年齢とともに不安になってくるのが“脳の衰え”。認知症になる人は増え続け、2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると推計されている。「まだ自分は大丈夫」と思っている人も多いと思うが、日常生活に支障をきたすほどではないものの、記憶力や注意力などの認知機能に低下が見られる状態をMCI(軽度認知障害)といい、認知症の一歩手前とされる。MCIの人も現在約400万人いるといわれ、MCIの時期に何もしないで放置すると1年で10%、4年で40%が認知症に移行するという報告もある。「MCIになると必ず認知症になるというわけではありません。対策を講じることで正常な状態に戻る可能性もあります。いつまでも元気で過ごすためにも、早期発見をして予防と治療に結びつけることが大切です」そう語るのは、認知症予防専門の「ひろかわクリニック」(京都府宇治市)の広川慶裕院長だ。■耳周辺の筋肉をゆるめ脳の健康をキープどんな治療法があるのだろうか。広川院長は、台風など気圧の変化で起きる気象病をはじめ、自律神経が乱れたときに行うと症状が緩和されるという「耳マッサージ」が、「認知症の予防にも効果がある」と提唱する。「認知症を予防するために私のクリニックでは、食事や運動、生活習慣の改善などさまざまなことを行います。そのうちのひとつに『耳マッサージ』があり、患者さんには毎日行ってもらっています。アルツハイマー型認知症の場合は、特に海馬の周辺の血流が落ちてきます。耳マッサージで脳に血流を促すと、細胞に酸素と栄養が行き渡るようになるので、脳の機能が回復してくるのです。個人差はありますが、早い人では毎日の耳マッサージを行ってから、2~3週間で効果が出てきたケースもあります」(広川院長・以下同)海外の研究でも、耳のツボを押すなど耳を刺激することで脳への血流を促すと、徘徊やうつ、怒りっぽくなる、暴力をふるうなど、認知症に伴って現れる行動、心理状況(BPSD)が改善するといった報告もある。「中医学でも、耳には体全体につながる12の経絡が集まっています。経絡とは気やエネルギーの通り道で、そこを押して刺激を与えることで、全身の臓器が活性化してくると考えられています。頭がスッキリして、記憶力自体が改善する可能性がありますので、スキマ時間にいつでもどこでも簡単にできる『耳マッサージ』を覚えておくと便利ですよ」やり方は簡単。全部手順どおりにやる必要もなく、1日1~3分くらいの時間でOK。寝起きなど頭がぼんやりしているときにやると効果絶大で、逆に寝る前などはやらないほうがいいという。■認知症予防に効果!「耳マッサージ」4【1】耳折りまずは、「耳折り」から。最初に「耳折り」を行うと、一気に血流がアップして覚醒するので、両手を使って両耳でやってみよう。「手の小指側を使い、耳をギョーザの形のように前側に折ります。次に手の親指側で耳を上から下に押さえて上側の耳を折り、最後にもう一度手の小指側で耳たぶを下から上に折ります。それぞれ3~5秒程度静止させます。耳全体が刺激され、血流が促されます」【2】耳もみ次に「耳もみ」を。耳にはツボが集中していて、押すと不調が改善するといわれている。「外側の上部には自律神経、耳たぶには疲れ目、耳の前方の突起部分『耳珠(じじゅ)』には鼻炎やホルモンにかかわるツボがあります。耳の外側上部から耳たぶにかけて指で押していきましょう。痛みを感じる部分があったら、そのツボの内臓にあたる部分が弱っているというシグナルです」【3】耳ひっぱり3番目は「耳ひっぱり」を。親指と人さし指で耳をつまみ、両耳を外側に向かってひっぱり、数秒間キープして勢いよく離す。耳をひっぱると、耳と頭の間にすき間ができて、「蝶形骨(ちょうけいこつ)」が自由になる。「神経の通りがよくなるとともに、血流もよくなり、こりや疲れが解消されるといわれています」そのあと、耳を上方向、下方向に順にひっぱりパッと離す、を繰り返しトライしよう。【4】耳まわし最後は「耳まわし」だ。親指と人さし指で耳をつかみ、外側にひっぱり、数秒間キープしたら、上から下へ向かってぐるぐる回す。しばらく回したら、次は下から上へ、逆方向に何度か回す。耳周辺の筋肉をゆるめることで、首や肩こり、頭痛、不眠が解消されるという。不眠は認知症のリスクを高めるひとつなので、耳マッサージは習慣化させたいところ。「血流を促すため最初に『耳折り』を行ったほうがいいのですが、基本、順番や時間は適当でもかまいません。長続きの秘訣は気楽にやることなので、一つでもいいので耳マッサージを毎日続けましょう」脳の健康と若さをキープするためにも、毎日トライしよう。
2023年10月04日「9月25日に厚労省が認知症の進行を遅らせる効果のある国内初のアルツハイマー病治療薬『レカネマブ』(エーザイと米バイオジェンの共同開発)を正式に承認し年内にも日本の医療現場で使えるようになる見込みだと報じられました。このように認知症を取り巻く環境は刻々と変化しており、認知症保険の選び方もそれに応じて変わってくると思います」こう話すのは「NEWよい保険・悪い保険2023年版」(徳間書店)の共同監修などでおなじみの“保険のプロ”長尾義弘さん(ファイナンシャルプランナー)だ。この保険は、認知症に特化したもので、認知症と診断されると給付金が受け取れるもの。一部には、正常な状態と認知症の間にある軽度認知障害(MCI)を保障する商品もある。「厚労省によると、日本国内における認知症患者数は2020年の600万人から25年には730万人、高齢者の5人に1人が認知症になると推測され、深刻さを増しています。そうした背景もあり、認知症保険はいま注目の保険。それだけに大手を含め多くの保険会社の商品があり、それぞれに保障内容や保険料が異なるため、選び方がむずかしくなっているのが現実です」また今回のアルツハイマー病治療薬『レカネマブ』は症状の進行を抑えるもので治すものではない。まだ認知症は治る病気ではないのだ。そうしたことをふまえて今回、長尾さんが認知症保険選びのポイントとあげるのは次の3つだ。(1)保険料が安い「現在の物価高で家計が苦しい現状では、月々の保険料負担をいかに抑えるかは重要な視点です。高齢者の5人に1人という数字は重いですが、裏を返せば5人に4人はならないとも言えます。それを考えると貯蓄で足りない分を保険で補うことで診断一時金として100万円程度を基準になるべく保険料の安い商品を選びましょう」(2)親を対象にして加入できるかどうか「じつは認知症介護で実際に介護する側の子供の負担が大きいという現実があります。もし自分の親が心配という場合、自分の親を対象に加入できる商品があります。この商品に親が入っていると、介護になって施設に入るときの初期費用にも役立ちます。また認知症治療費用の一部にすることができます。アルツハイマー病治療薬『レカネマブ』が承認され、認知症治療に展望が開けてきたいま、これも将来を考えた大切な備えだと思います」(3)軽度認知障害(MCI)と診断されたときに給付金が出る「認知症保険は、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についても保障している商品が増えてきました。MCIの段階で治療すると健常者に戻る可能性があるからです。認知症の早期発見、早期の治療がとても重要です。MCIの給付金で早期治療の動機付けになってほしいという意味もあります」新しく承認されるアルツハイマー病治療薬『レカネマブ』の対象は、軽度認知症MCIである。今後は、認知症の早期発見・早期治療がより一層重要になってくる。今後、認知症保険も、よりMCIに対応する保障やサービスが充実してくることを期待したい。
2023年09月29日「厚労省によると、日本国内における認知症患者数は2020年の600万人から25年には730万人、高齢者の5人に1人が認知症になると推測され、深刻さを増しています。そうした背景もあり、認知症保険はいま注目の保険。それだけに大手を含め多くの保険会社の商品があり、それぞれに保障内容や保険料が異なるため、選び方がむずかしくなっているのが現実ですこう話すのは「NEWよい保険・悪い保険2023年版」(徳間書店)の共同監修などでおなじみの“保険のプロ”長尾義弘さん(ファイナンシャルプランナー)だ。この保険は、認知症に特化したもので、認知症と診断されると給付金が受け取れるもの。一部には、正常な状態と認知症の間にある軽度認知障害(MCI)を保障する商品もある。長尾さんが各社の商品を厳選比較。いま入るべき最新の認知症保険ベスト3は下記の通りだ。第1位朝日生命「人生100年時代の認知症保険」大きな特徴は、本人だけではなく、配偶者や親も加入することができるという保険。保障内容はシンプルで、認知症介護一時金と認知症診断一時金。認知症介護一時金は、認知症と診断されて、かつ要介護1になったとき。認知症診断一時金は認知症と診断されたときというのが要件だが、月々の保険料が割安なのもポイント。告知も3項目だけの緩和型で入りやすい。■保険料60歳男性:1120円60歳女性:1274円保険金額の例:認知症介護一時金=100万円、認知症診断一時金=10万円、保険期間・保険料払込期間=終身第2位太陽生命「ひまわり認知症予防保険」(スマ保険)特徴は、2年に1回、予防給付金が受け取れること。認知症では、早期発見がもっとも重要。この予防給付金は、認知症の検査を受診する動機付けにもなる保険。ちなみに契約者が「MCIスクリーニング検査プラス」を受診すると当検査を提供するMCBI社より2000円のQUOカードがもらえるサービスもある。認知症により所定の状態が180日継続した場合も受け取れる認知症治療給付金もプラスすることができる。告知は緩和型なので入りやすい。■保険料60歳男性:3394円60歳女性:4370円保険金額の例:認知症診断保険金=100万円、予防給付金=1万円、死亡保険金=25万円、保険期間・保険料払込期間=終身第3位SOMPOひまわり生命「笑顔をまもる認知症保険」特徴は、軽度認知症と診断確定をした場合に、5%の軽度認知症一時金を受け取ることができる。たとえば、認知症一時金100万円の契約は、軽度認知症一時金で5万円、認知症一時金で95万円になる。また、骨折した場合でも「骨折給付金」が出る。災害死亡給付金は、骨折給付金の10倍が出る。告知は緩和型なので入りやすい。■保険料60歳男性:3430円60歳女性:4335円保険金額の例:認知症一時金=100万円、軽度認知症=5万円、骨折=1回につき5万円、災害死亡=50万円、保険期間・保険料払込期間=終身「第1位の朝日生命『人生100年時代の認知症保険』は保険金の支払要件が認知症と診断されたときと少し厳しいですが、本人だけではなく、配偶者や親も保険に加入することができ、なにより月々の保険料の割安感が決め手でした。認知症の検査を受診する動機付けにもなる予防給付金がついている太陽生命『ひまわり認知症予防保険』、軽度認知症と診断確定をした場合に、5%の軽度認知症一時金を受け取ることができるSOMPOひまわり生命『笑顔をまもる認知症保険』もぜひ検討してみてください」なお、現在加入している医療保険やがん保険にも「指定代理請求特約」をつけておくことが大切と長尾さん。「この特約は家族などが本人に代わって保険金を請求できるようにした特約で、無料でつけることができるもの。認知症と診断され、給付金を受け取る際、すでに意思表示がむずかしくなっているケースが想定されますので、この特約で、あらかじめ指定代理請求人を指定しておくことで、スムーズに給付金などを請求することができます」
2023年09月29日短時間で取り組める脳トレクイズ。難しい問題が解けた時の爽快感に「やみつきになる!」と感じている人も多いのではないでしょうか。紙やペンがなくても楽しめる脳トレとして人気が高まっているのが、マッチ棒クイズです。あらかじめマッチ棒で作られている形から、マッチ棒を取り除いたり移動させたりして、別の形へと組み替えましょう。紹介するのは、誤った数式を正しい形へと変換するマッチ棒クイズです。「6-6=6」からマッチ棒を1本だけ動かして、正しい形に直してみてください。※この記事で紹介する正解はあくまで一例です。気になる正解は…「6-6=6」を正しい式にするために、注目したいのは答えの「6」です。ヒントは「6」を「0」にするということ。さぁ、答えにたどり着けたでしょうか。移動させるべき1本は、答えの「6」の中央にある横棒です。右上の空いている縦部分へと移動させましょう。たったこれだけで、「6」を「0」にできました。「6-6=0」で、正しい数式の完成です。「6」ばかりが並ぶ数式に、何をどう移動させれば正しい形にできるのか、戸惑った人も多いのではないでしょうか。答えの数字を変えるだけと、比較的シンプルなタイプのマッチ棒クイズですが、意外と発見できないもの。「解けた!」とすっきりできた人も、「解けなかった…」とモヤモヤした人も、ぜひ別の問題にも挑戦してみてください。いつでもどこでも楽しめるマッチ棒クイズで、脳の若返りを目指してみませんか。[文・構成/grape編集部]
2023年09月16日「ふくらはぎに青い血管が浮き出ていて、夏なのに素足をさらすのが恥ずかしい……」と、悩む中高年女性は多い。「その正体は『下肢静脈瘤』です。足の静脈内の血液は下から上に流れているので、逆流を防ぐためにたくさんの『弁』があります。加齢に伴い静脈がもろくなると、血流が滞り、弁に過度な負担が生じることから血液が逆流して静脈内にたまります。するとひざまわりやふくらはぎの血管が伸びて広がりボコボコと浮き出て見える、これが下肢静脈瘤です。見た目の問題のほか、足のだるさや疲れ、むくみ、こむら返りなどさまざまな症状につながるため、放置せずケアすることが大事です」そう語るのは、これまで約3万人の下肢静脈瘤の患者を治療してきた血管外科医で「北青山Dクリニック」の阿保義久院長。日本人の約9%に下肢静脈瘤があり、患者数は1千万人以上、出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータもある。「下肢静脈瘤が重症化すると、医療機関で治療を受ける必要がありますが、血管が青い網目のように浮き出て見える『網目状静脈瘤』や、直径1mm以下の静脈が拡張してできる『クモの巣状静脈瘤』などの軽症であれば、運動や食事のセルフケアで改善させることも可能です」(阿保院長、以下同)また、近年は下肢静脈瘤の予防や改善につながる栄養素に関する研究報告が相次いでいるという。「下肢静脈瘤の予防には静脈の血管壁を強化して、血管の拡張を防ぐことが重要です。そばや玉ねぎなどに含まれるポリフェノールの一種『ルチン』には、抗酸化作用や血管強化作用があり、血管壁を強化して拡張を防ぐことがわかっています。ビタミンB群やビタミンDも同様に血管壁を強化します。また、血液の逆流により静脈の脆弱な部分が刺激を受け、新たに病的な血管が作られる現象を『血管新生』といい、静脈瘤を引き起こす原因になっています。この『血管新生』を阻害する栄養素の1つが、ポリフェノールの一種『アントシアニン』で、ブルーベリーのほか、いちごやカシス、ぶどうなどに含まれます」血管内皮の酸化ダメージや炎症の原因となる「活性酸素」を取り除くには、ビタミンA、C、Eが豊富な食材や、ポリフェノールが含まれる赤ワインなどが効果的だ。「意外に思うかもしれませんが、下肢静脈瘤に便秘は大敵。便で膨らんだ腸が臓器を圧迫して、腹圧を上げるとともに血管の内圧が上がるので、静脈に負担をかけてしまいます。バナナなど食物繊維が豊富なものを取り、ふだんからおなかの調子を整えておきましょう」また、汗をかきやすい夏場は体内の水分が不足して、血液がドロドロになりがち。水分を取るのはもちろんだが、血液の粘度を下げる食材にも効果がある。「イワシなどの青魚に含まれるEPA、DHA、玉ねぎなどネギの仲間の植物に含まれる『硫化アリル』には、血液をサラサラにする作用や、末梢血管を拡張して血液循環を改善する働きもあります」食生活のほか、ふだんの生活習慣でも気をつけたいことがある。ふくらはぎの筋肉のポンプ作用を持続させるためにも、立ちっぱなし、座りっぱなしなど長時間同じ姿勢で過ごすのは避けること。また、締め付ける力で血流を促す弾性ストッキングなどをはくことも効果的だという。生活スタイルの改善を継続すると、大体2〜3カ月で見た目から変わってくるそうだ。さっそく自分の生活習慣を見直して、若々しいふくらはぎをキープしよう。
2023年09月14日見た目年齢も若返る 血圧や免疫機能にも効果あり8月31日、池谷敏郎医師が実践する「池谷式・血管若返り術」を紹介している新刊『完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』がプレジデント社から発売された。四六変型判、192ページ、価格は1,430円(税込)である。2021年4月に『内臓脂肪を最速で落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』が発売されており、新刊はその完全版として発売。著者は東京・あきる野市にある池谷医院の院長で、医学博士、東京医科大学客員講師、総合内科専門医、循環器専門医、多数の著書、テレビ番組の出演でも知られる。体脂肪率10%・血管年齢28歳 61歳の著者本来の血管の内壁はなめらかであり、その中を血液がスムーズに流れている。しかし、加齢とともに動脈硬化が進行すると、血管からしなやかさが失われ、プラークと呼ばれるコブができることがある。血管が老化していくことになるが、血管の老化は生活習慣病や喫煙、不眠などのストレスにより加速する。血液は全身の臓器に酸素と栄養を届け、不要な二酸化炭素や老廃物を運び出す役割を担う。血流の悪化は見た目年齢を老けさせるが、血管年齢を若く保つことができれば、見た目の若返りと、全身の臓器の機能を良好に保つことが可能になる。新刊では、61歳で体脂肪率10%、血管年齢28歳の著者が20年以上にわたり実践し、改良を加えた22のメソッドを掲載する。内臓脂肪を減らし、血管年齢を若返らせ、ほとんど費用はかからず、無理をしない、我慢しない若返り術が解説されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※完全版最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方 ‐ PRESIDENT STORE (プレジデントストア)
2023年09月11日年齢を重ねると、嗅覚も衰えていく。それは視力や聴力と同じだ。中には、「嗅覚障害」に悩まされる人もいる。嗅覚障害になると、食物の腐敗やガス、煙などの悪臭にも気づかなくなるため危険だ。また、嗅覚の衰えは脳の認知機能と深く関わりがあり、認知症の前兆の1つともいわれている。ところで、私たちがにおいを感じるメカニズムはどのようなものだろう。東京大学大学院医学研究科外科専攻感覚・運動機能講座耳鼻咽喉科学分野准教授の近藤健二先生はこう話す。「においを感じるのは鼻の穴の奥の鼻腔の天井部分。ここに分布している嗅細胞がにおい成分をキャッチしています。そして、その嗅細胞が受けた情報を脳に伝達することで、私たちはにおいを感じることができるわけです」嗅覚障害は、このようなメカニズムのどこかに異常が起こることで現れる。「嗅覚障害は、主に3つに大別されます。1.気導性嗅覚障害…ポリープや副鼻腔炎などで、空気の通り道がふさがれて、吸った空気が嗅細胞まで届かない。2.嗅神経性嗅覚障害…有毒ガスの吸引、ウイルス感染、加齢などが原因で嗅細胞が劣化して起こる。3.中枢性嗅覚障害…脳挫傷やアルツハイマー型認知症の進行などが原因で、脳の神経細胞が脱落して起こる。このうち、気導性嗅覚障害は、薬や外科的治療で除去し、空気の通り道を確保すれば嗅覚は元に戻ります。しかし、嗅神経性嗅覚障害と中枢性嗅覚障害は、トラブルのある神経が回復しなければ衰えた嗅覚が改善することはありません」(近藤先生、以下同)けれども、鼻腔の天井にある嗅細胞と、中枢神経の障害は、どちらも嗅覚トレーニング(嗅覚刺激療法)を行えば回復が望める、と近藤先生は語る。「目の視神経や耳の聴神経は一度死滅すれば回復はできません。ですが、嗅細胞は新陳代謝により再生するのです。嗅細胞が再生され、嗅覚をよみがえらせることで、脳が活性化され、認知症の進行をくいとめたり、予防をする効果があると考えられています」■東大病院では数百人がアロマを使って嗅覚トレーニングを試しているそこで重要になるのが、においをかぐこと。ドイツのドレスデン大学耳鼻咽喉科の研究グループが、嗅神経性嗅覚障害の患者さん56人を2グループに分け、片方に1日2回12週間、嗅覚トレーニングを行ったところ、このグループの7割が改善したというデータが出ている。「東大病院では、すでに数百人の患者さんがアロマオイルを使った嗅覚トレーニングを試しています」東大式のアロマを使った嗅覚トレーニングとは、どのようなものだろう。「花や果実、スパイスなどのアロマオイルをかぎ、鼻腔の嗅細胞を刺激する治療法で、自宅でもできます。まず、4種類のアロマオイル、密閉ボトル(50ml)4本、直径2㎝大の綿球(丸めた脱脂綿でもOK)4個を用意。アロマオイルは、『バラ』『レモン』『ユーカリ』『クローブ』を用います。この4種類の香りが、世界標準の組み合わせです」密閉ボトルに綿球を入れ、アロマオイルを各ボトルに1mlずつ垂らしてフタをする。準備ができたら、バラ→レモン→ユーカリ→クローブの順に、それぞれの香りを10秒間かいで、10秒間休み、次の香りに移る。それを5分繰り返す。「嗅細胞の再生を促すには強い香りの刺激が必要です。密閉ボトルを使い、ボトル内に香りが充満したところで開け、それをかぐことで強い刺激が与えられます」かぐときは、バラならバラと、香りを具体的にイメージすると効果的なのだとか。嗅覚トレーニングは1日2回行う。朝と夕方がおすすめで、12時間ほど間隔を空けるのがコツだ。なお、高価な100%天然精油でなくとも100円ショップのアロマオイルでも、嗅覚トレーニングなら、においをかぐという意味では効果がある、と近藤先生はいう。「欧州で行われた研究によると、香りの種類を増やすと効果がさらに高まると報告されています。4種のアロマオイルだけでなく、さまざまな香りをかいでみてください。私は患者さんに日常の中でも多様なにおいをかぐことを推奨しています。たとえば、コーヒーやカレー粉、せっけん、香水、食材などです」その効果が表れるまで、数カ月から1年以上はかかるというが、効果が出始めると一気に回復することが多いとか。さらに、「嗅覚トレーニングは、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの後遺症に現れる嗅覚障害にも、顕著に効果を示します」と、近藤先生。嗅覚の衰えが気になるなら、ぜひ一度トライしてほしい。
2023年08月23日セックスをする以上、誰でもかかる可能性がある“性感染症”。身近な問題なので正しく理解を。性感染症とは、性器同士の接触や挿入、キス、オーラルセックスなどで感染する病気のこと。「よく、“生で挿れなければ感染しないでしょ?”と言う人がいますが、それは間違い。挿入しなくても性器同士が触れ合ったり性器に口で触れたり、なかにはキスでうつる病気もあります。つまり、普通のセックスでうつる病気なんです」と言うのは、性感染症やそれを取り巻く事情に詳しい、産婦人科専門医の川名敬先生。性器で感染する病気という意味では、女性は外側と内側があるので、ある意味、男性よりも感染のリスクは高い、といえるのかも…。「男性側は症状が出ないことも多く、ヘルペスに感染した女性の4分の3は、相手のペニスを見ても感染がわからなかった、というアメリカの調査結果もあります。でも女性側は、妊娠した際に赤ちゃんに感染させる危険があるので、絶対に治療をしてほしい。ほとんどの病気が薬で治るので、少しでも気になったらまず婦人科の病院へ行ってください」(川名先生)【感染する可能性のある行為】性器同士の接触、挿入、オーラルセックス、キス20~30代女性がかかりやすい感染症尖圭コンジローマ【潜伏期間】数週間~3か月【解説・症状】良性のHPV(ヒトパピローマウイルス)によるウイルス感染症。HPVワクチン(4価か9価)の接種で完全に予防できる。[症状]性器周辺にカリフラワー状の尖ったイボができ、痛みやかゆみもある。除去しても再発する可能性が高い。【診察や検査】症状が出たら視診による診断。【治療法】主に塗り薬を塗布。場合によっては外科手術でイボを除去する場合も。早期治療をすれば再発しにくくなる。【口からうつる?】うつる(オーラルセックス)性器クラミジア感染症【潜伏期間】1~3週間【解説・症状】日本で最も感染者が多い性感染症。10~20代に多く、近年女性の感染が急増。性器だけでなく喉に感染する場合も(咽頭クラミジア)。男女ともに半数以上が無症状といわれているが、放置すると不妊の原因や、母子感染を引き起こすこともあるので、早期発見したい。[症状]性交後腟からの出血、おりものの増加、生理痛のような下腹部の痛み。【診察や検査】おりもの検査、尿検査(淋菌と同時に検査可能)。【治療法】抗菌剤を、1~7日間服用。約2週間後の再検査で陰性が確認できれば治療終了。【口からうつる?】うつる(キス、オーラルセックス)淋菌感染症【潜伏期間】2~7日【解説・症状】淋菌による細菌感染症で、1回のセックスで感染する確率は30~50%と非常に高く、喉に感染することも(咽頭淋菌感染症)。女性は自覚症状があまりないので気がつきにくい。[症状]性交後腟からの出血、おりものの増加、濃い黄緑色のおりもの、外陰部のかゆみ、腫れ、膀胱炎的症状。【診察や検査】おりもの検査、尿検査(クラミジアと同時に検査可能)。【治療法】症状に合わせ、1~7週間抗菌剤を注射や点滴する。約1週間後の再検査で陰性が確認できれば治療完了。【口からうつる?】うつる(キス、オーラルセックス)性器ヘルペスウイルス感染症【潜伏期間】3~7日【解説・症状】ヘルペスウイルスによる感染症。感染力が高く、一度感染すると体内にウイルスが棲み着くので、免疫力が落ちると再発しやすくなるのが特徴。感染から数年、数十年を経て症状が出ることも。[症状]性器に小さな水ぶくれやただれができ、かゆみが出る場合も。発熱や、排尿や歩行が困難になるほどの激痛。【診察や検査】症状が出たら視診による診断。検査はあるがあまり用いられない。【治療法】症状に合わせて5~10日間抗ウイルス薬を服用。重症の場合は点滴治療も。早期治療をすれば再発しにくくなる。【口からうつる?】うつる(キス、オーラルセックス)腟トリコモナス症【潜伏期間】1~3週間【解説・症状】トリコモナス原虫(目に見えない大きさの微生物)が外性器や内性器に感染することで起こる感染症。感染力が強く、風呂場の椅子など性行為以外での感染もある。自覚症状がないことも多い。[症状]泡状で黄緑色の生臭いおりものが大量に出る。性器にかゆみや痛みが出たり、性交痛や排尿痛も。【診察や検査】症状が出たら視診による診断。【治療法】7~10日抗菌剤を服用(薬によっては1回の場合も)し、治療完了。腟の中に薬を入れることも。次の月経終了時に再検査が理想的。【口からうつる?】うつらない性器のかゆみや出血、おりものの変化は危険信号。上で解説した病気、それぞれに症状はありますが、以下の5つのようなことが体に起きた場合は、一度疑ってみるべき。「よく“おりものに変化が”といわれますが、一番わかりやすいのは腟からの出血。クラミジアと淋病は子宮頸部に感染するので、抜いたペニスに少し血がついていたり、性器を拭いたティッシュにつくということも。“生理が早く来た”、あるいは“排卵の出血かも”と見逃す場合も多いので、要注意」(川名先生)【主な症状】・性器からの出血・外陰部にできものがある・おりものの量やニオイ、色の変化・外陰部がかゆい、痛い・下腹部の痛みほとんど症状がないため、男性はかかっても気がつかない…。女性の場合、上で解説したような兆候があるので、“おや?”と思うタイミングはありますが、男性はほとんどないらしい。「淋菌だけは、排尿時に痛みがあるのでそれで病院に来る人が多いのですが、他は痛みやかゆみはないので、見逃している人が多い。なので正直なところ、男性側の意識はとても低い。“大丈夫”と言われても、予防は必須です」(川名先生)挿入もオーラルも常にコンドーム必須!!誰でもかかる病気なので気軽に受診を。最も手軽にできる予防法は、やはりコンドーム。「互いに検査をしクリーンなことが証明されていて、よほど信頼がある関係性なら別ですが、性感染症予防の観点から考えると、セックスをするときには絶対にコンドームを使ってほしい。100%ではないにしろ、かなり予防率は上がります。挿入だけでなく、オーラルセックスのときも忘れずに」(川名先生)気づかずに見過ごしてしまうと、将来の妊娠や子どもに影響も…。治療をせずに放置すると、女性の場合は不妊症の原因にも。「クラミジアや淋菌は卵管が詰まり子宮外妊娠の原因になることも。また“母子感染”といって、子どもに影響が出ることもあり、尖圭コンジローマは喉に大きなイボができたり、ヘルペスと梅毒は、脳に影響が出たり、難聴や失明、精神発達障害を引き起こす可能性も。妊娠の前に必ず治療を」(川名先生)郵送での検査も可能。治療は薬の服用などで終了。上記で解説しているように、クラミジアと淋菌感染症に関しては、尿検査が可能。自宅から郵送し、検査もできます。「梅毒は血液検査なので、婦人科や性病科といった病院に行きましょう。また梅毒とHIV検査は保健所で匿名・無料で受けられます。治る病気に関してはほとんどが、一定期間の薬の内服や塗布で終了です」(川名先生)川名 敬先生産婦人科専門医。日本大学医学部産婦人科主任教授、日本性感染症学会監事。性感染症学、婦人科のがん治療、HPVワクチンなどのスペシャリスト。近年性感染症に関してNHKの番組などにも出演し、啓発に努めている。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。イラスト・ながたなつき(by anan編集部)
2023年08月21日幼稚園生の長女と生後2カ月の次女の育児中、突然の頭痛に悩まされた妻。総合病院でCTをとってみると、脳の血管が血栓によって塞がれていたことが原因による「脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)」という病気が判明し、即入院することになりました。しかし、夫は妻を心配する様子はゼロ。そんな入院中のある日、妻の容態が急変。最悪の場合も覚悟しなければいけないとのことで、家族は大パニックにおちいりました。医師と看護師のおかげで無事命の危機を脱した妻でしたが、夫と離婚したい気持ちがわいてきます。そのことを夫に伝えると……。妊娠・出産が原因だった!?夫に離婚を考えている旨を告げた妻。夫からは「俺は変わる! だから離婚はしないでくれ!」と訴えかけられました。 妻の病状が悪化していくのを見てるうちに、妻と子どもたちが一番大事だということに気づいたという夫は、心を入れ替えたようです。 しかしこれまでの結婚生活の中で夫のモラハラ行動に悩まされてきた妻は、退院まで夫に返事を待ってもらうことにしました。 そして、その2週間後、ついに退院する日程が決まりました。 妻が脳静脈洞血栓症を発症したのは、おそらく妊娠・出産が原因だったようです。妊娠することで女性の体は大きく変化し、さまざまな影響が現れるとのこと。妻さんの医師の見解では、エストロゲンの分泌が多くなったことや、おなかが大きくなって血流が悪くなることなどの要素が重なって、脳内に血栓ができてしまったとのことでした。 今後は妊娠に気をつけながら薬を飲み、水分を多く摂取することを心がけるよう言われた妻さん。実際、水分を多くとるようになってからは、頭痛が起こらなくなったそうです。 そしてついに1カ月におよぶ入院生活を終えた妻さん。夫に対しても、命の危機だったときに号泣するほど心配してくれていたという事実や、入院後に体を気づかってくれることなどを鑑みて、離婚は保留することにしました。 ◇◇◇ 普段当たり前のように接している妻も、いつ命の危険に襲われるかわかりません。後悔しないようにするためにも、大切な人と過ごす日々は当たり前ではないという意識を持って日々過ごしていきたいですね。 また、妻さんの夫もすっかり人が変わったように妻さんをサポートしているよう。この調子で、夫婦仲良く、そして健康な毎日を送っていってほしいですね。 監修/助産師 松田玲子 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。紙屋束実さんの連載は、以下のブログからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター 紙屋束実
2023年08月17日東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)では、“米ぬか成分によるアルツハイマー型認知症への治療効果”を確かめるため、臨床試験への参加を希望する65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症の方を募集しています。現在、参加定員320名のうち40名のお申込みがあり、残り280名となっております。研究の流れ【ポイント】●国民病ともいえる認知症、その中でも約6割を占めるアルツハイマー病の治療法は未だ確立されておらず、症状進行を薬で予防しているのが現状。また新たな新薬も開発されて話題になっているものの(疾患修飾薬)も、その効果は現状満足できるレベルにあるとは、まだ言えない。●近年、アルツハイマー病は、“脳の糖尿病”とも称されるように、これまで信じられてきた病理とは異なる、栄養学的な見地からの理解も進み、新たな予防・治療アプローチが注目されてきている。●特に、米ぬか成分による栄養療法が、アルツハイマー病に効果を持つ可能性が期待されている。●動物実験では、既にアルツハイマー病の原因物質とされる「脳のアミロイドベータ蓄積が、米ぬか成分を食べることで5-7割減少」とも報告され、実地でも一部の認知症の方には草の根では広がりを見せつつある一方で、厳密な医学的検証試験は行われておらず、認知症患者での研究が待たれていた。●本研究は、世界初の試みとして、米ぬか成分の治療効果の検証のため、ランダム化比較での臨床試験への参加協力を希望する65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症の方を320名募集する。●米ぬか成分はサプリメントとして服用可能で、参加者には約1年間、3ヶ月に1回程度、通院していただく。●この研究によって、米ぬか成分による認知症の予防・治療効果が証明され、安心・安全・安価で医学的根拠に基づいた『食の力』という治療選択の確立を目指す。【研究の目的】65歳以上の認知症の人の数は2025年には高齢者の約5人に1人である約700万人になると予測されています。国民病ともいえる認知症ですが、その中でも約6割を占めるアルツハイマー病の治療法は未だ確立されておらず、症状進行を薬で予防しているのが現状です。従来とは作用機序の異なる新たな治療薬(疾患修飾薬など)も必死に開発が進められていますが、その効果は限定的で、また費用対効果からもその使用に賛否が分かれるなど、未だ満足できるレベルにあるとは言えません。近年、アルツハイマー病は、“脳の糖尿病”や“3型糖尿病”とも称され、脳の栄養学的な異常として、従来とは一線を画す、新たな病理の存在が示唆されています。その中でも、米ぬかに多く含まれているポリフェノールの一種である「フェルラ酸」による栄養療法は、脳のアンチエイジングともいうべき抗酸化作用、抗炎症作用、抗糖尿病作用が知られており、脳神経細胞の保護効果を通じて、アルツハイマー病の予防や進行を遅らせる可能性が期待されています。既に、動物実験では、この米ぬか成分を摂取したマウスは、摂取しないマウスと比べ、アルツハイマー病の原因物質と考えられている脳内の「アミロイドベータ」が59%~73%減少したと報告されており、人間を対象とした研究でも、認知症予備軍であるグレーゾーンの軽度認知障害に対しての効果が証明されています。一方で、この米ぬか成分が、認知症の患者そのものに本当に効果があるのかについては、信頼のおける臨床試験では証明されておらず、研究が待たれていました。こうした背景を踏まえ、本研究では、世界初の試みとして米ぬか成分のアルツハイマー型認知症への治療効果を検証します。効果検証のため、臨床試験への参加を希望する65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症の患者さん320名を募集します。米ぬか成分は、サプリメントとして服用可能となっています。研究期間は約1年間で、参加者にはその間、初診および3ヶ月に1回程度(5回)の全6回、通院していただきます。そのうちの開始時・半年後・1年後には、1回1時間半程度の専門家による心理検査等で、丁寧に認知症の状態が評価されます。また、アルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドベータ」の脳内の蓄積度合いを血液検査でも評価します。これは、自費で行うと数十万円かかることの多い高額な脳画像検査に匹敵する、高い診断精度(94.9%)が研究でも近年示唆されている血液検査で、臨床試験の参加者はこの血液検査が無料で受けられます。本研究では、米ぬか成分による認知症の予防・治療効果が証明され、認知症の当事者やご家族に、薬以外の選択である安心・安全・安価な『食の力』による治療が、選択肢としてもたらされることを目指しています。実は近年、最先端の医学研究では先進国での高齢者における認知症の発症確率が低下しているという事実はご存知でしょうか?例えば、米国では65歳以上の認知症発症確率は約10年前と比べて24%の減少が示され、その理由として食生活も含めた「生活習慣(病)の改善」が大きいと考えられ、世界最大の医療研究機関である米国国立衛生研究所(NIH)でも、認知症予防としてその改善を提唱しています。既に認知症への栄養学的なアプローチは、眉唾の民間療法などではなく、次世代の認知症治療開発における大きな希望の星とさえ言えるのです。特に、米文化を伝統の中心に持つ私たち日本人は、世界で最も米の恩恵にあずかってきた国民と言っても過言ではありません。そんな米ぬかの成分に、アルツハイマー病に立ち向かう大きな力が秘められていることを証明するという試みは、瑞穂の国に生まれ育った私たち日本人こそが率先して行うべき研究であると確信すると共に、本研究を進めることで、「医食同源」によるアルツハイマー病の予防・治療の効果というエビデンスが示されることを、心より強く願っており、みなさまのご協力をぜひお待ちしております。関心をお持ちいただけるようでしたら、下記、ウェブサイトをご覧ください。URL: 〇主任研究者(宗 未来)は、「アロマセラピーによる高齢者の認知機能改善」の効果証明などで、日本精神神経学会学術総会の優秀発表賞を、これまで3度にわたって受賞した精神科専門医です。〇本研究は、認定臨床研究審査委員会の審査・承認を受けた後、東京歯科大学市川総合病院の病院長の許諾を得て、厚生労働大臣に研究に関する実施計画を提出した上で実施されています(臨床研究実施計画番号:jRCTs031220615)。【臨床試験概要】実施機関: 東京歯科大学市川総合病院対象 : 抗認知症薬ドネペジル5mg1錠を内服している、65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症患者(軽度とは、自分一人で服を選んで着替えられ、自発的に入浴(シャワー)も可能な方)(その他の条件等は以下、URLをご参照ください)募集 : 2023年4月1日から試験期間: 48週(約1年間)来院回数: 全6回(初回+3ヶ月に1回のペースで計5回来院)方法 : ランダム比較試験(RCT)(被験食品群=米ぬか成分とドネペジル5mgの併用、プラセボ群=プラセボとドネペジル5mgの併用)目標人数: 320名(被験食品群:160名 プラセボ群:160名)URL : *ランダム化比較試験(RCT):抽選で効果の期待される米ぬか成分のサプリメントか、プラセボかのいずれかのグループに振り分けられ、毎日摂取していただきます。研究期間中はどちらを摂取しているかは伏せられていますが、1年後にどちらのグループであったかは伝えられます。この研究では、軽症のアルツハイマー型認知症に対して「標準的な薬物療法であるドネペジル塩酸塩5mg1錠の内服に加えて、米ぬか成分配合食品であるサプリメントを毎日服用(被験食品群)」、もしくは「標準的な薬物療法であるドネペジル塩酸塩5mg1錠に加えて、プラセボを毎日服用(プラセボ群)」のどちらかの群に割り付けられます。この研究に参加いただくことになりましたら、そのいずれかを48週間服用していただきます。研究参加者は、初回・半年後・さらに1年後の計3回、認知機能の精密な評価のための神経心理検査やアルツハイマー型認知症の予後を予測することが知られている嗅覚検査などが実施されます。また、アルツハイマー病の原因物質と考えられている脳内アミロイドベータの蓄積具合を評価するための血液検査も研究開始の前後の2回、実施されます。【申込方法】研究の参加条件などの詳細を知りたい方は、下記のURLにアクセスしてください。二次元バーコードをスキャンしてもアクセスできます。参加を希望される方は、概要をお読みいただいた上で、アンケートにお答えください(所要時間約5分)。内容を確認した後、事務局より連絡させていただきます。URL: 二次元バーコード【その他】●健康保険の取り扱いについてこの研究で用いる試験食品、研究のための血液検査(バイオマーカー)、研究に必要な検査等の費用負担はありません。ただし、併用薬であるドネペジルの薬剤費や通常診療の範疇としてなされる採血や心電図といった検査費用については、参加者の健康保険を用いて行われますので、自己負担となります。●最近、物忘れの悪化は認めるが、「医療機関で認知症という診断・治療はまだ受けていない」という方現在、通院治療のない方でも、物忘れが目立ってきて心配されている場合には、東京歯科大学市川総合病院の認知症外来で通常診療を受けていただき、条件に該当する場合はその延長で研究に参加いただくことができます(研究参加は、辞退しても不利益はありません)。お気軽にお問い合わせください。●既に、他の医療機関で軽度のアルツハイマー型認知症と診断され、ドネペジル5mg1錠を内服中という方現在、他院に通院中の方は、主治医からの許諾と、主治医からの診療情報提供書(紹介状)が必要になります。主治医とよくご相談の上で、お申込みいただけますと幸いです。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月17日幼稚園生の長女と生後2カ月の次女の育児中、突然の頭痛に悩まされた妻。総合病院でCTをとってみると、脳の血管が血栓によって塞がれていたことが原因による「脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)」という病気が判明し、即入院することになりました。しかし夫が心配してくれる様子はゼロ。そんな入院中のある日、妻の容態が急変。最悪の場合も覚悟しなければいけないとのことで、家族は大パニックにおちいりました。医師と看護師のおかげで無事命の危機を脱した妻でしたが、夫と離婚したい気持ちがわいてきて……。ツマ子と子どもたちが一番大事だ!実母から離婚をすすめられ「離婚したい」という気持ちが高まってきた妻。入院したときの夫の態度がひどかったこと、義父がICU治療中に自分の葬儀の話をしていたこと、さらにはこれまでの家庭生活のことなど、理由はたくさんあります。 夫に「今回の病気がいい機会だと思って、スッキリと離婚を……」と言いかけたところで、夫が「ちょっと待った!」と大声で、妻の離婚宣言をさえぎりました。 夫は「離婚はしません! 断固反対!」と、離婚を拒否。 妻の病状が悪化していくのを見ているうちに、妻と子どもたちが一番大事だということに気づいたと言います。そして「俺は変わる! だから離婚はしないでくれ!」と訴えました。これまでの夫とは一変したその態度に妻は驚き、退院するまで返事を待ってほしいと告げました。 ◇◇◇ 夫に「離婚したくない」とはっきり言われた妻さん。入院中にモラハラ行動の多かった夫でしたが、実は弱っていく妻の姿を見て号泣していたとのこと……。彼なりに、とても悩んで苦しんだ期間だったのかもしれませんね。 ただ、これまで家のことを顧みなかったことや、冷たい態度をとってきたことは事実。夫にここまではっきり離婚を拒否されると妻さんも迷ってしまうかもしれませんが、今後ストレスのない幸せな生活をおくるために夫の存在が必要かどうか、しっかり考えたいですよね。 監修/助産師 松田玲子※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。紙屋束実さんの連載は、以下のブログからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター 紙屋束実
2023年08月16日幼稚園生の長女と生後2カ月の次女の育児中、突然の頭痛に悩まされた妻。総合病院でCTをとってみると、脳の血管が血栓によって塞がれていたことが原因による「脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)」という病気が判明し、即入院することになりました。しかし夫が心配する様子はゼロ。そんな入院中のある日、妻の容態が急変。最悪の場合も覚悟しなければいけないとのことで、家族は大パニックにおちいりました。医師と看護師のおかげで無事命の危機を脱した妻でしたが、今度はある悩みが……。今回の病気がいい機会だと思って心配されていた半身麻痺などの心配もなく、ICUから一般病棟に移ることになった妻。徐々に回復しているようです。 そんな中で、見舞いにきた母から、ICU治療中に義父が葬儀の心配ばかりしていたことなどを聞かされます。夫とうまくいっていないことも見抜かれていて、妻は離婚をすすめられました。 仕事おわりに病室にきて夕飯を食べることが定番になった夫に、義父が妻の葬儀について話していたことを問い詰めると、しどろもどろに。それをきっかけに妻は、「入院をきっかけに家族を大事に思っていないことがわかった」と夫に告げます。 入院中のことだけではなく、これまでの結婚生活における夫のモラハラ行動についても伝え、離婚の意思があることを宣言しました。 ◇◇◇ これまで耐えていたことをついに夫に告げた妻さん。そのときの様子から察するに、夫にとっては青天の霹靂だったようです。 モラハラする側は、このように自覚がないことが多々。妻さんのように、きっぱりはっきり「ダメなところ」を言わないと、きっと気づかないのかもしれません……。普段から「嫌なことは嫌」と主張することも大事かもしれませんね。 監修/助産師 松田玲子 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。紙屋束実さんの連載は、以下のブログからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター 紙屋束実
2023年08月15日私の母は、3人兄弟の末っ子。ひとり地元に残り結婚し、3人の子どもを出産して育ててきました。しかし、同じ町に住む祖母が認知症を患い始めたことで、急きょ介護問題が母に訪れて生活は一変。老老介護の祖父を助けるためにも、働きながら祖父母宅に通い夕食を届ける日々。そして、どんどん進行する祖母の症状に翻弄(ほんろう)されながら感じた、前もって知っておきたかったこととは……。★関連記事:育児に仕事、それに介護まで…思うように働けなくなった私を襲った仕事復帰の難しさ変わり始めた母の生活3人兄弟の末っ子である私の母は、地元で父と結婚。兄、姉、私の3人の子どもの母となり、家族5人、マイホームで穏やかに暮らしていました。やがて兄が巣立ち、母が52歳のころ、姉と私と父の4人は仕事や学校、部活でそれぞれ慌ただしくも楽しい生活を送っていました。 そんな中、祖母が認知症を患い始めたことで、母に突然介護問題が訪れました。母の兄弟である叔父と叔母は、高校卒業後に田舎を出てからはずっと都会で暮らしているため、祖父母を近くで支えられるのは母だけ。これまで家事を一切してこなかった祖父を助けるためにも、仕事終わりに実家へ通っては掃除や夕食の準備を手伝う、母の慌ただしい日々が始まりました。認知症になった祖母は…男尊女卑が当たり前だった田舎で結婚した祖母は、結婚を機に、祖父の両親や兄弟と一緒に祖父の実家で生活するようになりました。祖母自身も働きながら、大人数の食事作りや洗濯などの家事をこなし、自分の趣味も楽しみつつ休む暇なくあれこれ活動していました。多忙な生活を送ってきた祖母のてきぱきとした身のこなしは、子育てを終え、祖父と2人暮らしになってからも相変わらず。家事や畑仕事に加えて、日本舞踊や和太鼓、グラウンド・ゴルフなどの趣味にも打ち込み、自宅を訪れる友人や孫、親戚をいつも温かく迎え入れていました。しかし、認知症を患い始めるとこれまでの活力が急減。あれほど動いていた祖母は立ち上がる気力すらなくなり、日中も寝てばかりいるようになりました。怒りっぽくなってささいなことにもいら立っているといった症状にも悩まされ、隣でサポートする祖父は困り果てていました。そして、祖母の認知症の症状はどんどん悪化し、生活が困難と認められて施設へ入所することになりました。介護が始まる前に知っておきたかったこと介護について右も左もわからずひとりで苦労した母は、介護が必要になる前に知っておきたかったと悔やまれることがいくつかあったそうです。まずは、介護が必要になったときの相談先について。誰を頼ったらいいのか、どのような状況であれば介護施設を利用できるのかなど考えることが山積みで、何をどうしたらいいのかもわからず、不安で孤独な思いをしたようです。しかし、市役所の相談窓口を訪れてからは、必要な情報をどんどん得ることができ、つらい気持ちや悩みを少しずつ解決していけたのだそう。そのため、介護について不安なことがある場合の相談窓口について、事前に知っておくべきだったと言っていました。次に、祖母の貴重品やお薬手帳などの保管場所を把握しておくこと。祖母の介護認定や施設入所のための申請には、多くの手続きが必要でした。各種手続きには、通帳や印鑑、身分証明書などが必要になります。そんなときに、祖母の貴重品類がどこにあるのかもわからず苦労したといいます。そのため、貴重品の保管場所だけでも、祖母が元気な内から共有してもらっておくべきだったと悔やんでいました。最後は認知症になる前に、掃除や荷物の整理を一緒に進めておくべきだということです。家の片付けは、母ひとりで苦労した大きな要因でもありました。認知症の症状が進むにつれて、祖母は部屋の片付けや掃除に手が回らなくなっていたのです。母が夕飯を届けたときのわずかな時間の中で片付けや掃除を進めようとするも、症状の影響で怒りっぽくなっている祖母は、部屋の中のものを触られることを嫌がり、ただの片付けなのに作業は難航しました。さらに、祖母宅はお盆やお正月には親戚中が集った場所でした。大量にある食器類や布団、未開封の贈答品など、とにかく品数が多いため、整理するのもひと苦労だったそう。だからこそ母は、「自分の母親が元気な内から実家の荷物の整理を手伝っておいたほうがいいと知っていたら、こんなに苦労しなかったのに」と後悔していました。まとめいざ母親を介護するとなったとき、症状が進む悲しみと恐怖を抱えながら、誰にどう相談したらいいのかもわからず不安に感じ、とても苦しい思いをした母。もっと早く知っていたら、母だけでなく、祖母や祖父、私たち子どもも、必要以上に心細い思いや大変な思いをせずに過ごせたはずだといいます。母が身を持って体感したことをしっかりと聞かせてもらったからこそ、両親が元気な内からできることがあるのだと私自身も気付かされました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。イラスト/山口がたこ著者/RIka.航空業界に勤めた後、3人の子どもをのびのび育てるべく田舎にUターン。子どもたちと一緒に、実家の採れたて野菜でピザを作ることに夢中なライターです。
2023年08月14日人に物を手渡すときなど、差し出した自分の手の甲を見て、「血管がボコボコ」であることに愕然とした経験はないだろうか?40代以降、多くの女性が悩みを抱えているのがこの「老け手」だ。「顔や首は鏡を見なければわからないのですが、手はしょっちゅう目に入るので、気になって仕方がないという声をよく聞きます。そもそも、手は心臓より下にあることが多く、運ばれた血液などが心臓へ十分に戻りにくく、むくんでしまいがちな部位です」そう解説するのは、日本爪肌美容検定協会代表の川上愛子さん。川上さんは科学的な視点でスキンケアを研究し、2万人以上を美肌に導いてきた肌育成スペシャリスト。川上さんのもとには、手荒れや、ボコボコと血管が浮き出た自分の手を「おばあちゃんみたい」と悩む人から多くの相談が寄せられるという。「手の血管が目立つ理由は大きく3つあります。1つ目はコラーゲンやヒアルロン酸、脂肪が減少することで肌がハリを失うこと。2つ目は、加齢とともに血管がしなやかさを失って厚みを増していくこと。40~50代になると肌のハリが失われるのと、血管が太くなっていくことが同時に起きます。そして最後の要因が運動不足です」(川上さん、以下同)手の甲や腕の血管が浮き出て、視覚的に目立つ状態のことを「ハンドベイン」という。病気ではないので保険適用の治療は受けられないが、その見た目が気になることもあり、一部のクリニックでは自由診療でヒアルロン酸を注射するなどの治療を施すこともある。「手の血管浮きを解消するためには、全身の血流をよくしてむくみを解消することが大切です。一度失われたコラーゲンやヒアルロン酸は基本的に元に戻りませんが、それ以上失われるのを防ぐことはできます。そのためにはマッサージが有効。腕のつけ根から脇の下までのリンパ節をもみほぐして、老廃物を流すことから始めます。その後に、手の甲にハンドクリームをつけて、腕のマッサージをします」1日1回、このケアを習慣づけると、むくみが取れて血管が目立ちにくくなってくるそうだ。「お風呂上がりのケアを習慣にするのがおすすめです。最低でも1分ほど、イタ気持ちいいと感じるまで何分やってもかまいません」さっそく、川上さんがすすめている「手の甲の血管浮き」を解消するセルフケアにトライしてみよう。まずは、(1)腕のつけ根にあるリンパ節を、片方ずつ指で円を描くように柔らかくもみほぐす。痛みを感じたら凝っている証拠。イタ気持ちいいと感じるまでじっくりとほぐそう。続いて脇の下も同様に行い、老廃物を流していく。次に(2)肘を曲げて耳の横につけるように上げる。3~4回後ろに回して肩甲骨のまわりをほぐす。「ポイントは肘を耳のほうに近づけること。肩こりの人は腕の血流が滞っていることが多いので、肩甲骨をしっかり動かし、血流を促します。その後(3)クリームを手の甲に取り、両手の甲を合わせ、肌になじませます。その流れで(4)腕を心臓より高く上げてマッサージします。このとき、皮膚を刺激しすぎるとコラーゲンが失われる原因にもつながりますので、マッサージは力を入れすぎないように行います」この一連のケアに加え、川上さんがおすすめするのが、手のひらを頭より高い位置に上げて手を握って開いてを繰り返す「グーパー体操」。手の血流が促されるので、テレビのCM中などすき間時間にこまめに行うと、むくみの解消に効果的だという。手を「老け見え」させないためにも、日ごろの心がけを積み重ねていこう。
2023年08月14日認知症患者に便秘が多いという研究データから、便秘が認知症につながるという新たな知見が発表された。便秘により腸内が炎症を起こすと、脳の炎症、つまりは認知症のリスクが高まるという。“中年期以降の排便の回数と便の硬さが認知症リスクと関係する”国立がん研究センターを中心に行われている多目的コホート研究(あるグループを追跡して病気の発生などの健康状態を調べる研究)からの研究結果が6月29日、海外のジャーナル、『Public Health』誌オンライン版に掲載された。これは’00年と’03年に、秋田県、長野県、茨城県、沖縄県、高知県の5つの保健所管内の50~79歳の住民男女約4万2千人から得られたアンケートの追跡調査から、排便習慣と認知症の関連を調べた研究である。調査対象者のうち、1千889人の男性、2千685人の女性が要介護認定情報より認知症との診断を受けていることを確認し、今回の研究はそのデータを解析したものだ。それによると、男女ともに便の頻度が少ない人ほど、また、便が硬い人ほど認知症のリスクが高いことがわかった。令和元年の国民生活基礎調査によると、日本人女性の約44%が便秘に悩まされており、さらに65歳以上の場合、約72%の女性が便秘の悩みを抱えているという。この数字を見ると、今回の結果は衝撃的ともいえる。この研究の責任者で、国立がん研究センターがん対策研究所コホート研究部部長の澤田典絵さんは、今回の研究の背景について、次のように話す。「以前から認知症の患者さんに便秘症状が多いことは知られていましたが、排便習慣が将来の認知症(特にアルツハイマー型認知症)のリスクと関係しているのかといった研究はありませんでした。今回の研究は、その点に着目したものです」その結果がグラフである。「『排便の回数が1日に1回の人』を1(基準)とした場合、頻度が少なくなるほど認知症のリスクが高くなっており、女性の場合、週3回未満の人のリスクは1.29倍になります。便の硬さについても解析をしたところ、『便の硬さが普通』を1とすると、便が硬くなるほど認知症のリスクが上がり、『特に硬い』では1.84倍となることがわかりました」(澤田さん、以下同)日ごろのお通じの悩みが、まさか認知症のリスクと関係があるとは恐ろしい限りだ。では、どのように腸が脳に作用するのだろうか。 「腸と脳とは“脳腸相関”といって、腸内細菌叢が互いの機能に影響を及ぼすことが報告されています。特に便の腸管での通過時間の遅延が関係するようです。便が長時間、腸内にとどまっていると、腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸が減少し、腸壁が薄くなります。それが酸化ストレスを引き起こし、また、全身性の炎症を発生させます。これが、排便習慣が認知症のリスクと関係する一つの理由と考えられています」腸内細菌が脳の迷走神経(脳神経のなかで唯一、脳から腹部にまで達し、複雑で長い走行をする神経)に影響を及ぼし、さまざまなストレスを伝えることも報告されている。排便と認知症リスクに相関があることがわかると、やはり排便を習慣化させる重要性は無視できない。それには生活習慣の見直しが大切だ。特に前述のように、女性は若い世代から便秘に悩まされる傾向があり、さらに高齢になるほど便秘傾向の人が増える。腸の動きが不活発になったり、便を押し出す力が低下したりすることに加え、水分摂取量が減少したりと、体内機能の衰え以外にも生活習慣上のさまざまな理由がある。予防策としては、生活リズムを整えた規則正しい生活、ウオーキングなど日々の適度な運動、バランスのよい食事を取ることが重要だ。1日3食を規則正しく食べることにより、生活リズムが整い、自律神経も整う。特に朝食を取ることは胃腸を刺激し、排便を促すことにもつながるので、ぜひ習慣づけよう。また、日々の食事には、食物繊維をしっかり取り入れること。豆類、きのこ類、根菜類などの野菜に豊富に含まれる不溶性食物繊維、ワカメなどの海藻類に多く含まれる水溶性食物繊維の両方をしっかり取ることで、腸内細菌叢にもよい影響を及ぼし、便通が促進される。そして、つい忘れがちだが、水分をしっかり取ることも心がけよう。便がやわらかくなることに直結するからだ。それでも便秘が続いたり、不調を繰り返す場合は医療機関へ行って、適切な処置を受けよう。早めの受診で、腸から起こるさまざまな不調に対処し、長期的な健康も守ろう。
2023年08月10日脱水症や熱中症対策として、フレーバーも機能もさまざまなドリンクが発売中。シーンごとに上手に使い分けて、日々効果的な水分補給を!水分、塩分、ミネラル摂取にうってつけ。脱水症・熱中症対策ドリンクいろいろ。汗でどんどん失われていく体内の水分。補給しないと、脱水によって血液の循環が悪くなり、体温調節に悪影響が出て、熱中症リスクも高まる。「日常生活では、喉が渇いたと感じる前に、ミネラルウォーターや麦茶などを摂取。一気に摂ると、尿によって排出されやすくなるので、こまめに少しずつがポイントです。大量の汗をかくスポーツ時は1プレーごとなど、ジョギングやウォーキングなら信号で足を止めるたびに飲むくらいがちょうどいいでしょう。水分と同時に塩分も摂れるドリンクもおすすめです」(医師・久手堅司先生)汗をかくことに抵抗を感じて、水分を摂らないのはNG。「汗をかくことは体温調節に必須。また乳製品を摂っている人のほうが汗をかきやすいというデータが。飲むヨーグルトを日常的に摂るのもよいでしょう」【夏フレーバードリンク】塩分やミネラルをおいしくチャージ。季節にぴったりのフルーツフレーバーから、体にやさしいトマトジュースや甘酒など、夏ならではのドリンクが勢ぞろい!【森永製菓】冷やし甘酒酒粕のコクと米麹のやさしい甘さを活かした、冷やしておいしい甘酒。熱中症対策に欠かせないナトリウムが含まれている。隠し味の黒みつなどから、エネルギーとなる糖分も補給できる。190g¥135*編集部調べ(森永製菓お客様相談室 TEL:0120・560・162)【アキュアメイド】塩&柑橘“和製グレープフルーツ”とも呼ばれる愛媛県産の河内晩柑の果汁を使用。さっぱりとした甘さが特徴。後味には、伯方の塩の苦みをほのかに感じられる。アキュアの自販機などで販売。500ml¥160(アキュアメイド)【キリン】世界のKitchenから ソルティライチ旬の果物を塩漬けにして、氷と自家製シロップで作るタイのデザート“ローイゲーオ”がヒントに。沖縄の海水を使い、伝統の平釜製法で作った塩が、手摘みライチのおいしさを引き出す。500ml¥177(キリンビバレッジお客様相談室 TEL:0120・595・955)【伊藤園】冷梅ナトリウム量と、1800mgのクエン酸が含まれた清涼飲料水。梅の名産地・和歌山県産の南高梅の果汁を使用。アウトドアやスポーツシーンで、冷凍して持っていくのにもぴったりで、冷たさをキープ。500g¥172(伊藤園お客様相談室 TEL:0800・100・1100)【ダイドードリンコ】さらっと。トマトトマト果汁30%のエキスを使い、トマトのコクが感じられながらもフルーティでさらっとした口当たりで飲みやすい味わい。熱中症対策になる食塩量と、トマト1個分のリコピンが含まれる。350g¥151(ダイドードリンコお客様相談室 TEL:0120・559・552)【アサヒ飲料】カルピス THE RICH北海道産乳原料をリッチに使ったカルピスに、焦がし砂糖をプラスした上質な濃さがポイント。熱中症対策に対応する食塩量が含まれているので、暑い時もこの贅沢なドリンクでほっと一息ついて。490ml¥173(アサヒ飲料お客様相談室 TEL:0120・328・124)【タブレット】「水しかない!」時の優れもの。軽くて持ち運びがラクなタブレット。水しかない状況でも手軽に塩分を補給できるので、上手に活用しよう。【カバヤ食品】塩分チャージ タブレッツ1粒当たり食塩相当量0.11g、カリウム15.7mgを配合。クエン酸も171mg含まれているので、長時間の運動にも。日本学校保健会推薦商品。スポーツドリンク味の他、塩レモン味も。81g(個包装込み)オープン価格(カバヤ食品お客様相談室 TEL:0120・24・0141)【無印良品】ソルティタブレット グレープフルーツ今年4月から、無印良品の塩分補給アイテムの新作として加わったソルティタブレット。酸味と苦みが効いて、さっぱりとしたグレープフルーツ味のタブレットに、塩をプラス。食べやすく、1粒ごと個包装されている。50g¥190(無印良品 銀座 TEL:03・3538・1311)【水分補給ドリンク】炎天下での外出や作業のお供にも。糖質やカロリーオフの商品も続々登場中。大量に汗をかくシーンや、炎天下では、汗で失われた成分を効率的に補給できるドリンクを選んで。【日本コカ・コーラ】アクエリアス NEWATER(ニューウォーター)水分吸収のメカニズムから見直した新商品。水分やミネラルを効果的に浸透させるためアミノ酸を使用、糖質&カロリーゼロを実現。優れた水分補給が可能に。500ml¥176*編集部調べ(日本コカ・コーラお客様相談室 TEL:0120・308・509)【赤穂化成】熱中対策水 レモン味赤穂の天塩や、海洋深層水ミネラルで汗に近い成分を調整。失った塩分や水分を補給でき、体内のイオンバランスをキープ。マグネシウムも120mg配合。カロリーゼロ。500ml¥173(赤穂化成株式会社お客様相談室 TEL:0120・40・4139)【サントリー】グリーン ダ・カ・ラ白ぶどう、レモン、トマト、みかん、シークワーサー、ゆず、塩の7種類の素材が1本に。汗で失われるカリウムの量を増やし、補給感アップ。日本健康スポーツ連盟推薦。600ml¥162(サントリーお客様センター TEL:0120・139・320)【経口補水液】水と電解質を速やかに吸収!医学的知見から、水、電解質、糖質がバランスよく配合された経口補水液。水と電解質を吸収するスピードが速いので、軽度から中等度の脱水症や、脱水を伴う熱中症時などの対処に。【大塚製薬工場】経口補水液オーエスワンスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、水と電解質を素早く吸収するために糖濃度が低い組成の、軽度から中等度の脱水症に適した飲料。高血圧や腎機能が低下している人は、飲む前にお医者さんに相談を。500ml¥216(大塚製薬工場 TEL:0120・872・873)久手堅 司先生せたがや内科・神経内科クリニック院長。気圧予報を踏まえた体調管理アプリ「頭痛ーる」を監修。著書に『気象病ハンドブック 低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア』(誠文堂新光社)など。※『anan』2023年8月2日号より。取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年07月30日重度になると命の危険さえある脱水症&熱中症。体温調節を担う汗との付き合い方、こまめな水分補給や外出時の服装&アイテム選びなど、どの対策も欠かせない!1、日頃から暑さに体を慣らし、汗をかきやすい体に。運動が苦手な人は、シャワーで済ませず、湯船に浸かり、汗をかくようにしよう。38~41°Cのお湯に首まで浸かり、15分ほど入り、じんわり汗を出して。長すぎると血圧が下がるので注意を。汗をかくのは体内の温度調整にとって大切なポイント。気温や湿度が上がりすぎない時間帯を選び、週4~5回、30分ほどウォーキングやジョギングを2週間ほど続けると汗をかきやすい体質に。2、エアコンを工夫して、温度と湿度をキープ。温度設定は28°Cを上回らないように、真夏は夜も切らないで。ただ、25°Cを下回ると、体が冷えすぎるので注意を。エアコンの風に直接当たるのも、体温が奪われて不調の原因に。風向きを工夫して。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体から熱を放出する力が弱まってしまうので、温度だけでなく湿度対策も重要。適切な湿度は40~60%。65%を超えると、熱中症リスクが高まる。3、物理的に直射日光をあびない格好を。差すと日陰ができ、暑さをやわらげてくれる日傘は、できるだけ遮熱&遮光機能の高いものを選んで。ただ、紫外線対策としては、地面からの照り返しなどがあるので、日焼け止めの併用を。真夏の外出時は、できる限り帽子をかぶって、直射日光が頭に当たるのを阻止!紫外線を反射する、通気性の高い素材で、つばの広いものがおすすめ。時々脱いで、汗を蒸発させて。服は綿や麻などの自然素材の他、通気・吸湿性に優れたものを選んで。屋外イベントやアウトドアなどで長時間外にいる時は、通気性の高い長袖で、強烈な日差しから肌を守るのも一手。4、汗をこまめに拭き体温をコントロール。汗をかきっぱなしにしていると逆に体を冷やす原因に。ハンカチやタオルなどで軽く抑えて拭き取って。汗拭きシートは、含まれるアルコールの気化熱によって、涼しく感じられる効果も。5、“ちょこちょこ”水分を摂るクセをつける。屋外でアルコールを飲む機会も増える夏。利尿作用が非常に強く、脱水状態になりやすい。ビールなら飲んだ量と同量、ハードリカーであれば、倍の量の水を一緒に飲むのを忘れずに。涼しい室内にいて、汗をかいていなくても、体内の水分は常に奪われている。喉の渇きを感じた時以外に、1時間に1~2口ずつ、水分を摂るクセをつけ、トータルで1日1~2L飲むように。コーヒーに含まれるカフェインは利尿作用があるので、脱水症予防のための水分補給には不向き。お茶ではミネラルが豊富でカフェインレスの麦茶がいいが、濃すぎなければ緑茶も問題なし。※『anan』2023年8月2日号より。イラスト・たきたて玄米取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年07月30日高温多湿の日本の夏で、脱水症や熱中症になってしまう人が年々増加中。脱水症や熱中症って一体どんなもの?しっかり学んで対策しよう!誰もがかかるリスクあり。対策&処置はぬかりなく!気象庁によると、8月の気温は全国的に平年より高く、厳しい暑さとなる見込み。9月の気温も平年より高い所が多くなるそうで、脱水症や熱中症の対策がますます重要に!「これだけ蒸し暑い環境下では、体力に自信がある健康な大人も含めて、誰がどこでなってもおかしくない状態。自分だけは大丈夫という油断は禁物です。特に、以前、熱中症になったことがある人は、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えが上手くいかず汗をかきにくいなど、熱を放出しにくい体質の可能性があります。入念な対策を」と、気象病や自律神経に詳しい医師の久手堅司先生。脱水症も熱中症も、放っておくと危険な状態に陥ることも…。「脱水症なら口や皮膚の乾き、熱中症ならめまいや筋肉のしびれなど、初期のサインは意外と気づきにくいもの。なんとなくこのくらいなら大丈夫…と放置した結果、あっという間に症状が進むことも。室内でも不調をキャッチしたら、素早く処置を」【脱水症】汗をかかなくても、無意識の内に体内の水分は抜けていくと心得て。脱水症とは、体内の水分が足りず、日常生活や生命活動に支障をきたしている状態。汗をかくと水分とともにミネラルも抜けて、だるさを感じてくる。「体内の水分は、排泄や汗以外にも、皮膚や呼気などから気づかないうちに蒸発していきます。その量は、成人では900~1000mlにも及びます。夏は気づかないうちに軽い脱水になっていることも多いので、渇きを感じる前から水分補給するクセをつけましょう」CHECK・喉が渇いている。・唾液が出ず、口がパサパサしている。・体がだるく、脈が速くなっている。・尿の色が濃く、少量しか出ない。もしなってしまったら…【ACTION1】水分と塩分を速やかに補う。【ACTION2】湿度が低く、涼しい場所に移動。【ACTION3】吐き気や下痢などを起こし、体調が回復しない場合は医療機関へ。喉やくちびる、皮膚に乾きを感じたら、何はともあれまずは水分の補給を。夏場の脱水は、発汗によって水分とともにミネラルも奪われるので、何も入っていない真水よりも、ナトリウムやカリウムが入ったスポーツドリンクや、水分吸収が早い経口補水液がおすすめ。めまいやふらつきなどの不調を感じたら、水分補給後に涼しい場所で安静に。“ペットボトルのふたを自分で開けられない”“水分を補給し、涼しい場所で安静にしていても、だるさや吐き気などの症状がやわらがない”といった時は、迷わず医療機関へ。【熱中症】体温調節ができなくなり熱っぽく感じたら要注意。体温の調節機能が上手く働かなくなり、体内に熱がこもって、さまざまな症状が出る熱中症。「私たちの体は、汗によって体温調節を行っており、サラサラした汗がかける状態が理想的。しかし、高温多湿の環境によって、汗では対処しきれなくなり、体に熱がこもってきた感じがして、立ちくらみやこむら返り、頭痛などさまざまな症状が現れます。炎天下の屋外でなく、家の中でじっとしていてもなってしまうことがあります」CHECK・体に熱がこもっている感じがする。・頭痛やめまいがある。・大量に汗をかいている。・意識が混濁している。もしなってしまったら…【ACTION1】横になり、襟を開いたり熱を逃がしながら、安静にする。【ACTION2】水分と塩分を速やかに補給。それでも回復しない時は、医療機関へ。熱中症らしき人を見かけたら?・呼びかけに応えない場合、救急車を。・意識があれば、屋内や日陰に避難。症状や重症度にかかわらず、熱中症が疑われる時は、風通しのいい日陰や、クーラーのきいている室内など、涼しい場所へ移動しよう。さらに服や下着をゆるめ、濡らしたタオルや氷、保冷剤などで体を冷やすのが基本の処置。水分を補給し、安静にして、それでも症状が回復しない場合は病院へ。もし熱中症と疑われる人がいて、呼びかけに応じないなど意識がはっきりしない場合は救急車を呼ぼう。また、水分を自力で摂取できない状態の人に無理に飲ませるのは、気道に流れ込む可能性があるのでNG。医療機関で点滴などの処置を受けて。久手堅 司先生せたがや内科・神経内科クリニック院長。気圧予報を踏まえた体調管理アプリ「頭痛ーる」を監修。著書に『気象病ハンドブック 低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア』(誠文堂新光社)など。※『anan』2023年8月2日号より。イラスト・たきたて玄米取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年07月29日看護師でありシングルマザーでもある、まゆんさんの体験を描いたマンガを紹介します。今回は認知症の患者さんのお話です。申し送り時に「時々暴言暴力があるので気を付けてください」と伝えられていた患者さんの元を訪れると……。★前の話眼鏡が吹き飛ぶほどのビンタをされてこんにちは。自閉症スペクトラムの息子を持つ、シングルマザーのまゆんです。看護師にとって患者さんの入退院は日常茶飯事で、その中に認知症の方がいることもままあります。なので「帰る!」と言う笹野さんにもいつも通り接していました。すると、眼鏡が吹っ飛ぶほど強烈なビンタが……。驚きながらも笹野さんを刺激しないように気をそらすと、興奮することなく落ち着いてくれました。その後、ベッドの中から「ありがとう」の声が聞こえてきました。認知症だからといって暴言や暴力が許されるわけではありません。でも好きで病気になるわけでもないし……複雑な気持ちになりました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/まゆん(41歳)自閉症スペクトラムの息子をもつシングルマザー。看護師として日々働いている。Instagram:@mayun4311
2023年07月29日2児の母でありヲタクであるエェコさんによる、お父さんが倒れたときの話を描いたマンガを紹介します。エェコさんのお父さんは職場で倒れ、治療と検査を終えてリハビリ院に入院することに。入院から1カ月が経過し、お父さんの現状や今後について医師から話を聞くことになりました。お父さんの病状は入院時と変化なし。退院後は施設への入居を考えることになり……。★前の話え? 父は認知症じゃないの?リハビリ院でのリハビリを始めてから1カ月が経過したものの、病状は良くも悪くもならず入院時と変わっていないようでした。しかし、体は元気ということでエェコさんはひと安心。元々、退院後はひとり暮らしを予定していたお父さんでしたが、独居は難しいとの判断が。施設を探していることを伝えると、医師からは意外な答えが返ってきました。父は「高次脳機能障害」という病気でした。短期の記憶が保てない=忘れっぽくなると思っていた私は勝手に認知症だと思っていたのですが……どうやらまったく別物だったよう。素人の私にもわかるように説明してもらったのでざっくりとした話だとは思うのですが、「高次脳機能障害」は脳が損傷する病気なのだとか。私は父のことを認知症だと思っていたので、認知症高齢者グループホームなど認知症患者向けの施設なども見ていたのですが……認知症ではない父が入居できるはずがありませんでした。先生との面談後、父と少しだけ面会したのですが発言以外は調子が良さそうな様子でした。会話は毎日電話でしている内容と同じで、病気が回復していないことを実感させられました。このとき、父が倒れてからまだ2カ月しかたっていなかったのですが、記憶以外は本当にいつも通りの父でなんだか不思議な気持ちになってしまいました。--------------当時はコロナ禍で差し入れや面会について制限があった中、なんとお父さんに会えることになったエェコさん。毎日電話で話をしているとはいえ、直接会えるとなると気持ちも違いますよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouTuberとしての情報発信もおこなっている。著者/エェコ2児のヲタママ。「ヲタママだっていーじゃない!」というブログを運営中。育児コミックエッセイ連載やweb広告漫画を執筆している。
2023年07月29日今回の内容は、辛い描写があります。不安を感じる方は閲覧をお控えください。■前回のあらすじ母からの連絡を受け、急いで実家に向かうも父の最期には間に合わず…。後悔にかられる私を見て、叔母は「いい亡くなり方したんだよ」とずっと背中をさすってくれたのでした。■小さな葬儀が執り行われ…■視界に入った父のメガネ私は病におかされた父の姿を通して、「大切な人を忘れてしまうなら生きたくない」と考えるようになっていました。そして次回は最終回です。次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月28日バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:傳 幸諭、以下 バイオジェン・ジャパン)は、多発性硬化症(以下 MS)の当事者の方、ご家族・ご友人、MSに関わる医療関係者の皆様を対象にMSとの多様な向き合い方を俳句で詠む「想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」を実施いたしました。昨年に引き続き、二回目の開催となった本コンテストは、MSの当事者の方をはじめ多くの方にご応募いただき、応募数は175句となりました。それらの中から、第一回選者である夏井いつき先生とのYouTubeも話題の、俳人 家藤正人先生より審査いただき、この度、特選4作品・秀逸6作品・佳作21作品を、当社が運営するWEBサイト「多発性硬化症サポートナビ」にて公開いたしました。指定難病の1つに認定されているMSですが、症状や程度は人によって異なることからご自身の病気や人生と向き合う姿勢や考え方、悩みもまた人それぞれです。そんな多様な向き合い方を「俳句」で表現することで、ご自身が抱く想いに改めて気づくきっかけとなり、またほかの方が詠む句の背景にある想いに触れることが、新たな気づきや共感、連携につながると考え、MSに関わる方を対象に本コンテストを実施いたしました。2023年6月24日(土)には受賞作品を発表するオンラインイベントを開催いたしました。当日は、家藤先生による講評、さらに、MSの専門医である東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学教授の中島一郎先生や、テレビ番組の俳句コーナーでも活躍中の東国原英夫さんに出演いただき、作品が生まれた背景となるMSにまつわるエピソードに触れながら、疾患に関する理解を深めるトークセッションを行いました。イベント当日の録画映像は、当社が運営する疾患啓発ウェブサイトである「多発性硬化症サポートナビ」およびYouTubeチャンネルでご視聴いただけます。・多発性硬化症サポートナビ( )・バイオジェン・ジャパン 公式YouTubeチャンネル( )家藤正人先生からは、175句全体を通して以下の選評を頂きました。「皆様の投句をひとつひとつ、句の背景にあるエピソードも含めて読ませていただき非常に新鮮な驚きを覚えました。多発性硬化症を罹患する方の現況と、そして難病と付き合いながら生きていく精神のしなやかな逞しさに対してです。そしてまた、闘病を傍で支える人々のあたたかな真摯さにも。俳句はたった十七音しかない小さな詩の器です。難病と生きる悲喜こもごもの全てを事細かに述べることはできません。しかし小さな器だからこそ、エッセンスのように抽出された各人の在り様が見えてきます。時にその心の核のようなものは、雄弁に語るよりも受け手の胸へと飛び込むでしょう。多発性硬化症が多くの人に理解されるため、俳句が少しでもお役に立てるなら喜ばしく思います。」バイオジェン・ジャパンは、本コンテストを通じてMS当事者とその周囲の方々が、よりお互いの理解を深め、MSを中心とした大きな輪が生まれていくことを願っています。2023年6月24日(土)開催 受賞作品発表イベント12023年6月24日(土)開催 受賞作品発表イベント2※各句の受賞者のコメント及び家藤先生の選評は添付のプレスリリースをご覧ください。【特選】■ご本人による作品作品 :車いす降りて鳥雲仰ぐ馬上詠み手:俳号 藤村 一寿作品 :ふらふらのパルス三日目ゼリー揺る詠み手:俳号 千瑛■ご家族・ご友人・医療関係者による作品作品:爪磨くずっと跣の清清し詠み手:俳号 ニャー次郎(家族・友人)作品 :へたりこむ玄関あゝ満月が遠い詠み手:俳号 ぐ(家族・友人)【秀逸】■ご本人による作品作品 :春の昼さぼってるとはどの口が詠み手:永山 浩子作品 :我が左眼ビスクドールや桜桃忌詠み手:小田桐美穗作品 :フォークしか持てぬ日もあり冷素麺詠み手:俳号 はなゑ■ご家族・ご友人・医療関係者による作品作品 :白靴で歩ける今日を今を生く詠み手:俳号 くぅ(家族・友人)作品:流れ星母の望みを1億個詠み手:俳号 めぐみ(家族・友人)作品 :金継ぎのカップを春日つつみをり詠み手:俳号 嶺乃森夜亜舎(家族・友人)■佳作 ※作品/詠み手鰯雲風に押される車椅子/俳号 りばーじゅ(当事者)見えぬけど春の匂は見えてきた/俳号 みっちょん(当事者)右腿の注射の跡や冬終る/俳号 林理(当事者)夏近し打ち易くなる自己注射/山口 ゆかり(当事者)春分の切ない夜にふるいたつ/俳号 な。(当事者)冷えピタでウートフ防ぐ夏浅し/俳号 恵萩(当事者)ひたひたと滴数える秋の月/俳号 coo(当事者)朝曇病院食を静か待つ/野口和代(当事者)白靴の紐はゆるりとしびれ足/俳号 コミマル(当事者)五月雨や車椅子には家の中/松野加奈子(当事者)帰宅の途妻背負いたり初詣/俳号 中野花菜(当事者)愛だとか希望を抱え夏が来る/柘植雅一(その他)カレンダーの歪む赤丸夏近し/俳号 丹波らる(医療関係者)喪失は絶望じゃない春の月/貴田雄介(家族・友人)麻痺側の位置整えて桔梗挿す/俳号 近江菫花(その他)握り合ふ手の暖かき君眠る/貝田ひでを(家族・友人)車椅子家族と共に紫陽花を/俳号 ひろみ(その他)推しはかる難病同士冬の風/俳号 ゆかりん駄(その他)五月雨や爪先ずつと揺れゐたり/俳号 磐田小(医療関係者)良薬を待つ生涯や春の月/岡田小夜子(家族・友人)行く春や「あきらめないで」子らへ手話/俳号 井上右彩(その他)特選・秀逸を受賞された方には、夏井いつき先生・家藤正人先生のサイン入り著書を、佳作含む受賞者の皆様には、各作品を認めた色紙を記念品としてお送りいたします。【審査員】家藤正人先生1986年生まれ。愛媛県出身。大学卒業後、本格的に俳句に携わる。夏井いつきの句会ライブにてアシスタント経験をつむ。愛媛新聞カルチャー教室、学生を中心として県内外で単独句会ライブも行っている。2016年からは南海放送ラジオ「夏井いつきの一句一遊」にてアシスタントを務め、2019年より南海放送ラジオ「家藤正人『一句一遊』虎の巻」ではパーソナリティを務める。そのほか、松山市公式俳句投稿サイト「俳句ポスト365」初心者欄選者。香川県宇多津町「令和相聞歌」企画参加および選者ほかさまざまな企画に携わる。句集『磁針』(夏井&カンパニー)[審査員]家藤正人先生【多発性硬化症について】MSは慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能及び身体機能に影響を及ぼし、中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷およびその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患です。MSの有病率は人種間および地域間で差があり、日本における推定有病率は欧米諸国の10%程度と報告されています※1)。日本でのMS患者数は増加傾向にあり※2)、罹患率は10万人当たり10.8~14.4人と報告されています※3)。MSは、手足のしびれ、感覚機能や判断力の低下など患者さんによって症状が多様で診断が難しく、疾患としてもまだまだ理解が進んでいないのが現状です。2017年にバイオジェン・ジャパンが「全国多発性硬化症友の会」と共同で実施した調査※4)によると、最初にMSと思われる症状が現れてから、確定診断されるまでに平均3.7年、3つの医療機関を受診しているということが示されました。また、一見しただけでは病気であるとわかりづらいため、周囲の理解が得られず、就労や日常生活で困難が強いられることもあります。バイオジェン・ジャパンは、MSとともに生きる方々を中心とした疾患啓発活動を通じて、一人でも多くの方にMSという疾患について、また当事者の方々が抱えている課題を知っていただくことで配慮や支援につながり、MSになってもその人らしい生き方ができる社会づくりの一助となることを願っています。【バイオジェンについて】1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。バイオジェン・ジャパンは、米国バイオジェンの日本法人です。世界で有数の歴史のある独立系バイオテクノロジー企業の日本法人として、日本では2000年より事業を展開しています。「神経科学の不可能を、可能に。」をビジョンに掲げ、日本の患者さんにも革新的な医薬品やより良い治療環境を提供すべく活動を展開しています。バイオジェン・ジャパンに関する情報については、 、およびSNS媒体Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、LinkedIn、LINEをご覧ください。※1) 堀内泉, 吉良潤一.多発性硬化症.田村晃, 松谷雅生, 清水輝夫編.EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針.メジカルビュー社; 2002:276-79※2) 公益財団法人難病医学研究財団:難病情報センター 特定疾患医療受給者証所持者数 ※3) Kinoshita M, Obata K, Tanaka M. Latitude has more significant impact on prevalence of multiple sclerosis than ultraviolet level or sunshine duration in Japanese population. Neurol Sci. 2015;36(7):1147-51.※4) バイオジェン・ジャパン株式会社 多発性硬化症の患者さんの実態調査(2017年5月30日発表) Biogen-216928 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年07月28日『人は血管から老いていく』といいます。血管は、だれでも年齢とともに徐々に硬くなり、老化していきます。血管年齢をチェックすることで、血管が若々しい状態にあるのか、血管が弾力性を失って硬くもろくなった状態になっているのかを知ることができます。大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区社長:上原 茂](以下、当社)が運用する健康情報サイト「大正健康ナビ( )では、専門医監修による設問に「はい・いいえ」などで回答すると、気になる症状や健康状態をチェックできるドクターズチェックを公開しています。7月26日に新着更新した「血管年齢チェック」では、栗原 毅先生監修のもと血管年齢をセルフチェックすることができます。◆新着情報人気コンテンツ・ドクターズチェック「血管年齢チェック」 血管が弾力を失って硬くもろくなった状態が、「動脈硬化」です。動脈硬化は加齢や運動不足、ストレス、肥満などのいろいろな要因が重なり起こります。血管年齢を若く保つためには、毎日の生活の中でこうした要因を避けるよう努めることが大切です。気づかないうちに進む血管の老化を抑えるために、まずは生活習慣の問題点を探り、血管年齢の改善につなげていきましょう。大正健康ナビは、生活者の日常生活に寄り添い、「人生100年時代をサポートする健康情報発信基地」として、みなさまの健康の維持・増進にお役立ていただけるサイト運営を目指しております。当社は、これからも健康と美を願う生活者に納得していただける優れた医薬品・健康関連商品、情報及びサービスを、社会から支持される方法で創造・提供することにより、社会へ貢献してまいります。【監修者プロフィール】栗原クリニック東京・日本橋院長栗原 毅(くりはら・たけし)先生1951年生まれ。北里大学医学部卒業。東京女子医科大学教授、慶應義塾大学大学院教授を経て現職。消化器内科を専攻し、特に肝臓疾患やメタボリックシンドロームに造詣が深い。「血液サラサラ」の名付け親としても知られる。■ご参考●大正健康ナビ 大正健康ナビでは、お悩みの原因、症状、対策や予防法などをご紹介しています。いろいろな疑問に専門家が分かりやすくお答えしています。【大正健康ナビ】血管年齢チェック.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月26日■前回のあらすじ医者からは「もしもの時のことを考えおいてくれ」と告げられたと話す母。延命措置をするのか、自然にまかせるか…。「あなたはどうしたい?」と母にたずねられた私は、自分の意見に責任を持つことが怖くて母に丸投げしてしまいます。■「胃ろう」で命をつなぐ…!?■納得できる答えを探す母「延命措置はしない」と決めた母。母の気持ちを思うと、私は何も言えませんでした…。その後、自宅での介護がスタートすることになり、さらに厳しい現実が待ち受けます。次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月24日■前回のあらすじ無事挙式の日を迎え、晴れて夫婦となった私たち。その後、2人の子どもに恵まれ、実家にお世話になりながら仕事と子育ての日々。そんな中、一度だけ物心ついた長女から父について素朴な疑問を投げかけられることに。■自力で歩けなくなった父■自分で答えが出せない…考えることが怖くて、自分の意見に責任を持つことが怖くて、母に丸投げしてしまった私。そして母が下した決断とは…!?次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月23日幼稚園生の長女と生後2カ月の次女の育児中、突然の頭痛に悩まされた妻。総合病院でCTをとってみると、脳の血管が血栓によって塞がれていたことが原因による「脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)」という病気が判明。即入院することになりました。しかし、夫はまったく心配してくれません。その後、夫のもとに、病院から妻の容態が急変と連絡が。病院に着いてみると、妻は意識障害を起こしてICUに入っていました。医師からは「最悪の場合も覚悟してください」と言われてしまい……。違う、そうじゃない…医師からは、このままでは命が助かったとしても植物状態や左半身麻痺になる可能性があることを告げられました。 これを聞いた夫、妻の母、夫の父は、ショックのあまりパニックに。夫は頭痛が起こる前日に妻と喧嘩して怒鳴ってしまったこと、最初に異変を感じたときに病院に付き添わなかったことが原因だったかもしれないと告白。 妻の母はそれを責め、夫の父は夫をかばうという、カオスな状態になってしまいました。 夫の父は「葬儀はどこで頼むんだ」と、まさかの発言。それを聞いた妻の母は、「そんな縁起でもないことやめてくれ」と激怒。 そして夫の父が「これからのことを考えた方がいい」と言ったことで、夫は「子どもの面倒は自分が見なければいけない!」と唐突に思い返し、現在長女を預けている妻の実家に行こうとします。 そのころ妻は、麻酔で眠り、脳を休めるという治療をおこなっていました。 ◇◇◇ 突然家族がこのような状態になってしまうと、パニックになってしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし、いきなり葬儀というワードを出してきた夫のお父さんの言動には驚きです。 今は妻さんが必死で頑張っているとき。妻さんの力を信じて、回復を待っていたいですよね。 監修/助産師 松田玲子 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。紙屋束実さんの連載は、以下のブログからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。著者:マンガ家・イラストレーター 紙屋束実
2023年07月23日■前回のあらすじ高校2年の冬に初めてできた彼氏に、思い切って父のことを打ち明けた私。ためこんだ言葉を自分の外に出すと心がスッと軽くなったのを実感します。その後大学に合格した私は新しい生活を満喫し、父の介護は一切やることもなく。その4年後には就職が決まり、一人暮らしを始めることになるのでした。■社会人になり職場で出会ったのが…■父の病気がわが子に遺伝するから…!?初めはまさか自分自身以外のことが理由で、「結婚を反対されるなんて…!」とショックを受けたけれど…。子どもを持ち、親になった今は実母と義母の気持ちがわかるようになりました。あの頃の自分は子どもだったんだなと感じる。だけど、正しいのはあの頃の自分だな…とも。次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月21日■前回のあらすじ頑張ってもすぐに忘れてしまう父。これ以上嫌いにならないために、父は死んで父の中には知らないおじさんが入っているんだと思うことに。すると、少し心がラクになったのでした。そして、父の脱走のことで困っていた私たちは、病院に相談して薬を処方してもらうことに…。効果はテキメンで、父はとても温厚になったけれど、一日中ボーッと過ごすようになっていました。いろいろなものと引き換えに私たちは暮らしやすさを手に入れたのでした。■父に残る記憶の謎■父のことは誰にも話せず…父が病気になってからも、私は普通に高校に通い、普通の生活をしていました。父の介護でやりたいことがやれないと言うことはありませんでした。それは全て母がひとりでやっていてくれたから。だから母には何も言えませんでした。でもこのモヤモヤした泣きたくなるような気持ちを誰かに聞いてほしくて、突っ走っては後悔する日々を過ごしていました。次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月19日■前回のあらすじいつも家から出たがっていた父。ある雨の日、家からいなくなり…。捜索の末、発見した父は雨の中、自由のきかない身体で塀を乗り越え、父が言う「家」に帰ろうしていたのでした。■変わり果てた父を嫌いにならないために…■父におとなしくなってもらうために…主治医に現状では外出もできないことを相談すると、薬を処方してもらえました。そして父はガラリと変わり…。手がかからなくなったのは良かったのですが、そのかわり、一日中よだれをたらしてボーッとするようになりました。次回に続く「若年性認知症の父親と私」(全21話)は22時更新!
2023年07月18日人生100年時代を迎えて、長生きリスクのひとつが“認知症”。高齢化に伴い、認知症になる人は増え続け、2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると推計されている。そのうえ、徘徊で行方不明になる人が急増していることも問題に。警察庁によると、’22年、認知症やその疑いで行方不明になった人の数は1万8709人と過去最多を更新。’12年の統計開始から10年連続、増加の一途をたどる。「高齢者の行方不明は前期高齢者(65歳以上74歳以下)と、後期高齢者(75歳以上)で状況は変わってきます。前期高齢者はまだ体力があり足腰が丈夫なので、公共交通機関などを使って遠出してしまう恐れがあり、ケガや事故に巻き込まれる危険性があるのです。今の時季、熱中症になるリスクも高まるので、注意が必要です」そう警鐘を鳴らすのは、中部脳リハビリテーション病院、中部療護センター(岐阜県美濃加茂市)副センター長で脳神経外科医の矢野大仁先生。’16年、桜美林大学老年学総合研究所が公表した調査によると、徘徊で行方不明となった場合、発見されるのが当日中なら8割(82.5%)が生存しているが、翌日なら6割(63.8%)、3~4日目は2割(21.4%)と生存率は低下し、行方不明から5日経過すると生存率は0%となることがわかった。「いかに早く発見するかが生死を分ける」(同研究所)としている。一方で、警察などで保護されたとしても、認知症のため名前や住所、電話番号が伝えられないため、「身元不明者」となってしまうケースもあるそうだ。■徘徊による行方不明を防ぐ方法とは?認知症の人が徘徊で行方不明になってしまう原因に、認知症の中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」がある。認知症の初期の段階では、夕食を食べたことを忘れたり、直近から数日前までの記憶が失われたりという記憶障害が起こる。また、見当識障害は、今の時間や場所がわからなくなるので、外出先でパニックに陥ることがある。「たとえば、夕方になると自宅にいるのにもかかわらず、昔の記憶がよみがえり、『自宅に帰る』と外に出てしまう。落ち着きをなくして出かけようとする症状のことを『夕暮れ症候群』といい、環境の変化によるストレスが原因で起こるともいわれています。そんなとき、徘徊しないようにドアの鍵を外からかけたり、靴を隠したりして外出できないようにすると、逆効果です。行動のじゃまをする人と思われてしまい、言うことを聞かなくなってしまうこともあるので注意が必要です」(矢野先生・以下同)徘徊しそうになったときに、矢野先生が家族に勧めている対処法は“寄り添う”ことだという。「たとえば、お父さんが『会社に行かなければ』と支度をしているとします。叱ったり、止めたりしないで一緒に外に出て、歩きながらほかの話をして気分転換をしてみましょう。会社に行こうとしたことを忘れて、すんなり自宅に戻ったというケースもあります」そこで問題になるのは、世話をする家族の負担が増えてくること。毎日寄り添いたいと思っても、介護をする側に負担がかかり、体力的、精神的に限界がきてしまう。 そんなときこそ一人で抱え込まず、ふだんから隣近所の人や民生委員とつながるだけでなく、行政サービスなどの情報を入手しておくともしものときに役立つ。■知っておきたい認知症にまつわるサービス8まずは、各市区町村で発行している認知症に関する制度やサービス内容などが掲載されたガイドブック「認知症ケアパス」を地域包括支援センターなどで入手しよう。【1】ケアマネジャー介護のケアプランの作成、認知症介護で家族が困っているときの解決策の提案など、相談に乗ってくれる。「現在介護保険のサービスを使っている要介護1~5の人は、ケアマネジャーに今直面している認知症の問題を相談してみましょう」【2】かかりつけ医薬の量のコントロールや、介護保険の介護サービスを受けられるように要介護認定の見直しをしてくれたりする。「かかりつけ医も、症状を伝えると薬の種類や量を調整してくれるだけでなく、介護保険のサービスを多く受けられるように要介護認定の見直しも検討してくれます」【3】認知症地域支援推進員全国の市区町村には、認知症に関する相談、制度やサービスの案内などをしてくれる認知症地域支援推進員がいるので、徘徊の悩みや介護サービスのことを相談してみよう。【4】認知症サポーター認知症を正しく理解し、認知症の当事者やその家族の手助けをしてくれる。最寄り自治体の関係機関と連携を図り、見守りや傾聴、徘徊の早期発見・対応に貢献する。【5】民生委員厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員。高齢者世帯への訪問や見守り活動を行い、生活に関する相談に乗ってくれる。【6】地域包括支援センター前期高齢者で認知症の人は、要支援や自立など、要介護度が軽いケースが多い。「地域包括支援センター」で相談をすると、定期的に見守りをしてくれるほか、必要な行政サービスを教えてくれる。介護で困ったことがあったら真っ先に相談するべき機関。【7】見守りネットワーク認知症の当事者と家族にとって心強いのが、各自治体にある「見守りネットワーク」だ。高齢者が行方不明になったときに、警察だけでなく、地域の関連団体が捜索に協力して、すみやかに捜してくれる。自治体によって運用の方法は異なるが、防災無線やSNSなどで行方不明になった人を迅速に捜すシステムが構築されている。自治体によっては、緊急通報装置などをレンタルしてくれることもあるので、地域のセーフティネットを知っておくと安心できる。【8】認知症サロン認知症の当事者やその家族などが定期的に集まり、参加者の介護経験を話したり、困っていることを相談する場。病院内や介護事務所、NPOなど民間団体でも実施している。「いつも介護をされているご家族に伝えているのは、一人で抱え込まないこと。私たちの病院内では、当事者とその家族が参加できる『認知症サロン』(通称「欅カフェ」)を開催していますが、こういったコミュニティーに参加するのもいいでしょう。お茶を飲みながら介護者同士、情報交換できますし、認知症の当事者も体操や歌を歌うなどのレクリエーションに参加できます。参加するのを嫌がる当事者も多いのですが、いざやってみると楽しくなって続けて参加するようになります。人とつながりを持つことは脳の働きにとってもいいので、それがきっかけとなって、デイサービスなどの介護施設に通えるようになります。生活にリズムができますので、落ち着きが出て徘徊しなくなり、介護しやすくなるケースもあります」認知症の介護は長期戦になることが多い。専門家や地域の支援も有効に活用し、対処していこう。
2023年07月18日