今回のテーマは「老後貧困」です。何だか物々しいタイトルですが、老後資金対策を行っていなかった為に、カードローンで凌ぎ、結果借金地獄の様な日々を送る方の話を聞いた事があります。結果返済不能に陥り、破産宣告して老後破産に繋がっていきます。この話は現実に起きている話で、決して他人事ではありません。いつどうなるのか分からないのが人生です。老後お金で困る事が無いように、今から出来る対策を解説していきますので、出来る事から始めていって下さい。「老後不安」の原因と問題点今回のテーマに沿って解説するに当たり、先に原因と問題点についてお話したいと思います。そもそもですが、老後が不安だなと感じる様になったのは、いつ位からでしょう?人によってバラバラではありますが、私はバブル崩壊後からお金に関する問題に気付き始めた様に思います。かつて日本は好景気でした。老後を迎えた高齢者や中高年の方々はバブルの恩恵を知っている方達だと思います。しかし好景気はいつまでも続かず、1990年代にはバブル崩壊となり、一転不景気となり今に至ります。バブル期の金利は今では考えられない程の利率となっており、ゆうちょの10年定期預金で約8%もの金利があったそうです。私はこの金利の高さが原因であると考えています。元本保証&高金利という問題がお金の事を考えなくなった一つの要因ゆうちょで8%という事は、単純計算でも約9年で預入金額が倍になる計算です。しかも日本円ですので、元本は確保されている事になります。今の時代こんな金融商品があったら、皆さん預けますよね。何も不安はありませんよね。不安が無いという事は、お金を増やす方法なんて考えなくて良い訳です。簡単にゆうちょに預けておけば9年間我慢するだけで倍になりますから。この事が一生続くと誰もが思っていたのかもしれませんが、結果今ではどの金融機関でも0.001%の預金金利です。真剣に考えなければならなくなりましたが、これまで元本保証に依存してきたツケが回ってきました。そして金融商品に関する知識が無いので無難な保険に移行する事になるわけです。私はこの金利の高さがこそが安心と思い込み、不安を解消し、別の手を考えなくなった原因だと思います。保険も万能では無い!過去に保険会社も倒産しているバブル期において、金融機関の一角を担う保険会社も利率の高い商品が沢山ありました。今でも保有していらっしゃる方はお宝保険として持っておくべきでしょう。保険は将来の解約金を契約時に約束しますので、ある一定期間保有しておけば、かなりの解約金になるものもありました。しかし、バブルが崩壊すると同時に保険会社に解約が殺到。しかも高利率を謳っていましたが、その利率での運用が厳しくなり、最終的に経営破綻へと繋がります。この高金利が悪い意味で作用してしまったという事ですね。今では各保険会社もそうですが、財務内容等含め健全に運営されているか等厳しいチェックを受けています。今では保険も低利率となり、預けるメリットが殆ど無い状態にまで陥っています。中には商品の販売停止をしている保険会社もある位です。それ位今の時代は円で、元本保証で資産を増やす事が厳しい時代になったという事です。原因と問題点のまとめまず、原因を整理すると、次の様に解説する事ができます。高金利の恩恵に与っていた為、円建て一本で資産分散をしてこなかった情報や知識が無い為、バブル崩壊後も何か新しいものに手出しする事が出来なくなった元本保証への過剰な依存ではこの原因がどんな問題を引き起こすのかというと、次の様に考えられます。私達はお金の勉強をこれまでしてきませんでした。と言うより、する必要が無い時代があったからです。しかも日本はお金の事を話すと嫌がられる文化でもあり、中々誰にも相談出来ない時代だったと思います。また、親や祖父母の世代では資産運用している人はかなり少数だった様に思います。つまり元本保証に依存している事をそのまま子供世代にも伝える為、金融教育の機会が無かったと考えています。この問題を解決しなければ、先々日本は子供の世代が苦しむ事にも繋がってくるのではないかと危惧しています。これが私が考える問題点であり、冒頭の老後破産等に繋がってくると思います。現実的な対策は?では具体的にどんな対策を講じればいいのでしょうかという事になりますが、いきなり「〇〇の株を買え」とか「△△を始めろ」と言われても、行動できませんよね。では今すぐできる事は何があるのかをこれからポイントとして解説していきますので、ぜひ参考にして下さい。尚、今回のポイントに関してはFPである私も実践している事なので、真似事でもいいので始めてみて下さいね。[adsense_middle]貧しい老後を送らない為のポイント①情報取集から始める基本の部分ですが、お金を上手に増やすための情報収集から始めてみましょう。実際に様々な金融商品をチョイスするのは後で構いません。例えばですが、皆さんはご自宅の物件(持ち家や賃貸)を決める時に、いくつか不動産屋や住宅展示場を回りませんか?数ある物件やメーカーから条件の良い場所や値段、広さや快適さを求めて探し回ると思います。お金を増やす事も住まいを探す事も同じ事なんですよね。結果自分に返ってくる事になりますので、真剣になって、場合によって妥協点を見出しながら決めると思います。「分からない、知らない事」を「分かった!知っている」に変えてあげる作業になります。お金の勉強をするツールは雑誌、ネット、セミナー等様々ありますが、勉強方法は人それぞれです。対面で話を聞きたい、会話で学びたいのであればセミナーを受講するのが近道でしょう。先に知識を得たいと思う方は、雑誌やネットで気になるワード検索で調べる事が近道だと思います。このマネタスに掲載されている記事は全てFPが書いています。分かりやすい構成になっていると思いますので、参考になれば幸いです。但し情報収集は一時的に終えるのではなく、絶えず行っておく事が大事だと思います。継続は力なりですね。貧しい老後を送らない為のポイント②お金を貯める癖を付ける次のポイントとしてお金を「貯める癖」を付けましょう。貯める事が得意な方は飛ばして下さい。私もクライアントを抱える仕事をやっていますが、新規クライアントさんで、お金がどうしても貯まらないという方にお会いする事があります。貯まらない理由はいくつかあります。どうしても使ってしまう、収入自体少ない、カードを使う事が多いので支払いが増える等です。ここで私の実例を元に貯まる癖を解説しますので、出来そうであれば実践してみて下さい。私の実例私も新社会人になってお給料を貰う様になってから、中々貯まりませんでした。2年位経過した時にお付き合いした方と話し合って、一緒に毎月積立をするという取り決めを行い、給与口座とは別に定期預金の口座を開設しました。これまでは給与口座一つで管理していましたが、別に貯蓄口座を設け、そこに給料日になったら必ず2万円を通帳に入れる様にしました。そして記帳された通帳を彼女にも見せていました。最初はストレスがありましたが、3カ月も経てば6万円も貯まっているので、貯まる事が嬉しかったのを思い出します。この方法の利点は次の様になります。給与口座と分ける事で「使っていいお金」と「貯めるお金」の住み分けが出来た事記帳する事とその事実を別の人にも見せる事で管理しあう事定期預金なので、引き出す際の手間がかかるので簡単には引き出さない事以上3点です。この様に誰かがいれば管理しあえますが、周りに誰もいない場合は独自でやる必要があります。その場合、親に仕送りのつもりで送金するとか手の届きにくい所にお金を預ける事がポイントになります。3ヶ月も続けば習慣になってきますので、まず出来そうな金額を決めて無理のない範囲で始める事も一つの習慣化でしょう。貧しい老後を送らない為のポイント③収入に見合った割合の金額を貯めるこれは先程の実例にも書いた様に、無理のない範囲という点が一つのポイントになります。もう一つのキーワードとして「貯める」と書きましたが、貯める癖が付いてきたら、いよいよ金融商品の出番です。この点は後程解説しますが、まずは無理のない、続けられる金額にしておく事が大事です。いきなり月5万円や10万円などは、かなり生活に制限をかけなければならない金額になりかねません。友人や会社の方々との付き合い、彼氏、彼女との交際などお金が必要になってくる場面も出てきます。何度も言いますが、無理は禁物です。続ける事が大事であるという事を憶えておいて下さい。そして、収入の何割を貯蓄に回すかという事ですが、最初は1割で構いません。最低1割は貯められる様にしてみて下さいと言った方が正しいかもしれません。いきなりハードルを上げてもきついですし、低いハードルで継続できる事を実証しましょう。これが続けば1.5割、余裕が出来れば2割まで持っていければいいですが、お給料との兼ね合いもありますので、スタートは1割から始めてみて下さい。貧しい老後を送らない為のポイント④自分年金を作ろう貯める癖がついたら、いよいよ自分年金を作っていきましょう。年金は国が面倒をみてくれますが、国をアテにしない自分だけのオリジナル年金です。ポイント①で情報収集した自分の性格に合った金融商品で、ポイント②③で貯めるお金の一部を自分年金に回します。この場合、貯める=元本保証の預金ですが、自分年金は増やす事を意識します。それが保険の個人年金なのか、外貨預金なのか、投資信託なのかは個人の価値観に合う商品が望ましいです。何故なら、先程も言いましたが、続ける事が大事だからです。預金以外の金融商品は短期であればあるほど元本割れを起こします。それでは意味がありませんので、長きに渡って継続できる商品にしておきましょう。参考までに、投資信託ではネット証券を利用すると100円から投資する事も可能です。「やってみたいけど少し怖いな」と言う方は少額でもいいので、触れてみて下さい。増えている実感が湧けばいつでも金額変更する事は可能ですよ。老後貧困に関するまとめ今回は老後貧困にならない為にという事で、貯める方法・増やす方法の初歩に関して解説してきました。やるべき事を早いうちからやっておかなければ、誰も助けてはくれません。国や会社もアテには出来ない時代です。自分の身は自分で守る意識がとても大切ですし、出来ない理由より、出来る理由を探し、少額でもいいので一歩を踏み出してみて下さいね。
2020年01月22日iDeCo (イデコ)は「もう一つの年金」とも呼ばれます。ただ、専業主婦の方からすると「所得控除がないからiDeCo (イデコ)に加入しても意味がないでしょ?」と思われているかもしれません。本記事では、専業主婦の方がiDeCo (イデコ)に取り組むことのメリットについて考察します。※本記事での専業主婦(主夫)とは、課税される所得がない専業主婦(主夫)を指しています。以下、専業主婦で統一します。専業主婦とiDeCo (イデコ)の所得控除の効果iDeCo (イデコ)のメリットの一つは、掛け金が全額所得控除になるという点です。そのため、掛け金と所得が多い人によっては、生涯で900万円以上もお得(節税)になるという、大変に有利な制度です。ただ、本記事の定義する専業主婦は課税所得がない方です。そのため、iDeCo (イデコ)のメリットの一つ、掛け金が全額所得控除(※1)になる、がまったく効きません。そもそも所得にかかる税金がないのですから、こればかりは仕方がありません。(※1)掛金が全額所得控除:大変に乱暴に言うと、掛け金に応じて税金が返ってくるということ。本来減るお金が返ってくるのだから、当然良いこと専業主婦は所得控除がないから、する意味がない。は大間違い?それでは、専業主婦の方はiDeCo (イデコ)に加入するメリットと意義がないのでしょうか?筆者はそうは考えません。なぜなら、iDeCo (イデコ)最大の目的は老後のための資産形成にあるからです。iDeCo(イデコ)に加入する気がない専業主婦も、老後にいくらかかるのか、ザックリ計算してみましょうちょっと簡単な計算をしてみたいと思います。いま、女性の4人に一人はおよそ100歳まで生存します。今後はもう少しづつ伸びていくかもしれません。仮に65歳から、世帯の収入がなくなったとします。すると、100歳までは35年ほどあります。公的年金が、執筆時点の一般的な世帯では22万円(※2)くらい受け取れます。ですが、将来的には、現在価値で13万円くらいにまで減る(※3)かもしれません。(※2)公的年金が世帯平均で22万円:これは、あくまでも平均で22万円という「高い」数字です。誰もが22万円を受け取れているわけではありません。個別相談などをお受けしていると、22万円に届いていない世帯は多いものです。おそらく、今後の「私たち」にとっては「受け取れる年金額はほぼ確実に減っているだろう」という心構えで臨むことが重要かと思います。(※3)公的年金が減る:可能性としては大いにあります。そのためにiDeCo (イデコ)やつみたてNISAなどの、自分の老後のお金は自分で用意する制度が非課税で優遇されているのではないでしょうか。あなたはどう思いますか?仮に、Aさんの世帯が65歳から、毎月30万円の生活費で生活していたとします。そして、公的年金が18万円だったとします。そうすると、12万円毎月足らないということになります。どうしたら生活ができるでしょうか?答えはカンタン。貯金を毎月12万円取り崩せばよいですね。では、65歳から100歳までの35年間ではいくらあればいいでしょうか?12万円×12か月×35年=5040万円正解は5,040万円です。この金額は、ちょっと普通では用意できません。特に低金利の現在、そして未来においても厳しい数字です。どうしたら良いでしょうか?その答えの一つがiDeCo(イデコ)です。専業主婦がiDeCo (イデコ)をしても節税にならないのは間違い!その他のメリットの考え方iDeCo (イデコ)は普通の銀行口座や、証券会社の口座とは違う大きなメリットがあります。運用益が非課税で再投資される特に専業主婦の方にとって大きいのはこの「運用益が非課税で再投資される」です。これはとてもすごい効果があります。下記シミュレーション記事では、数百万円~1,400万円までの節税効果も算出されました。専業主婦がiDeCo(イデコ)をするメリットの理由①iDeCo (イデコ)で投資をすると、通常の証券会社での口座・ロボアド・ラップファンドより絶対にお得この、「運用益が非課税で再投資(※4)される」は、どこの証券会社の通常口座で資産運用を行うよりもお得です。(※4)非課税で再投資:お金は雪だるま式に増やすのが効率が良い。複利効果という。そうである以上、最も有利なのは、非課税で再投資されるiDeCo (イデコ)ということになる。なぜなら、通常口座では税金が一般的に利益のおよそ2割も引かれてしまうからです(仮に利益が1000万円ならおよそ200万円も引かれてしまう)。それが、非課税で、しかも再投資されます。また、どこのロボットアドバイザーやラップファンドで行うよりも、やはり有利です。なぜなら、ロボットアドバイザーやラップファンドに任せると、コスト(※5)が一般的に年1~3%かかります(プラス信託報酬が別途かかる)。もちろん、税金も普通に課税されます。ダブルパンチです。つまり、iDeCo (イデコ)よりも効率が良くありません。(※5)コスト:資産運用の世界においては、コストは利益を押し下げるだけの、ただのマイナス要因。例えば、読者の方が百万円を私に渡して、運用を任せたとします。コストとしての3万円が私のお財布に入ります。そうすると、97万円から運用が始まります。にもかかわらず、世界の株価と私の頑張り・なまけ具合は全く関連性がありません。そうである以上、自分で100万円のままコストを抑えて運用したほうが、どうしたって運用成績は改善します。もちろん、合理的な投資対象で、合理的な運用をすることが前提です。詳しくは、このマネタス内の関連記事をいろいろとお読みいただければ幸いです。ですから、資産運用をお考えであれば、iDeCo (イデコ)は選択肢としてトップにあるべきではないでしょうか。このように、税制面での有利さを最大限に引き出すのが専業主婦の方もiDeCo (イデコ)を行うメリットの理由①です。ちょっと確認!iDeCo (イデコ)で専業主婦の掛け金の上限はいくら?それでは、ここで専業主婦の方のiDeCo (イデコ)の掛け金上限がおいくらなのか、確認をしてみましょう。それは、毎月2.3万円です。年間27.6万円ですね。専業主婦の掛け金上限は、毎月2.3万円専業主婦がiDeCo (イデコ)をするメリットの理由②限度額を夫婦の合計で上げる(夫の所得控除のメリットは生かせる)先ほどの「運用益が非課税で再投資される」を最大限に使うには、専業主婦の方もiDeCo (イデコ)を行うことが重要です。仮に夫の会社に企業年金がない場合、夫のiDeCo (イデコ)の毎月の掛け金限度額はやはり2.3万円です。このケースで夫が20歳から60歳まで、毎月2.3万円を拠出し、平均利回り5%で60歳まで行ったとします。そうすると、シミュレーション上はおよそ3,500万円くらいです。前述の老後の生活費5000万円までまだ足りません(現実的にはその他の預貯金や退職金もありますが)。どうしましょうか?普通の証券会社の口座で行う?課税されてしまいます。それでは?そう、専業主婦の方の限度額2.3万円が残っていますね。もし、妻も20歳から60歳まで、毎月2.3万円を拠出し、平均利回り5%で60歳まで行ったとします(相当金融リテラシーが高い世帯でないと20歳から二人とも行わないかもしれませんが)。すると、二人の合計は?・3,500万円くらい×二人=7,000万円くらいこれなら、65歳から毎月12万円ずつ取り崩しても、100歳までなんとかなるのではないでしょうか。このように、世帯全体での掛け金額を上げることが、専業主婦の方もiDeCo (イデコ)を行うメリットの理由②です。平均利回り5%:とても高い数字です。みんながこうなるとは限りません。一般的にリスクとリターンはおおむね比例すると考えられます。そのため、リスクを恐れて、預貯金や債券を中心にしていては長期分散投資をしても平均1%程度かもしれません。ファイナンシャルプランナーの使う期待リターンを求めるソフトなどを使っても、低リスクすぎると、やはりその程度になりがちです。まとめ専業主婦がiDeCo (イデコ)を行っても、課税所得がない場合、所得控除メリットはない専業主婦がiDeCo (イデコ)をすれば、運用益非課税で再投資されるのメリットがある世帯で専業主婦もiDeCo (イデコ)に取り組めば、やっぱり一番お得に資産形成ができる今回は、専業主婦がiDeCo (イデコ)を行うメリットについて考察してみました。もちろん、現実的には「毎月出すお金がない」などの問題が常に付きまといます。しかし、いま「お金がない」ということは「老後はもっとない」可能性があります。本当に難しい問題ですが、できるだけ早いうちに改善策を見い出したいところです。「未来のあなた」を助けるのは、やっぱり、「いまのあなた」なのかもしれません。
2019年02月22日