戦場カメラマンの渡部陽一が2月13日(金)、『アメリカン・スナイパー』の特別試写会に出席した。イラク戦争で活躍した“米軍史上最強の狙撃手”の自伝を映画化。渡部さんは自身の経験を重ねながら、兵士やジャーナリストが危険な戦地に身を置く理由を語った。クリント・イーストウッド監督がメガホンをとった本作の主人公は、米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに所属し、4度のイラク遠征で多くの仲間を救った狙撃手のクリス・カイル。敵兵からは悪魔と恐れられ、常に命を狙われる彼の胸にあるのは「良き夫であり、良き父でありたい」という願いと葛藤だった…。2003年のイラク戦争で、米軍従軍(EMBED)取材を経験した渡部さんは、「ある兵士は『一度戦場に足を踏み入れた人間は、生還しても必ず戦場に戻ってくる。まるで中毒だ』と言っていた。僕もその言葉に大きく影響されている」と神妙な面持ちでふり返る。そして、「戦地での悲しい現実を目の当たりにし、また戻りたくなる衝動にかられる。それは兵士だけではなく、ジャーナリストも同じ。僕らの間では“戦場カメラマン症候群”という言葉もあり、実際、ベイルート、バグダッド、カンダハール…どこに行っても、現場にいるのは同じメンツですね」と当事者にしか知りえない本音と心境を明かしていた。「戦争の犠牲者はいつも子ども。彼らの声を世界に届けるため、今後も戦場カメラマンとして丁寧に取材を重ねたい」と渡部さん。映画が描く戦場の“リアル”にも太鼓判を押し、「どんなに経験を重ねたプロでも、戦争の狂気から逃れることはできない。ぜひ、この作品を通して、いまこの瞬間、何をすべきか考えてもらえれば。自分の足元を気づかせてくれる作品」と力強くアピールしていた。本作は米興行収入は2億5,000万ドル(300億円)を突破し、クリント・イーストウッド監督最大のヒットを記録中で、第87回アカデミー賞では「作品賞」をはじめ6部門で候補になっている。本作でイーストウッド監督と初タッグを組み、3年連続で「主演男優賞」にノミネートされたブラッドリー・クーパーが、プロデューサーも兼任している。『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アメリカン・スナイパー 2015年2月21日より全国にて公開(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年02月13日画家のヒグチユウコが、ライフスタイル雑貨を中心としたオリジナルブランド「ギュスターヴ ヒグチユウコ(GUSTAVE higuchiyuko)」をスタートする。これに伴い、1月21日から2月3日まで、伊勢丹新宿店本館2階センターパーク/TOKYO解放区でポップアップショップをオープンし、全アイテムを先行販売する。「GUTAVE higuchiyuko LABO -ヒグチユウコの奇妙な空想館-」と題された同ショップでは、“可愛らしいけどシュール”な雰囲気が醸し出されている動植物や女の子が描かれたインテリアや生活雑貨アイテムなどが販売される。同氏は繊細なタッチで動植物を描き、その描写の中に毒気を感じさせるのが特徴だ。5種類そろうとストーリーが完成する“シュールな猫”が描かれた九谷焼の絵皿(各4,200円)や、今治のタオルハンカチ(1,000円)やバスタオル(7,800円)、“ダークな猫”が太鼓や鬼の金棒を持ったイラストが描かれているポストカード(700円)、アンティーク加工された厚紙ボックス(5,800円)、コットンランプシェード(2万円)の他、同ブランドと「デコヴィーニャ(DECO vienya)」がコラボレーションしたアクセサリー(1万8,000円から)も販売される。この他同ショップでは、ベア作家の今井昌代、ぬいぐるみ作家の梅津恭子の作品も販売される。また、ショップウインドーには、ファッションフォトブック「パームメゾン(Palm maison)vol.12」でヒグチとベア作家の今井昌代がディレクションしたフォトストーリー「アトリエ(Atelier)」が再現されている。
2015年01月22日19世紀欧米の画壇で活躍し、ジャポニズムの巨匠として世界的に知られている画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)の大回顧展「ホイッスラー展」が、横浜みなとみらいにある「横浜美術館」で3月1日(日)まで開催されている。ホイッスラーの生きた19世紀のロンドンやパリでは、粋で皮肉屋、知的でエレガント、自らの美学に殉じる伊達男たちを“ダンディ”と呼んだ。黒のフロックコートに身をつつみ、一房の白い前髪を上向きに整えた洒落た風貌のホイッスラーは、まさに当時のダンディの代表的人物だった。自らモデルの衣装をデザインするなど、ファッションにもその美意識を発揮したもよう。そのほか、その人となりがうかがえる数々の逸話を残している。本展は、そんなホイッスラーの全貌を紹介する展覧会としては国内では27年ぶり、世界でも20年ぶり。アメリカ、イギリス、フランスの20か所以上の美術館など所蔵機関から、油彩・水彩・版画作品約130点が集結しての大規模な展覧会だ。1834年にアメリカ・マサチューセッツ州に生まれたホイッスラーは、「クロス・チャンネル(英仏海峡を往来する)」の画家として、英国とフランスを中心に活動。クロード・モネなど印象派の画家たちとも親交があり、同世代の画壇のさまざまな潮流と影響しあいながら、唯美主義として独自のスタイルを確立。同時代、そして次世代の芸術家たちに広く影響を与える存在となった。また、構図や画面空間、色彩の調和などに関して、日本美術からインスピレーションを得た作品を残しジャポニスムの画家としても知られている。本展では、初期から晩年までの代表作が網羅されているほか、ホイッスラーが影響を受けた東洋の陶磁器など生前の所持品や、影響を受けた浮世絵も展示されている。また、ホイッスラーによる現存する唯一の室内装飾で、パトロンであるフレデリック・レイランドのためにデザインしたダイニング・ルーム<青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム>を映像で鑑賞することができる。19世紀の「ダンディ」を先駆けたホイッスラーの魅力あふれる回顧展。新年を迎え、お出かけがてらに足を運んでみてはいかがだろうか。(text:Miwa Ogata)
2015年01月06日画家クリス・ナイト(Kris Knight)の個展「SMELL THE MAGIC」が、マイアミ・アートフェア2014のオープニングとして、12月2日からの6日まで開催された。カナダ出身のナイトは、アイデンティティの境界線上にあるミステリアスな世界を肖像画として表現する画家。王権や神秘主義といった歴史概念をテーマに、18世紀のフランス貴族の肖像画やポラロイド写真にインスパイアされた作品を、原色と淡いパステルカラーで描く。本展のオープニングレセプションには、グッチ(GUCCI)のクリエイティブディレクターであるフリーダ・ジャンニーニも姿を現した。グッチでは14-15AWメンズコレクションで、ナイトの作風にインスピレーションを得た、グレイッシュな色調の作品を発表。以降もナイトとグッチはコラボレーションを続け、今年10月にはランウエイのルックをまとった少年の肖像画をナイトが描き、それをプリントしたTシャツをグッチが発売している。更に、ナイトはグッチを代表する「フローラ」のプリントに独自の解釈を加えた「フローラ ナイト」も描いている。そこには、ベラドンナやダチュラといった妖艶な花が咲き誇り、さらに魔除けを象徴するクローバーやイヌホウズキなどがあしらわれた。美しさと魔性、この相反した要素を兼ね備えたモチーフは、2015クルーズコレクションに採り入れられ、ウエアやハンドバッグ、ラゲージなどにデザインされて登場した。このクルーズコレクションの発表に合わせて、グッチは「フローラ ナイト」の制作秘話を収録したショートムービーを公開している。普段は肖像画を描くナイトが、花に魅せられ、そこに秘められた美しさと魔性をどのように描いたのか。その経緯を知ることで、「フローラ ナイト」というモチーフが持つ意味をより深く知ることが出来るだろう。
2014年12月11日銅版画家の山本容子は、「山本容子展 アート イン ホスピタル」を伊勢丹新宿店本館7階催事場にてスタートした。会期は6月30日まで。彼女が病院におけるアートをテーマに大規模展を開催するのは今回が初。会場には、病院という場で過ごす患者や医療関係者が心穏やかに過ごせるようにと山本が手掛けた作品やその原画などが展示される。会場には山本が未来を感じたという病室で過ごす患者自身が病室に飾る絵を選ぶ「アートテイク」のためにセレクトした作品も展示され、その一部は購入することも可能だ。アートテイクゾーンの作品には、本を読むのもつらいという症状の子供のために、その絵があることで家族や看護師と会話が広がるようにと山本が選んだ作品もある。展示作品は、会場中央には同氏が初めて手掛けた病院におけるアート作品である中部ろうさい病院特別室2室の天井画『チューリップ』や和歌山県立医科大学付属病院母子医療センター治療室前の壁画『鳥の歌』『オーヴェルニュの子守歌』、エントランスには今年山本が手掛けた高松赤十字病院の西玄関に描かれた壁画『愛の小径(Les chemins de L’amour)』の原画など。この原画は、制作期間の限られた病院での作業を前に、山本のアトリエで描かれた現場と同サイズのキャンバスに描いた設計図とも呼べる下絵だ。山本は趣味人だった父が病院での闘病生活の末亡くなった後、そのベッドに横になってみたという。そこで病室のぶつぶつと穴の空いた白い殺風景な天井が目に入り、最期に見た光景はこの天井だったのかと悲しい気持ちになった。それ以降、病院におけるアートの力を問うべく、医療関係者に出会う度に「病院で天井画を描かせて欲しい」を語り続け、ある対談で出会った中部ろうさい病院院長が山本に賛同し、2005年に第一号となる天井画が生まれた。山本氏は、「今回は自分の世界観を一方的に伝える展示ではなく、病院環境の質という社会問題をアーティストの視点で捉えて制作した作品を展示している。アート イン ホスピタルには一つの正解がある訳ではないので、鑑賞者も知恵を出し合って様々な問題を解決できる社会になれば嬉しい」と語った。28日11時から12時の間、山本自身がキャンバスの仕上げをライブで見せる公開制作を実施。また、29日14時45分から15時45分にはサイン会を開催。会期中会場で書籍を購入した先着80名にサイン会整理券を配布する。
2014年06月26日ゴッホやピカソ、ムンクにセザンヌなど、誰もが知っている世界的に有名な画家の作品は、投資目的に購入されるほど高額です。ではそれらの有名画家の作品の値段はいくらぐらいなのか、みなさんはご存知ですか?今回は世界に名だたる有名画家の作品たちに実際についたお値段を紹介します。●ゴッホの『ヒマワリ』……3,992万1,750ドルゴッホのヒマワリの絵はいくつも存在しますが、その中の1つのお値段がこちら。1987年に安田火災海上(現在の損害保険ジャパン)が購入した際のお値段です。当時の日本円のレートだと約58億円になります。●ゴッホの『ひげのない自画像』……7,150万ドル数多く存在するゴッホの自画像の中で、最後の自画像とされているのがこの『ひげのない自画像』です。1998年に落札され7150万ドルで落札されました。当時のレートだと80億円になります。貴重なだけあって、価格も相当ですね。●ゴッホの『アイリス』……5,390万ドル知らぬ人がいないほど有名なゴッホの作品だけあって、売却された作品はすべてが高額。この『アイリス』も1987年に5,390万ドルで落札されました。当時のレートだと、なんと80億円にもなります。ちなみにこのアイリスですが、落札者が代金を支払え切れなかったそうで、美術館が買い取ることになったとか(笑)。●ムンクの『叫び』……1億1,990万ドル2012年の5月に落札された有名なムンクの『叫び』の価格です。当時のレートで換算すると約96億円になります。このムンクの『叫び』は、『フリーズ・オブ・ライフ』という作品群のうちのひとつで、叫んでいるのではなく耳を塞いでいる絵。意外と知らないという人がいるのでは?●ピカソの『ドラ・マールと猫』……9,520万ドルピカソの絵も数多くの作品が高額で取り引きされています。この『ドラ・マールと猫』は、ピカソの愛人であるドラ・マールと猫を描いたもの。2006年にグルジアの富豪によって9,520万ドル(当時のレートで約86億円)で買い取られました。この絵もモデルとなったドラ・マールは、ピカソの有名な作品である『泣く女』のモデルでもあります。●ピカソの『パイプを持つ少年』…… 1億420万ドルピカソは作風が何度も変化した画家で、この『パイプを持つ少年』は『ばら色の時代』と呼ばれる明るいタッチの作風の時代に描かれたもの。2004年にイタリアの食品会社グループによって1億420万ドルで買い取られました。1億420万ドルは当時の日本円のレートで約101億円になります。ついに100億の大台に乗りました。●ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』……7,800万ドルフランスの印象派の画家であるルノワール。世界的に非常に人気の高い彼の作品の中でも、特に高額で落札されたのが『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』という絵です。1990年に約119億円(当時の日本円のレート)で日本の実業家である齊藤了英氏が落札。齊藤了英氏は同日にゴッホの『医師ガシェの肖像』も125億円で落札しており、当時大きな話題となりました。●クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』……1億3,500万ドル官能的なテーマの作品を多く残し、非常に人気の高いオーストリアの画家クリムト。彼の作品の中でも一番高額で取り引きされた絵が、複雑な装飾が施された『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』です。2006年に1億3,500万ドル(当時の日本円レートで約150億円)で購入されました。これは絵画の価格としては当時最高額でした。●セザンヌの『カード遊びをする人々』……推定2億5,000万ドル以上近代美術に大きな影響を与えたフランスの画家、ポール・セザンヌが描いた5枚の連作のうちの1つが『カード遊びをする人々』という絵です。2011年に絵画としては過去最高金額となる2億5,000万ドル(一説によるともっと高額だとか……)で取り引きされました。当時の日本円のレートによると約204億円。どこのだれがそんな高額で!? なんて思っちゃいますが、購入したのはカタールの王室だそうで……妙に納得です(笑)。以上、高額で取り引きされた世界の名画たちでした。非常に貴重な作品たちだけあって、お値段もハンパないものばかり。また、有名絵画の中にはダ・ヴィンチの『モナ・リザ』やピカソの『ゲルニカ』など、値段がつけられないほど貴重な作品も数多く存在します。それらにもし値段がつけられるとなると……すごいことになりそうですね(笑)。(貫井康徳@dcp)
2012年11月30日俳優・玉木宏が2013年3月、東京・大阪・名古屋の3都市で行われる舞台『ホテル マジェスティック ~戦場カメラマン澤田教一 その人生と愛~』で初舞台にして初座長を務めることが発表された。今作は、ベトナム戦争を撮影し、アメリカジャーナリズム界の最高峰“ピュリツァー賞”に輝いた戦場カメラマン、澤田教一とその妻サタ、そして同僚や親友たちとの人間模様を、ベトナム戦争時に世界中のマスコミが使用したホテルマジェスティックを舞台に描くオリジナルストーリー。脚本は樫田正剛、演出は星田良子が手掛ける。玉木は主人公の澤田教一を演じる。澤田教一氏が愛用していたカメラを使っているなどカメラが趣味の玉木は「自分と澤田教一さんは共通点もあると感じています。現在は、舞台に向けて勉強している最中です」と抱負を語った。共演は妻・サタを演じる酒井美紀ほか、徳山秀典、秋山真太郎(劇団EXILE)、紫吹淳、別所哲也ら多彩な顔ぶれが揃う。公演は東京・新国立劇場中劇場にて2013年3月7日(木)から17日(日)まで上演される。その後、大阪・森ノ宮ピロティホールにて3月20日(水祝)から24日(日)まで、名古屋・名鉄ホールにて3月26日(火)から27日(水)まで巡演する。チケットは12月22日(土)より一般発売開始。
2012年10月23日『ブラザーフッド』から7年ぶりとなるカン・ジェギュ監督が、オダギリジョーとチャン・ドンゴンという日韓を代表する名優2人を主演に、戦場を渡り歩いた男たちの実話を描いた『マイウェイ 12,000キロの真実』。本作の壮絶な舞台裏を収めたメイキング映像とポスター画像が解禁となった。第二次世界大戦末期の連合国軍による史上最大の作戦と言われる“ノルマンディー上陸作戦”の後、ドイツ軍の捕虜の中にひとりの東洋人が発見される。誰ひとりとして彼が話す言葉を理解できず、連合国の尋問を受けることになるのだが、彼が語り始めたのは信じられないような物語だった…。本年度のカンヌ国際映画祭で製作発表会見が行われ、さらに釜山映画祭ではキャスト、監督一同がレッドカーペットに登場するなど、世界各地の映画祭で話題を集めてきた『マイウェイ 12,000キロの真実』。そのたびにオダギリさん、ドンゴンが口を揃えて話したのが、苛酷な撮影現場の様子。今回届いた映像では、その話が決して大げさでなかったことを思い知ることとなる。オダギリさんやドンゴンなどのインタビューの合間に映し出される大がかりな機材、ド迫力の爆発そして立ち上る砂煙と、『プライベート・ライアン』、『レッドクリフ』シリーズの撮影スタッフと、これまで多くの戦争作品を作り上げてきたカン監督の経験の粋を決した映像にまず驚かされる。撮影に使用する塹壕と要塞の建築に3か月、撮影日数240日に及ぶ大陸横断撮影を敢行、世界16か国から集結したスタッフ、キャスト総勢7,000人以上、さらに総制作費25億円という世界規模の一大プロジェクトでの撮影が行われた本作。ドンゴンは「この作品の戦闘シーンは戦争を見せるだけでなく、主人公たちの感情を表現するもの」と全てのシーンに込められた意味を真摯に語る。さらに撮影中、「緊張がとれない日々が続いた」というオダギリさんの言葉からは、戦場シーンの撮影ではなくまさにその場が“戦場”であったことが容易に想像できる。この苛酷な“戦場”の総指揮をとっていたカン監督は、「私は恵まれています。こんなに情熱あるスタッフとキャストとこの作品を作ることは幸せでした」と撮影当時を至福の表情でふり返る。俳優、監督、スタッフ、それぞれが魂を削りながら極限の状態まで戦い抜いて作り上げた彼らの“戦場”をまずはこちらのメイキング映像で体験してみて。『マイウェイ 12,000キロの真実』は、2012年1月14日(土)より全国にて公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:マイウェイ 12,000キロの真実 2012年1月14日より全国にて公開© 2011 CJ E&M CORPORATION & SK TELECOM. ALL RIGHTS RESERVED■関連記事:【シネマモード】「派手」でなく「華やか」にファン・ビンビンの“上品”テクニック来年こそは行ってみたい?ココだけの釜山国際映画祭の楽しみ方を伝授!オダギリジョー、チャン・ドンゴンとの格闘ふり返り「韓国に入国できなくなるかも」釜山映画祭開幕!オダギリジョーにチャン・ドンゴン、ファン・ビンビンは衣装替えもオダギリジョー&チャン・ドンゴン『マイウェイ』9か月に及ぶ撮影の苦楽を告白!
2011年11月18日画家ゴッホの短くも激しい生涯を描いた劇作家・三好十郎の代表作で、日本演劇史に残る傑作戯曲として知られる『炎の人』。2009年に初演された栗山民也演出、市村正親主演のバージョンは絶賛を浴び、市村に読売演劇大賞最優秀男優賞などをもたらした。その再演が11月4日、東京・天王洲銀河劇場で幕を開けた。『炎の人』チケット情報物語はゴッホが画家になる以前、ベルギーで宣教師として貧しい人々に尽力していた時期より始まる。労働者たちの悲惨な現状に触れ、聖職者でありながら神を冒涜する言葉を吐いたゴッホはその道を閉ざされ、絵画に理想と真実を見出すようになる。ゴッホは実弟テオの支援を受けて憑かれたように絵を描き続けるが、未成熟で特異に映る彼の絵は当時の人々に受け入れられない。貧しい画家たちが集い創作に没頭するコロニーを夢見るようになったゴッホは、パリから自然豊かなアルルに移住。憧れと同時に嫉妬の対象である画家ゴーガンとの念願の共同生活がスタートする。だがゴッホの凄まじいまでの絵画への情熱は、その肉体と神経を確実に蝕み……。キャストは初演とほぼ変わらず(シィヌ、ラシェル役の富田靖子は初参加)ということもあってか、まるで危なげのない完成度の高い初日だった。初演をなぞるがゆえの安定、という意味ではない。“無垢の人”ゴッホを慈しむようなまなざしで見つめるこの戯曲は、むしろ安定とは対極の鮮烈なるパッションを放出し尽くして、観客の心を激しく揺さぶる。やはり、ゴッホ役の市村が圧倒的だ。風貌も、見慣れたゴッホの自画像によく似ているが、舞台上の市村はゴッホの魂と通じているかのよう。劇中で他者が言うように“優しすぎる”“素直すぎる”“無抵抗すぎる”など何事においても“~すぎる”ゴッホのありのままを、テクニックというよりは魂で体現する。本当に感動的な演技だ。舞台全体が巨大な額縁に収まっているようなセットだが(美術は堀尾幸男)、ゴッホの生き様イコール作品なのだろう。だからこそゴッホの作品は今も、見る者の心を鷲づかみにして離さない。ラスト、中嶋しゅうによって朗読される詩の言葉ひとつひとつにも耳を傾けてほしい。そこには作者・三好十郎のむき出しの思いや魂があふれんばかりに込められている。作者、主人公、俳優……あらゆる者の偽りなき魂のぶつかり合い。名作と呼ばれる理由がそこにある。取材・文武田吏都公演は11月13日(日)まで同劇場にて上演。チケットは発売中。
2011年11月07日