画家、熊谷守一の旧宅跡地に建つ豊島区立 熊谷守一美術館で、同館のある池袋エリアにアトリエを構える画家・現代美術作家の松井えり菜が新作絵画作品を発表。ミニ展覧会『画家のおたく』を8月16日(火)より開催する。変顔をした自画像や自身の分身ともいえるウーパールーパーをモチーフにした作品を制作する松井は、2004年に自画像《エビチリ大好き》で「GEISAI ♯6」金賞を受賞。同作品はパリ・カルティエ現代美術財団のコレクションに収蔵され、これまで、カルティエ現代美術館(フランス)や大原美術館、鹿児島県霧島アートの森など、国内外の美術館で作品を発表。精力的に活動を続けている。約90年前、池袋には「池袋モンパルナス」と名付けられたアトリエ村が存在。松井は近年、そこからインスピレーションを受け、過去と現在の観念が混ざり合う作品を制作している。昨年、松井が在籍する芸術家ユニット「パルナソスの池」の作品公開制作イベントが熊谷守一美術館の近くで開催され、同館スタッフがそのイベントを見にいったことから交流がはじまり、今回展示を開催することとなったという。同展では、生前に熊谷守一が45年間暮らし、制作を行っていた旧宅跡地に建つ熊谷守一美術館を舞台に、新作絵画作品を公開。守一や松井が実際に使用した画材や松井のおもちゃコレクション、お気に入りの雑貨なども展示される。【アーティストステートメント】かつて家族団らんがあった熊谷邸跡地に建つ特異な存在である熊谷守一美術館。本展では、家族をテーマにした新作絵画作品に加え、守一さんと私が実際に使用している画材やモチーフのおもちゃなど、私が思わず集めてしまう家族に似ている”何か”を展示いたします。8月20日(土)、27日(土)に開催するワークショップは、名村大成堂さんの筆をモチーフに行います。同社は、かつて『池袋モンパルナス』と言われた地域の一部(雑司ヶ谷)に創業しました。ここ数年で何種類もの天然毛を素材とした筆が動物保護条約等により使えなくなりました。ハブとマングースのショーでお馴染みだったマングースも世界的に保護が進められています。その一方で、奄美大島では外来種として殺処分されています。人間の介入によりバランスを崩した生態系はじわじわと私たちの生活に影響を及ぼしつつあります。使える毛がどんどん少なくなっていく中で、いろいろな動物の毛を配合して理想のこしに近づける様子は、小さな筆の中に見たことのない動物を創り上げているように見えました。それではその動物はどんな姿でしょう?想像して描いてみましょう!!!身近なところから環境問題を考え、何気ない絵筆にも沢山の工夫が込められおり、大切に使ってみようという想いを込めています。近隣作家によるミニ個展とワークショップ、どうぞお気軽にお立ち寄りください。【開催概要】松井えり菜meets豊島区立熊谷守一美術館 ミニ展覧会&ワークショップ『画家のおたく』会期:2022年8月16日(火)~2022年8月28日(日)会場:豊島区立 熊谷守一美術館 3Fギャラリー時間:10:30~17:30(入場は17:00まで)休館日:8月22日(月)料金:無料(常設展観覧の場合は一般500円)公式サイト: ※ワークショップは定員に達しました。 キャンセル等による空きが出た場合は、美術館公式Twitter アカウント にてお知らせします
2022年08月04日19世紀末ウィーンを代表する画家、エゴン・シーレ(1890-1918)と同時代に活動した画家たちの作品を展観する『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』 が2023年1月26日(木)より東京都美術館にて開催される。1890年、オーストリアのトゥルンで生まれたシーレは、1906年 16歳でウィーンの美術学校に入学。グスタフ・クリムトと出会い、才能を認められるも、保守的な教育に満足せず退学。若い仲間たちと新たな芸術集団を立ち上げる。その後、1913~14年、ドイツで初の個展を開催すると、ローマ、ブリュッセル、パリなど欧州各地の展覧会でも作品が紹介されるなど注目を集めた。1918年、第49回分離派展のメインの画家として紹介され、多くの作品が購入されるなど大きな成功を収めたが、スペイン風邪を患い28歳という若さでこの世を去った。当時の常識にとらわれない創作活動により逮捕されるなど、波乱に満ちた生涯を送ったシーレ。孤独と苦悩の中で、自らを深く洞察し、ときには暴力的ともいえる表現で人間の内面や性を生々しく描いた作品を多く残している。同展では、「エゴン・シーレの殿堂」と称されるほど世界有数のシーレ・コレクションで知られるウィーンのレオポルド美術館の所蔵作品を中心に、シーレの油彩画、ドローイング40点以上を展観。その生涯と作品を振り返るとともに、クリムト、ココシュカ、ゲルストルをはじめとする同時代作家たちの作品もあわせた約120 点の作品を公開する。シーレの大規模展覧会が東京で開催されるのは実に 30 年ぶり。28年という短い生涯を駆け抜けたシーレの世界を体感したい。《母と子》 1912年 レオポルド美術館蔵 Leopold Museum, Vienna《エゴン・シーレの肖像写真》 アントン・ヨーゼフ・トルチカ撮影 1914 年 レオポルド家コレクション Leopold Museum, Viennaレオポルド美術館外観写真 (C)Leopold Museum, Vienna, Ouriel Morgensztern【開催概要】『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』会期:2023年1月26日(木)~4月9日(日)会場:東京都美術館公式サイト:
2022年07月22日高羽彩が脚本・演出・主宰を務めるタカハ劇団による舞台『ヒトラーを画家にする話』が2022年7月20日(水)から東京芸術劇場のシアターイーストで開幕する。進路に悩む美大生、僚太、朝利、板垣の3人がひょんなことから1908年のウィーンにタイムスリップ。そこで彼らが出会ったのは、ウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年。アドルフ・ヒトラー。彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。しかし、ヒトラーにはまったく絵の才能がない。3人はヒトラーを画家にすることはできるのか?人類の未来をかけた絵画レッスンが始まるーー。僚太役を演じる名村辰は「日本の美大生が1908年のウィーンにタイムスリップして、ヒトラーを画家にする......現実では絶対にできないことですが、とんでもなく面白い設定だなと思いました」と作品の第一印象を語る。一方、アドルフ・ヒトラー役の犬飼直紀は「立場が違う人物がたくさん出てくるのですが、一人の人物をとっても、同時に3つぐらいのことを心配したり考えたりしているんです。高羽さんはこの話を一人で考えて作られたのかと驚きます。難しそうですが、やりがいのある作品だなと思いました」。演じる役について、名村は「画家になりたい僚太は、将来に不安を抱えている役。僕も俳優をやっていて、自分の可能性を信じて、自分に期待をしている反面、3年後、5年後はどうなっているか分からないし、漠然とした不安もある。揺れている人物像が自分自身ともリンクするなと思っています」と話す。犬飼は「ヒトラーは自分が思っていることを正直に言わないで詭弁でカバーしたりする。そこで怒らないだろうというところで怒ったり、過剰に照れを隠そうとしたり通常の人間の感情の動かし方では太刀打ちできない部分に難しさを感じています」。役づくりの過程で、ヒトラーを題材にした映画や本などを下敷きにしている部分もあるが「この脚本から浮かび上がってくるヒトラー像を演じなくてはいけないと思っています。ヒトラーを擁護するつもりはありませんが、ひとりの人間としてのリアルな心理描写ができたら」とも。東京公演は24日まで。その他の出演者は芳村宗治郎、渡邉蒼、川野快晴、山崎光、重松文、異儀田夏葉、砂田桃子、結城洋平、柿丸美智恵、金子清文、有馬自由。取材・文:五月女菜穂
2022年07月15日フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた『魂のまなざし』。この度、抑圧的な男性社会に臆せず、内から湧き出る情熱に従ったヘレンの凛とした姿を象徴する冒頭映像が解禁となった。ヘレンは幼少時から絵の才能を見込まれ、奨学金を得て18歳の時にパリへ渡り、20代の大半をパリで過ごした。しかし祖国に戻ると、美術界を支配する保守的で権威主義的な男性社会の中で、真実を追求する自由な魂は疲弊し、そこから逃亡することになる。解禁となった映像では、そんな田舎での母親との10年あまりに及ぶ半ば隠遁生活の中で、ヘレンはインタビューを受けることになる。「さっさと進めましょう。インタビューは苦手だから」とヘレンが静かに言うと、「わかります」と同意するインタビュアーに、少しビックリしたかのように目を上げる。インタビュアーから「その理由は?」と聞かれると、少し考えるように「つい間違ったことを言うから。何を言っても誰かを怒らせる」と、遠くを見てほほ笑むヘレン。インタビューが続く中、貧相な家で絵を描くヘレンの姿と共に、四季折々の田舎の庭が美しく映し出されている。「10年以上、美術界から距離を置いてますね」と聞かれると、ヘレンは「私のことは書かないで、注目をされたくない」と言い、「ご自分の作品をどう説明しますか?なぜ戦争や貧困を描くのか。その題材は...女流画家にふさわしくない」と返されると、少し呆れたように「画家が描くときは、作品の説明など考えない。着想は内側と外側から同時にわき起こる。女流画家のレッテルもはられたくない。一人の画家だから」と応じるのだ。この時代に自立し、強い意志を持っていたヘレン。どん底であっても絵を描くことを諦めず、背筋を伸ばして歩いていったヘレンのひたむきで凛とした姿が映し出されている。『魂のまなざし』は7月15日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:魂のまなざし 2022年7月15日よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開©Finland Cinematic
2022年07月14日舞台美術家として知られる一方、日本画家でもあり、挿絵画家でもあった朝倉摂(1922-2014)の創作活動を展観する『生誕100 年 朝倉摂展』が6月26日(日)より練馬区立美術館にて開催される。彫刻家・朝倉文夫(1883-1964)の長女として東京・谷中に生まれた朝倉摂は、17歳から伊東深水に学び、日本画家として早くからその才能を認められていた。戦後、創造美術を経て新制作協会日本画部に所属するなかで、キュビスム的な作風へと展開。また日本画の在り方に対する問題意識にとどまらず、社会問題にも視野は広がっていくが、60年安保闘争の挫折感により絵画から遠ざかっていった。その後、舞台美術の世界に新しい可能性を見出し、演劇の現場に参加するようになる。日本画の枠組みに疑問を持ち、社会的なテーマで制作を行なってきた摂にとって、並行して演劇に参加することは、ジャンルにとらわれない創作姿勢を貫く必然的なものであったといえるだろう。同展では、モダンな女性像を清新な表現で描き出した初期の代表作《更紗の部屋》、《歓び》を含む、今まで公開されることの少なかった日本画作品44点が展示されるほか、制作過程を知るスケッチブック、舞台美術の代表作である全体が階段で構成された蜷川幸雄演出の『ハムレット』『にごり江』の模型、記録写真などの資料、松本清張『砂の器』、大佛次郎『スイッチョねこ』といった代表的な挿絵など約 200 点を紹介。没後、アトリエに残された作品によりみえてきた、戦 前・戦中・戦後をつなぐ朝倉摂の足跡を展観する。朝倉摂《歓び》1943年神奈川県立近代美術館朝倉摂《働く人》1952年山口県立美術館蔵朝倉摂「ハムレット」舞台模型1978/2021年朝倉アトリエ蔵朝倉摂松本清張「砂の器」挿絵原画1960-61年連載神奈川近代文学館蔵【開催概要】『生誕100年 朝倉摂展』会期:2022年6月26日(日)~ 8月14日(日)会場:練馬区立美術館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)※会期中一部展示替えあり休館:月曜(7月18日は開館)、7月19 日(火)料金:一般1,000 円、大高・65~74 歳800 円美術館公式サイト:
2022年05月20日スヌーピーでおなじみの人気コミック『ピーナッツ(PEANUTS)』のキャラクターを唯一アート表現できる画家、トム・エバハートの特別展示販売会が、2022年4月22日(金)より順次、岡山・東京・名古屋・大阪の4会場にて開催される。『ピーナッツ』スヌーピーの新作版画など展示販売トム・エバハートは、『ピーナッツ』原作者のチャールズ・M・シュルツから、『ピーナッツ』のキャラクターをアートとして自由に表現することを唯一許可されたアーティスト。「トム・エバハート2022年G.W.特別展示販売会」では、トム・エバハートによる、スヌーピーや『ピーナッツ』のキャラクター達をモチーフにしたアート原画や版画作品を展示販売する。注目は、日本では公開されていない原画作品「The Dream Woke Black B Wang Color」シリーズから初めて版画化された新作2点。まるでスヌーピーが夜の犬小屋の上で寝ているかのような、愛らしい佇まいが魅力だ。加えて、約2年ぶりの版画作品の新作「Snooze Alarm Boogie AM6:30」も登場する。トム・エバハートの画材や大型原画の再現ポスターも展示さらに、トム・エバハートが実際に使用した筆や画材、大型原画作品を原寸で再現したポスターも展示。トム・エバハートのアトリエの雰囲気も感じられる空間となっている。【詳細】トム・エバハート2022年G.W.特別展示販売会<岡山会場>開催期間:2022年4月22日(金)~24日(日)会場:ルネスギャラリー住所:岡山県岡山市北区内山下1-6-20受付時間:11:00~18:30(初日13:00~、最終日17:00まで)<東京会場>開催期間:4月28日(木)~5月1日(日)会場:ヒルトン東京B1F ヒルトピア アートスクエア住所:東京都新宿区西新宿6-6-2 ヒルトピアショッピングセンター内(ヒルトン東京B1)受付時間:11:00~19:00(最終日17:00まで)<名古屋会場>開催期間:5月3日(火祝)~5日(木祝)会場:ウインクあいち 8F 802号室住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-4-38受付時間:11:00~19:00(初日14:00~、最終日18:00まで)<大阪会場>開催期間:5月7日(土)~9日(月)会場:ブリーゼプラザ 8F 805号室住所:大阪府大阪市北区梅田2-4-9受付時間:11:00~19:00(最終日17:00まで)※各会場でアンケートに回答すると、オリジナル大判ポストカードをプレゼント。※プレゼントはなくなり次第終了。※展示作品はすべて購入可能。売約済の場合は会場内で観覧できない作品もあり。
2022年04月07日特別展「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」が、大分市美術館にて2022年4月15日(金)から5月29日(日)まで開催される。マリー・アントワネットに仕えた宮廷画家・ルドゥーテ特別展「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」は、フランス王妃マリー・アントワネットとナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに仕えた宮廷画家・ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの植物画を紹介する展覧会。ルドゥーテの植物画は、銅板に点を刻む多色刷銅版画に、さらに手彩色を施すことで植物の姿を細部まで正確に描き出しているのが特徴。繊細に描き込まれたバラやパンジーなどの色彩豊かな花々は、いずれも柔和な雰囲気をまとっている。“花のラファエロ/バラのレンブラント”との呼び声もそのエレガントで緻密な表現から、ルドゥーテは当時の上流階級の人々から「花のラファエロ」「バラのレンブラント」と称賛されていた。また、現在においてもルドゥーテの描くバラなどの絵画は室内装飾品や食器などのデザインに取り入れられ、多くの人から愛され続けている。特別展「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」の会場には、ルドゥーテの代表作『バラ図譜』全点と肉筆画が集結。植物学的正確さと芸術的完成度の高さを併せ持つ、ルドゥーテの植物画の魅力を隅々まで堪能することができる。【詳細】特別展「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」開催期間:2022年4月15日(金)~5月29日(日)会場:大分市美術館 企画展示室住所:大分県大分市大字上野865番地開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)休館日:4月18日(月)、25日(月)、5月9日(月)、16日(月)、23日(月)観覧料:一般 1,000円(800円)、高大生 700円(500円)、中学生以下 無料※( )は前売り、20名以上の団体料金。※特別展観覧料でコレクション展もあわせて観覧可能。※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳提示者とその介護者は無料。※「大分市美術館年間パスポート」が利用可。※前売券は、2022年4月14日(木)までローソン(ローソンチケット Lコード:84504)、セブン・イレブン(チケットぴあ Pコード:685-967)、大分市美術館、大分合同新聞社本社受付・同プレスセンター、大分放送事業部、トキハ会館にて販売。【問い合わせ先】教育委員会事務局教育部美術館 美術振興課TEL:097-554-5800
2022年04月02日抽象的絵画の先駆者でありながら、長らくその存在を知られていなかったスウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)のドキュメンタリー映画『見えるもの、その先にヒルマ・アフ・クリントの世界』の公開日が4月9日(土)に決定、予告編が解禁となった。2019年、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催されたヒルマ・アフ・クリントの回顧展は同館史上最高の動員を記録、スウェーデンのラッセ・ハルストレム監督が最新作『Hilma』(原題)で彼女の生涯を描くなど、いまや欧米で大きな注目を集める存在となっている。自身の死後20年は作品を公表しないよう言い残し世を去り、その驚異的な先進性や創造性にも関わらず、死後20年を経た後も長らく美術史から拒絶されていたヒルマ。本作は、謎に包まれたその生涯、そして彼女を拒んだ美術史の裏側にも迫る。そんな本作から、神秘性と現代性を併せ持つヒルマのカラフルな作品群と、彼女と美術史の関係にフォーカスした予告編が解禁。「美術史は書き換えられるのか」という挑発的な言葉を投げかける映像となっている。『見えるもの、その先にヒルマ・アフ・クリントの世界』は4月9日(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2022年02月28日黒塗りの画面に亡霊のような顔が浮かびあがる絵など、心に深く突き刺さる作品を数多く残した画家、香月泰男(1911-1974)。彼の生誕110年を記念した展覧会『香月泰男展』が、練馬区立美術館で開催中です。画家から兵隊になり、戦後はシベリアに送られ、帰国後再び画家に戻った香月は、自身のつらい体験を20年以上も描き続けました。展覧会の様子と彼の人生をあわせてご紹介します。画家として認められたが…【女子的アートナビ】vol. 236香月泰男は、代々医業を営む家の長男として山口県に生まれます。幼いころから絵を描くのが好きで、20歳のとき東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学。学生時代は、ピカソやゴッホの作品などから影響を受けます。卒業後は、美術教師として北海道に赴任。その後、故郷の山口県にある女学校に転任し、教師をしながら公募展に絵を出品していきます。27歳で結婚し、1939年には第一子が誕生。また、文部省美術展覧会で特選を受賞するなど、画家としても認められはじめましたが、そのころ第二次世界大戦が勃発していました。中国からシベリアへ…1942年に召集令状を受け、翌年、32歳のとき満州国(現・中国東北部)に配属されます。絵具箱を持っていった香月は、軍務の間にも絵を描き、また家族あてにスケッチ入りの郵便を数百通も出していました。終戦後の1945年11月、香月はシベリアの収容所に送られます。極寒のなか、森林伐採や運搬作業など過酷な重労働に従事。食糧事情もかなり悪く、多くの収容者たちが亡くなります。2年間の抑留後、1947年に帰国。香月は山口の学校に復職し、油彩画も描きはじめます。戦争体験のほか、草花や食材など、さまざまなテーマで描きながら、技法の研究にも取り組みました。しだいに作品に使われる色彩が限られるようになり、モノトーン系の画風になっていきます。悪夢のような体験をアートに…1959年から、香月は兵役とシベリアの経験を本格的に描きはじめます。現地で見た景色や強制労働の様子を描いたもののほか、私刑にされた日本人の姿、収容所で亡くなった仲間の顔など、苛烈な作品も制作。悪夢のような体験をした香月にとって、この重いテーマをアートにするまでには長い時間が必要でしたが、1960年代以降、シベリアの作品が一気に増えていきます。例えば、黒い塊に足が生えたような作品《運ぶ人》(1960年)は、60キログラムもある麻袋を運んでいる抑留者の姿を描いたものです。近くで見ると、黒い部分に亡霊のような顔が浮かんでいます。「シベリアの画家」に香月が描いた戦争・抑留体験の絵は注目されはじめ、1967年には画集『シベリヤ』を刊行。それらの作品は「シベリア・シリーズ」と呼ばれるようになり、香月は「シベリアの画家」として評価を確立していきます。晩年になると、黒や茶色のモノトーン系の作品に少しずつ色が戻りはじめます。特に、鮮やかな青を使った作品は印象的。《青の太陽》(1969年)は、戦争中、匍匐(ほふく)前進の演習をしていたときに見た地面のアリの巣から着想した作品で、地中から空を見上げる構図になっています。新たな画風が表れはじめた1974年、心筋梗塞により急逝。62歳でした。心が震え続ける…この展覧会では、香月の作品が制作順に展示されています。情感豊かな戦前の作品から、どのように画風やテーマが変わっていったのか、その流れを画家の人生と重ね合わせながら見ることができます。テーマも画面も重々しいものが多いのですが、目をそむけたくなるような残酷さは感じられません。恐怖や苦痛、鎮魂、祈りなど画家のさまざまな思いがアートに昇華され、作品の前に立つと、静かな感動が押し寄せてきます。美術館を出てからもその余韻は残り、ずっと心が震え続けました。会場には、香月が残した言葉もところどころに記されています。ぜひ足を運んで、作品を通して画家の思いを感じてみてください。Information会期:~3月27日(日)※途中展示替えあり前期:~3月6日、後期:3月8日~3月27日※休館日は月曜日。ただし3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)は休館会場:練馬区立美術館開室時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)観覧料:一般¥1,000、大学生・高校生、65歳~74歳¥¥800、中学生以下、75歳以上は無料その他割引制度あり
2022年02月27日フィンランドの女性画家ヘレン・シャルフベックの半生を描いた『魂のまなざし』が生誕160年記念となる2022年の夏に公開されることが決定し、併せてティーザービジュアルが解禁となった。1915年、ヘレン・シャルフベックは、高齢の母親とともに田舎で暮らしていた。いわば忘れられた画家だった彼女は、それでも湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。全てが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた159点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出した時。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した15歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされる…。モダニズムを代表する画家のひとりとして、近年世界的に注目を浴びるフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック(1862~1946)。その生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた本作。シャルフベックは、ロシア帝国の支配下にあったフィンランドに生まれ、祖国の独立と内戦を経て封建的な世界が崩壊していく過程と歩調を合わせるように、画家として、女性として、一人の人間として自律的に生きていく。狂おしい愛に打ちのめされ生涯の友情を得る中で、自身と身の回りの存在を凝視しその本質を描きだす手法をひたすら追求した。抑圧的な母親や男性社会に臆せず、名誉よりも内から湧き出る情熱に従ったシャルフベック。どん底にあってもやがて立ち上がって背筋を伸ばし歩んでいく、その凛とした生き様が、北欧の透明な光に輝く自然や街並みとともに全編美しい映像で描かれる。解禁されたティーザービジュアルは、映画と同時代1915年にシャルフベックが描いた代表的な自画像「黒い背景の自画像」を模し、シャルフベックを演じた主演女優ラウラ・ビルンの姿に置き換えて描き下ろされた、映画のためのオリジナル作品を使用している。『魂のまなざし』は2022年夏、Bunkamuraル・シネマほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:魂のまなざし 2022年夏、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開©Finland Cinematic
2021年12月21日大正から昭和にかけて、京都を中心に活躍した日本画家・小早川秋聲(こばやかわ・しゅうせい、1885~1974年) の画業を通観する初の大規模回顧展が東京ステーションギャラリーにて開催される。鳥取のお寺の住職の長男として生まれ、9歳で京都の東本願寺の衆徒として僧籍入りした秋聲は、その後、画家になることを志し、日本画家の谷口香嶠(こうきょう)や山元春挙(しゅんきょ)に師事、文展や帝展を中心に出品と入選を重ね、画技を磨いた。旅好きでもあった秋聲は、北海道、山陰、紀州など日本各地を絵に描き、国外では複数回の中国渡航に加え、1922年から23年にかけてアジア、インド、エジプトを経てヨーロッパ十数カ国へ遊学。1926年には北米大陸を横断し、日本美術の紹介にも努めた。1931年以降は従軍画家として満州、中国へ何度も赴き、数多くの戦争画を描いたことでも知られている。なかでも終戦の1年半前の作である《國之楯(くにのたて)》は代表作に挙げられる1点だ。戦後は、罪を問われる覚悟で日々を過ごし、大規模な展覧会への出品も減っていったという。美術史上でも長らく忘れられた存在だったが、近年、従軍画家による戦争画が注目されるなかで、再評価の機運が高まっている。同展では、初期の歴史画から、初公開の戦争画、晩年の仏画まで、100点あまりを紹介。激動の時代のなかで描き続け、多様な作品をのこした知られざる画家の生涯に迫っていく。《長崎へ航く》1931年、個人蔵《回廊》1914年頃、鳥取県立博物館《御旗》1934年、京都霊山護国神社(日南町美術館寄託)《天下和順》1956年、鳥取県立博物館【開催概要】『小早川秋聲旅する画家の鎮魂歌』会期:2021年10月09日(土)〜2021年11月28日(日)会場:東京ステーションギャラリー時間:10:00~18:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜日(11月22日は開館)入館料:一般1,100円、高校・大学生900円東京ステーションギャラリー公式サイト:
2021年09月21日土地いっぱいの建物に広がる開放的な作り透明水彩画家のかとうくみさんが家族4人で茅ヶ崎に越してきたのは19年前。「繁華街の近くに住んでいたのですが、2人目の子どもがお腹にできた時に、子育てにいい環境への引っ越しを考えました。それで縁あって茅ヶ崎に越してきたんです」とかとうさん。およそ250㎡の土地に延床面積175㎡の2階建ての新築を建てたが、当初は土地の大半は庭に使う予定だった。「上物はしっかりしたものを建てたほうがいいと図面を見た父が言いまして。そのあと父が他界して遺言のようになったので、土地いっぱいに建物を建てました」。“アメリカかぶれ”を自称するかとうさんが目指したのは、アメリカ風の住宅だったが、施工を依頼したのは和風建築を得意とする企業。「夫が野球好きで、好きな選手がCMに起用されているという理由で決めました。アメリカ風にしたいと言ったら、わざわざ外部から設計士を連れてきてくれたんですよ」。何冊もの洋書を設計士に見せ、すり合わせをし、理想に近づけていった。玄関から視界を遮る仕切りがなく開放感ある1階スペース。元々カウンターキッチンがあった西側の空間。キッチンがなくなり本来ある広さが活きる。西側から見たリビング。ご夫婦は大がつくほどのアメリカ好きで、アメリカ国旗が飾られている。風と光を遮らない空間設計玄関を入ってすぐ、1階のリビングとキッチンには仕切りがなく開放的な空間が広がる。天井は吹き抜けで南側にははめ殺しの窓を設置した。「私も夫も天井が高い家が大好きだったのでリクエストしました。窓のお陰で雨の日でも明るいですし、夕方まで電気はつけません。暖房の効きが悪くなるのが心配でしたが、床暖房をいれたら問題ないですね」。リビングの南側に設置された庭に繋がる観音開きの窓はアメリカを意識したもの。「最初は引き戸を考えていたんですが、設計士さんがアメリカ風にするならということで勧めてくれました。とても気に入っています」。東西南3面に窓があり、壁がないため心地よい風が室内を抜ける。冬は、ほぼ全面に敷かれた床暖房で足りなければ、吹き抜けに設置されたファンを使って暖気を回す。風も光も充分に入るリビング。家族4人ほとんどの時間をここで過ごす。庭は元々芝生だったが、当時飼っていた愛犬が土を掘って虫を捕まえてきてしまうのが嫌で、オールデッキに。玄関とリビングの間に両開きの引き戸を設置し断熱効果を高めた。リノベーションで理想により近づける19年前、ほぼ理想の家が出来上がったが想定外のことがあった。夫の母親が泊まる部屋として、東側に設けた和室に地窓しかなかったことだ。「図面上は窓があると思っていたので、地窓で驚きました。お話はしてもらっていたんですが、理解不足だったんです。座った時に、当時あった庭を窓から見られるのは良かったのですが、陽が昇る東から光を取り込めないのが難点でしたね」。転機は8年前。西側に設置していたキッチンの電気系統の故障で床と壁を全面張り替えすることになった。「これを機に、よりアメリカンにしたいと思い、一番陽の当たる東側にある和室を無くして、キッチンにすることにしました。お母さんも床布団よりベッドの方が楽ということだったので」。空間を仕切っていた襖、押入れを無くしたことで、広い空間と東側からの光を室内に取り込めるようになった。さらに真っ白だった壁は、濃い色が好みというご夫婦の希望でブルーとイエローの2色をベースカラーに。床は複合材から無垢材に張り替え、より理想的なアメリカンな空間にしていった。「いちからキッチンを作るならアメリカンなものにしたかった」とかとうさん。和室だった場所を、2面たっぷり使った贅沢なキッチン空間に。窓を設置したことによって、東側からも採光できるようになった。1階は端から端まで視界が届き、のびやかさがある。右に見える壁はコルクボードにしてメモなどを貼れるようにした。外壁をサイディングにすることは夫婦で一致。建てた際はブルーだったが、リノベーションの際にえんじ色に塗り替えた。自宅にある自分だけの創作空間2階南側にはかとうさんのアトリエがある。2階の廊下から1段下がって入るという入室経路と、雲のイラスト入りの壁紙を採用し差別化することで、日常空間との切り替えを演出。「家を建てる時に、私が一番家にいるから一番いい場所にアトリエを作って欲しいとお願いをしました。子どもが小さい時は、ご飯作らなきゃなど考えましたが、今は手がかからないので一日中いることもありますね。ここにいると時間を忘れます」。頻繁にニューヨークに行き、絵の素材探しをするほどアメリカ好きだが、絵を始めたきっかけもアメリカが関係している。「アメリカ西海岸を舞台にした漫画を読んだのがキッカケでアメリカと絵に興味を持ちました」。19年目を迎えた自宅は、壁紙や床など変化してきたが、アトリエは変わることがなかった。それは13歳から変わらず絵が好きで、アメリカが好きだというかとうさんのブレない想いの現れかも知れない。1階の床はキッチンを除き無垢材に統一。ほぼ全面に床暖房が敷かれている。2階廊下。はめ殺しの窓から室内に光が入る。左奥がかとうさんのアトリエ。2階廊下の天井には、屋根裏部屋に続く階段が収納されている。物置として使っていた屋根裏だが、愛犬の死をきっかけに次女が3週間かけ模様替えをした。今はお子さんの友人が泊まりに来るなど交流スペースになっている。アトリエ。左側にある天井いっぱいの造作棚には資料が並ぶ。壁紙はアメリカの有名なアニメ作品をイメージして選んだ。透明水彩の絵具には白がない。そのため白で表現する所は、何も塗らず画材の色を活かす。9月には兵庫県で、来年8月には東京での個展開催が決まっている。詳細はかとうさんのホームページで確認できる。
2021年08月30日画家ジュゼップ・バルトリは1910年生まれのスペイン人。風刺漫画家でありながらスペイン内戦時代の20代の頃は共和国軍の一員として戦う。’45年にはNYに渡り、マーク・ロスコやウィレム・デ・クーニングらとも交流。雑誌『ホリデイ』『サタデー・イブニング・ポスト』のイラストを手掛け、芸術家としての名声を確立した人物だ。そんな彼が30代の頃に体験したフランスの強制収容所での実話をアニメ化した映画『ジュゼップ 戦場の画家』が今、話題を呼んでいる。1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れようと、隣国フランスには大勢の難民が押し寄せていた。しかしフランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境のもとで寒さや飢え、病気に苦しむことに。難民の一人だったジュゼップは、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けた。若きフランス人憲兵セルジュは、そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、二人は固い友情で結ばれていくが……。フランス人憲兵の監視下に置かれ、理不尽な暴力を受けていた難民の姿を描くとともに、ジュゼップと心優しき新米憲兵セルジュが織りなす友情が胸を打つ。また実際にジュゼップが描いた絵は、収容所の凄惨な日常を後世へと伝える貴重な記録にもなった。フランス出身のイラストレーターである監督のオーレル氏は、ジュゼップのスケッチに衝撃を受け、彼を「レジスタンスとジャーナリストの精神を持ち合わせた人物」と心からの賛辞を送る。人間の尊厳が容赦なく踏みにじられる極限状態の中でも希望を捨てず、ペンを執り続けたアーティストの生き様を伝えるには、動きやリズム、音響を備えたアニメーションが必要だと、自らの手で10年をかけて映画化した。世界中に祖国を失った難民があふれ、人権問題もクローズアップされている現代社会を映しているともいえる本作は、映画ファンはもちろん、ジャーナリストや美術関係者、アニメファンからも称賛の声が。“生きる”という本質的なテーマを肉筆感溢れるスケッチで紹介した映像は、私たちの心に迫ってくるはずだ。『ジュゼップ 戦場の画家』監督/オーレル脚本/ジャン=ルイ・ミレシ。2020年、カンヌ国際映画祭正式出品。アテネ国際映画祭観客賞、脚本賞ほか、数多くの賞を受賞。8月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。©Les Films d’Ici Mediterranee – France 3 Cinema – Imagic Telecom – Les Films du Poisson Rouge – Lunanime – Promenons – nous dans les bois – Tchack – Les Fees Speciales – In Efecto – Le Memorial du Camp de Rivesaltes – Les Films d’Ici – Upside Films 2020※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年08月16日長編アニメーション映画『ジュゼップ 戦場の画家』が、新宿武蔵野館ほかにて2021年8月13日(金)より順次全国公開される。“描くことで戦い続けた”実在の難民画家がモチーフ『ジュゼップ 戦場の画家』は、1939年スペイン内戦により、避難先のフランスの強制収容所で難民となった実在の画家ジュゼップ・バルトリをモチーフにした長編アニメーション映画。愛する人との再会を胸に、描くことで戦い続けた男の“感動の実話”を、スクリーンに映し出す。イラストレーター・オーレルの長編アニメ監督デビュー作メガホンをとったのは、フランスの全国紙「ル・モンド」などのイラストレーターとして活躍してきたオーレル。ジュゼップが収容所で記した鮮烈なスケッチに触発され、10年の歳月を費やして映画『ジュゼップ 戦場の画家』を完成させた。脚本は、ロベール・ゲディギャン監督の『マルセイユの恋』 、『キリマンジャロの雪』で知られるジャン=ルイ・ミレシ、製作は『戦場でワルツを』のセルジュ・ラルーらが務めている。ヨーロッパの映画賞を総なめ&東京アニメアワードフェスティバルグランプリ映画『ジュゼップ 戦場の画家』は、オーレルの長編アニメーション監督デビュー作品にして、2020年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品に選出されたほか、2021年のセザール賞やリュミエール賞などヨーロッパの映画賞を総なめに。「東京アニメアワードフェスティバル2021」では、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の監督としても知られる審査員の片渕須直が絶賛し、コンペティション部門長編アニメーショングランプリを獲得した。映画『ジュゼップ 戦場の画家』あらすじ1939年2月。スペイン内戦の戦火から逃れた大勢の難民が南フランスに押し寄せる。フランス政府によって強制収容所に入れられた難民たちは、劣悪な環境のもとで飢えや病気に苦しみ、監視役のフランス人憲兵たちはことあるごとに虐待を加えていった。そんな中、粗末な小屋の壁や地面に黙々と絵を描いているジュゼップ・バルトリという画家がいた。新米の憲兵セルジュは先輩の憲兵たちの目を盗み、ジュゼップに紙と鉛筆を与え、ふたりの間にはいつしか有刺鉄線を越えた友情が芽生える。セルジュはジュゼップがスペイン脱出の際に離ればなれになった婚約者がいたことを知り、再会を夢見る切なる思いに触れ、彼女を探すのを手伝うが…。フリーダ・カーロが登場解禁された本編映像には、ジュゼップ・バルトリが愛した、メキシコを代表する画家のフリーダ・カーロが登場。浜辺に座り、広い海を眺めていたジュゼップと新米憲兵セルジュに向かって、海の中から突如現れたフリーダが歩いてくる。これは夢か現実か……、ロマンティックさに加え、語り手である老人の記憶の曖昧さも絶妙に描き出したシーンとなっている。【詳細】映画『ジュゼップ 戦場の画家』公開日:2021年8月13日(金)新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開監督:オーレル脚本:ジャン=ルイ・ミレシ配給:ロングライド2020年/フランス・スペイン・ベルギー/仏語・カタロニア語・スペイン語・英語/74分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:JOSEP/日本語字幕:橋本裕充
2021年08月07日中国映画『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』が2021年秋にTOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開される。中国興収No.1の映画『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』と『TENET テネット』を超えて2020年中国興行収入No.1を記録した中国映画だ。日中戦争下の上海が舞台作品の舞台は、1937年、日中戦争下の上海。中国軍の守備隊が、迫り来る日本軍からの砲撃、銃撃、空爆などの総攻撃にさらされながらも命懸けで繰り広げた、「四行倉庫の戦い」として知られる5日間の戦闘の実話を描く。映画『X-MEN』のティム・クロスビーも参戦また、構想10年、総製作費80億円を投じて完成させた、リアリティ溢れる戦闘シーンも『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』の見どころの一つだ。20万平米の広大な土地に上海の街をリアルスケールで再現したほか、VFXスーパーバイザーには、映画『X-MEN』『ロード・オブ・ザ・リング』に携わったティム・クロスビーを迎えた。キャストは、中国版「世界の中心で、愛をさけぶ」で主役を務めたオウ・ハオをはじめ、「The Crossing ザ・クロッシング」のワン・チェンユエン、「山河ノスタルジア」のチャン・イー、「罪の手ざわり」のジャン・ウーのほか、日本軍司令官として中泉英雄も参戦。監督は「ロクさん」「愛しの母国」のグアン・フーが担当する。作品詳細『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』公開時期:2021年秋 TOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開監督・脚本:グアン・フー撮影:ツァオ・ユー美術:リン・ムー音響:フー・カンプロデューサー:ワン・ジョンレイ、リャン・ジン、チュー・ウェンジュVFX:ティム・クロスビー出演:ジャン・ウー、チャン・イー、ワン・チェンユエン、ホアン・チーチョン、オウ・ハオ、ドゥ・チュン、リー・チェン、タン・イーシン、チャン・チュンイー、中泉英雄2020/149分/中国語・日本語・英語/中国/カラー/5.1ch/シネスコ/原題:八佰 英題:The Eight Hundred PG12日本語字幕:伊藤あゆみ配給:ハーク 配給協力:EACH TIME
2021年06月18日海外で高い評価を得ている日本画家、渡辺省亭(せいてい)の初の大規模な回顧展が東京藝術大学大学美術館で開かれています。明治から大正にかけて活躍した省亭は、パリでドガや印象派の画家たちとも交流。彼の美しすぎる日本画は、外国の画家たちを驚嘆させました。日本ではほとんど知られていなかった画家の作品と生涯をご紹介します。海外で高評価!【女子的アートナビ】vol. 200『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』では、日本画家、渡辺省亭(1852-1918)の知られざる全画業を紹介。近年公開されたことのない個人コレクションを中心に、アメリカのメトロポリタン美術館など海外からの里帰り作品も含めた100件以上が公開されています。省亭は没後国内でほぼ無名であったため、これまで展覧会で紹介される機会が少なかったのですが、1878年のパリ万博への出品などにより海外では高く評価。欧米の名だたる美術館に多数作品が所蔵されています。では、なぜ日本では知られていなかったのでしょう?彼の画業とともに、その疑問を解き明かしていきます。絵を教えてもらえず…省亭が生まれたのは江戸の神田。画才に目覚め、16歳のとき歴史画家の菊池容斎に入門します。住み込みで修業をはじめますが、3年間の修業期間は具体的な絵の描き方を教えてもらえず、ひたすら文字の練習ばかり。筆の扱いに慣れるための習練だったそうです。それでも師匠の作品を模写しながら絵画表現を習得。明治になってまもない1869年、19歳でイギリスのエディンバラ公への献上品制作に参加し、その後独立して画家として活動をはじめます。パリで印象派たちを魅了!1875年、25歳で起立工商(きりゅうこうしょう)会社に入社。輸出工芸品の図案制作などに従事します。1878年、省亭の描いた図案がパリ万博に出品されることになり、社員として渡仏。そのまま2~3年パリに滞在し、当時ジャポニズムが流行していたパリで印象派の画家たちとも交流します。省亭は画家の集まるサロンに行き、その場で絵を描く「席画」もしていました。早業で美しい花鳥画を描いたので、パリの画家たちは驚き魅了されたそうです。そんな実演の場で、元祖印象派の巨匠、エドガー・ドガのために描いた大変貴重な作品《鳥図(枝にとまる鳥)》も今回の展示で見ることができます。ドガは生涯この作品を手元に残しておいたそうです。多方面で活躍!フランスから帰国後、省亭は花鳥画だけでなく雑誌の挿絵や口絵など多方面で活動。さらに、七宝作家の濤川惣助(なみかわそうすけ)とともに「無線七宝」(金属線を使用しない技法)を開発し、以後、濤川の七宝作品に多くの原画を提供します。ちなみに、現在の迎賓館赤坂離宮に飾られている濤川による七宝額絵の原画も省亭が描いたもの。展覧会では、その原画を見ることができます。競争が嫌い?1892年にはロンドンのギャラリーでイギリスの水彩画家と二人展を開き、その後も同ギャラリーで個展を開くなど、海外で高く評価されていた省亭ですが、画業の後半は日本の展覧会にはほとんど出品しなくなりました。美術団体に所属もせず、画壇とは距離を置いていたとのこと。性格的に、画壇政治や競争に巻き込まれるのが好きではなかったようです。また、制作依頼は常に舞い込んでいたので、展覧会に出さなくても暮らしに困ることはありませんでした。省亭の作品は、著名な政治家や歌舞伎役者も買っていたのです。ブームが来るかも!省亭画伯の私生活も少しご紹介。パリから帰国後31歳で結婚し、浅草で新婚生活をスタート。その後は海外に行かず、国内旅行もせず、ほとんど浅草周辺で暮らしたそうです。また、本妻のほかに近くの別宅にはお妾さんもいて、どちらにも子どもがいたそうです。自宅と別宅を行き来しながら注文に応じて絵を描くという生活をし、68歳で亡くなるまで制作を続けていました。その後、画壇とつながりのなかった省亭は日本で忘れ去られてしまいますが、欧米での高い評価は続き、彼の作品が多くのコレクターや美術館にコレクションされていきます。先述したドガのために描いた作品も、現在はアメリカの美術館が所蔵。本展では、そんな海外からの貴重な作品も見ることができます。近年再評価が進み、これからブームがきそうな渡辺省亭の作品、まとまって見られるこの機会をどうぞお見逃しなく!参考文献:展覧会公式ガイドブック『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』Information会期: ~5月23日(日)※会期中展示替えあり(前期:~4/25、後期:4/27~5/23)会場: 東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3開館時間: 10:00-17:00(展示室入場は閉館の30分前まで)休館日: 月曜日(5月3日は開館)観覧料: 一般¥1,700、大学生・高校生¥1,200、 中学生以下無料※ 本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により変更及び入場制限等を実施する可能性がございます。最新情報は、ホームページでご確認ください。
2021年04月12日東京・丸の内の三菱一号館美術館で、イギリスを代表する画家、コンスタブルの大回顧展が開かれています。日本では35年ぶりとなる本展では、イギリスのテート美術館から多くの貴重な作品が来日。見逃せない傑作と会場の様子をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 196『テート美術館所蔵コンスタブル展』では、19世紀のイギリスで活躍した画家ジョン・コンスタブル(1776-1837)の風景画や肖像画などの油彩画や水彩画、素描が集結。さらに同世代のライバル画家J.M.W.ターナー(1775-1851)や他の画家たちの作品も含め、全85点の作品が紹介されています。これらの展示作品のうち、60点がテート美術館から来日。コロナ禍の影響で、最近は海外から貸し出された作品を見る機会が少なくなっているので、本展はとっても貴重。コンスタブルとターナーが対決したといわれる展示会を再現した部屋もあり、見どころ満載の内容です。コンスタブルって?コンスタブルは、イギリス南東部にあるサフォーク州で製粉所を経営する家の第4子として誕生。16歳で家業の手伝いをはじめ、1799年、23歳のときに両親の許しを得てロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校に見習い生として入学します。ちなみに、のちにライバルとなるターナーはすでに14歳で同美術学校に入り、26歳のときにロイヤル・アカデミーの正会員になっています。コンスタブルもロイヤル・アカデミー展に出品し、正会員になることを目指しますが、なかなか高い評価を得られません。彼は故郷など自分の愛する土地を描いていたのですが、当時、絵画の格付けは歴史画や肖像画が上位レベルで、風景画は格下扱いされていました。コンスタブルは肖像画を描いて収入を得ながら、風景画の制作にこだわり続け、1829年、53歳でようやくロイヤル・アカデミーの正会員に選出されました。12歳の少女と出会い…恋に落ちる!会場に入って最初の部屋に展示されているのは、コンスタブルの自画像や家族の肖像画。ひときわ目立つのが、女性の肖像画です。小さな作品ですが、斜め45度のお顔がとにかく美しい!少しうるんだ大きな瞳とかわいらしい巻き毛、お肌はハリがあってツヤツヤしています。モデルはコンスタブルの妻、マライア。この絵は結婚する3か月前に描かれたとのこと。作品から、妻への愛情がビシビシ伝わってきます。ふたりは1800年、コンスタブル24歳、マライアが12歳のときに出会い、その後恋に落ちますが、彼女の家族に反対され、なかなか結婚できませんでした。1816年、コンスタブルが40歳のときに彼の父親が亡くなり遺産を相続。経済的に自立したことで、この年、ようやくふたりは結婚しました。ターナーと対決!本展で見逃せないのは、コンスタブルとターナーの対決を再現した展示室です。1832年に開かれたロイヤル・アカデミー展で、彼らの作品は並んで展示されました。コンスタブルの作品は、ナポレオンに勝利した「ワーテルローの戦い」を記念する橋の開通式を描いたもので、サイズも大きく、色彩も鮮やかです。いっぽうターナーの作品は、シンプルな海景画でサイズもそれほど大きくなく、寒色系ですっきりとまとめられています。このふたりの対決には、おもしろい逸話が残されています。負けず嫌いの性格で知られるターナーは、華やかなコンスタブル作品のほうが注目されるのではないかと心配し、自作をより目立たせようと画策。開幕前の最終手直し期間に、鮮やかな赤色の塊(ブイ)を絵の前景に描き加えました。後日、コンスタブルは「ターナーはここにやってきて、銃をぶっ放していったよ」とこぼしたそうです。二作品が並んで展示されるのはロンドン以外では初めてとのこと。ぜひ、この空間でふたりの作品を見比べてみてください。神々しい…! 最晩年の人気作最後にご紹介するのは、《虹が立つハムステッド・ヒース》。中央に風車が描かれ、コンスタブルが得意とした表情豊かな空に美しい虹がかかっています。この絵の主題は収集家の間でかなり人気が高かったとのこと。神々しい光が差し込む描写も美しく、作品の前に立つと心が洗われていくような感じがします。本作品は、コンスタブルが亡くなる前年に描かれました。イングランドの美しい風景を描き続け、イギリス人に最も愛された画家が最晩年に描いたこの傑作は、最後の展示室にあります。ぜひ、ゆっくりとご覧になってみてください。会期は5月30日まで。Information会期 : ~5月30日(日) 時間 : 10:00〜18:00※入館は閉館の30分前まで※緊急事態宣言発令中の夜間開館は中止休館日 : 月曜日(※ただし、祝日・振替休日の場合、会期最終週と3月29日、4月26日は開館)入館料(税込): 一般¥1,900、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料会場:三菱一号館美術館
2021年03月17日渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』が開催中です。20世紀後半のフランスで活躍した画家の都内では10年ぶりとなる本展では、初期から晩年までの作品が集結。ナイーブな天才画家ビュフェの凄絶な人生とアートをご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 193『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』では、フランスの画家ベルナール・ビュフェ(1928‐1999)の油彩画を中心とした絵画作品約80点を紹介。展示されている作品は、すべて静岡県にあるベルナール・ビュフェ美術館のコレクションです。黒い線と暗いトーンで描かれたビュフェの具象画は、第二次世界大戦後の不安な時代の空気と共鳴し、フランスだけでなく世界の人々の心をつかみました。現在もコロナ禍で世の中が不安定になっていることから、彼の絵はまさに今の時代の空気にもあてはまり、鑑賞者の心に響きます。ナイーブなイケメン!ベルナール・ビュフェとは、どんな画家だったのでしょう。会場に写真が展示されていますが、かなりイケメンです。1928年にパリで生まれた彼は、ナチス・ドイツの占領下で名門エコール・デ・ボザール(国立高等美術学校)に通い、20歳で若手画家の登竜門といわれる「批評家賞」を受賞。その後、世界各地で個展が開かれます。ナイーブで非社交的だったビュフェは、当時パートナーだったピエール・ベルジェにマネージャー的な仕事をしてもらい、自身は絵画制作に専念。南仏プロヴァンスに滞在して、著名な小説家ジャン・ジオノや詩人ジャン・コクトーとも親交を深めていきます。ベルジェのサポートでビュフェは活躍の幅を広げていきましたが、1958年、彼と別れてファッションモデルで歌手のアナベルと結婚します。会場では、美しいアナベルをモデルにした作品も見ることができます。いっぽうベルジェは、若きデザイナーのイヴ・サン=ローランのパートナーとなり、ファッション界で活躍しました。上記画像は、ビュフェを取り巻く人々の相関図。『悲しみよこんにちは』で知られる小説家フランソワーズ・サガンとも交流がありました。必見!ピエロの絵20世紀半ば以降、美術界ではジャクソン・ポロックなどの抽象絵画が主流となっていきますが、ビュフェは人物や動物、建物などの具象画を描きつづけます。さらに1960年代に入ると、初期の地味な色調ではなく鮮やかな色を使った作品も増えていきます。そのなかのひとつ、展覧会のメインビジュアルにも使われている作品が《ピエロの顔》。真っ赤な背景に、シルクハットを被った男が描かれています。ベルナール・ビュフェ美術館の学芸員 雨宮千嘉さんによると、この絵は「画家自らピエロのメイクをして、自分の心を投影させて描いた」とのこと。楽しい道化師であるピエロのイメージとはほど遠く、見ていると少し不安になる絵です。雨宮さんの話では、この絵を見るために美術館を何度も訪れるファンもいるそうです。絵画は私の命…1973年に静岡のベルナール・ビュフェ美術館が開館し、1993年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与されるなど、経歴を見ると画家として幸せな人生を送っていたように思えますが、ビュフェは制作の苦悩を抱えていたようです。さらに、晩年になるとパーキンソン病を発症。絵筆をとることができなくなり、1999年、自ら死を選びました。最終章の解説には、「絵画は私の命です。これを取り上げられてしまったら生きていけないでしょう」という画家の重い言葉が記されています。展覧会は1月24日まで開催。お出かけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください。取材、文・田代わこInformation会期: ~2021/1/24(日)※1/16(土)・17(日)・23(土)・24(日)の4日間に限り【オンラインによる入場日時予約】が必要(当日予約枠に余裕がある場合、予約なしで入場可能)開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)会場:Bunkamuraザ・ミュージアム観覧料:一般¥1,600、高校・大学生:¥1,000、小・中学生:¥700※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2021年01月07日●毎日溜まったストレスを作品に落とし込むBOOWY、ZIGGY、LINDBERGなど数々の人気アーティストを手がけた大物音楽プロデューサーの月光恵亮氏が、画家として第二の人生を歩もうとしている。かつては都心の一等地に30億円のビルを建てるなど巨万の富を築いたが、2017年6月、覚せい剤使用の容疑で逮捕。音楽業界からは追放同然の扱いを受け、仕事、人間関係、信用、そして音楽にとって命とも言える聴力までも失ってしまった姿が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(19年12月29日放送)で映し出され、大きな反響を呼んだ。どん底からの再起を目指し、日々作品作りに没頭している月光氏。今年10月に執行猶予が明け、新たなスタートを切った本人に、絵の創作に取り組むことになった経緯や作品に込める思い、そして現在の心境などを聞いた――。○■自分を投影する傷を負ったキャラクター「釈放されて最初の1年間は、死という選択肢をやっぱり考えました。もう忘れられたかな…と思った頃に、ドラッグ関係の新しい事件が起こると、テレビのワイドショーで僕の名前がついでに出される。そういうのがずっと続いて、電車に乗ってて一番冷たい視線を感じたのは、その頃でしたね。仕事はないし、もうどうしたらいいんだろうと」と打ち明ける月光氏。それでも、再び立ち上がることができたのは、音楽の世界で戦い続けてきた経験が大きかった。「ロックというのが音楽の世界で全くビジネスにならなかった頃に、同じ志を持った連中が集まって、フェスがあるとノーギャラで出たりして、なんとかマーケットの土壌を作ってきました。そのために使ったインスピレーションや執念、パワー、集中力というのが、僕の体の中にはまだ残っていたんです」そして、もう1つ支えになったのが、「絵」との再会だ。ひきこもりがちな幼少期はずっと描き続けていたが、手元に残っていたiPad Proで絵を描いてみると、「意外と面白いなあと思って、描けば描くほど道が見えてきたんです」と、新たな生きがいを見つけた。創作の原動力は、意外にも“ストレス”。「毎日溜まったストレスを、夜に作品に落とし込むことによって、嫌なことを作品の中に閉じ込める。そうすると、作品に“気”が入って、すごく良いものになるし、人にも伝わるんだと、インスタグラムで知り合いになったスペインの画家に言われて、信じるようになりました」と、モチベーションになっている。作風はバラエティに富んでいるが、様々な作品に登場して印象的なのが、ウサギをモチーフにしたキャラクターだ。“フルメタルラビット”と名付けたこのキャラクターは、iPadでレイヤーを重ねて製作する手法の中で、「たまたまウサギの形が浮かび上がってきたんです」という偶然の産物。知り合いである映画『ナルニア国物語』のCGアーティストから「これはお前そのものだ」と言われ、運命の出会いを果たしたこのキャラクターは、自身を投影する存在として作品に登場するように。足に傷を負っているが、「これは過去の過ちです。この傷を見ることで、二度と過ちを起こさないぞという思いを込めています」と明かしてくれた。○■“こだわりの一滴”を重視した作品作り音楽と絵――それぞれの創作活動に共通することを聞いてみると、「“気”の入れ方」だという。「40代の頃は、1週間スタジオにこもりきりという状況がよくありました。それくらい、ヒットさせる、人に伝えるためには“思い”や“気”を入れるということがすごく重要なんです。お酒を作る人も、よく“こだわりの一滴”と言うじゃないですか。麹を入れてかき混ぜて…と同じようにやっても、お酒に話しかけたりして丁寧に作る人のお酒がやっぱりおいしい。それと同じように、同じメロディーラインでも別の人が歌うと違うものになる。だから、僕も“こだわりの一滴”を重視して音楽を作ってきたんです」それを実現するには、主張をぶつけ合うことが重要とのこと。「やっぱりいいバンドって、仲が悪い人が多いんですよ(笑)。自分の関わった仲が良いバンドは、はっきり言って売れてない。それは、それぞれの主張がぶつかって想像以上のものが生まれるからなんです」といい、それを絵に置き換えると、「自分の中で主張をぶつけ合って、作品を作っています。だから、さっき言った“ストレスを作品に落とし込む”という意味合いが、すごく分かるんです」と解釈している。だからこそ、“気”を入れた自分の絵の作品には、強い自信を持っている。「もちろん、僕よりスキルが高く、ずっと上手い人は世の中にゴロゴロいる。だけど自分の経験値で言うと、音楽も絵も、テクニックよりも絶対に感性が大事。誰かの琴線に確実に触れるものを世の中に出しているつもりです」●コラボ作品が続々「すごく興奮する状況」絵を描き始めて3年が経ち、作品の数は約700タイトルにも達した。「“石の上にも三年”という言葉が昔から好きなので、とりあえず3年はやってみようと思いました。ビーイングという会社を作ったときも、3年までははっきり言って地獄でした。でも、やり続けると自然と会社の名前も知られ、いろんなものを巻き込んでいく要因がどんどん増えていくんですよ」そう話す通り、今年2月には東京・中目黒で個展を開催。その後予定していた個展は、新型コロナウイルスの影響で延期になってしまったが、11月からは東京・新大久保の「Cen Diversity Hotel & Cafe」とコラボレーションし、外壁、ロビー、併設カフェ、VIPルームに作品が常設展示されている。制作期間は打ち合わせも含めて約2カ月におよび、外壁画はオランダ出身のアーティスト、タイメン・ヴィッサー氏とコラボ。「コロナの時期にホテルの前を通る人たちも元気づけられる絵」というオーダーを受け、“フルメタルラビット”とタイメン氏の描いた太陽や風がデザインされ、「“暑い日も風の強い日も、コロナに負けないで前に進もう”という思いを込めました」と話す。ロビーの絵は、月光氏がかつてプロデュースしたバンド・パッセンジャーズの元ドラマーで、現在はウッドクラフトアーティストとして活躍する水梨隆氏が、額を製作。11月26日に開催されたお披露目会では22点もの作品が展示され、その中にはペイントしたギターも飾られたが、このギターは、ビーイング時代に月光氏のもとで音楽制作を学んだ後、布袋寅泰、トータス松本などが愛用するZODIACのギター職人となった松崎淳氏が手がけた。音楽業界から追放同然の扱いを受けたというものの、このように昔からの仲間たちが、月光氏の新たなスタートを支えている。「今起こっているこの連鎖が、僕にとってすごく興奮する状況なんです。ヒット曲が生まれる瞬間もそういうことがあって、それは理屈じゃない。あと、僕の中にある1つの法則は、成功する前には絶対に大きなトラブルが起こるということ。普通の人はそこで諦めてしまうんですが、そのトラブルさえ自分のテコとして応用できる気持ちになって前に進む。これからまたいろんなことが起こるかもしれませんが、頑張りたいと思います」●月光恵亮1952年、東京生まれ。富山県で育ち、大学に進学し、ロックバンド「Dr.KEI&摩天楼」「だててんりゅう」などを結成。卒業後、オフィストゥワンの傘下であるユニオン出版に入社し、阿久悠、三木たかし、井上大輔らに師事。その後独立し、長戸大幸、織田哲郎とともに音楽制作会社・ビーイングを創業し、副社長に就任。BOOWY、LOUDNESSなどの制作に関わり、アートディレクションも行う。84年、パブリックイメージ社創立。LINDBERG、ZIGGY、田村直美など名だたるアーティストを育て上げ、一部のアーティストのアートディレクションも担当した。17年に覚せい剤使用の容疑で逮捕され、18年ごろから耳の不調が顕著になり、音楽活動を制限。その頃から本格的にアート活動に取り組み、20年2月、初の個展を開催して盛況を収めた。月光恵亮 公式ホームページ
2020年12月13日ディズニーのアニメーションや実写映画で描かれ、日本でも多くの人に知られている古代中国の物語を、本国で製作した『ムーラン―戦場の花―』(原題:無双花木蘭)が12月23日(水)よりDVDレンタル・デジタル配信開始されることになった。愛する家族のため、本当の自分を隠したまま仲間とともに戦いに身を投じるムーラン。その勇敢で健気、本国で昔から愛されてきたキャラクターが、本作で凛と咲き誇る。中国、南北朝時代。勝気な女性、ホア・ムーランが暮らしている魏の国は、貪欲で残忍な柔然軍の侵攻に脅かされていた。将軍が下した徴兵令により、高齢で病弱なムーランの父が出征を余儀なくされる。父の身を案じたムーランは、家族には告げず夜中にこっそりと家を抜け出し、父のかわりに男装の戦士として従軍する。もしも女であることが分かれば、重い刑が科せられることも厭わず、鎧に身を包んだ勇敢な兵士として戦場を駆ける。やがて、何万もの敵国の兵による容赦ない攻撃に耐えきれず、一人、また一人と仲間を失い、壊滅的な状態に追い詰められていく。初めこそ父の代わりに出征を決意したムーランだったが、国で待つ民の平穏と国を守るという強い信念が芽生えていた。たとえ一人になっても、命を賭けて柔然軍と戦うことを決意し、食料も絶えた中で生き残った少数の仲間とともに柔然軍が迫る国境に留まるが…。ムーランをはじめとする魏の国vs柔然軍との壮絶を極める戦いは、手に汗握るシーンの連続。併せて解禁された予告編からも、馬上での剣さばきや果敢に敵陣に突入していく様子などハードなアクション要素満載、スペクタクルな演出とVFX描写により圧倒的な迫力が伝わるものとなっている。『ムーラン-戦場の花-』は12月23日(水)よりDVDレンタル・デジタル配信開始(text:cinemacafe.net)
2020年11月06日ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”を、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が描く『ある画家の数奇な運命』。この度、マックス・リヒターの美しい旋律を背景に、ドイツの気鋭俳優トム・シリングが体現する“芸術家が生まれる瞬間”を切り取った本編映像が到着した。本映像は、リヒターの代名詞ともいえる“フォトペインティング”の制作風景を模したシーン。キャンバスに写真を精密に模写しながら、そこからフィルターをかけたかのように微妙にぼかす作業を加えるこの作風は、決して奇をてらうために生み出されたのではなく、主人公の芸術家・クルトが本当に求めるものを描こうとしてきた結果、真実の芸術にたどり着いた。本映像は、幼きころの叔母の記憶をもとに、まさに自分だけの真実を掴んだ“芸術家の誕生の瞬間”を切り取ったものとなっている。ひと言もセリフを発さないまま、目線や表情だけで芸術家の揺れる心の動きを表現し切った、トム・シリングによる静謐な演技も必見となっている。背景に流れる音楽は、“ポストクラシカル”のアーティストとして知られ、映画『メッセージ』に起用された楽曲や、壮大な宇宙を舞台にした『アド・アストラ』、アカデミー賞を受賞した『戦場でワルツを』など映画音楽家としても高い人気を誇るマックス・リヒター。苦悩しながら少しずつ自分にとっての真の芸術、光を見つけていくクルトの心情を代弁するかのような美しい旋律にも注目してほしい。『ある画家の数奇な運命』は10月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ある画家の数奇な運命 2020年10月2日 シネマズ シャンテほか全国公開©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
2020年10月04日『コーヒーをめぐる冒険』や『ピエロがお前を嘲笑う』で知られるトム・シリング主演で贈る、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作『ある画家の数奇な運命』。この度、トム演じる画家を目指す主人公・クルトの恋人を演じたパウラ・ベーアが、カラフルでキュートな50年代ファッションを身にまとうシーン写真6点が一挙に解禁された。ウエストを絞り、裾に向かってふっくらとする可憐なラインのスカートが特徴的な当時の最先端スタイル“ニュールック”ファッションをまとうクルトの恋人エリー。クラシックテイストの中にもモダンな隠し味も印象深く、エリーと同じ美術学校に通っていたクルトがひと目で恋に落ちたのも納得するキュートさ。本作の衣装を担当したのは、ガブリエル・ビンダー。『善き人のためのソナタ』でドイツ映画賞衣装賞にノミネートされた彼女は、映画人からの信頼も厚く、アンジェリーナ・ジョリーが監督第1作『最愛の大地』の衣装を彼女に依頼したことでも知られている。『ある画家の数奇な運命』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ある画家の数奇な運命 2020年10月2日 シネマズ シャンテほか全国公開©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
2020年10月03日映画『ある画家の数奇な運命』が、2020年10月2日(金)より全国公開される。現代美術界の巨匠をモデルにした若き芸術家の半生『ある画家の数奇な運命』は、激動の時代のドイツを舞台に、“筆”1本で苦悩や悲しみを希望と喜びに変えていった若き美術家の物語。本作の主人公・クルトは、現代美術界の巨匠、ゲルハルト・リヒターをモデルに描かれている。ストーリーナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けるクルトだったが―。必見!リヒター代表シリーズの製作シーンも作品には、リヒターの代表的なシリーズの製作シーンが登場。精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかし、写真と絵画の境界線を曖昧にする「フォト・ペインティング」など、リヒターの創作を思わせる技法などが映し出される。なお、本作の監督は、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、長編初監督作『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが務める。【詳細】『ある画家の数奇な運命』公開日:2020年10月2日(金)監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク製作:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク撮影:キャレブ・デシャネル音楽:マックス・リヒター英題:NEVER LOOK AWAYキャスト:トム・シリング、セバスチャン・コッホ、パウラ・ベーア、オリヴァー・マスッチ、ザスキア・ローゼンダール
2020年08月08日株式会社ヨウジヤマモトのオフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO (ザ ショップ ヨウジヤマモト)」より、「Tシャツ+マスク」第2弾として、「YOHJI YAMAMOTO +NOIR(ヨウジヤマモト プリュス ノアール)」とYOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME COLLECTIONのコラボレーションアーティストとしてお馴染みの画家「朝倉優佳」とのコラボレーションアイテムを6月17日より展開スタートいたします。墨と水彩でダイナミックに描かれた「ダリア」「薔薇」「百合」の花モチーフをプリントした「Tシャツ+マスク」を数量限定、オンライン限定にて発売いたします。■ アイテム数:「ダリア」1型、「薔薇」2型、「百合」1型(計4型)■ 価格: すべて「Tシャツ+マスク」セットで1万4,000円(税抜)■ 展開店舗・展開時期:6月17日よりYOHJI YAMAMOTO INC.オフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO(ザ ショップ ヨウジヤマモト)www.theshopyohjiyamamoto.jp」にて<特典>THE SHOP YOHJI YAMAMOTOにて、YOHJI YAMAMOTO 商品を5万円(税込)以上ご購入いただいたお客様先着にて、「YOHJI YAMAMOTO オリジナル レザーミニトートバッグ」を差し上げます。※該当ブランド<YOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME, +NOIR, REGULATION, B, BLACK Scandal>企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月17日ファッションブランド「SLY(スライ)」は、画家・小澤雅志氏とのコラボレーションアイテムを2020年6月5日より順次発売いたします。音楽界やファッション界、多方面にわたるカルチャーの世界からラブコールがやまない画家・小澤雅志氏とのコラボレーションが実現。SLYというブランド、そして今季のテーマ「UNKNOWN PLACE」を小澤氏のフィルターを通して解釈し、表現した2作品を描き下ろしていただきました。鮮やかな色彩で描かれた小澤氏とSLYとのコラボレーションアイテムは、シャツ、Tシャツ、スカーフ、バッグの計4型展開。ここでしか手に入らないスペシャルコレクションを、ぜひチェックしてください。【MASASHI OZAWA x SLY展開商品】◆MASASHI OZAWA x SLY PRINT T-SHIRTメンズでも着用可能なオーバーサイズのTシャツ。インパクトのあるオリジナルアートを、PURPLEはバックに、WHITEはフロントに配置。1枚でコーディネートの主役になるアイテムです。030DSA01-37204,990円+税COLOR:WHITE,PURPLESIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY SHIRTオリジナルアートを大胆にプリントした目を惹く開襟ルーズシャツ。デニムやパンツスタイルと好相性。ボタンを閉めてTOPSとして、ボタンを開けて羽織としても使える万能アイテム。030DSY01-34306,990円+税COLOR:MULTI BLUE,MULTI REDSIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY SCARFきめ細やかなシルク素材のスカーフにオリジナルアートを全面プリントしたアイテム。首や頭に巻いたり、バッグに付けたり、コーディネートの幅が広がる逸品。030DSA01-37403,990円+税COLOR:MULTI BULE,MULTI REDSIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY TOTE BAGA3サイズのアイテムも収納可能なトートバッグは、しっかりとした生地感でデイリー使いはもちろんセカンドバッグとしても使える万能アイテム。030DSY01-34403,450円+税COLOR:OFF WHITE,ORANGESIZE:FREE【 About 『MASASHI OZAWA』 】1980年生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。女性やミュージシャン、花などを主なモチーフとし、独自の画面を構築する。彼の持つ感性は多方面にわたるカルチャーの世界からラブコールがやまない。【 商品取扱店舗、ONLINE STORE 】2020年6月5日(金)正午 発売開始■SHEL’TTER WEBSTOREWEBSTORE 商品ページはこちら年6月8日(月)発売予定 ※発売日は店舗により異なる場合が御座います。■SLY直営店舗■MOUSSY+店舗■The SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店■SHEL’TTER一部店舗企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月07日6月7日(日)まで三菱一号館美術館にて開催されている『画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』を紹介します。画家の愛が伝わる子供絵の数々。三菱一号館美術館の開館10周年を記念した本展は「子供」にフォーカスしたもの。19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちの作品を中心に、当時の都市生活や近代芸術を、子供を通して紹介する。ナビ派とは19世紀末にパリで起こった芸術運動のひとつ。ポスト印象派の巨匠ゴーガンやゴッホなどの影響もあり、写実を重んじる伝統的な美術に対して、何気ない日常生活のワンシーンを力強い色彩や単純化された構図で描き出しているのが特徴だ。ナビ派は19世紀と20世紀の美術をつなぐ存在として近年、注目され評価も高まっている。そんな中から今回はピエール・ボナール、フェリックス・ヴァロットン、モーリス・ドニ、エドゥアール・ヴュイヤールら派の中心人物たちが残した油彩・版画・素描・挿絵本・写真など約100点を紹介。家の中で、公園で、と当時のパリ生活と共に描かれた作品からは、画家として、親として、向けられた子供への温かい眼差しが読み取れるはずだ。フェリックス・ヴァロットン≪可愛い天使たち≫1894年 木版/紙 三菱一号館美術館蔵モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル≪ブレのベルナールとロジェ≫1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館蔵Photo ©Musee d’Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMFエドゥアール・ヴュイヤール≪赤いスカーフの子ども≫1891年頃 油彩/厚紙 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection, 1970.17.90フィンセント・ファン・ゴッホ≪マルセル・ルーランの肖像≫1888年 油彩/カンヴァス ファン・ゴッホ美術館蔵Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)『画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』三菱一号館美術館東京都千代田区丸の内2-6-2開催中~6月7日(日)10時~18時(入館は閉館の30分前まで。祝日を除く金曜、第2水曜、4/6、会期最終週平日は~21時)月曜休館(4/6、5/4、6/1と、トークフリーデーの3/30・4/27・5/25は開館)1700円ほかTEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)※『anan』2020年3月4日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2020年02月28日三菱一号館美術館では『開館10周年記念画家が見たこども展ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』が、6月7日(日)まで開催されている。19世紀末にパリで起こった芸術運動のグループ、ナビ派。親密さや素朴さを追求したナビ派の画家たちにとって、「子ども」は最も身近でいて深遠な芸術のインスピレーションの源になった。同展では、そんなナビ派の画家を中心に、画家たちが見た「子ども」の姿を、油彩・版画・素描・挿絵本・写真など約100点を通して展覧することができる。ナビ派の中でもボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットンに焦点を当て、フランス、ル・カネにあるボナール美術館全面協力のもと、三菱一号館美術館をはじめ国内外の美術館が所蔵する作品を展示。加えて、日本では滅多に見ることのできない欧米の個人コレクター所蔵品も並ぶ。展覧会は、プロローグ「子どもの誕生」から始まり、「路上の光景、散策する人々」「都市の公園と家庭の庭」「家族の情景」「挿画と物語、写真」、そしてエピローグ「永遠の子ども時代」の全6章で構成。プロローグ「子どもの誕生」では、ポール・ゴーガンやフィンセント・ファン・ゴッホらの作品を紹介。19世紀以前まで重要視されていなかった「子ども」を画題としてとりあげ、力強い色彩や単純化された素朴な表現で描き出した作品は、その後に続くナビ派の画家たちに大きな影響を与えた。三菱一号館美術館()
2020年02月20日ルタオのチョコレート専門店「ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ」と画家・中原淳一がコラボレーション。限定パッケージのチョコレートやクッキーなどを、2020年1月から2月にかけて順次、全国の催事会場などで期間限定発売する。「それいゆ」や「ひまわり」など独自の女性誌を創刊し、モダンでおしゃれな少女達を描いてきた中原淳一の、華やかなパッケージに包装されたスイーツが登場。少女の横顔をあしらった「中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入)」は、ダージリンが香るチョコレートを香ばしいクッキーでサンドしたテノワールの詰め合わせだ。シルエットデザインがシックな「中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ」は、チョコレート4種のセット。ピスタチオやフランボワーズフレーバー、スイートチョコレート、ミルクチョコレートに、1つ1つ手作業でナッツやドライフルーツをトッピングした。生乳を使ったミルクソースが、まろやかな味わいを引き立てる。「中原淳一コラボパッケージ ルシードル」は、北海道余市産りんご100%のシードルを使ったチョコレート。柔らかな口どけとともに、りんごの風味が広がっていく。チャーミングな黒猫を配した、アイキャッチなパッケージデザインにも注目だ。【詳細】中原淳一×ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ・中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入) 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ルシードル 1,404円(税込)■催事出店詳細・2020年1月18日(土)~2月14日(金) 西武池袋本店、西武岡崎店・2020年1月22日(水)~2月14日(金) 高島屋横浜店、JR伊勢丹京都店、京都タカシマヤ、松坂屋静岡、大阪タカシマヤ、大丸神戸・2020年1月23日(木)~2月14日(金) 遠鉄百貨店、そごう大宮・2020年1月23日(木)~2月16日(日) そごう千葉・2020年1月24日(金)~2月14日(金) そごう広島・2020年1月27日(月)~2月24日(月) エキュート東京・2020年1月29日(水)~2月14日(金) 柏タカシマヤ、日本橋タカシマヤ、岩田屋本店・2020年1月30日(木)~2月14日(金) 阪神梅田本店、高崎タカシマヤ、山形屋鹿児島・2020年2月1日(土)~2月14日(金) 東急渋谷店、阪急博多店、マルイ有楽町店、小田急新宿、小田急町田、鶴屋百貨店、大和香林坊、大和富山・2020年2月7日(金)~2月14日(金) 仙台三越
2020年01月23日内戦続くシリアの真実を世界に伝えるため、そして戦火で生まれた小さな命のために、母となった監督がカメラを回し続けた緊迫のドキュメンタリー『娘は戦場で生まれた』の予告編とメインビジュアルが完成、公開日が2020年2月29日(土)に決定した。死亡者が数十万人にものぼるとされ、第二次大戦後、史上最悪の人道危機ともいわれるシリア内戦。本作は、デモ運動への参加をきっかけにスマホでの撮影を始めたワアド・アルカティーブ監督が、結婚、妊娠、出産をへてなお、激化の一途を辿る内戦の模様をカメラに収め続けたドキュメンタリー。「ママは撮り続けた」と娘サマに呼びかける彼女のカメラの映像を通して、2012年から2016年までの間の時間軸を絶えず往還しながら、アサド政権によって美しい景観を誇っていたアレッポの街が無残にも破壊され、朽ち果てた廃墟に変わり果ててしまった過酷な現実を、仮借ないまなざしで、人々に寄り添いながら描き出す。全ては娘のために…。すでに2019年・第72回カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞ほか55(12月19日現在)を超える映画賞を受賞。マイケル・ムーア監督が「史上もっともパワフルで重要なドキュメンタリーの一つ」と絶賛を贈り、世界の映画人を衝撃と感動の渦に巻き込んでいる本作。本年度アカデミー賞ドキュメンタリー賞の呼び声も高い衝撃を、まずはここから見つめてみてほしい。『娘は戦場で生まれた』は2020年2月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年12月24日ドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた』が、2020年2月29日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。シリア内戦を追う、緊迫のドキュメンタリーいまだ解決を見ない、未曾有の戦地シリア。常に死と隣り合わせのなかで、1人の母はカメラを回し続ける。自らの愛する人びとの生きた証拠を残すため、すべては娘のため──『娘は戦場で生まれた』は、ワアド・アル カティーブ、エドワード・ワッツ両監督による、シリア内戦をテーマにしたドキュメンタリー映画。2019年カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞に加え、55を超える映画賞を受賞したほか、第92回アカデミー賞においては、⻑編ドキュメンタリー部⾨にノミネートされている。(受賞発表日は、日本時間の2月10日(月)。娘のために回し続けるカメラ今なお内戦の続くシリア。ジャーナリストを夢見る学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホでの撮影を始める。しかし平和への願いも虚しく、内戦は激しさを増すばかり。うららかな都市は、独裁政権に破壊されていく。ある時、ワアドは医師を目指す若者ハムザと出会う。廃墟のただなか、仲間とともに病院を作った彼は、延々と続く空爆の犠牲者の治療にあたっていたが、多くは甲斐なくこの世を去っていく。血も涙もない生活のうちにあっても2人は夫婦となり、娘を授かる。その名前はサマ、“空”を意味する言葉だ。しかし、その幸せすらたちどころに過ぎ去る。シリア政府側の攻撃は度を強め、とうとうハムザの病院は街で最後の医療機関となる。死と隣り合わせのワアドは、娘ソマに希望を託し、家族や愛する人びとの生きた証を映像に残すことを決意する......。詳細『娘は戦場で生まれた』公開日:2020年2月29日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開原題:FOR SAMA監督:ワアド・アル カティーブ、エドワード・ワッツ出演:ワアド・アル カティーブ、サマ・アル・カデブ、ハムザ・アル・カデブ配給:トランスフォーマー2019年 / イギリス・シリア映画 / アラビア語 / 100分
2019年12月09日