原千晶さん若くして子宮を摘出した20代の女性、乳房を失って結婚を躊躇(ちゅうちょ)する未婚女性、幼い子どもを残して世を去る若い母親……。乳がんや子宮がん、卵巣がんなど女性特有のがんは、女性としての生き方を根底からゆさぶってしまう。「結婚、妊娠、出産という未来図が、ある日がらがらと崩れてしまうんです」そう語るのは、30代で子宮頸がんと子宮体がんに罹患(りかん)した女優の原千晶さん(47歳)。10年前には婦人科がんの患者会「よつばの会」を立ち上げた。原さんは、会を通して患者どうしの交流や情報の提供を行うほか、がん予防や検診の普及などの活動を続けている。来年2022年4月からは、国による子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が、8年半ぶりに再開される。「これを機に“がん”を自分ごととして考えてほしい」と話す原さんに、女性のがんが招くリアルな悩みと、自分の未来と命を守る大切さについて聞いた。■結婚を前に子宮全摘「彼との赤ちゃんをもう産めない」原さんは、2005年、30歳のときに子宮頸がんが発覚。子宮の全摘出を勧められるが、医師と両親の反対を振り切って子宮の温存をのぞみ、子宮頸がんの病変部のみを切除する子宮頸部円錐切除の手術を受ける。ところが、まもなく術後5年になるという冬、子宮体がんと診断され、子宮を全摘出。“母になる”という未来を失う。このとき原さんは、当時交際中のパートナーだった夫と、お互いに結婚を考えていた。「医師に子宮の全摘出が必要だといわれ、“ああ、どうしよう!これから結婚しようと思っているのに、彼の子どもを産めなくなってしまう”と、ただただ申し訳ない思いでいっぱいでした。そして医師から、“性交渉も難しくなる。これまで多くのカップルを見てきて、はっきりいうが、そこを理解してもらえないようなら、ともに闘病生活を送るのはやめたほうがいい”と言われてしまったんです」(原さん、以下同)厳しい事実をつきつけられた原さんは、ショックを受けながらも、パートナーにすべてを話す。すると彼は、「そんなこといっている場合じゃない。結婚はそんなものじゃない。病気もひとりで抱えないで、2人で背負っていくんだ」と、涙を流しながら答えてくれた。抗がん剤治療を終えた2010年の秋に結婚。原さんは、夫には感謝しかないという。「私の場合は、たまたまパートナーに理解してもらえましたし、患者会でも、“性生活はなくても、手をつないで寝ています”という方や、“夫婦の絆が深まった”という方も多いです。でも一方で離婚した方もいますし、夫に理解してもらえないと悩む方もいます」原さん自身も、最初に子宮頸がんがわかったときにつきあっていた彼とは、うまくいかなくなったという経験を持つ。「具合が悪いと訴えても、“オレに言われてもわからない。病院に行けよ”と突き放されたりしました。病気になった私が鬱陶しいのだと感じ、ひどく傷つきました」■“がんの女なんてムリ”心ない言葉に号泣原さんも経験したように、恋愛や結婚に切実な悩みをもたらす女性のがん。なかでも、乳がんと子宮頸がんは、近年20代、30代の患者が増えている。一般に多くのがんは、加齢が大きな危険因子のひとつであり、患者数は50代、60代から増加傾向になる。ところが、乳がんや子宮頸がんは50歳未満での発症が多く、結婚、子育て、仕事を直撃する。また、国立がん研究センターなどによる報告では、20~39歳では、がん患者の約8割を女性が占めていた。それは子宮頸がんと乳がんの増加が主な原因だと考えられている。(※国立がん研究センター・国立成育医療研究センター「院内がん登録小児・AYA世代がん集計について~がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016-2017年小児AYA集計報告」より)「よつばの会」の会員であるYさん(30歳)は、8年前、22歳のときに初期の子宮頸がんが見つかり、子宮頸部円錐切除術を受けた。彼女も、恋愛でつらい思いをしてきた。Yさんが24歳のとき、がんのことはいわずに交際していた彼がいた。そろそろ話をできる関係になったかと思い、がんで手術を受けたことを打ち明けると、“そんなの関係ないよ”との答えが返ってきた。ところが、あとで友人から、彼が陰では“がんの女なんて、ムリじゃね?”と言っていたという事実を聞かされたという。原さんはこの話を、Yさん本人から「よつばの会」の集まりで聞いた。「Yさんは、ぽろぽろと涙を流しながら話してくれました。私もわかります。だれだって、健康できれいな女性として男性に愛されたい。病気のことで嫌われたくない。私も自分の病気を受け入れられず、病院から足が遠のいてしまった時期もありました」原さんは、病気に向き合うためにはやはり「支えてくれる人が必要」だという。「ひとりで抱え込まず、パートナーや夫、家族や友人でも、自分の状況や悩みを伝えることが大事。患者会に参加すれば思いをわかちあえる仲間がいます。私も人に甘えることは不得手でしたが、“人に頼っちゃってもいいんだ”と思えたらラクになりました」心ない言葉に傷ついてきた前出のYさんも、のちによき伴侶を得た。難しいといわれていた妊娠、出産を乗り越え、30歳のいまは1歳3か月の女の子のママだ。自分の経験が、がんに悩む女性の参考になればとブログもはじめた。Yさんの活動を夫は「えらいね」「いいことだよ」と応援してくれている。■人知れず抱く「もとの身体には戻れない」という悩み婦人科がんの治療では、外見の変化にも悩まされる。乳がんで乳房を失い、大きな喪失感に襲われる人は多い。また、抗がん剤による脱毛は、まだまだ避けられない。その一方で、見た目でわからない後遺症や治療の副作用を、まわりに理解してもらえずに悩むケースも、実は多い。例えばがん周辺のリンパ節を切除した場合は、リンパ浮腫にならないよう生涯にわたって注意が必要だ。リンパ節を切除するとリンパ液の流れが滞り、浮腫(=むくみ)が生じやすくなる。乳がんなら腕など上半身の、子宮がんや卵巣がんでは足や下腹部など下半身が、ひどくむくんでしまうことがあるのだ。「リンパ浮腫は歩行が困難になったり、重症感染症などでときには命にもかかわります。発症を防ぐには、誘因となるケガや虫刺され、過度の疲労などに気をつけなくてはいけません。2年以内の発症が多いといわれますが、『よつばの会』の患者さんで、術後10年後に突然発症し、片方の足がひどくむくんでしまった方がいます。患者会で“10年たっても油断しないで”と話してくれました」その他、手術の後遺症で排尿障害が起こることもある。なかには自己導尿が長く必要になる人もいて、鏡を見ながらカテーテルを尿道から挿入して尿を出さなくてはならず、尿意が乏しくなって時間を決めて排尿する場合もある。また、術後のホルモン治療や分子標的薬による維持療法などは、数年間と長期にわたることが多い。いずれも脱毛にまで至らなくても一定の副作用はあり、倦怠感や食欲不振などに悩まされ続ける人も少なくない。「患者会でよく話に出るのは、“もとの身体には戻れない”ということ。でも、はた目には元気に見えるし、“手術をして、もう治ったんでしょ”と、悩みを理解されないことも。私も以前は、悪いところを取りさえすれば元の生活に戻れると思っていましたが、現実は違ったんです」■「マザーキラー」とも呼ばれる子宮頸がん婦人科がんのなかでも、20代、30代で増加している子宮頸がんは、子育て真っ最中の若い母親が罹患することも多いことが特徴だ。子どもを残して亡くなる患者も少なくないことから“マザーキラー”と呼ばれることもある。原さんも「若いお母さんが亡くなるのはやりきれない」と話す。原さんがよく知るある女性は、子宮頸がんがわかったのが36歳のとき。ふたりの娘は3歳と1歳だった。不正出血(月経時以外に女性器から出血があること)はあったが育児に追われて受診が遅れ、診断時はすでにステージIV。リンパ節と骨にも転移していた。すぐに抗がん剤治療を始めたが、告知から1年半、幼い姉妹を残して亡くなった。また、別の患者さんは、子宮頸がんを抱えながら出産を果たしたが、産まれた子どもの肺にがんが見つかってしまう。そのがんを解析した結果、原因は母親の羊水にあったがん細胞を、赤ちゃんが産声を上げたときに吸い込んだことだと考えられた。日本でもまだ他に1例しか確認されていない珍しい症例だった。彼女は手術、薬物治療と、子どもの治療に奔走する。最終的に最新の免疫療法であるオプジーボが功を奏し、子どものがんは消失したが、ほどなく彼女は自身のがんが悪化して世を去った。「なによりも楽しみであったはずの子どもの成長を見ることなく旅立ってしまい、どんなに無念だったか。こんなに悲しいことはあってはいけない、何とか防げないかという思いを強くしました」日本では婦人科がん検診の受診率はなかなか向上せず、患者数、死亡者数も増え続けている。その背景には、婦人科がんに対する圧倒的な認識不足があると、原さんは語る。「私自身も、患者会のみなさんの多くもそうでしたが、婦人科がんになると自分の身にどんなことが起こるのかを知らなかったし考えもしなかった。それでは、予防や検診がいかに重要かも実感できないと思うんです」■子宮頸がんは婦人科がんで唯一ワクチンで予防できるがん原さんは、がんの予防や検診の普及活動に長く携わってきたが、とくに注目してきたのが子宮頸がんワクチンだ。子宮頸がんの95%はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であり、HPVワクチンの接種が予防に有効だとされる。「子宮頸がんは、婦人科がんのなかでは唯一予防が可能ながんなんです」HPVワクチンは、日本では2013年から予防接種法による定期接種の対象になっており、小学校6年生から高校1年生の間は無償で受けられる。ところが、接種した少女たちから、疼痛や歩行障害、記憶障害などの訴えが相次ぎ、テレビでその映像が繰り返し放送されるなどメディアが大きく取り上げた。その結果、厚生労働省は2か月後に積極的な接種の呼びかけを中止。7割ほどだった接種率は大きく低下し、現在も1%ほどだ。積極的勧奨中止から8年あまり、接種を続けた諸外国の多くが子宮頸がんの罹患率、死亡率が減少傾向にある一方、日本では上昇傾向にある。そのなかで国は、HPVワクチンの安全性が確認できるエビデンスが蓄積されてきたとし、ようやく2021年秋に、積極的勧奨を来年4月から再開することを決めた。HPVワクチンについて、原さんとも交流がある宮城悦子医師(横浜市立大学医学部産婦人科学教室教授)に話を聞いた。「HPVワクチンは、海外での大規模な臨床試験の結果、がんに進みやすい状態である中等度異形度以上の病変を70%予防する効果が証明され、その後の海外からの報告から、すでにある程度進行した浸潤子宮頸がんの減少も報告されています。また、日本ではHPVワクチンの副作用が大きく取り上げられましたが、接種の有無にかかわらず、同様の症状の発生頻度に差はないことが、日本人を対象にした国内の調査で明らかになっています」さらに宮城医師が強調するのは、ワクチンの予防効果は100%ではなく、「併せて早期発見のためには定期的な検診も欠かせない」ということだ。乳がんについても検診が第一。また自治体で検診が行われていない子宮体がんや卵巣がんについても、不正出血や下腹部痛など少しでも異変を感じたら、ためらわずに婦人科を受診してほしいという。「私はがん治療医として、大切なお嬢さんをがんで亡くされた親御さんの悲しみと無念を目の当たりにしてきました。ぜひ、親御さんと娘さんで、まずワクチンに対する正しい知識を持って、接種について話し合う機会をもっていただきたいと思います」原さんによると、患者さんの状況はそれぞれに違っても、だれしもが口にするのが、“もっと早く病院に行けばよかった”という言葉だという。「忙しかった」「つい後回しにした」、そこに落とし穴があった。「サインがあったらすぐに受診することはもちろんですが、もっと大切なのが、症状がないうちに行動すること。コロナ禍での検診控えも問題になっていますが、がん検診は不要不急の用ではありません。ぜひワクチン接種やがん検診の機会を逃さず、安心を手に入れてください。そしてご自身と家族の未来を、何よりも命を、守ってほしいと願っています」(原さん)(取材・文/志賀桂子)《PROFILE》しが・けいこ/フリーライター、エディター。健康情報誌を中心に20余年にわたり、医療、健康関連記事の取材、執筆に従事。主に認知症、がん、生活習慣病などをテーマに、医療従事者および患者のインタビューを数多く手がける。最近では『安心な認知症』(主婦と生活社)の編集・執筆に携わる。初出:Webメディア『fumufumu news』(主婦と生活社)
2021年12月23日劇団かもめんたる第8回公演『GOOD PETS FOR THE GOD』が11月26日(火)より東京・下北沢の駅前劇場で上演される。劇団かもめんたるは、お笑いコンビ・かもめんたる(岩崎う大・槙尾ユウスケ)の岩崎が作・演出を務め、2015年に旗揚げ。以来1年に1、2本のペースで公演を重ねてきた。第2回公演からたびたび出演してきたナイロン100℃の長田奈麻が昨年、劇団員として所属したことでも話題を集めた。「演劇的」と評されるコントをつくる芸人は少なくないが、かもめんたるは『キングオブコント2013』で優勝する前からその最右翼だった。「ふつう」を少しはみ出したキャラクター造形、一語一語に神経を通わせたセリフまわし、余韻を残す終わり方。ライブでは笑いとともに悲鳴があがることもあった。コントにも見られたテイストをそのままに、長尺の物語を紡いでいるのが劇団かもめんたるの作品。人数と時間の制限から解き放たれた岩崎が思いきりその腕を振るい、公演のたびに八嶋智人や加藤啓、石田剛太、川面千晶といった演劇界の腕利きたちがゲスト出演している。今作『GOOD PETS FOR THE GOD』は近未来の人々を描くコメディ。200年後に地球が滅びると知った人類が、最後に残る人たちのために後片付けをしはじめるという物語だ。果たして200年経ち、終わりを迎えるときにどうなっているのか。コメディではあるが、もちろん笑いだけではなく、岩崎いわく「シュールな感動」をめざすという。劇団メンバーのほか、青年団の古屋隆太、劇団プレステージの長尾卓也、香月ハルが出演する。笑いを志向する劇団はひと頃よりも多くはない。だからこそ、本気で笑いに向き合っている演劇にふれる機会をぜひ逃さないでもらいたい。12月1日(日)まで。文:釣木文恵
2019年11月26日「乃木坂46」の白石麻衣が、5月12日(土)の「世にも奇妙な物語 ’18春の特別編」で放送される短編ドラマ「フォロワー」で主演を務めることが決定。なお、白石さんが単独でドラマの主演を務めるのは今回が初となった。■「フォロワー」あらすじキラキラな“港区OL_ハル”こと藤田小春(白石麻衣)の週末は、流行のおしゃれグランピングで取引先のイケメン達と高級肉バーベキュー!でも、小春はイケメンそっちのけでお肉や外車の撮影に忙しくしている。というのも、小春はフォロワー数ナンバーワンを目指す写真投稿SNSの“新女王”。投稿はキラキラしたものばかりだが、実は完全にフェイクで、実際の小春はしがない印刷会社に勤め、安普請のアパートに住み、キラキラとはほど遠い生活。そんなくたびれた日々の中、唯一の楽しみが増えていくフォロワー数。特に、最近フォロワーになった“ミミ子@ど田舎”の数々の応援リプに心が救われていた。そんなある日、「港区OL_ハルVS麗しの受付嬢さゆ、どっちがキラキラ?」というアンケート対決で、フォロワーが3万しかいない“麗しの受付嬢さゆ”に負けていることが発覚。闘争心を燃やした小春は、ミミ子の応援リプにものせられ、追われるように偽のキラキラぶりがエスカレート。ところが、ミミ子からすぐそばで実際の生活を見られているようなリプが届くようになり…。すでに、三浦春馬主演のヒューマンSF作品「明日へのワープ」の放送が決定していた本番組。今回発表された「フォロワー」は、昨年「日本レコード大賞」受賞や「第68回NHK紅白歌合戦」などでも話題となったミリオンセラー「インフルエンサー」でセンターを務めた白石さんが、まさに“インフルエンサー”を目指して写真投稿SNSに奮闘するというホラーサスペンスだ。■白石麻衣、今作は「ぞっとするストーリー」今回主演が決定した白石さんは、人気女性アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとして活躍し、出演した『あさひなぐ』や2ndソロ写真集「パスポート」が大きな話題に。また、来週放送スタートする「やれたかも委員会」にも出演が決定している。「今回参加出来るのが夢のよう」と喜びを語った彼女は、実際に撮影してみて「(自分が演じる役)ひとりで物語が進んでいくので、撮影が始まったときはとても緊張したのですが、監督さんや周りのスタッフさんなど皆さんが優しくて、本当にあたたかい現場なので、撮影が進むにつれてリラックスして楽しんでやれるようになりました」とふり返る。白石さんが出演するのは、SNSの世界でリアルとバーチャルが交錯するホラーサスペンス。「物語とはいえ実際にありそうな話」と話す白石さんは、「でも、これが現実に本当にあったら怖い、ぞっとするストーリーだと思いました。実際に演じている側ではありますが、私自身この台本を読んだときに“これどうなるんだろう、どういうことだ?”と視聴者目線で考えてしまったほど、深いお話だと思います」とコメント。また「ラストは『世にも』らしく怒涛の展開になっています」とも明かしている。■注目は“走る”シーン?そして、「女子からしたら鼻につく、反感を買ってしまうような役」と自身の役について説明する白石さん。注目シーンについては、「小春が必至に息を切らして走っているところ」だそうで、「何で走っているかは言えないですが、そのシーンは足がもたつくくらい必至に全力で走っていて、一番頑張ったシーンでもあるので」とアピール。またお芝居に強い興味があると言う白石さん。「まだそれほど経験があるわけではないのですが、今回のような思いっきり演じられる役であったり、いままでやったような真面目な役だったり、ほかにもいろいろなキャラクターを演じてみたいので、今後もお芝居を勉強しつつ、挑戦していきたいと思います」とコメントしている。なお、本作には主演の白石さんのほかにも、都丸紗也華、内藤トモヤ、川面千晶、佐伯大地らが出演する。「世にも奇妙な物語 ’18春の特別編」は5月12日(土)21時~フジテレビにて放送。(cinemacafe.net)
2018年04月20日ヨーロッパ企画第36回公演『出てこようとしてるトロンプルイユ』が、9月末のプレビュー公演を皮切りに全国で上演される。トロンプルイユとはフランス語で“だまし絵”のこと。前作の『来てけつかるべき新世界』で第61回岸田國士戯曲賞を受賞した作・演出の上田誠が、またもやユニークなモチーフを掲げて演劇を作ろうとしている。劇団俳優の本多力とともに、その思いを聞いた。ヨーロッパ企画『出てこようとしてるトロンプルイユ』チケット情報以前からアートは気になっていたという上田。なかでも心惹かれていたのが、錯視画家のエッシャーだった。「絵画の世界ではアウトサイダーっぽい扱いを受けてきたものですけど、今ではトリックアート館があったり大衆化している。演劇でも芸術寄りなるものと大衆化するものがあるという意味で、シンパシーを感じていたんです」。正確には、絵の中に不思議な空間を作るエッシャーはだまし絵のジャンルではなく、今回取り上げるのは飛び出して見える絵画のほうだ。「まさしく2.5次元演劇です」と上田は笑うが、「こちらに対して働きかけがあるという点で、演劇で扱うのに面白いかなと思ったんですよね」と確信を持つ。ストーリーとしては、20世紀初頭のフランスを舞台に、世に出ることなく不遇なまま死んでいったトロンプイユ・アーティストをめぐる話になるそうだ。それを聞いて「フランス人を演じるのなら、やっぱり、フランス映画を観てワインを飲んでクロワッサンを食べるところから始めますか(笑)」と冗談めかす本多。だが、これまでもヨーロッパ企画では、そんなモノマネから始めるようなエチュードを重ねることによって、「迷路コメディ」「文房具コメディ」といった唯一無二の舞台を作り出してきた。「エチュードで自分に何が出せるのか、怖さもあるんですけど。でも、みんなで考えて何かが決まった瞬間は、すごく爽快感があるんです」と本多が言えば、「今回も稽古場で実際にだまし絵を見ながらヤイヤイ言い合うところから始めたいですね」と上田。「美術館の絵と違って、『これ上手いこと飛び出してきてるな』『これ失敗してるで』とか、みんなでワイワイ言えるのがだまし絵の楽しさ。そういう原始的な楽しさを劇場でも感じてもらえたら」という上田に重ねて、本多も「確かにこれまでも、前回のロボットとか、何かを介してみんなが動くことで人間関係とかができていったので、その面白さを今回も作れたらと」とアピールする。劇団だからこそできる試行錯誤に、金丸慎太郎、川面千晶、木下出、菅原永二という客演陣が加わって、また思わぬドラマを見せてくれるはずだ。公演は滋賀でのプレビュー公演ののち、京都、高知、東京、大阪、愛媛、神奈川、愛知、広島、福岡、三重の各地をめぐる。チケット発売中。取材・文:大内弓子
2017年09月08日新進気鋭の女優・桜井ユキを主演に、2017年のブレイク男子・高橋一生を彼女の恋人役に迎えた『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTYーリミット・オブ・スリーピング ビューティー』。解禁情報があるたびにネットやSNSがザワつく本作から、2人の寸止めキス写真を含む、待望の場面写真第1弾が公開された。小さなサーカス団でマジシャンの助手をしているオリアアキ、29歳。女優を夢見て上京してから10年…生きる目標すら見失いモラトリアムな日々を繰り返していた。そんな中、ステージの上で催眠状態を演じているうちに妄想と現実の境界が揺れ、やがてアキの精神状態は、現実と妄想の2つの世界を行き来するうちに摩耗していき…。主人公オリアアキを演じるのは、石井岳龍、園子温、三池崇史といった日本の映画界が誇る鬼才監督の作品に立て続けに出演する桜井さん。本作で映画初主演を果たし、鮮烈な演技を披露する。そして、オリアアキの恋人・カイトを演じるのは、いま最も女性たちの熱い視線を集める高橋さん。スタイリッシュな映像美の中で、ひときわ優しい華を添える存在としての魅力を見せつける。また、舞台「海辺のカフカ」(蜷川幸雄演出)での繊細な演技が記憶に新しい古畑新之や、蜷川演出の舞台に数多く出演している新川將人、河瀬直美監督『2つ目の窓』で主演を務め、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」でも注目を集めた阿部純子、劇団「ハイバイ」の舞台をはじめ、演劇界でも大注目の川面千晶。さらに、成田凌、満島真之介といまをときめく若手注目株の俳優陣も華を添えている。このたび、初の商業映画となる二宮健監督が描き出した独特の色彩美が特徴的な本作から、メインビジュアルとしてセレクトされたのは、アキ役の桜井さんと恋人・カイト役高橋さんの、キス一歩手前の美しい1点。「この寸止め感がたまらない!!」と、いまにもファンからの悲鳴が聞こえてきそうな1枚となっている。そのほか、主人公アキが魅惑的な視線を投げかける意味深な写真2点と、カイトのキャラクターが垣間見られる2点の写真が公開。アキにとって、何が現実で、何が妄想なのか!?ますます観る者を困惑させる写真ばかりとなっている。『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTYーリミット・オブ・スリーピング ビューティー』は10月21日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年08月17日テレビ東京系ドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(毎週金曜 24:12~)の第10話が、9日深夜に放送され、ゲストに小堺一機が出演した。同作は山田孝之演じる勇者ヨシヒコが魔王を倒す冒険を描く人気シリーズの最新作。2011年に第1弾『勇者ヨシヒコと魔王の城』、2012年に第2弾『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』が製作された。福田雄一が脚本・監督を務め、"低予算冒険活劇"として話題を呼んでいる。勇者ヨシヒコ一行が、魔王を倒すため、運命の玉を持つ7戦士を探す。第10話では、すべての玉を集めたヨシヒコ一行が、魔王の神殿へ向かうために天空の城にたどり着く。そこで出会った管理人・プサール(小堺)に導かれ第一の間に入ると、司会のカズーキ(小堺)に渡されたサイコロを振り、出た目にかかれているテーマの話をすることになった。小堺は、25年にわたりフジテレビ系トーク番組『ライオンのごきげんよう』に司会として出演していたが、3月31日をもって番組を終了。おなじみのテーマ曲に合わせ「何が出るかな、何が出るかな」とサイコロを煽る姿を久しぶりに見せ、ヨシヒコとサイコロトークを繰り広げた。さらに小堺は作中で堺正章風に料理番組、田中邦衛風に富良野での家族物語を繰り広げ、貫禄のモノマネ芸を見せた。他、ゲストに坂元杏瞳、高木星来、川面千晶、マックス・パンサーが登場した。(C)「勇者ヨシヒコと導かれし七人」製作委員会
2016年12月10日読売テレビ入社1年目の黒木千晶アナウンサーが、10月より「読売テレビPR隊長」に就任することになり31日、現・隊長の諸國沙代子アナウンサーからバトンを受ける「引き継ぎ式」を大阪市内の同局内で行った。歴代の新人アナウンサーが務めている「PR隊長」。黒木アナは4代目で、10月1日からは初冠となる番宣番組『Let’s Go! チアキちゃんねる』もスタートする。黒木アナは神奈川県横浜市出身。「関西に来てまだ4カ月。慣れないことも多いですが、関西のみなさんに早く顔を覚えていただけるように、明るく元気に番組をPRしていきたい」と抱負を。「関西らしい文化に体当たりでチャレンジしたい。お笑いのノリを勉強中です」と意気込んだ。先輩の諸國アナは"タイガース愛"を語り出すと止まらない熱狂的な阪神ファン。これに対抗するアピールポイントを聞かれた黒木アナは「レジ打ち」と答え、学生時代にスーパーのアルバイトで経験したおかげで「1円もミスを出さない!」という見事なレジ打ちの技を身につけたことを強調。この特技から「ミス0円」とのニックネームもついたそうで、「お金には厳しいので、関西らしく値切りをするロケにも番組で挑戦したい」と張り切っていた。そんな黒木アナに、諸國アナは「関西なので体を張るロケも多いですが、何事もやり切ることが大事。期待しています」とエールを。「私もいろんな失敗をしましたが、メンタルは強くなった」と新人時代を振り返り、「多少の失敗があっても死なないから(笑)」と黒木アナにアドバイスを送った。また、「夜、タクシーに乗ったとき、運転手さんに『今日はアカンね』と話しかけられたら、主語がなくてもだいたい阪神のこと」と関西の"常識"も伝授。黒木アナを「いいアドバイスをいただきました!」と感激させていた。
2016年09月01日人気ロボットアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズや、『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』シリーズなど数多くの作品を手がけた脚本家の両澤千晶さんが、19日に大動脈解離のため死去していたことがわかった。56歳だった。『ガンダム』情報の公式ポータルサイト「GUNDAM.INFO」が、22日の更新で発表。サイトでは「心よりご冥福をお祈りいたします。葬儀に関しましては当社よりお知らせすることはできません。ご了承のほどよろしくお願い申し上げます」としている。両澤さんが手がけた『機動戦士ガンダムSEED』は、2002年10月よりTV放送がスタート。続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』をはじめ、スピンオフ作品なども展開し、現在も高い人気を誇っている。
2016年02月23日自らの体験を俯瞰し、シニカルな笑いを交えて描くハイバイ・岩井秀人さんの舞台。新作『夫婦』の題材は、高圧的だった実の父親の死だ。今作では、ドラマ『あさが来た』でおなじみ、山内圭哉さんがハイバイに客演、岩井さんの母親役を演じる。* **岩井:僕は、観客として一方的に山内さんを観ていて、いつか出てもらいたいとずっと思っていたんですよね。何というか…どこか自分と役との間に距離を置いている感じがあって、そこにすごく共感するんです。山内:それは、俺がどこかで「たかが演劇」って思っているからかもしれない。情感たっぷりに朗々としゃべる気恥ずかしさってあるでしょ。岩井:そう。僕もそれ、あるんです。たぶん、演劇を信じすぎてないんじゃないですか。そこが自分とすごく近い気がしていたんです。山内:そうやね。今回の戯曲を読んで、岩井君と自分の面白いと思っているところが近いなって思って、めっちゃ安心したんです。例えば、一緒に電車乗ってて、「あのオッサンの鼻、めっちゃおもんない?」って言った時、一緒におもろがれる人。ただ、その鼻のどこを面白がってるかが違うのが、また楽しいところで。岩井:いま稽古していて、ある瞬間、お母さんが可哀想で仕方ないと思うのに、ふと、山内さんのすね毛が気になってしまうっていうような、面白い瞬間っていうのがあるんです。それはある意味、僕らはそこまでシリアスにできません、って宣言しているようなものでもあるんですよね。山内:そういう演劇との距離のとり方が似てるんだろと思うわ。岩井:ただ、すっごい深刻な経験を、笑ってもらいたくって芝居を作ってるくせに、笑いが起きると、「こいつらマジかよ」ってめっちゃ腹立つ瞬間っていうのがあるんです。山内:(笑)。それって、岩井君独特の浄化のさせ方なんやろうね。たぶんこの芝居、自分の家族をちょっと俯瞰できる年齢になっている人やったら、めっちゃ面白がれると思う。岩井:どの家族にだって、面倒なところってあると思うんですよ。そこをね、笑ってもらえたらいいですね。◇『夫婦』家族の前で暴君のように振る舞う父親を嫌って、家を離れていた岩井は、突然、父親が危篤という連絡を受け動揺する。病院で久々に会った父親は、まるで別人のような姿で…。1月24日(日)~2月4日(木)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト作・演出・出演/岩井秀人出演/山内圭哉、平原テツ、川面千晶、鄭亜美、田村健太郎、高橋周平、猪股俊明、菅原永二前売り3500円当日4000円(共に税込み)ハイバイTEL:080・6562・4520(10:00~20:00)2月13・14日に北九州公演あり。◇やまうち・たかや(左)子役を経て、‘92 年に劇団笑殺軍団リリパットアーミーに入団。その後、舞台を中心にドラマ、映画などにも出演。現在、ドラマ『あさが来た』(NHK)に出演中。いわい・ひでと(右)‘03年に劇団ハイバイを結成。自ら脚本・演出を手がける。‘12年に『生むと生まれるそれからのこと』で向田邦子賞、翌年『ある女』で岸田國士戯曲賞を受賞。※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2016年01月21日