人気コミック映画化で話題の『ソラニン』。3月25日(木)、本作のプレミア試写会にこの春、卒業を迎える卒業生500人が招待され、本作に出演する宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一(サンボマスター)、監督の三木孝浩、そしてサプライズゲストとしてメインテーマを歌うASIAN KUNG-FU GENERATIONが登壇し、会場大興奮の舞台挨拶を行った。ハイカットスニーカーにショートパンツ、ポニーテールというカジュアルスタイルの宮崎さんを先頭に、登壇メンバーが客席の間を通り抜けて登場すると、会場はたちまち大歓声。この日の観客は卒業生が中心ということで、キャストそれぞれが「卒業おめでとうございます」と呼びかける中、現場でもムードメイカーだっという近藤さんは、グレー、紺のジャケットを着た高良さん、桐谷さんを横目に「本日は晴れの舞台ということで衣裳を選んできましたが、みなさん意外と地味で…僕だけ頑張っちゃった感じですね(笑)」と、早速場を盛り上げた。この日、劇中に登場する歌「ソラニン」を作曲したASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)と、劇中で同曲を歌う宮崎さんは初対面。「本当に素晴らしい曲だったので、私が歌うことで壊しちゃったらどうしよう…と思い、恥ずかしくないように歌わないと!と思いました。ラストのシーンは種田のことを想いながら、いない種田に想いが届くように歌ってました」という宮崎さんの褒め言葉を聞いて、アジカンのボーカルを務める後藤正文は「嬉しいの一言です。録音すれば良かったです。着ボイスにしたかった…」とやや緊張気味(?)ながらも喜びをコメント。「自分が作った歌を誰かが歌うというのは恥ずかしい気もしますが、素晴らしいシーンで歌ってもらえるというのはスゴイことだなと思いました」と感動を語った。そして、“卒業”に因んで、各々に「卒業」や「新しい一歩」についてエピソードを披露。宮崎さんは「昨年24歳になり、いままで悩むことがなかった私がお芝居について悩むようになりました。でも、それだけ好きということだと思います。つい最近のことだと、ウクレレを始めました!ちょっと上達して、歌って弾けるようになりたいと思います」と新しい趣味を明かしてくれた。対して男性陣は、まず高良さんは高校の卒業式について、「熊本の高校に通っていて、CMの仕事が決まったのですが、卒業式に出たくて仕事を断りました。役者としてはダメな選択かもしれませんが、高校の卒業式は人生に一回なので…つまり、後悔はしていない。みなさんもそういう卒業式を迎えてください」と静かながらも熱いメッセージを。桐谷さんは「20代を卒業しました。三十路です。世界に出ます!デカいことをやります。英語は全然しゃべれないですが…勉強してます!」と宣言した。そして、劇中で演じる役柄と同じく大学に6年間通っていたという近藤さんは「同級生も後輩も先に卒業して…サンボマスターのドラムの木内は同級生なんですが、送る立場はつらかったな」と思い出を語ると、アジカン後藤さんも、「僕ら(アジカン)も大学の同級生ですが、喜多くんは1年目に単位0。一人だけ卒業出来なくて…テスト受けないと0になるので、テストは受けましょう」と卒業生にアドバイス(?)。因みにこの発言に対して、横で「俺、4単位だった…」とツッコム近藤さんに会場は爆笑。三木監督が、「(レコード会社に)会社員として残るか、映画監督を目指すのかとても悩んだ時期がありまして…でも最終的には自分の思いを信じたことによって、いまここに立てていると思うので、良かったと思います」と上手くまとめ、最後に「これから様々な壁にぶつかるときもあると思いますが、へこんだ自分やイヤな自分と向き合って、目の前の壁を登って、前に進んでほしい。大人になっても悩むことはたくさんあると思いますが、そのときはこの映画のことを思い出してほしい」という宮崎さんのエールで盛り上がる舞台挨拶は締めくくられた。『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。シネマカフェSweet「『ソラニン』 素晴らしきマンガワールド特集」■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会写真:太田好治■関連記事:浅野いにおインタビュー原作者が明かす大人気マンガ「ソラニン」映画化の“奇跡”マンガから生まれた素晴らしき世界『ソラニン』マスコミ用パンフレットを5名様にプレゼント『ソラニン』演奏場面のメイキング映像解禁男たちを見守る宮崎あおいの表情にキュンサンボマスター近藤、宮崎あおいの隣での演奏とバンドでの現実のギャップに苦悩?浅野いにお描き下ろし『ソラニン』のもう一つの物語がビッグコミックスピリッツに掲載
2010年03月25日現在、シュールにしてディープな大ヒットコミック「おやすみプンプン」を絶賛連載中の、人気漫画家・浅野いにお。緻密かつ美しい作画と、リアルな若者像を鮮烈に描く彼は、次世代を担う漫画家の一人として幅広い世代から注目を集め続けている。そんな浅野さんが2005年〜06年にかけて執筆した傑作コミック「ソラニン」が、浅野作品としては初の映画化。主演に宮崎あおいを据えた豪華キャストも話題だが、原作へのリスペクトが一貫して感じられる作風にも注目したい。「ソラニン」タイトルのヒントはアジカン「ソラニン」の種田をどことなく想起させる、シャイでスタイリッシュな風貌。細身のパンツをさらりと着こなす浅野さんは、一昔前の“漫画家”のイメージとは多くの意味でかけ離れている。「喋るのは苦手なんで…」と言いながらも、淀みなく繰り出される言葉の数々は、ことごとく的を得ていて、しかもかなり面白い!実は連載当初から「映像的な見せ方を意識していた」という「ソラニン」だが、映画化の一報を聞いたときは「やっぱりすごく嬉しかったです」と素直な喜びを吐露。「『ソラニン』は、漫画らしい漫画を描くのはやめようと思った時期なんです。なので、あえて引きの絵を多く使ってみたりして。ただ当時の僕は、ほとんど無名の状態だったので、映画化への期待はしないようにしてました。それがこんなすごいキャストで、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)さんに曲まで書いてもらえて…。本当に自分は運がいいなと思います。最初から『こうなればいいな』と秘かに思ってたことが、いちいち叶っていくから」。もともとアジカン好きを公言している浅野さんだが、「ソラニン」というタイトルにもアジカンが大いに絡んでいたとか。「当時付き合っていた彼女が、“次のアジカンのアルバムは『ソラニン』っていうタイトルらしいよ”って言ったんです。そのとき、すげ〜いいタイトルだなぁ、でもアジカンが使うなら勝手に使えないなと思っていたら…実際出たアルバムは『ソルファ』だった(笑)。彼女がどうしてそう思ったのかは、いまだに謎ですけど。それで“ソラニン”の意味(※ジャガイモの芽などに含まれる毒素)も調べて、さらにいいな!と思ったので使わせてもらったっていう。出来過ぎた話のようですけど、本当のことなんです」。そんな嬉しい奇跡が積み重なった本作。スクリーンには原作への愛と、限りないリスペクトが充満するが、意外にも「なかなか最初は客観的に観られませんでした」と言う。「いまの時点で3回観てるんですけど、やっと少し客観性をもって見られるようになってきました。最初に観たときは、芽衣子が種田に言う(原作通りの)セリフが『結構きついこと言うな…』とか(笑)。むしろ原作にない映画ならではのシーンは、手放しに面白くて。例えば加藤が楽器店で、中学生相手に説教するシーンなんか、最高でしたね。逆に自分の息がかかっているシーンを見ちゃうと、妙にソワソワしちゃうというか。全部、自分に降りかかってくる感覚があって、感想を求められてもうまく言えなかったんです。でもいまになって思えば、山場のライヴシーンもすごく重要だと思うんですけど、そこに至るまでの何でもない日常の部分がすごくいいなと。やっと、感想らしきものが言えるようになってきました」。ちなみにあるライヴシーンでは、浅野さんがカメオ出演している1シーンがあるので、そちらも見逃すなかれ!(「立っているだけなのに、三木監督から動きがカタいと言われました…」とのことですが)ある日届いた不思議なファンレター…今回の「ソラニン」の映画化はもちろん、「おやすみプンプン」が巷で大評判を呼ぶなど、いま、最も勢いのある漫画家であるはずの浅野さん。だが本人は「全く実感ないんですよねぇ。青年誌(※『おやすみプンプン』を連載している『ビッグコミックスピリッツ』)って、そういうファンレター的なものもあんまり来ないし…(!?)」と、あっさり。「『ソラニン』を連載してた頃は、それでも女の子からキラキラした感じの手紙とか、人生相談みたいなものも来てたんですけど、『プンプン』やり始めてからは、一向に…。あ、一度、男性の方から木の板が届いて“これに木彫りでイラスト書いてくれ!”って(苦笑)。これ、どうすりゃいいんだよ…って、まだそのままにしてありますけど」。確かに「ソラニン」と「おやすみプンプン」は、一見対極にあるような作品かもしれない。だが浅野さんの中では「表面的なアプローチは違いますけど、根本的には書いているものは一緒」なのだ。「2つがあって、やっと僕的にはバランスが取れるというか。『ソラニン』のときは、あまりネガティブ要素を入れないでやろうとは確かに意識してましたから、その反動で『プンプン』はかなり自由に…(笑)。でもそうはいっても『ソラニン』も、ボツもなく自由にやらせてもらった作品。この2つの作品の間に流れているものは、同じだと僕は思って描いてるんです」。無限の広がりを見せる浅野ワールド。もしかすると「おやすみプンプン」を、スクリーンで見られる日も来るかも…!?(text:Kaoru Endo)シネマカフェSweet「『ソラニン』 素晴らしきマンガワールド特集」「Ctrl+T〜浅野いにおWORKS〜」発売日:3月30日(火)価格:本体1,890円(予価/税込)浅野いにおの世界を全網羅!ファン待望の作品集がついに登場【収録内容】・新作読み切り「ひまわり」・ソラニンサイドストーリー「はるよこい」・描き下ろし含むここ数年ほぼ全網羅した数十点に及ぶカラ―イラスト・門外不出の未公開ネーム集・「浅野いにおをもっとよく知る」盛りだくさんの記事ページ・プンプン風「ソラニン」1・2巻別バージョンカバーの付録付き■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会写真:太田好治■関連記事:マンガから生まれた素晴らしき世界『ソラニン』マスコミ用パンフレットを5名様にプレゼント『ソラニン』演奏場面のメイキング映像解禁男たちを見守る宮崎あおいの表情にキュンサンボマスター近藤、宮崎あおいの隣での演奏とバンドでの現実のギャップに苦悩?浅野いにお描き下ろし『ソラニン』のもう一つの物語がビッグコミックスピリッツに掲載三木孝浩監督が『ソラニン』世代論展開!浅野いにお作品の再映像化にも意欲
2010年03月24日映画『ソラニン』において特別な意味を持つ楽曲「ソラニン」。高良健吾扮する種田が率いるバンド「ROTTI(ロッチ)」が同曲をスタジオで演奏するシーンの貴重なメイキング映像がいち早く、シネマカフェに到着した。浅野いにおの人気漫画の映画化作品として製作当初より注目を集めてきた本作。物語の中でとりわけ大きな意味を持つ音楽だが、ストレイテナーのホリエアツシが「ent」という名義で劇中音楽を担当するのに加え、メインテーマ「ソラニン」の作曲をASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が手がけ、さらにサンボマスターの近藤洋一が映画のキャストに加わるなど、音楽ファンの間でも話題を呼んできた。今回解禁となった映像は、まさにその「ソラニン」演奏のシーン!プロのミュージシャンを目指す覚悟を決めた種田が「ROTTI」の仲間たち(桐谷健太&近藤洋一)とスタジオで「ソラニン」をレコーディングする風景、それを優しく見守る宮崎あおい演じる芽衣子とその友人のアイ(伊藤歩)の姿が映し出される。加えて今回の特別映像には、撮影の合間の現場の様子も収められており、伊藤さんが桐谷健太に「アーン」とたこ焼きを食べさせてあげるなど、キャスト陣の仲の良さがひと目で伝わってくる。男たちが汗だくで楽器を奏でる姿もセクシーだが、何とも嬉しそうに男たちを見守る芽衣子&アイの表情…その後の物語の展開とあわせて思わず胸がキュンとさせられること請け合い!『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。※こちらの特別映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERYシネマカフェSweet「『ソラニン』 素晴らしきマンガワールド特集」■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:サンボマスター近藤、宮崎あおいの隣での演奏とバンドでの現実のギャップに苦悩?浅野いにお描き下ろし『ソラニン』のもう一つの物語がビッグコミックスピリッツに掲載三木孝浩監督が『ソラニン』世代論展開!浅野いにお作品の再映像化にも意欲『ソラニン』Twitterが熱い!フォロワーが3,000人突破宮崎あおい、夢はガソリンスタンドのバイト?『ソラニン』イベントで幻の楽曲も公開
2010年03月23日映画『ソラニン』のトークショー付き試写会が3月22日(月・祝)、神奈川県三崎市の廃校を舞台にしたロックイベント「ロックの学園」とのコラボレーションで開催され、本作に出演する近藤洋一(サンボマスター)と三木孝浩監督、同学園の教頭であり、NHKの「トップランナー」のMCとしてもおなじみのクリエイター、箭内道彦(やないみちひこ)を迎えて開催された。昨年亡くなった忌野清志郎が“校長”の任に就き(※現在は“出張中”)、旧神奈川県立三崎高校の校舎で開催されたロックフェスティバル「ロックの学園2007」を起源に、これまで数々のロックイベントを行ってきた「ロックの学園」。今回も“入園”無料で20日(土)、21日(日)、22日(月・祝)の3日間にわたって様々なイベントが開催されてきたが、3日目の22日(月・祝)にこのトークショー付き試写会が行われ、多くの観客が足を運んだ。箭内さんから「近ちゃん、ビジュアルが(映画の)ポスターと違って別人みたい」と指摘された近藤さんは「撮影時から15キロ痩せました」と告白し、箭内さんの「(ポスターと別人のようで)プロモーション効果が薄れちゃうかもよ?」という言葉に、マグロどころの三崎ということで「マグロ1匹食べて帰ります(笑)」と答えて会場の笑いを誘った。本作で演じた加藤という役柄について「僕も大学に6年通って、軽音部の1年先輩の彼女がいて、しかも名前が(劇中で)伊藤(歩)さんが演じたアイと同じだったんですよ」と明かし、監督も「近藤くんは『加藤が自分だったんで出演させてもらいます』って、言ってくれたんですよ」と嬉しそう。さらに、主演の宮崎さんとCMで仕事をした経験のある箭内さんが「(宮崎さんが)近ちゃんのこと凄く好きだって言ってたよ」、「あれだけすごい俳優さんがたくさんいる中で、プロフェッショナルの役者ではない近ちゃんが空気を支配してたところがあった」と手放しで褒め称えた。さらに、物語に因んで、近藤さんと監督に“自身の運命を変えた1曲”を尋ねると、近藤さんは「自分たちの曲なんですが、『そのぬくもりに用がある』ですね。まだ売れていない頃から、数人のお客さんの前で歌っていた曲なんですが、ある日を境に、J-WAVEなどから自分たちの曲がかかるようになって、劇的に人生が変わったので、よく覚えています」と回答。一方の三木監督は「大林宣彦監督の『時をかける少女』で原田知世さんが歌った曲ですね。小学校2年生のときにあの映画を観たんですが、観た瞬間に電気が走って、『これだ!』と思って、映画監督を目指すようになりました」とまさに運命の瞬間について明かしてくれた。ちなみにメインテーマの「ソラニン」を作曲したのはASIAN KUNG-FU GENERATIONの“ゴッチ”こと後藤正文。箭内さんの「ゴッチの曲をサンボマスターの近藤くんが演奏してるのが面白いよね」という言葉に近藤さんも「しかも、僕が演技している後ろでかかっているのが、ストレイテナーのホリエくん(=ent)が作った曲ですからね」と頷いた。さらに「サンボの山口くんが映画を観たら、近藤くんを取られたみたいで寂しがるんじゃないかな?」という箭内さんの言葉に、近藤さんが「映画では、ベースの位置から右を見ると宮崎あおいちゃんですからね!右側に宮崎さんがいるのは、普段とは180度違いますからね。世界の全てを見た気分です」と返すと会場は再び笑いに包まれた。『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:『ソラニン』演奏場面のメイキング映像解禁男たちを見守る宮崎あおいの表情にキュン浅野いにお描き下ろし『ソラニン』のもう一つの物語がビッグコミックスピリッツに掲載三木孝浩監督が『ソラニン』世代論展開!浅野いにお作品の再映像化にも意欲『ソラニン』Twitterが熱い!フォロワーが3,000人突破宮崎あおい、夢はガソリンスタンドのバイト?『ソラニン』イベントで幻の楽曲も公開
2010年03月23日若い層を中心に支持を集める浅野いにおの青春漫画を映画化した『ソラニン』。制作が発表された当初より話題を集めてきた本作だが、映画の公開を記念して、浅野さんの描き下ろしによる「ソラニン」のサイドストーリー「はるよこい」がビッグコミックスピリッツ(小学館刊)の3月29日(月)発売号で掲載されることが決定した。このサイドストーリーは、「ソラニン」の主人公の芽衣子と種田が暮らしていたアパートの一室を舞台にした、あるカップルの物語。映画の公開を記念して3月30日(火)に出版される、ファン待望の浅野いにお作品集「Ctrl+T浅野いにおWORKS」にも所収される予定だ。また、この3月29日発売号では、浅野さんと主演の2人、宮崎あおいと高良健吾のスペシャル対談も掲載。浅野さんがかつて高校時代に持ち込みをしていたという、ゆかりの深いビッグコミックスピリッツで『ソラニン』が大展開される。作品集「Ctrl+T浅野いにおWORKS」には「はるよこい」のほか、新作読みきり「ひまわり」や幻の筆ペン漫画、さらにここ数年の仕事をほぼ全て網羅した数十点に及ぶ浅野さんによるカラーイラストなどなど、ファン垂涎の作品が詰め込まれている。映画を観る前にまずはこちらで浅野いにおの世界に浸ってみては?『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。ビッグコミックスピリッツ×『ソラニン』発売元:小学館発売日:3月29日(月)「Ctrl+T浅野いにおWORKS」価格:1,974円(税込)発売日:3月30日(火)© 浅野いにお/小学館■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:三木孝浩監督が『ソラニン』世代論展開!浅野いにお作品の再映像化にも意欲『ソラニン』Twitterが熱い!フォロワーが3,000人突破宮崎あおい、夢はガソリンスタンドのバイト?『ソラニン』イベントで幻の楽曲も公開アジカン後藤バンドブレイク前をふり返り「僕らはちょっとおかしい」ふたりの想いをつなぐ歌!『ソラニン』劇場鑑賞券を5組10名様にプレゼント
2010年03月19日映画『ソラニン』の試写会が3月15日(月)、若い世代に人気の書店『ヴィレッジヴァンガード」(以下V.V.)主催で開催され、本作の三木孝浩監督とV.V.のオンラインショップの“中の人”こと中本恵二氏によるトークイベントが行われた。トークイベントは作品上映後ということで、中本さんは映画を観たばかり。早速、感想を尋ねると「いまもウルウルしていて、感動冷めやらぬ感じです。印象に残ったのは、最後のライヴシーン。宮崎あおいさんのギターを弾いているときの真剣な表情は、演技を超えてかなり(役に)入っているな、と。ひと言で言えば、観てよかったな、と」と絶賛。三木監督はこの言葉にホッとした様子。その三木監督は、ミュージックビデオの分野で活躍しており、本作で初めて映画監督に挑戦した。以前から(原作の)浅野いにおさんの作品は好きだったものの、「ソラニン」だけは読んでいなかったとか。「読んでみたらまさしく自分がやってきた音楽というフィールドに近い、バンドをやる若者たちの話で、ぜひやりたいと思って(監督の話を)引き受けました。音楽をテーマにしつつ、『夢を持ってるんだけど、まっすぐに進めないモヤモヤした感じ、冷めている感じ、想いと戦っている感じ』に共感できたし面白いと思った」と語った。中本さんは、原作漫画の連載当時、および漫画の発売当時について「よく『浅野いにおの新刊読んだ?』と話してました。読んでみて『なかなかない物語だな。売ってやろう!』という気持ちになって、当時かなり押しましたし、お客さんの反応も良かったですね」とふり返った。さらに話は世代論に。「浅野さんよりも少し上の世代」と言う三木監督は、90年代後半を引き合いに「あの頃は、斜に構える感じでも、根本は明るいというか、少しのん気さがあった。『ソラニン』のシビアな感じ…例えば貯金残高がなくなったり、タイムリミットが差し迫ってるという感覚はこの世代ならではかも。(劇中の)種田(高良健吾)や芽衣子(宮崎あおい)の悩み方ってきっと僕らの世代以降の悩み方だと思うんです。自分の幅が見えてしまい、設定が出来てしまう」とも。これに中本さんも「劇中の、ギターを初めて弾いた少年の『世界が開けたような』感覚を得る機会が少なくなっている。ネットで検索すれば何でも見える時代で、自分の発見に感動することがなくなった」と頷く。監督はさらに、自らの経験を挙げ「僕は徳島の田舎育ちで、高校時代に『映画監督を目指す』と周りに話して、何となくビデオ回して作った作品を『これは傑作なんじゃないか!』って幻想したりして(笑)、それがモチベーションになってた。いまは、例えば曲を作ればすぐにマイスペースに上げられて世間にも評価されてしまう。そこで自分のレベルにある程度、想定がついてしまう」と現代の“手軽さ”が、皮肉なことに若者たちの“熱”を奪っている現状を語った。若い世代を中心とした観客は、真剣な眼差しで監督の言葉に耳を傾けていた。また、トークイベントの最後には三木監督は、『ソラニン』以後について「浅野先生の別作品もやってみたいですね。『世界の終りと夜明け前』(小学館刊)が大好きなのでぜひ映像化したいです」と意欲を語った。『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:『ソラニン』Twitterが熱い!フォロワーが3,000人突破宮崎あおい、夢はガソリンスタンドのバイト?『ソラニン』イベントで幻の楽曲も公開アジカン後藤バンドブレイク前をふり返り「僕らはちょっとおかしい」ふたりの想いをつなぐ歌!『ソラニン』劇場鑑賞券を5組10名様にプレゼント高良健吾率いる劇中バンド熱唱のデモCD付き!『ソラニン』特別前売鑑賞券予約開始
2010年03月16日宮崎あおい、桐谷健太らが1月28日(木)、東京・有楽町朝日ホールで行われた映画『ソラニン』完成披露試写会で舞台挨拶を行い、劇中で組んだバンドへの熱い思いを語り合った。バンドマンの恋人・種田が遺した歌を歌い継ぐことで新たな一歩を踏み出そうとする芽衣子(宮崎さん)と残ったバンドメンバーらの姿を綴る青春恋愛ストーリーで、原作は漫画家・浅野いにおの同名作品。歌とギターに初挑戦した宮崎さんは「歌はいままで苦手で人前で歌うなんてありえなかったんですが、逃げていられないと思い、飛び込んで参加しました。最初にみんなで合わせた日に『ああ、大丈夫』って思ったんです」とニッコリ。すかさず、今回ベーシスト・加藤役で俳優デビューを果たしたサンボマスターの近藤洋一が「『初めまして〜』って言ってから20分しないうちに音を合わせていましたね」。ドラムのビリー役、桐谷さんも「感じましたね、こりゃいったなって。バンドや音楽をやっている人は分かると思うんですけど気持ちいいんですよ。信じられました、この人たちとバンドをやっていくんだなって。そこから個人個人でも練習していって、映画の中には爆発したものが入っています」とそれぞれ興奮気味。PV、ライヴ映像などを数多く手がけ、今作で長編映画を初監督した三木孝浩監督は「最初にリハをやったときのグルーヴ感がすごかった。うまいバンドっていっぱいいるけど、グルーヴ感があるのはなかなか。近藤さんの『バンドだったね』という言葉が印象的でした」と太鼓判を押した。種田役の高良健吾もギターに初挑戦。「歌いながらギターを弾くのはすごく難しかった。宮崎さんと同じでクランクイン前と後の計2か月くらい練習しましたが、弾けなくて…。練習して練習して弾いて、よし!と思ってやると『ああ、できねぇ…』って」と悔しそうな表情で回顧。近藤さんは「そういうもんなんです、楽器って」と微笑みつつ共感を寄せた。盛り上がる4人に司会者からこのバンドを続けたい?との質問が。桐谷さんは「僕はそう思っていますよ、でもこの3人がどう思うかです」と宮崎さんらに問いかけ。高良さんは「絶対したい。いまでもギター触っているし音楽、好きなので」と即答。宮崎さんは「こんなに面白いものだと思わなかった。ライヴハウスに立ってお客さんの前で歌うシーンの撮影では『出しきった』という感じだったのでもう一度やりたいとは思わなかったけど、こうして久しぶりにみんなと会うとギターを触りたいなと思います」と心がうずく様子。近藤さんは「あの高まり、切なさは限りがあるから燃える、みたいな。高校3年生2学期の恋みたいな」と例え、共演陣をうなずかせた。一方で、高良さんは発言時、終始声が小さくマイクを通しても客席に届かない場面も。その都度、桐谷さんが「健吾、若干聞きづらい」と機転を利かせて注意したが、変わらない声の小ささに最後には「その声の小ささ、好きになってきたわ。いつもはちゃんと喋るんですけどねぇ」とフォローに転じ、会場の笑いを誘っていた。『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:『ソラニン』宮崎あおい、クライマックス汗だく熱唱のライヴシーンの画像がついに解禁宮崎あおい&高良健吾そっくり!浅野いにお描き下ろし『ソラニン』鑑賞券発売中初公開の『ソラニン』メイキング映像上映&三木監督のトークに早稲田盛況!『ソラニン』予告編解禁!宮崎あおい&高良健吾歌う「ソラニン」も初公開『ソラニン』メインテーマにアジカン決定!宮崎あおいの歌声とのハーモニーに期待大
2010年01月28日人気漫画の映画化作品として公開前から高い注目を浴びる『ソラニン』。そのクライマックス・シーンであり、宮崎あおい扮する主人公・芽衣子がライヴで熱唱する場面のビジュアルがついに解禁となった。宮崎さんがギターを片手に、こぼれ落ちる汗をそのままに熱唱している姿を切り取ったこちらのビジュアル。事故死した恋人の種田(高良健吾)が遺した大切な曲「ソラニン」を芽衣子が初めてライヴで歌うという映画のクライマックスシーンである。ちなみに、映画のメインテーマでもあるこの「ソラニン」は、原作者の浅野いにおの詞に載せてASIAN KUNG-FU GENERATIONが書き下ろしている。本作で初めて長編映画の監督を務めた三木孝浩は、これまでにORANGE RANGEやYUIといったアーティストのミュージックビデオの演出を手掛けてきた気鋭のディレクターとあって、特にこのシーンの臨場感、スクリーンから伝わる疾走感はまさにライヴさながら。こちらのシーンと共に、高良さん扮する種田が歌うシーンやバンドの練習シーンなど、本作の熱唱&演奏シーンにはぜひ注目してほしい!『ソラニン』は2010年4月、全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月、全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:宮崎あおい&高良健吾そっくり!浅野いにお描き下ろし『ソラニン』鑑賞券発売中初公開の『ソラニン』メイキング映像上映&三木監督のトークに早稲田盛況!『ソラニン』予告編解禁!宮崎あおい&高良健吾歌う「ソラニン」も初公開『ソラニン』メインテーマにアジカン決定!宮崎あおいの歌声とのハーモニーに期待大『ソラニン』劇中音楽を手がける「ent」の正体はストレイテナーのホリエアツシ!
2010年01月06日浅野いにおの人気漫画を映画化した『ソラニン』の監督と脚本家によるトークイベントが12月17日(木)、早稲田大学で開催中の「第22回早稲田映画まつり」のプログラムの中で行われた。自身も早大出身の三木孝浩監督が脚本の高橋泉と共に出席。この日が初披露となる本作のメイキング映像なども上映され、会場は大きな盛り上がりを見せた。音楽を軸に、夢と現実に葛藤しつつも前進しようとする若者たちの青春を綴った本作。冒頭に上映されたメイキング映像では、主演の宮崎あおい、高良健吾を始め、桐谷健太、近藤洋一(サンボマスター)、伊藤歩ら主要メンバーが撮影やバンドの練習に臨む姿、現場でじゃれあう姿などが映し出された。映像の中で、宮崎さんは現場を「幸せな空間でした」と表現、劇中での高良さん演じる恋人・種田の事故死を「(撮影中に)私自身、種田が死んだという実感がなくて…」と役に深く入り込んでいたことをうかがわせた。また、演奏のシーンでは、監督が宮崎さんらの演奏を直接聴いて、当初の予定を変更してカットを区切らずに撮影する様子などがカメラに捉えられていた。クランクアップの際には、伊藤さんが思わず目頭を押さえる一幕も――。貴重なメイキング映像に、客席は夢中で見入っていた。上映後、壇上に三木監督と高橋さんが登場。監督は長い間、音楽のプロモーション・ビデオ(PV)のディレクターとして活躍しており、映画作品の監督は本作が初めてだったが「学生時代から映像を仕事にしたいとは思ってました。大学を休学して映画学校に通ったときに、PVを作る実習があったんです」と映像制作を仕事にすることになった経緯を明かした。会場には映画監督志望の学生が多く詰め掛けていたが、三木監督は「自分はずっと映画監督になりたいと思ってて、時間がかかったけど、こうして夢をかなえた。思い込めばそうなるんです。まさに『ソラニン』のストーリーも同じで、自分を肯定することで見える未来があると思います」と学生たちにエールを贈った。続いて、話題は本作の撮影に。人気漫画を原作にすることについて「映画で、生身の人間が演じて漫画と違うリアリティをどう出せるか?と考えました」と監督が言えば、高橋さんも「原作の漫画の中で流れている言葉はどこかはっきりせず、ボンヤリしてるんです。それをどうするか?思い切って直接的な言葉にして、やっぱり壊して…と堂々めぐりで苦しかったですよ」と苦労を明かした。高橋さんが自身の脚本の中で、オリジナリティを出した部分として気に入っているシーンというのが「原作にはない、ビリー(桐谷さん)の部屋のシーン。ビリーにすごく思い入れがあったので『見せたい』って思ったんです」と語った。ちなみに、原作者の浅野さんも現場を訪れたそうで、1シーンだけ出演しているので、こちらも注目したい。会場からも、2人への質問が次々と飛び出し、イベントは大盛況。客席からの質問に答える形で監督が挙げた2009年のベストムービーは「洋画は『母なる証明』、邦画は『サマーウォーズ』」とのこと。高橋さんは『ミスター・ロンリー』(※公開は昨年)を挙げた。監督は最後に、会場の若者たちに向けてこんなアドバイスを。「それぞれみんな、悩みを持っていて、それは他人には絶対に理解されないものです。特に、就職とか将来のこととかを考えると不安になるものだけど、実は、悩んだり迷ったりしている間は心地良かったりする。何かを決めて進む方が痛みを伴うんです。その痛みを伴う作業…『ソラニン』はそれを描いています!」。第一線で活躍する“先輩”言葉に、会場からは大きな拍手がわき起こった。『ソラニン』は2010年4月、全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月、全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:『ソラニン』予告編解禁!宮崎あおい&高良健吾歌う「ソラニン」も初公開『ソラニン』メインテーマにアジカン決定!宮崎あおいの歌声とのハーモニーに期待大『ソラニン』劇中音楽を手がける「ent」の正体はストレイテナーのホリエアツシ!『ソラニン』ライヴシーン潜入…宮崎あおい、最終日に鳥肌モノの熱唱!画像も初公開宮崎あおいがギター弾き語りに挑戦!『ソラニン』主演キャスト・監督が明らかに
2009年12月18日『亀は意外と速く泳ぐ』や『転々』など、ゆるりとしたギャグと徹底的に作り上げられた独特の世界観で数々のファンを魅了する、日本映画界きっての奇才・三木聡。またもや摩訶不思議なタイトル『インスタント沼』と名づけた、監督の集大成とも言うべき最新作がDVDリリースされた。作品の随所から見られる監督の「映画」へのこだわり、そしてその原風景について、話を聞いた。実は、「〜沈丁花ハナメの冒険〜」という副題を考えていたと話す監督が、今回主軸に置いたのは、30歳前後の岐路を迎えたヒロイン・沈丁花ハナメ(麻生久美子)の“成長譚”。これまでにも増して、この作品では、主人公が前向きに人生と向き合っていくさまがストレートに描かれている。「ただギャグをやる以外の、別の楽しみ方を映画の中で見つけたいという気持ちはあった」と監督は話す。「人生の中で、成長しなきゃいけないとか、利益を上げなきゃいけないとか、いろんなことの目標値を周りに設定されるじゃないですか。でも、目標のない人生がむなしいというのは単なる植えつけで、別に意味なく一生を過ごしてもその人が良ければそれでいいわけじゃないですか。頑張らなきゃいけない理由なんて何にもないんですよね。そういう柵からちょっとフリーになってもいいんじゃないかという気持ちはあったと思います、2008年の夏は。それはそのときの気分だったんだろうし、それを観た人がまた別の気分を見出してくれると、ちっちゃい思想しかない映画が勝手な広がりになっていく。観た人がそれぞれ自由に思ってくれることが一番ですよね」。そんな三木監督の作品に欠かせない要素というのが、ナンセンスなジンクスや“未確認”生物の存在。今回も、物語のゆくえを司る“沼”しかり、河童や空飛ぶ龍しかり、期待を裏切らない、ナンセンスがそこかしこに転がっている。「やっぱり目の前にあるものだけを認めなくてもいいんじゃないかというのは、映画の基本構造としてあります。僕自身も、底なし沼があったらいいなと思ってた世代なわけですよ。小さい頃は、アマゾンに人が落ちたらピラニアに喰われて骨だけが浮いてくるということにドキドキした世代だから。デヴィッド・リンチとかも大好きな監督なんだけど、ある種の“まがまがしさ”というのを映像にしていくことに惹かれるんです」。続けて、監督は楽しそうにこう語る。「僕の映画の原始的な体験って小さい頃大好きだった西部劇ごっこなんです。おもちゃの兵隊を目の高さに持ってきて、別の世界をミニチュアサイズの中に作っていくという構築の仕方はいまも影響されてるのかなと思います。小学校6年生くらいのときって男子より女子の方が成長してる感じがあるじゃないですか?その関係っていまもあると思うけど、女性の監督さんはその辺がすごくドラスティックで、俺が作っている映画の方が随分単純でくだらないなと思うことはありますね(笑)」。では今回、なんでまた“沼”を題材に選んだのか?それも日本の社会が急成長した70年代、幼い頃の日常にあった、沼が埋め立てられ団地にされていくという景色と深く結びついていた。「沼とかがブルドーザーで埋められてるのを見て、何で埋め立てちゃうんだろうと。社会が成長していく上で排除されているものに対して、あってもいいんじゃないという気持ちはありますね。雑多なものやイメージが街の中にあるからこそ街なんだという気もするし、そういうことへのアンチテーゼも池や沼に結びつき、骨董屋にも結びついていったんだと思います。電球商会(劇中の骨董屋)というのはまさにカオスで、昔は古着の山の中にすごく高いものが埋まってるんじゃないかという幻想みたいなのがあったと思うんだけど、そういうのが無くなることへの懸念もあったり。『転々』のときも、無くなってしまうだろう空き地とか、開発中の変な建物だとか、ぽつんと駐車場に取り囲まれたアパートとかを背景にしているんですよ」。脱力系ワールドとは裏腹に、既成の価値観やルールをぶち壊すスピリットを強く感じさせる三木監督。改めて、監督にとっての“映画”とは何かを聞いてみた。「こうでなきゃいけないというのがない、懐の深さが映画の最大の特徴だと思います。特に2000年以降は、映画界以外の分野からいろんな人が参入したり、いろんなトライ&エラーがなされてきた。(不景気の煽りを受け)いまはちょっとみんなへこんでますけど、それが終わったときに映画がどんなトライ&エラーをしていくのか楽しみですし、自分も目撃者としてそこにいたいという気はありますね」。早くも次回作が待たれるが、では監督、次はどんな映画を撮ってみたいですか?「ロックな映画をやってみたいですね。僕も一時期バンドをやっていたことがあるんですけど、大きな声でバカバカしく歌うっていう。昔の『ロッキー・ホラー・ショー』でおっさんが編みタイツ履いてたり、ああいうロックそのものの破天荒でバカバカしいイメージを再現したいなと思いますね(笑)」。三木聡監督プロフィール1961年神奈川県生まれ。テレビの構成作家やシティボーイズのライブの作・演出などを務めた後、最近では、高視聴率のドラマ「時効警察」の脚本・演出でも話題になる。監督作に『イン・ザ・プール』(’05)、『転々』(’07)など。「インスタント沼ミラクル・エディション」発売元:角川映画/販売元:ポニーキャニオン価格:4,935円(税込)発売中© 2009「インスタント沼」フィルムパートナーズ■関連作品:インスタント沼 2009年5月23日よりテアトル新宿、渋谷HUMAXシネマほか全国にて公開© 2009「インスタント沼」フィルムパートナーズ■関連記事:『蒲田行進曲』と麻生久美子の浅からぬ因縁とは?風間杜夫は必死の自毛アピール【どちらを観る?】加瀬亮の“染まり”を検証『重力ピエロ』&『インスタント沼』幸運!?の“ジリ貧”『インスタント沼』特製マグカップを2名様にプレゼント「出たとこ勝負(笑)!」麻生久美子が30歳を前に迎えた岐路と出会いとは?引越し大好きの麻生久美子、“ジリ貧”脱出法を伝授「おかげで運気が上がった」
2009年12月08日若い世代から高い支持を集める浅野いにおによる人気青春漫画「ソラニン」。宮崎あおい、高良健吾ら若手注目俳優たちによる同名実写映画化で話題を集める本作だが、この劇中音楽を担当するアーティスト「ent」の正体が、人気ロックバンド「ストレイテナー」のフロント、ホリエアツシであることがこのたび明らかになった。音楽の夢をあきらめきれずに追いかけ続ける若者たちの葛藤や喜び、恋愛模様が等身大の視点で描かれる本作。ORANGE RANGEの「花」やYUIの「CHE.R.RY」などを始め、数々のPVを手がけてきた三木孝浩が、原作にあるバンド演奏の描写を随所に盛り込みながら、独特の世界観を再現している。その音楽を監督からの熱いラブコールと共に託されたのが、ストレイテナーのホリエアツシ改め「ent」。ストレイテナーは、前作「Nexus」がオリコンウィークリーチャート5位を記録するなど、ロックシーンでいま最も注目を集めるバンドのひとつ。同じく人気上昇中の「the HIATUS」との対バンツアー“BRAIN ECLIPSE TOUR”が横浜BLITZにて本日よりスタートするが、ツアー7公演のチケットは全公演完売という人気ぶり。「ent」はこのバンド活動とは一線を画した形で今年2月にインディーレーベルでCDを出すなど活動を行ってきたが、本作の劇中音楽を手がけたことをきっかけに、正体を明かして活動することに。2010年2月には、ファーストアルバムのUS盤もリリース予定している。entの紡ぎ出す音楽について、三木監督は「遠い昔に見た光の記憶のようなきらきらとしているのにどこか懐かしい。entさんのアルバムを初めて聴いたとき、僕が『ソラニン』の映画に求めていた音楽がまさにそこにありました。たゆたう二人の物語にそっと寄り添う痛さと美しさを内包したガラス細工のような音楽」と全幅の信頼を置く。一方、entも作品について「『ソラニン』に描かれているのは、いまのどこにでもいる平凡な若者たち。その平凡な理想と青春、現実と社会の中で揺れ動く心の葛藤は、平凡だからこそのリアリティがあります。原作を読んだときには、もう一歩感情移入できなかった登場人物たちにも、生身のキャスト陣が見せる生きた表情と強いチームワークに、原作以上にストーリーの中へ引き込まれました。単純な答えや感動では言い表せない、深い作品です」と共感を寄せている。原作ファンにとっても、この劇中音楽がもうひとつの主人公として重要なポイントになるが、entによる音楽が、宮崎あおいを始めとする俳優陣の手でどのように紡がれ、どのようなアンサンブルがスクリーンに響くのか?注目が集まる。『ソラニン』は2010年4月、全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月、全国にて公開■関連記事:『ソラニン』ライヴシーン潜入…宮崎あおい、最終日に鳥肌モノの熱唱!画像も初公開宮崎あおいがギター弾き語りに挑戦!『ソラニン』主演キャスト・監督が明らかに
2009年11月18日累計50万部突破の熱烈ファンを持つ人気コミックを、いま日本で最も活躍する若手女優・宮崎あおい主演で映画化。製作発表当初から注目を集めていた、青春恋愛映画『ソラニン』が去る5月31日(日)に約1か月の撮影を経て、ついにクランクアップを迎えた。撮影のクライマックスは、5月末の某日。宮崎あおい演じる芽衣子がバンド「ロッチ」のメンバーと共に最初で最後のステージに立つ、ストーリーの最重要シーンで、宮崎さんの撮影最終日だった。一部報道陣にも公開されたこの日の撮影が行われていたのは、都内の某ライブハウス。タイトルにもなっている歌、「ソラニン」を中心に演奏シーンのリハーサルが行われた。狭い空間にはキャストと大勢のスタッフの熱気が立ち込め、サウンドチェックから細かい演出まで、繰り返しリハーサル。クライマックスシーンだけあって、緊張感とエネルギーは見ている側も圧倒されるほどで、宮崎さんが手の汗でギターのピックを滑らせ落としてしまうハプニングもあった。彼女と一緒にバンドメンバーを構成しているのが、人気バンド「サンボマスター」のベース・近藤洋一と、『ROOKIES』など話題作に出演し、本作と同じく人気コミックの映画化作品『BECK』への参加も発表されたばかりの桐谷健太。リハーサル中、近藤さんと三木孝浩監督がステージ上の細かい動きについて話し合う場面もあれば、桐谷さんから音のバランスに関して撮影監督にリクエストが飛ぶシーンもあり、全員真剣そのもの。そして観客としてのエキストラを入れて、声援が飛ぶ中、3人は祈るように手を重ね合わせ、いよいよカメラが回った。何よりも驚かされたのは、宮崎さんの歌の力強さと、バンドとしての迫力。撮影の合間に話を伺った三木監督も、初めて「歌声が聞こえた瞬間、鳥肌が立った」と宮崎さんのヴォーカルを絶賛する。実は最初、ギターだけのつもりが、リハーサル中オフマイクで歌った彼女の歌声を聞いて、歌もレコーディングすることになったとか。「最初、芽衣子さんの歌は、例えばチャットモンチーの橋本(絵莉子)さんみたいな声なのかな、と想像してたんです。でも実際に宮崎さんが歌い、彼女だけの強さとか儚さとか、芽衣子のひたむきな感じがすごく声から伝わる感じになっていると思います」。この日の撮影を見ている限りでも、バンドメンバーの相性はバツグン。「僕らスタッフが入れないくらい、バンドでがっちりチームワークが出来ていました。多分、映画にもその関係性の良さは出ていると思います」と語る監督。ちなみにメンバーを引っ張っているのは誰?「やっぱりバンドとしては、近藤さんが実際に音楽活動されているというのもあって、バンマス(バンドマスター)しての立ち位置で音楽面ですごく引っ張ってもらいました。特にリハーサルやライヴシーンに関しては近藤さんの力無くしてはここまでは来れなかったな、というほど助けられています」。宮崎さんは昨年末に渡されたギターをゼロから練習。劇中フルで使われない曲も完璧にマスターした。桐谷さんに関しては、ドラムを特技としてあげるほどの腕前。とはいえ、レコーディングはプロのドラマーで行う予定だったが、自らの強い希望と、本人の音でやることが一番だ、という判断で結果的に桐谷さん自らの演奏により実現した。さらにこの日の撮影シーンには登場していないが、種田役の高良健吾も力が入り過ぎて腱鞘炎になってしまったというから、その気合いの入りようには疑いはない。撮影を終えて宮崎さんは「ライヴシーンで全撮影を終了できたということが、私にとってとても大きかった」とコメントを寄せた。「まだ撮影が終わったばかりでうまく言えないですが、私自身もいい作品になっていることを願っているし、原作を好きな方もたくさんいると思うので、みなさんががっかりしないような映画になっていたらいいなと思っています。ライヴシーンは本当にみんな一生懸命やったし、きっとカッコいいシーンになっているんじゃないかなと思うので、そこは楽しみにしていてほしいです」といまの気持ちを語った。なお、演奏曲を作詞・作曲しているのはまだ明かされていないが、「ある大物ミュージシャン」とのことで、その発表にも注目が集まる。楽しみな映画の完成は7月末予定。来年2010年春、全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年、全国にて公開■関連記事:宮崎あおいがギター弾き語りに挑戦!『ソラニン』主演キャスト・監督が明らかに
2009年06月09日