「オルセーのナビ派展:美の預言者たちーささやきとざわめき」が2017年2月4日(土)から5月21日(日)まで、三菱一号館美術館にて開催される。本展は、ナビ派の芸術を日本で初めて本格的に紹介する展覧会だ。フランス・オルセー美術館が誇るコレクションから、油彩約60点・素描10点の合計約70点が一堂に会す。前衛的な芸術家グループ「ナビ派」ナビ派とは、19世紀パリで前衛的な活動を行った若き芸術家グループ。ボナールやヴュイヤール、ドニ、セリュジェ、ヴァロットンを中心とする画家たちはゴーガンから影響を受け、自らを「ナビ(預言者)」と呼び、新たな芸術表現を模索した。「ナビ派」の特徴日常生活をフラットな色の面で表す装飾性、そして目に見えないものを描く神秘性といった、日常と神秘をあわせ持つ革新的な芸術活動がナビ派の特徴だ。浮世絵など日本美術からも影響を受けた。中でも、ランソンやセリジエらは夢や祈り、宗教、魔術などをモチーフに取り上げ、ボナールやヴュイヤールは室内や公園、子どもなど身近なテーマを描くことを好んだ。一見控えめで洗練されている彼らの作品は、20世紀美術を予兆する革新性を感じさせる。会場は全6章で構成会場は全6章で構成されている。ナビ派が影響を受けたゴーガンやベルナールらの作例を紹介する「ゴーガンの革命」や、ドニやボナールが好んで描いた“庭の女性”をテーマにした絵画が並ぶ「庭の女性たち」、肖像画や自画像を展示する「心のうちの言葉」、そして夢や非現実、宗教など“目に見えない世界”を描いた作品が登場する「裏側の世界」など。ナビ派の魅力が存分に味わえそうだ。【詳細】オルセーのナビ派展:美の預言者たちーささやきとざわめき期間:2017年2月4日(土)〜5月21日(日)時間:10:00〜18:00※祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで※入館は閉館の30分前まで場所:三菱一号館美術館住所:東京都千代田区丸の内2-6-2チケット:一般 1,700円(前売 1,500円)、高校・大学生 1,000円、小・中学生 500円※障がい者手帳持参者と介添人1名まで半額。※ペア券・前売り券は一般のみ、大学生以下の設定はなし。【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
2016年11月17日「ゴッホとゴーギャン展」が10月8日により東京都美術館にて開催されている。本美術展はファン・ゴッホとゴーギャンという19世紀末に活躍した2人の偉大な画家をその交流からアルルでの共同生活を中心に、作風の変遷を初期から晩年まで辿ることができる、アジアで初めての美術展だ。展示は第1章「近代絵画のパイオニア」、第2章「新しい絵画、新たな刺激と仲間との出会い」では2人が影響を受けた画家の作品や、同時代に刺激しあった画家とのエピソードにまつわる作品があるが、一転して第3章以降の共同生活後はすべて2人の作品のみで構成。10月23日にアルルに到着し、12月25日にゴーギャンが去るまでの2ヶ月に与えあった影響の大きさを感じることができる。時代ごとに展示室の壁面の色が変えられているが、アルルの黄色い家で過ごした当時の作品が並ぶ展示室の壁は鮮やかな黄色だ。また、作品の近くには画商として活躍していたファン・ゴッホの弟テオや画家のピサロやベルナールなどへの書簡から引用したその当時の2人の感情を配し、当時の絵画に対する思いや、お互いへの印象などが来場者にもわかるようになっている。ファン・ゴッホが使用した絵具のなかには耐久性の低いものもあり、近年の研究によって年月の経過や光の影響で変色したり、色が薄れてしまうものがあることも判明。そのため、ファン・ゴッホ美術館では1885年後半以降のファン・ゴッホの絵画に当てる照明を75ルクスに制限している。これは国際博物館協会が油彩画に推奨する照度の150ルクスから180ルクスよりの半分以下だ。そのため、所蔵がファン・ゴッホ美術館以外の作品も含め、本展覧会では低い照度を設定している。会期は12月18日まで。東京都美術館での展示終了後は、2017年1月3日より愛知県立美術館にて巡回展示される。【展覧会情報】「ゴッホとゴーギャン展」■東京会場会場:東京都美術館 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8-36会期:2016年10月8日~12月18日時間:9:30~17:30金曜日、11月2日、11月3日、11月5日は20:00まで※入室は閉室30分前まで料金:一般1,600円、大学生・専門学校生1,300円、高校生800円 、65歳以上1,000円休室日:月曜日、10月11日 ※ただし、10月10日は開室■愛知会場会場:愛知県美術館住所:名古屋市東区東桜1-13-2会期:2017年1月3日~3月20日時間:10:00~18:00金曜日は20:00まで※入館は閉館30分前まで休館日:毎週月曜日(ただし1月9日、3月20日は開館)、1月10日
2016年10月12日「ミュシャ展」が六本木・国立新美術館にて開催される。期間は2017年3月8日(水)から6月5日(月)まで。「スラヴ叙事詩」の全20点がチェコ国外で展示される初めての展覧会だ。チェコの最も有名で重要な芸術家アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)の足跡を追う「ミュシャ展」は、彼が27歳でパリに渡り活躍した時代の作品から、故郷チェコで制作した晩年の傑作までを鑑賞することができる。会場では、約100点の作品に出会うことができる。国立新美術館 開館 10周年・チェコ文化事業ミュシャ展会期:2017年3月8日(水)~6月5日(月)休館日:毎週火曜日(ただし、5/2(火)は開館)開館時間:10:00~18:00 ※毎週金曜日4/29~5/7は20:00まで開館。(入場は閉館の30分前まで)会場:国立新美術館 企画展示室2E住所:東京都港区六本木7-22-2■通常券(チケット情報)観覧料(税込)当日券 前売/団体・一 般1,600円/1,400円・大学生 1,200円/1,000円・高校生 800円/600円※中学生以下無料※団体は20名以上※障がい者とその付き添いの方1名は無料(入場の際に障がい者手帳などを提示)【問い合わせ】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600ミュシャ展をガイド国立新美術館での展示は、大きく5つの展示に分かれている。入り口からすぐに現れるのが「スラヴ叙事詩」のゾーン。全20作品をすべて鑑賞できる素晴らしい展示会場だ。その中でも、スラブ叙事詩の奥の5作品が飾られているゾーンは、一般の撮影も可能となっている。展示作品は「スラヴ民族の賛歌」、「ロシアの農奴制廃止」、「スラヴ菩提樹の下でおこなわれる オムラジナ会の誓い」、「聖アトス山」、「イヴァンチツェの兄弟団学校」だ。ミュシャとは?アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。正式な名前はアルフォンス・マリア・ムハ(Alfons Maria Mucha)。フランス語では「ミュシャ」と発音され、日本ではそちらの方が有名だ。ミュシャは、1860年、現在のチェコ共和国にある南モラヴィア地方の中心都市ブルノの近郊で生まれた。南モラヴィア地方は100km2に7つのユネスコ世界遺産を有し、ワインの名産地として知られる場所だ。幼少期と青年期をこの地方で過ごし、27歳でパリに渡る。伯爵の援助を受けて、パリのアカデミー・ジュリアンで絵画を学んでいた若き学生の頃は、なかなか才能が認められない時期があった。援助が途絶えると、ミュシャはポスターやグラフィック、本の挿絵を手掛けることで生計を立てるようになる。転機となったのは、ミュシャが34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけたことだ。一躍成功をおさめた。そして、その優美な作風は次第に多くの人々を魅了するようになる。どこか神秘的でありながら、美しい女性像、繊細な植物文様、エレガントな装飾パネルは、彼の後を追うアーティストに、大きな影響を与えた。晩年、ミュシャが拘ったのは、ルーツである故郷のチェコ、そしてスラヴ民族のアイデンティティであろう。彼はそこに根差したテーマの作品を次々と発表していく。50歳で故郷チェコに戻り、《スラヴ叙事詩》の制作に着手。約16年間もの時間を捧げ、1928年プラハの見本市宮殿にて展示した。1939年、79歳でプラハにて死去した。スラヴ叙事詩全20点が初めてチェコ以外の国で公開目玉となるのは、およそ縦6m×横8mにもおよぶ巨大な油彩画全20点で構成される傑作《スラヴ叙事詩》だ。50歳でチェコに戻ったミュシャが、故郷に対する強い想いに駆られ、後半生を賭けて制作した。古代から近代に至るスラブ民族の歴史が象徴的に描かれており、チェコの宝として今まで国外に出ることはなかった作品だ。全20作がチェコ国外で公開されるのは世界初となるため、注目が集まる。スラヴ叙事詩展示風景動画も《スラヴ叙事詩》という巨大な作品は、どのように展示されたのか。その模様を収めた動画も公開。作品は丸められて運ばれてきて、それを広げ、フレームにロープでくくりつけている。最後に、数人がかりで作品を起こし、展示している。作業している人たちの背中には「ミュシャ団」の文字が。和気あいあいとした展示風景だ。会場1「ミュシャとアール・ヌーヴォー」1894年のクリスマス。印刷業者ルメルシエが、女優サラ・ベルナール主演によるルネサンス座の舞台「ジスモンダ」のポスター制作を急遽ミュシャに依頼したことがきっかけで、彼は有名になる足がかりを掴んだ。サラ・ベルナールの信頼を勝ち得たミュシャは、その後も《ロレンザッチオ》(1896年)や《メディア》(1898年)、《ハムレット》(1899年)、《トスカ》(1899年)など、ベルナールの舞台の宣伝ポスターや商業ポスターを手がけている。ほぼ等身大の崇高な雰囲気のあるポスターは、ミュシャを著名な画家へと押し上げた。会場2「世紀末の祝祭」ミュシャはポスターやグラフィックだけではなく、建物の装飾も請け負っていた。代表的なのは、1910年にはチェコの社会や文化の中心として建設された市民会館。その「市長の間」の装飾は、ミュシャが行っている。円形の天井には、天国の情景や天国を遠くに望みながら集まる人々の姿、それに影を落とすように羽根を広げ飛翔する鷲の姿が描かれた。天井は8つの穹偶よって支えられ、その上部には市民の徳を擬人的に表現したチェコの歴史上の人物像が描かれている。当時、チェコはオーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあったが、1918年、市民会館は、チェコスロヴァキア共和国が独立を宣言した舞台となり、国家の象徴としての役割を果たすこととなる。会場3「独立のための闘い」ミュシャが故郷を想って制作した作品たちミュシャの晩年の作品は、新生国家チェコスロヴァキアの依頼を受けて制作されたものが多い。紙幣や切手のほかにも、白獅子の国章、警官の制服、聖ヴィート大聖堂のステンドグラスなどもデザインした。そして、この新興国の発展に尽力すべく、切手、紙幣、国章、警官の制服などのデザインは、全て無報酬で手がけた。ミュシャが自身の故郷や民族を意識して制作した作品の数々。故郷も含めて、小国が独立を求める闘いの時代であった1900年代初頭において、ミュシャはチェコ国民の文化的な支えであり続けたのだろう。チェコスロヴァキア独立10周年記念ポスターを制作するなど、ミュシャは国民の民族自決の長年にわたる闘いに有終の美を飾っている。会場4「習作と出版」カタログの表紙、素描など最後のゾーンとなる「習作と出版物」では、細やかな装丁や挿絵、カタログの表紙などを展示。ミュシャは晩年、《スラヴ叙事詩》と並行して、スラヴの人々をモデルにした習作やデッサンを数多く描いた。人物の服装や表情に対する彼の注意深い観察は、デッサンの時点で伺うことができる。展覧会概要国立新美術館 開館 10周年・チェコ文化事業ミュシャ展会期:2017年3月8日(水)~6月5日(月)休館日:毎週火曜日(ただし、5/2(火)は開館)開館時間:10:00~18:00 ※毎週金曜日4/29~5/7は20:00まで開館。(入場は閉館の30分前まで)会場:国立新美術館 企画展示室2E住所:東京都港区六本木7-22-2■通常券(チケット情報)観覧料(税込)当日券 前売/団体・一 般1,600円/1,400円・大学生 1,200円/1,000円・高校生 800円/600円※中学生以下無料※団体は20名以上※障がい者とその付き添いの方1名は無料(入場の際に障がい者手帳などを提示)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
2016年09月01日ダッソー・システムズ(ダッソー)は6月2日、同社の年次イベント「3D EXPERIENCE FORUM 2015」の開催に先立って記者説明会を開催し、同社の3D Experience Platform上であらゆるアプリケーションの運用を可能とする「パワーバイ」を発表した。「パワーバイ」は、CATIAやSOLIDWORKSだけでなく、シーメンスPLM(シーメンス)、PTC、Autodeskなど競合他社のアプリケーションのデータを3D Experience Platform上に取り込み、編集したり社内で共有することを可能とする機能。自動車の開発を例に上げると、ダッソーのCATIAで設計したボディと、シーメンスのNXで設計したエンジンを組み合わせて編集するといったことができるようになる。これによって、部門や部品ごとに違うシステムを用いている場合でも、関係者間の連携が取りやすくなり、製品の開発を加速させることができる。また、ユーザーインターフェースはダッソーが力を注いだポイントの1つだ。具体的にはBOMを樹形図で見やすく表示したり、データの検索機能、操作方法など、コラボレーションを円滑にするためのさまざまな工夫がなされている。説明会で登壇したエグゼクティブ・バイス・プレジデント 最高戦略責任者 モニカ・メンギニ氏は「どのように見え、どのように動くかを統一することで、さまざまなシステムを同じように使えるようにする」と解説した。つまり、普段はNXに慣れている人でも、違和感なくCATIAのデータを扱えるように、という配慮だ。同じく説明会で登壇した同社の社長 兼 最高経営責任者 ベルナール・シャーレス氏は「設計部門ごとにさまざまな種類のアプリケーションを使っているため、コストが高くつき不具合も発生している。(共通のプラットフォームを用いることで)認証規格などへの対応ミスを減らし、不具合やリコールを減らすことができる」と「パワーバイ」のもたらす価値を解説した。
2015年06月03日画家のポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)は、1848年6月7日生まれ。フランス・パリ出身。1903年5月8日逝去。父は熱烈な共和主義者のジャーナリストだったが、革命後の不安定な政府による弾圧を恐れ、ポールが生まれてまもなく一家で南米ペルーに亡命。その父はポールが1歳になる前に急死し、残った母子は1855年、フランスに帰国した。その後航海士や海軍兵を経て、今で言う証券会社に就職。結婚し、5人の子供に恵まれ、趣味で絵を描くという何不自由ない生活を送っていたが、株式市場の暴落を経験して心境が一転。画家への道を志す。1886年よりブルターニュ地方のポン=タヴァンでエミール・ベルナール、シャルル・ラヴァルらと制作活動を行い、ブルターニュ原理主義(ポン=タヴェン派)を形成。また1888年には南仏アルルでフィンセント・ファン・ゴッホの誘いを受け共同生活を試みる。しかし、強烈な個性は何度となく衝突。ゴッホの耳切り事件などもあり、わずか2ヶ月で共同生活は破綻する。1889年、パリ万国博覧会で絵画史上最初の象徴主義展開催。象徴主義の画家達伊との交流を深めたが、1891年、ベルナールと喧嘩別れをした後、楽園を求めタヒチへ。その後、貧困や病気のために一度帰国するが、1895年に再訪すると没するまでタヒチへ留まった。彼の作品はファッションデザイナ0に度々インスピレーションを与え、「アキラーノ・リモンディ(AQUILANO・RIMONDI)」の14SSコレクションは、ゴーギャンが描いたタヒチの女性達がモチーフ。また、「ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul GAULTIER)」00SSメンズコレクションのテーマは「ほろ酔い気分のゴーギャン」。彼の絵やタヒチの情景、気分を取り入れた服を発表した。
2014年06月07日ティルダ・スウィントンが、ファッションを題材にしたSFショートフィルムに出演することになった。ティルダは、ガリエラ美術館館長オリヴィエ・サイヤールが主催する最新ファッションパフォーマンス「ジ・インポッシブル・ワードローブ」のリハーサル中に、パリを拠点とする写真家・アーティストのカトリーナ・ジェブが手がける短編映画『The Future Will Last a Very Long Time』(原題)に出演するという。「WWD」の報道によれば、同作でティルダは白のグローブとハイヒールに白衣姿で登場するそうで、9月29日から10月1日(現地時間)にかけて開催される「パリ・フォール・フェスティバル」で毎晩上映されるという。劇中でティルダはガリエラ美術館の歴史アーカイブに目を通しながら、アメリカの作家ナタリー・クリフォード・バーネイが以前所有していた「マドレーヌ・ヴィオネ」のドレスなど、ファッション史に残る作品の数々を発見していくという筋書きになっているとのこと。中にはナポレオン・ボナパルトやサラ・ベルナールなど歴史的偉人のイメージをティルダに重ねるという描写もあるようだ。エキセントリックなデザイナー服を好むことで有名なティルダだが、自身をイメージキャラクターに起用してくれるデザイナーたちがいることを「幸運なこと」だと語る。「私にとっては、ドレスの入った箱をカッターで開けるようなことなのよ。古いコーデュロイパンツで登場したような私に、私のためにドレスを贈ってくれるような友達がいて本当に幸運なことだと思っているの。まるでシンデレラのようよ。私自身ではなく、ほかの友達の努力の結晶なのよ」。■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010ムーンライズ・キングダム (原題) 2013年公開© Focus Features
2012年08月01日