戦中戦後を駆け抜けた伝説の漫才師ミス・ワカナ。日本芸能史にその名を轟かす“おもろい女”と、彼女の相方で夫でもあった玉松一郎の一代記が、当代きっての喜劇女優・藤山直美と渡辺いっけいの初タッグで甦る!原作は1965年、森光子と藤山寛美の黄金コンビが、お茶の間を賑わせたテレビドラマだ。寛美の実の娘・直美は6歳当時、中国の浮浪児役で出演していたという。1978年には森と芦屋雁之助により舞台化。実に463回の上演を重ねた名作が、9年ぶりに新生する好機を逃すわけにはいかない!という訳で、5月中旬、1幕の通し稽古が行われていた稽古場に潜入した。舞台『おもろい女』チケット情報顔寄せでも“コツコツ努力道”を歩むと誓った藤山は、その言葉通り丁寧に1場ずつ、演出の田村孝裕と細かな段取りまで確認しながら作品と向き合っていく。物語は十五歳の河本杉子が、大阪漫才の大御所に弟子入りを直談判する騒動から始まる。その一部始終を見ていたのが、映画館のチェロ楽士・河内山一郎。後のワカナと一郎、運命の出会いの瞬間だ。居合わせた漫才台本作家の秋田実(田山涼成)や漫才界のドン・菱本せつ(正司花江)らに“おもろい女”だと認められたワカナの人生は、ここから急激に加速していく。程なくワカナと一郎は駆け落ち。前のめりなほど芸に没頭する妻と、彼女を三歩後ろから支える夫という“凸凹婦夫”の情愛が、藤山と渡辺の“あ・うんの演技”からひしひしと伝わってくる。その後、中国の青島に渡ったふたりだったが、病を煩った一郎は首吊り&割腹自殺を図る……が、止めに入ったワカナと組んず解れつ、結局は仲睦まじいふたりに戻るのがまた微笑ましい。と、偶然その場を目撃する若手漫才コンビ役に挑むのは黒川芽以と篠田光亮。役者としても座組の中では群を抜いて年下ながら、現場に新鮮な空気を送り込んでいた。場の空気を一変させるといえば、九州演芸の顔に扮する山本陽子の存在感たるや。藤山と山本の女優競演も見逃せない一幕になりそうだ。時は流れ、戦下の中国を“演芸わらわし隊”の一員として訪れたワカナと一郎は、戦線の部隊長・飯塚大佐との束の間の親交を結ぶ。しかしふたりが日本に戻り、NHKの本番が始まる瞬間、飯塚大佐の戦死の速報がワカナの心を打ちのめす。その胸中を、藤山は声を震わせ、涙を浮かべた迫真の“泣かせ漫才”で吐露。寄り添う一郎になりきる渡辺が弾くアコーディオンの音色も哀しみを増長させた。この“泣かせ漫才”しかり、各地の方言で聴かせる“しゃべくり漫才”など漫才シーンも見どころの本作。昨年の『ええから加減』でも冒頭から爆笑を誘った藤山をして、いまだ漫才は難儀と言わしめるとは、観ている方にとっては驚きだ。さらに藤山は安来節からフラダンスまでこなすなど、見どころしか見当たらない本作。劇場で新生ワカナに出会える日を指折り待ちたい。公演は5月29日(金)から6月2日(火)まで東京・THEATRE1010、6月5日(金)から30日(火)まで東京・シアタークリエにて。チケット発売中。取材・文:山田美穂
2015年05月26日3月6日、藤山直美主演の舞台『スーパー喜劇「かぐや姫」』が東京・新橋演舞場で幕を開けた。【チケット情報はこちら】「スーパー喜劇」とは三代目市川猿之助(現猿翁)による「スーパー歌舞伎」と、藤山直美が演じる喜劇が合体したもので、2005年に第1弾として『狸御殿』を上演。今回、10年ぶりに第2弾が上演される。太陽の王と月の女王との間に生まれたかぐや姫(藤山直美)は、ある月の掟を破ってしまい、罰として蒼い星<地球>に流刑されることに。いにしえの地球に落ちたかぐや姫は、竹林で月庵(上條恒彦)と照乃夫妻に拾われ、人智を超える早さですくすく育つ。月での記憶を失いながらも、不思議な力を宿していたかぐや姫、人々を明るくさせる福女ぶりの噂に尾ひれがついて広がり、次々とムコ候補が名乗り出る。一方月の世界では、かぐや姫の母、月の女神・月光(水谷八重子)が、地上から“かぐや姫のムコ候補が次々と名乗り出ている”という報告を聞き、不安を募らせていた・・・。同作は、日本昔話で広く知られている「かぐや姫」という切なさや儚さといった印象のある物語が、楽しく、笑いに包まれて展開されていく。藤山が楽しい音楽にあわせて歌い踊るシーンや、かぐや姫を心配する親心を歌う水谷の美声も見所のひとつ。また、拍子木や太鼓といった歌舞伎の技法も盛り込まれている。“スーパー喜劇”お約束の宙乗りもあり、楽しみな要素が詰まった公演だ。『スーパー喜劇「かぐや姫」』は3月31日(火)まで東京・新橋演舞場、4月5日(日)から27日(月)まで、大阪・松竹座で上演。チケットは発売中。
2015年03月09日3月6日(金)より東京・新橋演舞場で上演される『スーパー喜劇「かぐや姫」』の制作発表が1月15日に行なわれ、主演の藤山直美ほかキャストが出席した。【チケット情報はこちら】「スーパー喜劇」とは三代目市川猿翁による「スーパー歌舞伎」と、藤山直美が演じる喜劇が合体したもので、2005年に第1弾として『狸御殿』を上演。今回、10年ぶりに第二弾として『かぐや姫』を上演する。主演のかぐや姫を演じる藤山は「私とかぐや姫が対極にあるっていうのは分かってるんですが、演出の齋藤さんと脚本の佐々木さんに物凄く大きな竹を作るからって言われたので(笑)、かぐや姫をやらせていただく事になりました」とコメント。手応えについては「来月から稽古なのでまだ分からないんですが、新しいひとつの“ジャンル”になれば良いなと思っています。ただ、出演者に珍獣が集まりましたので“ジャングル”になりそうな気もしています(笑)」と笑いを交えて語った。中宮役を務める市川笑也は、同作のエグゼクティブスーパーバイザーを務める猿翁の言葉を用い、「スーパー喜劇というのは、よりよくお客様を楽しませようと言うのがコンセプト。私の師匠である猿翁も“演劇はお客様あってのもの。お客様をどれだけ楽しませるかという所で頑張らなくてはいけないんだよ”とよく言っております。精一杯やらせていただこうと思います」と意気込んだ。また、月のウサギ役を務める市川猿弥は「前回のスーパー喜劇も思い出深い作品。前回は狸で、今回はウサギ。何で動物ばっかりなのかと思いますが(笑)今回も面白い作品になればと思っています」と話した。演出を務める齋藤雅文は、物語の見所のひとつである、藤山演じるかぐや姫の登場シーンについて「東京に初めてゴジラが登場したぐらいの衝撃があるのではないでしょうか(笑)。直美さんがやるからには歌って踊って暴れて・・・というようなお芝居になれば」とコメント。それを受けて藤山は「ゴジラに例えられて凄く幸せという方はいらっしゃらないと思うんですけど(笑)、ただ登場の仕方はどうでも良くて、最近は下を向くようなニュースが多いので、お客さんが劇場に来た時だけでも、心がほころんで帰ってもらえれば」と語った。また「喜劇というからにはお客さんに笑ってもらいたいですが、何でも良いから笑ってもらうというのは好きではない。喜劇というのは人の心情に自然と入り込んで笑ってもらうもの。登場シーンだけではなく、物語が作り出す情愛を感じて笑ってもらえたら良いですね」と話した。『スーパー喜劇「かぐや姫」』は3月6日(金)から3月31日(火)まで東京・新橋演舞場、4月5日(日)から27日(月)まで、大阪・松竹座で上演。なお、チケットぴあでは東京公演の先行抽選いち早プレリザーブを実施中。受付は1月19日(月)午前11時まで。また、先行抽選プレリザーブは1月17日(土)午前11時より受付開始。
2015年01月16日扇面、骨、要を自由に選び、自分好みの江戸扇子の仕立て(製作)・販売を行うインターネットサイト「組扇」が開設され、扇面の絵柄の新シリーズとして「CLASSIC02」を追加した。江戸扇子は、絵柄の入った和紙の「扇面」(表面)、竹製の「骨」と、それを挟む無地の「扇面」の裏面、そして、竹製の「骨」を一ヵ所の金具で留める「要」で構成されている。「組扇」は、伝統技術を今に伝える職人が一本一本手作りする江戸扇子の逸品を、好みの色柄で仕立てられるサイト。今回、新たに50の色柄を加えて合計200種類の色柄を用意、さらに「骨」「裏面」の色も加えると2万通りを超える組み合わせとなる。今回追加したのは、「sc0201(海松)」「sc0202(糸巻き)」「sc0203(瓢箪)」「sc0204(宝船)」「sc0205(笹雀)」といった和の新絵柄5つと、それぞれ絵柄に「ひき茶」「紺」「ピンク」「あずき」「紫」の5色を用意。さらに、それらの反転柄を合わせると、50種類が新たに追加された。これまでのCLASSICシリーズ同様に、従来の「小紋」をより繊細に、「粋」を加味した柄となっている。男性用とやや小ぶりな女性用、開く方向が左右逆となる左利きの人用も選べる。価格は、今回追加のCLASSICシリーズが9,000円(税込み、送料別)、MODERNシリーズは10,000円(税込み、送料別)となる。なお、現在、本年7月末まで利用可能な、販売価格から1,000円を割り引くクーポンコードを配付している。「組扇」が仕立てる扇子は、東京「扇子工房まつ井」で、先代から受け継いだ伝統の技を今に伝える江戸扇子職人の松井宏氏が、一本一本のすべてを手作りで仕立てている。「扇面」は高知産の上質な和紙、「骨」は滋賀県高島産の竹と、純日本の素材と日本の伝統技術によって作り上げられた逸品。東京の有名百貨店でも紹介されるなど、高く評価されている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月17日藤山直美と高畑淳子が初共演を果たす舞台『ええから加減』の製作発表が、6月4日に都内で行われた。『ええから加減』公演情報原作は第84回オール讀物新人賞を受賞した永田俊也の短編小説で、上方女漫才コンビの濱子(藤山)と宇多恵(高畑)を中心に物語は展開する。25年のキャリアがありながら、コンビの人気はそこそこといったところ。しかし、ボケ役の宇多恵が突然「上方演芸大賞を目指そう」と言い出したことから、状況は変わり始める。漫才は劇中で実際に披露される予定で、藤山は「イメージするコンビは、海原お浜・小浜師匠や、島田洋之介・今喜多代さん、内海桂子・好江師匠のように、どの年代でも楽しめる王道で古風なタイプ。一生懸命ふたりで練習して、役者による漫才にしてはようがんばったな、と思っていただきたい」と謙虚な姿勢をみせる。一方の高畑は、藤山との初共演が何よりうれしいようで、「短パン、スッピンでマーケットを走り回っているような私が、藤山さんとお芝居できるなんて。軽い“追っかけ”だったので、胸がいっぱいです。漫才のシーンは、読み合わせの段階からすごく面白くて、このまま出しても金になるぞ、と思ったほど。藤山さんは絶対かなわない人ですし、ただへばりついていくつもりです」とユーモラスに心境を語った。記者会見には原作者の永田、脚本・演出の田村孝裕、濱子の夫役を演じる赤井英和、漫才コンビの所属事務所の専務に扮する田山涼成も出席した。永田は「脚本を読んだらものすごくすばらしい内容だった。今から成功を確信しています」と期待を寄せ、田村は「“笑うとはどういうことか”が今回のテーマのひとつ。ぜひ笑っていただけるような舞台を作りたい」と意気込みを語った。公演は、東京・シアタークリエにて7月1日(日)から29日(日)まで。チケット発売中。
2012年06月04日アスクルは9日、3月下旬に発売した大型オフィス扇風機「オフィス扇(1万2,800円)」のPRを目的に、同製品の無料モニターキャンペーンを開始した。同製品は、「首振りが自由に設定できる」、「両手がふさがっていてもオンやオフが可能」などの機能が搭載された、スイデン社製のオフィス向けの扇風機だ。同キャンペーンに応募できるのは、アスクル・インターネットショップのネットメンバーのみ(応募時にログインが必要)。モニター商品をオフィスで利用した後、「お仕事専用 こんなのほしいな 開発部」コミュニティサイトのアイデアボードに感想など意見を投稿することが条件だ。モニター商品は返却不要。応募の際は、オフィスがどれだけ「アツい!」かを、アピールすることがポイントだ。「とにかく熱い営業マンがいる!」「去年エアコンが壊れてしまって汗が止まらない」などの投稿から選ばれた3オフィスが当選となる。また、投稿は後日、アスクルのサイトでも発表される。モニター募集期間は、18日の18時まで。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月14日高い演技力もさることながら、TVではバイタリティーあふれる発言で人気の女優、藤山直美と高畑淳子。このふたりが漫才コンビを演じる舞台『ええから加減』が7月に東京・シアタークリエで上演される。『ええから加減』チケット情報本作は、2004年のオール読物新人賞を受賞した永田俊也の同名小説をもとに、丁寧な人間描写に定評のある俊英・田村孝裕(劇団ONEOR8)が脚本と演出を手がけて舞台化するもの。大阪のお笑い芸人コンビ「海野濱子・宇多恵」の奮闘を、原作の味わいそのままに涙と笑いで描く。4月某日に行われたポスター撮影では、サザエさんのような髪型を提案するなど、並々ならぬ意気込みを見せる高畑に話を訊いた。劇中ではボケ役の宇多恵を演じる高畑。「台本を読んだら、最初と最後に漫才のシーンがあるんですよ!舞台に立って、お客様に“大したことないな”と思われることほど恥ずかしいものはない。だから稽古場ではたくさん恥をかいて、少しでも“おもろいやないか”と楽しんでいただけるようにお稽古したいですね」と話す。漫才の稽古も「先日あるパーティーでますだおかだの増田さんにお会いして、お友だちになってもらいました(笑)。早速“役者さんと芸人は立ち位置から違いますよ”なんて貴重なアドバイスをもらってます」と準備万端の様子。物語は中堅でそこそこ人気もある漫才コンビの濱・宇多を軸に展開する。若手芸人の人気に押されるようになったふたりが、一念発起して上方演芸大賞を目指すまでが描かれる。新ネタの打ち合わせやネタの練り直し、営業活動や審査員への根回しなど、お笑い界の裏側を綴るエピソードも見どころだ。「台本には濱子と宇多恵の女性の友情なんて、一切書かれてないんです。そこにあるのは、女の大事な時期をひとつの芸事だけにひたすら打ち込んできたふたりの関係。漫才が終わったらパッと帰る……みたいな仲なのに、芸のためには互いのことを思いやる、そこがなんとも魅力的だなって。私自身、芝居に身を削っているという気持ちもあるので、芸事に携わるものとして感じる部分がありました」。これと思ったら突き進む宇多恵と似た部分は、自身にも大いにあるとか。「女優をするって決めた時も、母が“この子は頑固だから”って諦めたくらい(笑)。いつも困難な道のほうを選んでしまうんですけどね」と笑う。ドラマにバラエティーにと忙しい今も、青年座に所属し、外部公演も含めてさまざまな舞台に立ち続ける高畑。「帝国劇場の楽屋口にある提灯に、歴代の名優の名前が書いてあるのを憧れの気持ちで見上げています。私ももっと頑張らないと!って」。そう語る高畑が全力で打ち込む舞台に期待したい。舞台『ええから加減』は7月1日(日)から29日(日)までシアタークリエにて上演。チケットは発売中。取材・文:佐藤さくら
2012年05月10日喜劇役者の藤山直美と歌舞伎俳優の坂東薪車が出演する舞台『年忘れ喜劇特別公演』が12月1日、東京・新橋演舞場で開幕する。この興行は、年上女房・おかつと甘えん坊の若い夫・清之助の物語を、笑いと涙でたっぷり描いた上方人情喜劇の名作『銀のかんざし』と、薪車が領主前田能登守と盗賊の赤鞘主水の2役を演じ、大立廻りもある『殿様茶店の恋日和』の2本立てだ。初日前日の11月30日、『銀のかんざし』の稽古を終えた藤山と薪車が取材に応じた。『年忘れ喜劇特別公演』チケット情報藤山は「おかつと清之助は今流行りの年の差夫婦なんですけど、薪車さんは“じじい”っぽいんですよね(笑)。本当は私の方が年上ですけれど、普通にやっております」と笑いを誘い、新車は「じじい、じじいってねぇ(笑)。見た目がちょっと老けているのかな」とおどけてみせた。また藤山との共演は「年上ってこんなにも心地良いものかとお芝居を通して改めて感じています。100%信頼して思いっきりやらせていただいています」と話し、『銀のかんざし』については「男の夢がつまっています。人間の絆、夫婦の絆というものを観ていただきたい」とみどころをアピール。藤山も、もう1本の『殿様茶店の恋日和』について「薪車さんの15分もあるすっごい立廻りは見物です。思わず『音羽屋!』(坂東薪車の屋号)と大向こうをかけたくなります」と力強く語った。そして「お芝居をご覧になったお客様が面白かったなぁ、楽しかったなぁと言っていただけるのが頂点の喜びです」と締めた。公演は同劇場で12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。
2011年12月01日