1920年代よりフランスを中心に活躍した日本人画家の藤田嗣治(レオナール・フジタ)の半生を描いた、11月14日に全国公開となる映画『フジタ(FOUJITA)』のティザーポスターが公開された。1913年に単身フランスへ渡った藤田嗣治は、1919年に美術展覧会「サロン・ドートンヌ」に6点の作品を初出品し、すべて入選。「私の部屋、目覚まし時計のある静物」、「五人の裸婦」などの作品を発表し、高く評価された。1940年に戦時の日本に戻ると、「アッツ島玉砕」、「サイパン島同胞臣節を全うす」など数多くの戦争協力画を発表する。映画では、1920年に「乳白色の肌」で裸婦を描き、パリのモンパルナスを中心に活躍した芸術家たちの中で寵児となっていた藤田嗣治が、戦争を機に日本に戻り、数多くの「戦争協力画」を描いて日本美術界の重鎮に上りつめていく様が描かれている。主演の藤田嗣治役を演じるのはオダギリジョー。台詞の半分はフランス語という撮影に猛特訓で挑んだという。その他、5番目にして最愛の妻である君代役の中谷美紀を始め、加瀬亮、岸部一徳などのキャストが顔をそろえた。ティザーポスターでは、“パリが愛した日本人”というコピーとともに、画家として活躍するきっかけとなったと言われる「ジュイ布のある裸婦」と、「戦争協力画」の代表作でもある「アッツ島玉砕」の間に、アトリエでキャンバスに向かうオダギリジョー演じる藤田嗣治の写真を配置。フランスと日本、二つの国と時代に生きた藤田嗣治の二面性や複雑さが表現された。また、中谷美紀演じる君代との2ショット写真や、モンパルナスの女王と謳われたモデルのキキとのパーティシーンなども公開されている。
2015年07月02日自らの戦場体験を描いた2008年製作の『戦場でワルツを』がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ、世界中で大反響を呼んだアリ・フォルマン監督。いまや注目の映画作家となった彼が、新作『コングレス未来学会議』で『惑星ソラリス』の原作者スタニスワフ・レムのSF小説の映画化に挑んだ。その他の写真まず、最初に今回レムの原作『泰平ヨンの未来会議』を手にした理由を監督はこう明かす。「レムの小説を初めて読んだのは16歳のとき。すっかりトリコになってね。映画学校に進んだとき、今回の原作を再び手にとって、こう思ったんだ。“いつか映画化したい”と」いわば念願の映画化。ただ、共産主義体制の時代を現代のハリウッドに置き換えるなど、大胆に翻案している。「原作の世界観を大切にしながら、現代に沿わないところは今に見合う形に変えることを決断した。現代を生きる人々に届けるわけだから」こうして生まれた物語は、ハリウッドで活躍する実力派女優のロビン・ライトが演じる女優のロビン・ライトが主人公。40歳を過ぎた彼女はその美貌も人気もピークを過ぎている。時を同じくして、ハリウッドは俳優の絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを自由に使い映画を作るシステムとビジネスを発明。女優生命と引き換えに巨額の金を手にした彼女の行く末が見つめられる。そこからはデジタル化の脅威、利益を追求する企業の暴走、バーチャルと現実の境界線など、といったさまざまな現代の問題が不思議と浮き彫りに。さらに現在の巨大スタジオが牛耳る映画産業にも大きな問いを投げかける。「今の社会、そして映画界について一石投じたかったのは確か。また、このままいくと今回の映画のように生身の俳優は必要なくなるかもしれないし、監督の存在だって危うい。僕自身はそうなるとは思っていないけどね。そのことを含めクリエイティヴの持つ力についても改めて考えたかった」主演のロビン・ライトについてはこう語る。「彼女は早い段階からこの作品に関わることを決意してくれた。脚本にあれこれと口を挟むこともなくてね。むしろ私がびっくりしたよ(笑)。ロビン・ライトという役を表現者として体現してくれた。すばらしい俳優だよ」本作でも世界的評価を受けたフォルマン監督。今後の動向が気になるが、先日、アレハンドロ・ホドロフスキー監督と会ったことが報じられた。「パリで会ったんだけど、すばらしい時間だった。未完の大作『DUNE』について話して、彼は最後にこんなことを言ったんだ。『この企画を実現に導くのは、どこからか現れるクレイジーなアニメーターだ』と。その人物が私だったらこれほど光栄なことはないよ(笑)」『コングレス未来学会議』6月20日より新宿シネマカリテほか全国公開(C)2013 Bridgit Folman Film Gang. Pandora Film, Entre Chien et Loup. Paul Thiltges Distributions. Opus Film. ARP
2015年06月19日今月、13日(土)からは『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』、そして20日(土)からは『ターナー、光に愛を求めて』と、立て続けに2人の天才画家の生涯を描いた作品が公開される。前者は、本年が没後120年となるフランス印象主義の立ち上げ人物の一人で、人や物をモチーフに絵を描く女性画家ベルト・モリゾが、巨匠マネとの出会いにより絵画を学び、成長していく物語。一方、後者は生誕240年となる現在も絶大な人気を誇る、英国史上最高の風景画家J・M・W・ターナーの謎に包まれた人となりを、『ハリー・ポッター』シリーズのティモシー・スポールが主演を務め、美しい映像で映画化した。ターナーからモリゾへ。光の伝道18世紀に流行した、地域の特徴や名所などを描く地誌的水彩画から出発したターナーは、光の表現を追究して油彩、水彩、素描を問わず、多くの風景画を描いた画家として知られている。賛否両論を受けつつも、新たな絵画表現を探求し続け、100年先に誕生する“印象派”を予兆する絵画を世に送り出すことになった。鮮やかな色彩と生き生きとした筆遣いによって、自然の“光”をカンヴァスに焼き付けたターナーは“光の画家”と呼ばれ、後にモリゾをはじめとする印象派の画家たちにも多大な影響を与えた。天才画家の孤独と理解者また、モリゾがパリに生きた19世紀は、まだ女性たちが本格的に学んだり、職に就いたりすることは困難な時代だった。画家になるための登竜門であった国立美術学校は、女性に門戸を閉ざしていたものの、モリゾはこの時代に才能を開花させる。ルーヴル美術館で姉と摸写をしている際、画家マネと出会った彼女は、彼に導かれてモデルとして、そして女性画家としてたくましく成長してくことになるのだ。対して、ターナーは精神を病んで亡くなった母の影響で、人付き合いに不器用で極端な秘密主義者だった。ただ、ひたすらに絵を描くことに情熱を捧げていた彼の最大の理解者は、父親。彼に読み書きを教え、画家としての才能を支えたことによって、労働者階級でありながら、史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員になるなど、イギリスが誇る天才画家としての名声を得ていった。眠っていた天才画家に息を吹き込んだのは2人の名匠女性画家ベルト・モリゾの半生に息を吹き込んだのは、フランスのカロリーヌ・シャンプティエ監督。彼女は長編監督としては本作が初となるが、過去に撮影監督としてゴダール、ドワイヨン、ジャコー、カラックスなどの作品に携わり、諏訪敦彦監督や河瀬直美監督作品でも撮影監督を、そして第22回東京国際映画祭でも審査員を務め、日本にも縁が深い。そして、謎に満ちたターナーの人生を描いたのはイギリス人監督マイク・リー。カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭の常連で最高賞「パルム・ドール」「金獅子賞」を受賞した巨匠であり、家族や愛をテーマに即興演出で役者たちの生の演技を引き出し、本作でもカンヌ国際映画祭「男優賞」「芸術貢献賞」を受賞。本年度アカデミー賞では「撮影賞」など4部門にノミネートされた。ひと時代前のターナーの描く絵の中の“光”に、心を奪われていたというモリゾ。それぞれの時代に名画を描き、後世に名を残した2人は、女性と男性、絵のモデルに引っ張りだこだった絶世の美女となりふり構わず絵に集中する自由な個性派、多くの家族を描いた作品と物言わぬ自然を独り描いた作品と、一見正反対の画家のよう。だが、実は相通じる部分があったことを、この2本の映画が教えてくれるはずだ。『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』は6月13日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。『ターナー、光に愛を求めて』は6月20日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密 2015年6月13日よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開(C) K’ien Productions - 2012
2015年06月11日19世紀末から20世紀はじめにかけて活躍したフィンランドを代表する女性画家、ヘレン・シャルフベック。彼女の代表作を集めた日本で初めての展覧会『ヘレン・シャルフベック− 魂のまなざし』が、上野の東京藝術大学大学美術館で開催されます。近年、世界的に注目を集める画家のひとり、シャルフベック。ヘルシンキで生まれた彼女は幼少のころに事故で足が不自由になりますが、絵の才能を見出され、本格的に絵を学ぶためパリに渡ります。マネやセザンヌ、ホイッスラーから影響を受け、やがて自分のスタイルを確立。母国フィンランドで絵画制作を続けました。シャルフベック作品の特徴は時代とともに変わり、写実的な絵もあれば、抽象絵画も手がけています。代表作の《快復期》をはじめ、子どもや親子をモデルにした優しい色調の絵が有名ですが、晩年に描かれた自画像も見逃せません。自画像は、実物よりも美しく描かれることも多いのですが、シャルフベックの自画像は美化することなく、ガイコツのように見える作品もあります。画家が抱いていた自負を、自画像の「まなざし」から感じることができるでしょう。本展は、東京の後、仙台や広島などに巡回します。フィンランドの国宝級といわれる作品も来日する展覧会、どうぞお見逃しなく。イベントデータ:『ヘレン・シャルフベック− 魂のまなざし』会期:2015年6月2日(火)~7月26日(日)※休館日は月曜日。ただし7月20日は開館、7月21日(火)時間:10:00 ~ 17:00 ※入館は閉館の30分前まで会場:東京藝術大学大学美術館料金:一般 1,500円/大学・高校生 1,000円/中学生以下無料
2015年06月01日時代に翻弄された19世紀の女性画家ベルト・モリゾの生涯を描いた映画『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』が、6月13日(土)YEBISU GARDEN CINEMAにて公開となる。このほど、本作のポスタービジュアルと予告編がひと足先にシネマカフェに到着した。パリ16区のサロンに出品していたベルト・モリゾは、ルーヴル美術館で姉と摸写をしているとき、既に、美術界では名をなしていたマネと会い、モデルを依頼され、彼のアトリエに通うことになる。女性は家庭に入るものという時代、画家を目指すモリゾは数々の苦悩を乗り越えていく。戦争も始まり、時代に翻弄されながら、夢を追い続けた女性の人生の物語――。19世紀半ばにフランスで起こった芸術運動である「印象派」。その影響は欧米を始め日本にまで及ぼしている。本作は、印象派の誕生に大きくかかわった女性画家ベルト・モリゾが、巨匠エドゥアール・マネとの出会いを経て一人の女性として成長していく過程を描く。「バルコニー」、「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」など、しばしばマネの作品でモデルとなったモリゾだが、いままで描かれることのなかった2人の関係をも物語の中に織り込まれている。今回公開となった予告編では、芸術家であれば今もなお憧れを抱くパリ16区のサロンを舞台に数々のマネの名画が登場。現代では名作として知られているが「オランピア」が“下品な裸婦だ”と貶されるシーンや、モリゾの名作がアトリエに無造作に並んでいたりと、絵画が描かれた当時の様子を垣間見ることができる映像となっている。タイトル後に登場する「バルコニー」でズームしていく映像が、まるで絵画の世界へ引き込まれていくような気分にさせてくれる予告編だ。さらに公開となったポスタービジュアルの半面以上を占めるのは、マネが描いた「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」。オルセー美術館所蔵のこの名画で描かれている美女こそ、ベルト・モリゾそのひとなのである。名作が描かれる瞬間を再現した、ビジュアル下部分の劇中カットにも目を奪われる。本作のメガホンをとったのは、ゴダール、カラックス、フィリップ・ガレル、最近では『ハンナ・アーレント』などの作品の撮影監督であり、『神々と男たち』でセザール賞撮影賞を受賞したカロリーヌ・シャンプティエ。ベルト・モリゾ役を『ココ・シャネル』のマリーヌ・デルテリムが、巨匠エドゥアール・マネ役を『焼け石に水』のマリック・ジディがそれぞれ演じる。また、ベルド・モリゾは女性の社会的地位が確立していない時代における女性画家のはしりとなった人物。結婚と仕事の狭間で悩む彼女の姿は、現代を生きる女性にとって響く部分も多いのでは。印象派の名画の知られざる物語に注目してみて。『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』は6月13日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月01日去る3月1日、Apple Store Ginzaにて、『50代から楽しむiPad』の著者・馬塲寿実氏と83歳のiPad画家・中村作雄氏がナビゲートするシニア向けワークショップ「iPad画家になろう」が開催された。このイベントは、iPadと無料のスケッチアプリ『LINE Brush Lite』を使った絵の描き方を紹介していくというものだ。まずは馬塲氏から今回のワークショップの概要の説明と、中村氏の紹介。中村氏は、馬塲氏の著書『50代から楽しむiPad』にも登場しているとのこと。83歳という年齢は、Apple Storeで開催されたイベント登壇者の中で、おそらく最高齢だろう。この日の参加者は、ほぼ全員、自前のiPadを手に来場。イベント開始時間より前倒しで、使用するアプリの解説があり、レクチャーを受けながら、一斉にダウンロードに勤しむという場面も見られた。馬塲氏は、視覚が不自由な方、高齢でインターネットが苦手な方にユニバーサルな情報提供を行い、支援するNPO法人「ハーモニー・アイ」の代表を務めている。「ハーモニー・アイ」の設立は2006年とのことだが、その一方で、2013年末から執筆活動を開始。2014年の春から「50代からの幸せ研究所」という個人屋号で活動し、iPadやSNSに関する著書を上梓。前述の『50代から楽しむiPad』は今年の2月に刊行された。紹介された中村氏は、iPadを手に、自身の経歴や作品についての詳細を述べた。20年前に淡彩画家に弟子入り、10年ほど前に小林一茶の英訳された作品にインスパイアされ、パソコンで俳画を描くようになったという。その後、鈴木真砂女の、これまた英訳された俳句にイラストをつけるという作品に着手。それらの作品群もパソコンで手がけていたとのことだが、制作期間中にiPadが登場し、ツールとして取り入れることになったのことだ。最初のうちは思ったようには描けず、四苦八苦したらしいが、すぐに操作には慣れたと話す。中村氏が普段、制作用に使っているのは『Brushes Redux』とのことであるが、この日は『LINE Brush Lite』が使用アプリとして選ばれた。「(自身の作例を指して)これくらいの絵は描けるようになりますから」と、参加者には心強い一言の後、実際にiPadを使って作業に取り掛かる。まずは、アプリを起動し、白いキャンバスが表示されているかどうか確認。続いて作成した絵を格納する「ギャラリー」をチェックする。キャンバスで描いた絵は、ギャラリーに保存し、制作途中の絵はギャラリーからキャンバスに呼び出すことができるのだが、中村氏曰く、この操作は言葉で言うと簡単だが、感覚的にはなかなかつかめない、ということで、参加者全員で何度か一緒に操作することに。この段で挫折する方が多いとのことで、ゆっくりと作業が続いていく。そして、いよいよキャンバスに線を描く。ツールなどを表示させるには画面をタップするのだが、これがシニア層、「タップ」と言われても何だかわからない様子で、馬塲氏から即座に「画面をポンと一回叩いてみてください」とアドバイスが飛んでくる。iPhone/iPadを使い慣れているなら「タップ」や「スワイプ」がどういった操作を指しているか、理解していない人はまずいないと思うが、初めて使う人にとっては何かの呪文か暗号と同じだ。先ほどのタップは「画面をポンと一回叩く」、スワイプは「シュッと画面を掃く」といったように、馬塲氏は具体的な言い方に替えて丁寧に解説していた。これなら初心者でもしっかりついていける。キャンバスに描いた線は、覚えたてのギャラリーに保存し、また新たなキャンバスを広げ、別なペンで別な線を描いていく。筆の形状を変えたり、色を変えたり、絵を描くための操作をひとつずつ習得する。この間、紙のノートに忘れないようメモをとる受講者が何人かいたようだが、中村氏は「ノートはとらないように」と注意を促す。メモを取るのと絵を描くのとでは頭の使い方が違うから、そのやり方だと何時まで経っても上達しない、というのが氏の持論だ。中村氏は、最初から上手く絵を描こうとしてはいけない、まずは道具に慣れることが大事だと話す。ということもあってか、ワークショップも単純な線や円を描くというところから始まっていた。一通りアプリの使い方に慣れたところで、ようやく絵を描く作業に入る、といった具合で進んでいく。途中、中村氏の解説が駆け足になる場面があったが、そこもまた馬塲氏がサッと割って入り、参加者全員の進捗状況を見てから次へと移る。筆者は時々、Apple Storeで開催されるジュニア向けのワークショップを取材させて頂くことがあるのだが、今回初めてシニア向けのワークショップを拝見してみて気づいたことがある。それは、iPadの操作に関しては子供達のほうが圧倒的に習得が早いということだ。しかし、シニアには子供達にはないものがある、集中力だ。操作を覚えるには個人差があって、なかなか一様にはいかないようだったが、そこは集中力の高さでカバーしているように見える。結果、ワークショップの終盤には、皆、同じことができるようになっていた。参加者は単純図形に色をつけ、チューリップの絵を描き上げた。中村氏は小技として、彩色するためのインクの濃淡、彩度の調整法などを紹介。一段上に仕上がるテクニックを学んだ。仕上げとして作品に署名を入れ、iOS標準アプリ『写真』に保存し、一通りのレクチャーは終了。最後は参加者の作品をAirPlay+Apple TV経由でスクリーンに投影、鑑賞して皆で楽しんだ。
2015年03月09日戦場カメラマンの渡部陽一が2月13日(金)、『アメリカン・スナイパー』の特別試写会に出席した。イラク戦争で活躍した“米軍史上最強の狙撃手”の自伝を映画化。渡部さんは自身の経験を重ねながら、兵士やジャーナリストが危険な戦地に身を置く理由を語った。クリント・イーストウッド監督がメガホンをとった本作の主人公は、米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに所属し、4度のイラク遠征で多くの仲間を救った狙撃手のクリス・カイル。敵兵からは悪魔と恐れられ、常に命を狙われる彼の胸にあるのは「良き夫であり、良き父でありたい」という願いと葛藤だった…。2003年のイラク戦争で、米軍従軍(EMBED)取材を経験した渡部さんは、「ある兵士は『一度戦場に足を踏み入れた人間は、生還しても必ず戦場に戻ってくる。まるで中毒だ』と言っていた。僕もその言葉に大きく影響されている」と神妙な面持ちでふり返る。そして、「戦地での悲しい現実を目の当たりにし、また戻りたくなる衝動にかられる。それは兵士だけではなく、ジャーナリストも同じ。僕らの間では“戦場カメラマン症候群”という言葉もあり、実際、ベイルート、バグダッド、カンダハール…どこに行っても、現場にいるのは同じメンツですね」と当事者にしか知りえない本音と心境を明かしていた。「戦争の犠牲者はいつも子ども。彼らの声を世界に届けるため、今後も戦場カメラマンとして丁寧に取材を重ねたい」と渡部さん。映画が描く戦場の“リアル”にも太鼓判を押し、「どんなに経験を重ねたプロでも、戦争の狂気から逃れることはできない。ぜひ、この作品を通して、いまこの瞬間、何をすべきか考えてもらえれば。自分の足元を気づかせてくれる作品」と力強くアピールしていた。本作は米興行収入は2億5,000万ドル(300億円)を突破し、クリント・イーストウッド監督最大のヒットを記録中で、第87回アカデミー賞では「作品賞」をはじめ6部門で候補になっている。本作でイーストウッド監督と初タッグを組み、3年連続で「主演男優賞」にノミネートされたブラッドリー・クーパーが、プロデューサーも兼任している。『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アメリカン・スナイパー 2015年2月21日より全国にて公開(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年02月13日画家のヒグチユウコが、ライフスタイル雑貨を中心としたオリジナルブランド「ギュスターヴ ヒグチユウコ(GUSTAVE higuchiyuko)」をスタートする。これに伴い、1月21日から2月3日まで、伊勢丹新宿店本館2階センターパーク/TOKYO解放区でポップアップショップをオープンし、全アイテムを先行販売する。「GUTAVE higuchiyuko LABO -ヒグチユウコの奇妙な空想館-」と題された同ショップでは、“可愛らしいけどシュール”な雰囲気が醸し出されている動植物や女の子が描かれたインテリアや生活雑貨アイテムなどが販売される。同氏は繊細なタッチで動植物を描き、その描写の中に毒気を感じさせるのが特徴だ。5種類そろうとストーリーが完成する“シュールな猫”が描かれた九谷焼の絵皿(各4,200円)や、今治のタオルハンカチ(1,000円)やバスタオル(7,800円)、“ダークな猫”が太鼓や鬼の金棒を持ったイラストが描かれているポストカード(700円)、アンティーク加工された厚紙ボックス(5,800円)、コットンランプシェード(2万円)の他、同ブランドと「デコヴィーニャ(DECO vienya)」がコラボレーションしたアクセサリー(1万8,000円から)も販売される。この他同ショップでは、ベア作家の今井昌代、ぬいぐるみ作家の梅津恭子の作品も販売される。また、ショップウインドーには、ファッションフォトブック「パームメゾン(Palm maison)vol.12」でヒグチとベア作家の今井昌代がディレクションしたフォトストーリー「アトリエ(Atelier)」が再現されている。
2015年01月22日19世紀欧米の画壇で活躍し、ジャポニズムの巨匠として世界的に知られている画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)の大回顧展「ホイッスラー展」が、横浜みなとみらいにある「横浜美術館」で3月1日(日)まで開催されている。ホイッスラーの生きた19世紀のロンドンやパリでは、粋で皮肉屋、知的でエレガント、自らの美学に殉じる伊達男たちを“ダンディ”と呼んだ。黒のフロックコートに身をつつみ、一房の白い前髪を上向きに整えた洒落た風貌のホイッスラーは、まさに当時のダンディの代表的人物だった。自らモデルの衣装をデザインするなど、ファッションにもその美意識を発揮したもよう。そのほか、その人となりがうかがえる数々の逸話を残している。本展は、そんなホイッスラーの全貌を紹介する展覧会としては国内では27年ぶり、世界でも20年ぶり。アメリカ、イギリス、フランスの20か所以上の美術館など所蔵機関から、油彩・水彩・版画作品約130点が集結しての大規模な展覧会だ。1834年にアメリカ・マサチューセッツ州に生まれたホイッスラーは、「クロス・チャンネル(英仏海峡を往来する)」の画家として、英国とフランスを中心に活動。クロード・モネなど印象派の画家たちとも親交があり、同世代の画壇のさまざまな潮流と影響しあいながら、唯美主義として独自のスタイルを確立。同時代、そして次世代の芸術家たちに広く影響を与える存在となった。また、構図や画面空間、色彩の調和などに関して、日本美術からインスピレーションを得た作品を残しジャポニスムの画家としても知られている。本展では、初期から晩年までの代表作が網羅されているほか、ホイッスラーが影響を受けた東洋の陶磁器など生前の所持品や、影響を受けた浮世絵も展示されている。また、ホイッスラーによる現存する唯一の室内装飾で、パトロンであるフレデリック・レイランドのためにデザインしたダイニング・ルーム<青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム>を映像で鑑賞することができる。19世紀の「ダンディ」を先駆けたホイッスラーの魅力あふれる回顧展。新年を迎え、お出かけがてらに足を運んでみてはいかがだろうか。(text:Miwa Ogata)
2015年01月06日画家クリス・ナイト(Kris Knight)の個展「SMELL THE MAGIC」が、マイアミ・アートフェア2014のオープニングとして、12月2日からの6日まで開催された。カナダ出身のナイトは、アイデンティティの境界線上にあるミステリアスな世界を肖像画として表現する画家。王権や神秘主義といった歴史概念をテーマに、18世紀のフランス貴族の肖像画やポラロイド写真にインスパイアされた作品を、原色と淡いパステルカラーで描く。本展のオープニングレセプションには、グッチ(GUCCI)のクリエイティブディレクターであるフリーダ・ジャンニーニも姿を現した。グッチでは14-15AWメンズコレクションで、ナイトの作風にインスピレーションを得た、グレイッシュな色調の作品を発表。以降もナイトとグッチはコラボレーションを続け、今年10月にはランウエイのルックをまとった少年の肖像画をナイトが描き、それをプリントしたTシャツをグッチが発売している。更に、ナイトはグッチを代表する「フローラ」のプリントに独自の解釈を加えた「フローラ ナイト」も描いている。そこには、ベラドンナやダチュラといった妖艶な花が咲き誇り、さらに魔除けを象徴するクローバーやイヌホウズキなどがあしらわれた。美しさと魔性、この相反した要素を兼ね備えたモチーフは、2015クルーズコレクションに採り入れられ、ウエアやハンドバッグ、ラゲージなどにデザインされて登場した。このクルーズコレクションの発表に合わせて、グッチは「フローラ ナイト」の制作秘話を収録したショートムービーを公開している。普段は肖像画を描くナイトが、花に魅せられ、そこに秘められた美しさと魔性をどのように描いたのか。その経緯を知ることで、「フローラ ナイト」というモチーフが持つ意味をより深く知ることが出来るだろう。
2014年12月11日ゴッホやピカソ、ムンクにセザンヌなど、誰もが知っている世界的に有名な画家の作品は、投資目的に購入されるほど高額です。ではそれらの有名画家の作品の値段はいくらぐらいなのか、みなさんはご存知ですか?今回は世界に名だたる有名画家の作品たちに実際についたお値段を紹介します。●ゴッホの『ヒマワリ』……3,992万1,750ドルゴッホのヒマワリの絵はいくつも存在しますが、その中の1つのお値段がこちら。1987年に安田火災海上(現在の損害保険ジャパン)が購入した際のお値段です。当時の日本円のレートだと約58億円になります。●ゴッホの『ひげのない自画像』……7,150万ドル数多く存在するゴッホの自画像の中で、最後の自画像とされているのがこの『ひげのない自画像』です。1998年に落札され7150万ドルで落札されました。当時のレートだと80億円になります。貴重なだけあって、価格も相当ですね。●ゴッホの『アイリス』……5,390万ドル知らぬ人がいないほど有名なゴッホの作品だけあって、売却された作品はすべてが高額。この『アイリス』も1987年に5,390万ドルで落札されました。当時のレートだと、なんと80億円にもなります。ちなみにこのアイリスですが、落札者が代金を支払え切れなかったそうで、美術館が買い取ることになったとか(笑)。●ムンクの『叫び』……1億1,990万ドル2012年の5月に落札された有名なムンクの『叫び』の価格です。当時のレートで換算すると約96億円になります。このムンクの『叫び』は、『フリーズ・オブ・ライフ』という作品群のうちのひとつで、叫んでいるのではなく耳を塞いでいる絵。意外と知らないという人がいるのでは?●ピカソの『ドラ・マールと猫』……9,520万ドルピカソの絵も数多くの作品が高額で取り引きされています。この『ドラ・マールと猫』は、ピカソの愛人であるドラ・マールと猫を描いたもの。2006年にグルジアの富豪によって9,520万ドル(当時のレートで約86億円)で買い取られました。この絵もモデルとなったドラ・マールは、ピカソの有名な作品である『泣く女』のモデルでもあります。●ピカソの『パイプを持つ少年』…… 1億420万ドルピカソは作風が何度も変化した画家で、この『パイプを持つ少年』は『ばら色の時代』と呼ばれる明るいタッチの作風の時代に描かれたもの。2004年にイタリアの食品会社グループによって1億420万ドルで買い取られました。1億420万ドルは当時の日本円のレートで約101億円になります。ついに100億の大台に乗りました。●ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』……7,800万ドルフランスの印象派の画家であるルノワール。世界的に非常に人気の高い彼の作品の中でも、特に高額で落札されたのが『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』という絵です。1990年に約119億円(当時の日本円のレート)で日本の実業家である齊藤了英氏が落札。齊藤了英氏は同日にゴッホの『医師ガシェの肖像』も125億円で落札しており、当時大きな話題となりました。●クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』……1億3,500万ドル官能的なテーマの作品を多く残し、非常に人気の高いオーストリアの画家クリムト。彼の作品の中でも一番高額で取り引きされた絵が、複雑な装飾が施された『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』です。2006年に1億3,500万ドル(当時の日本円レートで約150億円)で購入されました。これは絵画の価格としては当時最高額でした。●セザンヌの『カード遊びをする人々』……推定2億5,000万ドル以上近代美術に大きな影響を与えたフランスの画家、ポール・セザンヌが描いた5枚の連作のうちの1つが『カード遊びをする人々』という絵です。2011年に絵画としては過去最高金額となる2億5,000万ドル(一説によるともっと高額だとか……)で取り引きされました。当時の日本円のレートによると約204億円。どこのだれがそんな高額で!? なんて思っちゃいますが、購入したのはカタールの王室だそうで……妙に納得です(笑)。以上、高額で取り引きされた世界の名画たちでした。非常に貴重な作品たちだけあって、お値段もハンパないものばかり。また、有名絵画の中にはダ・ヴィンチの『モナ・リザ』やピカソの『ゲルニカ』など、値段がつけられないほど貴重な作品も数多く存在します。それらにもし値段がつけられるとなると……すごいことになりそうですね(笑)。(貫井康徳@dcp)
2012年11月30日俳優・玉木宏が2013年3月、東京・大阪・名古屋の3都市で行われる舞台『ホテル マジェスティック ~戦場カメラマン澤田教一 その人生と愛~』で初舞台にして初座長を務めることが発表された。今作は、ベトナム戦争を撮影し、アメリカジャーナリズム界の最高峰“ピュリツァー賞”に輝いた戦場カメラマン、澤田教一とその妻サタ、そして同僚や親友たちとの人間模様を、ベトナム戦争時に世界中のマスコミが使用したホテルマジェスティックを舞台に描くオリジナルストーリー。脚本は樫田正剛、演出は星田良子が手掛ける。玉木は主人公の澤田教一を演じる。澤田教一氏が愛用していたカメラを使っているなどカメラが趣味の玉木は「自分と澤田教一さんは共通点もあると感じています。現在は、舞台に向けて勉強している最中です」と抱負を語った。共演は妻・サタを演じる酒井美紀ほか、徳山秀典、秋山真太郎(劇団EXILE)、紫吹淳、別所哲也ら多彩な顔ぶれが揃う。公演は東京・新国立劇場中劇場にて2013年3月7日(木)から17日(日)まで上演される。その後、大阪・森ノ宮ピロティホールにて3月20日(水祝)から24日(日)まで、名古屋・名鉄ホールにて3月26日(火)から27日(水)まで巡演する。チケットは12月22日(土)より一般発売開始。
2012年10月23日『ブラザーフッド』から7年ぶりとなるカン・ジェギュ監督が、オダギリジョーとチャン・ドンゴンという日韓を代表する名優2人を主演に、戦場を渡り歩いた男たちの実話を描いた『マイウェイ 12,000キロの真実』。本作の壮絶な舞台裏を収めたメイキング映像とポスター画像が解禁となった。第二次世界大戦末期の連合国軍による史上最大の作戦と言われる“ノルマンディー上陸作戦”の後、ドイツ軍の捕虜の中にひとりの東洋人が発見される。誰ひとりとして彼が話す言葉を理解できず、連合国の尋問を受けることになるのだが、彼が語り始めたのは信じられないような物語だった…。本年度のカンヌ国際映画祭で製作発表会見が行われ、さらに釜山映画祭ではキャスト、監督一同がレッドカーペットに登場するなど、世界各地の映画祭で話題を集めてきた『マイウェイ 12,000キロの真実』。そのたびにオダギリさん、ドンゴンが口を揃えて話したのが、苛酷な撮影現場の様子。今回届いた映像では、その話が決して大げさでなかったことを思い知ることとなる。オダギリさんやドンゴンなどのインタビューの合間に映し出される大がかりな機材、ド迫力の爆発そして立ち上る砂煙と、『プライベート・ライアン』、『レッドクリフ』シリーズの撮影スタッフと、これまで多くの戦争作品を作り上げてきたカン監督の経験の粋を決した映像にまず驚かされる。撮影に使用する塹壕と要塞の建築に3か月、撮影日数240日に及ぶ大陸横断撮影を敢行、世界16か国から集結したスタッフ、キャスト総勢7,000人以上、さらに総制作費25億円という世界規模の一大プロジェクトでの撮影が行われた本作。ドンゴンは「この作品の戦闘シーンは戦争を見せるだけでなく、主人公たちの感情を表現するもの」と全てのシーンに込められた意味を真摯に語る。さらに撮影中、「緊張がとれない日々が続いた」というオダギリさんの言葉からは、戦場シーンの撮影ではなくまさにその場が“戦場”であったことが容易に想像できる。この苛酷な“戦場”の総指揮をとっていたカン監督は、「私は恵まれています。こんなに情熱あるスタッフとキャストとこの作品を作ることは幸せでした」と撮影当時を至福の表情でふり返る。俳優、監督、スタッフ、それぞれが魂を削りながら極限の状態まで戦い抜いて作り上げた彼らの“戦場”をまずはこちらのメイキング映像で体験してみて。『マイウェイ 12,000キロの真実』は、2012年1月14日(土)より全国にて公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:マイウェイ 12,000キロの真実 2012年1月14日より全国にて公開© 2011 CJ E&M CORPORATION & SK TELECOM. ALL RIGHTS RESERVED■関連記事:【シネマモード】「派手」でなく「華やか」にファン・ビンビンの“上品”テクニック来年こそは行ってみたい?ココだけの釜山国際映画祭の楽しみ方を伝授!オダギリジョー、チャン・ドンゴンとの格闘ふり返り「韓国に入国できなくなるかも」釜山映画祭開幕!オダギリジョーにチャン・ドンゴン、ファン・ビンビンは衣装替えもオダギリジョー&チャン・ドンゴン『マイウェイ』9か月に及ぶ撮影の苦楽を告白!
2011年11月18日