まもなく公開となる『愛する人』でナオミ・ワッツが演じるのは、母の愛を知らずに育ち、思いもよらぬ妊娠を契機に37年間会っていない母に思いをめぐらせるエリザベス。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞で主演女優賞候補に名を連ねた『21グラム』をはじめ、ナオミ・ワッツにとって“母”を演じるのは未知の領域ではない。だが、本作は、彼女が実際に妊娠している最中に撮影が行われ、実際に彼女は妊娠中のお腹を堂々と披露し、妊婦の役を演じているのである。映像的な面でのリアリティのみならず、心境の上でも、妊娠、出産という経験は彼女に何を与えたのか?作品に込めた思いと共に彼女が語ってくれた。37年前、産まれたばかりの我が子を手放し、いまは老いた母親の介護をしながら多忙な日々を送るカレンと、親の顔を知らず、愛を信じずに大人になったエリザベス。ナオミが最初に強く惹かれたのはエリザベスではなく、アネット・ベニングが演じているカレンの方だったとか。出演の経緯と共にこう説明する。「『21グラム』を一緒にやった友人のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥから『僕は監督しないけど、プロデュースするから』とこの映画の話を聞いたの。『僕の親友のロドリゴ・ガルシアが脚本を書いて監督する』と言われ、すぐに興味を持ったわ。ロドリゴは女性の描き方が上手だと知っていたから。そしてすぐに脚本を読んだ。読んですぐに気に入ったわ。でも、最初は彼に『カレンの役をやりたい』と言ったの。彼らは少しの間、真剣に考えようとしてくれたけれど、娘の役(=エリザベス)もキャリアを持つ女性として人生のある時期に来ている女性という役どころだったし、何より私の年齢はカレンをやるには若すぎたの。エリザベスの役も気に入ったわ。私が惹かれたカレンよりもユーモアがあって多才。自分の人生の全てを完全にコントロールしようとする、彼女のそんなところも気に入ったし、彼女の痛みが理解できたわ」。撮影のスケジュールが当初の予定より遅れることになるが、監督はナオミの出産と、その後の復帰まで待つことを決意。その中で妊婦としてのシーンを、作り物のお腹ではなく、実際の彼女で撮影することになったという。だが、大きなお腹を抱えての撮影はかなりハードだったのでは?「そうね、でも妊婦として撮影したのは1日だけだから大丈夫だったわ。そうは言っても、その後、授乳中の時期に撮影のために仕事に戻ったのは大変だったわ。子供ができると人によっては半年産休を取る人もいるけれど、私は子供が産まれて8週間で仕事に戻ったの。全体の撮影日数は覚えていないけれど、私の撮影は10日間だった。低予算だからゆっくり撮影していられなかったし、デジタルカメラで撮影し大きな照明セットもなかったから、すべてが早かったの」。では、実際に出産を経験して感じる自身の変化は?「例えば良い仕事があったとしても、撮影がどこで、どれくらいの期間で行われて、家族のライフスタイルに合致するか?とまず自問自答するようになったわね。仕事に出かけても、家に帰ったらしたら仕事は終わり。昔は翌日の撮影で何が必要か?その日はうまくできたか?とかを夜通し悶々と悩んだりしたけれど、いまは、家のドアを開けて子供の顔を見た瞬間に仕事から離れているの。この仕事のラッキーなところは、休止期間が多いことね」。さらにナオミは女優としての変化について、こう続ける。「母親役を演じるときの共鳴具合は変わったわね。『21グラム』のクリスティーナ役をやったとき、私の道具は想像力だけだった。そのときは良かったと思うけれど、母親としての思考回路や、母親としての日常のディテールとか、いまはもっと理解できるし、それを役柄に活かすことができる。例えば『フェアゲーム』に、どこにでもあるような家庭の朝のシーンがあるんだけど、トーストを食べながら何かを忘れてしまったり、子供は呼んでるしっていう状況は、一般的に複数の子供がいる家庭の混乱した状態よね。母親になったからこそ、そういうことも理解できるようになったわ」。本作では母と娘の関係――その難しさがしっかりと描かれている。「母親と娘の関係はとても複雑なのもだと思う。多分、女性の人生の中で、一番影響力の大きい人間関係だと思うわ。自分と母親の関係も、少女から女性になる過程で、一度辛いものになった時期もあったしね。良い関係が築けるようになったのは、私が親になってから。私が親のことを理解できるようになったということもあるし、彼女が祖母の役割を楽しんでいるというのも大きいでしょうね」。まさに体を張って、自らの全てを注ぎ込んで作り上げた本作はもちろん、今後、“母親”という経験が彼女のキャリアにどのような影響を与え、どんな変化をもたらすのかも楽しみだ。■関連作品:愛する人 2011年1月15日よりBunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ シャンテシネほか全国にて公開© 2009, Mother and Child Productions, LLC■関連記事:母と娘の感動の物語『愛する人』試写会に10組20名様ご招待母は強し!ナオミ・ワッツ『愛する人』劇中で“リアル”妊婦姿を披露ママを応援!『愛する人』ベビーシッター付き試写&母子手帳入れなどママコラボ実施お母さんもゆっくり映画が楽しめる!『愛する人』ベビーシッター付き試写会に5組10名様ご招待ナオミ・ワッツ主演『愛する人』女性限定独占試写会に50組100名様ご招待
2011年01月14日アカデミー賞前哨戦の数々の映画賞の中でも注目度の高い第68回ゴールデン・グローブ賞の候補作と俳優が15日、発表された。最多ノミネート作はコリン・ファース主演の『英国王のスピーチ』で7部門(作品賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、作曲賞)、続いてデヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』が6部門(作品賞、主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、作曲賞)、マーク・ウォールバーグ主演の『The Fighter』(原題)が5部門6ノミネート(作品賞、主演男優賞、助演女優賞2人、助演男優賞、監督賞)で候補に挙げられた。ドラマ部門作品賞候補は上記3本のほかに、ナタリー・ポートマンが主役のプレッシャーに苦しむバレリーナに扮する『ブラック・スワン』と、今夏、日本でも大ヒットした『インセプション』。ミュージカル・コメディ部門作品賞は『アリス・イン・ワンダーランド』、『バーレスク』、『キッズ・オールライト』、『RED/レッド』、『ツーリスト』が選ばれた。気になる俳優賞のノミネートでは、ジョニー・デップが『アリス・イン・ワンダーランド』、『ツーリスト』の2本でミュージカル・コメディ部門の主演男優賞にダブルノミネートされている。ハリウッド外国人映画記者協会の投票で決まるゴールデン・グローブ賞授賞式は年明けの2011年1月16日にロサンゼルスで開催される。そのほかの主なノミネーションは下記の通り。<ドラマ部門>最優秀主演女優賞ハル・ベリー『Frankie and Alice』(原題)ニコール・キッドマン『Rabbit Hole』(原題)ジェニファー・ローレンス『Winter’s Bone』(原題)ナタリー・ポートマン『ブラック・スワン』ミシェル・ウィリアムズ『Blue Valentine』(原題)最優秀主演男優賞ジェシー・アイゼンバーグ『ソーシャル・ネットワーク』コリン・ファース『英国王のスピーチ』ジェームズ・フランコ『127 Hours』(原題)ライアン・ゴズリング『Blue Valentine』(原題)マーク・ウォールバーグ『The Fighter』(原題)<ミュージカル・コメディ部門>最優秀主演女優賞アネット・ベニング『キッズ・オールライト』アン・ハサウェイ『Love and Other Drugs』(原題)アンジェリーナ・ジョリー『ツーリスト』ジュリアン・ムーア『キッズ・オールライト』エマ・ストーン『Easy A』(原題)最優秀主演男優賞ジョニー・デップ『アリス・イン・ワンダーランド』ジョニー・デップ『ツーリスト』ポール・ジアマッティ『Barney’s Version』(原題)ジェイク・ギレンホール『Love and Other Drugs』(原題)ケヴィン・スペイシー『Casino Jack』(原題)最優秀助演女優賞エイミー・アダムス『The Fighter』(原題)ヘレナ・ボナム=カーター『英国王のスピーチ』ミラ・クニス『ブラック・スワン』メリッサ・レオ『The Fighter』(原題)ジャッキー・ウィーヴァー『Animal Kingdom』(原題)最優秀助演男優賞クリスチャン・ベイル『The Fighter』(原題)マイケル・ダグラス『ウォール・ストリート』アンドリュー・ガーフィールド『ソーシャル・ネットワーク』ジェレミー・レナー『ザ・タウン』ジェフリー・ラッシュ『英国王のスピーチ』最優秀監督賞ダーレン・アロノフスキー『ブラック・スワン』デヴィッド・フィンチャー『ソーシャル・ネットワーク』トム・フーパー『英国王のスピーチ』クリストファー・ノーラン『インセプション』デヴィッド・O・ラッセル『The Fighter』(原題)最優秀脚本賞ダニー・ボイル、サイモン・ボーフォイ『127 Hours』(原題)リサ・チョロデンコ、スチュアート・ブルムバーグ『キッズ・オールライト』クリストファー・ノーラン『インセプション』デヴィッド・サイドラー『英国王のスピーチ』アーロン・ソーキン『ソーシャル・ネットワーク』最優秀作曲賞アレクサンドル・デスプラ『英国王のスピーチ』ダニー・エルフマン『アリス・イン・ワンダーランド』A・R・ラフマーン『127 Hours』(原題)トレント・レズナー、アッティカス・ロス『ソーシャル・ネットワーク』ハンス・ジマー『インセプション』最優秀アニメーション賞『怪盗グルーの月泥棒 3D』『ヒックとドラゴン』『イリュージョニスト』『塔の上のラプンツェル』『トイ・ストーリー3』最優秀外国語作品賞『BIUTIFUL』スペイン/メキシコ『オーケストラ!』フランス『THE EDGE』(英題)ロシア『I AM LOVE』(英題)イタリア『IN A BETTER WORLD』(英題)デンマーク(text:Yuki Tominaga)■関連作品:オーケストラ! 2010年4月17日よりBunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開© 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved第68回ゴールデン・グローブ賞 [アワード]英国王のスピーチ 2011年春、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開© 2010 See-Saw Films. All rights reserved.ソーシャル・ネットワーク 2011年1月15日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.ブラック・スワン 2011年春、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2010 Twentieth Century Fox.インセプション 2010年7月23日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reservedアリス・イン・ワンダーランド 2010年4月17日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.バーレスク 2010年12月18日より丸の内ルーブルほか全国にて公開キッズ・オールライト 2011年GW、渋谷シネクイントほか全国にて公開RED/レッド 2011年1月29日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Summit Entertainment, LLC. All Right Reserved.ツーリスト 2011年3月11日より日劇3ほか全国にて公開ザ・タウン 2011年2月5日より丸の内ルーブル、新宿ピカデリー ほか全国にて公開© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES怪盗グルーの月泥棒 3D 2010年10月29日よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVEDヒックとドラゴン 2010年8月7日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved. イリュージョニスト 2011年春、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© 2010 Django Films Illusionist Ltd / Cine B / France 3 Cinema tout droits reserves塔の上のラプンツェル 2011年3月12日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.トイ・ストーリー3 2010年7月10日より全国にて公開© DISNEY/PIXAR■関連記事:マツコ・デラックスvsおすぎとピーコの毒舌ガチンコ対決実現!結末は…?『ナルニア』新作がアンジー&ジョニーを抑え1位発進!『ラプンツェル』は億超え伝説のドラゴンはいる?いない?『ヒックとドラゴン』DVD特典映像が到着!【ハリウッドより愛をこめて】新スパイダーマン撮影開始!豪華共演陣も続々決定デ・ニーロやビノシュらが、石打ち死刑宣告を受けたイラン女性釈放を訴える書簡に署名
2010年12月15日25日、第14回ハリウッド・アワード・ガラの授賞式がビバリーヒルズのビバリー・ヒルトン・ホテルで開催され、華やかな顔ぶれのハリウッド・スターが集結した。功労賞を受賞したのは、アクション・スター総結集の『エクスペンダブルズ』で監督・主演を果たしたシルヴェスター・スタローン。同作に出演したブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事も授賞式に駆けつけた。主演賞は女優がアネット・ベニング、男優はロバート・デュヴァルという息の長いキャリアを誇る実力派に、助演賞は女優がヘレナ・ボナム=カーター、男優がサム・ロックウェル、とこちらも通好みの人選。新人賞は女優が『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカ、男優が『ソーシャル・ネットワーク』のアンドリュー・ガーフィールド。『ソーシャル・ネットワーク』はアンサンブル・キャスト賞にも輝いた。そして、ショーン・ペンが人道賞を受賞。当日はハル・ベリーやジョディ・フォスター、ヒラリー・スワンクといったオスカー女優から、ジェシー・アイゼンバーグ、キャリー・マリガン、「ゴシップガール」のレイトン・ミースターまで、あらゆる世代のハリウッドが一堂に会する授賞式となった。(text:Yuki Tominaga)写真はキャリー・マリガン。プレゼンターとして出席し、『わたしを離さないで』で共演したアンドリュー・ガーフィールドに賞を手渡した。© AFLO■関連作品:ゴシップガール [海外TVドラマ]TM & © Warner Bros. Entertainment Incソーシャル・ネットワーク 2011年1月15日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.アリス・イン・ワンダーランド 2010年4月17日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.エクスペンダブルズ 2010年10月16日より全国にて公開© 2010 ALTA VISTA PRODUCTIONS, INC■関連記事:【TIFFレポート】創設者自ら試写会主催し鑑賞『ソーシャル・ネットワーク』会見バカが飛び出す!『ジャッカス3D』が『ソーシャル・ネットワーク』抑え全米1位獲得「ゴシップガール」のイケメン、チャック緊急登場(?)にファン大熱狂ブルース・ウィリス主演作の晴れ舞台に盟友スタローン&J・フォスターも登場映画のヒロインに変身!「TIFF」ヘアデザインショーモデル体験に1名様ご招待
2010年10月27日来年3月の第82回アカデミー賞授賞式を前に、同賞の名誉賞授賞式「ガヴァナー・アワード」が14日、ハリウッド&ハイランドのグランド・ボールルームにて開催され、往年のフィルム・ノワールのヒロインとして名を馳せ、いまも活躍中のローレン・バコールらが受賞した。85歳のバコールは『マンハッタン・ラプソディ』で助演女優賞候補になった経験はあるが、オスカー受賞はこれが初めて。デビュー作『脱出』で共演し、後に結婚した故ハンフリー・ボガートについて、「わたしに命を吹き込み、人生を変えてくれた」と話した。この日はボガートとの間にもうけた息子であるスティーヴン・ボガートと、死別後に結婚した元夫の故ジェイソン・ロバーズの息子・サムも母親に付き添って来場していた。ほかに、低予算のB級映画の帝王として知られ、最近はジェイソン・ステイサム主演の『デス・レース』などを手がけるプロデューサー、監督のロジャー・コーマン、『ゴッドファーザー』シリーズや『アニー・ホール』から『カイロの紫のバラ』までのウディ・アレン作品などの撮影を担当したゴードン・ウィリスが名誉賞を受賞した。トム・ハンクス、ジャック・ニコルソン、ウォーレン・ベイティ&アネット・ベニング夫妻、モーガン・フリーマン、スティーヴン・スピルバーグといった錚々たる顔ぶれが600人ほど招待された。例年はアカデミー賞授賞式中に発表される名誉賞が、授賞式本番前に授与されるのは初めてだが、TV生中継もないせいか、会場はリラックス・ムードだったという。(text:Yuki Tominaga)授賞式での一幕。ウォーレン・ベイティやスピルバーグ、ジョージ・ルーカスなど錚々たるメンバーと壇上に立つトム・ハンクス。© Reuters/AFLO■関連作品:デス・レース 2008年11月29日より有楽座ほか全国にて公開© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:意外と運転上手?「デートでも自分が運転したい」アッキーナが車で行きたいのは?バブルの時代再来?ブラザー・コーン「サザン活動休止のいまが復活のチャンス」いま、“死”が爆走する!『デス・レース』試写会に5組10名様をご招待バブルガム・ブラザーズ、コンビ“復活”宣言「一緒にデス・レース戦っていきたい」GTFトーキョーシネマショー2008『デス・レース』試写会に10組20名様をご招待
2009年11月17日