仕事でパソコンを使っていると、漢字の書き順を忘れてしまうことありませんか?そこで、今回は、『大人のきれい字書き方』の通信講座やセミナーを実施されている、今井淑恵先生に意外と知らない文字の書き順を教えていただきます。キレイな文字を書くには、正しい書き順は、はずせないようです。(以下、今井先生)「必」という漢字を書いてみてください。この字はバランスがとりにくい字の一つですね。さあ、書けましたか?あなたの書いた順は、「心」を書いて「ノ」の順ですか、それとも……。仕事柄、誰かが字を書いていると、気になってつい見入ってしまいます。そんなとき、あれー書き順がおかしい……、と思うことがよくあります。もう一度書いてもらっても違っていることが、しばしば。「書き順」は、キレイな字を書くための重要なコツの一つなのです。たとえば、冒頭の「必」の書き順は、はじめに「ソ」を書く、つぎに「左上から右下へ、ハネル」、そして「左の点」、「右の点」の順です。この順序で書くと、「ソ」の2画目を高い位置から書き出すため、右側上部への空間が広がり、バランスの良い字形になります。さらに、この字に「のぎへん」がつけば、「秘」になり、それにも当てはまります。また、小学校低学年レベルの字なのに、間違った書き順で書いている漢字が案外多くあります。「右」や「左」もその一例です。「簡単だから間違えないよ」という声が聞こえてきますね。それでは、書き順を確かめてみましょう。「右」は、「ノ」が先、それから「一」、そのあと「口」です。「左」は、「一」が先、それから「ノ」、そのあと「エ」です。どうでしたか、この順で書いていますか?書き順が違うと、「一」の横画の向きというか、横画の線がまったく違う種類の線を書くことになるのです。つまり、「右」の字のように、『左ハライの後に横画』の場合、この横画は、「ふせる線」となります。この字の中で、一番長い線にして全体のバランスをとります。また、「左」の字のように、『横画の後に左ハライ』の場合は、この横画は「そらす線」で書きます。そらす線は、あまり長くしないことがコツです。「ふせる線」と「そらす線」、まったく正反対ですよね。正しい書き順で書くことで、ふせる・そらすの書き分けができるようになります。この結果、美しく字形を整えることができるようになるのです。それでは、この字のような例を他にもあげてみましょう。どんな字が思い浮かびますか?「右」のように、『左ハライの後に横画』の仲間には、「有」、「賄」、「布」、「希」、「佑」、「祐」……など。「左」のように、『横画の後に左ハライ』をする漢字は、「友」、「抜」、「丈」、「杖」、「佐」、「石」……など。このように、書き順を覚えて、どんどん応用して書いていきましょう。また、書き順は、必ずしも一字に一つだけというわけではありませんし、同じ文字でも書体によって変わります。「楷書(かいしょ)体」と、つづけ字の「行書体」の時とでは、書き順を変えて書くこともよくあります。このように、書き順を正しく理解することで、今まで苦手だった字形が一瞬のうちに変身する、そんな簡単な書き方のコツをぜひ覚えてみてください。(今井淑恵)●著者プロフィール今井淑恵先生Allabout ProFileの実務書道専門家(。有限会社彩華代表取締役、実用手書き塾代表講師。漢字6段(一東会)、書写検定2級(硬筆)、日本語検定2級といった資格を持つ、手書き文字に関するエキスパート。『大人のきれい字 書き方』を通信講座やセミナーなどを通し、数多くの生徒への指導を行っている。【関連リンク】【コラム】卵1個分ほどの空間をつくる。キレイ字を簡単に書くコツとは?【コラム】よく使う顔文字ランキング3位は「」では1位は?【コラム】大不評?「ギャル文字」は嫌われている!?
2011年07月12日