近年、注目度がどんどん増している「非認知能力」。そのため、ともすれば「子どもの非認知能力さえ伸ばしてあげればいい」という考えを持ってしまうこともあるでしょう。しかしそうではなく、「非認知能力と認知能力の両方が大切」だというのは、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生。そして、「子どもの非認知能力を伸ばしてあげることが、認知能力を伸ばすことにもなる」とも語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「自然物」とは、子どもにとって最高のおもちゃ子どもたちは、自分の興味関心に従い遊ぶなかでたくさんの非認知能力を獲得していきます。ですから、子どもの非認知能力を伸ばしてあげるためには、子どもの興味関心を大事にしてあげることがもっとも重要です(インタビュー第1回参照)。しかも、幼い子どものすごいところは、自分の世界をどんどん広げる力を持っていることでしょう。なにか特別なものを与えなくても、身のまわりにあるものを使ってどんどん遊んでいくことができる。身のまわりのもののなかでも、子どもにとっての最高のおもちゃは「自然物」です。自然物は、人の想像力や創造力を膨らませてくれる力を持っています。周囲にあるテクノロジーの産物も、もともとは自然物がモデルということが少なくありません。飛行機だって虫や鳥などの動物にヒントを得て生まれたものでしょう?それだけ、自然物は人の想像力や創造力、興味関心をかき立ててくれるものなのです。そういった背景から、ひとつアドバイスを送りたいと思います。子どもと外に出かけるときには、ぜひ、ビニール袋を持参してみてはいかがでしょう。なぜなら、人の興味関心をかき立てる自然物は当然ながら子どもの心も強くとらえるものであり、子どもはいろいろな自然物を集めたがるからです。秋や冬なら落ち葉を拾いはじめるでしょうし、桜の季節なら桜の花びら、虫が元気な季節なら虫を集めるかもしれない。また、時期によっては花びらを使って色水をつくるなんて遊びもできます。ビニール袋がひとつあるだけで、子どもはずっと夢中になって遊ぶことができるのです。大人からすれば、落ち葉はゴミになるし、「虫が苦手……」いう人もいるでしょう。よくわかります。でも、子どもが小さい時代、それにつき合ってみると、意外といとおしく見えてくることもありますよ。空き箱や廃材があれば家のなかでも自由に遊べるしかしながら、都市化が進んでいる地域に住んでいる人の場合だと、子どもと外で遊ぶ機会自体があまりないという人もいるでしょう。そういう人は、週末や長期休暇を使って自然のなかに遊びに出かけることを考えてみてください。親子それぞれにとって、とても豊かな時間になるはずです。そして、なかなか日常的に自然に触れられない場合でも、なるべく普段の生活のなかで子どもが夢中になって遊べるようにしてあげたいものです。そういうときは、空き箱や廃材などを家のなかに置いてあげてください。落ち葉の例ではありませんが、それらは親にとってはゴミかもしれません。でも、子どもにとっては魅力的なおもちゃなのです。子どもは、想像力と創造力をフル回転させた自由な発想で、空き箱や廃材をさまざまなものに変身させていきます。そうしてできあがったものは、子どもの想像力と創造力の産物です。遊び方が決まっている既製品のおもちゃだけで遊ぶのか、それとも空き箱や廃材などで自由に遊ぶのか。そのちがいは、子どもの経験にも大きなちがいを生み出します。でもなかには、「空き箱や廃材で家のなかを汚されたくない……」という人もいますよね?そうであれば、リビングなどの部屋の一角を子どもが自由に遊べるコーナーにしてあげてみてはいかがでしょうか。いたずらのような遊びからも子どもは学んでいる空き箱や廃材を使った遊びにも通じることですが、親からすれば迷惑に感じたりいたずらにしか思えなかったりする遊びからも、子どもはさまざまなことを学んでいるケースがあります。子どもは、ティッシュボックスからティッシュを全部出して、再び詰めるような行動をしますよね?この行動を、専門用語では「探索活動」といいます。このとき、子どもは、「こうしたらどうなるだろう」「ああしたらどうなるだろう」と試行錯誤をしているのです。親からすればたしかに迷惑な行動なのですが……、子どもがやりたがることに似たことを迷惑にならないやり方で自由にやらせてあげることを考えたいものです。ティッシュペーパーを次々に取り出す遊びが迷惑なら、「新聞紙を使うのだったら、自由に遊んでいいよ」と伝えてあげる。洗面所の水道の蛇口を思い切りひねって延々と水を出されることが迷惑なら、庭やベランダで思い切り水遊びさせるという具合です。こうした探索活動は、意欲や探求心などの非認知的な力だけでなく、認知的な力を伸ばすことにもつながります。「認知能力」とは、読み書きや計算のように、テストなどで測ることができる、いわば目に見える力のこと(インタビュー第1回参照)。子どもがペットボトルなどに水を入れたり出したりする遊びを繰り返していたら、見方によっては数量の経験をしているととらえることもできる。あるいは、虫を夢中になって集めている子どもが、ある日「昆虫図鑑を買ってほしい」といってきたとします。それはイコール、科学に興味を持ったことに他なりません。非認知能力を伸ばすことを重視すれば、結果的に認知能力を伸ばすことにもつながる――そう意識してほしいのです。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ(※近日公開)第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい(※近日公開)『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月31日年々、教育界における注目度が上がっている「非認知能力」。読者のみなさんも、何度となく見聞きしているでしょう。しかし、研究者によって非認知能力に対する見解はさまざま。今回は、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生に非認知能力に対する見解を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)非認知能力だけが重要ではないことに要注意「認知能力」とは、読み書きや計算のようにテストなどで測ることができる、いわば目に見える力のことです。それに対して、「非認知能力」は、「非認知」というだけにテストなどでは測りにくい、目に見えづらい力といえます。それに含まれるものは本当にさまざまですが、社会性や情動性、意志力、自己肯定感、なにかをやり抜く忍耐力、コミュニケーション能力、他者に対する思いやり、自分をコントロールする自己制御など、主に「心」や「社会性」にまつわる力です。非認知能力が注目されるようになった大きなきっかけは、アメリカの経済学者であるジェームズ・ヘックマンが行った子どもたちの追跡調査でした。その追跡調査の結果、幼児期に質の高い教育を受けた子どもとそうではない子どもでは、大人になってからの経済力などに大きな差が生まれたことがわかったのです。そして、大人になって経済力や社会的地位が高くなった人は、幼児期に非認知能力を高めるような教育を受けていた。ただ、誤解してはならないのは、「非認知能力が重要」だからといって「認知能力が重要ではない」というわけではないこと。そのどちらも大切な力ですから、しっかり伸ばしてあげるべきでしょう。時代の変化によって、非認知能力を獲得する機会が激減また、非認知能力が注目を集めることとなった背景には、先のヘックマンの研究の他に、時代の変化が挙げられます。本来、非認知能力とはなにか特別なものなどではなく、むかしであれば子どもの普段の遊びやあたりまえの子育てのなかで勝手に育っていたものです。かつての子どもたちは、豊かな自然のなかで元気にたくさん遊び、異年齢の子どもたち、あるいは異世代の大人とも触れ合う機会が数多くあり、多様で具体的な体験を通した経験を積み重ねていました。すると、遊びのなかでうまくいかないことがあっても、熱中して続けるうちにうまくいくといった経験を通じて、困難を乗り越えるために必要な意志力や忍耐力、やり抜く力を獲得することができた。また、他人とかかわるなかで人間関係の問題にぶつかったら、なんとか折り合いをつけるようなコミュニケーション能力や思いやり、自己制御といった力を得ることもできました。そのようにして、非認知能力を自然に獲得していたわけです。ですから、これまでは非認知能力が特段にフォーカスされることがなかっただけのことです。でも、むかしとは時代が大きく変化していますよね。まず、習い事などに忙しいいまの子どもは、単純に遊ぶ時間自体が減っています。そのため、遊びを通じて非認知能力を得る機会が激減している。また、いまの親は子どもになるべく喧嘩をさせないようにしています。本来なら、子ども同士でおもちゃを取り合うようないざこざは、社会性を身につける絶好の機会です。いざこざのなかで、子どもは自分の気持ちを相手にぶつけてその反応を見たり、相手に譲ったりといった経験を通じて成長していくのですからね。ところが、いまは親のクレームを恐れ、幼稚園や保育所でも子どもの喧嘩をなるべく未然に防ぐようにしてしまっている。これでは、なかなか子どもの社会性は育ちません。重要となる、子どもの興味関心に親がつき合う姿勢わたしは、2019年に妻との共著で『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)という本を出版しました。じつはこの本は、「こういう時代であっても、多くの親たちが何気なくやっていることが大事」というメッセージを込めたものでもあるのです。先にお伝えしたように、非認知能力は特別なものではありません。非認知能力というたいそうな名前がついているがために、特別なことをしなければ育たないと考える人もいるかもしれませんが、そうではないのです。では、なにをすればいいのか?それは、大人からしっかりと受け止められる経験を子どもにさせること、そして、子どもの興味関心を大人が大切にするということです。非認知能力の多くは、「主体性」にかかわるものです。人間は、好きなことに対してであれば、主体的に取り組むことができます。みなさんも、大好きなアーティストのコンサートチケットを手に入れるためなら、多少の困難があっても手に入れようと頑張るでしょう?それは、見方を変えれば、困難を乗り越える力を発揮しているともいえます。子どもだって同様です。親子で散歩に出かけたときに、子どもが落ち葉のことが気になって拾いはじめたら、一緒に拾ってあげればいい。家のなかで何度もソファに昇り降りする遊びを面白がっているのなら、「ソファがへたっちゃうでしょ!」なんて叱らずに遊ばせてあげればいい。そういう親の姿勢が、子どもの非認知能力を育てていくのです。また、子どもの興味関心は、子どもに非認知能力が育っているかどうかのひとつの目安にもなります。非認知能力はそもそも測ることが難しい力ですから、本来、「これができていれば非認知能力が育っている」といった明確な基準はありません。ただ、非認知能力の多くは、先に述べたように興味関心、主体性から生まれてくるもの。ですから、子どもが目を輝かせて強い興味を示すような世界を持っているようなら、ひとまずは安心していいでしょう。■ 玉川大学教育学部教授・大豆生田啓友先生 インタビュー一覧第1回:非認知能力は育っているか?子どもが「目をキラキラさせる世界」があれば安心です第2回:かわいい子には“いたずら”をさせよ!?「自由に遊んでいいよ」で子どもは学ぶ(※近日公開)第3回:親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ(※近日公開)第4回:イヤイヤ期に「悩まない、苦しまない」。子育ては“ほどほど”がちょうどいい(※近日公開)『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』大豆生田啓友・大豆生田千夏 著/講談社(2019)【プロフィール】大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)玉川大学教育学部教授。青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。専門は乳幼児教育学・保育学で、現在、日本保育学会副会長。メディア出演も数多い。著書は、『子育てを元気にする絵本』(エイデル研究所)、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』(小学館)、『マンガでわかる! 保育っていいね』(ひかりのくに)、『子どもの姿ベースの指導計画』(フレーベル館)、『あそびから生まれる動的環境デザイン』(学研みらい)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(フレーベル館)、『子育てを元気にすることば』(エイデル研究所)他、多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月30日今どきの子どもたちのコミュニケーション能力低下は、学校や新卒採用などの現場において、ずいぶん前から言われ続けてきました。また、学校生活から卒業して社会人になれば、さらに高度で複雑なコミュニケーションに対応できる力が求められるでしょう。将来、社会人生活を送るのに十分なコミュニケーション能力を育むためには、日頃の家庭でのコミュニケーションの在り方が大きく影響します。子どものコミュニケーション能力がなぜ低いと言われるのか、そして家庭でコミュニケーション能力を育てるために親ができることについて紹介します。子どものコミュニケーション環境は、今と昔で大きく変わっている子どものコミュニケーション能力が低くなったと言われる背景には、社会の大きな変化があります。たとえば、翌日使う持ち物を確認し忘れていたことを気づいたとき、子どもたちはどうするでしょうか。かつては友だちの自宅へ電話をかけ、応答した家の人に友だちへの取次ぎをお願いし、代わって出た本人に確認をしていましたが、今ではメールアプリなどでダイレクトに、しかも声を発することなく確認することができます。また、わからないことがあれば、親や先生に聞くよりも、先にネットで検索して調べたほうがより早く、そして多くの情報を得ることができる、と考える子も少なくないでしょう。もうひとつ、普段の家庭での過ごし方をイメージしてみましょう。学校や園から帰ってきた子どもたちが、友だち同士、近所で集まって遊ぶ姿を見ることは少なくなりました。そもそも子どもの数が少なくなっているうえに、習い事でお互いに遊ぶ時間を合わせにくい現状があります。夕食時には、同居するおじいちゃんおばあちゃんも含め大人数で食卓を囲んで、その日あったことを話し、いろんな世代の意見を交えながら団らんする――そんなシーンも、昭和を描いたドラマやアニメでしか見かけなくなりました。ITの発達と少子核家族化が、子どもを取り巻くコミュニケーション環境を変えたと言えるかもしれません。言葉が足りないことが原因でトラブルに社会の変化に合わせるように、今どきの子どもたちは、小さなコミュニティの中で仲間内や家族とやりとりする比重が大きくなっています。そして学校生活では、単語レベルでの短い言葉のやりとりが、クラスメートとの意思疎通を不十分にさせてしまい、そこからトラブルになってしまうことも。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、現代の子どもたちのコミュニケーション能力について、「良好な対人関係をつくる能力が低下している」という “否定的な見方” がある一方で、「周囲の人間関係を的確に把握して、それに自分を合わせるなど高い能力がある」という “肯定的な見方” もあるとしています。しかし、全体的なコミュニケーション能力はやはり低くなっているようです。ただ、今時の子どもたちには、仲間同士では必要以上に気を使うのに対して、大人など異世代や仲間以外に対する人間関係には無関心という傾向もあるように思われます。いずれにしても、昔に比べれば、全体的なコミュニケーション能力は低くなったと言っても過言ではないでしょう。(引用元:ベネッセ教育情報|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭から)「やばい」「うざい」「きもい」などの無思慮な短い言葉でやりとりを許し合える身近な関係から一歩外へ出た途端、お互いの言葉が足りないことで、子どもたちの間にトラブルが生じていると考えられます。コミュニケーション能力は就職までも左右する学校生活でのトラブルだけでなく、社会人生活、とりわけその第一歩となる就職にもコミュニケーション能力は大きく影響を及ぼします。全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が2009(平成21)年秋に実施した「学生生活実態調査」によると、以下の特徴がある学生ほど、就職内定率が高いことがわかりました。目上の人との会話が得意家族との会話が多い友人の数が多いリーダー経験がある周囲の意見を尊重できる幅広い人間関係を形成して、自分から積極的に働きかけ、周囲に共感できること、つまりコミュニケーション能力の高さは、就職活動の結果までも左右するわけです。また、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠氏は、「友だちが多いヤツが東大に合格する」と話しており、“勉強に限らずさまざまな面で活躍している、成長スピードの速い人”の 共通点として、以下のことを挙げています。どんなに意見が違う人の話でも、話を遮るのではなく「いったんは聞いてみよう」という姿勢を持っている。そして、そのなかからなにかを得ようとしているように思います。(引用元:Study Hacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく)これは前述した「周囲の意見を尊重できる」という性格に当てはまるのではないでしょうか。どうやら、コミュニケーション能力は「学び」にも影響を与えるのですね。家庭でできるコミュニケーション能力アップ術子どもたちの将来を考えるうえで必要不可欠なコミュニケーション能力は、家庭でも意識することで向上できます。次に紹介するコミュニケーション能力アップ術でピンときたものがあれば、ご自身のお子さまに合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。■子どもの話を最後まで聞く帝京短期大学・生活科学科学科長である宍戸洲美教授は、子どもの話に「しっかり心を向ける」ことが大切だと言っています。まずは、「子どもの話を最後まで聞く」「スマートフォンを見ながら返事をしない」、この2つを心がけてみてはいかがでしょう。話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになるのです。また、親に話を聞いてもらうと、「お父さんお母さんは私を見ていてくれている、わかってくれている」と感じ、子どもの自己肯定感が高まります。■長い文章で話す「あれとって」「早くして」――親の私たちも、簡単な言葉で話しかけていることが多いのではないでしょうか。「次世代教育のグランドデザイン」を描く研究機関、内田洋行教育総合研究所が配信する「学びの場.com」は、親子間での会話こそ気をつけるべきだとしています。「リビングのテーブルに置いてあるレシピ本を取って」「〇時に家を出ないと用事に間に合わないから、それまでに出かけられるように準備しよう」など、親子で長い文章をやりとりしてみましょう。■学校や習い事以外の場所に出かける地域の行事や、公園や駅前で開催されるイベントなど、さまざまな人と触れ合える場に出かけてみましょう。その際、子どもだけにコミュニケーションを促すのではなく、親の私たちが積極的に声をかけてコミュニケ―ションを図るようにします。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏も、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と言っています。家庭や学校・習い事以外の場所にどんどん子どもを連れ出しましょう!***子どものコミュニケーション能力は、現代の社会の仕組みを見ても、自然に任せていてはなかなか伸びないようです。とはいえ、親が何でも先取りしてヒントを出したり代弁したりするのは禁物。じっくり焦らず見守っていきましょう。(参考)文部科学省|コミュニケーション教育推進会議(第1回)「コミュニケーション能力」に関する指摘・調査等内閣府|情報誌「子どもと若者」~子どもと若者への支援に向けて~コミュニケーション力を高めるためにベネッセ教育情報|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭からStudy Hacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく学びの場.com|子どものコミュニケーション力は落ちているのかStudy Hackerこどもまなび☆ラボ|自己肯定感を育む、親子コミュニケーション。「聞いて!」「あとでね」の正解Study Hackerこどもまなび☆ラボ|学校と習い事以外の世界はありますか?「生きる力」を育てる “第3の居場所”
2020年01月16日「子どもにはやりたいことを見つけてほしい!」と考えているママ自身が、なかなかやりたいことが見つけられなかったり、時間がなくて諦めたり……ということは珍しくないですよね。「誰かのために」「社会のために」という、外向きのエネルギーに子どもを向けるために、親が意識して声がけするといいと話すボーク重子さん。そんなボークさんに、ママの生き方についてお話を伺います。 『子どもの「やりたいこと」の見つけ方」』 の続きです。■ママが打ち込む姿が子どもの非認知能力を伸ばす――子どもには本当にやりたいことを見つけてほしい。そう考えるママ自身、なかなか自分のやりたいことができずにいることも多いです。そうした現状をどう見ておられますか?ボーク重子さん(以下、ボークさん):子どもの非認知能力を育む秘密兵器は、「ママがやりたいことを見つけて、取り組むこと」なんですね。「何かやりたいことを見つけなさい」と言うよりも、身近にいる大人がどう生きているかを見せることが、子どもたちにとって一番のロールモデルになります。私は、母親が「子どものお世話をする人」から、「子どもを導く存在」に変わっていくべきだと考えています。ママ自身が、子育てをしながらでも、自分のやりたいことを諦めずに両立させている、その姿こそが子どもたちにとって最高のお手本となるからです。――子どもに見せるのは、具体的にどのような姿がいいのでしょうか。ボークさん:かっこいい姿だけじゃなくて、失敗をたくさん見せてあげてください。ママは失敗もするけどその度に立ち上がっている、失敗なんてどうってことないと気づかせてあげることができます。私は、子どものお手本になるのは、かっこいい正しい人のことではなくて、自分自身の成長過程を見せられる人だと考えています。そのためにも、ママがやりたいことを見つけて、取り組んでいる姿というのは、子どもにとても大きな影響を与えると思います。■母親としての「罪悪感」との付き合い方――ただ、子育てに家事に仕事にと、ママたちのやることは多くて、自分の時間が持つことに対して罪悪感を抱く人も少なくないと思います。ボークさん:どうしても「完璧な母親」のイメージにとらわれて、家事も育児も、そしてさらに仕事まで「完璧にやらなくては」と、自分を追い込んでしまうお母さんは多いですよね。でも、子どもは「ダメなママでこめんね」と悲しげなママより、「ママは今日もがんばったよ!」と話す笑顔のママといる方が幸せなはずです。ママ自身が自分の人生を広く探し求めることが、子どもを導くロールモデルとして、おおいに役出つということを踏まえると、罪悪感を持つ必要はまったくありません!――忙しい日々の中でどうやって自分の時間を作ればいいのでしょうか。ボークさん:家事が完璧にできていることってどれだけ重要なのでしょう。たとえば誰かが靴下を丸めたまま洗濯カゴに出していたら、そのまま洗ってそのまま干せばいい。自分が重要だと思わないのなら別にしなくてもいいんです。「ToDoリスト」ではなく「いたしませんリスト」を作って、やらなくていいことは徹底的にやらない。そうすると、自分の心に余裕ができます。あとは、「ママは行方不明」の時間を作るのもオススメです。たった15分でもいいので、「これからママは行方不明なので、自分のことは自分でやってください」と家族に言うんです。最初は文句を言われるかもしれないけれど、続けるうちにきっと慣れてきますから。 ■何をしたいか忘れてしまったママたちへ――「何をしたいのか」。あらためて問われると難しく感じるのですが、どのような観点で見つけていけばいいのでしょうか。ボークさん:私は、“楽しいパッション(情熱を持てること)”とは、結局は自分と社会とのつながりだと思うんです。自己満足で終わる内容も、悪くはないですが、家族がいるのに「一人でホールケーキを全部食べちゃう」ようなものですよね。家族や友だちと分けたら、自分の取り分は減るけれど、幸せは何倍にもなります。自分のやりたいことで、だれか1人でもいいので、役に立つとか、幸せにできていると思えたときに、自分自身の幸福度も高まると思います。人生100年という長い時間を、楽しく過ごすためには重要な考え方だと思います。――なかには、「子育てこそが私のやりたいことだ」というママもいると思いますが、それではダメなのでしょうか?ボークさん:もちろん、「子育てが私のパッションだ」というのは、素晴らしいことですし、それも大いにありです。ただ、子どもは高校を卒業すると、ほとんどの場合、巣立っていってしまうんですね。だからこそ家庭の中という内向きの視点に自分と社会の接点というもう一つの視点を取り入れることが大切だと思います。私自身50代で、ちょうど周りも子どもが巣立ち始めたのですが、「自分の人生これからだ! 」という人と、「何をすればいいのか…」という人との二つのグループに分かれてしまっている。何が二つを分けたかと考えてみると、「自分の人生を止めたか、止めていないか」なんです。専業主婦をしていても、意識を変えることで社会とのつながりを保つことができるでしょう。たとえば、自分の好きなパンを作って、それをご近所さんに配ること、それも社会とのつながりなんですよね。――母親という役割だけではなく、「自分自身がどんな人間か」という視点が大切なんですね。ボークさん:そうですね、「子どもを育てている」だけでは、その人がどんな人間かはわかりません。何に関心を持ち、どんなことを考えているのか。やりたいことは何か、楽しいと思うことは何か、そうしたことを聞いて、初めてその人に対する興味がわいてきますよね。母親としての役割には、責任が非常に重くのしかかってきますが、大切なのは、自分はどんな風に生きたいのか、何のために生きるのか、ということを忘れないことかもしれません。■十分に頑張っている自分をほめてあげる――今、がんばっているママたちにメッセージをいただけますか。ボークさん:今の時代は本当に過渡期で、女性の生き方も多様化しているし、教育改革も動いています。そんななか、ママたちは仕事もして家事もして子育てもして、大変なことも悩みも多いことと思います。そうした時代であったとしても、心に余裕を持って生きることはとても大切です。そのためにも、自分ができなかったことではなく、できたことを思い出して、毎日自分をほめてあげてほしい。そして、自分を見つめる時間もぜひ作ってほしいと思います。その子の子育てはたった1回しかないし、自分の人生もたった1回しかないからこそ、心の何処かに余裕を持って楽しんで欲しいなと思います。――ありがとうございました。ここまで、ボーク重子さんにママの生き方についてお話を聞きました。子どもに対して親自身が、何か打ち込めるものを見つけて取り組む姿を見せることに大きな意味がある、それを思うとママ自身もがんばる力がわいてきそうですよね。ママのタスクは多く、その中で自分のやりたいことが何か見つけて、実践するのは簡単ではありませんが、自分自身の人生についても、ぜひ考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。■今回お話を伺ったボーク重子さんのご著書 『「パッション」の見つけ方: 「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』 (ボーク重子/小学館 ¥1,400(税抜))ボーク重子(ぼーく しげこ)さん作家、ICF会員。米・ワシントンDC在住。2004年、アジア現代アートギャラリーをオープン、2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に「ワシントンの美しい25人」のひとりとして紹介される。2017年、一人娘であるスカイが「全米最優秀女子高生コンクール」で優勝、多くのメディアに取り上げられた。現在は、日米で講演・執筆活動中。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)のほか、近著に『「パッション」の見つけ方: 「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』がある。Instagram: @shigekobork
2020年01月08日「医学の進歩で、これまで難治性といわれていた病気も、改善されるケースが出てきています。認知症に関しては未知の部分がいまだ多くありますが、生活習慣の改善によって予防できることがわかっています」こう話すのは、アンチエイジング医療の第一人者で、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。認知症は大きく分けて、脳梗塞など血管障害によって脳細胞神経が死滅することで起こる脳血管性認知症と、脳に蓄積したアミロイドβが脳神経細胞を壊すアルツハイマー型認知症の2つがある。このうち約8割はアルツハイマー型認知症。このアルツハイマー型こそ、生活習慣の改善が予防につながる部分が大きいという。「認知症の原因となるアミロイドβは、発症の20〜30年前から蓄積し始めるとされています。予防対策は早ければ早いほどよいと思いますが、40歳を過ぎたくらいから意識をし始めるとよいでしょう。そういう意味でも、年末年始はそれまでの生活習慣を見直すのによい機会ですね」そこで白澤先生が、認知症にまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】はきものを新調。脳にやさしいのは?薄手の靴下 or ふわふわのスリッパ正解は、薄手の靴下。「足と脳の関係は深く、足の裏や指からの刺激は脳を活性化させます。靴は足裏の感覚を鈍らせますが、スリッパも同様。夏ははだしで、床が冷たい冬は薄手の靴下をはいて、足裏が床をつかむ感覚を感じると、脳の血流も促進され、反応がよくなります」(白澤先生・以下同)【Q2】若返りホルモンを分泌させるのは?スクワットなどの筋トレ or パズルなどで脳トレ正解は、スクワットなどの筋トレ。「筋トレをすると若返りホルモンと呼ばれるマイオカインが分泌されることがわかっています。マイオカインには『記憶力を高める』『うつ症状を改善する』といった働きもあります。体を動かすことは全身の血流を改善し、認知機能を高める効果もあります」【Q3】認知症予防に役立つのは?ヨガ or 太極拳正解は、太極拳。「脳の活性化だけでなく、転倒防止にも効果的なのが太極拳。転倒は体のバランスが衰えることが大きな原因です。太極拳はバランスをとるための体幹が鍛えられます。ヨガに比べ、動きが多く、体内に取り込む酸素も多い太極拳のほうがおすすめです」【Q4】認知症予防につながるメニューは?緑黄色野菜がたっぷりのサラダ or 根菜類がたっぷりの煮物正解は、緑黄色野菜がたっぷりのサラダ。「緑黄色野菜にはフィトケミカル、β-カロテン、ビタミンCなど、抗酸化作用を高める成分が含まれます。サラダはその栄養素を壊すことなく取ることができます。煮物は砂糖や醤油で味付けが濃いことがあるので注意。サラダもドレッシングは控えめに」健康管理にこの習慣を加えて、脳の老化を防いでいこう。「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日できれば親としては子どもが本当に好きなことを思いっきりさせてあげたいところですが、それがなかなか難しいと感じている人も少なくないでしょう。そこで、 『「パッション」の見つけ方: 「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』 を上梓し、子育てやキャリア構築などについて日本やアメリカで講演会やワークショップを展開するボーク重子さんに、親ができることについてお話を伺いました。ボーク重子(ぼーくしげこ)さん作家、ICF会員。米・ワシントンDC在住。2004年、アジア現代アートギャラリーをオープン、2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に「ワシントンの美しい25人」のひとりとして紹介される。2017年、一人娘であるスカイが「全米最優秀女子高生コンクール」で優勝、多くのメディアに取り上げられた。現在は、日米で講演・執筆活動中。Instagram: @shigekobork ■いま必要な「考える力」と「楽しむ力」――人工知能(AI)が進化して、私たちの生活もどんどん便利になっています。そんな今の時代に、子どもたちに必要なのはどんな力だと思いますか? ボーク重子さん(以下、ボークさん):人工知能は、インプットしたら正確にほしいことを瞬時にアウトプットしてくれますよね。そういう部分では、もはや人工知能の方が人間よりも早くて、太刀打ちできないんです。ただ、人工知能には、「楽しんで仕事をする」とか、「だれかの役に立ちたい」とか、そういった感情を持つことはできません。私たちには、考えること、そして楽しむことができる。そういうところこそが大きな力となります。これこそが「非認知能力」と言われるもので、子どもたちは、今後この力を伸ばしていくことが重要だと思っています。――「非認知能力」を育むためには、何が必要となってくるのでしょうか? ボークさん:そうですね、子どもたち自身は、自分がやりたいと思えることについては、「やる気」と「エネルギー」がわいてきます。だれかに無理やりやらされたことについて、なかなかがんばれないのは大人も同じですよね。だからこそ、子ども自身が「こんなことがしたい」という思いを持つことが重要なのです。これこそまさに、「出る杭」と言われるようなものを持った人だと私は考えています。 ■「出る杭は打たれる?」子どもがやりたいことを見つけるには ――日本では、どうしても「出る杭」は打たれる傾向にある気がします。そんななかで、子どもたちの考える力や楽しむ力をどう伸ばせばいいのか悩んでしまいます。 ボークさん:私は、思考力のベースにあるのは知識なので、知識を身につけさせることに重点を置いてきた日本の教育もすばらしいと考えています。そして、現在は非認知能力の大切さもだんだんと認識されてきて、学校での教育も徐々に変わってきています。ただ、それでも非認知能力に重きを置く教育は、アメリカなどと比べると、まだまだ日本では進んでいるとは言えない状況です。そんな学校状況でも、家庭での親から子どもに対する接し方によっては非認知能力を伸ばすことができるんです。 ――具体的には、どのように接すればいいのでしょうか。 ボークさん:たとえば子どもが、「相撲取りになりたいから、今日からたくさん食べる!」と言い始めたとして…。ママの内心では「本当はサッカー選手になってほしかったな、大変だな」なんて思ったとしても、「わかった、ママも相撲大好き! がんばれ! がんばれ!」と言える家庭環境がいいですよね。子どもの意見をけっして否定せず、意思を尊重して、自分自身でいられる場所を確保してあげてほしいです。 ――小さい子どもの場合だと、やりたいことがよくわからないこともあって、どう聞き取ってあげればいいか悩むこともあります。 ボークさん:乳児だと、まだ話せない子も多いですね。それなのに「何したいの?」と聞いても、知識と経験が格段に少ないので、何も言えません。そうしたときは、選択肢をいくつか与えてあげて、どれがいいか選ばせてあげる。そうすることで、選ぶ力、選んだことに責任を持つ力を少しずつ伸ばしてあげられると思います ■習い事で子どもの可能性を広げる!――子どものやりたいことを見つけるために、習い事は効果的だと思っています。だから空いている時間があると、ついできるだけたくさん詰め込みたくなってしまうのですが。 ボークさん:わが家では、娘が本当にやりたいことを見つけるまで15ほどの習い事を試しました。でも同時にやるのは、多くても2つまでと決めていたんです。多くの習い事をすると、それだけ毎日のスケジュールがプログラミングされてしまって、子どもの自由時間がなくなってしまいます。そうしたことを続けると、子どもが「指示待ち」の状態になってしまいかねません。さらに、習い事が増えることによって、ママも子どもも疲れ切っちゃうことが大きな問題です。――子どもにとって、夢中になれる習い事を探してあげるにはどうすればいいですか? ボークさん:親が決めてさせるのではなく、子どもが主体的に決めることが大切です。見学や体験に行ってみて、もしイヤだというようなら、無理にはさせない。また、習い事にこだわる必要はないと思います。仕事で忙しいママにとっては、習い事の送り迎えも大変ですから、無理をしてまでやるのは本末転倒です。たとえばおうちでのお手伝いとか、近くの公園に行くとか。習い事でなくても、いろいろな体験をさせてあげることができますよ。■子どもの「やりたいこと」の見つけ方 ――たとえば、子どもにとってやりたいことが「ゲーム」だった場合、それでも「がんばれ!」と言っていいものか悩んでしまいます。 ボークさん:ゲームが大好きで、何時間もできるというのはすごいことですが、それは内向きで、自分が楽しいだけですよね。それを外向きにしてあげる。たとえば、おじいちゃんにゲームを教えてあげるといったように、じつはほんの少しだけ向きを変えるための働きかけをして、子どものすぐ身近にあるモノや人を使えばいいんです。大事なのは、意識を変えること。やりたいこと、大好きなことがあったら、それを外向きに、周りの人も巻き込んでいくことができないかと考えることが大切です。 ――意識を外向きにしていくために、親はどういった声がけをすればいいですか? ボークさん:日本ではよく「大きくなったら何になりたい?」って聞ききますよね? そうすると子どもは「サッカー選手」なんて答えが返ってきます。一方、アメリカでは、「どんな人間になりたい?」と聞きます。そうすると、「僕が元気に走り回る姿を見てみんなに元気になって欲しいからサッカー選手になりたい」といったように答えます。この2つは似ているようで全然違うんです。「どんな人間になりたいか」を考えることで、社会と自分のつながりを意識できます。自分が社会の一部で、何ができるのかということを考える、そうした生き方をこれからの子どもたちは意識できるように声がけできるといいですね。 ここまで、ボークさんには子どもたちが自分らしく生きていくためのヒントをお伺いしました。ちょっと意識を変えるだけで、子どもへの声がけや習い事の選び方など、子どもの非認知能力を高められそうなヒントが多く得られましたね。次回は、子どもだけでなくママも自分のやりたいことを見つけていこうという、ボークさんの考えをさらにうかがっていきます!■今回お話を伺ったボーク重子さんのご著書 『「パッション」の見つけ方: 「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』 (ボーク重子/小学館 ¥1,400(税抜))
2020年01月07日共働き世帯なら、子どもをいわゆる「学童」に通わせている家庭も多いでしょう。そんな学童について、ただ子どもを預かってもらうサービスのように考えている人もいるかもしれません。でも、民間学童であるアフタースクール久我山キッズの運営に携わる一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事の野上美希先生は、「子どもの成長にとって、学童で過ごす時間は非常に重要」だといいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)小学校で過ごす時間以上に長い放課後と長期休みをどう過ごすか一般的に、子どもが小学校で過ごす時間は年間1,200時間くらいです。一方で、子どもが主に「学童」で過ごす放課後と長期休みを合わせた時間は約1,600時間。そう考えると、この1,600時間をどのように過ごすかは、子どもの成長にとって非常に重要だといえます。しかも、小学生の時期は、自分の強みを発揮する力や自発性、主体性など、いわゆる「非認知能力」に磨きをかける時期でもあります。でも、小学校でやっている勉強はどういうものかといえば、知識を得て、教えられたことをテストで再現する認知能力を高めるというものですよね。つまり、それこそ放課後や長期休みをどのように過ごして非認知能力を高めるかがとても大切だといえるのです。とはいえ、学童とひとことでいってもさまざまなタイプがあるのが現実です。わたしたちが運営する学童では、アフタースクールという呼称を使っていますが、学童保育や放課後児童クラブと呼んでいる自治体も。また、その内容もまちまち。その中には、非認知能力を高めるためのさまざまなイベントを行なっている民間の学童もあります。視野が狭い子どもだからこそ、さまざまな経験が必要ここでは、わたしたちが運営するアフタースクールで、子どもたちがどのような活動をしているのかをご紹介しましょう。たとえば、外国人の講師を招いてその時間は英語だけを使う活動や、料理体験、科学実験、造形教室、プログラミング教室、茶道など。3、4年生くらいになると、子ども新聞をスクラップして、その記事に対して自分がどう感じたのかをみんなの前でプレゼンテーションしたり、友だち同士でディベートをしたりすることもあります。そのテーマは本当に身近なもの。たとえば、「『ドラえもん』の主人公は、のび太君かドラえもんか」というものとか(笑)。そのテーマに対して、2チームに分かれて議論をするのです。子どもは、大人に比べると視野が狭いものです。だからこそ、たくさんのさまざまな経験をする必要がある。ですから、ここで紹介したようなイベントは、なにか特別なときに行なうものではなく、「今日は科学実験、明日は造形教室」というふうに、じつは毎日行なっているものなのです。とはいっても、そういったカリキュラムで子どもたちを縛りつけているわけではありません。子どもたちがアフタースクールで過ごす時間は、それらのイベント活動をする時間、学校の宿題をやる時間、自由に過ごす時間の大きく3パターンに分けられます。その自由時間には、元気にひたすら遊び回っている子どももいれば、テラスに椅子を持ち出して風を感じながら読書をしている子どももいます。そのように、自分が快適に過ごせるようにそれぞれが工夫をしているのです。学童の縦割り社会が子どもに与えるメリットまた、学童のメリットという点でいうと、縦割りというところも大きなものだと考えています。時期によって組み合わせを変えていくのですが、いま、わたしたちのアフタースクールでは、1、2年生と5、6年生が一緒に活動するようにしています。上の子たちは、下の子に遊びを教えてお膳立てをしてくれたり、ひとりでいる下の子に話しかけてくれたりします。季節の大きなパーティーのときには、上の子たちがダンスを披露しようと考えたのですが、すると、下の子たちも「わたしたちもやりたい」といって一緒に取り組むことになりました。そういったシナジーが起きて新しいイベントが生まれることもあるのです。いまはひとりっ子がとても多いですから、年齢がちがう子ども同士のかかわりが希薄です。でも、学童でなら、年齢がちがう相手とのコミュニケーションをしっかり学ぶことができるのです。また、大事に育てられている子はわがままがいえる環境にあることも多いのですが、自分の思いが必ず通るわけではないのが実際の社会です。そういった現実を小学生のときから学べるメリットもあるでしょう。学童に限らず、もっとさまざまな経験ができる放課後の居場所が増えて、そのなかで子どもたちが生き生き、伸び伸びと過ごせるようになることが理想です。いずれにせよ、小学生のときに小学校以外で過ごす時間の大切さ、その時間をどのように過ごさせるべきかということを、保護者のみなさんにはいま一度考えてほしいと思います。■一般社団法人キッズコンサルタント協会■ 一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事・野上美希先生インタビュー一覧第1回:子どもの順応性は親が思う以上に高い。「申し訳ない」という気持ちは不要です第2回:「小1の壁」を乗り越えるために――子どもの言葉の裏にある本心とは?第3回:放課後や長期休みに「非認知能力」を高めよう。学童でさまざまな経験を第4回:自己肯定感も勉強への姿勢も“熱中体験”の先で生まれる【プロフィール】野上美希(のがみ・みき)1977年3月21日、千葉県出身。一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事。東北大学工学部卒業後、日本総合研究所にてコンサルティング、事業企画、採用、営業と多岐にわたる経験をした後、株式会社マイナビで人材紹介事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメント。その後、自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わり、産後母の孤独を解消すべく、子育てひろば開設を皮切りに、働く母の支援のため、幼児教育をベースとした民間学童や6つの認可保育園を開設。また、民間学童指導員資格であるキッズコンサルタント資格を認定する一般社団法人キッズコンサルタント協会を立ち上げ、代表理事を務めている。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月21日「厚生労働省によると、’25年には約700万人が認知症になると推計されています。“5人に1人”が認知症という時代に突入するにあたって注目されているのが『個人賠償責任保険』なんです」そう話すのは、介護に詳しいファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さん。認知症に備える保険といえば、認知症と診断されたときに一時金が出るものや、徘徊中でのケガなどに対して給付金が支払われる生命保険が一般的。一方で、「個人賠償責任保険」は、他人にケガをさせたり、物を壊すなどしたりして、法的な賠償責任を負った場合などに補償される保険のことだ。「他人の物を自分の物と思い込んで盗んで壊した、水を止めるのを忘れ下の階に漏れてしまった、無免許であることを忘れて運転したことで事故を起こしてしまった、突然暴れだしヘルパーさんなどを傷つけてしまった……などなど、認知症の人が起こす事故のリスクは挙げればキリがありません。もし損害賠償請求が生じたとき、『個人賠償責任保険』に入っていれば、カバーできるのです」’07年、愛知県大府市にあるJR東海・大府駅で、要介護度4の認知症男性(当時91歳)が、線路内に立ち入って死亡した鉄道事故が起きた。JR東海は、要介護1の妻(当時85歳)と、離れて暮らす長男に対して損害賠償約720万円を求める裁判を起こし、二審では妻に約360万円の支払いが命じられることに。’16年最高裁で「監督義務者は不在」と判断され、家族への賠償は棄却されたものの、この裁判で明確になったのは、裁判で“監督責任があった”と見なされれば、離れて暮らしていても、あるいは介護施設に入っていたとしても、認知症の家族が起こした事故の責任を取らされる可能性があるということだ。「個人賠償責任保険は、単品ではほとんど発売されておらず、自動車保険や自転車保険、そして火災保険などの特約としてついていることがほとんどです。補償額は1億円程度のものが多いのですが、自動車保険には無制限のものもあります。共済、クレジットカードの任意加入サービスなどでも同様の補償を行っている場合が多いので、もし重複して複数の保険に入っていたことがわかった場合は、補償額が高く、示談交渉サービス付きのタイプを残すことが、見直すときのポイントになります」基本的に一人入っていれば、同居する家族や別居の未婚の子までカバーできる。「大府市の事故の後、多くの保険会社で補償内容が改定されました。親が認知症などで法的責任を取れないために賠償責任を負ってしまった別居する子も補償の対象に加えたり、線路立ち入りによる損害は対象外だったものが補償の対象になったりするようになりました」
2019年11月28日男性からモテる女性に憧れたことはありませんか。非モテ女子からモテ女になるための方法をご紹介していきます。自信をつけるモテ女になるためには、自分に自信をつけることが大切です。自信がなければ、男性と話す時におどおどしてしまったり、ネガティブに考えてしまって、恋愛が上手くいかなくなってしまう可能性が高くなるからです。見た目に自信がない場合は、化粧品売り場に行ってプロにメイクの方法を教わったり、美容院に行ってイメチェンしてみたりするなど、自分から行動してみてくださいね。笑顔を絶やさないいつも笑顔でいる女性は、男性から見ても魅力的に感じられるでしょう。誰かと話したり挨拶を交わしたりする時は、笑顔でいることを忘れないでくださいね。また、一人でいる時はどうしても真顔になってしまいがちです。真顔でいると、人によっては怖い印象を与えてしまう場合もあるので注意しましょう。優しさを持つ人に対して優しさを持って生活するように心がけると、周りの人に好印象を与えることが出来ます。いつも何かにイライラして不機嫌でいるよりも、少しのことでは心を乱さずに穏やかでいるほうが、男性からもモテるはずですよ。しかし、何をされても優しく許すのではなく、注意するべきところは注意するなど、メリハリを持つようにしてくださいね。清潔感を大切にする清潔感がない女性は、男性はもちろん女性から見ても近寄りがたくなってしまうのではないでしょうか。洋服のシワをアイロンがけしたり、寝癖を整えたりするだけでも清潔感を出すことは出来ますよ。また、夏などは汗をかく機会が増えるので、ニオイのケアを欠かさずに行ったり、汗をふくためのハンカチを持ったりするのもいいですね。恋愛にがっつき過ぎない恋愛をしたいという気持ちが強くなると、男性と話す時にがっついてしまうこともあるでしょう。しかし、あまりにもがっつき過ぎると、男性は引いてしまうかもしれません。恋愛だけに夢中にならず、仕事や趣味などとバランスを取ることが大切ですよ。余裕を見せると、男性の心を刺激してモテるでしょう。
2019年10月27日非常食といえば「味よりも日持ち」というイメージがあるかもしれませんが、それはもう昔の話。今や長期保存できるのは当たり前。それでいて、普段でも食べたくなるおいしさや、見せ置きしたくなるデザイン性までも備わり、より身近で頼れる存在に進化しています。そこで今回は、備蓄が楽しみになるような「今どきの非常食」をご紹介。食料ストックを見直してみませんか?【1】安心の7年保存!不安な心まで潤すこだわりのイオン水一般的な市販の水の賞味期限は、製造から1〜2年ほど。でもそれだと、ちょっと油断しているとすぐに賞味期限切れになってしまいますよね。7年保存水2Lは、うっかりさんにも安心な、長期保存ができる水。しかもモンドセレクション金賞を受賞した、こだわりの天然弱アルカリイオン水です。不純物を含まないため保存料を使用しなくても長期保存でき、まるで湧き水のような自然な味わい。もしもの時の不安な心を優しく潤してくれますよ。⇒ イザメシいざという時の必需品7年保存水2L/IZAMESHI 【2】缶を開けたらスグおいしい。しっかり満足「9食分」セット災害時こそ、カラダが大事。たとえ火、電気、水が使えなくても、お腹がしっかり満たされる食事を!イザメシCANBOXは、開けるだけでスグに食べられる缶詰のセット。雑穀玄米ごはん、五目ごはん、筑前煮、麻婆豆腐といった、カラダ想いなごはんとおかずが9食分入っています。3年間の長期保存が可能ですが、化学調味料を使っていないのでお子様にも安心。家族みんなの備蓄として、また離れて暮らす大切な方へのギフトにもピッタリです。⇒ イザメシCANSTOCK18缶セット/IZAMESHI 【3】パンにスイーツまで!3日分のグルメな備蓄セット「非常食にグルメなんて必要?」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。でもこれ、実は意外と大切なことなんです。一般的に、災害時のライフラインの復旧には3日かかると言われています。その間の食事をまかなえるのが、イザメシ3日分の保存食セット。日替りでメニューが変わるほか、パンやスイーツまで入ったグルメな内容です。ストレスを感じやすい非常時。食べることは、心をほぐす大きなきっかけになります。おいしいもの、甘いもの、満足できるものを口にして、少しでも穏やかな気持ちでいたいですね。⇒ 【防災セット・防災グッズ】3日分の保存食セット「イザメシ」【送料無料】 【4】これ本当に非常食?!飾りたくなるパンの缶詰倉庫に片付けておいた非常食。気が付けば「賞味期限切れ」なんていう経験はありませんか?キッチン雑貨みたいなOCEAN&TERREの缶入りデニッシュパンなら、いつでも手の届くところに置いておけるから賞味期限チェックもラクラク。最大2年間の長期保存ができ、缶を開けると朝食やおやつにぴったりな、ふっくらデニッシュがあらわれます。お味は、メープル、チョコレート、ミルクの3種類。大切な方への思いやりギフトにもどうぞ。⇒ 缶入りデニッシュパン/OCEAN&TERRE 【5】パティシエの味を閉じ込めた防災スイーツ缶保存食の中で、特に進化が目覚ましいのがスイーツ部門。こんなにおいしそうなもの、非常時といわず、すぐにでも食べたい!防災に関係なく、プレゼントとしても十分映える横浜ハイカラ缶スイーツ。有名スイーツ店出身のパティシエが手掛けた、缶詰とは思えない本格的な味わいが楽しめる保存食です。保存期間は最大2年で、フタを開ければいつでも食べごろ。優しい甘さが、非常時の不安をそっと和らげてくれそうです。⇒ 横浜ハイカラ缶スイーツ3個セット 今回ご紹介した保存食はどれも、非常食としてだけでなく、忙しい日のお助けメニューや、ピクニック・キャンプなどのアウトドアでも活躍します。普段から食べ慣れておけば、もしもの時も食べやすくて安心できるというもの。「今どきの非常食」で、ぜひご自宅の備蓄をアップデートしてみてください。 ■暮らしのはなし 池田奈未好きなものは、まち歩き、カメラ、淹れたてコーヒー。収納の少ない家で3人暮らし。すっきり心地よい暮らしを目指しています。
2019年10月06日完治は難しいと思われている認知症も、ごく初期に起こる異変に気づけば、発症を防ぐことができる。家族の異変が気になったら、そして自分の行動に違和感を覚えたら、まずは自己診断。認知症の“始まり”を察知し、なるべく早く対処法を考えよう。15年以上も無事故・無違反の優良運転手だった夫(78)の様子が最近、変だと思うようになったのは妻のA子さん(76)。ガレージに車を入れるときに、こするようになっただけでなく、“もの忘れ”も増えてきたという。「最近、高齢ドライバーによる事故のニュースを見るたびに、いつかお父さんも事故を起こすのではと気が気ではありません。本人は『自分は大丈夫』と言って聞かないのでどうやって運転をやめさせたらいいのか……」(A子さん)日本では65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症といわれ、アルツハイマー型へ移行する可能性が高いMCI(軽度認知障害)も含めるとその割合は4人に1人となる。日本認知症学会の専門医でおくむらメモリークリニック(岐阜県)の奥村歩院長が解説する。「認知症は発症すると完治は望めないまでも、初期のうちに見つかれば進行を遅らせて、日常生活も普通に送ることができます。しかし、病院に検査を受けに来ようとするのは、すでにもの忘れが目立ち、日常生活に支障をきたすようになってから。それでは遅すぎます。初期のちょっとした異変に気づいて対策を講じることが、認知症の発症を食い止める、または進行を遅らせる第一歩なのです」(奥村院長・以下同)奥村院長が今まで延べ3万人超の人を診てきたなかで、認知症の“初期の初期”に現れやすい「ちょっとした異変」が次のとおり。「もの忘れ」だけではないので、注意が必要という。□ペットボトルの蓋が回せない□瓶ビール、ジュースの栓が開けられない□靴ひも、ネクタイが結べない□引き戸は開けられるが、ドアノブが回せない□エアコンやテレビなど、リモコンの操作が困難になる□車を車庫に入れるとき、ぶつけるようになる□散歩をしながら、簡単な暗算ができない□電話をかけながらメモを取り、伝言を伝えるのが苦手になる□料理の段取りが下手になり、味が単調になる□カラオケで歌いながら、リズムに合わせて手をたたけない□化粧が雑になり、身だしなみもだらしなくなる□朝起きて今日何をするのか、スケジュールがわからない□ゲートボールなど、趣味のサークルに出かけなくなる□毎週、見ていたテレビドラマを見なくなる□薬の飲み忘れや飲みすぎなどの管理ができなくなる□メガネや携帯電話をなくす□昔の出来事は覚えていても、最近の出来事は覚えていない□同じことを何度も言ったり聞いたりする□買い物に行ったのに何を買おうとしていたのか忘れる□たいしたことでなくても、すぐにカーッとなる初期の初期であれば、生活習慣病を改善するなど、食生活に気をつけて運動を習慣づければ、認知症の発症を遅らせる、あるいは食い止めることができるという。まずは、自分自身や家族の行動を見守ることから始めてみよう。
2019年09月25日仕事の世界ではよく耳にする「プレゼンテーション能力」、子どものうちはまだまだ必要ないなんて思ってはいませんか?じつは最近、ビジネスシーンだけでなく子どもたちの生活の中にも、プレゼンテーションの場が増えてきています。グローバル化をはじめとするあらゆる理由から、今を生きる子どもたちにとってプレゼンテーション能力は必須となっているのです。今回は、子どものプレゼンテーション能力を伸ばすために、家庭でできることをご紹介しましょう。子どもたちに「プレゼンテーション能力」が必須なワケ「プレゼンテーション」と聞いてイメージするのは、スクリーンに映したデータや資料を指し示しながら、大勢の聴衆を前によどみなく話す姿ではないでしょうか。スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏の並外れたプレゼン力が、彼らのビジネスの発展に大きく寄与したことはよく知られていますよね。しかし、今やプレゼンテーション能力は、彼らのように突出したセンスやビジネスキャリアがある人たちだけのスキルではありません。グローバル化が進む社会を生きる子どもたちにとって欠かせないスキルなのです。『世界最高の子育て――「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』(ダイヤモンド社)を出版し話題となったボーク重子さんは、子どもたちに必要なプレゼンテーション能力について次のように述べています。これからのグローバル社会では、一人ひとりの考え方や意見がちがうことがスタンダードになります。もちろんそこには、「正しい」とか「間違いだ」とかいう基準はありません。言ってみれば、どんな意見も正解なのです。自信を持って自分の考えを表現し、他人との意見の交換から学ぶ。こうした姿勢を身につけた子どもが、将来的に優れた人材になるはずです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart2)親世代の歩んできたものとは全く異なる社会を生きていく子どもたちにとって、わかりやすい自己表現を行ない、相手と意見を交換する能力は必須なのです。また、2020年から新たに導入される学習指導要領では、これまで当たり前だった「先生が話して生徒がノートを取る」といった受け身の授業ではなく、子どもたちが主体的に考え、友だちとの対話を通じて深く理解する「アクティブ・ラーニング」が主流となります。子どもたちの生きる世界において、自分の考えをまとめてわかりやすく伝える能力は、もはやビジネスの現場と同じくらい、もしくはそれ以上重視されていると言っても過言ではないのです。プレゼンテーション能力は筋トレと同じ?!プレゼンテーションがうまい人というと、大勢の人の前でも臆することなく、ときにユーモアを交えながら聴衆の興味を引きつけて話ができる、生まれながらのセンスを持っている人だという印象をもっている方もいるかもしれません。先ほども例に挙げたスティーブ・ジョブズ氏は、聴く人の集中力を途切れさせない話し方や、身振り手振りなどの演出を自在に操る、まさにプレゼンテーションの神様のような存在と言えるでしょう。しかし、このような人の心をつかむプレゼンテーションを行なう能力は、トレーニングすれば誰でも身につけられるのだそう。子どもや若者向けのプレゼン授業やワークショップを行なう一般社団法人アルバ・エデュ代表の竹内明日香さんは、次のように述べています。プレゼンはスポーツや芸術ほどにはセンスを問われない分野ですから、「ノウハウ×練習」で上手になるんですよ!プレゼンは筋トレと一緒なのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう!『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】)控えめで自己主張が苦手だといわれる日本人でも、適切な形で学んで練習すれば、プレゼンテーション能力を鍛えることができるのです。それにはまず、「話すちから」を育てることが大切だと竹内さんは話します。たとえば、面接のときに自分のことをきちんとアピールすることだったり、親に買ってほしいものをしっかり伝えられるかなどもそうですし、とりとめのない考えが浮かんだとき、自分の考えはこうだ、と論理立てて整理することも、全て「話すちから」なのです。(引用元:こどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう!『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】)例えば、「ゲーム買って!」という子どもの一言をもとにしても、プレゼンテーションのトレーニングができるということです。では、具体的に何をすれば「話すちから」を育むことができるのでしょうか。「ゲーム買って!」で「話すちから」を鍛えるには竹内さんによれば、相手に何かを伝えるには、まず以下の3つを考えることが大切なのだそう。●自分が聞き手に伝えたいことは何か?●相手が最も喜ぶ情報は何か?●相手を納得させるにはどうしたらいいか? 子どもがパパやママにゲームを買ってもらう交渉をしていると想定して、これら3つについて考えてみましょう。●自分が聞き手に伝えたいことは何か?ゲーム機とゲームソフトを買ってほしい●相手がもっとも喜ぶ情報は何か?・テストの点数が下がらないようにする・今までやっていたお手伝いを続ける・早寝早起きなど正しい生活習慣はキープする・視力を下げないように気をつける・次から次へとゲームソフトを買い足さない●相手を納得させるにはどうしたらいいか?・勉強やお手伝い、早寝早起きなど今まで頑張っていたことは続ける・視力を下げないためにもゲームの時間を決める・ゲームソフトは、自分で計画を立ててお小遣いやお年玉で買う親御さんからしても、子どもからこのような内容を伝えられれば、「買ってあげてもいいかも」と思えるのではないでしょうか。相手に自分の意思を伝えて説得するには、ただ「ゲームを買ってほしい」とねだるのではなく、パパやママに「それなら買ってもいい」と思ってもらうにはどう伝えるべきかを考え、順序立てて話すことが大切です。すなわち、「話すちから」を育てるには「考えるちから」も必須だということですね。子どもが何かをねだってきた際には、上記3つを伝えて「この3つを考えてパパとママを説得してごらん」と言ってみてはいかがでしょう。プレゼンテーション能力を鍛える良いトレーニングになりますよ。「考えるちから」「話すちから」を家庭でアップする方法先の例で述べたように、プレゼンテーション能力、すなわち「話すちから」を育むには、「話す内容を考えるちから」も必要になります。むしろ、土台として「考えるちから」がなければ「話すちから」はつかないと言えますね。欲しいものをねだるとき以外にも、家庭で「考えるちから」や「話すちから」を育むことのできる習慣をご紹介しましょう。●子どもに選択させる日本では、子どもが幼いうちはその日着る服や履く靴、持っていくカバンなどを全て保護者が決めている場合が多いことでしょう。しかし欧米では、たとえ子どもであっても自分の意思を表明することが求められます。アメリカで4,000人以上の子どもの教育に携わっている船津徹さんによると、欧米の家庭では子どもに “YES or NO!” “It’s up to you!”と選択させ、幼い頃から「好き・嫌い」「イエス・ノー」をはっきり表現できるようトレーニングしているのだそう。こうして選択に迫られることで、自分で考える習慣がついていくのです。子どものためを思うあまり、「このカバンは小さいから今日持っていくのには向いてない」「この組み合わせはおかしいからやめたほうがいい」などと口を出すのは、お子さんから考える機会を奪っていることにつながりかねません。無制限に選択させるのも考えものですが、小さい頃には洋服や靴下、カバンといったちょっとしたものから、子どもに選ばせることを習慣づけてみてはいかがでしょう。●感情を言葉にする習慣をつけるお子さんの前で、ポジティブな感情を口にしている人も多いのではないでしょうか。しかし、子どもの表現力を上げるためには、ネガティブな感情を表現することも大切です。教育コンサルタントの上野緑子さんいわく、親がネガティブな感情を表現することで、子どもは「ネガティブな感情も表現していいんだ」と知り、どんなときでも素直に感情を表現するようになるのだとか。子どもの前で弱音を吐くのは気が引けるかもしれませんが、たまには「今日、お仕事でミスしちゃって悔しかったんだ」といった話もしてみてはいかがでしょうか。また、上野さんいわく、子どもがうまく自分の感情を表現できない際に親がサポートしてあげることも大切なのだそう。「かけっこ、1位になれなくて悔しかったね。先週パパとたくさん練習したから余計に悔しいよね。次は1位をとりたいね」と表現を手伝うことで、子どもの表現力が上がります。●家族の前でプレゼンごっこお子さんが幼稚園や学校から帰宅したあと、「今日はどんなことをしたの?」と話を聞くご家庭は多いことでしょう。それを発展させた形で簡単なプレゼンごっこをしてみてはいかがでしょうか。その日に起きた出来事の話でも、学校で流行っているものの話でも、何でもかまいません。原稿を持たずに3分間程度お話するプレゼンごっこをしてみてください。前出のボーク氏は、子どものプレゼンに対して褒めるだけではなく、あえて別の意見も提案することを推奨しています。子どものプレゼンに対しては、ほめるばかりでなく、あえて「わたしはそうは思わないけどな」「別の考え方もあるんじゃない?」と別の意見も提案してみましょう。目的は、子どもの意見を変えさせることではありません。「そんな考え方もあるんだ」と気づかせ、自分の意見をあらためて見直させることで、深い思考力を養うのです。また、ちがう意見が出てきたときに即座に「批判された!」と喧嘩腰になったりネガティブに捉えなくなったりする習慣を身につける訓練にもなります。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart2)日本で生活する人たちの、国籍やバックグラウンドの多様化が進む今、自分の価値観とは異なる意見を受け入れる練習も必須ですね。***プレゼンテーション能力を高めるには「考えるちから」「話すちから」を育むことがカギのようです。今回、ご紹介した方法はすぐに始められるものばかりですので、さっそく今日から親子でスタートしてみませんか?(参考)こどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう!『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】こどもまなび☆ラボ|子どもたちが国際社会で活躍するために必要な「話すちから」 竹内明日香さんインタビュー【第2回】All About|プレゼンテーション能力をアップする!ITOKI|竹内さん、グローバルに働くうえで日本人に足りないものはなんですか?文部科学省|主体的・対話的で深い学びの実現(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)について(イメージ)ダイヤモンド・オンライン|インド・欧米に学ぶ「考える力」を伸ばす教育とは学びの場.com|意外と知らない”アクティブ・ラーニングのねらい”(vol.1)
2019年08月24日認知症で判断能力が失われたと判断されたら、銀行口座は凍結される。それに備えるための後見人制度は、実はかなり面倒なシロモノ。そこで注目されている制度が「家族信託」なのです!2025年には、認知症になる人が700万人にもなるという(厚生労働省調べ)。認知症の本人に代わって、家族が銀行から預金を引き出そうとしてもストップがかかり、生活費や介護などのお金は家族が肩代わりすることになる。「キャッシュカードの暗証番号を知っていれば、ひとまずお金の出し入れはできますが、本人から事前に了承を得ていなければなりません。しかし、通常50万円以上のまとまったお金を引き出そうとすると窓口に行かなければならず、そこで本人の同意が確認できないと、銀行の口座は凍結されてしまい、お金は引き出せなくなります。定期預金の解約をしたくても、できなくなります」そう注意をうながすのは、相続・終活コンサルタントの明石久美さん。口座が凍結されると、生活費などのお金を家族が本人に代わって支払うことになるため、負担した家族の生活が行き詰ってしまう−−。そんな事態を防ぐ方法の1つとして最近注目を集めているのが、’07年に信託法が改正されて、個人でも利用しやすくなった「家族信託」だ。認知症による資産の凍結から財産を守る制度は、「法定後見」「任意後見」の成年後見制度と、「家族信託」の3つがある。「成年後見制度は、判断能力が低下したときに4親等内の親族や市区町村長からの申し立てにより、家庭裁判所が後見人を選ぶ『法定後見』と、本人の判断能力があるうちに、あらかじめ選んだ後見人と公正証書で契約をしておき、判断能力が低下したときにスタートする『任意後見』があります。一方、『家族信託』は、本人の判断能力が低下する前に、信頼できる家族に財産の管理や処分をしてもらう制度です」(明石さん・以下同)財産のなかで、家族信託を使って管理したい財産を「信託財産」といい、主に現金、不動産、未上場株式の3つが対象になる。財産を預けたい親が「委託者」になり、財産を預かり管理や処分をする子どもが「受託者」、財産から得られる利益を受け取れる親、またはほかの家族が「受益者」となり、委託者と受託者が書面を交わす。成年後見制度と違って、家庭裁判所に提出する書類がないので、財産の管理がしやすい。家族信託契約書を作成してもらう専門家への報酬はかかるが、後見がスタートしてから本人が亡くなるまで毎月、数万円かかる後見人や後見監督人への報酬の支払いが必要ない、といったメリットがある。認知症になっても自分や家族が安心して暮らせるように、さらに、死んだ後も自分の財産を自分の思いどおりに親族に渡すことができるように、家族信託を選択する人が増えてきたという。そこで、家族信託を使ったほうが、メリットが大きいケースを紹介してもらった。【ケース1】将来、自分が認知症になるかもしれない夫に先立たれ、一人暮らしのA子さん。「今は元気でも、少しずつ物忘れが増えてきて将来が心配」というときこそ、家族信託が役に立つ。「この場合、母のA子さんは委託者、娘さんが受託者、A子さんが受益者になります。信託財産はいま住んでいる自宅と現金1,000万円という契約にしました。仮にお母さんが介護施設に入り、実家が空き家になったら、娘さんは自宅を売却して、介護費用に充てるといった契約内容にすることもできます」A子さんが他界したとき、口座が凍結されて葬儀費用が出せずに困ることがないように、契約で葬儀費用などの支払いができるように決めておくこともできる。親から財産を委託された子どもは、何にいくら使ったのか記録することが義務づけられるが、家庭裁判所への報告義務はない。不正使用がないように専門家やきょうだい・親戚を監督人に指定して、チェックする仕組みにしたり、親が委託者の子どもに月々の報酬を払いたいと思えば、契約に盛り込んだりすることもできる。「法定後見、任意後見でも自宅の売却や介護施設への入居の手続きはできますが、家庭裁判所や後見監督人の許可などが必要です。ですから、空き家になったら賃貸にしてほしい、賃貸物件を売ってほしいなどと本人が元気なときに言っていたとしても、難しいのが実情です。家族信託では、行ってもらいたいことを事前に決めておけば、たとえ認知症になったとしても、その契約を行うことができるのが特徴です」このように、自分の死後の財産の行く先を事前決定しておくことができる便利な制度だが、気をつけたい点もある。自宅など信託財産にした不動産は、受託者の名義に変更する必要がある。手続きを司法書士へ依頼するため、報酬や登録免許税などの諸費用が必要になってくる。成年後見制度のように、成年後見人や監督人に毎月支払うコストはないが、契約書を作成する専門家への手数料が意外とかかる。手数料の相場は信託する財産の1%といわれているが、高額な手数料を取る専門家もいる。また、信託財産は相続財産ではなくなるため、信託財産と相続財産の割合や内容によっては、親族間トラブルにもなりかねない。両方の対策を同時に考えてくれる相続に詳しい専門家を選ぶことが大切だ。「死後のこと」を含めてどうしたいのか、法定相続人になる家族で話し合うと、後のトラブルを防ぐことができる。大事な財産と家族を守るために検討してみよう。
2019年08月22日治療が難しい認知症。正確な予防法をあぶりだすために、町の住民ほぼ全員の生活を長年追いかけた、画期的な調査がある。認知症発症の有無から見えてきたものとは——。「日ごろから、バランスのいい食事や適度な運動をすることを心がけ、積極的に社会参加することなどは、認知症発症リスクを下げるために有効かもしれません。久山町研究を含むさまざまな疫学調査データから示されています」そう話すのは、九州大学大学院医学研究院教授で医学博士の二宮利治先生。“久山町研究”は、福岡市の北部に位置する糟屋郡久山町(人口約8,900人)の住民を対象に、’61年から長年継続している生活習慣病の大規模な疫学調査だ。脳卒中や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の調査に加え、’85年からは、65歳以上の住民を対象とした認知症の調査も開始した。6〜7年ごとに追跡調査を行い、日ごろの食事や生活習慣が認知症の発症とどのような関連があるかを調べているのだ。「久山町研究の特徴は、町ぐるみで調査に協力してくれているということ。そのため、65歳以上の住民における認知症の調査の受診率は90%以上と非常に高く、さらに、調査にご協力いただいた99%の方の健康状態を毎年追跡しています」このように精度の高い認知症の疫学調査は、世界でほかに例がなく、注目を集めている。久山町研究の成績を基にした推計によると、’25年には日本で認知症患者が約700万人にのぼり、65歳以上の5人に1人が認知症になるという。とはいえ、いまだ特効薬もなく、未解明な部分が多い認知症。そこで今回、久山町研究の研究責任者である二宮先生に、現在までの調査結果から得られた認知症の予防法を聞いた。■糖尿病にならないようにする「認知症には、いくつか種類があります。久山町で主に研究しているのは、脳梗塞や脳出血などによって発症する血管性認知症と、脳の側頭葉などが萎縮して起こるアルツハイマー型認知症の2種類。’88年および’02年の久山町の健診を受診された、65歳以上の住民を10年間追跡しました。その結果、’88年の対象者に比べ’02年の対象者では、アルツハイマー型認知症の発症率は倍増していました。血管性認知症の発症率は、高血圧治療の普及により大きな変化はありませんでした」アルツハイマー型が急増している要因の一つとして、近年、解明されつつあるのが“糖尿病”との関係だ。「糖尿病患者は、糖尿病でない人と比べて、アルツハイマー型認知症および血管性認知症の発症リスクが約2.1倍高いことがわかりました。つまり、糖尿病は、認知症発症のリスク要因であると考えられます」ということは、糖尿病の予防になる食生活を心がけることは、認知症を予防するうえで大切であるといえるだろう。■一汁三菜の和食スタイルが大事久山町研究では、認知症になりにくい食事パターンも検討している。その結果、糖尿病を予防する食事法とも類似していた。「’88年の久山町の健診で食事調査を受けた、認知症のない60〜79歳の住民1,006人を17年間追跡調査し、食事パターンが認知症発症に及ぼす影響を検討しました。すると、大豆・緑黄色野菜・海藻類・魚・卵・牛乳や乳製品・果実などをよく摂取する食事をしている人のほうが、認知症になりにくいことがわかったのです」牛乳・乳製品を例に挙げると、摂取量が1日あたり44グラム以下の人たちと比べて、97〜197グラム(約牛乳瓶1本分)摂取する人のほうが、血管性、アルツハイマー型ともに発症率が低かったという。九州大学農学研究院との共同研究では、鶏の胸肉に含まれる“イミダゾールペプチド”という成分に記憶力を改善させ、認知症に予防的に働く可能性があることなどもわかってきている。「注意してほしいのは、『これを食べていたら認知症を予防できる』という夢のような食材はないということです」二宮先生が推奨するのは、大豆を使ったお味噌汁などの汁物が一品と、主食の米、魚や肉などの主菜に加え、野菜などの副菜が2品つくバランスのいい“一汁三菜”の伝統的な和食スタイルだ。久山町研究に協力している中村学園短期大学准教授の内田和宏さんが、一日分の理想的な一汁三菜レシピを教えてくれた。【朝食】麦ごはん…白米、押し麦味噌汁…かぼちゃ、しめじいり豆腐…木綿豆腐、にんじん、葉ねぎ、サクラエビ、しらす干し、糸みつばコールスローサラダ…キャベツ、とうもろこし、ヨーグルト、ミニトマトいり豆腐や味噌汁で、大豆を摂取。サラダで緑黄色野菜を、ドレッシングにヨーグルトを使って乳製品もしっかり補給している点がポイント。白米をとってはいけないということではないが、少なめのほうがいい。【昼食】麦ごはん…白米、押し麦鶏肉の味噌焼き…鶏肉、じゃがいも、ブロッコリー五目あえ…にんじん、しいたけ、ほうれん草、絹さや、木綿豆腐きんぴらごぼう…ごぼう、にんじん、ごまリンゴそれぞれの料理にブロッコリー、ほうれん草、にんじんなど緑黄色野菜を含む。大豆、鶏肉のタンパク質は筋力や骨を形成するのに必須なので、しっかりとったほうがいい。足腰の強さを保つことは認知症予防に必須。【夕食】麦ごはん…白米、押し麦味噌汁…オクラ、ぶなしめじアジのエスカベッシュ(マリネの一種)…アジ、にんじん、たまねぎ、きゅうりエビとヤングコーンの炒めもの…エビ、ヤングコーン、さやいんげんトマトのマヨネーズグラタン…トマトアジ、エビといった魚でタンパク質をとるのもいい。アジなど青魚が豊富に含むEPAには血液をサラサラにして血行をよくし、脳機能維持効果がある。緑黄色野菜とトマトやきのこ類と、野菜を豊富に含むのがいい。認知症リスクを減らす一日のメニュー。さっそく実践してみよう。
2019年08月14日野菜には、水に浮くものと沈むものがありますよね。このテーマは、夏休みの自由研究として大変ポピュラーなもの。親御さんのなかには、ご自身が子どもの頃にやったことがある方もいるのではないでしょうか。今回は、水に浮く野菜と沈む野菜を調べるときに必要なものや、調べる手順などを紹介します。大人も知っているようで知らないことの多い、水に浮く野菜の秘密をお子さんと一緒に探ってみませんか?水に浮く野菜、浮かない野菜を調べてみよう食事の準備をしているときに、ボウルの水に浸した野菜を見たお子さんから「どうしてこの野菜は沈まないの?」と尋ねられたり、たらいで冷やしているスイカを見て「どうして大きくて重いのにぷかぷか浮かんでいるの?」と不思議がられたりした経験がある方は少なくないはず。今年の夏休みの自由研究は、子どもにとって身近な疑問である「水に浮く野菜、浮かない野菜」について調べてみてはいかがでしょう。大人は「水よりも比重が軽ければ浮くし、重ければ沈む」ということを知っていますが、じつは例外もあることをご存じですか?ご存じなかった方は、お子さんと一緒に楽しんで勉強してみましょう。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員である武庫川女子大学の藤本勇二先生が、「実験を通して身近な野菜に関心を持つことができる」と話しているように、この実験をすることで、理科の勉強にもなるうえに、いろいろな野菜の名前を覚えられます。そして、夏が旬の野菜を知ることで食育にもなる、非常に学びの多いテーマなのです。調べてみようという気持ちが「非認知能力」を育むそれだけではありません。子ども教育のプロフェッショナルである白梅学園大学の増田修治先生は、この実験は「非認知能力を育むことができる」と話しています。このクイズで、なにが浮く浮かないといった知識を教えようとしたわけではありません。子どもたちはクイズをとおして、自分の頭でうんと考えた。そして、「面白い」だとか「やってみよう」「調べてみよう」という気持ちになった。こういう能動的な心情を、自分のなかでつくり出せる力――それが非認知能力なのです。(引用元:Study Hackerこどもまなび☆ラボ|クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方)「水に浮く野菜、浮かない野菜」を調べることで、非認知能力も育まれるのであれば、実験しないなんてもったいないですよね!浮くかどうか調べるための野菜を準備しよう前出の藤本先生が提案する実験方法と、郡山市ふれあい科学館HPにある「浮く野菜・沈む野菜の科学」を参考に、以下の野菜を準備しましょう。ここでは野菜の選び方が重要です。次のポイントを参考にして、できるかぎりたくさんの野菜をリストアップし、用意します。●水に対する比重が軽そうな野菜ピーマン、オクラ、ブロッコリーなど●比重が重そうな野菜カボチャ、ダイコン、スイカなど●土の中で育った野菜ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎなど●地上で育った野菜キュウリ、ナス、トマトなど実験をしていくうちに、ある法則が見つかるのですが、その法則に当てはまらない「例外の野菜」も存在します。その例外にあたる「トマト」と「玉ねぎ」をそっとリストに加えておくと実験が充実しますよ。実験には、大きめの水槽がなければ水をはったシンクやお風呂を使うのがおすすめです。スーパーの鮮魚コーナーなどで、発泡スチロールの箱を分けてもらえるか尋ねてみてもいいですね。調べ方のコツ、写真やスケッチをするときのポイント●最初は結果が分かりやすいものからスタート実験する前に、それぞれの野菜が浮くか沈むかを予想してみましょう。多くの子どもは持ってみた感覚で、軽ければ浮く、重ければ沈むと予想するでしょう。まずは、ピーマンやオクラなど分かりやすく浮きそうなものから始めてみて、予想が的中する楽しさを味わわせてあげると意欲が高まりますよ。●写真か?スケッチか?記録の取り方には一長一短記録のとり方には、写真を撮影するかスケッチをするかの2パターンがありますね。お子さんが好きなほうを選んで進めるのが一番ですが、記録を残す意味では写真のほうが便利でしょう。スケッチでは着眼点として抑えたところ以外の記録を取りこぼしてしまうことがありますが、写真であれば実験中に気づくことのできなかった違いを後から見つけられることがあります。スケッチの良いところは、全体図の記録がとりやすいという点ではないでしょうか。例えば、大きな模造紙を水槽に見立てて、野菜の浮き沈みを実寸大のイラストで表現すると、パッと見てわかりやすく、見ごたえもあります。また、30年以上 “お受験美術” を指導してきたアトリエpetit代表の丹内友香子先生は、スケッチをすることで観察力がアップすると話しています。●一通り調べたら、発展問題にチャレンジ!一通り、野菜を水に浸けて浮き沈みを調べたところで、わかったことをメモにまとめます。そのうえで、新たに疑問に思うことが出てきたら、時間の許すかぎりいろいろな実験をしてみましょう。例えば、野菜を細かく切ったらどうなるか?1日置いたらどうなるか?塩水に浸したらどうなるか?炭酸水に浸したらどうなるか?大人でも結果の予想に迷ってしまうかもしれませんね。ぜひ、親子でいろいろ試してみてください。調べ学習が終わったら、レポートにまとめよう実験結果のレポートをまとめるときの一例を以下に紹介します。実験をしようと思ったきっかけ冒頭にあるような「食事の準備をしているときに水に浸した野菜を見て疑問に思った」など、実験をしようと思ったきっかけを書きましょう。用意した野菜写真やスケッチを活用して、まとめましょう。どんなルールで集めたのかも記入しておくと良いでしょう。予想と結果必ず、「予想」と「結果」のどちらも書くようにします。表にして一覧でまとめると見やすく、比べるのも簡単になります。もしくは、上述したように大きな模造紙にスケッチで結果を一覧にして、野菜のイラストと結果がリンクするようにまとめるのもおすすめです。わかったこと・感想予想と結果を見てわかったことや、調べているときや調べ終わってからの感想をまとめます。結果をもとにした発展問題の実験をしたら、そのときの結果もここに加えましょう。 ***写真やスケッチを活用して、見やすくわかりやすいレポートを作りましょう。実験で使った野菜は、お子さんと一緒に料理しておいしく食べてくださいね。(参考)郡山市ふれあい科学館スペースパーク|科学の広場 浮く野菜・沈む野菜の科学All About|水に浮くもの/沈むものを自由研究!野菜の浮き沈みを調べよう学研キッズネット|ぷかぷかくだもの「うき」「しずみ」実験キッズ@nifty|水に浮く野菜しらべStudy Hackerこどもまなび☆ラボ|クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方学びの場.com|ぷかぷか浮かぶ、浮力の科学【科学遊び】[小5・理科・家庭科]
2019年08月05日「うちの子はおしゃべりが苦手だし、コミュニケーション能力が低いのかも……」と悩む親は少なくありません。しかし、コミュニケーション能力の高さは、おしゃべりがうまいかどうかだけでは判断できません。今回は、これからの社会で必要とされる本当のコミュニケーション能力について紹介しましょう。コミュニケーション能力はこれからの社会でより必要とされる学校や職場、買い物や通院、役所での手続きなど、人は毎日の生活の中でさまざまな人とコミュニケーションを取りながら生きています。それは、子どもたちにもいえること。保育園や学校では、先生や友だちとのやりとりが欠かせません。昨今では、教育現場においても、コミュニケーション能力がより重視されるようになってきています。幼稚園教育要領や小・中学校の学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」に重点が置かれていることは、ご存じの方も多いでしょう。また、2020年度から大学入試センター試験が大学入学共通テストへ変わり、マークシート方式のみだった試験に記述式問題を導入して、コミュニケーション能力とも深い関わりのある「思考力・判断力・表現力」をより適切に評価する方針に変わります。加えて、英語は、読む・聞く・話す・書くの4つの評価を通して、実践的なコミュニケーション能力が求められるようになるのも知られているところ。このように、学習面ではもちろんのこと、今後、社会全体のグローバル化や人々の生き方の多様化が進むにつれ、よりいっそうコミュニケーション能力が求められるようになっていくでしょう。そもそもコミュニケーション能力って?日本コミュニケーション能力認定協会は、社会や企業が求める「コミュニケーション能力の高い人」の特徴を次のように述べています。わかりやすく伝えることができる人のやる気(モチベーション)を高めることができる聞き上手で、相手がどんどん自分のことを話したくなってしまう相手の気持ちを察することができるもっと聞きたい!と思わせる魅力的な話ができる相手に共感することができる的確な質問ができる話をまとめることができる人に好感を与えることができる人を動かすことができる(引用元:日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?)同協会は、コミュニケーション能力の要素を、「聴く力」「伝える力」 「人の気持ち(心理)を汲み取る力」の3つに集約できると述べています。「コミュニケーション能力が高い」と聞くと、「おしゃべりが上手な人」をイメージすることが多いかもしれません。でもじつは、相手の話を聞く力や引き出す力、共感する力もコミュニケーション能力のひとつとされています。つまり、おしゃべりが苦手な子どもでも、じつは友だちの話を聞くのが上手というケースもあるということ。子どものコミュニケーション能力が気になったときは、話す力だけではなく、聞く力や、相手の気持ちを理解する力にも注目することが大切です。社会を生き抜くためのコミュニケーション能力を育てるにはさまざまな種類があるコミュニケーション能力ですが、それらを伸ばすためには以下のポイントに注意しましょう。・人と関わる力→「人や地域に関する経験」で伸びる東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が2015年7~8月に実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」によると、「リーダーとしてグループをひっぱる」「グループがまとまるように協力する」「いろいろな人と仲良くする」といった人と関わることが得意な子どもは、夏祭りなどの地域の行事に参加する・お年寄りの世話をする(手伝いや介護など)・ボランティア活動に参加する・親から仕事の楽しさや大変さを聞くなどの「人や地域に関する経験」が多いことがわかりました。核家族化が進み、地域との交流が少なくなっている現代では、意識的に地域と関わることが、コミュニケーション能力を伸ばすうえで重要だといえるでしょう。・話したり聞いたりする力→「母親が子どもの話を聞こうと意識すること」で伸びる創価大学教育学部教授で臨床心理士の園田雅代氏は、母親が子どもの話を聞こうとすることには、「子どもがお母さんへの信頼感を持ちやすくなる」「子どものコミュニケーション能力が育ちやすい」という2つのメリットがあると言います。もちろん、母親だけでなく父親や祖父母も、子どもの話をしっかり聞く姿勢を保つことが大切です。ただ、子どもとの関わりがより密であり、影響力が大きいと考えられる母親が、子どもの話をしっかり聞こうとすることで、コミュニケーション能力がより伸びやすくなるのではと園田氏は述べています。忙しくて相手をできないときにも、「あとで聞かせて」と言った場合は、忘れずに「さっきの話、詳しく教えて」とたずねるようにするなど、子どもの話をきちんと聞こうとしている姿勢を見せることが大切です。・感情をコントロールしながら表現する力→「子どもの感情を代弁してあげること」で伸びる自分の感情をしっかりと認めつつも、「相手に伝えるかどうか」「その場で話してもいいかどうか」「相手を不快にさせる表現ではないかどうか」などを考えてコントロールする力は、他者と関わるうえで非常に大切です。そうした力を伸ばすために必要なことについて、法政大学文学部教授で発達心理学・発達臨床心理学・学校心理学が専門の渡辺弥生氏は次のように述べています。子どもが初めての感情に向き合っている時、「切ないんだね」「感激しているのね」など保護者が一歩先に立って気持ちに当てはまるボキャブラリーや表現で代弁してあげると、子どもも感情と言葉をリンクさせて習得していくことができます。自分の表現に自信がない保護者のかたは、感情表現が豊かな絵本を子どもと一緒に読むなどして、親自身が感情表現をともに学んでいくことも有効です。(引用元:ベネッセ教育サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法)子どものどんな感情も否定せずに、寄り添いながら気持ちを代弁してあげることで、子ども自身が感情をコントロールできるようになっていくのです。***子どものコミュニケーション能力を伸ばすと、自分の感情表現をうまくできるようになることはもちろん、他者への思いやりを持つことにつながります。子どもとの普段の関わりの中で、コミュニケーション能力を育む工夫をしてみましょう。文/田口 るい(参考)こどもまなび☆ラボ|コミュニケーション能力を育てよう!会話をグレードアップさせる3つのヒント。PHPファミリー|「聴く」ことは信頼感につながる~子どもの心を整えるお母さんの「聴き方」PHPファミリー|自己主張ができず口下手。いじめが心配~子育て相談室ベネッセ教育サイト|家庭内の会話から子どもの思考力、表現力を育む[やる気を引き出すコーチング]ベネッセ教育サイト|ふだんの経験でコミュニケーション力に大きな差が出る?ベネッセ教育サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?
2019年07月18日昨今、EQ(心の知能指数)やSQ(社会的指数)など、さまざまな能力について取りざたされていますよね。しかし、「やっぱり “頭の良さ” として馴染み深い、IQ(知能指数)が気になる」「子どもの将来のためにIQを高めてあげたい」と考えている親御さんも多いことでしょう。そこで今回は、「IQが高い子どもの特徴」や、「子どもの社会的な成功とIQとの関係」についてご紹介します。そもそもIQって何?そもそもIQとは、「人間が知能を使って物事を処理する能力を表す数値」のこと。知能検査によって測定された精神年齢を実年齢で割り、100倍にした数値です。85~115が平均といわれています。日本でトップクラスの学力を誇る東大生のIQは、平均120ともいわれていますが、IQが高いからといって、必ずしも学力が高いとは限りません。また、IQの高さは遺伝や環境の影響も大きいといわれています。慶應義塾大学(行動遺伝学)の安藤寿康教授いわく、IQはおよそ5割が遺伝の影響を受け、残りの5割のうち3割は家庭環境が影響するのだそう。安藤教授は、親からどんな遺伝子を受け継いだとしても、学習をすれば必ず能力は伸びるといいます。IQが高い子どもの特徴IQが高い子どもには、どのような特徴があるのでしょうか?詳しくみていきましょう。・頭が良くて賢いIQの高い子どもは、頭が良くて賢いといわれています。勉強ができるという学習能力としての賢さだけでなく、大人びた物言いや考え方をするなど、精神的に賢い場合もあるのが特徴です。IQの高さについて、医学博士の青木聡氏は次のように述べています。IQテストにおける「正答率の低い問題」とは、共通ルール(共通点)を見つけるのが難しい問題のことです。つまり、テストの結果がいい人(IQが高い人)は、「共通点を見つける能力」に優れていることになります。(中略)「共通点を見つける能力」とは、簡単に言うとパターン認識能力のことです。たとえば、友だちの妹とすれ違ったときに、「あ、似ている」と、友だちの顔が脳裏に浮かぶことがあるかと思います。どこか似ていると感じるのは、共通する特徴(共通点)を無意識に読みとっているからです。(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「考える」「悩む」「時間がかかる」問題に対して、IQの高い天才はなぜ迷わず瞬時に答えを出せるのか?)IQが高い子どもの賢さには、パターン認識能力によって物事の共通点を読み取っていることが影響しているといえるでしょう。・言葉を覚えるのが早いIQの高い子どもは、会話や字の読み書きができるようになるのが、ほかの子どもに比べて早いといわれています。小児精神科医のクラウディア・ヤンケッチ氏いわく、IQの高い子どもは、脳の柔軟性が高く、ふたつの脳半球(中脳と大脳半球)を結ぶ間脳が発達しているのだそう。そのため、脳を最大限に利用することができるのだといいます。IQの高さには脳の発達も関係しているようです。・困難を乗り越える力が弱いIQの高い子どもは、賢さが目立つ反面、苦手な分野に対して向き合う力が弱い場合があります。前出のクラウディア氏いわく、IQの高い子どもは、完璧主義であるせいで、間違えることよりも諦めることを選択してしまうのだそう。そのため、困難に直面したらすぐに諦めてしまう傾向にあると言います。IQの高い子どもには、失敗は成功の源だということをしっかりと伝えてあげるべきですね。IQが高いと社会的に成功する?IQの高い子どもは学習能力が高いケースもよくみられるため、「IQが高ければ社会的に成功できるのでは?」と考える人も少なくありません。しかし、それは間違いです。東京大学名誉教授で白梅学園大学学長、日本保育学会会長の汐見稔幸氏は、次のように述べています。私たちは「文字が読める、うまくブロックを積み上げられる、三角形と四角形と五角形を区別できる」といった、目に見えて知的に賢くなったと感じる認知的な能力を重視しがちです。しかし、幼児期に認知的な能力を高めることが、その後の人生の成功や安定につながっているのか、いろいろ調べた結果、あまり関係がないことがわかってきました。大事なことは、うまくいかないときに諦めず「どうしてかな」「こうやってみよう」「これがだめなら、ああやってみよう」など、あくまで目標の達成まで頑張る姿勢を身につけることです。我慢できること、感情をコントロールする力なども大事です。(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?)IQなどで測ることのできる能力は、「認知的能力」と呼ぶのだそう。一方で、引用内で述べられているような「目標に向かって頑張る」「我慢する」「感情をコントロールする」などの能力は「非認知的能力」と呼ばれています。AI技術が発達し、グローバル化が進みゆく昨今。先の見えない社会を生き抜いていかなければならない子どもたちが伸ばすべきなのは、「やり抜く力」や「自制心」といった「非認知的能力」ではないでしょうか。***子どものIQが高いと、つい「頭が良いなら、将来レベルの高い大学にいけるかも?」「エリートになれるかも?」と期待してしまうこともあるかもしれません。しかし、育児や教育においては、IQや学校の成績といった目に見えるものばかりを気にするのではなく、「この先、子どもが生きていくために必要な力は何なのか」という目線を持つことが重要ですね。文/田口 るい(参考)こどもまなび☆ラボ|感情を書き出すとEQが伸びる!IQよりも大切な「心の知能指数」を高めようこどもまなび☆ラボ|「SQ」って知ってる?今を生きる子どもたちに「社会的指数」が重要なワケ進路のミカタ|ずば抜けたIQの天才児!?クラスにもいるかもしれない「ギフテッド」ってどんな人?All About|マシュマロ実験で判明!学力に重要なのはIQより○○All About|世界中が注目する「非認知能力・自制心」を育む方法All About|世界トップが実践!子供の「非認知能力」を育むヒントNEWSポストセブン|子供の学力、遺伝とともに母からの愛情で大きく変わるものすくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?ダイヤモンドオンライン|「考える」「悩む」「時間がかかる」問題に対して、IQの高い天才はなぜ迷わず瞬時に答えを出せるのか?Swiss info.ch|周囲と同化し、識別しにくいギフテッド・チャイルド
2019年07月16日成長、発達、認知――。教育関係の記事ではあたりまえのように使われる言葉ですが、その厳密な意味となると答えられない人も多いでしょう。お話を聞いたのは、『しまじろうのわお!』(テレビ東京)などの幼児教育番組や幼児向け教材の監修を行っている、静岡大学情報学部客員教授の沢井佳子先生。それらの言葉の意味に加えて、幼児教育の世界で流行語となっている「非認知能力(非認知的スキル)」という言葉がはらむ問題についても持論を語ってくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)成長、発達、認知という言葉の意味とは?成長、発達、認知という言葉のうち、その意味合いからも混同されるのが成長と発達ではないでしょうか。子どもの成長、発達といった場合、一般の会話においては大きなちがいはありません。でも、アカデミックな意味でいうと両者にはちがいがあります。「成長」とは、「数値」でわかる身体の量的な変化です。つまり、子どもでいえば身長が伸びたり体重が増えたりした場合に、「成長した」というのです。そして、「発達」とは「働き」や「質」に焦点をあてた心身の変化です。たとえば、「子どもが手指で柔らかいものを上手につまめるようになる」という動作の「器用さ」の変化や、そして「頭のなかで言葉や数や論理を理解する」というような、見た目だけではわからない心理的変化も「発達」に含まれます。この発達の過程において、生涯にわたってドラマチックな変化を見せるのが「認知の発達」です。「認知」とはごく簡単にいえば「ものごとがわかる」ということです。一般に認知能力というと、文字を書く、計算する……といった「学力」と同じ意味だと、非常に狭い意味でとらえられがちです。しかし、認知は人間のあらゆる「知覚」「運動」「学習」「判断」「記憶」などに関わります。たとえば、生活習慣の獲得。子どもが服を上手に着られるようになったなら、そこには、方向や位置関係がわかる……という空間認知や、見て触った情報をもとに動作を実行するという認知の発達がみられるのです。友だちとの付き合いにおいても、表情を認知し、視点を動かして相手の気持ちを察し、出来事のつながりから因果関係を推理し、行動の社会的な結果を予測して意思決定をする……といった認知の過程がたくさん含まれているのです。生活習慣から社会生活、おしゃべりから数の理解、砂場の遊びからスポーツの試合まで、子どもの頭のなかでは認知的な営みが忙しく繰り広げられているのです。子どもの教育から少し話はそれますが、この「認知」に関する言葉で、個人的に残念に思っているのが、2004年末に日本で「痴呆症」に代わるものとして「認知症」という名称が採用されたということです。「認知症」という名前は、そのままの意味でとらえると、「わかる病気」ということになってしまいます。当時、厚労省が行ったアンケートでも、ほとんどの有識者が「認知障がいという名称が適切」と答えていました。「認知」を「歩行」に置き換えて考えてみましょう。歩行器で歩く人も、車椅子を使う人も「歩行障がい」があるわけです。が、それを「歩行症」と呼んだらおかしいですよね。「うまく認知できないこと」は、本来なら「認知障がい」と呼びたいところです。「でも、厚労省側が『少しでも字数が少ないほうがいい」と判断して『認知症』という言葉に決まったんですよ」と、その検討会の座長を務めた医師の長谷川和夫先生から、直接お聞きしたことがあります。こうして「認知症」という名称が生まれて15年がたったいま、「うちのおじいちゃん、『ニンチ』になっちゃって……」といったふうに、ずさんに略されて使われるのを耳にします。認知という言葉が真逆の意味で使われるのです。わたしは「みんなの認知症情報学会」で、認知症や発達障がいの当事者の方々のお話を聞く機会があるのですが、そのなかのひとりの女性が「わたし自身の認知の特徴について正確に説明しようとしても、ニンチという言葉は、得体の知れない深海魚か怪物のように思われ、人の誤解を解くのは大変です」とお話しくださったことが忘れられません。「認知症」のように、名前と意味の関係をあいまいにした言葉は、誤解に悩む人を増やしてしまうのです。「社会情動的能力」を「非認知能力」と呼ぶべきではない「認知」の意味への誤解を広げている名称がもうひとつあります。現在の教育界で頻繁に聞かれる「非認知能力(非認知的スキル)」がそれです。米国の経済学者のヘックマン(J.J.Heckman)の著書『子どもたちに公平なチャンスを与える(”Giving Kids a Fair Chance”)』邦訳『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)のなかに「非認知能力」は登場します。ヘックマンは米国の公教育が、子どもたちを到達度テストの点数で評価し、「学力優位の教育に偏っている現状」を批判しています。多くの人が社会で成功し、経済格差を解消するためにも、到達度テスト(認知テスト)では測れない、意欲や長期計画を実行する能力、他人と協働するのに必要な社会的・感情的制御という「非認知能力」を伸ばす教育が重要である。そして幼児期こそ「非認知能力」を育む最適期なので、幼児教育にかかる費用を、社会が家庭へ「事前に分配」すれば、効率的に社会的格差が解消される――。と、幼児教育への社会的投資を促しました。わたしは、この結論には賛成です。経済階層や家庭環境のちがいにかかわらず、どの子どもにも適切な幼児教育の機会が与えられるように社会システムを作ること。そして、学業のみならず、社会性や情動コントロールの能力を育む「幅広い領域の教育」の恩恵をすべての子どもが得られるように、社会が幼児期にお金と手間をかければ、子どもが年を取るまで望ましい効果が得られ、人生も社会全体も豊かになる……というヴィジョン。これは、わたしが30年以上前から、テレビ幼児教育番組のコンテンツ開発の仕事をしながら思い描いてきた理想と重なります。しかしながら問題は、社会性や情動コントロールの能力を「非・認知能力」と名づけ、学業に関わる能力だけを「認知能力」と名づけたことでした。わたしは、その意味する「事柄」ではなく、「名称」を問題視しています。ヘックマンは当初、「(研究者が)数値で量的に認知しやすい能力」と、「(研究者が)数値では認知しにくい能力」とを区別するつもりで、認知能力と非認知能力と命名したようですが、そんな名称では「子どもの頭のなかの認知能力」と区別がつきませんし、実際、混同されています。社会性や情動コントロールの能力のなかには膨大な認知過程があるにもかかわらず、それを「非認知」と呼べば、一般の人は「人付き合いや、我慢ができることなどに、認知は入っていないのだな」と誤ってとらえてしまうでしょう。そもそも、「非(Non-)」が頭について、「認知『じゃないもの』が大事だ」……という造語の仕方が誤解のもとです。大事な事柄は、否定ではなく肯定で、端的に表現すべきでした。ヘックマンは学業の能力(彼のいう認知能力)と社会情動性の能力(彼のいう非認知能力)の両立を重視したはずですが、教育者の間では「非認知能力」あるいは「非認知スキル(Non-cognitive skills)」という名称のみが流行語になり、両者のバランスは崩れていきました。さらに「非」という接頭辞が、続く「認知能力」を排除するか、または時間的に後回しにする解釈へと迷走させています。「<我慢ができて、友だちと仲良く協力し合い、自分の感情をコントロールする力>は非認知能力であり、これが育ったあとに認知能力を伸ばせばよいのです」と、幼児教育の現場で語られるのを聞きましたが、これは、ふたつの能力を同時に重視するヘックマンの論旨に反します。また、赤ちゃんのときからの「顔や声のパタンを見わける認知能力」がベースにあってこそ、特定の大人への愛着が深まり、観察と模倣の学習も進み、社会情動的能力が発達するのだという、心理学の知見ともかみ合いません。学術的な知見と「つじつま」が合わないまま、「非認知能力」という名称は、一般の人々の「認知」への理解をゆがめているのです。幼児期にこそ「認識の枠組み」を与えたい2011年の東日本大震災のとき、米国の『TIME』誌は、被災者の写真とともに「“Gaman”=ガマン」という言葉を「日本人独特の精神性」を象徴するものとして紹介していました。米国人のヘックマンが想定した「忍耐力や情動の抑制のレベル」をはるかに越えるマグニチュードの「被災者の我慢」に、米国のジャーナリストは驚いたのです。幼児教育の現場はもちろん、日常の現実やアニメでも「我慢強い子」のモデルを多く目にする日本は、「他者と協働するための社会性」への期待が重過ぎるほどです。ですから「非認知能力」と呼ばれる「社会・情動性」の教育の旗を振らなくても、日本の幼児教育の先生方はすでにそれをたっぷりと教育なさっていると思います。が、近年の「非認知能力」という流行語の副作用として「認知能力」が狭く解釈され、「文字や数を学ぶ認知能力は、小学校から伸ばす」とみなされ、幼児の幅広い認知能力が論じにくくなったのは問題です。他方、小学校はといえば、STEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学)を代表するプログラミング教育に加えて、英語の教科化で忙しく、6歳からの知識学習はどんどん増やされています。6歳を境に幼児教育と小学校の教育の内容には、崖のようなギャップがあります。それを不安に思う親は、非認知能力重視をうたう幼稚園に子どもを通わせつつ、さらに国語、算数、英語の「学業の先取り」を助ける塾へも通わせ、ダブルスクールの行き来で親子はヘトヘト。楽しいはずの幼児期がこのような疲労感で終わっては、「意欲」を育むどころではありません。そこで思い出すのは、わたしが2004年にハンガリーの保育園を訪ねたときの驚きです。保育士が「さあ、論理で遊びましょう!」と、3歳から6歳の子どもたちを集め、おもちゃや絵本、ボールなどを使って、仲間わけの論理遊びをはじめました。子どもたちは、異年齢同士で相談しながら、おもちゃを選び、ボールを転がして「考える遊び」を楽しんでいたのです。「考えること」は運動であり、友だちとのコミュニケーションであり、答えを探すための忍耐も遊びの内でした。ブダペストの明るい教室には、「子どもの思考」への洞察と、「考える遊び」を開発する技術があり、芸術的なバランスがあることに、わたしは心打たれました。ブダペストの小学校も見学しましたが、幼児教育から滑らかにつながり、校長は「幼児から児童への認知発達を考え、自分で論理的に考えられるように、遊びや学びを開発しているんですよ」とお話しくださいました。論理、社会性、物語、数学、運動、音楽などが、一体となった教育は、面白い幼児教育番組を見ているような印象を残しました。1973年にはじまった幼児教育番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)は、ガチャピンとムックが有名ですが、東 洋、永野重史、新田倫義、藤永 保という4人の発達心理学者が監修して、幼児期の認知発達を支援する目的でつくられました。わたしは1984年から1988年まで心理学スタッフとして制作に携わりました。放送がはじまった頃は、批判の電話がたくさんあったそうです。「幼児期はココロを育てる情操教育が重要なのに、『ポンキッキ』は知識の詰め込みの早期教育でけしからん」という批判です。「知性と情意性、どっちを重視するのか?」という、能力を分割する議論は、むかしもいまも変わらず繰り返されるんですね。『ポンキッキ』の監修者は、「幼児が主体的に情報を処理する能力を育て……質の良い知的構造の形成と深化を目指す」という理念を掲げ、論理概念すらも面白いアニメで見せ、社会性や情動性をテーマにした歌やダンスも開発しました。いま、わたしは『しまじろうのわお!』(テレビ東京)という幼児教育番組の監修者として、ピーマンの悲しみの理解から、転んでも立ち上がる意欲の歌、ジュースの量を比べる遊びまで、幼児の生活全体を対象に、『認識の枠組み』を与える映像を開発しようと、制作仲間と議論を重ねています。ハンガリーの「社会的な論理遊び」、そして「生活のなかで考える面白さ」を伝える『ポンキッキ』、こうした「認知と情意性の発達を丸ごと支援する教育」を、いろいろなメディアで増やしたいものです。大人のかたも、子ども時代の記憶を思い出して、「3歳のわたしが面白かったことは?大好きな人のなにを真似たのかな?」とご自分の発達を振り返ってみませんか?「認知=ものごとがわかること」について考えはじめると、高齢者になるという発達も面白くなるように思います。■ 静岡大学情報学部客員教授・沢井佳子先生 インタビュー一覧第1回:“○歳だからこれができないとダメ!”その思い込みから親を解放する「発達心理学」入門第2回:幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法第3回:「10まで言えるのに、5個が数えられない」?未就学児への“数”と“時間”の教え方第4回:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”【プロフィール】沢井佳子(さわい・よしこSAWAI, Yoshiko)1959年生まれ、東京都出身。チャイルド・ラボ所長、静岡大学情報学部客員教授。認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。学習院大学文学部心理学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。同大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。専攻は発達心理学。幼児教育番組『ひらけ! ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、文教大学人間科学部講師などを経て現職。他に、日本こども成育協会理事、人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事、日本子ども学会常任理事などを務める。幼児教育シリーズ『こどもちゃれんじ』(ベネッセコーポレーション)の「考える力」プログラム監修、幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列/2016年国際エミー賞子ども番組部門ノミネート、2019年アジアテレビ賞受賞)の監修など、多様なメディアを用いた幼児向け教材やテレビ番組の制作におけるコンテンツ開発に携わっている。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月12日「お互い、もう介護される年齢に近づいているわね」という話から始まった“認知症介護対談”。年を重ね歴史のある母娘でも、母が認知症になればその関係は変わってくる。いままで見せなかった弱さを見せるようになったヤマザキマリさん(52)の母は、これまで着ていた鎧を脱いで穏やかに。阿川佐和子さん(65)の母は家族のかせから逃れて、自由になった。母娘が向き合って、その距離がぐっと近くなった介護の時間はとても豊かなものだった――。阿川「うちはいま、認知症の母(91)をきょうだいとお手伝いの方とローテーションを組んで、在宅介護しています。その合間にショートステイで外泊サービスを利用しているんです」マリ「私の母(86)は北海道の実家の近くに住む妹が、在宅介護をサポートしてくれていました。それが、認知症に加え、パーキンソン病も併発して……。足元がおぼつかなくなり、今年1月、部屋で倒れているところを妹に発見されて、入院しました」阿川「高齢者専門の施設なの?」マリ「専門ではないですが、認知症患者が多い病院なんです。我が強い母ですから、同室の人と合うわけがないと思っていたのに、4人部屋で和気藹々と過ごしています。お互い、会話はまったく成立していないんですけど、ワイワイ楽しそうでした」小説家、エッセイストの阿川佐和子さんの母親は、昭和2年生まれで、現在は91歳。父は作家の阿川弘之さん(’15年没、享年94)。外では温厚だが、家庭内では絶対君主で、専業主婦だった母親は振り回されていたという。漫画家のヤマザキマリさんの母親は、昭和8年生まれの86歳。北海道に渡り、札幌交響楽団のビオラ奏者として、2人の娘を女手一つで育て上げた。親の介護が始まったのは、阿川さんが57歳、ヤマザキさんが49歳のときだった――。マリ「佐和子さんは、どうやって親の認知症がわかったんですか?」阿川「8~9年くらい前かな。あるとき、長年、実家で働いてくれた家政婦さんが電話で『こんなこと、私から申し上げるのも何ですが、奥さまがヘンです』って。もともとトボけてるからなあって言ったら『そういう問題じゃありません』って、ピシッと言われたんですね。それで“ついに来たか”と」マリ「母は、80歳を過ぎたあたりから、物忘れが目立ってきたんです。でも、犬の散歩も欠かさず、毎日、元気そうでした」阿川「うちも日常の家事には支障がなかったけど、同じことを繰り返し話したりして“ん?”っていうことが少しずつ……」マリ「あるとき、北海道の実家に帰ると、母が外に立って青ざめた顔で『変な外人さんがうちに来ちゃって!』って。あわてて家に入ると、外国人が出ている料理番組が放映されていて、それを見て、うちの台所に外国人が来たのだと勘違いしたようなんです。そうした症状が増えて、ようやくレビー小体型認知症(症状の1つに幻覚がある)だと診断されました」阿川「うちの母は、いまだに、自分でできることはいっぱいあるんです。お医者さんに行って、勝手にパソコンをのぞいたとき“アルツハイマー”という文字を見て、『誰のこと?』って聞いたりね」マリ「本人も認知症だって認めたくないですよね。母も『一過性のもの』『疲れているだけ』と抵抗していましたから」阿川「いままで、自分を見守ってくれていた親が、だんだん壊れていく姿は、子どもとしてもつらいもの。だから、初期のころは特に必死になるよね」現在でも、認知症の症状は少しずつ進んできているが、母たちは平和で穏やかな日々を過ごしている。阿川さんは、父を’15年に亡くしたが、母は、夫の死をどこまで理解できているのかわからないという。ヤマザキさんの母は、人生を支えてきた楽器演奏から離れて久しいが――。マリ「この間も病院に行くと、母が遠くに歩いている看護師さんを見て『今、コンサートホールの支配人を呼ぶから、挨拶しなさい』って言うんです。私もその“妄想”に付き合って『今日は何を演奏するの?』と聞くと、『プログラムを読んでいないの!』って怒られたり(笑)。母は元気なころ、コンサートのプロデュースもしていたんです」阿川「そういう物語には、乗っかるほうが楽しいよね。うちの母は、なぜかいないはずの赤ん坊の話をするんです。『赤ん坊どうしたの?』って聞かれると『さっき帰った』『ちゃんと寝かせているの』『うん、2階で寝てる』って、話を合わせたりして」マリ「認知症になっても、あえて否定するのもよくないし、羞恥心や感情面の尊重も大事ですよね」阿川「特に排せつに関してはね。以前、母が部屋で頭から布団をかぶっていたんです。どうしたのかと思って布団をめくると、片足だけ私のストッキングをはいているの」マリ「どういうことですか?」阿川「聞いても『んー』と言って答えないの。多分、自分の下着を汚してしまって、それが恥ずかしいと思ってはき替えようとしたのに、どうしていいのかわからなかったと思うんです。それで私のクローゼットから着替えを探したけど、パンツではなく、靴下の引出しを開けてしまったのだと」マリ「親の排せつの失敗は、娘もついつい情けない気持ちになったりするけど……」阿川「考えてみたら、隠すこと自体がカワイイじゃんて思うようになりました」マリ「認知症になって、とても自由に生きられている部分もありますからね」阿川「うちは圧倒的に父が強かったんです。絶対君主的で、それによって家族が振り回されていました。でも母は、『なんでそんなに言うことを聞けるの?』って思うくらい従順だったんです。だから私は、きっと7歳年上の父が早く死ぬだろうし、そうしたら母を旅行に連れていったりして、家庭の束縛から解放してあげようって、ずっと思っていたんです。それなのに、母が先にボケてしまって、悔しかったですよ」マリ「それは無念」阿川「でもね、ボケてみると、100%不幸だとはいえない。むしろ母は自己主張が強くなりましたよ。入院中だった父が『お前の作ったちらし寿司が食べたい』と言いだしたときも、さらっと『あーちらし寿司ですね、そこの百貨店に売っていますよ』って」マリ「素晴らしい!」阿川「いま、母はとても自由に愉快に生きているんです。私が『ねえ、母さん、ご飯作ってよー』って言うと『んー、明日』って先延ばし。マリちゃんのお母さんは、女手一つでずっと闘っていらしたわけでしょ?」マリ「闘魂そのままというイメージを持っていたんですが……。もともと物を書くのが好きな人で、日記帳を渡していたんですね。ところが、認知症に加えパーキンソン病も併発しているから、手が震えてうまく文字が書けない。それであるとき、母の部屋から、書こうと思ったのに、何度も何度も途中で諦めてしまっている書き損じの紙の束が出てきて……。それを隠していたんですね。手にしたときは、もう涙が止まりませんでした」阿川「切ないねえ」マリ「前の母とは違うんだと改めて感じて、喪失感を覚えました。いかに母が私の心の大きな支えになっていたかって痛感して……。50歳にして、初めて精神的自立を余儀なくされた焦りも(笑)。でも、認知症になって、肩肘張らず、強がらず、いまの母は穏やかです」阿川「よかったねえ」マリ「いままでの母なら『会いたい』なんて言わないタイプだったのに、お見舞いに行くと『今度はいつ来るの?』なんて聞いてくるんです。“なんだ、この弱々しい母は”って感じてしまうけど、『1人で娘2人を育て、世間と闘ってきたけど、ようやく甲冑を脱げたんだ』と、いまの姿が本当の母なんだと思えるようになりました」
2019年06月29日「非認知能力」とは、テストの点数や偏差値など数字で測れる認知能力に対して、数字では測れない力のこと。そこには、回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力……など、さまざまな力が含まれます。その非認知能力との出会いによって自身の人生を変えたのが、ライフコーチとして日米で講演会やワークショップを展開する、アメリカ・ワシントンDC在住のボーク重子さん。全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」で娘のスカイさんが優勝したことでも注目を集め、出版された本は軒並みベストセラーになっています。もちろん、ボーク重子さんの子育ての軸となったのも、子どもの非認知能力を伸ばすことでした。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/櫻井健司(インタビューカットのみ)はじめての失敗で心が折れた子ども時代子どもの非認知能力の有無によってどんなちがいが生まれるのか――。親であればとても気になるところですよね。ここでは、わたし自身を例にしてお伝えしましょう。子どもの頃のわたしは、「いい高校、大学、会社に入って、いい結婚をすれば一生安泰だから、とにかく勉強をしなさい」といわれて育ちました。わたしの親は少し教育熱心だったかもしれませんが、当時の「幸せへ向かうレール」に子どもを乗せようとする、ごく普通の家庭だったと思います。わたしはいわれるままに勉強をしましたから、最初は学校の成績も優秀でした。ところが、中学生のある日、急に数学ができなくなったのです。いつも100点だったテストがいきなり70点になってしまった。そして心が折れた。いまならその理由がわかります。それは、わたしの非認知能力がまったく育っていなかったからです。当時のわたしは、「やりなさい」といわれたことになんの疑問も持たずに従っていました。いわゆる「いい子」です。だからこそ、自分で考えるということをまったくしたことがありませんでした。勉強も親や先生にいわれたことをやって、とにかく暗記を繰り返すだけ。学習内容の本質を理解していませんから、学習レベルが上がると一気に成績が落ちてしまったのです。そこでわたしがどうしたかというと……勉強をやめてしまいました。というのも、賢くないと思われるのがすごく嫌だったからです。「勉強をしなければ、『やればできるのに』と思ってもらえる……」。そう考えたわけです。そのときのわたしに回復力ややり抜く力といった力があれば、そこで立ち止まって「どうすればいいか」と考えられたでしょう。でも、当時のわたしにはそれらの力はなかった。要するに、わたしには勉強での失敗経験がなかったのです。なにかをして失敗するという経験は、非認知能力を育てるためにはとても大切なものです。あたりまえですが、失敗しないことには回復力なんて育つわけがありませんからね。そもそも、それ以前に主体性が育っていれば、親や先生のいうことにただ従うのではなく、自ら考えて勉強に励むこともできたかもしれません。さらに、そういった主体的な勉強で成績が上がったのなら、自信をつかむこともできたでしょう。でも、当時のわたしはそうではなかった。だから、たったひとつのテストの結果でポキッと心が折れてしまったわけです。教育法のちがいが子どもの人生を大きく変えるそれからはどんどん成績は下がる一方で、自分は「なんてダメなのだろう」という気持ちを拭うことができませんでした。そこからわたしが回復するには、15年ほどの時間がかかりました。20代はそれこそ暗黒時代。ずっと「どうして自分はこんなに駄目な人間なんだろう?」「どうせわたしなんて……」と思いながら過ごしていました。その後、回復するに至ったのは、30歳になる直前に、当時お付き合いしていた男性にフラれたことが大きなきっかけです。そのとき、真剣な顔をしている彼を見たわたしは「プロポーズかな?」と思った。でも、彼は「君は僕と結婚したらどう生きたい?」と聞くのです。当時のわたしは、「え?そんなの決まってる」と思いました。その答えは、「あなたのお世話をして、あなたの子どもを生んで、一緒に年を重ねたい」です。わたしの返事を聞いて、彼はこういいました。「僕、それだけの人はいらない」と。幼い頃から凝り固まった人生観を刷り込まれ、自分というものを持てていないわたしに彼は愛想を尽かしたというわけです。そうして「幸せへ向かうレール」から外れたことで、わたしは一念発起しました。ずっと心のどこかで「いつかやりたい」と考えていたアートの勉強をするため、イギリス、続いてアメリカに渡ったのです。そのうち結婚して娘が生まれると、また強い不安に駆られました。「わたしに育てられたら、いつも自信を持てなくて誰かの指示を待つわたしみたいな人間に娘が育つのではないか」と――。そして、娘のための学校を探しているうちに出会ったのが非認知能力でした。当時のアメリカにおけるいわゆるエリートコースにある幼稚園や小学校は非認知能力教育に重点を置くようになりつつありました。そして、ある研究によって、その潮流は決定的なものとなった。従来の教育を受けるか、非認知能力を高める教育を受けるかによって、その後の子どもたちに大きなちがいが生まれることがはっきりとわかったのです。非認知能力を高める教育を受けた子どもたちの学習は、機械的にやらされるようなものではありません。学習内容に興味を持ち、自ら能動的に学ぶ。勉強したくないときも、責任感があるから「やらなくちゃ」と勉強をする。もちろん、学習成績も上がります。さらには、自分がやったことを肯定してもらえるため、自信を持つようにもなる。子どもたち一人ひとりが認められるから、いじめも減る。やる気、主体性、パッションがあって、自分がやりたいことをやるためにそれ以外のことも自然にできるようになるし、やり抜く力も身についていく――。まさにいいことずくめなのです。親は子どものロールモデルという役割から逃れられないさて、肝心の非認知能力を高める教育ですが、特別な学校でしかできないというわけではありません。むしろ、家庭教育のほうが重要だともいえます。娘を通わせた学校の先生からは、「いちばん小さいけれど最強のコミュニティーである家庭での教育、親との対話が子どもにもっとも影響を与える」といわれました。親は子どものロールモデルという役割から逃れることはできません。親の姿を見て育つ子どもは、ふとしたときに出るしぐさや口癖などまで親に似るものです。子どもは必死に生きて親を愛して、いずれ親のようになる。それだけ親という存在は子どもにとって大事なものなのです。そう気づいたとき、わたしは思い至りました。「だとしたら、まずわたし自身が自分の非認知能力を高めなければいけない」と。それから、わたしはいろいろと行動をはじめました。アートギャラリーを立ち上げたこともそのひとつでしょう。とにかく行動することが大切で、ずっと家にこもっていても心は強くなりません。家でご飯を食べてテレビを観ているだけなら、誰かに共感したり、失敗して回復したりする必要もないし、主体性やリーダーシップを発揮する場面もありませんからね。そして、「ママ、いまはこういうことをしてるんだよ」というふうに、自分の行動を子どもとシェアするのです。子どもは親を見て育つといいますが、見えやすくするのも親の役目です。子どもには、いわれなければわからないこともたくさんあるのですから。親の行動をシェアする際には、「失敗こそシェアする」と心がけてください。当時のわたしはなにもわからないままビジネスをはじめましたから、当然、失敗の連続です。それらの経験を娘に伝え、ときには娘からアドバイスをしてもらうこともありました。それは、失敗か成功かという結果ではなく、なにがどうしてどうなったかというプロセスを娘に見せるということです。そうすることで、子どもは、失敗は通過点であってやり直しができるということ、方法はひとつじゃなくてもしひとつの方法が駄目でも他の選択肢や可能性を試せばいいといったことを学んでいくことができます。それは、回復力ややり抜く力といった非認知能力そのものですよね。そう考えていたわたしは、娘には成功より失敗を重点的に見せてきましたから、娘にとってはじつは格好悪いママなんです……。はじめて「子育ての本を書くんだ」といったときに、いちばん驚いていたのが娘でしたね(笑)。娘のスカイさんと。『世界基準の子どもの教養』ボーク重子 著/ポプラ社(2019)■ ボーク重子さん インタビュー一覧第1回:子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ第2回:「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動(※近日公開)第3回:「ルールを守れる子ども」はこうして育つ。親が子に与えるべき大事な“時間”(※近日公開)第4回:「自分の考えを言えない」問題の解決法。幼い子どもにこそ大切な“リベラルアーツ”(※近日公開)【プロフィール】ボーク重子(ぼーく・しげこ)ライフコーチ。福島県出身。30歳の誕生日1週間前に「わたしの一番したいことをしよう」と渡英し、ロンドンにある美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、留学中にフランス語の勉強に訪れた南仏の語学学校でのちに夫となるアメリカ人と出会い1998年に渡米、出産。「我が子には、自分で人生を切り開き、どんなときも自分らしく強く生きてほしい」との願いを胸に、全米一研究機関の集中するワシントンDCで、最高の子育て法を模索。科学的データ、最新の教育法、心理学セミナー、大学での研究や名門大学の教育に対する考え方を詳細にリサーチし、アメリカのエリート教育にたどりつく。最高の子育てには親自身の自分育てが必要だという研究データをもとに、目標達成メソッド「SMARTゴール」を子育てに応用、娘・スカイさんは「全米最優秀女子高生 The Distinguished Young Women of America」に選ばれた。同時に、子育てのための自分育てで自身のキャリアも着実に積み上げ、2004年、念願のアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年アートを通じての社会貢献を評価されワシントニアン誌によってオバマ大統領(当時上院議員)やワシントンポスト紙副社長らとともに「ワシントンの美しい25人」に選ばれた。2009年、ギャラリー業務に加えアートコンサルティング業を開始。現在はアート業界でのキャリアに加え、ライフコーチとして全米並びに日本各地で、子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについて講演会やワークショップを展開している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月08日色々とがんばっているものの、ずっと非モテで男性とのお付き合いはもう諦めている……。という人はちょっと待って!意外と気づいていないかもしれませんが、あなたを非モテにしているのは原因があって、問題は一点だけということも多いんです。これだけを直せばモテるようになったということもあるんです。特に職場ではモテるかモテないかで、女子の扱いも変わってくるから大事なことですよね。それでは、その惜しいと思われる点はどんなところでしょうか。非モテ女子が職場で気をつけたい具体例をアドバイスします。■ 壁を作らない女子を目指す非モテの女子の特徴として、壁を作りやすい性格というのが挙げられます。壁を作りやすい性格の人はとにかくとっつきにくいものです。例えば、やり方がわからないところがあり悩んでいたら、周りの男性は困っているかも?と思って声をかけてくることもあるでしょう。でも、「大丈夫です」と答えたら、周りはこれ以上声がかけづらいものです。一人で解決することも必要ですが、声をかけてくれた優しい人には甘えることもまた大事なことです。「ありがとうございました」という言葉をもらえたら、男性はうれしいものです。きっと、「またわからないことがあったら声をかけて」って言ってくれると思いますよ。そして、そういう交流から恋愛にも発展していくのだと思います。■ 思いやり女子を目指すモテない女子には思いやりが足りない人も多いかもしれません。相手の立場に立って考えることは大事なことです。例えば、職場の男性が遅刻してきたら、「社会人として恥ずかしい」など、上の立場に立って叱咤する女性がいます。これでは非モテになるのもわかりますよね。一番ミスったと思っているのは遅刻してきた男性です。それを、私の言っていることの方が正論とばかり追い討ちをかけて叩くのは敵を作りますよね。もしかすると、その男性は昨夜遅くまで残業をしていたのかもしれませんし、夜通し資料作りをしていたのかもしれません。そんな事情を知らずに正論だとばかり強く言うよりも、「大変でしたね」と言ってあげるほうが思いやりがあるでしょう。■ 分かりやすい性格女子を目指す世の中はツンデレなど流行っていますが、職場においてはわかりにくい性格の女子はモテません。そもそも職場の人間関係はそれほど深くないので、瞬間でとらえた性格だけがすべてです。そんな時に何を考えているのかわからない、主張がはっきりしないなどの女性に、男性は面倒に巻き込まれないよう距離を置こうと考えるのが普通です。分かりやすい性格をわざわざ分かろうとしないのが職場です。■ まとめ職場の男性はそれほどあなたを理解しようと努力してくれません。自分から動きだすことも大事ですね。(如月柊/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2019年04月24日あまり男性と恋愛したことがない女性、非モテ女子は、初デートの時に失敗してしまうことがあります。非モテ女子が初デートでしてしまいがちな失敗パターンを4つ紹介しましょう。笑顔が少ない非モテ女子は、初デートの時にあまり心に余裕がないため、「あんまり笑わない」というのがあります。モテてる女子はとにかく笑顔が多く、笑っている場面が非常に多いです。対して非モテ女子は笑顔が少なく無表情で、彼氏から「怒っているのかな、つまんないのかな」と思われてしまうこともあります。笑顔は最高の化粧であり、女の武器です。好きな人と一緒にいる時は、笑顔を絶やさないようにすると良いでしょう。自分に自信がないあまり恋愛経験がない非モテ女子は、初デートの時に「自分に自信がない」オーラを出してしまうことがあります。そうすると、デート中ずっと静かにしていたり、「私なんか」「どうせ」のような、ネガティブなことを言ってしまったりすることもあるでしょう。少し前までは、女性はおとなしく、一歩下がるような女性がモテてたこともありましたが、今は積極的に話した方が男性からも印象が良いです。デート中は自分に自信を持って、ポジティブで意見をはきはき言うことが大切です。モテることに必死過ぎるあまり恋愛経験がない非モテ女子は、モテることに必死すぎて失敗することがあります。男性にモテたいと思い、オシャレを頑張るのは大切なことです。しかし、メイクを濃くしたり、これをつければモテるだろうとアクセサリーをジャラジャラつけすぎたりなど、やりすぎると「モテるために必死なのかな」と彼氏に思われてしまうので注意しましょう。彼氏に好かれたいという気持ちが強すぎると、自分を良いように見せようと頑張りすぎることもあります。賢い男性は、モテようとしていることに気づいているので気をつけましょう。外見だけでなく、内面や心配りなどをしっかりとしなければ本当にモテる女性にはなれません。TPOに合っていないTPOとは、時と場所に合わせた服装をするということです。自分に合ったコーディネートや、彼氏の好みに合わせてオシャレをするのは大切なことです。しかし、オシャレな場所に行くのにカジュアルなコーデにしたり、たくさん歩くような場所に行くのに、歩きにくいブーツを履いたりすると、一人だけ浮いてしまうことになります。非モテ女子はまだデートの回数があまり多くないので、TPOに合っていない服を着て男性をうんざりさせてしまうことがあります。しっかりとTPOに合ったコーデを考えましょう。
2019年04月23日いわゆる知能指数と呼ばれる「IQ」という言葉は誰でも知っていますが、それに対して、「EQ」というものがあります。これは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、日本語では「心の知能指数」と訳される概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したEQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生に、あらためてEQとはどんなものかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)幼児教育の有無でその後の人生に現れた大きなちがいかつては社会で活躍して幸せであるためには、IQが大切だとされていました。でも、どんなにIQが高くて高学歴を手にしていても社会で活躍していない人、ハッピーではない人も少なくなかった。本当に重要なものはIQではないのではないか?――。そんな疑問を持つ人たちが現れたわけです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学のジェームズ・ヘックマンという経済学博士もその疑問を持ったひとり。博士は、米国ミシガン州の貧困地域で、2年間の幼児教育を受ける60名のグループと、そうではない60名のグループを追跡調査しました。その幼児教育とは、幼稚園に通いながら、先生が週に1回の家庭訪問をするというもの。家庭訪問では、子どもへの接し方などについて親御さんに事こまかくアドバイスをしました。すると、幼児教育を受けたグループは、そうではないグループに比べて、将来的に学力、学歴、年収、持ち家率が高くて、生活保護受給率、犯罪率が低いという結果が出た。ほんの2年間の幼児教育によってその後の人生に大きな差が現れたことで、幼児教育の重要性に注目が集まることとなったのです。幼児教育によってもたらされたちがいこそ「EQ」そこで、みなさんも関心が高まると思います。幼児教育によって、子どもたちにどんな変化が起きたのか、と。ジェームズ・ヘックマン博士の研究では、幼児教育によってたしかにIQも上がったこともわかりました。ただ、それは一時的なものに過ぎなかった。幼児教育が終わったそのあと、両グループとも同じ教育を受けはじめると、8歳の時点ではIQにはほとんど差がなくなったのです。そして、両グループに大きなちがいが出たものこそ、EQだったのです。EQとは、一般的になりつつある言葉だと「非認知能力」と呼ばれるものにあたります。知能テストで測定できるIQに対して、これといった測定法がない「心の力」です。具体的には、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力など、さまざまな要素があります。ひっくるめていえば、「人間力」といっていいでしょう。そして、これらの力が高いほど学力が高くなることもわかりました。ある研究によって、IQが高いからといってEQが高くなるとは限らないが、EQが高ければIQはさらに高くなるということがわかったのです。ただ、そんなことは研究するまでもなく想像できますよね。自己肯定感が高くて、忍耐力ややり抜く力、自制心があれば、勉強だってできるようになる。学力をはじめ、人間としてのさまざまな力を伸ばしていく「土台」にあたるのがEQなのです。「EQ」への注目度が高まっている背景いま、このEQ、非認知能力が日本でも大きな注目を集めるようになってきました。書店の教育関連書籍のコーナーに行くと、「非認知能力」という言葉はいくらでも見つけることができます。それには、幼児教育ブームも大きな要因となっているでしょう。いまや、幼児教育は「する・しない」ではなく、「するのがあたりまえ」「どんな幼児教育をするか」というところに移ってきています。そこで、EQ、非認知能力を伸ばす教育というものが注目されているわけです。また、2020年からはじまる教育改革もEQが注目を集めることとなった要因のひとつでしょう。新たな学習指導要領では、学力の3要素として、幼児の場合は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力・人間性」を掲げています。3つ目の要素である「学びに向かう力・人間性」は、新たな大学入学共通テストの出題指針としては「主体性・多様性・協働性」という表現になっています。これら3つ目の要素は、結局のところ、EQといっていいものでしょう。さらにEQの注目度が高まっている背景としては、時代の潮流というものも大きいように感じます。かつての大学入試は「富士山型」といえました。日本なら東大、世界ならオックスフォード大やハーバード大というひとつの「頂点」に向かうことが最良とされてきたのです。でも、現在は、「頂点」がいくつもある「八ヶ岳型」に変わりつつあるといえるでしょう。大学側は「うちの大学ではこういうことを教えるから、こういう学生がほしい」とそれぞれ異なる特徴を打ち出す。受験生も「こういうことを学びたいからこの大学に行きたい」と考える。価値観が多様化し、大学側、受験生側の双方が「マッチング」を重視するようになってきたのです。そこで、「自分はなにをしたいのか」「どんな能力を伸ばしていくべきなのか」といったことがわからなければ自分に合った大学を見つけることができず、その先の人生を充実させることも難しくなるでしょう。そして、そういった自分を見つめる力、自分を客観視する力もEQに含まれるものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由(※近日公開)第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月03日子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか?それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。「運動能力」と「学力」には相関関係があるスウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。文武両道な子どもの特徴3つまた勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。【特徴1:よく歩いている】フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。【特徴2:朝食をとる習慣がある】文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。【特徴3:何度も繰り返し学べる】例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。■心拍数が増える有酸素運動をする脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。■“ちょこっと運動” を取り入れる前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。■集団で行なうスポーツに挑戦させるサッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。***現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。文/田口るい(参考)農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第6回スポーツができる子は勉強もできる!?プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのかベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!
2019年04月01日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「早期受診が急務」ということはわかったけれど、母を病院へどのようにして連れていけばいいのか。その難問を解決すべく、認知症やMCIに関する電話相談などを行っている「認知症の人と家族の会東京都支部」へ向かい、代表の大野教子さん、副代表の松下より子さんにアドバイスをもらうことにした。「認知症には『自分が自分でなくなっていくのでは?』というネガティブな印象があるため、病院へ連れて行くのに苦労されているご家族からの相談は多いです」(大野さん)やはりこれは、多くの人が悩む問題のようだ。自らも介護経験があるお2人が教えてくれたのは、“今後の介護のキーパーソンになる人物が、無理やり病院に連れて行くのはNG”ということ。「『娘までもが私の敵か!』という意識になり、信頼関係がなくなってしまいます。将来的に介護の主役となる方は、最初の段階で病院へ行こうと強くすすめる立場でないほうがいいのかも。お父さんやごきょうだいがいれば連れて行ってもらうのも一つの手です」(大野さん)キーワードは“信頼関係”。たとえば、健康診断などと本人に嘘を言って連れて行くのも、信頼を損なう恐れがあるので気をつけたほうがいいとのこと。そして、配偶者の存在は特に重要だという。「夫婦は当然、相手を大事に思う気持ちが強いもの。元気なほうが『最近、調子がよくないんだが、一緒に病院に行かないか?』と誘って一緒に行くという成功例はよく聞きます」(松下さん)なるほど。「父を説得してみる」のはいいかもしれない。ともあれ、お2人に相談し、胸のうちを話したことで、何より心がすっきりした。こうした電話相談などのサービスを積極的に利用するのはいいことだと実感できた。そして、今月某日――。「お医者さんにMCIと言われたよ」と、母から連絡がきた。「家族の会」で話を聞いた後、父に相談したところ、父も母の変化に心当たりがあったそうだ。そこで、私が専門医を探し、父が母を誘って2人で受診することになった。その結果。母はMCIと診断された。当初、母は落ち込んでいた様子だったそうだが、私がすぐに帰省して「MCIは改善が期待できる」と説明し、「一緒に向き合っていこう」と話したことで、前向きな姿勢も見せてくれるようになった。今後についてだが、まずは通院での治療を継続することが重要なのは言うまでもない。そのうえで、担当医の説明や取材で得た情報を参考にして、取り組むべき課題を簡単にまとめてみた。【1】“地域の人とつながる”こと【2】“孤立を避ける”こと【3】“ワクワクさせる”こと1については、幸い実家のある地域は交流が盛んなので、父と協力しながら、さらに積極的に関係を深めていこうということになった。2については、父と2人暮らしではあるものの、仕事を辞め、家に1人でいることが多いので、定期的に東京に遊びに来てもらうことにした。3に関しては、そもそも母が何に興味を持っているのかを知らなかったので、それを知ることから始めようと思う。そうして母にいろいろ聞いてみると、東京で行ってみたいところがたくさんあるようだ。ならば、そこへ一緒に行けばいい。その打ち合わせをするにも連絡が必要なので、結果、これまでより電話をする回数が増えた。これからは母だけでなく、父も含めてワクワクしてもらえることを考え、提案していこうと思う。「もしかして認知症?」という疑問を感じたときは不安でいっぱいだったが、考えてみると“再び家族に戻る”いい機会をもらったということなのかもしれない。とにかく、「あのとき、ああすればよかった」と後悔しないように、自分にできる限りのことをする。気づけば、そんな覚悟ができていたのだった。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。母は本当にMCIなのか?そもそも、認知症とは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、私は認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生のもとを訪れ、取材することにした。「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。では、認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみた。すると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのお答え。しかし、参考までに、私が不安を感じた母の行動を朝田先生にチェックしてもらうことに。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった「うつ病の可能性もあるかもしれません。過去に甲状腺の手術をしているのであれば、甲状腺による認知機能の低下という可能性も考えられます」【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった「初めて聞くケースですが、日本語と韓国語を話す韓国の方が、認知症が進行するにつれて日本語を忘れていったということはありました。新たに獲得した言語を忘れていくのはMCIのサインといえるかもしれません」【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。「単なるもの忘れなのかMCIなのか、グレーゾーンですね。注意力の欠如というのは確かに認知症やMCIの症状ではありますが、だからといって見極める決定的要因とはなりません」【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている「“面倒くさい”は、認知症の兆候ではあります。身なりに無頓着になってしまうのは、MCI寄りといえるかもしれません」【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった「加齢による反射神経の鈍りかもしれません。しかし、もの忘れなど記憶に関することばかりが認知症やMCIの症状ではなく、反射神経・運動神経の衰えにも影響していきますので、MCIの可能性は否定できないですね」以上、朝田先生の回答をまとめると、母は「MCIの可能性は否定できない」ということ。改めて、病院で適切な診断を受けることの必要性を実感する結果となった。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」健常に戻る可能性があると知って喜んだのもつかの間、“MCIと診断された人の50%は4年で認知症に進行する”というデータもあると知り、身の引き締まる思いも。いずれにせよ、なるべく早く対策を始める必要があるのは間違いないようだ。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「これは一刻も早く母を病院へ連れて行かなくては!」と思ったものの、母が簡単に病院へ行ってくれるとは思えなかった。認知症にせよMCIにせよ、その事実を目の前に突き付けられるのは嫌だろう。そこで私は、インターネット上で探した“認知症チェックシート”を印刷し、それを持って、年明けに帰省することに。認知機能の低下を診断できるというこのテストで、少し様子を見ることにしたのだ。そして、帰省当日。さりげなく近所の高齢者の話をしつつ、認知症の話題へ持っていき、「簡単なテストをしてみない?」と聞いてみた。しかし残念ながら、「何でそんなことしないといけないの?面倒くさい」と、一蹴。作戦は失敗に終わった。そこで、今度は単刀直入に「そろそろ年だし、一度病院へ行って診てもらわない?」と言ってみると、「病院?何で病院へ行かなくちゃいけないの?」と、取り合うそぶりもみせず。病院へ行く気はないらしい。だが、そうこうしている間にもどんどん認知機能は低下しているかも……。そう思うと、不安は募る一方だ。母は父と2人暮らしだが、一人娘としては放っておくこともできない。しかし、仕事もあるので、たびたび帰省することも難しい。そこで親の異変に不安を感じたときの“駆け込み寺”の一つとしておすすめなのが、各自治体から委託され、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」。全国に5,041(平成29年度時点)あるこの施設は、介護をはじめ、高齢者について知りたいことがあったとき、最初の窓口となるところ。利用できるのは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者もしくはその支援者。相談者の内容によって適切なサービスを紹介してくれる機関だが、そこから認知症に関する医療や介護の専門職である「認知症初期集中支援チーム」を紹介してくれることも。悩んだら、ぜひ自身の住む自治体のホームページを確認するなどして、利用してみよう。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。「親が認知症?」と思ったら、あらためて自分の気持ちを整理するためにも、まずは “私が不安を感じた母の行動”を書き出してみることが大事だという。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった無表情でボーッとしていることは以前からあったが、旅行中はさらにひどくなった感じが。きれいな景色が目の前に広がっていても、見ているようで見ていない感じの表情をする。【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった私と話すときは気を使って標準語で話してくることが多いのに、旅行中は聞いたことのないような方言で話してくることが多々あった。途中から祖母と話しているような気分に。【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。旅行中、キッチン付きの部屋に宿泊。買い込んできた食材を料理に入れ忘れること数度。最近、特に多くなったように感じる。薬の飲み忘れも目立つ。後で忘れたことに気がつく。【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている旅行中は普段着のようなものしか持ってこず、常にノーメーク。仕事を辞めてから白髪染めも手抜きをするようになり、老け込んだ印象。指摘すると「面倒くさいから」の返事が。【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった旅行中ではないけれど、山で果物の収穫作業中に顔を蜂に刺されてしまい、通院することに。聞くと顔に止まっているのには気づいていたが、「手で払う前に刺されてしまった」と。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。もし母が認知症もしくはMCIだったらどうすればいいだろう?仕事は?自分の生活は?母の「もしかして認知症?」疑惑は、親の老いを実感するとともに、私のこれからの人生を考えるきっかけにもなった。
2019年02月25日『能ある鷹は爪を隠す』という言葉をご存じですか?爪というのは能力や才能、攻撃性などの象徴とされています。そこにどんな色をのせるかで、自分の恋の傾向やどんな能力を身につけたいかといった心理が分かるというわけ。今回は「ネイルからみる得たい能力と恋愛傾向」をご紹介します!■ 1:リーダータイプの「レッド」レッドは力強くエネルギッシュな色。クリスマスなどのイメージカラーでもあるのでイベントの季節には選ばれやすいのですが、普段からネイルはレッドカラーを選ぶことが多いという人は自分のモチベーションを上げたい人でしょう。リーダーのように恋愛の主導権を握りたいと思っているか、自分の気分を挙げて頑張ろうと思っている可能性があります。彼とは次のステージへ進みたいといった思いを抱いているのかもしれません。■ 2:優しさの「ピンク」女性らしさを象徴するピンク。肌へのなじみもよく可愛らしさ、柔らかさを演出してくれるカラー。ネイルではピンクをよく選ぶという人は女性らしさを身につけたいと無意識に思っているのかもしれません。彼から女性的な扱いを受けたい、もっと女性らしく見てもらいたいといった気持ちの現れである可能性もあります。他にも、優しい雰囲気の女性や柔らかくて上品な女性に憧れていたりしませんか?■ 3:明るさの「イエロー」明るさや遊び心を表すイエロー。この色をネイルに選ぶという人は刺激を求めているのかもしれません。いつもよりも好奇心が旺盛になっていたり、新しいことを始めたいという気持ちになっていることを表しています。彼との関係も少しマンネリ気味になっていて、刺激が欲しいと思っていたりしませんか?新しい恋を始めたいと思っているのかもしれませんね。遊び心をもって大胆に行動できる能力を身につけたいのかも。■ 4:誠実な「ブルー」誠実で冷静、クールで聡明な印象を表すブルー。この色をネイルに選ぶという人はいつも冷静でクールな人でありたいと思っているのかもしれません。落ち着いた行動を心がけたいというときや落ち着いた大人の恋愛を味わいたいという思いの表れかも。冒険的でいつも後先考えずに行動してしまう恋人のブレーキ役として手に入れたい能力だと思っているのかも。休日はカフェで読書など、落ち着いた時間を愛する傾向が高そうです。パートナーとはそういった時間を共有したいと思っているのではないですか?■ まとめいかがでしたか?今回はネイルから見る手に入れたい能力と恋愛傾向についてご紹介しました。当たっていましたか?イライラしたときに噛んでしまうクセを持つ人がいるように、爪というのは人の心理の現れやすい場所。特にネイルは女性らしく着飾りたいときにするものですよね。恋愛をするうえでどんな性格を演出したいか、どんな能力を手に入れたいかが現れるというわけです。ぜひ参考にしてみてください。(草薙つむぐ/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2019年02月12日「頭がいいのに、空気が読めない」「高学歴なのに、なかなか就職先が決まらない」——そんな大人が周りにいませんか?もしかしたら彼らは、IQが高くてもEQが低いのかもしれません。EQとは、IQと並び能力を示す指標のひとつで、「心の知能指数」とも呼ばれているものです。そんなEQの育成には、幼少期の親の「愛」が不可欠といわれています。では、親はどんなことを心がければいいのでしょうか。EQとは何か、なぜ「愛」が必要なのかを踏まえ、ご紹介していきたいと思います。学びのモチベーションを左右するEQEQは比較的新しい概念で、注目度は高いものの、その定義はまだはっきりしていません。現時点で、EQ研究者が提唱していることは、EQの高い人は自分の感情を上手にコントロールできるということです。EQの高い人は、「明るい」「嬉しい」「楽しい」「意欲」「安らぎ」「やる気」といった、前向きかつ積極的な感情を生み出すことができるといわれています。それらの感情は、前向きな思考、前向きな行動を引き起こすことにつながります。例えば、仕事で失敗してしまったとき、「次はこうしよう」と改善策を考えたり、「もう1回やってみよう」とチャレンジしたりできるのがこのタイプ。逆に、「もうだめだ」とすぐに諦めたり、「こんな仕事を任せるほうが悪い」と他人のせいにしたりしてしまう人は、EQが低いのかもしれません。こうしたことは、子どもにも当てはまります。テストで実力が発揮できなかったとき、「次は頑張ろう」と思えるか、「もう嫌だ」となってしまうか……。EQの高さにより、その後の学びに対するモチベーションが180度変わる可能性があるのです。EQ向上のポイントは「幼少期」と「親」EQは、「非認知能力」のひとつといわれています。非認知能力とは、IQなどの数値化できる能力ではなく、内面的な能力のことです。今、こうした能力が日本で注目されており、2018年4月施行の学習指導要領では、資質・能力の3つの柱のひとつ、「学びに向かう力・人間性等」に位置づけられています。では、いつどうすれば健やかな非認知能力を身につけられるのでしょうか。教育経済学の研究者ジェームズ・ヘックマンさんは、幼少期が勝負だといいます。ヘックマンさんの主張は大きく2つです。ひとつは、子どもの教育に国が公共政策としてお金を使うなら、就学前の乳幼児期がとても効果的だということ。もうひとつは、幼少期に非認知的な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながるということです。(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?)非認知能力の育成には、親の接し方が大きく影響するといわれてます。具体的には、親は何をすればいいのでしょうか。教育学・育児学を専門とする白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「無条件の愛を与えてあげること」といいます。無条件で愛されている、いつだって助けてくれるという基本的な信頼感と安心感を育てることです。(中略)この安心感と、親に見守られてやりたいことをやる中で、非認知能力の基礎ができていきます。(引用元:はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!)つまり、自分の子どものEQを高めたいと思うなら、まずは幼少期からたっぷり愛情を伝え、「信頼感」と「安心感」という土台を築かなければならないのです。EQを高める親の愛情表現2つ「もちろん、子どものことは愛している。でも、どうやって愛情表現をしたらいいかわからない」という親御さんもいるでしょう。意識せずとも自然に愛情を伝えられる人は、決して多くはありません。そこで、簡単にできて子どもに伝わりやすい愛情表現の方法を2つご紹介します。■言葉で伝える親から子どもへの愛情は、「わざわざ口に出して言わなくても伝わっている」と思われがちです。しかし、子ども本人からすれば、本当に愛されているのか、疑問に思ったり不安になったりすることもあります。親が忙しそうに夕食の準備をしているとき、「ママはなんだか僕の話を聞いていないみたい。もう僕のことを好きじゃないのかな……」と考えてしまうなど、子どもの心はとても繊細なのです。ですから、日常的に言葉で伝える習慣を身につけておくとよいでしょう。例えば、朝起きたときに、「今日も大好きだよ」と言うようにしたり、親子愛をテーマにした絵本を読み聞かせながら、「ママも○○ちゃんのことをとても大切に思っているよ」と言ってみたり。日々の何気ないひとときに、さりげなく言うくせをつけるといいのではないでしょうか。子どもの年齢によっては、照れくさそうにするかもしれません。でも内心はとても嬉しいのです。子どもにしっかり伝わるように、愛情は「言葉」でたくさん伝えてあげてください。■スキンシップをはかるスキンシップは、愛情を伝える重要な一手段です。親であれば、子どもが小さい頃から、意識せずとも抱っこしたり、ほっぺにキスしたりしてきたかと思います。ただ、子どもの成長とともに、その機会が減ってきているという方もいるかもしれません。なかには、子どもが嫌がることもあるでしょう。その場合は、無理にベタベタする必要はありません。スキンシップにはさまざまなやり方があります。例えば、「遊びながらコショコショくすぐってみる」「褒めるときに頭を撫でる」「嬉しいことがあったらハイタッチをする」「おでこに触れて熱を測る」などといったさりげない行動も、スキンシップのひとつです。また、子どもと話をするとき、意識的に手を握ることで心を通わせることもできます。「△△って言われたお友だちはどんな気持ちになったかな?〇〇ちゃんがそう言われたらどんな気持ちがすると思う?」など、大切なことを子どもに言い聞かせるときは手を握ってみましょう。また、子どもから話を聞き出したいときも、しっかり手を握って話を聞いてみてください。言いにくいことであっても、少しずつ話してくれるかもしれませんよ。***子どもに自分の気持ちを伝えたり、子どもを思いきり抱きしめたり——親から子どもへ愛情表現することで、子どもだけでなく親自身も癒されたり、安心したりできるはずです。であれば、EQを高めるという目的がなくとも、日常的に行なっていきたいと思いませんか?そうして積み重ねられた親の愛情は、結果的に子どものEQを高め、前向きで豊かな人生につなげられるのではないでしょうか。(参考)高山直著(2003),『EQ こころの鍛え方』,東洋経済新報社.すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!All About暮らし|育て直しは何歳からでもできる効果的に伝わる子どもの愛し方絵本ナビ|親の愛情表現は子どもを世界一しあわせにする!『パパと ママの たからもの』PHPファミリー|親子のスキンシップが、かしこい脳をつくる!
2019年02月05日