「超悪玉コレステロール」がたまると、動脈硬化だけでなく、がんや認知症、脳梗塞、心筋梗塞のリスクも高まるという。菓子パン、スナック菓子、インスタント食品など、危険食品は身の回りにあるものばかり。取りすぎないようご用心ーー。「コレステロールは、私たちの体の細胞壁やホルモンの材料となるなど、生きるうえで必要不可欠なものです。ところが、誤った食生活によって悪影響をうけると、血管壁に蓄積して動脈硬化の原因となり、逆に体に悪影響を与えてしまうこともあるのです」こう話すのは内科医で動脈硬化に詳しい池谷敏郎先生。偏った食生活はコレステロールの“暴走”を起こすという。「コレステロールは体内でLDLコレステロールとして血管壁に運ばれます。このLDLコレステロールが酸化されて変性するとマクロファージという免疫細胞に取り込まれて処理され、血管壁にたまり、プラークというコブになってしまいます。これが動脈硬化です。LDLコレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれるゆえんです。ちなみに、LDLコレステロールには大型、小型サイズとあるのですが、小型のものほど血管壁に取り込まれやすく、活性酸素による酸化もされやすいため、小型のLDLコレステロールは超悪玉コレステロールとよばれています」(池谷先生・以下同)LDLコレステロールが酸化すると次のような問題も。「LDLコレステロールが酸化した途端、体内で“異物”として認識されます。すると、私たちの健康のバランスをとろうとしてくれるマクロファージが“異物”を食べて処理してくれるのですが、このときに起こる現象が“炎症”です。炎症は、血管の老化や動脈硬化だけでなく、肌荒れやアレルギー疾患の悪化にもつながります。さらに、がん認知症、脳梗塞、心筋梗塞などの疾患のリスクも上げます」体内での炎症を起こりやすくする一因が、オメガ6系脂肪酸(リノール酸)を多く含む食品だ。オメガ6系脂肪酸の過剰摂取によって、炎症が引き起こされやすくなるというのだ。逆に、オメガ3系脂肪酸を多く取ることによって炎症にブレーキがかかるという。つまり、過剰な炎症をふせぐためにはオメガ6系と3系の脂肪酸のバランスが重要だ。オメガ6系脂肪酸は、サラダ油、キャノーラ油、ベニバナ油など、揚げ物に使われる油に多く含まれる。オメガ3系脂肪酸は、魚油やえごま油、アマニ油などが該当する。「体内の炎症を抑えるためには、オメガ6系脂肪酸を減らし、オメガ3系脂肪酸の摂取量を多くすることです。しかし、現代の食生活では、オメガ6系脂肪酸を過剰に摂取する傾向があります。脂質の摂取は必要なのですが、摂取する脂肪酸の種類については、もっと注意をしてほしいものです」揚げ物や天ぷら、炒め物、ドレッシング、豚肉や鶏肉の脂肪部分など、オメガ6系脂肪酸の油を使った食品は、私たちの周りにあふれている。「家庭で調理して食べる分には極端な量にはならないと思うのですが、外食や弁当、スーパーやコンビニで売られているお総菜などにはオメガ6系脂肪酸を多く含む油が使われていることが多いため、外食やコンビニ弁当が多いという人は要注意です」「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月08日「高血圧は、動脈硬化のほか、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病のリスクも高めてしまいます。しかし、高血圧には自覚症状がほとんどありません。静かに病気を進行させ、ある日突然に心筋梗塞や脳出血といった深刻な病気を引き起こすため、“サイレントキラー”とも呼ばれています」こう話すのは、循環器疾患が専門で「ミスター血圧」の異名をとる渡辺尚彦先生だ。’17年に厚生労働省が行った健康調査によると、日本で高血圧と診断を受けている人は約994万人。しかし、実際は約4,300万人が高血圧だという推測もされている。渡辺先生は常に血圧計を腕につけ、自身の血圧をじつに24時間32年以上にわたって測り続けている。患者さんに対しても、エビデンスとなるデータをとりながら、薬に頼らないさまざまな降圧方法を模索している。高血圧の原因には、加齢、塩分の取りすぎ、肥満、喫煙、ホルモンの変化、などが挙げられる。「日本人の場合、高血圧の最大の要因は塩分の取りすぎだといわれています。そのため塩分コントロールは極めて大切です」(渡辺先生・以下同)また、女性は更年期を迎えるころから、血圧の変化に気をつけるべきだと渡辺先生は指摘する。「更年期の女性は、女性ホルモンが減少すると同時に血圧が上がり始める傾向にあります。女性ホルモンは血管を拡張させる働きをしてくれるため、『若いころは低血圧気味だった』という人も少なくありません。しかし、そういう人でも、更年期を経ていつの間にか血圧が上がっていたということがよくあります。自覚症状がありませんから、血圧を測定するしか変化に気づく方法はありません。家庭用血圧計で構いませんので、40代以降は日常的に血圧を測ることをおすすめします」家庭で血圧を計測する際には、いくつか気を付けることがある。日本高血圧学会では正常域血圧を140mmHg/90mmHg未満としている。上の血圧が140以上、あるいは下の血圧が90以上だと高血圧を診断される。「できれば一日の中でも、起床後、睡眠前など複数回計測すると変化がわかるようになりますし、自分の血圧の傾向も把握できるようになるでしょう」早朝だけ数値が高い「早朝高血圧」や、寝ているときだけ高い「夜間高血圧」などがあるように、血圧は一日の中でも常に変化していて、精神的・身体的な活動状況によっても数値が変わりやすい。朝の目覚めとともに血圧は上昇し、日中は比較的高く、夜になると下がり、睡眠時はさらに降下する。ほかに、室内と室外の気温差や、ストレスを受けることでも数値が上下する。また、ふだんは正常値なのに、病院で血圧を測ると数値が高く出るという人は、白衣高血圧の疑いが。逆に、病院では正常値なのに、家庭では高血圧だという人は、仮面高血圧が疑われる。これは薬を飲んで血圧がコントロールされている間に診察を受ける人に多い。ほかに、血圧をあげてしまう生活習慣には次のものがある。□喫煙□入浴時の極端な寒暖差□硬いものを食べる□締めつけのある下着をつける□イライラする□肥満体形である「煙草を1本吸うと、収縮期血圧(上の血圧)が4mmHg上がるとされています。ところが、2本立て続けに吸うと収縮期血圧に10mmHg以上の上昇が見られるのです。そして、上がった血圧はなかなか戻りません。つまり、ヘビースモーカーは血圧の高い状態が長時間続いてしまうことになります」急に冷たいものを飲んだり、冬場のトイレや脱衣所など、室温の低い所で着衣を脱ぐこともリスクを上げる。そのほか、女性が着用するガードルやボディスーツなど、強く体を締めつける下着なども血圧を上げるという報告があるという。「きつい締めつけは、血圧だけでなく、内臓を圧迫して呼吸器官や消化器官に負担をかけることにもなります。過度の使用は避けるべきでしょう」一般的に、高血圧の治療には、減塩、運動、節酒、禁煙といった生活習慣の指導を行いながら、降圧剤を服用する。治療薬は、大きく4つのタイプに分けられる。(1)血管を広げるカルシウム拮抗薬、(2)血管を収縮する体内の物質をブロックするARB、ACE阻害薬、(3)血中の食塩と水分を減らす働きをする利尿薬、(4)心臓の過剰な働きを抑えるβ遮断薬だ。とはいえ、薬を一生服用し続けなければならないわけでもないと渡辺先生は言う。「減塩の食生活を中心に、日常的に運動したり、降圧する生活習慣を心がけることで、血圧のコントロールは可能です」「女性自身」2020年2月11日号 掲載
2020年02月02日「おなか周りに内臓脂肪のついている人が、生活習慣の改善を試みなければ、やがて心筋梗塞など、重篤な心疾患につながる“エイリアン脂肪”に襲われます」内臓脂肪に詳しい池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。“エイリアン脂肪”とは、心臓の周りにつく脂肪のことで、密かに動脈硬化を進めて、心筋梗塞や心不全を発症させる恐ろしい脂肪だ。「心臓に寄生するかのごとく付着して、命を奪うことから“エイリアン”脂肪と呼ばれています」(池谷先生・以下同)エイリアン脂肪は、専門的には異所性脂肪と呼ばれ、皮下脂肪、内臓脂肪に続く、「第三の脂肪」といわれている。「エイリアン脂肪は、心臓の周囲を覆うようにして蓄積し、心臓を養う冠動脈などの組織へと細い血管を伸ばします。そして、その血管から、細胞にダメージを与える毒素が送り込まれるのです」この毒素とは、本来は心臓周囲に溜まった異所性脂肪を溶かし、吸収されやすくするために分泌されるものだ。しかし、この毒素が、本来守りたい血管や心臓の細胞まで傷つけてしまい、動脈硬化や心臓の機能障害の原因となってしまうのだ。怖さはそれだけではない。「エイリアン脂肪が出す毒は、心臓の筋肉にも影響を及ぼし、筋肉の収縮力や拡張能力を低下させます。こうして心臓のポンプ機能が低下すると、心不全が起こりやすくなります」エイリアン脂肪を持つ人の特徴をみると、肥満体形で、運動ぎらい、糖質過多の人に多いようだ。「“糖化は老化”といわれるように、高血糖は細胞を刺激して炎症を引き起こし、肌荒れや見た目の老化を進めます」特に、注意してほしいのが、若いころは痩せた体形だった人が中年になって太ったという場合だ。「もともと痩せていた人は、内臓脂肪を溜め込む容量が少なく、急に太ると肝臓、心臓に脂肪がつきやすいのです」また、女性は閉経を迎えたあたりから体形が変わりやすくなる。「女性ホルモンのエストロゲンは、いわゆる“痩せホルモン”です。ですから、若いころは、エストロゲンのサポートが効いて、わりと体形のコントロールがしやすいのですが、閉経を迎えてエストロゲンが枯渇しても以前と同じような生活習慣でいれば、もはや若いころのように体形のコントロールはできず、太りやすくなるのです」いったん動き出すと恐ろしいエイリアン脂肪だが、対策もある。「脂肪の中でいちばん落としやすいのがエイリアン脂肪で、食習慣を改善することで、早ければ2~3日で落ち始めます。多くの場合、肥満の原因は、糖質過多、脂肪分過多の食事です。私は、まず糖質ないしは炭水化物を半分に減らすことをすすめています。でも、それでは全体の量は足りないと思いますので、食物繊維を多く含んだ緑黄色野菜や大豆、きのこ類の量を増やし、パンやごはん、麺などの炭水化物の量を半分に減らすようにしましょう」きちんと実践すると、心臓周囲とともに、内臓脂肪が減り始める。「私の患者さんでこの“ゆる糖質制限”をきちんと実践している人は、ほぼ全員成功しています」食事を改善することで、体の酸化が抑えられるため、肌や髪にツヤやハリが出たり、疲れにくくなるなど、そのほかの嬉しい変化も期待できるそうだ。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の製作発表が16日に都内で行われ、薮宏太(Hey! Say! JUMP)、すみれ、シルビア・グラブ、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)、村井國夫、松竹 取締役 演劇副本部長 西村幸記、シーエイティープロデュース 代表取締役 江口剛史が登場した。同作は『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキン グ』などの作詞を手掛けたティム・ライスが、まだ学生時代だった頃に初めてタッグを組んで生み出した、両巨匠の原点ともいえる作品。旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、全編楽曲で綴られ、ロック、バラード、シャンソン、 カントリー、ロカビリーと多彩な音楽で彩られる。2019年12月に、軽度の心筋梗塞のため主演舞台『獣唄』、出演舞台『黄昏』の降板を発表していた村井。会見には元気な姿で現れ、12人の子供を持つジェイコブ役を演じることから「精力を持ってやっていきたいと思います」とジョークも飛ばす。主演で息子役の薮に対しては「かわいいですよね。僕、同じミュージカルをやったことあるんですよ。『シー・ラヴズ・ミー』の日本初演。密かに、いっしょの作品をやったことがあったなと思ってたんです」と嬉しそうにしたものの、初耳といった様子の薮に「知らないだろ? そういうの調べておかないと」とツッコミ。薮は「勉強不足で……」と恐縮する。また、今回小浦が2役やることについて、村井は「僕が見た時には、おやじ(ジェイコブ)が2つやってたんですよ。まわってくるかなと思ったんですけど、病み上がりなものですからひとつ」と苦笑。改めて心筋梗塞について聞かれると、「生きてます。自分でもびっくりしましたが、なんとか大丈夫だと思います。毎日ウォーキングを4~5kmくらいして、元気な日々を送ってます。2つ芝居を降りちゃいましたから、これは確実にやっていきたいと思っています」と気合い十分。「歌声には自信ないんですけどね……芝居はなんとかやっていけるんですけど、歌はちょっと不安です」と少し弱気な面も見えた。村井との共演について感想を聞かれた薮は「嬉しい限りです」と語ったものの、先ほどの件を引きずっていた村井は「知りもしないんですよ!」と手を伸ばして薮の手をぺしぺしと叩く。薮は「この期間を経て、千秋楽には一緒にお酒を……」と弁解するも、村井の「僕、一滴もお酒を飲まないんですよ」という言葉に、「ああ、申し訳ない……」と天を仰いでいた。
2020年01月16日「おなか周りに内臓脂肪のついている人が、生活習慣の改善を試みなければ、やがて心筋梗塞など、重篤な心疾患につながる“エイリアン脂肪”に襲われます」内臓脂肪に詳しい池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。“エイリアン脂肪”とは、心臓の周りにつく脂肪のことで、密かに動脈硬化を進めて、心筋梗塞や心不全を発症させる恐ろしい脂肪だ。「心臓に寄生するかのごとく付着して、命を奪うことから“エイリアン”脂肪と呼ばれています」(池谷先生・以下同)エイリアン脂肪は、専門的には異所性脂肪と呼ばれ、皮下脂肪、内臓脂肪に続く、「第三の脂肪」といわれている。「エイリアン脂肪は、心臓の周囲を覆うようにして蓄積し、心臓を養う冠動脈などの組織へと細い血管を伸ばします。そして、その血管から、細胞にダメージを与える毒素が送り込まれるのです」この毒素とは、本来は心臓周囲に溜まった異所性脂肪を溶かし、吸収されやすくするために分泌されるものだ。しかし、この毒素が、本来守りたい血管や心臓の細胞まで傷つけてしまい、動脈硬化や心臓の機能障害の原因となってしまうのだ。「通常、動脈硬化は、脂質異常や高血糖など、血管内を流れる血液の状態によって進行します。しかし、エイリアン脂肪の場合は、心臓の外側からの攻撃で急速に動脈硬化を進行させるのです。その勢いは凄まじく、エイリアン脂肪の存在によって、動脈硬化の進むスピードが約10倍になるといわれています。たとえば、動脈硬化が10年かけて悪化するのに対し、エイリアン脂肪は、1年で心臓を壊してしまうのです」静かに近づき、突然症状が出たかと思うと、心臓を壊しているというから恐ろしい!今話題の内臓脂肪が、エイリアン級に悪化しているのだから、警戒レベルはマックスだ!「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日「ある日突然発症するイメージがある心筋梗塞ですが、この疾患は、毎日の生活習慣と関係しています」そう話すのは、医学博士で(一社)日本ダイエットスペシャリスト協会理事長の永田孝行先生。心筋梗塞は、心臓への血流が不足した結果、心臓の細胞が壊死してしまった状態で、食生活の乱れや喫煙・飲酒習慣の積み重ねによる動脈硬化の進行で発症する例が多い。特に寒くなるこの時期は、室内と外気との急激な温度の変化に血管の収縮と弛緩が対応しきれなくなってしまうリスクがあるので注意が必要だ。そこで白澤先生が、心筋梗塞になりにくい生活習慣を2択クイズで出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】心筋梗塞の注意すべき前兆は?就寝前に体の痛みやだるさを感じる or ひと息つくとき、肩などに違和感がある正解は、ひと息つくとき、肩などに違和感がある。「心筋梗塞で前兆があるのは、全体の3分の2とされています。日中に肩や胸、あご、のどなどに違和感があるときは、心筋に関わる血流の悪化が影響している可能性も。ちなみに、前兆があるほうが体の防御作用が働き、発症後の重症化を避けられます」(永田先生・以下同)【Q2】血管を強化するために効果的なのは?こまめに早歩き or ゆっくり時間をかけて歩く正解は、こまめに早歩き。「長距離をゆっくり歩くより、短時間でもさっさと早歩きをしたほうが姿勢もよくなりますし、下腿に力が入りやすくなります。さらに、ふくらはぎの筋肉が鍛えられ、ポンプ作用が促され、血行も促進されるといったメリットもあります」【Q3】冬場の外出前。血管にやさしいのは?外出10分前に暖房を切って出かける or 外出時まで暖房は強のままで出かける正解は、外出10分前に暖房を切って出かける。「室内と外気との温度差を少なくする策です。暖房が効いている室内から外出する際、コートを着てすぐに外出すると外気との温度差によって急激に冷えてしまいます。室内でコートを着た状態で、体が保温されてから外出するのが正解です」【Q4】血管のために好ましい室内外の温度差は?5度 or 10度正解は、5度。「血圧の急上昇を防ぐためにも、外出前には室温を外気温に近づけて急激な温度変化を防ぎます。気温差が5度以内なら自律神経の調節に支障はありませんが、それ以上に差が開くと、体が適応しにくくなり、心筋梗塞、大動脈解離などのリスクが上昇します」【Q5】入浴時、血管に負担をかけないのは?軽く体を動かして温めてから入る or あらかじめ浴室の温度を上げてから入る正解は、あらかじめ浴室の温度を上げてから入る。「入浴時の温度差によるヒートショックで血圧の急変動が起こり、失神、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす事例が多々あります。脱衣場の温度にも気をつけたいですが、浴室の温度も思いのほか低くなりがちですので、浴室の温度も上げてから入浴してください」心筋梗塞の予防で最も大切なのは身体活動だそう。「運動とは言えないレベルでも日々意識的に体を動かすことで血流を促進し、丈夫な血管をつくるよう心がけましょう」胸やあごなど、心臓以外の部位に起こる痛みは心筋梗塞の前兆であることも。「日々体調を観察し、小さな違和感を見逃さないことも重要です」「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日元気に見える人を襲う「急性心臓死」。手遅れになる前に、予兆に気づけば一命をとりとめることができる。そうなる前の、日ごろからの予防も大事になるが……。「現代は飽食の時代ですから、昭和のころに比べて、肥満や高血圧、糖尿病の女性は増えています。とくに女性ホルモンの分泌が低下する50代以上は動脈硬化が進みやすいので、心不全による突然死、『急性心臓死』に注意が必要です」そう話すのは、心臓血管研究所所長で医学博士の山下武志さん。急性心臓死とはどんなものなのか。山下医師はこう語る。「症状が出てから24時間以内に亡くなることを突然死と言いますが、病院に着いたときには、だいたい亡くなっています。診たところ、くも膜下出血などの脳の病気ではないので、原因は心臓にあると判断することが多いのです。そんな急性心臓死につながる不全の原因は、不整脈や弁膜症、狭心症などいろいろ。なかでも、50代以上で多いのは心筋梗塞です」心筋梗塞は、初期の段階で心臓の冠動脈が詰まったり硬くなったりして、心臓のポンプ機能が低下する。そうすると必要な酸素や血液が心臓の筋肉に送られにくくなり、心筋の一部が壊死して発症する。「水道管が少しずつ錆びついていくように、動脈硬化も加齢とともに20~30年かけて徐々に進行していきます。しかし、目立った症状がないことも多く、気づきにくいのです」怖いのは心筋梗塞のリスクが高まっていても、自覚しにくいことだ。そのなかでもわかりやすい予兆を、山下医師が教えてくれた。「心筋梗塞を起こす直前の心臓は、だんだんパワーが落ちてくるんです。そうすると息切れしやすい、歩くスピードが落ちてきた、などの症状が出てきます。これは、心臓の冠動脈が詰まって、十分に酸素や血液が送り込まれなくなっているからですが、『年をとったからだろう』と気に留めない人が多い」さらに心臓の動脈硬化が進むと、血流が悪くなることでむくみを生じたりして、横になるだけで息苦しさを感じたりするようになったりする。尿が出にくくなることもあるという。50代以上で、次のチェックリストにあげたような症状が1つでも当てはまる人は病院で検査を。【1】今まで平気だった階段や坂などを上るときに胸が苦しくなる【2】風邪でもないのに、歩く速度が遅くなった【3】アルコールを飲むと胸が苦しくなることがある【4】足のむくみがある【5】尿がでにくくなった【6】横になると息苦しい【7】これまで感じたことのないような肩の痛みがある【8】押されるような胸の痛み【9】虫歯でもないのに歯に(浮くような)激痛がある【7】~【9】は心筋梗塞の初期症状の可能性もあるので、とくに要注意。「もし、これまで感じたことがないような激しい肩の痛みや、歯や顎が浮くような強い痛みなどがある場合は、すでに心筋梗塞になっている可能性が高い。すぐに病院へ」心筋梗塞を予防する方法はないのだろうか。「心筋梗塞になるリスクが高い人は、心臓の動脈硬化を促進する肥満、高血圧、糖尿病、高コレステロールなどがある人です。こうした要因が1つでも当てはまれば、動脈硬化は進行していきます」このほか、遺伝的な要素も関係しているという。「両親のいずれかが心疾患だったり、それが原因でなくなったりしている人は注意が必要です」大事に至らないためには、日々の暮らしで次のようなことを心がけるとよいそう。「太っている人は体重を減らす。ちょっと息が切れるくらいの運動を週に3回はして、しっかり睡眠をとる。食事は塩分を控えて、お酒は適量に」山下医師は、予防として必ず実践してほしいのが、体重と血圧の管理だという。「毎日測っていれば変化がわかります。ちょっと体重が増えたとしても、次の日に食べる量を減らせば、すぐに元に戻せます。血圧が高めの人は、血圧計を手に入れて1日1回でも、時間帯を決めて自宅で血圧を測定して記録すること。『最近、血圧や脈拍が上がってきたな』と思ったら、その記録を持って医師に相談しましょう」これくらいならいいかと、放置しておかないことが大事だ。「毎年、せっかく健康診断を受けても〈血圧が高めだけど、まだ大丈夫だろう〉〈ちょっと太ったけど、まあいいか〉などと言って、生活習慣を変えようとしない人が多い。これが積み重なると、動脈硬化で心臓が弱っていき、突然死を招きかねません」いつ襲ってくるかわからない心疾患による突然死。手遅れになる前に、ライフスタイルを見直すことから始めよう。「女性自身」2019年12月24日号 掲載
2019年12月16日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで、自身もダイエットに成功した経験を持ち、独自のダイエット理論を持つ工藤内科の工藤孝文先生、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚先生に、無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「内臓脂肪を減らすには『ミートファースト』を提案します」というのは工藤孝文先生。「ミートファーストは、肉を食べることによって分泌されるインクレチンというホルモンが、血糖値を穏やかに上昇させます。肉は胃の中での停滞期間が長いので、腹持ちがいいし、赤身肉には脂肪を燃焼する働きのあるL-カルニチンが多く含まれています。こうしたさまざまな観点から、内臓脂肪を減らすのにミートファーストは最適なのです」この方法の唯一のルールは食べる順番を守るだけ。肉→野菜→炭水化物の順番で、肉を最初に食べることと、炭水化物を最後に食べるということさえ守れば、食べる量を変える必要はない。しかし、「ミートファースト」にすることで、自然と食べる量が減るという。さらに、ベジファーストよりミートファーストのほうが、ダイエット効果が高いという結果もある。「ミートファーストにすることで、高タンパク、低糖質で栄養が吸収されるようになり、その結果、脂肪が減少し、筋肉がしっかりつくようになったのです」ほかにも、タンパク質には血管年齢を若く保つ働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防につながり、肌のハリを出してくれる若返り効果も期待できる。1日に摂取したいタンパク質の量は女性で1日50g。実際に50gが吸収されるためには、赤身肉を100〜150g程度食べること。目安としては1食の量が片手のたなごころくらいだ。食べる量を変えなくてもいいし、食べるものも気にしなくていい、食べない時間をつくる「12時間断食」を提案するのは青木厚先生。「1日3食が当たり前のように提唱されていますが、それでは食べすぎです。摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから、肥満になるのですから」食べすぎは血糖値の乱高下を起こすだけでなく、内臓脂肪の蓄積にもなる。食べない時間をつくることで、内臓を休ませることができるうえ、脂肪燃焼もできるのだ。「空腹の時間は、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンを分解することで体脂肪を燃焼させてエネルギーを作ります。だいたい食後12時間くらいで肝臓や筋肉に蓄えられていたグリコーゲンは枯渇して、その後、内臓脂肪をブドウ糖に変換します。この仕組みは『糖新生』と呼ばれる代謝状態で、私たちの体が“飢餓状態”に耐えられるように作動するものです。糖新生の時は、細胞の掃除も行われます。理想は16時間の断食ですが、まずは12時間から始めるとよいでしょう」(青木先生・以下同)糖新生が始まると、内臓脂肪が燃焼するだけでなく、細胞が活発に生まれ変わる、血糖値が下がる、免疫力が上がる、記憶力・認知力がアップするなど、私たちの体を若返らせてくれるさまざまなうれしい効果も期待できる。「12時間断食」の基本は、1日のうち連続した12時間を「食べない時間」として守ることだ。1日8時間の睡眠をとっているとすれば、睡眠の前後数時間を「食べない時間」に設定すればいい。一方、「食べてOK」の12時間は何をどれだけ食べてもかまわない。「こう考えると『食べてOK』の時間にドカ食いをすると思われるかもしれませんが、意外とそんなに食べられないものです。結果として、1日に食べる量が減ることになります。際限なくいつでも食べられる状態から『食べない時間』をつくることで内臓を休める時間を持つと、体のリセットにも」「空腹の時間」は、水、お茶、コーヒー(ブラック無糖)以外は口にしないこと。どうしてもおなかがすいたらナッツ類、無糖ヨーグルトなら食べてもいい。最初のうちは慣れるまでおなかがすくかもしれないが、数日で体が慣れてくるという。「ただし、糖尿病で投薬治療を受けている人は、低血糖のリスクがありますので、専門医の指示に従って行ってください」内臓脂肪を減らすためのダイエット法は、各先生によって異なるものの、共通しているのは「いかにして食べる量を減らすか」だ。それぞれ1〜2週間もすれば、体重が減少し始めたり、腰回りが細くなるなど何らかの結果が見えてくると、先生たちは声をそろえる。早速試してみよう!
2019年11月06日動脈硬化、心筋梗塞など、私たちが恐れる重大な疾患を引き起こす「内臓脂肪」。それを落とすには「食べ方が9割」。苦労せず続けられる画期的なメソッドがあった!「内臓脂肪が体に有害であることは、医療者の間では長年知られていることです。そもそも、内臓脂肪を改善してもらうために、2008年から『メタボ健診(特定健康診査)』を導入したのに、人々の間で危機感がなく、なかなか本気で痩せようとしていません。これが、内臓脂肪の注意喚起を訴えようと思ったきっかけです」池谷医院院長の池谷敏郎先生はこう話す。今年4月に出版した『内臓脂肪を落とす最強のメソッド』(東洋経済新報社)は注目を浴び、ベストセラー本となったが、いまだにその人気は衰えていない。「内臓脂肪は、腸の周りにつく脂肪ですが、特に怖いのは、肝臓や心臓の周りにつく脂肪です。メタボによる脂肪肝は肝硬変や肝臓がんのリスクとなりやすく、心臓周囲の脂肪は、毛細血管を伸ばして炎症の原因となる物質を送り込み、動脈硬化を急速に進め、心不全や心筋梗塞を引き起こすのです」(池谷先生・以下同)通常の動脈硬化は、血中コレステロール値や血糖値、血圧が高いなど、血管の内側の異常が原因となって進行する。ところが、内臓脂肪による動脈硬化は、血管の外壁側から心臓表面を走る冠動脈に悪影響を及ぼして、動脈硬化を急速に進めるのだ。さらに、心臓の機能をも低下させ、心不全の要因ともなるというから恐ろしい。ちなみに、脂肪肝を診断される人はほぼ、心臓周りにも内臓脂肪がついている可能性が高いという。内臓脂肪は、動脈硬化の原因となる糖尿病や脂質異常症、高血圧などに悪影響を及ぼす。ではどうすれば内臓脂肪を減らせるのだろうか。そこで池谷先生に無理なくできる「内臓脂肪の落とし方」を聞いた。「9割は食べ方で改善できます。内臓脂肪が原因で通院されている患者さんを見ていてもわかりますが、とにかくみなさん、食べすぎです。なのに、ほとんどの人は自分が食べすぎていることを自覚していません」特に女性の更年期世代は、エストロゲンの分泌が急激に減少する。エストロゲンには体重をコントロールしてくれる働きがあるので、若いころはちょっとダイエットをすれば痩せていたが、エストロゲンという“助け船”がなくなると、以前のような方法では痩せない。「中年期からは、ある意味、チャンスともいえます。痩せて内臓脂肪のないすっきりした体形になれば疲れにくくなりますし、スタイルを維持していれば、人目を気にすることもなく、いろいろなストレスから解放されます」そして提案するのは、「プチ糖質制限」。血糖値を上げる直接の原因となる炭水化物(ご飯、パン、麺類、いも類、フルーツ、スイーツ)を半分の量にするのだ。「糖質は体内に入ると内臓脂肪のもととなる中性脂肪に変わります。ですから、体内に糖分が残らないように糖質を半分にしていると、内臓脂肪が減っておなか回りがスッキリしてきます」ただ単純に食べる量を減らすとそれまで食べていた量が減るので、おなかがすぐに減って、かえって間食が増えかねない。そこで、おかずに野菜やきのこ類、蒸し大豆などを加えてたっぷり食べる。たとえば、焼きそばを2人分作るときは、麺1人前に野菜と肉を3人前加える。ボリュームがあって、おいしいが低糖質という1品になる。さらに池谷先生がオススメするのが大豆食品から食べる「ソイファースト」。大豆食品を最初に食べることで大豆タンパク質、食物繊維、ミネラルなどが効率よく吸収できる。大豆には、更年期以降の女性にうれしいイソフラボンの働きもある。最近は、スーパーにパックや缶入りの蒸し大豆が販売されている。納豆でもOK。食べるとおなかにたまりやすく、血糖値の上昇を抑える働きもある。早速試してみよう!
2019年11月06日《まさかまさかの、突然死ぬかも知れなかった、、、。》9月24日、自身のフェイスブックにこうつづったのは、故・松田優作さんの妻で女優の松田美由紀(57)。心筋梗塞を発症して救急搬送されていたことを、この日、所属事務所が発表したのだ。緊急手術には、長男の松田龍平(36)、次男の松田翔太(34)ら、家族総出によるサポートがあったという。《家族の愛が助けてくれました。龍くんは、夜中の手術にずっと手を握って付き合ってくれ、翔は、家族写真を持ってきて、ずっと話してくれ、ゆう姫は泣き出すし、姉の真実ちゃんは、舞台の稽古なのに、何回も来てくれて励ましてくれて》長女で歌手の松田ゆう姫(30)、そして姉の熊谷真実(59)まで病院に駆けつけ、懸命に看病してくれたという。「実は美由紀さんは、ご自身や龍平さん、翔太さんが所属する芸能事務所の社長も務めています。翔太さんはもともと別の事務所でデビューしたのですが、5年前に移籍しました。そのころ美由紀さんは『私が生きているうちに、この子たちがしたい仕事で食べていけるように土台を作ってあげたい』と語っていました。2人の息子の活躍の陰には、母である美由紀さんの尽力があるのです」(芸能プロ関係者)幸い命に別状はなく、無事に手術を終えた美由紀は、27日に退院。本人は《普段から身体は気をつけている》とつづっていたが、それでも57歳で心筋梗塞を発症してしまったのはなぜなのだろうか。ツカザキ病院循環器内科主任部長の楠山貴教さんに聞いた。「女性の心筋梗塞は、50代後半から増え始める印象です。女性ホルモンのエストロゲンが、閉経を境に減少することが一因だといわれています。抗動脈硬化作用があるエストロゲンが減少し、それによって心筋梗塞のリスクも高まるのです」美由紀は《突然、自宅で倒れて、、救急車も早く到着し、緊急でカテーテル手術になり助かりました!!》とつづっていたが、楠山さんによると、発症から数分間の処置が生死を左右するという。「症状としては、冷や汗や吐き気を伴う胸の痛みが特徴的です。倒れるほどの胸の痛みがあれば、すぐに救急車を呼んでください。意識を失った場合、救急車到着までの7~8分間、そばにいる人に胸骨圧迫(心臓マッサージ)をしてもらえれば、脳や心臓を保護できる可能性が格段に高まります」家族のため、これからの人生のため――。更年期の女性は、突然の心筋梗塞に気をつけて!
2019年10月03日「血管の老化は心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる重篤な疾患を招きますが、実は最近、高齢者とともに、血管年齢が高い若い人が増えているのです。30~40代で心臓の病気になり、手術を受ける人の血管年齢はだいたい60~70代で、実年齢よりも30歳ぐらい年をとっていました。運動不足で、偏食がちで食生活が乱れている、肥満傾向で、若いうちから生活習慣病にかかっている、といった共通点があります。特に、女性は閉経後に血管の機能が衰えてくるので、40代後半ぐらいから血管年齢を気にしたほうがいいでしょう」そう警鐘を鳴らすのは、年間300超もの手術を手がける、東京女子医科大学病院心臓血管外科の新浪博士主任教授。心臓から押し出されて、動脈を流れる血液は酸素や栄養素を細胞へと運び、静脈を通り老廃物を回収する役割を果たしている。健康な動脈は内側にある血管内皮細胞がなめらかで血液が滞りなく流れるが、生活習慣病などで血管が傷つき、しなやかさが失われると、血液の流れが悪くなり、高血圧や動脈硬化を招く。こうして血管年齢は年をとっていく。自分の血管がどのくらい年をとっているのか目安になるのが、8つの項目からなる次の「血管年齢チェックリスト」。4つ以上のチェックがつくと、血管年齢が高い可能性大という。□おなかいっぱいになるまで食べてしまう□味の濃い料理が好き□就寝前2時間以内に食事をしたりお酒を飲んだりする□以前と比べかなり太った□休日は家でゴロゴロして運動はあまりしない□せっかちでイライラしやすい□親やきょうだいに心臓病や脳卒中になった人がいる□喫煙者である「もうひとつチェックしておきたいのは、ふだんの血圧です。血圧を測り、最高血圧の値から最低血圧の値を引き、60以上の差が開くと血管が硬くなっているということになります。弾力を失った血管は柔軟性がないため、血管にむりやり血液を押し込まなければならず、負荷がかかります。そのため、収縮期血圧(最高血圧)と、拡張期血圧(最低血圧)の幅に差が生じてくるのです」(新浪教授)
2019年10月02日「血管の老化は心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる重篤な疾患を招きますが、実は最近、高齢者とともに、血管年齢が高い若い人が増えているのです。30~40代で心臓の病気になり、手術を受ける人の血管年齢はだいたい60~70代で、実年齢よりも30歳ぐらい年をとっていました。運動不足で、偏食がちで食生活が乱れている、肥満傾向で、若いうちから生活習慣病にかかっている、といった共通点があります。特に、女性は閉経後に血管の機能が衰えてくるので、40代後半ぐらいから血管年齢を気にしたほうがいいでしょう」そう警鐘を鳴らすのは、年間300超もの手術を手がける、東京女子医科大学病院心臓血管外科の新浪博士主任教授。心臓から押し出されて、動脈を流れる血液は酸素や栄養素を細胞へと運び、静脈を通り老廃物を回収する役割を果たしている。健康な動脈は内側にある血管内皮細胞がなめらかで血液が滞りなく流れるが、生活習慣病などで血管が傷つき、しなやかさが失われると、血液の流れが悪くなり、高血圧や動脈硬化を招く。こうして血管年齢は年をとっていく。血管年齢を若返らせるためには、生活習慣病を治して、動脈硬化を防ぐことが求められるが、もうひとつ、世界が注目している物質があるという。「禁煙、減塩など正しい食生活を心がけて、太りすぎにならないように運動をするなどがこれまでの血管ケアの常識でしたが、近年の研究で、血液中の“一酸化窒素”の量が増えると血管がしなやかになり、血圧を正常にすることがわかりました。生活習慣病の改善とともに、血管の老化を防ぐ物質として今、世界から注目されているのが血液中の一酸化窒素なのです」一酸化窒素といえば、’70年代に光化学スモッグや酸性雨の原因となる有害物質として認識されていたのが、’98年「一酸化窒素の生体内機能について」の研究が、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことから、血管の若返り物質として知られるようになった。「しかも、体に張り巡らされているたくさんの血管のなかで、一酸化窒素がたくさん作られるのは動脈の内皮細胞だということもわかりました。一酸化窒素を増やすには血流量を増やすことです。運動や入浴など血流がアップしたときのほか、動脈が走る皮膚の上から、“もみほぐす”などの刺激を与えて、血流をアップさせるだけで、一酸化窒素の量を増やせます。皮膚の下を通る動脈が体のなかにいくつかあり、その部分を重点的にほぐして刺激を与えれば、一酸化窒素がたくさん産出できると考えたのが新浪式“血管ほぐし”です」■「デコルテほぐし」目安時間各1分鎖骨の下には太い血管の「鎖骨下動脈」が走っているので、その部分をもむようにマッサージして刺激を与えよう。(1)左手を右の鎖骨下に当てる。(2)指先で鎖骨の下の骨を感じながら、胸の筋肉を上下左右にもみほぐす。(3)次に右手を左の鎖骨下に当て、(2)の手順で鎖骨下をもみほぐす。■「わきの下ほぐし」目安時間各1分血流をアップさせる太い血管のひとつ「腋窩動脈」に刺激を与える。(1)左手を右のわきの下に入れ、くぼみに4本の指の腹を当てる。(2)くぼみを軽く押したり、さすったりして刺激を与える。(3)次に右手を左のわきの下に入れ、(2)の手順でわきの下を刺激する。■「そけい部ほぐし」目安時間各5秒×5回(1)椅子に座って、左右4本の指で左右の太ももの付け根部分に手を添える。(2)4本の指で、そけい部をグッと押す。強さは痛気持ちいい程度で。どの順番からやってもかまわないが、血管年齢を若返らせるためにも、毎日続けることが大切。健康寿命を延ばすためにも、まずは血管年齢を若返らせよう!
2019年10月02日「脳卒中や心筋梗塞などの危険因子として高血圧が指摘されますが、じつは脈拍が速い人のリスクも実証されています」こう話すのは、帝京大学医学部教授の大久保孝義先生。岩手県大迫町(現・花巻市)では、町民が家庭で血圧を測定する取り組みが33年前から続いている。大久保先生は長年この研究に携わり、データの分析に当たってきた。「最初は町民100人から始まり、現在は300人ほどに拡大しました。家庭用の血圧計を配り、1カ月間、毎朝、血圧を測ってもらう調査です。血圧計では脈拍も測れるので、同時に測定してきました」(大久保先生・以下同)家庭用の血圧計を使った測定事業は世界初の試み。医療関係者の間では「大迫研究」と呼ばれる貴重なデータだ。「その結果、家庭で起床時に測る“安静時脈拍”が1分間に70回→75回、75回→80回と5上昇するごとに、脳卒中や心筋梗塞などで死に至るリスクが17%ずつ上昇することがわかりました」それだけではない。脈拍が速い人は血圧が正常範囲内でも、血圧・脈拍ともに正常値の人に比べて、脳心血管疾患のリスクがなんと2.16倍にもなるという結果がでている。血圧が低いから大丈夫、と思っていたあなた。じつは脈拍が速いことも突然死の大きなリスクなのだ。小さい動物は脈拍数が多く寿命が短い。大きい動物は脈拍数が少なく寿命が長い。たとえば、1分間に600〜700回の脈を打つハツカネズミの寿命は1.5〜2年。ゾウの脈拍は1分間に20回程度で、寿命は50〜70年だとか。これが人間にあてはまるとすると、脈が速い人は短命、遅い人は長寿ということになる。これを「大迫研究」は裏付けた結果だ。なぜ脈拍が速いと、命に直結する脳卒中や心筋梗塞になりやすいのか?「心臓をポンプ、血管をゴムホースにたとえましょう。脈拍が速いと、ゴムホースが膨らんだり縮んだりする回数が増えるため、ゴムホースが傷みやすくなるんです」ずっと脈拍が速い状態が続くと血管が傷つき、動脈硬化を起こす。これによって血管が狭くなり、詰まりやすくなる。「さらに、ストレスなどで自律神経のバランスが乱れていると、起床時の血圧は高くなりやすい。こうした体の不調はホルモンの分泌にも影響し、血栓ができやすくなります。これも脳卒中や心筋梗塞の原因になります」これほど重要な脈拍だが、あなたは自分の正確な脈拍数をご存じだろうか?「家庭用の血圧計があれば、血圧と同時に測定できます。もしなければ、手首に指を当てて測るようにしてください」その際に大事なのは、いつ測るかということ。「脈拍は日常生活の中で変化が大きいので、起床してすぐ、安静な状態で測ることが重要です。1週間、測ってみて、その平均値が自分の脈拍数と考えてください」日本人間ドック学会では、脈拍の正常値を1分間に45〜85回としているが。「大迫研究の調査結果を見ると、健康リスクが増える分岐点は、1分間に70回だということがわかってきました」つまり、起床時の脈拍が1分間に70以上の人は注意が必要ということになる。「高血圧と違って、今のところ脈拍を下げる薬はありません。起床時の脈拍が速くなる原因は、ストレス、喫煙、飲酒、肥満など。こうした生活習慣を見直すことで、脈拍を遅くすることを心がけてください。ただし、45以下になると心臓疾患の心配があります」大久保先生は脈拍をゆっくり保つための生活習慣として、次の3カ条をすすめる。【1】大またや速足で歩く起床時の脈拍を整えるには、起きている間に働く交感神経を夜間に弱める必要がある。日中、体を動かして、交感神経をしっかり使っておくことが大切。そのためには、ウオーキングなどの有酸素運動が有効だが、ふだん歩くときに、心もち歩幅を広げて大またにしたり、少しスピードを速くするだけでも十分に効果があるという。【2】寝る前に水を1杯飲む脈拍は、熱中症など脱水状態になると急激に上がることがわかっている。これと似た理由で、特に夏季は寝ている間に汗をかき、脱水気味になることが多いので注意が必要。脱水気味で起床時の脈拍を測ると、どうしても平常より速くなってしまうことになる。「予防のためには、寝る前にコップ1杯の水を飲むことをすすめます」【3】寝る前にお酒を飲まない適度の飲酒はストレス解消になってよさそうだが、寝る前の深酒は禁物とか。「就寝前にお酒を飲むと、2〜3時間後に目覚めてしまった経験があるはず。これは、アルコールが分解されてできるアルデヒドが交感神経を高めてしまうせい。この影響で起床時の脈拍も速くなってしまう」脈拍が速い人は寝酒は避けたほうが無難だそう。「大迫町ではこの調査が始まってから、町民の脳卒中発症率が3分の1にまで減少しました。血圧だけでなく脈拍もしっかり測ることで、突然死から自分を守ることができるんです」ぜひあなたも、起床時の脈拍を測ることから始めてみて。
2019年08月23日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【なす】病気:動脈硬化、心疾患、高血圧効能:なすにはカリウム、ビタミンC、ビタミンB6が含まれている。特に皮の部分に多く含まれるポリフェノールのアントシアニンには抗酸化作用があるので皮をむかずに食べたい。アントシアニンが心疾患のリスクを34%下げるという報告がある。カリウムの働きで血圧抑制作用も期待できる。【セロリ】病気:がん、動脈硬化、高脂血症効能:「セロリに含まれるアピゲニンという成分に細胞の抗炎症作用があるといわれています。またルテオリンには抗がん作用が働くという疫学調査もあります。食物繊維が腸の働きを整えてくれるだけでなく、セロリの葉の部分には血液をサラサラにする栄養素が含まれていて、コレステロールの低下や動脈硬化の予防に」(白澤先生)【にんにく】病気:心臓病、脳卒中、動脈硬化、がん(胃がん、結腸がん、食道がん、すい臓がん、乳がん)効能:アリルスルフィドという成分にがんの発現予防、生成抑制作用があることがわかっている。にんにくを摂取すると結腸がん、前立腺がんのリスクが約50%低下するという報告がある。米国国立癌研究所(NCI)もにんにくを抗がん特性のある野菜と認めている。血液サラサラ効果もあり、心臓病や脳卒中の予防にも効果が。【しょうが】病気:脳卒中、心疾患、がん(肺がん、大腸がん)、糖尿病効能:しょうがに含まれる活性化合物がインスリンと代謝の改善につながるという報告が。血糖値の上昇を抑え、血液をサラサラにする作用も。「抗炎症作用、消化促進の働きが、大腸がんの予防に期待されています。唐辛子と一緒に使うと唐辛子の発がん性が相殺され、肺がんの発生率が減少したという実験結果も」(白澤先生)【ターメリック(うこん)】病気:脳卒中、がん(肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がん、すい臓がん)、心疾患、高血圧効能:ターメリックに含まれるクルクミンというポリフェノールには抗酸化・抗炎症作用があり、代謝異常や自己免疫不全疾患の治療効果がわかっている。肝臓のダメージをサポートする働きも。「肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がんのがん細胞の成長を妨げる効果のほか、すい臓がんや前立腺がん、骨肉腫の予防効果が期待されています」(白澤先生)【シナモン】病気:糖尿病、高コレステロール効能:シナモンに含まれるプロアントシアニジンという成分が、インスリンの分泌を促し、糖質の代謝を促す働きがある。シナモンの含まれたスパイスを取った人から抗酸化作用の上昇が13%認められ、インスリンの反応が20%低下したという研究結果がある。【ナッツ類(くるみ、アーモンド、ピーナツ)】病気:心疾患、脳卒中、動脈硬化、糖尿病、肥満、高血圧、がん効能:くるみはナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸を最も多く含む。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、動脈硬化を防ぐ。αリノレン酸により冠動脈疾患の予防効果が期待できるとされている。2型糖尿病の発症リスクが33%減になるという報告も。ナッツをよく食べる人は心臓病などを含めた総死亡率が低いことも報告されている。【りんご】病気:高コレステロール、脳卒中、心臓発作、がん(乳がん)効能:りんごにはビタミンや食物繊維が豊富に含まれている。英国の研究では、1日1個のりんごを食べる人は脳卒中や心臓発作のリスクを下げることがわかっている。別の研究では、りんごを含む白い果実の摂取が多い人は、脳卒中リスクが52%低かったという結果も。りんごのフロレチンが乳がんの予防を示したデータもある。【ぶどう】病気:がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がん、皮膚がん、白血病)、心疾患、脳卒中、動脈硬化効能:ぶどうにはカリウム、ビタミン類のほか、レスベラトロールが豊富に含まれている。「レスベラトロールには血栓を予防する働きがあり、心臓病患者に与えたところ心臓内皮の機能改善が見られたという研究結果があります。また、ケルセチンにはがん細胞の抑制、成長を防ぐ働きがあるという報告もあります」(白澤先生)【チョコレート】病気:脳卒中、心疾患、高血圧、がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん)効能:原料のカカオにはミネラルや食物繊維が豊富。レスベラトロールの含有量はワインの約1.6倍。カカオバターの主成分のステアリン酸には血中コレステロールを下げる働きがある。ココアを1日2.25グラム摂取するグループは0.5グラム未満のグループに比べ心血管系のリスクが4割減、脳卒中の危険度が4割程度減少したという報告も。
2019年07月25日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)今回の研究では、「1日に摂取する食品の種類が多いグループは、少ないグループに比べて全死亡のリスクは19%、循環器疾患死亡のリスクは34%、その他の死亡リスクは24%低い」という結果も出ている。小林教授はこう話す。「昭和60年ごろに当時の厚生省、文部省、農林水産省が合同で出した食生活指針では『1日30品目を食べましょう』と言われていましたが、実は、この『30品目』の根拠はわかっていませんでした。私は、当時から30品目の裏付けが欲しいと思っていたのですが、約20年たって、多目的コホート研究という長期間に及ぶ追跡調査で、それを検証できると思ったのが、今回の調査のきっかけでした」調査では1日30品目以上食べた人と30品目以下の人との比較も行った。「30品目以上食べた人のほうが、循環器疾患のリスクおよび死亡リスクが低く出ました。これで、1日30品目の健康に及ぼす好影響が証明されたことになります」(小林教授)小林教授はこう加える。「今、日本が世界でもトップクラスの長寿国なのは、今の高齢者たちのこれまでの食生活が優れていたことの証明です。大事なのは、さまざまな食材を種類多く取るということです。たとえば、野菜を1日350グラム取りましょうといっても、キャベツだけで取るのは大変です。いろんな種類を50グラムずつ取ると取りやすいですし、さまざまな栄養素が相互に作用し、それが病気のリスク分散にもなります。今回の研究が、買い物時などに、『昨日はこれを食べたから今日は別のものにしよう』といったふうに、食材を選ぶときのきっかけになり、それが健康増進につながってくれればと思っています」
2019年07月24日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【大豆食品】病気:がん(乳がん、前立腺がん)、脳梗塞、心筋梗塞効能:国立がん研究センターのコホート研究では「1日3杯以上味噌汁を飲む人は1杯未満の人に比べて乳がんの発生率が40%少ない」という結果が。大豆に含まれるイソフラボンに乳がんの予防効果があると考えられる。大豆をよく食べる女性グループの脳梗塞のリスクは36%、心筋梗塞のリスクは45%低いことがわかっている。【緑茶】病気:がん(胃がん)、動脈硬化、心疾患、脳梗塞効能:緑茶に含まれる茶カテキンに、がん細胞の増殖を抑制する働きがある。カフェインは血管内皮の修復を促し、血管を健康に保つ。国立がん研究センターのコホート研究では、1日5杯以上緑茶を飲む女性は、1杯未満と比べて胃がんリスクが3割減、心疾患死亡リスクが37%減。脳梗塞のリスクも2割程度減という報告がある。【コーヒー】病気:がん(子宮体がん、肺がん、大腸がん)、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、糖尿病、高血圧効能:コーヒーに含まれるクロロゲン酸が活性酸素の働きを抑え、抗炎症作用・抗酸化作用に。カフェインには血管内皮の機能を改善し、脂肪燃焼作用も。コホート研究では、飲まない人と比べてコーヒー1日1杯以上で脳出血リスクが2~3割減、子宮体がんリスクに関しては1日1~2杯で4割、3杯以上で6割減という報告がある。【青魚(イワシ、アジ、サンマ、サバ)】病気:がん(すい臓がん、乳がん)、心疾患、脳出血、動脈硬化効能:コホート研究では、青魚に含まれるDHAを多く摂取する人は、すい臓がんのリスクが最大30%低下したという研究結果が。すい臓がんは慢性炎症が関係していると考えられており、青魚に多く含まれるDHA、EPAが、免疫調節作用を持ち、抗炎症作用に働くといわれる。また、中性脂肪やコレステロールを減少する働きも。【柑橘類】病気:がん(口腔がん、食道がん、胃がん、肺がん)、心疾患、脳卒中効能:柑橘類に含まれるビタミンCが体内の抗酸化作用を促し、免疫力も高める働きをする。国立がん研究センターのコホート研究では、柑橘類の摂取の多い人は、少ない人より循環器疾患のリスクが20%低いという報告がある。オレンジ色をつくるβカロテンには抗酸化作用も。温州みかんには肝臓の疲労回復を促す作用が。【玄米】病気:がん(大腸がん)、心臓病、脳卒中、2型糖尿病効能:玄米に含まれる食物繊維が血液をサラサラに、ミネラルは血糖値の急激な上昇を抑える働きが。十分な食物繊維を取っている人は脳卒中のリスクは22%減、大腸がんのリスクは16%減。心疾患のリスクが30%減になるという報告が。米国の調査では玄米をよく食べる人の糖尿病発症リスクは36%低かったという報告がある。【酢】病気:糖尿病、高血圧効能:酢は穀物や果実を発行させてできた発酵食品。酢の成分の酢酸には代謝の促進と、脂肪の分解を促進する働き、塩分の取りすぎを防ぐ働きがある。1日大さじ1杯のお酢を12週間飲んだ人は内臓脂肪・腹囲が減少したという研究報告や、血圧の高めの人が酢を6週間飲むと正常域に下がったという研究結果などが多数ある。【そば】病気:心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化効能:食物繊維、ミネラルのほか、ルチンとビタミンB群が豊富。そばのルチンが高血圧の抑制をし、血管内皮を丈夫にするという研究報告がある。米国心臓学会では、食物繊維の多い全粒穀物を取ることが血中コレステロールを正常にし、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のリスクを下げる可能性があるとしている。【海藻】病気:がん(大腸がん)、高血圧、糖尿病、心疾患、甲状腺疾患効能:海藻はミネラルとビタミンを豊富に含み、ケイ素というミネラルが血管壁の弾力性を保ち、血管内にコレステロールが付着するのを防ぐ。血中コレステロールを18%下げるという報告も。血糖値を抑える作用や抗酸化作用もある。海藻に含まれるアルギン酸にはナトリウムを排出し、フコイダンには抗がん作用がある。
2019年07月24日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」今回、大豆食品が挙がった理由として、大豆に含まれるイソフラボンの効果がある。イソフラボンは、女性ホルモンに似た構造をしていて乳がん予防の効果があると考えられているが、血中コレステロール、血圧、インスリン抵抗性を改善する効果も認められているという。さらに血液循環を促進するビタミンE、オメガ3脂肪酸も含まれており、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる働きをしていると考えられている。味噌汁を1日3杯以上飲む人は、1杯未満の人と比べて乳がんになるリスクが40%低く、血圧を下げるのに有効だという結果も出ているという。「コーヒーには抗酸化作用やインスリン感受性改善作用、および脂肪燃焼の働きが明らかになっており、緑茶には循環器や呼吸器機能への働きが認められています」(井上さん)次に健康によい影響があると考えられているのが野菜と果物だ。今回の調査結果でも女性の場合、野菜が循環器疾患のリスクを23%下げていることがわかっている。緑黄色野菜は胃がん、ビタミンB6を含む食品は大腸がん、野菜に多く含まれるαカロテン、βカロテンは肝がん、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB1は心筋梗塞、野菜、果物は食道がんのリスクを低くするという調査結果がある。「しかし、ビタミンやミネラルといった野菜や果物に含まれる特定の栄養素が体にいいからといって、サプリメントで摂取すればいいというわけではありません。むしろ、サプリメントでリスクが上がったという報告もありますので注意が必要です。安易にサプリメントで栄養を取ろうとせず、食べ物から摂取することが重要です」(井上さん)
2019年07月24日園子温監督が6月25日(火)、都内で行われた「Netflixオリジナル作品祭」に出席し、最新ドラマシリーズ「愛なき森で叫べ」をアピール。今年2月に心筋梗塞と診断され、手術を受けて以来、初めて公の場に立ち「一度死んで、よみがえりました」と復活を宣言した。過酷な編集作業で、 Netflixに「慰謝料を払ってもらいたい」?『恋の罪』『冷たい熱帯魚』といった作品で国際的な評価も高い園監督が、今回も実際の殺人事件をモチーフに、善悪の狭間でうごめく人間の心理、平凡な人々が被害者、また加害者となる様子を描く。「再現ドラマには興味がないし、どうアレンジすれば、自分の物語になるかなと」(園監督)。特に編集作業に長い時間がかかったと言い「その分、すばらしいものが完成したと自負している」と胸を張った。同時に「倒れた原因はすべてこれ(笑)。編集の量がものすごくて。Netflixに慰謝料を払ってもらいたい。労災ですね」とブラックジョークも。冷淡な殺人者役で主演を務める椎名桔平は「本当の意味で、あこがれの“園ワールド”に入ることができた。オファーをいただき、内容は二の次で何でもやろうと思った」と『新宿スワンII』以来2度目のタッグに感慨しきりだった。山田孝之「全裸監督」世界190か国配信に自信!「これが日本だ」イベントには伝説のAV監督・村西とおるの半生を描いたオリジナルシリーズ「全裸監督」で主演を務めた山田孝之も出席した。「人生にスピード感があって、やってることも破天荒。とてもワクワクしました」と役どころをふり返り、本作が描く狂騒こそ「これが日本だ!」と断言。世界190か国配信に自信を示す一方、「オリンピック、大丈夫かな?僕ら、どこかの国で入国拒否されたりして」とおどけて見せた。撮影を前に、村西氏本人と対面し「少し変わったところはありますけど、あくまでひとりの人間。相手を見ながら、村西とおるになる“スイッチ”があるんだと思った」と回想。「完コピのモノマネではなく、自分なりの村西とおる像を作りたかった。全力でぶつかったので、楽しかったし、終わりたくなかった。こんなことは役者人生で初めて」と特別な思い入れを語った。中谷美紀、独自の感性で主演ドラマを語る女優の中谷美紀は、蜷川実花監督によるドラマシリーズ「FOLLOWERS」をアピール。本作では、人気フォトグラファーを演じ「わたしの人生観が水墨画だとしたら、実花さんは極彩色の曼荼羅。いかに溶け込めるか意識した」と独自の感性を披露した。写真家で劇映画『Diner ダイナー』『人間失格』の公開が控える蜷川監督が、“TOKYO”を舞台にSNSに直接的、あるいは間接的に影響される女性たちのライフスタイルを、ビビッドな映像美で活写。蜷川監督にとって「5~6年準備していた」という念願の企画で、「恋愛だけ、仕事だけという一方的な女性像の描かれ方に、以前から違和感があった。もっと多様で自立した女性の姿が、日本では描かれていなかった」と作品への思いを語った。「全裸監督」「愛なき森で叫べ」は2019年、「Followers」は2020年初頭に、Netflixで全世界190か国以上へ独占配信される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年06月25日Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』(2019年秋配信)でメガホンをとった園子温監督が25日、都内で行われた「Netflix オリジナル作品祭」に登壇。今年2月に心筋梗塞で緊急搬送されたことをネタにジョークを飛ばした。園監督は冒頭のあいさつで「本当に長い時間編集して、ダビングして、その繰り返しをした結晶」と本作を表現。「すごく素晴らしいものができたと自負しております」と自信をのぞかせた。最後のあいさつでは「今年2月に心筋梗塞で倒れて、緊急搬送されて、1回死んでよみがえったんですけど、すべての原因はNetflixのこれのストレスのせいで倒れたと言っても過言ではない」と話して笑いを誘い、「ものすごい編集の量で、ものすごい長い時間をかけて作りましたので」と強調。「Netflixに慰謝料を払っていただきたいなと思いますけど…労災ですかね」とジョークを飛ばした。本作は、実際の猟奇的殺人事件にインスパイアされた実録シリーズ第三弾となるサスペンスドラマ。快活で好ましい人物のように見えるが、実際には他人を巧みな話術と暴力で支配し、金を搾り取り、出会った人々を残虐な犯行へと巻き込む冷酷な先天的犯罪者・村田丈(椎名桔平)を主人公に、人間社会の本質と人間の深溝を描き出す。同ステージには、キャストの椎名桔平、満島真之介、でんでん、武藤大司プロデューサーも登壇した。
2019年06月25日6月11日、歌手の松山千春(63)が急性喉頭炎の悪化によりグランドキューブ大阪メインホール(大阪府)で予定していたコンサートを中止。所属レコード会社がその旨を発表したことを複数メディアが報じている。前日10日の大阪公演は無事終えた松山だが、その後に悪化の症状がみられ、プロダクションおよび主催者の判断で11日の公演中止を決めたようだ。また松山は、6日にも急性喉頭炎の発症により、いわき芸術文化交流館(福島県)での公演を中止していたという。これを受け、ファンからは「初めてチケット取ったのに。残念」「楽しみにしていたのだけど、こればっかりは仕方ない」と公演中止を残念がる声が上がるいっぽう、「1日も早い回復を祈っています」「本当に心配…」「ゆっくり治して戻ってきてください」と松山の体を心配し回復を願う温かい声も多数集まった。「松山千春コンサートツアー2019」は6月17、18日の名古屋国際会議場(愛知県)と6月26、27日の札幌市民ホール(北海道)での4公演を残している。
2019年06月11日映画監督の園子温(57)が2月7日、病院に救急搬送された。8日のサンケイスポーツによると園監督は心筋梗塞と診断され、そのまま入院し手術を受けた。命に別状はないが、「当面は療養を要する」と事務所はコメントしているという。独自の世界観により、出演俳優からの支持も厚い園監督。各メディアによると同日に開催されたエランドール賞授賞式後の会見で、09年の映画「愛のむきだし」に出演した松岡茉優(23)は「えっ!今、知りました」と園監督の一報に絶句。また同席していた02年の「自殺サークル」で映画デビューとなった田中圭(34)も「びっくりしました」と言葉少なだったという。11年の映画「冷たい熱帯魚」や12年の「ヒミズ」といった作品が海外でも人気の園監督は、日本映画を牽引する存在。現在は、あのニコラス・ケイジを主演に迎えたハリウッドデビュー作の準備をしている。「園監督は今後、ハリウッドを中心に制作をしていきたいと考えています。そしてハリウッドでうまくいったら日本で、新しい映画会社や映画館をつくりたいそうです。そうして古い体制やしがらみの多い日本の映画業界を変えたいという夢を持っているんです。園監督のそういった姿勢は業界でも支持されています。そのため、無事だったことにみんなが安堵しています」(映画関係者)Twitterでも園監督の復帰を望むエールが上がっている。《監督にはまだこれからハリウッド随一の怪優ニコラス・ケイジと映画を撮るという超ビッグプロジェクトがあるのです!早く元気になって欲しいです!》《完治してニコラスケイジ主演のハリウッド映画を完成させて世界をあっと言わせてくれ!!》《たのむで、ハリウッド》心筋梗塞は喫煙と関連が強いとされているが、園監督は大の愛煙家。8日のスポーツ報知によると、「150回以上も禁煙を試みたが、できなかったようだ」と関係者は明かしているという。映画ファンのためにも、身体には気をつけてほしい。
2019年02月08日脳卒中などによる突然死のリスクを上げる高血圧。更年期を迎えて気をつけるようになったという女性でも、測定のタイミングによって“異常な数値”に気づかないことが……。「もともと、人は昼間に活動して、夜は寝るというサイクルがあります。血圧にも一定程度のサイクルがあり、寝ているときは安定していて、起き上がると上昇していきますが、適度な変動の波はあります。しかし、高波のように血圧が急上昇する『血圧サージ』は、急性心筋梗塞や脳卒中を引き起こす“最後の引き金”となってしまう恐れがあるんです」こう話すのは、著書に『血圧サージに殺されない50の方法』(自由国民社)がある新小山市民病院・病院長の島田和幸先生。健康な人の血圧の基準は、「収縮期血圧(上)140mmHg未満、拡張期血圧(下)90mmHg未満」とされ、それぞれの数値を上回ると「高血圧性疾患(=高血圧症)」と診断される。「ただ病院の血圧測定で正常と言われた人でも、朝と夜の一定の時間にだけ、突然死を招くような“危険な数値”を出すことがあります。これが血圧サージです」この「早朝高血圧」とも呼ばれる血圧サージの原因を、島田先生に聞いた。「血圧は1日24時間変動していますが、人間の体には、なるべく血圧が変動しないように制御する恒常性(ホメオスタシス)という機能があります。これが正常に働かなくなったときに、血圧の急上昇が起こるわけです。また、(1)血管がしなやかさを失う動脈硬化、(2)自律神経のバランスが崩れる、(3)ホルモンの働きが低下する、という3つの要素が重なったときに恒常性が失われるともいわれています」高血圧は男性に多いと思われがちだが。「それは誤った考えです。とりわけ50歳以上の女性は、もっと血圧に気を配ってほしい」そう警鐘を鳴らすのは池ノ上産婦人科・院長の千代倉由子先生だ。「女性は、体全体が女性ホルモンによってコントロールされているのですが、40代後半から50代にかけての閉経を迎える時期、すなわち更年期に女性ホルモンのエストロゲンが著しく低下します。血管の柔軟性を維持し、血管を保護していたエストロゲンが減少すれば、血管の動脈硬化が進みます。また自律神経のバランスが崩れたり、肥満化しやすい体になることがあるため、高血圧になりやすく、心臓血管系疾患のリスクも高まるのです」
2018年10月04日お笑いコンビ・東京ダイナマイトのハチミツ二郎(43)が、急性心不全と肺炎のため、16日に大阪市内の病院に入院したことが17日、明らかになった。入院期間は約1週間から2週間の予定。当面の仕事、復帰時期に関しては医師の診断、関係各位と相談の上で調整するという。所属事務所によると、ハチミツは16日、大阪・なんばグランド花月の3回目の公演出演後に体調不良を訴えて入院。数日前からの高熱が原因で肺炎を発症し、心臓に負荷がかかって肺に水が溜まり、急性心不全と呼吸不全を引き起こしたという。ハチミツは自身のツイッターでも「昨日40度の高熱で三日間仕事してたら肺炎→急性心不全に。NGKからタクシーでひとりで病院へ。救急治療室で、死ぬかもしれないと東京から家族とマネージャーも呼ばれましたが、嫁と子供が着いた頃には奇跡的に正常値近くまで戻ってました。NGKから病院行かずに新幹線に乗ってたら死んでたそうです」と報告。「救急治療室では体内酸素数が67でした。通常は95~97、90を切ると重症。67とゆうのは水の中で溺れてるくらいの酸素量。その状態でひとりで病院へなんとか駆け込む。NGKが最期で死ぬんならいいかな?と思ったけど、娘の顔を思い浮かべたら器械を付けてもなかなか上がらなかった数値が95まで上がった」と緊迫した状況を伝え、ファンからは心配と回復を願う声が寄せられている。
2018年07月18日左とん平さんが2月24日、亡くなった。享年80歳。死因は心不全だった。 左さんは昨年6月、自宅で胸の痛みを訴えて救急搬送。急性心筋梗塞の緊急手術を受けた。手術後には誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、酸素呼吸器をつけながら闘病を続けていた。 10月には呼吸器を外し、自発呼吸できるまでに回復。関係者も「良い方向に向かっている」と語っていたが、ついに復帰の夢は叶わなかった。稀代のバイプレイヤーは家族に看取られ、旅立った。 左さんはその愛くるしいキャラクターで人気を博した。しかし私生活ではポーカー賭博による罪で3度逮捕され、まさに波乱万丈。そんな左さんの復帰を支えてくれたのは故・森繁久彌さん(享年96)だった。15年、雑誌のインタビューで明かしている。 2度目の逮捕時、左さんは森繁さんが座長を務める舞台に出演していた。2か月公演のうちの半分を空けることとなった。しかし森繁さんは「しょうがないな。ちょっとの間、ゆっくり休めよ」と声をかけてくれたという。そして「いいか、この時期こそカネ使えよ」というアドバイスをくれた。 「こういう時期だからこそ、相手に気持ちが負けていないことを伝えなきゃいけない。相手に“そんなに気前よく使って大丈夫なの?”って思わせなきゃ」 謹慎から明けた後も左さんは、森繁さんの手を借りることとなる。森繁さんが、再び舞台に立つチャンスをくれたのだ。それが、左さんの代表作となる「佐渡島他吉の生涯」だった。同作では10分以上も左さんが1人でしゃべり続けるシーンがあり、その演技に観客は魅了。左さんも「役者としてのコツをつかんだ」と思った。そして森繁さんは言った。 「お前が、あんなに上手な役者だとは思わなかったよ」 2007年に行われた左さんの芸能生活50周年を祝う会に、森繁さんは役者としての左さんを賞賛する声を寄せている。 「あたふたと、あっと驚く50年。お前さんの当たり役の『佐渡島他吉の生涯』の橘玉堂は、本当にうまかったなぁ……。玉堂のセリフじゃないが“人生の浮き沈み”があったが……。お前さんはかわいい洒落たやつだ。とにかくおめでとう。なによりおめでとう。バンザイ、バンザイ」 森繁さんに憧れて、役者を志したという左さん。また天国で森繁さんに「かわいがられて」いるのかもしれない。
2018年02月25日急性脳症とは出典 : 急性脳症は主にウイルス感染症に感染したのをきっかけに、急激に脳に浮腫(むくみ)が生じ、意識レベルが低下する疾患のことをいいます。病原となるウイルスに感染し、ウイルスに対して過剰な免疫反応が全身の血管に炎症をおこすことにより、意識障害、けいれん、嘔吐、血圧・呼吸の変化などが起こります。ウイルスは身近なインフルエンザウイルスや、突発性発疹を引き起こすヒトヘルペスウイルス、急性胃腸炎を引き起こすロタウイルスなどが主な病原となっています。突発性発疹や急性胃腸炎は乳幼児や子どもに多く発症する疾患ということもあって、急性脳症は生後6ヶ月~1歳代に多く発症します。実は急性脳症という名称は正式な学術用語としては使われていません。したがって、何らかのウイルスに感染し急性脳症を起こした場合は「けいれん重積型(二相性)急性脳症」か「急性壊死性脳症」などの症候群の名称、または「インフルエンザ脳症」など病原ウイルスに関連した名称で診断されます。病原体による分類と臨床・病理・画像所見による症候群分類があるため診断名に違いはありますが、どのウイルスにかかっても「けいれん重積型(二相性)急性脳症」または「急性壊死性脳症」「可逆性脳梁(かぎゃくせいのうりょう)膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症」などの病理がみられるため、分類には大きな違いはありません。これら3つの病理は画像所見などが異なりますが、症状には特異的な違いは見られません。ですので、下記では急性脳症の症状や原因などをまとめて紹介していきたいと思います。参考:急性脳症の全国実態調査 |水口 雅(東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 教授)参考:痙攣重積型(二相性)急性脳症|難病情報センター参考:重症・難治性急性脳症|難病情報センター参考:『急性脳症の分類とけいれん重積型』|水口 雅(東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 教授)急性脳症の主な症状出典 : 急性脳症は主にウイルス感染症に罹患し、何らかの原因で重篤化することで脳機能全般に障害が生じる疾患です。例えば意識障害、けいれん、嘔吐、血圧・呼吸の変化、などが子どもに現れ、救急で病院を受診することで発覚します。ここでは子どもがウイルスに感染してから、どのような症状が起こるのかまとめていきたいと思います。◇インフルエンザ・・・インフルエンザはA型またはB型のインフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状(風邪の症状)が出てきます。約1週間の経過で回復するのが典型的なインフルエンザで、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いことが特徴です。参考:インフルエンザとは|NIID国立感染症研究所◇突発性発疹(ヒトヘルペスウイルス)・・・乳児期に発症するのを特徴とする熱性発疹性疾患といわれています。38度以上の発熱が3日間ほど続いた後、解熱とともに鮮紅色の発疹が体幹を中心に顔面、手足に数日間出現します。また下痢、まぶたの腫れ、大泉門(乳児特有の額の上にある骨と骨のつなぎ目)の膨隆、リンパ節の腫れなどがありますが、多くは発熱と発疹のみで経過します。参考:突発性発疹とは|NIID国立感染症研究所◇急性胃腸炎(ロタウイルス)・・・主に発熱、下痢、悪心、嘔吐、腹痛などがみられます。はじめは発熱があり、嘔吐、下痢など腹部症状が遅れて出現することもあります。参考:感染性胃腸炎とは|NIID国立感染症研究所それぞれのウイルス症状のほかに、・頭痛や周囲からの刺激に反応するものの、すぐに意識が混濁する状態・周囲への警戒心が強く、興奮したり、大きな声で叫んだり、暴力を振るったりしやすい状態などが表出します。参考:脳症の治療における留意点|水口 雅(東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 教授)ウイルスに感染してから初期症状を経て、主症状に変わっていきます。けいれん重積型急性脳症、急性壊死性脳症、どちらの場合も意識障害、けいれんを主として嘔吐、血圧・呼吸の変化、発熱などが生じます。下記では主症状が起こってから予後までの症状を時系列にまとめました。<主症状が発症してから予後まで>・ウイルスに感染し発熱から24時間以内・・・主症状のけいれん・意識障害が起こります。けいれんは「けいれん重積(15分~1時間程度続く長いけいれん)」が起こる場合がほとんどです。※初めてのけいれん、またはけいれんが約5分継続した時点で救急車を呼んでください。・けいれん後・・・意識障害が生じる場合があります。・発熱から4~6日後・・・2回目の短いけいれんが群発して起こります。このとき意識障害を伴う場合もあります。・回復期・・・目的のない運動を繰り返すことがあります。(反り返り、手足を振り回す行為、口をもぐもぐさせる行為など)・予後・・・急性脳症が起こった後、てんかん、知的障害、運動障害など何らかの後遺症が残る割合は、けいれん重積型急性脳症では66%、急性壊死性脳症では46%といわれています。障害の程度は人それぞれですが、リハビリによって回復することもあります。後遺症に関しては追って説明していきます。参考:痙攣重積型(二相性)急性脳症|難病情報センター参考:急性脳症の全国実態調査 |水口 雅(東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 教授)急性脳症の原因出典 : 急性脳症の原因はまだ分かっていません。現在分かっている急性脳症のメカニズムは、主にウイルス感染をきっかけとしてサイトカインストーム、代謝異常、興奮毒性などの病態が進行し、脳や各臓器に異常をきたす、ということです。サイトカインストームとは、免疫作用・抗腫瘍作用・抗ウイルス作用・細胞増殖や分化の調整作用などがあるサイトカインという細胞間情報伝達機能をもつタンパク質の多くが、ウイルスや細菌などが原因で調節不全を起こすことを言います。興奮毒性とは、興奮性神経伝達物質としてのはたらきをもつグルタミン酸が、過剰に存在することによって細胞毒性を示すというものです。急性壊死性脳症ではサイトカインストームが進行することが多く、けいれん重積型急性脳炎は興奮毒性が多いと推定されています。インフルエンザなどのウイルスに感染してもほとんどの人は病態は進行しません。まれに病態が進行すると急性脳症となります。急性脳症のメカニズムは解明されていますが、どのような条件が揃うと病態が進行し、急性脳症になるのかは分かっていません。しかし、近年の難病情報センターの研究班による研究によって、これらの病態の背景には複数の遺伝的要因が存在するのではないかという仮説が立てられ解明が進められています。特定の遺伝子に特徴があることによって、前述の病態の進行を引き起こし、急性脳症も引き起こす関連があるのではないかといわれています。参考:重症・難治性急性脳症|難病情報センター以上のことから根本的に急性脳症を予防することは難しく、考えられる予防策はインフルエンザや突発性発疹、ロタウイルスなどの感染症を予防することです。ウイルス感染は日々のうがい・手洗いなどによって防ぐことができます。また予防接種などを行うことで、できる限りウイルス感染を予防しましょう。急性脳症の診断/検査出典 : 急性脳症の診断基準と検査方法について紹介していきます。◇臨床診断2章で紹介したけいれん、意識障害などの症状がみられる場合に急性脳症だと臨床診断されます。また重症化すると昏睡状態にともなって次の症状がみられることがあります。・発熱を伴うインフルエンザなどの感染症に罹患している・意識障害がある・けいれんがある(15分以上続くけいれん重積の場合もある)・発熱後に異常言動・行動がある(両親が分からない・急に笑い出すなど)また上記の他には出血傾向や血圧低下、尿の排出量の低下などの全身症状をともなうこともあります。参考:AESD診断基準参考:ANE診断基準参考:MERS診断基準参考:インフルエンザ脳症ガイドライン|厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班◇確定診断急性脳症において特徴的な脳浮腫が頭部画像所見でみられる場合は、けいれん重積型急性脳症または急性壊死性脳症などの急性脳症として確定診断がなされます。髄膜検査、血液検査などによって確定診断を行うことはできず、頭部画像所見の検査が行えない場合などは意識障害の程度や持続性を観察したうえでの臨床的・総合的な診断を行います。◇頭部画像検査(CT,MRI)急性脳症の特徴である脳浮腫があるかどうかを確認するために行います。◇髄膜検査髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候などがあります)。これは急性脳症と似た症状がある髄膜炎や急性脳炎との鑑別のために行います。◇血液検査発症12~24時間後、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(以下AST)の軽度上昇がみられることがあります。ASTは細胞内でつくられる酵素のひとつです。肝臓もしくは心臓や腎臓などの臓器に多く存在し、体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で重要なはたらきをします。このASTが何らかの異常で肝臓にある肝細胞が破壊されることにより、血液中に漏れ出します。急性脳症が疑われる場合はこのASTの値が上昇するといわれています。◇脳波夜間や何らかの理由により頭部画像検査ができなかった場合、脳波検査が用いられることがあります。また症状の経時的変化を把握する上でも脳波検査は有用といわれています。急性脳症の場合に特徴的な、びまん性の脳波などを示すといわれています。この他にも医師が必要と認めた検査を受けることがあります。参考:急性脳炎・急性脳症|MyMed参考:インフルエンザ脳症ガイドライン|厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班急性脳症と似ている病気って?出典 : ◇熱性けいれん熱性けいれんとは38℃以上の発熱に伴って、意識を失い全身がけいれんすることを指します。小児期にみられる一般的な発作性疾患のひとつです。よく「ひきつけ」とも呼ばれています。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症し、日本では7~11%前後の割合で発症するといわれています。発熱から24時間以内にだいたい1~3分間のけいれんが起こります。けいれんは一過性のものであることが多いですが、乳幼児期には発熱の度にけいれんを起こす場合もあります。熱性けいれんは発熱やけいれんなど急性脳症と似ている症状が発症しますが、短時間のけいれんで治まり、発熱時に1度だけ起こるだけで治まります。急性脳症のけいれんの場合、多くは15分~1時間程度続く長いけいれんである「けいれん重積」が起き、数日後には2回目のけいれんを群発的に起こします。参考:重症・難治性急性脳症|難病情報センター参考:「公益社団法人 母子健康協会」参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」◇髄膜炎髄膜は脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、けいれんや意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。髄膜炎も急性脳症と似た症状を引き起こします。急性脳症は脳の浮腫が原因で各症状が発症しますが、髄膜炎は髄膜の炎症によって症状が発症します。症状を引き起こす原因が異なるため、髄膜炎と急性脳症は違う疾患といえます。参考:細菌性髄膜炎とは|国立感染症研究所 NIID◇脳炎脳炎はウイルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。脳症と同様に高熱やけいれん、意識障害がおこります。脳炎と脳症の違いは脳内でウイルスが増殖することによって中枢神経に障害を起こしていると考えられれば脳炎で、脳以外の場所で起きている感染が、免疫異常などにより間接的に脳へ障害を起こすものが脳症です。◇てんかんてんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こり、てんかんによる発作が繰り返しみられる状態を言います。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作だけではありません。体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった症状もてんかんの発作として考えられます。てんかんは急性脳症とは異なり慢性的な脳の疾患です。さらに発熱時以外にもけいれんや意識障害などが引き起こされます。出典:「脳炎と脳症」|岡山大学大学院 小児医科学教授 森島 恒雄急性脳症かも?と思ったときの受診先と対応出典 : 急性脳症の場合は長時間のけいれんや意識障害など分かりやすい症状が表出します。できる限り早く救急車を呼んでください。けいれんが長引くほど後遺症が残る確率も高まります。発熱して24時間以内に長時間のけいれんが起き、発熱後4~6日の間に2回目のけいれんが起こるのが急性脳症の特徴です。しかしはじめに起こる長時間のけいれんがまれに1~2分程度で終わってしまう場合があります。その後意識障害も続かない場合は熱性けいれんであると見立てられることがあります。その数日後に2回目のけいれんが群発して起こるようなことがあれば、急性脳症である場合が高まります。もし、熱性けいれんと診断されてから4~6日後に2回目のけいれんを起こした場合は直ちに病院を受診してください。<救急車を呼ぶタイミング>・5分以上けいれんが続く・けいれんが終わったが、その後も意識障害が続く(睡眠とは別)<病院に行くタイミング>・はじめてのけいれんが起こって5分以内に治まった・2回目の短いけいれんが起こった急性脳症の専門科目は脳神経外科や神経内科なります。けいれんが群発して起こっている場合が多いため、抗てんかん薬などでけいれんを治める必要があります。ですので、できる限り早い処置を行えるように救急などを受診するようにしてください。急性脳症がおよぼす後遺症出典 : 急性脳症では約36%の割合で何らかの後遺症が残るといわれています。主にその後遺症は知的障害、運動障害、難治性てんかんなどが発症します。知的障害とは発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。単に物事を理解し考えるといった知的機能(IQ)の低下だけではなく、社会生活に関わる適応機能にも障害があることで、自立して生活していくことに困難が生じる状態です。運動障害とは運動神経経路の疾病によって体の運動機能に障害が生じることです。急性脳症後に大きな後遺症がなく回復し、リハビリを経て歩く・走るなどはできるようになった場合も、今までできていた跳び箱が跳べなくなる、縄跳びができなくなる、坂上がりができなくなるなどの障害が生じる場合があります。また重度の後遺症が残ってしまった場合は歩くこともままならず、日常生活の介助が必要になることもあります。なお、しばしば難治性てんかんというてんかんが後遺症として残ることがあります。ほとんどのてんかんが抗てんかん薬などを投与することにより、けいれんが治まりますが難治性てんかんは薬が効かないてんかんのことです。以上が急性脳症で起こりうる可能性が高い後遺症です。脳に生じた機能障害の程度などによって後遺症は多様であり、回復もそれぞれ個人差があります。出典:急性脳症の全国実態調査 |水口 雅(東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 教授)急性脳症の治療出典 : 急性脳症の治療はそれぞれの症状の状態などによって異なりますが、ここでは主な治療について紹介していきます。■急性期の治療急性脳症では長時間のけいれん(重積けいれん)が起こります。そのけいれんを止めるために急性期では抗てんかん薬による治療が行われます。その後は様子をみながら、症状に合わせた治療を行っていきます。■予後の後遺症に対する治療前章で急性脳症の主な後遺症として知的障害、運動障害、難治性てんかんなどを挙げました。主にこれらの症状に対する治療やリハビリテーションを行っていきます。しかし障害の程度は一人ひとり異なるため、治療の内容も様々になってきます。例えば運動機能の障害には食事介助ないし経管栄養や胃ろうが必要となるケースがあり、摂食リハビリテーションを行うこともあります。知的障害に関しても程度が異なるため、療育や生活介助などのサービスを利用することもあります。難治性てんかんの場合は薬物治療以外の方法で、手術やACTH療法、ケトン療法などを用いて治療が行われます。実際はどのような後遺症が残るか、どの程度の後遺症が残るかは分かりません。その時々の医師や専門家の指示に従って治療を行うようにしてください。急性脳症の後遺症が残った場合の社会的なサポートって?出典 : 急性脳症が発症した後、主に後遺症が残ってしまった場合に受けられる社会福祉制度について紹介していきます。◇難病医療費助成制度けいれん重積型急性脳症は国の指定難病にされているため、医療費の助成を受けることができます。指定難病の医療費の自己負担割合は2割です。また、その他の制度による医療費がすでに1割負担となっている患者さんの場合、負担割合は1割のまま変わりません。難病医療費は世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適応されます。医療費助成制度を利用するためにはお住まいの都道府県へ申請が必要になります。申請方法などは次の厚生労働省のリンクを参考にしてみてください。参考:難病医療費助成制度の対象疾病について|厚生労働省◇障害者手帳の取得障害者手帳は急性脳症による後遺症などが残ってしまった場合などに取得することができます。障害者手帳があると、受けられる支援の幅が広がります。障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。身体障害者手帳は身体障害がある方を対象にしています。精神障害者保健福祉手帳は精神障害や発達障害、てんかんなどがある方を対象にしています。療育手帳は発達障害や知的障害がある方を対象にしています。急性脳症の後遺症としてどのような症状が残ったかによって、取得できる手帳の種類が変わってきます。また手帳は数年ごとに更新がなされるため、その後の障害の程度に変化が生じた場合、受けられる支援も変わる場合があります。障害者手帳に関して、相談や申請などの問い合わせ先はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口になります。また障害者手帳に関する詳しい内容は下記を参考にしてみてください。◇知的障害・運動障害の療育サポート療育は障害のある子どもに対して、それぞれに合った治療・教育を行い社会的に自立することを目標にした社会的なサポートです。後遺症が発症した子どもは、通所施設や入所施設などで療育サービスを受けることができます。その子の障害の程度や特性に合わせて個別に支援計画が立てられた上で、療育サービスを利用することになります。コミュニケーションの取り方や身辺動作など、その子どもが日常生活を送る上で必要なスキルを身につけるためのトレーニングなどが行われます。障害の程度にもよりますが、障害者手帳がなくても支援の必要性が認められば、受給者証を取得してサービスを受けることができます。◇障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスなどの利用障害者総合支援法は障害がある方もない方も住み慣れた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律です。障害がある子どもから大人を対象に、必要と認められた費用の給付や支援を受けることができます。移動支援や生活介助など障害者総合支援法に基づいたサービスは多岐に渡ります。関連記事を参考にしながら利用を検討してみてください。参考:「障害者総合支援法」の対象となる疾病を332に拡大します|厚生労働省まとめ出典 : 急性脳症はウイルス感染をきっかけに発症する疾患です。近年の研究では特定の遺伝子の型が関係しているのではないかと言われていますが、遺伝子検査で未然に子どもの急性脳症の傾向を知ることはまだ一般的ではありません。現在、考えられる唯一の予防策は感染症の予防です。感染症のなかでも急性脳症と親和性が高い代表的なものは毎年流行するインフルエンザです。また、乳幼児期は子どもの免疫機能が完全に発達しきっていないために、急性脳症の他にもさまざまな病気になりうる可能性があります。インフルエンザやその他のウイルス感染を防ぐため、できうる限りの予防をおすすめします。
2017年03月31日働く女性の皆さん、仕事中になかなかトイレに行けないことはありませんか? 女性は体の構造上、トイレを我慢しすぎると「急性膀胱炎」を引き起こす可能性があります。他にもさまざまな原因が考えられますが、女性の場合、性行為が原因となることも少なくありません。今回は、急性膀胱炎とは何か、なぜ性行為でなることがあるのか、予防するにはどうすればいいのかを詳しく解説します。○急性膀胱炎の症状膀胱炎とは、大腸菌やブドウ球菌などの細菌が、尿道を通って膀胱に入り、炎症を起こす病気のこと。膀胱炎には大きく分けると2種類あり、膀胱や尿道に機能的な異常や病気がなく、突発的に起こるものを「急性(単純性)膀胱炎」、糖尿病や結石などの病気が関係していて、慢性的に細菌感染が続くものを「慢性(複雑性)膀胱炎」といいます。このうち、より一般的で、女性に多くみられるのが急性膀胱炎です。主な初期症状は、頻尿、排尿痛、尿のにごりで、残尿感、腹部膨満感などが現れることもあります。悪化すると、尿に血が混じること(血尿)もあります。○女性がなりやすい理由なぜ女性に急性膀胱炎が多いのかというと、女性の体の構造に大きな理由があります。女性の尿道は男性に比べて短く、尿道口が肛門や腟に近いため、外から菌が入り込みやすいのです。通常は、膀胱に菌が入ったからといって簡単に膀胱炎にはなりません。体が健康な状態であれば、膀胱に本来備わっている防御機能が働き、感染を防ぐからです。しかし、ストレスや疲労、体調不良などを抱え、抵抗力が落ちているときは要注意。膀胱で菌が増えて膀胱炎を引き起こすことがあります。冒頭で述べたとおり、性行為も原因の一つとして考えられます。体を密着させて手で触れ合う性行為中は、性器や肛門、パートナーの体などに付着した菌が尿道に入りやすい状態だからです。特に、体や手をよく洗わずに不衛生な状態で性行為を行うと、リスクは高くなります。○日常で予防するコツでは、急性膀胱炎を予防するには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。日常生活の中でできることとしては、トイレを我慢しすぎないこと、水分をきちんととること、陰部を清潔に保つことなどが挙げられます。トイレットペーパーを使うときには、必ず前から後ろに向けて拭くようにしましょう。また、抵抗力を低下させないために、なるべくストレスを減らして、規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけ、風邪をひいたときや疲れを感じるときには、よく休むことも大切です。性行為の際の注意点としては、まず行為の前にシャワーで陰部を洗うこと。パートナーにも、シャワーを浴びたり、手を洗ったりなど、清潔を心がけてもらいましょう。性行為をするときには、コンドームを装着することも大切です。避妊目的だけでなく、膀胱炎や性感染症(STD)の予防にもなります。また、性行為の後には、早めにトイレに行って尿を出すようにしましょう。そうすることで、尿道から入った菌が尿と一緒に流されやすいからです。○放置すると急性腎盂腎炎に進行することも軽度の急性膀胱炎は、医師から処方された抗菌剤をきちんと服用すれば、ほとんどの場合、短期間で改善します。治療中は、性行為を控えるようにしましょう。しかし放置しておくと、いったん自然に症状がおさまった後に何度も再発を繰り返したり、感染が腎臓まで進んで「急性腎盂腎炎(じんうじんえん)」を引き起こしたりすることもあります。腎盂腎炎になると、38度以上の高熱、ふるえ、腹部の痛みなど、よりつらい症状が出ますし、治療が遅れると入院が必要になる場合もあります。普段から予防に努めることが一番ですが、もし気をつけていても頻尿や残尿感などの症状が出たときには、早めに婦人科、泌尿器科、内科などの医療機関を受診してください。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 星合明医師星合勝どきクリニック 院長1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。
2017年03月23日急性胃腸炎で20日生放送のフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』(毎週月~金9:50~11:25)を欠席したお笑いコンビ・バナナマンの設楽統(43)が21日、同番組に復帰した。冒頭、設楽は「おはようございます! 『ノンストップ!』始まりました!」と元気よくあいさつ。同じくMCを務める山崎夕貴アナウンサーが「体調いかがですか?」と気遣うと、「すみません、ご心配をおかけしまして」と詫び、ガッツポーズで「もう全然大丈夫です」と完全復活をアピールした。その場を和ませた設楽だったが、「いろいろすみません。ご迷惑をおかけしました」と平謝り。「胃腸炎だったみたいで。(症状は)軽かったと思うんですけど」と報告し、「今すごく流行っているみたいなので、手洗い、うがいを徹底的にやるのが一番」と注意を呼びかけた。続けて、前日に代役を務めた渡辺和洋アナウンサーからの「気をつけていらっしゃったのに、ということですよね?」というフォローには、「なる時はなるんでしょうね」と言い訳をすることなく淡々。「今日からまたやらせていただきますので、よろしくお願いします!」と力強く意気込み、いつものように番組を進めていった。
2016年12月21日お笑いコンビ・バナナマンの設楽統(43)が、急性胃腸炎のため20日生放送のフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』(毎週月~金9:50~11:25)を欠席。火曜レギュラーのお笑い芸人・小籔千豊(43)は優しくフォローし、直前まで出演の意向を示していたことを称賛した。番組冒頭、代役を務めた渡辺和洋アナウンサーは「おはようございます。さぁ、はじまりました。『ノンストップ!』です」とあいさつした後、「今日は設楽統さんが急性胃腸炎のため、番組はお休みとさせていただきます」と説明。「流行っているようですし、気をつけていらっしゃったようですが。みなさん、手洗いうがいを欠かさないようにしていただければ」と呼びかけた。小籔と同じく火曜レギュラーのハイヒール・リンゴは「設楽さん、大丈夫~?」とカメラに向かって手を振る。小籔も「大変ですね」と心配しつつ、「これだけ長いことしていたら、体調悪くしてお休みされることも。今までなかったのが不思議なくらいで」と気遣った。また、リンゴは「来て、出られるとおっしゃたけど、体調があまりにもということで」と設楽が強行出演する意向だったことを明かすと、小籔は「すごい」と驚き、「俺やったらけえへんけどな、絶対」と静かに拍手。一方のリンゴも「ここまで来たら、ちょっとギャラ出るんちゃうかな」と冗談を交え、笑いを誘っていた。2012年4月の放送開始から司会を務めている設楽。今年2月25日には放送1,000回目を迎え、「これからも2,000、3,000を目標に"心のある血の通った"放送を心がけていきます」と意気込んでいた。
2016年12月20日質問:心疾患・急性心筋梗塞と診断され治療後も手が時々しびれるため通院中ですが、今後状態が悪化しないか不安です。猛暑の昨夏、仕事で外出中に突然胸に激痛が出たので救急車で病院へ行き検査しました。結果は心疾患・急性心筋梗塞と診断され、緊急入院となり、翌日手術で再灌流治療(さいかんりゅうちりょう)をしました。現在も手が時々しびれるため通院中で、今後状態が悪化したらと思うと不安です。夫・子どもたちには迷惑をかけたくないので、今後どのようなことに気をつけて生活していくべきでしょうか?静岡県:Misamisaさん(41)回答:「心筋梗塞」についてお答えします。――「心筋梗塞」とは「心筋梗塞」とは、全身に血液を送るポンプである心臓をぐるっと冠のように取り巻いて、心筋に血液を送っている冠動脈が、動脈硬化によって狭くなったり、何らかの理由で血栓ができたりして完全に閉塞してしまう病気です。心筋に血液がいかないことでその部分の心筋が壊死してしまい、治療が遅れると命にかかわることも大いにあり得る病気です。<生活するにあたって覚えておきたいポイント>1.冠危険因子をできるだけ改善すること「冠危険因子」とは、冠動脈の動脈硬化を悪化させてしまう危険性のある因子のことです。例えば、糖尿病や高血圧、高脂血症、喫煙、肥満などが挙げられます。特に喫煙は本人の意志で今日からでも禁煙できます。肥満に関しても、食事のカロリーを下げる、運動を取り入れるなどして少しずつでも改善していきましょう。糖尿病や高血圧、高脂血症などの持病があれば、医師の指導のもときちんとコントロールしていきましょう。2.生活リズムの維持と適度な運動規則的な生活リズムを保つことは再発予防に役立ちます。また、心筋梗塞後の心臓の状態にもよりますが、軽い運動は主治医とよく相談の上行うとよいでしょう。冠危険因子の改善や、ストレス解消にも役立ちます。3.定期的な受診と薬物療法の継続年数が経過すると通院がとびとびになったり、薬の服用を忘れたりという患者さんが時々見受けられます。心筋梗塞の再発、心不全予防のお薬は、状況により減量することはあっても、基本的に生涯服用しなくてはならない薬です。辛い思いを繰り返さないためにも、通院・服薬は必ず続けましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:父が糖尿病と高血圧の既往歴あり。糖尿病などは遺伝性のものが多いと聞いたことがあり不安です。父が、糖尿病、高血圧の既往歴があり、現在も内服コントロールをしています。最近、これらの病気は心疾患のリスクも高めることを知りました。糖尿病などは、遺伝性のものが多いと聞いたことがあり、私も結婚して親になり、自分がかかる可能性の高い病気には気をつけていかなければと考えるようになりました。甘いものが大好きで、外食も多く食生活が偏りがちです。これから先、どのように気をつけていくべきでしょうか?静岡県:nocchiさん(27)回答:「糖尿病」の遺伝についてお答えします。――「糖尿病」とはお父さまが糖尿病、高血圧をお持ちで、内服でコントロール中ということですね。確かに、これらの病気は心筋梗塞など重篤な疾患を含む心疾患の大きなリスクファクターになることが知られています。お子さんであるご相談者さまも、遺伝的な面、あるいは生活習慣の面でお父さまがお持ちの傾向を受け継がれている可能性は十分に考えられ、お若いうちに気をつけていこうというお気持ちになられたことは非常によいことだと思います。さて、ご心配されている糖尿病の遺伝について、少しお話をさせていただきたいと思います。よく誤解されがちですが、糖尿病自体は遺伝性の疾患ではなく、あくまで遺伝するのは「糖尿病にかかりやすい体質」であると考えてください。2型糖尿病にかかりやすい遺伝子はいくつか同定されてはいるようですが、多くの小さな遺伝素因が複雑に組み合わさってできる「複合遺伝」の形式をとると考えられており、いわゆる「糖尿病のなりやすさ」も人によってさまざまであると考えられています。<日々の生活のなかでできることから始めましょう>2型糖尿病の発病には遺伝的な素因以外に生活習慣が大きく関係してきます。糖尿病を防ぐためには、まず肥満にならないことが大切です。BMIにして18.5~25.0の普通体重を目指しましょう。そのためにはまず、食生活の改善が必要です。甘いもの、脂っぽいものはできるだけ控え、味は薄味に調味するよう心がけます。できるだけ決まった時間に、ゆっくり食べることも大切です。野菜に多く含まれる食物繊維は肥満を防いでくれますので、一日350g(うち緑黄色野菜120g以上)を目標にします。また、肥満を防ぐもう一つの柱は、やはり運動です。運動は、カロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて脂肪を減らしたり、中性脂肪を低下させたりする役割もあります。もちろん、定期的に時間を決めて運動ができればそれもいいのですが、一日一万歩を目安に、少し早足で歩く、エレベーターを使わず階段を使用するといった心がけでも十分、糖尿病にかかりにくくする効果があります。お子さんもいらっしゃるということで、なかなかご自身の健康のためにまとまった時間はとりにくいかと思いますが、日々の生活のなかでできるところから始めていけるといいですね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日