トップスター早霧せいな、トップ娘役 咲妃みゆを中心とした宝塚歌劇団雪組が、名作映画『ローマの休日』をミュージカル化。大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。宝塚歌劇雪組公演 タカラヅカ・シネマティック「ローマの休日」チケット情報名優グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンによる、映画史に残る不朽の名作。イタリアのローマを舞台に、新聞記者ジョーとヨーロッパ各国を訪問中の某小国の王女アンとの束の間の恋を描いた物語で、早霧は「映画を観て、タカラヅカでやるのにピッタリなラブストーリーだなと思った」と語る。そして自身が演じるジョーは、映画とは異なるイメージになるという。「映画では渋い大人の男の印象ですが、宝塚版では、若くて野心家の新聞記者を作ろうとしています。スクープを撮って名声を手に入れて、早くローマからアメリカに帰りたいという欲望を強く持っているジョーが、アン王女に出会うことで純粋で素直だった頃の自分が現れる。お客様にジョーの変化を感じとっていただけるように演じたいと思っています」。『ルパン三世』や『るろうに剣心』をはじめ、原作がある作品にはこれまでにも何度も出演してきているが、映画のイメージが強い本作に手強さも感じている。「私の場合、原作がある作品に挑むときは、原作は最初に一度見るだけで、あとは舞台の台本を読んで自分がイメージするキャラクターを作り上げていきます。そこから、見返したいところだけを見返して、取り入れられそうな要素を取り入れるんです。ただ今回の作品は、皆さんの中に映画の印象が強くあると思いますので、そこが難しいところだと思っています。あまりイメージに引っ張られ過ぎず、自分なりのジョーを作り込んでいきたいです」。宝塚大劇場公演は基本的に芝居とショーの2本立てだが、今回は芝居だけの1本物。その1本で何を伝えたいかを一番大切にしていると話す。「1本物の場合、お芝居だけでお客様の心を動かさないといけないので、その作品で何を伝えたいかをよりしっかりと念頭に置いて作っています。『ローマの休日』では、ジョーとアンとの繋がりから、ジョーが見失っていたものを見つけたり、新しい自分に気付いたり、人が持っている素直な部分などを感じていただいて、少しでもお客様にほっこりして帰っていただきたいですね」。6月14日(火)から19日(日)まで愛知・中日劇場、6月25日(土)から7月10日(日)東京・赤坂ACTシアター、7月30日(土)から8月15日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年06月16日この夏、東名阪で上演されるミュージカル『マイ・フェア・レディ』の稽古の様子が一部、報道陣に公開され、出演者たちが作品の魅力をアピールした。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』チケット情報オードリー・ヘップバーン主演の映画でも名高い『マイ・フェア・レディ』。ロンドンの下町で育った貧しい花売り娘のイライザが、言語学者のヒギンズ教授の教えを受け、訛りの矯正と淑女らしい礼儀作法を学び、貴婦人へと変身していく物語だ。1956年にNYで初演され、日本では映画公開の前年にあたる1963年以降、繰り返し上演を重ねているが、2013年には脚本や演出を一新した“リボーン版”として上演、好評を博した。今回はヒロインのイライザに霧矢大夢と真飛聖(ダブルキャスト)、ヒギンズの寺脇康文らに加え、高橋惠子、水田航生ら新キャストが加わって、待望の再登場となる。この日はイライザの下町での生活が描かれる『だったらいいな』、劇中を代表するナンバー『じっとしていられない』(I Could Have Danced All Night)、そして映画・舞台とも、イライザの美しい白黒のツートンのドレスが印象的な『アスコット競馬場』の3つのシーンを披露。霧矢、真飛はともにくるくると表情を変えるキュートなイライザで、目を離せない可愛らしさ。演出のG2が「ふたりとも3年たった今も、いやむしろ今の方がとてもキュートな魅力を備えている」と太鼓判を押すほどだ。ヒギンズ教授に扮する寺脇の、“カッコいいがどこか変わり者”感も微笑ましい。アンサンブルのコーラスワークも美しく、長く愛される作品はやっぱり名作である、ということが実感できる。公開稽古後に行われた会見では、寺脇が「3年前と同じことをなぞるのではなく、より今の感覚を大事に、そして人間関係の深みをもっと出していこうとしています。イライザとヒギンズの関係も、ふたりだけが上手くいっておらず、お客さんから見れば「アンタたち好き同士なんでしょ!?」という感じで、より共感して観ていただける(笑)」とアピール。オードリー・ヘップバーンのあたり役に挑むイライザ役のふたりは、オードリーへのライバル心を問われ「私たちに出来るイライザを目指すしか…(笑)。あちらは世界の恋人ですから。私たちは日本で頑張ります」(霧矢)、「地道にコツコツと…ですね」(真飛)と苦笑しながらも、「『マイ・フェア・レディ』って本当に幸せな気持ちになるな、と感じていただける舞台を全員で作っていきたい」(真飛)と意気込みを語っていた。公演は7月10日(日)から8月7日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)に愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。
2016年06月15日劇団四季在団中は数多の作品でヒロインを務め、退団して活動再開後もたった4年で、今や日本ミュージカル界を代表する存在となった濱田めぐみ。彼女の芸能活動20周年を記念して、ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』が上演中だ。新国立劇場小劇場という客席400の濃密な空間で繰り広げられるのは、なんとソロ・ミュージカル。しかも『キャッツ』『オペラ座の怪人』の作曲で知られる巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーの手による、約40年前に初演された作品というから注目だ。ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報舞台はニューヨーク。スーツケースををぶらさげてロンドンからやってきたエマ(濱田)は、デザイナーと幸せな恋愛というふたつの夢を描いて胸を膨らませていた。ところが頼りにしていたニューヨークの恋人に裏切られ、女友達の家に転がり込むはめに。次にエマが恋したのは、大金持ちの映画プロデューサー。彼と共にロサンゼルスに移り住んだエマは、自分のスケッチを見てもらおうと意気込むが、恋人に軽くあしらわれてしまう。その後、自立を目指して再びニューヨークに戻ったエマだったが、年下の恋人との穏やかな時間も、やがて……。舞台奥から客席の前まで敷かれた白い"道"と、左右に同じく真っ白な布が天井から垂れ下がっているほかは、いくつかのトランクが置かれているだけのステージ。そこに登場した濱田も、最初は白いTシャツにショートパンツ姿だ。だが冒頭、シンプルな夢を抱いて都会に出てきたエマの歌声は、出会いと別れを繰り返して少しずつ陰影を増してゆく。弾けるような笑顔の少女が、挫折と現実を知った女性の横顔を見せるようになる。くるくると変わる表情や細やかな仕草で魅せる濱田を堪能するにつれ、セットなどの要素をギリギリまで削ぎ落としたスタッフの意図がわかるような気がした(演出/市川洋二郎、舞台美術/伊藤雅子)。楽曲は、当時の全英チャートにも入り、イギリスでは今も有名な曲だという「放っておいてよ」や、セリフをそのまま音に乗せたような「言わせて」など、どれもロイド=ウェバーならではのキャッチーなポップスばかり。一方で変拍子が多く、歌い手泣かせと言われる彼の曲だが、緩急自在に歌いこなして観客をグイグイと引き込むあたりは濱田の真骨頂。また舞台の白い壁面に映し出される映像は水彩画や軽いスケッチで、物語をさりげなく支えて印象に残った(映像/上田大樹)。「この何処にでもいるような女性の人生を描くことができるのは、類稀なる才能を持った女優だけ」(Whatsonstage.com)といわれる本作を、70分ノンストップで演じきる濱田。その言葉を見事に体現した彼女に、改めて感じ入る1本となった。公演は6月26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2016年06月14日ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』が6月12日、東京・よみうり大手町ホールで開幕した。開幕に先駆け11日、出演する村井良大、彩吹真央、駒田一が取材に応じ、作品の魅力と意気込みを語った。ミュージカル『キム・ジョンウク探し』チケット情報『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』は2006年に韓国で生まれ、2014年までロングランを重ねた人気作。何をやってもダメダメで、会社をクビになった挙句彼女にも振られてしまった主人公の青年が、新たに始めた“初恋の人を探してあげる会社”。そこにやってきた、初恋を忘れられない女性。その初恋の相手の手がかりは“キム・ジョンウク”という名前だけ…。彼と彼女が“キム・ジョンウク”を探し出す過程を、コミカルに、そしてロマンチックに描き出していくラブコメ・ミュージカルだ。2010年には映画化もされ、日本でも公開されたが、日本版ミュージカルは今回が初演となる。出演者はたった3名。主人公の冴えない青年ミニョクと、カッコいい初恋の相手キム・ジョンウクの2役を村井が、ヒロインのアン・リタを彩吹が演じ、彼らに関わる24役ものキャラクターを駒田がひとりで担う。その奮闘っぷりも見どころだ。「たった3人しかいない舞台ですが、舞台上では僕らが所狭しと暴れまくっております。笑って痛快なテンポで進んで行くラブ・コメディ」と村井が楽しさをアピール。3人のチームワークも良好だったようで、「休みの前なんか、反省会と言う名の食事会をしょっちゅう開いてたね」と駒田が話せば、「ここまで集まりが良いカンパニーって珍しい(笑)」(彩吹)、「全キャストがこんなに集まるなんて、ねぇ!?」(村井)、「まぁ、3人なんですけど(笑)」(駒田)と、テンポの良い掛け合いで報道陣を笑わせた。そしてやはり、話題は駒田の24役へ集中。「一さんが登場するたびに笑っちゃう(笑)。でも本当にひとつひとつの役の、声も姿勢も全部が違うんです」(彩吹)、「稽古場でも、一さんの色々な引き出しが見られるのが面白かった。しかも稽古場でもアドリブが毎回違う!」(村井)と、共演のふたりもその芸達者ぶりに舌を巻く。その駒田は「正直、苦しい稽古場でしたが、だからこそそれを乗り越えたなと、数日前から本当に楽しくなった。劇場で、笑って泣いて頂ければ僕らも幸せです」と話した。公演は6月26日(日)まで同劇場にて上演。その後6月29日(水)・30日(木)に大阪・サンケイホールブリーゼでも上演される。チケットは発売中。
2016年06月13日昨年、好評を博した新感覚の歴史朗読劇『僕とあいつの関ヶ原』『俺とおまえの夏の陣』が約1年ぶりに再演される。本作は、原作・吉田恵里香(映画『ヒロイン失格』脚本)×演出・中屋敷法仁(劇団「柿喰う客」)という異色タッグによる朗読劇シリーズ。前回からキャストを一新。『僕とあいつの関ヶ原』2チーム、『俺とおまえの夏の陣』1チームの計3チームで、戦国武将たちの友情、忠誠、裏切り、愛情と、戦国末期を駆け抜けた男たちの生きざまを描く。今回、猪塚健太、須賀健太、染谷俊之、松田岳にそれぞれ意気込みを聞いた。チケット情報朗読劇の経験者である染谷はその魅力を「視覚に頼らず、情景や心情をお客さんが好きに想像できるのが良さだと思います。演じる側としては、身体を使わずに声だけでどう表現するかというのが楽しいところですね」と語る。今作はこれから作られていくが、前作を見た須賀が「演者の熱量がすごく大切な作品だと思いました。朗読劇は、立って読む様子ををみせるイメージがあったんですけど、この作品は意外と動いていたりして。新しい試みなのかなと思います」と話す通り、本作は和服姿で動きも交えて朗読する独特のスタイル。一人何役も演じることもあり、猪塚は「衣裳もメイクも変えずに何役も表現するのは、この作品ならではの特徴。それをどこまで表現できるか。メインの役以外でもその人の生き様があると思うので、役が生きるように演じ分けたい」と意気込みを語った。舞台となる戦国時代が好きだという松田。「戦国時代って合戦の勝ち負けのイメージがあるんですけど、実は政治的な部分が泥臭くて面白いんですよ。特にこの作品はその辺りがたくさん描かれているので楽しいと思います!」と魅力を教えてくれた。猪塚「初めての朗読劇ではありますが、今の自分にできる最高の舞台を観てもらえるようにがんばります!」染谷「人がすごくあっけなく死んだり、燃えるように生きたりと熱い時代。そんな時代を生きる男たちを一生懸命演じたいです」須賀「朗読劇は初めてなので、新しい一面をぜひ観て頂きたいです。再演なので、さらに新しい挑戦やこのキャストならではの魅力を出せたらと思います」松田「チーム感が大事な作品。“このメンバーが好きだな”と思ってもらえるようにがんばりたいです」『僕とあいつの関ヶ原』は7月7日(木)から9日(土)、『俺とおまえの夏の陣』は7月10日(日)に東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年06月10日2013年に演出やキャストが一新され、“リボーン版”として生まれ変わったミュージカル『マイ・フェア・レディ』が、再び上演される。オードリー・ヘップバーン主演の映画でも広く親しまれる本作は、ロンドンの下町の花売り娘イライザが、言語学者ヒギンズ教授のレッスンで麗しい貴婦人へと生まれ変わるというシンデレラ・ストーリー。前回公演よりイライザ役を務める元宝塚歌劇団男役トップスターの霧矢大夢に話を聞いた。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」チケット情報前回は霧矢にとって宝塚退団後の“女優”デビューとなった作品。「イライザはハッキリと物を言う女性なんですが、一方で女性ならではのいじらしさもあって。そのバランスの取り方とかがすごく難しくて、“女心が分からない!”と思いながらお稽古していました(笑)。その後いろんな女性の役を経験させていただいて、最近は、男役を経験したからこそ客観的に女性の内面を捉えて演じられることが楽しくなってきましたね」。そんな霧矢を、今回も寺脇康文が受け止める。霧矢はもちろんカンパニーにとっても頼れる存在だ。「本当に大らかで明るいヒギンズさんで、自分がどう出ても受け止めてくださるんです。カンパニーの中でも兄貴的な存在で、とても頼りにしています。今回またどんな関係が作れるのか、楽しみですね」。宝塚在団中も英国を舞台にした作品に出演することが多かった霧矢。その度に本作で見せ方を研究していたという。「独特な格式、階級社会のこと、下町の人の振舞い、上流階級の振舞いなど、いろんなことが参考になる教科書のような作品だったのですが、男役でしたのでイライザには全然焦点を当てていなかったんです。もっとちゃんと見ておけば良かったですね(笑)」。繰り返し観てきた中で霧矢が感じる作品の魅力は、すべてのキャラクターが魅力的であることと、普遍的なテーマがあること。そして、単なるシンデレラ・ストーリーではないと話す。「楽曲もストーリーも素晴らしく、ミュージカルの醍醐味が詰まっていると思います。男女の心の距離感などが甘く切ないメロディでイキイキとコミカルに綴られていく、すごく魅力的な作品ですね。イライザが安定を求めるか、荒波を選ぶか、平らな道を選ぶか…。そうやって人生の岐路に立たされることって誰にでもあると思いますので、共感しながら観ていただきたいですし、多くを語りすぎない結末の描かれ方も粋だなと思いますので、お客様にも想像しながら楽しんでいただきたいです」。公演は、7月10日(日)から8月7日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年06月10日実力派ミュージカルスターによるガラコンサート『ブロードウェイ・ミュージカルライブ 2nd』が6月14日(火)・15日(水)、東京・EXシアター六本木にて上演される。2010年から上演を重ねる本コンサートの、今回は新シリーズとしてコンセプトバージョンを開催。シリーズ第一回目は「トニー賞VSアカデミー賞」と題してミュージカルナンバーのみならず、多くの人の心に残る映画音楽の名曲も含めた、豪華ラインナップが実現した。今回のこのコンサートに、日野真一郎が意外な選曲で初参加する。メンバー5人全員が音大卒である男性ヴォーカル・グループ“LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)”に所属する日野は、メンバーに先駆けてミュージカル『ファントム』(14年)に出演。歌手、俳優として活躍が期待される次世代スターのひとりだ。「トニー賞VSアカデミー賞」チケット情報「普段は5人で活動しているので、このようにひとりで参加するのはプレッシャーもあります。でも確実に経験値は上がるはず。僕が一番最初にミュージカルの舞台に出てから、今はほかのメンバーもそれぞれミュージカルを経験するようになりました。その後にグループに戻って一緒に歌った時に、やっぱり違いがわかるんですよね。僕らはお互い、どう学んだか、いろいろ経験してきたことをシェアするので、ほかのメンバーが経験したことも、あたかも自分が経験したかのように感じられる。グループとしても個人としても、レベルが上がっているんじゃないかなと思えるんです」日野が今回ソロで披露する楽曲は、『レ・ミゼラブル』からファンテーヌが歌う名曲『夢やぶれて』と、映画『ミスター・アーサー』の主題歌であり、クリストファー・クロスの世界的ヒット曲で知られる『ニューヨーク・シティ・セレナーデ』だ。「『夢やぶれて』は以前から大好きな曲だったんですが、女性が絶望の思いのなかで歌い上げる曲というのもあって、自分で歌うことは避けていたんですね。でも今回思いがけず勧められて、これは歌う運命にあるんだなと(笑)。女性曲だけど、もし男性がこのような思いで歌ったらどうなるのか、僕なりの歌い方を今、探っているところです。『ニューヨーク~』のほうもリクエストをいただいて、これはぜひ本物を聴きたい!と思って、4月のクリストファー・クロスの来日公演を観てきました。自分でも今歌ってみて、素敵なメロディにどんどん心惹かれています」本コンサートならではのお披露目となるソロ曲とともに、悠未ひろとのデュエット曲『Somewhere』(『ウエストサイドストーリー』より)も予定している。宝塚歌劇団出身の長身スターである悠未と声を合わせてみて、「とても面白かった。新しいものが生まれそうです!」と手応えも上々。美麗テノールが誘う曲の新たな世界観をぜひ味わいたい。「ミュージカルや映画の名曲とともに、その曲を聴いた当時の思い出を振り返る…そんな素敵なコンサートになると思います」取材・文/上野紀子
2016年06月10日ミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』が現在、東京・シアタークリエにて上演中だ。80年代に世界中にブームを起こし、今もなおポップカルチャーのアイコンであり続けるキースの31年の人生を綴った舞台。主演は柿澤勇人、演出は岸谷五朗。ミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』チケット情報絵を描くことを愛した若者がNYという都会に飛び込み、アーティストとしての才能を開花させ、そしてNYでの生活に翻弄され、葛藤しながらも自らのアートをひたすら生み出していく……。自分のアートを信じ、自分の居場所を追い求め駆け抜けていく若者の姿は、美しくも、痛々しい。キース役の柿澤は、初日前の会見で「精神的にも肉体的にも、今までやった役の中で一番辛い」と語ったが、キース本人はきっとこうだったに違いない、と思わせるセンシティブさで、天才アーティストを熱演する。柿澤の魂からの演技が、作品を牽引しているのは間違いない。作品としては、ノリのいいクラブミュージックや、インパクトのあるヒップホップなど、現代的なサウンドが印象的で、それを歌唱力抜群のキャスト陣が伸びやかに歌い上げるのが見どころのひとつ。ミュージカルとして質の高い舞台になっている。だが岸谷は、音楽・ダンス・演技というミュージカルを構成する3要素にとどまらず、映像や照明、キースが描いたアートを効果的に多用することで、舞台をひとつのアート作品として昇華させた。登場人物の感情や物語をきちんと描きつつ、どの瞬間を切り取っても視覚的に楽しい。もしかしたら本作は、アーティスト・岸谷五朗にとって、キース・ヘリングというアーティストへの挑戦なのかもしれない。岸谷が生み出したポップな景色の中で、スピード感のある音楽と激しいダンスによって、同性愛や性的快楽などもあけっぴろげに表現していく80年代の自由主義的な空気が描かれる。そこに、焦燥感に満ちたキースの人生が熱に浮かされたように重なっていく。キースのアートのように色鮮やかで賑やかな世界。だが、最後に舞台から伝わってくる感情は、穏やかだ。まだやりたりないことはあったに違いない、だが燃え尽くすように生きたキースの人生は、幸せだったに違いない。そう思えるのは、舞台上に愛情が溢れていたからだ。キースとアートで繋がり、ソウルメイトといったような絆をしっかりと見せた平間壮一、キースに振り回されながらも包み込むような愛情を持って彼を支えるアシスタント役の知念里奈、愛し合いながらも分かり合えない切なさを抱くキースの恋人・松下洸平らも、みなピタリと役と嵌り、作品に深い感動を与えていた。公演は6月22日(水)まで同劇場にて。その後6月25日(土)・26日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演される。
2016年06月09日その類い稀な歌唱力でミュージカル界に圧倒的存在感を示す濱田めぐみが、ソロ・ミュージカルという新たな舞台に挑戦する。日本初演となるアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカル『Tell Me on a Sunday ~サヨナラは日曜日に~』だ。開幕直前、通し稽古に臨む濱田に、話を聞いた。ミュージカル『Tell Me on a Sunday ~サヨナラは日曜日に~』チケット情報「音楽劇とも、普通のミュージカルとも違う、これ“カテゴリー何?”って思いました(笑)。ミュージカルって普通、相手とのお芝居があって、それが膨らんで歌になって、というものなのに──」。しかし、舞台に現れるのは濱田ひとり。彼女の歌と演技で綴られる、約70分間の舞台だ。「覚えることだらけ、記憶力の限界を見ましたね。それに、“ひとり芝居”なら、自分のテンポでしゃべることができるけれど、ひとりミュージカルに“自分のテンポ”は、ない。浸ったりしていたら、次の曲のイントロが始まっちゃう(笑)!」。実力派の濱田にとっても、この作品は大きなチャレンジだったよう。主人公エマは、デザイナーとして成功することを夢見て、英国からニューヨークへとやってきた女性。スケッチブックを手に、夢と希望を胸に旅立つも、この街に着いたまさにその夜、恋人にほかの女性がいることが発覚し──。幾度も恋に破れ、ボロボロに傷付きながら、新しい恋に心ときめかせ、夢を追いかける彼女の姿は実に清々しく、美しい。「ロイド=ウェバーさんの音楽って、えぐるんですよ、心を」とも。デビュー20周年を迎えた濱田のキャリアを語るうえで、『キャッツ』『オペラ座の怪人』をはじめ、数多の傑作を手がけたロイド=ウェバーの音楽は欠かせない。が、「ここでこういうメロディ使うのかっ(笑)!?」と戸惑うこともしばしば。不誠実な恋人を罵ったり、信じ難い現実に困惑したり、と感情をむき出しにするナンバーは、あまりにも真に迫り、胸を締めつける。かと思えば、新たな愛の喜びを叙情たっぷりに歌い上げ、涙を誘う。濱田の歌唱の多彩な魅力が、見事に発揮される作品といえるだろう。「エマほどの勇気と元気は私にはない、かな(笑)。でも、皆さんが今までに経験なさってきた恋愛の痛みが、必ずどこかにあるはず。“ああ、こういう時が私にもあったな”と感じていただけることが、何かしらあると思います」サラ・ブライトマンはじめ、数々の名女優たちが演じてきたという珠玉のソロ・ミュージカル。濱田だからこその熱演に、大いに期待したい。公演は6月10日(金)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2016年06月09日劇団四季の海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』の製作発表が6月8日、都内にて行われた。全キャストを公開オーディションで決定することも発表されていた本作だが、この日、主要5役の出演キャスト候補も発表に。主人公のカジモド役候補は、海宝直人、飯田達郎、田中彰孝。『ノートルダムの鐘』は文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作。15世紀末のパリ、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む異形の青年カジモド、彼を世話する大聖堂聖職者フロロー、警備隊長フィーバス、その3人が同時に愛する娘エスメラルダの間で繰り広げられる、切なくもドラマチックな愛の物語だ。1996年に公開されたディズニー長編アニメーションに基き、2014年にアメリカで開幕した作品を、今回日本で初めて上演する。複雑な人間心理や葛藤が描かれながらもハッピーエンドを迎えたアニメ版とは異なり、ミュージカル版はユーゴーの小説に回帰。シリアスで、しかし美しい、大人の作品となっている。劇団四季の吉田智誉樹代表取締役社長も、「従来のディズニーミュージカルの印象が“ファンタジックで幸福感に溢れるもの”とすれば、今回は“ドラマチックで宿命感に溢れるもの”になっている。明と暗、登場人物が抱える宿命を描き出すことで、立体的な人間ドラマが立ち上がっている」とその魅力を語り、「非常に大人向けの作品で、今の四季の上演活動を支える新たなレパートリーになりえる」と期待を話した。キャストは劇団内外を問わないオープンオーディションが行われ、その結果にも注目が集まっていたが、主人公のカジモドは、『レ・ミゼラブル』マリウス役などで人気を博す海宝直人が劇団外から参加、ほか『オペラ座の怪人』ラウル役などを演じている飯田達郎、『ライオンキング』シンバ役などを当たり役としている田中彰孝が選ばれた。出演者を代表し、フロロー役の芝清道は「私自身、この『ノートルダムの鐘』の音楽を初めて聴いた時、心が震え、鳥肌がたちました。そして原作を読んだ時、胸がいっぱいになりました。このような素晴らしい作品の開幕に携わることができて、大変光栄です」と挨拶。実力派が揃ったこのキャスト陣の熱演に期待したい。公演は12月11日(日)に東京・四季劇場[秋]にて開幕。チケットは10月15日(土)に一般発売を予定している。●『ノートルダムの鐘』出演候補キャスト【カジモド】海宝直人(※外部キャスト)/飯田達郎/田中彰孝【フロロー】芝 清道/野中万寿夫【エスメラルダ】岡村美南/宮田 愛【フィーバス】佐久間 仁/清水大星【クロパン】阿部よしつぐ/吉賀陶馬ワイス
2016年06月08日ミュージカル『魔界王子 devils and realist』が6月1日(水)に開幕した。本作は、月刊「コミックZERO-SUM」(一迅社)で連載中の同名マンガ(原作・高殿円、漫画・雪広うたこ)を原作にしたミュージカル。2013年にアニメ化され、舞台化は初。ミュージカル『魔界王子 devils and realist』チケット情報公開ゲネプロ前のフォトセッションには石渡真修(主人公・ウイリアム役)、鮎川太陽(ダンタリオン役)ら出演者10名が揃って登壇。賑やかに意気込みが語られた。河原田巧也は「魔界へようこそ、というよりも、僕たちが皆さんを魔界にお迎えする作品。立体感を出して、皆さんを包み込むように届けたい」、鮎川は「キャストだけでなく、すべての人を巻き込んで作り上げた作品。原作に忠実に、僕たちも役に一生懸命取り組んできた。お客様が入って完成。楽しんでください、ではなく、一緒に作り上げてください、とお伝えしたい」。最後に石渡が「何回も観てもらえるような作品になるように、千秋楽まで上を目指してがんばりたい」と語った。また、作品の内容についても「たくさん2.5次元の作品がある中で、ザ・ミュージカルと呼んでいいほどの作品になっている」(法月康平)、「見どころはクロス(布)を使った演出。他ではまだ観られないものを作っていると思います」(遠藤誠)と紹介した。物語の舞台は、19世紀の英国で選ばれた生徒のみが入学できるパブリックスクール。その中でも特に学力の高いストラドフォード校に通う名門貴族トワイニング家の跡継ぎ・ウイリアム(石渡)は、現代科学を愛するリアリストな自信家。しかし、叔父の事業失敗で財産を失ってしまい、学費捻出のために何か金目のものはないかと、屋敷の“開かずの扉”をこじ開ける。すると、ダンタリオン(鮎川)が現れ「自分は悪魔の代理王候補。お前はソロモン王の血を引く選定公で、代理王に投票する権利を持つ」と告げる。その日から、ダンタリオンら“代理王候補”が次々と学校に潜り込み――。ファンタジー要素満載の本作。しかし演出はアナログな手法にこだわり、引き起こされる超常現象なども、映像を使わず、クロスと役者の身体能力、音と光で魅せる。楽曲も、ポップなものからしっとりと聴かせるものまで幅広く、中には思わず笑ってしまうような曲も。さらに、原作の魅力のひとつでもあるコミカルなやりとりも随所で再現されており、衣裳やメイクももちろんのこと、『魔界王子―』の世界を丸ごと楽しめる仕上がりとなっていた。ミュージカル『魔界王子 devils and realist』は、6月5日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて上演。
2016年06月03日「実験落語」をご存知だろうか。1978年から86年にかけて、渋谷ジァンジァンで毎月開催された、三遊亭円丈が主催していた新作落語の会である。現代的なモチーフと言葉を用いながら新たな方法論でネタおろしを行い、代表作『グリコ少年』等を生み出した。その存在は、春風亭昇太、柳家喬太郎など新作を手がける後進の落語家たちに大きな影響を与えたと言われている。 その「実験落語」が6月、渋谷のCBGKシブゲキ!!で『実験落語neo~シブヤ炎上~』として復活する。高座を目前にした、三遊亭円丈に復活に込める想いを聞いた。『実験落語neo~シブヤ炎上~』チケット情報「渋谷は新しいものが生まれやすい土地だと思います」と語る円丈が、新しい実験に一緒に挑むのは、実験落語メンバーの林家しん平、かつて立川談志門下であり、一時実験落語メンバーでもあったダンカン、実験落語の系譜を汲む落語ジャンクションメンバーでもあり、スタンダップコメディの名手として英国でも大喝采を浴びた清水宏、当代きっての若手講談師・神田松之丞だ。中でも、林家しん平には「天才ですね。三題囃といって、お客さんに適当なお題を三つだしてもらって、即興で演じる演目があるんですが、(しん平くんの三題噺は)時間軸がきちんと推移していく。彼の思考の秘密を解き明かしたい」と信頼を寄せる。円丈いわく、新作落語の一番の魅力は「ネタにならないものはない。どんなことでも落語になるところ」とのこと。「『グリコ少年』はグリコの会長が亡くなったことがただただ悲しくて、その悲しさを落語にしたら、ウケたんですよね。ウケるつもりは全くなかったんですけれど。『競走馬イッソ-』もダービーで負けたから、元を取ろうと思って作りました」元々学生時代より演劇に携わっていた円丈だが、落語の特徴を「落語は感情がシフトできるものだと思います」と分析する。「最初はある男を馬鹿にしていたけれど、側面から見たり、裏から見ると、徐々に悲しみにシフトしていく。ひとりで話し続けているからこそ、ひとりの人物を掘っていけるところがあります。何もないところから作っていける点でも、落語は大したもんだと思います」70代になってもなお、新作落語を作り続ける円丈とこの実験に挑む4人の化学反応をこの目で確かめたい。公演は6月9日(木)午後7時開演。チケット発売中。
2016年06月01日世界60都市で大ヒットを繰り広げてきた『sutra』が、ついに日本初上陸を果たす。舞台で見せつけるのは、本場中国の少林寺の僧侶による迫力あるダンスとアクロバット。演出と振付を担っているのは、ダンス界のスーパースター、シディ・ラルビ・シェルカウイだ。日本では、『テヅカ』、『プルートゥ』の演出でも知られている。その舞台の主演を務め、ラルビをよく知る森山未來が、今作の魅力を語ってくれた。『sutra』チケット情報『sutra』を観て森山がまず感じるのは、少林寺拳法の迫力だ。「ずっと修行を続けてきた人たちの身体的なパフォーマンスが、とにかく圧倒的な衝撃なんです。少林寺拳法というものをこういう新しいカタチで観て、そのゴージャスさを感じるだけでも、観る価値はあると思うんですね」。それに加えて強調するのは、ラルビの演出である。「この作品についてラルビと直接話したことはないんですけど、これはラルビが、少林寺やアジアの文化との出会いに対するインプレッションを作品にしていったものではないかなと、僕は感じるんです。ラルビのなかでイメージしたアジアの世界を、少林寺の僧侶たちの身体と木の箱を使った美術で表していく。彼は仏教のことなどについても造詣が深いのですが、一つひとつの配置や動きに何らかの意味合いが絶対あるんですよね。それをすべてわかる必要はないんですけど、どうしてそういう配置や動きになっているんだろうと想像しながら作品と会話していくのは、クリエイターと観客のお互いにとっていい作用になると思いますし。そこまで考えなくとも、ラルビの驚きと喜びがあふれている作品だと思うので、それを単純に楽しんでもらえたらいいと思います」。『テヅカ』や『プルートゥ』でともに創作していくなかで、ラルビに敬愛の念を抱いていったという森山。「ダンスを見せるということだけでなく、空間を作っていくという考え方が面白く、その思考の柔軟性にもとても惹かれた」と語る。ラルビが作り出すものには、“ダンス”という言葉では括りきれないものがあるというわけである。この『sutra』も同様だ。「ダンス作品の領域は今、どんどん広がっていて、ラルビはそれをより広げたひとりです。この作品も間違いなく、観る人の価値観を広げてくれる力強さを持つもの。きっと新しい扉を開いてくれると思います」。日本公演では特別にラルビ自身が主演する。世界に衝撃を与えたパフォーマンスを体感することで何が発見できるか。楽しみにしたい。公演は10月1日(土)・2日(日)東京・オーチャードホールにて。チケットの一般発売は6月11日(土)午前10時より。
2016年06月01日8月末より東京を皮切りに、東海、近畿、中四国エリアを巡演する(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」西コースの制作発表が行われ、出演の松本幸四郎、中村雀右衛門が登壇した。松竹大歌舞伎 チケット情報中村芝雀改め五代目雀右衛門は、今年3月に東京・歌舞伎座の襲名披露興行で父(四世雀右衛門)の名跡を継いだばかり。全国各地に歌舞伎の殿堂である歌舞伎座と同じレベルの舞台を届けたいという思いから、約半世紀前にスタートした巡業公演で襲名披露ができることに感慨もひとしおの雀右衛門。「このたび名前が変わったという大きな節目の時に、父が縁にしておりました(『仮名手本忠臣蔵』の)「七段目」という狂言で、父とたびたび共演している幸四郎のお兄様のお胸を借りて、女方として大役のおかるを勤めさせていただくことは幸せです。父の姿を思い出していただけるよう精一杯勤めたいと思います」。その「七段目」で大星由良之助を演じる幸四郎は四世雀右衛門の思い出として「(前名の)大谷友右衛門時代は映画スターだったんです。それから雀右衛門になられて。古風で本当にいい女方でした。最後の舞台の楽屋で手をとって“また綺麗になりましたね”と声をかけたらニコッと笑ってね。女方としてお相手をしていただいて、いい勉強をさせていただきました」と懐かしそうに振り返った。雀右衛門は、父から教わった言葉として「気持ちを強く持たないとダメ、女方は綺麗じゃなきゃいけない。このふたつは役者として大切にしています」と話し、おかるを演じる上では「遊女であり、女房であり、腰元である複雑な役柄で、しかも色気があって、誠実な人物。女方としていろんなものを表現しなくちゃいけません。お客様に良かったと言っていただけるよう頑張って勤めたい」と意気込みを見せた。巡業公演では、各地の様々な会場で上演するため、大きさや機構が異なるが、そのことについて幸四郎は「劇場が歌舞伎にあっていようがいまいが、そこにいらっしゃったお客様に感動していただくために私たち俳優がどう演じるかが大切。観ていただいたお客様おひとりお一人が心で感じてお楽しみくだされば」と全国で歌舞伎を楽しみに待ちわびる観客へメッセージを送った。公演は8月31日(水)から9月25日(日)まで全国21か所を巡演。演目は『當年祝春駒』、『襲名披露口上』、『仮名手本忠臣蔵』の「七段目」を上演する。
2016年06月01日7月より東京・大阪で上演されるブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』。東京公演が即日完売したことをうけ、8月28日(日)より東京・東急シアターオーブで凱旋公演を行うことが決定した。【チケット情報はこちら】2005年に公開されたイギリス映画をミュージカル化した同作。経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーが、ドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程を描く。同作はシンディ・ローパーのパワフルで最高に魅力的な書き下ろしの楽曲の数々が大きな話題となり、2013年、トニー賞で最多となる13部門にノミネート。作品賞、主演男優賞、オリジナル楽曲賞など6部門を受賞。今もなおブロードウェイで人気を集めている。日本初上演となる今回、オリジナルの音楽・演出・振付はそのままに、岸谷五朗が演出協力・上演台本に参加。チャーリー役を小池徹平、ローラ役を三浦春馬が務める。初のドラァグクイーン役を務める三浦はアメリカ・ニューヨークに渡り、1か月間、シンディのヴォイストレーナーによるヴォーカルレッスンを受けるなど、気合十分。凱旋公演は8月28日(日)から9月4日(日)まで、東京・東急シアターオーブで上演。チケットの一般発売は6月25日(土)午前10時より。■ブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』7月21日(木)~8月6日(土)新国立劇場中劇場(東京都)8月13日(土)~8月22日(月)オリックス劇場(大阪府)8月28日(日)~9月4日(日)東急シアターオーブ(東京都)
2016年05月27日濱田めぐみの活動20周年を飾るソロ・ミュージカル『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』が、6月の公演に先がけ制作発表会を開催。報道陣のほか、130名のオーディエンスが招待された。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報本作は『CATS』や『オペラ座の怪人』で知られる巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの作曲で、1979年にロンドンで初演され、現在も世界各国で上演されるソロ・ミュージカル。サラ・ブライトマンらが演じており、日本ではこれが初上演となる。濱田は、主人公・エマの設定「デザイナー志望でニューヨークに出てきたイギリスの女の子」をイメージした衣裳で登場。本編で1曲目に歌われる『放っておいてよ』と、『一通目の手紙』を、本番同様、江草啓太のピアノ伴奏で披露した。トークには、本作の演出を担当する市川洋二郎も登壇。日本、イギリス、アメリカで活躍中の市川は、濱田が所属していた「劇団四季」からの付き合い。本作のストーリーについて市川は「ひとりの女性・エマの自立を描く物語。夢と希望を胸にニューヨークに出てきた彼女が、さまざまな喜びと悲しみに遭遇しながら、人間として少しずつ成長していきます。そのエマの旅路を観客の皆様と辿る中で、生きるとは何か、人間が自分の足で立つとはどういうことなのか、考えていけたら」と解説。70分で25曲を歌唱する本作。ソロ・ミュージカルへの挑戦について濱田は「難しいです。一瞬たりとも気が抜けないことは、ソロ・ミュージカル以外ないと思う」と苦労を語った。エマというキャラクターについては「彼女が持っている夢を諦めないという信念や情熱、バイタリティーは、自分が今まで20年間やってこれた核心の部分とすごく似ている」と共通点を語る。「ひとり芝居の醍醐味として、舞台上に他の人間が出てこないという点はすごく大切だなと僕は考えていて。舞台の転換もやる濱田めぐみっていうのはなかなか新しいと思います」(市川)と、舞台上のことは全て濱田が行うことも明らかに。その後も、互いの印象などを語り合った。最後にはタイトル曲『サヨナラは日曜日に』を披露。「自分の中に持っている一番純粋な部分、夢を持っている情熱の部分、いろいろな部分をさらけ出して、誠心誠意、心を込めて、エマという女性と共に生き、皆さんと共に素敵な旅を毎公演したいと思います」(濱田)と挨拶した。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』は、6月10日(金)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年05月25日ウーピー・ゴールドバーク主演の大ヒット映画『天使にラブ・ソングを…』をミュージカル化した『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、5月22日(日)に東京・帝国劇場で開幕。前日に、主役のデロリス・ヴァン・カルティエをWキャストで演じる森公美子と蘭寿とむ、デロリスを匿う修道院のシスターを演じる春風ひとみ、浦嶋りんこ、宮澤エマ、修道院長を演じる鳳蘭が会見を開いた。舞台『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』チケット情報本作は、殺人事件を目撃してしまったことで命を狙われるハメになった破天荒な黒人クラブ歌手・デロリス(森/蘭寿)がカトリック修道院に囲われ、そこで暮らすシスターたちと聖歌隊の特訓を通じ友情を育んでいく物語。2009年にウーピー自身のプロデュースでミュージカル化。2014年に日本初上陸し、今回はその大ヒットを受けての再演となる。会見にはそれぞれ役衣裳で登場。前作に続きデロリスを演じる森は「素晴らしいミュージカル。五月病の方でも、本当に明るく、明日を生きる力になるのではないかと思います!」と挨拶。Wキャストでデロリスを演じ、初参加となる蘭寿は「私は帝国劇場に初めて立たせていただける喜びをかみしめながら、この超ハッピーなミュージカルでお客様と一緒に盛り上がっていきたいと思います」と笑顔を見せた。2014年からの再演について森は「2年経って少しは覚えているかと思いましたが、ゼロの状態から始まりました(笑)。でも今回はまたさらにグレードアップして素晴らしいものになったと思います」。蘭寿は「難しいところはたくさんありますが、アラン・メンケン氏の曲が本当に素晴らしくて心躍るものなので、それが歌える喜びを感じながらできたら」と語る。そんな蘭寿を宝塚歌劇団の先輩・鳳は「宝塚で培われた華やかさとか、大劇場に負けない大きさがあるので私は安心しています」と評価した。仙台出身の森は、東北公演に懸ける想いを聞かれ思わず涙を浮かべる場面も。「初演でも盛岡と宮城に行かせていただいて、みなさんからの『元気になった』『素晴らしかった』って言葉に、私たちはこの仕事やっててよかったねって。私たちが元気をもらった作品でもある。来年は九州公演もあるので、ぜひ観て頂きたい。復興にはまだまだいろんな問題がありますけども、心は楽しく、前にいくように。この作品で少しでもみなさんの心の中に温かいものが生まれれば」と話した。ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は、5月22日(日)から6月20日(月)まで東京・帝国劇場にて。その後、大阪、愛知、岩手、北海道、宮城を巡回。2017年には福岡、静岡、長野での公演も決定。取材・文:中川實穗
2016年05月24日劇団四季が上演しているミュージカル『オペラ座の怪人』が来年3月、横浜で上演されることが決定し、5月23日、製作発表会見が行われた。会見には劇団四季の吉田智誉樹代表取締役社長と、黒岩祐治神奈川県知事が出席。4年ぶりとなる四季の横浜公演に対する両者の熱い思いが語られた。名古屋公演 チケット情報『オペラ座の怪人』はパリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛の姿が描かれたミュージカル。巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの美麗な楽曲が全編を貫く、ミュージカル界を代表する傑作であり、全世界で30か国・13言語で上演され、1億4千万人以上が観たというメガヒット作だ。日本ではブロードウェイと同じ1988年に初演、以降現時点で6645回上演されている。首都圏では、東京・電通四季劇場[海]で上演されていた2013年6月以来の登場だ。また、劇団四季の横浜公演は2012年11月まで上演されていた『キャッツ』以来。吉田社長は「あざみ野に本社と稽古場を構える四季にとって、横浜はお膝もと。横浜に更なるマーケットを作り、微力ながら経済に貢献したい」と横浜での上演に気合を入れる。黒岩県知事も「私も『オペラ座の怪人』の大ファン。CATSシアターがなくなったときは、寂しいなと思っていました。神奈川県では“マグカル(マグネット・カルチャー)”の考えのもと、横浜をNYのブロードウェイのようにしたい、とやってきた。“ミュージカルが溢れる神奈川”というものが、一気に広がっていけば」と期待を寄せる。さらには「これをひとつのきっかけとして、劇団四季さんとは長い付き合いをし、色々な形で連携を深めていきたい。本当は劇団四季の全国の劇場を、すべて神奈川に持ってきて欲しいくらいです!」と話すほど、熱いラブコールを四季に送っていた。会場は、KAAT 神奈川芸術劇場 ホール。自主制作公演もさかんな公共劇場を、約5か月ものあいだ劇団四季が使うことになるが、「KAATの創造性ある作品が減るということは、まったくない。むしろ劇団四季さんから大いに刺激を受けたいと思っている」と眞野純館長。黒岩県知事も「KAATにはホール(大劇場)以外にも、スタジオやアトリエといった、公演が出来るスペースがある」と説明。劇団と県(及び横浜市)と劇場、それぞれにメリットがある公演であることを強調していた。『オペラ座の怪人』横浜公演は2017年3月開幕予定。同年8月までのロングランを予定している。なお、同演目は現在、愛知・新名古屋ミュージカル劇場にてロングラン上演中。こちらは8月21日(日)が千秋楽となる。
2016年05月24日キングオブコント2012・2013・2015ファイナリストのうしろシティ。料理芸人としての才能も光らせる阿諏訪泰義、衣装にもこだわりがあり裁縫好きな金子学の多才なふたり組。そんなふたりが6月・7月に5都市で第7回単独ライブ『すばらしく眠い』を開催する。うしろシティ 単独ライブ チケット情報彼らのコントは、街中にいそうな人物にスポットライトを当てることが多い。「基本的に僕らのコントは周りで見つけた“変な人”を紹介する場。見たままを紹介するのではなく、その人が一番変になれるシチュエーションを想像しています。例えば、喫茶店だったらまだ変レベルが中だけど、これが葬式だったら変レベルがマックスになるんじゃないか、といった形でキャラクターを作り上げています」と金子。一方、阿諏訪も「そんなでっかいタン吐く!?しかもそれが自分の靴に絶妙に乗っちゃう!?みたいな、目立ちたくないのに、結果目立つようになってしまうような人がいたら、そっと近づいて後ろをついていきますね」と笑う。日々、ふたりで愛すべき”変な人”を探求しているという。単独ライブツアーは1年振り。昨年は福岡で初の単独ライブを行い、今年は金子の出身地・新潟での公演が追加された。地元公演に関して金子は「うちの母はぼーっとしていて、僕の言う事で1回も笑わないんです。学生時代も、友達に面白い事言ったつもりでもウケない事が多かったので、地元でのライブが一番滑ったりして(笑)」。と反応が気になるよう。「昨年初めてツアーに組み込んだ福岡。慣れていないし、ドン滑りでもしょうがない、と思ってやったんですが、お客さんが温かくて、楽しもうとしてくれる感じが嬉しかった。またツアーで訪問できるのは嬉しいです。新潟も初めてのツアーなので、また来年戻ってくることができるようにライブ頑張らないといけないですね!」と阿諏訪も意気込む。毎回単独ライブでは新ネタを披露するふたりだが、今年の2月に過去のコントの中からファン投票で選ばれたコントなどを集めたリクエストライブを開催。昔を振り返ることができ、新ネタを作るのに良い刺激となったそう。様々な人や経験からインスピレーションを受け、うしろシティワールドをたっぷりと体感できる予感大の今回のツアー。「一生懸命笑いにきてください。もし来年、今年の5会場からどこかが無くならないためにも、エリアを代表する気持ちで笑いにきてください!」(阿諏訪)「昨年はツアーを回ったおかげで、キングオブコントで決勝に進めるネタができた。お客さんのいろんな反応を見られるのを僕たちも楽しみにしているので、ぜひ遊びにきてください!」(金子)公演は東京、福岡、愛知、新潟、大阪で6月から7月にかけて開催。チケット発売中。
2016年05月23日2012年に韓国で誕生し、心理スリラーミュージカルという新たなジャンルを打ち立てた『ブラック メリーポピンズ』。小劇場オリジナルミュージカルでありながら、その年の韓国の公演ランキングトップ10に入る人気作となり、2014年には日本で初演。作品により深みを加え、シャープに仕上げた田村孝裕の上演台本、鈴木裕美による巧みな演出で上演した日本版も高い評価を得、今回満を持しての再演が決定。そのタイトルロールを演じる一路真輝に舞台の話を聴いた。ミュージカルブラック メリーポピンズ』チケット情報「『メリーポピンズ』に『ブラック』が付いているようにちょっとサスペンス的、スリラー的な作品になっています。と言っても、オドロオドロしいとかではなく、心の中の痛みのようなものを表している作品。私はタイトルロールでありながら、そんなに出番がある訳ではなく、4人の兄妹を見守る役。でもその中で存在感を出さないといけないという、難しくて私自身とても勉強になった役でした」14年前に起った火事の記憶を失った4人の養子たち、そして失踪した家庭教師メリーの衝撃の事実が明かされていく物語。今回、メリー役の一路真輝、養子の兄妹を演じる小西遼生、上山竜治、良知真次ら初演メンバーに加え、新ヒロインとして中川翔子が初参加。彼女にとっては初舞台、初ミュージカルでの大役で、その辺りも見どころだ。「私は今年35周年になるんですが、小西遼生くんが『僕、生まれてなかった』とか言うんですね。兄妹の最年長ですら、私の芸歴にかなわない(笑)。私は舞台の上に立っている事が日常だったりするのですが、若い女優さんから『舞台に立つことが怖い』という話も聴いたり。私にできることがあれば力を貸してあげたいなって思う時期に、(中川)翔子ちゃんが入ってくるよとお聞きして。ご一緒できるのは本当に楽しみですし、できることがあればお手伝いさせていただきたいと思ってます」本作は舞台上に真ん中に大きな盆、そして小さな盆が4つあり、それぞれの回転や照明で、現在と過去を行ったり来たりする展開。「いきなり子どもになったり、現在に戻ったり、最初は驚くかもしれませんが、観る内にどんどん引き込まれる感じですね。音楽も主張しずぎず、でもとても効果的に使われていて、楽曲とセリフがきちんと融合していて自然。ミュージカルが苦手という方でも楽しんで頂けると思いますよ」新たなミュージカルの魅力を感じさせてくれそうな本作、5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。
2016年05月19日連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、世界で初めてミュージカル化される。5月16日、主演する浦井健治ほか、宮澤佐江、新妻聖子ら出演者が劇中衣裳で登壇した豪華な製作発表会見が開催された。ミュージカル『王家の紋章』チケット情報物語は、アメリカ人少女キャロルがピラミッド発掘に参加している中、古代エジプトにタイムスリップしてしまうことからはじまる歴史ロマン大作。現代へ帰ることを願いながら、その地で若きエジプト王・メンフィスとの愛憎を繰り広げるキャロル、キャロルを愛するヒッタイト王国のイズミル王子、メンフィスに報われない愛を注ぐ実姉アイシスらの運命が交錯していく。会見には原作者である細川智栄子氏&芙~みん氏も出席。累計部数4000万部を誇る、少女漫画界きっての人気連載の初の舞台化について、細川氏は「若いときにテレビドラマ化をやったことがありますが、テレビの放送と漫画を描くスピードが異なってきてとても苦労しました。ですので『王家の紋章』は今までアニメ化の話などもありましたが、一切お断りしようと妹(芙~みん氏)と話していました。でも今回は「4巻まで(の舞台化)だったらどうか」と言われ、それだったら(漫画の続きを)急かされることもないのでお受けしました。それに間に立っていただいたプロデューサーさんがとても素敵な方で、そちらに参ってしまって…」と、許諾の理由をチャーミングな笑顔で明かす。主人公のメンフィスは、ミュージカル界のプリンス・浦井健治が務める。「連載40年、先生方が生涯をかけて紡いできたこの漫画が、ミュージカルとして、帝国劇場で初めて舞台化される。このことこそがロマンであり奇跡」と感慨深げ。浦井は初の帝国劇場単独主演だが、「とても嬉しいのですが、今はド緊張しています。帝国劇場はレジェンドであり、この舞台に立てること自体がとても光栄なこと。そのセンターに立たせてもらえる機会を与えてくれた皆さんに感謝しつつ、その期待に応えていきたい」と気を引き締めていた。キャロルはSKE48を卒業したばかりの宮澤佐江と、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子がWキャストで演じる。「夢にも思い描かなかったくらい素晴らしい劇場に立たせていただく。自分が10年間(アイドルとして)やってきたものを形にしてこの舞台に捧げたい」と宮澤が緊張気味に語れば、新妻は「『王家の紋章』が大好きで、子どもの頃から夢と感動を頂いてきた。その魅力を語りだすと止まらない(笑)。メンフィスというのは、少女漫画の歴史における元祖・俺様男子。昨今、壁ドンとか顎クイとかありますが、メンフィスはキャロルの腕を折っちゃいますからね、“腕ポキ”ですよ、スゴイんですよ!」と原作愛を爆発させ、会場内を笑わせていた。出演はほか、宮野真守・平方元基(Wキャスト)、伊礼彼方、濱田めぐみ、山口祐一郎ら。公演は8月5日(金)から27日(土)まで、東京・帝国劇場にて。チケットぴあではぴあ半館貸切公演回の先行抽選「プレリザーブ」を受付中。受付は5月19日(木)11:00まで。
2016年05月17日2年前の日本初演時、ドラマチックな楽曲と深い物語性、予想を越えるスリリングな展開で話題を呼んだ『ブラック メリーポピンズ』。韓国で2012年にヒットした舞台の日本版だが、演出に鈴木裕美、上演台本に田村孝裕と、こちらも日本演劇界の実力者が集結した。今回の再演にあたっては、同じスタッフはもちろん、初演キャストの一路真輝と小西遼生、良知真次、上山竜治に加え、これが初舞台となる中川翔子が出演。注目の集まるなか、5月13日のゲネプロの前に囲み会見が行われた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報1920年代のドイツ。有名な心理学者として知られるグラチェン博士の屋敷で火事が起き、博士の遺体も燃え尽きてしまう。だが彼の養子たちーーハンス(小西)、ヘルマン(上山)、アンナ(中川)、ヨナス(良知)は、家庭教師のメリー・シュミット(一路)によって、猛火から救い出される。ところがその翌日、彼女は失踪し、子どもたちも次第に事件の詳細を忘れてゆく。それから12年後。ハンスたちは、博士が当時書きつけていたという手帳の存在を知る。そこに書かれていた驚くべき真実とは……。囲み会見では、キャストの5名が登場。中川は「(稽古中は)『皆様の足を引っ張ってはならない!』とガチガチになって。胃薬も飲んでました」と緊張の面もち。その一方で「コンサートと違ってお芝居は皆で作るものだなと。"ちゃんと(アンナの)人生を生きる"って思っていると、(芝居中も)涙が出てきたり、心が裸になる感じがします」と手応えを感じている様子だ。一路も「翔子ちゃんたちは、子ども時代と大人になった現在とを演じ分けなきゃいけないんですが、私は子ども時代のアンナちゃんがすごく可愛くて。メリーが母親のようにアンナたちを思う、そんな役の気持ちを翔子ちゃんからもらっています」と語った。小西や上山、良知も、揃って中川との顔合わせを新鮮に感じているという。「(中川の参加で)兄弟の関係性も前回とは全然違っていて。イチから新しいものを作っている感覚」と言うのは小西だ。続いて上山が「中川さんは最初全く目が合わなくて。最近はやっとコミュニケーションがとれるようになったんだよね」と優しく中川に言うと、恐縮する中川に一路たちは大笑い。本当の兄と妹のような温かい雰囲気に、思わず取材陣からも笑いが漏れた。とはいえ“心理スリラーミュージカル”と銘打つ本作では、歌や芝居のほかにも素早い舞台の進行など、多くのハードルがそびえるのも事実。それについても良知は、「中川さんは段取りを覚えるのが早くて、歌声も綺麗。堂々としてますよ」と太鼓判。最後は中川が「全力全身で挑みたい」と改めて表情を引き締め、心地よい緊張感のなか会見は終了した。5月29日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、6月3日(金)から5日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、9日(木)福岡・福岡市民会館 大ホール、17日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2016年05月17日市村正親と大竹しのぶ。日本の舞台俳優として最強のコンビで上演されたブロードウェイ・ミュージカル『スウィーニー・トッド』が、4度目の上演を果たす。作品は、18世紀末のロンドンに実在したという恐怖の理髪師をモデルに描く、痛快だが哀しい復讐の物語。音楽は、現代ミュージカルの巨星スティ-ヴン・ソンドハイム。この作品は演出の宮本亜門が「一番好きなソンドハイム・ミュージカル」であり、大竹しのぶも「独特の音楽の世界がクセになる感じで、ずうっとやりたいぐらい楽しい!」と、今回の再演を喜ぶ。大竹を直撃、作品の魅力と意気込みを聞いた。ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」チケット情報物語は衝撃的だ。無実の罪で流刑となり、脱獄してロンドンに戻った理髪師がスウィーニー・トッド(市村)と名乗り、元の店の階下でパイ屋を営む昔なじみのミセス・ラヴェット(大竹)と手を組んで、復讐を始める。正体を知る人間を次々とカミソリで首を切って殺し、死体は人間ミンチにしてパイ屋へ。ロンドン一まずいと評判のパイ屋は肉不足を解消、かくして行列のできる店に!独特のソンドハイムの音楽のなか、舞台セットを立体遊戯具のように巧みに使う演出。大竹はこの作品の魅力を「音楽が素晴らしいです。最初は、この音、間違ってるんじゃないの?と思うような音楽ですけど、音が全部計算されていて、深い。表面ではすごくきれいなバラードを歌いながら、その下では不気味な音が鳴っていたり。とても難しい音を出さなくちゃいけなくて大変でしたけど、だんだんおもしろくなってくるんです」。物語と役柄については「すっごく恐ろしい話を笑いながら楽しくやるところが魅力的。『殺しちゃいましょっ』って、恐ろしいことを笑顔で歌って(笑)。怖い話ですけど、楽しいんです。ミセス・ラヴェットは最初からスウィーニーを『好き好き』と思っていて、好きよ、楽しいわ、お金いっぱい、ハッピー!みたいな感じ(笑)。ドキドキして、最後はそんなぁ!!って(笑)」。2007年の初演では、ミュージカルはほとんど初めてながらこの作品に挑戦した。4度目となる今回は「もっと歌がうまくなりたい。芝居でしゃべるように歌うには、すごい技術がいるので、私、ほんとに頑張らなくちゃ。これまで観ていただいた方には、ソンドハイムの音楽を、さらにパワーアップしてお届けしたい。初めてご覧になる方には、これがミュージカルだったと思ってもらえるようなワクワク感を渡したいと思っています」。初回から大阪公演の会場はシアターBRAVA!。「劇場の思い出は、やはりここで何度も公演した『スウィーニー・トッド』が一番多いです」と語る大竹の想いを乗せ、これを最後の演劇公演としてシアターBRAVA!は5月末に閉館する。公演は、5月13日(金)から15日まで大阪・シアターBRAVA!、5月20日(金)から22日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年05月13日2014年に宝塚OGが世界初・女性キャストのみで上演したミュージカル『CHICAGO』。歴代トップスターをはじめ、華やかかつ実力のあるメンバーが、ブロードウェイのクリエイティブ陣と作り上げたこの舞台は大きな評判となった。この際の好評を受け、今夏、NYリンカーン・センター・フェスティバルでの公演が決定。横浜、NY、東京、大阪のワールドツアーとなる。5月11日、その制作発表が行われた。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョン チケット情報1920年代のシカゴを舞台に、殺人すらもチャンスに変えようとする野心溢れるヴェルマ、ロキシーら悪女たちと、悪徳弁護士ビリーを中心とした、スキャンダラスな物語。ジャズナンバーとクールなダンスに彩られたミュージカルだ。ブロードウェイでは今年ロングラン20周年を迎え、今も絶賛上演中のため、宝塚OG版が上陸する7月にはNYでふたつの『CHICAGO』が同時上演されることになる。会見にはビリー役の峰さを理、姿月あさと、ヴェルマ役の湖月わたる、水夏希、ロキシー役の大和悠河が出席。「NYに行くことは今からドキドキワクワク。本場でどう受け止められるのか、楽しみだし、怖くもある。緊張感を持って挑みたい」と語るのは峰。2014年の宝塚OG版初演に際し、ブロードウェイの劇場に赴き「女性のみのCHICAGO」の上演を発表した姿月は「NYの方々に、女性が男性の扮装をすることに大変興味を持ってもらった。私たちの公演を受けて、ブロードウェイでもビリー(男性)役をやりたいという女優が出て来たら面白いね、と言われました。それほど、世界的にもチャレンジな公演です」と話す。また「宝塚ではスパンコールにラインストーン、これでもかというくらい華やかな衣裳と照明と装置でやってきたのに対し、この作品は衣裳も黒のワンピース1枚、セットもシンプル。自分の身ひとつで表現する怖さ、難しさを感じました。でも改めて、その怖さに今回も向きあいたい」(水)と語るように、彼女らにとっても挑戦の舞台となった。だが宝塚OG版の強みは、「ジェントルマン(男役)のかっこよさと、レディース(女役)の美しさ。そして団結力。これは絶対に世界に通用する」(湖月)、「どの『CHICAGO』より美しく、エレガントなものになる」(大和)。世界に『CHICAGO』は数多ある中、ここにしかない宝塚OGの『CHICAGO』をお見逃しなく。なお、NY公演では終演後、レビューショー『タカラヅカ・アンコール』が上演される。「せっかくトップスター経験者だらけ。彼女らが出身した宝塚というところがどんな場所か、一端でもいいから見せられるショーに」(演出・三木章雄)とのこと、こちらも必見だ。主要キャストはダブルキャストもしくはトリプルキャスト。ほかにビリー役に麻路さき、ヴェルマ役に和央ようか、ロキシー役に朝海ひかる。公演は7月9日(土)から14日(木)のKAAT 神奈川芸術劇場大ホールを皮切りに、7月20日(水)から24日(日)にはNYのデビット・H・コーク・シアターで上演。その後8月に東京・大阪公演を行う。国内チケットの一般発売は5月21日(土)より。
2016年05月13日5月7日、甲子園球場で行われた阪神VS東京ヤクルト戦の試合前に、『三谷文楽 in 大阪 其礼成心中』の作・演出を務める三谷幸喜を模した文楽人形・みたに君がファーストピッチセレモニーに登場した。『三谷文楽 in 大阪 其礼成心中』チケット情報みたに君を遣うのは、人形遣いの吉田一輔、吉田簑之、吉田簑悠。当日の朝、40分ほど人形の動きを練習し、投球練習は甲子園球場の練習場で行った三人。「藤浪晋太郎選手の投球フォームを参考に練習しました。文楽の人形らしい投球を、ノーバンでできたら」と意気込みを語った一輔。本番では、みたに君と一輔、簑之、簑悠がマウンドに上がると大きな歓声に包まれた。ファーストピッチセレモニーではワンバウンドし、目標のノーバンには届かなかったが、見事な投球に再び甲子園球場が沸いた。生粋の阪神ファンという一輔は「マウンドに上がれて気持ちよかったです。ただ、ノーバンにならず残念でした。もし次に機会があったら、ストライクを取りたいです!」と感想を語った。『三谷文楽 in 大阪 其礼成心中』は2012年に渋谷・パルコ劇場で初演し、2014年には京都公演を実施。2016年は「其礼成心中」の舞台でもある待望の大阪公演が決定した。近松門左衛門の『曽根崎心中』をベースに、大坂・曽根崎の天神の森で普通に暮らす夫婦の営みを描いた人情喜劇。笑いと涙が溢れる三谷流文楽が、聖地・大阪に遂に上陸する。『三谷文楽 in 大阪 其礼成心中』は7月1日(金)より森ノ宮ピロティホールにて。チケット発売中。
2016年05月09日2014年に日本初演され、高い評価を得た韓国発のミュージカル『ブラック メリーポピンズ』が、新ヒロインに中川翔子を迎えて再演される。登場人物は、かつて心理学者グラチェン博士の豪邸に住んでいた4人の養子たちと、家庭教師メリー・シュミットの5人だけ。豪邸の火事から12年後、当時の記憶を失くしている4兄妹が久々に再会し、事件の真相を探るうちに衝撃の事実に辿り着く心理スリラーだ。初日を約3週間後に控えた稽古場を訪れると、演出の鈴木裕美と振付の小野寺修二のもと、再演とは思えないほど丁寧な稽古が繰り広げられていた。ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』チケット情報中川と兄役の小西遼生、良知真次、上山竜治が取り組んでいたのは、クライマックスとも言えるシーンの振付稽古。小野寺によって、“ミュージカルのダンスシーン”と聞いて通常思い浮かべるような華やかなダンスとは一味も二味も異なる、役の心理と密接に結び付いた繊細な振付が施されていく。それだけに、体の動かし方とその意図については、小野寺だけでなく鈴木からも細かい指示が。「この時点で4人は大人だが魂は子どもで」(鈴木)、「“他者との戦い”をイメージして」(小野寺)といったハイレベルな要求に、小西は頻繁に質問を投げかけて都度確認しながら、良知は黙々と繰り返しながら、上山は失敗を恐れず様々な動きを試してみながら応えていく。小西が思わず「前回より相当キツい!」と苦笑いするほど、初演から続投の3人にとっても難しい振付に、初参加で、しかも初ミュージカルとなる中川も必死に食らいつく。小野寺と鈴木の説明に、こぼれ落ちそうに大きな瞳を見開いて真剣に耳を傾ける一方で、「どのぐらいのテンションでいたらいいんですか?」などと積極的に尋ねる姿が印象的。また、このシーンで主に歌っているのが中川演じるアンナであることから、時には中川のアカペラの歌声に合わせて稽古が進む一幕も。軽く歌っているだけでもきれいにビブラートが効いたその歌声は、新たなミュージカル女優誕生を予感させるに十分だ。そうして稽古すること約2時間、台本にして4ページ弱のシーンがようやく形になり、いよいよ通してみることに。本番さながらのピアノ伴奏がついて回転舞台が廻ると、キャストにもスイッチが入り、和やかだった稽古場に緊迫感が満ちる。兄妹のなかに封印されていた過去の記憶が蘇ると同時に、見ていたこちらのなかにも初演でこのシーンを観た時の衝撃が生々しく蘇り、胸が苦しくなった。この衝撃が、力強い一篇のミュージカルに昇華された舞台に再び会える日まで、あとわずかだ。東京公演は5月14日(土)から29日(日)まで。その後、兵庫、福岡、愛知でも公演。取材・文:町田麻子
2016年05月06日ダンスをはじめ、映像やストレートプレイでも活躍をみせる大貫勇輔。今回、舞台『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』では、フラメンコに初挑戦する。ジャズ、コンテンポラリー、ストリートダンスなど何でも得意の彼が、どんな踊りを見せてくれるのか。稽古を目前に、その心意気を聞いた。「フラメンコ・カフェ・デル・ガト」チケット情報湖月わたる、水 夏希、原田 薫で結成されたユニット『BAD GIRLS』が、異国の男性ダンサーと共演する舞台「DANCE LEGEND」シリーズ。今回はその人気シリーズの第3弾で、構成・演出・振付をフラメンコの名手ホセ・バリオスが手掛ける。大貫はスペインのフラメンコダンサーとともに参加する。「フラメンコは今まで踊ったことはないんです。スペインには以前から興味があり、現地で稽古があると聞いて『やったー!』と声を上げてしまいました(笑)。以前、パリに行きたいと思っていたら、ストリートダンスの大会で優勝してパリに行けたり、自分がやりたいと思うと何かつながる瞬間があるんです。今回もスペインに呼ばれているような気がして、運命的なものを感じました」。フラメンコ初挑戦に「もちろん不安はあります」というが、どこか余裕を感じさせる。「水 夏希さんが、フラメンコのテクニックを学んだだけでは、外国人が付け焼刃で日本舞踊を踊るみたいになってしまう。それよりも、どれだけスペインの文化を愛し、フラメンコの血を自分の中に入れられるかが大事だとおっしゃっていたんです。僕も同感で、自分の内側から出て来るものが一番大切。それがダンスだと思うんです」。フラメンコは、ジプシーと呼ばれるロマ族をはじめとする多数の民族が培ってきた伝統文化だ。「僕は、ダンサーの母親の胎内にいるときから舞台に立っていて、生まれながらのダンサーだと思っています。言葉にならない思いや、つらかったことを肉体を通して変換し表現してきた。フラメンコも現地の人が生きる上で、必要としてきた踊りです。そこは通じる思いがあるんです」。核が同じなら、ダンスのジャンルが違っても踊りこなせる。そんな自信が彼の中に脈打っているのが伝わってくる。今作は第1幕が『ロミオ&ジュリエット』のように愛や闘いを描く物語で、大貫もある役柄を演じ、第2幕は、スペインの地方や都市を巡るショー形式の舞台になる予定だ。「いいダンサーは日本で食べていくのは難しいから、まず、海外に出て日本に帰ってくる。それは熊川哲也さんがすでにされているから負けず嫌いの僕は、逆の発想で(笑)、日本を拠点にして世界に行きたい」と言い切る。「僕と同じ踊りはほかの人にはできない。僕にしかできないものを持っている」ともいう。大貫ならではのフラメンコに注目したい。公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年05月02日『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』が、4月27日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』チケット情報本作は、2010年から上演がスタートした男女ふたりの朗読劇シリーズ。出演者は日替わりで、8度目となる今回は、相葉裕樹×日笠陽子、小林豊×佐野ひなこ、染谷俊之×近野成美、平間壮一×和音美桜、廣瀬智紀×入来茉里、福山潤×田中美里、前田公輝×徳井青空、矢崎広×三倉茉奈、竜星涼×真野恵里菜という9組が出演する。『私の頭の中の消しゴム』は、永作博美と緒形直人が主演のテレビドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~』(2001年)を原作とした韓国映画(2004年)。若年性アルツハイマー病に冒された薫と彼女を支え尽くす浩介の物語を、男女ふたりが言葉で紡いでいく。初日となる4月27日は、ミュージカルを中心に活躍中の平間壮一×和音美桜ペアで上演。オフホワイトで統一された舞台セットの中、同じくオフホワイトの衣裳を着たふたりが椅子に座り、日記を朗読した。日記の始まりは、ふたりが出会った頃。初期に書かれているのは、恋する戸惑いや喜び。感情が上がったり下がったりする中でも、ふたりの声から伝わるのは楽しさばかりだ。いつでも怒鳴り口調だった浩介が穏やかになった頃、結婚。新婚生活を綴った日記には底なしのしあわせと希望が溢れ、リズムのいい会話のように毎日の出来事が描かれる。しかし、そのリズムは薫の病気の発症と共に崩れ始め、病気が進行するほどに一方的な語りへと変わってしまう。どんどん子供のようになっていく薫と、どこまでもやさしく寄り添おうとする浩介――そんな生活を記す日記には、愛を示す言葉も増えるが、えぐるような言葉も増えていく。平間の温かな声と和音の明るい声が、どんな言葉も平等に客席に届けることが辛い。休憩なしの2時間の熱演。カーテンコールでは、涙が止まらない平間に笑って手を差し出す和音が印象的だった。泣き顔のまま笑い合い、寄り添うように舞台を去っていったふたり。その姿を見て、言葉を重ねていく朗読劇だからこそキャストによって全く違うものになるのだと感じた。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』は5月8日(日)まで。2回観劇すると舞台特製パネルがプレゼントされる特典も!取材・文:中川實穗
2016年04月28日川平慈英、長野博、松岡充、鈴木壮麻によるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』が4月末に開幕する。それに先駆け、都内で公開稽古と囲み取材が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、1990年の初演以来アメリカ各地で上演され続けているスチュワート・ロス脚本のコメディミュージカル。事故で亡くなったサウンドグループ“Forever Plaid”のメンバー4人が一晩だけ地上に戻り、できなかったショーを実現する、という物語。日本では2013年に上演され、今回は再演。川平、長野、松岡、鈴木の“Forever Plaid”メンバーが再び顔を揃えた。公開稽古では、本番同様のセットに揃いの衣裳に身を包んだ4人が登場。軽やかに奏でる美しいハーモニー、コミカルなマイクパフォーマンス、キャラクターらしさが伝わるトークと、ステージから溢れ出すように楽しさが伝わってくる。「一番楽しんでいるのはお客さんよりも僕たち4人なんじゃないのかっていう、そんな瞬間があるんですよ」(川平)という彼らの姿は、観ているだけで自然と笑顔になるはずだ。ミュージカル界、アイドル界、音楽界と、普段はそれぞれの場所で活躍するメンバー。3年ぶりとなる再演だが、ステージ以外でも終始仲のよさそうな様子を見せ、「同じメンバーで舞い戻れたのはミラクル」(川平)、「一人でも変わると“Forever Plaid”じゃなくなる気がする」(長野)と再集結を喜んだ。美しいハーモニーが印象的な本作。実力派揃いとはいえ絶妙な音のハモリを合わせるのには苦労しているそうで、川平は「譜面を見ただけで『これは危ない』という和音。でもそれが“Forever Plaid”の良さなんです」と解説。松岡も「相手の音を聴くと自分が歌えなくなるので、(相手のことを)嫌いになってもおかしくないほど」と大変さを語りつつ「でも座長(川平)がちゃんとまとめてくれるので、なんとか和音が奏でられる」と笑顔を見せた。余震の続く九州での公演も予定している本作。「舞台の間は違う世界にお連れします。いろんなことを忘れて、楽しくなっていただいて、それが元気の源になってくれたら」(長野)、「コーラスという形で想いを届けられたらいいなと思っています。だからこそ一音一音をすごく大事に僕たちは歌っているので、そのハーモニーが皆さんの心に届くことを願っての稽古の日々です」(鈴木)と想いを話した。『Forever Plaid』は、4月26日(火)の埼玉・志木市民会館パルシティでのプレビュー公演を皮切りに、全国13会場で公演。取材・文:中川實穗
2016年04月25日ピエール・ラコット版『ラ・シルフィード』の上演を控えた東京バレエ団が公開リハーサルを開催、続いて行われた記者懇親会で、斎藤友佳理芸術監と主演ダンサーたちが舞台への意欲を語った。【チケット情報はこちら】懇親会冒頭、「すべてこの作品からスタートした、私の原点ともいえる作品。踊り込んできたことでわかったことがたくさんあります。ラコットさん、(ギレーヌ・)テスマーさん(同作品の初演ダンサーで、指導者として活躍)から教えていただいたことを、すべて伝えたい」と、指導への並々ならぬ熱意を明かす斎藤。東京バレエ団のプリマとしてこの作品にたびたび主演、海外公演でも絶賛されたが、近年は、ラコットの信頼を得てモスクワ音楽劇場で振付指導アシスタントを務め、2013年の東京バレエ団での上演では振付指導を手がけている。愛着のある作品だけに、その指導ぶりは熱く、厳しくもなる。「ラコットさんから教えられたことを大切にし、ロマンティック・バレエの薫りを伝えたい」(斎藤)。『ラ・シルフィード』は19世紀前半のロマンティック・バレエの傑作だが、1972年にラコットが復元上演して人気を得た作品だ。スコットランドの農村を舞台に、結婚式を控えた青年ジェイムズと、彼の前に突然現れた空気の精シルフィードとの悲恋を描く。初日に主役を踊るのは、この4月にプリンシパルに昇進したばかりの渡辺理恵と、昨年8月に入団した宮川新大のペア。「2度目のシルフィード役。ジェイムズへの思いを軸に、柔軟に創っていきたい」(渡辺)、「毎日が勉強!物語の中での表現を、つきつめたい」(宮川)。また、2日目に主演する沖香菜子と松野乃知は2013年の上演でもペアを組んだが、「いろんな作品に触れ、成長できたのではないかと思う。私なりのシルフィードを出していきたい」(沖)、「この3年で感じ方は変わってきた。今の僕ができるジェイムズとして、舞台を生きたい」(松野)と抱負を語る。彼らの言葉に目を細める斎藤。「指導で同じことを要求しても、人によって受け取り方は違うもの。このふたりの妖精も、全く違う。それはとても素晴らしいこと」と、彼らの個性に期待を寄せる。「皆、舞台に命をかけているなと思うけれど、命はかけ過ぎず(笑)、楽しんでもらいたい。そうなったとき、それぞれの良さがでる。成功を見守っていただきたいと思っています」と、ダンサーたちを激励した。公演は4月29日(金・祝)、30日(土)、東京・東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2016年04月22日