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フランス映画界のトップに立ち続けるダニエル・オートゥイユとファニー・アルダンが夫婦役を演じる『ベル・エポックでもう一度』。この度、本作を手掛けたニコラ・ブドス監督のコメンタリー映像がシネマカフェに到着した。今回解禁となった監督のコメンタリー映像は、仏国民的俳優であるダニエル・オートゥイユとファニー・アルダンへの現場での貴重な演出エピソード。本作ではオートュイユが演じるのは過去を懐かしむヴィクトル。そんな彼を「もう限界」と言って家から追い出すのが妻マリアンヌに扮したアルダンだ。国内外で様々な賞を獲得し、実力派と呼ばれるフランス映画界の2人の重鎮の現場での様子を、ブドス監督がふり返る。まず『タイピスト!』に出演するなど俳優業も行っているブドスにとっては大先輩であるオートゥイユ。彼については「僕が満足しているか、常に気にしています。まるで若手俳優でした」と述懐する。ブドス監督の眼には、監督に求められているものに応えているだろうかと自問自答している大御所俳優の姿が映ったことだろう。それを察したブドス監督は、「ダニエルはヴィクトルになりきっていました」として「(ヴィクトル)そのものでした」と全面的に支持するアプローチを彼にしてみせた。一方、妻マリアンヌの言動は、演じるアルダンにとっては理解しがたい“鬼嫁”のような言動だったようだ。ブドス監督は、アルダンからは自身の役柄について「ひどい」と不満をこぼされたという。それに対して、マリアンヌの“生みの親”であるブドス監督は「(マリアンヌは)意地悪ではない」と説明する。「ヴィクトルは平穏な人生を取り戻したいが、妻は死を恐れて現在を生きる」とマリアンヌのキャラクター性を丁寧に伝えることで撮影を続けることができたよう。名優たちを演出するにあたり、それぞれの現場での様子に応じて接し方や伝え方に配慮して製作を進めていったのだ。そんな監督の手腕を垣間見ることができるコメンタリー映像となっている。『ベル・エポックでもう一度』は6月12日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ベル・エポックでもう一度 2021年6月12日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019-LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIO-FRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA
2021年06月12日ダニエル・オートゥイユとファニー・アルダン、フランス映画界の至宝と称えられる2人が夫婦役で共演する映画『ベル・エポックでもう一度』より、気軽に旅行ができないいま、国境も時空も超えた旅行気分が少し味わえる本編映像が到着した。職を失い、妻にも見放された元売れっ子イラストレーターのヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)は、映画撮影セットに過去を再現する体験型エンターテイメントサービス〈タイムトラベルサービス〉をプレゼントされ、その再体験に夢中になってしまう。今回到着した映像は、このサービスで再現をリクエストした、“1974年5月16日のフランス・リヨン”に旅立つシーン。ヴィクトルが当時の参考資料として、イラストを見せながら念入りに下準備する様子や、様々な時代の衣装着た人たちが登場。そして、薄暗い通路を抜けると、そこには思い出のホテルが。「まるで本物だ」と、ヴィクトルは完璧に再現された70年代当時の街並みや衣装に感動する。本作の監督ニコラ・ブドスは「ヴィクトルは、最初は過ぎ去った日々へのノスタルジアだけを抱えているけれど、やがて天職を見つけ、恋に落ち、楽しく過ごしていた魅力的な自分を取り戻そうとするうちに、今の時代と向き合う強さを見出す」と説明しており、現代社会に疲れきった人々が笑顔を取り戻す物語でもあると話している。『ベル・エポックでもう一度』は6月12日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ベル・エポックでもう一度 2021年6月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019-LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIO-FRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA
2021年05月16日フランス映画界を代表する名優ダニエル・オートゥイユとファニー・アルダンが夫婦を演じる『ベル・エポックでもう一度』が、6月12日(土)に公開決定。4月22日の「よい夫婦の日」に合わせて、予告編が解禁された。解禁となった予告編は、職を失い妻に疎まれ、最新のデジタル機器にも対応できず、時代にも取り残されてしまった元売れっ子イラストレーターのヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)が、息子から“あるプレゼント”を受け取るシーンから始まる。そのプレゼントは、戻りたい時代を完璧に再現してくれるという、体験型のエンターテインメントサービス“タイムトラベルサービス”。戻りたい時代についてヴィクトルは、「1974年。運命の女性に出逢った日だ」と妻を目の前にして平然と答える。そして、映画撮影セットに登場したのは、なんと1974年のフランス・リヨンの街並み。廃業したはずのホテルやカフェが完璧に再現され、「まるで本物のようだ」と驚くヴィクトル。運命の女性と“あの日のあの場所”で再会を果たし、「出逢った日、君は落ち込んでた」と当時をふり返りながら、大切な過去を再体験していく様子が映し出されていく。全財産を注ぎ込んで延長を希望するほどサービスに夢中になり、「毎日が楽しい」とまるで生まれ変わったかのように生き生きとしていくヴィクトルに対して、「一体何が起きてる?」と予定とは違う流れに困惑するサービス業者。再現された過去と変化していく現代で様々な思いが交錯し、順調だったはずの体験サービスは思いもよらない方向に進んでいくことに!?レトロなセットや70’sファッションの再現度にも期待が膨らむ中、“タイムトラベルサービス”の運命の女性に妻の姿を重ねるシーンや、「妻のおかげで生きてこれた」というセリフもあり、夫婦関係を築くヒントが散りばめられていそうだ。『ベル・エポックでもう一度』は6月12日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ベル・エポックでもう一度 2021年6月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019-LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIO-FRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA
2021年04月22日映画『ベル・エポックでもう一度』が、2021年6月12日(土)にシネスイッチ銀座ほかにて公開される。“大切な過去”を映画セットに再現する<タイムトラベルサービス>映画『ベル・エポックでもう一度』の主人公は、職を失い妻にも見放された、元売れっ子イラストレーターのヴィクトル。ある日、“大切な過去”を映画撮影セットに再現する体験型エンターテイメントサービス<タイムトラベルサービス>をプレゼントされる。彼は、「1974年5月16日のリヨン」の再現をリクエストし、今はなきカフェで生涯忘れられない<運命の女性>との再会を果たす。そんな“オーダーメイドの時間旅行”に夢中になり、延長のため、妻・マリアンヌに内緒で全財産を注ぎ込むことに。そんな彼を思いがけない出来事が待ち受ける…。ダニエル・オートゥイユ&ファニー・アルダンが共演主人公・ヴィクトルを演じるのは、長きにわたってフランス映画界で活躍するダニエル・オートゥイユ。妻・マリアンヌには、フランスの国民的女優ファニー・アルダンを起用した。70年代リヨンの美しい街並みで予告映像の中では、1974年のフランス・リヨンの街並みを再現したセットの中で、大切な過去を再体験していくヴィクトルの姿が映し出されている。70年代のファッションやアンティークカフェ、クラシックカーと、ノスタルジックなムードが漂う映像は、思わずうっとりしてしまうほどの美しさだ。また再現された過去と変化していく現代で様々な思いが交錯し、順調だったサービスが思いもよらない方向へ進行――?!果たしヴィクターを迎えるのは、ハッピーエンドなのか?美しきタイムトラベルが紡ぐラストに期待が募る。監督に『タイピスト』俳優二コラ・ブドスなお監督・脚本・音楽は、映画『タイピスト!』などに俳優として出演したニコラ・ブドスが務める。監督を務めるのは、本作が2作目となる。作品詳細『ベル・エポックでもう一度』公開時期:2021年6月12日(土)シネスイッチ銀座ほかにて公開監督・脚本・音楽:ニコラ・ブドス出演:ダニエル・オートゥイユ、ギョーム・カネ、ドリア・ティリエ、ファニー・アルダン、ピエール・アルディティ、ドゥニ・ポダリデス2019年|フランス|カラー|シネスコ|DCP|5.1ch|115分|字幕翻訳:横井和子|原題:LA BELLE ÉPOQUE|R15|配給:キノフィルムズ提供:木下グループ映画『ベル・エポックでもう一度』<ストーリー>職を失い妻にも見放された、元売れっ子イラストレーターのヴィクトル。ある日、映画撮影セットに過去を再現する、体験型エンターテイメントサービス〈タイムトラベルサービス〉をプレゼントされた彼は、「1974年5月16日のリヨン」の再現をリクエストする。完璧に蘇った"あの日のあの場所“で〈運命の女性〉と再会した彼は、輝かしき日々の再体験に夢中になり、延長のために妻に内緒で全財産を注ぎ込んでしまう。しかし、そんな彼を思いがけない出来事が待ち受けていた―
2021年04月19日生涯忘れられない“あの日”を、再体験できたら…。そんな体験を叶える“タイムトラベルサービス”を描く、ダニエル・オートゥイユ主演のフランス映画『ベル・エポックでもう一度』の日本公開が決定した。世の中の変化についていけない元売れっ子イラストレーターのヴィクトル。仕事を失い、妻のマリアンヌにも見放されてしまった父を元気づけようと考えた息子は、友人アントワーヌが始めた“タイムトラベルサービス”をプレゼントする。これは、映画製作の技術を応用して、客の戻りたい過去を広大なセットに再現する、体験型のエンターテイメントサービスだ。ヴィクトルは「1974年5月16日のリヨン」をリクエスト。部屋に用意された70年代ファッションに着替え、アントワーヌの恋人で女優のマルゴが演じる運命の女性と出会う。輝かしき日々の再体験にすっかり夢中になり、見違えるほどイキイキしたヴィクトルは、延長のため、別荘まで売り払ってしまう――。2019年のカンヌ国際映画祭で上映され、その後のフランス公開時には、当時全世界でスーパーヒットを記録していた『ジョーカー』から興行ランキングの首位を奪って初登場第1位を記録。セザール賞では3部門で受賞するなど、大きな話題となった。主演のダニエルが主人公ヴィクトルを演じたほか、妻マリアンヌを、『日曜日が待ち遠しい!』『ペダル・ドゥース』などに出演する国民的大女優のファニー・アルダン、タイムトラベルサービスの生みの親で総監督を務めるアントワーヌをギヨーム・カネ、彼の恋人でヴィクトルの運命の女性を演じるマルゴをドリア・ティリエ。監督・脚本・音楽は、本作が監督2作目となるニコラ・ブドスが務めた。『ベル・エポックでもう一度』は6月、シネスイッチ銀座ほかにて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ベル・エポックでもう一度 2021年6月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019-LES FILMS DU KIOSQUE-PATHÉ FILMS-ORANGE STUDIO-FRANCE 2 CINÉMA-HUGAR PROD-FILS-UMEDIA
2021年03月19日偉大なるデザイナー、カール・ラガーフェルドの追悼イベント「KARL FOR EVER」が、2020年春夏メンズファッションウィーク期間中の6月20日にパリで開催された。© CHANELシャネル(CHANEL)、フェンディ(FENDI)、カール ラガーフェルド(KARL LAGERFELD)の3ブランドが共同で主催した盛大なイベントの会場となったのは、これまでシャネルが度々ショーを開催してきたグランパレ。カールが愛したブラック、ホワイトカラーに包まれた空間には、56枚もの巨大なカールのポートレートが飾られ、彼の功績を収めたフィルムが流された。© CHANELイベントの演出を手掛けたのは、奇才演出家として知られるロバート・カーセン(Robert Carsen)。会場には、シャネルのアンバサダーを務めるティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)やファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、女優のファニー・アルダン(Fanny Ardant)、ヘレン・ミレン(Helen Mirren)、モデルのカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)、ストリートダンサーのリル・バック(Lil Buck)、ヴァイオリニストのチャーリー・シエム(Charlie Siem)、ピアニストのラン・ラン(Lang Lang)...カールと親交が深かった俳優やモデル、ミュージシャン、ダンサーといったアーティストたちが各国から訪れ、カール・ラガーフェルドへのオマージュとして、彼が愛した音楽や文学を表現した。 © CHANEL© CHANEL© CHANEL© CHANEL
2019年06月24日ナチスに追われたユダヤ人の少女が、子どもたちだけでスイス国境を目指した実話から生まれた『少女ファニーと運命の旅』が8月11日(金・祝)より公開される。このほど、本作で映画初主演を果たしたファニー役のレオニー・スーショーと監督のローラ・ドワイヨン、そして映画のモデルとなった実際のファニー本人のインタビューを含む特別映像が、シネマカフェに到着した。1943年、ナチスドイツの脅威はヨーロッパに広がり、フランスもその支配下にあった。13歳のユダヤ人の少女ファニーは幼い2人の妹と共に、協力者たちが秘かに運営する児童施設に匿われていた。ファニーの楽しみは検閲の目をくぐって届く母からの手紙と、夜、ベッドの中で父からもらったカメラのファインダーを覗いて楽しかった日々を思い出すこと。だが、ある日、心ない密告者の通報により、子どもたちは別の施設に移らなくてはならなくなる。やっと落ち着いたと思ったのも束の間、その施設にもナチスの手が迫り…。ファニーたちは列車を使って移動するが、ドイツ兵による厳しい取り締まりのせいで引率者とはぐれてしまう。見知らぬ駅で取り残される9人の子どもたち。リーダーを託されたファニーは、バラバラになりかける子どもたちの心を1つにし、いくつもの窮地を勇気と知恵で乗り越え、ひたすらスイスの国境を目指す――。戦時下、両親と引き離された子どもたちの、純粋で、必死に生きようとする前向きな姿が観る者の心を打つ本作。今回解禁となったは、その聡明さと勇気で幼い子どもたちを鼓舞し、時には1人涙を流す繊細さを秘めた少女ファニーを演じたレオニーのインタビューから始まる。「私が演じた13歳のユダヤ系の女の子はスイスに逃げるの。フランスがナチスに占領されたからよ。ファニーには2人の妹ジョルジェットとエリカがいる」と、役柄を説明するレオニー。彼女の堂々とした演技は、とても映画初出演とは思えない。「この物語を子どもの視点で語るのが大事だと思ったわ」と本作について語っている。また、彼女のモデルとなった“実在”のファニー・ベン=アミは、劇中で描かれた決死の逃避行について、「私にとっては“反抗”だった。理不尽な状況で大人たちに対して怒りを抱えてた。怒りは消えなかったわ。“私もほかの子たちも捕まるものですか”“逃げてみせる”と思ってた」と当時の心境に触れる。「映画は本とは違う。大事なのは何よりも“伝えること”よ。私の言いたいことが伝わればうれしいわ。自分が英雄だと言いたいわけじゃないの。悲劇が2度と起きないよう本質の部分を語りたい」と自身の強い思いを語った。ローラ・ドワイヨン監督も「共同脚本のアン・ペイレニャと原作を基に書いていった。ファニー・ベン=アミにテルアビブで話も聞いたわ。彼女は話を聞かせてくれて自身の体験を私に託してくれた」とふり返りながら、「私は物語を再構成し実在しない人物も加えた。細かな逸話も組み込んだわ。ほかの人の体験談も本作には含まれているの」とも明かしている。『少女ファニーと運命の旅』は8月11日(金・祝)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:少女ファニーと運命の旅 2017年8月11日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開(C) ORIGAMI FILMS / BEE FILMS / DAVIS FILMS / SCOPE PICTURES / FRANCE 2 CINEMA / CINEMA RHONE-ALPES / CE QUI ME MEUT - 2015
2017年08月07日ナチスの追跡を逃れ、フランスからスイスの国境を目指す13歳の少女の決してあきらめない旅を描く、フランス・ベルギー合作映画『少女ファニーと運命の旅』。この度、本作の予告編が公開され、勇気の旅を続けた少女ファニーのモデルとなった実在のファニー・ベン=アミからコメントも到着した。1943年、ナチスドイツの脅威はヨーロッパに広がり、フランスもその支配下にあった。勝気さを内に秘めた13歳のユダヤ人の少女ファニーは、幼い2人の妹と共に協力者たちがひそかに運営する児童施設に匿われていた。ファニーの楽しみは、検閲の目をくぐって届く母からの手紙と、夜中にベッドの中で父からもらったカメラのファインダーを覗いて楽しかった日々を思い出すことだ。ある日、心無い密告者の通報により、子どもたちは別の協力者の施設に移らなくてはならなくなる。やっと落ち着いたと思ったのも束の間、その施設にもナチスの手が…。ファニーたちは列車を使って移動するが、ドイツ兵による厳しい取り締まりのせいで引率者とはぐれてしまう。見知らぬ駅で取り残される9人の子どもたち、いつの間にかリーダー役となったファニーは、バラバラになりかける子どもたちの心を一つにし、いくつもの窮地を勇気と知恵で乗り越え、ひたすらスイスの骨棘を目指す。しかし、追手は彼らのすぐそばまで迫っていた――。本作は、ファニー・ベン=アミの自伝に基づく実話で、純粋で前向きな子どもたちの姿が、観る者の心を打つ勇気と感動の物語だ。監督は、『ポネット』のジャック・ドワイヨンを父に持ち、女優で歌手のルー・ドワイヨンが異母姉妹のローラ・ドワイヨン。キャストには、レオニー・スーショー、セシル・ドゥ・フランス、ステファン・ドゥ・グルート、ライアン・ブロディらが名を連ねている。公開された予告編は、ファニーが母親に手紙を書くシーンからスタート。平穏な日々も束の間、ラジオからドイツ軍が来るというニュースが流れ、一変する。自らの危険を顧みず、子どもたちを守ろうとする大人たちの姿、リーダーになったファニーの不安な気持ちが伝わる予告編となっている。本作の主人公・ファニーのモデルとなったファニー・ベン=アミさんは、「当時の時勢や実際の出来事をうまく反映していますね。映画としてとてもよくできた作品だと感じましたし、監督は私の心情をよく捉えてくれていると思っています」と映画について話し、またこのような体験をする子どもたちが2度と出ないようにするためには、「戦争を始める前に、一番の被害者となる子どもについてよく考えるべきですね。結局、大人の決断によって、最も苦しめられるのは彼らなのですから」と体験者としての想いを語っている。『少女ファニーと運命の旅』は8月11日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年06月20日ピーター・ボグダノビッチ監督の13年ぶりとなる長編映画『マイ・ファニー・レディ』が上映中の東京・ヒューマントラストシネマ有楽町で12月20日(日)、人気コラムニストの山崎まどかと町山広美がトークイベントを行った。女優を目指す高級コールガールのイザベラが、お客としてブロードウェイの演出家アーノルドと出会う、現代版『マイ・フェア・レディ』ともいうべきロマンチックコメディ。出演作が相次いで公開され、miu miu 2015春キャンペーンモデルも務めるなどブレイク中のイモージェン・プーツをはじめ、オーウェン・ウィルソン、ジェニファー・アニストンら豪華キャスト陣が、見事なアンサンブルを奏でる。「イモージェンは『シンデレラ』のオーディションに落ちたりしたけど、いまは上り調子。別の作品で、売春婦に間違えられる役を演じていたけど(笑)、今回、自分に合った作品に出会えたのでは」と山崎さん。町山さんも「美人なのに作品選びにクセがありましたもんね。やっと、ラブコメに出演してくれてうれしい」と持ち前の魅力を発揮するイモージェンに期待を寄せた。その相手役であるオーウェンについては、「オーウェンが演じなければ、アーノルドって人間のクズ(笑)。それを許せちゃうのが、オーウェンのすごいところ。まるで毛並のいい犬」(山崎さん)、「いつまでもホワ~ンとした雰囲気の青年ですよね。もう47歳ですけど…」(町山さん)と目を細めた。公私ともに波乱万丈の人生をおくるボグダノビッチ監督。彼を敬愛する『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督、『フランシス・ハ』のノア・バームバック監督が今回、プロデューサーに名乗り出た。「彼ら若手に愛されたおかげで、ここに来てボグダノビッチ監督は成功作を手にした」(山崎さん)、「愛される理由は男気ですかね…?今回はオーウェンも含めて、3人が気を使いながら、巨匠に意見を言ったのでは」(町山さん)と名監督の復帰を喜んでいた。『マイ・ファニー・レディ』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年12月21日『ペーパー・ムーン』で知られる巨匠ピーター・ボグダノヴィッチ監督13年ぶりの新作となる『マイ・ファニー・レディ』の公開が、このほど決定した。とあるスタジオの片隅で、先鋭のハリウッドスター・イザベラ(イモージェン・プーツ)は、記者から、その成功への道のりについてインタビューをされていた。高級コールガールをしていたことすら天真爛漫に告白し、お客として初めて会ったブロードウェイの演出家アーノルド(オーウェン・ウィルソン)から、突然“君の将来のために三万ドルをプレゼントする”という奇妙な申し出を受けた日のことを語りだす――。『ペーパー・ムーン』『ラスト・ショー』などの傑作を世に送り出した巨匠ピーター・ボグダノヴィッチ監督が、『ブロンドと柩の謎』以来約13年ぶりにメガホン握る『マイ・ファニー・レディ』。本作には、「ぜひとも巨匠の作品に出たい!」と豪華キャスト&スタッフが集結している。いい加減だが憎めない売れっ子ブロードウェイの演出家である主人公を、ボグダノヴィッチ監督のことを愛してやまない『ミッドナイト・イン・パリ』のオーウェン・ウィルソンが好演。高級コールガールからハリウッドスターへとのし上がっていくヒロインを、『恋人まで1%』などの公開作品を控えているいま注目の若手イギリス人女優イモージェン・プーツが小悪魔的な魅力でキュートに演じ、人の話を聞かない精神科医を、ドラマ「フレンズ」のジェニファー・アニストンがコメディエンヌとしての才能を発揮した演技を披露している。ほかにも、キャスリン・ハーン(『LIFE!』)、リス・エヴァンス(『アメイジング・スパイダーマン』)、ウィル・フォーテ(『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』)などといった個性的なベテラン俳優たちが脇を固めているのも見逃せない。また、オーウェン・ウィルソンともどもボグダノヴィッチ監督と家族のようなつきあいをしているウェス・アンダーソン(『グランド・ブタペスト・ホテル』)とノア・バームバック(『フランシス・ハ』)が、企画から脚本の練り直しなどに全面協力し、製作として参加。巨匠13年ぶりのカムバックを、若手名手2人が盛り上げる。ニューヨーク・ブロードウェイを舞台に、複雑に絡み合ってゆく人間関係を大人のウィットとちょっとした毒気、そして軽快さとユーモアをたっぷりに描きだす本作。93分の幸福に酔いしれることができる本作を、ぜひ楽しみにしていて。『マイ・ファニー・レディ』は、12月19日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年07月24日年齢も、生活環境も、社会的地位もまったく違う、2人の美しい女たちが出会ったことから始まる、危険な誘惑と官能のサスペンス映画『クロエ』。シネマカフェで映画に関するブログを執筆してくださっていて大の映画好きであるモデルの雅子さんは、シネフィルとして、また女性として、本作をどう観たのか。「愛する人のすべてを見てみたい?」というテーマで集まった、シネマカフェ女性読者からの意見をもとに、本作で描かれる恋愛・結婚観について、語っていただきました。「なかなか凄い映画だなという一言ですね。資料を読まずに映画を観たんですが、何かに似ているなと思ったら、そうだ、『恍惚』だと思って。後で資料を読んだら、やはり『恍惚』がベースでした。展開も、エンディングも全く違いますけれど。今回まず印象に残ったのは、人も羨む生活をしているキャサリンが、なぜこんなに焦燥感を覚えるのかということ。ある年齢までいくと彼女が感じたような孤独感ってあるのかなと考えたりしました。誰もが羨むような生活をしていても、人間って変な考えに囚われてしまうんですね。それが女性だからなのか、年齢のせいなのかは分かりませんが」。映画には、妻であり、母であり、医師でもあるキャサリンと、若く美しい娼婦・クロエという2人の女性が登場するが、雅子さんがより共感したのは、キャサリンだったという。「年齢的にやはり、20代のクロエではなく、キャサリンの気持ちに共感できるんです。でも、クロエを雇って夫の性生活を探るようなことをしますが、ここまで性的なものへの興味はないですし、周りを見回してもここまでひとつのものに固執するタイプの友人はいないので、こんなことってあるのかしらと不思議には思いました。ただ、友人の中には、子育てが一段落しかけている人、良い暮らしをしていて恵まれているのにどこか満たされていない人がいなくはないので、別世界のことではありませんでしたね」。男性とも社会とも、関わり方が全く違う2人の女性が描かれていますが、2人の心理劇をどう見たのだろう。「例えば、若い方がある程度の安定と社会的な地位を得た女性に憧れを持つ気持ちもあるでしょうし、その反対、つまり歳を重ねた女性が、若い女性を羨む気持ちもあるのでしょう。若さに固執する人も多いですから。お互いに、自分が持っていないものに惹かれる、興味を持つ気持ちが上手く描かれていました。それにしても、“若さ”という武器は強いのだなと思いましたね」。『恍惚』では、ファニー・アルダンとエマニュエル・ベアールという2人のキャストが、年齢の違いではなく、女としてのアピールの違いを強調していた。若さを最強の女の武器としていない語り口調は、いかにもフランスを感じさせていたのが印象的だ。「それがハリウッド映画となると、若さが絶対的な存在になるんですよね。あるもので読んだんですが、フランスでは最古の職業が娼婦なんだそうです。職業として娼婦が確立している文化と、若さが絶対的である文化の違い。どんなに、キャサリンのような美しい人でも、若さというものに負けてしまう。女性としての寂しさ、心理は複雑だなと改めて感じましたね。私はそうはならないと思っていても、いつ何時そうなってしまうかは分からないんですよね。そこから若い女性を雇って夫を誘惑させるに至るなんて、どんな心理なのかなと思いながら観ていました」。この作品には、“愛する人の全てを見たいか”というテーマも隠されている。結婚生活を送っていても、相手のことを全て知ることはできないものだが。「この作品を観て、若い人たちが、結婚っていったい何なんだろうと悩んじゃったらどうしようと思いますけれど(笑)。 “あなたは愛する人のすべて全てを見たいですか?”という問いについても、そこまですることないんじゃないかと思います。秘密を持って暮らすのがいいとか悪いとかではなく、全てを語る必要はないと思うんです。多少、ミステリアスな部分があっていいと思うし、それで女性も謎めいて見えるかもしれない。夫婦間であっても。うちは会話が多いほうなんですが、彼の知らない私もあるし、それはお互い様だと思うし、それでもいいと思うんですよね。それに、全てを知りたいと思い始めたらきりがない。いま、世の中では、何でもクリアにして、何でも知りたがる傾向にあるけれど…。あれもどうかと思うんです。知ったところで、どうなるのかなと思うこともありますし。相手は所有物ではもちろんないわけですから」。相手の全てを知りたいという気持ちは、支配欲、独占欲、嫉妬の表れ、と雅子さん。「特に日本人は嫉妬の文化と言われていますよね。キリスト教の七つの大罪にも入っている嫉妬ですから、そこまで嫌なものをわざわざ人に見せなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。この映画は映像こそ美しいけれど、人間の愚かさや醜さがいっぱいなんですよ。そこに、ガラスや鏡という煌びやかなモチーフをちりばめ、冬から春にかけた季節特有のピーンと貼りつめた空気感で包み込んで、エゴヤン監督らしい映像美で仕上げていますから、ともすると綺麗な印象しか持たないかもしれません。でも、よくよく見ると人間の罪深さが見えてくる。実にエゴヤン監督らしい面白い演出ですね」。美男美女、社会的に成功し、幸せそうに見えるカップルでも、結婚生活を何十年も続けていけば、こういうこともあるというリアルな部分、つまり結婚の理想と現実も映し出される。「私の場合、いまの結婚は2度目なんです。自分も成長したのかもしれませんが、一番変わったと感じるのは、理想を押しつけないということ。結婚生活って、一緒にいる空間の心地良さを求めることだと思うんです。2人で何をするかというより、2人で一緒にいる空間を大切にしたほうが、結婚生活って上手くいくのかなと思いますね。全てを共有することは考えていません。お互いに仕事を持っていますし、一歩家から出れば、互いに自立する男女。例えば、夫が女性と2人でご飯を食べていても別に気にしないし、私も男友達と食事することはありますから。それについて、互いに携帯のメールをチェックし合ったりすることもないですよ(笑)」。最近は、パートナーの携帯メールを、つい勝手にチェックしてしまう人が案外多いとも聞くが…。「ああいう行為って、一度やってしまうと止められないんでしょうか?自分自身の嫉妬心や独占欲に囚われて。キャサリンも、一度夫を疑い、探り始めると最後まで行かずにはいられなくなる。人間の感情というのは、やはりコントロールできないもの。クロエの方も、“私は物じゃない”と訴えていましたよね。いくらお金が介在していても、生身の人間って、どのように、どんな感情を芽生えさせるか想像がつかない。人をコントロールできない、予想できないという意味では、パートナーとの関係もそうですね」。実は、シネマカフェで読者に「浮気の境界線は何ですか」というアンケートをとったところ、1位は肉体関係、2位は2人きりで出かける、3位はキス、4位は心・気持ちが移ったとき、5位は手を繋ぐ、との結果が。これを雅子さんに見ていただくと…。「2人きりで出かけたら浮気だと考える人が多いんですね。私にはよくあることなので、その感覚は私としてはちょっとありえないですね。2人きりで出かけた延長上に、3位、5位があると考えるのかもしれないですけれど。生活環境で感覚が違うのかもしれませんね。主婦や女性だけの職場で働く方などは、身近な異性はパートナーだけということも多く、異性=恋愛対象と考えやすいのかもしれません。男性のスタッフと出張にも出ることもある身としては、あれ?と思いますね。精神的に自立しないと、無駄な想像力を持ってしまうことになる(笑)。もっと良いことをイメージしたらいいと思いますね」。また、「恋人・夫婦間で、不安や孤独を感じる瞬間」についてもアンケートをとったところ、1人でいるとき、連絡が取れないとき、関心をもたれなくなったとき(無反応)、会話がないときなどに票が集まった。このことについては…「キャサリンほどではないにしろ、誰かと一緒に寝ていても孤独はあるもの。それは誰でもそうだと思いますので、個人的にも彼女が抱える孤独感を多少は理解できます。ただ、それとどう付き合うかが違うだけで。いまは携帯もメールもあるので、すぐに連絡が取れる。だからかえって、ちょっとでも連絡が途絶えたときの不安感は大きいのではないでしょうか。でも、孤独感って素敵なことなんですよ。否定的に語る必要は全くない。満ち足りた孤独は至福なりという、いい言葉があります。仕事をしていて、家庭を持っていても、やはり1人になる瞬間は必要。一緒にいて、会話がない時間を過ごすのもいい。俯瞰で状況を見て、孤独を味わって、ちょっとひとりで考える時間があると良いのではないでしょうか。ただ、関心をもたれなくなったと感じたら、それなりの選択をすることが大事だと思いますね。この場合は、嘆いているだけでなく、違う努力が必要な気がします」。キャサリンの場合は、夫から関心をもたれていないわけではない。劇中、キャサリンが感じた孤独感は、やはり年齢的な不安、女としての焦燥感がもたらしたものが大きいはずだと、雅子さんは分析する。「キャサリンが感じる焦燥感と孤独感が入り混じった感情は、20代のクロエには分からない心理でしょうね。若さから離れていく不安感は、歳を重ねれば誰にだって多少はあるもの。さらに歳を重ねるための通過儀礼なのかもしれません。アラフォー、アラフィフの女性が、そういった感情を乗り越えて、さらに魅力的な女性になっていくための。だから、きちんとそれを乗り越えないと、若さに固執しすぎた危ない、痛い女性になってしまう。キャサリンは、ちょうどその途中にあって、自分をコントロールできなかった例かもしれません」。だからこそ、女性たちにとっては、学ぶところは多いという。「同年代の女性にもぜひ観ていただきたいですね。若さには絶対的な価値があるけれど、危ういもの。それを経験し、危うさを知っているのに、なぜまたそこに固執し、年齢のワナに陥るのか。外国映画では、若さを性の対称として、歳を重ねた女性をその対象外とする描き方が多い。やはり、女の魅力として、性的魅力を比較とするのが、分かりやすいからでしょうか。でも、ヨーロッパ、特にフランスだと歳を重ねるほど魅力的で、40代、50代、60代になってやっと本当の女になると言われます。日本は、20代や10代の女性たちがもてはやされせる世界もある。日本は残念ながらどんどん幼児化していますね。残念です。いまだに、40歳過ぎたら終わりだと言われる。これほど、アラフォーの女性たちがキラキラしていて、頑張っているのに。本作では、悩む40代女性のリアルな姿が映し出されているので、共感しつつも、客観的に観てみると、学ぶところが多くある。この作品は、年齢を重ねながらどう輝くかということについて、考える良い機会を与えてくれると思います」。さらに、2人の女のコントラストを映し出す、インテリアやファッションも見どころ、と雅子さん。「冒頭のホームパーティのシーンも素敵です。キャサリンが、仕事へ行くとき、家でリラックスしているときのファッションも対照的でしたし、外で食事をするシーン、息子の演奏会に行くシーンなど、時と場合に応じて、衣裳もそれぞれ。知的階級の仕事を持つ裕福な家の女性ならではの洗練された生活スタイルが楽しめました。反対に、クロエのファッションが、若さと美貌を強調するものだったのも興味深かったです。もう、存在自体が眩しいような。そんな対比も楽しんでほしいですね」。(text:June Makiguchi)『クロエ』公開初日プレゼント5月28日(土)初回より、先着順にAVEDA「スムーズ インフュージョン ヘアケア システム」のミニセット&オリジナル小バックをプレゼント。(なくなり次第終了)※対象劇場:TOHOシネマズ シャンテ(東京・日比谷)※その他の劇場は『クロエ』公式サイトまで。■関連作品:クロエ 2011年5月28日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2009 Studio Canal All Rights Reserved.■関連記事:ジュリアン・ムーア『クロエ』インタビュー「これは私たちの人生を描いた映画なの」『赤ずきん』女性監督が証言、『トワイライト』を超える新たな“恋のジレンマ”真似してみたい『クロエ』ファッション上品&誘惑的な着こなしで男性の心を虜に?あなたは愛する人のすべてを見たい?『クロエ』“美しい髪”セットを10名様プレゼント【シネマモード】鬼才アトム・エゴヤンが描く、2人の女
2011年05月27日自分が女でありながら、こういう作品を観ていると、女ってつくづく妙な生き物だなと実感させられます。カナダの鬼才、アトム・エゴヤン監督が新作の題材に選んだのは、全く違う人生を歩んでいた2人の女が出会ったことから始まる愛憎劇。2003年にアンヌ・フォンテーヌ監督が、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール競演で映画化した『恍惚』をベースに、よりサスペンスフルに仕上げられた『クロエ』です。これまで、『スウィート ヒアアフター』、『エキゾチカ』、『フェリシアの旅』、『アララトの聖母』、『秘密のかけら』などで、印象的な女性像を映し出してきたエゴヤンが今回描いたのは、正反対の2人の女。ひとりは、社会的地位と申し分ない家庭を持つ女医のキャサリン。もうひとりは、若く美しい娼婦・クロエ。最愛の夫の浮気を疑ったキャサリンは、レストランで出会ったクロエを雇い、夫・デビッドを誘惑させて彼がどんな行動をとるかを逐一報告させるのです。年齢も、住んでいる世界も、社会的地位も全く違う2人ですが、見えてくるのは、心にある満たされない思いと孤独感という共通点。キャサリンは、何不自由のない生活を送りながらも、息子の親離れや老い、夫の浮気疑惑などに悩み、孤独感と焦燥感を募らせ、女としての自信を失い始めています。クロエは、若さと美貌を誇り男たちから欲望の対象として見られ、女としての自信をみなぎらせている一方で、あくまでも自分は“つまみ食い”的存在でしかないことも認識していて、人に心の底から欲されることを渇望しています。持っている幸せの種類も、抱えている空洞の種類も違うそんな2人が、互いに深く関わっていくことになるのです。“運命の歯車”が大きく狂っていくとも知らず。キャサリンがクロエに仕事を依頼したとき、2人は単なる依頼人と請負人の関係でしたが、何度も会い、クロエがデビッドとの情事をキャサリンに報告していくごとに、2人には強い共犯関係が生まれていきます。キャサリンに望まれる自分に夢中になるクロエと、夫の知られざる素顔を明かすクロエの物語に夢中になっていくキャサリン。本来は、敵対する関係にあってもおかしくない、奪われる立場と奪う立場にいる女たちなのですが、2人は自分にない部分を相手の中に見つけ、そこに羨望を抱きながらも、互いに満たされないものを持っているという共感から依存関係を深めていくのです。やがてそんな依存関係は、より深いものへと発展していき…。当初、エゴヤンがなぜリメイクを手がけるのか不思議でしたが、キャサリンとクロエの関係性が、『恍惚』よりもはるかに濃密に描かれている後半を観て、なるほどと考えました。女というものは、自分が何かをコントロールしてさえいれば、夫の情事の物語にさえ、心を奪われかねないロマンティックな生き物。それでいて、“感情の生き物”と呼ばれるだけあり、自ら生まれた思わぬ感情によって、事態を制御不能にすらしてしまう。映像作家であるエゴヤンが興味を持つのも不思議はありません。本作に登場する2人の女たちには、分かりやすい違いが多いので、そこばかりに意識が向きがちですが、実はエゴヤンがここで描きたかったのは、すべての女が持つであろう性や業のような共通性なのではないか、と思うのです。胸の奥に熱いものを秘めた生き物であり、一旦それが流れ出すと、時にそれに振り回されてしまう。たとえ、知性に溢れ、クールに見える女性であったとしても、です。それが、女の愚かさでもあり、実は美しさでもあるのかもしれません。キャサリンを見ていると、そんな熱い部分が、女をいくつになっても可愛く見せるのではないかと感じたりして。エゴヤンがこの作品で描きかたったのは、こういった女の“愚かさ”であり、“愛すべき”部分なのでしょう。最後の最後には、女の複雑さを強い余韻として残す瞬間も待っています。今回、エゴヤンにしては分かりやすい映画を撮ったものだなと思っていたのですが、最後にちょっとした彼らしいスパイスが。このラストシーンを見て、自分を棚にあげつつ、「つくづく、女って奇妙だな」と思った私。さらに、このシーンにおけるキャサリン=ジュリアン・ムーアを最も美しく撮ったあたりに、エゴヤンの真意のようなものを感じたのですが、あなたならどう思うでしょうか。(text:June Makiguchi)■関連作品:クロエ 2011年5月28日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2009 Studio Canal All Rights Reserved.■関連記事:名越康文、夫婦の危機にアドバイス「ちょっとした一声が大事」名越康文トークショー付き『クロエ』女性限定試写会に5組10名様ご招待“誘惑”をめぐる危険な展開の予感…『クロエ』ポスター解禁!アマンダの官能的な“罠”にジュリアンは…美しすぎる問題作『クロエ』公開決定!
2011年04月27日レズビアン、ゲイ、バイセクシャルにトランスジェンダーといった性的マイノリティ(=クィア)を扱ったアジアの映画のみを上映する映画祭として注目を集める「アジアンクィア映画祭」。3回目となる今年も、東京・六本木のシネマート六本木にて、5月20日(金)から29日(日)までの間に計6日間の日程で開催される。レズビアンおよびゲイをテーマにした作品を扱った映画祭としては「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が今年で第20回を迎えるが、アジアのクィア映画に焦点を当てたこちらの映画祭は2007年に創設。隔年で開催され、徐々に話題を呼び、今年で第3回目を迎えることに。過去には、2007年の記念すべき第1回目には、韓国で初めて同性愛者であることをカミングアウトした監督、イソン・ヒイルの作品で、後に日本でも劇場公開されて話題となった『後悔なんてしない』(※映画祭での上映時は『悔いなき恋 −NO REGRET−』)の本邦初上映が行われたほか、第2回では、『台北に舞う雪』にも出演した台湾の人気俳優、モー・ズーイーがゲイの青年を演じた『蓬(よもぎ)の花』が上映された。今年もアジア各国から、話題の長編、短編が集結する中、最大の目玉と言われているのが、アジアの西端、ヨーロッパとの境に位置するイスラエルとフランスによる合作『秘密の祈り』。女子神学校に学ぶ、信心深い2人の若い女性の間に芽生えた愛と友情の錯綜を描いた作品で、イスラエルアカデミー賞8部門にノミネートされた。主人公が惹かれる謎めいた美女を演じるのは、ヌーヴェルヴァーグの旗手フランソワ・トリュフォーのプライベートでのパートナーであり、90年代以降『星降る夜のリストランテ』、『8人の女たち』、そして近年では『パリ、ジュテーム』にも出演したフランスの名女優、ファニー・アルダン。また、短編作品では2008年に日本でも公開されたシンガポール映画『881歌え!パパイヤ』の監督で、「Time」誌の“アジアのヒーロー20人”に選ばれるなど、世界での活躍が期待される若手映像作家、ロイストン・タンがゲイを真っ向から扱った『アニバーサリー』が上映される。短編作品に関しては、長編以上に今後の上映のチャンスが限られるため、この機会に観ておいて間違いはなさそう。長編、短編、中編合わせて30作品。監督や出演者に加え、作品の内容に合わせたゲストを招いてのトークプログラムも開催されるので、こちらも要チェック!第3回アジアンクィア映画祭はシネマート六本木にて5月20日(金)〜22日(日)、および27日(金)〜29日(日)の計6日間開催。公式サイト:■関連作品:881歌え!パパイヤ 2008年8月9日よりユーロスペースほか全国にて順次公開© Courtesy of Zhao Wei Filmsパリ、ジュテーム 2007年3月3日よりシャンテシネ、恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開©Mathilde BONNEFOY / Victoires International 2006 ©Frederique BARRAJA / Victoires International 2006 ©Patrick KLEIN / Victoires International 2006台北に舞う雪 2010年2月20日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開■関連記事:ガールズの熱き戦い!『歌え!パパイヤ』試写会に5組10名様ご招待『台北に舞う雪』チェン・ボーリン インタビュー「“過去”の自分を発見した映画」優しく切ない、珠玉のラブストーリー『台北に舞う雪』の試写会に5組10名様をご招待【TIFFレポート】チェン・ボーリン、名匠フォ・ジェンチイを「一番優しい監督」あの福山雅治が両手に美女で浮かれ気味!?バラ持参で「実に美しい!」
2011年03月09日