hideの命日にあたる5月2日(月) に神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで開催されたトリビュートライブ『hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!"』のオフィシャルレポートが到着した。X JAPANのギタリスト、ソロアーティストとして音楽シーンに多大なる影響を与え続けるアーティストhide(ヒデ)。1998年に惜しまれつつ永眠、2022年5月2日(月)に、24年目のhide Memorial Dayを迎えた。ここ最近はコロナ禍のため、ファンが楽しみにしているhideの恒例イベントも、配信での開催が続いていた。しかし、今回は、約2年半ぶりとなる有観客ライヴ!パシフィコ横浜国立大ホールで、多くのファンとゆかりのあるアーティストが集まって、華々しく『hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!"』が開催された。タイトルの『Sing along Live "Hi-Ho!"』とは、同じ空間に集まったアーティストやオーディエンスが、今もなお色褪せることなく愛され続けるhideの名曲を、ライヴ演奏と歌声(アーティスト)、ハート(オーディエンス)で歌うライヴイベントのこと。人前で大声を出すことがためらわれるコロナ禍において、新しいライヴの方法論として、以前からhideのイベントでは提唱されている。こんなところにも、常にマイナスをプラスに変えるために次々と斬新なアイデアを思いつき実行してきたhideのスピリッツを感じることができる。会場では、ライヴが始まる前から、桃知みなみがDJで観客を盛り上げている。続いて、OPENINGの映像上映。hideが生誕してからの生い立ちや、歴代続けられてきたhideメモリアルプロジェクトの懐かしい写真の数々を見ながら、ライヴへの期待がどんどん膨らんでいく。桃知みなみ Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)映像が終わると、いよいよライヴの始まりである。defspiralが爆音で「PSYCHOMMUNITY」を演奏し、イベントのスタートを告げる。広いステージには、バックにスクリーンが3つ。真ん中のスクリーンにはhide、左右の2つにステージ上のアーティストが映し出される。hideと出演アーティストが、時空を超えて共演できるという仕掛けである。defspiral Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)まずトップバッターとして、hideのイベントには欠かすことのできない3人のヴォーカリストが登場し、「Beauty & Stupid」を熱唱。CUTT(SPEED OF LIGHTS / shame)、TAKA(defspiral)、木村世治(ZEPPET STORE)である。左からCUTT(SPEED OF LIGHTS / shame)、TAKA(defspiral)、木村世治(ZEPPET STORE) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)歌い終わると、3人がそれぞれ自己紹介。「今日のイベントでたくさんの曲を演奏させていただきますわたくしのバンドdefspiralです」と、この日は大活躍だったdefspiralのMASATO(Guitar)とRYO(Bass)、そしてこの日サポートドラムをつとめる和樹も紹介される。さらに、『Sing along Live "Hi-Ho!"』の説明もあり、この日のライヴの主旨が観客に伝えられた。YOSHIKI「みんなの想い、僕の想いをhideに届けよう」そして、早くもイベントのハイライト。前日、急遽ライヴ出演が発表になったYOSHIKI(X JAPAN)が、スマホでステージや客席を撮影しながらステージに登場した。白いロングジャケットに身を包んだYOSHIKIは、英語と日本語を織り交ぜながら「24年間、みんながこうして応援してくれて、hideも喜んでると思う。短い時間だけど、みんなの想い、僕の想いをhideに届けよう」と、観客に語りかける。しかし、返事がないことに気がつくと、「声を出しちゃいけないんだ?だったら、スマホの灯りをつけて」といい、「紅」のメロディをピアノで奏で始めた。YOSHIKI(X JAPAN) Photo by 笠井 銑衣智音にあわせて、無言で光の灯ったスマホを振る観客。続く「HURRY GO ROUND」では、YOSHIKIのピアノにあわせて、hideの歌声が響く。歌詞がスクリーンに映し出され、きっと観客も心の中で大合唱していたに違いない。演奏が終わると、「また会おうね」と名残惜しそうに何度も手を振りながら袖に向かい、最後に深々と客席にお辞儀をしてYOSHIKIはステージをおりた。Photo by 宮脇 進続いて、GRANRODEOのKISHOWとe-ZUKAが登場。defspiralの3人を従えて、「TELL ME」「BACTERIA」の2曲をプレイ。KISHOWはマイクスタンドを回しながら歌い、e-ZUKAはhideのギターとユニゾンしているようなプレイを笑顔で披露していた。GRANRODEO Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「50% & 50%」のハードなイントロと共に登場したのは、CUTT。最初に「50% & 50%」のハンドサインをお客さんに説明して、演奏が始まった。お客さんと一緒に楽しもうとするCUTTのサービス精神で、会場はさらにヒートアップ。間奏で「MASATO先生!」と紹介されたMASATOがスリリングなギターソロを披露し、歌うCUTTもとても楽しそうだ。CUTT Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)ドキッとする「うそつき」というイントロの一言のあと、重いビートが炸裂して、「DOUBT」の演奏が始まる。hideのダークサイドな世界観を、TAKAがハードに表現。エッジの効いた音と歌声が、会場に炸裂する。暗いステージ+赤い照明と、スクリーンの中と実際のステージの照明をリンクさせているのが印象的だ。TAKA Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)続いて、木村世治が「FLAME」を歌い始めると、ステージの上の空気が一変する。ZEPPET STOREからインスピレーションを得てhideが作ったというこの曲を、ZEPPET STOREの木村が情感たっぷりに歌いあげる。木村世治 Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)ピンクのヘアに黒いマスクの松岡充(SOPHIA)が歌うのは、「ROCKET DIVE」。黒にイエローラインのパーカーというスクリーンのhideと同じ衣装に身を包み、まるで3つのスクリーンに3人のhideがいるようだ。間奏終わりで、ステージから飛び降り、会場を走り回る動きもhideを彷彿させ、会場の隅々まで盛り上げていた。松岡充(SOPHIA) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)Ryuji、HAKUEI(PENICILLIN)の2人から成るバンドプロジェクトThe Brow Beatは、「DICE」「ピンク スパイダー」を妖艶に披露。タイプの違う2人のヴォーカルが豪華絢爛な打ち掛けを羽織り、迫力いっぱいに激しくも退廃的な世界を表現した。The Brow Beat Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)The Brow Beat Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)ここで、15分の休憩・換気タイム。この時間を使って、会場内にブース出展として参加した「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」「Team-K」「NPO法人若者メンタルサポート協会」のメンバーが、ステージから活動の告知。ブースでは募金活動や援助資金のための書損じハガキ回収、ボランティアグッズ販売など、こんなところにも、社会貢献運動に積極的に参加していたhideのスピリッツが受け継がれていることを感じられる。続いて、CUTT、西崎ゴウシ伝説(Calmera)、ゲッターズ飯田、チャンス大城によるSpecial Talkが始まった。自らhideの大ファンであることを公表しており、普段からhideのマニアックな話をしているというCUTTと西崎ゴウシ伝説は、コロナ以前には2人でトークショーをやっていたこともあったという。高校生時代にXのコピーバンドをしていたチャンス大城は、芸人として挫折した時に「ROCKET DIVE」を聞き再び夢に向かってチャレンジすることを決めたと熱く語る。ゲッターズ飯田はhideの性格や運気を占い、「今年の夏は非常にいいので、映画もきっといいでしょう」と嬉しい報告をしてくれた。左からCUTT、チャンス大城、ゲッターズ飯田、西崎ゴウシ伝説(Calmera) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)笑顔の中オールキャストで披露された「Hi-Ho」ライヴのインターミッション的な4人のトークが終わるとステージにCUTTが1人残り、「音楽に戻しましょう。わたくしの仲間を呼びたいと思います」といって、TAKAと木村世治をステージに呼び込む。「こんなコーナーもあっていいんじゃないかと思って、アコースティックをやりたいと思います」と言い、演奏が始まったのは、「LEMONed I Scream」。木村がギターを弾き、3人がそれぞれのスタイルで想いをこめて歌う。ラストでは、スクリーンに映るhideそしてhideバンドのメンバーと一緒にボックスステップも披露し、ほのぼのとした雰囲気を醸し出していた。hideと同じ迷彩色のパーカーを着て、「横浜、遊ぼうぜ!」と登場したのは柩(NIGHTMARE)。ソロ活動でヴォーカルをとる時もギターは必ず持っている彼が、この日はギターを持たずに「BACTERIA」を熱唱。「まだまだいけますか、横浜!」と客席をあおり、ラストは「hideさん、サイコー!ありがとうございました」と敬愛するhideへの想いを爆発させていた。柩(NIGHTMARE) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「はじめまして、JUONです」と挨拶し、ギターを持って「ROCKET DIVE」を歌ったのはJUON。ミュージシャンとしてのキャリアは長い彼が、2022年7月8日(金) に全国上映が決定した映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』ではhide役を演じている。hideファンの前で初めて演奏することは相当なプレッシャーもあったと思うが、ステージの端まで行ってお客さんをあおったり、MASATOとRYOと3人並んで演奏したりと、伸び伸びとプレイしている。ラストは、「We love hide!」とシャウトし、観客から大きな拍手を浴びていた。JUON Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)袖から楽しそうにスキップしながら出てきた綾小路 翔(氣志團)が歌うのは、「ever free」。観客の盛り上げ方はさすがで、本人が楽しみながら歌っていることが伝わってくる。曲が終わってからも、「こんばんはー。アクアラインを超えて、ハマにやってきました。俺とhideさんの共通点は、千葉の伝説ジャガーさん(日本のロックスター、とくに千葉県を中心に活躍し絶大なる人気を誇る)の知り合いということです」と、巧みな話術で会場を盛り上げていた。綾小路 翔(氣志團) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)hideが海外ミュージシャンと結成したバンドzilchの楽曲「ELECTRIC CUCUMBER」のPVが流れて、センターマイクの前にJ(LUNA SEA)がベースを持って立っている。hideはもちろん、zilchのメンバーとも親しいJだからこそ表現できる「ELECTRIC CUCUMBER」の力強い歌声と演奏である。J(LUNA SEA) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「みんな、盛り上がってるかー?ここから見る景色は、本当にすごいね。俺たちLUNA SEAは、hide兄に本当に世話になった。どれだけ時間がたっても、変わらないものがあるって、お前ら、ここで証明しないか?hide兄は、派手なことが大好きだった。きっと、今日は喜んでいると思うよ」。まるでhideに話しかけているようなMCである。「力強い助っ人を、呼びたい」といって、Jが呼び込んだのはTAKA。「11年前(TAKAと共演して)ロックミュージカルをやった。サイコーだった。あの曲、いこうぜ」といって演奏が始まったのは、「ピンク スパイダー」である。JとTAKAが交互に歌い、defspiralが演奏するというスタイルに、ミュージカル「ピンク スパイダー」の舞台を思い出した人もいたことだろう。左からJ(LUNA SEA)、TAKA(defspiral) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「たくさんの曲を心の中で歌ってきたと思いますが、次の曲はhideさんと一緒に心の中で歌ってください」というMCで、MASATOがアコギを弾き始めた曲は「GOOD BYE」。真ん中のスクリーンには歌詞が出ていて、観客が心の中で「Sing along」できるコーナーである。TAKAがhideの有名なMC「遊び足りねーよー!」を叫び、いよいよライヴもクライマックス。「いよいよこの方の登場です」との声で、上手から登場したのは言わずと知れたhideの盟友PATA(X JAPAN / Ra:IN)。ひずんだノイズをハウリングさせて、印象的な「CELEBRATION」のイントロフレーズが響き渡る。PATAが黒いレスポールを弾き、CUTT、木村、TAKAがエネルギッシュにステージ上を動きながら歌う。左から木村世治、PATA(X JAPAN / Ra:IN) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「すごい一日だね、hideさんがいて、YOSHIKIさんがいて、PATAさんが来てくれて。やっとだね、有観客。2年半ぶり」としみじみと語る木村。観客を目の前にして、ステージ上のアーティストは誰もが本当に嬉しそうな表情である。そして、PATAがギターをゴールドのレスポールに持ち替えて、「MISERY」が演奏された。PATA(X JAPAN / Ra:IN) Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)「皆さん、楽しんでますか?最後は、スペシャルゲストのみなさんを呼び込みたいと思います」のMCにあわせて、この日ステージを彩ってくれたアーティストが名前を呼ばれて次々と登場。ラストは銀色のテープが客席を舞う中、オールスターキャストで「Hi-Ho」が演奏される。ステージ上のアーティストも、会場の観客も、みんな笑顔、笑顔。ライブ配信の視聴者もそれぞれの場所からhideへの想いを馳せたことだろう。全国から3000人以上のファンが集まった3時間に及ぶステージは、ハッピーオーラ全開で、幕を閉じた。「また会いましょう!」Photo by 上野宏幸 (株式会社LINKSOLU)次は、今年の夏に公開予定の映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』である。この日もライヴの休憩時間中などスクリーンで何回か予告編が流れていたが、約1分の短い予告編を見るだけでも楽しみが爆発しそうである。Text by 大島暁美<イベント情報>hide Memorial Day 2022 Sing along Live "Hi-Ho!"5月2日(月) 神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールセットリストM1. PSYCHOMMUNITY / defspiralM2. Beauty & Stupid / 木村世治(ZEPPET STORE)・TAKA(defspiral)・CUTT(SPEED OF LIGHTS / shame)M3. HURRY GO ROUND / YOSHIKI(X JAPAN)※hide本人のVocalと同期演奏M4. TELL ME / GRANRODEOM5. BACTERIA / GRANRODEOM6. 50% & 50% / CUTTM7. DOUBT / TAKAM8. FLAME / 木村世治M9. ROCKET DIVE / 松岡充(SOPHIA)M10. DICE / The Brow BeatM11. ピンク スパイダー / The Brow Beat※Special Talk / CUTT、西崎ゴウシ伝説(Calmera)、ゲッターズ飯田、チャンス大城M12. LEMONed I Scream / 木村世治・TAKA・CUTTM13. BACTERIA / 柩(NIGHTMARE)M14. ROCKET DIVE / JUONM15. ever free / 綾小路 翔(氣志團)M16. ELECTRIC CUCUMBER / J (LUNA SEA)M17. ピンク スパイダー / J (LUNA SEA) & TAKAM18. GOOD BYE/ defspiral ※hide本人のVocalと同期演奏M19. CELEBRATION / PATA(X JAPAN / Ra:IN)& 木村世治・TAKA・CUTTM20. MISERY / PATA (X JAPAN / Ra:IN)& 木村世治・TAKA・CUTTM21. Hi-Ho / ALL CAST【出演アーティスト】※順不同hideCUTT(SPEED OF LIGHTS / shame) / 木村世治(ZEPPET STORE) / TAKA(defspiral) / defspiral<Special Guest>YOSHIKI(X JAPAN) / J(LUNA SEA) / PATA(X JAPAN / Ra:IN) / 綾小路 翔(氣志團) / 松岡充(SOPHIA) / GRANRODEO / JUON / The Brow Beat / 柩(NIGHTMARE)<Talk Guest>西崎ゴウシ伝説(Calmera) / ゲッターズ飯田 / チャンス大城<DJ>桃知みなみ※5月8日(日) 23:59まで本公演の模様をアーカイブ配信中。詳細はこちら:『hide Memorial Day 2022』特設サイト:『hide Memorial Day 2022』公式Twitter:<映画情報>映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』7月8日(金) 全国ロードショー映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』本ビジュアル (C)2022「TELLME」製作委員会出演:今井翼 / 塚本高史 / JUON / 津田健次郎 ほか映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』本予告映画公式サイト:映画公式Twitter:映画公式Instagram:<展覧会情報>PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 20006月20日(月) まで愛知・金山南ビル(旧名古屋ボストン美術館)で開催中10:00~19:00まで ※最終受付18:30『PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000』キービジュアル (C)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD.【チケット情報】一般:1,600円(税込)中高生:700円(税込)小学生以下:無料(保護者同伴必須)※会場で当日券をご購入の方はピクチャーチケットでのお渡しとなります。ピクチャーチケットは数量限定のため、なくなり次第終了となります。各プレイガイドで販売しているチケットはピクチャーチケット仕様ではございません。『PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000』ピクチャーチケット (C)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD.お問い合わせ:PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000 名古屋製作委員会TEL:052-331-9966(受付10:00~18:00)『PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000』公式サイト
2022年05月04日SOMETIME’Sが自身主催のツーマンライブシリーズ『SOMETIME’S Presents 2022 2man Live Series “League”』を4月16日(土)、Shibuya WWW X公演よりスタートさせた。2022年のSOMETIME’Sはこのライブシリーズを軸に活動していく予定で、現時点では6月17日(金)、8月19日(金)の開催が発表されている。記念すべき第1弾にあたるこの日はYAJICO GIRLをゲストに招いた。まずはYAJICO GIRLのライブからスタート。吉見和起(Gt)、榎本陸(Gt)、武志綜真(Ba)、古谷駿(Ds)がセッションするなか、四方颯人(Vo)もステージに現れ、「どことなく君は誰かに似ている」を1曲目に届けた。幻想的な照明も相まって音の海にトリップした感覚だ。冒頭3曲は最新作『Retrospective EP』からでバンドの最新モードに対する矜持が窺えるが、丁寧なエスコートも欠かさず、ミニマムなところからじわじわと開けていく音像に観客は思い思いに揺れている。演奏するメンバーも気持ちよさそうだ。ステージとフロアで何か共有できている手応えがあったからであろう、MCでの最初の一言は「いや、最高。めちゃ気持ちいい!」で、5人ともリラックスしている様子。この幸福な空気は、言葉数よりも音数を重ね、音楽で以ってコミュニケーションしていったからこそ得られたものだ。また、そのような選択をした点にバンドが大切にしていること、そしてYAJICO GIRLファンのみならずSOMETIME’Sファンも含めた観客への信頼が表れていたように思う。SOMETIME’SとYAJICO GIRLが対バンするのはこの日が初めてだったが、初競演を通じて、互いの音楽の親和性をメンバー自身感じ取れたのではないだろうか。「早いね、ツーマンなのに」「楽しすぎてすぐやわ」という感覚とともに迎えたラストは「Life Goes On」。バンドサウンドは最後の瞬間まで力強さを増していき、四方もそこにファルセットを重ねるなど、エネルギーに満ちた演奏が心に残った。ホストのSOMETIME’Sは、メンバーのSOTA(Vo)、TAKKI(Gt)に、SOMETIME’Sの楽曲の編曲を手掛け“第3のメンバー”として知られる藤田道哉(Manipulator)、そして佐々木恵太郎(Ba)、冨田洋之進(Ds / Omoinotake)、清野雄翔(Key)、大泊久栄(Tp)、永田こーせー(Sax)をサポートに迎えた8名編成でオンステージ。鍵盤の音色をバックにSOTAが豊かに歌い上げるバラード「I Still」でドラマティックに幕を開けた。歌い出しは繊細だが、途中からバンドが合流し、徐々に熱量を上げていく。アウトロに達した頃には弾けるようなアンサンブルが繰り広げられていて、SOTAもTAKKIも楽しげな表情だ。「こーんばーんわー!」と両手を上げて挨拶するSOTAのテンションは高く、「楽しんでちょうだい!よろしく!オーライ!」と観客に投げかける。ブラス隊の奏でるイントロに手拍子が起こり、始まった2曲目「Stand by me」で、バンドメンバーによるソロ回しはもちろん、それを受けてSOTAのボーカルが情熱的になっていくところまで含めて熱い展開だ。その後さらなる盛り上がりをもたらしたのが「Honeys」。転調を華麗に乗りこなすTAKKIのソロが世界を切り拓いていく様もたまらなかった。「まだまだいろいろあるけど、我々には音楽を楽しむ権利がございますので、最大限行使していい時間を作っていきましょう!」(SOTA)との言葉が導いたのは、タイトなビートにTAKKIの細やかなリズムワークが絡む「Get in me」からミラーボール回る「Never let me」へと続くダンスミュージックセクションだ。MCでは、お酒なしでは人と仲良くなるのが苦手だというSOTAが、YAJICO GIRLとまだ距離を縮めきれておらず、楽屋に挨拶に行こうとするも2度引き返したと告白。その他にも、新曲「Somebody」がOPテーマを務めるドラマ『先生のおとりよせ』を観て清野がオイルサーディンを取り寄せたことや、それを一緒に食べるのを楽しみにしていることなどを明かし、場を和ませた。そう。ライブに先駆け、4月8日(金)に新曲「Somebody」がリリースされたのだ。この日の「Somebody」は、「シンデレラストーリー」がもたらした高揚感をさらに引き上げるような形で演奏された。譜割りが細かく、どの楽器も絶えず動き回る構成は耳に楽しく、大胆に音像を変える中盤の展開やその後のギターソロ、ラストの転調もフックとなっている。SOTAとTAKKIによるアウトロでの掛け合いも最高だ。「Somebody」がライブで演奏されるのはこの日が初めてだったにもかかわらず、観客は根こそぎハイになっている。新たなキラーチューン誕生の瞬間を目の当たりにしたのだった。ライブハウスで当たり前に楽しめる世の中になるまで絶対にやめない「KAGERO」をしっとりと演奏し、空気をがらりと塗り替えた頃にはライブもいよいよ終盤だ。MCでは、SOTAが、ライブタイトルにある“League”は“同盟”という意味であり、今SOMETIME’Sは“仲間を見つけていこう”というテンションだと語り、対バン相手だけでなく、スタッフやファンも仲間なのだと強調した。そのうえで続ける。「今の自分たちにとても自信があるんですよ。チームがヤバいくらい良い。今年、自信あります。僕ら間違いなく売れます」と。そんな発言と同じくらい頼もしいサウンドで奏でたのは「Morning」で、本編ラストは「Take a chance on yourself」。SOTAが「聞かせてくれ!」と投げかけると観客が大きな手拍子で応えた。クライマックスでは永田の爆裂プレイにSOTAとTAKKIが笑い、フロアから拍手が起きたが、メンバーはもちろん、サポートメンバーがファインプレーをした時にも拍手を送る観客のテンションが気持ちよく、そんなところからも“チームSOMETIME’S”の姿が感じられた。アンコールでは、TAKKIが「ライブハウスに来るのに緊張しない世の中になればいい」という思いからライブを続けているのだとSOMETIME’Sの姿勢を明言。そして「みんながライブハウスで当たり前に笑って、僕らがライブハウスで当たり前に楽しめる世の中になるまで絶対にやめない。そういう歌を歌って終わりたいと思います」(TAKKI)と「You and I」へと繋げた。ダメ押しのテンポアップとともにドタバタと駆け抜けるラストは、SOMETIME’Sらしく笑顔溢れるものとなった。この日のライブ中に発表された通り、6月17日(金)のShibuya WWW X公演はNakamuraEmiを迎えて開催。また、4月に「Somebody」がリリースされたのと同様、6月、8月のライブに合わせて新曲がリリースされるとのことなので、そちらも楽しみにしていたい。Text:蜂須賀ちなみPhoto:りゅーじ<ライブ情報>SOMETIME’S Presents 2022 2man Live Series “League”6月17日(金) 東京・Shibuya WWWXOPEN18:00 / START18:30ゲスト:Nakamura Emi【チケット情報】前売4,800円(税込・自由)※1ドリンク代別途必要■オフィシャル先行受付期間:4月25日(月) 23:59まで【お問い合わせ】H.I.P.:03-3475-9999<リリース情報>SOMETIME’S「Somebody」Now On Sale※テレビ東京 ドラマ25『先生のおとりよせ』OPテーマ特設サイト:<番組情報>『SOMETIME’Sのアプガリ』毎週月曜19時ごろニッポン放送PODCAST STATION、poddog他、Apple、Spotify、AmazonMusic等各種Podcastアプリで配信中番組URL:番組アドレス:upup@1242.com(mailto:upup@1242.com)SOMETIME’S 各種リンク:
2022年04月25日名古屋から始まり、大阪、札幌、横浜、そして最後の地・福岡。全国5カ所のZeppで開催された『HIGH FIVE 2022』が2月27日(日) にZepp Fukuokaでファイナルを迎えた。“HIGH FIVE”とは、挨拶のように片手を挙げて手のひらをパンっと打ち合わせる仕草のこと。スポーツ選手がナイスプレーをした時や、親しい友人の挨拶など喜びを交わすハイタッチ。というと、このイベントがどんなフィーリングなのか、わかっていただけるだろう。次世代を担うアーティストがヘッドライナーとなり、自分たちが本当に共演したいアーティストと共に作り上げる唯一無二の空間になる。ファイナルでヘッドライナーを務めたのは2018年にメジャーデビューした「Cö shu Nie(コシュニエ)」。彼らがゲストとして声を掛けたのは、ドラマやアニメ、映画など多数の映像音楽を手掛ける作曲家・澤野弘之。映像作品の楽曲を多く手掛けるという共通点を持つ2組のアーティストが独自の世界観を持っての競演となり、この世に一つしかない夜を魅せてくれた。オリジナルアイコンが施されたグランドピアノが設置されたステージに澤野が現れ観客に一礼、続いてSawanoHiroyuki[nZk]プロジェクトに参加しているmizuki(UNIDOTS)が最初のヴォーカリストとして登場。TVアニメ『アルドノア・ゼロ』オープニングテーマ「&Z」からスタート。ポップでありながらもメロディアスな音楽に透明感のある伸びやかなmizukiの声が融合し始めると、会場は壮大な世界観を感じさせる空気に包まれた。続いて『アルドノア・ゼロ』エンディングテーマの「aLIEz」と続く。「かなり久しぶりの福岡です。Cö shu Nieに声を掛けてもらってイベントに参加できることがうれしい」と澤野。mizukiは「Cö shu Nieの二人とは仲が良いので、楽しみにしていました」と語る。イントロが印象的な「e of s」から「A/Z」へ。さすが映像音楽を数多く手掛けてきただけあって、楽曲の奥に物語が見えている気持ちになる。続いて、4月13日に澤野のプロデュースEP「Dignified」でデビューするSennaRinがステージへ。YouTubeでのカバー動画が5,500万回以上の再生回数を記録する、福岡出身20歳の次世代シンガーが「証」「BEEP」を披露。一足先に彼女のライブな歌声が聴けたことに素直に感動してしまう。「私にとっての初ライブです。それを地元・福岡でできることがすごくうれしいです」と少し緊張気味にSennaRinが挨拶をすると「僕も彼女の初ライブをここ福岡で一緒に演奏して迎えることができてよかった」と澤野も安堵した様子。微笑ましい雰囲気を作った。前半の最後に、Cö shu Nieの中村未来がヴォーカルで参加しての「Avid」。オリジナルではmizukiが歌っていたこともあり、この日ならではの特別なコラボが実現した。後半は今回のヘッドライナーであるCö shu Nie。二人がステージに立った瞬間から浮遊感を持ちどこかこの世との距離感をも感じさせる独自のワールドに引き込まれる。「scapegoat」から始まり、「絶体絶命」「永遠のトルテ」「itertia」「iB」など1stフルアルバム『PURE』からの楽曲も多く、この2年ほどライブを体験できなかったストレスを観客と分かち合うように前のめりになってゆく。彼らの楽曲は、映像作品にピッタリだと思えるキャッチーで耳馴染みのよい楽曲が多いと思いきや、「scapegoat」のような突然どっぷりとカオスな世界に引きずり込まれる中毒性の高い音楽も魅力のひとつ。この後3月16日に2ndアルバム『Flos Ex Machina』をリリースし、4月から全国11カ所をまわるツアー『Cö shu Nie TOUR 2022 “Flos Ex Machina”』を控える彼らにとってもファンにとっても改めてCö shu Nieの音楽を体感できる空間になっていた。ベースの松本駿介は「全国で行われた『HIGH FIVE』も福岡でラストです。このイベントの福岡のホストとして声をかけていただいた時、福岡に行けることも対バンができることも大好きだったのでうれしくてウキウキしながら澤野さんにお声かけしたらOKがでて今日は本当に素晴らしい日になりました。最後までよろしくお願いします」と、ウキウキな口ぶり。その後も「inertia」「asphyxia」「bullet」と聴き馴染みのあるタイアップ曲が続き、最後に2ndアルバム『Flos Ex Machina』から「迷路 序章〜本編」で、次のツアーへのバトンを渡して幕をおろした。今年1月15日Zepp Nagoyaから始まった『HIGH FIVE』も、ここ福岡で有終の美を飾った。次世代のアーティストたちが本気で熱望したアーティストとの対バンライブ。コロナ禍で翼が折れそうになっていたエンターテイメントの世界に、“本気で楽しむ” “本気でぶつかる”姿を見せてくれたことで、その本質を再認識させてくれた。さあ、次はどんなアーティストたちの“HIGH FIVE”に出会えるのか期待は大きい。Text by 筒井あやPhoto by 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2022』2022年2月27日(日) Zepp Fukuoka【セットリスト】■澤野弘之01. &Z(mizuki)02. aLIEz(mizuki)03. e of s(mizuki)04. A/Z(mizuki)05. 証(SnnaRin)06. BEEP(SnnaRin)07. FAVE(SnnaRin)cover08. i-mage(SnnaRin)cover09. Avid(中村未来/Cö shu Nie)cover■Cö shu Nie01. scapegoat02. 絶体絶命03. 永遠のトルテ04. inertia05. iB06. asphyxia07. bullet08. SAKURA BURST09. give it back10. 迷路 序章〜本編公式サイト::
2022年04月15日2月23日(水・祝)、横浜・KT ZEPP YOKOHAMAにて、『HIGH FIVE 2022 ~ODOROYO~』が開催され、人気「踊り手」総勢32名が集結した。『HIGH FIVE』は、名古屋、大阪など全国5カ所のZeppで開催されるライブイベントで、ロック、ヒップホップ、様々なジャンルの第一線で活躍するアーティストが登場するもの。横浜公演となる『ODOROYO』は、ある意味で最も個性的なイベントであり、最も“イマ”を反映する内容となったといえるだろう。「踊り手」とは、文字通り踊りを踊る人のこと。2010年代にはニコニコ動画を中心に「踊ってみた」カルチャーが人気となり、近年ではTikTokやYouTubeなどのSNSに手軽に投稿出来ることから、ダンスがグッと身近になったと感じる。特に、ダンスや振りがきっかけで大ヒットとなる楽曲も多い。そして、『ODOROYO』の大きな特徴の一つが、使用されている楽曲たち。初音ミクをはじめとする、ボーカロイド楽曲や、すとぷり、天月 -あまつき-など、ネットカルチャーの中で台頭してきたアーティストたちの曲がメインに使用されている。会場に「シンデレラ」(DECO*27,Rockwell feat. 初音ミク)が流れ、観客のテンションも高まる中、まりん、まなこ、わた、まさと、たまひよ。による「トンデモワンダーズ」(feat.初音ミク+KAITO / sasakure.UK)でライブがスタート。男性陣は王子様ルックに身を包み、ファンタジーな世界観が広がる。「アニマル」(DECO*27 - feat. 初音ミク)では、仮面ライアー217、いりぽん先生、めーとるによる、小悪魔感たっぷりなステージが。先日「バケモノバケツ委員会」にコラボ動画がアップされたばかりの新作ということもあって、ひときわサイリウムも輝いていた。学生服姿で「ミライチズ」(夜のひとわらい)をダンスした、「AMUぷらす弟たっくん」。カップルのやりとりをストーリー仕立てであたたかく表現。3人組ガールズユニット「チェゴ」は「第六感」(Reol)を激しくダンサブルに魅せる。足太ぺんた、いりぽん先生、仮面ライアー217、ぷっきー、まなこ、まりやん、みうめ、めーとる、りりやん、りりり、わた、AMUによる総勢12名が登場すると、一斉に「ヴァンパイア」(DECO*27)をダンス。ファッションや振付が違っていても、統一感があるという不思議な魅力を持つステージで、それぞれが自由に楽しむという「踊ってみた」カルチャーを体現している様だった。MCでは、この「ヴァンパイア」のステージについて、仮面ライアー217が「どこ見ていいか分からなかったでしょ?闘技場みたいだったよね!」とコメントし、笑いを誘う一幕も。続いての「踊」(Ado)も個性あふれるステージに。息ぴったりのグループダンスを見せたアナタシア、K-POPダンスを得意とするチェゴのパワフルなパフォーマンス、ヲタ芸をアレンジして唯一無二の世界観をみせたRAB(リアルアキバボーイズ)と、同じ曲であってもこう表現が変わるのかと驚かされた。めーとるは、「デモーニッシュ」(ツユ)のMVを彷彿とさせる、真っ白なセーラ服で登場。激しく転調する曲を見事に踊りこなしていた。ぶっきーは、黒猫をイメージした衣装で、椅子を使いながら「キャットラビング」(香椎モイミ feat. 可不)をパフォーマンス。2人とも楽曲の世界観から飛び出してきた様な見事なステージを披露した。「ダーリンダンス」(かいりきベア feat.初音ミク)では、足太ぺんた、AMU、仮面ライアー217、まなこ、まりやん、めーとる、やっこ、りりやん、わたの女性パフォーマー9人が“病みかわ”なダンスで魅せる。MCを挟み、足太ぺんたとわたによる息ぴったりの「ポジティブ☆ダンスタイム」(ワンダーランズ×ショウタイム × 鏡音リン)。まさにポジティブなダンスは、会場が笑顔になってしまう様な明るさを放っていた。「Shall we dance?」でお互いをリボンで操る様な振り付けもキュートだ。続いても、やっこ、まなこ2人海による「その心に灯る色は」(ラテルネ feat. 初音ミク)。やっこはグリーン、まなこはブルーのリボンをあしらったワンピースがダンスする度に揺れ、シンメトリーな動きが美しかった。踊ってみたブーム初期から活躍している一人である、みうめは、初音ミクの代表曲である「Snow Fairy Story」(40mP)を繊細かつ大胆にダンス。みうめが後にMCにて「古き良き踊ってみたをやってみました」と語るとおり、名曲のパワーを感じさせられる時間であった。朝の情報番組『スッキリ』のダンスプロジェクト楽曲でもあり、昨年夏には多くのティーンがダンスしたであろう「群青」(YOASOBI)。まりやんとりりやんは、優しくて繊細なのに力強さを感じさせるさすがのパフォーマンスを。様々な踊り手がオリジナル振付を発表している「フォニィ」(ツキミfeat.可不)。りりりは、毒っ気と可愛さが融合した独自の表現を見せてくれた。HoneyWorks書き下ろしの大人気曲「小悪魔だってかまわない!」(めいちゃん)は、いりぽん先生、AMU、たまひよ。、ぶっきー、kotone、haruka、maho、やっこ、りりやん、わたの男女10名で元気いっぱいのステージ。制服風の衣装に身を包み、青春全開。キメ台詞的歌詞の“ばっきゅーん!”では、会場のサイリウムや手の振りの一体感もバッチリ。続いても制服ルックで、いりぽん先生、たっくん、たまひよ。、ぶっきー、まさと、まりん6名で「スキスキ星人」(すとぷり)を披露。それぞれの個性がつまったキュートな振付を見せてくれた。踊ってみたの火付け役的楽曲の一つである「おねがいダーリン」(ナナホシ管弦楽団)は、女性パフォーマー14名による圧巻のステージ。前述の「ヴァンパイア」や「踊」の、同じ曲をそれぞれの振り付けで魅せるのとは違い、皆が同じ振り付けを見せている。振り付けが統一されることで、それぞれ一人一人の個性が見えるという現象が感動的だった。たまひよ。は、アイドルへ恋した男性の恋心を歌った「月曜日の憂鬱」(天月 feat.HoneyWorks)をかわいらしい振り付けで表現。同じく、天月の楽曲である「かいしんのいちげき!」は仮面ライアー217が、笑顔あふれるポップなステージングを見せた。バーチャルYouTuber湊あくあのオリジナル楽曲「あくあ色ぱれっと」は、健気で一生懸命な女の子の気持ちを、いりぽん先生がキュートに表現。足太ぺんた、まりやん、やっこ、りりやん、わたの踊ってみた「チア部」は、チアガール風の衣装で「Ready Steady」(初音ミク・鏡音リン・鏡音レン)をセクシーに表現。クールに衣装を脱ぎ捨てながらステージを去り、それまでのキュートな踊ってみたとのギャップを魅せた。チェゴは「宵々古今」(Reol)を、お祭り感あふれるパワフルなダンスで表現。チェゴの3人によるクールな身のこなしが「第六感」に引き続き、Reolの世界観にハマっていることが分かる。RABは、アニソン神曲の一つである「おジャ魔女カーニバル」を、RABらしさ全開でパフォーマンス。アクロバティックリフトを挟む、身体能力の高さも忘れない。と思えば、「ブリキノダンス」(日向電工)では激しい動きからのブレイクダンスを混ぜる、振り幅の広さを見せつける。黒と赤でデザインされた和風衣装で登場した、仮面ライアー217とみうめ。「極楽浄土」(GARNiDELiA)を息ぴったりにダンス。こちらは、YouTubeで8千万回再生されている人気ダンスであり(動画ではメイリアとの3人)、世界でも人気の“踊ってみた”である。こちらも、YouTubeに投稿したオリジナル振り付け動画が大人気の、アナタシアによる「阿修羅ちゃん」(Ado)。スーツにサングラス姿のクールな衣装で、コミカルな振り付けを全力で行う迫力のダンスで会場を沸かせた。最後には、全パフォーマーで「神のまにまに」(れるりりfeat.ミク&リン&GUMI)を披露。こちらの構成と振り付けは、まりやんが行っている。多幸感あふれる楽曲を、全員が笑顔でダンスする様子は、踊ることの楽しさであふれていた。イベントタイトルの『ODOROYO』には、「踊り手のはもちろん、応援してくださるファンの皆様も含めて、一緒に“踊ってみた”のカルチャーを盛り上げていきたい」という想いが込められている。まさに「音楽×ダンス」の広がりを全身で感じられるイベントとなった。今度、このイベントを仕掛けたソーシャルクリエイターズレーベル「Be」をはじめ、踊り手たちが次はどんな楽しさを私たちに見せてくれるのか、期待が高まる。Text by 中村梢Photo by 新保勇樹<公演情報>HIGH FIVE 2022 ~ODOROYO~2月23日(水) KT ZEPP YOKOHAMAセットリスト01. トンデモワンダーズ02. アニマル03. ミライチズ04. 第六感05. ヴァンパイア06. 踊07. デモーニッシュ08. キャットラビング09. ダーリンダンス10. ポジティブ☆ダンスタイム11. その心に灯る色は12. Snow Fairy Story13. 群青14. フォニィ15. 小悪魔だってかまわない!16. スキスキ星人17. お願いダーリン18. 月曜日の憂鬱19. かいしんのいちげき20. #あくあ色ぱれっと21. Ready Steady’ ft. 初音ミク・鏡音リン22. 宵々古今23. おジャ魔女カーニバル→ブリキノダンス24. 極楽浄土25. 阿修羅ちゃん26. 神のまにまに※「HIGH FIVE」公式サイトで各公演PHOTO REPORT公開中!公式サイト::<ライブ情報>“THE REAL AKIBA BOYZ ONEMAN LIVE 2022”SUMMER SESSION RAB IN 日比谷野外大音楽堂7月10日(日) 日比谷野外大音楽堂OPEN 16:45 / START 17:30 / END 20:00(予定)出演:RAB(リアルアキバボーイズ) / 二人目のジャイアン / 田口華有 / らっぷびと / アリレム / huez詳細はこちら:
2022年04月12日4月5日、TK from 凛として時雨がワンマンライブ『feedback from』をTOKYO DOME CITY HALLで開催した。昨年ソロデビュー10周年を記念したベストアルバム『egomaniac feedback』をリリースした以降も、TVアニメ『東京喰種』のテーマ曲として海外人気も高い「unravel」のSpotifyでの再生回数が2億回を突破し、さらに3月にはB’zの稲葉浩志をゲストボーカルに迎えたシングル『As long as I love / Scratch(with 稲葉浩志)』を発表と、話題に事欠かない中で行われたこの日のライブは一連のタームを締め括るものであり、「Scratch」の歌詞のように、観るものに深い傷跡を残すようなライブとなった。開演時刻を過ぎるとSEが流れ出し、天井から吊るされた大小の短冊形の紗幕に映像が投影され、サポートメンバーの吉田一郎不可触世界(ベース)、須原杏(ヴァイオリン / シンセサイザー)、和久井沙良(ピアノ)、BOBO(ドラム)とともにTKがステージに姿を現すと、一曲目に披露されたのはいきなりの「As long as I love」。歌とギターのユニゾンによるイントロから始まり、同期で流される稲葉の歌声と生のTKの歌声がヘヴィなバンド演奏のなかで折り重なっていく様は実にスリリングだ。先日TVの音楽番組でB’zの「BAD COMMUNICATION」をカバーし、そのハイトーンボイスとテクニカルなギタープレイで“一人B’z”と話題を呼んだが、そのスキルはあらためて驚異的である。吉田一郎不可触世界和久井沙良ライブ用にリアレンジされ、しっとりした歌とヴァイオリンで始まる序盤が印象的な「will-ill」、アコースティックギターに持ち替えての「flower」は紗幕が下がったまま、映像演出とともに楽曲を魅せていったが、「flower」の間奏でエレキギターに持ち替えたところで紗幕が上がり、メンバーの姿がはっきり現れると、ここから「Abnormal trick」、「Crazy Tampern」といったBPMの速い曲を連発。こういった曲ではTKの演奏はもちろん、吉田とBOBOの手数多いアグレッシブなプレイも非常に際立つ。もう一度紗幕を下げて演奏された「phase to phrase」は、ギターとピアノが幾何学的なループフレーズで掛け合い、スピーディーに切り替わる映像も加わって、トランシーな高揚感が感じられた。BOBO音数を絞ったリズムのアレンジが異彩を放つ「Addictive Dancer」、リリックをフィーチャーした映像が用いられた「Showcase Reflection」、さらにはネットシーン発のシンガー・りぶに楽曲提供した「unforever」のセルフカバーというレアな演奏が続くと、ピアノとヴァイオリンによるクラシカルなイントロが特別なムードを醸し出す「鶴の仕返し」へ。ジワジワと曲が盛り上がり、後半でのTKの絶唱は何とも心に刺さるものがある。そして、ライブ後半では疾走感のある4つ打ちの「Fantastic Magic」、プログレッシブな大曲「film A moment」といったライブでの定番曲を続け、クライマックスを作り出していく。須原杏TK「最後にもう一曲」と言って、本編ラストに披露されたのは「tokio」。ギターを置き、椅子に腰を掛けて、美しいアンビエンスとピアノとともに、振り絞るように歌うTKの姿に目と耳と心を奪われる。ベストアルバムではmilet、阿部芙蓉美、UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介、そして、最新シングルでは稲葉浩志と、これまで数多くのボーカリストとコラボレーションを行い、そこで得た強烈なフィードバックがこの曲でのTKの歌には反映されているかのよう。<変わり果てた時代だなんて 変われもしない僕には まだ言えもしないな>という、今の時代に響く歌詞も含めて、深い感動を呼ぶ名演だった。アンコールでは「自分が作った罠に陥りながら、自分と戦っているところをみなさんに観ていただいている次第ですが、こうやって自分の中に堕ちていく人もいるんだなと思いながら、みなさんも明日から頑張ってください」と、「Scratch」の歌詞を用いながらTKらしい言い回しでメッセージを伝え、稲葉と最初に作った一曲である「Scratch」を披露。壮大なスケールのバラードに大きな拍手が贈られると、ここから「unravel」を畳み掛け、やはりこの曲はサポートメンバーも含めてスイッチが入るのか、全員が体を揺らしながら楽曲のグルーヴを作り上げていく。最後はアッパーな「P.S. RED I」で締め括り、アウトロでTKが投げ捨てたギターのフィードバックノイズが鳴り響く中、濃厚な一夜が幕を閉じた。文:金子厚武写真:岡田貴之<公演情報>TK from 凛として時雨『feedback from』2022年4月5日(火) TOKYO DOME CITY HALL開場 18:00 / 開演 19:00【Support Members】Bass:吉田一郎不可触世界Violin&Synthesizer:須原杏Piano:和久井沙良Drums:BOBO【セットリスト】01. As long as I love02. will-ill03. flower04. Abnormal trick05. Crazy Tampern06. phase to phrase07. Addictive Dancer08. Showcase Reflection09. unforever10. 鶴の仕返し11. Fantastic Magic12. film A moment13. tokio■ENCOREEN1. ScratchEN2. unravelEN3. P.S. RED I<リリース情報>TK from 凛として時雨 両A面シングル『As long as I love / Scratch(with 稲葉浩志)』発売中完全生産限定盤(CD):1,430円(税込)TK from 凛として時雨『As long as I love / Scratch(with 稲葉浩志)』ジャケット【収録内容】01.As long as I love(with 稲葉浩志)作詞:稲葉浩志、TK / 作曲:TK02.Scratch(with 稲葉浩志)作詞作曲:TK03.As long as I love(with 稲葉浩志)Instrumental04.Scratch(with 稲葉浩志)InstrumentalTK from 凛として時雨「As long as I love(with 稲葉浩志)」MV※3月16日(水) 21:00 プレミア公開<配信情報>TK from 凛として時雨「Scratch (with 稲葉浩志)」Now On SaleTK from 凛として時雨「Scratch (with 稲葉浩志)」ジャケット配信リンク:関連リンク凛として時雨 Official Site:凛として時雨 Official Twitter: 凛として時雨 Official Facebook:凛として時雨 TK Official Instagram:
2022年04月08日THE ORAL CIGARETTESの初の全国ホールツアー『Hall Tour 2022「SUCK MY WORLD」』が4月3日の大阪・オリックス劇場公演でファイナルを迎えた。本格的な全国ワンマンツアーは約3年ぶりのため、「1本打って!」から始まるオーラル恒例“4本打ち”にライブが帰ってきたと実感した人も多かったことだろう。元々計画していたアリーナツアー・Zeppツアーが新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で断念せざるを得ない状況になってしまったため、5thアルバム『SUCK MY WORLD』のリリースツアーが約2年越しに実現。昨年10~11月に行ったファンクラブ会員向けの『SUCK MY WORLD』全曲再現ツアーに対し、今ツアーはアルバム収録曲のみならず、ライブ定番曲や初期曲、さらに『SUCK MY WORLD』以降に発表された新曲も披露。オールスター的なセットリストで臨んだ。アルバム1曲目のインスト曲「Introduction」にアレンジを加えたトラックと映像で『SUCK MY WORLD』のテーマを改めて明示すると、巨大なスピーカーが並ぶ壮観なステージに山中拓也(Vo/Gt)、あきらかにあきら(Ba/Cho)、鈴木重伸(Gt)、中西雅哉(Ds)が現れる。そして「MACHINEGUN」から演奏がスタート。スモークが噴射されるなか、刺激的なギターリフが導くのはポストパンク直系の「Tonight the silence kills me with your fire」で、「Fantasy」のファンキーなグルーヴに観客が飛び跳ねた。山中拓也(Vo/Gt)開始3曲で早速多様な曲が堪能できるのは、“ロックバンドとは”という核心を突き詰めるため、音楽の歴史を遡るような構成を採ったアルバム『SUCK MY WORLD』のツアーならではの醍醐味だろう。バンドとして鍛えられた部分も多かったと想像するが、今や曲たちは、音色やリズムの取り方、ステージ上での立ち振る舞い、時には使用楽器も変えつつ、曲ごとのジャンルにどっぷり浸かって演奏する4人の手の中にある。場内は早くも床が揺れるほどの盛り上がりだ。「Dream In Drive」までを終え、「お待たせしました!」と山中。客席からの拍手は止まないが、「すごいね、鳴り止まないね!」と繰り返すあきらはさりげなく観客を煽っているようにしか思えず、鈴木と中西があきらを指して笑っている。メンバーがリラックスしているのはツアーファイナルだからでもあるし、地元・関西でのワンマンだからでもあるのだろう。そんななか、「今日は今日でセットリスト、特別なやつ用意してるんちゃう?嬉しいの来るんちゃう?」(山中)とこの先の展開への期待を煽ることも忘れない。会場中が「何なに?」という空気になったところで強烈なビートから始まったのは「BLACK MEMORY」で、そのまま突入したのは「カンタンナコト」。つまり“キラーチューン祭り”さながらの熱い展開だ。あきらかにあきら(Ba/Cho)しかしもっと熱いのはここから。バンドが鳴らすあのコード、そして「聞き覚えあるなあ?」(山中)という悪戯な一言から「大魔王参上」が演奏されたのだ。初期のライブ定番曲で、今となってはなかなか演奏されないレア曲だが、メリハリのある演奏から感じられるのはバンドの年輪で、今のオーラルだからこその「大魔王参上」という印象を受ける。一方、あきらが高く足を上げながら演奏したり、山中が数年前のオマージュのような言葉を観客に投げかけていたりと、あの頃を懐かしむテンションも。なお、山中から「衰えてませんね」と言われたあきらは「いやー、明日が怖いですね」と笑っていた。スタッフの遊び心から、その土地に因んだキャラクターがレーザー光線で描かれるのが定番化していた今ツアー。この日は大阪府の公式マスコットキャラクター・もずやんと、道頓堀の巨大看板で知られるグリコのあのマークが登場。2度目のMCはそこから大阪トークへと発展した。そしてMC明けから空気が一変。『SUCK MY WORLD』のアートワークを彷彿とさせる円形のスクリーンが登場すると、舞台セット全体にモノクロのアニメーションが映され、バラード「透明な雨宿り」が演奏された。アニメーションは孤独と喪失感に打ちひしがれる少年の姿を捉えるもので、映像との相乗効果もあり、鋭いバンドサウンドが少年の心を刺す雨のように感じられる。その後は少年の内面に潜るように「PSYCHOPATH」、「Naked」へ。ぐしゃぐしゃになった心、ギリギリの精神状態を2曲で表現したあとは、螺旋階段を下る少年の映像をバックに、ステージに一人残った山中がうなだれながら「From Dusk Till Dawn」を歌う。しかしオーラルが闇や絶望を表現するのは、その先に待つ光や希望を描きたいからだ。やがて聞こえてきたピアノのリフとコーラスに合わせてカラフルな光が灯り、世界が色づいていく。そんな演出とともに届けられたのが「LOVE」だ。シンガロングができない代わりに今流れているコーラスの音声はファンクラブ5周年のサプライズ企画で会員から届けられたもの。「今日はみんなの声と一緒にお送りします」(山中)と今ツアーでの「LOVE」はファンの歌声とともに演奏した。曲に入る前に山中が「つらかったとき、しんどかったとき、あなたたちの言葉がありました。声がありました。だから俺はこのステージに立てています」と伝えていたように、また過去のインタビューなどで、“ライブ活動が思うようにできない日々はファンの声によって自分たちの曲が確かに届いていると実感する日々でもあった”とメンバー自身が語っていたように、今目の前にいるあなたの存在がバンドにとっての光なのだと伝える演出。そう考えると、先ほどまで闇の中にいたあの少年は、コロナ禍におけるオーラル4人の投影だったのかもしれない。バンドの熱と観客一人ひとりの熱がぶつかり合ったクライマックス「人生生きてると苦しいこと、つらいことばかりだと思うよ。下手くそでもいい。不器用でもいい。ただ自分をまっすぐ信じて、俺らと一緒に歩いていこう!」と山中。後のMCによると、今回のツアーは、「ここにいる一人ひとりに救われている4人がいるんやで」「俺ら、みんなの存在価値を感じてるんやで」と伝えるためのツアーだったという。バンドが生きる理由をくれた人たちとの対面が叶った今、一番に伝えたかったのがそれだったのだろう。そんなメッセージを象徴する《無理しないでよ》のフレーズにグッと力が込められるなか、虹色の照明、そして「全員で一緒に行こうな。跳ぶぞ!」(山中)という合図の下、会場中の命が躍動する光景はあまりに美しかった。演奏後、深く、長くお辞儀をする4人からも想いは伝わってくる。大切な人を見つけてほしい、全ての人に好かれなくてもいい、荷物を背負いすぎないでいい、頑張らないでいい、きっと大丈夫、絶対に大丈夫。山中が自身の言葉でそう語ったあと、喋り声と変わらない穏やかなトーンのまま歌い始めた「The Given」も印象深かった。鈴木重伸(Gt)「人生なんて答えがないから、答えがない中で自分のことを信じてまっすぐ進んでいくだけだと思います」というライブ全体のメッセージを「今お前らが来てるのはTHE ORAL CIGARETTESのライブ!拳上げてまっすぐ挑んでこい!」(山中)というアジテーションに変えながらクライマックスへ。バンドの熱と観客一人ひとりの熱がぶつかり合うここに広がるのはまさしく“偽物と違う本気の光景”で、「もういいかい?」も「5150」も「Red Criminal」も「狂乱 Hey Kids!!」も一音一音の気迫が凄まじい。その場に倒れてでも楽器を掻き鳴らすメンバーは燃え残りを許さないテンションで、「君たち最高すぎ!マジでありがとう!」「リミッター外れました!」(山中)と笑っていた。相当振り絞ったのだろう、ラスト1曲を前にメンバーは床に座り込んでいるが、何よりも充実した表情だ。本編ラストは「起死回生STORY」。初心に戻り、ここから再び番狂わせをしていこうと宣言した今ツアーが、メジャーデビュー曲で締め括られるのは非常に象徴的だ。しかし全方位に牙を剥いていたあの頃とは違い、仲間・家族と思えるようなファンやアーティストが彼らの周りにいるのが今であり、「カッコいいと思った人たちと肩を組んでシーンを作っていきたい」というモードの第一歩目となるのが、4月27日にリリースされるFeaturing EP『Bullets Into The Pipe』だ。中西雅哉(Ds)アンコール1曲目は同EPから先行配信中の新曲「ENEMY feat.Kamui」で、フィーチャリングゲストのKamuiも急遽駆けつけた。ロックとヒップホップのミクスチャーであり、オーラルとKamuiの人間力のぶつかり合いともいえるライブパフォーマンスに、会場のボルテージがもう一段階引き上げられる。Kamuiそしてラストは「Slowly but surely I go on」。会場中の明かりをつけ、一人ひとりの目を見ながら、手渡しするように演奏した。全20曲を終えたあと、あきらは思わず「終わりたくなーい!」と言ってしまっていて、ステージをなかなか去ろうとせず、しばらく客席を眺めている4人は幸福な余韻を噛みしめているようだった。EP『Bullets Into The Pipe』のリリース、さいたまスーパーアリーナでの『PARASITE DEJAVU 2022 〜2DAYS ARENA SHOW in SAITAMA〜』、山中が主宰クリエイティブレーベル“DREAMLAND”を立ち上げツアー開催と、ツアー中に様々な発表があったようにオーラルの活動はここからさらに加速していく。信じたことにまっすぐ向かうロックバンドとしての心を胸に。Text:蜂須賀ちなみPhoto:ハタサトシ<公演情報>THE ORAL CIGARETTES Hall Tour 2022『SUCK MY WORLD』4月3日(日) 大阪・オリックス劇場セットリスト0. Introduction1. MACHINEGUN2. Tonight the silence kills me with your fire3. Fantasy4. Dream In Drive5. BLACK MEMORY6. カンタンナコト7. 大魔王参上8. 透明な雨宿り9. PSYCHOPATH10. Naked11. From Dusk Till Dawn12. LOVE(BKW!! Premium Member ver.)13. The Given14. もういいかい?15. 515016. Red Criminal17. 狂乱 Hey Kids!!18. 起死回生STORYEN1. ENEMY feat.KamuiEN2. Slowly but surely I go on<リリース情報>THE ORAL CIGARETTES Featuring EP『Bullets Into The Pipe』2022年4月27日(水) 配信リリース※全4曲収録「ENEMY feat.Kamui」配信リンク: ORAL CIGARETTES「ENEMY feat.Kamui」MV<ライブ情報>DREAMLAND pre.『DREAMLAND TOUR 2022』5月25日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside5月27日(金) 愛知・Zepp Nagoya5月31日(火) 東京・Zepp Haneda全会場OPEN18:00 / START19:00【チケット料金】1Fスタンディング / 2F指定席・立ち見:5,800円『PARASITE DEJAVU 2022 〜2DAYS ARENA SHOW in SAITAMA〜』10月22日(土) ・23日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ・DAY1 ONE MAN SHOWOPEN16:00 / START17:00・DAY2 OMNIBUS SHOWOPEN11:00 / START12:00【チケット料金】・10月22日(土) 公演S席:11,800円(税込)A席:7,800円(税込)・10月23日(日) 公演S席:12,800円(税込)A席:8,800円(税込)・2日通しS席:24,000円(税込)A席:16,000円(税込)関連リンクTHE ORAL CIGARETTES オフィシャルHP ORAL CIGARETTES オフィシャルTwitter ORAL CIGARETTES オフィシャルYouTube チャンネル ORAL CIGARETTES オフィシャルInstagram ORAL CIGARETTES 公式LINEアカウント
2022年04月04日3月21日、ジェニーハイが全国ツアー『ジェニーちゃん誕生』のファイナルとなる東京公演をZepp Hanedaで開催した。メンバーそれぞれが多方面で活躍し、スケジュールの調整が難しいジェニーハイ。過去に東名阪ツアーを行ったことはあったものの、5都市を回る「全国ツアー」は今回が初めてということもあって、非常に貴重なステージとなった。今回のツアーではオープニングゲストとして各地でお笑い芸人を迎えていたが、この日のゲストはニューヨーク。場内を大きな笑いに包みこんだ。ライブはお馴染みの自己紹介ソング「ジェニーハイのテーマ」からスタート。川谷絵音、新垣隆、くっきー!、中嶋イッキュウ、小籔千豊の順番でラップをしながらステージに登場し、ドロップの部分で一緒にステップを踏むと、フロアのあちこちではカラフルなペンライトが振られている。川谷絵音中嶋イッキュウ新垣が「ハネダ~!」と叫んで「ジェニーハイのテーマ」を終えると、メンバーがそれぞれのパートの位置について、「ダイエッター典子」「卓球モンキー」とアップテンポのナンバーを演奏。川谷がギターをかき鳴らし、くっきー!がポーズを決めながらベースを弾き、小籔がパワフルにビートを叩く様はロックバンドそのものだ。かと思えば、「卓球モンキー」の間奏では新垣のピアノに乗せてイッキュウがバンド内の小ネタを話したりと、この硬軟自在ぶりがやはりジェニーハイらしい。新垣隆小籔千豊4つ打ちのダンサブルな「ルービックラブ」に続いて、イッキュウもアコギを持って歌った「夏嵐」や、その次の「強がりと弱虫」は、J-POPバンドとしてのジェニーハイの大衆性を強く感じさせる。「強がりと弱虫」の間奏ではくっきー!、新垣、小籔、川谷の順番でソロを回して、各々のプレイヤーとしての力量と個性を見せたのも印象的だった。くっきー!ここでニューヨークが再登場し、他の会場はお笑い好きの川谷の希望でゲストが選ばれていたが、今回はイッキュウたっての希望でニューヨークが呼ばれたことを明かし、イッキュウは「大好きです」と笑顔を見せる。さらに、お題を3つ募っての即興曲作りでは、嶋佐が「車」、屋敷が「ラーメン」、新垣が「サンフランシスコ」をお題として挙げると、川谷のアルペジオから始まる演奏にイッキュウとくっきー!が即興で歌詞を乗せ、この日限りのオリジナルソングに大きな拍手が贈られた。「コクーンさん」からスタートした中盤戦では、まずイッキュウがステージを大きく使って、コミカルな自己肯定ソングの「グータラ節」をオーディエンスに語りかけるように届けていく。小籔が細かなハイハットワークを聴かせる「BABY LADY」や、音数を絞った「プリマドンナ」といった曲の演奏からは、バンドとしての表現力の向上が確かに感じられた。「不便な可愛げ」は、サポートを務めるDADARAYのえつこがイッキュウとともにボーカルを担当。indigo la Endやゲスの極み乙女。のライブでもコーラスを務め、主に中・低音域を担当するえつこだけに、原曲のアイナ・ジ・エンドの声質とも相性が良く、代打であることを感じさせない仕上がりは流石。一方、「華奢なリップ」ではゲストボーカルとしてちゃんみなが登場。背中のざっくり空いた衣装を着こなし、曲の途中でくっきー!に寄りかかったり、イッキュウに寄り添ったりしながらのパフォーマンスは貫録たっぷりで、最後のラップパートも含め、存在感を存分に発揮した。ちゃんみながステージから去ると、小籔は「3泊くらいした親戚が帰った後くらい静か」と話し、イッキュウが「楽しかったなあって余韻がすご過ぎて、次に進めない状態です」と続く。また、ツアーを振り返って川谷は「このメンバーで5カ所も回るって、ホントに奇跡みたいなことなので、大事に大事に回ってきたつもりだけど、でもすごく早かった」と、ツアーが終わりを迎えることの充実感と一抹の寂しさを語った。「ランデブーに逃避行」からスタートした後半戦は、「シャミナミ」「片目で異常に恋してる」と人気の曲を連発。ジェニーハイにはバンド演奏の曲と打ち込みのラップ曲と、大きく分けて2パターンの楽曲が存在するわけだが、この日は一曲目の「ジェニーハイのテーマ」以降、本編はひたすらバンド演奏が続く。最後の「シャンディー」に至るまで、やはりツアーの経験がバンドの一体感を大きく引き上げたことが伝わってきた。小籔千豊「こうして当たり前にライブができる喜びをかみしめております。」アンコールでは「ジェニーハイラプソディー」でラップをしながら振り付けを踊ると、フロアは一気に大盛り上がり。最後にイッキュウが「ラプソディーって何なん?」というお決まりの台詞を「ジェニー…」と言ってしまうまさかの間違いもありつつ、「愛しのジェニー」ではメンバーもペンライトを持って踊り、「背筋ピン」のコミカルな動きに笑いが起こる。ここで5月20日に全国公開される吉岡里帆主演の映画『ハケンアニメ!』の主題歌として書き下ろされた新曲「エクレール」を初披露。演奏前にメンバーが「マジで難しい」と口々に話したように、遊び心のあるアレンジも特徴ながら、これまでの曲以上にポップに開かれたメロディーが耳に残り、サビではミラーボールがキラキラと回って、印象的なシーンを作り上げた。最後にファーストミニアルバム『ジェニーハイ』のラストナンバー「東京は雨」でライブを終えると、メンバー一人ひとりが感謝を伝え、川谷は「僕ら的にはこれまでで最大の本数を周らせていただいて、もうこれ以上はないだろうなと思ったりもするんですけど、今後10年~15年ジェニーハイが続いて、またこんなツアーができたらいいなと思います」と話す。そして、最後は小籔が流暢に「普通の生活が当たり前じゃないということを考えさせられるこの2~3年、こうして当たり前にライブができる喜びをかみしめております。みなさんがこれから平穏無事に、ニコニコと過ごされることを心から祈っております」と伝え、温かな空気の中でツアーファイナルが締め括られた。Text:金子厚武Photo:鳥居洋介<公演情報>ジェニーハイ 全国ワンマンツアー『ジェニーちゃん誕生』3月21日(月) 東京・Zepp Hanedaセットリスト1. ジェニーハイのテーマ2. ダイエッター典子3. 卓球モンキー4. ルービックラブ5. 夏嵐6. 強がりと弱虫7. コクーンさん8. グータラ節9. BABY LADY10. プリマドンナ11. 不便な可愛げ12. 華奢なリップ feat.ちゃんみな13. ランデブーに逃避行14. シャミナミ15. 片目で異常に恋してる16. シャンディen1. ジェニーハイラプソディーen2. 愛しのジェニーen3. エクレール(映画『ハケンアニメ!』主題歌)en4. 東京は雨<リリース情報>ジェニーハイ ライブ映像作品『アリーナジェニー』Now On Saleジェニーハイ『アリーナジェニー』ジャケット●DVD:6,050円(税込)●Blu-ray:6,600円(税込)※三方背ボックス付【収録内容】■Disc11. ジェニーハイのテーマ2. 夏嵐3. ランデブーに逃避行4. コクーンさん5. ダイエッター典子6. バイトリーダー典子7. ジェニーハイラプソディ8. 愛しのジェニー9. ジェニーハイボックス10. グータラ節11. ルービックラブ12. 不便な可愛げ feat.アイナ・ジ・エンド13. 卓球モンキー14. シャミナミ15. 片目で異常に恋してる16. まるで幸せ17. ジェニースター18. 華奢なリップ feat.ちゃんみな※副音声にメンバーによるオーディオコメンタリーを収録■Disc2・Behind the scenes of アリーナジェニー購入リンク:関連リンクジェニーハイ オフィシャルサイトジェニーハイ Twitterジェニーハイ instagram
2022年03月22日株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント(以下ビクター)が主催するロックフェスティバル『ビクターロック祭り2022』が、3月19日に幕張メッセ国際展示場9,10ホールで開催された。『ビクターロック祭り』は、「ずっとロック、これからもロック。」を合言葉にビクターエンタテインメントが2014年から始めたイベント。今回は新型コロナウイルスの影響により中止となった『ビクターロック祭り2020』から2年、前回の『ビクターロック祭り2019』からは3年ぶりの開催となった。会場には高さ5メートルに及ぶビクターのシンボル犬「ニッパー」の巨大オブジェが登場するなど、ビクターならではの趣向を凝らした演出でイベントを大いに盛り上げた。5年ぶりの出演となり、3月30日にコンセプトアルバム『アダプト』をリリースするサカナクションを筆頭に、ORANGE RANGE、キュウソネコカミ、go!go!vanillas、サンボマスター、Dragon Ash等のビクターを代表するアーティストに加え、今年度はKALMA、Mr.ふぉるてが初出演。今年で6回目となるクロージングDJのDJダイノジの出演、そしてオープニングアクトにビクターロック祭りへの出演をかけた「ワン!チャン!!」オーディションで2020年グランプリに輝いたものの開催断念となり念願の初出演となったThe Shiawaseと今年度のグランプリ輪廻の出演など、11アーティストの出演となった。また、全国565店舗を展開する「カラオケまねきねこ」のライブビューイング視聴設備のある3,000ルームでライブは生配信され、会場に駆けつけることができないファンにも会場の熱気が現地より届けられた。以下、出演アーティスト毎のオフィシャルレポートをお届けする。輪廻 ※ワン!チャン!!オーディション2022グランプリ輪廻オープニングアクト1組目は、Eggs presents「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2022への挑戦~」で見事グランプリを受賞し、『ビクターロック祭り2022』出場権を獲得した3ピースバンド・輪廻。双葉(Gt/Vo)がギターを奏でながら「君の記録」を歌い始めると、りぃこ(Ds)のパワフルなビートが勢いよく飛び出し、リノ(Ba)のベースラインが幕張の地を揺らす!《生まれ変わっても信じてよ君が選んだ爆音を生まれ変わっても愛してよ君のものなんだよ》というフレーズが様々なバンドのファンが集まる今日の始まりにぴったりだ。衝動に満ちたサウンドは清々しいが、細やかなハイハットワークとギターカッティングから始まる「actor」は歌に至るまでのセッションもギミック満載でこだわりが伝わってくる。なお、りぃこが着ている真っ赤なTシャツには「通過点」とプリントされていて、「輪廻はこれからもっともっと大きなステージに立っていくので、どうかこれからもよろしくお願いします!」と宣言した双葉、2人と共に演奏するリノもきっと想いは一緒だろう。ラストに披露したアッパーチューン「大人になったらさ」まで、全開の笑顔で今を謳歌する3人。ここから始まるストーリーを想像させるようなライブで存在感を示した。Text:蜂須賀ちなみセットリストM1. 君の記録M2. actorM3. 大人になったらさThe Shiawase ※ワン!チャン!!オーディション2020グランプリThe Shiawaseオープニングアクト2組目は、仲井"B.B."陸(Vo/Gt)、木村駿太(Ba/Cho)、神谷幸宏(Ds/Cho)の3人組バンド・The Shiawase。Eggs presents「ワン!チャン!! ~ビクターロック祭り2020への挑戦~」でグランプリを獲得したものの、本来出演予定だった『ビクターロック祭り2020』が中止になってしまったため、2年越しで出演を果たした。ステージに登場すると、まずは仲井が伸びやかな歌声を会場に響かせる。1曲目は「平成アロハ航路」。ブルースやファンクなどルーツミュージックへのリスペクトが詰まったサウンドは清涼感抜群で、場内が一気に常夏になった。しかしその次は「溶けないでいて」という冬の曲。南半球から北半球へワープしたような展開にツッコミを入れたくなるが、3人+サポートのキーボーディストによるきらきらしたサウンドが今度は雪景色をイメージさせた。そんな2曲でバンドの持ち味をしっかり見せたあと、「僕は昨日大学の卒業式でした!」と仲井。彼が通っていた小学校の名前をタイトルにしたラブソング「三重西小学校」は、仲井のみならず木村や神谷も一緒に歌っていくバラードで、全力の歌声に「青春」の二文字が浮かぶ。バンドの演奏を前にこの春の思い出、あるいはかつての青春に想いを馳せた観客もいたことだろう。一音一音を刻みつけるような渾身の演奏にも胸を熱くさせられた。Text:蜂須賀ちなみセットリストM1. 平成アロハ航路M2. 溶けないでいてM3. 三重西小学校キュウソネコカミキュウソネコカミ『ワンチャン2022』の輪廻と、『ワンチャン2020』のThe Shiawaseのステージが終わり、本編のトップバッターを飾ったのは、キュウソネコカミ。「ロックの祭り、できる人ー!」というヤマサキセイヤの絶叫から「ビビった」でスタートを切るが、力が入りまくっているのか、早くもイントロでギターの弦を切り、歌い始めながらサッとギターを持ち替える。間奏でヨコタシンノスケがジャンプ、そして「♪さぁみんなで手を降って」のくだりではセイヤがギターを置いて両腕を上下に振るというおなじみのアクションにオーディエンスが一斉に続くさまは、2年前まではどこのフェスでも見慣れた光景だったが、今の世の中のこの状況で目の当たりにすると、なんだかやたらと感動的に映る。「あの頃の気持ちを忘れるなー!」というセイヤの雄叫びからの「KMDT25」では、間奏でドラムが祭り囃子のビートになり、シンノスケが「今日はお祭りってきいてるんですけど!サカナクションもサンボもDragon Ashもお祭りに来てると思うんですけど!そんな感じでついてこれるんですか!?」と、オーディエンスをあおりまくる。次は、「KMDT25」と同じく、2014年のミニアルバム『チェンジザワールド』からの「スベテヨシゼンカナヤバジュモン」。そして、ライブでの鉄板曲になりすぎたあまり、キュウソの曲ではないことを誰もが忘れている「KMTR645」へ。当然アガるフロアに向けて、シンノスケが4月20日リリースのレキシのニューアルバム『レキシチ』のポスターを掲げて宣伝に務める。「あとでラインします、池田さん!」。1年前のミニアルバム『モルモットラボ』でリメイクした「シャチクズ(2020ver.)」を歌い終えたセイヤ、「アツいわ、やっぱ。1曲目の一音目で元気出るわ!」と笑顔を見せる。続いて、「ゆっくりしゃべらないと、何を言っているか、わからないですよね。ゆっくりしゃべって、伝えていこうと思います。しかし、ゆっくりしゃべること意外、伝えることがありません!」などと、すっとぼけたMCをするも、それを「この瞬間だけは奪われないように、みんなでがんばっていきましょう」と締めるあたりに、今のこの状況ならではの本音が出ている。そこからは「推しのいる生活」「The band」「ハッピーポンコツ」と、日本中のあらゆる場所でオーディエンスを熱狂させ続けてきたキラー・チューンを、三発続けて締め。「The band」の《ライブハウスはもう最高だね / ロックバンドでありたいだけ》という歌詞は、やはり2年前とは比較にならないほど切実に響いた。ラストの「ハッピーポンコツ」に入る前に「やっぱ必要やな、こういうの。ライブハウスとか、フェスとか、いろんなことがなくなっちゃって──」と、話し始めたシンノスケは、コロナ禍で「ここから行くぞ」という新人バンドが行く手を阻まれている、そういうバンドをみんな応援してください、それこそがこれからシーンを盛り上げていく大切なことやと思う──と、オーディエンスにメッセージを送った。Text:兵庫慎司セットリストM1. ビビったM2. KMDT25M3. スベテヨシゼンカナヤバジュモンM4. KMTR645M5. シャチクズ(2020ver.)M6. 推しのいる生活M7. The bandM8. ハッピーポンコツMr.ふぉるてMr.ふぉるてVeats SHIBUYAで4日間にわたって行われたイベント『ビクターロック祭り〜アタラシイチカラ〜』よりビクターが誇る若手アーティストが登場!Mr.ふぉるては、昨年12月にGetting Betterからメジャーデビューしたばかりの4ピースバンドだ。1曲目「なぁ、マイフレンド」から気合いが漲っているのが分かる演奏で、バンドのエネルギーを受け取った観客が拳を高く上げる。そんななか、「悲しみや苦しみが消化しにくい世の中ですけど、だからこそ前を向こう、頑張ろうというのはちょっと嘘臭く感じて。本当の救いになるのは、俯きながらでも気づかせてくれる大切な人や物だと思います。そんなロックをやりに来ました」と伝えたのは稲生司(Vo/Gt)。「夢なずむ」は夢を諦めない気持ちについて歌った曲で、カラフルなサウンドが彷徨いもがきながら生きる一人ひとりの人生を肯定してくれる。《ステージの上 縁の下》というフレーズが特徴的な「シリウス」はMr.ふぉるて流の人間賛歌だろう。華やかな音像の下、手拍子が起こる光景は温かくも美しく、まさにここが《愛が目に見える場所》なのだと感じさせられた。あっという間にラストを迎え、ミディアムバラード「幸せでいてくれよ」が届けられる。「まだまだ若手なんですけど、もっともっと頑張ってどんどん大きくなっていくので、これからもよろしくお願いします!」(稲生)という意気込みとともに、今目の前にいる人の笑顔を願う1曲でライブを閉じたのだった。Text:蜂須賀ちなみセットリストM1. なぁ、マイフレンドM2. 夢なずむM3. シリウスM4. 幸せでいてくれよgo!go!vanillasgo!go!vanillas3月16日(水)・17日(木) のZepp Haneda2デイズからツアーが始まったばかりのgo!go!vanillasが、その2本と次=3月24日(木)・25日(金) Zepp Nagoyaの間のこの日に、『ビクターロック祭り』に登場。ステージに現れて楽器を持つ前に、(主に牧達弥と長谷川プリティ敬祐が)しばし踊ってみせて、フロアの空気をほどく。そして、牧がギター1本で歌い出した「LIFE IS BEAUTIFUL」に、はじけるように3人の音が重なり、一斉にオーディエンスが揺れ始める──という、軽やかだが熱いオープニング。バンドの音の上を泳ぐように、牧のボーカルが朗々と響く。次は「むちゃくちゃやるから、覚悟しとってな!!1,2,1,2,3,4!!」という、プリティのカウントから、「デッドマンズチェイス」へ。プリティ→牧→間奏をはさんでジェットセイヤ→柳沢進太郎、と、4人でリードボーカルをリレーしていき、最後は全員でユニゾンになる。ジェットセイヤ、隙あらば腰を浮かし、叩きながら立ち上がる。今日に限ったことではないし、この曲に限ったことではないが。続く、アッパーな「お子さまプレート」ではフロント3人が左右にステップを踏んでみせる。その曲終わりのノイズが消えぬうちに、柳沢がリフを弾き始め、プリティが腕で「E」「M」「A」のポーズを、オーディエンスに求めてから「エマ」へ。もう4曲目、すさまじい勢いでライブが進んでいく。間奏ではフロント3人がセンターに集まり、弾きながら背中を合わせるポーズ。「楽しんでもらえてるでしょうか?春になってきましたよ!」と、ギターを置いてハンドマイクになった牧が、この日最初のMCを入れる間も、音は止まらない。ドラムのビートに乗って、話している。「そんな季節に、新曲を持って来ました!」と、3月30日リリースのニュー・シングルであり、始まったばかりのツアーのタイトルでもある「青いの。」を披露。曲に合わせてブルーの照明がステージを包む。オーディエンスがステージに向ける集中力が、グッと上がったのを肌で感じる。「ビクターは、ロック・バンドが多いからね。ロックのかっこいいところを、ここからどんどん見せていきたいと思います!」というMCから後半へ。「子供に戻りましょう、みなさん!」と、牧と柳沢でツインボーカルをとる「クライベイビー」へ。イントロで牧、ジャンプしまくりながらギター・ソロを決める。この曲でも、続く「平成ペイン」でも、フロアのあちこちから突き上げられる腕の数が、どんどん増えていく。後半、曲がブレイクして牧の歌とギターだけになるヴァースでは、ジェットセイヤ、オーディエンスに向けて、指揮者のジェスチャー。ラストは、「俺たちがこのビクターに入った時に、初めて作った、ロックンロールの魔法を、みんなにお届けして帰りたいと思います!」という言葉からの「マジック」。オーディエンスみんな、イントロからラストまで、大きなジャンプで4人に応えた。Text by 兵庫慎司セットリストM1. LIFE IS BEAUTIFULM2. デッドマンズチェイスM3. お子さまプレートM4. エマM5. 青いの。M6. クライベイビーM7. 平成ペインM8. マジックサンボマスターサンボマスター続いてはサンボマスターが登場。重いビートが象徴的なトラックに乗せて山口隆(唄とギター)がラップする「その景色を」がまず届けられた。鮮烈なシーンを経て、山口が「いいか、おめえら。悲しみで踊るんじゃねえぞ。苦しみで踊るんじゃねえぞ。じゃあ何で踊るかって、幸せになるために踊るのよ。幸せに踊りまくってまいりましょう!」と投げかける。すると、エネルギッシュなバンドサウンドとともに空気が弾け、「ヒューマニティ! 」のギターイントロに手拍子も発生。そんななか、山口は今日も曲中や曲間に言葉をたくさん詰め込み、あらんかぎり伝えようとしている。「おめえの心の花が咲けばいいなと思って、ここに歌いに来たんだ!その花の花言葉は不安じゃねえぞ。悲しみじゃねえぞ。真っ暗闇じゃねえぞ。愛と平和だ!」。そんな言葉をきっかけに鳴らされたのが「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」だ。心穏やかではいられない出来事が続く昨今だが、そのうえで「この毎日で、おめえと一緒にいるって決めたんだよ!」(山口)と叫び、ラブ&ピースを鳴らすのがサンボマスターというロックンロール。今は「愛と平和!」とシンガロングすることすらできないが、それでも確かに一つの想いがあの時共有されていた。これら3曲による走り出しのあと披露された最新曲「ボクだけのもの」も心に残る名場面だった。魂から声を出す山口の独唱に、近藤洋一(ベースとコーラス)のベースライン、木内泰史(ドラムスとコーラス)による助走のビート、そして観客の手拍子が順に加わることで迎えるドラマティックなオープニング。削ぎ落としたアプローチによって浮き彫りになった歌と言葉が、聴く人一人ひとりの心に浸透していく様。ミクロとマクロ、個人と宇宙の交信をイメージさせるようなロマンティックな演奏だった。「ちょっと早いけどよ、俺たちからの春休みの宿題はよ……次会う時まで勝手に死ぬんじゃねえぞ、この野郎!」(山口)と「輝きだして走ってく」からライブ後半へ。「できっこないを やらなくちゃ」が、様々な制限があるなかでも全国各地に音楽を届け続けるロックバンドとしての生き様、そして3年ぶりに開催された「ビクターロック祭り」の真ん中にある想いと重なったところで、いよいよ残すはあと1曲。最後は観客一人ひとりに「花束」を贈り、心の中でのコール&レスポンスで心を繋いだ。あなたの心を縛る呪いは、何回でも解きに行く。あなたには生きてほしいんだと、何回でも伝えに行く。綺麗事でも上っ面でもなく、全力を懸けてそれをやるのがサンボマスターというバンドだ。Text:蜂須賀ちなみセットリストM1. その景色をM2. ヒューマニティ!M3. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜM4. ボクだけのものM5. 輝きだして走ってくM6.できっこないを やらなくちゃM7. 花束KALMAKALMA本日の『アタラシイチカラ』2枠目、つまりニューカマー枠で出演したのが、このKALMA。2016年に札幌で結成(現在も在住)、全員2000年生まれなので、今年で22歳。2020年3月にミニアルバム『TEEN TEEN TEEN』で、ビクター / スピードスターレコーズからメジャー・デビューした。今日のステージでは「デイズ」「ねぇミスター」「これでいいんだ」の3曲を演奏。T-REXの「20th Century Boy」をSEに、赤一色のライトの中、3人がステージに登場。まず畑山悠月(Vo,G)がバンドの音に合わせて客席にでっかい第一声を放ち、「北海道から来ました、KALMAです」と自己紹介。「いい日にします。会場全部に届くように歌います!」と宣言してから、1曲目の「デイズ」に入る。このバンド史上、もっとも大規模……かどうか知らないが、少なくとも自分が観て来た中では(そこそこ何度も観ていると思う)、格段に大きなステージである。が、荒削りだしラフだが、それがそのまま魅力になっている今のKALMAの音は、この広い幕張メッセに、とてものびのびと響いている。それが伝わったからか、立ち上がって腕を振り上げているオーディエンスがあちこちにいる。このひとつ前がサンボマスター、この次がDragon Ash、その後がORANGE RANGEとサカナクション、と考えると、その中にあってこの健闘ぶりは、かなりのものだと思う。最初は高校1年の時に、この『ビクターロック祭り』に出られる『ワンチャンオーディション』に応募した。出られなかったけど、その時に観てくれたビクターの人のおかげで、今こうして本編の方に出ている。これってすごいことだと思う──という熱いMCを(他にもいいMC、いろいろあったが、すごい分量になるので割愛)、「ラスト1曲やります。出会ってくれてありがとうございます!」と締めてから、ラストの「これでいいんだ」は、歌われた。Text:兵庫慎司セットリストM1. デイズM2. ねぇミスターM3. これでいいんだDragon AshDragon AshフレッシュなKALMAからバトンを受け取ったのはDragon Ash。1997年2月にミニアルバム『The day dragged on』でビクターエンタテインメントからメジャーデビューし、今年2月でデビュー25周年を迎えた。ライブが始まる前に流れた25年間を振り返るVTR、過去のMVなどを観て懐かしさを感じていた観客もいたのではないだろうか。SEと観客の手拍子をバックにオンステージ。この日の1曲目としてKj(Vo/Gt)が歌い始めたのは「陽はまたのぼりくりかえす」。日の光を思わせるオレンジ色の照明が輝くなか、櫻井誠(Ds)が繰り出すビートに、ステージ上のメンバーも客席を満たす観客も自由に身を揺らし始めた。場内に広がるのは、希望を内包した温かなバンドサウンド。スクリーンに映るメンバーの表情も穏やかだ。一転、BOTS(DJ)のスクラッチを合図に瞬時にギアチェンジ。「Mix it Up」で轟く重厚なサウンド。多方面から照明を浴びながらhiroki(Gt)が炸裂させるソロ、そしてサポートのT$UYO$HI(Ba/The BONEZ、Pay money To my Pain)をフィーチャリングに迎えたベースラインが特に強烈な一曲「Fly Over feat.T$UYO$HI」と畳みかけていく。プリミティブなラテンのリズムと開放的なメロディが一体となった「AMBITIOUS」など、様々な要素をハイブリッドさせて生まれる独自のバンドサウンド、その説得力からはやはり25年の歴史キャリアを感じる。そんななか、「久々なんじゃない?ビクターロック祭りは。まだマスクもしなきゃいけないし、声も出せないけど、できるところまでは前進したと俺は思っている。こんなデリケートな時にスピーカーの前に集まってくれてありがとうございます」と観客に伝えるKj。心を交わす場所としてのライブ空間を連想させる曲「ダイアログ」をまっすぐ届けつつ、「Jump」では音を楽しむという原始的な感覚を呼び覚まさせ、その音でみんなを文字通り飛び跳ねさせる。「ロックフェス楽しい?」というKjの投げかけに応え、客席から上がる腕の数々。そして「コロナがなくなったらマスクとって一緒に歌おうな!」という約束が交わされた。バンドにとって神聖な場所、ライブ行う現場を歌った曲「百合の咲く場所で」を終えてMC。ここではKjが「俺たちみたいなバンドマンはこうやって観に来てくれるみなさんが拠り所だし、みなさんのおかげで大きな音で大好きなロックンロールを鳴らせています。願わくば俺たちの話ばっかじゃなくて、音楽業界の話ばっかじゃなくて、みなさんの生活を音楽で少しでも支えられていたら俺たちは今日来た意味があります」と語り、ラストの「New Era」へと繋げた。ここに全てを置いていかんとするメンバーの気概、熱量を感じさせる名演。壮大なスケールのサウンド、その輝きは私たちの未来を照らす灯だ。Text:蜂須賀ちなみセットリストM1 陽はまたのぼりくりかえすM2 Mix it UpM3 Fly Over feat. T$UYO$HIM4 AMBITIOUSM5 ダイアログM6 JumpM7 百合の咲く場所でM8 New EraORANGE RANGEORANGE RANGE2022年で25周年を迎えるDragon Ashは、その軌跡を振り返るオープニング映像がライブの前に流れたが、2021年が20周年だったORANGE RANGEも、ライブの前に20周年振り返り映像があった。後半のMCで、法被姿のRYOが、去年はコロナでお祭りっぽい活動があまりできなかった、だから今年も祭りをやる、と説明した。というのはいいが、今日のORANGE RANGEは2MCだった。HIROKIがコロナ陽性で欠席。今年最初のライブも、ここ幕張メッセだったが、その時はYOHがいなかった(1月22日のイベント『LIVE HOLIC』、YOHが体調不良で抗原検査を受けたら陰性だったが、大事を取って不参加)。代わりにお客さんたちが助けてくれた。で、今日はそのリベンジだけど、見てのとおり、HIROKIがいない。「みなさん、HIROKIの分まで歌ってください」って言いたいけど、(声が出せないので)それも言えない──と、1曲目の「チェスト」の後のMCで、RYOが説明する。で、その末に「いけますか幕張!いけますかビクターロック祭り!」と叫ぶ。この展開、普通なら、悲壮な空気になってもおかしくないのに、オーディエンス、明るく大拍手で応える。人徳というか、バンド徳というか、とにかくこのバンドの持つ、得難いキャラクターならではだろうと思う。「ビバ★ロック」で、シンガロングの代わりに腕を高々と上げさせ、「桜がちょいと開花してますね。だけどORANGE RANGE、春の曲はない!春の次の夏の曲はたっぷり持ってますよ!」とアオリを入れてから「上海ハニー」へ。「声も出せないし、制限があって大変だけど、制限があっても沖縄のダンス、カチャーシーはできるわけですよ!」の言葉で、フロアいっぱいにカチャーシーが広がる。その壮観な景色を、RYO、「すごいうまいですよ、みなさん!」と、称賛する。「SUSHI食べたい feat.ソイソース」と「イケナイ太陽」で「ワンマンかこれ?」と言いたくなるくらい、さらに場をアゲてから、RYOが言う。「いちばん悔しいのは、HIROKIなんですよ、沖縄から出れずに。だから、ちゃんとHIROKIに『後ろまで手が上がってたよ、みんな楽しんでたよ』って伝えますからね」「みんな、今、大変な時期だから、うまくいかないこととか、自分を見失いそうになることばっかだと思うけど、『ORANGE RANGEが、主メロを歌うメイン・ボーカルがいない中で、ライブやったよ』って思い出してくださいね、そういう時に。僕たちは、そういう存在になりたいので」。大きな拍手が湧く。「辞退するという道もあったけど、今日ステージに立ってよかったなと思いました。最後にもう1曲だけ、力を貸してください」と、ラストに「Ryukyu Wind」で、もう一度オーディエンスをピークまで踊らせてから、ORANGE RANGEはステージを下りた。Text:兵庫慎司セットリストM1. チェストM2. ビバ★ロックM3. 上海ハニーM4. 祭男爵M5. SUSHI 食べたい feat. ソイソースM6. イケナイ太陽M7. Ryukyu Windサカナクションサカナクション9組の熱演を経て、トリを務めたのはサカナクション。SEと青色のライティングが幻想的な世界を作るなか、山口一郎(Vo/Gt)、岩寺基晴(Gt)、草刈愛美(Ba)、岡崎英美(Key)、江島啓一(Ds)の5名が横一列に並びスタンバイしているのがシルエットから分かる。今年3月30日にコンセプトアルバム『アダプト』をリリースするサカナクション。ライブのオープニングでは、アルバムの1曲目となる「塔」から「ミュージック」へと繋げることで、ベースミュージックからバンドサウンドへの移行をグラデーション的に描いていった。冒頭のリズムで次の曲が「アイデンティティ」だと察した人が多かったのか、観客のノリがもう一段階激しくなったところで「みなさんどうも、サカナクションでーす!心の中で一緒に歌ってください!」と山口。そうして始まった待望の「アイデンティティ」に、マッシュアップアレンジを挟みながら「ルーキー」が重ねられ、つまりオールタイムベスト的な楽曲が惜しみなく披露された。全体的に低音の鳴りが深く、特に「ルーキー」はリズムを担う江島以外のメンバーも要所でタムを叩くアレンジであることも相まって、問答無用で踊りたくなる。そうして「プラトー」に辿り着いた瞬間のカタルシスたるや。冒頭の静けさとサビでの躍動、地を鳴らすドラム&ベースと光のギター&キーボードによるコントラストが聴く人を歓喜の果てへと連れていく。サカナクションが「ビクターロック祭り」に出演するのは2017年以来5年ぶり、そしてフェス自体の出演も2年ぶりとのこと。山口は「2年ぶりのフェスなので、どんな感じなのか思い出しながらやってるところがありますけど。せっかくこうして集まったんですから、思いっきり、一緒に汗をかくまで楽しく踊りましょう!」とも言っていたが、久々のフェス出演を楽しむメンバーの笑顔が印象的だったものの、いわゆるブランクのようなものは一切感じられない。むしろ「プラトー」に「陽炎」に「ショック!」など、さらなるキラーチューンを引き連れての堂々たる帰還、そして床が揺れるほどの盛り上がりようである。なお、「ショック!」では、女性リポーターがステージ上に登場し演奏中のメンバーにマイクを向けるなど、MVを模した演出も。リズムに合わせて脇をしめる通称・ショックダンスを客席でみんなが踊っていた。そんななか、間髪入れずに歪んだギターが鳴り、始まったのは「モス」で極めつけは「新宝島」。高速で上空を行き交うレーザー、特徴的なキメ&コーラス、軽快なギターカッティング、グルーヴィーなベース&ドラム、刺激的な鍵盤フレーズ……。とにかく様々な要素が場内のテンションをこれでもかと引き上げる。「ビクターの新社長を迎えての初めてのビクターロック祭りです。楽しんでいただけましたでしょうか?」(山口)とコアな情報を交えながら迎えたフィナーレ。「忘れられないの」、そして心が洗われるような「目が明く藍色」まで、音楽を全身で楽しめる喜びをただただ分かち合う、ピュアな時間が続いたのだった。Text:蜂須賀ちなみセットリストM0. 塔M1. ミュージックM2. アイデンティティM3. ルーキーM4. プラトーM5. 陽炎M6. ショック!M7. モスM8. 新宝島M9. 忘れられないのM10. 目が明く藍色DJダイノジDJダイノジトリのサカナクションの後は、「毎回出ているし毎回必ず盛り上げるけど、昔も今もきっと未来も、ビクターと何の契約もない人たち」としておなじみ、DJダイノジがクロージング・アクトを務める。……って、ちょっと待て。この会場、ご覧のように、全席指定ですよね。で、今日、当然、規制退場、ありますよね?今の今まで気がつかなかったけど、クロージングDJと全席指定と規制退場、相性が悪すぎないか?サカナクション終わったらどーっと帰っちゃって、でもそこではDJダイノジやってるから規制のアナウンスできなくて、とんでもないカオスなことになるんじゃない?あと、残った人も、イス席じゃあ踊るっていっても……って、ならない?ならなかった。大半の人が残って、最後まで自分の席で、手拍子を打ったりダンスしたりジャンプしたりして、ダイノジのDJを楽しんだのだった。びっくりした、正直。人気あるんだなあ、DJダイノジ。コロナでみんな飢えていたのかもしれない、DJダイノジ的な楽しさに。という意味ではDJダイノジ、ある意味、フェスを体現している存在なのかもしれない。それは誉めすぎ。「今日はすばらしいビクター・レーベルから出ているアーティストだけで、いきたいと思います」と大谷ノブ彦、宣言。せっかくなので何をかけたか書いておきます。今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる / Awesome City Club→きらきら武士 feat.Deyonná / レキシ→Magic Music / 木村カエラ→Crazy Crazy / 星野源→ギャグ / 星野源→ファントムヴァイブレーション / キュウソネコカミ→MONSTER DANCE / KEYTALK→クラーク博士と僕 / 四星球→KEEP ON ROCKIN’ / THE BAWDIES(ここで大地、エアギター)→ワンダーフォーゲル / くるり→Yang 2 / avengers in sci-fi→夜の踊り子 / サカナクション→ショック! / サカナクション→勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ→SHAKE / SMAPエンドSE:歩いて帰ろう / 斉藤和義こういう選曲の中に、アヴェンズとか入れてくるあたり、いいなあと思う。おつかれさまでした。お客さんみんな、最後までめちゃくちゃ楽しそうでしたね。最高のクロージング・アクトだったのでは。なので、「レキシと木村カエラと斉藤和義は、ビクターに移籍して来る前の曲じゃないか」という揚げ足は、取らないでおきます。Text:兵庫慎司Photo:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)<配信情報>定額制音楽配信サービスにて当日の出演アーティストのプレイリスト公開中!・ORANGE RANGE:・キュウソネコカミ:・go!go!vanillas:・サカナクション:・サンボマスター:・Dragon Ash:・KALMA:・Mr.ふぉるて:カラオケまねきねこアーカイブ配信情報はこちら:
2022年03月21日菅田将暉が、3月20日に自身2回目となるオンラインライブ『菅田将暉 LIVE STREAMING VOL.2』を開催。そのオフィシャルレポートが到着した。2017年から本格的に音楽活動を開始し、音楽アーティストとしても注目される菅田。2019年リリースの「まちがいさがし」は各配信ストアにて1位を獲得し、ストリーミング2億再生を突破。その年には『第70回NHK紅白歌合戦』への初出場を果たし、『第61回 日本レコード大賞』特別賞を受賞するなど、音楽アーティストとしても大きな注目を集めている。雪の積もる冬景色の中、階段を上がっていく先の綺麗な陽の光が差す一室でバンドメンバー「KNEEKIDS」とともに始めた1曲目は「クローバー」。2019年のツアー以来となる演奏にも関わらず、息の合ったアンサンブルが温かい空気で満たしていく。そして、「サンキュー神様」はバンドメンバーのシミズコウヘイがボーカルとしても参加し、歌の掛け合いを行う中で、更にグルーヴが増していく。その後のMCでは、「1年ぶりですかね、オンラインライブ見て下さって、ありがとうございます。改めまして菅田将暉です。」と始まり、楽曲制作のための合宿の中で実施されたオンラインライブなこともあり、良い意味で力の入り過ぎていないアットホームな空気に終始包まれていた。続いて、ベースとボーカルから始まるまたいつもとは少し違うアコースティック調でのアレンジで「まちがいさがし」を披露。ミュージックビデオを撮り下ろしたばかりの「ギターウサギ」は、張り上げたエモーショナルな歌い方でまた原曲とは違った一面を見せるアレンジで披露した。バンド編成では初の披露となるストリーミング再生が2億を突破した「虹」、メンバー紹介をはさみつつ、映画『糸』のエンディングソングとしても起用された「糸」を丁寧に歌い上げた。そしてアコースティックギターを手にして「ベイビィ」をベースとドラムのシンプルな編成で披露した。幕間のオフショット映像をはさんで、今度は場所を変えて照明も光るよりライブハウスに近い空間で披露したのは「TONE BENDER LOVE」。間髪を入れず「Keep On Running」「ソフトビニールフィギア」とアップテンポナンバーを次々と披露していく。「皆さん見えてますか、あと少しなんで一緒に楽しんで下さい。」と配信ライブを見ているお客さんに声がけをしつつ披露したのは、歪んだギターが印象的な「7.1oz」。そしてギターを手に「あと2曲、楽しんでやっていきます。」と印象的なギターイントロとともに歌い出したのは「さよならエレジー」。そして「今というものにぶつけてひゅーい君と作りました。今日はありがとうございました。」と、最後には最新曲でライブ初披露となる「ラストシーン」を残った力を出し切るように強く歌い上げ、オンラインライブは幕を閉じた。なお今回のオンラインライブは3月27日23時59分までアーカイブ配信中。Photo:上飯坂一セットリスト1. クローバー2. サンキュー神様3. まちがいさがし4. ギターウサギ5. 虹6. 糸7. ベイビィ8. TONE BENDER LOVE9. Keep On Running10. ソフトビニールフィギア11. 7.1oz12. さよならエレジー13. ラストシーン<配信情報>『菅田将暉 LIVE STREAMING VOL.2』開催場所:山中湖音楽村 サウンドビレッジ3月27日(日) 23:59までアーカイブ配信中『菅田将暉 LIVE STREAMING VOL.2』キービジュアル【チケット料金】TopCoat Land会員限定チケット:4,000円(税込)一般チケット:3,000円(税込)※TopCoat Land会員限定チケットは、ライブ配信後のアフタートーク付きとなります。※TopCoat Land会員でもライブのみのチケット(3,000円)をご購入いただけます。【チケット販売期間】3月27日(日) 19:59まで【グッズ情報】・ビッグシルエットスウェット:6,800円(税込)『菅田将暉 LIVE STREAMING VOL.2』ビッグシルエットスウェット・ブランケット:5,800円(税込)『菅田将暉 LIVE STREAMING VOL.2』ブランケットTopCoat Online Shopはこちら: Land 会員登録はこちら:<リリース情報>菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』Now On Sale●完全生産限定盤仕様:CD+オリジナルTシャツ+紙ジャケット+オリジナル封筒+ステッカー8枚セット価格:6,270円(税込)菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』完全生産限定盤ジャケット菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』完全生産限定盤 紙ジャケットステッカー貼付例(菅田将暉本人作成)菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』完全生産限定盤 セット一式●初回生産限定盤仕様:CD+Blu-ray+紙ジャケット+ステッカー8枚セット価格:4,180円(税込)菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』初回生産限定盤ジャケット菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』初回生産限定盤 紙ジャケットステッカー貼付例&配信ジャケット(菅田将暉本人作成)菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』初回生産限定盤 ステッカーセット●通常盤仕様:CDのみ価格:2,860円(税込)菅田将暉 2020-2021 SONGS『COLLAGE』通常盤ジャケット【CD収録内容】1. 虹(映画『STAND BY ME ドラえもん 2』主題歌)2. サンキュー神様(菅田将暉×中村倫也)3. Keep On Running(菅田将暉×OKAMOTO’S / トヨタ自動車 カローラツーリング CMソング)4. 星を仰ぐ(日本テレビ×Hulu共同製作ドラマ『君と世界が終わる日に』主題歌)5. ラストシーン(TBS系日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』主題歌)6. 糸(菅田将暉×石崎ひゅーい / 映画『糸』応援ソング&映画エンディングソング起用 / トヨタホームCMソング)7. サントラ(Creepy Nuts×菅田将暉 / 日本テレビ系『スッキリ』2020年7月テーマソング)8. うたかた歌(RADWIMPS feat. 菅田将暉 / 映画『キネマの神様』主題歌)【Blu-ray収録内容】※初回生産限定盤のみ■菅田将暉 Music Video Collection01. 見たこともない景色02. ばかになっちゃったのかな03. 呼吸04. さよならエレジー05. ロングホープ・フィリア06. まちがいさがし07. キスだけで feat. あいみょん08. Keep On Running(菅田将暉×OKAMOTO’S)09. サンキュー神様(菅田将暉×中村倫也)10. 虹11. 星を仰ぐ12. ラストシーン13. ギターウサギ ※新録菅田将暉 2020-21 SONGS『COLLAGE』全曲ダイジェスト菅田将暉「ギターウサギ」MV【店舗別特典】菅田将暉 2020-21 SONGS『COLLAGE』店舗別購入者特典■Sony Music Shop:オリジナルアクリルキーホルダー■HMV全店(HMV&BOOKS online含む / 一部店舗を除く):オリジナルB3ポスター(Type.A)■TSUTAYA RECORDS(一部店舗除く)/ TSUTAYAオンラインショッピング:オリジナルB3ポスター(Type.B)■新星堂WonderGOO:オリジナルA4クリアファイル(Type.A)■Amazon.co.jp:メガジャケ※初回生産限定盤に付くメガジャケの絵柄は、商品のジャケット絵柄とは異なります。■楽天ブックス:オリジナルA4クリアファイル(Type.B)■楽天ブックス(ファミリーマート受け取り限定):オリジナルクリアポーチ※楽天ブックス特典のオリジナルA4クリアファイル(Type.B)は対象外となります。■セブンネットショッピング:オリジナル三つ折り卓上カレンダー■菅田将暉応援店:オリジナルスマホサイズステッカー※応援店対象店舗:※数に限りがありますので、なくなり次第終了となります。※上記店舗以外での配布はございません。※各オンラインショップにつきまして、カートが公開されるまでに時間がかかる場合がございます。※Amazon.co.jp、楽天ブックス、その他一部オンラインショップでは「特典対象商品ページ」と「特典非対象商品ページ」がございます。予約の際は、希望される商品ページであることをご確認ください。購入リンク:特設サイト:関連リンク菅田将暉 OFFICIAL HP菅田将暉 音楽OFFICIAL HP
2022年03月21日女性ラッパーのAwichが、初の東京・日本武道館公演『Welcome to the Queendom at 日本武道館』を3月14日に開催。そのオフィシャルレポートが到着した。3月4日にリリースした最新アルバムに『Queendom』と冠したのは、「日本のヒップホップを次のステージに押し上げるためにもっと大きな存在にならなければいけないと思ったから」と、Awichは明かしている。そのリリース直後に開催された初の武道館公演は、「ゴールでもあり始まりでもある」大きな分岐点と位置付けられた。3月14日武道館。開演時刻が過ぎ、場内が暗転し、ステージ上に立つAwichにピンスポットが当たり、『Queendom』の1曲目を飾る表題曲「Queendom」からライブは始まった。なぜ武道館に立つのかというAwichの半生が綴られた前半パート。これからどうなっていくかという未来への覚悟を綴った後半パート。途中、ステージから炎が勢いよく上がり、文字通り挑戦の舞台の火蓋が落とされた形に。ラストの「荊棘を抜け、立つ武道館!」というフレーズを歌い切り、巨大なビジョンに「QUEENDOM」の文字が映る。その前でしばし仁王立ちし、この武道館を圧倒的なパフォーマンスでもって成功させ、Queenとして歩を進めるんだという決意を漲らせるAwichの姿に大きな拍手が送られる。あの不敵なイントロが聴こえ、「まさか女が来るとは」と挑発する「Shook Shook」へ。真っ黒いボディスーツのような衣装に身を包んだAwichは歴史的なステージを見届けようと集まったたくさんのオーディエンスを前にアジテートしまくる。ヘビーなビートが貫く「NWO」を披露した後、「まさか女が来るとは。まさかこの私がこんな形でこの場所に立てるとは想像もしてなかった時もあります。だけど今はそれができてる。何でもできる気がする。どこにでもいける気がします。付いてこれんの?武道館!」とさらにアジテート。Awichの大きな魅力である「媚びないエロス」が炸裂したブロックへ突入。「Poison」ではゆるふわギャングのNENEが登場し、Awichとふたりでファンキーなリフに合わせてなまめかしいフロウを展開。それぞれが噴射器を持ちお立ち台の上に立って同時にCO2を吹き出しながら「ハマっちまうほどGimme the poison!」とシャウト。かっこよすぎだろう。このライブは豪華な客演のラインナップが事前に告知されていたが、まず“同志”であるNENEとのコラボから始めるところがAwichらしい。「興奮するのはわかるけど、今日は声に出しちゃダメ。いつかこのためてた分、全部口に出せるの待っててねー!」というコロナの収束を願うMCからの「口に出して」。口に出せない代わりにハンドクラップが巻き起こる。途中で音を止め、「生死をかけて愛されるのは罪?」から始まるとびきりのバースを聴かせる。続くRIEHATA率いるRIEHATA Dancersの面々が登場した「どれにしようかな」での「女は女らしくとかうるせぇんだよShut the fuck up」というシャウトが武道館に響く痛快さといったら!女性のためのファイトソングが次々と投下されていく。「最強ガールズたちでしょ?でも今日は最強のガールズパワーだけでなく私の大好きな仲間たちが駆けつけてくれてます」。DJ U-LEEを紹介し、自らも一員であるYENTOWNの面々を呼び込むブロックへ。破壊力爆発のビートが炸裂した「UP IN SMOKE」が武道館を揺らし、YENTOWN CREWの凄みを見せつける。武道館2階席からつるされた沖縄の旗を指差し、「あの島で教えられた精神が今の私を作ってます」と話し、同じ沖縄出身のOZworldとCHICO CARLITOを呼び込み、沖縄のカルチャーの象徴でもある首里城が3年前に火災で焼失したことについて書いた「琉~Ryu~」。AwichのリクエストによってOZworldがスペシャルゲストの唾奇を招き、ふたりでOZworldの楽曲「NINOKUNI」を披露するサプライズもあった。ヒップホップが私を助けてくれた白いベアトップオールインワンの衣装に着替えたAwich。アメリカで最愛のパートナーを亡くし、彼の遺志に則り、愛娘と一緒に遺灰を海と空にまいた時のことを歌った「Ashes」へ。ビジョンには海辺で亡き家族について話す幼き日の愛娘とAwichの映像が流れる。その映像を見つめるAwich。「いつもそばにいてくれて笑顔と勇気をくれたとても強い人がいます」と言い、愛娘Yomi Jahを迎えた「Jah Love」を披露。親娘3人の絆が母と娘によって歌われる。特に「どん底からここまでYou held me up」というフレーズは、武道館において格別の響きを伴って鳴っていた。「私のことずっと見てきた人たちはもうわかるよね?辞めなければいつでもリベンジできます」といって、「Revenge」へ。“最大の復讐は許すこと”。巨大な喪失に何年も苦悩し続けてきたAwichが出した答えとオーディエンスが揺らすスマホライトの光が、多くの傷を救済に導くかのように武道館を照らした。「ヒップホップを諦めないでやってきてよかった。ヒップホップが私を助けてくれたし、私の声をみんなに届けてくれた。いろんな場所にストーリーがあるって教えてくれた。そんなヒップホップに感謝」。ヒップホップの流儀のひとつである自らの育ったエリアをボースティングする「Link Up」だ。沖縄をボースティングするAwichに、東京出身のKEIJU、東海出身の¥ellow Bucksが続く。「そこにもストーリーがあると知った」「要らない壁はもう、砕け散った」というリリックを体現するリアルが炸裂する。盟友KEIJUと「Remember」を披露した後、ビジョンにAwichと鎮座DOPENESSとDOGMAの顔写真がでかでかと映し出される。「洗脳」の最強のトライアングルによるマイクリレー。「バカばっかだ全く」のシャウトにたくさんの拳が上がる。興奮冷めやらぬフロアに向かってAwichが「武道館まだまだいける!?私のQueendomを語る上で無視できないKingの存在があります。私が日本に帰ってきてまだ誰にも知られてない頃、彼は私に言ってくれました。『やっちまいな!』」。ANARCHYとふたりお立ち台に立って、それぞれの闘志と決意をマシンガンのようなラップでかましあう。最後のAwichの「やっちまいな!!」のシャウトに大きな拍手が送られる。ANARCHYが感慨深げに「俺はこんな日が来ることが最初からわかってた。俺は『やっちまいな』って言ったらしいけど、俺の一言目を彼女は忘れてる。(Awichは)『ヤバすぎる!』って思ったんだよ。『お前誰?』」。もちろんAwichの名を知らしめた代表曲のひとつである「WHORU?」だ。畳みかけるようなセットリストに、右肩上がりに盛り上がる武道館。JP THE WAVYとYZERRとゴリゴリの掛け合いを展開した「GILA GILA」のパフォーマンスを終え、YZERRが「GILA GILA」の名フレーズにかけて「この会場見て思ったけど、姉さんならもっとイケる!」と言い放ち、Awichが照れくさそうな笑顔を浮かべる。Yomi Jahのボイスメールをサンプリングした「Skit」が流れ、ドレスに身を包んだAwichが再登場。『Queendom』のラストを飾る「44 Bars」でYomi Jahとの関係性と決意を歌い、「Let’s go Awich!」と自らを鼓舞。「子持ちの未亡人だってこんなところに立てるんだよ。だからなんだってできる。日本だけにとどまらず世界を目指す。そして日本でもヒップホップがもっとオーバーグラウンドになっていくように私が引っ張っていく。来年はアリーナでやります」という、力強い宣言に拍手が起こる。「今日はこれまでの私の人生のゴールです。でもこれからの人生の出発点でもある。この神話の始まりの証人になってくれてありがとうございました!この曲もいつかみんなで大声で歌えることを私はあきらめない!」と言ってからの「Love Me Up」。最後の曲は、再び登場したYomi Jahがしなやかなダンスを披露し、愛娘ふたりでパフォーマンスされた狂おしいラブソング「Bad Bad」だった。オーディエンスがAwichへのサプライズでそれぞれ手に持った1輪のバラを掲げているのが目に入り、感極まったAwichは「みんなにもっと大きな景色を見せるから」と固く約束し、濃密過ぎる約二時間の公演を締めた。自らの半生を辿り未来への決意を吐露したところから始まり、ガールズパワー、CREW愛、地元愛、ヒップホップ愛、家族愛……深い傷と葛藤を抱きながらもあらゆる存在に愛とリスペクトを捧げ、オーディエンスの心を掴み続けた圧巻の武道館、新たなQueenがそこにいた。文:小松香里撮影:cherry chill will.<公演情報>『Welcome to the Queendom at 日本武道館』3月14日(月) 東京・日本武道館出演:Awich客演:ANARCHY / CHICO CARLITO / DOGMA / JP THE WAVY / KEIJU / kZm / MONYPETZJNKMN / NENE / OZworld / RIEHATA / ¥ellow Bucks / Yomi Jah / YZERR / 鎮座DOPENESS / 唾奇演出:山田健人セットリスト1. Queendom2. Shook Shook3. NWO4. Poison feat. NENE5. 口に出して6. どれにしようかな7. WheU@8. DJ U-LEE TIME9. NEBUTA feat. kZm10. UP IN SMOKE / MONYPETZJNKMN11. Gangsta12. 琉〜Ryu〜 feat. CHICO CARLITO & Awich / OZworld13. DEIGO feat. OZworld14. NINOKUNI feat. 唾奇 / OZworld15. Ashes16. Jah Love feat. Yomi Jah17. Revenge18. Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks19. Remember feat. YOUNG JUJU20. 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS21. やっちまいな feat. ANARCHY22. WHORU? feat. ANARCHY23. GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR24. Arigato25. 44 Bars26. Love Me Up27. Bad Bad<リリース情報>Awich ニューアルバム『Queendom』Now On Sale●CD+DVD:3,500円(税込)Awich『Queendom』ジャケット【CD収録内容】1. Queendom2. GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR3. やっちまいな feat. ANARCHY4. WheU@5. Yen Bloc6. Heartbreak Erotica7. 口に出して8. どれにしようかな9. Follow Me10. Revenge11. Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks12. Skit(Toyomi Voicemail)13. 44 Bars【DVD収録内容】・「Shook Shook」MV・「Bad Bad」MV・「GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR」MV・「口に出して」MV・「WheU@」MV ※未公開映像・「Yen Bloc」MV ※未公開映像・「Bad Bad」(2020 Summer Love Offshot Edition with Yomi Jah)※未公開映像Awich「Queendom」MV配信リンク: オフィシャルサイト:
2022年03月15日BTSが3月10日・12日・13日に韓国・ソウル蚕室(チャムシル)総合運動場メインスタジアムで単独コンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE - SEOUL』を開催。そのうち3日目公演のオフィシャルレポートが到着した。『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE - SEOUL』は、2019年10月に行われた『BTS WORLD TOUR LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF [THE FINAL]』以来、約2年6カ月ぶりに韓国で開催された単独コンサート。3日間で約4万5千人のARMY(ファンの総称)を動員したほか、1日目と3日目の公演はオンラインライブストリーミングが行われ、2日間、191の国と地域で102万人が視聴した。(C)BIGHIT MUSIC2日目公演はライブビューイングを通じて世界75の国と地域の計3,711の映画館でリアルタイム上映された。全世界の「ライブビューイング」観客数は約140万人と集計されたが、これは全世界の「イベントシネマ」(コンサート、オペラ、スポーツ競技など映画以外のコンテンツを実況、または7日以内に映画館で上映するイベント)基準で最多観客新記録となった。(C)BIGHIT MUSIC3日目公演では「ON」「Black Swan」をはじめ、バンドバージョンに編曲した「Boy With Luv」「Dynamite」「Butter」や移動車に乗って会場を回りながら歌った「Telepathy」「Outro:Wings」など、約180分間で20曲を熱唱。(C)BIGHIT MUSIC久しぶりにソウルで開かれるオフライン公演であるだけに、7人のメンバーがステージの上で一緒にできる曲だけでセットリストが構成されたほか、昨年10月に同会場で行われたオンラインコンサートについて語る場面もあった。(C)BIGHIT MUSIC観客は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、歓声の代わりに歌に合わせたクラッパー(応援用小道具)と、応援棒(アミボム)の光を利用した「ウェーブ」でコンサートを盛り上げた。BTSは「僕たちももう(デビュー)10年目だが、10年間一度もなく、今後の10年間もないであろうユニークな無歓声コンサート」とし、今回のコンサートを「拍手コンサート」と命名した。(C)BIGHIT MUSICまた、BTSとファンが集中し合えるよう「出会い」そのものに焦点が当てられ、上下前後に転換できる可変型「移動式大型LED」が中央ステージに設置された。会場で観覧するファンたちはBTSのパフォーマンスをよりリアルに楽しむことができ、オンラインストリーミングとライブビューイングを通じて公演を楽しむ観客たちにも現場の熱気がリアルに伝わった。(C)BIGHIT MUSICこれだけでなく1、2日目の公演でアンコール曲の「HOME」が歌われた際にはLED画面に事前イベントを通じて配信されたファンの名前が登場。ファンとの特別な瞬間を画面に刻んで感動を与えた。(C)BIGHIT MUSIC「3日間の奇跡のようなコンサートが終わりましたね。一ヶ月後、一年後、遠い未来でいつも皆様をお待ちしております。この公演の最後の曲も、いつものように皆さんのいらっしゃる場所で完成されるでしょう。各自の位置で思う存分、体と心で踊っていただければと思います」コンサートでそう語った彼らは、ツアーシリーズのメインメッセージでもある「Permission to Dance」を歌い、3日間のコンサートのフィナーレを飾った。2年半ぶりに観客と再会し、特別な思い出を作ったBTSは「いつも皆さんを待っている」と次回を約束した。(C)BIGHIT MUSICソウルコンサートを終えたBTSは、4月8・9日(現地時間)と15・16日に米国・ラスベガスで『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE - LASVEGAS』を開催する。<商品情報>BTS『BTS 2022 SEASON’S GREETINGS』発売中【購入リンク】BTS JAPAN OFFICIAL SHOP: MUSIC STORE:<リリース情報>BTS『Butter』【輸入盤】発売中【収録曲】01. Butter02. Permission to Dance03. Butter(Instrumental)04. Permission to Dance(Instrumental)BTS「Butter」MVBTS「Permission to Dance」MV『Butter』詳細はこちら:『Butter』配信リンク: ベストアルバム『BTS, THE BEST』発売中『BTS, THE BEST』ハイライト映像BTS「Film out」MV『BTS, THE BEST』購入リンク:関連リンクBTS 公式サイト: ユニバーサルミュージック公式サイト:
2022年03月14日3月8日、International Woman’s Day(国際女性デー)にBunkamuraオーチャードホールにて『AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE“HANDSOME”is not just for men.(スーパー・ハンサム・ダブル・ライブ ハンサム・イズ・ノット・ジャスト・フォー・メン)』(以下、『ハンサム W LIVE』)が開催された。2005年より若手男性俳優によるファン感謝祭、通称「ハンサムライブ」を開催してきたアミューズが「ハンサムとは男性だけのものにあらず」をコンセプトとして今回初めて披露する『ハンサム W LIVE』。アミューズに所属する女優たちが見事なパフォーマンスを見せるプレミアムなライブで、構成・演出はアミューズ所属の演出家、小林香。すばらしい役割を担ってきた女性たちによってもたらされた勇気と決断をたたえる日「国際女性デー」に相応しく、エンターテインメント性あふれる中に女性たちのエンパワーメントを実感した特別なLIVEとなった。その模様をレポートする。期待が高まる中、「Starting Now〜新しい私へ」のナンバーでLIVEは開幕。舞台中央に柚希礼音が登場しスポットライトが当たると、客席から大きな拍手が沸き上がる。ソニン、愛希れいか、村川絵梨、清水くるみ、石田ニコル、三吉彩花らアミューズの女優たちが次々に登場する度にステージが華やぎを増し、観客は熱い手拍子で盛り上げる。続いて、出演キャスト全11人による力強いパフォーマンス「This Is Me」(『The Greatest Showman』より)。楽曲が持つポジティブなメッセージが伝わってくる。「皆様ようこそ!本日はありがとうございます。今日は国際女性デー、女性にパワーを与えるこの日に『ハンサム W LIVE』を初めて開催できて嬉しいです。一緒に盛り上がっていきましょう!」と輝く笑顔を見せるキャストたち。ここからは怒涛のように圧巻のパフォーマンスが繰り広げられる。日本のミュージカル界を代表する女優たちが集まる『ハンサム W LIVE』とあって、ミュージカルの名曲の数々が披露される。ソニンが歌う「Defying Gravity」は自身が「大好きなミュージカル」だという『WICKED』からのナンバーだ。女性の強い意志が表現されて、タイトルどおり「重力に逆らって」空高く舞い上がるような浮遊力がソニンの歌声から伝わってきた。石田ニコルが出演したミュージカル『IN THE HEIGHTS』より「It Won’t Be Long Now」をラテンのムードたっぷりに歌い上げる。三吉彩花は出演作『「The PROM」』より「Dance with You」を清水くるみと共に歌う。伸びやかな歌声からは人と人とが求め合う気持ちが伝わり、聞いていてあたたかな気持ちになった。愛希れいかは出演した『ファントム』より「HOME」を情感豊かに表現する。「舞台こそが私の夢が叶う場所であり、ホーム」と歌う楽曲。コロナ禍という困難な今の時期でも真摯に舞台に向かい合う愛希の歩みがこの歌に結実した。村川絵梨が歌う「Goodbye Until Tomorrow」は、村川が出演した『The Last 5 Years』のラストソング。切ない恋の物語を実際に演じた人ならではの表現で、まるでミュージカルを1本観た後のような余韻が残った。国際女性デーに歌うのに一番ピッタリだと思った楽曲は「自由の国の娘たち」。アミューズが制作したミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』よりのナンバーだ。ブロードウェイの新進気鋭ソングライティング・コンビと日本のクリエイティブ・チームがタッグを組んだ新作で、女性の権利を求めて労働争議を率いた実在の女性を描いた作品は読売演劇大賞優秀作品賞を受賞するなど高い評価を得た。柚希、ソニン、清水、石田、島ゆいかという出演キャストによるパフォーマンスからは自由を求めて戦った女性たちのエネルギーがほとばしる。キャストたちからも口々に「ぜひ再演を!」という声が上がったが、今こそ再演を望みたいところだ。また、今回日本で初披露されたのはミュージカル『イフ/ゼン』より柚希礼音が歌う「Always Starting Over」。本作は柚希主演、小林香演出により上演が予定されていたが、コロナ禍の影響で残念ながら上演中止に。柚希が伝える「たとえつまずいたとしても、何度でもこの人生を始めよう」というメッセージは、今の時代に一番必要なものではないかと感じる。柚希自身の想いが込められた感動的な歌唱だった。村川絵梨、恒松祐里、堀田真由がPerfumeのダンスを完コピさらに『ハンサム W LIVE』ならではの数々の企画やコラボレーションが続く。飛び切りの「ハンサムウーマン」な姿を見られたのが、「Show Me How You Burlesque」(『BURLESQUE』より)。柚希、ソニン、愛希、村川、石田、三吉がアダルトでセクシーに歌い踊って、観客を魅了する。ソニン、村川、堀田真由によるポエトリーリーディングはアリアナ・グランデの「7 rings」などを日本語訳詞で語るもの。歌で聞いていたら気づけなかった意味や物語に気付かされ、3人の表現力の豊かさに感心する。ライブらしい楽しい企画として、ガールズグループBLACKPINKの「Kill This Love」に愛希、清水、石田、三吉が挑戦。大胆でキレの良いダンスを見せた。Perfumeの「ねぇ」を村川、恒松祐里、堀田が見事に完コピ!ひときわ熱い拍手が寄せられた。また、「Feeling Good」では元宝塚歌劇団男役トップスターの柚希と共に、愛希、石田、三吉が男役にチャレンジ。柚希の指導もあってそれぞれが個性あるカッコよい男役姿を見せた。柚希、ソニン、愛希による「Dreamgirls」(『Dreamgirls』)は見事なハーモニー。小林香が演出した『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』より「Happiness」を村川、清水、恒松、礒部花凜が歌い、ほのぼのとした空気に包まれる。「普通の人生」(『マタ・ハリ』より)の柚希と愛希のデュエットダンスは、『ハンサム W LIVE』でしか見られない貴重な機会で、客席のボルテージがますます高まった。最後は全員によるパフォーマンス。「You Can’t Stop The Beat」(『ヘアスプレー』より)で客席を熱く盛り上げ、一転して「For good」(『WICKED』より)は今回のライブを通してキャスト全員が心の絆を結んだことを感じさせた。ラストソングは「Finale B」(『RENT』より)。『RENT』でミミ / モーリーン役を演じたソニン、ミミ役を演じた石田の歌声から始まった歌は、「今、このときを生きよう(No Day But Today)」という大事なメッセージを伝えた。客席からの鳴りやまぬ拍手に応え、アンコールに臨んだ11人。「皆さんに会えて嬉しかったです」「また会いましょう!」と笑顔で挨拶し、再び「Starting Now〜新しい私へ」を歌って幕を閉じた。構成・演出の小林香は11人全員の魅力を最大限に表現。多彩な場面展開で今までにない一面を見せた。何より、ステージで輝くのは彼女たちが放つ豊かなパワーだ。どこまでも自分らしく。ハンサムウーマンたちの圧倒的なパフォーマンスは多くの観客に勇気を送り届けた。取材・文 / 大原 薫<公演情報>AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE“ HANDSOME ” is not just for men.3月8日(火) 13:00 / 18:00 東京・Bunkamuraオーチャードホール【出演者】柚希礼音 / ソニン / 愛希れいか / 村川絵梨 / 清水くるみ / 石田ニコル / 三吉彩花 / 恒松祐里 / 堀田真由 / 島ゆいか / 礒部花凜セットリストM1.「Starting Now〜新しい私へ」※オールキャストM2.「This Is Me」(「The Greatest Showman」より)※オールキャストM3.「Show Me How You Burlesque」(「BURLESQUE」より)※柚希礼音 / ソニン / 愛希れいか / 村川絵梨 / 石田ニコル / 三吉彩花M4.「Defying Gravity」(「WICKED」より)※ソニンM5.「It Won’t Be Long Now」(「IN THE HEIGHSイン・ザ・ハイツ」より)※石田ニコルM6.「Dance with You」(「The PROM」より)※三吉彩花 with 清水くるみM7.「HOME」(「ファントム」より)※愛希れいかM8.「Goodbye Until Tomorrow」(「The Last 5 Years」より)※村川絵梨M9.「自由の国の娘たち」(「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」より)※柚希礼音 / ソニン / 清水くるみ / 石田ニコル / 島ゆいかM10.「ポエトリーリーディング 7 rings」(Ariana Grande)※堀田真由M11.「ポエトリーリーディング Beautiful」(Christina Aguilera)※村川絵梨 / 堀田真由M12.「ポエトリーリーディング Little Me」(Little Mix)※ソニン / 村川絵梨 / 堀田真由M13.「Journey to the past ~心のままに~」(「アナスタシア」より)※恒松祐里 / 島ゆいか / 礒部花凜M14.「Kill This Love」(BLACKPINK)※Dancer:愛希れいか / 清水くるみ / 石田ニコル / 三吉彩花M15.「ねぇ」(Perfume)※Dancer:村川絵梨 / 恒松祐里 / 堀田真由M16.「Dreamgirls」(「Dreamgirls」より)※柚希礼音 / ソニン / 愛希れいかM17.「スピーチレス~心の声」(映画「アラジン」より)※清水くるみ / 三吉彩花 / 恒松祐里M18.「Always Starting Over」(「イフ/ゼン」より)※柚希礼音M19.「Happiness」(「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より)※村川絵梨 / 清水くるみ / 恒松祐里 / 礒部花凜M20.「Feeling Good」※Dancer:柚希礼音 / 愛希れいか / 石田ニコル / 三吉彩花 Vocal:ソニンM21.「普通の人生」(「マタ・ハリ」より)※Dancer:柚希礼音 / 愛希れいかM22.「You Can’t Stop the Beat」(「ヘアスプレー」より)※柚希礼音 / ソニン / 愛希れいか / 村川絵梨 / 清水くるみ / 石田ニコル / 三吉彩花 / 恒松祐里 / 島ゆいか / 礒部花凜M23.「For Good」(「WICKED」より)※柚希礼音 / ソニン / 愛希れいか / 村川絵梨 / 清水くるみ / 石田ニコル / 三吉彩花 / 恒松祐里 / 島ゆいか / 礒部花凜M24.「Finale B」(「RENT」より)※オールキャストM25.「Starting Now〜新しい私へ‐en‐」※オールキャストイベント公式Instagram:イベント公式Twitter:
2022年03月10日山手線アイドルプロジェクト「STATION IDOL LATCH!」が、1stライブ『STATION IDOL LATCH! 1st LIVE “All aboard!!”』を3月6日に東京・グランドプリンスホテル新高輪・飛天で開催。その昼公演のオフィシャルレポートが到着した。「STATION IDOL LATCH!」は、JR山手線の全30駅の個性豊かな駅員たちが、彼らの駅や街を盛り上げるべく、業務を終えるとアイドルとして活躍するまったく新しいアイドルプロジェクト。公式YouTubeチャンネルで“運行中”のボイスドラマに加え、個性豊かなボイスキャストたちの歌声が聴けるCDリリースなどで多くのパッセンジャー(ファン)の支持を集めている注目のコンテンツだ。彼らの記念すべき1stライブとなった今回は、TAKUYA(百瀬 志生役・新大久保駅)と田丸 篤志(神堂 唯姫役・新宿駅)が急遽参加することができず、残念ながら全員集合とはいかなかったものの、パッセンジャーたちを楽しませるため、キャストが全力のパフォーマンスを繰り広げた。ステージは古田 一晟(一条 肇役・品川駅)、梶原 岳人(小鳥遊 悠吏役・有楽町駅)による影ナレーションからスタート。「さあ一緒に、終着駅のない旅へ!」というセリフとともに、オープニング映像が展開し、アイドルたちが持つ世界観が存分にあふれた映像で客席を盛り上げた。映像が終わると出演者が全員ステージに登場し、テーマソング「LATCH! ~それが未来の扉~」を披露。ステージいっぱいに広がり、“出発”を高らかに宣言。小野 賢章(東海林 鈴音役・東京駅)は「本日は残念ながら全員集合というわけにはいきませんでしたが、気持ちは30人で臨みたいと思います!」と意気込んだ。ひとりひとりが意気込みとともに自己紹介を終えると、ここからはユニットごとによるパフォーマンスがスタート。トップバッターを務めるのは双子のユニット・峯田 大夢(不動 雅役・目黒駅)、太田 将熙(綜馬 礼役・目白駅)。ステッキを手にスタイリッシュなダンスとともに「Get into the Wonderland」を披露すると、続いては新人ユニット、青山 凌大(武庸 裕哉役・高田馬場駅)、住谷 哲栄(空蝉 塁役・大塚駅)、伊藤 昌弘(諏訪 海晴役・西日暮里駅)による「Ai for You」。ステージを駆け回りながらエネルギッシュに歌唱した。5人によるトークパートでは、太田が「ステッキを使いこなせるようになるのが大変だった」と明かし、また「大きな会場に圧倒されてしまいました」という青山の言葉をきっかけに、右から左まで手を振りながらステージを歩くという一幕も。パッセンジャーもそれに応えてペンライトやフラッグを振っていた。そして、この日欠席したTAKUYA(百瀬 志生役・新大久保駅)からパッセンジャーへのメッセージを、事務所の後輩でもある太田が代読。「会場に行くことができず、非常に悔しく残念です。よりパッセンジャーのみなさんに楽しんでいただけるよう、志生くんと頑張っていきます!」とのメッセージを読み上げた。続いて昨年10月に開催された「1st Passenger Meeting」での「Salt & Sugar」の歌唱映像がスクリーンで展開され、客席は紫色のペンライトで埋め尽くされた。ここからは菊池 幸利(咖山 喱人役・神田駅)、鈴木 裕斗(雷電 遊生役・秋葉原駅)のユニットのターン。ボカロテイストの曲調の「BUNGAKU×COMPLEX」を歌い上げると、林 優大(蜂谷 恒星役・渋谷駅)、岩崎 友泰(竹下 宮斗役・原宿駅)、福崎 那由他(樅野 葵役・代々木駅)はタオルを振り回しながら「Everybody! Say!!」を笑顔で熱唱した。5人によるトークパートでは、鈴木と菊池が「『Everybody! Say!!』を聴いて若いころのことを思い出しました(笑)」と語り、林は「自分たちにマッチしていて歌いやすかったです!」と充実した表情で話していた。和の心をコンセプトにしたユニット・森嶋 秀太(和泉 オーキッド 亜恋役・高輪ゲートウェイ駅)、高塚 智人(英 皐月役・駒込駅)、井上 雄貴(高岩 大智役・巣鴨駅)が満開の桜を思わせる、妖艶さも感じる振り付けとともに「花びら舞う夜に」を披露すると、代わって高橋 英則(饗庭 紡麦役・恵比寿駅)、三浦 祥朗(伍代 晃役・五反田駅)、小山 剛志(羽振 寿里役・田町駅)、菅沼 久義(大崎 新市役・大崎駅)によるアダルティな魅力が光るユニットが、ミラーボールが輝くなか「Sparkling Night」を歌唱。場内は夜の東京を思わせるような大人の空間に早変わりした。7人によるトークパートでは、平均年齢が低めな3人と高めな4人による(笑)和気あいあいとした会話が展開。森嶋たちのユニットは「みなさんの歌い方にバブリーさを感じました」とほめたたえ、一方高橋たちのユニットは「歌うときの、儚げな表情の作り方を教えて」と無茶ぶり(?)していた。続いて、エレガンスなふたりのユニット・古田 一晟(一条 肇役・品川駅)、梶原 岳人(小鳥遊 悠吏役・有楽町駅)による「Regret」。古田が弾くピアノの調べ、スタンドマイクを手にした梶原の歌声がシンクロした。そして笠間 淳(飴屋 楊役・上野駅)、寺島 惇太(根岸 優歌役・鶯谷駅)のユニットは白いペンライトが輝くなか、ステージの両端から「世界一憂鬱な王子」を切なく歌い上げた。4人によるトークパートでは、品川駅を担当する古田の「ご当地」でのイベントということで特別な想いを持ってステージに臨んだ旨が語られた。今後は「ピアノでバラードを弾いてみたいです!」と意気込んだ。また、『LATCH!』の楽曲は飴屋が全曲プロデュースしている、ということも判明し、笠間は得意げな表情を見せていた。「第2章」の開幕&コミカライズも決定ここからは後半戦。まずは下町ユニット・山口 智広(戸成 綾役・日暮里駅)、阿座上 洋平(高良 摩利央役・御徒町駅)が「盛り上がっていきましょう!」とパワフルなラップも特徴的な「Two as One」を投下すると、井上 和彦(烏鷹 鉄路役・新橋駅)、狩野 翔(湊 航琉役・浜松町駅)、矢野 奨吾(北 颯役・田端駅)のユニットが間髪入れず、コミカルさと軽快さが同居するステップとともに「SUNRISE!!」を披露した。5人によるトークパートでは、アツい曲を歌うの両ユニットメンバーが、どちらか元気かを競うように「イエーイ!」と声をあげ、さらに井上の提案で客席と「ウェーブ」を楽しむ一幕も。先陣を切った山口に続き、全員でステージを走り回った。トリを飾ったのはレジェンドユニット・小野 賢章(東海林 鈴音役・東京駅)、島﨑 信長(青葉梟 光加人役・池袋駅)。激しい明滅とともに「Way Up High」を歌唱。ハイテンポでスタイリッシュなナンバーを、この日出演がかなわなかった田丸 篤志(神堂 唯姫役・新宿駅)の分までステージを盛り上げた。歌い終えると小野から「記念すべき、思い出に残る一日になりました。3人そろわず残念でしたが、次回は全員でステージに立ちたいので、引き続き応援よろしくお願いします!」、島﨑は「最初はふたりだけで不安でしたが、みなさんのおかげで楽しめました。だからこそ、次回はよりよいレジェンドぶりを見せたいと思います!」とパッセンジャーに約束していた。アンコールでは、制服衣装に着替えたメンバーがステージ上に再集結。「LATCH! ~それが未来の扉~」をフラッグやタオルを振りながら、思い思いに楽しんだ。最後は出演者からひとりずつメッセージが贈られ「また必ずお会いしましょう。本日は本当にありがとうございました!」のあいさつとともに、大盛り上がりのなかでステージは終了した。本公演の模様はCSチャンネル「フジテレビTWO」で4月30日20時より放送予定。そして、「第2章」の開幕が決定。詳細はこれから明らかにされていくことになるが、いまよりさらにパワーアップしたアイドルたちの姿が見られるはずだ。さらに、ステーションアイドルたちが活躍するコミックが小学館『ベツコミ』にて7月号から連載開始されることが発表された。(C)LATCH! Project/JRE<公演情報>『STATION IDOL LATCH! 1st LIVE “All aboard!!”』3月6日(日) 東京・グランドプリンスホテル新高輪・飛天セットリスト(昼公演)M1「LATCH! ~それが未来の扉~」(全員)M2「Get into the Wonderland」(峯田 大夢、太田 将熙)M3「Ai for You」(青山 凌大、伊藤 昌弘、住谷 哲栄)M4「Salt & Sugar」(TAKUYA)(※映像)M5「BUNGAKU×COMPLEX」(鈴木 裕斗、菊池 幸利)M6「Everybody! Say!!」(林 優大、岩崎 友泰、福崎 那由他)M7「花びら舞う夜に」(森嶋 秀太、高塚 智人、井上 雄貴)M8「Sparkling Night」高橋 英則、三浦 祥朗、小山 剛志、菅沼 久義)M9「Regret」(古田 一晟、梶原 岳人)M10「世界一憂鬱な王子」(笠間 淳、寺島 惇太)M11「Two as One」(山口 智広、阿座上 洋平)M12「SUNRISE!!」(井上 和彦、狩野 翔、矢野 奨吾)M13「Way Up High」(小野 賢章、田丸 篤志、島﨑 信長)ENCORE「LATCH! ~それが未来の扉~」(全員)<重大発表!>1. 第2章決定!2022年 第2章 開幕決定!30人の新たな“物語”そして“音楽”の展開がスタート。これからも、LATCH! はアイドル活動を通じて駅や街を盛り上げていきます!展開の詳細はオフィシャルサイト・Twitterにて。2. コミカライズ決定!小学館「ベツコミ」にて7月号から連載開始!詳細は近日発表!!作画:宮瀬まり / 構成:パッセンジャーm98<番組情報>『STATION IDOL LATCH! 1st LIVE "All aboard!!"』特別版4月30日(土) 20:00~フジテレビTWOにて放送番組HP:「STATION IDOL LATCH!」公式サイト:
2022年03月07日3月5日(土) アップリンク吉祥寺にて映画『この街と私』公開記念舞台挨拶が開催され、葛飾観光大使でもあるLiLiCoが本作で第5回賢島映画祭助演男優賞を受賞した主人公の彼氏役の佐野弘樹を絶賛。葛飾に10年以上住んでいたお笑い芸人ですよ。とともに葛飾の魅力を話した。『この街と私』は、バラエティ番組を作るために制作会社に入社したのに、深夜に街の良さを紹介する番組「この街と私」を担当している23歳ADの葛藤を描いた映画で、監督・脚本・編集を務めた永井和男の実話を元にした成長物語。地域発信型映画として東京都葛飾区を舞台に制作された本作は、メインキャスト全てがオーディションでキャスティングされ、300名以上の応募の中から主人公・美希役に、21年に第22回TAMA NEW WAVEコンペティションでベスト女優賞を受賞した上原実矩が選ばれた。『この街と私』より共演には佐野弘樹のほか、ディレクター・中山役を宮田佳典、プロデューサー・寺本役を伊藤慶徳がそれぞれ演じている。また、劇中のテレビ番組「この街と私」には実際の葛飾観光大使でもあるLiLiCoと芸人の大西ライオンが本人役で登場。さらに、美希の憧れの芸人として天竺鼠の川原克己、インタビューを買って出る客役でですよ。、居酒屋で遭遇する芸人役で大溝清人(バッドボーイズ)ら数々の芸人たちが本人役で登場する。『この街と私』より冒頭、佐野が「本作は、撮影が3年前で、沖縄国際映画祭で上映されて、幾つかの映画祭を回って、ようやく東京で劇場公開することができました」と挨拶。LiLiCoは「(劇中LiLiCoが出演する番組のADを演じた彼氏役の佐野の演技が)すごく自然で。『今日(のゲスト)LiLiCoだったんでしょ?』みたいな感じで、呼び捨てされるの大好きなんで、気になって気になって! ですよ。さんも、入ってくる感じがすごく面白かったので、みんなに会いたくて会いたくて、やっとお会いできて嬉しいです。葛飾の観光大使なので、葛飾の素晴らしさを広められることが嬉しいです!」とパワフルに挨拶した。佐野弘樹ですよ。は、本作が映画初出演だそう。「うちのお袋は、会うたびに、この世界にいるんなら映画にでなきゃダメだよ。とずっと言ってたんです。本名が哲也というんですけれど、お袋が石原軍団さんが大好きだったので、渡哲也さんみたいになってほしくて、つけてもらったんです。今回出させていただいて、石原軍団さんにちょっとだけ近づいたような感じがしました。あーいいとぅいまてーん!」とコメントすると、監督が「渡哲也さんとは程遠い出で立ちですが!」とツッコむ場面も。ですよ。本作は葛飾が舞台。LiLiCoは、「ずっと葛飾に住んでいたので、スウェーデンと葛飾のハーフなんです。(劇中のテレビ番組の)レポートの通りで、みんなが優しい。コロナ前、飲んでいたりすると、知らない人に声かけられるんですけれど、気にならない。誰とでも友達になれるし、いい意味で知らないおじさんに何かを言われるんですが、それが好きなんです。」と魅力を話し、葛飾に10年以上住んでいたですよ。も「亀有の香取神社には感謝しています。いろんなスポットがあるんで、ぜひ行ってみてください。」とアピールした。ですよ。は、本人役で、主人公のADがバーガー屋さんでカメラ機材を持っているのを見て、「葛飾に関してのインタビューに答えますよ」と自ら話しかけに行くという設定だった。「『あーすいません』というところがあったんですが、ここは爪痕を残したいと『あーいいとぅいまてーん!』ってやったら、監督に、『カット! ですよ。さん、ここお笑いライブじゃないですよ。』と言われて、普通に『すいません』と言った。そこが観どころだと思います。」と裏話を披露。LiLiCoも本人役で、主人公のADが担当している街の良さを紹介する番組「この街と私」のゲスト役だったが、「私はLiLiCoを演じるのは2回目なんですけれど、毎回ちょっとだけ嫌な感じで描かれている。台本を書いている人はそういうイメージなのかな? あれが完全リアルなLiLiCoだと思われるとちょっと困ります。もうちょっと優しいです。」と話した。LiLiCo佐野は主人公と同棲している彼氏役で、主人公が日々の仕事に追われて忘れている元々の目標を思い出させてあげる役。「監督に『撮影期間が短いから、長い時間一緒にいる恋人同士の空気感を作って欲しい』と言われたので、撮影の合間に上原さんとコミュニケーションを取りました。」と役作りを話した。監督が、彼女役の上原の別のシーンを撮影してから、同棲している部屋のロケセットに到着したら、佐野が寝ていたと暴露! 佐野は「役作りの一環」と話し、LiLiCoも「いい部屋だったもんね。本当にずっといた感じがした。」と劇中の佐野の空気感に太鼓判を押した。最後に、監督から「3作監督作を上映させていただいたんですけれど、どういう経緯で映画を作ったかだとか、3作品についての想いをパンフレットに撮影日誌という形で力を入れて文章を書きましたので、ぜひ買っていただけたらと思います」との熱い言葉で、舞台挨拶は終了した。<作品情報>『この街と私』全国順次公開中『この街と私』ポスター出演:上原実矩 / 佐野弘樹 / 宮田佳典 / 伊藤慶徳 / LiLiCo / 川原克己(天竺鼠)/ ですよ。/ 大西ライオン / 大溝清人(バッドボーイズ)監督・脚本・編集:永井和男主題歌:Bray me「オリジナルソングのような人生を」『この街と私』予告編公式サイト::: 2019地域発信型映画「この街と私」製作委員会
2022年03月06日次代のシーンを担う新鋭アーティストたちが「今、競演したい」気になるアーティストをスペシャルゲストとして招き、対バン形式でおくるイベント「HIGH FIVE 2022」。全国5都市のZeppでそれぞれに個性あふれるカードが組まれているが、中でも特にロックファンが注視したのは、2月5日の札幌公演ではないだろうか。ジャパニーズ・オルタナティヴの新旗手として業界内外から高い評価を獲得しているw.o.d.が指名したのはなんと、後進に多大な影響を与えてきたレジェンドにして現役トップランナーのロックンロールモンスター・The Birthday。立春を過ぎたにも関わらず最低気温マイナス9.4度、さらに一日中絶え間なく雪が降り続けるというある意味非常に北海道らしいシチュエーションの中、熱いパフォーマンスがぶつかり合った。まず先攻は、昨年11月に自身のツアーで同じZepp Sapporoのステージを踏んだことも記憶に新しいThe Birthday。そのツアー中にリリースされたEP『CORE 4』からミドルチューンの「ヘッドライト」「ある朝」をまずは挨拶がわりに繰り出し、間髪入れず「ヒマワリ」「ブラックバードカタルシス」で一気にギアを上げていく。自然体ながら堂々たる風格漂う佇まいは、ライブバンドとしてのキャリアを積み上げながら走り続けてきた彼らならでは。オーディエンスは歓声を上げることこそできないものの、力強く拳を突き上げたりグルーヴに合わせて体を揺らしたりと、許された範囲で精いっぱいバンドに呼応する様子が見て取れた。チバユウスケ(vo&g)がハンドマイクで「お前の想像力が現実をひっくり返すんだ」と扇動する「月光」、ロカビリー色の強いサウンドがスリリングに展開する「Red Eye」で、ボルテージはさらなる高みへと登っていく。「すごい雪だね。(でも)ここはあちぃな」ポツリと呟くチバ。声を出せない分だけ何倍にも増幅された気持ちの熱量が、客席からステージへしっかりと伝わっていたのだろう。「オルゴール」「抱きしめたい」とメロディアスなナンバーが続き、ラストに鳴らされたのは最新アルバム『サンバースト』から「ギムレット」。何度もリフレインする「小さな愛」というフレーズがそのまま言霊となって空間を満たしていくかのような、美しくエモーショナルなフィナーレとなった。続いてこの日のヘッドライナーとして登場したw.o.d.は、一曲目の「モーニング・グローリー」を皮切りに「Mayday」「Fullface」「lala」と畳み掛けるようなラッシュを仕掛けてきた。ステージ上には確かに3人しか立っていないはずなのに、それ以上のものを感じさせる「圧」がとにかく凄まじい。エッジを効かせて斬り込んでくるギター、地鳴りのように足元を揺るがすベース、怒涛のビートを繰り出してくるドラム。轟音の「轟」は車が3つ集まって一つの漢字を形成しているが、例えるならまさに3台の車が押し引き絡み合いながらハイウェイを爆走するイメージだ。その後も加速を緩めず「PIEDPIPER」「THE CHAIR」と続いたかと思えば、「sodalite」でポップな側面を、「煙たい部屋」でミドルテンポのグルーヴ感を打ち出すなど、振り幅の大きさを見せつけるのも忘れない。内省的な感情がサビで一気に爆発する「relay」も、ライブ特有の熱気を伴って響いてくる。「The Birthdayは学生の頃から知ってるわけで。言うても同業者なんで、対バンっていう形でやる以上誰であっても対等な関係やと思ってるんですけど、さっき俺らとメンバー全員で写真撮ってもらって……もう、ダメですよ(笑)。めっちゃ羨ましいでしょう?」ここまでクールに徹していたサイトウタクヤ(vo&g)だが、この時ばかりはいちロックキッズの顔になりそう笑った。そしてここから、クライマックスに向けてスパート。2月2日にリリースされたばかりのニューシングル「Kill your idols, Kiss me baby」から「踊る阿呆に見る阿呆」「楽園」「イカロス」と続き、「バイバイ」の一言を合図にラストナンバーの「1994」をソリッドに響かせてステージを後にした。両バンドともに、1時間あまりのステージがあっという間に感じられるほどの濃密なアクト。外に出れば引き続き雪がモリモリと降り積もっていたが、熱に浮かされた頭を程良くクールダウンさせるのにはかえって都合がいい。ロックンロールの道なき獣道を切り開いてきたThe Birthday、その道を共にこれから切り開いていこうというw.o.d.。今回この奇跡のマッチアップを実現してくれた「HIGH FIVE」というプロジェクトに心から感謝すると同時に、「ライブというエンターテインメントの灯は何があっても決して絶やしてはならない」と改めて強く実感したのだった。Text by 佐波由香里Photo by 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2022』2022年2月5日(土) Zepp Sapporo【セットリスト】■The Birthday01.ヘッドライト02.ある朝03.ヒマワリ04.ブラックバードカタルシス05.月光06.Red Eye07.オルゴール08.抱きしめたい09.ギムレット■w.o.d.01.モーニング・グローリー02.Mayday03.Fullface04.lala05.PIEDPIPER06.THE CHAIR07.sodalite08.煙たい部屋09.relay10.Kill your idols, Kiss me baby11.踊る阿呆に見る阿呆12.楽園13.イカロス14.1994<リリース情報>w.o.d. 配信シングル「Kill your idols, Kiss me baby」Now On Sale配信リンク:「Kill your idols, Kiss me baby」MV<イベント情報>w.o.d. presents “TOUCH THE PINK MOON”4月21日(木) 東京・恵比寿LIQUIDROOMGUEST:+1BANDOPEN 17:30 / START 18:304月28日(木) 兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎GUEST:+1BANDOPEN 18:00 / START 18:30チケット料金:前売4,000円(ドリンク代別途必要)一般発売日:3月12日(土)チケット最速先行受付中:オフィシャルサイト:オフィシャルTwitter:オフィシャルInstagram:オフィシャルYouTube Channel:<ライブ情報>『HIGH FIVE 2022』■2022年2月23日(水・祝) KT Zepp YokohamaOPEN 14:00 / START 15:00出演:ODOROYO(アナタシア / やっこ / まりやん / りりやん / わた / 足太ぺんた / バケモノバケツ委員会 / りりり / bake / まなこ / めーとる / みうめ / たまひよ。/ ぶっきー / AMUぷらす弟たっくん / RAB(リアルアキバボーイズ)/ チェゴ)■2022年2月27日(日) Zepp FukuokaOPEN 17:00 / START 18:00出演:Cö shu Nie / SPECIAL GUEST:澤野弘之-ゲストボーカル:mizuki(UNIDOTS),SennaRin-公式サイト::
2022年02月17日1月29日(土)、大阪・Zepp Nambaにて『HIGH FIVE 2022』大阪公演が開催された。本公演は名古屋、横浜など全国5カ所のZeppで開催されるライブイベントで、各公演のヘッドライナーには次世代のシーンを担うアーティストやクリエイターが登場し、それぞれがリスペクトするアーティストを呼び込み、対バン形式でイベントを展開。今回の大阪公演ではヒップホップ界のアベンジャーズこと、梅田サイファーが登場。日本のシーンを牽引し続けるRHYMESTER、女性レゲエDee-jay・775(ナナコ)とともに繰り広げた、一夜限りの饗宴の模様をお伝えしたい。トップバッターはロングのブレイズヘアが印象的な大阪出身の775。レゲエシーンでの注目度の高さはもちろんのこと、R-指定がラジオで彼女の楽曲やスタイルを絶賛していたこともあり、ヒップホップ界隈でも彼女の名を知る人は多いはず。1曲目「よってらっしゃい」からど真ん中のリディムに、初見でも馴染みやすい和のニュアンスを含んだフックに自然と体が揺れる。低音域&力強いフロウがあっという間に観客の心をつかみ、気付けばフロアは総立ちだ。ヒップホップシーンの猛者が集うなかでも、フィメールレゲエDee-jayが単身乗り込むことには何の怯みもなく、マイクを握ってアピールし続けていきたいと語る彼女。中学時代から変わらないスタイルを貫いてきたと、自身の名前をタイトルにした「七七五」へ続く。一匹狼よろしく声高らかに吠えると、低音のリズムを効かせたトラックに“姉御”感強いリリックを乗せていく。それでも「(観客が)声出されへんのエグない~?」と、ラフなMCで会場を和ませていく。イベントタイトルの『HIGH FIVE』はレゲエやヒップホップのゴンフィンガーと同じ意味だと語り、ライブの盛り上がりを声援ではなく各々の好きなシグナルで表現してほしいと、レゲエにはまりこんだ自身のリアルヒストリーを詰め込んだ「Life is Ragga」へと繋ぐ。その後はリリックのセンスは抜群だけどコンプラお構いなしな「処女の少女」、前曲とは一転して甘いフロウを連ねる「Myラバー」など、多彩なスタイルでフロアを沸かしていく。「ヒップホップもレゲエも自分らしいスタイルで突き進みたい」と語り「ボンブリ」へ。これまたコンプラ違反しまくりのリスキーなリリックが連打されるも、観客からはその痛快さからか堪らず大きな拍手が沸き起こる。ステージ後半はMCのラフさがさらに際立ち、“近所のツレ”感のある肩の力が抜けたトークを展開する775。「友達のうた」ではタイトルまんま、友達ビガップ‼なリリックでほっこりしたところで、ラストはオーセンティックなレゲエサウンドに、自身の出身地への愛を詰め込んだ“レぺゼン岸和田”な「KSWD」へ。だんじりのやりまわしよろしく、渾身のフロウを回し切り、全8曲を駆け抜けていった。RHYMESTER、パフォーマンスはまさにキングオブステージ!続いてはRHYMESTER。今年で結成33周年を迎えるベテランとあって、「JIN-TRO」で一瞬にしてフロアの空気を変えてしまう。宇多丸は「声が出せない分、物言わぬバイブスで返してください!あとは手を上げて、まさにハイファイブで!」と、「Future Is Born」へと繋ぐ。1曲目からこのセレクトはさすがとしかいえなくて、ジャパニーズヒップホップシーンの開拓者であり牽引者である、エモーションに訴えかける彼らのパフォーマンスはまさにキングオブステージ! 続く「Back & Forth」でも、宇多丸とMummy-Dの矢継ぎ早に繰り出されるライムはとにかくエネルギッシュ。“今日のホストは誰だ?”なんてリリックにあるように、若手がそろうイベントであっても攻めの姿勢を崩すことのないパフォーマンスは圧巻でしかない。ステージ中盤は代表曲「B-BOYイズム」、ライブの定番曲「ライムスターイズインザハウス」と続く。久しぶりのライブでリハビリがてら勘を戻すと言いつつも、アナログターンテーブル2台とミキサーで繰り出す、DJ JINのDJテクニックは相変わらずキレがあるし、その音に色付けしていく宇多丸&Mummy-D、2人のMCも一切のブレがない。トークでも料理番組よろしく、ヒップホップ講座を繰り出して若い観客らにもクラシックスタイルでのヒップホップの面白さを伝えるなど、とにかく随所に愛が詰まったステージが続いていく。そして、ヘッドライナーである梅田サイファーへの想いも語っていく。“サイファー”はフリースタイルでスキルやカルチャーが生み出されていくもの。そこには日本のヒップホップシーンを作ってきた自分たちに共通するものがあると語りつつ、1曲目「Future Is Born」のリリックを抜粋し、「お前らのルーツはあくまでオレらとは言っておきたいぜ!」と、牽制と愛を込めたメッセージを届ける。ステージ後半は「ガラパゴス」や「Come On!!!!!!!!」と、RHYMESTERの旨みが詰まった楽曲を続けざまに投下していく。ど真ん中を突いてくるストロングスタイルなヒップホップスタイルは若手のヒップホップアーティストはもちろんのこと、ロックやミクスチャーなど様々な音楽ジャンルに多大な影響を与えてきたことがよく分かる。宇多丸は「ヒップホップにはロマンがある」と、今なお尽きない夢や愛を語る。そしてそのロマンを謳ったという「ザ・グレート・アマチュアリズム」を熱演。Creepy Nutsがカバーしたこともあり、若い世代に改めて知られたこの名曲。観客はもちろん、ステージ脇で魅入る後輩たちにも“キングオブステージ”のスタイルをがっつりと見せつけていく3人。ラストは「ONCE AGAIN」で2022年も変わらず最強な“ライムスター”ぶりを見せつけ、梅田サイファーへ最高のバトンを繋ぐ。R-指定、KOPERU、KennyDoes、KZら総勢13名による梅田サイファー登場!イベントはいよいよトリの梅田サイファーへ。この日はR-指定、KOPERU、KennyDoes、KZ、peko、KBD、たうりん、ILL SWAG GAGA、コーラ、tella、OSCA、SPI-K、Cosaquの13名が出演(テークエム、teppeiはコロナ禍の事情により出演辞退)。1曲目「ビッグジャンボジェット」、マイクが次々に変わり、声色もライムも、韻やリリックの運びもフックも、全ての個性が大渋滞しているんだけど、どの個性も埋もれることなく、とにかく全員のラップスキルの高さに圧倒されてしまう。たった1曲だというのに、ステージのどこに目を向けたら良いのか、とにかく目移りしまくりで忙しいったらない。それぞれがソロやユニットで活動し、MCバトルイベントなどでも好成績を収めてきた彼ら。梅田の百貨店を繋ぐ歩道橋で繰り広げてきたサイファーがきっかけで集まったヒップホップ好きな、グループではなくあくまで集団。楽曲毎にMCが変わり、互いの魅力を引き出しあう楽曲を畳みかけていく。「OSAKA ANZEN UNTEN」では観客と一緒にハンドルを切るジェスチャーで盛り上がりつつ、ご機嫌なサウンドに観客を乗せていく。11人のマイクが“安全運転♪”なんてライムを決めるのは迫力ありすぎだ。続く「Future is...」は日本語ヒップホップの面白さを随所に散らばせた楽曲。テンションの上がったKOPERUがブレイクダンスを決め込むなど、メンバーの熱気の高まりは留まることを知らない。次曲「トラボルタカスタム」ではスリリングでクールなパンチラインに観客は手を高く掲げて称賛の想いを伝える。「梅田ナイトフィーバー’19」でも、11MCのキャラはどれも被ることはなくって、色気や狂気を孕んでいたり、メロディアスだったり切れ味が鋭かったり。ここ数日はコロナ禍で緊張感ある日々が続いていたこともあり、生のライブが出来ることにとにかく喜びを感じている様子のメンバーたち。MCでは憧れの存在であるRHYMESTERのステージを目の前にして、やっぱり自分たちのルーツは彼らなんだと、思わず感涙したと語るR-指定。憧れのヒップホップスターの前でのライブ、そして久しぶりの生でのステージ。テンションの上がったメンバーたちはそのまま新曲「アチィ」を披露。タイトルまんまな熱い盛り上がりを見せる楽曲、パフォーマンスを終えたメンバーが思わず「アチィ!アチィ!」と騒ぐ姿に思わず笑いがこぼれてしまう。ステージ後半のMCでは先の新曲に続く曲作りに入っていると、次なるリリースに期待高まる発言も。さらに、今春4月9日には大阪ラッパーたちの聖地、服部緑地公園でワンマンライブを開催することも告知。しかもしかも、そのステージで何かしらの楽曲披露ができるかも?と期待高まる発言も。前回、コロナ禍の影響で無観客でのライブとなっていただけに、リベンジに燃える彼らはその勢いのまま「マジでハイ」「いつかまた」と突き進み、本編は終了。アンコールでは「とっておきのボムを!」と、RHYMESTER、775をステージへ呼び込み、RHYMESTER「ウィークエンド・シャッフル」を出演者全員で披露。梅田サイファーにとってのルーツであるRHYMESTERとのステージ、思わず「神話じゃないんだなぁ」と呟くほど浮足立つメンバーの姿もいたが、14MC+3DJ、総勢17人によるステージは週末のお祭り騒ぎよろしく、フロアはごちゃ混ぜ状態。それでもだれもかれもが多幸感に満ちていて、最高潮なパーティは”HIGH FIVE”をキープしたまま幕を閉じた。Text by 黒田奈保子Photo by 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2022』2022年1月29日(土) Zepp Namba【セットリスト】■77501.よってらっしゃい02.七七五03.Life is RAGGA04.処女の少女05.My ラバ〜(feat. TEN’S UNIQUE)06.Bon buri(feat. ラスタのおっさん)07.友達のうた08.KSWD■RHYMESTER01.JIN-TRO02.Future Is Born03.Back & Forth04.B-BOY イズム05.ライムスターイズインザハウス06.ガラパゴス07.Come On!!!!!!!!08.ザ・グレート・アマチュアリズム09.ONCE AGAIN■梅田サイファー01.ビッグジャンボジェット02.OSAKA ANZEN UNTEN03.Future is・・・04.トラボルタカスタム05.梅田ナイトフィーバー 1906.アチィ07.マジでハイ08.いつかまた09.ウィークエンド・シャッフル<ライブ情報>『HIGH FIVE 2022』■2022年2月23日(水・祝) KT Zepp YokohamaOPEN 14:00 / START 15:00出演:ODOROYO(アナタシア / やっこ / まりやん / りりやん / わた / 足太ぺんた / バケモノバケツ委員会 / りりり / bake / まなこ / めーとる / みうめ / たまひよ。/ ぶっきー / AMUぷらす弟たっくん / RAB(リアルアキバボーイズ)/ チェゴ)■2022年2月27日(日) Zepp FukuokaOPEN 17:00 / START 18:00出演:Cö shu Nie / SPECIAL GUEST:澤野弘之-ゲストボーカル:mizuki(UNIDOTS),SennaRin-公式サイト::
2022年02月15日河原雅彦演出、古田新太主演の伝説のロックミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』東京公演が、2月12日よりPARCO劇場にて開幕した。1973年の舞台初演から間も無く50年。未だカルト的⼈気を誇りファンを熱狂させるロックミュージカルの⾦字塔『ロッキー・ホラー・ショー』(RHS)。2017年上演版では2011年版から6年ぶりに古⽥新太のフランク・フルターが復活。いのうえひでのりからバトンを受け取った演劇界きってのロック狂、河原雅彦が演出を手掛ける。振付をMIKEY(from 東京ゲゲゲイ)が⼿がけ、演奏には⽇本版RHSの伝説“ROLLY”を中⼼に、武⽥真治が参加するなど、新たな要素を盛り込んだライブ感溢れる演出で熱狂を呼んだ“河原版RHS”が、大阪公演、広島公演、北九州公演を経て、ついにラスト東京公演が始まった。マッドサイエンティストのフランク・フルターを演じるのは、もちろん、古⽥新太。5年ぶりのパーティーに、小池徹平、ISSA、ROLLY、武田真治、さらに岡本健一と、これまでのRHSを支えたユニークな実力派キャストたちが集結。加えて昆夏美、フランク莉奈、峯岸みなみとフレッシュな女優陣が初参加と、2022年初頭、清濁合わせ呑むようなキャスト陣で、舞台と客席が一体となる演出もそのままに、新たな「ロッキー・ホラー・ショー」を誕⽣させた。2020年にリニューアルオープンした新⽣・PARCO劇場の、舞台と客席が緊密な空間でさらなる熱狂を呼んでいる。さらに、はまり役でもあった古⽥新太のフランク・フルターは三度⽬にしてなんと今回がラスト。過去の「RHS」キャスト、また今回新たにパーティーに加わるニューキャストが⼊り混じり、フランク・古⽥̶の東京ラストランをめちゃくちゃに盛り上げていく。【東京公演初日オフィシャルレポート】ついに『ロッキー・ホラー・ショー』(RHS)が始まった。1973年から上演されてきたこの作品は観客参加型として有名だ。マスクをして、声出せないコロナ禍の今だが、ペンライトはもちろん、歓声やブーイング、光線銃などの音をボタン一つで鳴らせるボイスストラップなど、参加グッズも工夫されていて、みんなが、思いっきり楽しみながらも“感染症対策に余念がない”…新しい『RHS』の世界を見せてくれた。ピカピカ光るビスチェ姿で登場したフランク・フルター役の古田新太の圧倒的な存在感にワクワク感が止まらない。エロくてキュートな小池徹平(ブラッド)と昆夏美(ジャネット)のバカップルぶりをはじめ、ISSA、峯岸みなみ、フランク莉奈の振り切った変態ぶり。そして、出演者の歌のうまさがあるからこそ、『RHS』のバカバカしい世界がきらめくのだ。とにかく生バンドの音楽がカッコよく、ライブ感がハンパなく盛り上がる。エディ役の岡本健一のロックなシャウト、ROLLYのギターと武田真治のサックスのセッション、東京ゲゲゲイのMIKEYの振り付けの手の動きが特徴的なダンス、全員が入り乱れるフォーメーションダンス……ステージを見ていると自然に体が動き、笑顔になってしまう。心のなかでなら、思いっきり騒いでいい、自由に楽しめるんだということを、劇場にいたみんなが感じたに違いない。「楽しんでるかー」古田新太の声にみんながうなずき、ラストはステージも客席も一体になって名曲『タイムワープ』を踊りまくる。その光景は変態パーティーそのもの!そんなパンキッシュでキッチュなパーティーに巻き込まれ、とにかく元気がでる時間をもらった。この大騒ぎのパーティーがずっと続いてほしいと思う。【ストーリー】友人の結婚式の勢いに乗せられ、自分たちも婚約してしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(昆夏美)。ふたりは恩師に報告しようと、嵐の夜、車を走らせていた。しかしタイヤがパンク。助けを求めた彼らは、人里離れた荒野に建つ古い城にたどり着く。困り果てた二人の前に現れたのは、不気味な執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(フランク莉奈)やコロンビア(峯岸みなみ)たち。その異様な雰囲気に呑まれて戸惑う二人をそっちのけに、城の中ではノリノリのパーティーが始まる。さらに、黒いガーター&ストッキング姿も妖艶な城の主・フランク “N”・フルター(古田新太)が登場。いかにも性倒錯者然の彼は、この城で秘密の実験を行っている科学者であると言う。その実験とは、人造人間を創り出すこと。まさにこの夜は、彼の輝かしい実験が最終段階を迎えようとしていたのだった。困惑する二人にフランクは、人造人間誕生の瞬間に立ち会うよう強要する。誕生したのは…フランク好みの美形の筋肉マン・ロッキー(武田真治)。城の住人たちが成功を喜んでいるところに、今度はつぎはぎだらけの謎の男・エディ(岡本健一)が乗り込んで来る。50年代のロッカー・スタイルでキメたエディだったが、身長が足りないため、あえなくフランクに始末されてしまう。邪魔者は消した。フランクはロッキーに抱かれ、新婚のカップルのように寝室へと消えていく。夜は静かにふけてゆく…はずだったが、ロッキーと寝室に消えたはずのフランクは、いつの間にかジャネットの寝室に押し入り…かと思うと今度はブラッドのベッドに現れ…。混乱したジャネットが城の中をさまよい歩くうちに、フランクから逃げ出したロッキーに出会い…そんなこんなで城の中は愛と欲望の大混戦。ドタバタの騒ぎの中、リフラフが城への侵入者を発見する。広間に誘導されてきたのはスコット博士(岡本健一)。彼はブラッドとジャネットの恩師であり、UFOを研究する科学者であり、なおかつエディの叔父でもあるというサービスぶり。だが、ロッキーをジャネットに盗られて怒り狂ったフランクは、スコット博士をブラッド&ジャネットもろとも捕らえてしまう。3人の運命は?フランクの目的とは?そして執事にしては何か一癖ありそうな、リフラフの正体とは?■公演概要パルコ・プロデュース2022『ロッキー・ホラー・ショー』脚本・作詞・作曲:リチャード・オブライエン演出:河原雅彦翻訳:高橋ヨシキ訳詞・音楽監督:ROLLY振付:MIKEY(from 東京ゲゲゲイ)出演:古田新太小池徹平ISSA昆夏美フランク莉奈峯岸みなみ東京ゲゲゲイTACCHIGENTAP→★UFO武田真治ROLLY岡本健一バンド:Gt:ROLLY吉本匡孝Ba:HOTORIDs:小畑ポンプKey:おおくぼけい(アーバンギャルド)Cho:原田千栄 高仲尚子/ Pf:大塚茜企画・製作:パルコ公式サイト: 東京公演公演日程:2月12日(土)~2月28日(月)会場:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)入場料金: 13,500円(全席指定・税込)U-25チケット:6,500円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書、当日指定席券引換 / 「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみ取扱い)チケットに関するお問合せ:サンライズプロモーション東京0570-00-3337(月~金12:00~15:00)公演についてのお問合せ:パルコステージ03-3477-5858(時間短縮営業中)
2022年02月14日佐野勇斗・塩﨑太智・曽野舜太・山中柔太朗・吉田仁人の5人からなる、変幻自在の5人組ボーカルダンスユニット・M!LKが、2月13日(日) にメジャーデビュー後初となるワンマンライブ『M!LK LIVE 2022 NEXT WINNER』を、パシフィコ横浜 国立大ホールで開催した。ドラマ『真犯人フラグ』や映画『嘘喰い』に出演中の佐野勇斗をはじめ、塩﨑太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人の5人からなるM!LKはグループ結成7年目の記念日となる昨年11月24日(水) にメジャーデビューを果たした。キャリア史上最大規模となる本公演のチケットは完売となり、オンラインでの生配信も決定。メジャーデビュー後初となるワンマンライブとあって、5000人を超える“み!るきーず”(ファンの呼称)が集まった満員の会場は熱気に包まれた。ライブは、メンバーが光をあてて虹を描くプリズムを手にした映像からスタートした。続いて、司祭のような金色のローブガウンを身に纏ったメンバーが教会を思わせるステージに登場。光が降り注ぐ巨大なLEDスクリーンに囲まれる中で、ファンとの絆を結んだメジャーデビュー曲「Ribbon」を煌びやかに歌唱し、場内を一瞬にして《光あふれる場所》へと変えた。そして、佐野による「いくぜ!パシフィコ!!」という叫びを合図に、トランシーなロックナンバー「上昇クライマー」では、メンバーと観客が一斉に拳を挙げて熱狂。さらに、塩﨑が「今日はバカになって騒ぎましょう」と呼びかけ、お茶目でユニークな「めちゃモル」や「サンキュー!N・D・K!」ではステージ上を所せましと走り回って大騒ぎ。爽やかなシャツへの早着替えを経て、「男子スイーツ部発足します」は可愛くキュートにパフォーマンスし、山中のウィンクが決まった「恋がはじまる」ではピュアなラブストーリーを届けた。“変幻自在”というキャッチコピー通りに、1曲ごとに表情が異なる、実に多彩で多面的な魅力を見せる彼らのライブのムードはここから一変する。ミステリアスでゴシックなムードの「君の知らない世界へ」ではスモークが焚かれる中で、5人の<TEAM M>と共に鏡を使ったパフォーマンスを展開。鏡の中にいる自分と対峙した彼らは、“もう一人の自分”につかまり、鏡の中へと閉じ込められてしまう。やがて、警告音と共に真っ赤なライトが点滅し、2017年春のツアー誕生した突然変異ユニットで、“赤”をコンセプトカラーに掲げる<BLACK M!lLK>が乱入。パフォーマーであるDAICHI、JINTO、JYUTAROのハードなソロダンスに続き、ツインヴォーカルのHAYATOとSHUNTAが姿を見せた。ワイルドかつセクシーなダンスナンバー「Charge」「Don’t look back」で、“白”のM!LKとは正反対と言ってもいいような硬質で攻撃的なパフォーマンスで会場を赤く染め上げた。その後、映像を通して佐野が鏡をぶち破ると、舞台の雰囲気は再びガラッと変化。スクリーンにはバルーンが飾られたパーティー会場でカップケーキやマシュマロを頬張るメンバーの映像が流され、コミカルなソロコーナーへと突入。吉田は全身緑の宇宙人に扮してゲームの世界に入り込み、バブリーな御曹司となった塩﨑が蝶ネクタイに半ズボン姿でマネーガンで札束をばら撒く。ハットを被った曽野は瞬間移動のイリュージョンを見せる中、スマホで佐野と吉田の誘いを別々に受けて、佐野との食事を選択。ピンクのセットアップ姿の佐野は激辛採点のカラオケに挑戦して完唱に失敗し、「チッキショー!」と絶叫し、令和のマタドールとなった山中は赤いバラを手に「愛してる」を連発して、観客を沸かせた。次の青春ロック「SAY YEAH」からは、のちのMCで山中が「ずっとやりたいと思っていた」と語ったホログラムを使った最新の衣装にチェンジ。MCでは、本公演の「NEXT WINNER」というタイトルについて、メジャーデビュー直前の昨夏に行われた強化合宿で曽野がアイデアを出したことが明かされ、ライブ演出にも携わった塩﨑による「次の勝者は何と戦っているのか。それは、自分自身なんじゃないかということで、自分に打ち克つとういうテーマから、鏡の世界をコンセプトにしました」と解説を経て、ライブは後半戦に。別れをテーマにした切ないラブソング「It’s only LOVE」「last moment」はスタンドマイクでしっかりと歌を届け、「かすかに、君だった」などの人気曲を繋げたメドレーでは、光を集めたキラメキの世界を歌とダンスで表現。そして、本公演のテーマソングで、2月9日に配信シングルとしてリリースされたメッセージソング「HIKARI」のライブ初披露では、曲頭で佐野と吉田がおでこを重ねる場面に観客が沸き上るなか、佐野が「先が見えずに不安だなと思う時期もあると思います。そういう人たちに向けて、少しでも心に火を灯して、前に向かって、自分に打ち克っていこうという曲になってます。就活生や受験生に向けた応援ソングになってます」と説明。そして吉田が「過去最大キャパシティですが、ここがゴールじゃない。あくまでもスタート地点です。どんどん先に進んでいく僕たちと応援してください」と語り、メジャーデビューシングルのカップリングに収録されていたエールソング「夜明け」での強い意思のこもった歌声で未来の夢に向かって恐れずに突き進んでいく決意と覚悟を表明し、バラエティに富んだ本編を力強く締めくくった。この曲が完成する時までずっと隣にいてくださいアンコールでは、恒例のバラエティ企画として、「ベルが鳴ったらなりきりましょう」コーナーを展開。抽選箱に入ったボールに描かれた役柄を演じ切るという内容で、吉田が赤ちゃん、山中がボディビルダー、曽野がバレリーナ、佐野が酔拳、塩﨑はスーパーモデルに決定。「白黒Brand New World」を歌いながら、ベルが鳴った瞬間からそれぞれの役柄を全力で演じる中、観客の拍手による採点で「一番恥ずかしそうだった」と評価された佐野は罰ゲームとして、ゴムパッチンにチャレンジ。場内が笑い声に包まれる中で、ウィンターソング「Milky Snow」ではペンライトを大きく振って、会場が一体となり、山中が「僕たち全員で作詞した大切な曲です。この曲が完成する時までずっと隣にいてください」と語ったラストナンバー「夢路」は、メンバー5人で肩を組み、手を重ね、エモーショナルに熱唱。すでに春ツアーが決まっていることもあり、メンバーはこの日のライブに集まってくれたみ!るきーずに感謝の気持ちを伝えながら、「春に会おうね」と再会を誓って、笑顔で手を振りながらステージを後にした。そして、ワンマンライブ『M!LK LIVE 2022 NEXT WINNER』でのセットリストはプレイリストでも公開されているので、各ストリーミングサイトでお聴き逃しなく!なお、M!LKは、5月3日(火) の大阪・Zepp Osaka Bayside公演を皮切りに、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での2デイズ公演を含む全国ツアー『M!LK SPRING TOUR 2022“CIRCUS”』を開催することが決定している。Text:永堀アツオPhoto:斎藤 大嗣 / つぼいひろこ<公演情報>『M!LK LIVE 2022 NEXT WINNER』2月13日(日) パシフィコ横浜 国立大ホールセットリストM01. RibbonM02. 上昇思考クライマーM03. めちゃモルM04. サンキュー!N・D・K!M05. 男子スイーツ部発足しますM06. 恋がはじまるM07. 君の知らない世界へM08. ChargeM09. Don’t look backM10. 宇宙ジャンボリーM11. サラブレッド御曹司CITY BOYM12. 行けたら行くよM13. 妄想ドン・キホーテM14. Amore〜僕は君に愛を叫ぶ〜M15. SAY YEAHM16. It’s only LOVEM17. last momentM18. ハロー!M19. 疾走ペンデュラムM20. Brave SagaM21. かすかに、君だった。M22. HIKARIM23. 夜明けEN1. 白黒Brand New WorldEN2. Milky SnowEN3. 夢路『M!LK LIVE 2022 NEXT WINNER』プレイリスト:<リリース情報>M!LK 配信シングル「HIKARI」配信リンク:「HIKARI」ジャケットM!LK「HIKARI」MV【キャンペーン】■「HIKARI」Apple Music / Spotify楽曲シェアキャンペーン2月9日(水) リリースの配信シングル「HIKARI」をApple Music、Spotifyで再生し、ハッシュタグ#MILKHIKARIをつけてTwitterで楽曲の感想とともにシェア投稿してくださった方にランダムでメンバーがリプライいたします。■「HIKARI」Spotify Canvas InstagramストーリーズシェアキャンペーンM!LK「HIKARI」を、SpotifyからInstagramのストーリーズでシェア投稿してくださった方全員に、【オフショット画像】をプレゼントします。※Spotifyのキャンバス(再生中の画面)の映像は期間中、数日ごとに変更予定です。■「HIKARI」LINE MUSICキャンペーン期間中に「HIKARI」をLINE MUSICで369回以上聴いてくださった方にもれなく【フィルム画像①】をプレゼント。さらに1000回以上再生してくれた方全員に【フィルム画像②】、2000回以上再生してくれた方全員に【フィルム画像③】をプレゼント。■M!LKオフィシャルファンクラブ『PREMIUM MILK』会員限定 LINE MUSIC 「HIKARI」キャンペーン期間中に「HIKARI」をLINE MUSICで3690回以上聴いてくださった方全員にもれなく【「HIKARI」コンセプトランダムソロジャケ(メンバー1名サイン入り)】をプレゼント。さらに9999+以上聴いてくれた方の中から抽選で150名様に【メンバーからホワイトデーTEL(メンバーご指定可能)】がかかってきます。・メンバーからホワイトデーTEL(メンバーご指定可能)実施日:3月14日(月) 19:00~応募方法・キャンペーン詳細:■TikTokキャンペーン2月9日(水) リリースのデジタルシングル「HIKARI」のテーマでもある『鏡』にちなんで、TikTokで鏡に映る自分を投稿しよう。鏡に映る自分、もしくはフィルター『鏡の中の私』を使用して写真や動画を撮影し、「#鏡の中の私」「#M!LKメンバーの推しの名前」をつけてTikTokに投稿。抽選で5名様に【サイン入り/ご希望のメンバーカラー鏡】をプレゼントします。応募方法・キャンペーン詳細:<ツアー情報>M!LK SPRING TOUR 2022 “CIRCUS”5月3日(火・祝) 大阪・Zepp Osaka Bayside5月5日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka5月7日(土) 愛知・Zepp Nagoya5月13日(金) 北海道・札幌PENNY LANE245月14日(土) 宮城・SENDAI GIGS5月22日(日) 新潟・新潟LOTS5月27日(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA5月28日(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA※北海道・新潟公演は『M!LK SPRING TOUR 2022 “CIRCUS -another-”』となります。■『M!LK SPRING TOUR 2022“CIRCUS”』告知動画■オフィシャルファンクラブ「PREMIUM MILK」会員先行受付受付期間:1月26日(水) 18:00~※チケットお申込み、「PREMIUM MILK」新規ご入会はこちら:※ご購入前に必ずご確認ください:関連リンクM!LK オフィシャルサイト: YouTube: Instagram: Twitter: TikTok:
2022年02月14日少年漫画を観ているような気分だった。目の前で起きた全てに興奮したし感動した。これがまた純然たるフィクションであることに震える。こんなことが繰り広げられるんだからライブハウスって面白い。2022年1月15日、この日のZepp Nagoyaのステージに立っていたのはハンブレッダーズと04 Limited Sazabys。「なにこの組み合わせ?」と思った人もいるはず。この対バンが実現したのは他ならぬ『HIGH FIVE 2022』だからこそだ。この日の名古屋公演を皮切りに大阪、札幌、横浜、福岡の全国5カ所のZeppにて開催されるこの『HIGH FIVE 2022』というイベント。これがもうその企画からして少年漫画要素満載なのだ。まずイベント側からは新進気鋭の次世代を担うアーティストをヘッドライナーとして指名。そして彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストとして迎え対峙する。ほら、もうワクワクするでしょ。ドラマが生まれる予感しかないでしょ。そして、このとき感じた予感は本物でしかなかった。名古屋公演のヘッドライナーに指名されたのはハンブレッダーズ。そして彼らが対バン相手として迎えたのが04 Limited Sazabys。この日のZepp Nagoyaで何が起きたのか。もう一度言う。少年漫画を観ているような気分だった。そして、目の間で起きたこと全てに興奮したし感動した。先陣を切ったのは地元名古屋の04 Limited Sazabys。よくよく考えたら名古屋での『HIGH FIVE 2022』開催において地元を代表する04 Limited Sazabysを指名するハンブレッダーズの「強い相手こそワクワクしちゃう精神」、凄くないか。だって相手は04 Limited Sazabysだぞ。今や名古屋を背負って日本を代表するバンドとして活躍する04 Limited Sazabysだが彼らだって順風満帆だったわけではなく、ひとつずつ壁を壊しながら山を越え谷を越え僕らの町の絶対的ヒーローになったのだ。そんな04 Limited Sazabysだからこそ、このイベントに呼ばれた意味をしっかり汲み取った圧巻のライブを見せつけてくれた。果敢に挑んできたハンブレッダーズに対する最大限の礼儀は手加減なしにぶっ潰すこと。その表れか、ライブは「swim」からスタート。こんなの戦いが始まった瞬間にかめはめ波を撃つようなものだ。なのに「信じろ 未来を」なんてメッセージも放っちゃってるんだから憎い。「My HERO」ではハンブレッダーズの少し先に立っている先輩バンドとして「あの頃と同じ」だと歌っているようにも感じてグッときてしまう。コロナ禍コロナ禍言い飽きたけど、こんなときだからこそ立ち上がる以外方法はないという力強いメッセージが心を打つ。GENがMCで話していたように、戻るんじゃなく進むことが大事なんだ。そんなことを考えていると、戻るんじゃなく進んだことを逆説的に表現したかのような「message」がZepp Nagoyaに鳴り響く。ハンブレッダーズが名古屋での『HIGH FIVE 2022』に04 Limited Sazabysを選んだのは地元である名古屋で04 Limited Sazabysがどんなライブをするか観たかったからだと思うのだが、活動初期の04 Limited Sazabysが名古屋の小さなライブハウスで日夜戦っていた頃の彼らの武器である英語詞のメロディックパンクをそのままレベルだけグンと上げた状態で披露した「message」はハンブレッダーズに対する何よりのメッセージになったと思う。しかし容赦ないな04 Limited Sazabys。この日、GENは「生きる力を与えたい」とか「世界は不安で溢れてるけど、それに打ち勝つのが俺たち」と頼もし過ぎる言葉を放っていた。しかもサラッと。彼らだって生きる力を沢山音楽にもらってきたはずだし、日々不安と戦っていると思う。例え環境や立場が変わっても変わらないことだってあるはずだ。だけどGENは、04 Limited Sazabysは、アジテーションする立場として自らを奮い立たせ、後輩からの対マンを正面から受け止め、しっかり先輩の役目をステージで果たしている。強くなったな、なんて言うと偉そうだけど、本当に強くなった。名古屋のライブハウスに名古屋を背負って立つ4人の姿は紛れもなく英雄に見えた。「今に全てを賭けてもいい」と言い放ち「Just」「monolith」を叩きつけライブは終了。ハンブレッダーズからの挑戦状に対するスクールカーストでいう上層部からの返答ともいえるライブに、胸がパチパチするほど騒いでいる自分に気付いた。ライブ終盤に起こったドラマ圧倒的なライブを見せつけた04 Limited Sazabysの先制攻撃に対し、先に啖呵を切ったハンブレッダーズがどう応戦するか。ここでビビるようだったらこの戦いはここまでだが果たして……。なんて思っていたらちょっと待ってくれ。ハンブレッダーズ、凄まじいぞ。「スクールカーストの最底辺から」なんて言っているけど、最底辺だからこその火事場のクソ力というか、怖いもの知らずパワーというか、とにかく持てる武器全部装備して突進する姿に感動すら覚えてしまった。04 Limited Sazabysに対するカウンターパンチともいえる「弱者の為の騒音を」からライブは始まり、「泣き言混じりのシュプレヒコール」を体現した大合唱とか「頭の悪いギターで鳴らしてやるよ」を体現したギターソロとか、等身大なんていうありきたりな言葉の何倍もの等身大をぶつけてくる。それもこれも音楽が世界を変える魔法だと分かっていて、その魔法にハンブレッダーズ自身がどっぷりかかっているからだと思う。今やCDやレコードなんて時代遅れのガラクタかもしれないし、家でスマホで何でも観れる時代にわざわざ足を運んでライブを観るなんて意味が分からない人もいるかもしれない。もうそれはそれとして仕方ない。全然わかる。だけどそういう声をシャットアウトするのが音楽だ、CDだ、レコードだ、ライブだ、ライブハウスだ。マイノリティ上等、見渡せば『HIGH FIVE 2022』のフラッグの下にこんなにも音楽ファンがいる。もうその事実とハンブレッダーズが歌っていることだけで充分だ。ムツムロが「世界を変えるために必要なものがひとつだけある」と語り披露したのは「ギター」だ。今回の04 Limited Sazabysとハンブレッダーズの対バンを「陽キャVS陰キャ」だと笑っていたが、陰キャが陽キャにどう向かっていく姿だったり、もしかしたら倒しちゃうんじゃないかってドキドキに興奮するわけで、その武器がギターだなんて、少年漫画として100点過ぎる。僕が編集者なら即連載開始だ。04 Limited Sazabysが地元名古屋でYON FESを開催していることに対し「いつか地元大阪でフェスを開催したい」と語るムツムロ。「まあ、YON FESには行ったことないんですけど」なんていちいち好戦的なのも最高だ。「自分のやり方で、自分の言葉で、心躍る音楽をやってる」という言葉にはそのままハンブレッダーズというバンドのやり方や在り方が表れていて心のずっと奥の方まで突き刺さる。「友情 努力 勝利」が原則の少年漫画とは真逆の青春を過ごしてきたであろうハンブレッダーズが、音楽で、ギターで、バンドで、全部ひっくり返す様を歌った「DAY DREAM BEAT」に共感した者が集まるライブハウスの光景。これまでのロックバンドのそれとは何かが違う一体感。きっとみんな、ずっと戦ってきたんだろうな。抗ってきたんだろうな。「再生」で耳に飛び込んできた「僕の感動とお前の「エモい」を同じにすんな」なんて、戦ってるバンドにしか歌えないよ。抗ってきたリスナーだから届くんだよ。そんな彼らにとって今日の対バン相手が04 Limited Sazabysだったことはやはり偶然なんかじゃなく必然だったんだと思う。ハンブレッダーズも04 Limited Sazabysもその在り方を提示した上でぶつかり合った素晴らしい1日だった。事件が起きたのはハンブレッダーズがアンコールの「ライブハウスで会おうぜ」を歌おうとした瞬間だった。ステージに突如GENが現れムツムロに耳打ちしたのだ。ざわつく会場とキョトンとした表情でGENとムツムロを見つめるメンバー。ムツムロが耳打ちされながら復唱する。「4月2日か3日、空けておいて?」会場に歓喜のどよめきが起きる。声を出せなくたって空気で分かる。何も言わずステージを去るGEN。まだ何も分かっていないムツムロ。そう、既にアナウンスされているが、今年のYON FES出演を公開オファーしたのだ。ライブ前半のムツムロの発言を思い出して欲しい。「まあ、YON FESには行ったことないんですけど」だ。それに対する04 Limited Sazabysの回答がYON FESオファーなのだ。こんなにかっこいいオファー観たことある?こんなにかっこいい先輩からの誘い観たことある?最後の最後で全部持っていくGEN。これがスクールカースト上層部のやり方か。こんなことが起きてしまうのがライブハウスだし、その可能性を持っているのが『HIGH FIVE 2022』だ。ドラマ、在りすぎでしょ。初対バンだったハンブレッダーズと04 Limited Sazabysのストーリーの始まりを観ることが出来た『HIGH FIVE 2022』の功績は大きいと思う。そして終演後、楽屋では慌ててスケジュール調整をするハンブレッダーズのマネージャーの姿を見ながら思った。これは純然たるフィクションだと。Text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)Photo by 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2022』2022年1月15日(土) Zepp Nagoya【セットリスト】■ハンブレッダーズ01. 弱者の為の騒音を02. ユースレスマシン03. ギター04. 銀河高速05. COLORS06. フェイバリットソング07. 名前08. ファイナルボーイフレンド09. プロポーズ10. DAY DREAM BEAT11. ワールドイズマイン12. 再生EN. ライブハウスで会おうぜ■04 Limited Sazabys01. swim02. Kitchen03. My HERO04. Now here,No where05. message06. fade07. fiction08. Alien09. Night on10. Jumper11. midnight cruising12. Letter13. hello14. Just15. monolith<ライブ情報>『HIGH FIVE 2022』■2022年2月5日(土) Zepp SapporoOPEN 17:00 / START 18:00出演:w.o.d.SPECIAL GUEST:The Birthday■2022年2月23日(水・祝) KT Zepp YokohamaOPEN 14:00 / START 15:00出演:ODOROYO(アナタシア / やっこ / まりやん / りりやん / わた / 足太ぺんた / バケモノバケツ委員会 / りりり / bake / まなこ / めーとる / みうめ / たまひよ。/ ぶっきー / AMUぷらす弟たっくん / RAB(リアルアキバボーイズ)/ チェゴ)■2022年2月27日(日) Zepp FukuokaOPEN 17:00 / START 18:00出演:Cö shu NieSPECIAL GUEST:澤野弘之ゲストボーカル:mizuki(UNIDOTS)/ SennaRin公式サイト::
2022年02月04日櫻坂46の“櫻エイト”(各フォーメーションで1、2列目に立つメンバー8人)を除くメンバーによる単独ライブ『BACKS LIVE!!』が1月8日・9日に東京ガーデンシアターにて行われた。昨年6月16~18日に舞浜アンフィシアターにて初開催された『BACKS LIVE!!』だが、約半年ぶりに実施された今回は3rdシングル『流れ弾』のBACKSメンバー16名が参加。メンバーそれぞれが立候補した楽曲で必ず1人1回はセンターに立つという、2022年の幕開けに相応しく華々しいステージが展開された。「私たちが、櫻坂46を、強くする。」をテーマに行われた今回の公演は、前回をはるかに上回るキャパシティを誇る会場というだけでなく、オンラインによる生配信も実施。初日を大成功のうちに終えたBACKSメンバーは、続く9日の公演でもオープニングナンバー「ソニア」から息の合ったパフォーマンスを披露していく。センターの小池美波を中心に繰り広げられていくパフォーマンスは非常に一体感の強く、昨年の『BACKS LIVE!!』をはじめ初の全国ツアーなどで得た経験がしっかり結果として表れていることが伝わるものだった。そして、最初のMCでは関有美子が「櫻坂の(2022年の)スタートがこのライブだから、ここですごくいいライブを作れたら櫻坂もいいスタートが切れるんじゃないかな」、齋藤冬優花が「来てくださったBuddies(=櫻坂46ファン)の皆さんや配信で観てくださっている皆さんに今日のライブを見れてよかったと思ってもらえるようなライブにできるように精一杯頑張ります」と挨拶し、会場を温かな空気で包み込んでいった。MCをひと通り終えると、メンバー1人ひとりの個性を活かしたソロダンスをフィーチャーしたダンストラックに突入。余裕すら伝わるそのダンスからは、前回の『BACKS LIVE!!』からさらに成長した姿も伝わる。続く「BAN」では初日の松田里奈に替わり、9日公演では遠藤光莉がセンターを担当。序盤からフルスロットルと言わんばかりの激しいパフォーマンスで、観る者を圧倒させる。その一方で、齋藤がセンターに立つ「半信半疑」では腕の滑らかな動きと表情の作り込みで楽曲の持つ世界観を見事に表現。「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では『BACKS LIVE!!』初参加となる藤吉夏鈴が堂に入った圧倒的な表現力を見せ、ライブは早くも最初のクライマックスへと到達した。熱量の高いパフォーマンスが続いた序盤ブロックを経て、微笑ましいMCで一呼吸置くと、井上梨名のセンターによる「最終の地下鉄に乗って」、原田葵がセンターを務める「君と僕と洗濯物」と穏やかなノリの楽曲が続く。昨年の『BACKS LIVE!!』とは異なるセンターということもあり、楽曲からは新たな表情が見え隠れし、新鮮な気持ちで接することができたのではないだろうか。それは続く「Microscope」も同様で、大園玲のセンターは原曲とも前回の『BACKS LIVE!!』とも違った個性を秘めたパフォーマンスに進化していた。MCでの和やかな空気を引き継ぐように、ライブは「偶然の答え」から再開。センター守屋麗奈の憂いに満ちた表情は、楽曲に新たな魅力を加えていく。かと思えば、増本綺良を中心に展開する多幸感いっぱいの「思ったよりも寂しくない」では、彼女の天真爛漫さとスキルアップしたダンスの魅力が十分に伝わる仕上がりに。これは彼女に限ったことではなく、昨年後半に数多くの有観客公演を経験したことが技術や意識の向上に直結していることがステージ上のメンバーたちからしっかり伝わってきた。SEを挟んで白衣装から赤&白衣装へと着替えたメンバーは、ダンストラックでクールなダンスを展開。続く「美しきNervous」では上村莉菜がキュートな笑顔を振り撒く一方で、「無言の宇宙」では関が凛とした表情で憂いに満ちた楽曲の世界を伝えていく。そして、メンバー1人ひとりの『BACKS LIVE!!』への思いが語られるVTRを経て、尾関梨香がセンターを担当する「Buddies」へ。前回は休養中で今回が『BACKS LIVE!!』初参加の尾関の、このライブにかける思いと重なるような歌詞が強く響き、Buddiesとの絆を再確認する貴重な1曲となった。さらに、「Nobody’s fault」では武元唯衣がセンターに立ち、自信に満ち溢れた表情で櫻坂46の原点となる1曲を見事に表現。8日公演では幸阪茉里乃がセンターを務めた「Dead end」も、9日公演では藤吉が新たにセンターを担当し、独特のクールさが際立つ仕上がりを見せる。そして、メンバーが履いていたブーツを脱ぎ捨ててから、本編ラストナンバーの「流れ弾」へなだれ込む。前日のライブでは大沼晶保が圧巻のパフォーマンスでBuddiesを魅了したが、この日は小池美波がセンターとして全身全霊のダンスで観る者すべてを惹きつけ、会場の熱気が最高潮に達したところでライブ本編は幕を下ろした。アンコールではライブTシャツに着替えたメンバーが再登場し、2日間の感想を口にしていく。藤吉が「今回でより音楽っていいなとすごく思いましたし、皆さんと音楽を一緒に共有しながら遠くまで歩いていけたらうれしいなと思います」と前向きな気持ちを語る一方で、小池は涙混じりに「今回のライブは『BACKS LIVE!!』という名前なんですけど、私は櫻坂のライブとして観てほしいなと思っていて。櫻エイトとかBACKSという名前はあるけど、みんなすごく輝いているしすごく魅力があるから、それがみんなに伝わってほしいなという気持ちで今回臨んでいたし、皆さんにもBACKSというもの自体のイメージが変わったらいいなというのを思っていたので、それが伝わっていたらいいなと思います」と思いを告げる。続けて副キャプテンの松田が「それぞれいろんな思いを持ってこの『BACKS LIVE!!』に挑んでいて、いろいろ葛藤もあったと思うんですけど、このライブで生まれる感情というのは自分たちの中でも特別なものがあって。この経験をこれからの櫻坂全体の活動にも生かしていきたいなと思いますし、こういう大変な時期にこんなにも大きな会場でたくさんの方に足を運んでいただけたことに対して、私たちも『BACKS LIVE!!』で得たものを力に変えて、皆さんに何かお返しできたらいいなと思うので、これからもよろしくお願いいたします」と力強く宣言。最後はステージ上のメンバーと客席のBuddiesがひとつになり、「櫻坂の詩」で会場を桜色に染めて2日間にわたる「BACKS LIVE!!」を終えた。メンバー1人ひとりの強い個性がダイレクトに伝わる『BACKS LIVE!!』にて、最高の形で2022年のスタートを切った櫻坂46。デビュー2年目の彼女たちがここからどんな進化を遂げるのか、ぜひ見守っていてほしい。文:西廣智一写真:上山陽介<公演情報>櫻坂46『3rd Single BACKS LIVE!!』2022年1月9日(日) 東京ガーデンシアター【セットリスト】Overture01. ソニア02. BAN03. 半信半疑04. なぜ恋をして来なかったんだろう?05. 最終の地下鉄に乗って06. 君と僕と洗濯物07. Microscope08. 偶然の答え09. 思ったよりも寂しくない10. 美しきNervous11. 無言の宇宙12. Buddies13. Nobody’s fault14. Dead end15. 流れ弾En. 櫻坂の詩<リリース情報>櫻坂46 3rdシングル『流れ弾』Now On Sale●初回仕様限定盤 TYPE-A【CD+BD】1,900円(税込)櫻坂46『流れ弾』初回仕様限定盤 TYPE-Aジャケット【CD収録内容】1. 流れ弾2. Dead end3. ソニア4. 流れ弾 -OFF VOCAL ver.-5. Dead end -OFF VOCAL ver.-6. ソニア -OFF VOCAL ver.-【Blu-ray収録内容】・「流れ弾」MUSIC VIDEO・SAKURA MEGURI齋藤冬優花×菅井友香×守屋茜渡辺梨加×渡邉理佐×増本綺良・Sakurazaka46 BACKS LIVE!! ~Center Performance Collections~オープニングVTRNobody’s faultPlastic regret半信半疑BAN -Day1-●初回仕様限定盤 TYPE-B【CD+BD】1,900円(税込)櫻坂46『流れ弾』初回仕様限定盤 TYPE-Bジャケット【CD収録内容】1. 流れ弾2. Dead end3. ジャマイカビール4. 流れ弾 -OFF VOCAL ver.-5. Dead end -OFF VOCAL ver.-6. ジャマイカビール -OFF VOCAL ver.-【Blu-ray収録内容】・「流れ弾」MUSIC VIDEO・SAKURA MEGURI井上梨名×幸阪茉里乃×関有美子×守屋麗奈遠藤光莉×藤吉夏鈴×山﨑天・Sakurazaka46 BACKS LIVE!! ~Center Performance Collections~Nobody’s fault -Day1-Microscope偶然の答え君と僕と洗濯物インタビューVTR●初回仕様限定盤 TYPE-C【CD+BD】1,900円(税込)櫻坂46『流れ弾』初回仕様限定盤 TYPE-Cジャケット【CD収録内容】1. 流れ弾2. Dead end3. On my way4. 流れ弾 -OFF VOCAL ver.-5. Dead end -OFF VOCAL ver.-6. On my way -OFF VOCAL ver.-【Blu-ray収録内容】・「流れ弾」MUSIC VIDEO・「Dead end」MUSIC VIDEO・SAKURA MEGURI小池美波×小林由依×大園玲大沼晶保×武元唯衣×田村保乃・Sakurazaka46 BACKS LIVE!! ~Center Performance Collections~ブルームーンキス最終の地下鉄に乗って思ったよりも寂しくないBAN -Day2-●初回仕様限定盤 TYPE-D【CD+BD】1,900円(税込)櫻坂46『流れ弾』初回仕様限定盤 TYPE-Dジャケット【CD収録内容】1. 流れ弾2. Dead end3. 無言の宇宙4. 流れ弾 -OFF VOCAL ver.-5. Dead end -OFF VOCAL ver.-6. 無言の宇宙 -OFF VOCAL ver.-【Blu-ray収録内容】・「流れ弾」MUSIC VIDEO・「無言の宇宙」MUSIC VIDEO・SAKURA MEGURI上村莉菜×尾関梨香×原田葵土生瑞穂×松田里奈×森田ひかる・Sakurazaka46 BACKS LIVE!! ~Center Performance Collections~Nobody’s fault -Day2-それが愛なのねなぜ恋をして来なかったんだろう?BuddiesBAN【封入特典】・応募特典シリアルナンバー封入・メンバー生写真(各TYPE別25種より1枚ランダム封入)●通常盤【CD only】1,100円(税込)櫻坂46『流れ弾』通常盤ジャケット【CD収録内容】1. 流れ弾2. Dead end3. 美しきNervous4. 流れ弾 -OFF VOCAL ver.-5. Dead end -OFF VOCAL ver.-6. 美しきNervous -OFF VOCAL ver.-櫻坂46「流れ弾」MV櫻坂46「Dead end」MV櫻坂46「無言の宇宙」MV関連リンク櫻坂46 OFFICIAL WEBSITE:櫻坂46 OFFICIAL Twitter:
2022年01月10日12月30日(木) SILENT SIRENのラストライブツアー『SILENT SIREN年末スペシャルLIVE TOUR 2021「FAMILIA」』の最終公演、つまり活動休止前のラストライブが東京体育館にて開催された。開演前、場内には彼女たちがこれまでにつくってきた名曲の数々が流れ、「Star drops」の終わりとともに暗転。バンドのメインアイコン・サイサイくんが登場するムービーのあとに始まったオープニングナンバーは新曲「FAMILIA」だった。これはSILENT SIRENが最後に発表した、今ツアーのテーマにもなっている楽曲だ。すぅ(Vo./Gt.)ひなんちゅ(Ds.)が今年9月に脱退したことをポジティブに変換してあえてドラムを全編打ち込んでつくったという意地の1曲だが、今日はもちろん生ドラム。《いつでも帰れる場所がある》という歌詞からは、今回の活動休止が決して後ろ向きではないという想いを感じるし、サイサイファミリー(サイサイファンの呼称)のために歌ったこの曲を1曲目に据えたことの意味は想像するに容易い。曲のスタートとともに輝き始めたのは、観客が腕に身につけたリストバンド。それがより一層バンドとの連帯を感じさせるのだった。そして、「私たちがSILENT SIRENです!」という力強い宣言のあとにプレイしたのは、これまでに数多くのライブやフェスで観客を踊らせてきた名曲「フジヤマディスコ」。あいにゃん(Ba.)の唸るベースライン、鬼キャッチーなサビ、客席で揺れる扇子……いつだって強烈な刺激を与えてくれた曲だ。そこにサイサイ楽曲のなかでトップレベルの人気を誇る「八月の夜」で追い打ちをかける。あいにゃん(Ba.)MCでは、「改めましてこんばんは、SILENT SIRENです!とうとうやってきたね、ツアーファイナル。活休前最後のライブにようこそ!」とすぅ(Vo./Gt.)が叫ぶ。それはいつもにも増して力強く、大きな声だった。おそらく、そうしないと涙が溢れてしまいそうだったのではないだろうか。そんな彼女の姿にグッときてしまう。のっけから代表曲を惜しみなく畳み掛けられて、こちらの音楽脳は存分に刺激されているのだが、「ライブで聴くのはこれが最後か」と思うと、とてつもない切なさがある。しばしの別れだとしても、悲しいものは悲しい。すぅが花に彩られた花道の先端にあるセンターステージ、つまり客席のど真ん中で歌ったのは彼女たちのデビュー曲「Sweet Pop!」だった。「ビーサン」ではそこにあいにゃんとゆかるん(Key.)も合流し、感極まっているすぅを左右からもり立てる。これまでのサイサイもこうやって支え合ってきたのかと思うと、この日すでに何度目かわからない涙腺刺激ポイントが訪れる。ゆかるん(Key.)今回のライブが特別なのは、サポートメンバーとして2人のミュージシャンが参加したこと。1人は渡邊悠(Ds.)、もう1人はクボナオキ(Gt.)だ。クボナオキは元々サイサイのメンバーであり、裏方に回ってからはサイサイのサウンドプロデューサーとして11年にわたり、サイサイの全公演、全曲を支え続けてきた。そんな2人の助けもあり、演奏は安定感があり、音も分厚い。ラストライブということを抜きにしても非常に質の高いパフォーマンスだ。なお、ツアー初日の福島、そして大阪公演ではメンバーにとってお兄ちゃんのような存在であるTHE BACK HORN松田晋二がサポートドラムとして参加していた。ライブ序盤は「これぞサイサイ!」というアゲ曲で攻めたが、中盤は一転。懐かしい冬のバラード「I×U」、絶対にこの曲を出したいとメンバーが主張してリリースに至ったという「stella☆」、新しい旅立ちを歌った新曲「恋爛漫」、日本武道館公演の際に会場限定でリリースされ、今は手に入らない幻の名曲「シンドバッド」といったスローからミッドテンポの楽曲で展開をつくった。こういうライブともなると、どうしても過去の思い出が頭をよぎってしまう。ゆかるんはメジャーデビューのタイミングでサイサイに加入。常に期待通りのパフォーマンスを見せてくれる、徹底した完璧主義で、自分に任されたことは抜かりなく遂行するのがゆかるんという人なのである。彼女は煽り隊長としても頼もしい姿を見せ、丁寧かつ、熱量の高いアジテーションはサイサイのライブにおける見どころのひとつだった。SILENT SIRENというバンドが持つポジティブで明るいキャラクターを象徴していたのは実は彼女なんだと思う。サイサイの職人的な要素を担っていたのはあいにゃんだ。彼女は11年にわたる活動のなかでベースプレイヤーとして著しい成長を見せた。歌うようなフレーズがいつの頃からか彼女の武器となり、ファン以外からもその実力を評価されるようになった。ベースを愛し、サイサイを愛したからこそあいにゃんの才能はさらに開花したのだろう。演奏に対するストイックな姿とは反対に、普段はほんわかとした癒やしキャラ。そのギャップに惹かれるファンが大勢いるのも当然。そんな彼女の成長がSILENT SIRENの楽曲のクオリティをぐんぐん引き上げていったのだと思う。この日もあらゆる場面で光るプレイを見せつけた。そんなシーンがあればあるほど活動休止を惜しむ気持ちが強くなる。そして、長年にわたってSILENT SIRENの顔としてフロントに立ち続けたのがすぅだ。その声を聴けばすぐにサイサイとわかる印象的なボーカルはバンドとしての個性を際立たせた。さらに、彼女が綴る歌詞は、日々の生活のなかで感じる喜びや苦悩、人間としての成長がストレートに反映され、ファンからも強い共感を得ていた。バンドという集合体に対する思い入れも人一倍強い。かなり個性的なメンバーが揃ったSILENT SIRENというバンドがここまで続いたのも彼女の存在があったからだろう。ライブ中盤のMCで彼女はこれまでずっと我慢していた涙を流した。「自分たちがこんなにいろんな人たちに愛されるバンドになるとは思ってなかったからすごくうれしいです」「このバンドは田舎から出てきた何も持っていない私にすべてをくれた場所でした」など頭に浮かんだ言葉を散文的に吐き出していった。そんな姿が本当にリアルで、やっぱり信用できる人だなと思った。パートチェンジで魅せた3人だけのステージ「未来に向かって進んでいく、もっともっとみんなにハッピーな楽しいことを届けられるようにするために出した答えです。今、ここでみんなと向き合っている私たちの音が、姿が答えです」と言って鳴らしたのは「Answer」だった。バンドが解散すること、活動休止することは悲しいことだ。しかし、サイサイはそれだけで終わらせないはずだ。それはこの曲をセットリストに入れたことからも感じる。《あの頃のわたしたちはなんて振り返るよりあの頃のわたしたちを超えれてる未来想像する》という歌詞は、たとえ確かではなくとも明るい未来を見据えているから歌えるものなんじゃないだろうか。《光満ちる未来へ続く道もう止まらないって誓った声がここに響くさ》と歌う「KAKUMEI」もそうだ。この日のセットリストは、ファンに最大限に楽しんでもらうためのものでもあり、彼女たちの意志表示でもあるのではないか。ビジュアルのよさでも注目を集めることが多かったサイサイだが、実はずっと泥臭く戦ってきたバンドでもある。そういった側面が広く知られることなくこの日を迎えたことが少々残念ではある。とにかく人を楽しませることが好きなのもSILENT SIRENというバンドの特徴だ。「KAKUMEI」でシリアスに曲を終えたあと、ステージが暗転。再び照明がつくと、そこにいたのはサポートメンバーを除いた3人。しかも、ベースすぅ、ギターあいにゃん、ドラムゆかるんという編成だ。メンバーが3人になってから3人だけで演奏を披露することがなかったからこの機会に見せたかった、とプレイしたのはインディーズ時代の楽曲「ランジェリー」だった。竿隊のすぅとあいにゃんのパートチェンジは見た目的に違和感がないが、ゆかるんがドラムを叩く姿はかなり新鮮。しかもなかなか上手いときたもんだ。最後の最後でこんなに楽しいものが観られるとは思わなかった。いつの間にか3人のノリもだいぶリラックスしたものになっていた。その勢いで本編ラストとなるブロックを突っ走った。「DanceMusiQ」から始まるサイサイ屈指のアゲ曲の連打だ。「今夜は飲むぞ~っ!」というあいにゃんの叫びとともに始まった「ALC. Monster」、シングル曲ではないものの高い人気を誇るロックチューン「女子校戦争」、あいにゃんがメインボーカルをとる「てのひら」と続く。今回のバンド編成はこういったパワー系の楽曲で最も力を発揮していた。観てる側としても、いつの間にか寂しさよりも目の前の楽しさに没頭できていた。それはきっと5人のテンションがこちらに伝染したからだろう。サイサイ一の高速チューン「HERO」でいったんステージを去った5人は、アンコールを求める手拍子に迎えられて再び姿を現した。MCでは公開されたばかりの「FAMILIA」のMVについて話をした。このMVは自分たちの今を見てほしくてつくったという。活動休止を目前にしてもなお「今を観てもらいたい」という姿勢が心を打つ。「寂しすぎるぜー!終わりたくないぜー!」と叫んだすぅは、「バンドって本当にいいなって思いました。最高のバンドに会えたなって思いました」「気持ちの整理をつけるにはあまりにも時間がなかったなって思ったりもしてます」と本音を交えながら、涙を拭いながら、これまでのバンドの歴史を振り返った。そして、「SILENT SIRENを結成して初めてつくった曲をやります」と歌い始めたのは「チラナイハナ」だった。ここで会場全体がより一層エモーショナルな空気に包まれたが、ラストに「ぐるぐるワンダーランド」「チェリボム」という流れで締めたのは、実にサイサイらしいと言える。ファンに楽しんでもらいたい、ファンの楽しむ姿が自分たちのパワーになると考えていた彼女たちは、ハッピーに締めることを選択したのである。実は、この日のリハーサルの最後にも、すぅはスタッフ全員に向けて「楽しくてしょうがないライブにしましょう!」と呼びかけていた。いくらラストライブとはいえ、湿っぽいのはサイサイらしくないのである。このライブをもってSILENT SIRENは活動休止期間へと入る。昨今、「活動休止」という言葉は「解散」とほぼ同じようなものとして捉えられることが多くなっている。しかし、SILENT SIRENは違う。たとえどんな形になろうとも、きっと彼女たちはここに帰ってくる。そんな希望を抱かせるライブだった。「チェリボム」を終え、メンバー一人ひとりが最後の挨拶をし、ステージを降りる直前、すぅは「音楽って、バンドっていいぞ!」と叫んだ。そこに一言付け加えたい。サイサイって本当にいいぞ。Text:阿刀“DA”大志Photo:上飯坂一 / 増田慶<公演情報>SILENT SIREN年末スペシャルLIVE TOUR 2021『FAMILIA』2021年12月30日(木) 東京・東京体育館SET LIST1. FAMILIA2. フジヤマディスコ3. 八月の夜4. milk boy5. Sweet Pop!6. ビーサン7. BANG!BANG!BANG!8. I×U9. stella☆10. 恋爛漫11. シンドバッド12. Answer13. KAKUMEI14. ランジェリー15. DanceMusiQ16. ALC.Monster17. 女子校戦争18. てのひら19. HEROEN1. チラナイハナEN2. ぐるぐるワンダーランドEN3. チェリボムSILENT SIREN Official Site:
2022年01月04日aikoがライブハウスツアー『Love Like Rock vol.9』のファイナル公演を12月22日に東京・Zepp Tokyoで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。本ツアーは2019年10月から2020年3月にかけて行われる予定だったが、2020年3月7日・8日のツアーファイナル2公演が新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期に。その振替公演として約1年9カ月越しに開催された本公演は、2022年1月1日に閉館することが決まっているZepp Tokyoでのラストライブとなり、aikoとファンにとっては記念すべきライブとなった。この日は、一足早くファイナルを迎えた全国ホールツアー『Love Like Pop vol.22』の最終公演でaikoがファンを驚かせる結婚発表を行った日から初めてファンの前に姿を現すライブであった。ツアーファイナルを迎えられる喜びと衝撃の発表から初めてファンの前に姿を現すaikoが、一体どのようなパフォーマンスや話を聞かせてくれるのか期待が膨らんでいく。aikoのライブではお馴染みの赤い舞台幕が落ち、最初に披露されたのは「アンドロメダ」。ロックなセットリストが特徴のツアーシリーズである『Love Like Rock vol.9』のスタートダッシュを心踊るビートで決めていく。そのあとに披露された「58cm」は、aikoがZeppの舞台と観客までの距離が58cmくらいと思っていてそれをタイトルにしたZeppとゆかりのある楽曲だ。Zeppの舞台と観客までの実際の距離は90cmあるとのことだが、ライブが始まってからすでにaikoとファンの心の距離は、タイトルの通り58cmに感じられるくらいに近く、心が通っていた。「帰りたくないならこのまま朝になろうよ」というフレーズには、Zepp Tokyoでできるライブが特別であり、このままみんなと一緒にずっとライブをしていたいと言ってくれているようで、この日は特に心に刺さった。「58cm」を歌い終えると、メッセージボードを掲げたファンを見つけ、先日発表した結婚報告に関して「本当にありがとうございます。結婚しました。」と改めてファンに感謝の言葉を述べた。「今日は、ツアーの最終日で、約1年9カ月ぶりで、しかも最後のZepp Tokyoでのライブです。本当に悲しいです。」とZepp Tokyoでのラストライブへの名残惜しさを口にした。続けて、歪んだギターのリフが耳に残る「より道」や「明日の歌」「プラマイ」を歌い、会場の熱気を上げていく。MCを挟んで披露された「ハニーメモリー」や幻想的な映像と照明で彩られた「You & Me both」によって雰囲気を作ると、最新曲の「列車」「食べた愛」などを熱唱していった。ライブの本編の後半に差し掛かって披露された「何時何分」では、サビの《さようならさようならまた今度さようなら》《愛してる愛してるだからね好きだよ》という歌詞が、Zepp Tokyoへ向けた最後の“愛の言葉”のように感じた。またaikoのライブではお馴染みの男子!女子!のコールアンドレスポンスが、コロナ禍のツアーで恒例となったジェスチャーで行われると、バンドメンバーを絡めた“コールアンドレスポンスコント”のようなものが繰り広げられていき、会場は笑いに包まれた。ライブは後半戦、次の曲「beat」に突入した。するとまた会場は、一気にロックの雰囲気に立ち戻って熱気に包まれる。この日の「beat」は、曲中でバンドメンバーの紹介ソロが盛り込まれた特別バージョン。その後「未来を拾いに」「エナジー」を披露しエネルギッシュに本編の幕を閉じた。明日も明後日もZepp Tokyoでライブが続いていく感じがします。aikoのライブはこれからが本番。アンコールに突入すると「相合傘」がロックなバージョンで披露される。「相合傘(汗かきMix)」の今回のバージョンは、まだまだ汗をかけるか?とaikoから曲を通じて言われているように感じた。「相合傘」を歌い終えると「アンコールありがとうございます!今日はZeppで最後のライブなのですごく気合を入れてきたのですが、なんとなく心なしか緊張してお互いよそよそしい感じがします(笑)。なので、もっともっと受け止めていただけると嬉しいです。アンコールも楽しんでください!宜しくお願いしまーす!」と続けて、テンポよく「ハナガサイタ」「メロンソーダ」を歌った。アンコールを歌い終えてノリノリでバンドメンバーの紹介と挨拶を終えると、「今何時だと思っているんだ!まだ9時20分だぜ!私にしてみればまだ昼の3時くらいだぜ!だってこれで最後ですもん!もうちょっとやらせてくださーい!」と最後の最後までこの日を楽しむつもりでいたことを口にした。ファンももちろんそれに答える形で大きな拍手で応戦。ダブルアンコールがスタートした。「赤い靴」を歌い終えると、サビの8ビートでファンと一体になる「運命」でボルテージを上げていき、「キスする前に」を立て続けに披露した。ファンの前にもう一度バンドメンバーとラインナップするとaikoは、名残惜しそうに「まだ歌いたいです!」と続けて「最終日とは思えないし、明日も明後日もZepp Tokyoでライブが続いていく感じがします。ここでは61回ライブをすることができました。いろいろな思い出があって、本当になくなるのかな?と今も思ってます。でもみんながいてくれたから今日もいつものようなライブになりました。本当にありがとうございます!」とZepp Tokyoの思い出とともにファンに向けて感謝の言葉を述べた。「それでは一曲目からいきましょうか?(笑)」とこの日の初めに披露された「アンドロメダ」のセッションを挟み、トリプルアンコールに突入した。Zepp Tokyoで一番披露された回数が多い「be master of life」から始まると、ファンは飛び上がって会場を揺らした。続けてこちらも過去にZepp Tokyoで24回披露されている定番曲の「二人」を熱唱。「二人」の最後に佐野康夫(Ds)が投げたスティックを取りそびれた須長和弘(Ba)を見たaikoが、スティックをキャッチするまでライブは終わらないと、最後にもう1曲「ボーイフレンド」を追加し、Zepp Tokyoでの有終の美を飾った。「今年ももう少しで終わりですが、1年9カ月待っていただき、この日に来てくれて本当にありがとうございます。ライブが終わるのは本当に実感が湧かないのですが、2019年から始まって2021年にライブを終えることができてよかったです。みなさんありがとうございました!また必ず会えますように!またね!」と挨拶して2021年最後のライブを締めくくった。なお各サブスクリプションサービスでは、本公演のセットリストとaikoのZepp Tokyo公演で過去に披露された楽曲のトップ30とレア曲をまとめたプレイリストが公開されている。Photo by 岡田貴之<公演情報>aiko『Love Like Rock vol.9』12月22日(水) 東京・Zepp TokyoSET LIST1. アンドロメダ2. 格好いいな3. ストロー4. 58cm5. より道6. 明日の歌7. プラマイ8. ハニーメモリー9. You & Me both10. 列車11. 間違い探し12. 恋ひ明かす13. 食べた愛14. 何時何分15. beat16. 未来を拾いに17. エナジーアンコール18. 相合傘(汗かきMix)19. ハナガサイタ20. メロンソーダタブルアンコール21. 赤い靴22. 運命23. キスする前にトリプルアンコール24. be master of life25. 二人26. ボーイフレンド■セットリストプレイリスト:■aiko Live@Zepp Tokyo全61公演【TOP30】プレイリスト:■aiko Live@Zepp Tokyo全61公演【レア曲】プレイリスト:<リリース情報>aiko 41st Single『食べた愛/あたしたち』Now On Sale価格:1,320円(税込)●初回仕様限定盤(カラートレイ&8Pブックレット)aiko『食べた愛/あたしたち』初回仕様限定盤ジャケット●通常仕様盤aiko『食べた愛/あたしたち』通常仕様盤ジャケット【CD収録内容】M1. 食べた愛 ※カルビー ポテトチップスCMソングM2. あたしたち ※NHKよるドラマ『古見さんは、コミュ症です。』主題歌M3. 列車M4. 食べた愛(Instrumental)M5. あたしたち(Instrumental)aiko「食べた愛」MVaiko「あたしたち」MVaiko『食べた愛/あたしたち』つまみ喰いmovieポテトチップス「畑から、愛をこめて。」篇じゃがいもチップス「素材のおいしさ」篇配信リンク:購入リンク:関連リンクaiko official website: official YouTube配信サイト official on Twitter(@aiko_dochibi) official Facebook
2021年12月29日ELLEGARDEN・10-FEET・マキシマム ザ ホルモンの3バンドが、東京・福岡・札幌・仙台・名古屋・大阪・東京を回るツアー『Reunion TOUR 2021 ~Eat music in the same LIVE HOUSE~』のファイナル公演が、2021年12月21日(火) に東京・Zepp Hanedaで行われた。ELLEGARDENの活動休止以前は、各地のフェスやイベント等で、幾度となく共演して来た3バンドだが、ライブハウスで自分たちの企画で3バンドだけで対バンするのも、一緒にツアーを回るのも、これが初めてである。このツアーは、1本ごとに3バンドの出順が変わる構成。初日の12月1日(水) 新木場スタジオコーストでトップに出演し、そのステージで2022年に16年ぶりとなる6thアルバムを制作することを発表したELLEGARDENの細美武士によると、このツアータイトルを付けたのは、10-FEETである、とのこと。緊急事態宣言中に開催が発表されたツアーだったため、平日開催で17時45分という開演時刻だったが、会場には早い時間からオーディエンスが集まり、開演後はまるでワンマンライブのように、どのアクトに対してもまったく同じ、高い温度でライブに参加し続けた。客電が落ち、おなじみのSE=ドラクエⅢの「そして伝説へ」が響き、「よっしゃ行こう! ぶっ飛ばすぞ! 頭の中、心の中、モタモタしてる奴は置いてくぞ!」というTAKUMAの雄叫びからの「goes on」で、この日のトップ、10-FEETのステージがスタートする。その2コーラス目では、ボーカルをNAOKIに任せ、「よっしゃみんな座れ! みんな立て! 行くぞ!」と煽ってサビに突入。3曲目の「風」の冒頭では、マイクから声を外してしばし生声で歌を届けてから曲に入る。4曲目「RIVER」の途中では「毎回順番を変えてやってきたけど、一番はみんなの毛穴を開く担当やな。じゃあここでウェーブやりたいと思います!」と、オーディエンスにスマホのライトを後ろに向けて掲げてもらい、まずフロアの前から後ろまで、次にライトを前に向けてフロアの後ろから前まで、ウェーブを起こさせる。5曲目「シエラのように」の前では、「本来利用すべきものに利用されんなよ」で始まる、シリアスなMCを挟んだ。「イライラすることあったら、俺らが代わりに謝る、ごめん!(歌えないし暴れられないオーディエンスの)代わりに叫んで暴れたるから見とけ!」という言葉から突入した8曲目「その向こうへ」で、ステージの上も下もピークを迎え、ライブが終了……と思ったら、TAKUMA、NAOKIとKOUICHIに「あと2分!」と告げてイントロのギターを弾き始め、「駆け抜けて終わろう!」と「back to the sunset」を急遽追加。時間ギリギリまで全力でオーディエンスを楽しませてから、ステージを下りた。「やっちまおうぜ! 俺たちの! リユニオンの! 夏は終わらねえぞ! 恋の! メ! ガ!ラ! バー!」というダイスケはんの曲紹介でスタート、たちまちフロアがモンキーダンスとヘドバンの渦で埋まったマキシマム ザ ホルモン。曲終わりでナヲは「やー!ヤバいー! 終わってまう! 僕らの七日間戦争が終わってまう!」と、今日がファイナルであることを惜しむ。友達だし、仲間だし、同窓会とか修学旅行のような楽しい雰囲気はある、でもそれだけじゃなくて、ステージに立ってライブで殴り合っている、これは闘いなので──というナヲの言葉からの「ハングリー・プライド」、そして「鬱くしき人々のうた」では、バンド同士で闘う以前に、メンバー同士で闘っているような、凄まじい音がステージから放たれる。「今日この場所から、全員でその向こうへ行こうぜ!」と、10-FEETの曲名をMCに織り込んだダイスケはんは、みんなにLINEを送ろうとして、ELLEGARDENの高田雄一の連絡先だけ知らなかったので──と、「雄一、ちょっと来て。LINE交換しようや」と、ステージに呼び出す。さらに、彼は活動休止前は黒いバケツをステージに置き、そこに足を乗っけてライブをやっていたのに、休止明けはそれがなくなったから、クリスマスプレゼントで用意した、と、そのバケツを手渡す。ナヲ「今日使えよ!」ダイスケはん「絶対使えよ! 今日以降も使えよ!」。「my girl」「falling jimmy」を経て、説明を省略して恒例の「恋のおまじない」に挑む。フロア全員がきれいに反り返って「麺カタこってり!」を決めるさまを、ナヲ、「説明なしなのに、やるやんけ羽田!」と称賛。ラストの「恋のスペルマ」では、ダイスケはんの「ひとりでもサークルモッシュはできます! 回れ回れー!」という号令で、オーディエンスひとりひとりがその場で高速回転しまくる、という、異様だが幸福な光景で、ホルモンの時間が終了した。ELLEGARDENのアンコールではステージがカオスにトリのELLEGARDENは「Fire Cracker」「Space Sonic」「The Autumn Song」「風の日」と、曲間を空けずに次から次へと歴代のライブアンセムを演奏していく。声を出せないし、顔の半分はマスクで覆われているにもかかわらず、オーディエンスの狂喜度がどんどん上がっていくのがこの場にいると身体で感じられる。「10-FEETとマキシマム ザ ホルモンは、ちょっと距離の近い知人くらいのつもりでいたけど、一緒にツアーを回ってライブを袖から観ているうちに、なんて一生懸命な人たちなんだろうと、その気持ちが尊敬に変わった。」というMCをはさんで、「Supernova」と「Pizza Man」でさらにオーディエンスを狂喜させていく。コロナ禍前ならオーディエンスみんなで一緒に叫ぶ、「Pizza Man」の「‘Pepperoni Quattro’」の歌詞部分では、直前に細美が「心の中でお願いします!」それに応えて、突き上げられた拳でフロアが埋まる。「みんなもぜひ良いクリスマスをお過ごしください」という言葉から始まった2002年のファーストアルバム収録の「サンタクロース」では、ステージだけでなくフロアのあちこちにも赤と緑の照明が当てられ、会場がクリスマスムードに染まった。このツアーのスタッフへの感謝、トップの出番を3回引き受けてくれた10-FEET、そしてマキシマム ザ ホルモンへの感謝を述べた後に突入した「ジターバグ」「Salamander」「Make A Wish」と、必殺曲が3曲並んだラストのブロックは、その三者への感謝と、目の前のオーディエンスへの感謝をそのまま形にしたかのようにとても真摯に、そして幸福に響いた。この日一番の大きな声で「Make A Wish」を歌い切った細美は、笑顔で手を振りながら、マイクなしで「ありがとうございました!」と叫んでからステージを下りた。アンコールを求める声に応えて4人がステージへ戻る。細美がしばしMCしたあと、「お互いがんばって、がんばったその先で、また会いましょう」という10-FEETとホルモンとオーディエンスに向けられた言葉から始まった「虹」では途中から10-FEETとホルモンのメンバーたちが乱入。シールドが差さってないベースを弾く者(ナヲ)、ケージに閉じ込められて運ばれて来る者(上ちゃん)、ボクシングのグローブをはめてミット打ちをする者(TAKUMA)、腹筋ローラーで伸縮を繰り返す者(NAOKI)などで、ステージ上がカオスと化す。唯一登場しなかったマキシマムザ亮君は、ステージ袖で大笑いしながら、その模様を見守っていた。この3バンドが出会ってから、おそらく20年近い月日を経て初めて実現したこの『Reunion TOUR』が、いつかまた行われる可能性があるかどうかはわからないし、それぞれのバンドの活動規模を鑑みると、複数カ所のスケジュールを合わせること自体が困難だろう。コロナ禍でそれぞれの活動が限られていた時期だったからこそ、逆に開催できた可能性もある。ただし3バンドとも具体的な約束はできない、としながらもいつかまたやりたい、と言葉にしていたし何よりも歌う態度、演奏する態度にその意志が表れていた、そんなふうに感じた。2022年のそれぞれのバンドのアクションも楽しみに待ちたい。文:兵庫慎司<公演情報>『Reunion TOUR 2021 ~Eat music in the same LIVE HOUSE~』2021年12月21日(火) Zepp Haneda(TOKYO)【セットリスト】■10-FEET1. goes on2. ハローフィクサー3. 風4. RIVER5. シエラのように6. ヒトリセカイ7. VIBES BY VIBES8. その向こうへ9. back to the sunset■マキシマム ザ ホルモン1. 恋のメガラバ2. ハングリー・プライド3. 鬱くしき人々のうた4. 爪爪爪5. 令和ストロベリーバイブ6. my girl7. falling jimmy8. 恋のスペルマ■ELLEGARDEN01. Fire Cracker02. Space Sonic03. The Autumn Song04. 風の日05. Supernova06. Pizza Man07. サンタクロース08. ジターバグ09. Salamander10. Make A WishEnc. 虹10-FEET 公式HP:マキシマム ザ ホルモン 公式HP: 公式HP:
2021年12月28日女優、映画監督、モデル、カメラマン、シンガーなど、多才なクリエーターの顔を持つ池田エライザが、歌手・ELAIZA名義として初のワンマンライブ『ELAIZA 1st ShowCase LIVE “Paradise Lost”』を12月25日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催した。突き刺すような寒波がおとずれたクリスマスに行われた本公演は、11月にリリースされた1stアルバム『失楽園』で示した現代社会の疲弊と楽園の喪失、そして再生の世界観を全身で享受できるような内容で、満席の観客とともに生まれるシナジーによって多幸感に包まれていた。ELAIZAはスキルフルなミュージシャンとともにみずみずしい生命力でどの曲も鮮やかに披露。音響、照明などの演出チームの世界観のシンクロが素晴らしく、ELAIZAも完全に信頼して身を委ねている様子が、この1回のライブに向け積み上げてきた完成度を物語っている。それによりELAIZAは歌の表現に完全に集中。これまで歌番組ではカバー曲を幾度も披露してきたが、歌唱力だけではない、内から湧き出るエネルギーの神々しい歌声に惹きつけられた。ハイライトのひとつは自らが作詞した「Antique」。未来の地球環境への嘆きをワルツに乗せ、極彩色の照明とベース轟く重低音は混迷を極める世界となる中、柔らかなアコーディオンとささやくようなELAIZAの歌声が、微かな生命の未来への願いを示していた。10代から常に表現者として歩んできたELAIZAが、様々な葛藤を乗り越え音楽という自分自身を表す世界に飛び込み迎えた1stライブ。あふれる感情からか涙がこぼれる姿が印象的だった。本編最後に披露されたのは大地の鼓動と生命力を感じる壮大なバラード「惑星」。大型スクリーンに映し出された宇宙にたたずむ地球と、そこに生きる人々のささやかな日々とのダイナミクスが描かれ、昂る想いをこらえ歌うELAIZAの姿に多くの観客も涙を流す姿が見られた。アンコール最後の1曲はELAIZAがアルバムの中でも特に大切にしている曲の1つである「Paradise Lost」。手持ち型のシンセサイザーを携え幻想的な弾き語りから始まり、会場を柔らかく包み込む歌声とのアンサンブルが、幸福な一夜の儚い終焉を心地よく告げていた。終盤には、2022年3月から4月にかけて東京・神奈川・大阪のビルボードライブを巡るビルボードツアー全6公演の開催を発表。ツアーはアルバム『失楽園』を新たに解釈した世界観・コンセプトになるとのことで、ジャズ編成でパフォーマンスが行われる。<公演情報>ELAIZA 1st ShowCase LIVE “Paradise Lost”12月25日(土) 東京・EX THEATER ROPPONGIセットリストM1. AYAYAYM2. FallM3. etudeM4. AntiqueM5. 夢街M6. insomniaM7. 愛だの恋だのM8. Jingle Bells rock coverM9. Close to youM10. 惑星EN1. Pretty WomanEN2. Paradise Lost<ツアー情報>2022 Billboard Tour3月26日(土) 神奈川・Billboard Live YOKOHAMA4月3日(日) 大阪・Billboard Live OSAKA4月10日(日) 東京・Billboard Live TOKYO関連リンクELAIZA オフィシャルサイト Youtube:池田エライザ Instagram
2021年12月26日ゆずが12月22日にオンラインライブ『ゆず 冬至の日ライブ2021』を開催。ライブの模様は動画配信プラットフォーム「Rakuten TV」で無料生配信され、総視聴数は12万超えを記録した。『冬至の日ライブ』は、ゆずがデビュー当時から毎年冬至に合わせて開催してきたフリーライブ。北川悠仁自身が“冬至の日ライブ”と筆でしたためた幕を背に、北川と岩沢厚治の2人が弾き語り形式で歌唱することが大枠のコンセプトとなっており、過去には西武ドームや横浜スタジアムなど様々な場所から無料ライブを開催。近年ではYouTubeをはじめとする配信形式で行われてきたが、デビュー20周年を迎えた2017年、ゆずが路上ライブを行っていた横浜・伊勢佐木町からの生配信ライブを最後に、その歴史に終止符が打たれた。この度、2022年に迎えるデビュー25周年イヤー突入を記念し、4年ぶりに『冬至の日ライブ』が一夜限りの復活。配信がスタートすると、上空から地上を見渡すようにドローンカメラが下降していき、やがて会場中央に佇むゆずの元へ。「みなさんこんばんは!ゆずだよ~!」という北川の挨拶とともに、ダイナミックなギターストロークが印象的な「嗚呼、青春の日々」からライブがスタートした。この日は兵庫県にある球技スタジアム・ノエビアスタジアム神戸からライブを開催。広大な芝生の真ん中に立ちながら、「日だまりにて」「「バイバイ」」「イコール」の3曲を続けて披露。冬至の日ライブは、かねてから普段のライブでやらないレアな楽曲を披露する場としてファンから定評があったが、今回も「「バイバイ」」は約22年ぶりのライブパフォーマンス。意表をついたセットリストにファンから驚きと喜びのコメントが多数寄せられた。北川悠仁2019年に弾き語り楽曲としてリリースされ、その後アルバム『YUZUTOWN』にて新たな息吹が吹き込まれた「SEIMEI」を披露後、2022年にデビュー25周年を記念したニューアルバムを2作品リリースすることをサプライズ発表。2022年3月に16枚目のオリジナルアルバム『PEOPLE』、6月に17枚目のオリジナルアルバム『SEES』と、勢いを止めることなく進んでいくアニバーサリーイヤーへの期待感がさらに高まった。また、2022年3月より開催される4年ぶり全国アリーナツアーのタイトルが『YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you-』になったことも併せてアナウンスされた。岩沢厚治サプライズ告知の勢いそのままに披露されたライブ定番曲「夏色」では、Jリーグ・ヴィッセル神戸のマスコットキャラクター「モーヴィ」が登場。声は出せないながらも、恒例の「もう一回!」のコール&レスポンスを共に行い、北川とともに華麗な(?)ボールさばきを披露する一幕も。「夏色」歌唱後には、昨年から延期していたツアーを今年2月に中止したこと、新曲のリリースや夏の2年ぶり有観客ツアー、25周年イヤー突入記念の日本武道館公演など、怒涛の2021年を北川は振り返り「大変な一年でしたが、やれることは全部やったんじゃないかなと思っています」と回顧。「今年頑張ったみんなに、この曲を」と言葉を紡ぎながら、代表曲「栄光の架橋」を披露。続けて、コロナ禍にファンから寄せられたメッセージをもとに制作された「そのときには」を高らかに歌い上げ、4年ぶりの冬至の日ライブは終了。約1時間のパフォーマンスで全8曲が披露された。なお当初見逃し配信の予定はなかったが、ライブの反響の大きさから急遽アーカイブ配信の実施が決定。2022年1月6日23時59分までRakuten TVとゆずの公式YouTubeチャンネルの2つのプラットフォームで公開されている。撮影:中島たくみ『ゆず 冬至の日ライブ2021』アーカイブ配信※2022年1月6日(木) 23:59までの期間限定公開<リリース情報>ゆず ニューアルバム『PEOPLE』2022年3月リリース予定ゆず ニューアルバム『SEES』2022年6月リリース予定<ツアー情報>YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you3月26日 さいたまスーパーアリーナ3月27日 さいたまスーパーアリーナ4月13日 大阪城ホール4月14日 大阪城ホール4月19日 愛知・日本ガイシホール4月20日 愛知・日本ガイシホール5月7日 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ5月8日 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ5月14日 広島グリーンアリーナ5月15日 広島グリーンアリーナ5月21日 北海きたえーる5月22日 北海きたえーる5月28日 大阪城ホール5月29日 大阪城ホール6月4日 サンドーム福井6月5日 サンドーム福井6月8日 神奈川・ぴあアリーナMM6月9日 神奈川・ぴあアリーナMM6月11日 神奈川・ぴあアリーナMM6月12日 神奈川・ぴあアリーナMM7月2日 静岡 エコパアリーナ7月3日 静岡 エコパアリーナ8月2日 横浜アリーナ8月3日 横浜アリーナツアー特設サイト:ゆず オフィシャルサイト:
2021年12月24日aikoが全国ホールツアー『Love Like Pop vol.22』のファイナル公演を12月14日に東京・東京ガーデンシアターで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。最初の5公演が緊急事態宣言の影響で延期となり、約1カ月遅れて6月からスタートした本ツアーは、約半年間をかけて予定通り全国18カ所35公演を完走。本公演は9月1日に開催される予定だった公演の振替公演として行われた。定刻の19時。会場が暗闇に包まれると、ツアーファイナルの幕開けにふさわしいストリングスの重厚なサウンドアレンジが効いたオープニング映像が赤い舞台幕を照らす。すると会場は段々と大きな拍手につつまれていき、aikoが最終公演の1番初めにどんな楽曲を持ってくるのかワクワクが募っていく。そんな期待の中、力強いドラムのフィルとともに始まった1曲目は3月にリリースされた14枚目アルバム『どうしたって伝えられないから』に収録されている「Last」だ。舞台幕が勢いよく落ちるとそこには鮮やかなグリーンのビッグシルエットシャツに身を纏ったaikoが登場。まさにツアーの“ラスト”を幕開けるのにふさわしい1曲目を気持ちよく丁寧に歌い上げていく。続けて披露されたのはこちらも同アルバムに収録されている「磁石」。アップテンポでノリのよいサウンドは、お客さんたちを一気にaikoの世界に引きずり込んでいく。「磁石」を歌い終えた段階で暗転。そのあと数秒の間を置いて発した一言目は「やっぱり黙っていたらスポットライト当たらないんですね(笑)。ずっとマイケルジャクソンの真似してたのに(笑)」。aikoらしく可愛らしいジョークのきいた挨拶で場を和ませると、「今日はライブの最終日ですが、本当に色々な思い出が詰まったツアーだったので、ファイナルを迎えるのはとても寂しいですが、楽しいしかない時間を過ごしますので、皆さん最後まで宜しくお願いします!」と意気込みを伝えた。続けて届けられた「Smooch!」からはブラスメンバーとストリングスメンバーが登場。今ツアーを支えてきたバンドのフルメンバーが揃い、鳥肌が立つくらいの厚いサウンドを届けてくれる。その後は代表曲でもある「シアワセ」、美しいストリングスの旋律と、しっとりとした歌声が織りなす荘厳なサウンドが響き渡る「宇宙で息をして」を披露し、aikoが作り出す世界が強く儚く美しく移り変わっていった。本ツアーは、ソーシャルディスタンスを保ったり、声出しを控えるなどの制約がある中でaiko自身ももちろん様々なことが初めての経験となった。MCでこのツアーの思い出を振られたバンドメンバーも「こんなにステージで話ができるなんて思いませんでした」と語るほど。まさに後にも先にもない特別なツアーとなっていることが伺える。FM802のキャンペーンソングとして書き下ろされた楽曲「メロンソーダ」が披露されると、はつらつとしたブラスサウンドが心を踊らせてくれる。続けて披露された「ばいばーーい」の光の演出は圧巻だ。曲中のラスサビに繋がる前のビートがなくなるブリッジの際に、横からのピンスポットライトで照らされたaikoの姿は厳かであった。コロナ禍で声出しを控えられている中、今ツアーの特徴的なブロックとなった、開演前にオンラインで集められた質問をaikoが答えるコーナーを終えると、その後の3曲はしっとりとした曲たちが続く。その中で届けられた「シャッター」はジャズアレンジになっている。オリジナルとは全く別の印象を与えてくれてこれはまた新鮮だ。最新曲の「食べた愛」も披露されると、ライブは終盤に向けて急加速していく。「心日和」「ドライブモード」「夢見る隙間」などアップテンポな楽曲が続き、まだまだライブはこれからだと言わんばかりにステージ上を縦横無尽に舞っていくaiko。無数のレーザーライトが輝き出し、会場のボルテージをどんどん上げていく。ここでaikoのライブでは恒例となっている「男子!女子!そうでない人!」のコールアンドレスポンスが始まる。今回は声を出さずジャスチャーということで、年末なので大掃除をテーマに男子・女子・そうでない人・全員とそれぞれにジェスチャーをはめていく。どんな状況でもaikoのコールアンドレスポンスは日々進化し、会場を一つにまとめ上げてくれる。まさにaikoのお家芸だ。ライブは終演に向けてここからさらにスピードを上げていく。バンドメンバーのソロパートアレンジ加わってさらに際立つ「58cm」がくると、最後はエネルギーに満ち溢れた「ストロー」を披露し本編を終えた。結婚発表の多幸感に包まれたダブルアンコールその後、aikoやバンドメンバーがツアーシャツに着替えて再び舞台に登場すると、アンコールが始まった。9月にリリースされたばかりの新曲「あたしたち」でしっとりはじまると、次はテンポのいい「冷凍便」で再びしっかりと心を掴んでくる。「延期に延期を重ねて時間が経ってしまいましたが、今日は来てくれて本当にありがとうございます。あと12回くらいやりたいから、やっぱり終わりたくないです」と名残惜しさを口にすると、「こうやって皆さんに曲を届けられることが一番幸せなので、受け取った皆さんが少しでも楽しいと思っていただけたら嬉しいなと思います。これからも曲を作りますのでぜひまた聴いてやってください」とファンへメッセージを送った。そして最後にファンに届けたのは、まさにMCのメッセージを歌に載せたとも言える「いつもいる」だった。アンコールの3曲を終えて、バンドメンバーが前に出てくる。オールラインナップで挨拶を終えると、会場からは鳴り止まない拍手の雨が降った。aikoが「全然聞こえないです!」とさらに煽ると拍手はどんどん大きくなっていく。ファンの期待にもちろん応えるaikoは「最終日なので、皆さんと楽しい時間を設けてるに決まってるじゃないですか!」と言ってダブルアンコールに突入。疾走感のあるギターサウンドの「プラマイ」から「陽と影」「未来を拾いに」「ボーイフレンド」とここに来てどんどん音圧が増していく、まさに圧巻のライブが繰り広げられていった。「ボーイフレンド」を歌い終えて、この日最高潮に達したボルテージの中でaikoは、「やっぱりライブは楽しいし、終わってしまうのはすごく寂しいです。だから皆さんと一緒にもっと楽しいことを分かち合いたいので…」と続けて「ご報告があります!!結婚しましたー!」と突然サプライズ報告をおこなった。不意打ちのスペシャルサプライズで会場は思わずどよめき、その後大きな祝福に包まれた。「ずっと内緒にしてたんです。コロナでなかなか言うタイミングがなかったのですが、ライブで言って皆さんを驚かせたかったんです」「心の底から結婚したいと思える人に出会えました、これかもたくさん恋愛の曲を書きます!」と伝え、再びアンコールに突入した。「beat」「mix juice」「Loveletter」と続き、幸せと活気に満ちた会場は、aikoとバンドの奏でるサウンドをさらに豊かに作り上げていく。そして最後に披露されたのは締めの1曲にはふさわしすぎる「be master of life」だ。結婚発表の多幸感に包まれて最高のテンションで届けた最後の4曲は、aikoにとってもファンにとっても特別なアンコールとなったに違いない。なお本公演のセットリストプレイリストが各音楽ストリーミングサービスにて公開されている。aikoは、2020年3月の振替公演となる『Love Like Rock vol.9』を本日12月22日に東京・Zepp Tokyoでツアーファイナルとして開催する。Zepp Tokyoは2021年いっぱいでの閉館が決まっており、aikoにとってZepp Tokyoでの最後のライブで、2021年を締めくくる。Photo by 岡田貴之<公演情報>aiko 全国ホールツアー『Love Like Pop vol.22』12月14日(火) 東京・東京ガーデンシアターSET LIST1. Last2. 磁石3. Smooch!4. シアワセ5. 列車6. 宇宙で息をして7. えりあし8. メロンソーダ9. ばいばーーい10 しらふの夢11 シャッター12 愛で僕は13 食べた愛14 心日和15 ドライブモード16 夢見る隙間17 58cm18 ストローアンコール19. あたしたち20. 冷凍便21. いつもいるダブルアンコール22. プラマイ23. 陽と陰24. 未来を拾いに25. ボーイフレンド26. beat27. mix juice28. Loveletter29. be master of lifeセットリストプレイリスト:<リリース情報>aiko 41st Single『食べた愛/あたしたち』Now On Sale価格:1,320円(税込)●初回仕様限定盤(カラートレイ&8Pブックレット)aiko『食べた愛/あたしたち』初回仕様限定盤ジャケット●通常仕様盤aiko『食べた愛/あたしたち』通常仕様盤ジャケット【CD収録内容】M1. 食べた愛 ※カルビー ポテトチップスCMソングM2. あたしたち ※NHKよるドラマ『古見さんは、コミュ症です。』主題歌M3. 列車M4. 食べた愛(Instrumental)M5. あたしたち(Instrumental)aiko「食べた愛」MVaiko「あたしたち」MVaiko『食べた愛/あたしたち』つまみ喰いmovieポテトチップス「畑から、愛をこめて。」篇じゃがいもチップス「素材のおいしさ」篇配信リンク:購入リンク:関連リンクaiko official website: official YouTube配信サイト official on Twitter(@aiko_dochibi) official Facebook
2021年12月22日9組のアーティストが登場したライブイベント『大阪 MUSIC LOVER ~Road to 2025~』のオフィシャルレポートが到着した。12月17日(金)・18日(土) の2日間、大阪城ホールにて『大阪 MUSIC LOVER ~Road to 2025~』が開催された。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で依然として厳しい状況が続くエンターテインメント業界を盛り上げるべく、大阪府、大阪市と音楽業界がタッグを組み、2025年の『大阪・関西万博』の開催を目指して実施されたもの。両日のステージには、イベントの主旨に賛同したコブクロ、倖田來未、スガ シカオ、AIら多くの豪華アーティストがかけつけ、誰もが知るそれぞれの代表曲を中心に披露。また、行政と音楽業界が手を組むということで、初日の会場には吉村洋文大阪府知事が登壇。初日のMCをつとめたフットボールアワーらと共に、「新しいことをやるのが大阪!」と「エンタメの街・大阪」の心意気を宣言した。MCのフットボールアワーと吉村洋文大阪府知事心強い開会宣言の後、2日間に渡るイベントの幕開けを飾ったのは、今年デビュー20周年を迎えたCHEMISTRY。<もう一度あの場所から始めよう>と歌う、まさに『大阪 MUSIC LOVER』の主旨にふさわしい「ユメノツヅキ」を筆頭に、デビュー曲「PEACES OF A DREAM」など、誰もが知るヒット曲の数々を力強く美しいハーモニーで響かせる。続いて登場したのは、デビュー後初の有観客ライブが大阪城ホールだったという、瑛人。アコースティックギターをバックに、まっすぐで伸びやかな歌声を披露。ギターリフが響いた途端、会場中から手拍子が鳴り響いた大ヒット曲「香水」など、新曲「あ、でも」を含む全3曲を真摯に歌い上げた。スガ シカオはたった一人でステージに立ち、自らアコースティックギターを奏でながら、「愛について」「アシンメトリー」などのヒット曲を披露。「Progress」の<あと一歩だけ前に進もう>という言葉がドラマティックに響いた後は、スリリングなギターのカッティングも印象的な「コノユビトマレ」で場内が熱狂。シンプルながら濃密な時間となった。大阪出身のバンド、flumpoolはアコースティック形式で登場。ボーカルの山村隆太を始め、メンバー全員がスーツ姿&着席スタイルで演奏。結成当初、大阪城公園での路上ライブ(通称「城天(しろてん)」)を行っていた彼ら。MCで「城天」と「城ホール」への思いをユーモアを交えて話しながら、「花になれ」などのヒット曲を、シックなバンドサウンドでじっくりと聞かせた。初日のトリをつとめたのは、『大阪・関西万博』の魅力を伝える「2025年日本国際博覧会アンバサダー」に任命されたコブクロ。小渕と黒田がバンドメンバーを従えてステージに登場すると、場内は総立ち状態に。感染対策で歓声を上げることは厳禁だが、自席スペースなら立つことも踊ることもオッケーだ。「君という名の翼」を筆頭に、それぞれの曲への思いを丁寧に語る小渕に、黒田が関西弁で軽妙な突っ込みを入れる。大阪マラソンのテーマ曲「大阪SOUL」でカラフルなロックチューンを歌い鳴らし、場内の熱気が頂点に達したところで、最後にCHEMISTRY、瑛人、flumpoolを再びステージに呼び込み、全員でコブクロの名曲「桜」を合唱。<やまない雨は無いはずと>と歌い合い、「エンタメの街・大阪」の再興を誓った。『大阪 MUSIC LOVER ~Road to 2025~』初日より2日目のトップランナー、清水翔太はダンサー2名を従えて登場。クールなR&Bサウンドをバックに力強い歌声を響かせ、会場内のエネルギーを一瞬でひとつにしていく。大阪出身の清水は、地元・大阪を歌ったという「HOME」を最後に熱唱。故郷への強い思いをゴスペルのような熱い歌唱で歌い上げた。DJのソロプレイを合図に、「衣装を大阪風にしてきた」という花柄のセットアップ姿でステージに登場したのは、AIだ。「大事な曲」だという「Music Is My Life」で、自らの音楽への思いを切々と歌う。最後に、関西ではライブ初披露となる朝ドラの主題歌でもある新曲「アルデバラン」を熱唱。その温かでソウルフルな歌声と飾らない人柄で、場内をポジティヴなパワーで包んだ。波音が響く中、笑顔で登場したBEGINが「海の声」を歌い始めた途端、場内は一気に南の島の海辺のムードに。ボーカルの比嘉が、「沖縄のおばあに聞いた『島唄』の楽しみ方を教えます」と、高くあげた両手を弾むように叩く手拍子を伝授。「BEGINの中で最高のアゲ歌」という「竹富島で会いましょう」を披露すると、客席で子供が楽しそうに島唄スタイルの手拍子を打つ姿も。ジャンルも年代も超えて人を笑顔にする、“音楽”の力を改めて知る楽しい一時となった。2日間のイベントの大トリを務めるのは、4人の女性ダンサーを従えて登場した倖田來未だ。「大阪のためにつくりました」という「Eh Yo」などを、クールなダンスと力強い歌声で表現した後、1人ステージに残った倖田は、「こんな私も孤独を感じることもあった」と、自身の思いを重ねた新曲「100のコドク達へ」をこの日ライブで初披露。<なぜワタシの椅子がないのですか?>というフレーズを歌った瞬間、倖田の瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、感極まり歌えなくなってしまう。場内からの温かな励ましの拍手に、「私も音楽に助けられてきたからみんなにも音楽で幸せになってもらいたかったのに、私が元気をもらってしまった……」と、感謝の気持ちを告げる倖田。最後に、「大阪のために」と、ブレイク前からの同期、AIをステージに呼び込み、「BE MY BABY」のカバーを披露。さらに2人で「I Wanna Know」をソウルフルに歌い上げ、涙を糧に立ち上がる女性の強さを表現。コロナ禍という逆境をバネに未来を切り開く「エンタメの街・大阪」に、華麗なエールを送った。文:早川加奈子写真:河上良 / ハヤシマコ<公演情報>『大阪 MUSIC LOVER ~Road to 2025~』12月17日(金) 開場 17:30 / 開演 18:3012月18日(土) 開場 16:00 / 開演 17:00大阪城ホール【出演】■12月17日(金)瑛人 / CHEMISTRY / コブクロ / スガ シカオ / flumpoolMC:フットボールアワー(岩尾望・後藤輝基)/ 近藤夏子 / 大抜卓人■12月18日(土)AI / 倖田來未 / 清水翔太 / BEGINMC:八木早希 / 中島ヒロト
2021年12月20日WANIMAが、12月17日(金) 東京ガーデンシアターにて『Boil Down 2021』を開催。そのオフィシャルライブレポートが到着した。昨年12月に初開催されたWANIMAのワンマンライブ『Boil Down』が今年も帰ってきた。会場は前回と同じく東京ガーデンシアター。開演時間を迎え、オープニングSE「Boil Down」が流れ出し、カラフルな照明がステージを照らし出すと、嵐のような手拍子がフロアから巻き起こる。そして登場したKENTA、KO-SHIN、FUJIの3人。登場するや否や大興奮の観客をさらに煽り立てていく。「忘年会やぞ!いこうか!」。そんなKENTAの言葉を合図に、ライブは1曲目「GET DOWN」からスタートだ。そこから「今日はとんでもない1日になるぞ!」とKENTAが宣言し「夏の面影」へ。「久しぶりやんけ!WANIMAのライブ久しぶりやんけ!」と客席に語りかけながら、ファストな2ビートで突っ走るサマーチューンが12月の東京に真夏の熱を運んでくる。KENTAの歌はもちろん、その横でマイクに向かって叫ぶKO-SHINのコーラスも元気いっぱい。「ジャンプ!ジャンプ!」という彼の声に、観客も全力のジャンプで応える。演奏を終えるとKENTAとKO-SHINがハグ。まだたった2曲だが、KENTAは息を切らしている。確かにド頭からとんでもないテンションだ。「ちょっと落ち着こう、いったん座ろう」と観客を座らせると、KENTAが改めて挨拶。「めっちゃ会いたかった!」と言いながら、取り出したオペラグラスで客席を見渡している。「みんなが声出せないぶん、WANIMAのKENTA、みんなの代わりに歌うので。楽しんでください!」。ヤバい、ヤバいと繰り返すKENTA、確かに彼のテンションもいつもと違う。「テンション上がったらステージに上がってきてもいいので」という言葉も、本気なんじゃないかと思わせる。まだ2曲だが、すでに会場のボルテージはマックス。このまま最後までいけるのか、ちょっと心配になるほどである。さて、ライブは「Cheddar Flavor」で再開。KO-SHINのギターが気持ちよくコードを刻み、KENTAのベースが轟音でそれを迎え撃つ。さらに「Chilly Chili Sauce」「月の傍で」「LIFE」と3部作からの楽曲を披露すると、KO-SHINの優しいギターに乗せてKENTAが再び歌い始める。「ありがとうを込めて歌った」。そう、「THANX」だ。だがこの日の「THANX」は今まで聴いたことのない「THANX」だった。もちろん歌詞に込められた思いは変わらないが、それをWANIMAの3人はより力強くぶっ放す。いつもよりアッパーに、そして軽快に聞こえるこの曲のあり方が、「Boil Down」というイベントの意味を象徴しているように思えた。FUJIが鳴らす鈴の音も加わり、この季節らしい色合いを帯びた「SNOW」では客席でスマホのライトが揺れるなか、KENTAの壮絶な歌が会場に広がっていく。天を指さして歌い終えると、KENTAは拍手をしながらこの曲を美しく彩ってくれたオーディエンスに「ありがとう」と言葉をかけた。と、ステージから放たれた青白いレーザー光線が、まるで青空のように会場を覆っていく。力強いギターリフとともに鳴らされたのは「ANCHOR」だ。またしても観客の熱い手拍子がバンドを後押しする。ギターをかき鳴らすKO-SHINの顔には笑み。軽くステップを踏む姿からは、心からこのライブを楽しんでいる様子が伝わってくる。「おい、Boil Down!この音は、KO-SHINが弾きよるギターは、FUJIくんが叩きよるドラムは、俺らにとって必要なものだから。目の前におるお前たち、俺らにとって必要なものだから。おらんとダメやから!となりにおってくれよ!となりにおってくれよ!今もこうやって変わらずに歌っとるぞ、いつでも帰ってこいよ!あのとき、あのとき、今やったら……」。思いの丈を叫び、「SHADES」を歌い始めるKENTA。彼が「必要なもの」と言ったKO-SHINのギターが、FUJIのドラムが、がっちりとスクラムを組んでその歌声を支えている。シンプルなロックナンバーだが、そのぶんWANIMAというバンドの骨格をまざまざと見せつけられるような気分になる。「いつでも帰ってこいよ!いつでも会いに来いよ!」。毎年続けるイベントとしてこの『Boil Down』を始めた意味が、KENTAが繰り返すそんな言葉にも宿っている気がする。毎年12月、ここに来ればWANIMAに会える約束の場所。そんな場だからこそ、ステージの3人は全力でオーディエンスを楽しませにかかるのだ。4つ打ちのリズムに乗せて「今日はBoil Down」と繰り返しながらクルクルとダンスをするKENTA。マイクを向けたKO-SHINが「今日……」と独特の調子で歌うと、たまらず笑い転げてしまう。「毎日は守ってあげられないけど、今日1日やったら守ってやるからな!全員で楽しもう!」という言葉から「昨日は今日の踏み台に好きに飛べ、ここ有明で!」と叫んで「つづくもの」へ。FUJIが「みなぎる〜!」と叫べば、KENTAは「チカラー!!」と声を上げる。そんな彼の姿をライブで観るのもずいぶん久しぶりという感じがする。そこからコール&レスポンスへ。もちろん歓声は上げられないので声のレスポンスはないが、それでも心と心でがっちり受け答えが成立していることが、確かに感じられる。さらにそこに重ねられるのが、鉄板パーティチューン「オドルヨル」だ。観客総出でのジャンプで、客席が大きく波打つように揺れる。歌い終え、楽しくて暴れすぎたのか「ちょっと1回、息整えんと」と言うKENTA。だが、そう言ったそばからいきなりステージの端から端までダッシュを決めてみせる。相変わらずのハイテンションである。「めちゃくちゃ楽しいです!ありがとう!」という言葉には素直な気持ちが溢れている。「よかった、またみんなに会えた」ツアーで感じたこと「WANIMAとみんなで忘年会みたいなライブができたらいいなっていうので、毎年1回だけの楽しみを作りたくて」とこのイベントを始めた理由を語り、「まだ2回目なんやけどさ、もうすでに来年が楽しみ」と笑顔を見せる。いつも観客ひとりひとりにめちゃくちゃ近い距離で喋るKENTAだが、忘年会だけあって今日はますます近い。そんな口調で、24公演を回った『Cheddar Flavor Tour 2021』で感じたことを話し始める。「みんなで作り上げてみんなで成功させるっていうツアーを終えて今日なので、なんかほっとしてるのと、『よかった、またみんなに会えた』っていうので、今3人、めちゃくちゃ音楽できてます」という言葉に客席から送られる温かな拍手。「いつでも楽しい場所作っとくけん、何かあったら頼ってほしいなって、変わらずに思っとる。見た目はちょっと変わったかもしれんけど、気持ちはあのときのままやってます。なんなら今が一番かっこいいと思ってる。みんなもそうよ。今が一番かっこいい。他の人はいろいろ言うかもしれんけど、自分が思ってること信じて」。WANIMAの真ん中にあるメッセージを丁寧に言葉にすると、KENTAは静かに歌い始める。KO-SHINの弾くアルペジオに合わせて「帰る場所がわからなくなっても 忘れないでいてほしい こんな歌があること」という特別なフレーズから入っていった「HOME」。曲が進めば進むほど、歌や演奏に込められた感情が高まっていく。全力を出し切るように打ち鳴らされるドラム、KENTAの歌に重ねられるコーラスの力強さ、それが合わさったときの問答無用の頼もしさ。「もう一回、全員で!」。そんなKENTAの呼びかけに、満場の手拍子が響き渡る。そしていよいよ本編最後の曲へ。「みんな聞こえとるか?ひとりひとりに言うんやぞ!知らんとこで悩むなよ!知らんとこで迷って、知らんとこでコケて、知らんとこで苦しい思いすんなよ!いつでも弱音吐いていいんやからな!WANIMAがおるんやからな!負けるなよ、みんな負けるなよ!」。めちゃくちゃストレートなKENTAの言葉からまばゆい光のなかで鳴らされたのはWANIMAがみんなに伝えたいことをまっすぐに歌った「ネガウコト」だ。歌もベースもドラムもギターも、とても丁寧に音楽を届けてくる。大変なことや苦しいこともたくさんあったこの1年が、そんな音楽によって照らし出され、肯定されるような、そんな響きだった。鳴り止まない拍手に応えたアンコールでは、12月15日に配信リリースされたばかりのABEMAオリジナル恋愛番組『シャッフルアイランド』主題歌「曖昧」をライブ初披露。緑のライトに照らされるなか、タイトなグルーヴが繰り出されていく。KENTAの弾くベースラインがシリアスなムードを醸し出し、韻を踏みながら進んでいく歌詞が軽やかにヒリヒリとした思いを伝えてくる。沸騰寸前ギリギリの状態でずっと続いていくような展開が新鮮だ。時折身振りを交えながら歌うKENTA。歌い終えて「新曲の『曖昧』でした、ありがとう!」と笑顔を見せると、「来年はどんな年になるやろうな。いろんなことあるかもしれんけど、WANIMAついてるから」と客席に語りかけ、「ともに心で歌ってください」と「ともに」を歌い始める。人差し指を天高く掲げると、それが合図のように客席では一面のジャンプが広がっていく。それを見ながらドラムを叩くFUJIも笑顔だ。KO-SHINは上階スタンドに目を向けながらひたすらギターをかき鳴らす。そしてラスト、「よいお年を!」という言葉とともに1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』からのショートチューン「Hey Lady」をぶちかます。最後は客席とタイミングを合わせてのジャンプで締め。やり切った表情の3人は笑顔でステージから去っていった。この『Boil Down』は来年も続いていくだろう。去年の『Boil Down』はコロナ禍のなかで久々に開催された有観客ワンマンということで特別な意味を持っていたが、今回2回目の開催を経て、このイベントはもっと大きな意味でWANIMAとファンを繋ぐものになった。もうすぐやってくる新しい年も生き抜いて、またこの場所で会おう――そんな約束を交わすような、熱くて楽しくて特別なライブだった。文:小川智宏<リリース情報>WANIMA「曖昧」配信中WANIMA「曖昧」ジャケット配信リンク: オフィシャルHP:
2021年12月18日HYが、12月12日に『HY SKY Fes』を沖縄県総合運動公園多目的広場で開催。そのオフィシャルレポートが到着した。「子供たちが夢を見つける場所をつくる。家族を繋げる場所をつくる」をテーマに2011年、2014年に開催されたHY主催による音楽フェス『HY SKY Fes』。3回目となる『SKY Fes2020』は、当初2020年3月に開催予定だったものの、新型コロナウイルスの感染流行による影響を受け、2度の延期を余儀なくされ、2021年12月12日(日) に満を持して開催されることとなった。会場となった沖縄県沖縄市の沖縄県総合運動公園多目的広場は周囲を緑に囲まれた海のそばの広大な公園。地元の人々の憩いの場として親しまれている。豊かな大自然を存分に体感できる会場は複数のエリアに分けられており、音楽だけでなく様々なコンテンツが用意された。主催のHYをはじめとする豪華アーティストがライブを行うメインステージの他、人気マジシャンであるMASA MAGICによるマジックショーが行われたり、HYと子供たちが一緒に楽器作りに挑戦するなど様々なワークショップやアスレチックなどファミリー向けのコンテンツが充実した野外広場、沖縄で人気のキッチンカーが一堂に会するフードエリアなどだ。さらに、今回は初の試みとして、会場にテントを張って宿泊できるキャンプサイトを設置。前日からフェスを楽しめるようになった。フェス前日の12月11日(土) には前夜祭も行われ、キャンプサイト宿泊者のためだけのHYアコースティックライブが披露された。ランタンの灯に照らされた幻想的な空間の中、美しい星を眺め、潮風を感じながら、HYの演奏を至近距離で楽しめるプレミアムなライブとなった。今回は環境にやさしい手作りのフェスもテーマのひとつとし、メンバー自ら会場の装飾やワークショップ企画に取り組んでいる。仲宗根泉は学生ボランティアとともに板やランプを使って会場装飾を手掛け、細かいところにまでこだわって仕上げた。「今日も朝からずーっと作業しててさ、スタッフかと思うよ(笑)。舞台監督みたいになってるもん(笑)。メンバーも手伝ってくれて、スタッフもボランティアのみなさんも、泉さんの世界観を崩したくないからって細かいところまで全部聞きにきてくれて、おかげでこんなに素晴らしい装飾になりました」と話す。「予算削れっていわれてるから、自腹で材料買ってさ、土日も返上して娘にも手伝ってもらったんだよ。あーちゃん(※泉さんのお子様のお名前)、ありがとうね!」手作りのぬくもりあふれる会場で、翌朝には気持ちのよい空気のなかでのヨガ、HYと一緒に自然のものや身の回りのものを使って楽器を作るワークショップやサンゴ染め体験、焼き芋作りやピザ焼き体験などが行われた。SDGsをテーマにしたHYの新たな取り組み「HeartY Clean活動」の一環として、公園内や砂浜でのごみ拾いも実施。音楽を聴いてライブを見るだけでなく、親子で参加できるコンテンツが多いのもSKY Fesの特徴のひとつだ。「前回のフェスでぼくらがライブしているときに、小さいお子さんがきてくれてたんだけど、ぼくらのこと全然見てなくてさ、ずーっとギター持ってるスタッフ見てるわけ。『かっこいい~!』って。一応ぼくらそこそこ売れてるアーティストだよ(笑)?でもそういうのなんかいいなと思ってさ。料理作ってるひと見て料理人になりたいとか、そういう子供たちの夢が生まれるんじゃないかって(新里英之)」2022年3月には名嘉俊が絵本を出版することも決まり、子供の夢を応援するための活動に力を入れるHY。SKY Fesはその活動の集大成ともいえる。前夜祭にはHYの名曲「AM11:00」を題材にした映画の監督を務めた山下歩監督も駆けつけ、メンバーと共に行ったことのあるサンゴ保護活動の紹介を通してともに自然保護を訴えた。「この環境はあたりまえじゃない。このフェスを通してみんなで一緒に学んで、力を合わせて守っていきましょう」と訪れた人々に語りかけ、星空の下での前夜祭を終えた。「空はどこまでも繋がっている」HYの想いが人々の心に響いた、HY SKY Fes。次回開催の2023年が待ち遠しい。SDGsを意識したフェスづくり1回目、2回目のSKY Fesはあいにくの天気だったが、3回目は雲ひとつない見事な晴天で、会場の沖縄県総合運動公園多目的広場には全国から約7000人が来場した。緊急事態宣言が解除され、入場制限が緩和されてはいたが、感染対策としてソーシャルディスタンスが徹底され、マスク着用、アルコール禁止など様々なルールが用意された。オープニングでは主催のHYが登場し、新里英之が「みんなが一日一日頑張ったから今日のこの日がある。最後までルールを守ってすてきな思い出を作ろう!」と呼びかけた。大声を出すこともできないなか、手を叩いたりタオルを振ったりという動作でステージに思いを届け、これまでのフェスにはなかった新たな一体感が生まれた。メインステージの出演アーティストはHY含め7組。全員がこの日を心待ちにしていた。トップバッターはアカネキカク。80年代のカルチャーをコンセプトにしたバブリーダンスはYouTube再生回数1億回を超え、小さな子供からお年寄りまで幅広い世代に人気だ。主宰のakaneによるレクチャーで来場客も一緒にバブリーダンスを踊り、会場を盛り上げた。アカネキカク2組目の大城美友は沖縄県名護市の出身。地元沖縄での凱旋ステージとなる。デビュー曲の「オレンジバタフライ」や「今の時代に合っている曲だと思う」と自ら語る「輝き人」を伸びやかな声で歌い上げた。大城美友肝高の阿麻和利はHYの地元でもあるうるま市の中高生が出演する現代版組踊。沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描くいわば「沖縄版ミュージカル」だ。今回はSKY Fesのために本来2時間を超える大作を20分のダイジェスト版にまとめた。SKY Fesでは伝統芸能にもスポットをあてており、子供たちの夢づくりと地域おこしの両方を兼ね備えたステージとなった。肝高の阿麻和利FUNKY MONKEY BΛBY’Sとして8年ぶりとなる再始動を発表したファンキー加藤は、「花」「冷めた牛丼をほおばって」など熱量の高いナンバーを完全熱唱し、会場を盛り上げた。「告白」、「あとひとつ」、「希望の唄」、「ちっぽけな勇気」などファンモン楽曲もメドレーで披露。「次はFUNKY MONKEY BΛBY’Sとしても沖縄に戻ってきます!」とファンを喜ばせた。ファンキー加藤清水翔太は、生バンドに自らもピアノを弾きながら「HOME」を歌うなど、圧巻のステージ。「コロナもあってあまりライブはできなかったけど、2021年に注目していただいたTHE FIRST TAKEで歌った2曲を披露したいと思います。」として、一発撮りパフォーマンスTHE FIRST TAKEで話題を集めた2曲「花束のかわりのメロディーを」、「恋唄」を披露。そして自身のカバーアルバムにも収録されている桑田佳祐の「白い恋人達」もしっとり歌い上げた。清水翔太沖縄でのライブは20年ぶりとなるKICK THE CAN CREWは「20年もたったらほぼ新人と一緒でしょ。全部新曲といっても過言……ではあるか(笑)。でもせっかくだからさ、夏の曲も冬の曲も、季節関係なくやりたい曲全部やります(KREVA)」と、「地球ブルース~337~」、「マルシェ」、「sayonara sayonara」、「クリスマス・イブRap」など名曲を中心に披露。若手に負けないエネルギッシュなステージを見せた。「昨日の夜も3人でホテルで部屋飲みしてさ、なんか新鮮な気持ちになれたよね。また3人で沖縄にきたいです(LITTLE)」と、20年ぶりの沖縄に3人のボルテージも上がったようだった。KREVA(KICK THE CAN CREW)トリはもちろんHY。他では見られないSKY Fesならではのコラボステージが披露された。「no rain no rainbow」ではアカネキカクがダンサーとしてパフォーマンス、「帰る場所」では那覇市の真和志高校手話部と地元団体「琉球国祭り太鼓(りゅうきゅうこくまつりだいこ)」が手話と太鼓でコラボした。さらに、清水翔太とは「清水翔太 feat. HY」として名曲「366日」を披露。圧倒的パフォーマンスに会場の拍手がなりやむことはなかった。仲宗根泉×清水翔太名嘉俊「7年ぶりのSKY Fesです。ここにこられなかった人たちのぶんまで楽しんでいってください。声は出せないけど、手叩いてジャンプして一緒に盛り上がろう(新里英之)」と、アンコールの「ホワイトビーチ」まで7曲をやりきった。新里英之許田信介「今年1年いろいろあったよね。やりたいこと、できなかったことたくさんあったと思うけど、最後はみんなで飛び上がろう」と約7000人の観客がHYの曲に合わせて飛び跳ね、手を叩いて、会場がひとつになった。アーティストだけでなく、観客も含めたすべての人たちが待ち望んでいた瞬間だった。様々な制限を課されたなかでのSKY Fesだったが、トラブルもなく、だれもがルールを守って互いに協力し合ってフェスを成功させようと思いをひとつにしていた。ソーシャルディスタンスやマスク着用の順守にも文句が出ることはなく、フェス終了後にはゴミを持ち帰る人の姿も多く見られた。コロナ禍のなかでそれぞれにできることを探しながら、それでも未来に向かって進む気持ちが形となった、そんな一日だった。次回開催は、2023年だ。そして今回、このライブ&フェスの模様が、舞台裏と合わせて来年2月26日(土)にフジテレビTWOで放送される。(放送楽曲は未定)文:普天間伊織撮影:Yuta Nakama / Keita Higa<公演情報>『HY SKY Fes 2020→2021』12月12日(日) 沖縄県総合運動公園多目的広場セットリスト■アカネキカクバブリーダンス■大城美友M1. 一帆風順(short ver.)M2. wonderM3. ブルーホライズンM4. オレンジバタフライM5. 輝き人■ファンキー加藤M1. MUSIC MAGICM2. 花M3. OUR MIC FESメドレー(告白~あとひとつ~希望の唄~ちっぽけな勇気)M4. 冷めた牛丼をほおばってM5. まわせ!M6. 本当のこと■肝高の阿麻和利「肝高の阿麻和利」スペシャルダイジェスト・ハッタラーMC・あは節・伊計離節・カチャーシー・棒術・あまわり誕生~歓喜・肝高の詩■清水翔太M1. Sorry Not SorryM2. FridayM3. You&IM4. 花束のかわりのメロディーをM5. 恋唄M6. 白い恋人達M7. HOME■KICK THE CAN CREWM1. 千%M2. 地球ブルース~337~M3. マルシェM4. イツナロウバM5. クリスマス・イブRapM6. sayonara sayonaraM7. アンバランス■HYM1. no rain no rainbow withアカネキカクM2. ココロホシゾラM3. 366日 with清水翔太M4. 帰る場所 with 真和志高校手話部&エイサーM5. AM11:00M6. 隆福丸EN1. ホワイトビーチ<番組情報>『HY SKY Fes 2020→2021 & 前夜祭』2022年2月26日(土)18:00~20:30 フジテレビTWO ドラマ・アニメで放送出演:アカネキカク / HY / 大城美友 / KICK THE CAN CREW / 肝高の阿麻和利 / 清水翔太 / ファンキー加藤 / MASA MAGIC(※50音順)※放送楽曲未定※スカパー!放送サービスでフジテレビONE / TWO契約の方はスカパー!番組配信でもご視聴いただけます。番組公式サイト:
2021年12月14日GLIM SPANKYの全国ツアー追加公演『GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”』のオフィシャルレポートが到着した。2021年12月7日。GLIM SPANKYが全国7箇所を回ったツアー「GLIM SPANKY Live Tour 2021 」の追加公演、「GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”」を新木場USEN STUDIO COASTで開催した。STUDIO COASTは2022年1月をもって約20年の歴史に幕を閉じる。バンドには全国津々浦々、思い出の地や音楽性を磨いてきた聖地があるものだが、GLIM SPANKYにとって同所は、ワンマンライブや数々のイベントで何度もその舞台を踏んだ、もっとも思い入れがある場所のひとつだ。そして新型コロナウイルスのパンデミックによって思うようにライブ活動ができなかった期間を経て、未だ予断を許さぬ状況は続いているものの、約2年ぶりに開催することができたツアーの最終日。さらにこの日は松尾レミ(Vo / Gt)の誕生日(本人はステージが楽しくて自分のことは忘れていたとMCで話していたが)ということで、いつにも増して素晴らしいステージになるであろうと、期待に胸を膨らませながら会場に足を運んだ観客も多くいたことだろう。結論から言えば、まさにスペシャルな夜。初期の曲から2020年10月にリリースされた最新アルバム『Walking On Fire』まで、ライブでの定番曲あり、痒いところに手が届くチョイスありの、アンコールも含めた全21曲の流れに痺れた。舞台のセットや照明も含め、持ち前の変わらぬ魅力や音楽的な進化をこの上ないレベルで味わうことができた、ここまでのキャリアの集大成と言っていい至極の時間。それと同時に、バンドの未来に指す光が見えるようなパフォーマンスだった。『Walking On Fire』のオープニングを飾るダイナミックなインスト曲「Intro: Walking On Fire」が流れると、お馴染みのサポートメンバー、栗原大(Ba)、かどしゅんたろう(Ds)、中込陽大(Key)とともに松尾と亀本寛貴が登場する。1曲目はファーストアルバム『SUNRISE JOURNEY』から「サンライズジャーニー」。The Rolling Stonesの60年代後半から70年代初頭に架かる橋をさっそうと渡るような、小気味良いブルースロックサウンドとともにアンセミックなメロディを展開する、GLIM SPANKYのキャリアのなかでもオーセンティックなロック色の強い人気曲だ。しかし、意外と近年のライブでは演奏していなかったこともあり、声こそ出せないご時世だが場内の空気が大きく沸いた。続いて「THE WALL」から「BIZARRE CARNIVAL」で、サードアルバム『BIZARRE CARNIVAL』の冒頭の流れを体現する。青と黄の照明と舞台に敷かれたレトロな赤のカーペットの色彩感や、音源よりもヘビーなサウンドの迫力に割れんばかりの手拍子が起こった「THE WALL」、浮遊感のあるサウンドと優しいメロディにフロアがほのぼのと揺れた「BIZARRE CARNIVAL」。そんなGLIM SPANKY流サイケデリアのコントラストが見事だった。松尾レミそして土くさいギターリフと120BPM台の四つ打ちを掛け合わせたブルースディスコとでも言いたくなる「いざメキシコへ」から、映画『ONE PIECE FILM GOLD』の主題歌としてもお馴染みの「怒りをくれよ」へと、序盤は“GLIM”で“SPANKY”なバンドの持つ色を明快に示す名刺代わりのセットを披露した。次のゾーンは亀本が「前半からやりすぎた(笑)」と冗談交じりで話していたほどに弾きまくる。インディーデビューのミニアルバム『MUSIC FREAK』から、ライブでは亀本の全力で気ままなギターソロから始まるパターンが定番になっている「ダミーロックとブルース」、そして「Flower Song」へと、プリミティブなギターサウンドが炸裂。亀本寛貴そしてGLIM SPANKYのレパートリーのなかでも最大のアンセム「大人になったら」を早くもここで演奏したことは、今となってはどこに何の曲を入れても問題ない、純粋に表現したい世界感を向き合ってライブを構築できる今の二人とサポートメンバーの耐久力を象徴しているように思えた。そんな初期の曲を中心に情熱的なロックを展開した前半から、中盤ではGLIM SPANKYの新しいチャンネルが顔を出す。妖しげな夜の世界を演出するように深くて青い照明の幕がメンバーの前に照らされると、その向こうで「NIGHT LAN DOT」が響く。そして最新アルバム『Walking On Fire』から「こんな夜更けは」と「Up To Me」へ。60年代のロックンロール / R&Bや、そういったサウンドがリバイバルした00年代の洗礼を受けたバンドが、90年代から00年代、現代へと続く、モダンでスムースなソウル / R&Bにアプローチ。松尾がギターを下ろしハンドマイクでステージ上を踊りながら動く。亀本も心地よいグルーブに体を横に揺らしながらギターを弾く。そして観客も踊る。2020年にGLIM SPANKYが提唱したロックサイドからのクロスオーバーカルチャーが結実した瞬間だった。色とりどりの豊かな引出しで魅せたクライマックスステージは終盤へ。前述したようにジャンルの幅を広げた『Walking On Fire』のなかでも、トラディショナルなロックの真ん中を射抜く精神は忘れない「Singin’ Now」、陽のサイケポップ「The Flowers」ではタイトル通りの派手で鮮やかな照明の演出で楽しませてくれた。そして濃厚でブルージーなナンバー「いざメキシコへ」に対して、同じサイケなダンスナンバーでも、2015年にTame Impalaがアルバム『Currents』でエレクトロを大胆に取り入れ、サイケとポップの関係性を新たに構築しシーンの流れを変えたことと共鳴するドリーミーな「In the air」から、ハンズクラップや大合唱できるコーラスの効いた、シンプルでパワフルなロック「NEXT ONE」へ。冒頭で示した色とりどりのGLIM SPANKYさながらの豊かな引出しを、再びここで展開した。締めはスローなナンバーを3曲続けて演奏。幻想的なサウンドスケープが美しい「ストーリーの先に」のテイストを汲みつつ、よりメロディの輪郭が強く「大人になったら」を塗り替える力を持った「美しい棘」の流れは涙ものだった。そしてラストは『Walking On Fire』から、もっとも挑戦的なダウンテンポと宇宙を描いたようなビッグで先鋭的なサウンドが響く「Circle Of Time」で大団円。時代とともに進化を求める姿勢が“変わらない”からこそ“変わりゆく”メンタリティとファンとの信頼関係によって、ロックの現在に大きな旗を打ち立てた瞬間だった。アンコールはストイックな本編から一転してアットホームなムードで。まずは亀本いわく「5年ぶりくらい」に演奏したという「夜が明けたら」。松尾がまだ大学生の頃に書いた曲だそうで、確かに、現在のGLIM SPANKYに繋がるサウンドの片鱗はあるが、初期衝動に溢れた青いメロディが心に響く。そして松尾が「最後はやっぱり盛り上がっていきましょう」と「褒めろよ」と「リアル鬼ごっこ」で終了。攻めに攻めて新しいサウンドを投げかけ続けることも、なんだかんだベタが一番だという気持ちも、同じ“ポップ”という枠の中で捉えられる柔軟さや寛容さ、ユーモアこそがGLIM SPANKYでありロックなのだと強く思った。すべてを終えて記念撮影をしたあと、満面の笑みでステージを見ながら去っていく亀本、何度も何度もぴょんぴょんと跳ねながらフロアを振り返って手を振る松尾の姿が印象的だった。GLIM SPANKYはここから本格的なアルバムの制作に入り、そう遠くないうちにニューアルバムをリリースするという。二人の次なる一手と、再びライブ会場で会えることを、首を長くしながら待つ。Text:TAISHI IWAMI / Photo:上飯坂一<公演情報>GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”2021年12月7日(火) 東京・USEN STUDIO COASTセットリスト1. サンライズジャーニー2. THE WALL3. BIZARRE CARNIVAL4. いざメキシコへ5. 怒りをくれよ6. ダミーロックとブルース7. Flower Song8. 大人になったら9. NIGHT LAN DOT10. こんな夜更けは11. Up To Me12. Singin’ Now13. The Flowers14. In the air15. NEXT ONE16. ストーリーの先に17. 美しい棘18. Circle Of Time-encore-1. 夜が明けたら2. 褒めろよ3. リアル鬼ごっこ<リリース情報>GLIM SPANKY 5th アルバム『Walking On Fire』Now On Sale購入・配信リンク:『SUNRISE JOURNEY』『LOOKING FOR THE MAGIC』『Walking On Fire』アナログ盤3タイトル発売中価格:各4,840円(税込)関連リンクGLIM SPANKY オフィシャルサイト: SPANKY オフィシャルモバイルサイト「FREAK ON THE HILL」: SPANKY ユニバーサルミュージック サイト:
2021年12月08日