卒中にかかられた近親者の方がいらっしゃるということですが、まず、くも膜下出血に関してお話ししましょう。くも膜下出血の原因は、脳の血管にできたコブ、つまり脳動脈瘤の破裂が約8割、動静脈奇形と呼ばれる血管の異常など、その他の原因が2割を占めるといわれています。 このうち、脳動脈瘤によるものは遺伝的な体質、つまり一般よりも高い頻度で一つの家系に発生する病気です。人口全体のなかでのくも膜下出血の発生率は0.015~0.02%程度と低いのですが、2親等以内(両親、子、孫、祖父母、兄弟姉妹がこれにあたります)にくも膜下出血の方が一人いると、2~8%前後の発生率になると考えられています。血管が二股に分かれる部分で、3層になっている血管の内膜のうち、真ん中の層に当たる中膜が生まれつき欠損している方がおり、ここに血圧がかかることにより、その部分だけふくらみが生じます。この動脈瘤にさらに小さなコブ(娘瘤といいます)ができると破裂を起こしやすくなるといわれています。ただ、動脈瘤そのものはあったとしても全体の1%以下しか、実際には破裂しないともいわれています。一般に、動脈瘤の直径が3mm以上のもの、娘瘤があって形がでこぼこしているものは破裂の危険が高いとされています。脳動脈瘤は脳ドックなどの検査項目にもあるMRA(MRIの技術を用いて簡単に血管撮影を行うもので、造影剤は使いません)で疑いがないかどうか見ることが可能です。疑わしい場合には3D‐CTA(三次元脳血管造影)などより詳しい検査を行って、脳動脈瘤の有無や形態などを確認していくことになります。<「くも膜下出血」以外の脳卒中について>一方、くも膜下出血以外の脳卒中に関しては、くも膜下出血ほどのはっきりした遺伝性はありません。しかし、脳卒中のリスクを上げてしまう高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症などは、生活習慣病であると同時に遺伝の関与も指摘されている疾患です。特に家系的に脳卒中になる方が多い場合は、これらの病気にかからないように食生活や運動習慣などに十分留意することが大切です。最後に、脳ドックに関してですが、脳ドックは脳内の血管の異常や腫瘍の有無、脳萎縮や梗塞を調べる目的で行われています。くも膜下出血の原因となる動脈瘤の発見にはとても役立ちますから、一度は受けておくとよいでしょう。もし、脳動脈瘤がなければ、一般的に5年に一回程度の検査でよいものと思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:脳血管疾患を発症後、自宅での介護が不安です。脳血管疾患を発症してしまった場合、リハビリ専門の病院などに数カ月間入院してリハビリをすると聞きました。リハビリ専門の病院を退院した後に自宅での介護生活になると思いますが、トイレやお風呂に手すりをつけても家族だけでの介護はやはり限界かなと感じています。通所や訪問リハビリなどをうまく使って生活をした方がいいのでしょうか?新潟県:リンゴジャムさん(38)回答:脳血管疾患発症後のリハビリについてお答えします。――介護サービスについて脳血管疾患にかかった場合、急性期の治療が終わった後が大事になってきます。脳血管疾患にかかった後のリハビリは、継続することが重要です。通所、訪問リハビリを行っているところも多いので、そういったサービスを利用しましょう。また、要介護、要支援などの認定を受ければ、介護サービスを利用することも可能です(※)。仕事をしつつ身体の不自由な家族の介護となると、精神的、肉体的にも負担が大きいので、こういったサービスも適宜利用しましょう。要介護、要支援の認定を受けるには、市町村の窓口に行き、申請します。申請後、自治体の職員が自宅を訪問し、聞き取り調査などを行い、かかりつけの医師にも意見書を提出してもらうなどの段階を経て、要介護度、要支援度が決定されます。時間はかかりますが、サービスを受けるにあたって経済的支援を得られますので、利用するとよいと思います。自宅をバリアフリー仕様にした場合にも、助成金が出る場合もあり、大変助かります。※サービスを利用できる方は、65歳以上の方および40歳から64歳までの介護保険に加入している方で、初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(16種類の病気)により介護が必要になった方となります。<リハビリの重要性>ところで、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患を発症し、後遺症が残ってしまった場合、できるだけ早い時期からリハビリを開始するのが原則です。入院している病院でも、「もう今から始めるの?」と思うぐらい、早くからリハビリを始めるので驚く方もいるでしょう。というのも、後遺症が残ってしまった場合、6カ月を過ぎると途端にリハビリの効果が見られなくなり、発症してから6カ月の間にどこまで機能を回復できるのかが勝負になってくるのです。せっかく回復期に取り戻した感覚や機能も、その後特にリハビリをすることなく放置してしまうと、再び状態が低下していきます。身体はしっかり使わないと、機能が退化してしまうのです。それを防ぐためにも、急性期を過ぎてからも、かかりつけの医師を定期的に受診し、在宅リハビリを適切に続けていくことが大変重要になってきます。「以前は問題なかったのに、どうしてできないんだ」と途中でくじけそうになるときもあるでしょう。しかし、「休まずリハビリを続ければ、必然的に今よりよくなっていく」という前向きな気持ちを忘れずに、リハビリを地道に続けていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。生活習慣でなる病気なのでしょうか?産後、睡眠不足や運動不足が否めません。もともと不摂生だったこともあり、血管や骨の老化が心配でした。遺伝的なものもあると聞いたことがありますが、最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。子どもが生まれたばかりでまだ何年も手がかかるため、今後の自分の健康状態が不安です。家族に脳動脈瘤があると聞いたことはないのですが、生活習慣でなる病気なのでしょうか?今から気をつけられることがあれば伺いたいです。東京都:たまきさん(32)回答:「脳動脈瘤」についてお答えします。―――「脳動脈瘤」とは「脳動脈瘤」自体はかなりの頻度で見られるもので、健康な人の3~6%に見られるというデータがあります。脳動脈瘤が怖いのは、破裂した場合です。破裂する頻度は年間2%(100人の脳動脈瘤患者さんのうち、年に2人)と考えられていますが、大きな脳動脈瘤、複数の瘤を有する方、すでにくも膜下出血を起こしている方、喫煙者、女性などが破裂しやすいといわれています。<これからの生活で気を付けること>脳動脈瘤ができる原因ですが、他の病気と同様、「遺伝的な要因と環境要因」があります。家族や家系内に脳動脈瘤の患者さんがいる場合、脳動脈瘤の発症リスクは高くなります。また、環境要因としては、喫煙と高血圧、大量飲酒があります。なかには遺伝的要因もなく、喫煙もせず、高血圧がない方にも脳動脈瘤ができる場合もあります。これからの生活で気を付けることは、他の生活習慣病と同様、喫煙や過度の飲酒は控える、血圧は高くならないようにすることです。ご相談者さまのように、脳動脈瘤があるかどうかも分からない現時点では、特に心配することはないと思われますよ。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?30代半ばの主婦です。父方、母方両方の祖母が、脳卒中が原因で、認知症になったり、亡くなったりしました。私自身はお酒もたばこもたしなみませんが、一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?また、早期発見できた場合とできなかった場合、どれだけの医療費の負担差が予想されるでしょうか?滋賀県:atuさん(35)回答:年齢と「脳血管疾患」の関係についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子一般的には、脳梗塞などの脳血管疾患は、中高年や高齢者に発症することが多いです。一方、脳血管疾患の一つであるくも膜下出血は、40代、50代の働き盛りにも起きますので、特定の年代に限ったものではありません。では、脳血管疾患の危険因子を見てみましょう。■高血圧最も危険な原因は「高血圧」です。軽度の高血圧者(上の血圧が140~159mmHgほど)が脳卒中で死亡する危険度は、至適血圧者(してきけつあつ:理想的な血圧の値のこと)(110~119mmHg)と比べ、約3倍になります。重度の高血圧者(上の血圧が180mmHg以上)の場合、リスクは7倍以上に高まります。その他の要因は下記が挙げられます。 ■不整脈 「心房細動」という不整脈は、心臓が原因で起こる脳梗塞の最大の原因になります。きちんと脈を刻めない心臓は、流れが滞り、血液の塊ができてしまいます。その塊が脳へと飛び、脳梗塞になるのです。主な原因は高血圧、心筋症、心臓に酸素を送る冠動脈の動脈硬化です。しかし、過度な喫煙、飲酒、過労なども発作を誘発する場合があります。■脂質異常症動脈硬化を引き起こすLDLが高いと危険です。■高血糖状態糖尿病により高血糖状態が継続し、脂質が高い状態も加わると、動脈硬化を促します。脳の毛細血管まで硬化すると、脳梗塞のリスクが高まります。■喫煙たばこを吸わない人に比べて2.0~2.5倍も危険性が高いといわれています。喫煙をすると、血圧が上昇し脳の虚血が進行します。一酸化炭素やニコチン、タールなどが身体に入り、全身の血管が収縮するためです。 ■過度な飲酒お酒は、ほどよく飲む分には身体のリラックスや食欲の増進、血の巡りをよくするといった、プラスの効果があります。ですが、過度な飲酒は、肥満・動脈硬化・高血圧・糖尿病を引き起こし、また脳卒中のリスクを高めます。上記以外にも、家族に脳血管疾患になった人がいる場合は、脳卒中になる危険性が高くなります。遺伝の問題のため予防は難しいですが、発症のリスクが高いことを知っておいてください。<早期発見できた場合とできなかった場合の治療費>また、早期発見できた場合とできなかった場合の治療費の差、ということですが、脳血管疾患の一つである脳梗塞の場合を見てみましょう。この場合は早期の対応が重要になります。発病から3時間以内であれば、t-PAという薬を使用し、原因となった血栓を溶かすことが可能だからです。この条件に当てはまった50代の男性の場合、入院10日、治療費負担額30万円ほどで済んだのですが、t-PAを使用した治療を行うことができなかった70代の男性は、脳の血管が狭くなった部分を広げるためにステントという器具を入れる手術を行い、25日入院しました。結果、80万円ほど負担することになったのです。早期発見で、しかも血栓溶解療法が適応できた場合には、そうでない場合と比べ、治療費に大きな差が見られます。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか不整脈と言われたことはありませんが、健康診断の血圧、脈拍の項で再検査や要観察となることがあります。不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか?また、3カ月前に歩行中に車に接触し、転倒してアスファルトに後頭部を強打する事故に合いました。しばらくめまいが続きましたが今は回復しています。事故の後で脳出血の原因となることはありますか?埼玉県:みのりさん(44)回答:「不整脈」と「脳血管疾患」の関連性についてお答えします。―――「不整脈」と「脳血管疾患」の関係まず、一つ目は、不整脈と脳血管疾患の関連性に関するご質問ですね。不整脈は脳梗塞の原因として非常に重要なものと考えられていますが、すべての不整脈が脳梗塞を起こすわけではありません。健康な人にも不整脈は起こることがありますが、危険な不整脈が起こると脳梗塞を起こしたり、倒れたりすることがあります。脳梗塞と特に関連が深いと考えられている不整脈は「心房細動」と呼ばれる不整脈です。この心房細動について、少しご説明しましょう。心臓は身体の各部に血液を送り出すポンプの働きをする臓器で、左右二つずつの心室と心房とからなります。心臓の筋肉が拡張と収縮を繰り返している時、微弱な電流が発生します。心電図検査はこの電流の活動を読み取ることで、心臓の各部の働きを調べる検査になります。正常な心臓であれば、心房の収縮→心室の収縮→心室の収縮の終了、と規則的に波が出現しますが、心房細動の状態になると心房の筋肉が不規則に収縮し、小刻みに震えたような状態になります。このため、心房の中の血液の流れが滞り、主に左心房の壁の一部に血の塊(血栓)ができてこれが血流に乗って脳などに運ばれ、脳梗塞を起こすことが知られています。このメカニズムにより、心房細動のある人は、ない人に比べて脳梗塞の発症率は5倍も高いといわれています。心房細動は女性より男性に多い傾向があり、加齢とともに増えてくる傾向があります。また、高血圧や糖尿病、強いストレスなどがあると心房細動が発症しやすく、遺伝性もあることが知られています。食生活や運動習慣、適切なストレスの解消といった予防を心がけることが、脳梗塞を避けるための第一歩といえるでしょう。もちろん、もし心房細動を発症してしまったら、薬物療法はじめ適切な治療を続けることは非常に重要です。<脳の出血について>また、二つ目の、頭を強く打った数カ月後に脳に出血が起こる可能性に関するご質問ですが、頭部を強く打った後しばらくしてから、脳と脳を覆っている硬膜との間に徐々に血腫ができ、さまざまな症状が出る「慢性硬膜下血腫」という病気が知られています。高齢者に多い傾向がありますが、若い方に発生することもあり、頭痛や歩行障害、片麻痺や物忘れなどで気づかれることがあります。頭を打ったあとにある程度時間が経過していても、「おかしいな」と思われたらぜひ脳神経外科を受診してください。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
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