NTTとOKIは、波長多重技術と組み合わせた新たなPON技術「WDM/TDM-PON技術」を共同開発したと発表した。同技術を用いて、40kmの伝送距離と従来の40倍に当たる40Gbit/sの総伝送容量、32倍のユーザー数にあたる1024ユーザーの収容を可能とする光アクセスシステムのフィールド伝送実験に成功した。今回の研究開発は、総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発(アクセスネットワーク(加入者・局舎ネットワーク)高速大容量化・低消費電力化技術)」を受託し実施したもの。ブロードバンド化に伴う大容量化、広域化、収容ユーザー数の増加に対応するため、従来の時間多重を用いたTDM(Time Division Multiplexing)-PON技術の限界を超えるさらなる技術革新が求められており、NTTのアクセスサービスシステム研究所とOKIは、従来のTDM-PON技術と、コア、メトロネットワークで活用されてきた長距離伝送用の波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)技術とを組み合わせた「WDM/TDM-PON技術」の確立を目指し研究に取り組んできた。今回、開発した「WDM/TDM-PON技術」は、波長可変型バースト光送受信器、波長多重バースト光増幅器、波長切替制御プロトコルから構成される。両社はこれらの新規開発技術を実装したOLT(局内装置)、ONU、光増幅器を用いてフィールド実証実験を実施。実験は、札幌の複数のNTT東日本ビルを光ファイバで結び、総伝送距離40km、1024分岐の広域加入者系光ネットワークを模擬したテストベッドを構築。OLTとONUとの距離40kmにおいて、1024分岐のファイバ構成で、ONUの接続動作を世界で初めて確認した。また上り下りで総帯域40Gbit/sとなる良好な伝送特性とフレーム損のない波長切替が行えることや、トラフィック量が少ない場合は稼働波長数を減らすことで、OLTの消費電力を削減できることを確認、実証した。同技術開発で得られた成果は、ITU-T G.989(通称NG-PON2)の標準化活動にて提案し、採択される見込み。なお同成果の一部については、米国ロサンゼルスで3月22日~26日開催された光通信に関する国際学会OFC2015(Optical Fiber Communication Conference 2015)において、ポストデッドライン論文として発表された。
2015年03月30日東京ビックサイトで開催(1月14日~16日)のイベント「ウェアラブルEXPO」。実際の製品以外にも、ウェアラブルにまつわる様々な技術の展示も行われている。ここでは、将来の機器で使われるであろう技術や部品を紹介したい。○脈拍チェック程度の装置で血圧をチェック日本大学工学部の尾股定夫教授は、近赤外線LEDを用いたセンサーを開発。照射した近赤外線LEDの反射から血液量(ヘモグロビン)の変化を検知し、その変化を解析して血圧を測定する。血圧といえば、腕に巻き付けるカフ(圧迫帯)と脈拍の音を使った測定が一般的だが、そのような手間と時間をかけず、高精度(誤差5%程度)に血圧を測定できるという。今回は試作チップとBluetoothでスマートフォンと接続する試作機を展示していた。将来的には、スマートフォンや健康器具への利用を想定する。実際に試作機を見たところ、「こんなに手軽に血圧が測定できる」と驚いた。ウェアラブルの用途のひとつとして健康管理があるので、商品化を期待したい。○指の動きも検知できる、伸びを測定するセンサーヤマハは、ゴムのように伸縮して、その伸びを抵抗値の変化として確認できる「薄型ストレッチャブル変位センサー」と、それを利用した手袋型デバイスを展示していた。このセンサーは伸ばすと抵抗値が上がり、直線性と高速応答性に優れているという。試作した手袋センサーを付けたまま、電子ピアノの演奏を行うデモを行っており、演奏の妨げにならずに入力が行えることをアピールしていた。○エナジーハーベストにもなる発電ウェア拓殖大学前山研究室、ムネカタ、コーンズテクノロジーは共同で、圧電素子を使った無線モジュールのバッテリレス化を検討する発電ウェアを試作、展示していた。トレーニング時など、連続したデータ収集を行うにはバッテリレスが望ましいが、現在はバッテリ寿命を延ばすための試みだ。可動部に圧電素子を設置し、エナジーハーベスターを通じてバイタルセンサーなどへ電力を供給する。なお、エナジーハーベストとは、環境中の何らかのエネルギーを電力に変換する技術や概念をいう。「バッテリレス」を実現する技術として注目されている。○尿や植物からもエナジーハーベスト立命館大学の道関研究室とセイコーインスツルの共同による、エナジーハーベスト活用の例。おむつに仕込んだ尿発電電池(60μw)で尿漏れ検知を行い、得られた電力を使ってワイヤレス通信を行うというものだ。同様に、植物の導管を通る水分から発電する(0.6μw)電池を使ったワイヤレス通信もデモしていた。○「ウェアラブル」を支える導電繊維服にセンサー類を入れる場合、高い柔軟性と強度、導電性が求められ、配線が重要となる。三ツ富士繊維工業は、ナイロンやポリエステルの糸に銀メッキを施したAGpossを展示していた。表面がすべて銀で分量が多いため、導電性の高い配線材料としての利用も可能だという。
2015年01月15日NECは12月9日、道路橋などの構造物の内部劣化状態をカメラで撮影した表面映像から、計測・推定できる技術を開発したと発表した。同技術は、独自の超解像技術、映像・画像鮮明化技術、および4K超高精細映像高圧縮技術の開発などで培った映像・画像処理のノウハウを応用して実現したものである。具体的には、映像中の物体の微小な動き(振動)を高速かつ高精度に検出できる被写体振動計測アルゴリズムを開発した。同技術は、微小な振動の解析に必要な"カメラ画素数の100倍の解像度での動き解析"において、データ量が多く、従来時間がかかっていた解析処理を、映像圧縮などで培ったノウハウを用いて高速化した。これにより、高いフレームレートで撮影された映像の高速解析を可能とし、構造物表面の多数点の微小振動の同時計測を実現した。さらに、亀裂、剥離、空洞など、内部劣化が生じている箇所の振動パターンの違いを発見・検出できる独自の振動相関解析アルゴリズムを開発した。これにより、目視で発見できない構造物内部の劣化状態を高精度に推定できるようになったとしている。これらの技術により、カメラ映像から物体内部の劣化状態を推定できるため、点検による設備の一時停止など事業機会損失の低減が望まれる工場・プラント内の大型設備や、道路橋などの構造物インフラに加え、他の分野への応用も期待しているという。今後、同技術の実証を進め2015年度中の実用化を目指すとコメントしている。
2014年12月10日エプソンは、同社が保有する独創的なコア技術と、その技術開発に挑む姿を紹介するアニメーションシリーズをYouTubeの公式チャンネルや同社の特設Webサイト上で公開した。同アニメーションシリーズは、同社の長期ビジョン「SE15」で掲げる4つの領域(「生活の質向上-センシング技術」、「プリンティング-マイクロピエゾ技術」、「ビジュアルコミュニケーション-マイクロディスプレイ技術」、「ものづくり革新-ロボティクス」)におけるコア技術に向けた同社の取り組みを、実際の社員をモデルにした人物たちのやり取りを通して紹介していくシリーズ作品で、ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースのナレーションなどで知られる大川透氏やONE PIECEのナミ役などで知られる岡村明美氏、SLAM DUNKの安西先生役や魔神英雄伝ワタルの剣部シバラク役などで知られる西村知道氏といった人気声優陣を起用したことでも話題になっている。第1弾となるコアテクノロジー・アニメーション「センシング三本の矢」篇(2分39秒)は、同社が保有するセンシング技術を、センシングシステム事業部長 森山佳行と若手技術者が、その核となる"三本の矢"と、そうした技術を活用することで見えてくる未来の姿を思い描くという作品で、11月18日に公開されて以降、公開2週間で再生回数は約22万回を記録している。ちなみに同社が今回、センシング技術の"三本の矢"としているのが、わずかな傾きや振動を察知することを可能とする「モーションセンシング」、GPSなどの測位衛星を用いて目標の居場所を高精度かつ低消費電力で特定する「ポジションセンシング」、そして腕の血流にLEDの光を照射し、脈拍を高精度に計測する「バイタルセンシング」だ。いずれも高性能かつ長寿命な腕時計を実現するために活用されてきた水晶デバイスや半導体デバイス技術を発展させたもので、今後、本格的な普及期を迎えるIoT社会の実現に必要不可欠なものとなっており、特にタイミング分野などでシリコン以上の性能を実現できる素材である水晶とMEMS技術を組み合わせた独自技術「QMEMS」は、高精度・高性能センサとして様々な分野に採用されている。エプソンでは、今回のシリーズの開始にあたり、「世の中・お客様の要望に耳を傾けて、必要となる事業領域を見"究め"、その事業の核となる技術を"極め"続けるという、エプソンの基本行動を貫くことで、より良い未来を描いていきたい」という意思を込めた「究め極めた技術の先に、未来が見える」というコミュニケーションワードを設定したという。また、今回、アニメーション中に登場する森山氏は、「エプソンと言えばプリンタを思い描く方が大半かと思いますが、プロジェクターやスマートグラス、ロボット、そして先日発売した脈拍計測活動量計など様々な商品・サービスを世界中にお届けしています。私が担当しているセンシングシステム事業は、エプソンが長年培ってきた各種センサー技術をとことん研ぎ澄ませ、人々の暮らしをもっと便利に快適にする"なくてはならない製品・サービス"を実現するために日々挑戦しています。実際に担当している技術者は今回登場しているような熱い思いを持つ者ばかりです。この動画については個人的にもどう仕上がるのか興味津々でした。私を表現しているキャラクターは実際より大分美化されていますし、こんなに良い声ではない(CVは西村氏が担当)ので少し恥ずかしい気もしますが、エプソンの新しい一面を表現できているので、みなさまにもぜひご覧いただきたいと思います」とコメントしている。なお、同アニメシリーズは2015年3月までに新たに3編が公開される予定となっており、YouTubeや特設Webサイト、公式Facebookなどで視聴することが可能。同社では、自社で保有するコア技術の詳細や、技術開発にかける想いなどを様々な視点から紹介するコンテンツを掲載した技術情報Webサイトも有しているので、今回のアニメーションを見て、同社の技術が気になった人は一度、訪問してみると良いだろう。特設Webサイト技術情報WebサイトYouTubeエプソン公式チャンネルFacebookエプソン公式ページ
2014年12月05日トヨタ自動車は11月20日、駐車場での安全・支援技術として2つの新技術を開発したと発表した。今回、事故全体の約30%が発生している駐車場での安全性向上のため、ペダル踏み間違い・踏み過ぎによる事故被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」に、アクセル・ブレーキペダル操作に関係なく低速取り回し時における衝突回避・被害軽減を支援する新たな機能を追加した。さらに、車体周囲の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」に障害物の確認をより容易にした新たな画面モード「シースルービュー」機能を追加した。「ICS」では、機能を拡張し、踏み間違いなどによる急発進時に、クリアランスソナーで障害物を認識して衝突被害の軽減を図る。具体的には、センサの増設と検出距離の延伸により、検出範囲を拡大するとともに、制御ソフトを改良し、従来のペダル踏み間違いによる衝突被害の軽減だけでなく、駐車場内の低速での移動や、車庫入れなど、ペダルの誤操作がない場合にも隣接車両や障害物との衝突回避や被害軽減を支援できるようにした。また、駐車支援機能「インテリジェントパーキングアシスト2(IPA2)」では、従来のIPAにICSと連携した自動ブレーキによる「衝突回避/被害軽減支援機能」の他、複数回の前後移動が必要な狭い駐車環境において、自動でステアリング操作を行う「切り返し支援機能」、前後が狭い縦列駐車空間からの出庫を半自動で行う「縦列駐車時の出庫支援機能」を追加した。これらにより、駐車場での使用性を大幅に向上させている。そして、ナビ画面に表示する機能として、従来の車両を上から見下ろしたような映像の「パノラミックビューモニター」に、「シースルービュー」を新たに追加した。スイッチ操作で車両の外側から見下ろしたような映像を表示する従来の「ムービングビュー」と、ドライバーの視線で車両を透かしたような映像を表示する「シースルービュー」が選択できる。シースルービューでは、ムービングビューと比較して、障害物を大きく見やすい映像として表示できる。なお、これらの新技術は2015年に発売する新型車に採用される予定。
2014年11月21日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月7日、バイオ3Dプリンタや細胞シート積層技術などの立体造形技術を用いて、iPS細胞などから骨、血管、心臓などの立体組織・臓器を製造する技術の開発に着手すると発表した。事業期間は2014年から5年間、総事業費は約25億円を予定している。プロジェクト期間中にはステージゲート審査を設け、実現性が見込まれるテーマを絞り込み、iPS細胞を用いた骨、軟骨、人工血管、心臓組織などの作製技術の実用化を目指す。再生医療の技術開発では、これまで、iPS細胞などの培養や分化誘導など再生医療に用いる細胞をいかに効率良く調製するかについての技術開発が行われてきた。同プロジェクトは、再生医療製品の実用化に向けて、細胞を用いて機能的な立体組織・臓器を作製する新たな技術開発段階へ進むための第一歩となる。
2014年11月10日京都大学は10月15日、マイクロ流体技術を用いた網羅的・高速・高感度のDNA分析技術を開発したと発表した。同成果は、同大 工学研究科の新宅博文助教、スタンフォード大学のJuan G. Santiago教授らによるもの。詳細は、独国科学誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に掲載された。これまで、DNAのハイブリダイゼーションを利用した分析技術は、極微量しか存在しないターゲットを検出するために長時間の反応時間を必要としていた。同技術は、マイクロ流路(1mm以下の代表寸法を有する微小な流路)における等速電気泳動と呼ばれる現象を用いて、ターゲットDNA分子とその捕捉分子で修飾したマイクロビーズを共濃縮し、反応速度を大幅に向上させるものである。この反応速度の向上により、約20分の反応で20時間の反応と同等の検出感度を達成することが可能となったという。また、30分の反応時間を用いた結果と比較すると、約5倍の計測感度を得ることができる。さらに、同一サンプル内に存在する複数のターゲットを同時に定量することが可能であるとしている。今後、同技術を基にした高速かつ網羅的核酸解析が実現することが期待されるとコメントしている。
2014年10月17日産業技術総合研究所(産総研)は9月29日、ダイレクトウェハ化技術により、転位など欠陥の極めて少ない気相合成単結晶ダイヤモンドウェハを作製できる低欠陥コピー技術を実証したと発表した。同成果は、同所 ユビキタスエネルギー研究部門 ダイヤモンドデバイス化研究グループの杢野由明研究グループ長、加藤有香子主任研究員、鹿田真一総括研究主幹らによるもの。詳細は、アメリカ物理学会誌「Applied Physics Letters」のオンライン版に掲載された。今回、ダイレクトウェハ化の種基板として、欠陥の極めて少ない基板を用いるとともに、このような基板に対応した結晶成長技術や基板表面処理技術を開発することにより、従来より一桁以上低い転位密度400個cm-2の単結晶ダイヤモンドウェハを作製したという。これにより、ダイヤモンドのパワーエレクトロニクス用材料としての可能性が示され、究極の材料特性をもつパワーデバイスによる省エネルギー社会の実現へ道を拓くことが期待されるとコメントしている。
2014年10月01日ポリプラスチックスは5月19日、従来の二重成形技術では接合が困難であった樹脂接合や異なる種類の樹脂接合を可能にする技術として、異材接合技術「AKI-Lock」を開発したことを発表した。材料を選ばない樹脂異材接合技術AKI-Lockは、1次成形品の接合部表面をレーザー処理した後に2次成形を行う二重成形技術で、これまで接合が困難であった樹脂や異材との接合を可能にする工法だ。1次成形品にガラス繊維強化材料を用い、レーザー処理によりガラス繊維を露出させることにより、2次成形材料がガラス繊維とのアンカー効果により強固に接合され、高い気密性を発現する。これらの性能により、組付け工数・部品点数削減によるトータルコストダウン、品質向上、異材結合による多機能成形品への応用が行えるとした。
2014年05月20日(画像はプレスリリースより)SEV技術との関係性明確化五反田・目黒・銀座の3店舗を運営するSEV技術導入のトータルボディケアサロン「メディケア」が、SEV技術と健康、美容の関係性をさらに明確にするためにオフィシャルサイトをリニューアルした。(画像はプレスリリースより)SEV製品の使用を詳細に説明「健康の先にある美しさ」をテーマにしている「メディケア」は、リラクゼーションなどの一時的なものではなくSEV技術で人間本来の力を引き出す方法で健康、美容を追求しているサロンだ。(画像はプレスリリースより)今回のサイトリニューアルでは、店内空間全体をSEV化した「SEV空間技術」の導入、メインメニューの「リンパマッサージ」における、SEVイオナイザーやSEVフリアなどのSEV製品の使用が詳細に説明されている。また、SEV製品を愛用している方向けの「SEVボディマッサージ」、その他、エンダモロジー、ラジオメタボなど多彩なメニューが用意されていることも紹介されている。あなたもトータルボディケアサロン「メディケア」をお試しあれ。【参考】・トータルボディケアサロン「メディケア」
2014年05月12日美容外科の世界は日進月歩で技術が進むそうです。新しいアイデアがあると、あまり時間を置かずにそれが新しい治療法へとつながっていきます。今、最前線ではどのような技術があるのでしょうか。美容外科の第一人者、高須クリニックの高須克弥院長にお話を伺いました。■美容外科の世界でも「勝ち組」「負け組」がくっきり――最近の美容外科の傾向について教えてください。高須院長今まで美容外科というのは「切った張った」の世界だったわけです。名人と呼ばれるお医者さんがいて、その人にやってもらうことが良い結果につながっていたんです。でも、それが変わってきています。名人の磨いてきた技術を生かしにくいと言いますか……。――どういうことでしょうか。高須院長「切った張った」の「切る」の部分がもういけません。切ったりしないでできる治療じゃないと、患者さんに受け入れてもらえないんですよ。例えば10年ぐらい前から、「プチ整形」といって、二重にしたり、注射で隆鼻したりね。こういった切らない施術(手術ではない施術)がもはやメインですよ。患者さんも多いです。手術の方が特殊なものになっちゃった。――そうなんですね。高須院長だから、昔ながらの「名人の手術」を売りにしている病院には患者さんは来なくなっていますよ。おすし屋さんじゃないですが、ガンコおやじの名人芸が好きなお客さんには来てもらえるでしょうけどね。――高須院長ご自身はいかがなんですか(笑)?高須院長僕なんかもガンコおやじの方ですよ(笑)。腕を一生懸命磨いた世代の人間だもの。「高須さんにやってもらいたい」って言われるためにはね、やっぱり腕が良くないといけないんです。現在は、経営的なこと考えると最新の施術機械、最新の施術薬をどんどん入れないとお客さんが来てくれない。その意味では美容外科は大変です。「勝ち組」と「負け組」がはっきりしてきていますね。■お客さんには「時間」が最重要である!高須院長最近の患者さんはね、何より「自分の時間」を大切にしています。――すぐ結果が出ないとダメということでしょうか?高須院長治療を受けて、少し腫れたりして、そこから結果が出て、なんていう今までみたいな時間がかかるものはダメですね。この「少し腫れて」なんていう時間を「ダウンタイム」と呼ぶんですが、ダウンタイムをいかに短くするかです。例えば、週末に治療を受けて、翌週の月曜日に出社した時にはキレイになっている。こういったダウンタイムがウイークエンドの「1、2日」、これでもかかり過ぎっていう感じです。――1日、2日でも長いんですか?高須院長最近はですね、施術にかかる40分、60分、施術室を出たらすぐにキレイになってないといけません。例えば、キレイになるための服を注文して、半年も待っていられますか!? それと同じです。■わずかな時間の施術で皮膚のたるみを消す!――今、人気の最新技術というと何でしょうか?高須院長『ウルセラ』ですね。これは「フェイスリフティング」を行う際の技術です。――フェイスリフティングって何ですか?高須院長人間は年を取ると皮膚がたるんでくるんです。しわが目立つようになるでしょ? 昔は、たるんでいる皮膚の余分な部分を切って、皮膚を引っ張って、という手術をしていたんですよ。――それは大変そうですね。高須院長大事(おおごと)になるでしょ。なので、次に出てきたのが、切らないでたるんでる部分を糸で持ち上げるっていう技術。金の糸とか溶ける糸とかを使ってやるんです。でもね、効果はあるんだけど、皮膚だけやっても厳しいんです。皮膚の下の「表在性筋膜」をなんとかしないといけない。この表在性筋膜に直接働きかける方法が最近編み出されたの。それが「ウルセラ」。――具体的に何をするんでしょうか?高須院長高密度の超音波を当てる。皮膚を通り越して表在性筋膜に焦点が合うようになってて、熱エネルギーを表在性筋膜に与えてこれを引き締める。そうすると皮膚もひっぱられて「しわ」や「たるみ」がなくなります。――切ったり、縫ったりは「なし」ですか?高須院長そうそう。高周波のハンドピースを当てるだけですよ。これのいいのはね、施術後、さらに皮膚がしまること。3カ月、6カ月たったらさらに上がるの。これを「タイトニング」と言うんだけど、ウルセラだとそういう効果もあるわけ。――それは人気が出そうですね。高須院長人気なんだってば(笑)。だってさ、奥さん同士で施術を受けに来て、先に入った友達が出てきたら、皮膚のたるみが消えて「若返ってる」んだよ。それを見た、後の人は「おおっ!」って言うよね。――ではその施術は混んでそうですね。高須院長毎週金曜日がウルセラの施術日なんだけど、本当に混みますよ。――先ほどの名人芸ではないですが、この最新の施術にもうまい人とそうでない人というのがあるんでしょうか。高須院長あるんですよ(笑)。うちのクリニックに加王(かおう)先生という方がいるんですが、この人はうまい。左右の皮膚のたるみの微妙な違いも丁寧に見て、タイトニングの後の結果まで読んで実施できる腕があるんですよ。だから彼に施術された人は本当に喜びますよ。――お客さんから指名されたりするんでしょうか。高須院長僕よりも人気があるからね。――それはイヤな感じですね(笑)。高須院長うんイヤな感じ(笑)。でも彼は本当にうまいですよ。■iPS細胞の技術を美容外科にも!――高須先生が注目している技術があったら教えてください。高須院長やっぱり「iPS細胞」でしょう。美容外科で使えるようになる時代がやがて来るでしょう。今は「ガン化」するのが怖いからまだ人間で実験されていませんけれども。でも、試験が行われて安全が確認されたら、どっと使われることになるでしょうね。特に「歯」と「毛髪」はね。――やはり歯と毛髪でしょうか?高須院長歯は一生使いたいし、毛だってね(笑)。あるに越したことないでしょ。血液と皮膚も大事だよね。いつまでもみずみずしい肌でいたいし。網膜や角膜の再生にも使えたらこんなにいいことはないでしょう。どれほどの人が助かることか! iPS細胞は美容外科でも重要な役割を果たすと思いますね。そう遠くない未来じゃないでしょうか。肌のたるみを取る技術がこんなに進歩しているとは全く知りませんでした! 美容外科の世界はどんどん進んでいくんですね。(高橋モータース@dcp)
2012年12月24日