小企画展「美術館の悪ものたち」が、東京・上野の国立西洋美術館にて、2023年9月3日(日)まで開催される。国立西洋美術館に潜む「悪ものたち」に着目国立西洋美術館が所蔵する作品には、多くの「悪ものたち」が登場する。お金に目がくらむ若者、若い女性にうつつを抜かし、あるいは嫉妬する老人、盗人たち。ひいては悪魔や魔女といった悪を象徴する存在やその手下たち、死の象徴でもある憎々しい骸骨などがその例である。小企画展「美術館の悪ものたち」は、国立西洋美術館が所蔵する作品に見られる「悪ものたち」に着目した展覧会。15世紀から20世紀初頭にかけての所蔵版画作品を中心に紹介する。画面の中に描かれた個性的で、時にコミカルな姿で表される悪ものたちの姿を通じて、芸術家の豊かな空想力を感じることができる。会場では、「罪深い人々」「悪魔と魔女」「魔物」「死」「近代都市の悪ものたち」に分けて版画数十点、絵画数点を展示。特にマルカントニオ・ライモンディやアルブレヒト・デューラーが描いた各ジャンルの「悪ものたち」の作品を鑑賞できる。悪に対するかつての西洋の価値観を垣間見るはるか昔に描かれた「悪」や「正しくないこと」は、現代の価値観とマッチするものもあれば、理解に苦しむものもある。たとえば殺人や嫉妬は「悪」であり「正しくないこと」であるのに対し、大食いが罪とされるのには違和感を覚えるように、善悪の線引きは、古来より変わらないものもあれば、時代や地域、社会によって異なるのである。18世紀末期以降に脱宗教化・世俗化が進むと、「悪」を客観的に捉え社会批判を含んだ絵画なども多く描かれるようになる。「近代都市の悪ものたち」の章では、フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスやオノレ・ドーミエらによる作品も展示される。本展は、「悪」に対する西洋の価値観の一端にも触れることができる展覧会となっている。展覧会概要小企画展「美術館の悪ものたち」会期:2023年6月27日(火)~9月3日(日)会場:国立西洋美術館 新館2階 版画素描展示室住所:東京都台東区上野公園7-7開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日※ただし8月14日(月)は開館観覧料:一般 500円(400円)、大学生 250円(200円)※( )内は20名以上の団体料金(オンラインにて要事前予約)※高校生以下および18歳未満、65歳以上は無料(入館時に学生証または年齢の確認できるものを提示)※心身障害者および付添者1名は無料(入館時に障害者手帳を提示)※7月9日(日)、8月13日(日)、9月3日(日)(Kawasaki Free Sunday)は本展および常設展は観覧無料※8月26日(土)(にぎやかサタデー)は本展、常設展および企画展は観覧無料※本展は常設展の観覧券または企画展「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」(7月4日(火)~9月3日(日))観覧当日に限り、同展観覧券で観覧可【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年07月24日英国のテート美術館のコレクションから「光」をテーマに作品を厳選し、18 世紀末から現代へと至るアーティストたちの約200年間に及ぶ創作の軌跡をたどる大規模な企画展が、7月12日(水)から10月2日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催される。中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで話題を呼んだ世界巡回展の最後を飾るのが、東京・大阪で開催される日本展だ。数えきれないほど多彩な表情を見せる「光」をどう作品に描くのか。新たな芸術表現を追求するアーティストたちは、この難解なテーマにずっと向き合ってきた。同展は、英国のテート美術館の約7万7千点以上のコレクションの中から厳選した約120点の作品によって、18世紀末から現代までの光をめぐる表現や技法の移り変わりを明らかする企画展だ。今回は、英国を代表するウィリアム・ブレイクやターナー、コンスタブルから、モネなどの印象派、そして、ブリジッド・ライリーや草間彌生ら現代アーティストまで、多彩な作品が来日。また、出品作も、絵画のみならず写真、彫刻、素描、キネティック・アート、インスタレーション、映像など多岐にわたる。同展の大きな特徴は、展示の構成を「精神的で崇高な光」や「自然の光」といった光のタイプや、「色と光」「広大な光」といった切り口で章立てすることによって、時代や地域、ジャンルを超えて「光の作品」を俯瞰する会場構成が行われることだ。テーマごとの多様な光の作品群が空間の中で相互に呼応するような、これまでにない鑑賞体験ができるという。同展のもうひとつの見どころは、約120点のうち、ターナーの傑作を含むおよそ100点が日本初出品だということ。また、国際巡回展の最終会場となる日本では、エドワード・バーン=ジョーンズ、マーク・ロスコなど、人気作家による12点が特別出品される。ゲルハルト・リヒター《アプストラクト・ペインティング(726)》は日本初出品かつ日本特別出品作だ。光に包まれる体験ができる大型のインスタレーション作品にも注目したい。ジェームズ・タレルやオラファー・エリアソンの作品は、いずれも日本初公開。18世紀末から19世前半のロマン派の画家たちから新たな視覚体験をもたらす現代美術家まで、様々なアーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されてきたのか、その多彩な表現を目のあたりにする貴重な機会となるだろう。<開催情報>『テート美術館展光— ターナー、印象派から現代へ』会期:2023年7月12日(水)〜10月2日(月)会場:国立新美術館 企画展示室2E時間:10:00〜18:00、金土は20:00(入場は閉館30分前まで)休館日:火曜料金:一般2,200円、大学1,400円、高校1,000円※2023年7月15日(土)~17日(月・祝)は高校無料 (要学生証提示)※2023年10月26日(木)~2024年1月14日(日)まで大阪中之島美術館へ巡回公式サイト:
2023年07月05日ふくやま書道美術館で、夏の所蔵品展2「日本の書画 ー幕末から現代」を開催しますふくやま書道美術館(広島県福山市)では、個性豊かな近現代の日本書画をテーマにした”夏の所蔵品展2「日本の書画 ー幕末から現代」”を7月7日から開催します。展覧会名夏の所蔵品展2「日本の書画 ―幕末から現代」会期2023年7月7日(金曜日)~8月20日(日曜日)開館時間午前9時30分~午後5時休館日月曜日※ただし、7月17日(月曜日・祝日)と8月14日(月曜日)は開館、7月18日(火曜日)は休館。会場ふくやま書道美術館 常設展示室・展示室観覧料一般150円(120円)、高校生以下無料※( )内は有料20名以上の団体料金概要幕末から明治初期の書道は西洋文化の流入により沈滞していましたが、1880年(明治13)に来日した楊守敬(ようしゅけい)がもたらした未知の文字資料によって活気づきます。大正期には一変して仮名書道が発展し、昭和へと受け継がれました。以降現代まで書を専門に研究する書家たちによって漢字・仮名書道ともに大いに発展してきました。本展では、幕末の歌人 大田垣蓮月尼、勝海舟など幕末の三舟、異色の文人画家 富岡鉄斎、明治を代表する書家 中林梧竹・巌谷一六・日下部鳴鶴、日本画家 橋本関雪などの書に、現代書道界において指導的な立場であった書家たちの書や文房具等を加えた約87点を展観し、個性豊かな近現代の日本の書画を紹介します。詳細は、以下のリンク先をご確認ください。夏の所蔵品展2「日本の書画 -幕末から現代」 - 福山市ホームページ : 福山市について福山市(市長:枝広 直幹)は、瀬戸内海沿岸のほぼ中央、広島県の東南部に位置し、高速道路網のアクセスが良く新幹線「のぞみ」も停まる、人口約46万人の拠点都市です。福山市には四季折々の美しさを見せる自然、温暖な気候、海・山・川から得られる恵みがあります。100万本のばらが咲き誇る「ばらのまち」としても知られ、潮待ちの港として栄え日本遺産に認定された景勝地「鞆の浦」や、JR福山駅の新幹線ホームから見え、2022年に築城400年を迎えた「福山城」、2つの国宝をもつ寺院「明王院」などの名所があります。産業としては、鉄鋼業や繊維産業など多様な製造業が集積し、ものづくりのまちとして発展してきました。デニム生地は、世界のハイブランドにも活用されるなど高い品質が評価されています。福山市ホームページ トップページ : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月04日展覧会「日本近現代ガラスの源流」が、富山市ガラス美術館にて、2023年7月8日(土)から10月9日(月・祝)まで開催される。日本の近現代ガラス芸術の源流を探る明治以降、国内では洋式ガラスの普及に伴い、幅広いガラス製品が生産されるようになる中、芸術としてのガラス地位向上に努め、独自の表現を追求する作家は次第に増えていった。1950年代から1970年代にかけてはガラス会社に所属する多くのデザイナーが、プロダクト・デザインと美術工芸作品の両方を手掛けて活躍するようになる。一方、会社には所属せずに、工場と職人を借りる「壺借り」という方法で制作を行う作家や、ガラス会社を経て個人の窯を築く作家も現れる。展覧会「日本近現代ガラスの源流」では、1870年代から1970年代前半までのおよそ100年の動きを追いつつ、各時代、各作家の重要作品と関連資料を展示。作品を通して、日本のガラス芸術がどのように切り拓かれてきたのか、日本の近現代ガラス芸術の源流を探る。本展では、それぞれの作家による想像性豊かな作品の数々が見どころのひとつ。たとえば、日本の近現代ガラス芸術の先駆者とも言える岩田藤七は、溶けたガラスに息を吹き込む「吹きガラス」による表現を、またもうひとりの先駆者である各務鑛三は、ガラス表面を削って加飾する「グラヴィール」や「カット」によって、自身の創造性を作品に落とし込んだ。展覧会概要企画展「日本近現代ガラスの源流」会期:2023年7月8日(土)~10月9日(月・祝)会場:富山市ガラス美術館2・3階 展示室1~3住所:富山県富山市西町5-1開場時間:9:30~18:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉場の30分前まで)休館日:第1・3水曜日(ただし8月16日(水)は開場、8月23日(水)は閉場)観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生 1,000円(800円)※( )内は20名以上の団体※本展観覧券で常設展も観覧可※前売券取り扱いは一般 1,000円のみ※無料観覧の対象は、高校生以下、富山市に住所登録がある70歳以上、お出かけ定期券またはシルバーパスカ提示の65歳以上、身体障がい者手帳、療育手帳、または精神障がい者保健福祉手帳提示者及びその介助者(1名)、団体引率者■出展作品・作家岩城滝次郎、小林菊一郎、岡本一太郎、明治~昭和初期の氷コップ・醤油差し等、松浦玉圃、岩田藤七、各務鑛三、明道長次郎、高木茂、降旗正男、淡島(小畑)雅吉、佐藤潤四郎、青野武市、各務満、各務クリスタル製作所、岩城硝子工藝部、小川雄平、小柴外一、吉田丈夫、佐々文夫、竹内傳治、佐々木硝子株式会社、株式会社保谷硝子、船越三郎、菅澤利雄、岩田久利、岩田糸子、岩田工芸ガラス株式会社、藤田喬平、益田芳徳、小谷眞三、舩木倭帆、他(展示導線順、会社名は展示作品・資料の制作当時)【問い合わせ先】富山市ガラス美術館TEL:076-461-3100
2023年06月29日大阪の国立国際美術館にて、特別展「ホーム・スイート・ホーム」が開催される。会期は、2023年6月24日(土)から9月10日(日)まで。“ホーム”をキーワードにした現代美術日本国内外の現代美術作家たちが参加する今回の「ホーム・スイート・ホーム」展。“ホーム”というキーワードのもと、作品を通じて、私たちにとっての「ホーム」――家、国そして家族とは何か、私たちが所属する地域、社会の変容、普遍性を浮かび上がらせることを試みる。本展に出品する作家の一人である鎌田友介は、日本のみならず、韓国や台湾、ブラジルなどに建てられた20世紀の日本家屋をリサーチ。忘れ去られようとする現代日本の歴史を再構築する『The House』シリーズが展示される。ジョージア出身のアンドロ・ウェクアが贈る《Levan Portrait》。自身の実体験を踏まえながら、独特な色調で描いた絵画だ。そのほか、フィリピンで生まれたマリア・ファーラの絵画《テラスのある部屋》や、潘逸舟が段ボールを使って構成したサウンドインスタレーション《ほうれん草たちが日本語で夢を見た日》などが展示される。【詳細】「ホーム・スイート・ホーム」会期:2023年6月24日(土)~9月10日(日)時間:10:00~17:00 ※金・土曜日は20:00まで。休館日:月曜日(7月17日は開館)、7月18日(火)場所:国立国際美術館 地下3階展示室住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55料金:〇通常一般 1,300円/大学生 800円/高校生以下・18歳未満 無料〇団体一般 1,100円/大学生 500円/高校生以下・18歳未満 無料■出品作家アンドロ・ウェクア、マリア・ファーラ、鎌田友介、石原海、竹村京、潘逸舟※入場は、閉館の30分前まで。※20名以上で団体料金を適用。※画像の無断転載禁止。【問い合わせ先】国立国際美術館TEL:06-6447-4680(代表)
2023年06月22日ル・コルビュジエ建築の世界遺産「国立西洋美術館」の知られざる舞台裏を描くドキュメンタリー映画『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』より、井浦新がナレーションを担当した予告編が公開された。上野にある「国立西洋美術館」は、東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇り、日本を代表する美術館として知られる。本作では、2020年に創建当時の姿に近づける整備のために休館した美術館の内部にカメラが入り、1年半の長期にわたり密着。所蔵作品のお引越しの全貌を記録したほか、絵画や彫刻の保存修復作業、コレクションの調査研究や国内・海外の美術館への巡回展、特別展の企画開催など、知られざる舞台裏に迫った。今回公開された映像は、数々の美術番組に出演、ガイドブックや展覧会グッズの制作にも関わるなど、美術愛の深さで知られる井浦さんが、知られざる美術館の舞台裏の世界へと誘いこむ。所蔵作品が展示される美術館のシーンから始まり、休館し観客がいなくなった場面へと移り変わる。前庭リニューアル工事の模様をはじめ、普段は決して見られない収蔵庫の内部、展覧会の打ち合わせ風景や購入作品決定の会議など、貴重なシーンが登場。関係者のインタビューでは、美術館の目前に迫る危機的状況が明かされる。ナレーションを終え、井浦さんは「美術館で働く人々のことは、お客さんは知らなくても良いかもしれない。だけど、知ってから美術館に行って美術を見ると、もっと楽しくなる」と言い、「この映画を見て、国立西洋美術館に行ったら、見る前とは国立西洋美術館の見方や過ごし方がきっと変わる。映画を見てから美術館に行くのもいいし、行ってから映画を見ても、どっちも楽しい。無機質に感じるかもしれない美術館も、実は生き物なんです」とコメントを寄せている。なお、井浦さんが担当したのは、予告編のナレーション。本編にはナレーションは入っていない。『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』は7月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:わたしたちの国立西洋美術館 ~奇跡のコレクションの舞台裏~ 2023年7月15日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開©大墻敦
2023年06月19日公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団 岡本太郎記念館・川崎市岡本太郎美術館は、第27回岡本太郎現代芸術賞への応募作品を2023年7月15日(土)から9月15日(金)まで募集いたします。第27回岡本太郎現代芸術賞1954年、岡本太郎43歳のときに出版された『今日の芸術』。この本には、「時代を創造する者は誰か」というサブタイトルがつけられていました。1996年、岡本太郎没、享年84歳。その直後、岡本太郎記念現代芸術大賞(2006年 岡本太郎現代芸術賞に改称)、通称「TARO賞」が創設されました。彼の遺志を継ぎ、まさに「時代を創造する者は誰か」を問うための賞。今年は第27回をむかえます。「時代を創造する者は誰か」――この半世紀前の太郎の真摯な問いかけを胸に刻んで、創作活動に邁進する方々の、幅広い応募を呼びかけたいと思います。応募規程に沿う作品であれば、その形状、技法等はまったく自由。美術のジャンル意識を超え、審査員を驚かす「ベラボーな」(太郎がよく使った言葉です)作品の応募を期待しています。◆賞及び賞金◆・岡本太郎賞 200万円 1名・岡本敏子賞 100万円 1名(上記受賞者2名には岡本太郎記念館にて作品展示の機会が与えられます)・特別賞 総額50万円 若干名今年度より入選作品が決定した時点で入選者全員に賞金10万円を授与します。岡本太郎賞、岡本敏子賞、特別賞の賞金はこれに上乗せして支給いたします。◆入選作品の公開◆入選並びに入賞作品は、様々な機会をとらえて公表するとともに、2024年2月中旬~4月中旬(予定)に川崎市岡本太郎美術館で開催予定の「第27回岡本太郎現代芸術賞展」に展示されます。なお会期中には、来館者による入選作品の人気投票も行います。上位の方には記念品を贈呈いたします。詳細は、川崎市岡本太郎美術館ホームページをご確認ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年06月15日サンローランは2024年メンズサマーコレクションをモダニズムの傑作であるベルリンの現代美術館「新ナショナルギャラリー」にて発表しました。Courtesy of SAINT LAURENTモダニズムの傑作であり、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが手掛けた最後の大規模なプロジェクトであるベルリンの「新ナショナルギャラリー」。ガラスとスチールからなる芸術的な神殿は、古典主義をそぎ落としながらもその要素を確実に残し、1968 年のオープン当時と同様に、今なお斬新に感じられます。この象徴的なパビリオンは、アンソニー・ヴァカレロがサンローランの本質的なテーマを、現代の生活に適した姿勢と気軽さで再構築する舞台としてふさわしいものです。Courtesy of SAINT LAURENT2024 年春夏コレクションでは、昨今のサンローランコレクションで検討されたアイデアが再提案され、進化しています。最も重要なのは、マスキュリンとフェミニンという 2 つの要素の自由な相互作用です。前回のウィメンズコレクションを彷彿とさせるアイテムが新たな構成で登場し、進化するサンローランのワードローブのオープンエンドな多様性を示しています。シャープでありながら、予想外の軽快さを帯びるシルエット。ゆとりのある上半身とハイウエストのフルートパンツが登場します。肩が誇張されたテーラードジャケット、片方の肩がむき出しにされたブラウスなどは、ブランドの過去への想いが込められています。Courtesy of SAINT LAURENT簡潔なドレープと再配置された水玉やヒョウ柄は、馴染みのモチーフにタイムリーな個性を与え、自信に満ちたミックスストライプは、従来の調和という概念を覆します。メンズウェアの文脈において、モスリンのようなクチュールファブリックは、伝統的な意味合いを失います。サンローランのタキシードには、ボディをすっぽりと覆うサテンのタンクトップを合わせ、一見クラシックに見えながらも、よく見ると先進的であることがわかります。Courtesy of SAINT LAURENTアンソニー・ヴァカレロによる会場セットも、先見性のある建築を際立たせます。ダークなカーテンの滑らかさが、建物の特徴的なグリッドフレームとの対話を生み出します。また、夕暮れ時に街の中心から昇る太陽のように一筋の明るい光が空間に溢れ、再生と季節の連続性を表しています。Courtesy of SAINT LAURENTCourtesy of SAINT LAURENT#サンローラン #Saintlaurent #yslサンローラン クライアントサービスTEL 0120-95-2746
2023年06月14日2023年6月29日より、国立新美術館とサンローランは国際的に大きな注目を集めてきた現代美術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう、1957年生)の大規模な個展「蔡國強 宇宙遊―〈原初火球〉から始まる」を開催します。蔡國強、「原初火球 The Project for Projects」 P3 art and environmentでの展示風景、1991 年。 撮影:萩原義弘 提供:蔡スタジオ展覧会の開幕に先立ち蔡國強は、福島県いわき市で三十年前に地元の友人達と協働で実現した爆発プロジェクト《地平線:外星人のためのプロジェクトNo. 14》と同じ海岸で、サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロからのコミッションワークである昼花火《満天の桜が咲く日》をプロジェクト実行委員会の主催により実施します。アンソニー・ヴァカレロがリードするサンローランにとって、本展を開催することは、同ブランドの使命ともいえる、ビジュアルアートや映画、音楽など、様々なクリエイティビティへのサポートの最も新しい機会となります。蔡國強、「胎動II:外星人のためのプロジェクト No.9」の制作風景、1991 年。 提供:蔡スタジオ蔡は数十年にわたり、東洋古来の哲学や思想に立脚しつつ、風水や占星術にもつながる宇宙、そして目に見えない世界に魅了されてきました。同時に、そうした果てしない世界への現代的アプローチとしての科学技術への興味や、現代の社会問題への感受性と省察を原動力に制作しています。蔡の芸術の大きな特徴は、火薬を創造的に用いて作品を生み出してきたことです。神話的で人類学的な壮大な世界観を表明した火薬ドローイングやインスタレーション、屋外爆発プロジェクトなどスケールの大きな制作は国際的に高く評価されてきました。蔡國強 「影:庇護のための祈り」 1985 – 86 火薬、墨、蝋燭、油彩、キャンバス、木製パネル 155 x 300 cm 提供:蔡スタジオ本展覧会蔡國強 宇宙遊―〈原初火球〉から始まるは、蔡國強が30年前に発表した展覧会「原初火球」を彼の芸術的宇宙大爆発の原点と捉え、そして、この爆発を引き起こしたものは何であり、その後今日まで何が起こったかを探求します。宇宙と見えない世界との対話を主軸に、作家として歩み始めた中国時代、芸術家としての重要な形成期である日本時代、そしてアメリカや世界を舞台に活躍する現在までの創作活動と思考を遡る本展覧会は、宇宙が膨張するかのように拡大してきた蔡の活動をたどる壮大な旅路のような個展です。蔡國強 「銀河で氷戯」 2020 火薬、ガラス、鏡 205 x 915 cm 撮影:蔡文悠 提供:蔡スタジオ国立新美術館の柱も壁もない2000㎡の大きな企画展示室1Eの、広場のような悠々とした空間で、一方には、歴史的なインスタレーション〈原初火球〉が再現され、その中には、ガラスと鏡を使った新作火薬絵画3作品が展示されます。隣り合ったもうひとつの核は、LEDを使った大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》であり、観客は作品の中を自由に歩きながら体感することができます。本展覧会では、国内の国公立美術館と作家が所蔵する約50件の作品が展示され、知られざる多数の貴重なアーカイブ資料や記録映像、そしてアーティスト自身による一人称の説明が掲示されています。開催概要展覧会名:蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる会期:2023年6月29日(木)~8月21日(月)休館日:毎週火曜日開館時間:10:00-18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで会場:国立新美術館 企画展示室1E[東京・六本木]主催:国立新美術館、SAINT LAURENT観覧料 (税込)一般1,500円、大学生1000円 ※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。 ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料。チケット情報は後日、美術館ホームページ等でお知らせします。アクセス・東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)・東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩約5分・都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分 ※美術館に駐車場はございません〒106-8558東京都港区六本木7-22-2お問合せ:050-5541-8600 (ハローダイヤル)美術館ホームページ:www.nact.jp#サンローラン #Saintlaurent #ysl蔡國強プロフィール1957年に中国の福建省・泉州市で生まれた蔡は、上海戯劇学院で舞台芸術を学んだ後、1986年12月から1995年9月まで日本で活動しました。日本では筑波大学に在籍し、その後、東京、取手、いわきなどで制作するなかで、火薬の爆発による独自の絵画を開拓して一躍注目を集めました。1989年の多摩川での最初の屋外爆発プロジェクト以来、彼は数十年にわたって世界中で一連の爆発プロジェクトを実現してきました。特に最近では、昼花火の新たな可能性を探求しています。1995年にニューヨークに拠点を移して以降ますます創作活動の幅を広げた蔡は、2006年のメトロポリタン美術館や2008年のグッゲンハイム美術館での回顧展など、さまざまな国や地域で重要な個展を開催し、国際的にもっとも影響力の大きい芸術家の一人として活躍しています。2005年には、ヴェネチア・ビエンナーレ初の中国パヴィリオンのキュレーターを務めて展覧会企画にも才能を発揮し、2008年の北京オリンピックと2022年北京冬季オリンピックでは、開閉会式視覚特効芸術と花火監督を務め、世界中の人々を魅了しました。爆発プロジェクト《スカイ·ラダー》は2015年に蔡の故郷の泉州で実現し、同名のドキュメンタリー映画がNETFLIXで全世界に配信されました。主な受賞歴- 第48回ヴェネチア・ビエンナーレ「国際金獅子賞」(1999)- 第7回「ヒロシマ賞」(2007)- 第20回「福岡アジア文化賞受賞」(2009)- 第24回「高松宮殿下記念世界文化賞」(絵画部門)(2012)- 「米国国務院芸術勲章」(2012)国立新美術館について国立新美術館は、芸術を介した相互理解と共生の視点に立った新しい文化の創造に寄与することを使命に、2007年、独立行政法人国立美術館に属する5番目の施設として開館しました。以来、コレクションを持たない代わりに、人々がさまざまな芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を認め合うことができるアートセンターとして活動しています。具体的には、国内最大級の展示スペース(14,000m2)を生かした多彩な展覧会の開催や、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、さまざまな教育普及プログラムの実施に取り組んでいます。サンローランについて1961年にフランス、パリで設立されたイヴ・サンローランは、世界で最も著名なファッションハウスの一つです。当初はオートクチュールのメゾンでしたが、後にプレタポルテのパイオニアとなり、伝説的な創業者がファッション、アート、社会の関係に革命を起こしました。サンローランは、創業当初から、ファッションにとどまらず、さまざまなクリエイティブな形態と関わり、影響を与え続けてきました。この多様な芸術表現との対話はアンソニー・ヴァカレロの先見の明と、フランチェスカ・ベレッティーニのリーダーシップのもと今も続いており、これを通じてブランドは世界観を広げさらに発展を続けています。お問い合わせ:サンローラン クライアントサービスTEL 0120-95-2746
2023年06月08日東京・サンシャインシティプリンスホテルから、“泊まれる美術館”をテーマにしたイギリス国立美術館「ロンドン ナショナル・ギャラリー」とのコラボレーション宿泊プランが登場。期間は、2023年6月17日(土)から10月31日(火)まで。イギリス国立美術館「ロンドン ナショナル・ギャラリー」とコラボ“泊まれる美術館”テーマの「ファン・ゴッホ」コンセプトルームサンシャインシティプリンスホテルがタッグを組むのは、数多くのアート作品を保有しているイギリス国立美術館「ロンドン ナショナル・ギャラリー」。コラボレーションプランでは“泊まれる美術館”をテーマに、ファン・ゴッホの名画を散りばめたコンセプトルームを用意する。コンセプトルームの壁にはファン・ゴッホの作品を展示。ベッドには、コラボレーションプランのために特別に作られたクッションや「ロンドン ナショナル・ギャラリー」のロゴをあしらったベッドスローを設置する。さらに、 宿泊者限定のオリジナルグッズとして、ファン・ゴッホの絵画をデザインしたトートバッグ、キーホルダー、ハンカチタオル、クリアファイル、カードキーの5種をプレゼントする。ゴッホの代表作《ひまわり》モチーフのパフェ期間中は、「ロンドン ナショナル・ギャラリー」所蔵のファン・ゴッホの代表作《ひまわり》をモチーフにしたパフェも販売。黄色やオレンジ色をベースカラーに採用し、ソースやゼリー、アイスクリーム、クッキーなどを重ね、仕上げに“ひまわり”をイメージしたチョコレートを飾った。名画の複製画を展示さらにホテル館内では、「ロンドン ナショナル・ギャラリー」所蔵名画の複製画全9点を展示。《ファン・ゴッホの椅子》や《アニエールの水浴》を鑑賞できる。【詳細】「ロンドン ナショナル・ギャラリー」コラボレーションプラン期間:2023年6月17日(土)~10月31日(火)場所:サンシャインシティプリンスホテル住所:東京都豊島区東池袋3-1-5■コンセプトルーム宿泊プラン※1日2室限定予約開始日:2023年5月26日(金)12:00~※予約はホテル公式ウェブサイト内専用ページにて受付開始。料金:1名 13,400円~※1室2名利用時※料金には、1名の1泊室料、オリジナルグッズ、サービス料が含まれている。※そのほかに、パフェ「ひまわり」付きの宿泊プランも用意。※料金は、宿泊日、利用人数により異なる。※詳細はホテル公式ウェブサイト内専用ページを要確認。【問い合わせ先】サンシャインシティプリンスホテル 宿泊予約TEL:03-5954-2238 (受付時間:10:00~17:00)■パフェ「ひまわり」場所:カフェ&ダイニング Chef’s Palette(ホテル1F)提供時間:12:00~19:00(ラストオーダー18:30)料金:1名 2,900円(コーヒ・紅茶付き)※サービス料込。※仕入れの状況より、メニュー・食材に変更がある場合がある。【問い合わせ先】カフェ&ダイニング Chef’s PaletteTEL:03-5954-2254(受付時間:10:00~18:00)※画像はイメージ。
2023年05月27日「現代美術の過去・現在・未来展」が、松坂屋名古屋店にて、2023年5月18日(木)から5月23日(火)まで開催される。社会的現象を巻き起こす現代アート「現代美術の過去・現在・未来展」は、現代アートの社会的現象を巻き起こした多彩なアーティストによる作品を展示する展覧会。「ストリートアート」「ポップアート」「国内人気作家」「NEO浮世絵」の主に4つを特集し、ストリート系の海外現存作家を中心とした作品を紹介する。「ストリートアート」や「ポップアート」1960~70年代、ペンキやスプレー塗料等を用いて壁や地下鉄に描かれたグラフィティアートはいたずら書きとして扱われていたが、市民権を得てからはストリートアートとして芸術の位置づけになった。現在では、過疎化した村でのストリートアートイベントや、廃墟の建物に描かれた作品目当てに世界中から人々が集まるなど、経済効果を上げる役割も担うようになった。「ストリートアート」の特集では、ウクライナでの制作活動で話題のバンクシーや、バンクシーに影響を与えたとされるイギリスのアーティスト、ニック・ウォーカーらの作品に注目だ。また、1950年代半ばにイギリスから始まり、 1960年初頭よりアメリカを中心として盛んになった「ポップアート」も特集。ポップアートは、日常で大量生産、大量消費されている食料品や漫画、映画、写真といった物質をアイコン化し、芸術へと転化した。20世紀の現代美術において重要な表現方法となっている。アンディー・ウォーホルらの作品が展示される。ノルウェーの人気アーティスト、ドルクが来日なお、会場にはノルウェーのグラフィティアート・シーンを牽引する人気アーティスト、ドルクが来日。ストリートアーティストとして活動しつつも、ノルウェー政府から報酬を得て主要な鉄道駅に作品を残すなど、絶大な評価を得ているアーティストだ。代表的なグラフィティアートをはじめ、コンテンポラリー作品をノルウェー国外で初披露する。【詳細】「現代美術の過去・現在・未来展」会期:2023年5月18日(木)~5月23日(火)場所:松坂屋名古屋店 南館8階マツザカヤホール住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1時間:10:00~19:00(最終日は16:00閉場)■ドルク来場情報来場日:5月18日(木)、20日(土)、21日(日)時間:1 10:00=12:00、2 14:00~17:00※過去に松坂屋名古屋店でドルクの作品購入者、または当日購入者にはその場で直筆色紙をプレゼント
2023年05月18日フェイラー(FEILER)から、国立新美術館にて開催される展覧会「ルーヴル美術館展 愛を描く」とのコラボレーションハンカチ「ラシーブルダムール(LA CIBLE DAMOUR)」が登場。2023年5月3日(水)より、国立新美術館「ルーヴル美術館展」会場内特設ショップ、フェイラー銀座本店にて発売される。「ルーヴル美術館展」とのコラボハンカチフェイラーと、展覧会「ルーヴル美術館 愛を描く」がコラボレーション。ドイツ・シュニール織のコットン100%のハンカチに、展覧会で展示されているフランソワ・ブーシェ《アモルの標的》から着想を得て、キューピッドをモチーフとしたデザインを落とし込んだ。華やかに咲く色とりどりの花々や、ハートに刺さった矢などがキュートだ。ハンカチを縁取るカラーは、アイボリーとブルーの2色を用意する。【詳細】フェイラー×「ルーヴル美術館展 愛を描く」コラボハンカチ※予約不可発売日:2023年5月3日(水・祝)販売場所:国立新美術館 1E「ルーヴル美術館展 愛を描く」会場内特設ショップ、フェイラー銀座本店価格:「ラシーブルダムール」2,970円サイズ:約25×25cm※オリジナル箱入り※特設ショップは6月12日(月)まで※フェイラー銀座本店での予約、発売後の取り置き、代引き配送は不可※フェイラー銀座本店では、混雑状況により販売方法が変更になる場合あり※フェイラーでは、フェイラー銀座本店以外のショップでの販売はなし※「ルーヴル美術館展」は、5月8日(月)以降は、全てのチケットが事前予約(日時指定)不要となる※ひとり1点までの購入※購入点数制限は、一定期間経過後に解除する場合あり※販売数には限りあり
2023年05月05日展覧会「ピーター・シスの闇と夢」が、東京・八王子市夢美術館にて、2023年6月30日(金)から8月31日(木)まで開催される。絵本作家、ピーター・シスの世界を堪能現代アメリカを代表する絵本作家、ピーター・シス。これまでに数多くの絵本イラストやポスターなどを手掛けており、その作品は国際アンデルセン賞など数々の絵本賞で称えられ、多くの人々を魅了している。1949年にチェコスロヴァキア(現チェコ共和国)に生まれ、首都プラハや留学したロンドンでアニメーションを学んだシスは、ベルリン国際映画祭アニメーション部門で金熊賞を受賞するなど、高い評価を獲得。しかし、当時のチェコスロヴァキアは冷戦の暗い影にのみこまれ、独創的な表現が許されがたい状況にあった。国際的に活動していた映像作家の父や、一時期をアメリカで暮らした祖父の影響で、幼いころから多様な文化に親しんでいたシスは、より自由な表現を求めアメリカでの活動を選ぶことになる。シスの絵本は、祖国チェコへの想いを描いた作品、小さな子どもたちのための作品、広い世界を旅した英雄の物語、ダーウィンやガリレオなど強い意思を貫いた偉人の伝記など、そのテーマは様々。また、アニメーションや新聞・雑誌の挿絵、公共空間のためのアートプロジェクトなど、その創作の軌跡には表現することの渇望と喜びが溢れている。展覧会「ピーター・シスの闇と夢」では、影から光へとたどってきたシスが人生をかけてつむいだ、闇と夢が織りなす作品の数々を公開。ピーター・シスの絵本やアニメーションの原画、ポスターなど、その幅広い創作活動を紹介する。【詳細】「ピーター・シスの闇と夢」会期:2023年6月30日(金)~8月31日(木) 10:00~19:00※月曜休館※各日入館は18:30まで場所:八王子市夢美術館住所:東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子 2F入場料:一般 900円、学生(高校生以上)・65歳以上 450円、中学生以下 無料【問い合わせ先】八王子市夢美術館TEL:042-621-6777
2023年04月30日企画展「吹けば風」が、愛知の豊田市美術館にて、2023年6月27日(火)から9月24日(日)まで開催される。見過ごしがちな細かな発見や驚きを表現する作家たちを紹介日常生活の中で見過ごされ、忘れられてしまうような細かな発見や驚き。思いがけず感じる清風や偶然目に留まった道端の花などがその例だ。企画展「吹けば風」では、見過ごしがちな新鮮な発見や驚きに満ちた世界で、様々な体験を作り出す4人の作家にフィーチャーする。本展では、4人の作品を通して、日常的な体験を問い直していく。4人の作家・川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司は、視界に入っていたはずなのに思い出せない細部、楽しい時は短く退屈な時は長く感じる時間など、誰もが経験したことのある記憶や意識、感覚との乖離を積極的に取り込んだ作品を手掛けている。絵画や映像、インスタレーションなどの“体験”を提供会場には、初公開となる最新作を含む絵画や映像、インスタレーション、パフォーマンスなど、幅広いジャンルの作品を展示。それら作品を通して、現代社会に生きる私たちの身に日々何が起こっているのか、言葉やイメージでは置き換えられない瞬間的で微細な変化を見つめ直していく。たとえば、映画や写真、日常会話の中から小さな謎を見つけて探る澤田華の作品に注目。映像インスタレーションの《漂うビデオ(水槽、リュミエール兄弟、映像の角)》と《67のポストビューおよび目下のシーン》を展示する。また、時間の長さや空間の広さが伸び縮みするような感覚や、記憶の濃淡を想起させる、川角岳大が素潜りや車の運転中の体験を思い出しながら描いた淡い色彩の絵画《Summer》や《Street light》なども展示。細やかなものに反応する感性を刺激されるような体験をすることができる。展覧会概要企画展「吹けば風」会期:2023年6月27日(火)~9月24日(日)会場:豊田市美術館 展示室1-5住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)休館日:月曜日(ただし7月17日(月・祝)、8月14日(月)、9月18日(月・祝)は開館)観覧料:一般 1,300円(1,100円)、高校生・大学生 800円(600円)、中学生以下無料※( )内は前売券及び20名以上の団体料金前売券販売場所:豊田市美術館(5月21日(日)まで)、T-FACE B館2階インフォメーション(6月26日(月)まで)、メグリア11店舗(6月26日(月)まで)※メグリア取扱店舗:本店、エムパーク店、セントレ、藤岡店、三好店、若園店、志賀店、朝日店、井上店、はなぞの店、うねべ店※豊田市内在住または在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市在住の満70歳以上、障がい者手帳の所持者(介添者1名含む)は無料(いずれも要証明)※その他、観覧料の減免対象者および割引などについては、美術館ウェブサイトを参照■参加アーティスト川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司【問い合わせ先】豊田市美術館TEL:0565-34-6610
2023年04月28日開館60周年を迎えた京都国立近代美術館で、4月28日(金)〜7月2日(日)、『Re:スタートライン1963-1970/2023現代美術の動向シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係』が開催される。開館した1963年から1970年までに毎年開催された、定点観測的なグループ展「現代美術の動向シリーズ」を振り返るものだ。国公立の美術館がまだ少なかった60年代に、日本の中堅・若手作家を紹介する展覧会として大きな注目を集め、全9回にわたり行われた。今回の展覧会では、293組の出品作家の中から66組による主な出品作もしくは関連作、記録写真、展覧会に関するアーカイブ資料を紹介する。高度経済成長期を迎え、社会や人々の生活が急速に変化した60年代。美術においても、絵画や彫刻といった既成の区分から逸脱しようとし、形式や素材の多様化も進み、美術の概念が塗り変わるような活発な動きがあった。抽象絵画、ネオ・ダダ、ポップ、キネティック、コンセプチュアル、ハプニング、もの派など、西洋の新しい美術が日本でどのように解釈され、あるいは日本独自の現代美術がどのように生み出されたのか、その源流に触れることができる。美術館の建物を用いたその場限りのインスタレーションやパフォーマンスなどの記録を見ると、美術館が若い世代のアーティストと「共感関係」とも言える実験を試み、鑑賞者にも共感を呼んでいたことがわかるだろう。関連イベントとして、出品作家である河口龍夫(4月29日)、松本陽子(5月20日)、「ザ・プレイ」の池水慶一・三喜徹雄(7月1日)によるトークなども開催される。現在も活躍する作家たちの証言から当時の熱気を感じ取りたい。<開催情報>『開館60周年記念Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係』会期:2023年4月28日(金) ~7月2日(日))会場:京都国立近代美術館)時間:10:00~18:00、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで))休館日:月曜)料金:一般1,200円、大学500円)※金曜18:00から夜間割引あり)公式サイト:
2023年04月26日森美術館開館20周年記念展「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」が、東京・六本木の森美術館にて、2023年4月19日(水)から9月24日(日)まで開催される。あらゆる科目に通底する現代アート1990年代以降、欧米だけでなく世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになった現代アート。現代の美術とはいわば、学校の図画工作や美術といった授業の枠組みには収まりきらず、国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域と言えるようになった。各学問領域の最先端では、研究者が世界の「わからない」を探求し、歴史を掘り起こし、過去から未来に向けて新たな発見や発明を積み重ね、私たちの世界を見る目をより豊かにしてくれている。こうした未知に対する「わからない」の探求は、現代アーティストが固定観念をクリエイティブに超えていこうとすることに通ずるものがある。この意味で、「わからない」世界に出会い、学ぶことのできる現代美術館は、「世界の教室」とも言えるのだ。展覧会「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」では、国語・算数・理科・社会と、哲学・音楽・体育・総合を加えた全8教科のセクションに分けて現代アートを紹介。未知の世界に対して、多様な“教科”という観点から出会うことを試みる。セクションごとの展示でありながら、それぞれの作品は複数の科目や領域に通じている。たとえば、国語セクションの作品の中にも数学的なテーマがあり、理科の中にも社会的な課題が含まれるように、どのような繋がりがあるのか考えながら鑑賞を楽しむことができる。出展アーティストは、1960年代のコンセプチュアル・アートの主要作家ジョセフ・コスースや、20世紀の美術史の中で最も影響力のあるアーティストのひとりヨーゼフ・ボイス、日本の画家であり彫刻家の奈良美智など。なお、出展作品のうち半数以上は森美術館のコレクションで構成するため、同館がこれまでに収蔵してきた作品を目の当たりにすることができる。展覧会概要「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」会期:2023年4月19日(水)~9月24日(日)会期中無休会場:森美術館住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階開館時間:10:00~22:00※火曜日のみ17:00まで。ただし5月2日(火)、8月15日(火)は22:00まで。※入館は開館の30分前まで。入館料:平日=一般 2,000円(1,800円)、高校・大学生 1,400円(1,300円)、4歳~中学生 800円(700円)、シニア 1,700円(1,500円)・土日休日=一般 2,200円(2,000円)、高校・大学生 1,500円(1,400円)、4歳~中学生 900円(800円)、シニア 1,900円(1,700円)※シニアは65歳以上。※事前予約制(日時指定券)を導入(専用オンラインサイトより日時指定券を購入)※当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしで入館可■出品アーティストアイ・ウェイウェイ(艾未未)、青山悟、エリカ・ベックマン、ヨーゼフ・ボイス、ヨハンナ・ビリング、ルーク・チン(程展緯)、マノン・デ・ブール、サム・フォールズ、ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス、藤井光、ク・ミンジャ、シルパ・グプタ、畠山直哉、アジズ・ハザラ、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、クリスチャン・ヤンコフスキー、片山真妃、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、クララ・リデン、パーク・マッカーサー、マリオ・メルツ、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ジェームス・リチャーズ、ハラーイル・サルキシアン、笹本 晃、瀬戸桃子、杉本博司、マルティーヌ・シムズ、田島美加、高山明、田村友一郎、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、ツェ・スーメイ、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ユ・チェンタ(余政達)【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2023年04月10日展覧会「古代エジプト美術館展」が、福岡アジア美術館にて2023年4月8日(土)から5月28日(日)まで開催される。古代エジプト専門美術館「古代エジプト美術館 渋谷」コレクションを紹介「古代エジプト美術館展」は、古代エジプトを専門とするの日本唯一の美術館「古代エジプト美術館 渋谷」が所蔵する作品を紹介する展覧会。国内では質量共に優れた内容を誇るコレクションは、先王朝時代からローマ支配時代までを網羅し、古代エジプト文化の全貌を知ることができるものだ。ミイラや木棺・ツタンカーメンの指輪など約200点を展示本展では、「古代エジプトの神々と信仰」「ファラオが率いた国家」「古代エジプト人の衣・食・住」「古代エジプトの死生観ー再生とミイラ」の4つのテーマを設けて展示を構成。ミイラやミイラマスク、木棺、神殿の柱、ツタンカーメンの指輪といった世界的に貴重な遺物や、当時の生活様式が分かるジュエリーやレリーフなど約200点を展示する。古代エジプトの神々と信仰古代エジプト人は、この世界や宇宙は創生神によって創造され、その後多くの神々が誕生したと考えていた。中でも古代エジプトでは多くの動物神が信仰されていた。動物には人間にはない特別な能力を持つものと信じられていたためだ。本章では、《アテフ冠を被ったトト神像》や《ウラエウス厨子装飾》など、多様な神々の護符や神像、動物のミイラを紹介する。古代エジプトの死生観ー再生とミイラ死後に再生し、永遠の生命を得ると信じていた古代エジプト人は、長きにわたりミイラを作ることで、死者の遺体を保存してきた。ミイラ作りの技術が頂点に達して以降、末期王朝時代からプトレマイオス朝、ローマ支配時代にかけても多くのミイラが作られた。「古代エジプトの死生観ー再生とミイラ」では、プトレマイオス朝時代などに作られたミイラマスクや人型木棺、少女のミイラなどを紹介する。ファラオが率いた国家&古代エジプト人の衣・食・住このほか、「ファラオが率いた国家」では、常に絶対的権力を行使し国家を運営していた国王ファラオや、人口の約10%にあたるエリート高官たちにフォーカス。ファラオをモチーフとした像やレリーフ、神殿の柱などを展示する。一方、続く「古代エジプト人の衣・食・住」では、ツタンカーメン王の指輪や化粧用容器、ジュエリーなどを多数展示し、当時のエジプト人たちの生活様式を浮き彫りにする。「ペコちゃん」コラボグッズを販売なお、展覧会オリジナルグッズとして、不二家(FUJIYA)の人気キャラクター「ペコちゃん」とコラボレートしたクリアファイルやウォーターボトル、マグネットなどを販売。また、「世界一おもしろいお菓子屋さん」アート・キャンディ・ショップ「PAPABUBBLE/パパブブレ」とのコラボレーションキャンディ、文具・雑貨メーカーのハイタイドとのコラボレーショングッズなど多数展開される。【詳細】「古代エジプト美術館展」会期:2023年4月8日(土)~5月28日(日)会場:福岡アジア美術館 7階 企画ギャラリーA・B・C住所:福岡県福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7階観覧時間:9:30~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)※最終入場は30分前まで観覧料:一般 1,600円(1,400円)、高大生 1,300円(1,100円)、小中生 800円(600円)※( )内は前売り料金※チケットは、ARTNEチケットオンライン、ローソンチケット(Lコード 82255)、セブンチケット(セブンコード 098-803)等で販売■巡回情報・東広島市立美術館会期:2023年10月10日(火)~11月26日(日)住所:広島県東広島市西条栄町9-1・鳥取県立博物館会期:2024年4月6日(土)~5月12日(日)※予定住所:鳥取市東町2-124【問い合わせ先】西日本新聞イベントサービスTEL:092-711-5491(平日9:30〜17:30)
2023年03月31日あべのハルカス美術館では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2023年度は4月22日(土)から6月18日(日)まで「幕末土佐の天才絵師絵金」、7月1日(土)から9月3日(日)まで「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」、9月16日(土)から11月12日(日)まで「安野光雅展」、 11月23日(木・祝)から2024年1月21日(日)まで「コシノジュンコ 原点から現点」を開催予定です。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記の展覧会に続き、「あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空―旅して、彫って、祈って―」の開催が新たに決定しましたのでお知らせいたします。「あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空―旅して、彫って、祈って―」会 期 :2024年2月2日(金)~4月7日(日)共 催 :NHK大阪放送局、NHKエンタープライズ近畿、朝日新聞社開催趣旨:修行の旅に人生を捧げ、人々のために祈りを込めて仏を彫った円空。生涯に12万体の神仏を造る誓願を立てたといわれ、飛神の剣のようにノミを振るい、神仏を彫り続けました。謎の多い一生ですが、その生きた証として、優しく微笑む観音像、迫力に満ちた護法神像など、今も5千体を超える神仏の像が伝わり、人々に愛されています。本展では初期から晩年までの代表作により、創造の足跡をたどります。別紙: ※上記の画像データは貸出が可能です。ご希望の方はお問合せください。また、事前に原稿の確認が必要になります。(画像の使用は、本展覧会をご紹介いただく媒体に限ります。ご使用後は破棄をお願いします。)※開催1ヶ月前を目処に詳細なプレスリリースを皆様のもとへお送りします。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月30日現代アートにおける平面の領域で、国際的にも通用する若手作家を輩出してきた『VOCA展』。3月16日(木)〜30日(木)の間、上野の森美術館にて『VOCA展2023 現代美術の展望−新しい平面の作家たち』が開催される。日頃から多くの作家をリサーチしている全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどが推薦委員となり、それぞれ40歳以下の作家1名(組)を推薦する。そのなかかから、美術館館長やキュレーターなどで構成された選考委員により、グランプリとなるVOCA賞などが選出される。1994年にスタートし、VOCA賞歴代受賞者には、福田美蘭、やなぎみわ、三瀬夏之介、三宅砂織、Nerhol、川内理香子らがいる。今回は、新進気鋭の29人の作家のなかから、永沢碧衣(秋田県横手市在住)《山衣(やまごろも)をほどく》がVOCA賞を受賞した。マタギとして活動しながら作品を制作する彼女は、人と人ならざる者とのつながりを体得しながら、有害駆除で狩猟された熊の皮から膠をつくり、岩絵具やアクリルガッシュなどで、熊と山を描く。ほか、VOCA奨励賞には、エレナ・トゥタッチコワ(京都市在住)、七搦綾乃(広島市在住)、VOCA佳作賞には黒山真央(東京都八王子市在住)、田中藍衣(名古屋市在住)の作品が選出。なお、七搦綾乃は、大原美術館賞にも、同美術館の選考により選ばれている。陶とドローイングと詩を組み合わせたトゥタッチコワ、彫刻ともドローイングともいえるような七搦の作品など、一口に「平面」といってもその表現方法は多様だ。展覧会には全員の作品が展示されるので、現代の動向に注目したい。なお、VOCA展30周年を記念し、初回から2022年までのVOCA賞受賞作品30点を一挙公開する『VOCA30周年記念1994-2023VOCA 30 YEARS STORY/KOBE展』が、3月9日(木)〜25日(土)、原田の森ギャラリー(兵庫県立美術館王子分館)で開催。こちらでVOCAの歴史をたどることもできる。<開催情報>『VOCA展 2023 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』会場:上野の森美術館会期:2023年3月16日(木)~30日(木)※会期中無休時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)料金:一般800円、大学生400円公式サイト:
2023年02月17日19世紀から現代に至るまでの「部屋」にまつわる表現に注目した展覧会『部屋のみる夢 ―ボナールからティルマンス、現代の作家まで』が箱根・ポーラ美術館で開催されている。2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により「ステイホーム」や「おうち時間」などという言葉が生まれ、私たちが多くの時間を過ごすことになった「部屋」。この経験は、私たちにとっての「部屋」という空間の意味や役割を大きく変えることとなった。同展はステイホームの経験を通して変化した現在の私たちの視点で、部屋にまつわる表現を改めて見つめなおしていくという試みだ。出品作家は全部で9組。展示室は作家ごとに区切られているが、部屋と部屋の間には「窓」が設けられており、そこからほかの作家の作品が垣間見える構造だ。展示の順路は特に設けられておらず、鑑賞者は自由に回遊しながら見て回ることができる。左からアンリ・マティス 《室内:二人の音楽家》 1923年、《襟巻の女》 1936年、 《リュート》1943年 すべてポーラ美術館ピンク色の壁紙で統一されたアンリ・マティス(1869-1954)の部屋では、6点の作品が紹介されている。モデルの衣装や壁に掛けられた絵、調度品などにこだわり、装飾的で色彩豊かな室内空間を数多く描いたマティス。これらの要素を自在に調整し、モデルとなった女性とじっくりと向き合い描いた「部屋」は、マティスにとって自らの表現を存分に探究できる創作の場だった。ベルト・モリゾ 《テラスにて》 1874年 東京富士美術館印象派の女性画家ベルト・モリゾ(1841-1895)が好んで描いたのは、ベランダやバルコニーなど、外と内との間に位置する空間だった。当時の女性たちが長い時間を過ごした「室内」と外の世界との境界である場所を女性の視点で繰り返し描いたモリゾの作品は、女性の社会参加が限られていた当時の時代性を反映しているといえる。エドゥアール・ヴュイヤール 《書斎にて》 1927-1928年 ヤマザキマザック美術館ナビ派の画家ヴュイヤール(1868-1940)は、象徴主義演劇の舞台美術も手掛けており、その演劇的な表現は絵画作品にも活かされている。明暗の効果を使い、人物だけでなく、その周りのモチーフなどから背景にある物語を想起させるようなドラマチックな室内画だ。ピエール・ボナール 《浴槽、ブルーのハーモニー》 1917年頃 ポーラ美術館また、同展で展示作品数が最も多いのが、ヴュイヤールと同じくナビ派の一員として活躍したピエール・ボナール(1867-1947)だ。ボナールが生涯を通して描いた家族の姿や自宅の室内を描いた作品のほか、豊かな自然をモチーフに描いた室内を彩る装飾パネルなどの作品11点が紹介されている。「部屋のみる夢」展会場風景手前は、佐藤翠 《Rose Garden Closet》 2022年 作家蔵 (C)Midori Sato佐藤翠+守山友一朗 《Rose Room》 2022年 作家蔵 (C)Midori Sato, (C)Yuichiro Moriyamaともに1984年生まれの佐藤翠と守山友一朗の部屋では、雰囲気がガラリと変わる。愛着のある衣服を収納する私的な空間であるクローゼットをモチーフにしたシリーズ作品を描き続けてきた佐藤は、コロナ禍を経て空や雲、植物など「外」の要素を以前にも増して取り入れるようになり、より装飾的になった同シリーズの新作などを、守山は自宅の室内の愛着のあるモチーフを、時間によって変化する外光の移ろいとともに表現した作品を展示。それぞれの作品と共作による1点によって、色鮮やかで幻想的なひとつの展示空間を作り上げている。ヴィルヘルム・ハマスホイ 《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》 1899年ポーラ美術館灰色を基調とした限られた色で静謐な空気に満ちた絵画を描いたデンマークの画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)。彼が残した絵画作品のうち、約3分の1が室内画であり、またその大半が、彼が約10年にわたり居住したストランゲーゼ30番地の住まいで描かれたものだ。同展では、ポーラ美術館が近年収蔵した《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》と国立西洋美術館が所蔵する《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》の2点、日本国内の美術館にある全てのハマスホイ作品が展示されている。高田安規子・政子 《Inside-out/Outside-in》 2023年(部分) (C)Akiko & Masako Takada双子のアーティストユニット、高田安規子・政子(1978-)は、「窓」と「扉」をモチーフにしたインスタレーション作品を展開。無数の小さな窓がまるで街並みのような印象を受ける《Inside-out/Outside-in》は、窓の向こうに見える温かな明かりとの心理的、物理的な隔たりを感じさせる一方、中には開かれた窓もあり、コロナ渦という状況から徐々に日常生活に戻りつつあるという社会の状況も示唆している。地下2階の第二会場では、ポーラ美術館が新収蔵したヴォルフガング・ティルマンス、草間彌生の作品が展示されている。左からヴォルフガング・ティルマンス 《14番街》 1995年、《静物、ボーン・エステート》 2002年 すべてポーラ美術館 (C)Wolfgang Tillmans, Courtesy of Wako Works of Art写真の新たな可能性に挑みながらも、私的な世界を撮影した日記のような写真で知られるドイツ出身の写真家、ヴォルフガング・ティルマンス(1968-)。ニューヨークやロンドン、ドイツの住居やアトリエなどで撮影された作品には、彼が日常に向ける親密なまなざしが反映されている。「部屋のみる夢」展会場風景 手前は、草間彌生 《ベッド、水玉強迫》 2002年 ポーラ美術館 (C)YAYOI KUSAMA草間彌生はこれまでにベッドをモチーフにした作品を2点制作しているが、今回、そのうちの1点《ベッド、水玉強迫》をポーラ美術館が新たに収蔵した。本来、体を休めるための場所であるはずが、草間が幼少期に体験した幻覚や幻聴を象徴する水玉模様や無数の突起物で覆われ、対極の存在へと変容した様が表現されている。アーティストたちがさまざまな視点で向き合い、表現してきた「部屋」。彼らのまなざしが反映された作品を通して、自分にとっての「部屋」とはどのようなものなのか、改めて考えてみる機会となるだろう。<開催情報>『部屋のみる夢 ―ボナールからティルマンス、現代の作家まで』2023年1月28日(土)~2023年7月2日(日)、ポーラ美術館にて開催※会期中無休
2023年02月16日東京・六本木の国立新美術館では、3月1日(水) から6月12日(月) まで、世界最大級の美の殿堂であるパリのルーヴル美術館のコレクションから、「愛」をテーマとした名画を厳選した特別展が開催される。同展は、2018年から2019年にかけて東京と大阪で開催され、約70万人もの来場者を迎えた『ルーヴル美術館展 肖像芸術――人は人をどう表現してきたか』に続くもの。多彩なコレクションを誇るルーヴル美術館では、様々な切り口で企画展を構成することが可能で、今回は、16世紀から19世紀までの73点の名画を通じて、西洋絵画における「愛」の表現の諸相を紐解く試みだ。ひとくちに「愛」と言っても様々なかたちがあり、表現がある。古代のギリシア・ローマ神話に登場する神々の愛、キリスト教における神が人類に注ぐ無償の愛や、人間が神に寄せる愛、家族愛、恋人同士の愛、官能的な愛、悲劇的な愛など、ヨーロッパ各国の主要な画家たちによる多様な愛の表現を楽しめるのが同展の大きな魅力だ。また、同展は、おおまかに美術史の流れをたどる構成となっている。イタリアや北方のルネサンス期の神話画や宗教画から、17世紀オランダの風俗画や室内画、18世紀フランスのロココの画家たちによる官能的な絵画、そして19世紀フランスの新古典主義やロマン主義の絵画まで、国と時代による表現様式の変遷や違いも見てとることができるだろう。26年ぶりに来日をはたすフラゴナールの《かんぬき》やジェラールの《アモルとプシュケ》といった著名な傑作のほか、隠れた名画の初来日作など、いずれの絵画にもそれぞれの物語が織り込まれている。人物の表情や仕草、あるいは描き込まれた象徴物や小道具、背景などを細やかに見ていくと、豊かな愛の物語が浮かび上がってくる。描写の美しさや巨匠たちの優れた技を楽しめると同時に、「愛」をキーワードとして、1点1点の絵画を読み解いていく奥深い体験もできる展覧会となっている。ぜひ、たっぷりと時間をとって会場を訪れたい。ピーテル・ファン・デル・ウェルフ《善悪の知識の木のそばのアダムとエバ》1712年以降Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Franck Raux / distributed by AMF-DNPartcomアントワーヌ・ヴァトー《ニンフとサテュロス》1715-1716年頃Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF-DNPartcomシャルル・メラン《ローマの慈愛》、または《キモンとペロ》1628-1630年頃Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcomサッソフェラート (本名 ジョヴァンニ・バッティスタ・サルヴィ)《眠る幼子イエス》 1640-1685年頃Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF-DNPartcomジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》1777-1778年頃Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcomギヨーム・ボディニエ《イタリアの婚姻契約》1831年Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcomウジェーヌ・ドラクロワ《アビドスの花嫁》1852-1853年頃Photo (C) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Franck Raux / distributed by AMF-DNPartcom<展示情報>『ルーヴル美術館展 愛を描く』会期:2023年3月1日(水)~6月12日(月)会場:国立新美術館 企画展示室1E休館日:火曜(3月21日、5月2日は開館)、3月22日(水)時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)料金:一般 2,100円/大学 1,400円/高校 1,000円※2023年3月18日(土)~31日(金) は高校無料(学生証の提示が必要)※事前予約制(日時指定券)を導入展覧会HP:
2023年02月16日猫とアートの間には親和性がある。現代美術を通して見た「猫的なるもの」を紹介する展覧会『ねこのほそ道』が、2月25日(土)〜5月21日(日)、愛知県の豊田市美術館で開催される。参加アーティストは泉太郎、岸本清子、五月女哲平ら現代美術家の6名と、2名の建築家だ。猫カフェ、猫動画など止まるところを知らない昨今の猫ブーム。美術の世界でも、古くは浮世絵師の歌川国芳、近代画家の菱田春草や藤田嗣治など多くの画家が描いてきた。さらに現代美術を通して猫を眺めると、かわいらしさだけでなく、日常性、くつろぎ、ユーモア、野生などさまざまなキーワードが浮かび上がる。例えば、背景のない構図、油絵の具で写実的に描かれた猫。作者の佐々木健は、あえて近代肖像画と同じスタイルを用いて、「大きな主題」を解体し、日常のささやかなものへと眼差しを向ける。あるいは、犬のように人間の指令に従うことなく、自分で触れ、嗅ぎ、見ることに頼る猫。落合多武の作品に登場する猫たちは、自由な連想遊びのような豊かな余白をはらんで独特のポエジーを生み出す。また、猫の優雅な無気力さと無関心な休息ぶりは、見る人を和ませる。うずらの卵やガムといった身近なものを素材とする太田黒衣美。板状のガムを素材として、レリーフさながらカッターで表面を彫刻し、アトリエにやってくる猫の上に置いて写真を撮影。猫の毛並みが平原のように見え、ガムで形作られた人々がリラックスしているようで、思わず笑みがこぼれる。さらに猫の視点になって見れば、本棚は山に、絨毯は大海原にもなるだろう。建築家の中山英之と砂山太一は、人間と異なる空間感覚に着目し、各部屋が岩でできた住宅模型や、紙でできた石の家具「かみのいし」を展示。美術館空間を変容させる。飼い慣らされることなく野性を持ったまま人間と暮らし、言葉の意味からも自由に逃れて生きる猫。家の外ではどんな路地を冒険しているのだろうか。猫的なるものから考えると、現代美術にも親近感が湧いてくる。出品作家:泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一<開催情報>『ねこの細道』会場:豊田市美術館会期:2023年2月25日(土)~5月21日(日)時間:10:00~17:30(入場は17:00まで)休館日:月曜(5月1日は開館)料金:一般1,000円、大高800円公式サイト:
2023年02月08日2023年2月3日は節分。豆や恵方巻などを準備する家庭もあるでしょう。節分に向けて、香川県小豆島にある妖怪美術館(@meipam_meiro)が準備した貼り紙に注目が集まっています。どんなものなのかというと…。日本全国の鬼の皆さま小豆島の妖怪美術館よりお知らせです。当館では皆様が安心してお過ごしいただけるよう万全の体制でお待ちしております。どうぞお気をつけてお越しください。 #節分 #節分鬼まつり pic.twitter.com/r0P4Ubwsfw — 妖怪美術館(@meipam_meiro) January 30, 2023 鬼殺隊および桃太郎関係者の入店お断り!なんと、大ヒット漫画『鬼滅の刃』に登場する鬼を狩る組織『鬼殺隊』や、鬼退治でお馴染みの『桃太郎』の入店をお断りする貼り紙です。妖怪美術館が「日本全国の鬼の皆さま小豆島の妖怪美術館よりお知らせです」とツイートし、全国の鬼に向けて発信しました。鬼たちが安心して過ごせるように、一風変わったお知らせをしたようです。ちなみに、妖怪美術館では同月28日まで節分鬼まつりを開催中!鬼の仮装で入館すると割引きになる『鬼割』や、節分の翌日には『節分お疲れ様会』も行われます。そのほかにも、鬼でなくても安心して楽しめるイベントが目白押し!気になる人間のみなさんは、妖怪美術館の公式アカウントをチェックしてみてください![文・構成/grape編集部]
2023年02月03日展覧会「開館10周年記念 横尾忠則展 満満腹腹満腹」が、神戸の横尾忠則現代美術館にて2023年1月28日(土)から5月7日(日)まで開催される。横尾忠則“過去の展覧会”を約260点の作品と共に振り返る展覧会「開館10周年記念 横尾忠則展 満満腹腹満腹」は、横尾忠則現代美術館の開館10周年を記念し、これまでに開催した企画展をダイジェストで振り返る展覧会。2012年11月に開催された、横尾忠則現代美術館の開館記念展「反反復復反復」のセルフ・パロディーでもある本展は、限られた展示空間にて、過去に開催された約30本の展覧会を詰め込み、年代順に紹介する。ジャンルごとに過去の展覧会を分類本展では、これまでの展覧会を年代別に紹介するが、各展覧会はそれぞれ“技法・造形”“モチーフ・シリーズ”“アーカイブ”“美術館コスプレ”といった傾向ごとに分類することができる。まず、制作の手法や技法、造形的な特徴に着目した展覧会には、横尾自身の発案だという開館記念展「反反復復反復」や、「横尾忠則展 枠と水平線と・・・ グラフィック・ワークを超えて」「横尾さんのパレット」などが挙げられる。2022年8月に開催された「横尾さんのパレット」では、作品の特徴である鮮やかな色彩で彩られた歴代の代表シリーズを含む作品を、そのテーマや様式にとらわれずに色で分類。作品を展示する壁も各色に配色するなど、文字通り“色の分類”が為されていた。また“美術館コスプレ”と称した、美術館が他の施設に化ける傾向にある展覧会にも注目。該当するのは、「どうぶつ図鑑」や「兵庫県立横尾救急病院展」「横尾忠則の恐怖の館」など。「恐怖の館」は、美術館をお化け屋敷化したもので、会場に向かうエレベーターを血まみれにしたりと、作品や空間そのものを通して、芸術と恐怖の関連性について触れることができる。さらに、“アーカイブ”にジャンル分けした「大涅槃展」では、収集魔として知られる横尾が集めた涅槃像コレクション約600点を展示したほか、“モチーフ・シリーズ”ものとして横尾の代表的なポートレートシリーズである「奇縁まんだら」「文豪シリーズ」などの作品を鑑賞することができる「HANGA JUNGLE」や「開館10周年記念 Forward to the Past 横尾忠則 寒山拾得への道」などの展覧会もピックアップされる。【詳細】展覧会「横尾忠則展満満腹腹満腹」会期:2023年1月28日(土)~5月7日(日)会場:横尾忠則現代美術館住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日観覧料:一般 700円(550円)、大学生 550円(400円)、70歳以上 350円(250円)、 高校生以下 無料※( )内は20名以上の団体割引料金※障がい者は各観覧料金(ただし70歳以上は一般料金)の75%割引、介護者1名は無料※割引対象者は、証明できるものを持参のうえ、会期中美術館窓口で入場券を購入※予定は変更となる場合あり(最新情報は美術館ウェブサイトにて確認のこと)【問い合わせ先】横尾忠則現代美術館TEL:078-855-5607 (総合案内)
2023年01月19日アートアクアリウム美術館 GINZAは、お正月イベント「アートアクアリウムのお正月」を2023年1月9日(月)まで開催する。「アートアクアリウム美術館 GINZA」のお正月イベント「アートアクアリウム美術館 GINZA」は、“百華繚乱~進化するアート~”をテーマにした、金魚アートの常設施設だ。7つのエリアで構成される館内では、色とりどりの金魚とともに、非日常的な空間を楽しむことができる。そんなアートアクアリウム美術館 GINZAが、謹賀新年ならぬ“金魚新年”のお正月仕様になって登場。期間中は、松の木が生い茂るトンネル型のイルミネーションや門松など、華やかなお正月飾りが館内を彩る。“紅白カラー”の美しい金魚が集結「アートアクアリウムのお正月」では、縁起の良い“紅白カラー”が美しい金魚が集結。白銀の体に、頭の上の赤い肉りゅうが特徴的な金魚「丹頂」や、”金魚の女王”とも称される大きな尾が魅力的な金魚「土佐錦」などが、お正月飾りで彩られた水槽の中で優雅に泳ぐ。新作の水槽作品「障子リウム」を初披露また、新作の水槽作品「障子リウム」も初披露する。戸枠の一部がガラスになっている障子“雪見障子”をモチーフにした水槽で金魚が舞い泳ぎ、日本庭園を思わせる美しい景色を楽しむことができる。「金魚おみくじ」が期間限定で登場さらに、2023年1月2日(月)から1月9日(月)までの期間限定で「金魚おみくじ」を用意。アートアクアリウムのオリジナルおみくじで、2023年の運勢を占ってみてはいかがだろうか。【詳細】「アートアクアリウムのお正月」開催期間:2022年12月27日(火)~1月9日(月)※2023年1月1日(日)は休館場所:アートアクアリウム美術館 GINZA住所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 新館8階営業時間:10:00~19:00(変更になる場合あり)※12月31日(土)は10:00~17:30(最終入場16:30)休館日:銀座三越の休館日に準ずるチケット価格:当日券 2,400円、WEBチケット 2,300円※当日券は銀座三越新館1階にて発売【問い合わせ先】銀座三越TEL:03-3562-1111(代表番号)
2023年01月01日企画展「ねこのほそ道」が、愛知の豊田市美術館にて、2023年2月25日(土)から5月21日(日)まで開催される。“猫的なるもの”を媒介に自由に生きる猫のような現代美術を紹介愛らしい仕草や自由気ままな野性味が感じられる行動、独立心が旺盛でマイペースな猫。彼らは長い時間をかけて人間と暮らすようになったが、その空間感覚や倫理観は人間とは一線を画し、型にはまらず隙間や内外を行き来できる存在として、彼らなりの道を歩んできた。企画展「ねこのほそ道」では、自由・野生・ユーモア・ナンセンスな“猫”をヒントにした現代美術を紹介。“猫的なるもの”を媒介に、6人の美術家と1組の建築家の視点を通して、身近にあるささいな事象から人間中心の視点をずらす試みだ。くつろぎ・野生・ユーモア・ポエジー・ミクロとマクロ・積層する時間をキーワードとした作品が展示される。詩的に表現される猫たとえば、絵画やオブジェ、彫刻、パフォーマンスなど多様な作品を生み出す落合多武に注目。落合が生み出す作品はすべて、軽快な詩情をはらんでいるのが特徴だ。犬とは違い人間の指令に従うことなく、自分で触れ、嗅ぎ、見ることに頼る猫。言葉にも人間にも支配されない非論理的な存在としての猫をモチーフにした落合の《猫彫刻》が醸し出す、独特の雰囲気を鑑賞することができる。空飛ぶ猫や長い道のりを経て進化する猫また、猫とは愛と自由の象徴という考えが反映されている岸本清子による《I am 空飛ぶ赤猫だあ!》や、表面からは見えない塗り重ねた色層が、まるで積み重ねた年月のように感じられる《our time》など、猫の進化の長い道のりや猫にまつわることを連想させる作品が集結する。【詳細】企画展「ねこのほそ道」会期:2023年2月25日(土)~5月21日(日)会場:豊田市美術館住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)休館日:月曜日(5月1日(月)は開館)※会期、関連事業の内容、来館者の受入態勢などは変更となる場合あり(最新情報については美術館ウェブサイトにて確認のこと)■観覧料・前売券一般 800円、高校・大学生 600円、中学生以下 無料販売場所:豊田市美術館(1月29日(日)まで)、T-FACE B館2階インフォメーション(2月24日(金)まで)※T-FACE:時短日 2022年12月31日(土)10:00~18:00、休業日 2023年1月1日(日)、2月21日(火)・当日券一般 1,000円、高校・大学生 800円、中学生以下 無料※豊田市内在住または在学の高校生、豊田市内在住の75歳以上、障がい者手帳の所持者(介添者1名含む)は無料(要証明)※その他、観覧料の減免対象者および割引などについては、美術館ウェブサイトを参照■参加アーティスト泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一【問い合わせ先】豊田市美術館TEL:0565-34-6610
2022年12月23日広島市現代美術館では、「リニューアルオープン記念特別展Before/After」を、2023年3月18日(土)から6月18日(日)まで開催する。広島市現代美術館がリニューアルオープン2年3か月の改修工事を経て、2023年3月にリニューアルオープンする広島市現代美術館。これを記念して開催される「Before/After」展では、美術館の改修工事を契機に生じる「前/後」を起点として、劣化や修復、原爆ドームといったキーワードをたよりに、「まえ」と「あと」にまつわる現象や状況に着目してコレクション作品や本展のための新作を紹介する。美術作品を通して「まえ」と「あと」を考察本展では、社会の変化やシステムにおける綻び、隠された過去や歴史に光をあて、作品として発表してきたアーティストの作品を展示。たとえばコレクションからは、世の中に存在する不条理、抑圧、暴力などをテーマに作品を手がけるシリン・ネシャットの《Land of Dreams》を初公開する。2点の映像と複数の写真から構成される本作では、その映像の一部で広島の被爆者の言葉が取り上げられている。一方、田中功起の《everything is everything》は、2006年に台北で発表された作品。同作は、現地で購入した日用品の新たな用途を探る様子を撮影した映像と、実際に使用された日用品から構成される。本展では、劣化を避けられない作品の問題に着目し、作家とともに新たな保存のあり方を探る実践を試みる。8名の作家による新作も発表また、会場では、石内都や髙橋銑、竹村京などの新作も公開。石内都は、広島平和記念資料館に収蔵される被爆者の衣服などを撮影する「ひろしま」シリーズに継続的に取り組んできた。本展では、2019年の台風による浸水で被害を受けた自身の作品プリントを被写体とする「The Drowned」シリーズから、未発表の新作を交えて紹介する。彫刻の保存修復と作家活動を行う髙橋銑は、ブロンズの保存技法をそのままニンジンに適用した代表作「Cast and Rot」シリーズや、移ろう香りを素材とする新作を展示。さらに、壊れた陶器の破損部分を絹糸で縫い直す「修復」シリーズなどを手がける竹村京は、美術館の改修工事を進めるなかで意図せず破損した回廊のガラスや、役割を終えた品々を用いた新作を発表する。展覧会概要リニューアルオープン記念特別展Before/After会期:2023年3月18日(土)〜6月18日(日)会場:広島市現代美術館住所:広島県広島市南区比治山公園1-1開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日観覧料:一般 1,600円(1,250円)、大学生 1,200円(900円)、 高校生・65歳以上 800円(600円)、中学生以下 無料※( )内は前売および30名以上の団体料金■出品作家靉嘔、石内都、伊藤公象、井上覚造、大岩オスカール、岡本太郎、デニス・オッペンハイム、 オノ・ヨーコ、河原温、コウミユキ、笹岡啓子、鴫剛、四國五郎、下道基行、 新生タイポ・プロジェクト(岡澤慶秀、岡本健+)、SUPERFLEX、菅井汲、ナンシー・スペロ、 髙橋銑、高山良策、竹村京、田中功起、田村友一郎、蔡國強、土田ヒロミ、殿敷侃、 毒山凡太朗、2m26、シリン・ネシャット、ダラ・バーンバウム、浜田知明、 ジョン・バルデッサリ、平田尚也、吹田文明、キース・ヘリング、細江英公、松澤宥、南薫造、 宮川啓五、ヘンリー・ムーア、森村泰昌、ヤノベケンジ、横山奈美、若林奮、和田礼治郎【問い合わせ先】広島市現代美術館TEL:082-264-1121 (代表)
2022年12月10日アートアクアリウム美術館 GINZAは、クリスマスイベント「燈りにきらめく冬金魚」を2022年12月26日(月)まで開催する。「アートアクアリウム美術館 GINZA」のクリスマスイベント“百華繚乱~進化するアート~”をテーマにした、金魚アートの常設施設「アートアクアリウム美術館 GINZA」。7つのエリアで構成される館内では、色とりどりの金魚とともに、非日常的な空間を楽しむことができる。2022年の冬は、華やぐクリスマスシーズンに向けて「燈りにきらめく冬金魚」を開催。クリスマスならではの鮮やかなイルミネーションの光で館内を彩る。トンネル型のクリスマスイルミネーション中でも目玉となるのは、”提灯”に見立てた球体の水槽作品が並ぶ「提灯リウム」エリアだ。レッドカラーやゴールドカラーのオーナメントを飾った、クリスマスツリーを思わせるトンネルが出現。水槽の下には、プレゼントボックスを置いて心躍る楽し気なムードを演出する。優しく光る星の飾り日本の寺社建築に見られる回廊を表現した「金魚の回廊」では、クリスマスの飾りを代表する、”ヘルンフートの星”の明かりが灯る。赤と白に光るヘルンフートの星と、左右に並ぶ色とりどりの金魚の水槽がマッチする、幻想的な世界を楽しむことができる。幻想的なクリスマスツリーが登場そのほか、竹をイメージした円柱水槽がぐるっと並ぶ「金魚の竹林」には、美しくライトアップされたクリスマスツリーが登場。「アートアクアリウム美術館 GINZA」ならではのクリスマス空間で特別なひと時を過ごしてみてはいかがだろうか。【詳細】「燈りにきらめく冬金魚」~アートアクアリウムのクリスマス~開催期間:2022年11月29日(火)~12月26日(月)場所:アートアクアリウム美術館 GINZA住所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 新館8階営業時間:10:00~19:00(変更になる場合あり)休館日:銀座三越の休館日に準ずるチケット価格:当日券 2,400円、WEBチケット 2,300円※当日券は銀座三越新館1階にて発売【問い合わせ先】銀座三越TEL:03-3562-1111(代表番号)
2022年12月04日現代日本を代表するアーティストとして国内外で活躍している大竹伸朗さん。彼の作品およそ500点を集めた大規模な回顧展が、現在、東京国立近代美術館で開かれています。プレス内覧会に登壇した大竹さんのコメントとともに、展覧会の様子をレポートします!美術館が宇和島駅に…?!【女子的アートナビ】vol. 269『大竹伸朗展』では、1980年代初めにデビューして以来、絵画や彫刻、映像、インスタレーション、巨大な建造物など幅広いジャンルで多くの作品を手がけてきたアーティスト、大竹伸朗さんの作品約500点を展示。16年ぶりの大回顧展となります。大竹さんは、1955年東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、1982年に初個展を開催。その後、ドイツ・カッセルで開かれている世界最大級の国際美術展・ドクメンタ(2012年)や、120年以上の歴史を持つヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)など、さまざまな国際展に参加。アートの島として有名な直島に多くの作品が展示されているほか、「東京2020 公式アートポスター展」にも参加するなど、半世紀近くもの長い間、多方面で活躍されています。プレス内覧会に登壇した大竹さんは、次のように述べました。大竹さん本展は挑戦要素が多い展覧会で、今までにないものになっていると思います。世界は破壊が続いていますけど、モノをつくる力、つくりだすパワーを少しでも感じていただければとてもうれしく思います。5回ぐらい来て、見てください(笑)。大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より《宇和島駅》(1997年)また、大竹さんは、美術館のテラスに設置された作品《宇和島駅》についてもコメントしました。大竹さん宇和島は、僕が制作拠点にしている場所です。宇和島駅が新しくなるとき、駅名の文字を廃棄するというので、納得がいかなくて入手しました。駅舎に乗って、ひとつずつ焼き切ったのです。東京国立近代美術館と宇和島駅が交差するのは、ある種のコラージュ。赤い色は僕が創造したもので、夜はライトアップされて見え方が変わります。圧が強すぎ…!7つのテーマで体感大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より手前:《男》(1974-75年)富山県美術館では、展示の様子をご紹介。会場では、テーマに合わせて7つのセクションに分けられています。ただ、テーマに沿って作品をつくっているのではなく、また、制作時代順にも並んでいないので、自分の好きなところから自由に見ていけばいいようです。最初の展示室から、けっこう圧が強め。ちょっと怖い感じの人形のような作品が立っていたり、天井からぶら下がっていたりして、もし照明が暗いとお化け屋敷と思ってしまいそうな雰囲気です。大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より手前:《スクラップブック #71/宇和島》(2018-2021年)本展を担当された東京国立近代美術館の主任研究員、成相肇さんによると、大竹作品の特徴は「貼り付けること。貼ってからはがして、重ねて量を増やして密度を増していき、ほとんどの作品がコラージュ作品になっている」とのこと。その密度の濃さを体験してほしいそうです。もっとも密度を感じられるのは、スクラップブックと題された作品たち。もはやスクラップブックの面影もないような、大きな塊です。展示室に巨大な小屋が…!大竹伸朗展2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館展示風景より《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012年)本展でもっとも目を引く作品は、ドイツの国際展にも展示された《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》。ネオンサインやトレーラー、ギター、巨大なスクラップブックなどが凝縮されたパワフルなインスタレーションです。展示室の空間に巨大な小屋が置かれ、かなり迫力があります。小屋の中をのぞくと、いろいろなものが詰まっていて、こちらも圧が強め。音も鳴る作品で、大竹さんの集大成のひとつといわれています。人気のニューシャネルも…!また、本展はグッズも充実。大竹さんは、文字の作品も多く手がけていて、本展の「大竹伸朗展」という文字も今回の新作です。そんな「大竹文字」のひとつが《ニューシャネル》(1998年)。スナックの看板をモチーフにしてつくられたもので、Tシャツなどのグッズが大人気です。今回のためにつくられた新作グッズもあるので、ぜひ特設ショップものぞいてみてください。本展は2023年2月5日(日)まで開催。その後、愛媛県美術館と富山県美術館に巡回予定です。Information会期:~2023年2月5日(日)休館日:月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)会場:東京国立近代美術館開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)(入館は各閉館時間の30分前まで)※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:一般 ¥1,500、大学生¥1,000、高校生以下および18歳未満は無料お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00)
2022年11月19日世界中で愛されてきた話題のコンテンツ「ゴッホ・アライブ」が、金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて2022年12月10日(土)から2023年3月5日(日)まで開催いたします。ゴッホ・アライブグランデ・エクスペリエンセズが企画制作したゴッホ・アライブは、芸術性とエンターテイメント性を兼ね備えた五感で楽しむ全く新しい没入型の展覧会。3,000点以上に及ぶゴッホの名作が、力強いクラシック音楽に乗って、巨大かつ鮮明な画像で生き生きと再現された空間は別世界。まるで絵画の中の世界を歩いているかような感覚に。会場に足を踏み入れた瞬間から、光、色、音、香りの鮮やかなシンフォニーに包まれ、次々と流れるビジュアルとサウンドに身を委ねる体験は“忘れられない”特別な体験となることでしょう。●みどころ【体感できる!没入型展覧会】ゴッホ・アライブは、時空を超えて来場者をオランダ、パリ、アルル、サン=レミ、オーヴェール=シュル=オワーズに誘います。クラシック音楽が流れる中、ゴッホの作品の3,000以上の画像が壁や柱、天井、床などありとあらゆる場所に映し出されます。細部まで色鮮やかに再現された作品の数々を見れば、ゴッホの当時の思いや感情を感じずにはいられません。一瞬にして来場者をゴッホの傑作の世界に引き込みます。Photo:Grande Experiences【新しいアート鑑賞の形】静まりかえった館内で作品から離れて鑑賞する―そんな従来の鑑賞法とは全く違い、「五感で」ゴッホ作品を体験し楽しむことができます。場内に一歩踏み入れた時から、光と色、音とアロマの力強いシンフォニーに包まれ、日常を離れてゴッホの世界に引き込まれます。Photo:Grande Experiences【最新の技術】グランデ・エクスペリエンセズが開発したSENSORY4(TM)は、マルチチャンネル・モーショングラフィックスと映画館品質のサラウンド音響、最高40台ものHDプロジェクターを融合させ、マルチスクリーン環境を提供する独自システムで、どんな展示スペースもダイナミックで目を見張るような映像体験空間に変えることができます。フランスの田園地方の暖かさを想起させるアロマの香りも来場者の体験をさらに増幅させます。(C)RB Create【ゴッホを知る】ゴッホの芸術、生涯、時代背景に関する総合的な情報をゴッホ自身の豊富な画像や言葉を交えて解説します。ギャラリーに入る前にゴッホの人生と作品について学び、これから始まる体験への期待を高めます。【フォトロケーションエリア】ひまわり畑、ファンゴッホの部屋などを再現したフォトロケーションもお楽しみいただけます。Photo:Grande ExperiencesPhoto:Grande ExperiencesPhoto:Grande Experiences【ゴッホ・アライブ オリジナルグッズ】アクリルキーホルダー〔価格〕各660円(税込)アクリルキーホルダーがまぐちポーチ〔価格〕1,980円(税込)がまぐちポーチウォーターボトル〔価格〕各2,750円(税込)ウォーターボトルトートバッグ〔価格〕各3,080円(税込)トートバッグ 5種類Tシャツ〔価格〕各3,850円(税込)Tシャツ※商品画像はイメージです。【開催概要】展覧会名 : ゴッホ・アライブ会期 : 2022年12月10日(土)~2023年3月5日(日)会場 : 金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)名古屋市中区金山町1-1-1開館時間 : 10:00~20:00 (日曜日は18:00まで)※最終入場は閉館の60分前まで休館日 : 12月12日(月)、12月28日(水)~2023年1月1日(日)、1月10日(火)主催 : 中京テレビ放送公式サイト: Twitter : @goghalivejp Instagram : @goghalivejp 観覧料 : 一般2,500(2,300)円、高大生2,000(1,800)円、小中生1,500(1,300)円・未就学児無料・()内は前売券・前売券は12月9日(金)まで販売※本展の会期や内容が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月09日