サラヴィオ化粧品は、信州大学農学部 応用生命科学科プロジェクト研究推進拠点の伊原正喜助教との共同研究で、別府温泉から新種の微生物群(藻類、発酵細菌など)を発見した。発見した新型藻類(RG92と命名)は美容効果も確認されたことから、研究成果を第28回日本微生物生態学会大会において発表した。同社は抗炎症作用に富み、天然由来成分による医療への応用が期待される「藻類」に注目。特に泉種の多さと肌への効果で有名な「別府温泉」の藻類に注目して研究を行ってきた。まず、温泉水から単離(分離して取り出す)培養した微生物の遺伝子解析、および、Basic LocalAlignment Search Tool(BLAST)により既知の微生物との相同性解析を実施。そこで新種の藻類4種(特許出願中)を含む45種類の微生物を単離・同定した(種名を調べた)。その後、発見した微生物の栄養従属特性や、生態特徴などを明確にしたという。続いて、発見した藻類から糖脂質を抽出して分析。有効成分のモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)を同定することに成功した。その新型藻類RG92から抽出したエキスを用いてスキンケアローションを開発。被験調査を実施し、高い評価を得た。同社では、このほど発見した藻類群の有効成分の化学分析を進めると共に、大学・医療機関と共同でスキンケア、医学的応用に向けた研究を展開していくとのこと。藻類以外の発酵細菌などについても、産業的応用の可能性を探って行く予定だという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月26日日本一の湧出量を誇る温泉都市、別府。源泉数は約2,800にものぼり、日本の源泉の約1割にあたる。まさに温泉の上に街が浮かんでいるようなスケールの大きさだ。当然、観光客も行かない地元民御用達の温泉もあるはず。早速調査に出掛けた。別府は別府・鉄輪(かんなわ)・観海寺(かんかいじ)・明礬(みょうばん)・亀川(かめがわ)・柴石(しばせき)・堀田(ほりた)・浜脇(はまわき)の、「別府八湯(べっぷはっとう)」と呼ばれる温泉郷で構成されている。別府には広く知られた名湯がたくさんあるが、市営温泉や地域の住民がお金を出し合って作った共同湯もある。それらはどれも安い料金で利用できるのだ。なかには歴史ある温泉や、温泉ツウもうなる良泉もあるという。しかし、観光で街を巡る限りでは、地域の共同湯を見かけることは少ない。それでもあると聞いたら、どうしても入りたくなるものだ。地元民が愛する名湯はどうやって見つければいいのだろうか。そもそも、一見の観光客が地域の共同湯に入ることはできるのだろうか。そこで、別府の共同湯について、「別府八湯永世名誉名人」の土谷雄一さんに教えていただいた。別府八湯名人とは、別府八湯の中から選ばれた88湯を制覇した者に与えられる称号。土谷さんはなんと、名人位を34回も取り、現在は35巡り目の8段というつわものである。その豊富な知識と温泉愛を持って、別府温泉の魅力を発信する温泉の伝道師なのだ。「市内には100カ所とも200カ所ともいわれるほど、たくさんの共同湯があり、郵便ポストの数より多いとさえいう人もいます。特に昭和の下町風情が残る浜脇、別府、亀川などに共同湯、組合湯が点在しています。しかし、その多くが公民館の中にあったり、ひなびた民家のような建物だったりします。路地裏や生活道路にひっそり佇(たたず)んでいるので、車で移動しながらでは見つけることは難しいでしょう。共同湯散策は徒歩か自転車がおすすめです」。なるほど、住宅地の中に紛れている上、目立たない外観が多いから気づかなかったのか。「自宅に風呂がない家も多く、共同湯は暮らしに欠かせない存在です。特に別府駅周辺の路地裏では、かなりラフな格好で風呂に通う人を見かけることも珍しくありません。自宅から共同湯まで、わが家の廊下のような感覚なのでしょうね」。まるで、隠れ湯のように点在する共同湯や組合湯。ここには、観光客でも入れるのだろうか。「どうぞご遠慮なく。お湯を楽しみ、温泉を愛する地元の人たちと触れ合ってください。ただし、共同湯は地元の人が大切に維持管理しています。利用する際は、よその家のお風呂をお借りする気持ちで先客に挨拶して入り、マナーを守って利用してくださいね」とアドバイスをいただいた。多くの共同湯は、洗い場と浴槽があるだけという簡素な造りだ。あまりのシンプルさに最初は戸惑うかもしれないが、それもまた風情。しかも、「場所によって泉質も雰囲気も違いますが、お湯はどこも極上ですよ」と土谷さん。これはもう、入らずにはいられない。しかし、あれもこれもは時間的に無理だし、第一のぼせてしまいそう。そこで、数ある共同湯の中から別府の温泉文化が垣間見えるおすすめの共同湯を紹介してもらった。まず一つ目が、錦栄温泉(きんえいおんせん)。とろみはあるが、クセのないやわらかい肌触りの湯を楽しめるこちらの温泉は、完全かけ流しで湯量豊富。番台のおばちゃんのもてなしもよく、初めての人でも笑顔で受け入れてくれる。別府市民の暮らしに密着した温泉スタイルを感じることができるはずだ。次に向かったのが、天満温泉(てんまんおんせん)。市街地では珍しく、地下のマグマが地表に近く、高温湯が湧き出るというこちらの温泉は、天満地獄とも呼ばれているそう。新鮮な湯が豊富にあふれかえる、透明で清潔感のある温泉だ。番台さんのもてなしも素晴らしく、初心者でも快く迎えてくれ、地域の人たちとコミュニケーションも楽しめる。続いて紙屋温泉(かみやおんせん)。いかにも別府らしい昭和レトロな情緒あふれる路地裏にあるこちらの温泉は、別府温泉の典型である土類泉と呼ばれる温泉で、飲泉もできることで有名。熱い湯の洗礼を受けるが、これもまた楽しいもの。続いて向かったのは、照湯(てるゆ)。別府で一番古いといわれる、伝統ある湯船と石造りの洗い場が特徴の温泉だ。数年前までは地元民のみが利用できる男女混浴湯であったが、リニューアル後に男女別となり、一般開放されるようになった。クリアな湯に湯の花が浮遊する絶品湯。湯上がりのサラサラした感覚も独特の名湯と呼ぶにふさわしい温泉だ。そして最後に入湯したのが、東蓮田温泉(ひがしはすだおんせん)。温泉+井戸水のコラボで、金気臭のある鮮度抜群の美肌湯だ。ジモ泉(一般開放されていない地元組合員だけの共同湯)の雰囲気があり、昭和の息吹が残る情緒ある温泉だ。地元の入浴客と挨拶を交わし、交流しながら別府温泉文化に浸ることができるのもうれしい。最初はちょっと勇気がいるが、「こんにちは」とドアをあけて泉都・別府の奥深い湯にどっぷり浸かってほしい。マイおけ持参で路地を散策すれば、宝の湯に出合えるはず。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月31日