効果的な飲み方・塗り方・調理での活用法など不足しがちなマグネシウムを、海水から塩を抽出するときにできる液体「にがり」で摂取し、やせて健康になろうという新刊『やせる!高血圧、糖尿病を撃退!にがり活用大全』が発売された。同書では、にがりの効果的な飲み方、塗り方、調理での活用法などを紹介。A4判の単行本で56ページ、定価は935円(税込)、出版社はマキノ出版だ。料理も美味しく 肌につければスキンケアににがりといえば、豆腐を作る際に使用されるが、その主成分はマグネシウムである。日本人はミネラルが不足しがちで、マグネシウムの不足は糖尿病や高血圧などの生活習慣病、肥満、肌荒れにもつながる。近年はスーパーやインターネット通販などでも、にがりが売られており、手軽に買えるようになった。にがりは動脈硬化やダイエット、便秘などにも予防効果や改善効果が期待できるが、やみくもに摂ればいいわけではなく、摂りすぎると高マグネシウム血症になる可能性があるため注意が必要である。新刊ではにがりの摂取量の目安はもちろん、その飲み方、料理も美味しくなるという活用法、肌につけるスキンケア、歯周病予防になるというオーラルケアなどを紹介。体験談なども掲載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※やせる!高血圧、糖尿病を撃退!にがり活用大全 - マキノ出版 くらしと健康に役立つ実用情報を提供する出版社
2022年08月11日「産むまで何があるかわからないのが出産」ダルビッシュ聖子さんオフィシャルブログよりダルビッシュ聖子さんは、2007年に前夫の間に第1子男児を出産。その後離婚し、2014年にダルビッシュ有さんとの交際を発表、15年に次男、17年に三男、19年に長女を出産しています。今年6月に第五子を妊娠中であることを公表しました。今回の妊娠では「年齢的にハイリスクプレグナンシーなため任意の検査多め」だそう。7月6日に自身のブログを更新し、健診で糖尿病の検査をすすめられて受けたと報告しています。最初は、検査を受けるためには「8時間は飲み食いなし」の条件と聞かされていたため、「今体調も悪くないしずっとご飯食べない方が具合悪くなるリスクあるんじゃないのと思いお断り」したそうですが、再度勧められ「朝ごはん食べててもいいから今からこのドリンク飲めば1時間後にはテストできるから」と説得されて、受けることにしたそうです。聖子さんは現在41歳で、若いときに比べて妊娠糖尿病を発症しやすいリスクがあるため、検査をすすめられたようです。第五子ということもあって、聖子さんとしては「妊娠中気をつける時や、これは大丈夫だななどの状況による判断は少しは慣れたかな?」という感覚があり、「私の妊娠歴の最高齢の今が一番元気かもしれません」というほど体調は良く、パーソナルトレーナーに安全的配慮を受けながらトレーニングも継続しているそう。ただ、とはいえ「産むまで何があるかわからないのが出産」と自戒も。母子ともに元気に出産の日を迎えてほしいですね。ダルビッシュ聖子さんオフィシャルブログより妊娠糖尿病とは?前述のように、高齢での妊娠は妊娠糖尿病などの合併症を発症するリスクが高まるため注意が必要です。「妊娠糖尿病」は妊娠中に初めて見つかった糖の代謝異常で、血糖値が基準よりも高くはなっているものの、まだ糖尿病には至らない軽度の段階ものを指します。35歳以上では20~24歳の8倍、30~34歳の2倍と年齢が上がると発症頻度が高くなることが分かっています[*1]。妊娠糖尿病になると、流産・早産や妊娠高血圧症候群、羊水過多症、肩甲難産、網膜症、腎症などを引き起こしやすくなります。それだけでなく、妊娠糖尿病の影響はお腹の赤ちゃんにも及び、巨大児、胎児死亡になるリスクを高めることや、生まれてからも、低血糖症、高ビリルビン血症(新生児黄疸)、低カルシウム血症、多血症などを合併しやすくなることが知られています。医療機関では無事に出産ができるよう全力でサポートを行っています。リスクをできるだけ下げられるよう、妊婦健診はしっかり受けて母体と赤ちゃんの状況を細かく確認してもらうようにしましょう。参考文献[*1]Preconceptional and Prenatal Care. In: Cunningham FG, Leveno KJ, et al, editors. Williams Obstetrics. 24rd ed. New York: McGrraw-Hill; 2014. P.161
2022年07月07日フォレスト出版株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役:太田 宏)は、生活習慣病・血管の専門ドクターが、脳梗塞・糖尿病を85%防げる、日常の習慣術を一挙大公開した『血管が強くなる習慣』を刊行しました。『血管が強くなる習慣』人生100年時代、60歳以降の20年、30年は、もはや「余生」とは呼べないぐらい長い時間です。長い余生を健康に過ごせるかどうか。その可否を決めるのが「血管」です。60代以降に発症しやすい2大病気が「脳梗塞」と「糖尿病」です。この2大病気を引き起こす原因が血管の老化です。この血管の老化をどのように食い止め、強くしていくか。血管が健康であれば、脳梗塞も糖尿病も85%は防げるといいます。ただ、見たり、状態に気づいたりしにくいのが「血管」です。そんな血管が強くなる習慣を一挙公開したのが本書です。ノウハウといっても、難しいものではありません。時間も場所も取りません。「朝、起きたら口をゆすぐ」「お腹を半円状になでる」「お酒を飲むときは水も飲む」「寝る前に顎の下を押す」などなど、私たちが日常生活を過ごしているなかで、そのノウハウをほんのちょっと意識して生活習慣に取り入れてみるだけ。ハードルが低いものばかりです。近年、血流の重要性は一般的に広く浸透しましたが、その血液が流れる「血管」が健康でなければ意味がありません。私たちの体の隅々まで張り巡らされている重要な道路、いわばインフラである「血管」を健康に導く1冊です。【主要目次】第1章 人間は血管とともに老いる脳梗塞も認知症も脳の病気じゃない!?動脈、静脈、毛細血管、血管の構造と役割を知る「血管が老化する」って、どういうこと?できることから始める「いい習慣」は40代から始めるのがいい……and more第2章 「朝イチ」にやりたい習慣朝、起きたら口をゆすぐお腹を半円状になでる座るスクワットをするたった3秒で終わる、舌のブラッシング……and more第3章 「食事」で意識したい習慣テレビを観ながら食べる最後に生野菜おやつは、高カカオ・チョコにするフルーツは朝だけにするお酒を適量飲む「とりあえず」は、鶏唐か、枝豆毎日、卵を2個食べる……and more第4章 日中、心掛けたい習慣時々、顎を押す掌を太陽に向けるタオルをギュッと握る前を歩いている人を追い越してみるクロスワードを趣味にする半年に一度、歯医者に行く……and more第5章 風呂・歯磨き・睡眠で取り入れたい習慣ぬるめのお風呂に15分入る湯船の中で、ふくらはぎを揉む寝る前は歯間ブラシで汚れを落とす帰宅後は、スマホはオフにする寝る前に「だ液腺マッサージ」をする……and more【著者プロフィール】栗原 毅(くりはら・たけし)栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士。1978年、北里大学医学部卒業後、東京女子医科大学消化器病センター内科入局。1987年より東京女子医科大学で消化器内科、特に肝臓病学を専攻し、2005年に教授に就任。2004年、中国中医研究院客員教授、2007年、慶應義塾大学教授に就任。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。テレビ、新聞、雑誌などのメディアでも、わかりやすい解説が人気を博す。血液サラサラの提唱者の一人として知られる。栗原 丈徳(くりはら・たけのり)栗原ヘルスケア研究所所長。歯科医師。1982年、東京都生まれ。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。「予防歯科医療」「食と健康」をテーマに活動をしている。特に「口の健康と全身疾患との関連性」に興味を示す。大学や介護施設などで講演も行なっている。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会等の会員。■書籍概要書名 : 血管が強くなる習慣著者 : 栗原 毅、栗原 丈徳ページ数: 208ページ価格 : 1,650円(税込)出版社 : フォレスト出版株式会社ISBN : 978-4-86680-181-0発売日 : 2022年5月24日URL : ■会社概要商号 : フォレスト出版株式会社所在地 : 〒162-0824 東京都新宿区揚場町2-18 白宝ビル7F設立年月日: 1996年4月1日代表取締役: 太田 宏業務内容 : 出版物の企画・制作及び販売URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月24日創設75年を迎える医療法人財団興学会(所在地:東京都千代田区、理事長:白井 清士)が運営する新橋歯科医科診療所(所在地:東京都港区新橋4-9-1 新橋プラザビル2階、アクセス:JR新橋駅より徒歩3分)は、都内最大級“歯科と医科(糖尿病外来)”両方の診療ができる「糖尿病外来」を開始しました。「新橋歯科医科診療所 糖尿病外来」URL: 多くの研究論文により、糖尿病と歯周病はコインの裏表の関係にあり、歯周病がひどいと血糖値が上昇しますし、糖尿病がひどいと歯周病は悪化します。ですから、糖尿病と歯周病は、同時に治療が必要です。歯周病の患者様は、口腔内に手のひらを広げた大きさの炎症を常に抱えており、そこから歯周病菌がどんどん毛管内に入り込み、糖尿病が悪化していきます。又、歯周病が悪化すると、十分に噛む事が出来なくなり、野菜を食べることも難しくなります。結果として、果物や軟らかいものなど、血糖値が上がりやすい食事内容に、偏りがちになってしまうのです。口の中が清潔に保たれ、歯並びがしっかりしている、すなわち「お口が健やかであること(健口)」が、健幸への第一歩です。当院は糖尿病内科医による内科の糖尿病外来と専門歯科医師による歯周病外来がワンストップで受診できるクリニックです。糖尿病と歯周病で悩んでいる多くの患者様のお力になりたいと考えております。歯科医科院内連携 「新橋歯科医科診療所 糖尿病外来」■ワンストップ(歯科医科院内連携)治療メリット歯科医科院内連携●歯科診療所と医科(糖尿病外来)診療所の間で患者様の情報をすぐに共有して適切な治療ができます。●歯科医師は基礎疾患を持った患者様を迅速に医科(糖尿病外来)に紹介することで安心した処置ができます。●院内に歯科と医科が併設されていることにより、患者様の通院の負担が軽減され、安心して治療を受けられます。●歯周病の場合、糖尿病リスクが高まります。事前に医科(糖尿病外来)で検査することで、糖尿病のリスクをチェックすることができます。医科(糖尿病外来)から歯科への連携の必要性■糖尿病が歯周病に与える影響について糖尿病の人は、健康な人と比べて歯周病にかかりやすくなります。また、血糖のコントロールが悪いと、歯周病がより重症化しやすくなります。【歯科医科連携により糖尿病が改善すると】●全身の炎症が改善して、倦怠感が消え、体が楽になる●歯周病が悪化しにくくなる歯科から医科(糖尿病外来)への連携の必要性■歯周病が糖尿病に与える影響について歯周病が重症化すると、血糖のコントロールが悪くなりますが、歯周病を治療すると、血糖のコントロールが良くなり糖尿病が改善します。【歯科医科連携により歯周病が改善すると】●歯周病菌による炎症性物質が減少する●インスリンの効き目が良くなる■歯周病は糖尿病の合併症です!糖尿病で怖いのは合併症です。様々な合併症の中でも多くの人が同時に発症する歯周病が糖尿病を悪化させます。歯周病の治療・管理により歯周組織の炎症が改善されると血糖を下げる役割を担う体内のインスリンの効き目が良くなり、血糖コントロールは改善します。また、糖尿病が改善すると歯周病も良くなることが知られています。相互にリンクする糖尿病と歯周病の状態をチェックして改善に取り組むことが健康につながります。歯周病の炎症■食事療法について当院では歯科医科連携によるトータル治療として糖尿病内科医が本気で取り組む食事指導が受けられます。食事療法、運動療法、薬事療法がある中で、食事療法が最も基本です。毎回の食事を見直し、適正にすることで体重管理、血糖コントロールをはじめ健康管理につなげることができます。食事療法では、炭水化物、脂質、たんぱく質という3大栄養素のバランスを考え体にとって必要なエネルギーは補いつつ正しく栄養を体内に行き渡らせることが重要です。現代の様々なライフスタイル、価値観を考慮し個々に合った食事療法をご提案します。食事療法は糖尿病改善や予防にもつながります。糖尿病の治療において特に標準体重がオーバーしている方にとっての食事療法の見直し、是正は重要です。食事で過剰なエネルギーを摂った場合、高血糖の原因となるだけでなく、余った糖は脂肪に変化して体に蓄積され、内臓肥満や脂肪肝の原因となります。肥大した脂肪細胞がインスリン抵抗性を高め、高血糖に拍車がかかるだけでなく、血圧や脂質の上昇を招きます。さらには、全身の合併症を引き起こすリスクが高まります。当院では、食事療法にフォーカスし、3大栄養素をバランスよく取ることが大切と考えています。極端なダイエットに走ること無く、継続可能な内容で毎日の食事を美味しく、楽しく続けられるように一緒に考えていきます。食事療法は単なる食事制限ではなく、適正な体重管理をして健康を維持していくために個々に合った食事療法を一緒に考えていきます。■下記のような症状に該当する方は、診療をお勧めしています。お気軽にご相談ください、【糖尿病が疑われる症状】□家族や親族に糖尿病の人が多い□最近よく喉が渇き、水分を多く取るようになった□よく食べているのに体重が減り、体脂肪率が減少した□最近、急に視力が低下した□1回のおしっこの量が増えた□しっかり休んで睡眠もとっているのに、長期にわたり倦怠感が持続している【歯周病が疑われる症状】□歯と歯の間に隙間ができて、食べものがよく挟まってしまう□朝起きた時に口の中がネバネバする□歯茎が赤や紫色に腫れている□最近、口臭が気になり、歯がぐらぐらする□歯茎が下がって歯が長くなったように見える□歯磨きの後で歯ブラシに血が付くことがある■診療所概要診療所名 : 新橋歯科医科診療所 糖尿病外来所在地 : 〒105-0004 東京都港区新橋4-9-1 新橋プラザビル2階アクセス : JR線「新橋」駅 徒歩3分診療時間 : 9:30~13:00/14:00~18:30定休日 : 祝日糖尿病外来URL : 新橋歯科医科診療所URL: プラザ美容外科URL : 新橋プラザビル2F■会社概要商号 : 医療法人財団興学会代表者 : 白井 清士所在地 : 〒101-0031 東京都千代田区東神田2-6-5 東神田ビル8階設立 : 1947年(昭和22年)6月事業内容: 最先端歯科医療、美容医療URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】医療法人財団興学会TEL:03-3526-3031 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月17日今や日本人の国民病ともいえる糖尿病。動脈硬化や腎臓病、アルツハイマー型認知症など、さまざまな疾患につながることが知られているが、その大きな原因のひとつに「体の糖化」があると昭和大学医学部の山岸昌一教授は指摘する。「『糖化』とは体内でタンパク質に糖がくっつくことにより、タンパク質が劣化する現象のこと。糖化タンパク質は体の中でもはや使いものにならなくなった燃えかすのような物質で、正式にはAGE(終末糖化産物)といいます。いわゆる“体のコゲ”です」血糖値が基準値以上に上がると、体内に断続的にAGEを発生させ続けることになり、これがまた血糖値を上げてしまうというのだ。さらに、この厄介なAGEは老化の原因にもなるという。「体内でタンパク質の働きが落ちると、臓器にも悪影響が及びます。私たちの体内ではさまざまな化学反応が起こっていろんな臓器が適切に機能しているのですが、その化学反応を媒介しているのは酵素です。酵素はタンパク質からできているため、酵素が糖化するとその働きが悪くなってしまうのです」糖化が進むと、血管や骨、心臓、脳など全身にその影響が及び、さまざまな病気の原因になる。■AGEがもたらす体への悪影響〈認知症〉:老人斑(アミロイドβタンパク質の凝集)促進、神経原線維変化促進、酸化ストレスの増大など〈見た目の老化〉:黄ぐすみ、くすみ、たるみ〈皮膚の老化〉:皮膚コラーゲンの硬化、代謝異常〈弾性線維の硬化〉:大動脈、腎臓皮質などの機能低下〈動脈硬化〉:粥状化の進展〈不妊〉:受精率の低下〈骨粗しょう症・骨関節症〉:骨質の劣化、骨の脆弱化、骨芽細胞・破骨細胞の活性異常〈糖尿病合併症〉:神経障害、網膜症、腎症※『やせる!肌も血管もキレイになるレモン若返りレシピ』よりそんなAGEだが、実は体内で発生するだけでなく、食事から取り込まれていることもわかった。「AGEを多く含む食べ物というのは、てんぷらやから揚げ、焼き肉のように、タンパク質に直接強い火を加えて調理したものです。AGEをため込むような食事を続けていると、たとえ今は健康であっても、徐々に骨がもろくなったり、血管がボロボロになってしまったりということが起こりえます」中高年以降の世代にとって、筋肉を維持するためにも大切なタンパク質が、取り方によっては体に害を及ぼすかもしれないのだ。■レモンのさまざまな働きがAGE値を抑える切り札に山岸先生によれば「AGEはコゲですから、焼いたり揚げたりといった調理法ではなく、ゆでたり蒸したりといった調理法で値を下げることができる」という。たとえば、同じギョーザでも焼きギョーザでは6個で4190AGEに対し、水ギョーザは1625AGEと、半分以下の値になるというのだ。とはいえ、焼き肉やてんぷらを一切食べないのは現実的ではない。何かいい手はないのだろうか。「AGE値を抑えるのにおすすめしたいのがレモンです。レモンには、活性酸素を除去するほか、代謝促進や抗酸化作用、降圧作用などさまざまな健康効果が期待できるのですが、実は糖化を抑える働きも抜群なのです。焼き肉やから揚げなどAGE値の高い料理の場合、下ごしらえの段階でお肉を15~30分ほどレモン汁に漬けておくと、そのまま調理したときに比べてAGE値を40~60%も抑えることができます」これは、レモンに含まれるクエン酸が糖とタンパク質の結合を抑えてくれるからだそうで、あらゆる肉料理に応用できる。たとえばとんかつなら、肉をレモン汁に20~30分漬けて下処理することで、AGE値が約60%も減少するのだという。「ほかにもブロッコリースプラウトやまいたけには、AGEを吸収しにくくしたり、作りにくくしたりする働きがありますので、積極的に食べてほしい食材です」また、レモン汁は酢の物に入れたり、食べるときにかけたりするのもよいそう。「食事にレモンやお酢が入ると、腸の動きがゆっくりになります。食べ物がゆっくりと消化、吸収されると血糖値が上がりにくくなりますから、体内でAGEが作られるのを抑えることもできます」レモンには唾液の分泌を促す働きもあるので、食欲増進にもつながるし、腸の働きを活発にする作用もあるので便秘解消も期待できそうだ。さらに、レモンのスッキリとした香りにはリラックス効果があり、食事そのものだけでなく、気持ちを切り替える作用も。■レモンに含まれる「元気」と「長寿」に役立つ成分〈ビタミンC〉:活性酸素の除去、免疫力の増強/血管の強化、美肌効果/ストレス緩和/ホルモンの分泌促進〈クエン酸〉:代謝の活性化、疲労の回復/骨粗しょう症や貧血の予防〈ポリフェノール〉:抗酸化作用〈カリウム〉:血圧の改善〈食物繊維〉:便秘解消作用更年期以降の年代の女性にとってはレモンを取ることで骨粗しょう症の予防にもなるそう。「現在、日本では約1,300万人もの人が骨粗しょう症とされており、そのうちの9割以上が女性です。骨は体の中でもコラーゲンが多い臓器なのですが、コラーゲンに糖がくっつくとコラーゲンのしなやかさが失われて、骨がもろくなり、骨粗しょう症につながります」足腰や骨の健康のためにも、AGEを抑える“抗糖化”を心掛けることが大切なのだ。そして、女性ならもっとも気になる美容の観点からも、AGEはできるだけ避けたいもの。「コラーゲンは糖化すると骨だけでなく、肌のくすみや、しみ、しわ、たるみ、さらには薄毛なども招いてしまいます。よく『アンチエイジングには抗酸化作用が大切』といわれますが、抗酸化を促している酵素もタンパク質が成分なので、体内で糖化が進むと抗酸化力も働きません。つまり、抗糖化は健康維持だけでなく、若さを保つためにも必要だということです」■レモン果汁効果的な取り方〈1〉レモン果汁30mlを、水や炭酸水などで薄めて食前に飲む(飲みにくい場合は控えめに甘味をつけてもよい)〈2〉レモン果汁を料理に使い、食事の最初のほうでそれを食べるトータルで30mlほどのレモン果汁を、食前または食事の最初のほうに取れば◎。レモン果汁は、市販の瓶入りのものでもOK。標準的な大きさのレモンから約30mlの果汁が取れる。糖尿病や骨粗しょう症の予防からアンチエンジングまで、まさに若々しく健康な老後を迎えるために欠かせないAGE対策。その切り札ともいえるレモンは、毎日の食生活に積極的に取り入れたい。【PROFILE】山岸昌一昭和大学医学部教授。循環器・糖尿病の専門医として診療に携わるかたわら、「AGEを抑え、老化を防ぐ方法」について啓蒙活動を行っている。山岸先生も登場する『やせる!肌も血管もキレイになるレモン若返りレシピ』(マキノ出版)は好評発売中
2022年05月04日血糖値は“低いほうが安心”はキケン!(※画像はイメージです)昨今、“糖質オフ”や“糖質ゼロ”をうたった食品がブームとなっている。その背景には、日本人の成人の6人に1人が糖尿病または予備軍といわれている現実がある。実際、糖質のとりすぎは高血糖につながり糖尿病を招く。「血糖値が高い状態が続くと全身の血管が傷つき、さまざまな合併症が進行します。ですから糖尿病の治療において血糖値を下げることは大前提です」(岡田先生、以下同)日本糖尿病学会では、正常な食後血糖値の範囲を70~140mg/dlとしている。随時血糖200mg/dl以上、かつHbA1c6・5%以上の場合、糖尿病と診断され、食事療法や運動療法に取り組むことになる。「ただし、長年の生活習慣を変えることは難しく、食事療法や運動療法を続けられない患者さんは少なくありません。そうなった場合、必要に応じて適切な薬を使って治療をしていくことになります」低血糖を繰り返すと自覚症状に気づけない糖尿病の予防や治療において、血糖値は低ければ低いほどいいというわけではない。実は近年、血糖値が下がりすぎる「低血糖」が危惧されている。「低血糖を1回起こしたからといって、すぐに命に関わるわけではありません。例えば、忙しくて食事をとれずにいると、空腹感を覚えるころには血糖値は60mg/dl台まで下がっています。健康な人の体内では血糖値が下がりすぎると血糖値を上げるホルモンが分泌されるため、それ以上は低下しません。しかし、糖尿病患者さんの場合は、血糖値が60mg/dl以下まで下がってしまうこともあります」血糖値が極端に下がると人間の身体には強い空腹感や動悸、軽度の冷や汗といった自律神経的な症状が現れるため、自分の体調の変化に気づくことができる。「しかし、慢性的に低血糖を起こすと身体が慣れてしまい、低血糖の症状に気づきにくくなってしまうんです」低血糖が続くことはさまざまなリスクを誘発する。「何度も低血糖を起こしていると血管がダメージを受け、心臓病につながる可能性がありますし、血糖値を下げすぎることで、脳卒中や心筋梗塞による死亡率が上がるという報告もあります。また、高齢者の場合、低血糖を繰り返すことで認知機能が悪化し、認知症発症のリスクが高まることもわかっています。最近では、低血糖が原因と思われる高齢者の自動車事故も問題になっています」自分が使っている糖尿病の薬を知る慢性的な低血糖を引き起こす原因となっているのが、糖尿病の治療薬だ。「すべての糖尿病の薬が低血糖を招くわけではありません。現在、糖尿病の薬にはさまざまなものがあり、中でも『SU薬』と呼ばれるスルホニル尿素薬はいちばん古く、私が若いころにはこの薬しかありませんでした。SU薬は膵臓に作用してインスリンの分泌を促す働きがあり、1回飲むと24時間作用する、効果が高い薬です。ですから、食事をとらなかったりすると薬が効きすぎて低血糖になってしまいます。また、高齢で腎機能が落ちている方の場合、薬の効果が数日間も続くことがあります。それに気づかずに毎日、服用すると予想以上に効果が出すぎてしまい、低血糖を引き起こします。同様のことはインスリン注射薬にもいえます」しかし、すべての医師がこの事実を知っているわけではない。「私が医学部で学んでいたころは、糖尿病の場合、血糖値を抑えれば合併症の抑制に有効だとされており、血糖値を下げることを重視する指導を受けていました。しかし近年は低血糖にもリスクがあることがわかり、糖尿病治療は大きく変わりました。ただ、糖尿病治療に関しては医師の間でも温度差があるのが現状で、かつての治療法を続けている先生も少なからずいらっしゃるようです」だからといって、勝手に薬をやめるのは絶対にNG。「最近では低血糖を起こしにくい、いい治療薬が出てきており、医師は血糖を適正にコントロールできるような治療が可能になりました。まずはご自分が使っている薬が低血糖を起こしやすいSU薬、インスリン注射薬に該当するかどうか知っておいていただきたいですね」食間が空く場合は軽食や補食をとる低血糖を防ぎ血糖をコントロールするための方法とは?「食事の間隔が空いて空腹になっているときに物を食べると血糖値が急上昇します。血糖値の変動が大きくなると低血糖になりやすいので、1日3食規則正しく食べることが大切。どうしても難しい日は、食事と食事の間に軽い間食をとることで低血糖の予防が期待できます。間食をしたらそのぶん、次の食事で炭水化物を減らして糖質のとりすぎにも気をつけましょう」糖尿病薬で治療中の人には、次のような方法が有効だ。「炭水化物の摂取量が少ないと低血糖が起こりやすいので、食欲がないときでも炭水化物は適切にとるようにしてください。普段よりも活動量が増える日は血糖値が下がりやすいので、私の患者さんには3時のおやつとしてビスケットなどの軽い補食をとることをすすめています」自分が低血糖かどうかを知るためには、まずは体調の変化を見逃さないことが肝心。「低血糖の初期段階では、フラフラする、頭がボーッとするといった自覚症状を感じているはずです。そうした体調の変化に気づいたら、できるだけ早く医師に相談するようにしてください」キケンな低血糖を防ぐには飲んでいる糖尿病の治療薬を把握して医師に相談スルホニル尿素薬とインスリン注射薬は重度の低血糖を起こしやすい薬剤。いずれかの薬剤を使っている場合、自分の体調とともに医師に相談を。体調がおかしいときにはジュースやコーラを飲む低血糖の症状に即効性があるのは糖類が含まれた飲み物を飲むこと。ジュースやコーラをコップ1杯程度飲み、体調が落ち着いたら固形物でも糖分の補給を。普段よりも身体を動かす日はおやつを用意「今日は孫の面倒を見る」「天気がいいので大掃除をする」など、普段よりも動き回る日は自分の体調や状況に応じて3時のおやつをとりましょう。低血糖を認知症と誤認したケースも!高齢になると大なり小なり認知機能が衰えるのは事実。だが、岡田先生のもとに来院した患者さんには、次のようなケースも。「別の病院で糖尿病の治療を受けていた高齢の患者さんが、ご家族に連れられて診察にみえました。ご家族は『認知症になって、話しかけてもほとんど返答もしなくなった』とおっしゃっていたのですが、血糖を測ったところ30mg/dlで低血糖であることが判明。ボーッとしていたのは低血糖を頻繁に起こしていたからなんです。低血糖を改善する治療に切り替えたところ、以前のようにおしゃべりができるようになり、ご家族はびっくりされていました」糖尿病の治療をしていると、こういうことも起こりうることを知っておきたい。お話を伺ったのは……岡田洋右先生●産業医科大学医学部第1内科学講座准教授、臨床研究推進センター長。医学博士。産業医科大学医学部、産業医科大学医学研究科障害機構系、コネチカット大学研究生などを経て現職。<取材・文/熊谷あづさ>
2022年03月27日NPO法人 日本腎臓病協会(東京都文京区、理事長:柏原 直樹、以下「日本腎臓病協会」)と協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、2019年5月に締結した「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、腎臓病に対する啓発活動の一環として、慢性腎臓病(CKD)の疾患認知に関するアンケート調査を継続的に実施しています。今回は2021年11月に実施した最新の調査結果についてお知らせします。CKDは脳卒中、心臓病、認知機能障害とも関係しており、国民の健康寿命を損なう要因となっています。日本では1,330万人の患者がいると言われています※。これは成人の約8人に1人という計算になり、特に高齢者では有病率が高いとされています。※:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(編集 日本腎臓学会)より今回は、20歳から50歳代の一般市民1,606名を対象に、慢性腎臓病(CKD)に関する認知度について、インターネットによる全国アンケート調査を実施しました。その結果、慢性腎臓病(CKD)を「症状も含めてよく知っている」あるいは「病名だけは知っている」と回答したのは全体の55.9%で、2019年の初回調査結果より5.2ポイント上昇しました。年代別にみると、いずれの年齢層でも認知度向上が認められており、2019年時にはいずれも43.5%だった若年層(20及び30歳代)においても、40%後半まで上昇しています。(図1、図2)また、生活習慣病としては「糖尿病」「高血圧性疾患」がいずれも50%以上の高い認知度を示す一方、「慢性腎臓病」は27.4%と、生活習慣病としての認知度が低いことがわかりました。(図3)図1 慢性腎臓病の認知度図2 慢性腎臓病の認知度の経年変化図3 慢性腎臓病の生活習慣病としての認知度慢性腎臓病(CKD)を認知している回答者のうち、健康診断における腎機能検査と尿検査項目の中で、この疾患とつながりの深いものを問う設問で回答が多かったのは、「尿蛋白」で51.4%となり、2019年の調査結果より5.9%上昇しました。その一方、臨床でCKDの重症度の指標として利用されているeGFR(推算糸球体ろ過量、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示す)は15.5%となり、非常に認知度が低いことがわかりました。さらに「タンパク尿」や「血清クレアチニン高値」を放置することで起こりうるのは何かという設問では、「人工透析による継続的な治療」が最も多く、58.6%でした。今回の調査結果について、日本腎臓病協会理事長、川崎医科大学副学長 腎臓・高血圧内科学 主任教授の柏原 直樹先生は次のように述べています。「糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満症は生活習慣病として広く認知されています。慢性腎臓病(CKD)はこれらの疾患とも関連が深く、20代、30代といった若年期からの生活習慣が発症に大きく影響しています。2019年から継続している調査結果から、慢性腎臓病(CKD)自体の認知は向上していますが、生活習慣病としての認知は他疾患に比べて低い状況に変化がないことが分かりました。今後、疾患の予防に向けた対策を進めていくうえで、年代に応じた適切な情報発信を継続し、腎臓病の克服を目指してゆきたいと思います。」今回のアンケート調査の詳細については、今後学会発表を予定しています。日本腎臓病協会と協和キリンは今後も「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、慢性腎臓病に関する疾患認知度調査の実施をはじめ、医療連携に関する医師向け講演会や報道関係者対象のセミナーの開催など、腎臓病の疾患啓発と対策活動に協力して取り組みを進めていきます。■eGFRとはEstimated glomerular filtration rate(推算糸球体ろ過量)の略。腎移植ドナーなど正確な腎機能評価が必要な場合にはGFR測定のgold standardであるイヌリンクリアランス法を実施しますが、日常臨床では血清クレアチニン値の測定結果を基に算出されるeGFRが用いられます。■日本腎臓病協会について日本腎臓病協会は、医療者、市民、関連企業、行政等が連携し腎臓病を克服するために、立ち上げた組織です。腎臓病の普及啓発、診療連携体制の構築、腎臓病療養士制度の運営、患者会との連携、アカデミアと関連企業、行政等が連携するプラットフォームである「Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)」を運営します。日本全国どこにいても、良質な医療の恩恵を享受できる環境の実現に尽力します。「腎臓病の克服」が私共の願いです。詳細は をご覧ください。■協和キリンについて協和キリンは、Life-changingな価値をもつ新しい医薬品を創出し、患者さんへ届けることに真摯に取り組んでいます。70年以上の歴史をもつ日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経などの様々な治療領域において、抗体医薬品の研究をはじめ最先端の科学・技術の応用に邁進し、患者さんと社会のニーズに応えます。4つの地域―日本、アジア/オセアニア、北米、EMEA―にわたり、協和キリンは共通の価値観であるコミットメント・トゥ・ライフ、イノベーション、チームワーク/和・輪、インテグリティのもと、病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために尽力します。協和キリンの事業について、詳しくはこちらのサイトでご覧ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月01日「脂質異常症を治したい」と題して、糖尿病専門医・臨床内科専門医で『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載で詳しいお話しを聞いています。「第1回 脂質異常症って何?女性は男性の2倍以上」(リンク先は文末参照)、「第2回中性脂肪の過剰が脂質異常症、メタボ、肥満の原因に」(同)に続き、今回は、脂質異常症の対策と予防のための食事法について尋ねます。糖尿病専門医の福田正博医師脂質異常症の治療の基本は食事の見直し——前回(第2回)、脂質異常症を発症しやすいケースでは、食べすぎや飲みすぎの傾向、運動不足、ストレスがたまっている、更年期以降の女性、肥満、メタボ、糖尿病、高血圧などがあるということでした。福田医師:そのため脂質異常症の治療の基本は、食事を見直す食事療法と運動療法です。治療といえば、すぐに薬の服用をイメージされる人が多いのですが、そうではありません。血液検査での数値によりますが、ほかに糖尿病やメタボ、高血圧などの基礎疾患があるかなどの問診を経て、まずは食事と運動を見直すケースがほとんどです。これら生活習慣の改善によって、いわゆる悪玉のLDLコレステロール(第1回参照)を低下させ、善玉のHDLコレステロール(同)の上昇が期待できます。動物性脂肪を食べすぎない——その食事の見直しかたについて、具体的に教えてください。福田医師:まず、「脂肪分をとりすぎない」ようにします。脂肪分が多い食品は、血液中の脂質の割合が上昇します。ポイントは、「油をたくさん使った料理の揚げ物などを減らすこと」と、「肉料理を減らすこと」です。——動物性の脂肪分はとくに良くないと聞きます。植物性脂肪なら大丈夫ですか。福田医師:「常温で固形の肉や乳製品の動物性脂肪」には「飽和脂肪酸」が多く含まれていて、LDL(悪玉)コレステロールを増やします。とくに飽和脂肪酸の含有量が多い食品は、牛や豚のバラ肉、肉の脂身、鶏肉の皮、加工肉、バターなどです。一方、青魚の油は動脈硬化を予防する多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、中性脂肪(トリグリセライド・第2回参照)を下げ、善玉コレステロールを増やすことで知られるため、摂取が勧められています。一方で、「常温で液体のものが多い植物性脂肪」は、悪玉を減らします。例えば、オリーブオイル、ごま油、ナッツ類などです。ただし、あまり食べすぎると善玉コレステロールが減るので適量にする必要があります。コレステロールの摂取は1日200ミリグラムまでに——血液中のコレステロールは「肝臓で作られるもの」と「小腸で食事から吸収されるもの」があるそうですね。福田医師:そうです。肝臓で作られる量は体質、遺伝的に決まっていることが多いのですが、コレステロールを多く含む食品を食べすぎると、後者の小腸からの吸収が増えてコレステロールの数値が上昇します。日本人の1日のコレステロール摂取量の平均は200~400mgとされますが、健康診断などでコレステロール値が高いと診断された場合や、近親者にコレステロールが高い人がいる場合は、「食品に含まれるコレステロールの摂取は、1日200ミリグラムまで」にしましょう。まずは、コレステロールが豊富な食品を知っておきましょう。次のリストを見てください。日本臨床内科医会『脂質異常症~わかりやすい病気のはなし』文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」より——卵1個ですでに200ミリグラムを超えていますね。以前から、卵とコレステロールの関係は論争がありました。福田医師:卵はコレステロール含有量が多い食品ですが、食べてもコレステロール値に影響しないという複数の報告や、卵を毎日1個食べる人は食べない人に比べて、脳卒中を起こす確率が低いという海外からの報告もあります。卵黄に含まれるレシチンに、LDL(悪玉)コレステロールを減らして、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあり、血管にコレステロールが付着するのを防ぐともいわれます。そこで現在、「卵は1日1個までが適量」と考えられています。糖質を食べすぎない——糖質は糖尿病の原因となるだけではなく、脂質異常症にも影響するそうですね。福田医師:糖質を食べすぎると血液中の中性脂肪の割合が高くなり、動脈硬化をまねきます。砂糖たっぷりのケーキなどのお菓子、パン、ジュース、また果糖が多い果物など、食べ過ぎには十分に注意してください。1日に食べてもいいお菓子の量は、「自分の手のおや指とひと差し指を合わせてマルを作り、そこに収まる大きさの和菓子」です。アルコールは控える——お酒は脂質異常症にとって、やはり良くないのでしょうか。福田医師:アルコールは血液中の中性脂肪を増やし、ほかの滋養物を含まない「空(から)のエネルギー」ドリンクといわれます。飲酒によって自制心がゆるんでつい食べすぎるといったことも多いでしょう。飲酒は控えるか、少なくとも量を減らしてください。飲む場合は水も合わせて飲みながら、食物繊維が多く、動物性脂肪や糖質が少ない料理をおつまみとしてください。これらは脂質異常症だけではなく、糖尿病、高血圧、メタボ、肥満などの予防にもとても有用です。聞き手によるまとめ脂質異常症の場合で避けたい食事内容のポイントは、動物性脂肪・コレステロール・糖質が多い食品・アルコールだということです。日ごろの食事はどうか、見直したいものです。次回・第4回は、脂質異常症の食事で積極的に食べたいものに続きます。これまでの記事を読む【第1回】「脂質異常症」って何? 女性は男性の2倍超【第2回】中性脂肪の過剰が脂質異常症、メタボ、肥満の原因に(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2022年02月27日※画像はイメージです日本における突然死の死亡者数は年間で10万人以上。すべての死亡者の約2割を占めている。「その中でいちばん多いのが心筋梗塞などの心疾患、2番目は脳卒中、3番目は大動脈瘤破裂と大動脈解離です」とは医学博士の高沢謙二先生。年齢が上がるにつれてその割合は増加傾向にあり、他人事ではないのが現実。■病気の原因は血管にアリ!「これらはすべて血管の病気です。血管の内側には知覚神経がないので、痛いなどの自覚症状がありません。発生直前まで何の症状もなく、症状が出たときには手遅れ……ということになりやすいのです」(高沢先生、以下同)。血管の病気を引き起こす原因は、加齢により血管が硬くなることと、血管の中に“ゴミ”がたまってしまうこと。「年を重ねると血管は弾力がなく、もろくなります。そして、生活習慣によって、脂肪や悪玉コレステロールを中心にしてできたゴミ=プラークが血管内にたまってくると、血液の流れが悪くなる動脈硬化につながるのです」プラークで血管内が90%以上ふさがれると、階段を上がったときなどに胸が痛むなどの狭心症の症状が表れる。また急激な血圧の上昇などを機に、プラークが傷ついたり破れたりすると、血小板や白血球がそれを修復しようと集まってきて“血栓”となり、心筋梗塞や脳梗塞を招く。「突然死として注意したいのはプラークが25%以下の血管。プラークが90%以上になると、詰まった箇所を補おうとして、血管が枝分かれし、迂回路ができて血流が改善する場合があります。しかし25%以下だと、身体も油断し、突然プラークが破裂するなどして、心筋梗塞や脳梗塞を招きます」とにかく、プラークを作らせず、血管を弱らせないことが大事だ。「そのためには、高血圧、脂質異常、糖尿病、喫煙の4つに気をつけましょう」《リスクUPにつながる4大危険因子》健康診断で以下の数値を超えるようなら赤信号!1つでも当てはまればリスクは3倍。2つ当てはまるなら9倍、3つなら27倍、すべて当てはまるならなんと81倍に。【高血圧】上の血圧(医療機関での測定)140以上【脂質異常】LDL(悪玉)コレステロール140以上【糖尿病】HbA1c6.5%以上【喫煙】リスク3倍高血圧は、血管壁に高い圧がかかり続けることでプラークや血管が破裂しやすくなる。脂質異常は血液中に悪玉コレステロールや中性脂肪が増える病気。これらはプラークを作る元凶に。糖尿病は、血管壁をもろくし、破れやすくする。そして喫煙は血管を収縮させるので血管を痛めつけてしまう。加えて注意したいのが、“A型行動タイプ”というもの。「といっても血液型のことではなく、短気でまじめ、責任感が強いなどの気質をもった人のこと。ストレスを感じやすいため、血圧が上がりやすく血管にダメージを与え、突然死につながりやすいのです」のんびりタイプの人に比べて、2倍も心疾患を起こしやすくなるのだという。「声なき血管の声を聞いて、血管が元気になる生活を心がけましょう」■血管年齢チェック実年齢+10歳以上の場合は、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の疑いが。+20歳なら血管の病気のリスクが高い状態。医療機関を受診しよう。□階段を上がると、胸が苦しくなることがある□濃い味のものが好き□睡眠時間が少ない or 生活が不規則だ□1日の喫煙本数×喫煙年数が400以上になる□電話が鳴ったらすぐに取らないと気がすまない□血圧が高い□運動不足だ□インスタント食品や脂っこい食事が好き□物忘れをよくする□野菜をあまり食べない□コレステロール値または血糖値が高い□家族に心筋梗塞や脳卒中で倒れた人がいるチェックの数であなたの血管年齢を予想0~4個……年相応5~8個……実年齢+10歳9~12個……実年齢+20歳血管年齢チェックでたくさんチェックがついたからといって、絶望しないで!血管年齢を若返らせることは可能だと高沢先生は言う。「年齢とともに血管が硬くなるのは自然現象ですが、生活習慣を見直せば、血管はちゃんと若返ってくれますよ」食事内容に気を配り、適度な運動と良質な睡眠、ストレスをためないなど、健康によいとされることを大切に。「要はチェック項目と逆の状態を目指すこと。血管に負担をかけない生活をすれば、老けない、詰まらない元気な血管になれるはずです」■のんびりマイペースなB型行動タイプを目指す「せっかちで責任感が強く、負けず嫌い、完璧主義」などの行動パターンを“A型行動タイプ”と呼び、1959年にアメリカのフリードマンらが提唱。「このタイプの人はストレスを感じやすく、そのたびに血管はギュッと縮み、血圧は上昇。血管はダメージを受け、血管事故を起こしやすくなります」。逆に、のんびりマイペースな気質を“B型行動タイプ”と呼び、A型はB型に比べると、2倍も心疾患を起こしやすいという。心身共にリラックスする工夫を。【A型行動タイプチェックリスト】毎日、忙しい生活だ210時間に追われている210何事にも熱中しやすい210夢中になると気持ちが切り替えにくい210何事も徹底的にやらないと気がすまない210自分の仕事や行動に自信がある210緊張しやすい210イライラしたり怒りっぽい210几帳面だ210勝ち気なほうだ210気性が激しい210競争心が強い210合計点が17点以上ならA型行動タイプです。■急激な温度変化を避ける暖かい室内から寒い屋外へ出るときや、暖かい浴室から寒い脱衣所へ行くときなど、急激な温度変化はNG。「寒さを感じると血管はギュッと縮まり、プラークが破裂しやすい状況に。高齢になるほど血管壁はもろくなっているので、瞬間的に血圧が上がると、破れたり傷がつきやすく、とても危険です」。外出するときは、家の中であらかじめマフラーをしてから出るようにして。「頸動脈を温めておくんです。すると温かい血液が全身に回るので、寒い場所へ出ても、血管が縮まりにくいのです」。手袋も同様。手の毛細血管を温めておくと、全身の急な冷えを防いでくれるのだ。■食事は腹八分目にする「卵や肉の脂身などを避ければ血中コレステロールは下がる、と考える人がいますが、実は大きな勘違い。悪玉コレステロールを増やすのは、卵や肉といった食品ではなく、“食べすぎ”が原因です」。コレステロールの80%は炭水化物、タンパク質、脂肪などが原料となって肝臓で作られる。つまり悪玉コレステロールが増えるのは、食事の総摂取カロリーが多すぎる=食べすぎのせい。コレステロールを含む食品だけを控えても無意味なのだ。「遺伝的にコレステロールを多く作り出す人は医師に相談してほしいのですが、多くの人は食事の総カロリーを減らし、肥満を避けることが肝心です」■野菜をお椀2杯分食べる「食事のときは、野菜を先に、これでもかというくらいたっぷり食べましょう」。例えばステーキを食べた後にサラダを食べると、濃い味に舌が慣れているのでついドレッシングも多くなりがち。最初に食べれば薄味でもおいしく食べられ、塩分摂取が少なくてすむ。お腹も満たされやすいので腹八分目も実現しやすい。「また腸の中に先に食物繊維を入れておくと、後でステーキを食べても脂質の吸収を抑えられます。糖質の吸収もゆるやかになり、血糖値の上昇も抑えられる」。目標は1日350g、お椀2杯分くらいの野菜をとって。■第2の心臓、ふくらはぎを動かす心臓は全身に血液を送り出すが、吸い上げる機能はない。そのため、心臓から遠い足はどうしても血流が悪くなりがち。「血流改善に有効なのが、第2の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉。ここを動かすことで、足にたまった血液がグッと心臓へ戻っていきます。重力に逆らって血液を心臓まで戻すポンプの役割をするのです」。ふくらはぎを積極的に動かすことで、全身の血行がよくなり、心臓は少ない圧力で血液を流せるようになる。すると血圧も低下。心筋梗塞や脳梗塞といった血管事故を防ぐことができるのだ。血管若返り体操(1)軽く足を開き、ラクな姿勢で立つ。(2)両足でつま先立ちをするように、かかとの上げ下げをする。1セット10回×朝晩2回さらに効果UPするなら……(1)で身体の前で腕を組み、(2)でつま先立ちする際に、両肩も一緒に上げ下げすると、上半身の血行も促進。目覚めたら布団の中で行っても→寝たままの状態で足をまっすぐ伸ばし、つま先を立てて手前に引く、次に伸ばす、を繰り返すと、つま先立ちをしたのと同じ効果が。10回行う。教えてくれたのは……●高沢謙二先生●信濃坂クリニック院長、東京医科大学名誉教授。内科、循環器、高血圧などが専門で、「血管年齢」の考案者であり血管の権威。メディア出演に加え、『図解最新医学でわかった突然死にならない方法 血管の病気がいちばん怖い』(エクスナレッジ)など著書も多数。(取材・文/樫野早苗)
2022年02月06日玄米や全粒粉パンといった「全粒穀物」。全粒穀物はさまざまな効果が期待されており、血糖コントロールや糖尿病発症リスクの低下に役立つといわれています。今回は、知れば取り入れたくなる全粒穀物のメリットや、取り入れ方をご紹介します。全粒穀物とは?全粒穀物とは、外皮や胚芽といった部分を精製していない穀物を指します。具体的には、全粒粉の小麦、大麦、そば、ライ麦、玄米、アワやヒエ、キビなどがあります。穀類の外皮や胚芽といった部分に食物繊維やビタミン類が含まれていることが多いのですが、通常は精製されることで取り除かれてしまいます。これらを取りのぞかない全粒穀物は、外皮や胚芽に含まれる栄養素を丸ごと摂ることができる、というわけです。例えば普通の小麦粉と全粒粉の小麦粉を比べてみると、カリウムは3.7倍、鉄は3.4倍、ビタミンB1は3.8倍、食物繊維は4.1倍もの量になります。穀物は主食として毎日食べることが多いので、全粒穀物を取り入れることで不足しがちな栄養素の補給に役立ちます。全粒穀物だけが糖尿病リスクを低下させる!?全粒穀物などの食品に含まれる食物繊維には、食後の急激な血糖値の上昇を抑える働きがあるため、糖尿病予防や血糖コントロールのカギとなっています。健康な人を対象とした、食物繊維の摂取源と糖尿病の発症リスクについて調べた研究があります。(※1)この調査では、野菜や果物からの食物繊維の摂取では糖尿病リスクに関連が見られなかったのに比べ、穀物からの食物繊維の摂取では、摂取量が多いほど糖尿病発症リスクが低くなることがわかりました。全粒穀物は炭水化物と同時に食物繊維を摂れるので血糖コントロールに効果的、ということがわかる結果です。血糖コントロールに食物繊維は欠かせないため、野菜や果物からだけでなく、全粒穀物からも積極的に補うようにするといいでしょう。全粒穀物の取り入れ方全粒穀物を手軽に取り入れるなら、まずは1日1食からでも、全粒穀物を使った主食にチェンジしてみましょう。朝食にパンを食べる方なら、全粒粉やライ麦を使ったパンに変えてみるのもいいでしょう。スーパーやコンビニでも手軽に手に入るので、好みのものを探してみてくださいね。また夜の食事が遅くなると血糖値が上昇しやすいといわれているため、仕事などで夕食が遅くなりがちな方は、夕食の主食を玄米や雑穀入りご飯にするのもいいでしょう。玄米は炊く手間がかかるイメージがありますが、発芽玄米であれば白米と同じように炊飯器で炊くことができます。余れば冷凍保存もできるので、まとめて炊いておけば毎日取り入れやすいですね。全粒穀物は噛みごたえがあり、よく噛んで食べられるというメリットも。自分が取り入れやすい方法を見つけて、ぜひ実践してみてくださいね。 【参考・参照】(※1)Matthias B. Schulze, DrPH; Mandy Schulz, DrPH; Christin Heidemann, DrPH; et al,“Fiber and Magnesium Intake and Incidence of Type 2 Diabetes A Prospective Study and Meta-analysis”,Arch Intern Med 2007,167:956-65文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂) 【執筆者】広田千尋/管理栄養士これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
2022年01月30日猫の皮膚病で多いといわれているのが、『皮膚糸状菌症』と呼ばれる、カビによる感染症です。症状に、顔の周りや耳などに脱毛や赤み、フケやカサブタといったものがあるとされています。猫の虎太郎くんも、この感染症を患った1匹。飼い主(kotaro210801)さんは、虎太郎くんに対し、カビ対策のシャンプーを使った入浴をさせていました。一般的に、猫は「お風呂が苦手」といわれています。ところが、虎太郎くんの場合は…。@kotaro210801 何往復もして、飽きたら自分で出てきます #保護猫のいる暮らし #お風呂好き #茶トラ ♬ オリジナル楽曲 - 虎太郎(こたろう) - こたろー虎太郎くんは、すいすいと浴槽の中を泳ぐようになりました!前脚で懸命に水をかき、前に進む様子がかわいいですよね。飼い主さんによると、虎太郎くんは何度か往復をして、飽きると出てくるのだとか。浴槽の中を泳ぐ猫の姿は珍しいようで、続々と反応が上がっています。・普通に泳いでいて、もはやカワウソと化している。・すごい…。私より泳げているな。・上手に泳いでいて、猫かどうかも怪しい!飼い主さんは、虎太郎くんの症状が改善されてきたとコメントしています。これからも入浴を楽しめるね、虎太郎くん![文・構成/grape編集部]
2022年01月27日肥満と健康を改善する方法1月20日、糖尿病や糖尿病合併症が専門の牧田善二医師の新刊『糖質中毒 痩せられない本当の理由』が文藝春秋より文春新書として発売された。牧田氏は医学博士、AGE牧田クリニック院長であり、同書では糖質がもたらす人体への悪影響や、糖質中毒から脱する方法などを解説。価格は858円(税込)である。食べてもよいもの・絶対に食べてはいけないもの体に悪いとわかっていても、煙草がやめられない人はニコチン中毒の可能性があるが、糖質においても、私たちの脳は常に糖質を欲しがるようになってしまっている。肥満は意志が弱い人ではなく、糖質中毒になってしまった人であり、中毒を治さない限り、本質的な肥満解消は不可能だという。新刊では延べ20万人以上の患者を診療している牧田医師が糖質を摂り過ぎることの害や、肥満を引き起こすメカニズム、糖質をやめられない理由、糖質中毒の治し方を詳しく解説。肥満からの脱却、糖尿病を改善する方法などをレクチャーする。食べてもよいもの、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないもの、効果的な食べ方などについても細かく解説されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※文春新書『糖質中毒 痩せられない本当の理由』牧田善二 - 新書 - 文藝春秋BOOKS
2022年01月27日今までならすぐに治っていたはずの虫刺されの痕や風邪が悪化する……。3年前の夏から秋にかけて立て続けに起こった体調不良。検査の結果、まったく関係ないと思っていたある生活習慣病を発症していたことが原因だったとわかった体験をご紹介します。虫刺され痕が化膿、風邪が治らない!私は毎年夏になると頻繁に虫に刺されます。48歳の真夏、いつものようにドラッグストアで購入したかゆみ止めを塗ってやり過ごしていましたが、ある日じゅくじゅくと化膿していることに気付きました。それまで傷口が化膿したことなどほとんどなく、初めての経験でした。仕方なく皮膚科を受診して、化膿止めの塗り薬を処方していただくことに。年のせいかな? 体が弱ってきているのかな? と思うできごとでした。同じ年の秋には、冷え込んだ夜にコートを忘れて出かけたせいか、喉が真っ赤になって声がれするタイプの風邪をひきました。喉が弱く咽頭炎になりやすい私は、早めにかかりつけのクリニックを受診。抗生剤と風邪薬をいただいて服用し始めました。ところが、いつもなら1回の受診で治るはずの風邪ですが、良くなるどころか高い熱が出て息をするのも苦しい状態になったのです。もう一度かかりつけ医を受診して、レントゲン検査と詳しい血液検査をすることになりました。レントゲン検査で肺炎が判明いつもお世話になっているかかりつけ医も、「秋になるとかかる風邪なら、いつもこのタイプの薬で治っているのにね」と心配しながら、検査をしてくださいました。そして、レントゲン検査の結果、肺が真っ白になっている画像を見せていただきました。「苦しいはずですね。酸素飽和度(SpO2)も低いし、肺炎になっています」と先生。風邪から細菌性の肺炎になったとのことでした。「特別忙しかったわけでもないのに、一体どうしてこんなことになったんだろう?」と、とても困惑したことを覚えています。「血液検査の結果は明日出るので、しんどいでしょうがもう一度来てください」。説明を受け、その日は抗生剤を点滴して帰宅することになりました。次の章で、再度かかりつけ医を受診したときのことをお伝えします。生活習慣の見直しと薬の服用で症状が改善そして次の日、まだ熱が下がらず息苦しさを感じながら、もう一度かかりつけ医を受診しました。診察室に入った途端、先生から「とても血糖値が高いですよ」と告げられたのです。家族にも糖尿病歴を持つ者がいなかったため、それはまさに寝耳に水の言葉でした。先生から詳しくお話を聞いたところ、血糖値が高いというのは「細菌」の餌が体の中にたくさんいる状態とのこと。傷が治らず化膿したのも、風邪から細菌性の肺炎になったのも、すべて血糖値が高い体の状態を放置していたからだということでした。「肺炎の症状が落ち着いたら、総合病院の糖代謝内科を紹介するから必ず受診してください」ということになり、糖尿病の診断基準の一つであるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が7.4(正常値は4.6-6.2)まで上昇していた私は、専門的な外来を受診することになりました。糖代謝内科ではさらに詳しく検査した結果、「遺伝的要因」と「生活習慣」が関係する2型糖尿病と診断されたのです。栄養士さんや看護師さんから、栄養・運動面の指導をしていただきました。私が処方されたのは、尿から糖を排出タイプの薬「ジャディアンス10mg」です。また、指導されたように炭水化物の取り過ぎに注意して、毎日近所の公園まで往復20分歩く習慣を取り入れました。2カ月後、HbA1cは見事に6.4まで改善。そのころには体調不良とも無縁になっていました。まとめ私は主婦とフリーランスの仕事をしていて、職場での定期的な健診から遠ざかっています。毎年健診を受けていれば、今回の2型糖尿病ももっと早い段階で気付くことができたはず……とかかりつけ医の先生からも指摘を受けました。実際、血糖値が高い状態になっていても、「いつもより傷や病気の治りが悪い」ということ以外、何か特別な症状はありませんでした。代謝機能が目に見えて衰えてくる40代後半から50代になると、今までどおりの生活習慣を続けていてはいけないのだと気付くきっかけになりました。そして、何よりも大切なのは健康診断です。しっかりと自分のために時間を取って、毎年健診を受けるようにしました。自分自身の体について、もっと意識しながら健康な生活を送っていきたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)イラスト/サトウユカ★関連記事:室井佑月さんインタビュー「41歳で糖尿病と診断されインスリン注射を打つ毎日です」#2★関連記事:え、糖尿病予備軍!?アラフィフの私が半年で10kgやせた方法【体験談】★関連記事:更年期の尿・おしっこはくさい? 泡立っているけどなぜ? 【医師監修】著者/吉本まな(51歳)大学院生の息子と大学生の娘がいる晩酌が大好きな母。インテリアコーディネーターとライターを兼業中。40代後半からめまいや耳鳴り、体温調節ができないなど不調を感じ始めた。体重増加に不安を覚えて散歩の距離をのばしている。
2022年01月02日「健康診断で、中性脂肪の数値が高いから『脂質異常症』ですと言われてとまどっています」という人が増えています。そこで、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載で詳しいお話しを聞いています。第1回の「脂質異常症って何?女性は男性の2倍超」では、脂質異常症はどういう病気か、患者数は女性が男性の2.4倍であること、脂質異常症の診断基準、コレステロールについてお伝えしました。今回は、もうひとつの診断基準となる「中性脂肪」について尋ねます。糖尿病専門医の福田正博医師中性脂肪は内臓や皮下に溜まる肥満のもと——前回、生活習慣病のひとつ、脂質異常症の原因として問題になる血液中の「脂質」には、悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」と、善玉の「HDLコレステロール」、「中性脂肪(トリグリセライド)」があるということでした。また、医学的な基準値よりも「悪玉が多い」「善玉が少ない」「中性脂肪が多い」と脂質異常症と診断されること、脂質異常症は動脈硬化を引き起こして心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血など命に関わる病気をまねくとも教えてもらいました。悪玉コレステロールは血管の壁に溜まってかたまりをつくり、善玉はその悪玉を掃除する役割があるとのことですが、では、中性脂肪とはどういうものなのでしょうか。福田医師:中性脂肪は脂質の一種で、主にエネルギー源となり、体の皮下の皮下脂肪やおなかの中の内臓脂肪に蓄積されます。運動中など、体内でエネルギー源のブドウ糖が不足すると、血液中に送り出されてエネルギー源として燃焼する役割があります。それに、体温を一定に保つ働きもあります。しかし、食べ過ぎなどで過剰に摂取すると、代謝されずに、内臓や皮下、血液中に溜まっていくのです。それが脂質異常症の原因になります。——「太って脂肪が増えた」という状態ですね。福田医師:中性脂肪には、食べたものの脂肪分が腸で吸収されて血液中に取り入れられた「外因性」と、一度は肝臓に取り込まれた脂肪が再び血液中に放出される「内因性」の2つのタイプがあります。中性脂肪は脂質異常症の直接的な原因となります。また、内臓の周囲にある腸間膜(ちょうかんまく)や腹膜(ふくまく)の脂肪組織につきやすい特徴があります。血液中の中性脂肪が内臓脂肪や皮下脂肪として蓄積されるとメタボ(メタボリック・シンドローム)や肥満に、血液中で増え過ぎると糖尿病の要因に、また肝臓で増え過ぎると脂肪肝という病気の原因にもなります。増え過ぎるとさまざまな病気をまねきます。脂質異常症はまったく症状がない——脂質異常症になると、どういう症状が現れるのでしょうか。福田医師:実は、症状はまったく現れないのです。どこかが痛いとか違和感があるなどのサインがあれば気づいて病院に行く、セルフケアを心がけるなどアクションを起こすことができるのですが。自覚がないままにじわじわと血液がドロドロになっていくので、「心臓発作や脳出血の症状が現れて初めて脂質異常症に気づいた」と言う人はとても多いのが現実です。これが脂質異常症の怖い点でもあります。——それでは、血液検査をしてみないとわからないということですね。福田医師:そうです。ただし、検査をして脂質異常症だと指摘されたとしても、症状が現れないために、「ふーん、どこも痛くないし、まあそのうちに」と治療をしない人が多いことも問題になっています。心臓や脳に障害が起こってからでは取り返しがつかないことがあるからです。やせている人にも多い——前回のお話しでは、女性は更年期の世代から急に患者数が増えるということでしたが、そのころに太ってきたら注意、ということでしょうか。福田医師:それはひとつの目安にはなりますが、一概には言えません。やせている人にも脂質異常症の人は多いからです。女性は、更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減少することで悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪が増えて脂質異常症の要因となるわけです。男性の場合は、「隠れ肥満」「隠れメタボ」と言って、手足は細くてスリムに見えても、おなかが突き出て内臓脂肪が蓄積している体型では、脂質異常症や糖尿病になる確率が高いことがわかっています。また、遺伝的要因による家族性高コレステロール血症もあるので、生活習慣が良いから、太っていないから大丈夫ということにはなりません。健康診断を受けて自覚することが重要です。——脂質異常症になりやすいケースはありますか。福田医師:ほかの病気が原因ではない場合は、食べ過ぎや飲み過ぎの傾向にある、運動不足、ストレスが溜まっている、更年期以降の女性、肥満、メタボ、糖尿病、高血圧などがあります。聞き手によるまとめ脂質異常症の診断基準のひとつとなる中性脂肪が増え過ぎると、内臓脂肪、皮下脂肪、メタボ、肥満などの原因になること、症状は全く現れないままにじわじわと血管が汚れていくこと、やせている人にも多いこと、また食生活など生活習慣の乱れ、ストレスの蓄積はこの病気になりやすいということです。次回・第3回は、その食生活をどうすればいいのかについて尋ねます。★お知らせ福田医師が会長をつとめる「大阪府内科医会」主催のオンライン健康セミナー「第23回市民公開講座美と健康はおなかから~腸活のススメ~」が、2021年12月12日(日)13:00~と15:00~の2回、配信されます。福田医師もパネルディスカッションに登壇します。どなたでも無料で視聴ができます(事前登録が必要です)。申し込み先:(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年12月11日テレビやラジオのコメンテーターとして、コラムニストとして、小説家として幅広い分野で活躍中の室井佑月さん。歯に衣着せぬ物言いとエネルギッシュな姿が印象的な室井さんですが、実は何度も大病を患っているそうです。2回目の今回は、膵臓の手術後に患った糖尿病と現在の治療についてお話をうかがいました。★前回:室井佑月さんインタビュー「シングルマザーだった35歳のとき、膵臓に腫瘍が見つかった」#1膵臓の手術によって41歳のときに糖尿病と診断――膵臓の手術後は、体に何か変化はあったのでしょうか?室井さん膵臓は血糖値をコントロールするインスリンを分泌する臓器で、私は膵臓の2/3を取っているんですね。ですから先生に、「今後、確実に糖尿病になるので、体調に変化が見られたらすぐに病院に来てください」と言われていたんです。当初は糖尿病のことが頭にあったはずなのですが、体調が戻ってからはすっかり忘れてしまいました。――糖尿病は発症されたのでしょうか?室井さん41歳のときに糖尿病と診断されました。私には10代のころから仲の良い友だちがいて、彼女が住んでいるマンションの部屋を買ったんです。そうした友だちとの旅行に息子も連れて出かけたりしていたのですが、「あなたたち親子と一緒にいると太ってしまう」と言われていました。それくらい、よく食べていたんです。毎朝、血糖値を測定してインスリン注射を打つ生活に――例えば、どれくらいの量の食事をしていたのでしょうか?室井さん夕ごはんに焼肉を食べて、その後にラーメンを食べて、家に帰ってからアイスを食べるような生活でした。息子は成長期なのでたくさん食べても太らないのは当然なのですが、私はかなりの量を食べているのにもかかわらず、どんどん痩せていったんです。さらに、目の前が真っ暗になるようなめまいが起きるようになりました。怖くなって病院を受診したところ、糖尿病になっていたんです。先生にはものすごく怒られました。でも、糖尿病にはわかりやすい自覚症状がないので、自分では気付かなかったんです。――糖尿病ではどんな治療をしているのでしょうか?室井さん当初は薬で様子を見ていたのですが、血糖値が思ったほど下がらなかったんですね。結局、服薬のほかにインスリン注射を自分で打つことになりました。毎朝、血糖値を測ってからインスリン注射を打ち、朝ごはんを食べてから薬を飲んでいます。――なんだか、大変そうです……。室井さん私も最初は、「おなかが空いてないのに朝ごはんを食べないといけないの?」「そこまでしないといけないの?」って思いました。でも結局は、先生に言われたとおりにするほうがラクだということに気付いたんです。徹夜をしてもインスリン注射のルーティーンは欠かさない――体がつらいときもあったということでしょうか?室井さん例えば、低血糖になるとおなかにガスがたまって痛くなり、尿意を感じてもおしっこが出なかったりするんです。それに、糖尿病とわかる前は1日中だるかったり、寝ても疲れが取れなかったりする日もありました。でも、毎朝血糖値を測ってインスリン注射を打ち、朝ごはんを食べて薬を飲むようになってからは調子が良いんです。――規則正しい生活を送っているんですね。室井さんそれが、私は物書きなので規則正しくはないんです。でも、徹夜で原稿を書いたとしても、朝、血糖値を測ってインスリン注射を打ち、少しでも食べ物を胃に入れてから薬を飲んで、それから寝ます。――毎朝、インスリン注射を打つ生活には慣れたのでしょうか?室井さん慣れましたね。友だちと旅行に行くときも道具を持ち歩いているので、「大変だね」って言われたりするんです。でも、自分では毎日お風呂に入るのと同じような感覚になっているんですね。糖尿病とうまく付き合えるようになってよかったです。次回は、49歳のときに患った乳がんと心身を保つ方法についてお話をうかがいます。<室井 佑月さんプロフィール>1970年青森生まれ。ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、銀座のクラブホステスなどの職業を経た後、97年に「小説新潮」5月号の「読者による『性の小説』」に入選。以後、「小説現代」「小説すばる」などに作品を発表し、98年に『熱帯植物園』(新潮社)を上梓した。 さらに同年『血い花(あかいはな)』(集英社)を発表。99年9月には『piss』を講談社より刊行した。最近では活動の幅を広げて、若い女性の代弁者、恋愛の教祖、そしてお母さん、という立場からテレビ・ラジオでコメンテーター、シンポジウムでパネリストとして活躍中。近著に「ぷちすとハイパー!」(中央公論新社)「ママの神様」(講談社)がある。★関連記事:「そんなことある?」入院当日、主治医の行動に驚いたこと #43歳で腎がんになった話 12★関連記事:肺腺がんを告白。青木さやかさんインタビュー#1「私自身は元気ですし、がんと言われることが不思議でした」★関連記事:え、糖尿病予備軍!?アラフィフの私が半年で10kgやせた方法【体験談】著者/熊谷 あづさライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。
2021年11月28日「健康診断で糖尿病予備群だと言われた」「別の病気の血液検査で糖尿病が発覚、とまどうばかり」という人が後を絶ちません。そこで、糖尿病の基礎知識について、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にて詳しく尋ねています(これまでの記事は文末のリンク先を参照してください)。第14回から第19回までは、糖尿病が真に怖い理由について、三大合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症)と、新合併症といわれるうつ病、がん、認知症との関係について伝えました。今回は、近ごろよく指摘される「歯周病との関係」について尋ねます。糖尿病専門医の福田正博医師医学会が糖尿病と歯周病の悪循環を示す——歯周病があると糖尿病が悪化する、また糖尿病の人は歯周病になりやすいと聞きます。「糖尿病と歯? 何のつながりが?」と思いますが、関係があるのですね。福田医師:歯周病は歯ぐきなどに炎症が起こる病気で、原因は歯周病菌が繁殖したかたまりのプラーク(歯垢。しこう)です。糖尿病の患者さんで、「薬を飲んで生活習慣も規則正しく継続しているのに、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が改善しない。実は歯周病の歯が複数あった。歯周病を治療したら血糖値も改善した」という例はよくあります。歯周病は糖尿病の合併症であることが明らかになっています。その実態については国内外で多くの研究報告があります。糖尿病の診断基準のひとつである「HbA1c(エイチビーエーワンシー、またはヘモグロビンエーワンシー。糖尿病の診断基準のひとつで血液検査でわかる。第1回参照)の数値が高いほど歯周病が多くなる」ことや、「歯周病があると糖尿病が悪化する」こと、「重度の歯周病は糖尿病を発症させる」ことなどが示されています。また、日本糖尿病学会が編さんする『糖尿病治療ガイド』には「糖尿病と歯周病は相互に負の影響を与える」と記されています。日本歯周病学会も、『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2014』を発行して医師に治療を喚起しています。糖尿病と歯周病は、免疫と炎症が関係する——糖尿病と歯周病はどのように影響し合うのでしょうか。福田医師:いくつかの要因があります。まず高血糖では、尿の量が増えて体内の水分が減少するとともに、唾液(だえき)の分泌量が減ります。唾液には抗菌・殺菌・消毒作用があり、歯周病菌を抑制する役割があります。しかし糖尿病ではその唾液が減るために、歯周病が進行すると考えられます。また、高血糖の状態だと唾液に含まれる糖分の濃度が高くなります。歯周病菌は口腔(こうくう)内の糖分をエサにして増えるため、繁殖しやすくなるのです。さらに、高血糖とは血管にブドウ糖があふれている状態で、それが白血球による免疫の働きを邪魔することになり、歯周病菌が増殖します。そして、ブドウ糖がタンパク質とくっついてできる物質のAGEs(糖化最終物)が歯肉組織に溜まると、白血球の免疫細胞が歯肉組織に侵入して炎症性のさまざまなサイトカインを放出します。サイトカインとは免疫細胞から分泌される物質で、炎症細胞の活性化を引き起こします。すると歯肉では組織の破壊が進んで、歯周病の発症や悪化をまねきます。歯周病の治療で糖尿病が改善——では、歯周病を治療すれば糖尿病は改善するのでしょうか。福田医師:はい、歯周病は血糖コントロールを悪化させるので、歯周病を治療すると糖尿病が改善すると考えられます。それに、せっかく歯周病の治療をしても、血糖のコントロールが悪いと再発しやすいこともわかっています。また高血糖は歯周病を悪化させ、血糖値を改善すると歯周病の治療もうまくいくようになります。——それほど、相互に影響し合っているということですね。ただ、歯周病も糖尿病も、自分ではなかなか気づかないままに進行する病気と聞きます。福田医師:糖尿病も歯周病も、かなり進行してからでないと自覚症状が現れない病気です。糖尿病予備群や糖尿病と診断されて、医師に「歯周病はありませんか?」と歯科を紹介されてはじめて歯周病に気づいたという人はたくさんいます。また、歯科で歯周病がひどいと診断されたことをきっかけに、糖尿病予備群や糖尿病だと判明したケースも少なくありません。さらに、歯周病があると口腔から全身へ動脈硬化を引き起こす炎症性サイトカインも流れ出し、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などが起こりやすくなります。この点からも、口腔の健康は重要です。糖尿病は健康診断やほかの病気の血液検査で、歯周病は歯科の定期検診で発覚することが多いのです。そのため、糖尿病を指摘された場合は歯周病を、歯周病を指摘された場合は糖尿病の検査も受けて、発覚した場合は一日も早く両方を治療することが悪循環を断ち切る方法です。——歯周病は、厚生労働省の「2012年歯科疾患実態調査」によると、25~29歳でも68%以上で、45歳~54歳では80%以上で兆候が見られるとあります。中年以降になるとほとんどの人が歯周病があると考えたほうがいい数字です。福田医師:そうです。歯周病の進行を予防するためにもっとも重要なことが、プラークの量を減らす「プラークコントロール」です。歯科でプラーク除去やプラークのもととなる歯石を取る施術を受けることと、自分で毎日歯磨きや歯間清掃をするセルフケアで歯と口腔を清潔に保つことが提唱されています。たとえ歯周病の症状に自覚がなくても、糖尿病の人はもちろん、糖尿病予備群と指摘された場合は歯科を受診し、必ず「糖尿病です」「糖尿病予備群です」と医師に伝えて、プラークコントロールの治療と指導を受けてください。聞き手によるまとめ歯の問題だとばかり思っていた歯周病が、実は糖尿病の引き金になること、糖尿病予備群でも歯周病があると血糖コントロールが悪くなること、また動脈硬化も起こりやすくなること、歯周病が治れば糖尿病も改善するということです。歯周病は年齢とともに罹患率が限りなく高まることもあり、糖尿病予防としても日々のプラークコントロールを継続していきたいものです。★お知らせ福田医師が会長をつとめる「大阪府内科医会」主催のオンライン健康セミナー「第23回市民公開講座美と健康はおなかから~腸活のススメ~」が、2021年12月12日土曜13:00~と15:00~の2回、配信されます。福田医師もパネルディスカッションに登壇します。どなたでも無料で視聴ができます(事前登録が必要です)。申し込み先:(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年10月25日バイエル薬品株式会社は、バイエルヘルシーエイジング 人生100年時代の「健康と幸せ力」プログラムとして、11月11日(木)、Zoomを使用した第2回オンラインセミナー「糖尿病から腎臓を守るためにできること ~早期診断と、糖尿病に関連する合併症への理解~」を開催します。セミナーの参加は500名(先着)まで可能で、応募期間は2021年9月28日(火)~11月5日(金)です。お早めにお申し込みください。バイエル ヘルシーエイジング 人生100年時代の「健康と幸せ力」プログラム 第2回 オンラインセミナーオンラインセミナー当日は、この領域における日本の専門家である、国際医療福祉大学教授、東京医科大学特任教授、山王病院内科部長、日本成人病(生活習慣病)学会理事長 小田原雅人先生より「ご存知ですか?糖尿病と腎臓のかかわり~早期診断と治療の重要性~」をテーマにご講演いただきます。その後のトークセッションでは、糖尿病、そして糖尿病性腎症により腎不全を発症して透析での治療をされているグレート義太夫さんにご参加いただき、ご自身の体験から患者さん、一般の皆さん、そして医療従事者にメッセージをいただきます。また、糖尿病や腎臓への負担を減らす食事の工夫ポイントや糖尿病患者さんが気を付けるべきことなどについて、管理栄養士の沼津りえさんからお話しいただきます。募集要項■開催日時:2021年11月11日(木) 18:30~20:00 (18:00 開場)■形式:Zoomオンラインセミナー※Zoom参加方法がご不明な時は事務局へご連絡ください。■応募期間:2021年9月28日(火)10:00 ~ 11月5日(金)17:00■募集対象:どなたでもご参加できます■募集人数:500名(先着順)■参加費:無料■主催:バイエル薬品株式会社その他、詳細は記事下部の応募ページでご確認ください。【参考】※応募ページ
2021年10月21日「まさかの糖尿病予備群…健診で指摘されたら」と題し、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にて詳しく尋ねています(これまでの記事は文末の一覧を参照してください)。第18回までは、糖尿病の三大合併症である神経障害、網膜症、腎症と、新合併症といわれるうつ病、がんとの関係について伝えました。今回は、認知症が新合併症と言われること、そのリスクやケアについて伺います。糖尿病専門医の福田正博医師糖尿病の人は認知症のリスクが2倍——糖尿病の新合併症には、うつ病、がんとともに、認知症が挙げられると聞きます。福田医師:糖尿病の場合、うつ病、がんとの関係とともに、認知症との関係についても多くの研究報告があります。認知症にはいくつかの種類があり、人数が多い順に、「アルツハイマー型認知症」が約53%、「脳血管性認知症」が約43%、「レビー小体型認知症」が約15%といわれます。合計すると100%を超えるのは、混合型も含まれるからです。このうち、糖尿病と関係があるのは、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」です。中でも、九州大学が1985年から継続する福岡県の「久山町(ひさやまちょう)研究」では、血糖値が正常な人に比べて糖尿病の人では、「アルツハイマー型認知症になるリスクは2.05倍」、「脳血管性認知症では1.82倍」、「認知症全体では1.74倍」であることが報告されています。糖尿病と認知症が関係する原因は?——その2つの認知症に糖尿病はどう関わるのでしょうか。これまでにお話しを聞いた、血管の損傷が原因なのでしょうか。福田医師:脳血管性認知症の場合はそうです。糖尿病は血液中に糖分があふれている状態なので、動脈硬化が進みやすくなります。すると、脳細胞への血液や酸素の供給が低下して脳梗塞(こうそく)のリスクが高まります。脳梗塞は脳の血管が詰まる病気なので、脳血管性認知症を患いやすくなります。——アルツハイマー型認知症と糖尿病はどう関係するのでしょうか。福田医師:アルツハイマー型認知症の脳では、アミロイドβ(ベータ)というタンパク質の、通称「老人班」と呼ぶシミが蓄積しているという特徴があります。このシミは20年以上をかけて脳の神経細胞にじわじわとダメージを与えながら溜まっていきます。一方、糖尿病を発症すると、高血糖がもとで活性酸素が増えて、全身の細胞に酸化ストレスをもたらし、さまざまな臓器や血管で慢性炎症も起こります。その結果、脳ではアミロイドβが増えるのです。また、アミロイドβを分解するのは、インスリン(すい臓から分泌されるホルモン。血液中のブドウ糖が、肝臓などに取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する)を分解する酵素と同じです。糖尿病の場合はこの酵素がインスリンを分解するほうに消費されて、アミロイドβの分解まで追い付かなくなります。そしてアミロイドβが脳に溜まっていきます。このようにして糖尿病はアルツハイマー型認知症の原因になると考えられています。左は健康な脳、右はアミロイドβが蓄積した脳のイメージ血糖コントロールで認知症が改善する——では、健康な状態では、アミロイドβは脳に蓄積しないのでしょうか。福田医師:健康な場合は、アミロイドβを分解する酵素が作用して血液に放出するシステムが働きます。その作用をインスリンが促すため、糖尿病の人に比べるとアミロイドβの蓄積は少なくなります。——すると、血糖値をコントロールできていれば、認知症になる可能性は少ないということでしょうか。福田医師:「HbA1c(エイチビーエーワンシー、またはヘモグロビンエーワンシー。糖尿病の診断基準のひとつで、血液検査でわかる。第1回参照)の数値が悪くて14日間入院した人が、血糖値を改善して退院する際には認知機能も改善した」という報告があります。14日間という短期間でも改善が見られたわけです。糖尿病であっても、適切な治療で血糖値をコントロールできていると、認知症を予防することが可能です。糖尿病も認知症も予防する方法は?——先ほど、「脳の老人班であるアミロイドβは20年以上をかけて蓄積される」と聞いてどきっとしました。早いうちから予防が必要ですか。福田医師:必要です。糖尿病も認知症も、気がつかないうちにじわじわと進んで行きます。「糖尿病にまで至らない予備群の人でも、健康な人に比べると認知症のリスクが高い」、また、「糖尿病でうつ病を合併している場合は認知症になりやすい」という調査報告もあります。もし健康診断などで糖尿病予備群だと指摘されたら、年齢に関係なく、糖尿病のみならず、認知症、うつ病、がんや三大合併症の神経障害、網膜症、腎症を予防する機会だと考えましょう。——自分で予防する方法はありますか。福田医師:あります。かかりつけ医の指導のもとで血糖値を良好に保って糖尿病の発症を遅らせましょう。自分でできる方法としては、栄養のバランスが良くて自分にとって適切なカロリーの食事、充実した睡眠、それに、軽い有酸素運動があります。とくに中年の時期に運動不足で活動性の低い肥満の人では、将来、認知症の発症率が高いという報告もあります。予防には、若いときからの運動習慣も重要になります。中でも、糖尿病も認知症もうつ病も予防することができる方法が、「ウォーキングをしながら計算やしりとりをする」ことです。「デュアルタスク」として、2つ以上の動作をすることが脳の神経を活性化することがわかっています。目安として、週に4日以上、1回につき30分~1時間ほど実践しましょう。計算には、100から7を順に引いていくこと、また、誰かといっしょのときにはしりとりをしてみてください。健康な場合でも、遅くとも40歳ぐらいからはこうした生活習慣を実践して、糖尿病をはじめとするさまざまな病気を予防しましょう。聞き手によるまとめ糖尿病を発症すると、認知症の原因となる脳のシミの老人班が蓄積しやすいこと、そのメカニズムがわかりました。糖尿病予備群の場合も、加齢とともに老人班が溜まりやすいということです。糖尿病も認知症も予防するという、「ウォーキング+計算」などのデュアルタスク運動を習慣にしていきたいものです。次回・第20回は、糖尿病と歯周病の関係について尋ねます。(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年09月30日「健康診断で糖尿病予備群ですよと言われた…いったいどうすればいいのか」と悩む読者の声にお応えし、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にてお話しを聞いています。これまでの内容は文末の一覧からリンク先の記事を参考にしてください。第14回から第17回までは、糖尿病の三大合併症である神経障害、網膜症、腎症と、新合併症といわれるうつ病との関係について聞きました。今回は、ここ10年ほどでわかってきた「糖尿病の人はがんにもかかりやすい」ことについて尋ねます。糖尿病専門医の福田正博医師糖尿病のがんのリスクは1.2倍——糖尿病、うつ病はその人数からして国民病と言われますが、がんも同様です。現在、糖尿病とがんの関係はどのようなことが明らかになっているのでしょうか。福田医師:日本人の2人に1人はがんにかかり、3人に1人はがんで死亡しています。また、糖尿病は6人に1人だと推計されています。そのため、糖尿病もがんも国民病と呼ばれ、それぞれが日本人にとって身近な病気と言えます。糖尿病とがんの関係については国内外で多くの研究発表がされていますが、日本では、日本糖尿病学会と日本癌(がん)学会による合同委員会「糖尿病と癌に関する委員会」が設立され、2013年、2016年に詳細な報告書を発表しています。これによると、「日本人の糖尿病患者のがん発症リスクは1.2倍」であり、がんの種別では、「肝臓がん1.97倍」、「膵臓(すいぞう)がん1.85倍」、「大腸がん1.40倍」と高くなっています。実際に、糖尿病の患者さんがあまり理由が思い当たらないのに血糖値が高くなってきたと思っていたら、実は膵臓がんだったというケースもしばしばあります。また、糖尿病ががんで死亡する危険度を上昇させることを示した研究や、新規の糖尿病患者よりすでに糖尿病と診断されていた人のがん死亡率が高いという報告もあります。調査ごとに数字の誤差はあるものの、糖尿病は将来のがんの発症に影響を及ぼす可能性が高いことが明らかになっています。糖尿病ががんのリスクを高める原因は——なぜ、糖尿病ががん発症に影響するのでしょうか。福田医師:そのメカニズムについては研究途上で、まだ明らかではありません。ただし、前回(第17回参照)のうつ病との関係で説明したように、膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが関係していると考えられています。糖尿病はインスリンの働きが悪化することで発症します。インスリンの効きかたが悪くなると、膵臓はインスリンを増産し始め、血液中のインスリンの量は必要以上に多くなります。これを「高インスリン血症」といいます。この状態が内臓の細胞のがん化に大きな影響を与えています。また高血糖の状態では体内に活性酸素が生じて、それがいろいろな臓器の細胞のDNAを傷つけることにより、細胞のがん化につながると考えられています。膵臓の位置(イメージ)——糖尿病もがんも生活習慣病です。生活習慣も関係するのでしょうか。福田医師:大いにあります。「加齢・肥満・運動不足・過剰な食事、過剰な飲酒、喫煙、ストレス」は糖尿病とがんの共通の危険因子です。これらの要因から、体に脂肪が増えると先ほど話したインスリンの作用が悪くなり、高血糖になります。とくに、肥満の放置は糖尿病とがんの両方にとって危険です。脂肪組織では慢性的な炎症が起こっていて、がん化の可能性が高いのです。生活習慣を改善してがん検診を——糖尿病の治療では、生活習慣の見直しが必須といいます。がんの発症リスクも下げることは可能でしょうか。福田医師:そう考えられています。糖尿病治療での「適切な食事、充実した睡眠、適度な運動、節酒、禁煙、ストレスの回避、体重と血糖値のコントロール」はがんの予防につながります。——治療でがんの発症を予防することはできますか。福田医師:国内外の研究で、「メトホルミンというインスリンの作用を改善する薬を服用する糖尿病の人は、がん発症のリスクが低い」という報告が多くなされています。大腸がんの発生率が有意に低いこともわかっています。また、糖尿病の患者さんは、定期的にがん検診を受ける必要があります。日ごろの糖尿病の血液検査ではがんを発症しているかどうかはわからないからです。そうしたことを知っておいて、かかりつけ医に相談しながら血糖値をコントロールして、定期的に会社の健康診断や市民健診などに含まれるがん検診を受け、糖尿病の進行とがんを予防していきましょう。聞き手によるまとめ糖尿病の人は健康な人に比べると、インスリンの状態や高血糖、内臓の炎症、生活習慣が原因でがんを発症するリスクが高いことがわかりました。予防するには、糖尿病の治療と定期的ながんの検査、そして食事や睡眠、運動、ストレス回避などの生活習慣の改善を継続しようということです。次回・第19回は、糖尿病と認知症の関係について尋ねます。(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年09月14日健康診断で糖尿病予備群だと言われた…と言う人は後を絶ちません。現在の日本では国民の10人に1人が糖尿病であると推計され、国民病と言われています。そこで、「まさかの糖尿病予備群…健診で指摘されたら」と題し、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にてお話しを聞いています。これまでの内容は文末の一覧からリンク先の記事を参考にしてください。第14回・第15回・第16回はそれぞれ、糖尿病の三大合併症のひとつである「糖尿病性腎症」の症状や原因、また人工透析の必要がある場合も……といったことについて聞きました。今回は、糖尿病と同様に国民病と言われる「うつ病」が糖尿病の新合併症とされる理由や対策について尋ねます。糖尿病専門医の福田正博医師糖尿病になるとうつ病発症のリスクが高まる——糖尿病とうつ病は相互関係にあると言われます。合併することが多いのでしょうか。福田医師:国内外からの複数の研究結果によって、「糖尿病の人の25~30%がうつ病を併発している、またはうつ病の疑いがある」と報告されています。この数字は糖尿病とうつ病が相互に影響しあっていることを示しています。ストレスが強いと分泌されるホルモンの作用で血糖値が上昇する——なぜそうなるのでしょうか。福田医師:まず、うつ病の原因となるストレスと、血糖値の関係があります。ストレスが強い人はそうでない人にくらべて、運動不足、アルコールをたくさん飲む、摂取カロリーが高いことが明らかになっています。こうした生活習慣は当然、糖尿病の大きなリスクになります。またストレスを感じると、脳の視床下部(ししょうかぶ)からホルモンが分泌されて、下垂体(かすいたい)が刺激を受け、副腎からコルチゾールというホルモンが放出されます。このコルチゾールはストレスから体を守っているのですが、一方で肝臓から細胞のエネルギー源でもある糖の放出を促し、各臓器にストレスに負けないようエネルギーを充填する働きがあります。しかしこれが、結果的にインスリンの働きを阻害し、血糖値が上がることになります。インスリンは糖を筋肉などに取り込むように働き、糖を細胞内でエネルギーとして利用できるようにするホルモンです。ただし、このインスリンの作用が低下すると血糖が利用されなくなるため、血糖値が上昇します。糖尿病の人の場合はとくに、インスリンの作用が悪くなっています。ストレスが強いと、健康な人に比べて血糖値の上昇が著しくなります。——ストレスが強いと、自律神経のバランスが乱れてそれも糖尿病に関係すると聞きます。福田医師:ストレスや緊張、興奮によって自律神経のひとつの交感神経が優位な状態が続くと、副腎髄質から血中へと、アドレナリンというホルモンが放出されます。アドレナリンもコルチゾールと同じように、肝臓から糖の放出を促し、インスリンの効きかたを悪化させます。このような作用から、うつ病につながるストレスは糖尿病を引き起こしやすい、また悪化させやすいことがわかっています。長期間の治療、食事の自己管理からプレッシャーに——糖尿病と診断された場合の精神的ショックも関係しますか。福田医師:糖尿病に関わらず、大病を患うとメンタルの打撃は大きいでしょう。糖尿病の場合は治療が長くなること、食事や運動について自己管理をする必要があるなどからプレッシャーが強く、生活や仕事への意欲をなくす、ストレスを感じるなどでうつ病を併発しやすいと考えられます。——うつ病を併発すると、糖尿病の症状はどうなるのでしょうか。福田医師:糖尿病は悪化し、これまでの回で話した三大合併症の「糖尿病性神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」のリスクも高まります。また、糖尿病の治療への意欲が低下するため、規則正しい服薬、食事、睡眠、運動ができなくなる可能性が高まります。また、食べすぎはよくないとわかりつつ、つい食べてしまって後悔するといった繰り返しがさらに気分を落ち込ませるという悪循環になります。——予防や改善の方法はあるのでしょうか。福田医師:現実として、「身の回りに起こることすべてを悪いほうに考える」「自分を責める」「どうしてわたしが…という怒りや否認の感情に支配される」「食欲がない」「趣味だったことに関心がなくなった」「気分の落ち込みが激しい」といった症状に見舞われる患者さんは少なくありません。ただし、うつ病を発症していることに気づいてない方も半数近くおられることがわかっています。こうした症状が1日中、2週間以上継続する場合はうつ病の可能性が高いという診断基準があります。タイミングとして危険なのは、とくに、「糖尿病や予備群と診断されたとき」「治療法の強化が必要になったとき」「合併症を発症したとき」などです。対策として、思いあたる場合はかかりつけ医に率直に伝えることが大切です。うつ病は、抗うつ薬や行動療法によって改善や治癒が可能です。それを知っておき、身近な人にも相談してほしいのです。また、患者さんの家族や職場などの身近な人は、ご本人にこうした心の状態が見て取れた場合には理解をして、適切な受診を勧めてください。なにより、できるだけストレスを避ける生活が糖尿病もうつ病も予防し、改善することにつながります。聞き手によるまとめ糖尿病の人はストレスが強いとホルモン分泌などの関係でうつ病を併発しやすく、発症すると病気の悪化や合併症のリスクが高まるということです。症状があれば医師と身近な人に相談し、症状がない場合でも、できるだけストレスが少ない生活を送りたいものです。次回・第18回は、糖尿病とがんの関係について尋ねます。(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年08月17日子どもが成長すると、食べる量も増えるので太らないか心配になるママも多いはずです。特に子どもの肥満は糖尿病や高血圧など生活習慣病になるリスクを高めるため、子どもが太らないようにしっかり管理したいところですよね。そこで今回は、小学生の女の子が太る原因になる食べ物や飲み物について紹介します。小学生における女の子の平均体重は?小学生の女の子の平均体重は以下のとおりです。・小学1年生 21.0kg・小学2年生 23.5kg・小学3年生 26.4kg・小学4年生 29.9kg・小学5年生 34.0kg・小学6年生 39.0kgただ、子どもの成長は個人差があります。身長が高いなら、体重が平均値より少し重くても過度に心配する必要はないでしょう。太る原因になる食べ物や飲み物小学生の女の子が太る主な原因は、食生活にあるといわれています。ここからは、どのような食べ物や飲み物をとると太るのか見ていきましょう。ご飯やパン、パスタなどの炭水化物食べ過ぎると太る食べ物は、ご飯やパン、パスタなどの炭水化物です。糖質を多く含む炭水化物を摂取すると血糖値が急激に上がり、体内でインスリンが大量に分泌されます。血糖値を下げる効果があるインスリンは、糖を中性脂肪にして体に蓄える働きがあるので肥満の原因になるのです。カロリーが高いドレッシング脂質が多いドレッシングも肥満の原因になるので、食べ過ぎには注意しましょう。特に、ドレッシングはメーカーや種類によってカロリーや糖質量も異なります。また、ノンオイルドレッシングも意外と多くの糖質が含まれることも。購入する前にカロリーや糖質を確認することが大切です。ジュースや清涼飲料水子どもが好きなジュースや清涼飲料水も肥満の原因になる飲み物です。特に水分の摂取量が多くなる夏は、水を飲む代わりにジュースや清涼飲料水を飲む子どもも少なくありません。ジュースや清涼飲料水には糖分や果糖が多く含まれるため、飲み過ぎると太る原因になってしまいます。肥満に隠れた恐ろしい3つの病気子どもが太ると、高脂血症や糖尿病、高血圧など生活習慣病になる可能性があります。ここからは、肥満に隠れた恐い病気について見ていきましょう。1.脂質代謝に異常が出る「高脂血症」血中のコレストロールや中性脂肪が増加する高脂血症は、血液の流れを妨げ動脈硬化や狭心症、心筋梗塞を引き起こします。高脂質な食生活で高脂血症になるため生活習慣の見直しが必要です。2.血中に糖分が溢れ出る「糖尿病」糖分が細胞に吸収されず、血中に糖分が溢れ出してしまうのが糖尿病です。症状がひどくなると神経障害や動脈硬化などを引き起こしたり、昏睡状態から死に至ったりする場合もあります。3.心不全の原因になる「高血圧」心臓に負担をかける高血圧は、心不全を引き起こす原因にもなる恐ろしい病気です。肥満以外のことが原因になることもありますが、原因が肥満の場合は生活習慣を見直しましょう。小学生の女の子が太るのは食生活が原因の可能性あり!小学生の女の子が太るのは、食生活の乱れが原因になっていることが多いです。例えばパンやご飯を食べ過ぎたり、ジュースや清涼飲料水を過剰に飲んだりすることが考えられます。健康的な食生活で、健康な生活を目指しましょう。監修者:林泉経歴:東京大学医学部保健学科卒業東京大学大学院医学系研究科修士課程修了ソウル大学看護学部精神看護学博士課程修了、看護学博士号取得
2021年07月27日※画像はイメージです家事に仕事に、子育てに日々忙しくて、つい自分の健康はおろそかにしがち。そんな週女の読者世代こそ気をつけたいのが、ちょっとした身体の不調。実は深刻なリスクがある、知られざる病気の「前兆」を医療のプロが徹底解説!■シミが急に増えた→「胃がん」年を重ねるごとに増えてきたシミ。紫外線ケアに気を使っているのに、急にどんどん増えてきたような……。『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著書がある、秋津医院院長の秋津壽男先生が指摘する。「そのシミは色が黒っぽく、イボのように少し盛り上がったりしていませんか? もしそうなら『脂漏性角化症』という皮膚の病気で、それ自体は良性腫瘍です。ところが、1~2か月のうちに急激に増えた場合やかゆみを伴うケースでは、胃がんや大腸がんなど消化器の腫瘍が隠れていることがまれにあるんです」脂漏性角化症ができるのは顔だけではない。背中や首、足などにもおよぶ。それにしても、なぜがんの兆候が肌に現れるのだろうか?「がんになると身体の免疫機能などが衰えていきます。すると、体内で異物や老廃物が処理しきれなくなり、皮膚症状として現れやすくなるのだといわれています」■皮膚のかゆみ・発疹→「悪性リンパ腫」じんましんでも虫刺されでもない謎のかゆみ。1週間以上、かゆみ止めを塗っても治らなければ、こんな疑いが。「白血球の中のリンパ球という物質ががん化して起こる病気に『悪性リンパ腫』というものがあります。日本では毎年、1万人に1人の割合で発症している“血液のがん”の一種です。その中に、かゆみや発疹といった皮膚症状を起こすタイプがあるんです」そう話すのは、医学博士で医学ジャーナリストの植田美津恵先生。がん細胞から特異な物質が生み出されることでかゆみや発疹が引き起こされるという説もあるが、詳しい原因はよくわかっていない。「ほかにも、貧血やアザができやすいなどの症状が多いと言われていますが、初期だと無症状というケースも珍しくない。しつこいかゆみで皮膚科にかかったけれど原因がわからず、内科の血液検査で悪性リンパ腫と発覚する人もいます。いずれにせよ思い当たる人、不安な人は、まずはかかりつけ医へ相談を」■2週間たっても口内炎が治らない→「口腔がん」寝不足だったり、舌を噛んだり、熱いものを食べてヤケドをしたり……。口内炎の原因はさまざまだけど、見た目がそっくりでまぎらわしい、実は怖い病気があるんです!「いつまでたっても口内炎が治らず、見た目にもくぼんだ部分が残っている場合は要注意。口の中の粘膜にできるがん、『口腔がん』を疑ったほうがいいでしょう。それがもし舌にできていたら、『舌がん』のおそれがあります」とは前出・秋津先生。目安として、2週間たっても治らなければ、がんの可能性を考えたほうがいいという。「普通の口内炎なら、健康な人であれば1日~2日で治ります。口内炎ができやすい人でも1週間ぐらいで治っていくのが自然です」悩ましいのは、口内炎なのか口腔がんなのか、医師の目で見ても判別が難しいこと。「口腔外科の専門医でなけ れば、見た目から判断するのは難しいでしょうね。治らない口内炎はリスクありと頭に入れておきましょう」■妊婦でもないのに乳汁が出る→「脳腫瘍」妊娠しているわけでもないのに乳首から乳汁が! 私の身体に何が起きているの!?「乳汁は本来、妊娠・分娩で乳房が張り、プロラクチンという乳汁分泌ホルモンが出されることで作られます。プロラクチンは脳内の下垂体という部分から分泌されていますが、ここに腫瘍ができると、妊娠とは無関係に乳汁を作り始めることがあるんです」と植田先生。下垂体腺腫と呼ばれる脳腫瘍の一種で、ほとんどが良性腫瘍だとか。「女性だけでなく、男性でもかかります。いきなり胸が大きくなり、乳汁が出るようになって検査したら、下垂体腺腫だったというわけです」治療は婦人科ではなく脳外科で行う。腫瘍が大きくなれば鼻からメスを入れる手術で除去しなければならないが、時間をかけて大きくなることも多いため、薬で症状を抑えつつ経過を見る方法もある。「もし乳汁に血や膿が混じっている場合は要注意。乳がんのおそれがあります」■いくら寝ても眠い、寝不足じゃないのに目の下にクマ→「甲状腺疾患」寝ても寝ても眠い。疲れが抜けない。無気力。一見、うつ病みたいな症状だけど? 秋津先生が解説してくれた。「うつと似ていますが、原因は異なります。“アクセルのホルモン”と呼ばれ、やる気につながる甲状腺ホルモンが不足すると、充電切れのような状態になります。こうして発症するのが『橋本病』。異物をやっつけるべき免疫が自分の甲状腺を攻撃するなど暴走して、調整機能に異常をきたし、甲状腺ホルモンが足りなくなってしまうのです」また、甲状腺ホルモンは多すぎても病気リスクになる。「橋本病とは逆で、甲状腺ホルモンが過剰分泌され発症するのが『バセドー病』。やたら元気になったり、汗っかきになったりします。原因はわかっていませんが、眼球が前方へ押し出される“眼球突出”を起こして、目が大きくなることも。そのため目の下のクマが強調され、寝不足でもないのに常時クマができているように見える人もいます」どちらの病気も30代~40代の女性に多いのが特徴だ。「遺伝的要因も一部にあるので、母親が甲状腺疾患だったという人は注意しましょう」■食べてもやせていく→「糖尿病」「例えば、ポテトチップスとコーラだけで夏中過ごしていたら、秋口から突然やせ始める。食べているのに、どんどんやせていく。これは『急性糖尿病』の症状なんです」と秋津先生。食事でとった糖質は体内で吸収され血糖に変わる。血糖は筋肉などを動かすためのエネルギー源だ。「ところが急性糖尿病になると、血糖がすべて尿に出てしまう。その結果、栄養失調のような状態になり、やせていくわけです」(秋津先生)血糖値の高い状態が長年続く『慢性糖尿病』の場合も同様に、「食べても食べてもやせていく」ことがある。「慢性糖尿病が悪化すると全身へ適切な栄養の供給ができなくなり、やせていきます。また血糖に変わるエネルギー源として脂肪が分解され、ケトン体という物質が分泌されます。これが増えると脱水症状を起こしたり、放置すれば昏睡状態になったりするなど、命にかかわるおそれもあります」(植田先生)■夜中だけトイレに行く回数が増える→「心不全」夜中に何度もトイレに起きてしまう……。読者世代には思い当たる人も多いのでは?「夜中だけトイレに何度も起きて、しかも足のむくみを伴う人は要注意。心不全のおそれがあります」(秋津先生)血管が詰まる病気などで心臓の力が弱まると、足にたまった水分を心臓まで引き戻す力も弱くなり、夕方になると足にむくみが生じるように。これが心不全の症状のひとつ。こうなると、たまった水分を腎臓まで運ぶことも難しい。「寝るときに身体を横にすると、たまっていた水分が腎臓に運ばれ尿が作られます。そうして夜間に不要な水分を排出しようとするため、尿量が増えるのではないかと考えられています」(秋津先生)ここで気をつけたいのは、あくまで“多尿”であって“頻尿”ではないこと。「頻尿の場合、トイレの回数が多くても、尿はあまり出ないことが多い。用を足すたびにまとまった量の尿が出るならリスク大です」(植田先生)■原因不明の腰痛→「うつ病」全国2800万人が悩んでいる国民病の腰痛。温めたり、マッサージをしたり、いろいろ試しているのに治らなかったら、こんな可能性が。「慢性腰痛の場合、身体より心の問題が痛みにつながっていることが最近の研究でわかってきました」と、植田先生。『ドーパミン』や『セロトニン』といった脳内の神経伝達物質には、痛みを抑制し、軽減させる働きがあるといわれている。これらは日常的にストレスを受けると分泌機能が低下し、痛みを抑えられなくなるという。「そもそもドーパミンやセロトニンは、不足すれば、うつ病を引き起こすといわれているもの。うつ病になると痛みをより感じやすくなり、悪循環に陥ってしまいます」適切な量の向精神薬や抗不安薬を服用することで、うつ病だけでなく、腰痛が軽減される効果も期待できる。「整形外科で治らなければ、1度、心療内科へ相談に行くことをおすすめします」
2021年07月19日「まさかの糖尿病予備群…健診で指摘されたら」と題し、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にてお話しを聞いています。前々回(第14回)から、糖尿病の三大合併症の1つ、「糖尿病性腎症」について尋ねています。「第14回腎臓は毎日200Lの血液をろ過する…糖尿病が原因で障害も」では腎臓の働きについて、「第15回糖尿病の三大合併症の1つ…腎症は怖い病気」では糖尿病性腎症の検査法や早期の状態について紹介しました。今回は、糖尿病性腎症のつらい状態について詳しく伺います。糖尿病専門医の福田正博医師4期は腎不全、5期は人工透析が必要に——前回(第15回)、糖尿病性腎症は1期~5期に分類され、1期は異常なしの状態、2期は「早期糖尿病性腎症」で「微量アルブミン尿」(アルブミンとは血液中のタンパク質の主成分)が検出される状態だということでした。では、3~5期とはどういう状態でしょうか。福田医師:3期は病状がさらに進行し、タンパク尿(第15回参照)が出現した状態です。また、4期は老廃物が溜まってきた腎不全期、5期はさらに進行して「人工透析療法」が必要になる状態です。腎臓が老廃物を濾(こ)す機能の評価には、血液検査にて、腎臓の糸球体(しきゅうたい。第14回参照)で1分間にろ過された血液の量を示す「GFR(糸球体ろ過量)」という数値を用います。血液中には、主に筋肉由来の老廃物の「クレアチニン」という物質が流れています。通常は尿中に排泄されていますが、腎臓のろ過機能が悪くなってくるとこれが血液中に溜まり、血液検査で判明する数値が上昇します。最近はこのクレアチニンの数値と、さらに、年齢、性別から簡便な計算式で求める「eGFR(推算糸球体ろ過量)」の数値による評価を重要視しています。eGFRは健康な場合はおおむね100mL/分前後ですが、腎症の進行とともに低下していきます。60を下回ると腎機能が低下していると評価し、タンパク尿が出ていなくても腎症の3期と見なします。また30を下回ると4期の腎不全期となります。eGFRが15未満は5期となり、人工透析療法が必要になります。——タンパク尿が出ていなくても、eGFRという数字で診断するということですね。福田医師:最近は、タンパク尿があまり検出されないままにeGFRが低下する患者さんが増加しているからです。とくに、高血圧や肥満の症状もある患者さんや高齢者ではその傾向が強くなり、注意が必要です。また腎機能は、年齢とともにゆっくりと少しずつですが低下します。実は1つの腎臓に100万個ある糸球体も、1時間に1個くらいはつぶれています。誰しも、腎臓の糸球体は1日に24個ずつ減っているわけです。健康でも加齢によって1年間で8,000~1万個は減り、eGFRは年間1〜2つずつ低下することが知られています。つまり、この減り方をいかにゆっくりさせるかが重要です。人工透析療法を受ける原因の1位は「糖尿病性腎症」——人工透析療法は、腎臓の病気の治療法としてよく耳にします。福田医師:人工透析療法とは、人工的に血液を体の外に出して、透析器で血液をろ過して余分な水分や老廃物を取り除いてから、きれいな血液を体に戻す治療です。1998年以降、日本では、人工透析療法を受ける原因の1位が糖尿病性腎症であり、全体の約43%にのぼる(2014年)という統計があります。しかもこの場合、5年生存率は50%という厳しい現実もあります。糖尿病の増加が著しい日本では、毎年1.3万人以上の人がこの療法を開始しています。糖尿病が原因ではない慢性腎炎などでは、人工透析療法を受けていても精力的な活動が可能なケースは多くあります。しかし、糖尿病性腎症の場合は経過は良好とは言えません。その理由は、糖尿病で人工透析療法が必要となると、全身の血管に動脈硬化が進行しているため、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などを起こしやすい状態だからです。糖尿病性腎症は、進行すると命に関わる病気です。聞き手によるまとめ糖尿病が怖い理由のひとつに、糖尿病性腎症を合併する場合があること、進行すると人工透析療法の必要性が出てくること、しかも人工透析療法を受ける原因の1位は糖尿病性腎症であるということです。こうした情報を知っておき、糖尿病予備群と指摘されたら、必ず医療機関を受診して積極的に詳しい検査をしたいものです。次回・第17回以降は、糖尿病の新しい合併症と言われるうつ病、認知症、がん、歯周病について順に紹介していきます。(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年07月16日友人との会話で「あれって中二病だよねー」そんなフレーズを聞いたことはありませんか?みんな当たり前のように使っているので、「どんな意味?」と聞けない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「中二病」の意味と使い方、由来をご紹介します。「中二病」の意味「中二病」は、中学二年生ごろの思春期に見られる、背伸びしがちな言動を自虐した言葉です。思春期特有の考え方や行動、価値観などが過剰に発現している状態を指し、自己愛に満ちた空想や思想を巡らせることを揶揄したネットスラングとしても多用されています。派生語として、中二病の症状が悪化した「高二病」、高二病の症状が悪化または中二病に原点回帰する「大二病」があります。「中二病」の使い方大人になっても、反抗期のような子どもっぽい態度をとっている人に対して、「いい年してまだ中二病をこじらせてる」。中二病だったころの自分を客観視すると笑えることから「中二病の症状をみんなで言い合うと、お酒の席が盛り上がる」。このような使い方や、自己愛に満ちた発言を堂々とする友人に「それって中二病じゃん」と揶揄するときに使います。「中二病」の由来・成り立ちラジオ番組「伊集院光のUP’S 深夜の馬鹿力」の人気コーナー、「かかったかな?と思ったら中二病」が由来といわれています。伊集院光さん本人が指標として挙げた例は、「大人が汚いと言い出す」「本当の親友を探そうとする」など。「中二病」を判断する一般的な基準は、「親にわざと冷たい態度をとる」「孤高を愛する」「飲めないブラックコーヒーを無理に飲み始める」など。ネットスラングでは「中二病」を「厨二病」と表記するのが一般的になっていて、どちらの漢字も間違いではありません。「病」という漢字が使われていますが、医学的な意味の病気や精神疾患ではないことを覚えておきましょう。まとめ「中二病」は、思春期特有の言動などを自虐する言葉です。ネットスラングでは「厨二病」と表記することもあり、相手に対して揶揄するときにも使われています。褒め言葉ではないので自分に対して使う分にはいいですが、相手に対して使うときはその人との関係性などを考慮して、不快な思いをさせないようにしてくださいね。"
2021年07月09日アメリカのコネティカット州に住む、ピーター・マーシャルさんと妻のリサさん。ペンシルベニア州で、近所付き合いをしていた中で知り合った2人は当時、それぞれ別のパートナーと結婚していました。その後、ピーターさんがコネティカット州に引っ越したことで疎遠になりますが、約1年後に再び連絡を取り合い、お互いに離婚したことを知ったのだとか。友人関係だった2人は急接近。それぞれの子供が大学へ進学するまで8年間の遠距離恋愛を経て、2009年に結婚しました。Posted by Oh Hello Alzheimer's on Tuesday, August 13, 2019Posted by Oh Hello Alzheimer's on Tuesday, August 13, 2019妻のことを忘れた夫が…海外メディア『CNN』によると、ある時からピーターさんの物忘れが多くなったのだそう。最初はカギや財布などを忘れていたのが、次第に言葉が出てこなくなったのだとか。そして2018年4月に病院で検査を受けた結果、ピーターさんは53歳でアルツハイマー病と診断されたのです。病気の進行は早く、彼の記憶からリサさんとの思い出が次々と消えていきます。そして、ピーターさんはリサさんが妻であることも忘れてしまいました。2020年12月、2人が家でテレビドラマを見ていた時のこと。結婚式のシーンで感動したリサさんが泣いていたのだそう。するとそんな彼女を見たピーターさんがテレビを指さして「これをしよう!」といったのです。リサさんが「これって何?」と聞き返すと彼は「結婚しよう」と笑顔で応えました。すでにリサさんと結婚しているという事実を忘れたピーターさんは、再び彼女にプロポーズしたのです。リサさんがこの話を子供たちにしたところ、「もう一度結婚式をするべき!」と背中を押されたのだそう。こうしてリサさんとピーターさんは家族や友人に見守られながら、再び永遠の愛を誓いました。リサさんは、ピーターさんから「結婚しよう」といわれた時の気持ちをこう振り返っています。とても感動しました。彼は私に二度、恋に落ちてくれた。光栄で、まるでシンデレラのようなお姫様になった気分でした。私は世界で1番ラッキーな女の子です。CNNーより引用(和訳)Posted by Oh Hello Alzheimer's on Thursday, April 29, 2021Posted by Oh Hello Alzheimer's on Thursday, April 29, 2021最高に幸せな二度目の結婚式を挙げた2人ですが、リサさんはピーターさんがそのうち彼女が妻であることを忘れてしまうことを心配はしていないそう。彼女は「私は彼のお気に入りです。だから妻だとか、呼び方のラベルは必要ありません。彼は私を愛していて、私は彼を愛している、それがすべてです」と語っています。LOWER YOUR VOICESome of my first memories are those of being shushed. “Be quiet. Simmer down. That’s enough talking. ...Posted by Oh Hello Alzheimer's on Monday, June 28, 2021LOWER YOUR VOICESome of my first memories are those of being shushed. “Be quiet. Simmer down. That’s enough talking. ...Posted by Oh Hello Alzheimer's on Monday, June 28, 2021リサさんはアルツハイマー病の人を介護する人たちを助けるために、ピーターさんとの生活をFacebookにつづっていて、コメント欄には同じ病気をもつ家族を支えている人たちからの共感や励ましの声があふれています。「私たちは最後まで一緒です。私たちを引き離せるものはありません」というリサさん。たとえピーターさんがまた彼女が妻だということを忘れても、彼は何度でもリサさんに恋に落ち、2人の愛は永遠にそこにあり続けるのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年07月07日まったくどこも痛くもかゆくもないのに、健康診断で突然に、「糖尿病予備群です。病院で検査をしてください」と告げられる人が増えているといいます。そこで、「まさかの糖尿病予備群…健診で指摘されたら」と題し、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にてお話しを聞いています。前回(第14回)は、糖尿病の三大合併症の1つの「糖尿病性腎症」(ほかの2つは、「糖尿病性神経障害」「糖尿病網膜症」)を知るにあたり、まずは腎臓の働きや、腎臓は毎日200リットル(200キログラム)もの血液をろ過していること、糖尿病の場合はそれだけの高血糖の血液が腎臓を通過するといったことを伝えました。今回は、糖尿病が原因で腎臓が障害される「糖尿病性腎症」の早期の状態について詳しく伺います。糖尿病専門医の福田正博医師「タンパク尿」は腎症を示す——前回、腎臓は全身から流れてくる血液をろ過して尿をつくる臓器であると教えてもらいました。その腎臓の機能が低下すると、「タンパク尿」が出ると聞きますが、どういう状態でしょうか。福田医師:健康な状態では尿にはほとんどタンパク質は存在しませんが、腎臓のダメージが大きくなると、尿にもれて出てくるようになります。これをタンパク尿と呼びます。血液中を流れるタンパク質は体にとって重要な成分であり、粒子の大きさは糸球体(しきゅうたい。腎臓の中にある毛細血管が毛玉のようにからまって、小さな網目のような穴があいている気管。第14回参照)の網目より大きいために、濾(こ)されることはなく尿中には出てきません。一方、老廃物の多くは粒子が小さく網目を素通りし、尿の方に濾されて血液中からは取り除かれています。しかし、高血糖の場合は糸球体の網目が広がり、粒子の大きなタンパク質も網目を通って尿に出るようになるのです。またそのことで、糸球体そのものがダメージを受けるという悪循環にも陥ります。さらにダメージが進行すると糸球体そのものが目詰まりして、老廃物も濾すことができなくなってしまいます。そうすると血液中に老廃物が溜まってくるわけです。タンパク尿の出現は腎臓の機能が低下してくるという目印となり、「腎症」と呼ぶ状態であることを示します。10年以上前から進行しているが、気づかない——腎臓の機能が低下する腎症では、どういう症状が現れるのでしょうか。福田医師:腎臓の機能が低下して老廃物が溜まってくると、足や顔、手がむくむ、疲労感、息苦しさ、夜間の尿、食欲不振、頭痛などがあります。進行すると貧血も出現(腎性貧血)し、「腎不全=尿毒症」に、さらに進むと人工透析が必要となります。——糖尿病が原因でそういった腎臓の病気になる場合を糖尿病性腎症というのですね。福田医師:そうです。糖尿病性腎症は、「糖尿病性神経障害」や「糖尿病網膜症」と同じようにじわじわと進むため、腎不全の症状が現れるまで気づきにくい病気です。そして怖いのは、そうした症状が現れた場合は完治ができないことです。この糖尿病性腎症の予防には、もちろん生活習慣の改善と糖尿病の薬による血糖コントロールが最重要ですが、加えて、血圧のコントロールや減塩も必須になります。とくに日本人は塩分を取り過ぎになっている人が多いので注意したいですね。——初期のころには気づかないということですが、ではどのように発覚するのでしょうか。福田医師:簡単な尿検査でタンパク尿が検出されることで腎臓が障害されているかを、また、腎臓の機能がどのくらいかについては血液検査で評価できます。ただし、タンパク尿が陽性となったときにはすでにある程度、糖尿病性腎症が進んでいる状態です。10年以上経過している場合も少なくありません。——そんなにかかるのですか。もっと早く自覚や認識をする方法はないのでしょうか。福田医師:タンパク尿が出ていなくても、すでに糸球体に病変が出始めていることはよくあるのです。これを「早期糖尿病性腎症」と呼びます。糖尿病性腎症は1期~5期に分類されますが、これは2期にあたります。なお1期は異常なしの状態です。この2期の早期糖尿病性腎症を発見するには、尿の「アルブミン」の量を調べる検査が有用です。アルブミンとは血液中を流れるタンパク質の主成分で、健康な状態では尿に排出されることがありません。近年はごく微量のアルブミンを検出できるようになり、これが腎臓の病気の早期発見につながります。糖尿病の人は定期的に尿検査を受けて、「微量アルブミン尿」の段階で認識することが重要になります。ですから、健診で糖尿病、またはその予備群と言われたら、放置せずに必ず受診をして検査を受けてください。そして定期的に年に1回は血液検査や尿検査、また以前にお話しした、神経障害、網膜症の検査も受けましょう。聞き手によるまとめ第11回から糖尿病が怖い理由を紹介してきました。足の壊疽(えそ)から切断の可能性がある「糖尿病性神経障害」(第12回)、失明の恐れがある「糖尿病網膜症」(第13回)、そして今回の糖尿病性腎症という糖尿病の三大合併症を発症すると、それまで無症状だったのに急に仕事や日常生活に差し支えるつらい症状が次々と現れること、そして、もう健康な状態まで完治できない現実に直面するということです。次回・第16回は、糖尿病腎症がさらに進んで人工透析が必要になった場合について尋ねます。(構成・取材・文藤井 空 / ユンブル)
2021年06月24日AGE牧田クリニック院長の牧田善二氏長年、糖尿病とその合併症の治療に携わり、生活習慣病、肥満治療を行っている牧田善二氏の新刊『医者が教えるダイエット 最強の教科書』が発売された。牧田氏には『医者が教える食事術 最強の教科書』『医者が教える食事術2 実践バイブル』などの著作があり、累計90万部を突破。新刊には「20万人を診てわかった医学的に正しいやせ方」という副題が付けられており、ダイヤモンド社から1540円の価格で発売中となっている。エビデンスに基づく最強のダイエット法既に一般的に広く知られている糖質制限という言葉ではあるが、ダイエットでただ単に糖質を減らそうと考えている人は、糖質制限の効果を充分に得られてはいないのかもしれない。糖質制限では1日の糖質の摂取量を60g以下にする必要があり、ジュースや清涼飲料水、菓子類はタブー。ジュースについては、果汁100%のものや野菜ジュースも要注意だという。一方、カロリー計算は不要で、飲酒も可能だとしている。新刊ではエビデンスに基づく最強のダイエット法を紹介。つらい運動は不要で、たくさん食べても太らず、リバウンド防止、美容にも効果があるとしている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※医者が教えるダイエット 最強の教科書 - 書籍 - ダイヤモンド社
2021年06月24日「糖尿病も抱えていましたが、ここ5年は薬も合っていて、病気をコントロールできていました。ですので、急な死に義母もかなり落ち込んでいるようです。死に顔は寝ているみたいに穏やかな表情でしたね。遺骨は都内にある一族のところに入ります。遺書も用意していたようで、今後のことは落ち着いてから家族で話をする予定です」臨終の様子をこう語るのは、小林亜星さんの次男・小林朝夫さん(60)。5月30日に亡くなっていたことが発表された亜星さん。死因は心不全で、88歳だった。穏やかな表情だったという朝夫さんの言葉どおり、直前まで元気な姿を見せていたという。都内にある亜星さんの自宅近くに住む住民は言う。「亡くなった当日の早朝に亜星さんがコンビニで買い物をしていたと聞きました。今の奥さんの早苗さんとは天気のいい日に近くの公園で散歩している姿をよく見かけました。このあたりで亜星さん夫婦のことを悪く言う人は一人もいませんよ」前妻との間に誕生した朝夫さん。亜星さんの死後、初めてのインタビューに本誌を選んだ“奇縁”についてこう明かす。「私がまだ幼なかったころ、電車の中吊りで女性自身さんが父の離婚について報じていたのを見たんです。なので、今回は父らしい面白いエピソードで見送ってあげてほしいなって」(以後、「」内はすべて朝夫さん)実母と離婚した後も、亜星さんと朝夫さんの親子仲は変わることなく良好だったようだ。「ふだんから交流はずっとあり、父が『ちょっと出てこいよ、飯行こうよ』って連絡をよくくれて。父はいつまでも現役で、80歳を過ぎても食欲は衰えなかったですね。最後に会った半年ほど前も焼き肉に行きました。以前は銀座のバーに週5で通って、朝まで飲むなんてしょっちゅうでしたよ。80歳を過ぎてからは『さすがに体力が落ちて週に4回しか行けない……』って嘆いてました(笑)」亜星さんは昭和を代表する作曲家として、これまで8千曲以上もの楽曲を手がけてきた。代表作の一つであるレナウンのCMソング『イエイエ』の制作秘話を朝夫さんは明かしてくれた。「私がまだ幼稚園のころ、父が家のピアノの前でずっと『イエイエ~』って言っているんです。ピアノの前から一切動かず、着替えもせずに3日くらいかかってあの曲を完成させていました。幼な心?に『仕事熱心だなぁ』と思ったことをよく覚えています」都はるみの『北の宿から』など、多くの歌手にも楽曲を提供した亜星さん。’95年放送のドラマ『刑事蛇に横切られる』(NHK)の主演であり、亜星さんが作詞作曲を手がけた主題歌も歌った高倉健さん(享年83)との“驚きの交流”を朝夫さんは目撃していた。「25年くらい前の夏に、父から『千葉の別荘に連れていきたい人がいる』と言われて、車で迎えに行って現れたのが高倉健さんでした。健さんが海パンを忘れてしまって、父と3人で近所の『しまむら』まで買いに行ったら、お店にいた人たちは全員固まっていましたね(笑)。夜に別荘のテラスで花火をしていたときに、大きな流れ星が流れたんです。そしたら健さんが花火を持ちながら『俺たちは戦争の爆弾で死ぬかと思ってたけど、生きてこれて。俺は俳優やって、亜星さんは作曲家で。2人とも成功して、こうしていられるの幸せじゃない?』って言っていて。まるで映画のワンシーンのようでした」
2021年06月21日「まさかの糖尿病予備群…健診で指摘されたら」という読者の声にお応えし、糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載にてお話しを聞いています。今回から、糖尿病が怖いと言われる理由の1つで、命に関わる危険性がある「糖尿病性腎症」という腎臓の障害について尋ねます。まずは腎臓の働きについて見ていきましょう。腎臓は血液をろ過して尿をつくる——糖尿病が進行すると、三大合併症と呼ばれる糖尿病性神経障害(第12回参照。足のしびれや傷が進むと壊疽が生じ、切断となる可能性がある)、糖尿病網膜症(第13回参照。最終的に失明の危険がある)、そして糖尿病性腎症があるということでした。腎臓とはおもに尿をつくる臓器だというイメージがあります。福田医師:腎症とは腎臓の機能が低下する病気で、とくに糖尿病が原因の場合に糖尿病性腎症といいます。ヒトの細胞は体液に浸っています。そのため、体液の濃度が変化したり、体液中の尿素などの老廃物が増えたりすると、細胞の活動をさまたげることになります。腎臓は、「体液の濃度を一定の範囲に保つ」「水分の量を調節する」「血圧を調節する」「血液中の老廃物や毒素をろ過して尿として排出する」「血液をつくる造血ホルモンを分泌する」「骨を強くするビタミンDを活性化する」といった働きを担っています。——腎臓は、背中側のウエスト部分より少し高い位置の左右にひとつずつあるのですよね。福田医師:そうです。ソラマメのような形をして大きさはこぶし大、重さはひとつが約120~200グラムでおおよそスマホ1台ぐらいです。注目すべきは、腎臓の表面近くにあって血液中の老廃物をろ過する「糸球体(しきゅうたい)」という器官です。毛細血管が毛糸の玉のように丸まっているのでこう呼ばれます。糸球体は、袋状の「ボーマンのう」の中にあり、毛細血管がザルのような網の目状にからまる構造になっています。ひとつが0.1~0.2ミリという微細なものですが、1つの腎臓に約100万個も存在しています。腎臓に入った血液は糸球体からボーマンのうへ向かってろ過されます。このときにこし出された液体は、「原尿(げんにょう)」という尿のもとになります。原尿はその先の尿細管を通る過程で、体にとって必要な成分の水、グルコース、アミノ酸、無機塩類(ミネラル。亜鉛、カルシウム、ナトリウム、鉄など)などが再吸収され、血液中に戻ります。その残りが尿になって、「腎う」や「尿管」を通って「膀胱(ぼうこう)」へ溜められます。腎臓を通過する大量の血液が高血糖だと…——つまり、尿のおおもとは血液だということですね。腎臓でろ過される血液は大量だと聞きます。福田医師:どれぐらいだと思いますか?なんと、1日に腎臓でろ過される血液の量は150~200リットルにもなります。家庭用の標準サイズのバスタブに6分目~満杯ぐらいの量です。重さで言うと、150~200キログラムにもなります。想像がつきにくいでしょうが、それが原尿です。ではその原尿のうち、次の段階でどのぐらいの量の成分が再吸収されると思いますか。実は99%にのぼります。その残りが尿なので、大人は1日に約1.5~2.0リットルを排出していることになります。——糖尿病になると、その大量に腎臓を流れる血液の質が問題になるのでしょうか。福田医師:血液中のブドウ糖の濃度を血糖値といいます。血糖値が高くなるということ(高血糖)は、血管内に糖分が過剰に混ざっている状態だとイメージしてください。すると、腎臓を通過する際に糸球体の毛細血管を詰まらせる、網の目を壊すなどして強いダメージを与えます。やがて、腎臓による老廃物や毒素をろ過する機能が衰えて、余分な水分、塩分などを尿として排出する力が弱くなるのです。それが何年も積み重なると、腎臓に障害が出て、糖尿病性腎症という病気を発症する可能性が高くなるわけです。その症状が現れた時点ではもう、腎臓の機能は元に戻りません。聞き手によるまとめバスタブに満杯ほどの量の血液が毎日、こぶし大の腎臓の中のさらに小さな糸球体という器官でろ過されている…「腎臓、がんばっているなあ」と感謝したくなります。糖尿病性腎症を理解するにあたり、今回はまず、腎臓の働きと、腎臓でろ過される血液の量、再吸収される成分、排出される尿の量などについて理解しました。次回・第15回は、糖尿病性腎症を発症するとどういう症状が現れるのか、人工透析が必要になるのか、腎臓の合併症が怖い理由について続きます。(構成・取材・文藤井 空/ユンブル)
2021年05月30日歯肉を中心に起こる歯周病は、口臭や口元の美しさを損なう原因となります。さらに、意外な病気の発症にも関係が!そこで、歯周病によって起こり得るトラブルと歯周病の予防法について解説します。 歯周病が引き起こすトラブル3つ口元の美しさが損なわれる体調が悪いときに出血や痛みを感じたりすることもありますが、ほとんど自覚症状がないまま進行してしまうのが歯周病の怖いところ。放っておくと歯肉はブヨブヨになり、歯が抜け落ちることもあるので注意が必要です。口臭の原因に進行した歯周病では、歯肉と歯の間にできる「歯周ポケット」という隙間が深くなります。すると、歯磨きしてもしっかり汚れを取り除くことが出来ず、口臭の元に。また、歯周ポケットの中の原因細菌が口臭を引き起こすことも少なくありません。様々な病気のリスクが上昇歯周病の原因細菌は、血液に入り込んで全身を巡ります。その影響は、心臓・脳・子宮などで強く受けることが分かってきました。例えば、心臓の筋肉が炎症を起こして心臓病の原因になる他、血管の炎症が動脈硬化を引き起こして脳梗塞の引き金となることが示されています。さらに、歯周病にかかることで早産になるリスクが7.5倍も上がってしまうという報告もあります。(※)簡単にできる!歯周病を防ぐコツ寝る前の歯磨きを丁寧に眠る前の歯磨きを丁寧にするのが歯周病予防の近道。睡眠中は、唾液の分泌量が減って唾液中の殺菌成分が十分に働きにくくなるため、日中より丁寧なケアが必要なんです。デンタルフロスなども利用して、しっかり汚れを落としてから眠りましょう。噛みごたえのあるものを食べる唾液には、口の中を潤して食べカスを洗い流す働きや、歯周病の原因細菌の繁殖を抑える働きが。したがって、唾液の分泌量を増やすことが歯周病予防に繋がります。大きくカットした野菜を食事にとり入れたり、するめやガムなどの噛みごたえのあるものを間食にしたりすると、噛む回数が自然に増えて唾液がたくさん出るようになりますよ。口の中に残りやすい甘い食べ物に注意チョコレートやキャラメルのような、ねっとりとした甘いお菓子には要注意。食べた後も口の中に食べカスが残りやすく、原因細菌のエサとなってしまうからです。こういったものを食べた後は、口の中をすすいで歯の周りをさっぱりさせるようにして下さいね。禁煙を心がける喫煙が歯周病のリスクになることが多くの研究で明らかにされています。タバコを吸っている人は、禁煙を心がけるようにしましょう。歯科医による定期的なチェックを受ける歯磨きをしていても、歯周ポケットの原因細菌や汚れを完全に取り除くのは難しいもの。1年に3~4度は歯科医のチェックを受け、これらを取り除くと安心です。 ちょっとした心がけや定期的なチェックで、口臭の予防と健康なカラダを維持しやすくなります。ぜひ、歯周病対策に取り組んでみて下さいね。 【参考・参照】(※)新潟県歯科医師会歯とお口の健康について歯周病と全身疾患(心疾患、糖尿病、早産など)〈〉(最終閲覧日 2017/7/7)
2021年05月30日