映画賞レースのトップを飾る第47回報知映画賞の各賞が発表され、『沈黙のパレード』で難解な事件を解決する天才的物理学者を演じた福山雅治が主演男優賞を初受賞、主演女優賞は『前科者』の演技が評価された有村架純が初受賞。作品賞・邦画部門は石川慶監督、妻夫木聡主演の『ある男』が受賞した。主演女優賞:『前科者』有村架純報知映画賞はスポーツ新聞が単独開催する初の映画賞として、1976年に誕生。読者参加型の映画賞が大きな特色であり、各映画賞や映画祭の先陣を切って発表されるため、その年の受賞者・受賞作品を占う意味でも大きな注目を集めている。助演男優賞:横浜流星「流浪の月」なお、作品賞(海外)は130億円超えのメガヒットとなった『トップガン マーヴェリック』が受賞した。第47回報知映画賞各賞作品賞・邦画『ある男』監督賞片山慎三『さがす』主演男優賞福山雅治『沈黙のパレード』主演女優賞有村架純『前科者』助演男優賞横浜流星『流浪の月』助演女優賞尾野真千子『20歳のソウル』『千夜、一夜』『サバカン SABAKAN』新人賞嵐莉菜『マイスモールランド』/白鳥晴都『ぜんぶ、ボクのせい』作品賞・海外『トップガン マーヴェリック』アニメ作品賞『劇場版 四畳半タイムマシンブルース』(text:cinemacafe.net)■関連作品:トップガン マーヴェリック 2022年5月27日より全国にて公開©2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.20歳のソウル 2022年5月27日より全国にて公開©2022「20歳のソウル」製作委員会前科者 2022年1月28日公開© 2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会流浪の月 2022年5月13日より全国にて公開(c)2022「流浪の月」製作委員会沈黙のパレード 2022年9月16日より全国にて公開©2022「沈黙のパレード」製作委員会ある男 2022年11月18日より全国にて公開©2022「ある男」製作委員会さがす 2022年1月21日よりテアトル新宿ほか全国にて公開©2022『さがす』製作委員会マイスモールランド 2022年5月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開予定©2022「マイスモールランド」製作委員会サバカン SABAKAN 2022年8月19日より全国にて公開©2022「SABAKAN」Film Partners四畳半タイムマシンブルース 2022年9月30日より全国にて3週間限定公開©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会ぜんぶ、ボクのせい 2022年8月11日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開© 2022『ぜんぶ、ボクのせい』製作委員会千夜、一夜 2022年10月7日よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開(C)2022 映画『千夜、一夜』製作委員会
2022年11月30日積水ハウス株式会社は、本日発表の「第16回キッズデザイン賞」においてキッズデザイン協議会会長賞を受賞しました。キッズデザイン賞は、キッズデザイン協議会(本部:東京都港区虎ノ門)主催の子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度です。キッズデザイン賞受賞作品214点の中から、優秀作品へノミネートされた36作品が最優秀賞、優秀賞、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)、特別賞として選出されます。キッズ・ファースト企業である積水ハウスは、第1回キッズデザイン賞から16年連続、累計107作品を受賞しています。キッズデザインマーク▼奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞「エルミタージュクール」受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 個人・家庭部門エルミタージュクール説明:子育て世代の「もしこんな住まいがあったら・・・」を叶える賃貸住宅です。乳児期~児童期の子を持つ世帯に特化した間取りのほか、安心して子どもを遊ばせることができる中庭、親同士で子どもの預かり合い等を想定したキッズラウンジ、子どもの学びを手助けするterakoya(寺子屋)など、子育てを支援する要素を多数備えています。(受賞理由)「子育て世帯ならではのニーズ、例えば見守りをしながら家事のしやすい動線、外遊びを自由にさせられるような中庭、一時預かりに使えるような空間や遊び場などを備えた賃貸住宅であり、子育てに特化した思い切った空間提案として高く評価した。賃貸住宅の共用部でここまでの設備と取組は貴重であり、ニーズも高いだろう。」エルミタージュクール 外観エルミタージュクール 中庭積水ハウスは“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、今後も人生100年時代における「幸せ住まい」を追求し続けてまいります。エルミタージュクール 公式サイト: キッズデザイン賞 公式サイト : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月22日近年、映画賞の演技部門において、「男優賞」「女優賞」と性別で分けることをやめ、「ジェンダー・ニュートラル」(性的に中立)な形を取る動きが加速している。すでにジェンダー・ニュートラル化を行ったベルリン国際映画祭、今年開催の授賞式から実施するゴッサム賞などに続き、インディペンデント・スピリット賞も演技部門の性別区分けの廃止を表明。主催者のフィルム・インディペンデントが公式ホームページにて発表した。同団体のトップのジョシュ・ウェルシュは、「私たちは、性別に関わらず素晴らしい演技を称えるため、すでに動き出している映画祭や映画賞に加わることに喜びを感じています。また、男性か女性かの選択を強制することなく、ノンバイナリーの俳優たちをスピリット賞に迎えられることもうれしく思います」とコメント。また、インディペンデント・スピリット賞はこれまで製作費が2250万ドルまでの作品を対象としていたが、昨今の物価・製作費高騰により、製作費3000万ドルまでに引き上げられた。「新しい上限を設けたことで、これまでと同じように幅広い作品を称えることができます」としている。インディペンデント・スピリット賞授賞式は2023年3月4日に開催される。(賀来比呂美)
2022年08月24日染色加工業大手セイショク株式会社は、布のアップサイクルプロジェクトNUNOUS[ニューノス]と、2名のデザイナー(橋田 規子、大木 陽平)とのコラボレーションアイテムをインテリアライフスタイル2022(期間:2022年6月1日~6月3日、於:東京ビッグサイト西ホール E002)にて発表。デザイナーのアイディアの詰まったアイテム群「Morph into a cat & kitties」「Life with a bird」「Basket」「Book cover」「necklace」「pierced earring」「Bangle」を2022年8月5日(金)より順次、NUNOUSオンラインショップにて発売いたしました。活用されていない布をアップサイクルNUNOUS(R)[ニューノス]は、活用されていない布を、アップサイクルするプロジェクト。綿、麻、毛、ポリエステルなど様々な繊維が混ざった布に、サトウキビの非可食成分から抽出したバイオポリマーを含侵させる独自の特許製法(※)で、布素材の美しさを引き出しました。柔らかな表面ながら堅牢な「STONE」。丈夫でしなやかな「SKIN」。布らしい質感と、布にはない特性を合わせもつ素材です。社会問題ともなっている、大量に発生する繊維廃材を「美しく見える化」。持続可能な社会に向けて、建築、木工、ファッション、印刷等の様々な分野に、新しい価値を提供します。■コラボレーションデザイナープロフィール<橋田 規子>芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 プロダクトデザイン領域 教授 博士(工学)プロダクトデザイナー/NORIKO HASHIDA DESIGN 主宰/グッドデザイン賞審査委員iF DESIGN AWARD、Red Dot Design Award等、受賞歴多数。<大木 陽平>デザインオフィスnendoを経て、idとして活動した後、2019年にsideを設立。様々なカテゴリーのデザインを手がける。The Design Plus Award、Red Dot Design Award等、受賞歴多数。 (画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2022年08月03日「橋田先生の臨終の場から、その後の葬儀、骨上げにも立ち会って、ずっと泣きっぱなしの私だったけど、最も悲しみを痛感したのは、一周忌から2カ月ほどした今年の6月半ばに、先生の遺骨を持って客船の『飛鳥II』に乗ったとき。もう、船へのタラップを上るところからダメだった。何度も歩いた通路を過ぎて、懐かしい客室にたどり着くまでずっと涙が止まらない。思い返せば、私、一人でこの船に乗ったことがないのよ。いつも橋田先生と一緒だった。それから先生の写真を、思い出の客室に飾って眺めていたら、『ピン子。今日は、揺れそうじゃない?』どこからか、そんな声が聞こえてきそうで。実はあの人、揺れるの大好きだったの。そんな、私だけに見せていた少女みたいな姿を思い出したら、また泣けてきて。それが、“美談の裏側”だって?ふざけるんじゃないわよ。私は何を言われてもいい。でも、生前から『葬儀は簡素に』と言い続けてきた先生の遺志まで汚すのは絶対に許せない」インタビューは、思いがけず、怒りの言葉から始まった。8月4日に主演を務める朗読劇『すぐ死ぬんだから』を控える泉ピン子(74)。ピン子の育ての親であり、代表作でもある『おしん』(NHK)や『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)などで知られる脚本家の橋田壽賀子さんが95歳で天寿を全うしたのが昨年4月4日。女優と脚本家の関係を超え、同じ熱海に住んで「ママ」「ピン子」と呼び合う2人の交流ぶりは、周知のとおり。ところが、この飛鳥乗船前に出た「『泉ピン子』ご乱心『橋田壽賀子の遺骨を海に』美談の裏側」(『週刊新潮』6月23日号)という記事では、橋田さん側の関係者の言葉として、葬儀はけっして簡素ではなかったことや、《そもそもピン子さんは壽賀子さんの遺骨を持っていません。なにをまくつもりなのか。魚の骨でもまくのでしょうか》《世間の注目を集めて、自分を売り込みたいのでしょうか》といった証言が綴られていた。「飛鳥に先生の遺骨を持って乗ったのは、私と先生とのケジメ。恩師であり、数少ない芸能界の味方であった人との決別の思いでした。『ママ、これで悔いないよね』というのと、私自身、いつまでも泣いてるんじゃなくて、前に進まなきゃいけない。だから本来なら、自分の中だけで済ませればよかったものでした。ただ、先生の骨と魚の骨を一緒にしたあの記事はあんまりだと思って、苦慮した末に飛鳥の映像も公開したんです。私が骨を持っていない!?誰が言ってるの。だって葬儀後のお骨上げの場で、私、みんなの前で承諾を得ていただいたんですから。橋田壽賀子で売名!?もう十分売れてるし(笑)、今度の朗読劇の舞台で、それこそ仕事でも終活に入ろうという私が、なんでいまさら名前を売らなきゃいけないのよ。そうそう。お骨上げの場には、TBSの人間もいたから、話を聞くといいわよ」言うや、その場で自身のスマホを取り出し連絡先をタップする。電話越しに『渡る世間は鬼ばかり』のディレクターでもあった荒井光明さんは語り始めた。「まず、橋田先生のお亡くなりになった日にピン子さんから連絡をいただき、先生のご自宅にも伺いましたし、その後の葬儀やお骨上げにも参列いたしました。お骨上げでは、30人弱の方がいらしたでしょうか。ピン子さんが泣きながら、大きな声で『私、先生のお骨をいただきたいんです』と満座の前で言うと、全員がうなずかれるのを確認してから、先生のお骨を少しばかり持っていかれました。その場で、お口に入れたりもされていましたよ」ピン子は言う。「ママの骨を食べたのは、自分の体の一部になってもらいたかった。そしたら、うちの夫が言うのよ。『骨はカルシウムだから、食べても尿になって排出されるだけ』医者って、空気読めないというか、なんだかなぁ(笑)。私、両親とも早くに死に別れてます。でも、やっぱり、橋田先生との別れが親とのときよりきつかったのは、長く仕事を一緒にしてきたからだと、改めて思いました。一人の作家の作品に1千本以上出演ですからね。だから、あの記事は悔しかった。だって、日本中の人が、私とママが北極まで一緒に行ったのを見てるんだから。でも、私がひどく憤っていると、上(天国)から、『ピン子。こんなもんだよ』と、また、あのいつものママの声が聞こえてくるのよ」【中編】泉ピン子語ったえなりかずきの“共演拒否”騒動への思い「悪口を言われても気にしない」へ続く
2022年07月31日俳優の東山紀之が、「第30回橋田賞」で橋田賞を受賞し10日、都内で行われた授賞式に登壇した。脚本家・橋田壽賀子さんが理事を務めていた橋田文化財団が主催し、日本人の心や人と人とのふれあいを温かくとりあげてきた番組と人に贈られる同賞。東山は、テレビ朝日『刑事7人』、『サンデーLIVE!!』などドラマ・MCと長年にわたって幅広く活躍し、橋田作品(TBS『御いのち』『源氏物語』など)の心の中のヒーローとしても活躍してきたとして受賞した。東山は「先生にさまざまな出会いを作っていただきました」と橋田さんに感謝し、「今日お会いできなくて本当に残念です」と心境を吐露した。そして、「『源氏物語』では、正直言いますと、脚本を初めて読んだときにこれはヤバいなと。あまりの長台詞に逃げ出そうと思って旅先まで考えていたんですけど、逃げたら橋田先生、石井ふく子先生、メリーさんにこっぴどく怒られるなと思ってその恐怖に耐えることができずとどまった次第です」と優しい笑顔を見せながら振り返り、「あのときに逃げ出さなかったから今ここに立てている。今後もさまざまなことがあると思いますが、逃げ出さずに頑張っていきたいと思います」と決意を語った。○「第30回橋田賞」受賞一覧■橋田賞大賞該当なし■橋田賞『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK)『日本沈没-希望のひと-』(TBS)橋本裕志(脚本家)東山紀之(俳優)中田喜子(俳優)仲野太賀(俳優)井上貴博(アナウンサー)■橋田賞新人賞杉咲花(俳優)吉沢亮(俳優)
2022年05月10日「『渡鬼』が終わってからも、橋田先生とは毎年、橋田賞のたびにお会いしていました。新型コロナの影響で会えなくなりましたが、『渡鬼』のスタッフさんたちも『先生は元気だから。また会えるよ』ってみんな話していました。先生はいつもパワフルだったので……。『こんなに早く亡くなるとは』というのが本音です」こう語るのは、橋田壽賀子さん(享年95)脚本の大人気ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で、野々下加津を演じた宇野なおみ(32)だ。『渡鬼』は岡倉大吉(第8シリーズまでは藤岡琢也、以降は宇津井健)と節子(山岡久乃)夫婦、そして彼らの愛娘5人を中心にした家族の物語。’90年から’11年までの21年間で10シリーズ、全500話を放映。1シーズンの放送期間は1年という長いスパンにもかかわらず、全話を通した平均視聴率は20.6%を記録した、まさしく国民的ドラマだ。また『渡鬼』はシリーズ終了後もスペシャル版が製作され、現在も『TBSチャンネル』で『スカパー!』や全国のケーブルテレビで過去シリーズが放映中。今なお愛される、ファミリードラマの傑作だ。そんな同シリーズで宇野が演じたのは、実の両親に捨てられ、岡倉家の次女・五月(泉ピン子)と勇(角野卓造)夫婦に引き取られた少女・加津。初登場は第4シリーズの第38話で当時、宇野は若干10歳だった。しかし複雑な役どころを好演し、長台詞をものともしない役者ぶりから“名子役”として広く知られることとなった。宇野の代表作ともいえる『渡鬼』。その生みの親である橋田さんが亡くなったのは、昨年4月4日のこと。一周忌を前に、宇野はありし日の橋田さんについてこう語る。「もともと加津は、1シーズンのみの出演だったそうです。でも、橋田先生が『面白い役!』と思ってくださって、次からも使ってくださることになったと聞いています。当時は子供でしたから、『日に日に台本のセリフが長くなっていくなぁ』と思っていましたけど(笑)。私が小さい頃、先生は『加津は私の分身』と何度もおっしゃっていました。大人になってからも、手紙や年賀状をお送りしたり……。先生が亡くなったことで、改めて『自分は恵まれていたんだな』と思いますね」■名子役から物書きに転身!キッカケは橋田さん宇野が子役デビューを果たしたのは6歳の頃。デビューしてすぐの舞台『放浪記』で、森光子さん(享年92)との共演を経験している。さらに『渡鬼』では前述の俳優陣だけでなく、赤木春恵さん(享年94)や池内淳子さん(享年76)といった大御所女優たちとも共演することに。“名子役・宇野なおみ”は、多くの名優たちに囲まれて育った。そんな宇野だが、現在は役者業を一旦休止。そして、ライター業を軸にして生計を立てているのだ。しかも扱う内容は、芝居に伝統文化にスポーツにと実に様々。“名子役から物書きに”とは意外に思えるが、実はこの転身、橋田さんの言葉がきっかけだという。「13歳の頃、先生がふと『あなたはいつか書くわよ』とおっしゃったんです。昔から読書が好きで、感想文や物語を書くことも大好きでした。でも、書いたものを人に見せたことはありませんでした。だから当時、とても驚いてしまって。それ以降、先生の言葉がずっと胸の中に残っていたんです」芝居が好きな気持ちは変わらないという宇野。いっぽうで、こう明かす。「でも今は、書くことを通じて芝居を紹介することが楽しくて。“芸能界引退”というのも、少し違うんですね。『渡鬼』のモバイルサイトで1年間連載していましたし、『渡鬼』時代からブログも書いています。私の中では役者業もライター業も“地続き”というイメージです」■物書き仕事と役者業の“意外な共通点”また宇野は早稲田大学を卒業したのち、バンクーバーでの留学を経験。英語能力テスト『TOEIC』では990点満点中910点と、実力は折り紙付き。その英語力を活かして、通訳や翻訳の仕事も行っているという。「コロナ禍の前は、テレビの現場で通訳をしていましたよ(笑)。来日した海外の方に突撃取材するような番組ですね。こういった仕事は英語力ももちろん必要ですが、忍耐力が何よりも肝心。撮れ高が良くないと、ディレクターさんが『帰れない!』っていいますしね。いわば半分ADさん(笑)。でもテレビのことがよくわかっていないと、できない仕事です。役者時代のことも活かされていると思います」仕事の多くは、自ら掴んできたものだという。「ライターや通訳を仕事に選んだものの、軌道に乗せる方法がわかりませんでした。ですから、企画書を作って自分から売り込んだり。慣れないうちは派遣に登録したり。大変ではありますが、一から自分で道を切り拓くのはやっぱり面白い。それに、“自分の歪な部分とバランスが取れる”といいますか……」“歪な部分”というのは?「子役という仕事を通して、幼い頃から、人生の修羅場を潜り抜けてきた人たちばかり見てきたんですよね(笑)。すでに老成した方々と接して、みなさんの経験談を聞くにつれ、なるべく失敗を避けるようになりました。すると、大人になってから『頭でっかちだな自分』と気づいて。ですから、今は仕事を通して『色々試してみよう』という気持ち。近々、YouTubeにも挑戦しようと思っています」また、宇野は「役者と物書き仕事には共通点がある」と明かす。「ライター業を始めてから、橋渡し役が好きだと気づきました。サッカーでいうとキーパーではなく、パスをする人です。ライターは自分が素敵だと思うものを『ほら面白いでしょ!』と紹介する仕事。いっぽう、役者も台本を読んで『こういう世界があるよ!』と伝える仕事ですから」■橋田さんに憧れて…“脚本を書く”という夢を抱くことに現在の仕事について「やりがいもあるし、順調です。趣味も勉強も楽しめていて、充実しています」と笑顔で語る宇野。そこで「芝居はもうしないんですか?」と尋ねると、「うーん」と少し考え込んだのち、静かに口を開いた。「実は私には一つ、夢があるんですね。それは脚本を書くということです。やっぱり橋田先生は憧れの人。私の人生は、先生からの影響を強く受けています。もちろん先生のような、歴史に残る作品を書けるという自信があるわけではないのですが……」宇野は「自分を育てたのは、やっぱり芝居の世界なんです」といい、こう続ける「その芝居の世界に恩返しがしたい。そう考えたとき、ふと『日本の芝居文化を応援できたら』と思いました。ライターとして芝居を紹介するのも、応援手段の一つ。それにプラスして、『脚本が書けたらいいな』と今は思っています。本当は先生の生前に、自分の書いたシナリオをお見せしたかったんです。でも、間に合いませんでした。ですから今は、シナリオを先生の墓前にたむけることを目標にしています」■理想の女性像は橋田さんと加津宇野には、目標がもう一つある。それは「加津を演じた女性として、恥ずかしくない生き方をする」ということだ。「子供の頃から、加津ちゃんはずっと目標でした。彼女は複雑な境遇にあっても、たくましく生きていました。もちろん弱さもある。でも、とっても優秀な女の子なんですね。物事がうまく進まないこともあったけど、全部それを糧にして突き進んで。やっぱり、かっこいいですよね」宇野は子役だったこともあり、「周囲との違いに焦りを感じたこともありました」と明かす。しかし、こう語る。「でも冷静に考えれば22歳になるまでずっと芝居をしてきましたし、違っていて当たり前。それに橋田先生は90歳になってもバリバリ現役でしたから。私なんてまだ人生の3分の1、だから次の3分の2を頑張ります(笑)。仕事でいい結果が出なくても、納得のいく脚本ができなくても、その道筋を楽しめたらいいなと思っています。だって、加津ちゃんがそういう女性でしたからね」憧れは、橋田さんと加津。2人の“理想の女性”を胸に、宇野は描いた夢へと歩き続けるーー。
2022年04月03日2022年のアカデミー賞作品賞のほか、助演男優賞、脚色賞の計3部門を受賞した『コーダ あいのうた』。今年初めに行った、シアン・ヘダー監督の単独インタビューをお届けします(2022年1月20日配信記事)。『コーダ あいのうた』【映画、ときどき私】 vol. 448豊かな自然に恵まれた海の町で、耳の不自由な両親と兄と暮らす高校生のルビー。4人家族のなかで唯一耳が聞こえるルビーは、家族のために幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期に入り、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択。ルビーに歌の才能があることに気がついた顧問の先生から、都会の名門音楽大学への受験を強く勧められる。ところが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じることができず、家業のほうが大事だと大反対。家族を選ぶ決断をした娘に対し、父は意外なある行動を取ることに……。2014年に製作され、大ヒットとなったフランス映画『エール!』をリメイクした本作。昨年開催されたサンダンス映画祭では史上最多受賞に加え、映画祭史上最高額となる約26億円で配給権が落札されたことでも大きな話題となりました。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。シアン・ヘダー監督本作の脚本と監督を務め、その実力が高く評価されているヘダー監督。今回は、取材を重ねるうえで得た気づきや手話から学んだこと、ろう者と作り上げた現場で感銘を受けた出来事などについて、語っていただきました。―最初は、脚本家として本作の依頼を受けたそうですが、監督も手掛けることになったいきさつから教えてください。監督私はもともと監督も脚本も手掛けるフィルムメイカーなので、脚本家として雇われた当初から監督もしたいという思いはありました。製作陣としては、私がどんな脚本を出すかで監督も任せるか検討しようと考えていたようですが。その後、脚本の出来に満足していただけたので、監督も任せてもらえることになりました。―この作品に惹かれた理由はどんなところですか?監督オリジナルの作品を観たとき、物語をより深く掘り下げるポテンシャルがすごくある作品だなと感じました。たとえば、家族の描かれ方やそれぞれのキャラクターをより立体的に描けると思ったんです。特にこの家族というのは、聴者とろう者の両方に属しているようで、両方ともに属していないような存在なので、そんな彼らの道のりをしっかりと見せたいと考えました。取材を通して、いろいろな発見があった―タイトルのコーダ(CODA)とは「Children of Deaf Adults」のことで、⽿の聴こえない両親に育てられた⼦どものことを指していますが、今回は実際にコーダと呼ばれる子どもたちにも取材を行ったそうですね。彼らと出会ったことで脚本に影響を与えた部分もあったのではないでしょうか。監督すごくいい質問なので、この話ができるのはうれしいです。脚本を書き始めたころ、まずはSNSや友人を通じてコーダの経験がある人たちを探したんですが、話を聞いていくと、人によってまったく違う経験もあれば、共通点もあり、いろいろな発見がありました。そのなかでも、興味深かったのは、大人同士の会話の通訳をしなければいけなかったので、まだ心の準備ができてない年齢からかなり大人な話題に触れなければいけないということ。彼らは早く大人になることを求められてしまうんですよね。ときには「どうして自分だけこんなに頼られなければいけないんだ」とコーダであることを重荷に思うこともあるそうですが、同時に「自分は家族にとってすごく重要な人間なんだ」という誇りも持っていると感じました。そういった彼らの心にある矛盾はおもしろいと思ったので、キャラクターにも反映させています。劇中でも描いているように、性的な話を何でもはっきり言ってしまう親がいる人や家のなかの音がうるさくて大変だったという人など、リサーチのなかでは笑える話もたくさん聞かせてもらいました。手話は人と人をつなげてくれる言語だと感じた―劇中では手話の持つ表現力の美しさも感じましたが、監督ご自身も手話を習得されたとか。実際に体験してみていかがでしたか?監督手話で話すときは、中身のない話をする余地がないように感じました。というのも、いまそこで起きている真実だけを話し、それを心から信じて伝えるので、社交辞令や沈黙が怖いから意味のないことを口にする、みたいなことがない言語というのが私の受けた印象です。あと、手話ではスマホを見ながら話したりできないので、人の目を見ながらでないと話せないという意味でも人と人とをつなげてくれる言語なのではないかなと。100%相手と向き合うこと、しっかりと考えてから自分の思いを伝えること、言葉の選択など、いろいろなことを手話から学びました。―なるほど。本作は超高額で配給権の争奪戦が行われたり、各賞レースでも有力候補として注目を集めたりしていますが、いまの状況をどう受け止めていますか?監督とにかくワクワクして興奮しています!今回の作品を通して、現場の作り方やコミュニケーションの取り方も変わりましたし、聴者とろう者が一緒になって作品づくりをする過程もとても誇らしく思っていたので。実は映画が完成した時点で、「私は人生で最高の経験をしてしまった」と感じていたので、そこがピークだと思っていたんです。なので、そのあとに起きたことは予想もしていなかったことばかりで、本当に奇跡のような出来事。こんなふうに評価をされ、作品がさらに成長していくとは思っていなかったので、いまはただ喜びでいっぱいです。うれしかったは、ろう者の俳優たちが評価されたこと―出演者のみなさんも、同じお気持ちだと思います。監督あとは、自分の作品に出てくれた俳優たちが称賛を受けているというのが、何よりもうれしいです。母親を演じたマーリー・マトリンは、オスカーの受賞経験がありながらいままであまり多くの機会が与えられていませんでしたし、父親役のトロイ・コッツァーと兄役のダニエル・デュラントもあまり知られていない俳優でしたから。いろいろな賞にノミネートされていて、感動しました。いままで苦労してがんばってきた彼らがこの作品で報われてよかったです。―本当に、素晴らしい演技でした。耳の聞こえない人の役は聴覚に障がいのある人に演じてほしいというのが、監督の当初からのこだわりだったとうかがっています。実際に彼らと現場をともにして、気づかされることもあったのでは?監督最初は、現場に手話の通訳を入れて彼らと話をする計画でしたが、初日の撮影をした際、彼らが私ではなくて通訳さんのほうしか見ていないことに気がつき、うまくつながれていないように感じてしまったんです。そこで、できれば通訳を介さずに進めたいと彼らに相談をしました。当時は私の手話もまだ流暢ではなかったので、表情や目を使ったり、お互いの体を触れ合わせたり、照明で合図をしたり、いろいろな形でコミュニケーションを取ることに。撮影を進めながらやり方を探していくような感じでしたが、それはとても親密なプロセスとなりました。彼らとは手話や言葉を使わなくても理解できるほどになったので、さまざまな発見とともに楽しい現場でしたね。自分が思うほど、他人との違いは大きくない―まもなく公開を迎える日本には、どのような印象をお持ちですか?監督実は日本にはまだ行ったことがないんですが、すごく行きたい場所のひとつではあります。日本の文化や食事が大好きなので、ぜひ日本を訪れてさまざまな経験をしたいです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督この映画では、ある家族を中心に描いているものの、普遍的な物語になっているので、ろう者でも聴者でも、誰でも共感していただける作品になっていると思います。あとは、この作品がきっかけで、ろう者の方々とコミュニケーションを取ってみたいと手話の勉強を始めていただく方が増えたらうれしいですね。いまの時代は自分と違うものに対する恐怖心が大きくなっており、他者とつながれないと感じている人も多いと思うので、この映画を通してそういった“バリア”を少しでも壊せたらいいなと。誰もが同じ人間で、同じような葛藤や家族の問題を抱えているものなので、自分が考えているほど他人との違いは大きなものではないというのも知ってほしいと思っています。家族の愛に、胸も目頭も熱くなる!理想と現実という名の“荒波”にもまれながらも、夢が広がる大海原へと飛び込む少女から勇気をもらえる本作。そして、家族がお互いを想う涙あり笑いありの愛には、誰もが魅了されてしまうはず。耳も心も虜にする美しい歌声とともに、爽やかな感動に包まれてみては?取材、文・志村昌美心が震える予告編はこちら!作品情報『コーダ あいのうた』1月21日(⾦)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー※バリアフリー字幕版も上映決定(詳細はHPの劇場情報欄にて)配給:ギャガ© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年03月28日プロデューサー組合賞(PGA)が発表された。劇場用映画賞を受賞したのは、『コーダ あいのうた』。オスカーの作品賞と同じ投票方式を採用し、投票者のかぶりも多いPGAは、オスカー予測で非常に重視される。ひと足先に『コーダ〜』は俳優組合賞(SAG)も受賞しており、フロントランナーである『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を深刻に脅かすことになった。ドキュメンタリー映画賞は、『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった日)』。劇場用アニメーション賞は『ミラベルと魔法だらけの家』。テレビドラマ賞は『メディア王〜華麗なる一族〜』、コメディシリーズ賞は『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』、ミニシリーズ賞は『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人じ事件の真実』だった。文=猿渡由紀
2022年03月22日監督組合賞(DGA)が発表された。劇場用長編映画賞を受賞したのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン。この受賞で、カンピオンのオスカー監督賞受賞は、より確かなものになった。1949年から昨年までの間に、DGAの結果とオスカー監督部門の結果が一致しなかったことは7回しかない。劇場用映画初監督賞の受賞者は、『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホール。ドラマシリーズ部門は『メディア王〜華麗なる一族〜』のマーク・マイロード、コメディシリーズ部門は『Hacks』のルチア・アニエロ」、テレビ用映画またはミニシリーズ部門は『地下鉄道〜自由への旅路〜』のバリー・ジェンキンスが受賞した。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』Netflixで配信中文=猿渡由紀
2022年03月14日「第45回日本アカデミー賞授賞式」が3月11日(金)に開催され、『ドライブ・マイ・カー』が最優秀作品賞を受賞した。8部門において優秀賞を受賞している『ドライブ・マイ・カー』だが、作品賞以外にも監督賞、主演男優賞などすべてにおいて最優秀賞に輝き、圧倒的な強さを見せつけた。『ドライブ・マイ・カー』は、『寝ても覚めても』の濱口竜介監督が、村上春樹の同名短編小説を原作に、自ら脚本も手掛けた意欲作。愛妻を亡くした舞台演出家・家福(西島秀俊)が喪失感と向き合い、再生へのきっかけをつかむまでを戯曲もシンクロさせつつ描き、観る者の心を揺さぶった。本作は第74回カンヌ国際映画祭で4つの賞を受賞したのを皮切りに、世界の名だたる映画賞を席巻、第94回米アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞ほか、4部門でノミネートとなる快挙を達成している。檀上に西島さんと共に立った濱口監督は、ブロンズ像を手にし、「ありがとうございます。関わったキャスト、スタッフの皆さんのおかげで獲れた賞です」と挨拶。その前に受賞した最優秀監督賞のスピーチで、濱口監督はこれまでの自身の作品や思いについて触れながら、「1日1日の仕事が未来を作っていくと思います。間違えることもあるかもしれないけど、引き返して、今いるところから進んでいくしかないと思います。少しでもいい社会やいい世界に…と言うと大げさですけど、この場所からしか始まらないと思います。映画界の今の仲間、未来の仲間と一緒に映画を作っていけたらうれしいです」と心を込めた。最優秀主演男優賞を受賞した西島さんも、「本当にありがとうございます。世界で見ていただいているのも、世界の大きな波みたいなものかなと思っています。平和が訪れるように、人々が心の絆を取り戻せるように、心から祈っています。この作品が希望の光になる、そのために必要なものが何か耳を傾ける、そのことを伝えているのかなと思っています。濱口監督の言う通り、自分のやれることを今後も精一杯やっていきたいと思います」とスピーチした。そのほか、最優秀アニメーション作品賞は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が受賞。ブロンズ像を受け取った東映の紀伊宗之は、「皆さんが長い時間と心血を注いで作ったものです。2度延期になりましたが、東宝さんと一緒に配給の仕事をして、本当にほっとしたというのが感想です。カラーの皆さんも喜んでいると思います。持って帰ってお伝えしようと思います」とやわらかい表情で話していた。(cinamacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月11日27日(現地時間)、第28回全米映画俳優組合賞授賞式(以下、SAGアワード)が行われた。アカデミー賞の行方を占う賞として重要視されている同賞で、最高賞の位置付けにあるキャスト賞には『コーダ あいのうた』が選ばれた。ほかの候補作品は『ベルファスト』『ドント・ルック・アップ』『ドリームプラン』『ハウス・オブ・グッチ』だった。テレビ部門では、昨年Netflixで大ヒットし、最高賞にあたるアンサンブル賞(作品賞)、ドラマシリーズ男優賞、同女優賞、スタント・アンサンブル賞の計4部門にノミネートされた「イカゲーム」が作品賞を除く3部門を受賞した。※第28回全米映画俳優組合賞の受賞結果は以下の通り【映画部門】■キャスト賞『コーダ あいのうた』■主演女優賞ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』■主演男優賞ウィル・スミス『ドリームプラン』■助演女優賞アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』■助演男優賞トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』■スタント・アンサンブル賞『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』【テレビ部門】■ドラマシリーズ作品賞「キング・オブ・メディア」(別タイトル:サクセッション)■ドラマシリーズ女優賞チョン・ホヨン「イカゲーム」■ドラマシリーズ男優賞イ・ジョンジェ「イカゲーム」■コメディシリーズ作品賞「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」■コメディシリーズ女優賞ジーン・スマート「Hacks」■コメディシリーズ男優賞ジェイソン・サダイキス「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」■テレビ映画・リミテッドシリーズ女優賞ケイト・ウィンスレット「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」■テレビ映画・リミテッドシリーズ男優賞マイケル・キートン「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」■スタント・アンサンブル賞(コメディ&ドラマシリーズ)「イカゲーム」■生涯功労賞ヘレン・ミレン(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-コーダ あいのうた 2022年1月、全国にて公開© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年02月28日「日本アカデミー賞」において、唯一、一般の映画ファンが投票に参加できる「日本アカデミー賞 話題賞」の投票が2月4日に締め切られ、最終結果が「ナインティナインのオールナイトニッポン」内で発表された。45回目の開催を迎える「日本アカデミー賞」。この話題賞は、1980年の第3回日本アカデミー賞から創設され、「オールナイトニッポン」リスナーの投票を元に、今年、最も話題を集めたと思われる作品と俳優を決定する。今回の日本アカデミー賞 話題賞は、作品部門で庵野秀明総監督作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。俳優部門では、『花束みたいな恋をした』で熱演を見せた菅田将暉が選ばれた。ニッポン放送では、受賞者のスペシャルインタビューも交え、今年も日本アカデミー賞授賞式の模様を「オールナイトニッポン0(ZERO)~第45回日本アカデミー賞スペシャル~」とし2時間に渡って放送する。ニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)~第45回日本アカデミー賞スペシャル~」は3月11日(金)27時~全国ネットで放送。(cinemacafe.net)■関連作品:シン・エヴァンゲリオン劇場版 2021年公開予定花束みたいな恋をした 2021年1月29日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©️2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
2022年02月25日映画『わたしは最悪。』が、2022年7月1日(金)より公開される。カンヌ国際映画祭<女優賞>受賞、第94回アカデミー賞【脚本賞】【国際長編映画賞】ノミネート作品。ヨアキム・トリアー監督のアカデミー賞ノミネート作品映画『わたしは最悪。』は、『⺟の残像』『テルマ』で話題を呼んだ北欧を代表するヨアキム・トリアー監督の最新作。“異彩を放つ”ラブストーリーとして世界の賞レースを席巻しており、カンヌ国際映画祭では主演のレナーテ・レインスヴェが<女優賞>を受賞。第94回アカデミー賞では【脚本賞】【国際長編映画賞】にノミネートされている。“異彩を放つ”ラブストーリー映画『わたしは最悪。』は、理想と現実の間で揺れ動きながら、自分の気持ちに向き合い行動する主人公ユリヤと、その周りの人たちを、時にロマンティックに、時に痛烈に描き出すというストーリー。海外メディアは、「これは新しい!恋愛ドラマに⻘春モノを掛け合わせて、こんなにも⽢美で魅惑的なものができるとは」「⼤爆笑と悲痛が同居するヨアキム・トリアー監督のベスト作品」などと評している。<映画『わたしは最悪。』あらすじ>ユリヤは30歳という節目を迎えたが、人生はどうにも方向性が定まらない。学⽣時代は成績優秀で、アートの才能や⽂才もあるのに「これしかない!」という決定的な道が⾒つからず、いくつもの才能を無駄にしてきた。いまだ⼈⽣の脇役のような気分のユリヤは、グラフィックノベル作家として成功した年上の恋⼈アクセルからしきりに妻や⺟といったポジションをすすめられる。ある夜、彼女は招待されていないパーティに紛れ込み、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。ほどなくしてアクセルと別れて新しい恋愛に身を投じ、今度こそ人生の新たな展望を見出そうとするが――。新星レナーテ・レインスヴェがカンヌ国際映画祭<女優賞>受賞■主人公・ユリヤ...レナーテ・レインスヴェ30歳という節目を迎えたが、人生の方向性が定まらない主人公。時に自己嫌悪に陥り、周りを傷つけながらも、自分の気持ちに正直に人生の選択をしていく。主演を務めるのはノルウェーの新星レナーテ・レインスヴェ。奔放でありながら、その年代特有の心の機微を大胆かつ繊細な表現力で演じ切り、カンヌ国際映画祭<女優賞>をはじめ、各国の賞レースで高い評価を得ている。監督のヨアキム・トリアーも、「この映画を作るきっかけは、レナーテだった。彼女の舞台での演技に魅了され、主演を務めたことのなかった彼女のために脚本を書いた。主人公のキャラクター造形、複雑な心境を作っていくうえで、彼女に助けられたことが沢山ある。人間ドラマ、コメディなどたくみに演じられる素晴らしい才能を持っている、今一番の女優だと思う」とレナーテ・レインスヴェの演技を絶賛した。■アクセル…アンデルシュ・ダニエルセン・リーユリヤの年上の恋人で、グラフィックノベル作家として成功。ユリヤに妻や母として生きることを勧め、身を固めたがっている。演じるのは、『パーソナル・ショッパー』『ベルイマン島にて』のアンデルシュ・ダニエルセン・リー。■アイヴィン…ヘルベルト・ノルドルムパーティでユリヤと出会う若い青年。主にコメディ作品で⾼い⼈気を誇る、ノルウェーの俳優ヘルベルト・ノルドルムが演じる。【詳細】映画『わたしは最悪。』公開日:2022年7月1日(金)監督:ヨアキム・トリアー脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム原題:The Worst Person In The World2021/ノルウェー、フランス、スウェーデン、デンマーク/R15+
2022年02月17日スペインのアカデミー賞と称される、ゴヤ賞を主催するスペイン映画芸術科学アカデミーは、ゴヤ賞において「International Goya Award」(国際ゴヤ賞)を創設したことを発表。初の受賞者にケイト・ブランシェットを選出したことを明らかにした。「国際ゴヤ賞」は、「異なる文化や人々を結び付け、媒介者として映画に貢献してきたアーティストを称えるための賞」だという。ケイトは「映画界において並外れた人物」であり、「私たちの記憶に残る、忘れられない役を演じてきた」ことが評価されたという。インターネットでは「ケイトにふさわしい賞!彼女は史上最高の俳優の一人」「本当にすごい俳優。どの映画を観ても異なる英語を話すから、どこの出身か知らなかったけれど、オーストラリア人なんだね」と受賞に「納得」という声が寄せられている。ケイトは、俳優業では、米アカデミー賞を2度受賞し、ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞は3度受賞。その他の賞の受賞歴は数知れず。近年はプロデューサーとしても手腕を発揮している。母国オーストラリアで権威のあるシドニー・シアター・カンパニーの舞台監督を務めたこともあった。本業以外には、環境問題や人道支援にも取り組んできた。国際ゴヤ賞は2月12日に開催される第36回ゴヤ賞授賞式にて、ケイトに授与される。(Hiromi Kaku)
2022年02月07日英国アカデミー賞(BAFTA賞)のノミネーションが発表された。『DUNE/デューン 砂の惑星』が作品賞を含む11ノミネーションでトップ。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が8ノミネート、『ベルファスト』が6ノミネートと続く。今年度の映画祭や賞レースで注目を集めている日本の『ドライブ・マイ・カー』は、非英語映画賞のみならず、監督賞の候補にも選ばれた。英国アカデミー賞授賞式は3月13日(現地時間)に行われる。主な候補作品・候補者は以下の通り。作品賞『ベルファスト』『ドント・ルック・アップ』『DUNE/デューン 砂の惑星』『リコリス・ピザ』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督賞ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』アリーム・カーン『アフター・ラヴ』濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』オドレイ・ディワン『Happening』(英題)ジュリア・デュクルノー『Titane』非英語映画賞『ドライブ・マイ・カー』(日本)『Hand of God -神の手が触れた日-』(イタリア)『Parallel Mothers』(スペイン)『Petite Maman』(フランス)『The Worst Person In The World』(ノルウェイ、フランス、デンマーク、スウェーデン)脚本賞『愛すべき夫妻の秘密』アーロン・ソーキン『ベルファスト』ケネス・ブラナー『ドント・ルック・アップ』アダム・マッケイ『ドリームプラン』ザック・ベイリン『リコリス・ピザ』ポール・トーマス・アンダーソン主演女優賞レディー・ガガ 『ハウス・オブ・グッチ』アラナ・ハイム『リコリス・ピザ』エミリア・ジョーンズ『コーダ あいのうた』レナーテ・レインスヴェ『The Worst Person In The World』(英題)ジョアンナ・スキャンラン『アフター・ラヴ』テッサ・トンプソン『PASSING -白い黒人-』主演男優賞マハーシャラ・アリ 『スワン・ソング』ベネディクト・カンバーバッチ 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ウィル・スミス 『ドリームプラン』レオナルド・ディカプリオ『ドント・ルック・アップ』アディール・アクタル『Ali & Ava』スティーヴン・グレアム『Boiling Point』助演女優賞カトリーナ・バルフ 『ベルファスト』アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』アーンジャニュー・エリス 『ドリームプラン』ルース・ネッガ 『PASSING -白い黒人-』ジェシー・バックリー『ロスト・ドーター』アン・ダウド『Mass』助演男優賞ウディ・ノーマン『カモン カモン』マイク・ファイスト『ウエスト・サイド・ストーリー』キアラン・ハインズ『ベルファスト』トロイ・コッツァー『Coda コーダ あいのうた』ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドッグ』コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(Hiromi Kaku)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年02月04日羽鳥慎一&長澤まさみが司会を務める「第45回日本アカデミー賞」の授賞式が3月11日(金)に実施される。この度、これに先立ち、各賞の優秀賞が発表された。2021年1月1日から12月31日までに公開され、選考基準を満たした作品を対象とした今回。数ある作品の中から今回<優秀作品賞>に選ばれたのは、海外でも話題となった『ドライブ・マイ・カー』をはじめ、中山七里の傑作小説を実力派キャストが集結し映画化した『護られなかった者たちへ』。そして、『すばらしき世界』、『孤狼の血 LEVEL2』、『キネマの神様』の5作品。『ドライブ・マイ・カー』また<優秀主演男優・女優賞>には、『護られなかった者たちへ』の佐藤健や、『花束みたいな恋をした』の有村架純をはじめ、菅田将暉、西島秀俊、松坂桃李、役所広司、天海祐希、永野芽郁、松岡茉優、吉永小百合。『護られなかった者たちへ』<優秀助演男優・女優賞>には、阿部寛、鈴木亮平、堤真一、仲野太賀、村上虹郎、石原さとみ、清原果耶、草笛光子、西野七瀬、広瀬すず。<新人俳優賞>には、『東京リベンジャーズ』の今田美桜、『孤狼の血 LEVEL2』の西野七瀬のほか、三浦透子、吉川愛、磯村勇斗、尾上右近、宮沢氷魚、Fukaseが受賞。なお、<優秀アニメーション作品賞>には、『劇場版 呪術廻戦 0』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『竜とそばかすの姫』ほか。<優秀監督賞>には白石和彌(『孤狼の血 LEVEL2』)、瀬々敬久(『護られなかった者たちへ』)、濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』)ら。<優秀外国作品賞>には、『ノマドランド』、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』などが選ばれた。記者発表に出席した、前回の最優秀主演女優賞受賞者で、今回の授賞式の司会を務める長澤さんは、「司会は今まで一度も経験が無いものですから、どういう風になるのか私自身も分からないところがありますが」と言い、「日本アカデミー賞が楽しいものだと思っていただけるように、司会を頑張ってやりたいなと思います」と意気込んでいる。「第45回日本アカデミー賞」授賞式は3月11日(金)実施。▼第45回日本アカデミー賞主な優秀賞ほか受賞者・作品■優秀作品賞・キネマの神様・孤狼の血 LEVEL2・すばらしき世界・ドライブ・マイ・カー・護られなかった者たちへ■優秀アニメーション作品賞・アイの歌声を聴かせて・漁港の肉子ちゃん・劇場版 呪術廻戦 0・シン・エヴァンゲリオン劇場版・竜とそばかすの姫■優秀主演男優賞・佐藤健・菅田将暉・西島秀俊・松坂桃李・役所広司■優秀主演女優賞・天海祐希・有村架純・永野芽郁・松岡茉優・吉永小百合■新人俳優賞・今田美桜・西野七瀬・三浦透子・吉川愛・磯村勇斗・尾上右近・宮沢氷魚・Fukase(cinemacafe.net)■関連作品:すばらしき世界 2021年2月11日より全国にて公開©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会キネマの神様 2021年8月6日より全国にて公開©︎2021「キネマの神様」製作委員会護られなかった者たちへ 2021年10月1日より全国にて公開©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会孤狼の血 LEVEL2 2021年8月20日より全国にて公開©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
2022年01月18日第45回日本アカデミー賞は1月18日、正賞15部門各優秀賞および新人俳優賞・正賞外賞を発表した。白石和彌監督の『孤狼の血 LEVEL2』が優秀作品賞をはじめ、優秀監督賞、優秀主演男優賞など最多12部門13賞を受賞。佐藤健が主演した『護られなかった者たちへ』も12部門で優秀賞に輝いた。授賞式は3月11日にグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われ、各部門の最優秀賞が発表される。さまざまな困難を乗り越え、完成にこぎつけた山田洋次監督の『キネマの神様』、現在国際映画祭で快進撃を続ける濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』がそれぞれ8部門で優秀賞。西川美和監督の『すばらしき世界』が7部門で続くほか、クチコミで興収30億円突破のヒットを記録した『花束みたいな恋をした』が優秀主演男優賞(菅田将暉)、優秀主優秀主演女優賞(有村架純)を受賞している。発表の席には、2020年から3年連続で授賞式の総合司会を務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一、昨年『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞を受賞し、初めての司会に挑む長澤まさみが出席した。初の“大役”に長澤は、過去の出席経験を振り返り「いつも緊張しているうちに終わっている。皆さんのスピーチを聞いて、勉強になることがたくさんあるなという実感がありますが、楽しむまでは到達できていない」。その上で「授賞式に参加なさる皆さんに、アカデミー賞が楽しいものだと思ってもらえるように和やかに務めたい。よい質問ができるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。また、自身が出演した『すばらしき世界』にも触れ「主演男優賞の役所広司さん、助演男優賞の仲野太賀さんに最優秀賞を受賞してもらいたいなという気持ちもあります」と共演陣にエールを送る場面も。そんな長澤に、羽鳥は「何の問題もないと思いますし、準備もいらないですね」と早くも信頼を寄せていた。第45回日本アカデミー賞は、東京地区の映画館休業・時短営業などを考慮し、以下の期間に公開初日を迎えた作品について今回に限り特別措置を実施。2021年4月16日~5月31日に公開された作品は東京地区に限らず2週間以上(1日の回数や同一劇場を問わず)上映された作品、6月1日~9月31日に公開された作品は東京地区の同一劇場で1日3回1週間上映し、2週間以上連続して上映された作品がそれぞれ対象となる。取材・文・写真=内田涼■優秀作品賞『キネマの神様』『孤狼の血 LEVEL2』『すばらしき世界』『ドライブ・マイ・カー』『護られなかった者たちへ』■優秀アニメーション作品賞『アイの歌声を聴かせて』『漁港の肉子ちゃん』『劇場版 呪術廻戦 0』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『竜とそばかすの姫』■優秀監督賞白石和彌『孤狼の血 LEVEL2』瀬々敬久『護られなかった者たちへ』西川美和『すばらしき世界』成島出『いのちの停車場』濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』■優秀脚本賞池上純哉『孤狼の血 LEVEL2』西川美和『すばらしき世界』濱口竜介/大江崇允『ドライブ・マイ・カー』林民夫/瀬々敬久『護られなかった者たちへ』山田洋次/朝原雄三『キネマの神様』■優秀主演男優賞佐藤健『護られなかった者たちへ』菅田将暉『花束みたいな恋をした』西島秀俊『ドライブ・マイ・カー』松坂桃李『孤狼の血 LEVEL2』役所広司『すばらしき世界』■優秀主演女優賞天海祐希『老後の資金がありません!』有村架純『花束みたいな恋をした』永野芽郁『そして、バトンは渡された』松岡茉優『騙し絵の牙』吉永小百合『いのちの停車場』■優秀助演男優賞阿部寛『護られなかった者たちへ』鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL2』堤真一『ザ・ファブル殺さない殺し屋』仲野太賀『すばらしき世界』村上虹郎『孤狼の血 LEVEL2』■優秀助演女優賞石原さとみ『そして、バトンは渡された』清原果耶『護られなかった者たちへ』草笛光子『老後の資金がありません!』西野七瀬『孤狼の血 LEVEL2』広瀬すず『いのちの停車場』■優秀外国作品賞『テーラー人生の仕立て屋』『ノマドランド』『ミナリ』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『DUNE/デューン 砂の惑星』■新人俳優賞今田美桜『東京リベンジャーズ』西野七瀬『孤狼の血 LEVEL2』三浦透子『ドライブ・マイ・カー』吉川愛『ハニーレモンソーダ』磯村勇斗『ヤクザと家族 The Family』/劇場版『きのう何食べた?』尾上右近『燃えよ剣』宮沢氷魚『騙し絵の牙』Fukase『キャラクター』
2022年01月18日アフリカ系アメリカ人映画批評家協会賞が発表された。作品賞に輝いたのは『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』。今作ではさらにジェイムズ・サミュエルが監督賞を受賞。アンサンブル賞、音楽賞も抑えた。主演男優賞は『ドリームプラン』のウィル・スミス、主演女優賞は『リスペクト』のジェニファー・ハドソン。助演男優賞は『マクベス』のコーリー・ホーキンズ、助演女優賞は『ドリームプラン』のサナイヤ・シドニー。脚本賞は『ドント・ルック・アップ』、ドキュメンタリー賞は『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』だった。文=猿渡由紀
2022年01月18日韓国ドラマ「イカゲーム」が、1月13日(現地時間1月12日)に発表された第28回全米映画俳優組合賞(SAG賞)にてテレビ部門の最高賞にあたるアンサンブル賞をはじめ、イ・ジョンジェのドラマシリーズ男優賞、チョン・ホヨンの同女優賞、スタント・アンサンブル賞の計4部門にノミネートされた。ハリウッドで活躍する映画・テレビ俳優たちの投票によって選ばれるSAG賞。「イカゲーム」は今回、非英語のドラマとして初めて、韓国ドラマとしても初ノミネートの快挙となった。先日発表された第79回ゴールデン・グローブ賞では3部門にノミネートされ、助演男優賞をオ・ヨンスが受賞したばかりだ。主演女優賞に初ノミネートされたチョン・ホヨンは自身のInstagramにて英語で、SAG組合員への感謝を語り「最高のアンサンブル」の候補に選ばれた喜びを明かすと共に、「ノミネートされるとは思いも寄りませんでしたが、私の写真がジェニファー・アニストン、リース・ウィザースプーン、エリザベス・モス、サラ・スヌークと並んでいるなんて本当に嬉しい」と感激のコメント。一昨年の第26回SAG賞では『パラサイト 半地下の家族』が映画部門キャスト賞、昨年の第27回では『ミナリ』のユン・ヨジョンが同助演女優賞に選ばれており、今回はテレビ部門でも受賞となるのか期待と注目を集めている。授賞式は現地時間2月27日、ロサンゼルスにて開催される予定。※第28回全米映画俳優組合賞ノミネートは以下の通り【映画部門】■キャスト賞『ベルファスト』『コーダ あいのうた』『ドント・ルック・アップ』『ドリームプラン』『ハウス・オブ・グッチ』■主演女優賞ジェニファー・ハドソン『リスペクト』ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』レディー・ガガ『ハウス・オブ・グッチ』ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』オリヴィア・コールマン『ロスト・ドーター』■主演男優賞アンドリュー・ガーフィールド『tick, tick... Boom! チック、チック…ブーン!』ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』デンゼル・ワシントン『マクベス』ハビエル・バルデム『愛すべき夫妻の秘密』ウィル・スミス『ドリームプラン』■助演女優賞アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』カトリーナ・バルフ 『ベルファスト』ケイト・ブランシェット『ナイトメア・アリー』キルスティン・ダンスト『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ルース・ネッガ『PASSING -白い黒人-』■助演男優賞ベン・アフレック『僕を育ててくれたテンダー・バー』ブラッドリー・クーパー『リコリス・ピザ』ジャレッド・レト『ハウス・オブ・グッチ』コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』■スタントアンサンブル賞『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『DUNE/デューン 砂の惑星』『シャン・チー/テン・リングスの伝説』『ブラック・ウィドウ』『マトリックス レザレクションズ』【テレビ部門】■ドラマシリーズ作品賞「イエローストーン」「イカゲーム」「キング・オブ・メディア」「ザ・モーニングショー」「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」■ドラマシリーズ女優賞エリザベス・モス「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」ジェニファー・アニストン「ザ・モーニングショー」チョン・ホヨン「イカゲーム」リース・ウィザースプーン「ザ・モーニングショー」サラ・スヌーク「キング・オブ・メディア」■ドラマシリーズ男優賞ビリー・クラダップ「ザ・モーニングショー」ブライアン・コックス「キング・オブ・メディア」ジェレミー・ストロング「キング・オブ・メディア」キーラン・カルキン「キング・オブ・メディア」イ・ジョンジェ「イカゲーム」■コメディシリーズ作品賞「Hacks」「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」「コミンスキー・メソッド」「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」「マーダーズ・イン・ビルディング」■コメディシリーズ女優賞エル・ファニング「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」ハンナ・ワディンガム「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」ジーン・スマート「Hacks」ジュノー・テンプル「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」サンドラ・オー「ザ・チェア~私は学科長~」■コメディシリーズ男優賞ブレッド・ゴールドスタイン「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」ジェイソン・サダイキス「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」マーティン・ショート「マーダーズ・イン・ビルディング」マイケル・ダグラス「コミンスキー・メソッド」スティーヴ・マーティン「マーダーズ・イン・ビルディング」■テレビ映画・リミテッドシリーズ女優賞シンシア・エリヴォ「ジーニアス:アレサ」ジーン・スマート「メア・オブ・イーストタウン~ある殺人事件の真実」ジェニファー・クーリッジ「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」ケイト・ウィンスレット「メア・オブ・イーストタウン~ある殺人事件の真実」マーガレット・クアリー「メイドの手帖」■テレビ映画・リミテッドシリーズ男優賞エヴァン・ピーターズ「メア・オブ・イーストタウン~ある殺人事件の真実」ユアン・マクレガー「Halston/ホルストン」マイケル・キートン「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」マーレイ・バートレット「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」オスカー・アイザック「ある結婚の風景」■スタント・アンサンブル賞(コメディ&ドラマシリーズ)「ロキ」「メア・オブ・イーストタウン~ある殺人事件の真実」「イカゲーム」「コブラ会」「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」■生涯功労賞ヘレン・ミレン(text:Reiko Uehara)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-【Netflix映画】パワー・オブ・ザ・ドッグ 2021年11⽉19⽇より一部劇場にて公開、12月1日よりNetflixにて配信ハウス・オブ・グッチ 2022年1月14日より全国にて公開ⓒ 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.ドリームプラン 2022年2月23日より全国にて公開© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reservedコーダ あいのうた 2022年1月、全国にて公開© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS【Netflix映画】ドント・ルック・アップ 2021年12月10日より公開、12月24日よりNetflixにて配信ベルファスト 2022年3月、全国にて公開© 2021 Focus Features, LLC.
2022年01月14日国内映画賞レースの先陣を切る「第46回報知映画賞」の各賞が決定。作品賞・邦画部門は『護られなかった者たちへ』が受賞、主演男優賞は『マスカレード・ナイト』で破天荒な刑事を演じた木村拓哉が初受賞。また、『地獄の花園』『そして、バトンは渡された』と振り幅のある演技を見せた永野芽郁が主演女優賞に選ばれた。『護られなかった者たちへ』監督賞は、『そして、バトンは渡された』と『老後の資金がありません!』の前田哲監督が受賞。『老後の資金がありません!』新人賞には、菅田将暉主演『キャラクター』で連続殺人犯を演じ切った「SEKAI NO OWARI」のFukaseと、尾野真千子主演『茜色に焼かれる』で存在感を見せた片山友希。『キャラクター』また、独学で7年間かけてSFストップモーションアニメを完成させ、世界の映画賞で称賛された『JUNK HEADジャンク・ヘッド』の堀貴秀監督も選出。作品賞・洋画部門は、ダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンド役となった『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が受賞した。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』◆第46回報知映画賞各賞作品賞・邦画『護られなかった者たちへ』監督賞前田哲『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』主演男優賞木村拓哉『マスカレード・ナイト』主演女優賞永野芽郁『地獄の花園』『そして、バトンは渡された』助演男優賞鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL2』助演女優賞寺島しのぶ『ヤクザと家族 The Family』『キネマの神様』『空白』新人賞Fukase 『キャラクター』/片山友希『茜色に焼かれる』/堀貴秀監督『JUNK HEADジャンク・ヘッド』作品賞・海外部門『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』アニメ作品賞『漁港の肉子ちゃん』特別賞岡田裕介さん(元東映株式会社代表取締役グループ会長)(text:cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年10月30日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会護られなかった者たちへ 2021年10月1日より全国にて公開©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会ヤクザと家族 The Family 2021年1月29日より全国にて公開©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会マスカレード・ナイト 2021年9月17日より全国東宝系にて公開©2021東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会孤狼の血 LEVEL2 2021年8月20日より全国にて公開©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会キャラクター 2021年6月11日より公開©2021 映画「キャラクター」製作委員会地獄の花園 2021年5月21日より全国にて公開©2021『地獄の花園』製作委員会そして、バトンは渡された 2021年10月29日より全国にて公開©2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
2021年12月01日映画『コーダ あいのうた』が公開。本作は第94回アカデミー賞にて、作品賞、脚色賞、助演男優賞の3部門で受賞を果たした。映画祭史上最⾼額で落札“爽快”な感動作映画『コーダ あいのうた』は、2021年に開催されたサンダンス映画祭で、アカデミー賞へつながるとの呼び声が⾼い観客賞をはじめ“史上最多”の4冠に輝いた作品。配給権の争奪戦が勃発し、映画祭史上最⾼額となる約26億円で落札された。第94回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞また、その期待を裏切らず、世界の名立たる映画祭の賞レースを席巻。第94回アカデミー賞では、作品賞、脚色賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)の3部門にノミネートされ、全部門で受賞。耳の聞こえない父親を演じたトロイ・コッツァーは、実際に耳が不自由な俳優で、ろう者の男優が受賞するのはアカデミー賞史上初となる。また、第79回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、助演男優賞にノミネートされた。“⼀⼈だけ”健聴者の少⼥は「歌うこと」を夢見た物語の主人公は、家族の中で⼀⼈だけ“健聴者”である少⼥・ルビー。抱き合い⽀え合っていた家族の関係が、ルビーの「歌う」という夢をきっかけに動き始めるが...。それぞれの道を歩き始めることで、さらに⼼の絆を強くする家族の姿を描く。予告動画は、⽿が聞こえない漁師であるルビーの⽗が、漁業組合の横暴な決定に対し⼿話で⻭向い、彼⼥がそれを通訳で応戦する“家族のチームプレイ”シーンからスタート。その後に続くのは、4⼈家族の中で唯⼀の健聴者として⽣まれたルビーが、家族で助け合いながら漁業に励む⽇常⾵景だ。しかし、ある⽇、ルビーが学校の合唱部に⼊ったことをきっかけに、それまで家族が知る由もなかった歌の才能を⾒出され、名⾨“バークリー⾳楽⼤学”の受験を勧められるまでになる。だが、ルビーの歌声を聞くことのできない両親は娘の才能を信じる事が出来ず、家業の⽅が⼤事だと⼤反対。しかも、健聴者であるルビーが⼀緒にいなかったことが原因で海上でのトラブルに巻き込まれてしまうという事件も発⽣し、悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるがー。⽿の聞こえない家族に⾃分の歌を届けるため、ルビーが⼿話とともにジョニ・ミッチェルの名曲「⻘春の光と影(Both Sides Now)」を歌いあげるシーンにも注目だ。主人公にエミリア・ジョーンズ主人公・ルビーを演じるのは、TVシリーズ「ロック&キー」で“NEXT エマ・ワトソン”と話題を呼んだエミリア・ジョーンズ。共演は、『シング・ストリート 未来へのうた』のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは、『愛は静けさの中に』のオスカー⼥優マーリー・マトリンなど、全員が実際に⽿の聞こえない俳優たちだ。監督は『タルーラ 〜彼⼥たちの事情〜』のシアン・ヘダーが務めた。"コーダ”の意味とは?タイトルの“コーダ(CODA)”は、Children of Deaf Adults=“⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども”という意味。⾳楽⽤語としては、楽曲や楽章の締めを表す=新たな章の始まりという意味も持つ。また、映画『コーダ あいのうた』は、⽇本でも2015年に公開されたフランス映画『エール!』のハリウッド版リメイクでもある。【詳細】映画『コーダ あいのうた』公開日:2022年1月21日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか監督・脚本:シアン・ヘダー出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン原題:CODA|2021年|アメリカ|カラー|ビスタ|5.1chデジタル|112分|字幕翻訳:古⽥由紀⼦|PG12
2021年11月29日映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』が、2021年10月1日(金)に劇場公開される。アカデミー賞「音響賞&編集賞」の話題作が劇場公開映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』は、第93回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・助演男優賞・脚本賞・編集賞・音響賞の主要6部門にノミネートされ、音響賞・編集賞の2部門を受賞した作品。突如難聴に陥るメタルバンドのドラマーの主人公ルーベンが直面する困難や試練を、観客がまるで彼になったかのごとく没入体験できると話題を呼んだ。<『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』あらすじ>突如難聴になったドラマーのルーベンは、一緒にバンドを組む恋人ルーに難聴者のコミュニティに連れていかれる。難聴であることをハンディとして捉えていなコミュニティの人々と過ごしながらも、その現実を受け入れることの難しさに直面するルーベンは、自分の人生を前に進めるために、ある決断をする・・・。人生の挫折・再生を描きながら、その主人公の人生を疑似体験できる秀逸な感動作。難聴の主人公を取り巻く音環境を再現映画の魅力の1つが、音響デザイナー ニコラス・ベッカーとそのチームによるサウンドデザイン。『ゼロ・グラビティ』や『メッセージ』でも知られるベッカーが、『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』でもあらゆる場面で革新をもたらし、ある日突然難聴になった主人公を取り巻く音環境を、見事に再現している。主人公が聴覚ではなく身体的な振動を経験している様子を通じて、また”音”と”静寂”のシンフォニーによって、人生の切なさ・人間の強さ、そして挫折と再生を描ききった。主演リズ・アーメッドもアカデミー賞ノミネート出演は、キャリア最高の演技と評され、アカデミー賞 主演男優賞にもノミネートされた俳優リズ・アーメッド。また、アカデミー賞 助演男優賞にノミネートされたポール・レイシーによる静かな演技にも注目だ。音にこだわる映画館で劇場公開日本でも配信映画として注目を集めていた『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』だが、10月1日(金)より順次、音にこだわる映画館などで劇場公開。視覚だけでなく、“聴覚”でも味わうことができるこの作品は、音響システムの充実した映画館でこそ鑑賞したいものだ。【詳細】映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』公開日:2021年10月1日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか原題:Sound Of Metal監督・脚本:ダリウス・マーダー原案:デレク・シアンフランス音楽:ニコラス・ベッカー、エイブラハム・マーダー撮影:ダニエル・ブーケ編集:ミッケル・E・G・ニルソン出演:リズ・アーメッド、オリヴィア・クック、ポール・レイシー、マチュー・アマルリック、ローレン・リドロフ製作国:アメリカ製作年:2019年上映時間:130分
2021年08月14日インディーズ映画の賞、ゴッサム・アワードが、今年から演技部門の男女別をやめると発表した。これまで主演男優賞、主演女優賞、それぞれ5人ずつの候補者がいたが、これからは主演賞にまとめられ、10人の候補者が挙げられる。男女別廃止に関しては、ベルリン映画祭がすでに取り入れている。前回のゴッサム・アワードの主演男優賞は『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ』のリズ・アーメッド、主演女優賞は『Miss Juneteeth』のニコール・べハーリーが受賞した。次回の授賞式は11月29日に行われる。ノミネーション発表は10月21日。文=猿渡由紀
2021年08月06日ゴッサム・インディペンデント映画賞(通称ゴッサム賞)が、演技部門の性別の区分けを廃止することを発表した。これまでは「男優賞」と「女優賞」に分かれていたが、今年から「主演賞」と「助演賞」になるという。創設した当時から性別で分けていない「ブレイクスルー・アクター賞」に関しては、より、ジェンダーニュートラルな単語を用いた「ブレイクスルー・パフォーマー賞」に名称が変更される。ゴッサム賞を主催する「ゴッサム・フィルム&メディア・インスティチュート」の事務局長ジェフリー・シャープは、「性別を分けることなく演技を称賛するという新しいモデルについて、楽しみにしています。近年、こうした(テーマの)話し合いを始めることを手助けしてくれた方々に感謝します。ゴッサム賞がさらに包括的に、平等に、芸術的な素晴らしさをサポートし続けることも楽しみです」とコメントしている。映画ファンは今回の変更について、「ノミネートを受ける俳優が、より白人男性に偏るのでは?」「結局、女性のチャンスが奪われてしまう」などと、これまで抱えてきた映画業界の問題がさらに悪い方向へ進むと指摘し、心配する声を上げている。今年のゴッサム賞のノミネーションは10月21日に発表され、授賞式は11月29日に開催される。(Hiromi Kaku)
2021年08月06日ピラール・パロメロ監督長編デビュー作にしてスペイン映画界のアカデミー賞とされるゴヤ賞作品賞・脚本賞を受賞した『スクールガールズ』が、9月17日(金)より公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。舞台は1992年、バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。サラゴサの修道院に通い母親と2人暮らしのセリアは、バルセロナからやってきた大人びた転入生ブリサの影響を受け、新しい音楽や遊びを知り、友人の姉たちとつるむように。しかしいつもの仲間とのゲーム中に発せられたある言葉をきっかけに、セリアは母親が決して話そうとしない真実に向き合うことになる――。修道院に通うセリアが、友人たちとの新たな経験を通して思春期への扉を開け、家族や自分自身を知っていく様子を描いた『スクールガールズ』は、今日までにスペイン国内を中心に26もの映画賞を受賞。2020年のスペインを代表する映画となった。4歳から自身も修道院で学んでいたパロメロ監督は、「極めて保守的なスペイン修道院の教育と、オリンピック開催の熱狂渦巻く外の世界に溢れる刺激には大きなギャップがありました。しかし私たち―1992年当時の教育を受けた女性たちこそが、“勉強をし、独立して、なりたいものになれる”とはっきり感じることができた初めての世代だったのではないかと思います」と語っており、本作はキム・ボラ監督が自身の経験を踏まえ、14歳のウニを主人公に描いた韓国映画『はちどり』と共鳴するような、90年代とそこに生きる少女たちのささやかな前進を描いた作品になっている。今回解禁された予告編では、修道院に通うセリアが転入生のブリサとの交流をきっかけに、新しい世界に足を踏み入れていく様が切り取られている。仲間がゲーム中に発した「親がいなかったことはない」という言葉から、母に聞かされてきた父の話に疑問を持つセリア。「人生はたくさんの真実と、少しの嘘でできている」というコピーは、思春期の入り口に差し掛かった主人公が、大きな秘密に一歩踏み出す前進の物語を予感させる。『スクールガールズ』は9月17日(金)より新宿シネマカリテほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スクールガールズ 2021年9月17日より新宿シネマカリテほか全国にて公開@2020 Inicia Films, Bteam Prods, Las Niñas Majicas AIE
2021年07月28日《文:Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美》アカデミー賞の次に人気がある映画賞、といっても過言ではないゴールデングローブ賞。しかし、賞の権限を司る「ハリウッド外国プレス協会」ことHFPA(=Hollywood Foreign Press Association)の大スキャンダルがゴールデングローブ賞の存続を危うくしている。いったい何が起きているのか?ハリウッド外国プレス協会(HFPA):小グループからハリウッドを牛耳る存在へそもそもHFPAというのはどういう団体なのだろう?あんなに有名なゴールデングローブ賞を司っているのだから、さぞや大きな団体かと思いきや、実際は全く異なる。ことの始めは1943年。ハリウッドに住む8人の外国人映画ジャーナリストたちが、大スターへの取材権利がもらえず苛立っていた。そこで考え出したのが、独自の映画賞をスタートさせるという案。それがゴールデングローブ賞の誕生だった。長いこと弱小映画大賞と言われていたが、83年に入りアメリカTV界の巨匠、故ディック・クラークが関わり始めてから、出演者たちの質が格段に飛躍。95年にメジャーネットワークNBCで放映されることになってから、「アカデミー賞の数週間前に放映される大切な映画賞」としての地位を確立した。ゴールデングローブ賞候補になること、そして受賞とあらば、アカデミー賞の前宣伝として絶好の機会だ。アカデミー賞は、全米映画アカデミー会員の投票により決められる。アカデミー会員は映画関係の仕事を持つ人たちばかり。よって、暇なときは一般人が思うほど映画を観ないというのが知られざる実情だ。アカデミー賞投票時期に会員にドッサリ届けられる、候補作品のサンプルは、「人気のある数本を抜かしては、知らない作品ばかり」という話をよく耳にする。だが、そんなアカデミー会員でも、「ゴールデングローブ受賞作品」と聞けば、「試しに見てみるか…」ということになる。これが作品PR陣営の最大の狙いなのだ。よって、映画PR陣営は、陰ではHFPAを疎んじていても、営業上は取り入るしかない、という悪循環ができあがる。作品の宣伝担当者たちは、HFPA協会会員の心証を良くしようと、あの手この手を尽くし始め、担当作品への投票を獲得すべく、HFPA会員たちを豪華な夕食へ接待し、「PRツアー」と称した映画撮影現場を訪ねるエキゾチックな海外旅行(最高級ホテルの滞在含む)、大手新聞社や雑誌社を犠牲にしてまでのセレブ独占インタビュー枠など、上げ膳据え膳のおもてなし作戦を図る。だが、この特権を笠に着始めたHFPA会員の中には、自分たちをないがしろにできない立場のPRスタッフ、挙げ句の果てにはセレブを個人的に誘ったりあるまじき発言や行動を取ったりする人も現れ、水面下での目に余る行動が問題になりはじめた。少人数「エリート・クラブ」の崩壊序曲HFPAは入会すると、その人が亡くなるまで永久会員となり、誰かが亡くなっても補充するという決まりはないので現在の会員数はたったの87名。貧弱なこの会員数を知って驚く読者も多いのではないか。HFPA会員の質の低下も大きな問題となっていた。永久会員制度が仇となっている部分もあり、今やHFPA内で真のジャーナリストとして活躍している会員はほんの一握りであるとロサンゼルス・タイムズ紙も報じている。会員の中には、年老いた廃業寸前のライターをはじめ、不動産業が本職のメンバー、高級車のセールスマン、執筆などしない単なるお金持ちの映画ファンなども多いという。おまけに、本当に実力のある外国ジャーナリストの入会が却下される事態がたびたび指摘され、それは現在の老会員たちが自分たちへの注目を奪われたくないがための入会妨害だと問題視されている。HFPAはアメリカ映画業界に貢献した海外のジャーナリストたちが協会メンバーとなる資格を有する、というのが表向きで、世界中の著名ジャーナリストから申し込みを受け付けているが、入会には不透明なガイドラインと審査があり、ジャーナリストとしての貢献度よりも会員に気に入られた人間でないと入会できない、という暗黙の了解があるのだ。この小さなグループが、授賞式放映関連で手にする収入がなんと27万ドル(約3,000万円)。この巨額な金額をめぐり、協会内での金銭癒着問題も取り沙汰されてきた。トム・クルーズまでもがボイコット!堕ちたHFPAゴールデングローブ授賞式では、飲み放題食べ放題、セレブとも会い放題で映画ファンにとっては天国のような会場だ。その授賞式チケットを、HFPA会員が日本円にして100万円あまりで外部の人間に違法売買しているというスキャンダルも露見した。そして、今年に入って大問題となっているのが、HFPA内の人種が異常に偏っているという事実。「外国人」ジャーナリスト協会という看板を掲げ、南アメリカやアフリカ諸国からのジャーナリストも交えているはずの団体なのに、なぜか黒人ジャーナリストがゼロなのだ。人種問題が大きく取り上げられる近年の世相において、これは致命的だ。ことを悪化させたのが、改善を誓ったHFPAが、1時間で書いたような情けない改定版規約を発表したことだ。これには大手スタジオやセレブまでもが不信感をあらわにした。HFPAの収入源だったNBCネットワークが来年度の放映中止を発表したのに続き、 Netflix社もボイコット声明を発表。続いてトム・クルーズが、受賞したゴールデングローブ像をすべて返還してボイコットを発表し、世界中でニュースになった。そしてとどめがワーナー・ブラザースやHBOの親会社であるワーナー・メディアだ。「HFPAが根底より行いを改め、我々も納得がいく会員規約を公表しない限り、一切関係を断つ」という辛辣な書状を発表した。映画ファンであっても、これまでゴールデングローブ賞の内部事情など聞いたこともないし興味もなかったという人も多いだろう。しかし、毎年楽しみにしている映画賞が、賄賂をはじめ資金横領や人種差別など、「いかさま」の上になりたった賞だとしたら、ファンとしてどういう気分になるだろうか?筆者はライターである前に映画の大ファンだ。ゴールデングローブ賞を楽しみにしているひとりとして、HFPAの改善を願っている。(text:Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美)
2021年05月18日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスで開催され、クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が作品賞をはじめ、監督賞、主演女優賞の最多3部門で栄冠に輝いた。ベネチア国際映画祭での金獅子賞受賞を皮切りに、トロント国際映画祭、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞といったオスカー前哨戦で圧倒的な強さを発揮した本作が、アカデミー賞でも大本命としてのポテンシャルを見せつけた。ジャオ監督は監督賞を受賞し、女性監督として『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー(第82回)以来2人目の快挙を達成した(なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのも、『ハート・ロッカー』以来2作目となる)。主演女優賞も『ノマドランド』からフランシス・マクドーマンドが受賞。こちらも前哨戦での勢いそのままに、彼女にとって『ファーゴ』(第69回)、『スリー・ビルボード』(第90回)に続く3度目の同賞受賞を果たした。これで主演女優賞の受賞回数としては、通算4度輝いたキャサリン・ヘプバーンに次ぎ、歴代2位を誇ることになる。『ノマドランド』はジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性・ファーン(マクドーマンド)が、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を通して、人間にとっての誇りと尊厳、自由に生きる意義を問いかけた。フィクションとドキュメンタリーの境界を巧みに行き来する芸術性に加えて、主人公のたくましい姿に、コロナ禍を生き抜こうと葛藤する現代人が、自らを重ね合わせたのも旋風の大きな要因。まさに“今年の1本”と呼ぶにふさわしい本作が、激動のアカデミー賞を制する結果となった。中国出身の女性監督が手がけた『ノマドランド』が作品賞と監督賞に輝いた第93回のアカデミー賞で、もう1つ歴史的瞬間が刻まれたのが、助演女優賞。『ミナリ』のユン・ヨジョンが、韓国人俳優として初めてアカデミー賞の俳優部門で受賞する快挙を成し遂げたのだ。1980年代、農業での成功を夢見て、アメリカ南部に移住した韓国出身の一家が、理不尽な境遇にも負けず生きる姿を描くヒューマンドラマで、ヨジョンは毒舌で破天荒な祖母スンジャを好演。前哨戦にあたる全米映画俳優組合(SAG)賞、英国アカデミー賞でも助演女優賞を獲得していた。なお、『ミナリ』は大半が韓国語のセリフだが、ブラッド・ピットの映画製作会社「PLAN B」が製作に関わったアメリカ映画となる。例年と異なり、セレモニーの最後に発表されたのが主演男優賞。受賞したのは『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスだった。史上最高齢で2度目の受賞。遺作『マ・レイニーのブラックボトム』で“最期の熱演”を披露し、昨年8月に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンさんは受賞を逃した。最後の最後、大方の予想に反する驚きのどんでん返しが待っていた。また、助演男優賞は『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』のダニエル・カルーヤが初受賞している。新型コロナウイルスの影響により、開催が危ぶまれた中、例年の2月開催から4月に延期された今年のアカデミー賞授賞式。劇場閉鎖が長引く現状を考慮し、NetflixやAmazon Prime Videoといったインターネットを通じて配信された作品も、各部門のノミネート資格を得る異例の条件が加えられた。昨年から一転し、俳優賞全部門に非白人の候補が名を連ねた。異例尽くし、そしてニューノーマルともいえる投票の結果、会員たちは『ノマドランド』を筆頭に、時代や人種、性別や障がいの有無といった枠組みを超えて、逆境にもめけず前を向く人々の力強さと多様な生き方を祝福した。繰り返しになるが、その姿にコロナ禍を生きる私たちが大いに共感を覚えることは言うまでもない。【第93回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『ノマドランド』監督賞:クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞:アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞:フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞:ダニエル・カルーヤ『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』助演女優賞:ユン・ヨジョン『ミナリ』国際長編映画賞:『アナザー・ラウンド』(デンマーク)脚本賞:『プロミシング・ヤング・ウーマン』脚色賞:『ファーザー』音響賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』編集賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』撮影賞:『Mank/マンク』美術賞:『Mank/マンク』衣装デザイン賞:『マ・レイニーのブラックボトム』メイク・ヘアスタイリング賞:『マ・レイニーのブラックボトム』作曲賞:『ソウルフル・ワールド』歌曲賞:『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』“Fight For You”視覚効果賞:『TENET テネット』長編アニメ映画賞:『ソウルフル・ワールド』長編ドキュメンタリー映画賞:『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』短編実写映画賞:『隔たる世界の2人』短編アニメ映画賞:『愛してると言っておくね』短編ドキュメンタリー賞:『コレット(原題)』取材・文=内田涼『ノマドランド』公開中生中継!第93回アカデミー賞授賞式放送日時:4月26日(月)午前8:30 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]第93回アカデミー賞授賞式<字幕版>4月26日(月)夜9:00 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]番組オフィシャルサイト:
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、作品賞にクロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が輝いた。第77回(2020年)ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を皮切りに、第45回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞、第78回ゴールデングローブ賞で作品賞と監督賞を受賞。第74回英国アカデミー賞でも、作品賞をはじめ最多4部門に輝いていた。オスカー前哨戦で圧倒的な存在感を示した“大本命”が、今年のアカデミー賞でも順当に作品賞を手にし、コロナ禍に揺れた映画賞レースにおいて有終の美を飾った。なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのは、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』(第82回)以来2度目となる。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性が“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を、アメリカ西部の雄大な自然を背景に描いた。誇りを胸に、自由に生きる主人公には、コロナ禍に苦悩する世界中の観客から強い共感が寄せられていた。受賞コメントクロエ・ジャオ監督プロデューサー陣、フランシス・マクドーマンドを代表してご挨拶します。他の候補者の皆さんにもお礼を申し上げます。フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、原作者のジェシカ・ブルーダー、そしてノマドの皆さん。多くの人たちのおかげで、この作品が完成しました。皆さんは真実の優しさを示してくれました。プロデューサーも務める主演のフランシス・マクドーマンドぜひ、大きなスクリーンで見てください。仲間を連れて映画館に行き、隣にも観客がいる状況で。ウルフにこの映画を捧げます(オオカミの鳴き声をまねて、雄たけび)(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月26日’64年のドラマ版『愛と死をみつめて』(TBS系)に始まり、数々の名作ドラマを残して、この世を去った脚本家の橋田壽賀子さん(享年95)。生涯“女性”を描き続けた姿を本誌秘蔵写真で振り返るーー。【’68年】朝ドラ初のカラー作品『あしたこそ』主演の藤田弓子と43歳の橋田さん。【’81年】大河ドラマ『おんな太閤記』放送を機に、橋田さんを本誌が密着取材。【’83年】国民的ドラマ『おしん』はアニメ版も制作。泉ピン子、小林綾子と。【’84年】『大家族』(TBS系)では3世代で同居する家族の嫁姑問題を描いた。【’85年】大河ドラマ『いのち』の制作発表会で主演の三田佳子と仲よく歩く姿。【’88年】大河ドラマ『春日局』の撮影現場で佐久間良子と語らう橋田さん。【’90年】この年から始まった『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)は’19年まで新作を放送。【’93年】『渡る世間は鬼ばかり』のメンバーで「橋田ファミリーの会」を開催。【’93年】第1回橋田賞の受賞パーティで“両手に少年隊”の橋田さん。【’10年】『渡る世間は鬼ばかり』の最終シリーズの制作発表会。【’18年】第26回橋田賞の授賞式にて。新人賞の有村架純、竹内涼真の姿も。「『なんで“うちの家”のことをそんなによく知っているんですか?』と、(視聴者から)よく言われるの」と、テレビ番組のインタビューで語っていた橋田さん。「それはひとえに、ご自身の日常や経験、思いをドラマに込められてきたからでしょう。毎朝、新聞の投稿欄をじっくり読み、庶民の暮らしを脚本に生かすことでも知られていました。有名な長ゼリフは、家事に勤しむ女性たちにも、ドラマを耳で理解してもらうため。『二流で結構!』との自負もおありだったと聞きます」そう、ドラマウオッチャーの田幸和歌子さんは語る。社会情勢をドラマに反映しながら、その時代時代を生きる女性のリアルな姿を描いてきた。「女性脚本家の先駆者である橋田さんが、草分けとなったことも多いんです。たとえば大河ドラマ『おんな太閤記』では、戦国ものを女性、庶民の視点で描き“戦国ホームドラマ”と呼ばれました。“嫁姑問題”や“夫がマザコン”という設定を取り入れたのも橋田さんが元祖。そこには“妻”としての経験が投影されています。『おしん』の嫁いびりは、おのおのの世代の正義と正義の衝突として、また『渡る世間は鬼ばかり』では、岡倉家の5人の女性を通して、家庭の崩壊や、さまざまな結婚のあり方が、描かれました。つねに、命の尊さと、女性の強さ、自立を描いてきた橋田さんは、まさに日本のドラマの母といえます」コロナ禍の今を生きる女性たちを、橋田さんなら、どのように描いたであろう。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年04月16日