新国立劇場で2017年に上演された、小野寺修二カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』が再演される。構成・演出を手がけ、自らも出演する小野寺は、マイムをベースとした身体表現で独特の世界を打ち出し、数々の作品を発表しているアーティスト。再演の舞台を前に、オンラインで話を聞いた。「不条理を形にしたような作品。大好きでした」と、原作、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』について語る小野寺。言葉を介さずに物語や情感を伝える独自の表現を追求しながら、「当時は言葉を使うことに興味があって、キャロルのテキストを子供たちに聴かせたいと、作中にはかなり言葉を入れました。難しくてよくわからない言葉も、子供たちが受け取ってくれたことが新鮮で、“意味合いだけではない何か”ってあるんだなと感じたものです」と、5年前の初演を振り返る。そこここに驚きや笑いが散りばめられた彼ならではの『アリス』は、幅広い世代の観客を魅了。客席には、この物語に初めて触れるという観客も多くいただろう。「ウサギの穴に落ちて、大きくなったり小さくなったりと、『アリス』の世界はいろんなところに飛んでいきますが、それが世界としてちゃんと成り立つための、言い方、ものの動かし方、皆の配置や歩き方などを丁寧にやることで、お客さんは意外にすんなりと入ってきてくれます。視覚的な面白さのある物語ですから、今回はそこをもっとお伝えしたくて、ほぼ喋らないようにしようと考えているんです」本来、この再演は2020年に実現するはずだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリハーサル半ばで中止に。「もう1回やれるなんて思ってもみなかった!」と、喜びを隠せない様子だ。「アリスはどんなことにも臆さず、自分からどんどん向かっていくところが魅力的。今僕たちはまさに不条理の中で生きているけれど、もっと楽しくとか、より能動的に何かを受け取るということを彼女から学ぶべきではないか。この作品はまさに今、やるべきことだと感じていて、何かしらお伝えできるよう頑張りたい。心からそう思います」昔読んだ原作はうろ覚え、ワクワク感も忘れがちという大人も、きっと夢中にさせる舞台になる。小野寺も「自分の中で忘れかけていたものを思い出す時間になってくれれば」と、穏やかな笑顔を見せた。公演は3月18日(金)〜21日(月・祝)、新国立劇場小劇場にて。チケットは発売中。文・加藤智子
2022年03月09日昨年8月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの珠城りょうが、1stコンサート『CUORE(クオーレ)』を開催する。「在団中含め、初めてのコンサートです。コンセプトは“新しい世界に飛び出す”。新しい球城りょうをお見せしたい」と意気込む珠城に話を訊いた。早くから注目を集め、近年では珍しい入団9年目という速さでトップ就任した珠城。人柄がにじむ温もりある舞台姿、ダイナミックなパフォーマンスに人気が高く、記憶に残る舞台を数々送り出してきた。「私はすべての表現は心がベースだと思い、心を一番大事にしてきました。その気持ちが伝わったらと思い、タイトルをイタリア語で心を意味するCUOREにしました」と、タイトルに込めた思いを明かす。内容も、珠城のやりたいことが詰まっている。「構成・演出・振付は私の希望で川崎悦子先生にお願いしました。宝塚でも振付なさっていますが在団中にご一緒できなかったのと、私は(川崎が多く振付として関わっている)劇団☆新感線がとても好きなのもあり、先生にお願いできたらと。選曲なども先生とご相談している最中ですが……在団中にOfficial髭男dismさんの『Amazing』のカバーをリリースしたのですが、それを初めて生パフォーマンスします! 宝塚の楽曲も何曲か歌います。それも自分が演じたものではなく、ファンの皆さんが「珠城さんでこの役が見てみたかった」と言ってくださっていたものの中からチョイスしようと思っています」と構成の一端を明かしてくれた。昨年退団したばかりの元雪組スター彩凪翔、元星組スターの愛月ひかるがスペシャルゲストとして出演するのも話題。一見、接点はなさそうに見えるが……?「意外と組が違っても生徒同士の交流はあるんですよ。愛月さんは一期上なのでお話する機会も多く、男役について、お芝居について熱く語ったことも。彩凪さんも、気付いたらよくお話しするようになっていました。意識し刺激も受ける関係です。お二方ともプライドを持って舞台に立つ姿がカッコよく、いつか一緒に芝居ができたらいいねというお話はしょっちゅうしていました。でもなかなか共演は難しく、最後はコロナ禍で『タカラヅカスペシャル』(年に一度、組を超えスターが一堂に会するイベント)もないまま卒業してしまったので、今回同じステージに立てたらいいなとご相談させていただきました」とのこと。夢の共演に期待が高まる。「在団中は毎日生きていくことに必死だった。今はのんびり生活しています」と穏やかに笑うその姿からは“新しい自分”を楽しんでいることが伝わってくる。今まで見たことのない珠城に出会えるに違いない。公演は4月30日(土)から5月3日(火・祝)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、5月13日(金)から15日(日)に東京国際フォーラム ホールCにて。取材・文:平野祥恵
2022年03月08日宝塚歌劇団花組で男役スターとして活躍し、昨年7月に退団した瀬戸かずや。18年過ごした宝塚から新しい世界へ一歩踏み出した瀬戸によるファーストコンサート『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』が2022年4月29日(祝・金)から東京・サンシャイン劇場、5月6日(金)から大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開催される。コンサートの開催にあたり、瀬戸は「宝塚の男役としてこれまで歩んできたものがありつつ、卒業をして、これから自分がどんな風に変化していくのか、ちょうど境目のときだと思っています。今しかできない表現を探りながら、あらゆる面をお見せできたら」と心境を語る。タイトルにある「アルストロメリア」とは花の名前で、「未来への憧れ」や「凛々しさ」という花言葉を持つという。「私の愛称が『あきら』なので、「A」から始まるコンサート名がいいなと思っていました。花組出身ですし、アルストロメリアはいろいろな色がある花。コンサートでは自分もいろいろな色を表現できたら面白いと思って、選びました」と命名の由来を明かす。元花組トップスターのANJU(安寿ミラ)が構成・演出・振付を手掛けるほか、元月組トップスターの真琴つばさや、元花組トップスターの真飛聖らの出演も決定。瀬戸は「私が宝塚と出会うきっかけを作ってくださった憧れの真琴さんと、一緒に舞台をつくってきた真飛さん。このお二方がご出演を引き受けてくださったという事実だけでも幸せで胸がいっぱい。お二方と舞台をつくることができる時間を大切に、楽しんでいきたいです」と興奮した様子だった。退団後に感じる変化を尋ねると「時間の流れ方が変わった」と瀬戸。「朝起きて、お昼がきて、夕方が来て、夜が来て。当たり前のことかもしれないんですが、ちょっとした日々の変化や喜びを感じるようになったんです。そういう些細なことの積み重ねをいっぱいしていきたい」と話す。ジムに通ったり、マシーンを使ったピラティスやゴルフを始めたりしているそうで「いろいろなことに挑戦できる時間があって、嬉しい」。コンサートを楽しみにしている観客へのメッセージとして「宝塚を卒業して、男役ではなくなった瀬戸かずやとして、今、みなさまにどんな姿をお見せできるのか。私自身も楽しみです。『こんな一面もあったよ』とか『こんな姿も見せちゃうよ』とか、自分自身も挑みながら楽しみながら、みなさまのお力をお借りして素敵なコンサートをお届けしたいです」と話した。東京公演は4月29日(祝・金)~5月1日(日)。大阪公演は5月6日(金)~7日(土)。取材・文:五月女菜穂
2022年03月07日3月8日(火)の国際女性デーに開催される、「AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE」。宝塚歌劇団退団後も広く活躍する柚希礼音、愛希れいか、ミュージカル女優として躍進を続けるソニン、映像の演技力も評価されている村川絵梨、清水くるみ。モデルだけならず女優としても活躍の場を広げる石田二コル、三吉彩花。ドラマ、映画の出演で注目を集める恒松祐里、堀田真由といった、「ハンサム」なアミューズ所属女性アーティストが勢ぞろいする本公演。本番を目前にした公演稽古場を取材した。この日は全員で披露する楽曲を中心に、各曲の通しを実施。稽古場に入ると通していたのが、2019年に上演したミュージカル『FACTORY GIRLS』より「自由の国の娘たち」。女性たちが自立を目指し、団結を歌うナンバーはソニンの力強い歌い出しから、清水、石田、島が続く。柚希も加わり、公演を観た人はもちろん、観ていない人にも聞きごたえのある一曲を仕上げていた。続く『ヘアスプレー』より「You Can‘t Stop the Beat」は稽古場でも盛り上がった一曲。清水のイキイキとした歌唱に続き、メンバー同士がペアで歌うパートは見どころだ。マスクの着用もあり1曲通した後は息切れする姿も出るほどのパワフルなナンバーだが、お互いに立ち位置や振り付けを細かくチェックし合う。続いて、ディズニー『アルティメット・プリンセス・セレブレーション』より「Starting Now」、映画『The Greatest Showman』から「This is Me」のドラマティックなナンバー。歌唱指導担当からのアドバイスの後も、愛希は不明点を積極的に確認したり、それぞれが歌いあってみたりと真剣な様子で向き合う姿に、ますます公演への期待が高まった。様々なバックグラウンドを持つ出演者が揃う稽古場では、柚希がダンスを、ソニンが歌唱を中心にメンバーを牽引。柚希は合間に、三吉にポージング、石田には体の使い方のコツを、一緒に動きながら教えていた様子が印象的。ソニンは曲ごとにバンドのアレンジについても積極的にディスカッション。若手メンバーへのアドバイスも行うなど、チームのまとめ役として頼りになる姿を見せた。ミュージカル楽曲からは他にも『WICKED』『Dream Girls』『PROM』『ファントム』、そしてBLACK PINK、Perfumeも披露予定。多彩なジャンルで活躍する彼女たちが挑戦する、新たなハンサムライブのステージをお見逃しなく。公演は3月8日(火)13時、18時の2回公演。Bunkamura オーチャードホールにて。また18時の回はPIA LIVE STREAMにてライブ配信も実施する。チケット発売中。
2022年03月07日北村想の書き下ろしを、寺十吾が演出する舞台『奇蹟 miracle one-way ticket』が、3月18日(金)、東京・世田谷パブリックシアターで幕を開ける。「日本文学シアター」シリーズでおなじみのふたりによるこの話題作に出演するのが、乃木坂46を卒業後、俳優として活躍する井上小百合だ。深い森に迷い込んだ記憶喪失の探偵・法水連太郎(のりみずれんたろう)と、彼を探しに来た親友で医師の楯鉾寸心(たてほこすんしん)。なぜ法水はこの森にやって来たのか…というところから物語は始まる。本作の魅力を、井上はこう語る。「今までに出会ったことのないようなミステリーだなと思いました。脚本の想さんいわく、『エンターテインメントをミステリーで味つけしただけ』だと。ミステリーと言いつつ、笑える面白いシーンもありますし、法水役の井上芳雄さんが歌ったりもする(笑)。すごく新鮮で、斬新で、ちょっと前衛的な作品になるんじゃないかなと思います」井上演じるのは、法水、楯鉾の前に突如現れる女性マリモ。「彼女が善なのか悪なのか、それはきっと最後までわからないと思います。見方によって、本当にいろいろな受け取り方ができる役どころなので。そんなマリモがふたりに対して、どういう立場で接していくのか。それを今模索しているところです」演出の寺十とは、本作が初の顔合わせとなる。「寺十さんは俳優としての顔もお持ちなので、俳優目線で演出を考えてくださる方だと思います。『こうしてください』と振付のような演出をつけるのではなく、『こういう心持ちでいると、こういう行動が取れるかもしれないね』といった感じで、こちらの感情を引き出し、自然と動けるようにしてくださる。私にとってはとてもやりやすいですし、素晴らしい演出家さんだなと思います」とはいえ独特な文体と世界観を有する北村作品。それだけに苦戦もしているようで…。「本当に難しくて、役者への“挑戦状”みたいな感覚もあります。想さんから、『あなたはこの役、どうやって演じますか?』と言われているような…(苦笑)。ただ自分ひとりで、というよりかは、皆さんと一緒に、相手役がこう来るからマリモはこう、みたいな感じでお稽古を進めることが出来ている。しかもこのキャストですから!めちゃくちゃ頼りまくっていますし、とても贅沢で豊かな現場だなと。私自身、ここまで作品を深く追求したことがなかったので、本当に勉強になりますし、成長出来ているのではないかと思います」東京公演は3月18日(金)から4月10日(日)まで世田谷パブリックシアターにて上演(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)。その後、4月13日(水)から4月17日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて大阪公演を開催する。両会場ともチケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年03月03日柿澤勇人とウエンツ瑛士が“双子”に扮するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。初日を約1ヵ月後に控える稽古場では、マスク姿のキャスト・スタッフによる気迫のこもった一幕の立ち稽古が行われた。1983年に英ロンドン・ウエストエンドで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞を獲得した本作。日本でも1991年以降に繰り返し上演されている。二卵性双生児として生まれたミッキー(柿澤)は実の母親と貧しさの中で暮らし、エドワード(ウエンツ)は裕福な家庭に引き取られた。正反対の環境で育った二人は互いに双子であることを知らないまま幼少期に出会い、厚い友情を育む。成長した両者を待ち受ける運命とは──。カンパニーを率いるのは、ミュージカル初演出の吉田鋼太郎。1991年の日本初演を含め、3度サミー(ミッキーの兄)役として参加していた彼は、当時をヒントにしながらも決して過去にとらわれることなく、この数奇な人間ドラマをより魅力的に立ち上げようとキャストに熱く語りかける。最たる例が、ミッキーとエドワードが出会うシーンに表れていた。野生味あふれる“悪ガキ”に成長した柿澤ミッキーに対して、育ちのよいウエンツエドワードはどこまでも素直で行儀正しい。こう受け止めている二人に、吉田は「エディを一瞥したミッキーは“俺の方が強えぞ”って感じで前に出るの」「エディも意に介さずミッキーに近づいて」と指示。「人見知りしないのがジョンストン家の血だよ」と二人のルーツを改めて認識させる。すると次のターンで柿澤とウエンツは人物造形を磨き上げ、緩急あふれた魅力あるシーンに仕上がった。こうした説得力ある芝居の積み重ねが、引っ越してしまうエドワードを思い浮かべ、喪失感まじりにミッキーが歌うM18〈長い長い日曜日〉に活きる。互いに欠けているものを挙げ、「ミッキーになりたい」「エディになれたら」と憧れる両者の想いを知ると、彼らを待ち受ける二幕ラストが切ない。母親同士の“芝居合戦”も注目だ。夫に捨てられ生活に困窮し、楽な暮らしをしたい一心のミセス・ジョンストン(堀内敬子)と、子宝に恵まれないミセス・ライオンズ(一路真輝)は、M6〈我が子〉でそれぞれの思惑を見せる。堀内は「こんなお屋敷で育てばご飯の心配はいらない」と子どもを手放すことで生まれる可能性をしたたかに歌い、一路は「おもちゃは独り占め」と環境のよさをアピール。煩悩の根底に母性愛を覗かせるのも、結局はエゴなのか。議論したくなった。公演は3月21日(月・祝)~4月3日(日)に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、愛知・福岡・大阪と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年03月02日4月開幕の舞台『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の制作発表が、オンラインにて開催された。漫画家・松本零士が生んだ大ヒット作品、その劇場版(79年公開)をベースにオリジナルストーリーを加えた新たな物語で、スリーナインの世界がミュージカルとなって再誕する。会見では脚本・歌詞を手がける高橋亜子のコメント紹介、演出を担う小山ゆうなの挨拶に続いて、音楽監督を務めるミッキー吉野と主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教が登場。吉野のキーボード演奏で、中川が美声を響かせて本作のメインテーマとなる楽曲『マイ・ディグニティ』を披露した。爽快なメロディの高揚感を残したまま、あらためて中川と、メーテル役の花總まり、機械伯爵役の佐藤流司、クレア役の梅田彩佳の主要キャストが登場し、本作への思いを語った。2018年、19年上演の舞台に続き、三度目の鉄郎役に挑む中川は「僕自身は39歳だけど(笑)、16歳を精一杯生きていきたいです」と朗らかに宣言。「素晴らしい出会いの中で、気づきを得ていく。そして未来へとまた旅を進めていく、希望に満ちた、人間臭さもあるキャラクターをミュージカルで精一杯お見せしたい」(中川)当初メーテル役に予定されていた神田沙也加の逝去により、本役を引き受けた花總は「とても複雑な気持ちでしたが、神田さんが演じるのを楽しみにしていた役。彼女の分も一生懸命にやりたい、今はただ、それだけです」と丁寧に言葉を紡いだ。「謎の美女でミステリアスといったイメージのメーテルですが、そこには母性があったり、内に秘めた悲しみがあったり。稽古を進めるうちに、想像を遥かに超えたメーテル像が頭に浮かんでくるのではと思います。今までは一人で役に向かって悩んでいたけど、今回の私は一人じゃないので、それが支えになってくれるかなと」(花總)佐藤は、機械伯爵の人間であった頃の姿を「大きな夢があって、平和を愛していて、本当に頭が良くて優しい人間だった」と分析する。「そんな誰にも愛される人間が変わっていくさま、心が機械になって侵されていく自分との葛藤みたいなところが、現代の人々の心を打つのではないかなと思います」(佐藤)ガラスの体のクレアを演じる梅田は「お家で一回、ガラスをつかんでみようかなと」と語り、周りから微笑みを引き出した。「最初は冷たかったけど、私の体温が伝わって暖かくなってくれた。寄り添ってくれるものなのかも…と思ったので、クレア自身の強さにプラス、寄り添える暖かさを出せるように頑張りたいです」(梅田)開幕を前に、3月15日には中川と花總によるラジオの特別番組もオンエアされる予定。実力者たちが集まったミュージカルの舞台で新たに展開する宇宙への旅、その進化形をぜひ劇場で体感したい。取材・文上野紀子
2022年03月02日ミュージカル『カーテンズ』が2月26日、幕を開けた。会見で城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、新たな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。ミュージカル初挑戦の菅井は「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」、同じく初挑戦の三浦は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当に上手くて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。城田はそんな二人を「本当によく頑張ってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。【公演概要】ミュージカル「カーテンズ」原作:ピーター・ストーン脚本:ルパート・ホームズ作曲:ジョン・カンダ―作詞:フレッド・エッブ追加歌詞:ジョン・カンダ―&ルパート・ホームズ演出:城田優翻訳・訳詞:福田響志出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/中西勝之米本学仁高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫日程:<東京公演>2022年2月26日(土)~3月13日(日) 東京国際フォーラムホールC<大阪公演>2022年3月18日(金)~3月22日(火) 新歌舞伎座<愛知公演>2022年3月26日(土)・27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール(文・三浦真紀/撮影・伊藤智美)
2022年02月28日3月2日(水)より、京都・南座で「三月花形歌舞伎」が開幕するのを前に、坂東巳之助、中村壱太郎、中村米吉、中村隼人、中村橋之助の出演者5名がリモート取材会に応じた。岡本綺堂作の新歌舞伎『番町皿屋敷』と舞踊劇『芋掘長者』の2演目を午前・午後の部にて、役替わりで上演する。「三月花形歌舞伎」チケット情報『番町皿屋敷』は旗本の青山播磨(隼人・橋之助)と腰元のお菊(壱太郎・米吉)の身分違いの悲恋を描くもの。前半は荒っぽい喧嘩場が見どころで、播磨とやり合う放駒四郎兵衛役の巳之助は「男同士でいる時の播磨を描くことで、男女の関係性になった時の播磨が際立つ」と、“ふたりの播磨”相手に愛の物語の導入部分を盛り上げる。午前の部は隼人&壱太郎が播磨とお菊を勤める。先日、源氏物語を題材としたオンライン舞台「META歌舞伎」でも悲恋を演じたばかりのふたり。「皿屋敷には『女が一生に一度の男』とお菊の台詞にありますけど、隼人君の光源氏だったらいいなとふとそんな思いが生まれたので、その気持ちを大事に、3月公演でも純愛だからこその罪や食い違いのドラマの面白さを見せられたら」と壱太郎。隼人も「壱太郎さんなら愛せる」と応え、相思相愛ぶりをアピールした。播磨役について隼人は、恋人を殺めるような設定にも「僕は純愛物語だと思っているので、理解できない部分も超越できるような播磨にしたい」とアツく語る。初役で挑んだ前回は鳴物など、合方の音楽で台詞に調子を付ける古典と違い、新歌舞伎は沈黙を多用する難しさを感じたと振り返る。「お菊とのシーンは基本的にずっと無音なので、今回は台詞に音楽性を出していけたら」と2度目ならではの一段深い役作りに挑む。午後の部を勤めるのは橋之助&米吉ペア。「お菊への愛を何より大切に勤めたい」と力を込める橋之助。米吉は、そんな橋之助の真っすぐで思い詰める性分が役にぴったりと見る。「思っていることは口にしなくても伝わると思ってるでしょ。そういうところが播磨と同じ。播磨がちゃんと『お前しかいない』と口にしていればお菊だってあんなことはしない」と役の気持ちを代弁する。「愛する相手にはどこか疑いを持ってしまうのは現代人にも伝わりやすい部分だと思うので。お菊の方でも播磨が好きでたまらないという心をしっかり持って、今はほとんどない橋之助さんとの愛を育んで行きたい(笑)」とユーモアたっぷりに“初役コンビ”の魅力を印象付けた。舞踊劇『芋掘長者』は踊り下手な役として、巳之助がわざとぎこちなく踊る様が笑いを誘う。「隼人君、橋之助君と教える役の人が変われば、教わるこちらの踊りも変わると思うので、そこはダブルキャストの面白さ。最後に全員が出揃って、お客様に顔を観ていただけるのもこの演目で良かったなと。何も考えずに楽しめる作品なので、少しでも明るい気持ちになっていただければ」と心和むひと時を約束した。公演は3月2日(水)から13日(日)まで京都・南座にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年02月24日アダム・クーパー主演の海外ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』。ジーン・ケリー主演の不朽の名作映画を舞台化したもので、2012年にロンドンで誕生した“決定版”が東京公演を経て、2月18日(金)、遂に大阪初上陸を果たす。連日14トンもの雨をステージ上に降らせるダイナミックなステージ。有名なタイトル曲を口ずさみながら雨の中歌い踊り、恋をするアダム・クーパーがこの度、リモート取材に応じてくれた。コロナ禍での延期を乗り越え開幕した喜びと、大阪公演を待ちわびる観客に向けメッセージを送る。ミュージカル「SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~」チケット情報アダム・クーパーと言えば、英国ロイヤルバレエのプリンシパルとして活躍し、映画『リトル・ダンサー』やマシュー・ボーンの衝撃作『白鳥の湖』の主人公役などで一世を風靡したバレエダンサー。だが、子どもの頃の夢は意外にも「タップダンサー」だったと明かす。「6歳でタップを習い始めたのが最初で、その後バレエをやり、またこの作品でタップに戻ってきました」。子供の頃から、ジーン・ケリーやフレッド・アステアがヒーローというのもうなずける。「今作が僕にとって特別なのはジーン・ケリーの役を演じられること、それも彼のコピーではなく自分自身のバージョンとして。これはとても光栄なことです」。物語の舞台は1920年代のハリウッド。隆盛を誇るサイレント映画だが、次第にトーキー(音声付き)映画の波が押し寄せる。スター俳優のドン(アダム・クーパー)は、表向きはカップルを装う大女優リナが悪声だったため、新作のトーキー映画は大不評。起死回生を狙い親友の作曲家コズモ、若手女優キャシーとの3人でミュージカル化を思いつくが、リナの声をどうするかが問題となって……。コロナ禍の影響で来日や開幕の延期が続いただけに、いま観客を前に踊れることが何よりも嬉しいと語る。「来日できないかもしれないと思った時は沈んだ気持ちにもなりましたが、こうして開幕できて胸がいっぱい。スタッフ、キャスト含め感謝の気持ちでいっぱいです」。アダム自身は何度も大阪の地で公演しているだけに、今作も「きっと喜んで貰えるはず」と自信を見せる。「人生に光と(恵みの)雨を与えてくれるので、僕自身演じていて嬉しいですし、観る人に喜びを与えてくれる作品です」と笑顔で語る。気付けば初演から公演回数は700回を超え、彼のキャリアの中でもっとも長く務める主演作となった。そんなドン役も、今回のツアーが見納めと聞けば、見届けずにはいられなくなるはず。大阪公演は2月18日(金)から21日(月)までオリックス劇場にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年02月10日「声優マダミスコレクション Case.1」が、3月6日(日)に東京・サンパール荒川大ホールで開催される。この度、本公演のライブ配信が決定した。本イベントは男性声優6名が舞台でマーダーミステリーにチャレンジするイベント。堀内賢雄、平川大輔、阿部敦、代永翼、岡本信彦、畠中祐による豪華声優陣が、今回のために書き下ろされたオリジナルシナリオのマーダーミステリーに挑戦する。第1部ではクルージングパーティー、第2部ではバーチャル世界と現実世界の間で起こる殺人事件という、世界観の全く異なるストーリーが描かれるという。キャスト全員が両公演でまったく雰囲気の違う役どころを演じる点にも注目だ。会場チケットと配信チケットの販売は2月11日(金・祝)10:00より開始。配信はライブ視聴のほかに、1週間アーカイブ視聴も可能となっており、それぞれの場所と時間で本公演を楽しむことができる。■公演情報「声優マダミスコレクション Case.1」3月6日(日)第1部:開場11:45 / 開演12:30第2部:開場16:45 / 開演17:30会場:サンパール荒川大ホールチケット料金:全席指定8,000円(税込)DVD付チケット料金:全席指定14,600円(税込)一般販売:2月11日(金・祝)10:00~3月6日(日)各公演開演1時間前まで※1回の申し込みで4枚まで購入可能配信料金:配信チケットのみ:4,000円(税込)DVD付き配信チケット:10,600円(税込)DVD付き第1部&第2部通し券:14,000(税込)販売期間:2月11日(金・祝)10:00~3月13日(日)18:59までアーカイブ期間:ライブ配信終了後、準備ができ次第〜3月13日(日)23:59まで<DVD収録内容>第1部、第2部の両公演に加え、特典映像を収録。※会場チケット、配信チケットともに付属のDVDの内容は同一(c)SOLABITA DESIGNS
2022年02月10日東京オリンピック開会式にも出演した市川海老蔵と映画の鬼才・三池崇史がタッグを組み、公演ごとに豪華ゲストを迎える人気企画。今回は海老蔵主演、三池監修のもと、演出に日本舞踊の宗家藤間流 八世宗家の藤間勘十郎、ゲスト俳優にジャニーズグループのA.B.C-Z戸塚祥太を迎える。合同取材の席で戸塚は、初挑戦となる歌舞伎は「高いハードル」としながらも、馴染みのない世代にその良さを伝えるのが「最大の役目」ときっぱり。「歌舞伎のカッコよさを伝えるバトンになりたい」と意欲を見せる。「六本木歌舞伎2022」チケット情報物語は、現代社会を騒がせる強盗団と幕末の江戸で民衆の耳目を集める盗賊一味が、時空を超えて織りなすファンタジックなアクション活劇。題材は「知らざぁ言って聞かせやしょう」の名せりふでもお馴染み、古典の名作『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』。弁天小僧菊之助ら5人の盗賊団の結成から捕縛までを描いた通称『白浪五人男』を、5人の名乗りや立ち廻りといった名場面を活かしながら、新解釈で上演する。本作で戸塚は、現代の強盗団の一員と江戸の呉服屋店主の2役を演じる。「知らざぁ言って聞かせやしょう」の名せりふを聞いた途端、「以前『滝沢歌舞伎』に出演した際、『白浪五人男』の場面があったのを思い出しました。当時は知らないなりにも舞台袖から引き込まれるように見る自分がいて、すごくかっこよかった。名せりふも音の響きが気持ちよく、今でも耳に残っています」と思わぬ巡り合わせを回想する。演じる現代版の弁天小僧菊之助は「オリジナルのように義を尽くすカッコよさや勧善懲悪の部分は足りてなくて、ポーズだけ」。その不完全さが、オリジナルのカッコよさや歌舞伎の魅力を知ることに繋がる糸口となりそうだ。「見せ場としては殺陣になるかなと。ゆっくり見せる歌舞伎の立廻りとリアルなスピードでやる現代版の殺陣も出てくると思うので、常に身体を動かせるようにスタンバイしています」とは頼もしい。海老蔵との共演は夢にも思わず、オファーには「ドッキリを通り越して夢かなと思った」と驚きを隠さない。「歌舞伎を知らない人でも知っている、歌舞伎界をリードしている方。きっと伝統を守るために新しい挑戦をし続けている方だと思うので、人間的な部分も含めて学びたい」と改めて意気込みを口にする。「ゼロから積み上げるつもりで、シンプルにその世界に染まりたい。そうすることで、見たこともない自分が見られると思う。ファンの方には応援してほしいですし、歌舞伎好きの方には、おもしろいヤツがいるなと思っていただけるよう日々精一杯務めたいと思います」。公演は2月18日(金)から3月6日(日)まで東京・EXシアター六本木、3月11日(金)から13日(日)まで福岡・福岡サンパレスホテル&ホール、3月18日(金)から21日(月・祝)まで大阪・フェスティバルホールにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年02月08日新国立劇場バレエ団の公演「吉田都セレクション」がまもなく開幕する。同団の珠玉のレパートリー、ビントレー振付『アラジン』、プティ振付『こうもり』の名場面とともに、バレエ団のダンサーが振付けた作品も登場、カンパニーの多彩な魅力が楽しめる特別な機会となる。どんな作品が登場するのか、自作を披露する木村優里、木下嘉人に、オンラインで話を聞いた。「まさかもう一度上演できるとは!」と明かすのは、バレエ『コッペリア』に着想した『Coppelia Spiritoso』を振り付けた木村。今回の公演では、昨年11月の公演「DANCE to the Future: 2021 Selection」で発表された作品の中から、ファン投票によって選ばれた3作品が上演される。自作が選ばれたことに、「感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔の木村。作品について、「モチーフは、バレエ『コッペリア』に出てくる人形。砂時計の砂が全て落ちて命が尽きるその時まで、人形は与えられた使命を果たす、というアイデアです。最後には、人形がまた次の人形を作り、同じことが繰り返されることをほのめかす──少し怖い感じもあるんです」。自身と木村優子が踊る、女性二人の愛らしくシュールなデュエットは、随所にドキッとさせられるようなユーモアが光り、人気を得た。いっぽう、2作品が選出された木下は、「異なる世界観をもつ2作品です。よりブラッシュアップしたものを観ていただきたい」と意気込む。ジアッチーノの情感溢れる音楽で紡ぐのは、『人魚姫』。「もともとこの音楽で創りたいという思いがあり、人魚姫の物語がパッと結びついた」という。米沢唯、渡邊峻郁による繊細かつ抒情的なデュエットは、ドラマ性の豊かさが大きな魅力。木下のもう1つの作品、小野絢子、福岡雄大、五月女遥と木下自身が踊る『Passacaglia』は、バロック時代の作曲家、ビーバーによる静謐な弦の音と2組のカップルが美しく響き合う、抽象的な作品だ。欧州のカンパニーに在籍していた時に振付に挑戦するようになったという木下は、「振付は難しいが、出来上がった時の喜びは大きい」と熱く語る。木村も、「その作業と工程の多さに驚きました。一日中そのことばかり考えて眠れないことも。今回も、お客さまにより楽しんでいただけるよう頑張ります」と意欲を見せた。公演は2月19日(土)~23日(水・祝)、新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。文:加藤智子
2022年02月07日2022年4月8日(金)~4月18日(月)日本青年館ホールにて上演する『銀河鉄道999 THE MUSICAL』のメーテル役に、花總まりの出演が決定した。今なお世界中で愛される松本零士原作の不朽の名作『銀河鉄道999』を、本格ミュージカル作品として上演。「ジャージー・ボーイズ」で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど数々の作品で主演をつとめる中川晃教が、2018年・2019年の舞台『銀河鉄道999』より星野鉄郎役を続投。花總まりは、「この度、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』に神田沙也加さんの代役としてメーテル役で出演させていただく事となりました。お話を頂いた時、どうしたら良いのか判断がつかず、とても悩みました。けれども、もしこの公演が中止になってしまったらさーやの舞台への想いも一緒に消えてしまいそうな気がしました。また、このコロナ禍という状況の中で、公演ができなくなるという辛さは私も経験してきました。もし少しでも、誰かのため、何かのために自分が力になれるのであればと思い、とても悩みましたがこのお話をお受けする事にいたしました。沢山の方に愛されたさーや。大好きなさーや、いつも舞台に誠実に向き合っていたさーや。まだ現実として受け止めることが出来ない方も沢山いらっしゃると思います。私も同じです。でも前を向いて進んでいくために。さーやと一緒に、心を込めて精一杯メーテルを生きたいと思います。」とコメントを寄せている。脚本・作詞は高橋亜子、演出には小山ゆうなを迎えるほか、今作のエンディング曲にも決定している名曲「銀河鉄道999」の編曲を担当したゴダイゴのミッキー吉野が音楽監督を務める。ミュージカルオリジナルのエピソードも加えて、宇宙への旅立ちから別れまでを完全版として描く。
2022年02月07日ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stageが、1月28日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて開幕した。許斐 剛のマンガ『テニスの王子様』の続編である『新テニスの王子様』を原作とした「ミュージカル『新テニスの王子様』」シリーズ。U-17(アンダーセブンティーン)日本代表合宿への参加を許された主人公・越前リョーマら中学生が強者揃いの高校生に立ち向かう様子が綴られる。2020年12月より上演された「The First Stage」に続く今回の「The Second Stage」では、U-17(アンダーセブンティーン)1軍上位の選抜メンバー“Genius10”との激闘が繰り広げられた。第1試合では、跡部景吾(高橋怜也)とイリュージョンによって手塚国光(山田健登)の姿と化した仁王雅治(蔵田尚樹)・跡部景吾(高橋怜也)ペアが、越知月光(楚南 慧)・毛利寿三郎(丸山龍星)ペアに挑んだ。その後、“波動球”を繰り出す石田 銀を“デュークホームラン”で圧倒するデューク渡邊(大久保圭介)の対決や、丸井ブン太(川本光貴)・木手永四郎(長塚拓海)ペアが、“コート上の交渉人”こと君島育斗(樫澤優太)・遠野篤京(輝馬)ペアに翻弄される姿も。また“天衣無縫の極み”を発動した遠山金太郎(平松來馬)と鬼 十次郎(岡本悠紀)によるシングルス、亜久津 仁(益永拓弥)・真田弦一郎(吉田共朗)ペアの必殺ショットを“無”にして返球する種ヶ島修二(秋沢健太朗)・ラケットを両手にした“二刀流”の大曲竜次(畠山 遼)ペアによるダブルスも展開された。超人級のゲームが次々と行われる中で一服の清涼剤となるのが、リョーマ(今牧輝琉)とその兄・越前リョーガ(井澤勇貴)の掛け合いだろう。幼い頃に別れ別れとなった二人が、「テニスを極め互いに強くなればまた会える」と歌うさまは、今牧自身も「井澤さんとのやり取りや歌をぜひ見て欲しいです」とコメントを寄せている通り、見どころのひとつだ。鬼や入江奏多(相葉裕樹)が見守る中で行われた、徳川カズヤ(小野健斗)と平等院鳳凰(佐々木 崇)による迫力の最終試合にも注目したい。なお、入江役は泰江和明とのWキャストだ。これら試合の行方を、三ツ矢雄二が作詞、兼松 衆が作曲を手がけた26曲の多様なナンバーが彩る。神奈川公演は2月6日(日)まで。その後、2月11日(金・祝)~20日(日)に東京・TOKYO DOME CITY HALL、2月25日(金)~27日(日)に大阪・メルパルク大阪 ホールと巡演する。取材・文:岡山朋代(c)許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会
2022年01月31日日本初上演となるミュージカル『The View Upstairs -君が見た、あの日-』が2022年2月1日から日本青年館ホール(東京都新宿区)ほかで上演される。ニューオリンズに実在した「アップステアーズ・ラウンジ」という同性愛者クラブで1973年に実際に起きた放火事件を題材に、ブロードウェイ新進気鋭の若手作家、マックス・ヴァーノンが作・作詞・作曲を手掛けた本作。2017年に米オフブロードウェイで初演され、今回が日本初上演となる。開幕を前に、マックス・ヴァーノンにオンラインでインタビューを実施した。マックスは「日本での上演は、月にも昇るような気持ち」と喜ぶ。学生の時に4年近く日本語を学び、さらに日本でホームステイ経験があるというマックスは「(日本での上演は)自分にとって素晴らしいギフトのような出来事でした。海外でも本作は上演されていますが、日本のお客様はまた違った反応を示してくださるのではないかと思っています」。改めて『The View Upstairs』が誕生した経緯を尋ねた。マックスは大学時代にジェンダーとセクシュアリティを専攻し、「世界中からやってきた専門家たちのセオリーを聴いたり、自分たちも20ページにわたるエッセイを書いたり、深く学んでいました」。ある日、32名が亡くなったニューオリンズで起きたアップステアーズ・ラウンジ放火事件をインターネット上の情報で知ったマックス。教授らに事件のことを尋ねるも、誰も知らなかったという。「今アメリカではLGBTQが大きなムーブメントになっているけれど、この事件のことは誰も知らなかった。自分がそこに光を当ててみたいと思いました。悲劇的に描くのではなく、そこにいた人々にもそれぞれに背景があって、笑ったり、情熱を持ったり、人生に喜びを持って生きていたのだと思いながら、追悼の意味を込めて、作品化しました」。コロナ禍はまだ終息していない。マックスにブロードウェイの現状を尋ねると、「何も確実なことがない時代。プロデューサーたちがリスクをとることを恐れなくなっている」と話し、「自分も30代ですが、50歳以下の若い才能が次々と出てきているように感じます」。マックス自身、今年の秋にK-POPを題材にしたミュージカルを上演する予定で「今まで誰も観たことがない、聴いたことがない、そんな作品を手掛けていきたいです」と意気込んでいた。今回日本版で主演する平間壮一と小関裕太については「2人とも才能があるし、全く心配していないです。自分がこの作品を生み出しましたが、ぜひ彼ら自身には日本の観客に向けて、また新たな作品づくりをしてほしい。リスクを犯すことを恐れずに、目一杯楽しんで演じて欲しい」と語り、日本の観客に対しては「この作品を通して、いつも自分自身に正直に、本当の自分でいることを大切にしてほしいと伝えたい。そして、過去から学び直して、この世界をより美しいものにしてほしいと願っています」とメッセージを送った。取材・文:五月女菜穂
2022年01月26日3月6日(日)に開催されるマーダーミステリーの舞台イベント『声優マダミスコレクション Case.1』の全キャストが発表された。マーダーミステリーとは、殺人事件が起こるあらすじと登場人物の設定を与えられ、議論を通して事件の真相を解明する推理ゲーム。各プレイヤーはそれぞれ、自身だけが知る情報を持ち、その情報の伝え方によって、進行が大きく変わるため、プレイヤー同士の駆け引きが重要で、その心理戦を楽しむのがこのゲームの特徴となっている。本公演では、今回のイベントのために書き起こしたオリジナルシナリオで、第1部と第2部で全く異なるストーリーとなっている。キャストの6名は、それぞれの物語の登場人物になりきって、「マーダーミステリー」に挑戦する。第1弾で発表された阿部敦、代永翼、畠中祐に続き、新たに堀内賢雄、平川大輔、岡本信彦の出演が明らかとなった。堀内は、「2022年、私にとって最大の試練がやってきた。それはマーダーミステリーに参加する事。メンバー最年長の私が手練手管を使って議論を展開できるか?芸達者な出演者を迎え撃つ覚悟はもう出来ている。震えているのか!いや武者震いだ」とコメントを寄せている。『声優マダミスコレクション Case.1』3月6日(日)第1部:開場11:45/開演12:30第2部:開場16:45/開演17:30出演:堀内賢雄、平川大輔、阿部敦、代永翼、岡本信彦、畠中祐会場:サンパール荒川「大ホール」
2022年01月21日ミュージカル『ボディガード』が今月21日、大阪で初日を迎える。主演の大谷亮平、ヒロインのレイチェル役をトリプルキャストで務める柚希礼音、新妻聖子、May J.、そしてマネージャー役の内場勝則が前日の囲み取材に応じた。本作は90年代にケビン・コスナー&ホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした映画の舞台化。グラミー賞受賞曲『I Will Always Love You』をはじめ、数々の映画挿入歌を日本語歌詞で上演するスリリングな愛の物語だ。ミュージカル「ボディガード」チケット情報2020年の初演はコロナ禍に見舞われ、大阪での5回の上演にとどまった。初日が開くのを前に「感謝の気持ちしかない!」と揃って再演の喜びを口にする登壇者たち。初演メンバーが再集結し、May J.という新メンバーも加わり「新たな『ボディガード』になっております」と柚希。新妻も「少しの幸せと素敵な明日に繋がるような観劇になると思うので、楽しみに待っていてください」と自信を見せる。再演から参加のMay J.は劇場入り後、初めてマスク姿ではない共演者の姿を見たといい「皆さん『こんなお顔をされてたんだ!』って思いました」と笑顔で語った。本格的なライブシーンにも挑むスター歌手役の3人。柚希は「レイチェルは命の危険があっても待っていてくださるお客様がいる限り、絶対にお客様と歌には背を向けない。その姿勢は本当に尊敬する」と語り、「自分自身も長い間舞台に立ってきたので、その思いを重ねながら演じたい」と元宝塚歌劇団星組トップスターの片鱗がキラリ。圧倒的な歌唱力と芝居心に長けた新妻は再演では「物語を伝える」役作りに注力した。その上で「お客様が期待されている華やかなショーや熱唱のシーンを織り交ぜ、いろんな意味で満足度の高い公演にしたい」と意欲を見せる。舞台初主演でもあるMay J.は「とても厳しく稽古していただいた」とし、歌声の変化にも注目してほしいと話す。本作の代名詞ともいえる名曲『I Will Always Love You』に触れ、「May J.としても歌ってきましたが、役を演じる中で歌うとまた全然違ってくる。気持ちも変わるので、その変化を感じていただけたら嬉しいなと思います」。ボディガード役の大谷は「“レイチェル三姉妹”を命がけで守るシーンは格好良く見せたい」と理想の身体作りも上々の仕上がりをアピール。一方、身体は張れないが「違う側面からレイチェル守って行きたい」と内場。役作りでは吉本新喜劇で見せる表情とは真逆の方向性を示唆し「人の命を守るんですからシリアスに、ギャグもおちゃらけも一切なし。大阪弁もダメです」と、神妙に語れば語るほど笑いを誘うさすがの空気感で場を沸かせた。果たして、内場が本当に笑いを封印するのかも観てのお楽しみだ。公演は1月21日(金)から31日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、2月8日(火)から19日(土)まで東京・東京国際フォーラムホールCにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年01月21日国内の人気ミュージカル俳優が一堂に会して開催される「Japan Musical Festival 2022」にて「ジャージー・ボーイズ」メドレーを披露する同ミュージカルキャストの中川晃教、花村想太、藤岡正明、東啓介、コーラスで参加する山野靖博がリハーサルの模様を公開し、同フェスティバルへの意気込みを語った。「ジャージー・ボーイズ」は、数々の名曲を生み出した「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ」の実話を描いた作品で、日本では2016年より上演。今秋の公演ではフランキー・ヴァリを中川と花村がWキャストで演じる。この日のリハーサルでは「Sherry(シェリー)」、「Big Girls Don’t Cry(恋のヤセがまん)」、「Walk Like a Man(恋のハリキリ・ボーイ)」などのヒット曲のメドレーを披露。さらに中川と花村という“2人のヴァリ”が「Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」を歌い上げた。国内のミュージカルスターが集うミュージカルファンにとってはたまらないコンサートとなるが中川は、韓国で開催され、日本人として初めて出演した「スターライト・ミュージカル・フェスティバル」に触れ「ミュージカルひとつでこんなにたくさんの人たちが楽しむことできるというのが衝撃的で『いつか日本でも、こういうフェスできたら…』と思っていたんですが、それが今回、叶います!」と興奮を抑えきれない様子で語る。「ジャージー・ボーイズ」初参戦となる花村はこの日の歌稽古が初めてメンバーと一緒に歌う機会となったが、振り付けも含めて息の合った様子を見せた。今回のコンサートがフランキー・ヴァリ役として「みなさんに観ていただく初めての場所となるので頑張って歌いたい」と意気込みを語る。初めてとは思えない花村のパフォーマンスにはメンバーも驚いたようで藤岡は「ハンパない!」と称賛し「まだ3週間あるので、ブラッシュアップして最高のメドレーが披露できると思う」と心強い仲間を得て自信を深めた様子。初演からヴァリ役をひとりで務めてきた中川も、新たに加わった花村について「いま、まっさらな状態で、このフレッシュな力、情熱に満ちた花村さんの輝きが、この『ジャージー・ボーイズ』になくてはいけないと感じながら、いままでとはまた違うハーモニーが生まれる予感がしました」とうなずいた。『Japan Musical Festival 2022』は1月28日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催(ライブ配信も実施)。
2022年01月18日昨年12月に開幕し、全国12都市を巡演中の『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』。1月26日(水)、27日(木)には兵庫・神戸国際会館こくさいホールで上演される。劇団四季『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート ~アンマスクド~』チケット情報『キャッツ』『オペラ座の怪人』など、数々の傑作ミュージカルを生み出してきた作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバー。劇団四季では、1973年に『ジーザス・クライスト=スーパースター』を初演して以来、ロイド=ウェバー作のミュージカルを半世紀にわたり上演し続けている。今作『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』は、ロイド=ウェバー楽曲を歌と生バンドの演奏でお届けする、2幕構成のショーコンサート。2018年にロンドンでワークショップ公演が行われ、2020年にアメリカで上演、そして今回、日本に初上陸を果たした。ステージ奥に配された生バンドの演奏をバックに、ロイド=ウェバーのこれまでの輝かしい歴史がダイジェスト映像で紹介されるオープニング。そして『ジーザス・クライスト=スーパースター』の「序曲」で高揚感を誘い、聴けば脳内リピート必至の「スーパースター」へ。幕開きからワクワクさせる構成で、観客をロイド=ウェバーの世界へと引き込む。劇団四季の上演作品からは『ジーザス』のほか、『エビータ』『アスペクツ オブ ラブ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』より、選りすぐりの名曲を披露。さらに、ロイド=ウェバーのデビュー作『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』や、2021年にロンドンで初演された『シンデレラ』のナンバーほか、劇団四季未上演の作品からも楽曲がピックアップされている。作品の合間に挟まれる映像では、ロイド=ウェバー本人が、時には実際にピアノを弾きながら、それぞれの作品ができた経緯や背景などを、ユーモアを交えて解説してくれる。なかなか知ることのできない誕生秘話を聞くことで、観たことがない作品でも楽曲への理解が深まったり、知っている作品は新たな視点を持って観ることができるのも面白い。ロイド=ウェバーの名曲の数々と、それを客席へ届ける俳優たちの、確かな実力から生まれる圧倒的なパフォーマンス。さらに臨場感あふれる生バンドの演奏がステージを熱く盛り上げる。ロイド=ウェバーの世界にどっぷりと浸れる極上の空間で、ひとときの非日常を味わってほしい。神戸公演は1月26日(水)・27日(木)、神戸国際会館こくさいホールにて。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年01月18日朗読劇『いつもポケットにショパン 〜2nd Lesson〜』が、1月13日に東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。くらもちふさこの同名コミックを原作とした朗読劇シリーズ第2弾となる本作。ピアニストを目指す主人公・須江麻子とその幼なじみ・緒方季晋のすれ違いと成長が、甘酸っぱい青春模様を交えて描かれる。キャストは日替わりで8組の俳優・声優陣がラインナップ。2019年の第1弾と同じく、脚本を吉田玲子、演出を酒井麻衣が続投する。取材日だった初日のキャスティングは、尾崎由香&高野洸ペア。尾崎は三つ編み姿が初々しく、高野はピンク色の大きなポケットが印象的なジャケットを羽織って登場した。ピアニスト・里見有香が生演奏するショパン「小犬のワルツ」に乗って、尾崎と高野は同じピアノ教室に通う麻子と季晋の仲睦まじい幼少期を微笑ましく演じながら、客席を劇世界へといざなう。季晋のドイツ留学と滞在先での列車事故を機に、幼い二人は離れ離れとなってしまう。やがて音楽高校に進学した麻子は、有名ピアニストの母と比較される劣等感を拭えず落ちこぼれていた。そんなある日、帰国した季晋が別の音楽高校へ通っているという話を耳にする。再会の喜びに湧く麻子に対して、季晋はまるで別人のように彼女を憎んでいた。幼少期の麻子は明るく純粋で、おしゃべりな少女だった。しかし成長するにつれ、母へのコンプレックスから感情表現が乏しくなり、演奏にも表れるように。朗読はモノローグを中心に進行するため気持ちを饒舌に語っているように聞こえるが、尾崎は高校生になった麻子の屈託を、幼少期のあどけない声音と比べてトーンを下げることで獲得していた。これに対して先輩や教師、そして季晋との交流を通じて次第にピアノに“覚醒”していく様子も鮮烈に造形する。「あいつ(=麻子)よりすごいピアニストになるんだ」──。列車事故でこの世を去った母の無念を知り、麻子に対して異様な競争心をたぎらせる季晋。高野は時に台本から目を離しながら、親の仇を討つような険しい視線を麻子に向ける。激しい苦悩や葛藤の描写がバラエティ豊かだったのはもちろん、麻子の先輩や教師など多様なキャラクターなどにも声色を変えて扮する巧みな演じ分けが光っていた。麻子との雪解けシーンでは“身長差”に萌えた観客も多いだろう。上演時間は100分ほど(休憩なし)。公演は1月23日(日)まで。チケットぴあでは現在、当日引換券を販売中。取材・文:岡山朋代
2022年01月14日城田優が演出・主演を務めるミュージカル『カーテンズ』が2022年2月・3月に上演される。城田に意気込みを聞いた。本作は、殺人事件が起きた劇場に駆け付けたミュージカルオタクの警部補チョーフィー(城田)が、事件だけでなく舞台の内容にまで首を突っ込み始め……と展開するコメディ・ミュージカル。2007年のトニー賞で主演男優賞を受賞したほか計8部門でノミネートした作品で、日本では2010年に東山紀之主演で上演された。今回は新演出、新カンパニーでの上演となり、城田のほか、ミュージカル初挑戦となる櫻坂46のキャプテン菅井友香と三浦翔平、瀬奈じゅん、原田薫、岸祐二、宮川浩らが出演する。本作について「こんなに不安なことはないです!(笑)」と明かした城田。というのも、シングルキャストで主演を務める作品に演出で参加するのは初めてとなるからだ。「演出のオファーをいただいた時は、ぜひ挑戦させていただきたいと思いました。だけど“主演も”という部分は正直悩んだと言いますか、今でも悩んでいるくらい。どうやるの!?と思っています」。そんな不安を吐露しながらも、既に思い描くものはあるようだ。「“殺人事件”と“ミュージカル”というふたつの要素が交わることで、非日常的な面白い空気ができあがると思っています。お客様には、誰が犯人かを捜しながらも、劇中でミュージカルの裏側も描かれるので、そこも楽しんでいただけたら。実際、僕らが普段からやっていることが描かれていたりもしますしね。そして、僕が演じるチョーフィーのミュージカルオタクぶりはやっぱりこの作品の見せ場です。殺人事件の捜査に来たはずの人が、『ちょっといいですか』と言って作品の内容について『こうしたらもっと良くなるんじゃないか』とアイデアを出していくっていう(笑)」。輸入作品となるが「海外の、特にこういうコメディ・ミュージカルを日本でやるのって本当に難しい。日本でウケるギャグ満載の作品を、海外に持っていっても誰も笑わないのと同じです。じゃあどうしたらこの脚本を面白くできるか。それは今回のポイントだと思います。全く笑えないコメディをつくっても仕方ないので、本国の許可を取って、脚本を見直しました」。さらに演出については、城田が常に大切にしている「歌とダンスとお芝居が乖離しないこと。そこに統一感がある物語になること」に今回もこだわっていく。「コメディ・ミュージカルとはいえ誇張しすぎず、しっかりとキャラクターをつくり、芝居劇を構築していきたいです」。城田の新たな挑戦となる『カーテンズ』は2022年2月26日から3月13日まで東京・東京国際フォーラムCにて上演後、大阪、愛知を巡演。
2022年01月14日今年で17年目を迎える中村屋一門恒例の全国巡業公演。歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助がリモート会見で見どころを語った。2022年春は『春暁特別公演』に加え、勘太郎、長三郎の子役を交えた『陽春特別公演』の2公演を上演する。生の歌舞伎の楽しさに触れ「元気になってお帰りいただきたい」と声を揃えるふたり。歌舞伎のいろはを解く「歌舞伎塾」や素顔が垣間見られる人気の「トークコーナー」を交えた構成で、演目にも趣向を凝らす。「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022」「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春特別公演2022」チケット情報『春暁特別公演』で勘九郎はお家芸「高坏(たかつき)」に出演する。花見の席で大名から高坏を買うよう命じられた次郎冠者(勘九郎)。しかし、それが何か分からず「高坏買いましょう」と声を張り上げて歩き出すと、そこへ高足売が現れて……。下駄でタップという趣向が楽しい軽妙洒脱な舞踊劇だ。「祖父の十七代目中村勘三郎が今の演出、振りにしたもので、中村屋にとっても大切な演目のひとつ。華やかな作品でお花見気分を味わって」と勘九郎が陽気に盛り上げる。七之助が勤めるのは心中物「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」。四世鶴屋南北作「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」(通称「お染の七役」)の大詰めを長唄の舞踊劇に仕立てたオリジナル演目で、七之助はお染、久松、お光、土手のお六の4役を踊る。「歌舞伎のエンターテインメント性を生でご覧いただける絶好の機会」であると同時に、男女の演じ分けや早替りなど役者、七之助の魅力を存分に堪能できる。続く『陽春特別公演』は勘太郎、長三郎の幼い兄弟が清元で踊る「玉兎」で幕が開く。息子の成長を見守る勘九郎は「何より芝居好きなのが嬉しい」と目を細める。ふたりともすでに踊りは入っているが、「今回はひとりで踊るものをふたり用に変える構成」につき、ブラッシュアップした内容でお届けする。また、今公演では勘太郎、長三郎がイラストを担当した手ぬぐいなどの公演記念グッズを初めて販売することも明かされた。打って変わり、勘九郎と七之助は清元を代表する名作怪談舞踊劇「かさね」を。腰元かさね(七之助)が最愛の与右衛門(勘九郎)に鎌で殺されたことに始まる因果因縁の物語。「男女のドロドロした部分や清元の名文句、名調子、その美しさも見せる。現代の女性にもドラマティックに観ていただけます」と勘九郎。最終的には顔が醜くなり足が折れどん底に突き落とされるかさね。七之助は「女性としてすべてが崩れる様を見せられたら」と語り、踊りでは勘九郎と阿吽の呼吸で魅了する。「互いが磁石のようにべったり引っ付いたり、拒絶し合ったり関係性にメリハリを付けるのが効果的で、そこが踊りの面白さ、深さになってくる。『玉兎』とはガラッと違う踊りを楽しんでいただきたい」とアピールした。『春暁特別公演』は3月6日(日)から26日(土)まで奈良、滋賀、兵庫ほか全国16か所にて、続く『陽春特別公演』は3月30日(水)から4月4日(月)まで大阪・フェニーチェ堺大ホールほか全国5か所にて。チケットは両公演、1月15日(土)10時よりプリセールを実施。取材・文:石橋法子
2022年01月14日1983年にロンドン・ウエストエンドでの初演以来、世界中で愛されているミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。片割れと知らずに友情を育んだ双子の男の子が、数奇な運命をたどる人間ドラマで、日本でも1991年以来繰り返し上演されてきた名作だ。今回、日本初演のプロダクションにも参加していた吉田鋼太郎が演出を務め、柿澤勇人とウエンツ瑛士が双子の兄弟・ミッキーとエディを演じる。柿澤は本作への出演をずっと熱望していたという。なんでも武田真治らが出演していた2009年版の『ブラッド・ブラザーズ』を観劇したことをきっかけにどハマりし、チケットを買い足して6回も観劇したそうだ。「1幕は大の大人が子どもを演じるのですが、恥を捨てて演じる姿はかわいくて、面白くて、美しかった。2幕は一転して、親友同士の双子が死んでしまう可哀想なストーリー。喜劇性と悲劇性が入り混じって、歌よりも芝居で見せるミュージカルですね。芝居が根底にあるのが好き」。一方のウエンツは、「歴史があって、お客様に愛されている作品だと思います。お芝居だからできることがふんだんにあって、役者として非常に技術が求められるし、勢いや体の使い方も問われる」と本作の印象を語る。その上で「僕はかっきー(※柿澤のこと)ほど作品を見ていないから、逆に先入観なく脚本を読んで、自分の想像から役を作り上げることができる気がする。かっきーといちから二人で作品を作っていける喜びがあるし、ステージ上でお互い役として目を合わせる瞬間が楽しみ」とも。改めてお互いのことをどう見ているか尋ねると、柿澤は「とにかく器用な役者。彼がロンドン留学後に出演した『わたしの耳』も『メリリー・ウィー・ロール・アロング』も素晴らしかったし、僕には絶対できないことも軽々できちゃう」と話すと、ウエンツは「危うさや色気を持ちつつ、可愛さやチャーミングさもある。面と向かって『あなたが羨ましい』とは言ったことがないけれど」と笑う。観客へのメッセージとして、ウエンツは「毎公演毎公演、ステージ上で起こる化学変化を見逃さずに!」と話し、柿澤は「こんなに笑えて泣ける要素が入っている作品はなかなかない。きっと、心の浄化や発散にもなると思います」。東京公演は2022年3月21日(月・祝)から4月3日(日)まで、東京国際フォーラムホールC。愛知、福岡、大阪公演もあり。その他の出演者は木南晴夏、鈴木壮麻、内田朝陽、伊礼彼方、一路真輝、堀内敬子。取材・文:五月女菜穂
2022年01月13日鹿賀丈史と市村正親が“夫婦”を演じるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が2022年3月、日生劇場で上演される。ゲイクラブオーナーのジョルジュ(鹿賀丈史)と看板スターのザザ(市村正親)は、事実上の“夫婦”として生活していた。ジョルジュには、過去の過ち(?)から生まれた最愛の息子ジャン・ミッシェルがおり、アルバンが母親代わりに育ててきた。そんな息子が突然結婚を宣言してーー。今回、ジャン・ミッシェルを初めて演じる内海啓貴に話を聞いた。「やはり緊張しましたが、今はそれを上回る楽しみの気持ちでいっぱいです。歴史ある作品に出演できること、偉大な先輩方と共演できることがとても楽しみ」と出演にあたっての思いを語る内海。2016年に上演された映像を観たことがあるといい「華やかで視覚的にも楽しめる作品。話が進めば進むほど、いろいろな愛の形が詰まっていて。メッセージ性がありつつも、明るく面白い作品だなと思いました」という。主演の鹿賀と市村は劇団四季からおよそ50年の付き合いで、本作では08年から共演し、“最高のコンビ”と称されている。内海は「セリフを喋らなくても、立っている佇まいだけでその役が存在するし、役の年輪を感じさせますよね。本当に素晴らしい。勉強になります」と2人の印象を語った上で「緊張はしますが、舞台上では“親子”なので。ジャン・ミッシェルとしての思いを素直にお芝居でぶつけたいです。お二人の掛け合いや仕草の一つひとつを間近で何度も観られるのは貴重な時間。たくさん学びたいですね」。ちなみに、内海にとっての“戦友”は、ミュージカル『GREASE』でも共演した三浦宏規だという。「ミュージカル『テニスの王子様』からの付き合いなので、もう5、6年になりますか。僕の芸歴の半分以上、一緒にいる(笑)」。1月16日で27歳。今後の俳優としての目標を尋ねると「本当にいろいろな役をできることが役者冥利だなと思っています。30歳に向けて、『ラ・カージュ〜』もそうですが、いろいろなことを、いろいろな人や作品から吸収していけたら」と話す。今までは「素直な好青年」の役柄が多かったが、今後は「舞台上に出た瞬間に緊張感が張り詰めるような役をやってみたい」とも。最後に観客へのメッセージとして、内海は「『ラ・カージュ〜』は僕も元気づけられたミュージカル。本当にハッピーな作品なので、楽しんで帰っていただけたら嬉しいです。ぜひ劇場の方へ足を運んでいただけらと思います観て頂きたいです!」と語った。東京公演は3月8日(火)〜30日(水)。そのほか愛知、富山、福岡、大阪、埼玉を巡る予定。取材・文:五月女菜穂
2022年01月13日株式会社スーパーエキセントリックシアターが制作協力を行う、2022年1月20日(木)から開幕の『日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演「中島鉄砲火薬店」』のメインビジュアルが解禁となりました。本作品は、新撰組隊士中島登が箱館戦争終結後、残りの人生を送った浜松での暮らしを描いた作品。メインビジュアルは市立函館博物館に所蔵されている、中島登が描いた『戦友絵姿』より、土方歳三をモチーフにしております。メインビジュアル表メインビジュアル裏本公演は、新進演劇人に上演の場を提供することにより、新進芸術家の育成を図ることを目的とした、「日本の演劇人を育てるプロジェクト」の事業として上演されます。ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズや舞台『幽☆遊☆白書』など、2.5次元舞台の第一線で活躍する伊藤栄之進が、2012年にSET(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)の劇団員が立ち上げたブレーメンプロデュースに書き下ろした作品。10年の時を経て、初の再演に挑みます。主人公の中島登役に唐橋充を迎え、小西成弥、田村心、大見拓土、松井勇歩、市橋恵、福永マリカ、飯野雅彦、栗原功平、高木トモユキ、松本寛也ら、11名の素敵なキャストが揃いました。ぜひご注目ください。中島鉄砲火薬店ビジュアル■「中島鉄砲火薬店」 公演概要~あらすじ~新撰組隊士として箱館戦争を戦い抜いた中島登は浜松に移り、後妻を迎えて静かに暮らしていた。登は、先妻との間に生まれ離れて暮らしていた息子の登一郎を呼び寄せる。ある日、かつての仲間である大島が訪れ、元新撰組隊士たちが不審な死を遂げていると切り出す…◆タイトル日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演「中島鉄砲火薬店」◆脚本・演出伊藤栄之進◆CAST唐橋充/小西成弥/田村心/大見拓土/松井勇歩/市橋恵/福永マリカ/飯野雅彦/栗原功平/高木トモユキ/松本寛也◆会場新国立劇場小劇場◆公演期間<2022年1月20日(木)~1月27日(木)>2022年1月20日(木) 19:00~2022年1月21日(金) 19:00~2022年1月22日(土) 13:00~ 17:00~2022年1月23日(日) 13:00~ 17:00~2022年1月24日(月) 19:00~2022年1月25日(火) 19:00~2022年1月26日(水) 14:00~ 19:00~2022年1月27日(木) 14:00~※開場時間は開演の30分前 ※未就学児童入場不可◆料金(全席指定・税込)前売り 7,000円当日 7,700円学生 4,000円(高校生以下)◆チケット一般発売2021年12月4日(土)・チケットぴあ ※PC/スマートフォン共通 Pコード:509-452・イープラス ※PC/スマートフォン共通 ファミリーマート店内端末「Famiポート」(直接購入可能)・ローソンチケット Lコード:35807 ローソン、ミニストップ店内端末「Loppi」(直接購入可能)・東京音協オンラインチケット ◆公式サイト ◆公式Twitter@Nakajimateppou◆制作公益社団法人日本劇団協議会◆主催文化庁 公益社団法人日本劇団協議会 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年12月24日京都・南座の新春恒例「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」が1月2日(日)から開幕するのを前に取材会が行われ、渋谷天外、藤山扇治郎、ゲストの久本雅美ら出演者7名が登壇した。「お正月なので衣装代も奮発して、時代劇の“まげもの”2本をパーンと打ち上げます!」と威勢のいい天外に、久本も「お芝居観に来たなという贅沢感が味わえる」と続き、早くも一致団結のムードが漂う。出演者が五・七・五のカルタで意気込みを語るなど、お正月らしい趣向で盛り上げた。「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」チケット情報一本目は「藤山寛美二十快笑」にも選出される『お種と仙太郎』。嫁姑問題を描いた人情喜劇を扇治郎と久本の共演で贈る。扇治郎は「お風呂場とかでよく、久本姉さんこれやりはったらいいのにとかひとりで考えるんです。その5本の候補のうち、1本がこれでした」とドンピシャの配役に喜ぶ。観客には自粛疲れを思いやり「来年は劇場に足を運んでもらって。僕と久本さんでやる人情喜劇でホロリと沁みていただけたら嬉しいなと思います」久本は「扇ちゃんがお風呂場でも私のことを考えてくれてたなんて。気色悪いけど、嬉しいです(笑)」と冗談めかしつつ、姑役は藤山寛美をはじめ代々男優が演じてきただけに「緊張します」と続ける。「男性が女性を演じる時点でひとつ面白さが加わっているので、それを女性が演じるとなると本当に難しいお役やと思います。ほんまはええ家族なんやなと思ってもらえるように、可愛げがある意地悪ばあさんでありたい」と語る。二本目は松竹新喜劇随一の爆笑喜劇『お祭り提灯』。このたび、39年ぶりに曽我廼家の名跡を継承した曽我廼家一蝶、いろは、桃太郎ら若手が大役に挑む意欲作だ。提灯屋、徳兵衛役の一蝶は先輩らに「熱量だけは負けたくない」と気合十分。扇治郎を中心に「劇団の新たな屋台骨となれるよう精進したい」とやる気をみなぎらせる。11月の襲名披露公演では観客の拍手が胸に沁みたと言ういろはは1『お種と仙太郎』で嫁のお種、『お祭り提灯』で徳兵衛の妹役に挑む。「お種は素直で謙虚な娘だと思うので、私も初心を忘れず素直な気持ちで成長できるように頑張ります」。桃太郎は、藤山寛美の十八番でもある提灯屋の丁稚役に抜擢され「恐ろしさに身震いしました」と驚嘆しながらも、「共演の方々の力を借りつつ、いい意味で期待を裏切りたい」と覇気を見せた。取材会では、カルタの五・七・五で「なんでかな おちょやん出たのに 気づかれず」と朝ドラ『おちょやん』出演という今年のハイライトをユーモアたっぷりに振り返ったのは渋谷天笑。同じく次代を担う若手の一員として「南座の公演を頑張って、街で声をかけられる人間になりたい」と活躍を誓う。仲間の援護も頼もしい扇治郎は、来年は寅年で年男。「松竹新喜劇をまた観たいと思っていただけるよう、お客様のハートに噛みついて離さぬよう精進したい」と決意を語った。公演は1月2日(日)から10日(月・祝)まで南座にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年12月22日“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンターテインメント集団・梅棒。彼らの最新作、13th“RE”WORK『風桶』が東京・本多劇場にて現在上演中だ。全公演満員札止めの好評を博したという梅棒 5th WORK sideB『風桶』(2016年)を再演する本作。行方不明の兄を捜す科学者の弟が現代と江戸時代にタイムスリップし、大ファンのバンド「夜桜前線」を巻き込みながら、気弱な傘売りや見習い芸者など個性豊かな町人たちと繰り広げる騒動が描かれる。兄弟やバンド、町人の間に生まれる絆の行方はいかに──。ゲネプロは、科学者の弟・吉田テスタロッサが観客に「兄を捜すタイムトラベルがてら、未来から令和の人気バンド“夜桜前線”のライブに参戦しに来た」と面白おかしく設定を伝える前説スタイルで始まった。弟は3択に挙手させるなど客席を巧みに劇世界へと誘いながら、舞台はいつしか300年前の江戸に。そこには街の荒くれ者と結託し、よからぬ策略を巡らす兄の姿が。江戸の民、未来の科学者、令和のバンドメンバーに共通するのは、時空を超えて出会えた喜びと別れの悲しさ。これらが舞台上をほとばしる圧倒的なエネルギーとなって、ストーリーは疾走感たっぷりに進んでいった。言葉を用いないにもかかわらず、全キャラクターの感情が伝わってくる演出やパフォーマンスに手に汗握り、心が揺さぶられるひと幕も。作・総合演出を務める伊藤今人は、開幕に際して「演劇を志すものにとって“本多劇場”がどういう場所か。我々がこの聖地にふさわしいと考えた作品がこの『風桶』でした」「梅棒らしさはそのままに、この作品だからこそ感じられる“演劇”が詰まった自信作です」とコメントを寄せる。この空間でしか味わえないライブ感に満ちたステージは、まさに演劇的。初進出の本多劇場で幕を開けたグレードアップ版『風桶』で、梅棒の門出を応援してみては。キャストには梅棒メンバーの梅澤裕介、鶴野輝一(Wキャスト)、遠山晶司、塩野拓矢、天野一輝、野田裕貴、多和田任益に加えて、渡辺みり愛、松浦司、まりゑ、松浦景子、YOU、正安寺悠造、長谷川敬タ、eat、Naoki、hirokoboogie、ひこひこ(Wキャスト)が名を連ねている。東京公演は12月30日(木)まで。その後、2022年1月7日(金)~10日(月・祝)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、1月20日(木)・21日(金)に愛知・名古屋市芸術創造センターと巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年12月21日朗読劇『よろず占い処 陰陽屋春らんまん』が2022年3月6日(日)、なかのZERO 大ホールで開催されることが決定した。原作は、累計発行部数130万部を超える大人気小説『よろず占い処陰陽屋へようこそ』シリーズ(天野頌子・著)。2022年に発刊15周年を迎え、クライマックスに向けて盛り上がりを見せている。本公演は2年ぶりの有観客での上演。全13巻の原作の中から選りすぐりの物語に、朗読劇ならではの脚色を加えたスペシャルバージョンとなる。キャストには諏訪部順一や松元惠、小野友樹、遊佐浩二らの豪華声優陣が集結。さらに朗読劇以外にも原作者・天野頌子による書き下ろし作品の朗読や、毎回恒例のメインキャストによるアフタートークも準備されている。なお、12月18日(土)より、最速抽選先行販売の受付が開始される。■公演情報朗読劇『よろず占い処 陰陽屋春らんまん』2022年3月6日(日)昼公演:開演15:00 / 夜公演:開演18:00(予定)※開場は開演時間の30分前を予定会場:なかのZERO 大ホール
2021年12月16日2016年から開催されている、岡田浩暉プロデュースのミュージカルコンサート『I Love Musical』。シリーズ第7弾となる今回は、デビュー30周年を迎えた岡田の節目を祝う楽曲にキャストが勢揃いした。初日の約3週間前、発起人である岡田本人に現在の心境を尋ねてみる。1991年にデビューし、To Be Continued名義で発表したシングル「君だけを見ていた」が俳優として初出演したドラマ『もしも願いが叶うなら』(TBS系:1994年)の挿入歌として大ヒットを記録した岡田。コンサートにはこのドラマで共演したミュージシャンの浜崎貴司が初登場し、「彼とのデュエット含め、ブチ抜きで数曲歌うコーナーを設けています」と岡田の門出に華を添えるという。岡田は、浜崎に対する想いを「同い年でアーティストとしての活動時期も近く、親近感があるんですよね」と語る。続いて「過去・現在・未来にわたっていろんなことを話せる人で、ミュージカル俳優“ではない”僕の側面を引き出してくれる存在ではないでしょうか」と期待を寄せた。折しも今年は岡田がTo Be Continuedを再始動させたタイミングでもある。もちろん、本コンサートには「ミュージカルの敷居を下げ、老若男女たくさんの方に楽しんでもらいたい」という岡田の企画意図も根底に横たわっている。その面を担うのは『I Love Musical』シリーズに出演経験のある石井一孝、泉見洋平、今拓哉、戸井勝海、彩乃かなみ、紫吹淳、沼尾みゆき、林愛夏、北翔海莉(男女別五十音順)といったキャストの面々だ。日替わりで出演する彼らとは“即興”でミュージカルナンバーをつくる目玉企画が用意されている。これは「観客の皆さんにミュージカルを身近に感じてもらうためには“目の前で生まれる瞬間”をお見せすればよいのでは」「いま感じたことが歌になる、というミュージカルの原型を体感してもらいたい」という岡田の考えから。お題の提供方法や作詞・作曲術、歌唱順など鋭意検討中だそうだ。ライブ感あふれる取り組みに、普段とは異なるキャストの表情が垣間見られるだろう。ミュージカルや映像の俳優経験は、歌い手としての岡田にどんな影響を与えたか──。最後にそう尋ねると、「発声法や歌詞の解釈がアーティスト時代より豊かになった」と岡田は笑う。「演じて歌う時は自分を殺すのではなく、役との共通点を常に探しています」「いろんなキャラクターを演じたことで、僕自身の在り方が問われるアーティスト活動の引き出しが増えた気がします」と続き、相乗効果のありがたさを語った。「KOHKI OKADA PRESENTS『I Love Musical 2021』~岡田浩暉デビュー30周年記念~」は、12月24日(金)~26日(日)に東京・第一生命ホールにて。ぴあでは座席指定できるチケットを販売(12月20日まで)。12月21日以降は各公演前日23:59まで購入できる当日引換券を販売する。取材・文:岡山朋代
2021年12月15日