2022年8月、実に3年ぶりに歌舞伎座に帰ってくる「八 月納涼歌舞伎」にて、世界中で愛される“漫画の神様”、手塚治虫の漫画『新選組』が上演される。誰もが親しみをもって楽しむことができるエンタテインメント性に溢れる作品を生み出し、奇想天外なアイディアとファンタジー性で読者を虜にし続けた唯一無二の漫画家、手塚治虫の作品が歌舞伎として上演されるのは今回が初。手塚治虫漫画の表現を追求し、極限までその可能性を押し広げ、世界中の多くのクリエイターに影響を与えるだけでなく、その作品世界には、命の尊さ、生きることの意味を問う壮大なテーマ性が内包され、時を超え、国の垣根を飛び越えて、今なお世界中で幅広い世代に読み継がれている。多くの代表作のなかでも、歴史を題材にした作品では、実在した歴史上の偉人たちと架空のキャラクターが絶妙に絡み合い、ドラマティックな物語を創出。壮大なファンタジーのなかに、人が生きている実感、真実の光を照らし出す。歴史上の人物や事件を題材にして数多くの作品を生み出してきた歌舞伎との親和性も高く、手塚治虫の生み出した歴史漫画がどのように歌舞伎として上演されるのか、今から期待が高まる。深草丘十郎(手前)と鎌切大作(奥)(c)Tezuka Productions今回、手塚治虫の描いた数多くの漫画から初めて歌舞伎としての上演に選ばれた『新選組』は、1963(昭和38)年1月号から10月号まで、集英社の月刊誌「少年ブック」で連載され、その独自の視点と解釈で描き出された作品世界は多くのクリエイターに影響を与え、手塚治虫の隠れた名作として評価の高い作品だ。父の仇を討つため、「新選組」に入隊し剣の腕を磨く少年・深草丘十郎(ふかくさ きゅうじゅうろう)の成長と、どこか謎を秘めた親友・鎌切大作(かまぎり だいさく)との友情を描き、幕末の京都を舞台に、近藤勇、土方歳三、沖田総司や芹沢鴨らおなじみの新選組隊士たち、さらに坂本龍馬との出会いを通じて、深草丘十郎の姿を生き生きと描き出す。近年、『ワンピース』や『NARUTO -ナルト-』、『風の谷のナウシカ』といった漫画を原作とした歌舞伎作品が注目を集めるなか、遂に“漫画の神様”手塚治虫の作品が「八月納涼歌舞伎」で上演される。歌舞伎座の「八月納涼歌舞伎」は、1990(平成2)年から始まり、十八世中村勘三郎(当時、勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時、八十助)を中心に、花形が活躍する公演として人気を博してきた。この「納涼歌舞伎」によって、歌舞伎座では1年12ヶ月を通じて歌舞伎興行が開かれるようになり、平成の歌舞伎の一大ブームを巻き起こすことに。2022(令和4)年8月、コロナ禍以降、実に3年ぶりの公演となる。歌之助が深草丘十郎、福之助が鎌切大作。勘九郎・七之助と競演左から)中村福之助、中村歌之助(c)松竹気になる配役は、父の仇を討つため「新選組」に入隊する深草丘十郎に中村歌之助、どこか謎を秘めた丘十郎の親友・鎌切大作に中村福之助が決定。勘三郎、三津五郎と共に「納涼歌舞伎」を盛り上げてきた中村芝翫の三男である歌之助と次男の福之助が、手塚治虫が生み出した魅力的なキャラクターである深草丘十郎と鎌切大作という若いふたりの剣士を躍動的に勤めることに注目だ。そして、中村勘九郎と中村七之助の出演も決定し、中村屋兄弟といとこにあたる福之助・歌之助兄弟との競演も話題必至。夏の暑さを吹き飛ばし、熱気溢れる舞台が展開される予感の歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」、チケットは7月14日10時より一般発売。中村勘九郎(c)松竹中村七之助(c)松竹出演者コメント【中村歌之助:深草丘十郎(ふかくさ きゅうじゅうろう)役】まさか歌舞伎座で主役をさせていただけるなんて…プレッシャーもありますが、すごく嬉しいです!勘九郎の兄から手塚治虫先生の「新選組」が面白いと伺って兄たちと読みました。幕末の話でありながらも、現代に通ずるテーマ性があり、若い人にも観ていただきたいです。手塚治虫先生の作品は、母方の祖父が「鉄腕アトム」を見せてくれたり、小さい頃から作品に触れていたのでご縁を感じています。初めて歌舞伎になるときに、主人公の丘十郎として舞台に立たせていただけることは有難く、光栄です。「八月納涼歌舞伎」は若手が一致団結してやる公演でもあるので、今回「新選組」を8月の歌舞伎座でさせていただけることも、すごく嬉しいです。勘九郎の兄や七之助の兄はじめ錚々たるみなさんが出てくださると思うので、周りにも支えていただいて、ひと月がんばりたいです。出演が決まったときは、家族みんなで喜びました。父(芝翫)は「チャンスだからがんばりなさい。本当によかったね」と言ってくれました。母(三田寛子)はひたすら「がんばりなさい。もらったチャンスをものにするのよ」と。兄弟の反応は…一番上の兄(橋之助)からは「ずるいなぁ…」と。僕ら二人にすごい嫉妬が…。丘十郎と大作の関係は、僕たち兄弟の関係とどこか似ているようで、二人に合っているのかもしれません。兄と芝居をするのはすごく楽しみですし、二人が成長していく過程を日に日に観ていただけたら嬉しいです。左から)中村福之助、中村歌之助(c)松竹【中村福之助:鎌切大作(かまぎり だいさく)役】とにかく楽しみでしょうがないです! がんばります!!!数年前に勘九郎の兄から、手塚治虫先生の「新選組」が面白いからと勧めていただいてすぐに読みました。兄弟で回し読みしながら、新選組をそう描くんだ!と、とても面白くて、これが歌舞伎になったら…と想像したり、ワクワクしながら読みました。今回、鎌切大作を勤める上では、手塚治虫先生のファンや「新選組」を愛していらっしゃる方々に舞台を観ていただいたときに、「あ、鎌切大作だ!」と自然に馴染んでいただけるように演じられたら、それがベストだと思っています。まだ誰もやっていないお役に臨めることも、楽しみでしようがないですね。「八月納涼歌舞伎」は、小さい頃から勘三郎の伯父や父が出ていた公演なので、そこに出させていただけることは身の引き締まる思いです。さらに今回、「新選組」というお芝居ができるのは、「新選組」を勧めていただいた勘九郎の兄に感謝ですし、今、自分たちができる最高のパフォーマンスを出し切れるようにがんばりたいと思います!公演概要歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」2022年8月会場:歌舞伎座(東京都中央区銀座4-12-15)原作:手塚治虫企画協力:手塚プロダクションチケット一般前売:7月14日(木)10:00より
2022年05月30日2022年4月14日、モデルでタレントの滝沢カレンさんが自身のInstagramを更新。昭和の時代に流行した『聖子ちゃんカット』を披露し話題を呼んでいます。滝沢カレンの聖子ちゃんカットに「誰?」の声も『聖子ちゃんカット』とは、その名の通り、歌手の松田聖子さんがデビュー当時にしていた髪型のこと。松田さんの人気を表すかのように、当時の若い女性の間で『聖子ちゃんカット』が流行しました。滝沢さんは、雑誌の企画で『聖子ちゃんカット』をはじめ、さまざまなヘアスタイルを披露。地毛ではなくウィッグを使用した撮影だったとのことで「1日に数人の人生になれた気がします」とつづっています。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 滝沢カレン/KAREN TAKIZAWA(@takizawakarenofficial)がシェアした投稿 人気モデルとしてさまざまな雑誌で活躍している滝沢さんですから、どんな髪型も似合ってしまうのは「さすが」のひと言。バラエティ番組での滝沢さんとは大きく異なる印象に、ファンからは「一瞬、誰なのかが分からなかった」と驚くコメントも寄せられました。・パッと見、誰か分かりませんでした!すごく素敵です。・髪型だけで、こんなに変わるのですね…。・聖子ちゃんカットの写真、どなたなのか識別できず思わず確認しました。独特ないい回しなど、少し不思議な日本語でタレントとしてもブレイクした滝沢さん。しかし、写真の中でさまざまな表情を見せる滝沢さんの姿は美しく、モデルであることを改めて実感させられます![文・構成/grape編集部]
2022年04月15日四月大歌舞伎の第二部で上演中の『荒川の佐吉』は同じ歌舞伎の演目の中でも新歌舞伎というジャンル。『元禄忠臣蔵』などで知られる真山青果の作品だ。主人公の佐吉は一介の大工からやくざになったばかり。だが親分の鍾馗の仁兵衛は浪人成川郷右衛門に片腕を斬られ落ちぶれてしまっている。その親分の娘のお新は、日本橋の大店・丸総の旦那の妾になっていたが、産まれた卯之吉が生まれつきの盲目のため、親子で離縁されそうになっていた。佐吉は仁兵衛から、次女の八重と夫婦になってこの子を育ててくれと頼まれる。だが仁兵衛が金目当てに卯之吉を預かってきたことを知った八重は、その情けなさに出て行ってしまった。佐吉は大工仲間の辰五郎の手も借りて卯之吉を育てることを決意する。その後仁兵衛は賭博で身を持ち崩し命を落とし、辰五郎の助けを借り卯之吉を必死になって育てる佐吉。ついに佐吉は仁兵衛の敵を討つため成川に挑む。その際に後見人として佐吉を見守ったのは相模屋政五郎だった。これも後につながる一つの因果だったのかもしれない。みごと成川を斬った佐吉は、仁兵衛の縄張りを継ぎ、立派な家を構え、卯之吉もすくすく成長していた。その佐吉の下へ、お新が卯之吉を返してほしいとやって来る。付き添ってきたのは政五郎だった。政五郎には丸総にかつて恩義があり、その政五郎に恩義のある佐吉。卯之吉の将来のためになると政五郎に説得され、泣く泣く別れを決意する。払暁、佐吉は隅田堤の満開の桜を眺めながら、八重や政五郎、辰五郎、そして卯之吉が見守る中、一人旅立って行く。松本幸四郎が佐吉を勤めるのは2度目だ。初役の際には片岡仁左衛門から教わったという。一人の気のいい若者だった佐吉が、やくざの世界に身を賭したばかりに、人として否応なく変わっていく様が伝わってくる。ひょろっとした着の身着のままの力のない新米やくざから、月代も伸びてちょっと疲れた感じに。そして親分の敵を討った後は羽振りもよくなり、どこから見ても立派な親分姿。拵えだけではなく、声や所作、目線に至るまで、成長し変貌していく様をち密に作り上げていることが伝わってくる。幸四郎は仁左衛門が佐吉を勤める舞台で辰五郎も勤めたことがある。佐吉が卯之吉を育てるその苦労と心情を切々を訴えるくだりで、「役として陰で聞きながら毎日本当に泣いていた」と取材会で語っていた。筆者が観たその日にも、客席のあちこちからすすり泣きが聴こえてきたし、幕間では目を赤くした観客をそこかしこに見かけた。梅玉の成川郷右衛門は茶屋に座っているその背中だけで凄みを感じさせるし、尾上右近の辰五郎も情に厚く意気のいい江戸っ子らしさがある。孝太郎のお八重の「なぜ私がそんなことしなきゃいけないのか」と言わんばかりのプライドの高さにはゾクゾクした。白鸚の政五郎には義理も情も知り尽くした大人の貫禄を感じ、うちひしがれてやってくる魁春のお新には「この人にはこの人なりにここまでの苦労があったのだろう」と思わされてグッときた。絶世の美男と謳われた二枚目役者の十五代目市村羽左衛門はめったに作者に注文を出さなかったそうだが、ある時青果宅を訪れ、珍しく「最初はみすぼらしく哀れで最後に桜の花のぱっと咲くような男の芝居を書いて欲しい」と言った。まさにその通り、まだ薄暗い明け方から次第に陽が上り、満開の桜が朱に染まっていく景色を背に、花道を引っ込む幸四郎の佐吉にボーッと見とれてしまった。人らしく誠実に生きているからこその強さと、筋を曲げることができないからこその不条理とも思える別れ。最後の「やけに散りやがる桜だな」の台詞に、佐吉の寂しさ、切なさ、そしてどこか爽快感を感じる幕切れだった。江戸の情趣あふれる舞台の背景がまた格別だ。両国広小路を歩く人々、稲荷ずし売りや辻占の風俗、三味線の聴こえてくる向島、待乳山や浅草寺を望む長命寺の堤。この界隈ならではの風情も、この作品にしっとりと艶を与えている。もう一幕の『義経千本桜』の所作事「時鳥花有里」は、いくつかの古い台本を再構成して2016年に初演されたもの。6年ぶりの再演だ。夢のような桜満開の舞台。源義経は家臣の鷲尾三郎とともに大和へ向かている。父の義朝を長田に討たれ、さらに今も頼朝から追われている身を嘆く。背景が転換され目の前に現れるのはさらに鮮やかな龍田の里。そこに悠然と白拍子や傀儡子が現れる。義経とともに別世界に迷い込んだかのような感覚に陥ってしまう。梅玉がこの義経を勤めるのは2016年の初演に続き2度目。凛々しくも憂いを帯びた源氏の御曹司ぶりにほれぼれする。前の幕の『荒川の佐吉』で憎々しい敵役の成川を演じた同一人物とは思えないほどだ。優雅な白拍子たちの舞に続き、傀儡子輝吉の踊りが始まる。『義経千本桜』の義経、静御前、弁慶、知盛の面を使い分け、「鳥居前」や「大物浦」の物語をユーモラスに軽快に踊る。この踊りは『義経千本桜』本編のいわばパロディ。ちなみに輝吉というのは又五郎の本名(光輝)をもじったものだ。上演されるたびに踊り手の名前をあしらった役名になっているのも楽しい。鷲尾三郎に中村鴈治郎、三芳野に中村扇雀、そして白拍子たちに若手俳優たちが顔をそろえた華やかな一幕。この後義経と三郎は、川連法眼の館へと落ちていく。狐忠信との出会いが待っているとも知らずに。取材・文:五十川晶子四月大歌舞伎チケット情報
2022年04月13日『滝沢歌舞伎ZERO 2022』の公開ゲネプロ及び初日前会見が6日に東京・新橋演舞場で行われ、Snow Man(岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介)が登場した。同作は2006年よりジャニー喜多川が企画・構成・総合演出を務め、滝沢秀明が主演した和によるスーパーエンタテインメントシリーズ。2018年に滝沢が引退を表明した後、Snow Man主演で『滝沢歌舞伎 ZERO』として生まれ変わり、2020年には『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』が公開された。同作へのプレッシャーについて聞かれると、目黒は「Jr.の頃からお世話になってる場所なので、この『滝沢歌舞伎』に帰ってくると、いろんなことを思い出しますし、後輩のIMPACTorsもいるので、いい背中を見せられるようにということは常に考えている」と心境を吐露する。渡辺は楽屋でも鍛えているそうで「ジムのトレーナーさんに、楽屋でできる筋トレのメニューを考えていただいて、ダンベルを置いたりしてます」と明かすと、佐久間は「"腹筋太鼓"の時に横の厚みが例年よりも全然違う」と絶賛し、渡辺は「岩本という最強のパーソナルトレーナーがいるので、なにかあったら頼る」と期待した。目黒と共に楽屋に布団を購入したラウールは「リラックスを極めようということで、ここに家を作っちゃう、みたいな」と表現。「敷布団は僕がAmazonで頼みました。後でお金はもらいましたけど」という向井は、「急にバスローブが欲しいと皆が言い出して、『バスローブじゃんけん』をしたら、僕が勝っちゃって。皆の分、払わなあかんの」と苦笑。全員でおそろいのバスローブという情報に会見は盛り上がるが、向井は「頼んだばかりなので、Prime便で明日か明後日には届くかな。ネイビーと黒の二色展開で」とまだ届いていないという。「(自分達よりも)楽屋の方が成長してる」という渡辺に、向井は「Amazonを新橋に届けるという手法を見つけたからね」と得意げにしていた。演出の滝沢について聞かれると、深澤は「色々任せていただいてる感じです。4年目になりますけど、1年ずつ僕達に託してくれて、僕たちが後輩に伝えることをしていかなきゃいけない」と決意を新たにする。向井は「まず滝沢くんの話をできないから。メディアには出ないから」と拒否しつつ、「TDCの時にたまたまラウールに写真を向けたら、滝沢くんが見切れてて。そしたらがっつりカメラ目線してた! まだ癖は抜けてない」とエピソードを披露。さらにラウールは「ふっかさんが嫉妬しているなと思った瞬間があって。帰りの車で康二くんが『今日、IMPACTorsと滝沢くんが一緒にごはん食べてるらしい』という話をしたら、『ふ〜ん。いいじゃんいいじゃん』って。後輩に滝沢くんが目をかけるようになってから、もう自分には目をかけてくれないのかっていう寂しい顔してた」と暴露する。深澤が「まあまあまあ、寂しさはある。だって『ごはん行きましょうね』と言って一向に行ってないのにインパク(IMPACTors)行ったからね! 俺たちはもう面倒見てもらう側じゃなくて見てあげる側になったということなので、まあヤキモチは妬いてますけどね」と拗ねると、メンバーは「かわいいなあ」と和み、深澤は「ごはんお願いします」と滝沢に語りかけていた。
2022年04月07日『滝沢歌舞伎ZERO 2022』の公開ゲネプロ及び初日前会見が6日に東京・新橋演舞場で行われ、Snow Man(岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介)が登場した。同作は2006年よりジャニー喜多川が企画・構成・総合演出を務め、滝沢秀明が主演した和によるスーパーエンタテインメントシリーズ。2018年に滝沢が引退を表明した後、Snow Man主演で『滝沢歌舞伎 ZERO』として生まれ変わり、2020年には『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』が公開された。ステージの全体的な振り付けはA.B.C-Zの五関晃一が行い、300万枚の桜や腹筋太鼓、新たに歌舞伎の「連獅子」パフォーマンスも。第二部の劇『満月に散る鼠小僧〜残したのは「笑いあり、涙なし」〜』では、9人を中心とした人情劇で大量の水の中での大立ち回りで、例年役替わりの「犬役」としては佐久間が「キンちゃま」に扮した。公演にはIMPACTors(佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我)も出演しており、岩本の振り付けと目黒デザインの衣装で新曲「Fighter」を見せる。Snow Manが歌舞伎の化粧をする前で基&松井がトークする場面では、急遽2人が一発芸を振られ、猫背になった基は「おはようございまーす」と登場する深澤の姿のモノマネを披露し「似てる」と褒められる。向井は「ほんまに何使われるかわからんの。テレビ局の趣味ってよくわからん」とぼやきながら、記者に向けて「どうも〜汽車で〜す! 汽車ぽっぽ〜!」とこちらも一発芸を披露した。ゲネプロ後の会見では、佐久間が「連獅子が目玉ですね。これだけの人数でやるって、本当にないことらしいので。回転数も人間の限界に挑戦している感じなので、命を削ってやってます」としみじみ。23回も首を回すという連獅子に、渡辺は「今も首が痛くて。でも、回している時に客席も換気できていいのかな。今の状況にはぴったり」とジョークを飛ばす。実はなかなかカツラが出来上がらず、実践は公開ゲネプロで3回目だったという。深澤は「特注の、自分の頭のサイズに合ってるものを回さないといけないので、できあがったのはぎりぎりだった」、ラウールは「身長に合わせて髪の毛の長さが決まっているので、僕が1番ロン毛でした」と説明。阿部が「稽古が大変だったよね。毛の振り方にもちょっとしたコツがあって、勢いとかも利用したりする」と振り返ると、記者から「毛は何kgくらいあるんですか?」と質問が飛び、司会から「約3kgです」と補足が入る。メンバーが「じゃあ質問からもらおうか」と仕切り直し、「3kgくらいです」と答える阿部、「物知りやね!」とわざと感心してみせる阿部の姿に、佐久間が「テレビへの慣れが出てるなあ」とつっこんでいた。今回はラウール&目黒が「Breezer」、深澤&渡辺&宮舘が「Into the sky」、岩本が「卒業」、佐久間&向井&阿部が「MY FRIEND」をそれぞれ披露。ラウールは「俺とめめ(目黒)は楽屋に戻ったら、いつもふっかさんのラップに『かっこいいよね』と言ってハマってた」と明かす。深澤&渡辺&宮舘は今までよりも長い刀での殺陣で、宮舘は「長さもあってLEDもついているので、普通の刀より重量感があります」と語った。佐久間は「色々なフライングをやってきましたが、初めて"スリング"をやらせてもらって。滝沢くんから『腕の筋肉を見せてくれ』と言われたので、ほぼほぼ腕、ちょっと体を使うくらいのパワー系でいってます」と自身の見せ場を紹介。また怒涛の歌舞伎パートがある岩本が「捌けて次のスタンバイをする時に、まだ何も準備できてない状態で『あと20秒です!』と言われたのが初めてすぎて、さすがにちょっとびっくりしました」と苦労話をすると、深澤は「僕はメイクとか着替えとか全部終わって言われたのが『あと6分あります!』で、『あ、けっこうあるんだ』って」と余裕を見せていた。会見ではラウールが「身長が伸びたのではないか」と指摘される一幕も。ラウールが「実はハイヒールを履いてて。ずっとシークレットブーツ状態なのでそう見えるだけなので、本当は170cmです」と冗談を言うと、周囲は「嘘つけ!」総ツッコミ。ラウールは190cmを超えたという身長でアクリル板に「そろそろもう(越えそう)……頑張って」とエールを送り、「まだ10代なので」と今後の成長も期待させた。
2022年04月07日Snow Man(岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介)が主演を飾る『滝沢歌舞伎ZERO 2022』が4月6日、東京・新橋演舞場で初日を迎えた。開演を前にメンバーが取材に応じ、岩本は「本当にエネルギッシュな作品ですので、怪我に気を付けながら、一丸となって一公演、一公演を丁寧に作り上げ、お客様にエネルギーを届けたいと思います」と意気込みを語った。2006年に『滝沢演舞城』として誕生し、2019年にSnow Manに受け継がれた『滝沢歌舞伎 ZERO』。2020年には映画『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』として公開され、興行収入20億円を超える大ヒットを記録した。昨年上演された『滝沢歌舞伎ZERO 2021』は、Snow Manがデビュー後初となる公演で、縦横無尽に舞台を駆け回った。今回、“ホームグラウンド”である新橋演舞場での上演で「ここで過去と未来が交差し、特別な時間が流れるのが『滝沢歌舞伎 ZERO』。たくさんのエネルギーを受け取ってもらい、周りにいる人たちにパワーの輪を広げてもらえれば」(岩本)。演出も随所でパワーアップしており、向井は「何なら、この(取材の)時間も練習していたい!」とユーモアを交え、苦労を明かした。大きな見せ場となる連獅子について、佐久間は「これだけの人数でやるのは、まずないこと。回転数と言いますか、頭を振っている回数も人間の限界に挑戦している感覚。命を削っています」と真剣な表情。一方、深澤は「かつらは僕のだけ別注でした。かぶせてくれる方も苦労しながら『でっけえな』って(笑)」と笑いを誘い、渡辺は「首が痛いですが、(首を)回しているときに、客席も換気できていいのかなって。今の状況にはピッタリ」。また、ラウールは「身長に合わせて、(かつらの)髪の毛の長さが決まっている。僕が一番のロン毛」と“高身長あるある”を明かした。IMPACTors /ジャニーズ Jr.の佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我が共演し、「滝沢君(演出の滝沢秀明氏)は少しずつ僕たちに託してくれているし、これからは僕たちが後輩に伝えていかないと」(深澤)、「滝沢歌舞伎は Jr.の頃からお世話になっている場所。いろんなことを思い出しますし、後輩もいるので、ちゃんといい背中を見せられるようにと、常に考えている」(目黒)と後輩たちへの思いも語られた。取材・撮影・文:内田涼『滝沢歌舞伎ZERO 2022』Eternal Producer:ジャニー喜多川演出:滝沢秀明出演:Snow Man岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介IMPACTors /ジャニーズ Jr.佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我2022年4月6日(水)~2022年5月16日(月)会場:新橋演舞場(東京都中央区銀座 6-18-2)
2022年04月07日2022年4月6日(水)~5月16日(月)まで東京・新橋演舞場にて上演される『滝沢歌舞伎ZERO 2022』のビジュアルが公開された。2006年に『滝沢演舞城』として誕生し、2019年にSnow Manに受け継がれた『滝沢歌舞伎 ZERO』。2020年には映画『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』として公開され、興行収入20億円を超える大ヒットを記録。昨年上演された『滝沢歌舞伎ZERO 2021』は、Snow Manがデビュー後初となる公演で、縦横無尽に舞台を駆け回った。今回、滝沢歌舞伎のホームグラウンド・新橋演舞場に帰ってくる『滝沢歌舞伎ZERO 202』。公開されたビジュアルは、主演Snow Manの岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介9人のモノクロ写真がフィーチャーされたクールな1枚。出演はほかに、IMPACTors /ジャニーズ Jr.の佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我と、昨年に引き続き魅力的なキャストが集結した。演出は滝沢秀明が手がける。チケット発売は3月27日(日)より。『滝沢歌舞伎ZERO 2022』Eternal Producer:ジャニー喜多川演出:滝沢秀明出演:Snow Man岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介IMPACTors /ジャニーズ Jr.佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我2022年4月6日(水)~2022年5月16日(月)会場:新橋演舞場(東京都中央区銀座 6-18-2)【チケット発売日】3月27日(日)10:00より
2022年03月09日アイドルグループ・Snow Manが主演を務める舞台『滝沢歌舞伎ZERO 2022』のビジュアルが7日、公開された。同作は2006年よりジャニー喜多川が企画・構成・総合演出を務め、滝沢秀明が主演した和によるスーパーエンタテインメントシリーズ。2018年に滝沢が引退を表明した後、Snow Man主演で『滝沢歌舞伎 ZERO』として生まれ変わり、2020年には『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』が公開された。撮り下ろしのビジュアルは、Snow Manの岩本照、深澤辰哉、ラウール、 渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、 佐久間大介と9人の顔がモノクロで並べられたシンプルで力強いものに。Snow Manに加え、IMPACTors/ジャニーズJr.の佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我と、昨年に引き続き魅力的なキャストが集結した。演出は滝沢秀明が手掛ける。公演は4月6日〜5月16日を予定している。
2022年03月07日三月大歌舞伎が本日3月3日(木)、初日を迎える。時代物の名作、痛快な世話物、スペクタクル感あふれる演目などなど、光まぶしい早春の候にふさわしい演目が並び、人気俳優たちが顔を揃える。第一部は『新・三国志(しんさんごくし)』。平成11(1999)年、三代目市川猿之助(現・猿翁)により創出された、スーパー歌舞伎『新・三国志』。新たな演出・構想で歌舞伎座に初登場する。乱世を生きる関羽は、張飛、劉備と運命的な出会いをし、“夢見る力”を信じて、3人は桃園で義兄弟の契りを結ぶ。理想の世を作るために関羽たちは軍略に長けた孔明を軍師に迎え、いよいよ群雄割拠の時代を迎えることに。宿敵、曹操を打ち倒すため赤壁の戦いが始まる。勇士たちの姿を壮大なスケールで描き、スペクタクルに富む演出で人気を集めたスーパー歌舞伎シリーズ屈指の名作。今月は「関羽篇」として上演する。猿之助の関羽、中車の張飛、笑也が劉備を勤める。第二部一幕目は『河内山(こうちやま)』。質屋の上州屋の娘が、奉公する松江出雲守の屋敷に幽閉されていると聞きつけ、金目当てにその奪還を請け負ったお数寄屋坊主の河内山宗俊。河内山は上野寛永寺の僧になりすまして松江邸に赴く。大胆不敵な態度で煙にまくが……。河竹黙阿弥の七五調の名台詞とともに、弱きを助け強きをくじく河内山の粋で痛快な悪党の魅力をたっぷりと。仁左衛門の河内山、鴈治郎の松江出雲守、歌六の高木小左衛門で。二幕目は『芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)』。三遊亭円朝が生んだ人情噺の傑作だ。ある朝、大酒飲みで怠け癖のある魚屋の政五郎は芝浜海岸で大金の入った革財布を拾う。政五郎は早速酒盛りを始めるが酔いつぶれ寝入ってしまう。目を覚ますと女房おたつに夢を見ていたのだと諭される。政五郎は禁酒を誓い一念発起して仕事に励んでいたら……。宵越しの金は持たない。そんな江戸っ子気質の政五郎としっかり者の女房おたつ。江戸の町に息づく庶民の暮らし、夫婦の情愛を描いた人気狂言。菊五郎の政五郎、時蔵が女房おたつを勤める。第三部一幕目は『信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまかっせん)』。名高い上杉謙信と武田信玄の合戦を、近松門左衛門がドラマチックに描く。越後の大名長尾輝虎(後の上杉謙信)は、敵対する武田信玄の名軍師山本勘助を味方につけようと画策。勘助の妹である直江山城守の妻唐衣を利用し、勘助の母越路と妻お勝を館に呼び寄せて……。絢爛かつ緊迫感あふれる時代狂言を。芝翫の長尾輝虎、雀右衛門のお勝、幸四郎の直江山城守、孝太郎の唐衣、魁春の越路。二幕目は『石川五右衛門(いしかわごえもん)』。大盗賊石川五右衛門は勅使に化けて足利邸に乗り込み、饗応役として現れた此下久吉と対峙する。実はふたりは幼なじみ。かつて同じ盗賊仲間だったのだ。意外なところから本性を見顕されるが、まんまと幕府の重宝である御正印を盗み妖術を使って逃げていく。先行作からの名場面や人気のせりふを再構成した五右衛門ものの集大成だ。久吉と旧交を温める場面や「つづら抜け」の宙乗りなど意外性に富んだ展開が楽しい。幸四郎の石川五右衛門、錦之助の此下久吉。文:五十川晶子歌舞伎座三月大歌舞伎2022年3月3日(木)~2022年3月28日(月)会場:東京・歌舞伎座★『石川五右衛門』の“つづら抜け”の宙乗りについては、新連載「ゆけ!ゆけ!歌舞伎“深ボリ”隊!!」にて松本幸四郎さんに詳しくお話を聞いています。こちらも要チェック!記事は こちら()
2022年03月03日歌舞伎俳優の市川海老蔵が、「六本木歌舞伎2022 『ハナゾチル』(『青砥稿花紅彩画』より)」の上演を前に取材に応じ、「古典を尊重しながら、新しい角度で楽しんでいただけるものになれば」とアピール。共演する戸塚祥太(A.B.C-Z)に対しては、「身体能力が高いですし、パルクールみたいなものにも挑戦してほしい。まだ伝えていませんけど(笑)」と期待を寄せた。今回「六本木歌舞伎」の題材は『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』。石川五右衛門、鼠小僧次郎吉と並び、古くから人々に親しまれている盗賊5人との活躍を描く名作をベースに、現代を生きる青年(戸塚/浜松屋跡取りの宗之助の二役)が“タイムリープ”し、幕末の盗賊一味と新たなストーリーを織りなす。白波が打ち寄せては消える潔さ、儚さを想起させる“白浪五人男”になぞらえ、散ることを知りながら、咲くことを恐れない桜をイメージし『ハナゾチル』と名付けられた今回。「戸塚さん演じる現代の青年が、その時代の人々とコミュニケーションを取りながら、当時の若者たちのポテンシャルや生きざま、心構えを現代に持ち帰るといったお話しになる予定です。戸塚さんが戸塚さんご本人として登場するので、ファンの皆さんも見やすいはずですし、古典も面白いんだぞと提示できれば。特にEXシアターは、若いお客様が多いので、盛り上がりがダイレクト。花道も感染対策はしっかりしながらも、想像以上に客席と近いので臨場感にあふれると思います」(海老蔵)過去には中山優馬(2017年6月『ABKAI』出演)、三宅健(2019年2,3月『六本木歌舞伎』出演)、Snow Manの宮舘涼太・阿部亮平(2019年11月『ABKAI』出演)との共演経験もあり「ジャニーズ事務所の皆さんは、本当に情熱があり『あきらめないな』といつも思います。歌舞伎は独特な演出方法もあって、それを何十回も稽古する姿には、胸を打たれる」と賛辞を惜しまなかった。三池崇史が監修として参加。日本舞踊の宗家藤間流八世宗家で舞踊・振付・演出と幅広く活躍する藤間勘十郎が演出を担当し、歌舞伎音楽とロック音楽を融合させ、弁天小僧菊之助がたっぷりと歌舞伎世話物狂言の醍醐味を見せる。「勘十郎さんとはもう10年以上のお付き合い。音楽的センス、特にバランス感覚が良くて、脚本を読む力もある。彼なりの世界観に任せ、今回、私は台本も演出もノータッチ」と全幅の信頼を寄せていた。取材・文・写真=内田涼【公演概要】『六本木歌舞伎2022『ハナゾチル』(『青砥稿花紅彩画』より)』脚本:今井豊茂 / 演出:藤間勘十郎監修:三池崇史出演:市川海老蔵戸塚祥太(A.B.C-Z)中村児太郎市川右團次他チケット料金:一等席 14,000円、二等席 10,000円(全席指定・税込)前売開始:12月19日(日)協力:全栄企画株式会社 / 株式会社ちあふる製作:松竹株式会社■東京公演日程:2022年2月18日(金)~3月6日(日)会場:EXシアター六本木お問合せ:Zen-A(ゼンエイ)03-3538-2300(平日11:00〜19:00)主催:株式会社3Top / テレビ朝日/読売新聞社/六本木歌舞伎実行委員会東京公演チケット情報■福岡公演日程:2022年3月11日(金)~3月13日(日)会場:福岡サンパレスホテル&ホールお問合せ:西日本新聞イベントサービス 092-711-5491(平日9:30〜17:30)主催:六本木歌舞伎実行委員会/(西日本新聞社他)■大阪公演日程:2022年3月18日(金)~3月21日(月・祝)会場:フェスティバルホールお問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00〜16:00※日祝休業)主催:読売テレビ/サンライズプロモーション大阪
2022年02月08日歌舞伎の世界を近くの映画館で手軽に楽しめるシネマ歌舞伎を、毎月上映する《月イチ歌舞伎》が2022年度も開催されることが決定した。この度、2022年4月から2023年1月まで上映される幅広いラインナップが発表された。この《月イチ歌舞伎》では、毎月1週間ずつ(新作は3週間)シネマ歌舞伎が上映される。ラインナップは古典の名作から漫画原作の話題作、華やかな舞踊まで、多岐にわたっており、自分の興味などに合わせて、好きな作品を近くの映画館で気軽に、低価格で歌舞伎の世界を楽しむことができる。《月イチ歌舞伎》開催にあわせて2月4日(金)よりお得な特別鑑賞ムビチケカード3枚も発売される。『桜姫東文章』今回の幕開けは、片岡仁左衛門・坂東玉三郎が出演した奇跡の舞台、最新作シネマ歌舞伎『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』に決定。上の巻は4月8日(金)、下の巻は4月29日(金)に全国で公開される。続いて、現代に通じる若者の孤独と狂気を描いた仁左衛門出演の『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』、幸福感あふれる上方歌舞伎の名作に仁左衛門・玉三郎が出演した『廓文章吉田屋(くるわぶんしょうよしだや)』と、仁左衛門&玉三郎の魅力をたっぷり堪能できる作品が並ぶ。仁左衛門はぞっとするほど残酷な悪役から品のいい色男まで、玉三郎は道ならぬ恋に身を落とす姫君から健気な傾城まで、多彩な役柄をそれぞれ華麗に演じ分けるふたりに注目だ。また、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で話題の三谷幸喜による作・演出で、同作に出演の市川猿之助・片岡愛之助・坂東彌十郎・市川染五郎も出演する人気歴史漫画原作の『三谷かぶき月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち』や、11月1日のジブリパーク開園にちなんで、スタジオジブリ関連作品初の歌舞伎化で評判となった宮崎駿原作の 『新作歌舞伎風の谷のナウシカ』をラインナップ。人気少年漫画「ONE PIECE」を歌舞伎化した話題作『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』とあわせて人気漫画原作の新作歌舞伎が3作上映される。さらに、奇才・野田秀樹の作・演出、中村勘三郎出演の『野田版鼠小僧』、勘三郎渾身の舞台を収録した古典の名作『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみしし)』、玉三郎が中村勘九郎、中村七之助とともに出演した美しさと迫力あふれる『二人藤娘(ににんふじむすめ) /日本振袖始(にほんふりそではじめ)』と、バラエティに富んだシネマ歌舞伎が盛りだくさんとなっている。《月イチ歌舞伎》上映作品一覧4月8日(金)~4月28日(木) 『桜姫東文章 上の巻』※新作4月29日(金)~5月19日(木) 『桜姫東文章下の巻』※新作5月20日(金)~5月26日(木) 『女殺油地獄』(仁左衛門)6月24日(金)~6月30日(木) 『廓文章 吉田屋』7月22日(金)~7月28日(木) 『野田版 鼠小僧』8月12日(金)~8月18日(木) 『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』9月30日(金)~10月6日(木) 『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』10月21日(金)~10月27日(木) 『新作歌舞伎風の谷のナウシカ 前編』11月11日(金)~11月17日(木) 『新作歌舞伎風の谷のナウシカ 後編』12月2日(金)~12月8日(木) 『春興鏡獅子』2023年1月6日(金)~1月12日(木) 『二人藤娘/日本振袖始』《月イチ歌舞伎》(2022)公式サイト※上映館等の詳細はこちらをご確認ください。
2022年02月02日アイドルグループ・Snow Manが主演を務める舞台『滝沢歌舞伎ZERO 2022』が新橋演舞場にて上演されることが2日、明らかになった。同作は2006年よりジャニー喜多川が企画・構成・総合演出を務め、滝沢秀明が主演した和によるスーパーエンタテインメントシリーズ。2018年に滝沢が引退を表明した後、Snow Man主演で『滝沢歌舞伎 ZERO』として生まれ変わり、2020年には『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』が公開された。昨年は『滝沢歌舞伎ZERO 2021』として、新橋演舞場・御園座にて上演され、Snow Manのデビュー後初となる公演となった。この度『滝沢歌舞伎ZERO 2022』として、ホームグラウンド・新橋演舞場に帰って来る。主演は、Snow Manの岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介。出演は、IMPACTors/ジャニーズJr.の佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我と、昨年に引き続き魅力的なキャストが集結した。演出は滝沢秀明が手掛ける。公演は4月6日〜5月16日を予定している。
2022年02月02日『滝沢歌舞伎ZERO 2022』が4月6日(水)~5月16日(月)まで新橋演舞場にて上演されることが決定した。2006年に『滝沢演舞城』として誕生し、2019年にSnow Manに受け継がれた『滝沢歌舞伎ZERO』は、2020年に映画『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』として公開。興行収入20億円を超えるヒットを記録した。昨年は『滝沢歌舞伎ZERO 2021』として、新橋演舞場・御園座にて上演し、デビュー後初となる公演となるSnow Manが縦横無尽に舞台を駆け回ったことも記憶に新しい。そしていよいよ『滝沢歌舞伎ZERO 2022』として、滝沢歌舞伎のホームグラウンド・新橋演舞場に本作品が返ってくる。主演は、Snow Manの岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介。出演は、IMPACTors / ジャニーズJr.の佐藤新、基俊介、鈴木大河、影山拓也、松井奏、横原悠毅、椿泰我と、昨年に引き続き魅力的なキャストが集結。もちろん、演出は滝沢秀明が手掛ける。進化を続ける日本を代表する和のスーパーエンターテインメント『滝沢歌舞伎ZERO 2022』に期待しよう。■公演情報『滝沢歌舞伎ZERO 2022』4月6日(水)~5月16日(月)上演会場:新橋演舞場観劇料(税込):S席(1・2階)13,000円 / A席(3階)7,000円チケット発売日:3月27日(日)10時よりチケット発売
2022年02月02日「一世一代と銘打たせていただきました」。歌舞伎俳優の片岡仁左衛門が「義経千本桜渡海屋・大物浦」で渡海屋銀平実は新中納言知盛を勤めるのは、この『二月大歌舞伎』が最後となる。「役者には完成というものはないですし、まだまだ勉強したい、まだまだやりたいんですけれど、いかんせん体力がきつい。20kg近い衣裳を身に着けますのでね。この次やらせていただくチャンスがあっても、果たして1ヶ月間自分の納得いくやり方ができるかどうか、お客様に対して恥ずかしくない芝居ができるかどうか。(最後だと)謳っておかないと役者はどうしてもまたやりかねないので自分でブレーキをかけました。今回が最後と言えば、”次でええか”と思っていたお客様にも来ていただける。それを狙ってます(笑)」と語る。『義経千本桜 渡海屋・大物浦』(H29.3歌舞伎座)銀平実は知盛=片岡仁左衛門(C)松竹源氏への復讐を遂げようと凄まじい執念で源義経に迫る知盛。初演は平成16年4月の歌舞伎座だった。「知盛を勤めた先輩方は既にいらっしゃらない。紀尾井町のおじさん(二世尾上松緑)と河内屋のおじさん(三世實川延若)を参考に、私なりにアレンジさせていただいて、私の型を作り上げました。ですからこの狂言には愛着を感じております」と語る。物語を重視する大阪と、役者の見せ方を大事にする東京と、双方のやり方をミックスして知盛を描いてきたという。大物浦の瀕死の知盛が、自身に刺さった矢を抜き、その血で喉を潤す場面も凄まじい。『義経千本桜 渡海屋・大物浦』(H29.3歌舞伎座)銀平実は知盛=片岡仁左衛門(C)松竹「これは東京の先輩方はなさらない、河内屋のおじさんはなさっています。薙刀を舐める型もあり、どちらかにしようと思っています。壮絶な雰囲気を何とか出したいですね」。東西をミックスした、いわば「仁左衛門型」の知盛だ。「今回で消えるかもしれませんから、せいぜいよく見といてください(笑)。こればっかりはなさる人が(どの型で勤めるか)選ぶことなので、こちらの方から売り込むものではないんです。(仁左衛門型で)勤めたいと言ってくれる方が現れればもちろん伝えようと思います」。『三月大歌舞伎』で勤める『河内山』の河内山宗俊についても触れた。「これも好きな狂言です。私が勤めるときは必ず『質見世』の場から上演することにしているんですね。そうでないと初めてご覧になるお客様には、台詞だけでは何が起きているのかわからないと思いますので」。河内山宗俊は幕府お抱えのお数寄屋坊主。上野寛永寺から使わされた北谷道海という高僧に化け、単身松江候の屋敷へと乗り込む。『河内山』(H27.1大阪松竹座)河内山宗俊=片岡仁左衛門撮影:福田尚武「どんな悪人であっても、河内山がご直参であることを頭に置いておかなくてはなりません。下品にならないように。人間の大きさが出るように。かといってことさらに大きく見せるのではなく、今までの積み重ねを自然に出せればと思いますね」。悪に強きは善にもと、という河竹黙阿弥らしい七五調の台詞で知られる。「七五調で気をつけないといけないのは、言葉のリアルさを失いやすいことなんです。下座に乗って同じリズムで言うと、お客様が言葉の中から受け取れる意味が少なくなりがちなんですよ。リズムの運びを変える、緩急をつけることで頭に入ってくる言葉の意味が増えると思っていますので、そこは気をつけたい」。『河内山』(平成24年2月新橋演舞場)河内山宗俊=片岡仁左衛門(C)松竹勤めるたびに台本を読み込み、どういう人物か、何が起きているのかが分かりやすく伝わるよう腐心する。「役が決まるとまずは映像を見てみる。そうすると自分でも分かりにくいところが出てくるので、そこから台本にチェックを入れていきます。自分で分からなかったらお客様も分かりにくいはず。お客様に分かっていただかないと値打ちがないですから。イヤホンガイドもありますが、できれば私の言葉でストレートにお客様の気持ちに訴えられればと思います」。片岡仁左衛門(C)松竹『二月大歌舞伎』は2月1日(火)から25日(金)まで、『三月大歌舞伎』は3月3日(木)から28日(月)まで、東京・東銀座の歌舞伎座にて。取材・文:五十川晶子
2022年02月01日冬景色の中に時折春の兆しを目にする如月。歌舞伎座では義太夫狂言の傑作から世話物、新歌舞伎、歌舞伎舞踊など芝居好きにはこたえられない狂言が揃った。第一部一幕目は新作歌舞伎の人気狂言『御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』。次期将軍と目される徳川綱豊卿の別邸ではお浜遊びが行われている。そこへ見物したいと願い出たのが元赤穂浪士の富森助右衛門。そのわけとは。ふたりの台詞のやりとりに緊迫感がみなぎって……。真山青果の代表作『元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)』の一幕だ。中村梅玉の綱豊、尾上松緑の助右衛門、中村東蔵の新井勘解由、中村魁春の江島。二幕目は獅子物と呼ばれる歌舞伎の舞踊の一つ『石橋(しゃっきょう)』。唐の国の清涼山にある聖なる石橋に、獅子の精達が顕れる。牡丹の花と戯れて、やがて力強い獅子の踊りを見せる。能の「石橋」から材を得た舞踊。獅子の毛ぶりなど躍動感たっぷりの踊りが見どころだ。中村錦之助ほかの出演。第二部一幕目は『春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)』。早春の候、工藤祐経の館に現れた曽我十郎と曽我五郎の兄弟。父の敵を前にいきり立つふたりを静御前が諫める。やがて三人は春の七種の行事を織り込んだ、美しく春らしい踊りを踊る。二幕目は歌舞伎三大名作の一つ『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』の二段目『渡海屋・大物浦』。渡海屋銀平の船問屋で、九州へと落ちのびる源義経の一行が船出を待っている。この銀平、実は平知盛。平家再興をもくろみ、亡霊の姿を借り海上で義経たちを討とうとする。悪鬼のような凄まじい闘いの末、壮絶な最期を遂げる。片岡仁左衛門が渡海屋銀平実は平新中納言知盛を一世一代として勤める。第三部一幕目は『鬼次拍子舞(おにじひょうしまい)』。京の外れの山中で山樵(やまがつ)に身をやつした男がひとりの白拍子と出会い、ともに踊り始めるが、白拍子は色仕掛けで男から笛を奪おうとする。男は実は主の源義朝を殺害した長田太郎で、その功により平家の大名となっていた。白拍子と長田の問答は虫づくしの歌詞となっており、手踊りから立廻りへと展開していく古風さにあふれた洒落た舞踊劇だ。中村芝翫の山樵実は長田太郎、中村雀右衛門の白拍子。二幕目は『鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)』。刀屋新吉と芸者のお元は恋仲だが、横恋慕する侍から大金百両と大事の刀を奪われてしまう。心中を決意したふたりを止めに入った稲葉幸蔵。この男が義賊と名高い鼠小僧だった。河竹黙阿弥が五代目尾上菊五郎に書き下ろした人気作。六代目、そして当代の菊五郎も演じてきた音羽屋ゆかりの狂言だ。尾上菊之助の稲葉幸蔵、中村雀右衛門の大黒屋抱え松山、中村歌六の辻番与惣兵衛。今月もひきつづき客席は間隔を開けた2席並びの配置となっている。チケット入手の際には確認を。※第三部『鬼次拍子舞』に出演を予定していた中村芝翫は新型コロナウイルス感染症 「陽性」であることをうけ、当面の間休演。「山樵実は長田太郎」役は坂東彦三郎が務める。(最新情報は歌舞伎美人ホームページ にてご確認ください 。文:五十川晶子『二月大歌舞伎』2022年2月1日(火)~2022年2月25日(金)会場:東京・歌舞伎座
2022年02月01日アイドルグループ・A.B.C-Zの戸塚祥太が23日、都内で行われた『六本木歌舞伎2022』制作発表会見に、歌舞伎俳優の市川海老蔵とともに出席。歌舞伎初挑戦の意気込みを語った。第4回となる今回の『六本木歌舞伎』は、十三代目市川團十郎白猿襲名を控えている市川海老蔵、そして、アクロバットやダンスなど華麗なパフォーマンスを得意とするA.B.C-Zの戸塚祥太らが出演。戸塚は歌舞伎に初挑戦となる。戸塚は、冒頭の挨拶でマイクのスイッチを入れ忘れ、「すみません、緊張していてマイクがオフになっていました」と照れ笑い。「自分がまさか市川海老蔵さんのお隣に立てる日が来ると思ってなかったので、すごく気持ちが昂っていて、高揚していて、いろんな感情が入り混じっているのですが、これまでやったことがない歌舞伎への挑戦、しっかりと体に叩き込ませて、自分に与えられた役割を全うしていきたいと思います」と決意を語った。また、歌舞伎に対するイメージについて、「日本の宝、伝統芸能、代々受け継がれてきたものという印象です」と述べ、「ここから知らないこともさらに勉強していって、いただいた役をしっかりできるように歌舞伎の世界に染まっていきたいと思っています」と気を引き締めた。『六本木歌舞伎』への出演が発表されてからA.B.C-Zのメンバーから何かリアクションはあったか聞かれると、「メンバーからは今のところまだ何もいただいておりません。今後たぶんどしどし来てくれると思う。メンバー、コメント募集してますよ!」とメッセージを送り、笑いを誘った。『六本木歌舞伎2022』東京公演は2022年2月18日~3月6日にEXシアター六本木にて、福岡公演は3月11日~13日にサンパレスホテル&ホールにて、大阪公演は3月18日~3月21日にフェスティバルホールにて上演する。題材として取り上げるのは、『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』。この作品をベースに、歌舞伎音楽とロック音楽を用いながら、弁天小僧菊之助が歌舞伎世話物狂言の醍醐味を見せる場面をはじめ、時空を超えて、現在社会を騒がせる窃盗団と幕末の江戸市中において人々の耳目を集めた盗賊一味が織りなす物語となる。
2021年12月23日2022年1月に東京・新橋演舞場にて上演されることが発表された新作歌舞伎『プペル~天明の護美人間~』。大ヒットした映画の歌舞伎化とあって大きな話題を呼ぶなか、一部の歌舞伎ファンからは批判を浴びているのだ。各メディアによると、原作は、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣(41)が製作総指揮などを手掛けたアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』。主人公のプペルは歌舞伎俳優の市川海老蔵(43)が演じ、玄(げん・絵本ではルビッチ)は市川ぼたんと堀越勸玄が交互に演じると報じられている。また海老蔵は意気込みについて次のようにコメントしたという。「西野さんとはご縁があり、『現代の世では難しくなりつつある、信念と共に諦めない想いを歌舞伎として描きたい』と熱望させて頂きました。この作品によって、皆さまに少しでも前向きな思いや勇気づけられましたらうれしく思います」展開するオンラインサロンの会員数が5万人を超えるなど、一部で絶大な人気を誇る西野。それだけに彼の代表作の歌舞伎化には多くのファンが快哉を叫んだ。《確かにこれはヤバい。やっと発表されて嬉しい。》《西野さんの惜しみないエンタメ魂にワクワク堪らん》しかし、いっぽうで歌舞伎文化を愛する人からは批判の声も……。「公開された公演ポスターには海老蔵さん、ぼたんさん、勸玄さんの3人の名前が同じ大きさで並んでいます。しかし、歌舞伎界の常識では、まだキャリアも実績もないぼたんさんと勸玄さんが海老蔵さんと同じ大きさで同列に名前が並ぶのは異例なんです。いくらお子さんとはいえ、“さすがにちょっと……”と困惑するファンは少なくありません」(芸能関係者)歌舞伎ファンが困惑する最たる例はチケットの値段だ。SS席から7段階にランク分けされている座席だが、SS席は3万円。2階最前列のS席も2万円という設定だ。しかし、3万円ほどのチケットはなかなかお目にかかれないという。たとえば、東京・歌舞伎座で2021年10月現在上演中の「十月大歌舞伎」で、最も高額な一等席で1万5千円。大阪・松竹座で上演中の「十月花形歌舞伎GOEMON」の一等席は1万4千円と、プペルの半額だ。こうした業界の“常識”を覆すプペルに違和感を表明する歌舞伎ファンが続出している。《プペル歌舞伎のチケット、普段の歌舞伎の倍額くらいでビビる》《なぜこの値段設計なんだろ?肌感覚的に違和感が拭えない》《プペル歌舞伎で歌舞伎クラスタの方たちが「(自分の)贔屓が関わりませんように」って言ってるのが全てを物語っている》話題作の歌舞伎化。意気込みで語った「前向きな思い」は届けられるだろうか。
2021年10月06日大看板から花形、若手まで賑やかな顔ぶれが揃い妍を競う10月の歌舞伎座。演目も、洒落た歌舞伎舞踊に時代狂言、抱腹絶倒の世話狂言と、バランスよく贅沢な狂言建てとなっている。第一部一、天竺徳兵衛新噺小平次外伝御家追放となった小平次は女房のおとわと故郷の小幡で暮らしていた。ところが小平次が留守の間におとわは馬士の多九郎と不義密通を。ある日、多九郎は邪魔になった小平次を殺そうと毒薬を手に入れる。三代猿之助四十八撰の内の一つで、実在の人物天竺徳兵衛を描いた物語に四世鶴屋南北『彩入御伽草子』の小平次の怪談を取り入れた歌舞伎らしい荒唐無稽さ溢れる一本だ。今回は小平次の物語に焦点をあて、早替り、幽霊の仕掛けを盛り込んでスピーディーに展開していく。二、俄獅子多くの人々で賑わう江戸の吉原の様子を描いた長唄舞踊だ。洒落た歌詞に合わせ、粋でいなせな鳶頭に華やかな芸者が登場。芸者や太鼓持ちが仮装をし踊りながら練り歩いた、吉原の三大行事のひとつ「吉原俄」を思わせる。江戸の廓の風情と獅子物の面白さを味わいたい。第二部一、時平の七笑平安時代。左大臣の藤原時平は謀反の疑いをかけられた右大臣の菅原道真をかばうが、ついに道真謀反の証拠が。道真は時平に天皇の守護を頼み去っていくが、ひとりになった途端時平は、こらえきれずに笑い出し……。『菅原伝授手習鑑』でも敵役として描かれる藤原時平が、ここでは前半いかにも善人といった様子で登場する。ひとり肩をふるわせてさまざまな笑いを見せる場面がみどころのひとつとなる。二、太刀盗人田舎者の万兵衛から、黄金造りの太刀を盗むすっぱの九郎兵衛。万兵衛が騒ぎ立てるが、太刀は自分のものだと言い合う。本当の持ち主を見極めるため問答に。九郎兵衛は先に問に答える万兵衛の様子をこっそり盗み聞きするのだが……。「松羽目物」のひとつで、田舎者の万兵衛とスリの九郎兵衛のふたりが一拍ずつ遅れて踊る趣向にワクワクさせられる。第三部一、松竹梅湯島掛額本郷駒込の吉祥院へ、「紅長(べんちょう)」の名で知られる紅屋長兵衛たちが木曽の軍勢から逃れてくる。一方八百屋お七は小姓吉三郎との叶わぬ恋を嘆いている。紅長はお七をつけ狙う源範頼の家来からお七を匿うため欄間へ隠してやる。だが雪の夜、吉三郎に会いたい一心で、お七は火の見櫓へ上り木戸を開けさせるために鐘を叩く。紅長は、かけると身体がぐにゃぐにゃになる“お土砂”を使ってお七の恋を助ける。この「吉祥院お土砂の場」に抱腹絶倒だ。「火の見櫓の場」ではお七が「人形振り」で吉三郎への思いの丈を表現する。二、喜撰桜満開の京都へ現れた喜撰法師。法師は茶汲み女お梶に見とれ二人のクドキに。ほろ酔い気分の喜撰は迎えにやってきた大勢の所化たちと賑やかに踊り庵に帰っていく。『六歌仙容彩』は天保2(1831)年初演の変化舞踊。なかでも「喜撰」は、桜の枝を錫杖に見立ててのチョボクレや住吉踊りなど、洒脱で軽やかさが人気の舞踊だ。文:五十川晶子『十月大歌舞伎』2021年10月2日(土)~2021年10月27日(水)会場:東京・歌舞伎座
2021年10月02日歌舞伎俳優市川九團次プロデュースブランド【Re;sonate(リゾネイト)】わずかな動きを振動エネルギーに変えて宝石が揺れ続ける【ダンシングストーン】が世界中で大ヒットしている株式会社クロスフォー(本社:山梨県甲府市、代表取締役社長:土橋秀位、東証ジャスダック上場<証券コード7810>、以下「クロスフォー」)が、歌舞伎俳優・市川九團次さんプロデュースによる日本の伝統文化をテーマにしたジュエリーブランド【Re;sonate(リゾネイト)】が本格デビュー。11月からは全国催事での導入スタートを予定。歌舞伎俳優市川九團次プロデュースブランド【Re;sonate(リゾネイト)】プロデューサーである市川九團次さんインタビュー動画ブランドコンセプト伝統と革新の融合。本物を知る大人の女性に贈る、上質さの中に“華やかさ”と“粋な遊び心”を感じさせるジュエリー。ブランド名であるRe;sonateに込めた想いReは繰り返しを表し、sonateは器楽を使った音楽(奏鳴曲:ソナタ)のこと。音楽と同じように、長きに渡って人々を魅了する優れた物語は、見るたびにそして、見る人の状況や心境によって異なる輝きを放ち続ける。Re;sonateは歌舞伎などの日本の伝統文化をテーマに、身に着ける方の心に直接語り掛けるストーリー性のあるデザインを展開するジュエリーブランドです。全国の催事での導入も決定!”身を焦がすほどの愛に生きた女性”がテーマの【恋蛍】など新シリーズも続々。京鹿野娘道成寺の清姫をテーマにした【情念】妹背山婦女庭訓の雛鳥をテーマにした【覚悟】6月のプレローンチに発表した、Re;sonate第一弾シリーズ【花ひらく】のみクロスフォーオンラインショップでも取り扱っておりますが、Re;sonateブランドの商品は現時点で、全国のジュエリー催事のみでの取り扱いとなっております。11月からは全国催事での導入も決定し、すでに発表している【花ひらく】シリーズの他に、恋い焦がれる女心を蛍の火に例えた【恋蛍】シリーズ、歌舞伎演目の中でもその益荒男ぶり画際立つ男性をテーマにした【千両役者】シリーズ、日本における神話の中から代表的な神様をモチーフにした【天地開闢】シリーズ、歌舞伎の中でも大役とされる3人の姫をモチーフにした【歌舞伎三姫】シリーズなどが店頭に登場いたします。公式インスタグラムでは今後の催事情報を発信するほか、隈取タイニーピンのプレゼント企画も実施中!Re;sonate公式インスタグラムでは、今後の新商品や全国の催事情報を発信。なお、ブランドの本格デビューを記念して、9月27日(月)~10月11日(月)まで、Re;sonate公式インスタグラムでは歌舞伎の隈取タイニーピン(非売品)プレゼントキャンペーンを実施中。歌舞伎と言えば、見得。そして目ヂカラ。その目にダンシングストーンをあしらい、わずかな動きで目がキラキラと輝くユーモアあふれるタイニーピン。動画内でも九團次さんが着用されているものと同じデザインで、歌舞伎ファンにはたまらない逸品です。目がダンシングストーンに!プレゼントの隈取タイニーピン(非売品)動画動画内で九團次さんも着用している隈取タイニーピンプレゼントキャンペーン応募方法①Re;sonate公式インスタグラムをフォロー( )②キャンペーンの投稿をリポストするだけで応募完了!※10月中旬を目途に当選者様へは発送致します。instagram投稿 : プロデューサーを務める市川九團次市川九團次プロフィール1972年4月4日千葉県野田市生まれ。1998年坂東竹志郎を名乗り初舞台。2005年四代目坂東薪車襲名。2014年市川海老蔵門下となり、市川道行を名乗る。2015年市川九團次を襲名。市川海老蔵一門として全国並びに世界各国で公演を行うほか、2016年には九團次として初めての自主公演「九團次の会」を開催し、3年目となる2018年には全国11か所にて13公演を勤め上げた。テレビCMやバラエティ番組にも多数出演するほか、歌舞伎をより多くの人に知ってもらいたいと、学生や一般の方へのワークショップを行うなど、歌舞伎以外でも幅広く活躍中。≪出演・受賞歴など≫・・・ライザップ(CM)/日本テレビ「News Every」特集ナレーション担当/雑誌「GINGER」WEBサイトにてレシピ連載/市川海老蔵「古典への誘い」/ドラマ「あの子が生まれる」(フジテレビオンデマンドFOD)/十三夜会賞奨励賞受賞(2005年)/咲くやこの花賞受賞(2006年)/十三夜会賞奨励賞受賞(2011年)■株式会社クロスフォー会社概要会社名:株式会社クロスフォー代表取締役社長:土橋秀位東証JQS上場:<証券コード7810>所在地:〒400-0043山梨県甲府市国母7-11-4設立: 1987年8月事業内容:ジュエリー・アクセサリーの輸入・製造・販売URL: オンラインショップ: 1980年に宝石輸入販売会社として山梨県甲府市に誕生。宝石の中に十字の輝きを持たせるクロスフォーカットを開発(特許取得)。2007年には香港子会社を設立し海外進出を果たし、2010年にさらなる研究を重ね、特殊な構造で石が揺れ続ける独自技術のダンシングストーンを開発(特許取得)。その技術と品質は様々なブランドから高い評価を得て、今ではダンシングストーンは世界中で愛されるまで成長しております。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年09月27日『眠狂四郎』シリーズを始めとする大映時代劇の花形スター、市川雷蔵。その歌舞伎役者時代にスポットをあてた『歌舞伎役者 市川雷蔵』が、このほど、中央公論新社から出版された。著者は演劇ジャーナリスト、大島幸久さん。1969年に逝去してから50年以上過ぎても”雷様”と慕うファンは多い。大映映画は毎年のように、大規模な回顧上映が行われていて、雷蔵出演作品は人気プログラムだ。そこで観てファンになった若い人も相当数いるという。映画俳優としての雷蔵については、多くの著作や写真集が出版されているが、歌舞伎役者の雷蔵は著作が見当たらない。関西歌舞伎の名門、市川寿海の芸養子となり、八代目市川雷蔵を襲名してまもなくの映画界への転身、その理由など、まだ知られていない謎を探ろうという企画だ。著者の大島さん自身は、歌舞伎時代の生の舞台は観ていない世代だが、文献資料だけでなく、当時を知る先輩ジャーナリストや演劇評論家、関係者に取材し、まとめた。映画俳優時代も、オープンしたばかりの日生劇場で歌舞伎公演を行うなど、舞台に立って活躍していたが、その頃の写真も多く収録されている。これが実に二枚目。歌舞伎役者時代はほんの8年間だが、さぞかし雰囲気のある役者だったと想像される。同じように、歌舞伎界から転身し、映画スターになった萬屋錦之介は、雷蔵とも親しく、交流があった。「きれいでしたからね。何ともいえぬ色気があって……ことに歌舞伎の白塗りなんかのとき……」と後年コメントを残している。その錦之介を始め、歌舞伎時代の仲間でもあった坂田藤十郎ら、名優たちとのエピソードは、とても興味深い。『歌舞伎役者市川雷蔵 のらりくらりと生きて』大島幸久著 / 中央公論新社 / 2,200円(税込)ぴあアプリ「水先案内人」大島幸久さんのおすすめ演劇公演はコチラ
2021年09月14日芸能界で活躍する人たちの中には、本名ではなく芸名で活動している人が一定数います。よくテレビ番組で見かける俳優やタレントが、芸名で活動していることを知り、「本名じゃなかったの!?」と驚くことは多々あるでしょう。タレントの滝沢カレンさんは、2021年8月17日に放送されたバラエティ番組『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)で芸名であることを明かし、ネット上で「知らなかった」などの声が多く寄せられました。滝沢カレン、本名を明かす芸名の話になった際に、司会である明石家さんまさんから「カレンちゃんも本名やもんね」と振られた滝沢さん。すると、「私は本名じゃない。本当のウソの名前なので…」と、持ち前の独特ないい回しで『滝沢カレン』という名前は芸名だと明かしたのです。「本名はいっていいの?」と明石家さんが尋ねると、姓か名のどちらかなら明かしてもかまわないといいます。滝沢さんは、姓ではなく名のほうを選択。「かわいい」といった声が上がった名前は…。下が「まりな」っていいます。踊る!さんま御殿!!ーより引用本名は『まりな』ということを明かした滝沢さん。ネット上では突然の滝沢さんの本名公開について反響が上がっていました。・芸名だったんだ!知らなかった。まりなちゃんもかわいい。・イメージと違った!そうなると名字も気になる。・そうだったんだ…。本名も芸名もかわいいな。名前だけ明かされた滝沢さんの本名。気になる名字も今後明かされるかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2021年08月19日Snow Man主演『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』が、本日8月7日よりNetflixにて配信開始された。故ジャニー喜多川氏が企画・構成・総合演出を務め、2006年より上演されていた『滝沢歌舞伎』。2019年に『滝沢歌舞伎ZERO』として、演出・滝沢秀明、主演・Snow Manで新たなステップを登った舞台が映画と融合して公開された。『滝沢歌舞伎ZERO』の舞台を撮影しデジタル映像化するだけではなく、映画用に今回全て新撮、「腹筋太鼓」やアクション、ダンスなど肉体の迫力と「鼠小僧」のコミカルな舞台の楽しさはそのままに、今までの舞台ではなかったシーンも新たに描かれた。特に「鼠小僧」の芝居では舞台を飛び出し、ロケでの撮影を実行している。興行収入は21億円を超え、4月に発売したBlu-ray&DVDも累計約40万枚の特大ヒットを記録。かつてない興奮の映像体験を、Netflixでも、あますところなく堪能して欲しい。『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』Netflixで配信: Producer:ジャニー喜多川/監督:滝沢秀明/振付:五関晃一(A.B.C-Z)出演:Snow Man(岩本照、深澤辰哉、ラウール、渡辺翔太、向井康二、 阿部亮平、目黒蓮、宮舘涼太、佐久間大介)、佐藤新、影山拓也、鈴木大河、基俊介、椿泰我、横原悠毅、松井奏、小田将聖/ジャニーズJr.企画・配給:松竹(c)2020「滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」製作委員会
2021年08月07日八月花形歌舞伎は、古典の通し上演や、歌舞伎の様式美に溢れる狂言、そして盛夏にふさわしく怪談など、賑やかな演目が出そろう。第一部は『加賀見山再岩藤』。「三代猿之助四十八撰」屈指の人気作で「骨寄せの岩藤」の通称で知られる。御家騒動が起きた多賀家当主の大領は愛妾・お柳の方に心奪われており、御家は様々な陰謀に巻き込まれている。これらすべて側室・お柳の方と、その兄・弾正が仕組んだことだった。一方、二代目尾上となった召使いのお初の前に、突如岩藤の亡霊が現れ……。岩藤のエピソードに焦点を当てた「岩藤怪異篇」として上演する。第二部一幕目は怪談噺『真景累ヶ淵』。富本節の師匠豊志賀は、20歳ほど年の離れた弟子の新吉と恋仲になるが、顔に腫れ物ができる病にかかってしまう。新吉と若い娘お久の仲を勘ぐっては嫉妬に狂って……。三遊亭円朝の人情噺を脚色した作品。怖ろしい豊志賀の執着や、男と女の複雑な心情を描くゾッとするような怪談噺だ。二幕目は『仇ゆめ』。川のほとりにすむ狸が島原の深雪太夫に恋をする。ある日太夫が憧れている舞の師匠の姿に化け、秘めてきた恋心を伝えて大喜びする太夫と連れ舞をするのだが……。恋に落ちた狸の気持ちをユーモラスな踊りで見せる前半から、後半では一途な狸の思いと姿、それに応える太夫のやさしさがしっとりと描かれる。第三部一幕目は『義賢最期』。勇将木曽義仲の父・義賢の壮絶な最期が描かれる本作。組んだ戸板の上で立ったまま倒れる「戸板倒し」や「蝙蝠の見得」、直立のまま倒れ込む「仏倒し」などの激しい立廻りは歌舞伎ならでは。源氏再興を願い、一人で平家に抗う義賢の覚悟が胸に迫る。迫力に満ちた義太夫狂言の名作だ。二幕目は舞踊が二本。『伊達競曲輪鞘當』と『三社祭』。華やかな吉原仲之町で不破伴左衛門と名古屋山三という因縁のふたりが、吉原で再会を果たす。荒事味あふれる伴左衛門と、和事味漂う山三による「渡りぜりふ」は聴きどころ。また、ふたりの個性が際立つ衣裳や、当時のかぶき者達の風俗を題材としたといわれる両手両足を優雅に大きく動かす「丹前六方」など、歌舞伎の様式美に富んだ『鞘當』。もう一本は躍動感と洒落っ気に富んだ清元の舞踊。浅草の三社祭を素材とした『弥生の花浅草祭』の一場面だ。浅草近くを流れる宮戸川(隅田川)のほとりではふたりの漁師が網を打っている。悪玉と善玉がふたりに乗り移り……。それぞれ「悪」と「善」の面をつけたふたりが、悪尽くし、善尽くしの振りを踊る展開が最大のみどころだ。今月も三部制、座席は一部を除いて前後左右を開けた千鳥方式になっている。なお、第一部『加賀見山再岩藤』「岩藤怪異篇」に出演を予定していた市川猿之助が新型コロナウイルス感染のため当面の間休演、坂東巳之助が代役を勤めることが発表されている。取材・文:五十川晶子『八月花形歌舞伎』演目【演目】第一部三代猿之助四十八撰の内「『加賀見山再岩藤』岩藤怪異篇」第二部一、『真景累ヶ淵』豊志賀の死二、「仇ゆめ」第三部一、 源平布引滝『義賢最期』二、『伊達競曲輪鞘當』『三社祭』2021年8月3日(火)~2021年8月28日(土)会場:東京・歌舞伎座
2021年08月03日昨年の南座「吉例顔見世興行」以来、関西で今年初となる大歌舞伎の幕が開いた。大阪松竹座の「七月大歌舞伎」。コロナ禍で「待ってました!」の大向うの掛け声はなくとも、俳優も観客も熱い思いでこの日を迎えた。昼の部は、妖刀をめぐる物語で歌舞伎の様式美にあふれた夏芝居『伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)』。そして片岡仁左衛門、片岡孝太郎、片岡千之助の松嶋屋三世代がそろう粋で華やかな舞踊『お祭り』。夜の部は、明り取りの天窓の演出が印象に残る、血のつながりを越えた家族の情愛を描く『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』「引窓(ひきまど)」。そして男女の悲恋と親子の情愛を描いた上方和事の代表作『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)』「新口村(にのくちむら)」。この『伊勢音頭』と『引窓』に、「大阪が好き」と公言する松本幸四郎が東京から出演、意気込みを語った。「七月大歌舞伎」チケット情報「上方のお芝居は僕の好きな人間味あふれるお芝居が多いように思います。客席の反応もストレートで、楽しませてほしいという積極的な気持ちを感じて、とても刺激になります」と、大阪への愛を口にする幸四郎。今回の役を演じるのはどちらも2度目だ。『伊勢音頭』は主人公の侍・福岡貢役で「絵的にとても素敵な芝居で、憧れの役でした。怒りや悲しみ、喜びなどの感情をどれだけドラマチックに動かせるかがテーマです」。『引窓』では追われる身の濡髪長五郎。「大好きなお芝居です。長五郎は強い思いを持ちながらもそれを言わない。自分の気持ちを言うまでの思いを、お客様にどうやって伝えきるかを大切に演じたいです」。ただ、観ていただきたいのは自分の演技以上に、何よりも「歌舞伎です」と強く言う。「上方色のとても強い、歌舞伎を観た実感がある演目です。やっとこの日が来たので、しっかりと歌舞伎をしたい」。現在、他劇場では定員100%で販売する劇場もある中、客席をあえて50%のままに、さらに通常なら昼夜それぞれ三幕構成が多いが、今回は二幕構成にして上演する。また「共演者同士舞台の上でしか会えないんです」。それらはすべて、お客様に安心して劇場に来てもらうため、そして歌舞伎を守っていくための対応と、苦しい中でも劇場は姿勢を崩さない。「お客様も強い思いがあって劇場に足を運んでくださっている。そういう皆さんのお目があったからこそ、初日の幕が開きました。まったく世界が変わった中で、久しぶりに大阪松竹座での歌舞伎。ここから関西でも歌舞伎が開き続けていくと思います。その瞬間を見届けに来ていただきたいです」。公演は7月18日(日)まで、大阪松竹座にて上演中。取材・文:高橋晴代
2021年07月09日今月の歌舞伎座は、親しみやすい対話劇や華やかな舞踊劇、世話物の傑作から歌舞伎十八番まで、見逃せない狂言が揃った。第一部の一幕目は『あんまと泥棒』。あんま秀の市が高利貸をして金を稼いでいるとの噂を聞き、秀の市の家へ押し入った泥棒の権太郎。しかし、秀の市はのらりくらりととぼけるばかり。やがてふたりで酒を飲み始めると秀の市が権太郎に説教を始め。登場人物は秀の市と権太郎だけ。一癖も二癖もあるあんま秀の市と、気のいい泥棒権太郎の人間性が巧みに描かれたユーモラスな一幕だ。二幕目は『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』。源頼光主従の土蜘蛛退治を題材にした変化舞踊作品。6役早替りが目にも鮮やかだ。本性を顕した女郎蜘蛛の精が頼光や家臣たちと繰り広げる立廻り、千筋の糸を繰り出すクライマックスまで、見どころたっぷり、変化舞踊の醍醐味を堪能できる華やかな一幕。第二部の一幕目は、『新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)』。大名の山蔭右京は恐妻家なのに大変な浮気者。愛人の花子と逢引したいけれど奥方玉の井が外出を許さない。そこで右京は邸内の持仏堂で一晩座禅をすると嘘をつき、家来の太郎冠者を身替りに立てて花子のもとへ向かう。しかし奥方玉の井にこのことがばれてしまい……。夫婦のやり取りが可笑しみを誘う松羽目物の人気作だ。二幕目は『御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)』。東海道、品川宿付近の鈴ヶ森は刑場に近く、夜になると無頼の雲助たちの溜まり場となる。そこへお尋ね者の美少年・白井権八が通りかかるが、襲い掛かる雲助たちを見事な刀さばきで斬り払っていく。その様子を駕籠の中からじっと見つめていたのが江戸随一の侠客・幡随院長兵衛だった……。権八と雲助たちのユーモラスな立廻りや、長兵衛と権八の再開を約束するやりとり、底知れない闇に包まれた江戸の情景など、鶴屋南北らしさあふれる名作。第三部は『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』。歌舞伎十八番の魅力が凝縮された壮大な物語だ。二世市川團十郎により初演され、歌舞伎十八番の『毛抜』、『鳴神』、『不動』の3作品が織り込まれた成田屋ゆかりの通し狂言。天下を揺るがす大悪人を懲らしめようとヒーローたちが大活躍する勧善懲悪の物語に、豪快な荒事芸、早替りや空中浮遊と、歌舞伎ならではのスペクタクルあふれる一幕だ。座席は今月も一部を除いて千鳥型。また第三部は公演期間が異なるため注意が必要だ。取材・文:五十川晶子『七月大歌舞伎』演目【第一部】11:00開演一、『あんまと泥棒』二、『蜘蛛の絲宿直噺』【第二部】14:30開演一、『新古演劇十種の内 身替座禅』二、『御存 鈴ヶ森』※『御存 鈴ヶ森』について、中村吉右衛門が出演を予定していた偶数日を含め、中村錦之助が全日程を勤めます。【第三部】17:40開演通し狂言『雷神不動北山櫻』第一部・第二部:2021年7月4日(日)~2021年7月29日(木)第三部:2021年7月4日(日)~2021年7月16日(金)会場:東京・歌舞伎座
2021年07月04日抜け目のないあんまと、どこか憎めない泥棒の丁々発止のやりとりがユーモラスな『あんまと泥棒』が、歌舞伎座『七月大歌舞伎』に登場する。1951年にNHKラジオドラマで放送された村上元三の脚本をベースにした登場人物ふたりだけの対話劇だ。尾上松緑が泥棒権太郎、あんま秀の市を市川中車が勤める。中車が秀の市を勤めるのは今回が4度目。初めて勤めたのは平成27年の明治座、泥棒の権太郎は市川猿之助だった。「45分間目をつぶりっぱなしというのは、どういう世界観なのだろうと思っていました。映像ならシーンを切り貼りしてつなげていけますが、舞台では実際に声を耳で聞くしか手段がないので、相手の言葉にとても敏感になりましたね。初役では権太郎が四代目(市川猿之助)でした。呼吸や間の感覚が近くて血縁というものを感じました。逆に2度目はこんぴらで愛之助さんと、3度目が歌舞伎座で(尾上)松緑さんと、音羽屋さんとの色の違い、松緑さんと僕との差異が面白かったですね」この差異こそがこの作品の本質なのではないかと、気づいたと語る。市川中車「松緑さんの素の姿というのは、まじめで後輩やお弟子さんたちの面倒見のよい、実に好い人。そういう印象が僕の中にあるんです。権太郎の持っている人品の好さが松緑さんに内蔵されているように感じました。僕ら小中高では暁星(学園)の先輩後輩でもありますし。今回もまた松緑さんの息遣いを感じながら勤めたいと思います」中車が最初に映像で観た秀の市は中村嘉葎雄のそれだった。「嘉葎雄さんのひょうひょうとした感じ、動き、これをお手本にしたいと思っていたのに、頭のどこかで“歌舞伎らしくしなきゃ”と力が入っていたのでしょう。もう一度勉強しなおして、リアルな芝居の面白味を素直に出していきたいと思っています」また昨年11月に市川猿之助の五役早替りで話題となった華やかな舞踊劇『蜘蛛の絲宿直噺』もこの七月大歌舞伎で再演される。中車は初役で渡辺綱を勤める。『七月大歌舞伎』チラシ「昨年8月に再開して以来、歌舞伎座では三部制を敷いていますが、一部のうち二演目両方に出演するのは久しぶり。一演目だけに出演というペースに慣れて来たところなので、大丈夫かな、まずそこからですね(笑)」この4月には猿翁十種の内『小鍛冶』で猿之助と出演したことも大きな転機となったという。能から取った所作事だ。「終始四代目にひっぱってもらいながら共に鍛冶の相槌を打つ、これはもう僕にとってはかけがえのない時間でした。ところがどれほど稽古しても、それでも舞台本番で何かしら間違えてしまうんです。ふたりでトンテンカンテンとやっていると三味線や鳴物の音がずれて聴こえることがあって、僕が間違ってしまって。四代目とクルリと位置を入れ替わるとき、”すみません!”と小声で謝ると、四代目が”え~~~~!”と(笑)。それでも何も間違えていないかのようにフォローし合う。これに痺れて痺れて。父(市川猿翁)と(市川)段四郎の叔父とが踊ったときもこういう瞬間があったのかなと想像しましたね。ふたりで相槌をトンテンカンテンと打ち合う、行のような不思議な時間でした」僕の中に間違いなく歌舞伎の血が流れている歌舞伎の世界に入り、丸9年。時代物、世話物、古典に新歌舞伎、様々な演目に出演してきた。「時代物の修業を経ていない役者が世話物を演るわけですから、問題点が噴出してしまいました。よりどころとなる型がない状態では、どんなに稽古しても大海原で迷っている船のようなもの。稽古する膨大な時間を絞り出せるのなら、時代物の方が世話物よりは安定したものになるとは思います。でも今は両方とも難しいと感じている段階で、何ひとつ会心の出来と思えるものがない。この苦しみは僕だけに特有のもので、これはずっとついて回るものだと覚悟しています。そしてとにかく舞台に立ち続けていくしかない。そう思っています」その苦しみの中にあっても、歌舞伎の舞台の上にこそ生きている実感があるという。「歌舞伎の初舞台の演目が『小栗栖の長兵衛』でした。百姓長兵衛の僕が簀巻きにされて舞台に寝そべっている場面があります。ふと上を見上げると、曾祖父(初代市川猿之助)と祖父(三世市川段四郎)の二人の大きな写真がバトンに吊るされているのが見える。次の幕の『口上』で披露するためのものです。それを真下で横たわって眺めているとき、“ああ、俺は生きている”と感じました。市川中車それに『小鍛冶』でも従弟である四代目と相槌を打っているときも、先の猿翁さん、中車さん、段四郎さんが“舞台に居るなあ”と感じるんですよ。彼らが聴いてくださっているとね。もしも子供のころから歌舞伎俳優として育っていたら、そこまで思わなかったかもしれない。でも今の僕にとっては形に残る映像作品よりも、日々消えていくこの歌舞伎の舞台の方が生きているという実感がある。これはやはり僕の中に間違いなく歌舞伎の血が流れているからだと思いましたね」コロナ禍で以前のような歌舞伎座の雰囲気はまだまだ戻ってきていない。「去年のコロナ自粛期間中は、その前から始めていた日舞の稽古をずっとやっていました。体ができていないと動けませんのでね。今思うのは、大向こうさんだけでも戻ってきてくださったらなあと。声がかからないのは僕だって寂しいのですから、大先輩方はさぞかし寂しい思いだろうと思います。義太夫さんが黒い前垂れで口を覆っていますが、あれも苦しいだろうと思いますね。早く何とかしてあげたい」コロナ禍でなければ今年の夏、歌舞伎座の舞台にも、舞台から見える客席にも、違う景色があったかもしれないとも。「良くも悪くもこの夏はザワザワした雰囲気になるでしょう。でも僕らは毎日歌舞伎座で粛々と歌舞伎をやるだけです。毎日寸分違わず同じ時間に楽屋へ入り、ミリ単位の違いに神経をとがらせて正しい位置を狙い、一人ひとりがそれぞれの家や歴史を背負って毎日舞台に立つ。それをその日いらしたお客様がご覧になって帰っていく。その一日限りの交差がなんとも面白いですよね。歌舞伎の醍醐味だと思いますね。コロナ禍の前の状態に一日も早く戻すためにも、いつも通り、ぶれずにしっかりと勤めなければと思っています」中車の出演する『あんまと泥棒』『蜘蛛の絲宿直噺』は七月大歌舞伎第一部で上演される。上演期間は、一部と二部は7月4日(日)~29日(木)、第三部は7月4日(日)~16日(金)までと異なっているのでご注意を。取材・文:五十川晶子『七月大歌舞伎』演目【第一部】11:00開演一、『あんまと泥棒』二、『蜘蛛の絲宿直噺』【第二部】14:30開演一、『新古演劇十種の内 身替座禅』二、『御存 鈴ヶ森』※『御存 鈴ヶ森』について、中村吉右衛門が出演を予定していた偶数日を含め、中村錦之助が全日程を勤めます。【第三部】17:40開演通し狂言『雷神不動北山櫻』第一部・第二部:2021年7月4日(日)~2021年7月29日(木)第三部:2021年7月4日(日)~2021年7月16日(金)会場:東京・歌舞伎座
2021年06月20日歌舞伎界の若きプリンス中村壱太郎と尾上右近がコロナ禍において制作し、好評を博したオンライン公演「ART歌舞伎」を、映画化した『中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ』がポレポレ東中野での上映の反響を受け、6月4日(金)よりシネ・リーブル池袋にて上映されることが決定した。その後、全国順次公開予定となっている。これまでロシアやスペインなどでイベント上映され海外でも評価を受けてきた本作。この度、ファンタジア国際映画祭への参加も決定し、各界著名人からのコメントおよびコメント付き予告映像が公開された。ファンタジア国際映画祭は、カナダ・モントリオールで1996年から開催されているジャンル映画を対象とした映画祭。今年は8月の開催を予定しており、今回で25回目の開催となる。「北米最大のジャンル映画祭」を謳っており、クエンティン・タランティーノやギレルモ・デル・トロ、ジェームズ・ガンなど、多くの映画監督から支持されている。■『中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ』コメント付き予告<コメント>■紺野美沙子(女優)アート歌舞伎は小宇宙のよう。静けさの中に浮かびあがる濃密で甘美な世界。今だから、誘われたい。■阿部純子(女優)これこそART歌舞伎!お二人の攻めの姿勢に魅了され続けました。壱太郎監督、右近さん、贅沢な時間をありがとうございます!■九龍ジョー(ライター/編集者)繰り返しもたらされる高揚感に、芸能の未来と原初の光景を幻視した。闇夜に注ぐ雨音まで美しい。■上妻宏光(三味線奏者)懐かしさと最先端が融合された芸術世界。各分野のエキスパートだからこそ表現できた世界を堪能して欲しい。■松崎健夫(映画評論家)雨音が伴う陰影の中で舞う姿は、行雲流水な悠久の歴史と人の営みとを対比させる。奇しくもそれは、コロナ禍の不条理とも重なるのだ。■マーク・シリング(映画評論家)「ART歌舞伎」と聞き、単に歌舞伎の舞台を撮影した映像を想像している方々は、驚くべき新しい発見に出会える作品だ。若き歌舞伎俳優、中村壱太郎とコラボレーター達が創造したのは、伝統的な歌舞伎の技と美を素晴らしく斬新な装いで見せるエンターテイメント。実験的でありながら理解し易く、折衷的でありながら一貫性があり、日本の伝統舞台芸術家たちの集合体でありながらその意外な組み合わせは心に残る。「ART歌舞伎」が放つエネルギーとイマジネーションが、古いものと見慣れたものを新鮮な視点で楽しませてくれる。■ニコラ・アーシャンボウ(ファンタジア国際映画祭ディレクター)『心の癒しに「ART歌舞伎」を一服』コロナ禍で劇場が閉館している間に、若き歌舞伎俳優、中村壱太郎は俳優仲間とユニークなアーチストを集めて「ART歌舞伎」の制作を決めた。”舞と美と命”を題にしたパフォーマンスの映像は、見るものの心を捉える。美しい映像、エネルギッシュな音楽、目を見張るコスチュームで、中村壱太郎はこの困難な状況に希望と楽しみを与えてくれた。「ART歌舞伎」は何百年も続く伝統芸術を新たな視点で捉え、まるで日本庭園でロックコンサートを見ている気分にしてくれる。『中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ』6月4日(金)よりシネ・リーブル池袋にて公開
2021年06月04日5月からスタートした「月イチ歌舞伎」は、歌舞伎の舞台公演を撮影し、臨場感たっぷりにスクリーンで鑑賞する「シネマ歌舞伎」を、月に一度全国の映画館で上映する人気企画となっている。人気落語家・春風亭一之輔は連日多数の高座を勤める超多忙なスケジュールの中でも、毎月時間を作っては歌舞伎を観に行くという大の歌舞伎好きだ。その彼に歌舞伎ファンから見たシネマ歌舞伎とはどういうものなのか、その魅力を聞いてみたい。――歌舞伎をお好きになられたきっかけを教えていただけますか。歌舞伎を始めて観たのは、高校生の時に授業の一環で連れて行ってもらった国立劇場です。「野崎村(新版歌祭文・しんぱんうたざいもん)」を最前列の花道のつけ際で観ました。いい席だったなぁ。でも、定期的に観に行くようになったのは大学進学で上京してからです。かみさんは大学の同窓生なのですが、歌舞伎・舞踊研究会に所属していて、よく歌舞伎座へ連れて行ってもらいました。お金がありませんから、一幕見席でね。代わりにぼくが彼女を寄席に連れて行ったり。――素敵なデートですね。今もよく通われています?月に1度くらいですけれど、観に行かせていただいています。落語の参考になるかどうかは関係なく、純粋に好きだから、楽しみに行っているという感じですね。うちの師匠(春風亭一朝)は歌舞伎好きなので、弟子入りしたときは芝居を観るやつが入って来たと喜んでました。師匠のおかみさんのご兄弟は歌舞伎役者の片岡亀さんで、お正月には師匠へご挨拶に見えるのでお話したりします。――片岡亀蔵さんは、シネマ歌舞伎にもたくさん出演なさっています。歌舞伎ファンの一之輔師匠からご覧になって、シネマ歌舞伎はいかがですか。『野田版 研辰の討たれ』の亀蔵さんのからくり役は、10歳の娘が一緒に観ていたのですが腹を抱えて笑っていました。シネマ歌舞伎は、手の込んだ大道具や表情など細かいところまでアップで観られて、面白いですね。セリフも入ってきやすいし、カメラワークがストーリーを追いやすくしてくれます。生の舞台で観るよりもわかりやすいので、歌舞伎を観たことがない方にもおすすめしたいです。もちろんライブにはライブの良さがあって、幕が上がって、他のお客さんと一緒に拍手して、舞台全体が目に入るのも味わっていただきたいですが、どちらが先でもいいと思います。――他に気になるシネマ歌舞伎は?今年の上映作品の中だと7月の『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』は凄いキャスティングですね。8月の『大江戸りびんぐでっど』も舞台を観ていないから観たいなぁ。今年の上映ラインナップには無いですが、落語家としてはやっぱり『らくだ』が気になります。特にシネマ歌舞伎になった、中村勘三郎さん、坂東三津五郎さんの『らくだ』は贅沢です。あとは『文七元結』のおかみさん役は落語でもとても難しい役なので、先代の中村芝翫さんが演じられているのは観てみたいですね。――落語と歌舞伎は全く異なる芸能ですが、それぞれの得意分野はどういうところだと思われますか。見た目の華やかさですとか、現れたときのあっと言わせるインパクトは、歌舞伎にはかなわないなと思います。6月に公開する『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』にご出演の勘三郎さんや坂東玉三郎さんは、現れただけでお客さんがウキウキしたのが、シネマ歌舞伎の画面越しにもわかりました。反対に、怪談などの描写は、見えない、想像するしかない落語の方が怖いと思います。それから、歌舞伎は大勢でつくりあげるものですが、落語はひとりです。いろんな人をひとりで演じられるのは面白いですが、協力し合って進めていくのも楽しそうだなと思います。鹿芝居(“はなしか(噺家=落語家)”が演じる芝居)に出るとしたら、ぼくは出番が少なくておいしい役がいいですねぇ(笑)。シネマ歌舞伎・第37弾『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』6月4日(金)より公開詳細:
2021年06月02日映画のように気軽に歌舞伎を楽しめるシネマ歌舞伎。4月29日より松竹公式動画配信サービス〈歌舞伎オンデマンド〉にて月に1本の定期配信がスタートした。定期配信第1作目は、歌舞伎の古典演目を新たに現代的な感覚で描くことをテーマに上演されている2014年のコクーン歌舞伎を撮影したNEWシネマ歌舞伎『三人吉三』。中村勘三郎亡き後、中村勘九郎、中村七之助、尾上松也ら次世代の俳優が中心となって上演された初めてのコクーン歌舞伎で、勢いと情熱溢れる熱い舞台を見せ観客を熱狂させた。そんな舞台を、舞台で演出・美術を担当した串田和美自身が映像監督を務め、舞台を観た人にも、観ていない人にも常識を覆す体験をしてほしいとの想いで舞台収録映像のほかに新たな撮影を敢行し、 編集に編集を重ねてブラッシュアップ。ライブの舞台の躍動感、スピード感、エネルギー、壮絶なるドラマを凝縮させたかつてないシアトリカルムービーとなっている。配信作品は、毎月映画館で上映されるシネマ歌舞伎作品とも合わせて楽しめるよう、テーマを決めて選定。5月の映画館上映作『研辰の討たれ』は野田秀樹による野田版歌舞伎の1作目。『三人吉三』はコクーン歌舞伎の新たな幕開け、と「新たな時代を感じさせる作品」がテーマとなっている。各月のテーマについては月イチ歌舞伎のHPにて紹介されるので、そちらをチェックして欲しい。【シネマ歌舞伎定期配信 詳細】●期間・作品4月29日(木・祝)~5月31日(月) NEWシネマ歌舞伎『三人吉三』6月1日(火)~ 6月30日(水)『天守物語』(主演:坂東玉三郎)7月1日(木)~ 7月31日(土)『連獅子/らくだ』(主演:中村勘三郎)8月1日(日)~ 8月31日(火)『野田版 鼠小僧』(主演:中村勘三郎)9月1日(水)~ 9月30日(木)『女殺油地獄』(主演:松本幸四郎)2022年2月まで配信予定。10月以降の配信ラインナップは後日発表致します料金(税込):1900円(レンタル配信・購入時から7日間何度でも視聴可能)配信サイト:歌舞伎オンデマンド(松竹公式動画配信サービス。MIRAIL内)URL: 『三人吉三』視聴ページ(4/29公開) : >付随サービス(有料):「シネマ歌舞伎イヤホンガイドアプリ」でスマホを使って同時音声解説もご利用いただけます
2021年05月11日約2年ぶりに『滝沢歌舞伎ZERO』が新橋演舞場に帰ってきた!昨年の公演はコロナ禍の影響で残念ながら中止となり、代わりに初の映画版が公開された。映画の完成度も抜群だったけど、やっぱり生で見る熱気と迫力は別格!Snow Manの9人も「仕上げてきた」状態で、技もダンスも歌もキレキレ!最高&最強の120分を徹底レポートしますーー!花吹雪が舞うなか歌い踊るオープニング曲の『ひらりと桜』。初演ではピンクだった花びらは、映画版から引き続き真っ青な桜に。これは、コロナ禍で戦う医療従事者へ向けて感謝の気持ちを込めたもの。白いステージに深い青が映え、とても美しい幕開けだった。その後も、緊迫感のある殺陣や大迫力の「腹筋太鼓」、歌舞伎メークで挑む「五右衛門ZERO」など、滝沢歌舞伎名物が続くのだが、とにかくすべての完成度が高い!Snow Manの9人が満を持して、約2年ぶりの舞台に全力で臨んでいるのがひしひしと伝わってきた。前半最後の演目では、雨や噴水など約10トンの水を使い、熱のこもったダンスを披露。佐久間大介(28)いわく「溺れそうになる(笑)」とのことだが、びしょぬれになりながらすべてを出し切るように踊る彼らに思わず見とれてしまった。後半の時代劇パートでは、初演&映画版からある大きな変更点が。深澤辰哉(28)演じるお丸の愛犬あべぞう(阿部亮平・27)の代わりに、ダテタマ(宮舘涼太・28)という新たな犬が登場したのだ。いつもクールな宮舘のコミカルな演技に観客は大盛り上がり。そして登場人物が入り乱れ殺陣やアクションを披露する大詰めは、長屋に見立てた舞台が回転し、メンバーが縦横無尽に駆け回る大迫力の演出。最後には大量の桜吹雪が舞うなかで9人が大見えを切り、壮麗な雰囲気で幕を閉じた。フィナーレは出演者全員で歌い上げる『With Love』。コロナ禍という困難を乗り越え、こうしてまた9人そろって舞台に立つ彼らを見ることができ、感無量だった。「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年04月17日